JP6617482B2 - 自律走行車システム - Google Patents

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Description

本発明は、自律的に走行可能な自律移動体と、当該自律移動体が自律的に移動することにより到達する目標物と、を備える自律走行車システムに関する。
従来、周囲の物体の位置情報に基づいて自律的に移動可能な自律移動体が知られている。例えば、特許文献1には、2つの走行車輪に対応して一対のモータを有する走行部を有し、障害物情報取得部により取得した障害物の位置情報に基づいて自律的に走行する自律移動体が開示されている。この自律移動体は、障害物の位置情報から当該障害物の自律移動体から見た相対的な位置と向きとを表したローカルマップを作成し、当該ローカルマップと移動平面全体を表したグローバルマップとのマッチングにより、自律移動体の位置と姿勢とを推定する。
また、自律的に走行可能な自律移動体と、当該自律移動体のバッテリーを充電するための充電ステーションなどの目標物と、を備えた自律走行車システムが従来知られている。
例えば、特許文献2に記載のシステムは、自律的に走行するロボット掃除機と、当該ロボット掃除機の充電バッテリーを充電する外部充電装置とを備えている。このシステムでは、ロボット掃除機は、外部充電装置から送信される複数の赤外線信号を受信し、当該複数の赤外線信号の送受信の時間差から、ロボット掃除機と外部充電装置との間の距離を複数算出する。
ロボット掃除機は、算出した複数の距離に差があるか否かを判断し、差があった場合にはロボット掃除機は外部充電装置と正対していないと判断する。その場合、ロボット掃除機は、ロボット掃除機と外部充電装置とがなす角度の2倍の角度だけ回転後、ロボット掃除機の中心点と外部充電装置の中心線とが一致するように移動する。これにより、ロボット掃除機と外部充電装置とは正対する。
特開2014−219721号公報 特許第4171753号
上記のように、特許文献1に開示された自律移動体は、2つの走行車輪のそれぞれをモータにて回転させることにより走行する。そのため、特許文献1に開示された自律移動体は、前進又は後進する動作(進行動作)と、移動平面における角度を変化させる動作(回転動作)のみが可能である。また、この自律移動体においては、自律移動体を中心とした限られた範囲内の物体の位置情報のみが検出可能である。そのため、ローカルマップの範囲も、移動平面の一部の領域に相当する範囲に限られる。
上記のような自律移動体において、例えば、自律移動体と目標物のなす角度の2倍の角度などといった大きな角度変化を伴う回転動作を実行した場合、自律移動体は、自身の目標物に対する位置と姿勢とを推定できなくなる。その結果、自律移動体は目標物へ到達できなくなる。なぜなら、上記の回転動作を行った場合、自律移動体が、ローカルマップにおいて目標物の形状を認識できる程度の十分な位置情報を得られなくなるからである。
本発明の目的は、限られた範囲内の物体の位置情報に基づいて進行動作と回転動作とのみにより自律的に走行可能な自律移動体と、当該自律移動体が到達すべき目標物とを備えた自律走行車システムにおいて、自律移動体を目標物へ確実に到達させることにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る自律走行車システムは、目標物と、自律移動体と、を備える。目標物は、特徴的な形状を有するランドマークを有する。自律移動体は、周囲に存在する物体を検出しながら自律的に移動する移動体である。
上記の自律走行車システムにおいて、自律移動体は、本体部と、走行部と、物体形状取得部と、走行制御部と、を有する。本体部は、自律移動体の本体を構成する。
走行部は、進行動作と回転動作とが可能である。進行動作は、本体部を前後へ進行させる動作である。回転動作は、姿勢角を変化させて本体部の姿勢を変化させる動作である。姿勢角は、前後軸と移動平面を定める軸とのなす角度である。前後軸は、本体部の前後方向を定める軸である。移動平面は、本体部が移動する平面である。
物体形状取得部は、本体部の前後軸上に配置される。物体形状取得部は、検出可能領域内に存在する物体の形状に関する情報を取得する。検出可能領域は、少なくとも2つの境界線により形成される。2つの境界線は、前後軸の左右側に所定の角度を有して延びる。
走行制御部は、物体形状取得部により取得された物体の形状に関する情報に基づいて推定された本体部の移動平面上の位置及び/又は姿勢角に基づいて、走行部を制御する。
本体部を回転動作及び/又は進行動作により目標物へと移動させる際に、走行制御部は、回転量制限動作を実行する。回転量制限動作は、ランドマーク全体が検出可能領域内に含まれるよう、回転動作における姿勢角の変化量を制限する動作である。
上記の自律走行車システムにおいて自律移動体が目標物へと自律的に移動する際、まず、自律移動体の物体形状取得部が、少なくとも2つの境界線により形成される検出可能領域内に存在する物体の形状に関する情報を取得する。次に、物体形状取得部により取得された物体の形状に関する情報に基づいて推定された本体部(自律移動体)の移動平面上の位置と姿勢角とに基づいて、走行制御部は、走行部を制御する。
本体部を目標物へと移動させる際に、走行制御部は、姿勢角の変化量を制限する回転量制限動作を実行する。つまり、本体部を目標物へと移動させる際に、ランドマーク全体が検出可能領域内に含まれていれば、すなわち、物体形状取得部がランドマークの特徴的な形状に関する情報を取得できている場合には、走行制御部は、姿勢角を大きく変化させることなく本体部を移動させる。
上記の自律移動体によれば、物体形状取得部は、自律移動体が目標物へと移動する間、ランドマークの特徴的な形状を認識可能な程度の情報を常に取得できる。その結果、自律移動体は、目標物へと移動する間、上記情報に基づいて、本体部の位置と姿勢角とを精度よく推定しながら、目標物へと確実に到達できる。
走行制御部は、第1走行モードと第2走行モードとを実行可能であってもよい。第1走行モードは、本体部を自律走行開始位置から第2走行モード開始領域内まで回転動作及び/又は進行動作によって移動させる走行モードである。第2走行モードは、本体部が第2走行モード開始領域内に到達した時に開始される走行モードである。第2走行モードは、第2走行モード開始位置から目標物まで回転動作及び/又は進行動作によって本体部を移動させる走行モードである。この場合、回転量制限動作は、第2走行モードの実行中に実行される。
これにより、自律移動体は、移動平面上の任意の位置から確実に目標物へと到達できる。
第2走行モードの実行中に、物体形状取得部は、2つの境界線のなす角度を、第1走行モードの実行時における2つの境界線のなす角度よりも小さくしてもよい。
これにより、第2走行モードの実行中において、例えば、目標物が配置された位置とは異なる位置に配置され形状がランドマークに類似した他の物体を目標物と認識するなどの誤認識を抑制できる。その結果、本体部が目標物でない他の物体へと移動してしまうことを抑制できる。
上記の自律走行車システムは、経由位置を備えていてもよい。経由位置は、目標物の近傍に設けられる。この場合、第2走行モードの実行中に、走行制御部は、本体部を経由位置を経由させてから目標物まで移動させるように走行部を制御する。
経由位置を経由させてから目標物まで本体部を移動させる場合、走行制御部は、本体部が経由位置に到達した後は、以下の動作を回転量制限動作として走行部に対して実行する。
まず、走行制御部は、本体部が経由位置にあるときに、回転動作により第1直線と前後軸とが一致するよう姿勢角を調整する。第1直線は、経由位置と目標物とを結ぶ直線である。次に、走行制御部は、経由位置から目標物に向けて本体部を進行させる。すなわち、経由位置から目標物へと、回転動作することなく本体部を移動させる。
これにより、予め決められた方向に本体部を向けた状態にて、本体部を確実に目標物へと移動できる。
本体部が第2走行モード開始領域内にあるときに、走行制御部は、本体部が第2走行モード開始位置から経由位置へと進行動作する場合にランドマーク全体が検出可能領域内に含まれるか否かを判断してもよい。すなわち、走行制御部は、本体部が第2走行モード開始位置から経由位置へと姿勢角を変化させることなく移動すると仮定した場合に、ランドマークの特徴的な形状に関する情報を物体形状取得部が常に取得できているか否かを判断してもよい。
第2走行モード開始位置から経由位置へと進行動作する場合にランドマーク全体が検出可能領域内に含まれないと判断した場合、すなわち、第2走行モード開始位置から経由位置へと姿勢角を変化させることなく本体部を移動させると、物体形状取得部がランドマークの特徴的な形状に関する情報を得られなくなると判断した場合、走行制御部は、以下の動作を回転量制限動作として実行して、本体部を経由位置まで移動させる。
まず、走行制御部は、本体部を第2走行モード開始位置から離反位置へと移動させる。離反位置は、本体部が当該位置から経由位置へと進行動作する場合にランドマーク全体が検出可能領域内に含まれるようになる位置である。次に、走行制御部は、離反位置から経由位置へと本体部を移動させる。
