(実施形態1)
以下、管理装置及びそれを用いた管理システムの実施形態1を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態で説明する管理装置は、オフィスビルや商業ビルなどの施設に設置される設備機器の監視を行う。本実施形態の管理装置は、設備機器の回路数が100〜1000程度である中小規模の施設で使用されることを想定している。この規模の施設には、延床面積が1〜2万平方メートル程度のオフィスビルや商業ビルなどが含まれる。ただし、以下に説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
図1は、管理装置10を用いた管理システムの概略的な構成図である。本実施形態の管理システムは、管理装置10と、複数のサブシステム40(例えば空調サブシステム41、照明サブシステム42、給水サブシステム43、排水サブシステム44)とを備えている。また、本実施形態の管理システムは管理用端末15を更に備えている。サブシステム40は設備機器20の種類ごとに設けられ、各サブシステム40は設備機器20と制御盤30(通信装置)とを有している。本実施形態の管理装置10は、設備機器20を監視する機能に加えて、設備機器20を制御する機能も備えているが、設備機器20を制御する機能は必須ではない。
設備機器20は、施設100に設置されて使用される機器である。本実施形態では、設備機器20として、空調設備21と、照明設備22と、給水設備23と、排水設備24とがある。これらの設備機器20は、施設100の施工時や改修時において施設100に設置され、施設100で使用される。なお、設備機器20は空調設備21、照明設備22、給水設備23、排水設備24に限定されず、管理装置10は他の種類の設備機器20の監視を行ってもよい。
制御盤30は、対応する種類の設備機器20の制御と監視とを行う。本実施形態では制御盤30として、空調設備21用の空調制御盤31と、照明設備22用の照明制御盤32と、給水設備23用の給水制御盤33と、排水設備24用の排水制御盤34とがある。
制御盤30は、図2に示すように、制御部301と、通信部302と、マンマシンインターフェイス(Man Machine Interface、以下、「MMI」という)303と、ブレーカ304とを有する。
制御部301は、対応する種類の設備機器20を制御及び監視する。制御部301は主なハードウェア要素としてコンピュータを備える。コンピュータは、メモリが別に接続されるCPU(Central Processing Unit)又はメモリを一体に備えるマイコン(microcontroller)などから選択されるデバイスを備える。この種のデバイスは、プログラムを実行するプロセッサを備えており、本実施形態ではプロセッサがプログラムを実行することによって以下に説明する制御盤30の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ROM(Read Only Memory)に書き込まれた状態で提供されるほか、光学ディスク、ハードディスク、半導体メモリのような記録媒体に書き込まれた状態で提供されてもよく、またインターネット又は移動体通信網のような電気通信回線を通して提供されてもよい。
通信部302は管理装置10との間で通信を行う。本実施形態では、照明設備22に対応する照明制御盤32と、照明設備22以外の設備機器20(空調設備22、給水設備23、排水設備34)に対応する制御盤30(空調制御盤31、給水制御盤33、排水制御盤34)とで別系統の通信線が使用されている。
空調制御盤31と給水制御盤33と排水制御盤34とのそれぞれが備える通信部302は、通信線61を介して管理装置10に接続されている。空調制御盤31と給水制御盤33と排水制御盤34とのそれぞれが備える通信部302は、例えば米国電子工業会(EIA)の通信規格であるRS485に準じた通信規格で、管理装置10との間でシリアル通信方式で通信を行う。照明制御盤32が備える通信部302は、通信線61とは異なる通信線62を介して管理装置10及びスイッチ群321に接続され、管理装置10及びスイッチ群321と時分割多重伝送方式で信号伝送を行う。スイッチ群321は、2以上の照明設備22をそれぞれ操作するための2以上のスイッチを備えている。ユーザがスイッチ群321のスイッチを操作(例えば点灯操作、消灯操作、調光操作)すると、操作に応じた信号がスイッチ群321から照明制御盤32に送信され、照明制御盤32が照明設備22の動作状態を制御する。ここにおいて、制御盤30が備える通信部302は、RS485に準じた通信規格でシリアル通信を行う通信回路や、時分割多重伝送方式で通信する通信回路に限定されず、制御盤30の台数や通信量などに応じた適宜の通信規格を採用すればよい。
