ところで、上述のような組電池では、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間の全周にわたって接着剤が配置され、セルの外周面とホルダの孔内周面との間が接着剤によってシールされている(気密にされている)ことが要求される場合がある。具体的には、例えば、組電池についてホルダの第1面側に冷却風が流れる流路を設け、当該流路に冷却風を流すことで組電池を冷却する構造とした場合に、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間を通じて、ホルダの第2面側に冷却風が漏れることを防止するために、セルの外周面とホルダの孔内周面との間が接着剤によってシールされている(気密にされている)ことが求められる場合がある。このため、上述のような組電池において、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる方法が求められていた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる、組電池の検査方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、第1面とこれとは反対方向を向く第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との間を貫通する孔である保持孔が複数形成されたホルダと、前記保持孔の内径よりも小さな外径を有するセルであって、前記ホルダの前記保持孔内に挿入された複数のセルと、前記セルの外周面と、前記ホルダのうち前記保持孔を構成する内周面である孔内周面と、の間の隙間に注入されて固化した状態の接着剤と、を備える組電池について、前記セルの前記外周面と前記ホルダの前記孔内周面との間の気密状態を検査する方法であって、前記ホルダの前記第2面に密着する環状のシール面を有し、前記シール面が前記第2面に密着することで前記シール面と前記第2面との間を気密にしつつ少なくとも1つの前記保持孔の前記第2面側を覆う態様で、前記組電池に配置される治具であって、当該治具を前記組電池に配置した状態において、当該治具の内面と前記組電池のうち当該治具によって覆われた部位とによって囲まれた内側空間が形成される形状を有し、且つ、当該治具の外部から前記内側空間内にエアを導入可能とする通気口を有する治具を用意し、少なくとも1つの前記保持孔の前記第2面側を覆うと共に、前記治具の前記シール面を前記第2面に密着させることで前記シール面と前記第2面との間を気密にする態様で、前記治具を前記組電池に配置する治具配置工程と、前記治具の外部に設けられているエア送出装置から前記治具の前記通気口を通じて前記内側空間内にエアを供給して、前記内側空間内の圧力を上昇させた状態で、前記内側空間内の圧力値である第1圧力値を測定する第1圧力測定工程と、前記第1圧力測定工程の後、前記エア送出装置から前記内側空間内にエアを供給できない状態にした時から、所定の第1時間が経過した時、前記内側空間内の圧力値である第2圧力値を測定する第2圧力測定工程と、前記第1圧力値と前記第2圧力値との差が許容範囲内でない場合に、前記セルの前記外周面と前記ホルダの前記孔内周面との間の気密状態が不良であると判定する判定工程と、を備える組電池の検査方法である。
上述の検査方法で検査する組電池は、セルの外周面とホルダの孔内周面(ホルダのうち保持孔を構成する内周面)との間に位置する接着剤を備える。この組電池では、各々のセルが、接着剤を介してホルダに保持された態様で、ホルダに固定されている。なお、この組電池では、接着剤は、セルの外周面とホルダの孔内周面とを接着(接合)するために用いられている他、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間をシールする(気密にする)ためにも用いられている。すなわち、接着剤は、セルの外周面とホルダの孔内周面とを接着(接合)すると共に、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間をシールする(気密にする)ために、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間に配置された接着剤である。
上述の検査方法では、上述の組電池について、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)を検査する。換言すれば、セルの外周面とホルダの孔内周面との間が、接着剤によって良好にシールされているか否か(接着剤によって良好な気密状態とされているか否か)を検査する。
具体的には、まず、治具配置工程において、少なくとも1つの保持孔(自身の内部にセル及び接着剤が配置されている保持孔)の第2面側を覆うと共に、治具のシール面をホルダの第2面(第2面のうち治具によって覆われる保持孔を囲む部位)に密着させることでシール面と第2面との間を気密にする態様で、組電池に対し治具を配置する。
なお、この治具は、ホルダの第2面に密着する環状のシール面を有し、このシール面がホルダの第2面に密着することでシール面と第2面との間を気密にしつつ少なくとも1つの保持孔の第2面側を覆う態様で、組電池に配置される治具である。さらに、この治具は、当該治具を組電池に配置した状態において、当該治具の内面と、組電池のうち当該治具によって覆われた部位(具体的には、少なくとも1つのセルと、当該セルの外周面と前記ホルダの前記孔内周面との間に位置する接着剤と、ホルダの一部)と、によって囲まれた内側空間が形成される形状を有し、且つ、当該治具の外部から前記内側空間内にエア(空気)を導入可能とする通気口を有する。