つまり、本体部が第2走行モード開始位置から経由位置へと移動する際にランドマーク全体を検出可能領域内に含めることができなくなると考えられる場合に、走行制御部は、姿勢角を変化させることなく本体部を経由位置へと移動させても物体形状取得部がランドマークの特徴的な形状を取得可能となる位置(すなわち、離反位置)まで本体部を移動させた後、当該離反位置から経由位置へと本体部を移動させる。
これにより、自律移動体は、ランドマークを見失うことなく経由位置まで移動できる。この結果、自律移動体は、自身の位置や姿勢角を精度よく推定しながら経由位置まで移動できる。
本体部が第2走行モード開始領域内にあるときに、走行制御部は、第2直線と第1直線とがなす角度を算出してもよい。第2直線は、経由位置と第2走行モード開始位置とを結ぶ直線である。
この場合、第2直線と第1直線とがなす角度が第1角度以下の場合に、走行制御部は、第2走行モード開始位置から経由位置へと進行動作する場合にランドマーク全体が検出可能領域内に含まれると判断してもよい。
これにより、第2走行モード開始位置から経由位置へと移動する間に検出可能領域内にランドマーク全体が含まれなくなる、すなわち、物体形状取得部がランドマークの特徴的な形状に関する情報を取得できなくなる可能性があるか否か、をより単純な計算にて判断できる。
第2走行モード開始位置から離反位置へと本体部を移動させる間、走行制御部は、第3直線と第1直線とがなす角度を算出してもよい。第3直線は、本体部の現在位置と経由位置とを結ぶ直線である。この場合、第3直線と第1直線とがなす角度が第2角度以下の場合に、走行制御部は、本体部が離反位置へ到達したと判断してもよい。
これにより、本体部が離反位置に到達したか否かをより単純な計算にて判断できる。
第2走行モード開始位置から離反位置へと本体部を移動させる場合において、走行制御部は、以下の動作を回転量制限動作として実行してもよい。
まず、走行制御部は、第2走行モード開始位置において回転動作を実行して、第2走行モード開始位置において前後軸が第1直線と平行になるよう姿勢角を変化させる。次に、走行制御部は、進行動作により本体部を第2走行モード開始位置から離反位置へと進行させる。
これにより、回転動作と進行動作との単純な動作のみにて、本体部を第2走行モード開始位置から離反位置へと移動できる。
物体形状取得部はレーザレンジセンサを含んでいてもよい。これにより、周囲の物体の形状に関する情報を座標データとして取得できる。
目標物は充電ステーションを含んでいてもよい。また、自律移動体は、バッテリーと、充電部と、をさらに有していてもよい。バッテリーは、走行部を駆動する。充電部は、本体部が充電ステーションに到達した状態で充電ステーションと充電電力のやりとりを行うことにより、バッテリーを充電する。
これにより、自律移動体は、自律的に充電ステーションまで移動し、自律的にバッテリーを充電できる。
物体の形状を認識して自身の位置や姿勢角を推定しながら自律的に走行する自律移動体と、ランドマークを有する目標物とを備える自律走行車システムにおいて、自律移動体が、目標物を見失うことなく、確実に目標物に到達できる。
自律走行車システムの構成を示す図。 充電ステーションの構成を示す図。 自律移動体の構成を示す図。 自律移動体の制御部の構成を示す図。 検出可能領域を示す図。 姿勢角の定義の一例を示す図。 自律移動体の進行動作を示す図。 中心点周り回転動作を示す図。 ピボット回転動作を示す図。 進行動作と回転動作との組みあわせ動作を示す図。 自律移動体の自律移動動作を示すフローチャート。 第1走行モードの実行時における第2検出可能領域と第2走行モードの実行時における第2検出可能領域とを示す図。 第2走行モードにおける本体部の移動方法を示すフローチャート。 第2走行モード開始位置から経由位置へと進行動作する場合に、ランドマーク全体が検出可能領域内に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す図。 第1角度の定義の一例を示す図。 本体部を経由位置へ向ける動作を示す図。 本体部を経由位置へ進行させる動作を示す図。 本体部を第2走行モード開始位置にて正対角度まで回転させる様子を示す図。 本体部を第2走行モード開始位置から離反位置へ進行させる様子を示す図。 離反距離を算出する方法の一例を示す図。 経由位置において本体部を正対角度まで回転させる様子を示す図。 充電部と給電部とが正対した状態にて本体部が充電ステーションに到達したときの様子を示す図。 経由位置へ移動する際の自律移動体の動作についての他の実施形態を示す図。
1.第1実施形態
(1)自律走行車システムの全体構成
まず、第1実施形態に係る自律走行車システム100の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、自律走行車システムの構成を示す図である。
自律走行車システム100は、充電ステーション1(目標物の一例)を備える。充電ステーション1は、自律走行車システム100の自律移動体3(後述)が移動する移動平面MSを形成する1つの壁Wの近傍に配置されている。充電ステーション1は、自律移動体3に備わるバッテリー35(後述)を充電するための充電器として機能する。
自律走行車システム100は、自律移動体3を備える。自律移動体3は、自身の周囲に存在する移動平面MS上の物体O(例えば、移動平面MSに設けられた柱、壁、商品などを載置する棚、移動平面MSを移動する他の移動物(他の移動体や、人間、動物など))の形状に関する情報を取得し、当該取得した物体Oの形状に関する情報に基づいて、移動平面MSを自律的に移動する。
自律移動体3は、例えば、自律移動体3が通過すべき複数の移動平面MS上の位置に関する情報(通過目標点)を記憶したデータ(走行スケジュールと呼ぶ)に従って任意の走行経路を自律的に移動可能である。自律移動体3が任意の走行経路を自律的に移動する走行モードを「第1走行モード」と呼ぶことにする。走行スケジュールにおいて、走行経路の開始位置を特に「自律走行開始位置」と呼び、終了位置を特に「自律走行終了位置」と呼ぶ。
第1走行モードの実行時において、自律移動体3の走行制御部344(後述)が上記の走行スケジュールに記憶された移動平面MS上の各位置を通過するように走行部32(後述)を制御することによって、自律移動体3(本体部31)は、走行スケジュールに示された走行経路を自律的に再現走行できる。
一方、自律移動体3のバッテリー35の充電を行う必要があると判断された場合、又は、上記の第1走行モードの実行後に、自律移動体3は充電ステーション1へと自律的に移動する。自律移動体3が充電ステーション1へと自律的に移動する走行モードを「第2走行モード」と呼ぶことにする。
上記の第2走行モードは、自律移動体3が充電ステーション1近傍の第2走行モード開始領域A2(図1)内の所定の位置(第2走行モード開始位置と呼ぶことにする)に到達したとき開始される。すなわち、第2走行モードは、自律移動体3が第2走行モード開始領域A2内から充電ステーション1まで自律的に移動する走行モードである。
本実施形態において、第1走行モードの終了位置である自律走行終了位置を第2走行モード開始領域A2内の位置としている。つまり、第1走行モードが終了すると、直ちに第2走行モードが開始される。
その他、自律走行終了位置を第2走行モード開始領域A2内の位置としなくてもよい。この場合、自律移動体3は、バッテリー35を充電させる場合など必要に応じて、第1走行モードが終了した位置から第2走行モード開始領域A2内まで自律的に移動する。
自律走行車システム100において、上記のように自律移動体3が第1走行モードと第2走行モードとを実行可能であることにより、自律移動体3は、移動平面MS上の任意の位置から充電ステーション1へと確実に自律的に移動できる。
本実施形態においては、自律移動体3が移動する移動平面MS上の位置を座標値として表現するため、移動平面MSを定めるX軸(図1)と、X軸に垂直なY軸(図1)とが定義されている。すなわち、本実施形態において、移動平面MS上の位置は、二次元のX−Y座標系の座標値として表現される。なお、移動平面MSの位置を、三次元のX−Y−Z座標軸系の座標値として表現してもよい。この場合には、移動平面MSに垂直な高さ方向の位置も定義できる。
なお、以下の説明において、自律移動体3の位置に関する情報は、移動平面MSを定めるX−Y座標の座標値として表されているものとする。
自律走行車システム100は、経由位置VPを備える。経由位置VPは、充電ステーション1の近傍(例えば、充電ステーション1から10cm離れた位置)に設けられる。経由位置VPは、自律移動体3が第2走行モードの実行により充電ステーション1まで移動する間に経由する位置である。また、経由位置VPは、自律移動体3が当該位置に到達した時に充電ステーション1に正対する位置とされている。
自律移動体3が経由位置VPを経由してから充電ステーション1へ移動することにより、自律移動体3は充電ステーション1へと確実に自律的に到達できる。
また、経由位置VPを、自律移動体3が充電ステーション1に正対する位置と定義することにより、自律移動体3の本体部31を充電ステーション1と正対する向きに向けた状態にて、自律移動体3(本体部31)を確実に充電ステーション1へと移動できる。その結果、自律移動体3が充電ステーション1に到達した時に、自律移動体3の充電部36を給電部15(後述)と一致させることができる。
本実施形態において、経由位置VPは、移動平面MSを定めるX−Y座標上の座標値と、経由位置VPに到達した時に充電ステーション1に正対するために自律移動体3が取るべき姿勢角(正対角度θ)とにより定義され、記憶部341(後述)に記憶されている。
