以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る車線変更操舵制御システムを示す概略ブロック図である。図2は、図1の車線変更操舵制御システムが搭載された車両を示す概略側面図である。図3は、レーザセンサによって検出される測定点を説明する概略図である。図3において、方向DFは、車両Vの進行方向であり、ここでは車線に沿っている。方向DWは、方向DFと直交する方向であり、ここでは車線幅方向である。なお、これらの方向は説明のための便宜的なものである。
車線変更操舵制御システム1は、車両Vに搭載され、自車線31を走行する車両Vを自車線31と隣接する隣接車線33へ車線変更させる操舵制御を行う。また、車線変更操舵制御システム1は、自車線31を区画する左右一対の区画線32の位置、及び隣接車線33における自車線31と反対側(自車線31に対して遠い側)の区画線34の位置を検出し、検出した区画線32,34の位置を用いて上記操舵制御を行う。適用される車両Vとしては、例えばバスやトラック等の商用車が挙げられる。なお、車両Vは、特に限定されるものではなく、例えば大型車両や中型車両、普通乗用車、小型車両、又は軽車両等のいずれであってもよい。
区画線32,34としては、例えば、車道外側線、車線境界線、又は車道中央線等が挙げられる。車道外側線は、車道の外側の線縁を示す必要がある区間の車道の外側に設置される区画線である。車線境界線は、4車線以上の車道の区間内の車線の境界線を示す必要がある区間の車線の境界に設置される区画線である。車道中央線は、車道の幅員が5.5m以上の区間内の中央を示す必要がある車道の中央に設置される区画線である。
区画線32,34は、例えば路面30上に実線又は破線として設置される。図3に示す例では、区画線32は車線境界線であり、破線として設置されている。また、2つの区画線34の一方は車道外側線であり、他方は車道中央線である。これらの区画線34は、いずれも実線として設置されている。例えば日本の高速道路の場合、破線としての車線境界線は、その幅Wが0.15m、長さLが8m、間隔(間隙部の長さ)Dが12mとされている。なお、区画線32,34の寸法は、所定の法令により規定されており、例えば、区画線32,34が1本の実線の場合には、その幅が規定されており、区画線32,34が破線の場合には、その短手方向の幅と、その長手方向の間隔及び長さとが規定されている。
ここでの車線変更操舵制御システム1は、運転支援システムを構成しており、車両Vの運転支援を実施する。車線変更操舵制御システム1は、例えば、車両Vのドライバに異常が生じた場合に、車両Vのドライバに警報を発すると共に、車両Vを必要に応じて車線変更させつつ路肩まで誘導して停車させる。
図1に示すように、車線変更操舵制御システム1は、レーザセンサ2と、ドライバ異常検出部3と、ECU(Electronic Control Unit)10と、支援実施部20と、を備えている。レーザセンサ2は、レーザ光を利用して検出対象に関する情報を検出するセンサである。図2及び図3に示すように、レーザセンサ2は、車両Vの所定の箇所(例えば、フロントグリルの中央)に取り付けられている。レーザセンサ2は、ECU10と電気的に接続されており、検出した情報をECU10に出力する。
図3に示すように、レーザセンサ2は、車両Vの周囲において、自車線31及び隣接車線33を含む路面30上にレーザ光を出射し、出射したレーザ光の反射光を受光する。これにより、図4に示すように、レーザセンサ2は、路面30上の複数の測定点41における位置及び受光強度Rに関する情報を検出する。具体的には、レーザセンサ2は、車両Vから一定距離前方において、車線幅方向DWに沿って並ぶ路面30上の複数の測定点41における位置及び受光強度Rに関する情報を検出する。レーザセンサ2が検出する位置に関する情報には、車線幅方向DWに沿う位置に関する情報が含まれる。車線幅方向DWに沿う位置に関する情報は、例えば車線幅方向DWを座標軸とする座標系の座標情報である。
ドライバ異常検出部3は、車両Vのドライバの健康に起因する異常を検出するためのものである。ドライバ異常検出部3は、例えば車内カメラ及び心拍数計測器等を含み、車両Vのドライバの顔向き及び心拍数等に基づいてドライバの異常を検出する。ドライバ異常検出部3は、ECU10と電気的に接続されており、検出したドライバの異常に係る情報をECU10に出力する。
ECU10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等を含むコンピュータにより構成されている。ECU10は、支援実施部20に電気的に接続されており、車両Vの運転を支援するための制御に係る信号を支援実施部20に出力する。ECU10は、その機能的構成として、検出部11と、記憶部12と、制御部13とを含んでいる。ECU10の機能的構成の一部は、区画線32,34の位置を検出する区画線検出部5を構成している。すなわち、区画線検出部5は、上述のレーザセンサ2と、検出部11と、記憶部12と、によって構成されている。
検出部11は、レーザセンサ2で検出した複数の測定点41における位置及び受光強度Rに関する情報に基づいて、区画線32,34の位置を検出する。検出部11は、車線幅方向DWの位置に関する複数の測定点41の受光強度分布RDにおいて、区画線32,34の幅に対応する幅を有するピーク部40が存在する場合、ピーク部40の測定点41の少なくとも一部を候補点として抽出し、候補点の位置に基づいて区画線32,34の位置を検出する。候補点の詳細については後述する。区画線32,34の幅に対応する幅とは、検出対象とする区画線32,34の幅、あるいは、当該検出対象とする区画線32,34の幅に対して検出のノイズ(誤差)に係る余裕を持たせた範囲(以下、単に「余裕範囲」という)を含ませた幅である。余裕範囲は、例えば、計測装置の最大誤差を考慮して設定することができる。