MMI303は、フラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせた構成、あるいはスイッチと表示灯とを組み合わせた構成が採用される。MMI303は、設備機器20の動作状態を表示するフラットパネルディスプレイあるいは表示灯と、動作状態を変更するためのタッチパネルとを備えていればよい。
ブレーカ304は、サブシステム40が備える設備機器20への給電路に挿入されており、設備機器20にはブレーカ304を介して動作に必要な電力が供給される。
管理用端末15は、ウェブブラウザ(web browser)を搭載したパーソナルコンピュータであり、例えば施設100の管理室に設置される。管理用端末15は、ウェブブラウザを搭載したコンピュータであれば、タブレット端末やスマートフォン(smartphone)などでもよい。管理用端末15を用いて設備機器20の監視を行う場合、管理用端末15は、管理装置10が収集した各設備機器20の重点監視情報を表示装置に表示する。
また、管理用端末15は管理装置10に動作条件を設定する機能を有し、管理用端末15は管理装置10に動作条件を設定する設定器として使用される。管理装置10に設定する動作条件としては、後述する第1記憶部13及び一時記憶部141のメモリサイズ、選択部111が選択する重点監視情報の種類、機器情報を取り込む設備機器20の組み合わせ、機器情報を取り込む順番及び頻度などがある。例えば管理システムの施工時に、管理システムの管理者が、管理用端末15に設定用のウェブページを表示させ、管理用端末15の入力装置を操作して管理装置の動作条件を入力すると、管理用端末15から管理装置10に動作条件が送信される。管理用端末15から送信された管理装置10の動作条件が通信部12で受信されると、演算処理部11は管理装置10の動作条件をメモリに記憶させ、演算処理部11はメモリに記憶した動作条件で動作を行う。管理システムの使用中に、管理用端末15を用いて管理装置10の動作条件を変更してもよく、第1記憶部13及び一時記憶部141のメモリサイズの変更や、重点監視情報とする情報の追加、変更、削除などを行うことができる。本実施形態では、汎用のパーソナルコンピュータである管理用端末15を、管理装置10に動作条件を設定する設定器としているが、管理システムは管理装置10に動作条件を設定する専用の設定装置を備えてもよい。
次に、管理装置10の構成を図3に基づいて説明する。管理装置10は、演算処理部11と、通信部12と、第1記憶部13と、第2記憶部14とを備える。第2記憶部14は一時記憶部141と主記憶部142とを有している。
管理装置10は、施設100において利用される設備機器20の管理を行う。ここにおいて、設備機器20の「管理」とは、設備機器20の「監視」と設備機器20の「制御」とを行うことを意味するが、管理装置10は設備機器20の「監視」を行えばよく、設備機器20の「制御」は必須ではない。管理装置10が管理する設備機器20の設置されている領域は、1つの建物、複数の建物、建物内の1フロア、建物内の1室など、管理システムの規模などに応じて適宜変更が可能である。
通信部12は第1通信部121と第2通信部122と第3通信部123とを備える。
第1通信部121は、通信線61を介して空調制御盤31、給水制御盤33、排水制御盤34に接続され、空調制御盤31、給水制御盤33、排水制御盤34との間でRS485に準じた通信規格でシリアル通信を行う。第1通信部121は、空調制御盤31と通信することによって、空調制御盤31から各空調設備21の機器情報(空調設備21に関わる複数種類の情報)を定期的に取得する。同様に、第1通信部121は、給水制御盤33と通信することによって、給水制御盤33から各給水設備23の機器情報を定期的に取得する。また、第1通信部121は、排水制御盤34と通信することによって、排水制御盤34から各排水設備24の機器情報を定期的に取得する。なお、第1通信部121は、空調制御盤31と給水制御盤33と排水制御盤34とから機器情報を定期的に取得しているが、一定の周期で機器情報を取得することに限定されず、機器情報を取得する周期が可変でもよい。また、第1通信部121は、何らかの事象の発生を受けて設備機器20の機器情報を取得してもよい。ここにおいて、設備機器20の機器情報を取得する契機となる事象とは、例えば設備機器20の動作異常などである。