本実施形態において、経由位置VPは、移動平面MS上の位置として定義されている。しかしながら、経由位置VPは自律移動体3が経由する位置であればよいので、第2走行モード開始位置と同様、経由位置VPを充電ステーション1の近傍を中心とした所定の領域として定義してもよい。すなわち、自律移動体3が当該領域内に到達した時に、自律移動体3が経由位置VPを経由したとしてもよい。
以下、自律走行車システム100の充電ステーション1及び自律移動体3の詳細について説明していく。
(2)充電ステーションの構成
まず、自律走行車システム100の充電ステーション1の構成の詳細について、図2を用いて説明する。図2は、充電ステーションの構成を示す図である。図2の上図は、充電ステーション1の正面図を、図2の下図は、充電ステーション1のA−A’軸(図2の上図)における断面図を示している。
充電ステーション1は、筐体11を有する。筐体11は、充電ステーション1の本体を形成する。筐体11の上半分には開口部O1が設けられている。図2に示すように、開口部O1は、移動平面MSを形成する壁Wとは反対側に開口している。これにより、自律移動体3の物体形状取得部33’(後述)から発生されたレーザ光などを、筐体11の内部へ伝達できる。
充電ステーション1は、ランドマーク13を有する。ランドマーク13は、筐体11の上半分に設けられた開口部O1の内部に設けられている。これにより、ランドマーク13は、筐体11の内部へと伝達されてきた物体形状取得部33’からのレーザ光などを反射できる。その結果、物体形状取得部33’は、筐体11の内部に配置されたランドマーク13の形状に関する情報を取得できる。
ランドマーク13は、特徴的な形状を有している。具体的には、ランドマーク13は、第1ランドマーク部材13aと、第2ランドマーク部材13bと、第3ランドマーク部材13cと、の3つの部材により構成されている。
第1ランドマーク部材13a、第2ランドマーク部材13b、及び、第3ランドマーク部材13cは、金属やプラスチックなどの板状部材である。これら3つのランドマーク部材のうち、第2ランドマーク部材13b及び第3ランドマーク部材13cは、一方の端部が曲げられている。
図2に示すように、端部が曲げられていない第1ランドマーク部材13aは、筐体11の開口部O1の移動平面MSの壁Wに近い側(開口部O1の奥側)に、板面が壁Wと平行となるよう配置されている。
一方、端部が曲げられた第2ランドマーク部材13bは、開口部O1の左側の第1ランドマーク部材13aよりも手前側に、曲げられた端部の板面13b−1が壁Wと平行となるように配置されている。端部が曲げられた第3ランドマーク部材13cは、開口部O1の右側の第1ランドマーク部材13aよりも手前側に、曲げられた端部の板面13c−1が壁Wと平行となるように配置されている。
ランドマーク13を構成する3つのランドマーク部材が上記のように配置されることにより、図2に示すような特徴的な形状を有するランドマーク13を形成できる。
なお、ランドマーク13を構成する部材の数やランドマーク13の形状は、上記の例に限られない。移動平面MSに存在する(あるいは存在する可能性がある)物体Oとランドマーク13とを区別できる特徴的な形状を有していれば、ランドマーク13は任意の形状とできる。
充電ステーション1は、給電部15を有する。給電部15は、自律移動体3のバッテリー35を充電するための充電電力を出力する。従って、給電部15は、筐体11の開口部O1が設けられた面の下半分の、自律移動体3の充電部36(後述)の配置位置と同じ高さの位置に配置されている。
給電部15は、例えば、電力を出力するソケットや、充電部36の一対の接点と接触可能な一対の接点などにより構成できる。その他、非接触電力伝送が可能な、時間的に変動する電流(交流電流)が流れるコイルなどにより給電部15を構成してもよい。給電部15が非接触電力伝送可能な構成を有している場合には、給電部15と充電部36が若干ずれていても、給電部15は充電部36に充電電力を供給できる。
充電ステーション1が特徴的な形状を有するランドマーク13を有することにより、筐体11が図2に示すように中空の直方体のような特徴的でない形状を有している場合にも、自律移動体3は、ランドマーク13の特徴的な形状に基づいて、自律移動体3の位置や向き(姿勢角θ)を推定できる。
(3)自律移動体の構成
(3−1)全体構成
次に、自律走行車システム100の自律移動体3の構成の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、自律移動体の構成を示す図である。まず、自律移動体3の全体構成について説明する。
自律移動体3は、本体部31を有する。本体部31は、自律移動体3の本体を構成する筐体である。
自律移動体3は、走行部32を有する。図3に示すように、走行部32は、例えば、本体部31の内底面の略中央部に配置される。走行部32は、自律移動体3の本体部31を移動させる。具体的には、走行部32は、進行動作と回転動作により本体部31を移動させる。進行動作は、本体部31を前後方向(図3)へ進行させる動作である。回転動作は、姿勢角θ(後述)を変化させて本体部31の向き(姿勢)を変化させる動作である。走行部32の構成については後ほど説明する。
自律移動体3は、レーザレンジセンサ33を有する。レーザレンジセンサ33は、例えば、レーザ発振器によりパルス発振されたレーザ光を物体Oに放射状に照射し、物体Oから反射した反射光をレーザ受信器により受信するレーザレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)である。
本実施形態において、レーザレンジセンサ33は、本体部31の前後方向を定める軸である前後軸(図3)上の本体部31の前部分に配置された第1レーザレンジセンサ33aと、前後軸上の本体部31の後部分に配置された第2レーザレンジセンサ33bと、を有する。
本実施形態において、第1レーザレンジセンサ33aは、本体部31の前進方向(図3)に対して左右方向にレーザ光を放射状に発生する。本実施形態において、第1レーザレンジセンサ33aは、第1レーザレンジセンサ33aを中心とした、上記の前進方向に延びる半径20m程度の円内に含まれる物体Oから反射された反射光を受信する。
一方、本実施形態において、第2レーザレンジセンサ33bは、本体部31の前進方向とは逆方向の後進方向(図3)に対して左右方向にレーザ光を放射状に発生する。本実施形態において、第2レーザレンジセンサ33bは、第2レーザレンジセンサ33bを中心とした、上記の後進方向に延びる半径5m程度の円内に含まれる物体Oから反射された反射光を受信する。
なお、第1レーザレンジセンサ33a及び第2レーザレンジセンサ33bの上記の検出可能距離(第1レーザレンジセンサ33aについては20m、第2レーザレンジセンサ33bについては5m)は、上記の値に限られず、自律移動体3の用途等に応じて適宜変更できる。
自律移動体3は、制御部34を有する。制御部34は、本体部31に設置されている。制御部34は、CPU、記憶装置(例えば、RAM、ROM、ハードディスク、SSDなどのデータを記憶する装置)、無線及び/又は有線にて外部の端末などと通信するインターフェース、A/D及び/又はD/Aコンバータなどの各種インターフェース、を有するコンピュータシステムである。また、制御部34は、走行部32のモータ321a、321b(後述)を制御する駆動電力を供給するモータドライバである。
制御部34は、自律移動体3における各種情報処理及び走行部32の制御を実行する。具体的には、制御部34は、上記のレーザレンジセンサ33から反射光の受信信号を入力し、当該受信信号を情報処理する。また、制御部34は、バッテリー35(後述)から供給された電力(電圧及び/又は電流)を用いて、走行部32のモータ321a、321bに供給する駆動電力を発生する。これにより、制御部34は、モータ321a、321bの回転量やトルクなどを制御できる。
さらに、制御部34は、コントローラなどの入力装置による操作者の操作を、無線及び/又は有線にて受け付け、当該操作に基づいて駆動電力を制御してもよい。これにより、操作者により、自律移動体3を操作できる。
なお、制御部34の構成の詳細及び制御部34における情報処理については後述する。
自律移動体3は、バッテリー35を有する。バッテリー35は、本体部31の充電部36(後述)の取り付け位置の近傍に設置される。バッテリー35は、走行部32を駆動する。具体的には、バッテリー35は、電力を制御部34に供給する二次電池である。バッテリー35から制御部34に供給された電力は、電力値を制御されて走行部32へと供給される。
バッテリー35は、制御部34だけでなく、レーザレンジセンサ33など電力の必要な他の構成要素にも電力を供給してもよい。
自律移動体3は、充電部36を有する。充電部36は、本体部31の後端に取り付けられている。充電部36は、本体部31が充電ステーション1に到達した状態で、充電ステーション1と充電電力のやりとりを行う。