また、区画線32,34の幅に対応する幅は、一定の幅を有する区画線32,34を検出対象とする場合には、当該一定の幅と略等しい幅、あるいは、当該一定の幅に対して余裕範囲を含む幅とすることができる。また、区画線32,34の幅に対応する幅は、幅が異なる複数種の区画線32,34を検出対象とする場合には、複数種の区画線32,34の幅のうち最小の幅(最小幅)以上かつ最大の幅(最大幅)以下の範囲に含まれる幅、あるいは、当該最小幅よりも余裕範囲だけ小さい幅以上かつ当該最大幅よりも余裕範囲だけ大きい幅以下の幅とすることができる。
一例として、検出部11は、検出対象とする区画線32,34の幅が0.15mの場合、区画線32,34の幅に対応する幅として、例えば、余裕範囲を持たせて、0.10m〜0.20mの範囲の幅を有するピーク部40の測定点41から候補点を抽出する。あるいは、検出部11は、検出対象とする区画線32,34の幅が0.15m及び0.20mの場合、区画線32,34の幅に対応する幅として、例えば、余裕範囲を持たせて、当該方向に0.08m〜0.30mの範囲の幅を有するピーク部40の測定点41から候補点を抽出する。また、検出部11は、後述の記憶部12に記憶された区画線32,34の既検出位置と候補点の位置とに基づいて、区画線32,34の位置を検出する。検出部11は、検出した区画線32,34の位置に係る情報を記憶部12及び制御部13に出力する。
記憶部12は、検出部11によって検出された区画線32,34の位置を、既検出位置として記憶する。記憶部12は、例えばROM及びRAM等を含むメモリにより構成されている。記憶部12は、少なくとも、走行方向後方の走行区間を車両Vが走行した際に検出部11で検出済みの区画線32,34の既検出位置(以下、単に「既検出位置」という)を記憶する。走行方向後方の走行区間とは、車両Vの現在位置よりも一定距離後方の地点から車両Vの現在位置までの区間である。一定距離は、例えば、区画線32,34が破線の場合における区画線32,34の長手方向の長さ及び間隔に応じて予め設定されてもよい。具体的には、区画線32,34が日本の高速道路の車線境界線の場合、一定距離は、車線境界線の長さ(8m)及び間隔(間隙部の長さ、12m)に応じて、例えば当該長さ及び間隔の和の1.5倍の30mに設定される。
制御部13は、検出部11で検出した区画線32,34の位置と、ドライバ異常検出部3で検出したドライバの異常に係る情報と、に基づいて支援実施部20を制御する。支援実施部20は、操舵部21と、制動部22と、警報部23とを含んでいる。操舵部21、制動部22、及び警報部23としては、例えば、ステアリングアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び警報用スピーカ等がそれぞれ挙げられる。
以上のように構成された車線変更操舵制御システム1では、区画線検出部5によって区画線32,34の位置が検出される。検出された区画線32,34の位置は、既検出位置として記憶部12に記憶される。そして、車線変更操舵制御システム1では、例えば、ドライバ異常検出部3によって車両Vのドライバの異常が検出された場合、車両Vのドライバに対し警報部23により注意喚起がなされると共に、検出された区画線32,34の位置に基づいて車両Vが路肩側へ車線変更するように操舵制御され、制動部22により停止するように制動制御される。
次に、区画線32,34の位置を検出する手法について、図4及び図5を参照しつつ詳細に説明する。以下では、隣接車線33の区画線34の位置を検出する手法を説明するが、この手法と同様にして自車線31の区画線32の位置も並列的に検出される。図4は、車線幅方向DWの位置に関する複数の測定点の受光強度分布を示す概略図である。図5は、候補点を抽出する手法を説明する図である。なお、図4における横軸の「位置」は、図3の車線幅方向DWにおける位置と対応する。
区画線34には、視認性等の観点から、例えばガラスビーズ等の再帰性反射材が混ぜ込まれた白色又は黄色等の塗料が用いられる。このため、区画線34では、その周囲の路面30(アスファルトやコンクリート等)と比べて、レーザセンサ2によるレーザ光の反射光の受光強度Rが高くなることが見出される。
そこで、車線変更操舵制御システム1では、レーザセンサ2により、図3に示すスキャン領域LSをスキャンして、車線幅方向DWに沿って並ぶ複数の測定点41の位置及び受光強度Rに関する情報を検出する。図4の例では、スキャン領域LSにおける複数の測定点41の受光強度Rによって受光強度分布RDが形成される。受光強度分布RDでは、スキャン領域LSに区画線34が存在する場合、区画線34に対応する位置でピーク部40が形成される。ピーク部40は、車線幅方向DWに沿う幅に対応する横軸方向の幅を有している。このピーク部40は、区画線34に対応する受光強度Rを有する複数の測定点41が並ぶことによって形成されている。ここでのピーク部40には、3つの測定点が含まれている。換言すれば、互いに隣り合う測定点41の間隔が、区画線34の幅の1/3よりも小さくなっている。例えば、区画線34の幅が0.15mの場合、測定点41の間隔は、0.05mよりも小さくなっている。なお、図4に示す受光強度分布RDでは、ピーク部40以外の部分について、受光強度Rが一定(平坦)となっているが、実際には路面30上に存在する物体や路面状態等により受光強度Rが僅かに変動し、波形状となっていてもよい。