従って、この治具は、少なくとも1つの保持孔(自身の内部にセル及び接着剤が配置されている保持孔)の第2面側を覆うと共に、当該治具のシール面をホルダの第2面(第2面のうち治具によって覆われる保持孔を囲む部位)に密着させることでシール面と第2面との間を気密にする態様で、当該治具を組電池に配置した状態で、当該治具の通気口を閉塞した場合に、前記内側空間を形成しつつ、組電池のうち当該治具によって覆われた部位(具体的には、少なくとも1つのセルと、当該セルの外周面と前記ホルダの前記孔内周面との間に位置する接着剤と、ホルダの一部)を封止する形態を有する。
次いで、上述の検査方法では、第1圧力測定工程において、前記治具の外部に設けられているエア送出装置(例えば、加圧により圧縮されたエアを吐出するエア送出装置。具体的には、エアコンプレッサなど)から、治具の通気口を通じて前記内側空間内にエアを供給して、前記内側空間内の圧力を上昇させた状態で、前記内側空間内の圧力値(気圧)である第1圧力値を測定する。
なお、第1圧力値としては、例えば、内側空間内の圧力(気圧)を測定するために設けた圧力計が示す値を挙げることができる。また、圧力計としては、例えば、大気圧を0基準とした公知の圧力計を挙げることができる。この圧力計を用いた場合、第1圧力値は、大気圧(内側空間の外部の気圧)を0基準とした値として測定される。
また、第1圧力値の測定方法としては、例えば、エア送出装置のエア送出口と治具の通気口との間を、エアホース等の中空筒状部材などによって通気可能としつつ気密に接続した状態とし、内側空間内の圧力を測定するために治具の通気口とエアホース等の筒状部材との接続部分に取り付けた圧力計が示す値を検知することで、この値を第1圧力値として取得する方法を挙げることができる。
なお、第1圧力値を測定するタイミングとしては、例えば、次の第2圧力測定工程において第2圧力値を測定するために、エア送出装置から前記内側空間内にエアを供給できない状態(すなわち、エア送出装置から内側空間内へのエアの供給を停止した状態、この状態をエア供給停止状態という)にした時、あるいは、エア供給停止状態にする直前(例えば、エア供給停止状態にする時よりも1秒以内の時間前)、あるいは、内側空間内の圧力値の上昇が停止して内側空間内の圧力値が一定となった時より後、などを挙げることができる。
さらに、上述の検査方法では、第1圧力測定工程の後、第2圧力測定工程において、エア送出装置から前記内側空間内にエアを供給できない状態(すなわち、エア送出装置から内側空間内へのエアの供給を停止した状態、エア供給停止状態)にした時から起算して、予め設定した第1時間が経過した時、内側空間内の圧力値である第2圧力値を測定する。
なお、エア供給停止状態は、例えば、「エア送出装置のエア送出口と治具の通気口との間をエアホース等の中空筒状部材により通気可能としつつ気密に接続して、エア送出装置から内側空間内にエアを供給できる状態(エア送出装置のエア送出口に設けられている開閉バルブを開いた状態)」から、エア送出装置のエア送出口に設けられている開閉バルブを閉じた状態に変更することで、実現することができる。従って、エア供給停止状態としては、例えば、エア送出装置のエア送出口と治具の通気口との間がエアホース等の中空筒状部材により気密に接続された状態で、且つ、エア送出装置のエア送出口に設けられている開閉バルブを閉じた状態を挙げることができる。
なお、第2圧力値としては、例えば、内側空間内の圧力(気圧)を測定するために設けた圧力計が示す値を挙げることができる。また、圧力計としては、例えば、大気圧を0基準とした公知の圧力計を挙げることができる。この圧力計を用いた場合、第2圧力値は、大気圧(内側空間の外部の気圧)を0基準とした値として測定される。
また、第2圧力値の測定方法としては、例えば、前述した第1圧力値の測定方法と同様の方法を挙げることができる。
また、エア送出装置から前記内側空間内にエアを供給できない状態にするタイミングとしては、第1圧力測定工程において第1圧力値を測定した時、あるいは、第1圧力値を測定した時の直後(例えば、第1圧力値を測定した時から1秒が経過するまでの期間内)、あるいは、内側空間内の圧力値の上昇が停止して内側空間内の圧力値が一定となった時より後、などを挙げることができる。
また、第1時間は、例えば、予め行った試験の結果に基づいて決定すると良い。具体的には、例えば、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が良好である組電池(気密状態良好サンプル)と、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が不良である組電池(気密状態不良サンプル)とを用意し、上述の検査方法を利用して、それぞれのサンプルについて、エア送出装置から内側空間内にエアを供給できない状態にした時からの経過時間と内側空間内の圧力値との相関を求める。そして、いずれのサンプルにおいても、内側空間内の圧力値が第1圧力値以下となり、且つ、気密状態不良サンプルにおける圧力値が気密状態良好サンプルにおける圧力値に比べて十分に小さくなる経過時間を、第1時間として決定すると良い。