充電部36は、本体部31が充電ステーション1に到達した時に、充電ステーションの給電部15と電力伝達可能に接続される。従って、充電ステーション1の給電部15が電気ソケットである場合、充電部36は、当該電気ソケットに差し込める電気プラグである。一方、給電部15が一対の接点である場合、充電部36は、当該一対の接点に接触可能な一対の接点である。さらに、給電部15が非接触電力伝送可能なコイルなどである場合には、充電部36は、給電部15からの変動電磁界を受信して電力を発生できるコイルなどである。
また、充電部36は、充電装置(図示せず)を介して、バッテリー35に接続されている。これにより、充電部36は、給電部15から入力した充電電力によりバッテリー35を充電できる。
自律移動体3は、補助輪部37を有していてもよい。補助輪部37は、2つの補助車輪37a、37bを有する。2つの補助車輪37aと37bは、それぞれが独立に回転可能なように本体部31の後方底部に取り付けられている。補助輪部37を備えることにより、自律移動体3は安定に、かつ、スムーズに移動できる。
自律移動体3が上記の構成を有することにより、自律移動体3は、自身の周囲に存在する移動平面MS上の物体Oの形状に関する情報に基づいて、移動平面MSを自律的に移動できる。
なお、図3には図示していないが、自律移動体3は、自律移動体3を操作するための操作ハンドルを有していてもよい。操作ハンドルは、例えば、走行部32に備わる一対のモータ321a、321bのそれぞれの回転数を制御するスロットルを有するハンドルである。操作者は、例えば、操作ハンドルのスロットルの開量を調節することにより、自律移動体3を手動操作できる。
(3−2)走行部の構成
次に、自律移動体3の走行部32の構成について、図3を用いて説明する。
走行部32は、一対のモータ321a、321bを有する。一対のモータ321a、321bは、本体部31の底部の中央付近に設置されている。一対のモータ321a、321bは、制御部34から入力した駆動電力に応じた回転数及び/又はトルクを出力回転軸に出力する、ブラシレスモータなどの電動モータである。
走行部32は、一対の車輪323a、323bを有する。一対の車輪323a、323bは、それぞれ、移動平面MSの走行面に接するように、モータ321a及びモータ321bを介して、本体部31の底部の中央付近に設置されている。具体的には、一対の車輪323a、323bは、それぞれ、モータ321aの出力回転軸及びモータ321bの出力回転軸に、当該出力回転軸の回転に応じて回転可能に接続されている。これにより、一対の車輪323a、323bのそれぞれは、独立に回転速度とトルクとが制御されて回転可能となっている。
走行部32は、エンコーダ325a、325b(図4)を有する。エンコーダ325a、325bのそれぞれは、例えば、モータ321a及びモータ321bの出力回転軸に取り付けられているインクリメンタル型のエンコーダである。エンコーダ325a、325bは、モータ321a、321bの出力回転軸の回転量を、パルス信号のパルス数として制御部34に出力する。
走行部32が上記の構成を有することにより、走行部32は、制御部34から入力した駆動電力に基づいて、後述する進行動作と回転動作とを実行し、本体部31を移動できる。上記のような、独立に回転速度やトルクなどを制御可能な一対の車輪により構成されている走行部32を、「差動二輪型」の走行部と呼ぶ。
(3−3)制御部の構成
次に、自律移動体3の制御部34の構成について、図4を用いて説明する。図4は、自律移動体の制御部の構成を示す図である。なお、以下に説明する制御部34の各構成要素の機能の一部は、制御部34を構成するコンピュータシステムにて動作可能なプログラムとして実現されていてもよい。または、制御部34の各構成要素の機能の一部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
制御部34は、記憶部341を有する。記憶部341は、制御部34を構成するコンピュータシステムの記憶装置の記憶領域の一部である。記憶部341は、自律移動体3を制御するための各種データを記憶する。
具体的には、記憶部341には上記の走行スケジュールが記憶されている。記憶部341には、環境地図が記憶されている。環境地図は、移動平面MS上に存在する物体Oの位置に関する情報(移動平面MS上の物体Oの座標値)の集合体である。すなわち、環境地図は、移動平面MS上の物体Oの位置(座標値)を示す地図情報である。後述するように、環境地図は、位置推定部343(後述)がローカルマップ(後述)を用いて本体部31の位置推定を行う際の基準として用いられる。
記憶部341には、充電ステーション1(目標物)に関する情報が記憶されている。具体的には、記憶部341には、ランドマーク13の形状に関する情報が、目標物に関する情報として記憶されている。ランドマーク13の形状に関する情報は、例えば、移動平面MS上におけるランドマーク13の存在位置を示す座標値の集合体である。
記憶部341には、移動平面MS上における第2走行モード開始領域A2に関する情報が記憶されている。例えば、第2走行モード開始領域A2を、移動平面MS上の座標値(a,b)を中心とした半径Rの円内の領域として(X−a)+(Y−b)≦Rと定義した場合、当該不等式(X−a)+(Y−b)≦Rが第2走行モード開始領域A2に関する情報として記憶部341に記憶される。
記憶部341には、移動平面MS上における経由位置VPの座標値と、経由位置VPにおいて本体部31がとりうる姿勢角(正対角度θ)とが関連づけられて記憶されている。
その他、記憶部341には、自律移動体3及び/又は充電ステーション1に関する各種設定値、及び、制御部34の各機能を実現するプログラム等が記憶されている。
制御部34は、センサ制御部342を有する。センサ制御部342は、レーザレンジセンサ33を制御する。また、センサ制御部342は、物体Oの本体部31からの相対的な位置を算出する。具体的には、レーザレンジセンサ33からレーザ光を照射したタイミングと、反射光をレーザレンジセンサ33(レーザ受信器)にて受信したタイミングとの時間差から、レーザレンジセンサ33と物体Oとの距離を算出する。
また、例えば、反射光を受信した時のレーザ受信器の受光面の前後軸を基準とした場合の相対的な角度から、本体部31から見た物体Oが存在する方向を算出する。
センサ制御部342は、上記の物体Oが存在する相対的な距離と方向に関する情報を、移動平面MS上の座標値に変換する。物体Oの存在位置を移動平面MS上の座標値で表すことにより、物体Oの位置と形状とを、移動平面MSを表す座標平面上に投影できる。
センサ制御部342は、レーザレンジセンサ33の物体Oの検出可能領域DA1、DA2(後述)の広さを制御する。本実施形態において、センサ制御部342は、レーザレンジセンサ33のレーザ受信器の走査角度範囲を適宜調整することにより、検出可能領域DA1、DA2の広さを制御する。
センサ制御部342がレーザレンジセンサ33のレーザ受信器の走査角度範囲を制限することにより、自律移動体3が物体Oの形状を検知できる検出可能領域DA1、DA2は、図5に示すように、本体部31の前進方向と後進方向とについて、以下のように制限される。図5は検出可能領域を示す図である。
自律移動体3の前進方向については、図5に示すように、第1検出可能領域DA1は、第1レーザレンジセンサ33aの走査角度範囲により定まる少なくとも2つの境界線、すなわち、第1境界線BL1と第2境界線BL2により制限される。
第1境界線BL1は、第1レーザレンジセンサ33aから前後軸の左側に延び、前後軸とのなす角度が第1検出角Φ1である直線である。一方、第2境界線BL2は、第1レーザレンジセンサ33aから前後軸の右側に延び、前後軸とのなす角度が第2検出角Φ2である直線である。第1境界線BL1及び第2境界線BL2の長さは、第1レーザレンジセンサ33aの物体Oの検出可能距離(本実施形態では、20m程度)である。
上記のように、第1レーザレンジセンサ33aは、第1レーザレンジセンサ33aを中心とした円内の物体Oを検出するものである。従って、前進方向における第1検出可能領域DA1は、第1レーザレンジセンサ33aを中心とし、半径が第1レーザレンジセンサ33aの物体Oの検出可能距離(20m程度)であり、かつ、中心角が上記の第1検出角Φ1と第2検出角Φ2との和(Φ1+Φ2)である円弧状の第3境界線BL3によっても制限される。すなわち、前進方向における第1検出可能領域DA1は、第1境界線BL1と、第2境界線BL2と、第3境界線BL3との3つの境界線にて定められた扇形状の領域内となる。
一方、図5に示すように、自律移動体3の後進方向についての第2検出可能領域DA2は、第2レーザレンジセンサ33bの走査角度範囲により定まる少なくとも2つの境界線、すなわち、第4境界線BL4と第5境界線BL5により制限される。
第4境界線BL4は、第1レーザレンジセンサ33aから前後軸の左側に延び、前後軸とのなす角度が第3検出角Φ3である直線である。一方、第5境界線BL5は、第1レーザレンジセンサ33aから前後軸の右側に延び、前後軸とのなす角度が第4検出角Φ4である直線である。第4境界線BL4及び第5境界線BL5の長さは、第2レーザレンジセンサ33bの物体Oの検出可能距離(本実施形態では、5m程度)である。
第2レーザレンジセンサ33bも同様に、第2レーザレンジセンサ33bを中心とした円内の物体Oを検出するものである。よって、後進方向における第2検出可能領域DA2は、第2レーザレンジセンサ33bを中心とし、半径が第2レーザレンジセンサ33bの物体Oの検出可能距離(5m程度)であり、かつ、中心角が上記の第3検出角Φ3と第4検出角Φ4との和(Φ3+Φ4)である円弧状の第6境界線BL6によっても制限される。すなわち、後進方向における第2検出可能領域DA2は、第4境界線BL4と、第5境界線BL5と、第6境界線BL6との3つの境界線にて定められた扇形状の領域内となる。
