JP6627653B2 - カルボン酸チオエステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸チオエステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、カルボン酸チオエステルの製造方法に関する。
カルボン酸チオエステルは、硫黄含有化合物の合成原料として、医薬および樹脂などの分野に幅広く利用されている。カルボン酸チオエステルの製造方法としては、高反応性のカルボン酸誘導体とチオールとを反応させる方法が知られている。
特許文献1には、水酸化ナトリウム水溶液および酢酸イソプロピルの存在下、メタクリルロイルクロリドとチオールとを反応させて、カルボン酸チオエステルを製造する方法が記載されている。
非特許文献1には、4−ジメチルアミノピリジンの存在下、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミドとメタクリル酸とエタンチオールとを反応させて、カルボン酸チオエステルを製造する方法が記載されている。
特開2012−31090号公報
J.Am.Chem.Soc.2009,131,14604
しかしながら、特許文献1に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法は、多量の溶媒を使用するため、経済的に不利であり、非効率である。また、メタクリルロイルクロリドを基質として用いるため、合成過程において、等モル量の塩酸塩などが副生する。さらには、それらを除去するために洗浄工程が組み込まれる。結果として、廃棄物が多量に副産されることから、経済的に不利であり、環境への影響の観点からも問題がある。加えて、チオールやメタクリルロイルクロリドを、別途調製した5℃の反応溶液にそれぞれ添加する必要があるため、操作が複雑になり、反応効率の観点からも不利である。
非特許文献1に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法は、多量の溶媒を使用するため、経済的に不利であり、非効率である。また、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミドを基質として用いるため、合成過程において、等モル量の1,3−ジシクロへキシル尿素などが副生する。さらには、それらを除去するために洗浄工程が組み込まれる。結果として、廃棄物が多量に副産されることから、経済的に不利であり、環境への影響の観点からも問題がある。加えて、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミドは、咳やかぶれなどのアレルギー症状を引き起こすため、人体への負荷が大きいという問題がある。
従って、本発明の目的は、反応操作が簡便でありかつ環境・人体への負荷が少なく、常温・常圧(25℃、1atm)下であっても、カルボン酸チオエステルを効率よく製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の原料および触媒を用いて反応させることにより上記目的を達成できることを見出し、本研究を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]である。
[1]下記式(I)で表される化合物とカルボン酸無水物とチオールとを、反応させる、カルボン酸チオエステルの製造方法。なお、式(I)中、RとRは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
[2]触媒として、1種以上の第1族金属化合物および1種以上の第2族金属化合物を存在させて反応させる、[1]に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法。
[3]前記式(I)で表される化合物が二炭酸ジ−t−ブチルである、[1]または[2]に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法では、溶媒を用いなくても行うことができる。これにより、従来の方法と比べてより効率的、経済的にカルボン酸チオエステルを得ることができる。本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法では、原料仕込み一括でカルボン酸チオエステルを製造することができる。これにより、従来の方法と比べてより効率的かつ簡便にカルボン酸チオエステルを得ることができる。本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法では、危険有害性の低い原料を用いてカルボン酸チオエステルを製造することができる。これにより、従来の方法と比べてより人体への負荷が少なくカルボン酸チオエステルを得ることができる。本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法では、常温・常圧(25℃、1atm)下であっても、触媒反応でカルボン酸チオエステルを得ることができる。これにより、従来の方法と比べてより環境への負荷が少なく、より効率的、経済的にカルボン酸チオエステルを得ることができる。
本明細書中では、アクリル酸およびメタクリル酸を合わせて(メタ)アクリル酸と記載する。アクリル酸チオエステルおよびメタクリル酸チオエステルを合わせて(メタ)アクリル酸チオエステルと記載する。
〔式(I)で表される化合物〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、原料として式(I)で表される化合物が使用される。なお、式(I)で表される化合物は、反応によってその化合物由来の成分を含む中間体を生成するが、最終的に得られるカルボン酸チオエステルには、その化合物由来の成分は含まれない。
式(I)で表される化合物において、RとRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基を表す。RとRは炭化水素基であれば、その種類および構造は限定されない。この炭化水素基は直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよく、その基中に不飽和結合あるいはエーテル結合を含んでいてもよい。また、RとRとが結合して、環状構造を形成していてもよい。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。式(I)で表される化合物の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は1〜20であり、2〜10であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。