さらに、上述の検査方法では、判定工程において、前記第1圧力値と前記第2圧力値との差(第1圧力値から第2圧力値を差し引いた差分値)が許容範囲内でない場合に、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が不良であると判定する。すなわち、セルの外周面とホルダの孔内周面との間が、接着剤によって良好にシールされていない(接着剤によって良好な気密状態とされていない)シール不良であると判定する。従って、反対に、第1圧力値と第2圧力値との差(以下、単に、圧力差ともいう)が許容範囲内である場合は、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が良好であると判断することができる。
セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が不良である場合は、エア供給停止状態にした時から所定の第1時間が経過するまでの間(すなわち、エア供給停止状態にした時から第2圧力値を測定するまでの間)に、前記内側空間内のエアが、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間を通過して、ホルダの第1面側に漏出してゆくことで、内側空間内の圧力(気圧)が大きく低下する。このため、第2圧力値が第1圧力値に比べて著しく小さくなり、第1圧力値と第2圧力値との差が、許容範囲から外れた大きな値となる。
一方、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が良好である場合は、エア供給停止状態にした時から所定の第1時間が経過するまでの間(すなわち、エア供給停止状態にした時から第2圧力値を測定するまでの間)に、前記内側空間内から、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の隙間を通過して、ホルダの第1面側に漏出してゆくエアは極めて少量である(あるいは無い)ので、内側空間内の圧力(気圧)はあまり低下しない。このため、第2圧力値が第1圧力値に比べて僅かに小さくなり(あるいは同等となり)、第1圧力値と第2圧力値との差が、許容範囲内の値となる。
従って、上述の検査方法によれば、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる。
なお、第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)が許容範囲内であるか否かを判断する方法としては、例えば、圧力差の許容範囲の上限値を、閾値として予め設定しておき、圧力差が閾値を上回ったか否かを判断する方法を挙げることができる。圧力差が閾値を上回った場合は、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が不良であると判定することになる。
また、第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)の許容範囲は、例えば、予め行った試験の結果に基づいて決定すると良い。具体的には、例えば、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が良好である組電池(気密状態良好サンプル)と、セルの外周面とホルダの孔内周面との間の気密状態(気密性)が不良である組電池(気密状態不良サンプル)とを用意し、上述の検査方法によって、それぞれのサンプルについて、第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)を求める。そして、気密状態良好サンプルにおける圧力差の値と気密状態不良サンプルにおける圧力差の値との間の値を、圧力差の許容範囲の上限値(閾値)として決定して、圧力差の許容範囲(上限値以下の範囲となる)を設定すると良い。
なお、「セル」としては、例えば、電池ケース内に1つの電極体を有する単電池、電池ケース内に複数の電極体を有する電池が挙げられる。
また「ホルダ」としては、例えば、平板形状の部材からなり、その厚み方向にホルダを貫通する形態の保持孔を有するホルダを挙げることができる。この場合、ホルダの厚み方向の一方側を向く面が第1面となり、ホルダの厚み方向の他方側を向く面が第2面となる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施例1にかかる組電池1の斜視図である。図2は、組電池1の拡大部分断面図である。図3は、組電池1を構成するホルダ20の一部の平面図である。図4は、図3のB−B断面図である。
実施例1の組電池1は、図1に示すように、ホルダ20と、このホルダ20に固定された複数のセル10とを備える。
セル10は、円筒型(円柱状)のリチウムイオン二次電池(具体的には、18650型のリチウムイオン二次電池)である。このセル10は、単電池であり、円筒状の電池ケース11と、この電池ケース11の内部に収容された電極体(不図示)及び非水電解液(不図示)とを備える。電極体は、帯状の正極板(不図示)と帯状の負極板(不図示)との間に帯状のセパレータ(不図示)を介在させて円筒状に捲回した捲回電極体である。
セル10の軸線方向AH(セル10の軸線AXに沿った方向、図1及び図2において上下方向)にかかる一端面(図1及び図2において下面)には、セル内部で電極体の正極板と電気的に接続する凸状の正極端子12が設けられている。また、セル10の軸線方向AHにかかる他端面(図1及び図2において上面)は、セル内部で電極体の負極板と電気的に接続する負極端子13とされている。
ホルダ20は、平板形状の金属部材(具体的にはアルミニウム)からなり(図1参照)、第1面20b(図1及び図2において下面)と、これとは反対方向を向く第2面20c(図1及び図2において上面)とを有する。このホルダ20には、第1面20bと第2面20cとの間を貫通する孔である円筒状の保持孔20dが、複数(セル10と同数)形成されている(図2〜図4参照)。これらの保持孔20dは、ホルダ20を平面視して、千鳥格子状に並んで配置されている。