なお、以下においては、図4に示すように、レーザレンジセンサ33と上記のセンサ制御部342とを合わせて「物体形状取得部33’」と呼ぶことにする。
物体形状取得部33’が上記のレーザレンジセンサ33とセンサ制御部342とにより構成されることにより、物体形状取得部33’は、検出可能領域DA1、DA2内に存在する物体Oの形状に関する情報を取得できる。
制御部34は、位置推定部343を有する。位置推定部343は、本体部31の移動平面MS上の位置を推定する。具体的には、位置推定部343は、物体形状取得部33’にて取得された本体部31の周囲に存在する物体Oに関する情報(ローカルマップと呼ぶ)と、エンコーダ325a、325bから取得したモータ321a、321bの回転量と、に基づいて、自律移動体3の位置を推定する。さらに具体的には、例えば、次のようにして、本体部31の位置を推定する。
まず、エンコーダ325a、325bから取得したモータ321a、321bの回転量から本体部31の移動距離と姿勢角変化とを算出する。次に、位置推定部343にて前回推定された推定位置に、当該算出した移動距離と姿勢角変化とを加算して、現在の位置を推定する(デッドレコニングによる位置推定)。このとき、車輪323a、323bと移動平面MSの走行面との滑り等を考慮して、複数の位置と姿勢角の「候補」を推定しておく。
なお、上記の複数の位置と推定角の「候補」のそれぞれには、本体部31が当該各「候補」の位置及び姿勢角のそれぞれに到達する確率を関連づけておいてもよい。
次に、上記の複数の位置の「候補」のそれぞれに、当該位置の「候補」における姿勢角に対応する角度だけ傾けたローカルマップを配置する。その後、上記の位置の「候補」に配置されたローカルマップと環境地図とを、例えば、「尤度計算」を実行してマップマッチングし、環境地図と最もマッチしたローカルマップが配置された位置及び姿勢角の「候補」を、本体部31の最終的な位置及び姿勢角と推定する(マップマッチングによる位置推定)。
なお、複数の位置と姿勢角の「候補」に本体部31が当該各「候補」の位置及び姿勢角に到達する確率を関連づけた場合には、ローカルマップと環境地図とが比較的よくマッチングしたいくつかの位置及び姿勢角の「候補」のうち、上記の確率が最大のものを現在の最終的な位置及び姿勢角と推定してもよい。
位置推定部343が、上記のように、デッドレコニングによる位置推定とマップマッチングによる位置推定とを用いて自律移動体3の位置及び姿勢角を推定することにより、デッドレコニングにおける位置及び姿勢角の推定誤差と、マップマッチングにおける位置及び姿勢角の推定誤差(主に、レーザレンジセンサ33により取得されるデータに含まれる誤差に起因する)とを相殺して、より精度よく本体部31の位置を推定できる。
制御部34は、走行制御部344を有する。走行制御部344は、物体形状取得部33’により取得された物体Oの形状に関する情報に基づいて推定された本体部31の移動平面MS上の位置及び/又は姿勢角に基づいて、走行部32を制御する。
例えば、走行制御部344は、走行部32のモータ321a、321bのそれぞれの制御量を算出し、当該制御量に基づいた駆動電力をモータ321a、321bのそれぞれに出力するモータドライバである。走行制御部344は、エンコーダ325a、325bから入力したモータ321a、321bの単位時間あたりの回転量(回転速度)が、所望の回転速度となるように、モータ321a、321bの制御量を算出している(フィードバック制御)。
走行制御部344は、第1走行モードと第2走行モードとを実行可能となっている。第1走行モードの実行時においては、走行制御部344は、走行スケジュールに示された各通過位置と、位置推定部343において推定された現在の本体部31の位置との差に基づいて、モータ321a、321のそれぞれの制御量を算出して、算出された制御量に基づいた駆動電力を、モータ321a、321bのそれぞれに出力する。
これにより、走行制御部344は、第1走行モードの実行時においては、本体部31を、上記の自律走行開始位置から第2走行モード開始領域内の所定の位置まで回転動作及び/又は進行動作によって移動できる。
一方、第2走行モードの実行時においては、走行制御部344は、第2走行モードにおいて通過すべき位置(経由位置VP、充電ステーション1の配置位置)と、ランドマーク13の形状を十分に反映したローカルマップを用いて位置推定部343において推定された現在の本体部31の位置との差に基づいて、モータ321a、321bのそれぞれの制御量を算出する。走行制御部344は、算出された制御量に基づいた駆動電力を、モータ321a、321bのそれぞれに出力する。
本実施形態において、走行制御部344は、第2走行モードを実行中には、回転量制限動作を実行する。回転量制限動作は、ランドマーク13全体が検出可能領域DA1、DA2内のいずれかに含まれるよう、回転動作における姿勢角θの変化量を制限する動作である。なお、走行制御部344における走行部32の具体的な制御については、後ほど詳しく説明する。
制御部34が上記の構成を有することにより、制御部34は、本体部31の位置を精度よく推定して、走行スケジュールに示された走行経路を忠実に自律的に再現できる(第1走行モードの実行時)。また、第2走行モードの実行時においては、自律移動体3は、ランドマーク13の特徴的な形状を十分に表したローカルマップを用い、ランドマーク13を見失うことなく、本体部31の位置及び姿勢を精度よく推定しつつ、充電ステーション1に確実に到達できる。
制御部34は、走行スケジュール作成部345を有していてもよい。走行スケジュール作成部345は、走行スケジュールを作成し、記憶部341に記憶する。
具体的には、走行スケジュール作成部345は、無線又は有線にて自律移動体3と通信可能なコントローラ又はコンピュータシステム、又は、自律移動体3に設けられた操作ハンドル(図示せず)などを用いた操作者の操作を受け付けて、当該操作者の操作を走行制御部344に出力する。これにより、自律移動体3は、操作者により操作可能となる。
操作者がコントローラや操作ハンドルを用いて自律移動体3を操作中に、走行スケジュール作成部345は、所定の時間間隔毎に、位置推定部343において推定された本体部31の位置及び姿勢角を入力する。その後、走行スケジュール作成部345は、位置推定部343から入力した位置及び姿勢角と、当該位置及び姿勢角を推定した時刻とを関連づけて走行スケジュールを作成し、当該走行スケジュールを記憶部341に記憶する。
制御部34が上記の走行スケジュール作成部345を有することにより、操作者の操作を走行スケジュールとして記憶できる。
(4)自律走行車システムにおける自律移動体の動作
以下、自律走行車システム100における自律移動体3の動作について説明していく。
(4−1)第1実施形態における姿勢角の定義
自律移動体3の動作を説明する前に、本実施形態における姿勢角の定義について、図6を用いて説明する。図6は、姿勢角の定義の一例を示す図である。本体部31の移動平面MSにおける向きを示す姿勢角θは、移動平面MSを定める1つの軸を基準として、当該基準の軸と、本体部31の前後軸とがなす角度として定義される。
図6に示すように、本実施形態における姿勢角θは、移動平面MSを定めるX軸(紙面の左右方向に延びる軸)と前後軸とのなす角度として定義される。また、本体部31の前進方向がX軸の正方向(紙面の左から右に向かう方向)を向いているときに、姿勢角θが0であるとする。さらに、本体部31の前進方向がX軸の正方向を向いている状態から反時計回りに前後軸が回転する方向を、姿勢角θの増加方向(正方向)とする。
(4−2)差動二輪型の走行部による移動動作
次に、「差動二輪型」の走行部32により可能な本体部31の移動動作について、図7A〜図7Dを用いて説明する。図7Aは、自律移動体の進行動作を示す図である。図7Bは、中心点回り回転動作を示す図である。図7Cは、ピボット回転動作を示す図である。図7Dは、進行動作と回転動作との組みあわせ動作を示す図である。
図3に示したような「差動二輪型」の走行部32においては、一対の車輪323a、323bのそれぞれの回転速度が独立に制御される。このような走行部32は、本体部31に対して、(a)進行動作、(b)中心点回り回転動作、(c)ピボット回転動作、及び(d)進行動作と回転動作との組み合わせ動作、の4つの移動動作を実行できる。以下、各移動動作について説明する。
(a)進行動作
進行動作は、図7Aに示すように、自律移動体3の前後軸とX軸とのなす角度(すなわち、姿勢角θ)を変化させることなく、本体部31を前進方向又は後進方向へ進行させる動作である。進行動作は、一対の車輪323a、323bの回転速度を同一とすることにより実現される。
以下では、本体部31を前進させる方向の車輪323a、323bの回転速度を正値とし、本体部31を後進させる方向の車輪323a、323bの回転速度を負値として説明する。
(b)中心点回り回転動作
中心点回り回転動作は、図7Bに示すように、本体部31(走行部32)の中心点Cを中心として本体部31を回転させて、姿勢角θを変化させる動作である。
