JP6630632B2 - 蓄電デバイス用負極材料 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、全固体リチウムイオン二次電池、ハイブリットキャパシタ等の、充放電時にリチウムイオンの移動を伴う蓄電デバイスの負極に適した材料に関する。
近年、携帯電話機、携帯音楽プレーヤー、携帯端末等が急速に普及している。これらの携帯機器は、リチウムイオン二次電池を有している。電気自動車及びハイブリッド自動車も、リチウムイオン二次電池を有している。さらに、家庭用の定置蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池及びハイブリットキャパシタが用いられている。
リチウムイオン二次電池では、充電時に負極がリチウムイオンを吸蔵する。リチウムイオン二次電池の使用時には、負極からリチウムイオンが放出される。負極は、集電体と、この集電体の表面に固着された活物質とを有している。
負極における活物質として、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス等の炭素系材料が用いられている。しかし、炭素系材料の、リチウムイオンに対する理論上の容量は、372mAh/gにすぎない。容量の大きな活物質が望まれている。
負極における活物質として、Siが注目されている。Siは、リチウムイオンと反応する。この反応により、化合物が形成される。典型的な化合物は、Li22Siである。この反応により、大量のリチウムイオンが負極に吸蔵される。Siは、負極の蓄電容量を高めうる。
Siを含む活物質層がリチウムイオンを吸蔵すると、前述の化合物の生成により、この活物質層が膨張する。活物質の膨張率は、約400%である。活物質層からリチウムイオンが放出されると、この活物質層が収縮する。膨張と収縮との繰り返しにより、活物質が集電体から脱落する。この脱落は、蓄電容量を低下させる。膨張と収縮との繰り返しにより、活物質間の導電性が阻害されることもある。負極がSiを含む従来のリチウムイオン二次電池の寿命は、長くない。
Siの単体での電気伝導性は、炭素質材料及び金属系材料のそれに比べて低い。Siが負極に用いられる場合、炭素質材料等の導電性材料と組み合わせて用いられる。この組み合わせの場合の充放電特性の改善が、種々提案されている。特開2013−191529公報には、Si相と、このSi相を包囲する炭素質材料又は金属酸化物とを有する負極材料が開示されている。特開2014−186992公報には、リチウム相の少なくとも一部が、Siと遷移金属との金属間化合物で包囲された負極材料が開示されている。
特開2013−191529公報 特開2014−186992公報
Si相が炭素質材料又は金属酸化物で包囲されている負極材料では、Si相の膨張及び収縮の繰り返しにより、Si相の微粉化が生じる。微粉化は、Si相の導電性を阻害する。微粉化により、活物質が集電体から脱落することもある。さらに、炭素質材料を含む負極材料では、SiCが生成する。このSiCは絶縁性なので、このSiCによって負極材料の導電性が阻害される。しかも、SiCはリチウムイオンと反応しないので、SiCの存在は蓄電容量を低下させる。
リチウム相が金属間化合物で包囲された負極材料では、充放電の繰り返しにより、蓄電容量が大幅に低下する。
同様の問題は、リチウムイオン二次電池以外の、様々な蓄電デバイスにおいても、生じている。
本発明の目的は、蓄電容量が大きく、かつ充放電の繰り返しによる蓄電容量低下が抑制された負極が得られる材料の提供にある。
本発明に係る蓄電デバイス用負極材料は、多数の粒子の集合である粉末からなる。これらの粒子の材質は、Si系合金である。このSi系合金は、マトリクスと、このマトリクス中に分散した多数の黒鉛とを含む。このマトリクスは、
(1)Siが主成分であって、その結晶子サイズが20nm以下であるSi相、
及び
(2)シリサイドを含む1種又は2種以上の化合物からなり、このシリサイドの結晶子サイズが30nm以下である化合物相
を有する。このSi系合金の密度は、2.5g/cm以上6.0g/cm以下である。この粉末のBET比表面積は、2.0m/g以上10.0m/g以下である。
好ましくは、Si系合金は、
(X1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、B及びMgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素、
並びに