第2通信部122は、通信線62を介して照明制御盤32に接続され、照明制御盤32との間で時分割多重伝送方式で通信を行う。第2通信部122は、照明制御盤32と通信を行うことによって、照明制御盤32から各照明設備22の機器情報を定期的に取得する。なお、第2通信部122は、各照明設備22の機器情報を定期的に取得しているが、一定の周期で機器情報を取得することに限定されず、機器情報を取得する周期が可変でもよい。また、第2通信部122は、何らかの事象の発生を受けて照明制御盤32から各照明設備22の機器情報を取得してもよい。ここにおいて、第1通信部121及び第2通信部122が、複数台の設備機器20の各々から当該設備機器20に関わる複数種類の情報を含む機器情報を受け取る通信部となる。
第3通信部123は通信網63を介して外部装置50との間で通信を行う。外部装置50は、センタサーバ51やクライアントとなる端末装置52などを含む。ここにおいて、通信網63は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて通信が行われる通信網である。
第1記憶部13は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、管理用端末15によってメモリサイズが設定される。第1記憶部13には、複数台ある設備機器20(空調設備21、照明設備22、給水設備23、排水設備24)のそれぞれに対応して記憶領域が割り当てられている。第1記憶部13は、通信部12(第1通信部121、第2通信部122)が受け取った各設備機器20の機器情報のうち選択部111によって選択された重点監視情報を、対応する記憶領域に上書き保存する。すなわち、通信部12が機器情報を受け取るごとに、第1記憶部13に保存されている重点監視情報の内容が、選択部111によって選択された重点監視情報で更新される。第1記憶部13には、設備機器20の重点監視情報をそれぞれ格納する複数の記憶領域が設けられている。第1記憶部13の複数の記憶領域はそれぞれ1つの設備機器20に対応し、各記憶領域には対応する設備機器20の重点監視情報(例えば機器情報のうちの3つの情報)が格納される。
第2記憶部14は、各設備機器20の機器情報を蓄積する記憶部であり、一時記憶部141と主記憶部142とを有する。
一時記憶部141は、例えばRAMであり、主記憶部142に比べて記憶容量が小さいメモリである。一時記憶部14は、管理用端末15によってメモリサイズが設定されており、第1記憶部13と一時記憶部14とは1つの記憶素子のメモリ空間を分けて実現されてもよい。一時記憶部141は、通信部12(第1通信部121、第2通信部122)が受け取った設備機器20の機器情報を一時的に記憶する。一時記憶部141には、設備機器20の機器情報をそれぞれ格納する複数の記憶領域が設けられており、各記憶領域には1つの設備機器20から取得した機器情報(例えば20個の情報)が格納される。
主記憶部142は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような低消費電力のRAM、又は、ハードディスクのような外部記憶装置であり、第1記憶部13に比べて記憶容量が大きな記憶装置である。主記憶部142は、一時記憶部141に一時的に保存された情報が書き込まれることによって、通信部12(第1通信部121、第2通信部122)が受け取った各設備機器20の機器情報を蓄積する。なお、主記憶部142がSRAMである場合は、電池と組み合わせて停電時にもSRAMの記憶内容が失われないようにすればよい。
ここで、図4は、第1記憶部13及び一時記憶部141の記憶領域を模式的に示した図である。第1記憶部13には例えば512個の記憶領域A1(図4では□の記号で図示)が設けられ、個々の記憶領域A1には設備機器20の重点監視情報(例えば機器情報のうちの3つの情報)が格納される。また、一時記憶部141には例えば64個の記憶領域A2(図4では□の記号で図示)が設けられ、個々の記憶領域A2には設備機器20から取得した機器情報(例えば20個の情報)が格納される。なお、第1記憶部13に設けられた記憶領域A1の数は設備機器20の台数などに応じて適宜変更が可能であり、一時記憶部141に設けられた記憶領域A2の数は1回の通信で機器情報を受信する設備機器20の台数などに応じて適宜変更が可能である。本実施形態では第1記憶部13に設けられた記憶領域A1の数と一時記憶部141に設けられた記憶領域A2の数とが異なっているが、1回の通信で全ての設備機器20から機器情報を受信可能であれば、記憶領域A1の数と記憶領域A2の数とは同数でもよい。