上述のように、区画線34は、その周囲の路面30と比べて高い受光強度Rを有することから、検出部11は、各測定点41での受光強度Rを相対的に比較することで、受光強度Rの閾値(受光強度Rの絶対値に対して設けられる閾値)を用いることなく、ピーク部40に存在する測定点41を候補点として抽出することができる。すなわち、検出部11は、スキャン領域LSにおける複数の測定点41の全てについて、以下のように基準点及び着目点を設定し、受光強度Rを相対的に比較する。
図5に示すように、検出部11は、スキャン領域LSにおける複数の測定点41のうち一の測定点41を基準点50として設定する。そして、検出部11は、当該基準点50について、区画線34の位置を検出するための以下の処理を実行する。検出部11は、例えば、所定の順番で、又はランダムな順番で、スキャン領域LSにおける複数の測定点41のすべてについて、当該処理を順次実行する。まず、検出部11は、基準点50について、複数の着目点51,52,53,54を設定する。検出部11は、基準点50に対して車線幅方向DWの一方側に第1着目点51及び第3着目点53を設定し、車線幅方向DWの他方側に第2着目点52及び第4着目点54を設定する。
例えば、検出部11は、次の関係となるように着目点51〜54を設定する。すなわち、第1着目点51は、基準点50に対して、車線幅方向DWの一方側に区画線34の幅の1/2よりも小さい第1距離離れた測定点41である。第2着目点52は、基準点50に対して、車線幅方向DWの他方側に区画線34の幅の1/2よりも小さい第2距離離れた測定点41である。第3着目点53は、基準点50に対して、車線幅方向DWの一方側に区画線34の幅の1/2よりも大きい第3距離離れた測定点41である。第4着目点54は、基準点50に対して、車線幅方向DWの他方側に区画線34の幅の1/2よりも大きい第4距離離れた測定点41である。ここでの基準点50と第1着目点51とは隣り合う測定点41であり、基準点50と第2着目点52とは隣り合う測定点41であり、第1着目点51と第3着目点53とは隣り合う測定点41であり、第2着目点52と第4着目点54とは隣り合う測定点41である。
あるいは、幅が異なる複数種の区画線34を検出対象とする場合には、第1着目点51は、基準点50に対して、車線幅方向DWの一方側に検出対象の区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに小さい第1距離離れた測定点41である。第2着目点52は、基準点50に対して、車線幅方向DWの他方側に検出対象の区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに小さい第2距離離れた測定点41である。第3着目点53は、基準点50に対して、車線幅方向DWの一方側に検出対象の区画線34の最大幅の1/2よりもわずかに大きい第3距離離れた測定点41である。第4着目点54は、基準点50に対して、車線幅方向DWの他方側に検出対象の区画線34の最大幅の1/2よりもわずかに大きい第4距離離れた測定点41である。
ここで、区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに小さいとは、当該検出対象とする区画線34の最小幅に対して余裕範囲だけ小さいことを意味する。また、区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに大きいとは、当該検出対象とする区画線34の最大幅に対して余裕範囲だけ大きいことを意味する。余裕範囲は、例えば、計測装置の最大誤差を考慮して設定することができる。
第1着目点51と第2着目点52との間の距離(=第1距離+第2距離)は、例えば一定の幅を有する区画線34を検出対象とする場合には、区画線34の幅よりも短く、また、第3着目点53と第4着目点54との間の距離(=第3距離+第4距離)は、区画線34の幅よりも長い。あるいは、例えば幅が異なる複数種の区画線34を検出対象とする場合には、第1着目点51と第2着目点52との間の距離(=第1距離+第2距離)は、区画線34の最小幅よりも短く、また、第3着目点53と第4着目点54との間の距離(=第3距離+第4距離)は、区画線34の最大幅よりも長い。
第1着目点51の受光強度R1と第2着目点52の受光強度R2との差の絶対値が第1閾値dR1よりも小さく、第1着目点51の受光強度R1と第3着目点53の受光強度R3との差が第2閾値dR2よりも大きく、かつ第2着目点52の受光強度R2と第4着目点54の受光強度R4との差が第3閾値dR3よりも大きい場合、図5に示す例のように、第1着目点51及び第2着目点52がピーク部40に存在し、かつ、第3着目点53及び第4着目点54がピーク部40に存在しないと判断される。そのため、この場合、検出部11によって基準点50を候補点42として抽出する。
第1閾値dR1、第2閾値dR2及び第3閾値dR3は、上記受光強度Rの差(相対値)についての閾値である。第1閾値dR1は、例えば、ピーク部40における測定点41同士の受光強度Rの差を複数求め、これらの最大値を実験的に求めた値とされていてもよい。この場合、差を求める測定点41同士は、同一のピーク部40に含まれていることが好ましい。第2閾値dR2は、例えば、一のピーク部40における測定点41とピーク部40以外の位置における測定点41との受光強度Rの差を複数求め、これらの最小値を実験的に求めた値とされていてもよい。この場合、ピーク部40以外の位置における測定点41は、当該一のピーク部40と、当該一のピーク部40と隣り合うピーク部40との間に位置していることが好ましい。第3閾値dR3は、例えば、第2閾値dR2と同じ値とされていてもよい。