(X2)P、S、Se、Te、Sn、In、Ga、Pb、Bi、Zn、Al及びAgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素
を含む。化合物相(2)は、
(2−1)Si及び元素X1からなるシリサイド、
並びに
(2−2)2種以上の元素X2の金属間化合物、及び/又は1種の元素X2の単相
を有する。
化合物相(2)が、
(2−3)元素X1と元素X2との金属間化合物
をさらに有してもよい。
好ましくは、Si系合金における元素X1の含有率は、0.05at.%以上35at.%以下である。
好ましくは、Si系合金における元素X2の含有率は、0.05at.%以上10at.%以下である。
好ましくは、Si系合金における、黒鉛以外の成分の合計量に対する黒鉛の量の比率は、0.1mass.%以上10mass.%以下である。
本発明に係る材料を含む負極では、蓄電容量が大きい。しかもこの負極では、充放電の繰り返しによる蓄電容量低下が抑制される。
図1は、本発明の一実施形態に係る、蓄電デバイスとしてのリチウムイオン二次電池が示された概念図である。 図2は、図1の電池の負極の一部が示された断面図である。 図3は、Si−Cr−Ti−黒鉛コンポジット材料の走査型電子顕微鏡写真による断面組成像である。 図4は、Si−Cr−Ti−黒鉛コンポジット材料の透過型電子顕微鏡写真による組織図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に概念的に示されたリチウムイオン二次電池2は、槽4、電解液6、セパレータ8、正極10及び負極12を備えている。電解液6は、槽4に蓄えられている。この電解液6は、リチウムイオンを含んでいる。セパレータ8は、槽4を、正極室14及び負極室16に区画している。セパレータ8により、正極10と負極12との当接が防止される。このセパレータ8は、多数の孔(図示されず)を備えている。リチウムイオンは、この孔を通過しうる。正極10は、正極室14において、電解液6に浸漬されている。負極12は、負極室16において、電解液6に浸漬されている。
図2には、負極12の一部が示されている。この負極12は、集電体18と、活物質層20とを備えている。活物質層20は、多数の粒子22を含んでいる。粒子22は、この粒子22に当接する他の粒子22と固着されている。集電体18に当接する粒子22は、この集電体18に固着されている。活物質層20は、多孔質である。
活物質層20を形成する前の多数の粒子22の集合は、粉末である。本発明では、この粉末が、「負極材料」と称される。
粒子22の材質は、Si系合金である。図3及び4に、このSi合金の顕微鏡写真が示されている。図3及び4に示されるように、このSi系合金は、マトリクスと、このマトリクス中に分散した多数の黒鉛とを含んでいる。このマトリクスは、
(1)Siが主成分であるSi相、
及び
(2)シリサイドを含む1種又は2種以上の化合物からなる化合物相
を有している。マトリクス中の、Si相(1)以外の相が、化合物相(2)である。
Si系合金が、
(X1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、B及びMgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素、
並びに
(X2)P、S、Se、Te、Sn、In、Ga、Pb、Bi、Zn、Al及びAgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素
を含むことが好ましい。この場合、化合物相(2)が、
(2−1)Si及び元素X1からなるシリサイド、
並びに
(2−2)2種以上の元素X2の金属間化合物、及び/又は1種の元素X2の単相
を有することが好ましい。化合物相(2)が、
(2−3)元素X1と元素X2との金属間化合物
をさらに有してもよい。
Si相(1)の主成分は、Siである。Siは、リチウムイオンと反応する。従ってこのSi相(1)を含む負極12は、大量のリチウムイオンを吸蔵しうる。Si相(1)は、負極12の蓄電容量を高めうる。蓄電容量の観点から、Si相(1)におけるSiの含有率は50at.%以上が好ましく、60at.%以上がより好ましく、70at.%以上が特に好ましい。
蓄電容量の観点から、マトリクスに占めるSi相(1)の比率は、20%以上70%以下が好ましい。この比率は、合金の断面の拡大写真における、マトリクスの面積に対するSi相(1)の面積の比率である。
Si相(1)がSi以外の元素を含んでもよい。Si相(1)が、導電性に優れた元素を含むことが好ましい。導電性に優れた元素を含む合金では、大きな蓄電容量が達成され、かつ優れた電気伝導性が達成される。好ましくは、導電性に優れた元素は、Siに固溶している。