演算処理部11は主なハードウェア要素としてコンピュータを備える。コンピュータは、メモリが別に接続されるCPU又はメモリを一体に備えるマイコンなどから選択されるデバイスを備える。この種のデバイスは、プログラムを実行するプロセッサを備えている。本実施形態ではプロセッサがプログラムを実行することによって、選択部111や制御部112などの管理装置10の機能が実現される。プロセッサが実行するプログラムは、ROMに書き込まれた状態で提供されるほか、光学ディスク、ハードディスク、半導体メモリのような記録媒体に書き込まれた状態で提供されてもよく、またインターネット又は移動体通信網のような電気通信回線を通して提供されてもよい。
選択部111は、通信部12(第1通信部121、第2通信部122)が受け取った機器情報に含まれる複数種類の情報の一部を重点監視情報として選択する。重点監視情報とは、例えば管理用端末15の表示装置に表示させることで、定常的な監視を行えるようにした情報であり、例えば設備機器20での異常の有無などを表す情報である。
制御部112は、第1記憶部13及び第2記憶部14のそれぞれについて情報の書き込みを制御する。本実施形態では、制御部112は、第1記憶部13及び第2記憶部14のそれぞれについて情報の読み出しも制御する。
また、演算処理部11は、外部機器(例えば管理用端末15、端末装置52など)からの要求に応じて、第1記憶部13に保存された重点監視情報を表示するウェブページのデータを作成し、作成したウェブページを要求元の外部機器に通信部12から送信させる。この構成により、外部機器(例えば管理用端末15、端末装置52など)は、管理装置10を介して設備機器20の動作状態を監視することができる。
また、演算処理部11は、設備機器20の動作状態を制御する機能を備えてもよい。ユーザがMMI13を用いて設備機器20の動作状態を変更する操作を行うと、MMI13から演算処理部11に操作対象の設備機器20の動作状態を変更する信号が入力される。演算処理部11は、MMI13から入力された信号に基づいて、操作対象の設備機器20の動作状態を変更する制御信号を作成し、この制御信号を操作対象の設備機器20に対応した制御盤30に通信部12から送信させる。制御盤30は、管理装置10から送信された制御信号を受信すると、この制御信号に基づいて操作対象の設備機器20の動作状態を、制御信号に応じた動作状態に変更する。これにより、管理装置10は設備機器20の動作状態を制御することもできる。
次に、本実施形態の管理システムの動作を説明する。
まず、サブシステム40が備える制御盤30の動作を説明する。
ユーザがMMI303を用いて設備機器20の動作状態を変更する操作を行うと、MMI303から制御部301に操作内容が出力され、制御部301が操作内容に応じて対応する設備機器20の動作状態を制御する。また、照明サブシステム42では、スイッチ群321をユーザが操作すると、操作に応じた信号がスイッチ群321から照明制御盤32の通信部302に送信される。このとき、照明制御盤32の制御部301は、通信部302が受信した信号に基づいて、操作対象の照明設備22を操作内容に応じた動作状態に制御する。なお、制御部301による設備機器20の制御は、設備機器20の運転および停止の制御のほか、運転中の設備機器20の動作状態の制御を含む場合もある。運転中の動作状態とは、空調設備21であれば運転モード(冷房運転、暖房運転、除湿運転、送風運転など)、設定温度、設定湿度、設定風量、風向などを意味し、照明設備22であれば明るさや色温度などを意味する。また、給水設備23であれば、運転中の動作状態とはポンプの流量、稼働時間や水圧、水温などを意味し、排水設備24であれば、運転中の動作状態とはポンプの流量、稼働時間などを意味する。
また、制御部301による設備機器20の監視は、制御を指示した設備機器20からの応答を監視することや、設備機器20の動作状態の異常の有無を監視することを意味する。制御部301は、制御対象の設備機器20の動作状態を監視しており、個々の設備機器20についての機器情報を取得する。機器情報は、監視対象の設備機器20に関わる複数種類(例えば20個)の情報を含む。例えば空調設備21についての機器情報には、空調設備21の運転状態(例えば冷房運転、暖房運転、除湿運転又は停止)、設定温度、設定湿度、設定風量、消費電力などの情報や、異常の有無といった情報が含まれる。照明設備22についての機器情報には、照明設備22の運転状態(点灯又は消灯)、照明設備22の光出力などの情報や、異常の有無といった情報が含まれる。給水設備23及び排水設備24についての機器情報には、運転状態(運転又は停止)、ポンプの流量などの情報や、異常の有無といった情報が含まれる。