例えば、一定の幅を有する区画線34として、車線幅方向DWに沿う幅が0.15mの区画線34を検出対象とする場合、第1距離及び第2距離は0.05mとされ、第3距離及び第4距離は0.10mとされてもよい。この場合、検出部11は、横軸方向に0.10m〜0.20mの範囲の幅を有するピーク部40から候補点42を抽出し、車線幅方向DWに沿う幅が0.15mの区画線34を検出できる。あるいは、幅が異なる複数の区画線34として、車線幅方向DWに沿う幅が0.15m及び0.20mの区画線34を検出対象とする場合、第1距離及び第2距離は0.04mとされ、第3距離及び第4距離は0.15mとされる。これにより、検出部11は、横軸方向に0.08m〜0.30mの範囲の幅を有するピーク部40が存在する場合、当該ピーク部40から候補点42を抽出し、車線幅方向DWに沿う幅が0.15m及び0.20mの区画線34の位置を検出できる。
なお、上記の例では、第1距離と第2距離とを等しい距離としているが、異なる距離としてもよい。同様に、第3距離と第4距離とを等しい距離としているが、異なる距離としてもよい。要は、第1距離及び第2距離は、区画線の幅の1/2よりも小さく、第3距離及び第4距離は、区画線の幅の1/2よりも大きければよい。ちなみに、路面30上に複数列の区画線34が描かれている場合には、第3距離及び第4距離は、これらの区画線34の間隔よりも小さい距離とされる。
次に、検出部11による区画線34の位置の検出処理手順について具体的に説明する。まず、候補点42を抽出する処理手順について説明する。図6は、図1の車線変更操舵制御システム1において候補点42を抽出する処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、複数の測定点41の中から一の測定点41が基準点50として設定される(S1)。また、ステップS1では、当該基準点50に対する着目点51,52,53,54が設定される。S1の後、下式(1)が成立するか否かに基づいて、第1着目点51の受光強度R1と第2着目点52の受光強度R2との差の絶対値が第1閾値dR1よりも小さいか否かが判定される(S2)。
|R1−R2|<dR1 …(1)
上記ステップS2において、第1着目点51の受光強度R1と第2着目点52の受光強度R2との差の絶対値が第1閾値dR1よりも小さいと判定された場合、下式(2)が成立するか否かに基づいて、第1着目点51の受光強度R1と第3着目点53の受光強度R3との差が第2閾値dR2よりも大きいか否かが判定される(S3)。一方、上記ステップS2において、第1着目点51の受光強度R1と第2着目点52の受光強度R2との差の絶対値が第1閾値dR1よりも小さくないと判定された場合、当該基準点50は候補点42ではないと判断されて、後述のステップS6の処理が行われる。
R1−R3>dR2 …(2)
上記ステップS3において、第1着目点51の受光強度R1と第3着目点53の受光強度R3との差が第2閾値dR2よりも大きいと判定された場合、下式(3)が成立するか否かに基づいて、第2着目点52の受光強度R2と第4着目点54の受光強度R4との差が第3閾値dR3よりも大きいか否かが判定される(S4)。一方、上記ステップS3において、第1着目点51の受光強度R1と第3着目点53の受光強度R3との差が第2閾値dR2よりも大きくないと判定された場合、当該基準点50は候補点42ではないと判断されて、後述のステップS6の処理が行われる。
R2−R4>dR3 …(3)
上記ステップS4において、第2着目点52の受光強度R2と第4着目点54の受光強度R4との差が第3閾値dR3よりも大きいと判定された場合、当該基準点50は候補点42であると判断できる。よって、当該基準点50が候補点42として抽出され、当該基準点50の位置が候補点42の位置とされる(S5)。その後、後述のステップS6の処理が行われる。
一方、上記ステップS4において、第2着目点52の受光強度R2と第4着目点54の受光強度R4との差が第3閾値dR3よりも大きくないと判定された場合、当該基準点50は候補点42ではないと判断されて、後述のステップS6の処理が行われる。
ステップS6では、レーザセンサ2のスキャン領域LSの範囲における全ての測定点41について、基準点50を設定して上記ステップS2〜上記ステップS5の処理を実行(候補点42の探索)したか否かが判定される。ステップS6において、全ての測定点41について候補点42の探索をしたと判定された場合、そのまま処理が終了される。一方、全ての測定点41について候補点42の探索をしていないと判定された場合、上記ステップS1に移行され、未探索の別の測定点41に基準点50が設定されて候補点42の抽出が継続される。
続いて、抽出した候補点42の位置に基づき区画線34の位置を検出する処理手順について説明する。図7は、図1の車線変更操舵制御システム1において候補点42に基づき区画線34を検出する処理を示すフローチャートである。
車線変更操舵制御システム1は、隣接車線33の区画線34の位置として、左側の区画線34の位置と、右側の区画線34の位置と、をそれぞれ検出している。以下では、一方の区画線34の位置を検出する処理を説明するが、この処理と同様にして他方の区画線34の位置も並列的に検出される。区画線34の位置とは、車線幅方向DWの位置であって、レーザセンサ2の座標系における位置である。レーザセンサ2の座標系は、当該レーザセンサ2が車両Vに取り付けられていることから、車両Vの進行につれて車両Vの進行方向DFに移動する。