炭化水素基としては、より詳細には、アリル基、t−ブチル基、t−アミル基、およびベンジル基などを挙げることができる。また、式(I)で表される化合物としては、具体的には、例えば、二炭酸ジアリル、二炭酸ジ−t−ブチル、二炭酸ジ−t−アミル、および二炭酸ジベンジルなどが挙げられる。そのなかでも、カルボン酸チオエステルを効率よく合成できることから、RとRがt−ブチル基である二炭酸ジ−t−ブチルが好ましい。
式(I)で表される化合物としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などで製造して得られたものを使用することもできる。また、式(I)で表される化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法における式(I)で表される化合物の使用量は、チオール1モル当たり、0.05〜5モルが好ましく、0.1〜2モルがより好ましく、0.3〜1モルがさらに好ましい。式(I)で表される化合物の使用量をチオール1モル当たり、0.05モル以上とすることにより、カルボン酸チオエステルの収率を高くすることができる。式(I)で表される化合物の使用量をチオール1モル当たり、5モル以下とすることにより、反応後の後処理工程への負荷を軽減することができ、経済性を良くすることができる。
〔カルボン酸無水物〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、カルボン酸チオエステルの原料となるカルボン酸無水物の種類および構造は限定されない。例えば、カルボン酸無水物は、式(II)のように表すことができ、RとRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
この炭化水素基は直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよく、その基中に不飽和結合あるいはエーテル結合を含んでいてもよい。また、RとRとが結合して、環状構造を形成していてもよい。
置換基を有していてもよいとは、任意の置換基を1つ以上有してもよいという意味であり、例えば、以下の結合、基および原子などを1つ以上有してもよいという意味である。エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、ウレタン結合、ニトロ基、シアノ基、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、チオアセタール基、スルホニル基、ハロゲン、ケイ素、リンなど。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。カルボン酸無水物の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、2〜20であることが好ましい。
炭化水素基としては、より詳細には、ビニル基、イソプロペニル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、およびフェニル基などを挙げることができる。またカルボン酸無水物としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸無水物、ピバル酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、および安息香酸無水物などが挙げられる。
カルボン酸無水物としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などで製造して得られたものを使用することもできる。また、カルボン酸無水物は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法におけるカルボン酸無水物の使用量は、チオール1モル当たり、0.05〜5モルが好ましく、0.1〜2モルがより好ましく、0.3〜1モルがさらに好ましい。カルボン酸無水物の使用量をチオール1モル当たり、0.05モル以上とすることにより、カルボン酸チオエステルの収率を高くすることができる。カルボン酸無水物の使用量をチオール1モル当たり、5モル以下とすることにより、反応後の後処理工程への負荷を軽減することができ、経済性を良くすることができる。
〔チオール〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、カルボン酸チオエステルの原料となるチオールの種類および構造は限定されない。例えば、チオールは、「R−SH」と表すことができ、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。この炭化水素基は直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよく、またその基中に不飽和結合を含んでいてもよい。置換基を有していてもよいとは、任意の置換基を1つ以上有してもよいという意味であり、例えば、以下の結合、基および原子などを1つ以上有してもよいという意味である。エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、ウレタン結合、ニトロ基、シアノ基、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、チオアセタール基、スルホニル基、ハロゲン、ケイ素、リンなど。
チオール中に含まれる炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。チオールの入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は1〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましい。
炭化水素基としては、より詳細には、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロへキシル基、およびフェニル基などを挙げることができる。またチオールとしては、具体的には、例えば、1−ブタンチオール、t−ブチルメルカプタン、シクロヘキサンチオール、およびベンゼンチオールなどが挙げられる。
チオールは、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などで製造して得られたものを使用することもできる。また、チオールは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよく、多価チオールを用いてもよい。