なお、本実施例1では、図2に示すように、セル10の外径D3は、保持孔20dの最小内径(詳細には、保持孔20dの第1面20b側の開口端である第1開口端20fの内径D1)よりも小さくされている。これにより、セル10は、保持孔20d内に挿入可能とされている。具体的には、セル10の一部が保持孔20d内に挿入されている。
さらに、本実施例1の組電池1は、図2に示すように、セル10の外周面10bと、ホルダ20のうち保持孔20dを構成する孔内周面20hと、の間の隙間G内に注入されて固化した接着剤30を有している。これにより、各々のセル10が、接着剤30を介してホルダ20に保持(接着剤30を介して保持孔20dを構成する孔内周面20hに接合)された態様で、ホルダ20に固定されている。
従って、本実施例1の組電池1では、組電池1に振動や衝撃が加わった場合でも、セル10が、保持孔20dの径方向(図2において左右方向)及び軸線方向BH(保持孔20dの軸線BXに沿った方向、図2において上下方向)に移動することがなく、セル10とホルダ20との間でガタツキが生じない。このため、本実施例1の組電池1は、確実に、セル10がホルダ20(保持孔20d)に固定された組電池となる。
なお、本実施例1の組電池1では、接着剤30は、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとを接着(接合)するために用いられている他、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間Gをシールする(気密にする)ためにも用いられている。すなわち、接着剤30は、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとを接着(接合)すると共に、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間Gをシールする(気密にする)ために、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間Gに配置された接着剤である。
また、本実施例1のホルダ20では、保持孔20dの第1面20b側の開口端である円形状の第1開口端20fの内径D1が、保持孔20dの第2面20c側の開口端である円形状の第2開口端20gの内径D2よりも小さくされている(図2、図4参照)。
このように、第2開口端20gの内径D2(直径)を、第1開口端20fの内径D1(直径)よりも大きくすることで、後述するように、ホルダ20の第2面20cを上方に(第1面20bを下方に)向けた状態で、ホルダ20の第2面20c側から接着剤30を隙間G内に注入したとき(図6参照)、接着剤30が隙間G内に進入し易くなる。さらに、第1開口端20fの内径D1のほうが第2開口端20gの内径D2よりも小さいので、上述のようにして接着剤30を隙間G内に注入したとき、第2面20c側から注入した接着剤30が、第1面20b側から下方に垂れ落ち難くなる。
しかも、本実施例1のホルダ20では、保持孔20dを構成する孔内周面20hを、第1面20b側から第2面20c側に向かうにしたがって内径が大きくなるテーパ面としている。このため、上述のようにして接着剤30を隙間G内に注入したとき(図6参照)、第2面20c側から注入した接着剤30が、テーパ面である孔内周面20hに沿って第1面20b側に流れ易くなるので、より一層、接着剤30を隙間G内に注入し易くなる。
次に、本実施例1の組電池の製造方法について説明する。
まず、所定数のセル10とホルダ20とを用意する。そして、セル挿入工程において、図5に示すように、ホルダ20の保持孔20d内にセル10を挿入する。具体的には、ホルダ20の第2面20cを上方に(第1面20bを下方に)向けた状態で、ホルダ20の第1面20b側から、セル10を保持孔20d内に挿入する。なお、セル10は、負極端子13側から保持孔20d内に挿入され、軸線方向BHについて、負極端子13(セル10の底面)の位置がホルダ20の第2面20cに一致した状態で、図示しない治具によって仮保持される(図6参照)。
次いで、接着剤注入工程に進み、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間G内に、接着剤30を注入する。具体的には、図6に示すように、ホルダ20の第2面20cを上方に(第1面20bを下方に)向けた状態で、ホルダ20の第2面20c側(ホルダ20の上方)から、接着剤30を隙間G内に注入する。なお、本実施例1では、ディスペンサ(図示なし)に接続されているノズル50を、隙間Gの上方に配置し、このノズル50から下方に吐出された接着剤30を、隙間G内に注入している。
また、本実施例1では、接着剤注入工程において、1〜500mPa・sの範囲内の粘度を有する液状の接着剤30を、隙間G内に注入する。このような低粘度の接着剤30を注入することで、隙間G内に接着剤30が進入し易くなり、速やかに、隙間G内に接着剤30を注入することができる。
その後、注入した接着剤30が固化する(接着剤を固化させる)ことで、各々のセル10が、接着剤30を介して保持孔20dを構成する孔内周面20hに接合された態様で、ホルダ20に固定される。これにより、本実施例1の組電池1が完成する。
次に、本実施例1にかかる組電池の検査方法について説明する。図7は、実施例1にかかる組電池の検査方法を説明する図である。また、図8は、実施例1にかかる組電池の検査方法の流れを説明するフローチャートである。