図7に示すように、まず、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置にフィッティングされた二次曲線で区画線34を推定可能か否かが判定される(S8)。二次曲線で区画線34を推定可能でない場合としては、例えば車線変更操舵制御システム1による区画線34の検出開始後、車両Vが一定距離未満しか走行しておらず、記憶されているデータ量が二次曲線によるフィッティングを行うためのデータ量に足りていない場合等が挙げられる。
上記ステップS8において、二次曲線で区画線34を推定可能でないと判定された場合、前回検出された区画線34の位置付近に候補点42があるか否かが判定される(S9)。ここでは、前回検出された区画線34の位置として、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置のうち最も新しい(直近の)既検出位置が用いられる。位置付近とは、例えばその位置から一定範囲内を意味し、経験上又は計算上、車線幅方向DWから0.2mの範囲内とすることができる(以下、同じ)。なお、位置付近の範囲については、要求される精度等に応じて、様々の値としてもよい。
上記ステップS9において、前回検出された区画線34の位置付近に候補点42があると判定された場合、前回検出された区画線34の位置に候補点42が連続し、候補点42の位置が区画線34の位置である可能性が高いと判断できる。よって、後述のステップS12の処理が行われる。一方、上記ステップS9において、前回検出された区画線34の位置付近に候補点42がないと判定された場合、当該候補点42の位置が区画線34の位置として検出されることなく、処理が終了される。なお、候補点42の位置が区画線34の位置として検出されなかった場合、自車線31の区画線32の位置の検出結果を利用して区画線34の位置を検出してもよい。
一方、上記ステップS8において、二次曲線で区画線34を推定可能であると判定された場合、当該推定された区画線34から区画線34の位置(予測位置)が予測される(S10)。ステップS10では、例えば、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置に対して最小二乗法を用いて二次曲線をフィッティングし、区画線34を推定する。そして、この区画線34上に今回検出されるであろう区画線34の位置が存在するとして、区画線34の予測位置を求めることができる。そして、当該区画線34の予測位置付近に候補点42があるか否かが判定される(S11)。
上記ステップS11において、区画線34の予測位置付近に候補点42があると判定された場合、候補点42の位置が区画線34の位置である可能性が高いと判断できる。よって、後述のステップS12の処理が行われる。一方、上記ステップS11において、区画線34の予測位置付近に候補点42がないと判定された場合、当該候補点42の位置が区画線34の位置として検出されることなく、処理が終了される。
ステップS12では、上記ステップS9及びステップS11において候補点42の値が区画線34の位置である可能性が高いと判断されたことから、当該候補点42の位置が区画線34の位置として検出される。そして、ステップS12は、当該検出された区画線34の位置は、検出済みの区画線34の既検出位置として記憶部12に記憶される。その後、処理が終了される。
次に、自車線31を走行する車両Vを隣接車線33へ車線変更させる処理について説明する。図8は、車両Vの車線変更の移動軌跡を示す図である。図9は、基準走行軌跡M1を示す図である。
図8において、横軸は進行方向DFにおける位置であり、縦軸は車線幅方向DWにおける位置である。符号P1は、移動開始時刻における位置(移動開始位置)を示し、符号P2は、移動完了時刻における位置(移動完了位置)を示している。移動開始位置P1における車線幅方向DWの位置は、自車線31内の所定位置に設定されており、ここでは自車線31の中央に設定されている。移動完了位置P2における車線幅方向DWの位置は、隣接車線33内の所定位置に設定されており、ここでは隣接車線33の中央に設定されている。本実施形態では、車線変更前には車両Vが自車線31の中央を走行するように操舵制御がなされており(レーンキープ)、この状態から車両Vの目標走行位置を隣接車線33の中央に変更させる車線変更が行われる。
車線変更操舵制御システム1では、車線変更の際の基準となる基準走行軌跡M1が予め設定されている。基準走行軌跡M1は、例えばECU10のROMに記憶されており、制御部13より参照される。図9に示すように、基準走行軌跡M1は、車線幅方向DWにおける車両Vの位置に関する横位置軸(第1軸)と、時間に関する時間軸(第2軸)とを含む座標系において表されている。ここでは、基準走行軌跡M1は、車線幅方向DWにおける車両Vの移動開始位置からの距離yと、移動開始後の経過時間tとの関係で表されている。基準走行軌跡M1は、所定の基準時間T(例えば、10秒)をかけて、車線幅方向DWに基準距離W1だけ移動させる場合の車両Vの軌跡として規定されている。車線変更操舵制御システム1では、後述するように、基準走行軌跡M1を横位置軸方向及び/又は時間軸方向に変形させることにより実走行軌跡M2(図8)が算出され、車線変更時には、算出された実走行軌跡M2に沿って車両Vが移動するように操舵制御が行われる。