化合物相(2)は、シリサイドを有する。シリサイドは、Siと他の金属元素との金属間化合物である。概してシリサイドの電気抵抗値は、Si相の電気抵抗値よりも小さい。シリサイドを含む合金は、導電性に優れる。シリサイドはさらに、充放電時の体積変化によって生じる応力を緩和する。これらの観点から、マトリクスに占めるシリサイドの比率は、30%以上80%以下が好ましい。この比率は、合金の断面の拡大写真における、マトリクスの面積に対するシリサイドの面積の比率である。
導電性の観点から好ましいシリサイドは、Siと元素X1との金属間化合物である。Si−X1金属間化合物は、共晶反応を起こしうる。共晶組織では、Si相及びシリサイドが微細である。微細組織では、充放電時の体積変化によっても、Si相の微粉化が生じにくい。
導電性の観点から、特に好ましいシリサイドとして、CrSi及びTiSiが例示される。
化合物相(2)は、シリサイド以外の相を有しうる。シリサイド以外の相として、元素X1と元素X2との金属間化合物が挙げられる。X1−X2化合物の電気抵抗値は、低い。X1−X2化合物の電気抵抗値は、概して、シリサイドの電気抵抗値よりも低い。X1−X2化合物は、Si相とシリサイドとの間に形成されうる。X1−X2化合物は、Si相とシリサイドとの間の導電パスとして機能する。導電性の観点から、マトリクスに占めるX1−X2化合物の比率は、0.1%以上5%以下が好ましい。この比率は、合金の断面の拡大写真における、マトリクスの面積に対するX1−X2化合物の面積の比率である。
化合物相(2)が、2種以上の元素X2の金属間化合物を有してもよい。化合物相(2)が、1種の元素X2の単相を有してもよい。化合物相(2)が、2種以上の元素X2の金属間化合物と、1種の元素X2の単相との両方を、有してもよい。X2−X2化合物及びX2単相は、Si相とシリサイドとの間に形成されうる。X2−X2化合物及びX2単相は、Si相の体積変化によって生じる応力を緩和する。この観点から、マトリクスに占める、X2−X2化合物及びX2単相の合計比率は、0.1%以上5%以下が好ましい。この比率は、合金の断面の拡大写真における、マトリクスの面積に対する、X2−X2化合物の面積とX2単相の面積との合計の比率である。
前述の通り黒鉛は、マトリクス中に分散している。この黒鉛は、マトリクスとコンポジット化している。黒鉛の電気抵抗値は、小さい。しかもCが黒鉛として存在することで、絶縁性であるSiCの生成が抑制される。黒鉛は、合金の導電性に寄与する。さらに黒鉛は、Si相の体積変化によって生じる応力を緩和する。黒鉛を含む合金が用いられた負極12は、SiがCでコーティングされた合金が用いられた負極に比べ、蓄電容量維持性能に優れる。
導電性の観点及び蓄電容量維持性能の観点から、Si系合金における、黒鉛以外の成分の合計量に対する黒鉛の量の比率は0.1mass.%以上が好ましく、1.0mass.%以上がより好ましく、3.0mass.%以上が特に好ましい。Siの電解液との接触が阻害されにくく、反応比表面積が十分であり、かつ蓄電容量の劣化が抑制されるとの観点から、この比率は10mass.%以下が好ましく、5mass.%以下が特に好ましい。
Si系合金におけるSiの含有率は、50at.%以上が好ましい。この含有率が50at.%以上である合金は、多量のリチウムイオンを吸蔵しうる。この観点から、この含有率は60at.%以上がより好ましく、70at.%以上が特に好ましい。合金が十分な量の他の元素を含みうるとの観点から、この含有率は95at.%以下が好ましく、90at.%以下がより好ましく、85at.%以下が特に好ましい。
Si系合金における元素X1の含有率は、0.05at.%以上35at.%以下が好ましい。この含有率が0.05at.%以上である合金では、十分な化合物相が形成される。従ってこの合金は、導電性に優れ、かつ蓄電容量維持性能にも優れる。これらの観点から、この含有率は5at.%以上がより好ましく、10at.%以上が特に好ましい。この含有率が35at.%以下である合金では、十分なSi相が形成されうる。従ってこの合金は、蓄電容量に優れる。この観点から、この含有率は32at.%以下がより好ましく、30at.%以下が特に好ましい。