本実施例1の検査方法では、上述の組電池1について、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)を検査する。換言すれば、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間が、接着剤30によって良好にシールされているか否か(接着剤30によって良好な気密状態とされているか否か)を検査する。
具体的には、図8に示すように、まず、ステップS1(治具配置工程)において、組電池1に対し、治具60を配置する。具体的には、図7に示すように、少なくとも1つの保持孔20d(自身の内部にセル10及び接着剤30が配置されている保持孔20d)の第2面20c側(図7において上側)を覆うと共に、治具60のシール面61をホルダ20の第2面20c(第2面20cのうち治具60によって覆われる保持孔20dを囲む部位)に密着させることでシール面61と第2面20cとの間を気密にする態様で、組電池1に対し治具60を配置する。
この治具60は、図7に示すように、ホルダ20の第2面20cに密着する環状のシール面61を有し、このシール面61がホルダ20の第2面20cに密着することで、シール面61と第2面20cとの間を気密にしつつ、少なくとも1つの保持孔20dの第2面20c側(図7において上側)を覆う態様で、組電池1に配置される治具である。さらに、この治具60は、当該治具60を組電池1に配置した状態において、当該治具60の内面62と、組電池1のうち当該治具60によって覆われた部位(具体的には、少なくとも1つのセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部)と、によって囲まれた内側空間ISが形成される形状を有し、且つ、当該治具60の外部から内側空間IS内にエアAR(空気)を導入可能とする通気口63を有する。
この治具60は、少なくとも1つの保持孔20d(自身の内部にセル10及び接着剤30が配置されている保持孔20d)の第2面20c側を覆うと共に、当該治具60のシール面61をホルダ20の第2面20c(第2面20cのうち治具60によって覆われる保持孔20dを囲む部位)に密着させることでシール面61と第2面20cとの間を気密にする態様で、当該治具60を組電池1に配置した状態で、当該治具60の通気口63を閉塞した場合に、内側空間ISを形成しつつ、組電池1のうち当該治具60によって覆われた部位(具体的には、少なくとも1つのセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部)を封止する形態を有する。
なお、本実施例1では、治具60として、ウレタンゴム製の治具60を用いている。また、本実施例1では、治具60は、有底円筒形状をなし、その底部60c(図7において天井部)に通気口63を有している。また、シール面61は、円環形状であり、その内径は、保持孔20dの第2面20c側の開口端である円形状の第2開口端20gの内径D2(図2参照)よりも僅かに大きい。従って、本実施例1では、治具60は、シール面61がホルダ20の第2面20cのうち1つの保持孔20dの周囲に位置する円環状の孔周囲面20jに密着することで、シール面61と孔周囲面20jとの間を気密にしつつ、1つの保持孔20dの第2面20c側(図7において上側)を覆う態様で、組電池1に配置される。従って、この治具60は、1つのセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部とを覆う態様で、組電池1に配置される。
また、本実施例1では、治具60の通気口63は、エアホース90を通じて、エア送出装置80のエア送出口81に対し、気密に接続されている。なお、エア送出装置80は、加圧により圧縮したエアAR(空気)を吐出するエア送出装置であり、本実施例1では、エア送出装置80として、公知のエアコンプレッサを用いている。また、治具60の通気口63とエアホース90との間には、両者間を通気可能に連結する連結部材75が接続されている。
さらに、連結部材75には、内側空間ISの圧力(気圧)を測定するための圧力計70が取り付けられている。この圧力計70は、大気圧(外気圧)を0基準とした公知の圧力計である。従って、圧力計70が示す値は、内側空間ISの外部の気圧(大気圧)を0基準とした値となる。また、エア送出装置80のエア送出口81には、エア送出口81の開閉状態を切り替えるための開閉バルブ82が設けられている。なお、ステップS1を行うときは、開閉バルブ82を閉じて、エア送出口81を閉塞した状態にしておく。
次いで、図8に示すように、ステップS2に進み、開閉バルブ82を開いて、エア送出口81を開いた状態にする。これにより、治具60の外部に設けられているエア送出装置80から、エアホース90及び治具60の通気口63を通じて、内側空間IS内にエアARが供給されて、内側空間IS内の圧力が上昇してゆく。
その後、ステップS3(第1圧力測定工程)において、内側空間IS内の圧力を上昇させた状態で、内側空間IS内の圧力値(気圧)である第1圧力値(大気圧を0基準とした値)を測定すると共に、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にする。具体的には、ステップS2において開閉バルブ82を開いた時から起算して1秒が経過した時、ステップS3において、内側空間IS内の圧力値(気圧)である第1圧力値を測定すると同時に、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にする。