〔カルボン酸チオエステルの製造用触媒〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、触媒は使用しても、使用しなくてもよいが、反応性の観点から、使用するほうが好ましい。該触媒としては、特には限定されないが、例えば、有機酸、有機塩基、無機酸、無機塩基、およびそれらの塩などが挙げられる。そのなかでも、カルボン酸チオエステルを効率よく合成できることから、第1族金属化合物と第2族金属化合物を併用することが好ましい。当該触媒を構成する配位子によって、当該触媒の溶解性が変わるため、当該触媒は、均一系触媒として用いることもでき、不均一系触媒として用いることもできる。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法においては、式(I)で表される化合物とカルボン酸無水物とチオールとを触媒の存在下で反応させるが、「触媒の存在下」とは、触媒が反応過程の少なくとも一部の段階で存在していればよく、反応過程のすべての段階で常に存在している必要はない。本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法においては、触媒が反応系内に加えられれば、「触媒の存在下」という要件は満たされる。例えば、触媒を反応系内に加えた後、反応過程で触媒に何らかの変化が生じたとしても、「触媒の存在下」という要件は満たされる。
(第1族金属化合物)
第1族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、第1族金属に属する金属のうち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムが好ましい。
第1族金属化合物としては、水素化塩、酸化物塩、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、ハロゲン化物塩、およびチオシアン酸塩などの無機酸との塩;アルコキシド塩、カルボン酸塩、およびスルホン酸塩などの有機酸との塩;アミド塩、およびスルホンアミド塩などの有機塩基との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、シクロペンタジエン塩などの錯塩が挙げられる。これらの塩は、水和物および無水物のいずれでもよく、特に限定されない。
これらの第1族金属化合物は、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などで製造して得られたものを使用することもできる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1族金属化合物の使用量は、カルボン酸チオエステルを製造できる限り、特には限定されない。第1族金属化合物の使用量は、チオールに対して、0.001〜1000モル%が好ましく、0.01〜500モル%がより好ましく、0.05〜100モル%がさらに好ましい。第1族金属化合物の使用量をチオールに対して、0.001モル%以上とすることにより、カルボン酸チオエステルの収率を高くすることができる。第1族金属化合物の使用量をチオールに対して、1000モル%以下とするのが好ましいのは、1000モル%超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。さらには、第1族金属化合物の使用量は、第2族金属化合物1モルに対して、0.01〜50モルが好ましく、0.05〜10モルがより好ましく、0.1〜5モルがさらに好ましい。第1族金属化合物の使用量を第2族金属化合物1モルに対して、0.01モル以上とすることにより、カルボン酸チオエステルの収率を高くすることができる。第1族金属化合物の使用量を第2族金属化合物1モル当たり、50モル以下とするのが好ましいのは、50モル超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。
(第2族金属化合物)
第2族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、第2族金属に属する金属のうち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムが好ましい。
第2族金属化合物としては、酸化物塩、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸アンモニウム塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、およびハロゲン化物塩などの無機酸との塩;カルボン酸塩、過カルボン酸塩、およびスルホン酸塩などの有機酸との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、およびシクロペンタジエン塩などの錯塩が挙げられる。これらの塩は、水和物および無水物のいずれでもよく、特に限定されない。
第2族金属化合物は、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などで製造して得られたものを使用することもできる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2族金属化合物の使用量は、カルボン酸チオエステルを製造できる限り、特には限定されない。第2族金属化合物の使用量は、チオールに対して、0.001〜1000モル%が好ましく、0.01〜500モル%がより好ましく、0.05〜100モル%がさらに好ましい。第2族金属化合物の使用量をチオールに対して、0.001モル%以上とすることにより、カルボン酸チオエステルの収率を高くすることができる。第2族金属化合物の使用量をチオールに対して、1000モル%以下とするのが好ましいのは、1000モル%超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。
〔カルボン酸チオエステルの製造用反応条件〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法における反応条件は、特には限定されず、反応過程で反応条件を適宜変更することもできる。
反応容器の形態は、特に限定されない。
反応温度も特には限定されないが、−20〜180℃とすることができ、0〜100℃が好ましい。反応温度を−20℃以上とすることにより、反応を効率よく進行させることができる。反応温度を180℃以下とすることにより、副生成物の量や反応液の着色を抑制することができる。
反応時間も特には限定されないが、例えば、0.5〜72時間とすることができ、2〜48時間とすることが好ましい。反応時間を0.5時間以上とすることにより、反応を十分に進行させることができる。反応時間を72時間以下とすることができるのは、72時間超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。
反応雰囲気も特には限定されない。
反応圧力も特には限定されない。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造は、無溶媒(溶媒を用いない)で行うことができる。反応液の粘度が高いなどの場合には、必要に応じて、溶媒を用いることもできる。溶媒の種類も特には限定されないが、例えば、炭素数1〜25の有機化合物とすることができ、反応条件に応じて適宜選択することができる。溶媒は、1種でもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。溶媒の使用量も限定されず、適宜選択することができる。