基準走行軌跡M1は、例えば熟練ドライバによる車線変更の移動軌跡を模擬した曲線となっており、ここではロジスティック曲線により規定されている。基準走行軌跡M1は、ロジスティック曲線により規定すると、下記数1で表される。
ここで、パラメータa,b,cは、ロジスティック曲線の形状を決定する定数である。
上記数1を熟練ドライバによる車線変更を測定したデータに対してフィッティングすることにより、下記数2が得られた。本実施形態では、下記数2を基準走行軌跡M1とした。
図9に示すように、基準走行軌跡M1(ロジスティック曲線)における移動開始時刻の傾き及び移動完了時刻の傾きは共に0である。また、基準走行軌跡M1の傾きは、移動開始時刻と移動完了時刻との中間時刻において最大となっている。これにより、車両Vが基準走行軌跡M1に沿って移動した場合の軌跡が滑らかになり、車線変更時に車両Vに過大な横加速度が作用することが抑制される。
図10は、図1の車線変更操舵制御システム1において車両Vを自車線31から隣接車線33へ車線変更させる処理を示すフローチャートである。車両Vを隣接車線33へ車線変更させる場合、まず、制御部13により、区画線34の位置に基づいて、車両Vを車線変更させた場合の実移動距離W2(図8)が算出される(S14)。例えば、区画線34の位置に基づいて隣接車線33の中央を特定し、隣接車線33の中央から自車線31の中央までの車線幅方向DWにおける距離を算出することで、実移動距離W2が算出される。
続いて、制御部13により、基準走行軌跡M1を実移動距離W2に応じて横位置軸方向に変形され、実走行軌跡M2が算出される(S15)。例えば、基準距離W1に対する実移動距離W2の比に従って基準走行軌跡M1を横位置軸方向に比例的に伸縮させることで、実走行軌跡M2が算出される。これにより、基準走行軌跡M1の車線幅方向DWのスケールが調整され、車線幅方向DWに実移動距離W2だけ移動させる場合の実走行軌跡M2が得られる。
続いて、制御部13により、基準時間Tをかけて実走行軌跡M2に沿って車両Vを移動させた場合に車両Vに作用する最大横加速度が算出される(S16)。最大横加速度の算出手法は、特に限定されず、公知の手法を用いることができる。なお、最大横加速度は、車両Vがカーブ路を走行する場合には、遠心力に起因して車両Vに作用する横加速度も考慮して算出される。
続いて、制御部13により、ステップS16で算出した最大横加速度が、所定の基準横加速度よりも小さいか否かが判定される(S17)。ステップS17において最大横加速度が基準横加速度よりも小さいと判定された場合、制御部13により、実走行軌跡M2に沿って車両Vが移動するように操舵制御が実行される(S18)。基準横加速度の値は、例えばECU10のROMに記憶されており、制御部13より参照される。
一方、ステップS17において最大横加速度が基準横加速度以上であると判定された場合、制御部13により、最大横加速度が基準横加速度よりも小さくなるように実走行軌跡M2を時間軸方向に変形させる処理が実行される(S19)。例えば、最大横加速度と基準横加速度との差分の大きさに応じて実走行軌跡M2を時間軸方向に伸長させることで、最大横加速度が基準横加速度よりも小さくなるように実走行軌跡M2を変形させる。そして、変形後の実走行軌跡M2に沿って車両Vが移動するように操舵制御が実行される(S18)。
基準横加速度の値は、例えば安全性や乗り心地の観点等から経験的に又は実験的に設定される。例えば、当該値を超えた場合にドライバが不快に感じる値が基準横加速度として設定されてもよいし、当該値を超えた場合に車両Vの車両挙動が不安定になってしまう値が基準横加速度として設定されてもよい。車両挙動を考慮して基準横加速度を設定する場合、バスやトラック等の重心が高い車両Vにおいては、より車両挙動が不安定となり易い点を考慮することが好ましい。また、車速が大きい場合には車両挙動が不安定となり易いことから、現在の車速に応じて基準横加速度の大きさが変更される構成としてもよい。
上記ステップS18における処理により、車両Vが自車線31から隣接車線33へ車線変更する。この際、車両Vの車線幅方向DWにおける中心が自車線31における隣接車線33側の区画線32を超えた時点で、車線変更が行われたと判定される。車線変更が行われたと判定された場合、車線変更先の隣接車線33が自車線31となるように車線情報が更新される。
以上、車線変更操舵制御システム1では、レーザセンサ2の検出結果に基づき隣接車線33の区画線34の位置が検出され、検出された区画線34の位置に基づき操舵制御が行われる。これにより、例えば、車両Vが夜間に走行する場合、車両Vがトンネルを走行する場合、及び路面が濡れている場合であっても、隣接車線33の区画線34の位置を確実に検出することができる。その結果、車両Vを隣接車線33へ車線変更させる操舵制御を確実に行うことが可能となる。
隣接車線33の区画線34は自車線31の区画線32よりも車両Vから遠いため、区画線34の検出は区画線32の検出よりも難しい。これに対し、車線変更操舵制御システム1では、レーザセンサ2を用いて区画線34の位置を検出するため、区画線34の位置を確実に(ロバストに)検出することができる。
車線変更操舵制御システム1では、受光強度分布RDにおいて区画線34の幅に対応する幅を有するピーク部40が存在する場合、検出部11により、ピーク部40の測定点41の少なくとも一部が候補点42として抽出され、抽出された候補点42の位置に基づいて区画線34の位置が検出される。これにより、例えば路面30上に受光強度Rが高い他物体が存在していたとしても、この他物体を隣接車線33の区画線34と誤検出するのを抑制することができる。その結果、隣接車線33の区画線34の位置を一層確実に検出することが可能となる。