なお、第1圧力値の測定は、圧力計70が示す値を検知することで行う。従って、本実施例1では、第1圧力値は、大気圧(内側空間ISの外部の気圧)を0基準とした値となる。また、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にすることで、エア送出装置80から内側空間IS内にエアARを供給できない状態(すなわち、エア送出装置80から内側空間IS内へのエアARの供給を停止した状態、エア供給停止状態ともいう)となる。
次いで、ステップS4に進み、エア送出装置80から内側空間IS内にエアARを供給できない状態にした時(すなわち、ステップS3において、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にした時)から起算して、所定の第1時間が経過したか否かを判定する。なお、本実施例1では、後述する圧力測定試験の結果に基づいて、第1時間を4秒に設定している。従って、ステップS4では、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にした時から起算して、4秒間が経過したか否かを判定することになる。
ステップS4において第1時間が経過した(YES)と判定したら、ステップS5(第2圧力測定工程)に進み、内側空間IS内の圧力値である第2圧力値(大気圧を0基準とした値)を測定する。なお、第2圧力値の測定は、圧力計70が示す値を検知することで行う。従って、本実施例1では、第2圧力値は、大気圧(内側空間ISの外部の気圧)を0基準とした値となる。
その後、ステップS6(判定工程)に進み、第1圧力値と第2圧力値との差(第1圧力値から第2圧力値を差し引いた差分値)が許容範囲内であるか否かを判定する。本実施例1では、第1圧力値と第2圧力値との差(以下、単に、圧力差ともいう)の許容範囲の上限値を、閾値として予め設定しておき、圧力差が閾値を上回ったか否かを判断する。なお、本実施例1では、後述する圧力測定試験の結果に基づいて、閾値=0.02(MPa)に設定している。従って、ステップS6では、第1圧力値から第2圧力値を差し引いた差分値が、0.02MPa以下であるか否かを判定することになる。
そして、ステップS6において圧力差が許容範囲内(0.02MPa以下)である(YES)と判定した場合は、ステップS7(判定工程)において、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が良好であると判断する。すなわち、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間が、接着剤30によって良好にシールされている(接着剤30によって良好な気密状態とされている)と判定する。
一方、ステップS6において圧力差が許容範囲内(0.02MPa以下)でない(NO)と判定した場合は、ステップS8(判定工程)において、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が不良であると判断する。すなわち、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間が、接着剤30によって良好にシールされていない(接着剤30によって良好な気密状態とされていない)シール不良であると判定する。
なお、後述する圧力測定試験の結果から判るように、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が不良である場合は、ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時から第1時間が経過するまでの間(すなわち、ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時からステップS5において第2圧力値を測定するまでの間)に、内側空間IS内のエアARが、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間を通過して、ホルダ20の第1面20b側(図7において下方)に漏出してゆくことで、内側空間IS内の圧力(気圧)が大きく低下する。このため、第2圧力値が第1圧力値に比べて著しく小さくなり、第1圧力値と第2圧力値との差が、許容範囲から外れた大きな値(0.02MPaよりも大きな値)となる。
一方、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が良好である場合は、ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時から第1時間が経過するまでの間(すなわち、ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時からステップS5において第2圧力値を測定するまでの間)に、内側空間IS内から、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間を通過して、ホルダ20の第1面20b側(図7において下方)に漏出してゆくエアARは極めて少量である(あるいは無い)ので、内側空間IS内の圧力(気圧)はあまり低下しない。このため、後述する圧力測定試験の結果から判るように、第2圧力値が第1圧力値に比べて僅かに小さくなり(あるいは同等となり)、第1圧力値と第2圧力値との差が、許容範囲内の値(0.02MPa以下の値)となる。
従って、本実施例1の検査方法によれば、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる。