Si系合金における元素X2の含有率は、0.05at.%以上10at.%以下が好ましい。この含有率が0.05at.%以上である合金では、十分な化合物相が形成される。従ってこの合金は、導電性に優れ、かつ蓄電容量維持性能にも優れる。これらの観点から、この含有率は0.5at.%以上がより好ましく、1.0at.%以上が特に好ましい。この含有率が10at.%以下である合金では、十分なSi相が形成されうる。従ってこの合金は、蓄電容量に優れる。さらに、この含有率が10at.%以下である合金では、元素X2の単相の生成が抑制される。従って、X2単相のリチウムイオンとの反応が抑制され、充放電時の体積変化が抑制される。これらの観点から、この含有率は7at.%以下がより好ましく、5at.%以下が特に好ましい。
Si相の結晶子サイズは、20nm以下が好ましい。この結晶子サイズが20nm以下である負極材料では、充放電時の応力に起因する、粒子22の、ひび割れ、電気的孤立及び集電体からの脱落が抑制される。この観点から、この結晶子サイズは10nm以下がより好ましく、5nm以下が特に好ましい。
シリサイドの結晶子サイズは、30nm以下が好ましい。この結晶子サイズが30nm以下である負極材料では、化合物相内でリチウムイオンが容易に移動しうる。この観点から、この結晶子サイズは20nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。
結晶子サイズは、X線回折により確認されうる。X線回折では、X線源として波長が1.54059オングストロームのCuKα線が用いられる。測定は、2θが20度以上80度以下である範囲でなされる。得られる回折スペクトルにおいて、結晶子サイズが小さいほど、ブロードな回折ピークが観測される。粉末X線回折分析で得られるピークの半値幅から、下記のScherrerの式が用いられて、結晶子サイズが求められ得る。
D = (K × λ) / (β × cosθ)
この数式において、Dは結晶子の大きさ(オングストローム)を表し、KはScherrerの定数を表し、λはX線管球の波長を表し、βは結晶子の大きさによる回折線の拡がりを表し、θは回折角を表す。
Si相及び化合物相の結晶子サイズの制御は、原料の成分の調整によってなされうる。結晶子サイズの制御は、原料粉末を溶解した後の凝固時の冷却速度の制御によっても、なされうる。
Si系合金の密度DEが下記数式(I)を満たすことが、好ましい。
2.5g/cm ≦ DE ≦ 6.0g/cm (I)
換言すれば、密度DEは、2.5g/cm以上6.0g/cm以下が好ましい。合金に含まれる黒鉛の量は、少ない。従って、マトリクスの密度は、合金の密度DEとほぼ同じである。密度DEが2.5g/cm以上6.0g/cm以下である合金では、マトリクスの密度と黒鉛の密度との差が小さい。この合金では、マトリクス中に黒鉛が均一に分散する。均一分散の観点から、合金の密度DEは2.6g/cm以上がより好ましく、2.7g/cm以上が特に好ましい。均一分散の観点から、合金の密度DEは5.0g/cm以下がより好ましく、4.5g/cm以下が特に好ましい。
粉末のBET比表面積SSが下記数式(II)を満たすことが、好ましい。
2.0m/g ≦ SS ≦ 10.0m/g (II)
換言すれば、この比表面積SSは、2.0m/g以上10.0m/g以下が好ましい。この比表面積SSが2.0m/g以上である粉末では、Si系合金が広い面積でリチウムイオンと反応しうる。従ってこの粉末が用いられた負極12では、蓄電容量が大きい。さらに、この比表面積SSが2.0m/g以上である粉末では、充放電時の粒子22の内部と粒子22の表面との応力差が小さい。従ってこの粉末が用いられた負極12では、粒子22の微粉化が抑制され、蓄電容量が維持される。これらの観点から、この比表面積SSは2.5m/g以上がより好ましく、3.0m/g以上が特に好ましい。この比表面積SSが10.0m/g以下である粉末では、粒子22の表面での電解液の分解反応が抑制される。従ってこの粉末が用いられた負極12では、リチウムイオンの減少が抑制され、固体電解質の形成が抑制される。この負極12では、蓄電容量が維持される。この比表面積SSは9.0m/g以下がより好ましく、7.0m/g以下が特に好ましい。BET比表面積SSは、「JIS Z 8830:2013」の規格に準拠して測定される。
粉末の製造方法として、水アトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法及び遠心アトマイズ法が例示される。これらの方法によって得られた粉末に、メカニカルミリング等が施されてもよい。ミリング方法として、ボールミル法、ビーズミル法、遊星ボールミル法、アトライタ法及び振動ボールミル法が例示される。
好ましい製造方法は、単ロール冷却法、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。以下、これらの製造方法の一例が、詳説される。製造の条件は、下記に記載されたものに限定されない。