次に、管理装置10が、各サブシステム40の制御盤30を介して各設備機器20の機器情報を受け取り、第1記憶部13及び第2記憶部14に保存する動作について図4を参照して説明する。ここにおいて、管理装置10は、最大で512台の設備機器20を管理することができ、512台の設備機器20の各々から機器情報を定期的に収集している。
管理装置10が制御盤30を介して一度に512台の設備機器20から機器情報(20種類の情報を含む)を取得する場合、512台分の機器情報(512[台]×20[個]の情報)を受信するのに長い時間が必要になり、他の動作の妨げになる可能性がある。そこで、本実施形態の通信部12は、制御盤30から一時記憶部141に保存可能な個数(例えば64個)ずつ機器情報を受け取っている。すなわち、通信部12は、512台の設備機器20から64台の設備機器20を順番に選択し、選択した64台の設備機器20の機器情報(64[台]×20[個]の情報)を受信する。通信部12は、1回の通信で64台の設備機器20の機器情報を受信しているので、最低8回の通信で512台の設備機器20から1回ずつ機器情報を受信することができる。したがって、1回の通信で通信部12が受信する情報の量が、512[台]×20[個]から64[台]×20[個]に減少するので、1回当たりの通信時間を短縮できる。なお、設備機器20の台数や、1回の通信で機器情報を受信する設備機器20の台数は、本実施形態の台数に限定されず、適宜変更が可能である。
図4は、通信部12が制御盤30から64個の機器情報D1を受信した場合に、演算処理部11が64個の機器情報D1を第1記憶部13及び第2記憶部14に記憶させる動作を説明する概念図である。
通信部12が制御盤30から64個の機器情報D1を受信すると、制御部112は、第1通信部121が受信した64個の機器情報D1を一時記憶部141に保存する。一時記憶部141は64個の機器情報D1を保存可能な記憶容量を有しており、制御部112は、第1通信部121が今回受信した64個の機器情報D1を一時記憶部141に上書き保存する。
また、通信部12が64個の機器情報D1を受信すると、選択部111が、64個の機器情報D1の一部、例えば異常の有無を示す情報などの情報(64[台]×3[個]の情報)を重点監視情報D2として選択する。このとき、制御部112は、選択部111が重点監視情報D2として選択した64[台]×3[個]の情報を第1記憶部13に保存する。第1記憶部13では、1個1個の設備機器20に対応して記憶領域A1が設定されているので、制御部112は、選択部111が重点監視情報D2として選択した64[台]×3[個]の情報を、重点監視情報D2の取得元の設備機器20に対応した記憶領域A1に上書き保存する。また、制御部112は、通信部12が制御盤30から機器情報を次回受信するよりも前に、一時記憶部141から機器情報D1を読み出し、この64個の機器情報D1を主記憶部142に保存しており、機器情報D1の履歴を第2記憶部14(主記憶部142)に蓄積することができる。
そして、管理装置10の通信部12が制御盤30から64個ずつ機器情報D1を受け取る処理を繰り返すことで、全ての設備機器20の機器情報D1を受け取ることができ、第1記憶部13に保存されている各設備機器20の重点監視情報を逐次更新できる。また、第2記憶部14は、全ての設備機器20の機器情報D1を保存し、蓄積しておくことができる。なお、演算処理部11は、例えば外部機器(管理用端末15又は端末装置52など)からの要求に応じて、主記憶部142に保存した機器情報を読み出し、第3通信部123から要求元の外部機器に送信してもよい。
本実施形態の管理システムでは、管理装置10に保存された重点監視情報を、管理用端末15又は端末装置52に表示することができる。例えば、管理用端末15が重点監視情報を表示する場合、管理用端末15は、管理装置10に保存されている重点監視情報を表示するためのウェブページを管理装置10に要求し、管理装置10から送信されたウェブページをウェブブラウザで表示する。同様に、端末装置52が通信網63を介して管理装置10に重点監視情報を表示するためのウェブページを要求すれば、管理装置10から要求元の端末装置52にウェブページが送信され、端末装置52の表示装置にウェブページが表示される。管理用端末15又は端末装置52に表示されたウェブページを確認することで、ユーザは管理装置10が収集している重点監視情報を把握することができる。
なお、管理用端末15又は端末装置52を用いて設備機器20の動作状態を変更する操作を行えるようにしてもよい。例えば管理用端末15が操作用のウェブページを表示した状態で、ユーザが操作対象の設備機器20の動作状態を変更する操作を行うと、管理用端末15から管理装置10に制御信号が送信される。管理装置10が、管理用端末15から受け取った制御信号を、操作対象の設備機器20が属するサブシステム40の制御盤30に送信すると、制御盤30が制御信号の制御内容に応じて操作対象の設備機器20の動作状態を制御する。