中心点回り回転動作は、一対の車輪323a、323bの回転速度の絶対値を同一としつつ、一対の車輪323a、323bを互いに逆回転することにより実現される。
図7Bに示す例では、左側の車輪323aの回転速度を正値とし、右側の車輪323bの回転速度を負値とすることにより、本体部31を時計回りに回転(姿勢角θを負方向に変化)させている。
(c)ピボット回転動作
ピボット回転動作は、図7Cに示すように、一対の車輪323a、323bのいずれかの回転速度を0として、回転速度を0とした車輪を中心として本体部31を回転(姿勢角θを変化)させる動作である。
図7Cに示す例では、右側の車輪323bの回転速度を0とし、左側の車輪323aの回転速度を正値とすることにより、自律移動体3(本体部31)が、右側の車輪323bを中心として、時計回りに(姿勢角θを負方向に変化しつつ)ピボット回転している。
上記の(b)中心点回り回転動作と(c)ピボット回転動作とはいずれも、姿勢角θを変化させる動作である。従って、上記の中心点回り回転動作とピボット回転動作とを両方含めて「回転動作」と呼ぶことにする。
(d)進行動作と回転動作との組み合わせ動作
走行部32は、上記の進行動作と回転動作とを組み合わせた動作も実行できる。進行動作と回転動作とを組み合わせた動作を実行すると、図7Dに示すように、本体部31は、円弧状の経路を走行できる。
例えば、一対の車輪323a、323bの両方の回転速度を正値とし、かつ、右側の車輪323bの回転速度の絶対値を左側の車輪323aの回転速度の絶対値よりも大きくすることにより、本体部31は、図7Dに示すように、姿勢角θを正方向に変化させつつ(本体部31を反時計回りに回転させつつ)前進する。
一方、一対の車輪323a、323bの両方の回転速度を負値とし、かつ、右側の車輪323bの回転速度の絶対値を左側の車輪323aの回転速度の絶対値よりも大きくすることにより、本体部31は、姿勢角θを負方向に変化させつつ(本体部31を時計回りに回転させつつ)後進する。
走行部32が上記の4つの移動動作を実行可能であることにより、自律移動体3は、移動平面MS上を自在に移動できる。
(4−3)自律移動体の自律移動動作
以下、自律走行車システム100における自律移動体3の自律移動動作について説明する。以下においては、予め作成されて記憶部341に記憶された走行スケジュールに従って自律的に走行経路を移動後、充電ステーション1へと移動する場合の自律移動体3の自律移動動作を例にとって、図8を用いて説明する。図8は、自律移動体の自律移動動作を示すフローチャートである。
自律移動体3が自律走行を開始すると、制御部34の走行制御部344は、第1走行モードを実行する(ステップS1)。すなわち、自律移動体3は、記憶部341に記憶された走行スケジュールに従って、自律走行開始位置から自律走行終了位置まで自律的に移動する。具体的には、走行制御部344は、以下のようにして,第1走行モードを実行する。
走行制御部344は、第1走行モードの実行を開始すると、物体形状取得部33’に対して、上記の第1検出角Φ1、第2検出角Φ2、第3検出角Φ3、及び第4検出角Φ4を、それぞれ90°に設定するように指令する。
これにより、第1検出可能領域DA1は、半径が20m程度であり、中心角が180°である半円状の領域となる。また、第2検出可能領域DA2は、半径が5m程度であり、中心角が180°である半円状の領域となる。
その後、所定の時間毎に以下の動作を繰り返し実行することにより、自律移動体3は、記憶部341に記憶された走行スケジュールに従って、走行スケジュールに示された自律走行開始位置から自律走行終了位置まで移動平面MS上を自律的に移動する。なお、本実施形態においては、第2走行モード開始領域A2内の第2走行モード開始位置を、自律走行終了位置として走行スケジュールに記憶しているものとする。
まず、位置推定部343が、本体部31の移動平面MS上の位置(座標値)と姿勢角θとを推定する。次に、走行制御部344が、位置推定部343において推定された本体部31の現在位置が、走行スケジュール中の複数の通過目標点のいずれに対応するかを決定する。本体部31の現在位置に対応する通過目標点を決定後、走行制御部344は、走行スケジュールにおいて当該現在位置に対応する通過目標点の次の通過目標点を、本体部31が移動すべき目標点と決定する。
移動すべき目標点を決定後、走行制御部344は、位置推定部343にて推定された本体部31の現在位置及び姿勢角と、上記の移動すべき目標点及び当該目標点においてとるべき姿勢角との差に基づいて、モータ321a、321bに出力すべき駆動電力量を算出し、モータ321a、321bへ出力する。
上記のように第1走行モードを実行して本体部31を移動中に、走行制御部344は、自律走行終了位置とされた第2走行モード開始位置の近傍の第2走行モード開始領域A2内の位置に、本体部31が到達したか否かを判断する(ステップS2)。
具体的には、走行制御部344は、位置推定部343にて推定された本体部31の現在位置が第2走行モード開始領域A2内の位置であれば、本体部31が第2走行モード開始領域A2内の位置に到達したと判断する。
より具体的には、例えば、走行制御部344は、推定された本体部31の現在位置を表す座標値(例えば、(A,B)とする)が、第2走行モード開始領域A2を定義する領域(例えば、(X−a)+(Y−b)≦R)内に含まれていれば(例えば、(A−a)+(B−b)≦Rが成立していれば)、本体部31が第2走行モード開始領域A2内の位置に到達したと判断する。
本体部31が第2走行モード開始領域A2内の位置に到達していないと判断された場合(ステップS2において「No」の場合)、自律移動体3の自律走行プロセスはステップS1に戻り、走行制御部344は、第1走行モードの実行を継続する。
一方、本体部31が第2走行モード開始領域A2内の位置に到達したと判断された場合(ステップS2において「Yes」の場合)、走行制御部344は、センサ制御部342に対して、検出可能領域DA1、DA2を形成する境界線のうちの前後軸の左右側に延びる2つの境界線のなす角度を、第1走行モードの実行時における角度(本実施形態においては、90°)よりも小さくする(ステップS3)。
本実施形態において、センサ制御部342は、図9に示すように、本体部31の後部に配置された第2レーザレンジセンサ33bの第2検出可能領域DA2の第4境界線BL4と第5境界線BL5とのなす角度を減少している。なぜなら、本実施形態においては、本体部31の後端に充電部36が配置されており、第2走行モードの実行時においては、自律移動体3は、本体部31の後部を充電ステーション1に向けた状態にて後進するからである。そのため、第2レーザレンジセンサ33bによりランドマーク13の形状に関する情報を取得する必要があるからである。
図9は、第1走行モードの実行時における第2検出可能領域と第2走行モードの実行時における第2検出可能領域とを示す図である。
具体的には、センサ制御部342は、第2走行モードの実行時における第3検出角Φ3及び第4検出角Φ4を、第1走行モードの実行時よりも減少(例えば、90°から45°へ減少)する。
第2検出可能領域DA2の第4境界線BL4と第5境界線BL5とのなす角度を第1走行モード実行時よりも狭めることにより、第2走行モードの実行中において、進行方向(後進方向)のレーザレンジセンサ33(第2レーザレンジセンサ33b)の「視野」を狭めることができる。
その結果、第2走行モードの実行中において、第2レーザレンジセンサ33bがランドマーク13以外の他の物体Oの形状に関する情報を取得することを抑制できる。
第2レーザレンジセンサ33bがランドマーク13以外の他の物体Oの形状に関する情報を取得することを抑制することにより、例えば、位置推定部343が、ランドマーク13と形状が類似した他の物体Oを充電ステーション1と誤って認識することを抑制できる。その結果、位置推定部343において誤った位置が推定されることを抑制して、本体部31が充電ステーション1でない他の物体Oへと誤って移動してしまうことを抑制できる。
第2検出可能領域DA2の第4境界線BL4と第5境界線BL5とのなす角度を減少後、走行制御部344は、本体部31を、第1走行モードを実行することにより到達した第2走行モード開始領域A2内の位置(第2走行モード開始位置)から充電ステーション1へと移動させる第2走行モードを実行する(ステップS4)。
なお、ステップS4において実行される第2走行モードにおける自律移動体3の動作については、後ほど詳しく説明する。
上記のように、走行制御部344が第1走行モードと第2走行モードとを実行可能であることにより、自律移動体3は、走行スケジュールに示された自律走行開始位置から充電ステーション1まで自律的に移動できる。すなわち、移動平面MS上の任意の位置から充電ステーション1まで自律的に移動できる。
(4−4)第2走行モードにおける自律移動体の動作
次に、上記のステップS4において実行される第2走行モードにおける自律移動体3の動作について説明する。第2走行モードにおいては、自律移動体3は、レーザレンジセンサ33により取得された充電ステーション1のランドマーク13の特徴的な形状に関する情報を用いて本体部31の位置を推定しながら、第2走行モード開始領域A2内の第2走行モード開始位置から充電ステーション1まで移動する。