反応に用いる原料(式(I)で表される化合物、カルボン酸無水物、チオール)、触媒、および必要に応じて溶媒などの反応容器内への導入方法については、特には制限されないが、全ての原料や添加剤を一度に導入してもよく、一部または全ての原料や添加剤を段階的に導入してもよく、一部または全ての原料や添加剤を連続的に導入してもよい。また、これらの方法を組み合わせた導入方法でもよい。
〔カルボン酸チオエステル〕
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法で得られる生成物は、例えば、「RCOSR」または「RCOSR」と表すことができ、R、R、およびRは、カルボン酸無水物の説明の欄とチオールの説明の欄において記載した通りである。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法で使用されるカルボン酸無水物が(メタ)アクリル酸無水物である場合、(メタ)アクリル酸チオエステルが生成する。(メタ)アクリル酸無水物や(メタ)アクリル酸チオエステルは重合しやすい化合物なので、重合を防止するために、予め重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加するタイミングも特には限定されず、反応開始時に添加するのが操作しやすさの観点から好ましい。
使用する重合禁止剤の種類としては、特には限定されず、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルなどの公知の重合禁止剤を用いることができる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合禁止剤の使用量は、(メタ)アクリル酸無水物または(メタ)アクリル酸チオエステル100質量部に対して0.001〜0.5質量部とすることが好ましく、0.01〜0.1質量部とすることがより好ましい。また、空気などの酸素を含有するガスの吹き込みを行ってもよい。当該ガスの吹き込み量は、反応条件などに応じて適宜選択することができる。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、得られたカルボン酸チオエステルは、そのまま次の反応に使用することもでき、必要に応じて精製することもできる。精製条件は、特に限定はなく、反応過程および反応終了時で精製条件を適宜変更することができる。例えば、反応終了後、得られた反応混合液から、ろ過、減圧蒸留、クロマトグラフィー、および再結晶などの方法によってカルボン酸チオエステルを精製することができる。これらの精製方法は、単独でまたは組み合わせて行うことができる。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法において、得られたカルボン酸チオエステルの保存容器としては、特には限定されず、例えば、ガラス製容器、樹脂製容器、金属製容器などを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
以下の実施例および比較例において用いた二炭酸ジ−t−ブチルは、東京化成工業株式会社製の純度98質量%の化合物であり、式(I)におけるRとRはC(CHである。また、ヘプタン酸無水物は、東京化成工業株式会社製の純度95質量%の化合物であり、式(II)におけるRとRはCH(CHCHである。生成物の収率の測定方法は、以下の通りである。
反応終了後、得られた反応混合液に標準物質(アニソールまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)を加え、重クロロホルム(CDCl)にこれらを溶解させ、H−NMR(270MHz)を測定した。得られたスペクトルの積分値から換算して、生成したカルボン酸チオエステルの物質量(モル)を求めた。次いで、式(1)によりカルボン酸チオエステルの収率を算出した(ただし、算出した収率が1%未満の場合は0と表記する)。

カルボン酸チオエステルの収率(%)=(P/S)×100 (1)
:生成したカルボン酸チオエステルの物質量(モル)
:使用したチオールの物質量(モル)。
また、触媒として用いた第1族金属化合物と第2族金属化合物の添加量(モル%)は、式(2)によりそれぞれ算出した。

触媒の添加量(モル%)=(CまたはC/S)×100 (2)
:使用した第1族金属化合物の物質量(モル)
:使用した第2族金属化合物の物質量(モル)
:使用したチオールの物質量(モル)。
また、原料として用いた式(I)で表される化合物およびカルボン酸無水物のモル当量は、式(3)によりそれぞれ算出した。

原料のモル当量=(SまたはS/S) (3)
:使用した式(I)で表される化合物の物質量(モル)
:使用したカルボン酸無水物の物質量(モル)
:使用したチオールの物質量(モル)。
[実施例1]
容量100mLのフラスコ内にヘプタン酸無水物7.426g(29.11ミリモル)、二炭酸ジ−t−ブチル6.483g(29.11ミリモル)、および1−ブタンチオール5.000g(55.44ミリモル)、を順次加え、均一溶液とした。この反応混合液に水酸化マグネシウム0.016g(0.28ミリモル、0.5モル%)および水酸化リチウム一水和物0.012g(0.28ミリモル、0.5モル%)を順次加え、撹拌下、25℃で反応を行ない、チオヘプタン酸S−ブチルを製造した。反応開始から24時間後における反応結果を表1に示す。
[実施例2〜18][比較例1〜4]
表1に記載の金属化合物と原料、およびそれらの使用量を変更すること以外は実施例1と同様にして、カルボン酸チオエステルを製造した。反応開始から24時間後における反応結果を表1、表2に示す。
本発明のカルボン酸チオエステルの製造方法では、従来の方法と比べてより反応操作が簡便でありかつ環境・人体への負荷が少なく、常温・常圧(25℃、1atm)下であっても、カルボン酸チオエステルを効率よく製造することができる。

Claims (3)

  1. 下記式(I)で表される化合物とカルボン酸無水物とチオールとを、反応させる、カルボン酸チオエステルの製造方法。
    [式(I)中、RとRは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
  2. 触媒として、1種以上の第1族金属化合物および1種以上の第2族金属化合物を存在させて反応させる、請求項1に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法。
  3. 前記式(I)で表される化合物が二炭酸ジ−t−ブチルである、請求項1または2に記載のカルボン酸チオエステルの製造方法。
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