以上説明したように、本実施形態の管理装置10は、通信部12と、選択部111と、第1記憶部13と、第2記憶部14と、制御部112とを備える。通信部12は、複数台の設備機器20の各々から当該設備機器20に関わる複数種類の情報を含む機器情報を所定周期で受け取る。選択部111は、機器情報に含まれる複数種類の情報の一部を重点監視情報として選択する。第1記憶部13は重点監視情報を保存する。第2記憶部14は機器情報を蓄積する。制御部112は、第1記憶部13及び第2記憶部14のそれぞれについて情報の書き込みを制御する。制御部112は、通信部12が機器情報を受け取るごとに、通信部12が受け取った機器情報を第2記憶部14に保存し、第1記憶部13に保存されている重点監視情報を選択部111が選択した重点監視情報で更新するように構成されている。ここにおいて、通信部12が機器情報を受け取る周期は一定の周期でもよいし、設備機器20の種類や機器情報の種類などに応じて適宜変更されてもよい。
このように、第2記憶部14には、通信部12が受け取った機器情報が蓄積されるのに対して、第1記憶部13には、選択部111が重点監視情報として選択した情報が保存される。したがって、表示や監視などのために読み出される可能性が高い重点監視情報を記憶する第1記憶部13の記憶容量を第2記憶部14に比べて小さくでき、第1記憶部13に記憶された情報(重点監視情報)の処理にかかる負荷を低減できる。また、第1記憶部13の記憶容量を小さくすることで、第1記憶部13からの重点監視情報の読み出しや第1記憶部13への重点監視情報の書き込みにかかる時間を短くでき、より短い時間で重点監視情報を更新することが可能になる。
本実施形態の管理システムは、2以上の設備機器20と通信装置(制御盤30)とを有するサブシステム40と、上記の管理装置10とを備える。通信装置(制御盤30)は2以上の設備機器20から機器情報を収集し、管理装置10は、通信装置(制御盤30)を介して機器情報を受け取るように構成される。
本実施形態の管理システムは、上記の管理装置10を備えているので、第1記憶部13の記憶容量を第2記憶部14に比べて小さくでき、第1記憶部13に記憶された情報(重点監視情報)の処理にかかる負荷を低減できる。
本実施形態の管理装置10において、第2記憶部14は、機器情報を蓄積する主記憶部142と、主記憶部142に比べて記憶容量が小さい一時記憶部141とを含んでもよい。通信部12は、機器情報を一時記憶部141に保存可能な個数ずつ受け取る。制御部112は、通信部12が受け取った個数の機器情報を一時記憶部141に保存した後、通信部12が機器情報を次回受け取るよりも前に、一時記憶部141から読み出した個数の機器情報を主記憶部142に保存する。また、複数の設備機器20の機器情報を全て1つのメモリに記憶させる場合に必要な記憶容量に比べて、第1記憶部13と一時記憶部141とを合わせた記憶容量を低減できる。また、機器情報のうち、短時間で急激に変化する情報や、異常状態など重要度が高い情報は重点監視情報として第1記憶部13に保存し、変化が緩やかな情報や重要度の低い情報は主記憶部142に保存すれば、第1記憶部13の記憶容量を低減できる。
通信部12は、全ての設備機器20の機器情報を一度に受信するのではなく、一時記憶部141に保存可能な個数ずつ機器情報を受信する。そして、制御部112は、通信部12が受け取った個数の機器情報を一時記憶部141に一旦保存した後、一時記憶部141から読み出した機器情報を主記憶部142に保存している。したがって、記憶容量の小さい一時記憶部141を使用しながら、全ての機器情報を主記憶部142に蓄積できる。また、機器情報を一時記憶部141に一旦保存した後に主記憶部142に保存しているので、適宜のタイミングで主記憶部142に機器情報を保存すればよい。
また、本実施形態の管理装置10において、第1記憶部13に保存された重点監視情報を外部機器(管理用端末15及び外部装置50)に出力する出力部(演算処理部11と第3通信部123とからなる)を、更に備えてもよい。
出力部が、第1記憶部13に保存された重点監視情報を外部機器に出力しているので、外部機器で重点監視情報の表示などを行うことができる。また、出力部は、機器情報の一部である重点監視情報を外部機器に出力するので、機器情報を全て出力する場合に比べて、出力部が出力するデータ量を低減できる。
(実施形態2)