上記のように、本実施形態の自律移動体3は、回転動作と進行動作(とその組み合わせ動作)が可能な「差動二輪型」の走行部32により移動平面MS上を移動する。このような自律移動体3においては、本体部31の向きを変化させる(姿勢角θを変化させる)と、それに伴って本体部31の前後軸が移動平面MS上において回転する。また、レーザレンジセンサ33は前後軸上に配置されているため、本体部31の向き(姿勢角θ)が変化して前後軸が移動平面MS上において回転すると、それに伴って検出可能領域DA1、DA2も移動平面MS上において回転する。
このような場合において、例えば、検出可能領域DA1、DA2にランドマーク13全体を含めることができている状態において姿勢角θの変化が過剰になると、検出可能領域DA1、DA2内にランドマーク13を含められなくなってしまう。つまり、位置推定部343が本体部31の位置を正確に推定できなくなる。
従って、本実施形態においては、第2走行モードを実行中、走行制御部344は、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2(本実施形態においては、本体部31を後進させて、自律移動体3を充電ステーション1に到達させるため)に含まれる状態から姿勢角θを過剰に変化させないよう、走行部32を制御する。このように、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2に含まれるように姿勢角θを過剰に変化させず本体部31を移動させることを、「回転量制限動作」と呼ぶことにする。
以下、第2走行モードによる第2走行モード開始領域A2内(第2走行モード開始位置)から充電ステーション1までの本体部31の移動方法について、図10を用いて説明する。図10は、第2走行モードにおける本体部の移動方法を示すフローチャートである。
第2走行モードを開始すると、まず、走行制御部344は、本体部31を経由位置VPまで移動させる。具体的には、以下のようにして本体部31を経由位置VPまで移動させる。
本体部31を経由位置VPまで移動させる間、位置推定部343は、ランドマーク13の特徴的な形状に関する情報を用いて本体部31の位置を推定する。従って、本体部31を経由位置VPまで移動させる前に、走行制御部344は、現在の第2走行モード開始位置から経由位置VPまで本体部31を後進動作(進行動作)にて移動させた場合に、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれるか否かを判断する(ステップS401)。すなわち、第2走行モード開始位置から経由位置VPへと後進動作のみにて本体部31を移動させるために、第2走行モード開始位置にて本体部31の後部を経由位置VPの方向へ向けたときに、ランドマーク13全体の特徴的な形状に関する情報を第2レーザレンジセンサ33bが取得できるか否かを判断する。
具体的には、図11に示すように、経由位置VPと充電ステーション1の中心C1とを結ぶ第1直線L1と、第2走行モード開始位置と経由位置VPとを結ぶ第2直線L2とのなす角度Θ1が第1角度φ1以下の場合に、走行制御部344は、第2走行モード開始位置から経由位置VPへと後進する場合に、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれると判断する。図11は、第2走行モード開始位置から経由位置へと進行動作する場合に、ランドマーク全体が検出可能領域内に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す図である。
上記の第1角度φ1は、例えば、図12に示すように、第2検出可能領域DA2の第5境界線BL5が板面13b−1の端部と接触するときの、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度として定義できる。また、上記の第1角度φ1は、上記のような定義に従って予め算出されて記憶部341に記憶されているものとする。本実施形態において、第1角度φ1は、例えば、20°と定義できる。図12は、第1角度の定義の一例を示す図である。
第1直線L1と第2直線L2とのなす角度Θ1は、移動平面MS上における第1直線L1の傾きと第2直線L2の傾きとの差に基づいて算出できる。第1直線L1の傾きは、上記の正対角度θである。第2直線L2の傾きは、例えば、経由位置VPの移動平面MSのY座標と第2走行モード開始位置のY座標との差と、経由位置VPのX座標と第2走行モード開始位置のX座標との差との比として算出できる。
また、本実施形態においては、走行制御部344は、第1走行モードを終了して第2走行モード開始領域A2内の第2走行モード開始位置に到達した時の本体部31の向き(姿勢角θ)が、第2走行モード開始位置から経由位置VPに向かう方向に向いているか否かを確認する。
第2走行モード開始位置から経由位置VPへと向かう方向に本体部31が向いているか否かは、例えば、現在の姿勢角θと上記の正対角度θとの差が正値か負値かにより判断する。第2走行モード開始位置から経由位置VPへと向かう方向に本体部31が向いているときに現在の姿勢角θと正対角度θとの差が負値(正値)である場合、現在の姿勢角θと上記の正対角度θとの差が正値(負値)となったときに、本体部31が第2走行モード開始位置から経由位置VPに向かう方向に向いていないと判断する。
第1直線L1と第2直線L2とのなす角度Θ1が第1角度φ1以下であり、かつ、本体部31が第2走行モード開始位置から経由位置VPに向かう方向に向いていると判断されたとき(ステップS401において「Yes」の場合)、走行制御部344は、第2走行モード開始位置から経由位置VPへと後進する場合に、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれると判断する。従って、走行制御部344は、第2走行モード開始位置から経由位置VPまで後進のみにて本体部31を移動させるよう、走行部32を制御する(ステップS402)。
具体的には、まず、図13Aに示すように、走行制御部344は、第2走行モード開始位置において、回転動作にて本体部31の後部を経由位置VPの方向へ向ける。具体的には、走行制御部344は、姿勢角θが上記の第2直線L2の傾きに180°(π/2(ラジアン))を加えた角度(本体部31は後進しながら充電ステーション1へ移動するため)と等しくなるまで、本体部31を回転させる。図13Aは、本体部を経由位置へ向ける動作を示す図である。
本体部31の後部を経由位置VPの方向へ向けた後、走行制御部344は、図13Bに示すように、本体部31を第2走行モード開始位置から経由位置VPまで第2直線L2上を後進させる。図13Bは、本体部を経由位置へ進行させる動作を示す図である。
一方、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度Θ1が第1角度φ1よりも大きいか、又は、本体部31が第2走行モード開始位置から経由位置VPへと向かう方向に向いていないと判断された場合(ステップS401において「No」の場合)、走行制御部344は、第2走行モード開始位置から経由位置VPへと本体部31を後進させる場合に、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれないと判断する。すなわち、現在の第2走行モード開始位置から経由位置VPへと本体部31を後進させるために姿勢角θを変化させると、姿勢角θの変化が過剰であるため、物体形状取得部33’(第2レーザレンジセンサ33b)がランドマーク13の特徴的な形状に関する情報を取得できなくなると判断する。
このような場合、走行制御部344は、経由位置VPへと後進する場合にランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれるようになる位置まで本体部31を移動させる。その後、当該位置から経由位置VPまで本体部31を後進させる。上記の経由位置VPへと後進する場合にランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれるようになる位置のことを、「離反位置AP」と呼ぶことにする。具体的には、以下のようにして、本体部31は、第2走行モード開始位置から離反位置APへ移動後、離反位置APから経由位置VPまで後進する。
まず、走行制御部344は、第2走行モード開始位置において回転動作を実行して、第2走行モード開始位置において、移動平面MS上に投影した前後軸が上記の第1直線L1と平行になるよう姿勢角θを変化させる(ステップS403)。具体的には、図14Aに示すように、走行制御部344は、第2走行モード開始位置において姿勢角θが正対角度θとなるまで、本体部31を回転させる。図14Aは、本体部を第2走行モード開始位置にて正対角度まで回転させる様子を示す図である。
移動平面MSに投影した前後軸を第1直線L1と平行になるよう姿勢角θを変化後、走行制御部344は、本体部31を前進させる(ステップS404)。これにより、図14Bに示すように、本体部31は、姿勢角θを正対角度θに保ったまま、充電ステーション1から離れる方向へと進行する。図14Bは、本体部を第2走行モード開始位置から離反位置へ進行させる様子を示す図である。