単ロール冷却法では、底部に細孔を有する石英管の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。細孔から流出する原料が、銅ロールの表面に落とされて冷却され、リボンが得られる。このリボンが、ボールと共にポットに投入される。ボールの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの中にアルゴンガスが充満され、このポットが密閉される。このリボンがミリングにより粉砕され、粒子22が得られる。ミリングとして、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、アトライタ及び振動ボールミルが例示される。
ガスアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料に、アルゴンガスが噴射される。原料は急冷されて凝固し、粒子22が得られる。
ディスクアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料が、高速で回転するディスクの上に落とされる。回転速度は、40000rpmから60000rpmである。ディスクによって原料は急冷され、凝固して、粉末が得られる。この粉末が、ボールと共にポットに投入される。ボールの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの材質として、ジルコニア、SUS304及びSUJ2が例示される。ポットの中にアルゴンガスが充満され、このポットが密閉される。このリボンがミリングにより粉砕され、粒子22が得られる。ミリングとして、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、アトライタ及び振動ボールミルが例示される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
本発明に係る負極材料の効果を、二極式コイン型セルを用いて確認した。まず、表1−3に示された組成の原料を準備した。各原料から、ガスアトマイズ法及びメカニカルミリングにより、粉末を製作した。それぞれの粉末、導電材(アセチレンブラック)、結着材(ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン等)及び分散液(N−メチルピロリドン)を混合し、スラリーを得た。このスラリーを、集電体である銅箔の上に塗布した。このスラリーを、真空乾燥機で減圧乾燥した。乾燥温度は、ポリイミドが結着材である場合は200℃以上であり、ポリフッ化ビニリデンが結着材である場合は160℃以上であった。この乾燥によって溶媒を蒸発させ、活物質層を得た。この活物質層及び銅箔を、ロールにて押圧した。この活物質層及び銅箔をコイン型セルに適した形状に打ち抜き、負極を得た。
電解液として、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を準備した。両者の質量比は、3:7であった。さらに、支持電解質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を準備した。この支持電解質の量は、電解液1リットルに対して1モルである。この支持電解質を、電解液に溶解させた。
コイン型セルに適した形状のセパレータ及び正極を、準備した。この正極は、リチウム箔から打ち抜いた。減圧下で電解液にセパレータを浸漬し、5時間放置して、セパレータに電解液を充分に浸透させた。
槽に、負極、セパレータ及び正極を組み込んだ。槽に電解液を充填し、コイン型セルを得た。なお、電解液は、露点管理された不活性雰囲気中で取り扱われる必要がある。従って、セルの組み立ては、不活性雰囲気のグローブボックスの中で行った。
上記コイン型セルにて、温度が25℃であり、電流密度が0.50mA/cmである条件で、正極と負極との電位差が0Vとなるまで充電を行った。その後、電位差が1.5Vとなるまで放電を行った。この充電及び放電を、50サイクル繰り返した。初期の放電容量X及び50サイクルの充電及び放電を繰り返した後の放電容量Yを測定した。さらに、放電容量Xに対する放電容量Yの比率(維持率)を算出した。この結果が、下記の表1−3に示されている。
下記の表1−3において、No.1−33は本発明の実施例に係る負極材料の組成であり、No.34−46は比較例に係る負極材料の組成である。表1−3に記載された成分の残部は、Si及び不可避的不純物である。