車線変更操舵制御システム1では、走行方向後方の走行区間を車両Vが走行した際に検出部11で検出された区画線34の位置が、区画線34の既検出位置として記憶部12に記憶される。検出部11では、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置と候補点42の位置とに基づいて、区画線34の位置が検出される。これにより、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置を利用して、隣接車線33の区画線34の位置を一層確実に検出することが可能となる。その結果、何らかの原因により比較的短い時間においてピーク部40を検出できなかった場合でも、記憶部12に記憶された区画線34の既検出位置を利用して、暫くの間は区画線34の位置を検出することが可能となる。ピーク部40を検出できない場合としては、例えば隣接車線33を走行する他の車両がレーザセンサ2からのレーザ光を遮ってしまう場合が挙げられる。
受光強度Rに基づいて区画線34の位置を検出する手法としては、例えば受光強度Rの絶対値に対してある閾値を設けて、閾値を超えた部分の幅に基づく手法も考えられる。これに対し、車線変更操舵制御システム1では、検出部11により、複数の測定点41について基準点50、第1着目点51、第2着目点52、第3着目点53及び第4着目点54が設定され、第1着目点51の受光強度R1と第2着目点52の受光強度R2との差の絶対値が第1閾値dR1よりも小さく、第1着目点51の受光強度R1と第3着目点53の受光強度R3との差が第2閾値dR2よりも大きく、かつ第2着目点52の受光強度R2と第4着目点54の受光強度R4との差が第3閾値dR3よりも大きい場合、基準点50が候補点42として抽出される。よって、受光強度Rの絶対値に対しての閾値を用いることなく(換言すると、定量的ではなく定性的に)、ピーク部40の測定点41を候補点42として抽出することが実現可能となる。
図4に示すように、受光強度分布RDには、区画線32に対応するピーク部40と区画線34に対応するピーク部40とが含まれており、区画線34の受光強度Rは、区画線32の受光強度Rよりも小さくなっている。車線変更操舵制御システム1では、区画線32,34の両方の位置が検出され、検出された区画線32,34のうちの車両Vから遠く受光強度Rの絶対値が小さい方が区画線34として検出されることになり、区画線34の位置を確実に検出することが可能となる。
路面30には、幅が異なる複数種の区画線34が設置されることがある。この場合、車線変更操舵制御システム1では、幅が異なる複数種の区画線34を検出対象とする場合には、検出部11により、第1距離は、検出対象の区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに小さい距離とされ、第2距離は、検出対象の区画線34の最小幅の1/2よりもわずかに小さい距離とされ、第3距離は、検出対象の区画線34の最大幅の1/2よりもわずかに大きい距離とされ、第4距離は、検出対象の区画線34の最大幅の1/2よりもわずかに大きい距離とされる。このように、検出対象とする区画線34の最小幅及び最大幅を利用して、第1距離、第2距離、第3距離及び第4距離を設定することにより、最小幅以上最大幅以下の幅に対応するピーク部40の測定点41が候補点42として抽出されることとなり、幅が異なる複数種の区画線34の位置を精度よく検出することが可能となる。
なお、例えば、行き先を示す文字や矢印等の路面標示等が路面30に記されている場合や、区画線34以外に受光強度Rが高い他物体が路面30上にある場合等、ノイズとしての受光強度Rが大きくなることで区画線34が誤検出される可能性がある。そこで、本実施形態では、例えば高速道路における区画線34が料金所等の一部を除いて実線又は破線とされて連続的に延びていることを利用して、検出済みの区画線34の既検出位置から次に検出されるであろう区画線34の位置の予測を行い、区画線34の候補の関連付けを行っている(上記S9参照)。これにより、上記路面標示等を区画線34として誤検出することや、他物体を区画線34として誤検出することを抑制し、車両Vから見た区画線34の位置をロバストに検出することができる。
また、車線変更操舵制御システム1では、隣接車線33の区画線34の位置に基づいて、自車線31から隣接車線33へ車線変更させる際に車両Vが車線幅方向DWに移動する実移動距離W2を算出する(S14)と共に、予め設定された基準走行軌跡M1を実移動距離W2に応じて横位置軸方向に変形させることにより実走行軌跡M2を算出する(S15)。そして、算出した実走行軌跡M2に沿って車両Vが移動するように操舵制御を実行する(S18)。これにより、車線変更時に車両Vが実際に移動する実移動距離W2に応じて基準走行軌跡M1の車線幅方向DWのスケールが調整され、得られた実走行軌跡M2に沿って車両Vが移動することとなる。したがって、急な操舵を伴う操舵制御が行われることが抑制され、滑らかな車線変更を実現することができる。その結果、車線変更時における車両挙動を安定化することが可能となる。
車線変更操舵制御システム1では、実走行軌跡M2に沿って車両Vを移動させた場合に車両Vに作用する最大横加速度が基準横加速度よりも小さくなるように、実走行軌跡M2を時間軸方向に変形させる(S19)。このため、車両Vに作用する車線幅方向DWの加速度を基準横加速度よりも小さくすることができ、車線変更時における車両挙動をより安定化することが可能となる。