(圧力測定試験)
次に、圧力測定試験について説明する。この試験では、まず、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が良好である組電池(気密状態良好サンプルSA1という)と、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が不良である組電池(気密状態不良サンプルSA2という)とを用意した。なお、図9は、気密状態良好サンプルSA1の一部分(1つのセル10とその周囲に位置する部位)の第2面20c側を拡大した上面図である。また、図10は、気密状態不良サンプルSA2の一部分(1つのセル10とその周囲に位置する部位)の第2面20c側を拡大した上面図である。
図9に示すように、気密状態良好サンプルSA1では、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間Gの全周にわたって径方向に隙間無く接着剤30が充填されている。一方、気密状態不良サンプルSA2では、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の隙間Gの全周にわたって接着剤30が隙間無く配置されておらず、セル10の周方向の一部において、ホルダ20の第2面20cから第1面20bまで貫通する貫通孔Hが存在している。従って、気密状態不良サンプルSA2では、貫通孔Hを通じて、ホルダ20の第2面20c側から第1面20b側にエアARが漏出するようになっている。
そして、実施例1の検査方法を利用して、それぞれのサンプルについて、ステップS1〜S3の処理を行うと共に、ステップS2において、エア送出装置80の開閉バルブ82を開いた時から、内側空間内の圧力値(即ち、圧力計70の値)を測定し続けた。そして、それぞれのサンプルについて、エア送出装置80の開閉バルブ82を開いた時からの経過時間と、内側空間IS内の圧力値(大気圧を0基準とした値)との相関を求めた。図11は、気密状態良好サンプルSA1における、開閉バルブ82を開いた時からの経過時間(時間)と内側空間IS内の圧力値(大気圧を0基準とした値)との相関図である。また、図12は、気密状態不良サンプルSA2における、開閉バルブ82を開いた時からの経過時間(時間)と内側空間IS内の圧力値(大気圧を0基準とした値)との相関図である。
図11に示すように、気密状態良好サンプルSA1では、開閉バルブ82を開いた時から内側空間IS内の圧力値は急上昇し、開閉バルブ82を開いた時から起算して1秒が経過した時(すなわち、第1圧力値を測定すると共に、開閉バルブ82を閉じた時)に、内側空間IS内の圧力値(第1圧力値)が0.1MPa(大気圧を0基準とした値である。従って、大気圧よりも0.1MPa高い値)となった。その後(開閉バルブ82を閉じた後)、内側空間IS内の圧力値はゆっくりと低下してゆき、開閉バルブ82を閉じた時から起算して4秒が経過した時(すなわち、開閉バルブ82を開いた時から起算して5秒が経過した時)、内側空間IS内の圧力値(第1圧力値)が0.09MPa(大気圧を0基準とした値である。従って、大気圧よりも0.09MPa高い値)となった。
一方、図12に示すように、気密状態不良サンプルSA2では、開閉バルブ82を開いた時から内側空間IS内の圧力値は急上昇し、開閉バルブ82を開いた時から起算して1秒が経過した時(すなわち、第1圧力値を測定すると共に、開閉バルブ82を閉じた時)に、内側空間IS内の圧力値(第1圧力値)が0.085MPa(大気圧を0基準とした値である。従って、大気圧よりも0.085MPa高い値)となった。その後(開閉バルブ82を閉じた後)、内側空間IS内の圧力値は急激に低下してゆき、開閉バルブ82を閉じた時から起算して4秒が経過した時(すなわち、開閉バルブ82を開いた時から起算して5秒が経過した時)には、内側空間IS内の圧力値(第1圧力値)が0MPa(大気圧を0基準とした値である。従って、大気圧)となっていた。
このような試験結果に基づいて、実施例1では、ステップS4における第1時間(ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時から起算して、内側空間IS内の圧力値である第2圧力値を測定する時までの経過時間)を4秒に設定した。その理由は、ステップS3において開閉バルブ82を閉じた時から起算して4秒間が経過した時(すなわち、ステップS2において開閉バルブ82を開いた時から起算して5秒が経過した時)は、いずれのサンプルにおいても、内側空間IS内の圧力値が第1圧力値以下となり、且つ、気密状態不良サンプルSA2における圧力値が気密状態良好サンプルSA1における圧力値に比べて十分に小さくなるからである。
これにより、第1時間を4秒に設定することで、気密状態不良サンプルSA2における第1圧力値と第2圧力値との差(本試験では、0.085−0=0.085MPa)が、気密状態良好サンプルSA1における第1圧力値と第2圧力値との差(本試験では、0.1−0.09=0.01MPa)に比べて極めて大きくなり、第1圧力値と第2圧力値との差によって、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が良好であるか否かを適切に判断することができる。