Figure 0006630632
Figure 0006630632
Figure 0006630632
表1−3に記載された数式(I)は、下記の通りである。
2.5g/cm ≦ DE ≦ 6.0g/cm
この数式においてDEは、Si系合金の密度である。
表1−3に記載された数式(II)は、下記の通りである。
2.0m/g ≦ SS ≦ 10.0m/g
この数式においてSSは、粉末のBET比表面積である。
表1−3において、初期放電容量は500mAh/g以上が好ましく、維持率は70%以上が好ましい。
各実施例の負極材料は、Si相と化合物相とを有し、合金の密度が2.5g/cm以上6.0g/cm以下の範囲であり、BET比表面積が2.0m/g以上10.0m/g以下の範囲であり、Si相の結晶子サイズが20nm以下であり、シリサイドの結晶子サイズが30nm以下であり、マトリックス中に黒鉛が分散されている。この負極材料は、本発明の全ての発明特定事項を具備している。
例えば、No.8の負極材料では、Si相の結晶子サイズが2nmであり、シリサイドの結晶子サイズが25nmである。この負極材料では、初期放電容量が1125mAh/gと大きく、放電容量維持率も85%と大きい。
各比較例の負極材料は、本発明の発明特定事項のいずれかを満たしていない。表3において、満たされていない発明特定事項に下線が付されている。
例えば、No.38の負極材料では、合金密度が2.5g/cm以上6.0g/cm以下の範囲外であり、BET比表面積が2.0m/g以上10.0m/g以下の範囲外であり、マトリックス中に黒鉛がしていない。この負極材料では、初期放電容量が211mAh/gと小さく、放電容量維持率も22%と小さい。
以上の評価結果から、本発明の優位性は明かである。
以上説明された負極は、リチウムイオン二次電池のみならず、全固体リチウムイオン二次電池、ハイブリットキャパシタ等の、種々の蓄電デバイスにも適用されうる。
2・・・リチウムイオン二次電池
6・・・電解液
8・・・セパレータ
10・・・正極
12・・・負極
18・・・集電体
20・・・活物質層
22・・・粒子

Claims (6)

  1. 多数の粒子の集合である粉末からなる、蓄電デバイス用負極材料であって、
    上記粒子の材質が、Si系合金であり、
    上記Si系合金が、マトリクスと、このマトリクス中に分散した多数の黒鉛とを含んでおり、
    上記マトリクスが、
    (1)Siが主成分であって、その結晶子サイズが20nm以下であるSi相、
    及び
    (2)シリサイドを含む1種又は2種以上の化合物からなり、このシリサイドの結晶子サイズが30nm以下である化合物相
    を有しており、
    上記Si系合金の密度が、2.5g/cm以上6.0g/cm以下であり、
    上記粉末のBET比表面積が、2.0m/g以上10.0m/g以下である蓄電デバイス用負極材料。
  2. 上記Si系合金が、
    (X1)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、B及びMgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素、
    並びに
    (X2)P、S、Se、Te、Sn、In、Ga、Pb、Bi、Zn、Al及びAgからなる群から選択された1種又は2種以上の元素
    を含んでおり、
    上記化合物相(2)が、
    (2−1)Si及び元素X1からなるシリサイド、
    並びに
    (2−2)2種以上の元素X2の金属間化合物、及び/又は1種の元素X2の単相
    を有する請求項1に記載の蓄電デバイス用負極材料。
  3. 上記化合物相(2)が、
    (2−3)元素X1と元素X2との金属間化合物
    をさらに有する請求項2に記載の蓄電デバイス用負極材料。
  4. 上記Si系合金における元素X1の含有率が0.05at.%以上35at.%以下である請求項2又は3に記載の蓄電デバイス用負極材料。
  5. 上記Si系合金における元素X2の含有率が0.05at.%以上10at.%以下である請求項2から4のいずれかに記載の蓄電デバイス用負極材料。
  6. 上記Si系合金における、黒鉛以外の成分の合計量に対する黒鉛の量の比率が0.1mass.%以上10mass.%以下である請求項1から5のいずれかに記載の蓄電デバイス用負極材料。
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