以下、管理装置及びそれを用いた管理システムの実施形態2を図5及び図6に基づいて説明する。なお、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略し、本実施形態の特徴部分について以下に説明する。
本実施形態の管理装置10は、実施形態1で説明した管理装置10の機能に加えて、設定部113と時計部114とを備えている。設定部113及び時計部114は、演算処理部11の主要な構成要素であるプロセッサがプログラムを実行することによって実現されている。
設定部113は、設備機器20の種類に応じて機器情報を通信部12が受け取る順番と頻度とを設定する。
時計部114は、プロセッサの動作クロックをカウントすることによって、現在の時刻を計っている。
実施形態1で説明したように、管理装置10の通信部12は、制御盤30との1回の通信で一時記憶部141に保存可能な個数ずつ機器情報を受け取っており、制御盤30との通信を複数回行うことによって、複数の設備機器20の機器情報を1回ずつ受信している。管理装置10は制御盤30との1回の通信で一時記憶部141に保存可能な個数ずつ機器情報を受け取るのであるが、1回の通信で機器情報を受け取る複数の設備機器20は設備機器群G1〜Gn(nは2以上の整数)として予めグループ分けされている。例えば管理用端末15を用いて、同じ種類で設置場所が近い設備機器20が同じ設備機器群となるように、複数の設備機器20が複数の設備機器群G1〜Gnにグループ分けされている。ここで、管理装置10の通信部12が、複数の設備機器群G1〜Gnの機器情報を、設備機器群Gk(kは1からnまでの整数)の枝番kが小さい順番で繰り返し受け取るように、管理用端末15を用いて機器情報を受け取る順番が設定されている。また、管理装置10の通信部12が、複数の設備機器群G1〜Gnの機器情報を受け取る頻度が同じになるように、管理用端末15を用いて機器情報を受け取る頻度が設定されている。
施設100がオフィスビルや商業ビルである場合、オフィスビルや商業ビルの始業時間(例えば午前8時)に空調設備21が稼働し始め、施設内の温度や湿度が大きく変化するので、始業時間の前後では空調設備21の動作状態を重点的に監視することが望まれる。
そこで、時計部114が計時した時刻が始業時間の前後の時間帯になると、設定部113は、空調設備21を含む設備機器群G2の機器情報を重点的に監視できるように、通信部12が設備機器群G2の機器情報を受け取る順番や頻度を変更する。
例えば、始業時間の前後の時間帯では、設定部113は、空調設備21以外の設備機器群に比べて、空調設備21の設備機器群G2の方が通信部13が機器情報を受け取る順番が早くなり、かつ、頻度が高くなるように通信部12の設定を行う。例えば通信部12が制御盤30と3回通信する間に設備機器群G2の機器情報を1回受信できるように設定が変更されると、例えば設備機器群G2→G1→G3→G2→G4→(中略)→Gnのような順番で通信部12が各設備機器群から機器情報を取得する。
このように、本実施形態の管理装置10は、設備機器20の種類に応じて機器情報を通信部12が受け取る順番又は頻度を設定する設定部113を、更に備えている。例えば、設定部113が、ある種類の設備機器20の機器情報を通信部12が受け取る順番を早めたり、頻度を高くすれば、当該種類の設備機器20からより短い時間で機器情報を収集することができる。
なお、本実施形態の管理装置10において、設定部113は、設備機器20の種類に応じて機器情報を通信部12が受け取る順番又は頻度を設定する代わりに、機器情報に含まれる情報の種類に応じて通信部12が機器情報を受け取る順番又は頻度を設定してもよい。
例えば、時計部114が計時した時刻が始業時間の前後の時間帯になると、設定部113は、空調設備21に関する情報を含む機器情報、つまり空調設備21を含む設備機器群G2の機器情報を受け取る順番が早くなり、かつ、頻度が高くなるように設定してもよい。
また、設備機器20で何らかの異常(例えば空調設備21の異常など)が発生した場合に、同種の異常の有無を示す情報を含む機器情報を重点的に監視できるように、設定部113が機器情報を受け取る順番や頻度を設定してもよい。このように、設定部113が、機器情報の含まれる情報の種類に応じて機器情報を通信部12が受け取る順番や頻度を設定すれば、所望の情報をより短い時間で収集でき、設備機器20の動作状態を短時間で把握することができる。
このように、本実施形態の管理装置10は、機器情報に含まれる情報の種類に応じて機器情報を通信部12が受け取る順番又は頻度を設定する設定部113を、更に備えてもよい。例えば、設定部113が、ある種類の情報を含む機器情報を通信部12が受け取る順番を早めたり、頻度を高くすれば、当該種類の設備情報をより短い時間で収集することができる。