また、この試験結果に基づいて、実施例1では、第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)の許容範囲を、0.02MPa以下に設定した。上述のように、気密状態不良サンプルSA2における第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)が0.085MPaとなり、気密状態良好サンプルSA1における第1圧力値と第2圧力値との差(圧力差)が0.01MPaとなったことから、第1圧力値と第2圧力値との差の許容範囲の上限値を、両者の圧力差の値の間の値である0.02MPaとした。これにより、第1圧力値と第2圧力値との差によって、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)が良好であるか否かを適切に判断することができる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
図13は、実施例2にかかる組電池101の斜視図である。図13に示すように、本実施例2の組電池101は、実施例1の組電池1に対し、ケース125を追加したものである。ケース125は、樹脂からなり、ホルダ20の第1面20b側に設けられている。このケース125は、各々のセル10のうち、ホルダ20の保持孔20dから第1面20b側に突出する部位、を包囲(収容)している。ケース125の第1側壁125bと第2側壁125cには、セル10を冷却するための冷却風をケース125内に流通させるための通気口125dが形成されている。
このような組電池101についても、前述した実施例1の検査方法と同様にして、ステップS1〜S8の処理(図8参照)を行うことで、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる。
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について説明する。本変形例1は、実施例1,2と比較して、検査用治具の形態が異なり、その他は同様である。
具体的には、実施例1では、検査用治具として、1つの保持孔20dの第2面側を覆う治具60を使用した(図7参照)。実施例1の治具60は、シール面61がホルダ20の第2面20cのうち1つの保持孔20dの周囲に位置する円環状の孔周囲面20jに密着することで、シール面61と孔周囲面20jとの間を気密にしつつ、1つの保持孔20dの第2面20c側(図7において上側)を覆う態様で、組電池1に配置された。従って、実施例1の治具60は、1つのセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部とを覆う態様で、組電池1に配置された。
これに対し、本変形例1では、検査用治具として、複数の保持孔20dの第2面側を覆う治具160を使用する(図14参照)。治具160は、有底筒形状をなし、その底部160c(図14において天井部)に、実施例1の治具60と同様の通気口163を有している。
この治具160は、ホルダ20の第2面20cに密着する環状のシール面161を有し、このシール面161が、ホルダ20の第2面20cのうち複数の保持孔20dを囲む態様の環状面20kに密着することで、シール面161と環状面20kとの間を気密にしつつ、複数の保持孔20dの第2面20c側(図14において上側)を覆う態様で、組電池1(101)に配置される。従って、この治具160は、複数のセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部とを覆う態様で、組電池1に配置される。
さらに、この治具160は、当該治具160を組電池1(101)に配置した状態において、当該治具160の内面162と、組電池1(101)のうち当該治具160によって覆われた部位(具体的には、複数のセル10と、当該セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間に位置する接着剤30と、ホルダ20の一部)と、によって囲まれた内側空間ISが形成される形状を有し、且つ、当該治具160の外部から内側空間IS内にエアAR(空気)を導入可能とする通気口163を有する。
検査用治具として、この治具160を使用して、実施例1と同様にステップS1〜S8の処理を行うことで、セル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間の気密状態(気密性)を、適切に検査することができる。但し、本変形例1の場合、ステップS8では、治具160で覆った複数のセル10の外周面10bとホルダ20の孔内周面20hとの間のうち、いずれか(1または複数)において気密状態が不良であると判定することになる。また、本変形例1では、治具160を使用して前述の圧力測定試験を行って、その試験結果に基づいて、ステップS4における第1時間、及び、ステップS6における圧力差の許容範囲などを設定するようにすると良い。
以上において、本発明を実施形態(実施例1,2及び変形例1)に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1等では、ステップS3において、内側空間IS内の圧力値である第1圧力値を測定すると同時に、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態(エア送出装置80から内側空間IS内にエアARを供給できない状態)にした。しかしながら、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にする前(例えば、直前)または後(例えば、直後)に、内側空間IS内の圧力値である第1圧力値を測定するようにしても良い。換言すれば、第1圧力値を測定する前(例えば、直前)または後(例えば、直後)に、開閉バルブ82を閉じてエア送出口81を閉じた状態にするようにしても良い。