従来の車線変更操舵制御システムでは、車線変更の際に、目標走行位置が自車線31の中央から隣接車線33の中央に変更された場合、目標走行位置と現在の走行位置との間の横偏差が突然大きくなってしまうため、急な操舵を伴う操舵制御が行われてしまうおそれがある。これに対し、車線変更操舵制御システム1では、少なくとも基準時間Tよりも長い時間をかけて、所定の基準横加速度よりも小さい横加速度で車両Vを車線変更させることから、そのような急な操舵を伴う操舵制御が行われることを抑制でき、滑らかな車線変更(熟練ドライバによる運転を模擬できる車線変更)を実現することが可能となる。
車線変更操舵制御システム1では、基準走行軌跡M1は、ロジスティック曲線により規定されている。基準走行軌跡M1における移動開始時刻の傾き及び移動完了時刻の傾きは0であり、基準走行軌跡M1の傾きは、移動開始時刻と移動完了時刻との中間時刻において最大となっている。このため、一層滑らかな車線変更を実現することができ、車線変更時における車両挙動をより一層安定化することが可能となる。
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、レーザセンサ2を車両Vのフロントグリルの中央に取り付けたが、レーザセンサ2は、車両Vの周囲の路面30上の複数の測定点41における位置及び受光強度Rに関する情報を検出することができれば、車両Vのフロントグリルの中央以外(例えば車両Vのサイドミラー)に取り付けられてもよい。
上記実施形態では、検出した区画線34の位置に基づく運転支援の一例として、車両Vのドライバに異常が生じた場合の運転支援(車両Vのドライバに警報を発すると共に、車両Vを必要に応じて車線変更させつつ路肩に停車させる支援)を挙げたが、他の運転支援であってもよい。
上記実施形態では、レーザセンサ2は、図3に示すように、車両Vから一定距離前方において車線幅方向DWに沿うスキャン領域LSをスキャンしたが、例えば、車両Vから一定距離後方又は一定距離側方において路面30上をスキャンしてもよい。
上記実施形態では、候補点42の抽出に際し、受光強度R1,R3の差が第2閾値dR2よりも大きいか否か、及び受光強度R2,R4の差が第3閾値dR3よりも大きいか否かを判定したが、これに代えて、受光強度R1,R4の差が第2閾値dR2よりも大きいか否か、及び受光強度R2,R3との差が第3閾値dR3よりも大きいか否かを判定してもよい。
上記実施形態では、基準点50に対して、4つの着目点51,52,53,54を設定したが、更に多くの着目点を設定してもよい。例えば、基準点50に対して、車線幅方向DWの一方側に第1距離よりも大きく第3距離よりも小さい第5距離離れた第5着目点を設定し、基準点50に対して、車線幅方向DWの他方側に第2距離よりも大きく第4距離よりも小さい第6距離離れた第6着目点を設定してもよい。この場合、着目点51,52,55,56における受光強度R1,R2,R5,R6の差を計算し、更に着目点55,56,53,54における受光強度R5,R6,R3,R4の差を計算することで、横軸方向に(第1距離+第2距離)〜(第5距離+第6距離)の範囲の幅を有するピーク部40と、横軸方向に(第5距離+第6距離)〜(第3距離+第4距離)の範囲の幅を有するピーク部40とが区別可能となる。このように、着目点の数及び着目点間の距離に応じて、ピーク部40の幅を測定することができる。
上記実施形態では、次の手法により候補点42を抽出してもよい。すなわち、基準点50の受光強度R0を用いた下式(A)〜(D)を満たす場合、当該基準点50を候補点42として抽出してもよい。ただし、所定値th1は、区画線34と認識される受光強度と区画線34以外と認識される受光強度との差の最低値である。所定値th2は、区画線34と認識される受光強度のうちの最小値と最大値との差である。
|R1−R0|>th1 …(A)
|R4−R0|>th1 …(B)
|R1−R0|<th2 …(C)
|R2−R0|<th2 …(D)
上記実施形態において、候補点42の抽出する手法としては、区画線34の幅に対応する幅を有するピーク部40の測定点41を候補点42として抽出すればよく、上記実施形態に限定されない。例えば、各測定点41それぞれの受光強度が閾値以上かどうかを判定することにより、ピーク部を構成する測定点41を特定して候補点42を抽出してもよい。
上記実施形態では、基準点50と第1着目点51とは隣り合う測定点41であったが、これらの間に一又は複数の測定点41が存在していてもよい。このような場合としては、例えば測定点41の間隔が上記実施形態よりも小さい場合等が挙げられる。同様に、基準点50と第2着目点52との間、第1着目点51と第3着目点53との間、及び第2着目点52と第4着目点54との間にも、一又は複数の測定点41が存在していてもよい。
上記実施形態では、レーザセンサ2によって自車線31の区画線32及び隣接車線33の区画線34の両方の位置を検出したが、レーザセンサ2によって区画線34の位置のみを検出してもよく、例えば区画線32の位置については車載カメラ等を用いて検出してもよい。この場合、レーザセンサ2は、車両Vの周囲において、必ずしも自車線31及び隣接車線33を含む路面30上にレーザ光を出射する必要はなく、少なくとも隣接車線33を含む路面30上にレーザ光を出射すればよい。
上記実施形態において、隣接車線33の区画線34の検出に失敗している場合、自車線31の区画線32の検出結果に基づいて区画線34の位置を推測してもよい。この場合、区画線34の検出に失敗している場合でも、区画線32の検出位置を利用して区画線34の位置を検出することができる。