図14Bに示すように、本体部31が姿勢角θを正対角度θに保ったまま充電ステーション1から離れる方向へと前進する場合の本体部31の中心点Cの軌跡は、第2走行モード開始位置を通り第1直線L1と平行な直線となる。当該第2走行モード開始位置を通り第1直線L1と平行な直線を、「離反直線LA」と呼ぶことにする。
本体部31を離反直線LA上にて前進させる間、走行制御部344は、本体部31が離反位置APに到達したか否かを判断する。具体的には、走行制御部344は、離反直線LA上の現在位置から経由位置VPへと本体部31を移動させた場合に、ランドマーク13全体が第2検出可能領域DA2内に含まれるか否かを判断する。さらに具体的には、走行制御部344は、離反直線LA上の現在位置と経由位置VPとを結ぶ直線(第3直線L3と呼ぶ)と第1直線L1とがなす角度Θ2が第2角度φ2以下であるか否かを判断する(ステップS405)。
第2角度φ2は、上記の第1角度φ1とは異なるものとして個別に算出してもよいが、本実施形態においては、第2角度φ2は第1角度φ1と等しいとしている。
本実施形態においては、走行制御部344は、第2走行モード開始位置から離反直線LA上を離反距離D1以上前進移動したときに、第3直線L3と第1直線L1とがなす角度Θ2が第2角度φ2以下であると判定する。図15に示すように、離反距離D1は、例えば、経由位置VPと、離反位置APと、離反位置APから第1直線L1への垂線と第1直線との交点CPとにより形成され、離反位置APにおける角度を第2角度φ2とした直角三角形を用いて算出できる。図15は、離反距離を算出する方法の一例を示す図である。
具体的には、例えば、まず、第2走行モード開始位置から第1直線L1(線分VPCP)に垂線を下ろしたときの交点DPの座標値を算出し、経由位置VPと当該交点DPとの間の距離D2を算出する。その後、距離D2と離反距離D1との和(D1+D2)と線分APCPの長さD3との間に成立する方程式tanφ2=D3/(D1+D2)をD1について解くことにより、離反距離D1を算出できる。なお、線分APCPの長さD3は、第2走行モード開始位置と第1直線L1(線分VPCP)との間の距離として算出できる。
第3直線L3と第1直線L1とのなす角度Θ2が第2角度φ2より大きい場合(ステップS405において「No」の場合)、すなわち、位置推定部343において推定された離反直線LA上の現在位置と第2走行モード開始位置との間の距離が離反距離D1よりも小さい場合、走行制御部344は、本体部31が離反位置APに到達していないと判断する。この場合、第2走行モードの実行プロセスはステップS404に戻る。すなわち、走行制御部344は、本体部31が離反位置APに到達するまで、本体部31の前進を継続する。
一方、第3直線L3と第1直線L1とのなす角度Θ2が第2角度φ2以下である場合(ステップS405において「Yes」の場合)、すなわち、位置推定部343において推定された離反直線LA上の現在位置と第2走行モード開始位置との間の距離が離反距離D1以上である場合、走行制御部344は、本体部31が離反位置APに到達したと判断する。
本体部31が離反位置APへ到達したと判断後、走行制御部344は、離反位置APから経由位置VPへの本体部31の移動(後進)を開始する(ステップS406)。
具体的には、図13Aに示すように、走行制御部344は、まず、離反位置APにおいて、回転動作にて本体部31の後部を経由位置VPの方向へ向ける。具体的には、走行制御部344は、上記の第3直線L3の傾きに180°(π/2(ラジアン))を加えた角度と等しくなるまで、本体部31を回転させる。
本体部31の後部を経由位置VPの方向へ向けた後、走行制御部344は、図13Bに示すように、本体部31を離反位置APから経由位置VPまで後進させる。
上記のステップS401〜S406を実行して本体部31を経由位置VPまで移動させることにより、走行制御部344は、第2検出可能領域DA2内にランドマーク13全体が含まれている状態から姿勢角θを過剰に変化させることなく、すなわち、回転量制限動作を実行して、本体部31を第2走行モード開始位置又は離反位置APから経由位置VPへと移動できる。
この結果、物体形状取得部33’は、本体部31が充電ステーション1へと移動する間、ランドマーク13の特徴的な形状を認識可能な程度の情報を常に取得できる。これにより、位置推定部343は、充電ステーション1へと移動する間、ランドマーク13の特徴的な形状を認識可能な程度の情報に基づいて、すなわち、ランドマーク13を見失うことなく、本体部31の位置と姿勢角θとを精度よく推定できる。これにより、走行制御部344は、本体部31を経由位置VPまで確実に到達できる。
また、本体部31を第2走行モード開始位置から離反位置APへと移動させるときに、走行制御部344が上記のステップS403〜S406を実行することにより、走行制御部344は、回転動作と進行動作との単純な動作のみにて、本体部31を第2走行モード開始位置から離反位置APへと移動できる。
さらに、経由位置VPへ本体部31を移動させる際に、走行制御部344は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度Θ1が第1角度φ1以下であるか否かを判断することにより、第2検出可能領域DA2内にランドマーク13全体が含まれているか否かを判定している。
また、第2走行モード開始位置から離反位置APへ本体部31を移動させる際に、走行制御部344は、第3直線L3と第1直線L1とのなす角度Θ2が第2角度φ2以下であるか否かを判断することにより、本体部31が離反位置APに到達したか否かを判断している。
これにより、走行制御部344は、より単純な計算により、第2検出可能領域DA2内にランドマーク13全体が含まれるか否か、及び、本体部31が離反位置APに到達したか否かを判断できる。
上記のステップS401〜S406を実行して本体部31を経由位置VPまで移動させた後、走行制御部344は、本体部31を経由位置VPから充電ステーション1へと移動させる。具体的には、以下のようにして、本体部31を経由位置VPから充電ステーション1へと移動させる。
まず、走行制御部344は、経由位置VPにおいて、回転動作により、移動平面MS上において前後軸が上記の第1直線L1と一致するまで本体部31を回転させる。具体的には、図16Aに示すように、走行制御部344は、経由位置VPにおいて、姿勢角θが正対角度θと等しくなるように、本体部31を回転させる(ステップS407)。
図16Aは、経由位置において本体部を正対角度まで回転させる様子を示す図である。
図16Aに示すように、経由位置VPにおいて本体部31を正対角度θまで回転させると、本体部31の後部が充電ステーション1と正対する。その結果、本体部31の後部に取り付けられた充電部36と充電ステーション1の給電部15とが正対する。
姿勢角θが正対角度θとなるまで本体部31を回転させて充電部36と給電部15とを正対させた後、走行制御部344は、本体部31を充電ステーション1まで後進させる(ステップS408)。充電部36と給電部15とが正対した状態にて本体部31が充電ステーション1に到達すると、図16Bに示すように、充電部36と給電部15とが接続される。図16Bは、充電部と給電部とが正対した状態にて本体部が充電ステーションに到達したときの様子を示す図である。
充電部36と給電部15とが接続されると、給電部15からバッテリー35を充電するための充電電力が出力される。充電部36が給電部15から出力された充電電力を入力することにより、バッテリー35が充電される。
上記のように、経由位置VPから充電ステーション1まで本体部31を移動させる際に、走行制御部344は、(i)経由位置VPにおいて姿勢角θが正対角度θとなるまで本体部31を回転し、その後、(ii)経由位置VPから充電ステーション1まで本体部31を後進させる動作を、回転量制限動作として実行している。
このように、経由位置VPに充電ステーション1まで本体部31を移動させる際に、走行制御部344が上記の(i)及び(ii)の動作を回転量制限動作として実行することにより、予め決められた方向(本体部31が充電ステーション1に正対する方向)に本体部31を向けた状態にて、本体部31を確実に充電ステーション1へと移動できる。
(5)他の実施形態
以上、本発明の一又は複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)目標物についての他の実施形態(その1)
上記の第1実施形態において、自律移動体3が第2走行モードにおいて到達する目標物は、充電ステーション1であった。しかし、これに限られず、エレベータの昇降台を目標物としてもよい。この場合、例えば、昇降台のエレベータの入口とは反対側の壁などにランドマーク13を設置することにより、自律移動体3を自律的に昇降台へ搭載できる。
(B)目標物についての他の実施形態(その2)
上記の第1実施形態において、目標物である充電ステーション1は、ランドマーク13を有していた。これにより、充電ステーション1が直方体などの単純で特徴がない形状であっても、位置推定部343は、充電ステーション1の位置を認識できる。
位置推定部343が、物体形状取得部33’にて取得した目標物の形状に基づいて、本体部31の目標物に対する相対位置を精度よく推定できればよいので、目標物は上記のランドマーク13を有するものに限られない。
例えば、充電ステーション1(目標物)の筐体11に特徴的な意匠を施すなど、筐体11自体が特徴的な形状を有していてもよい。この場合、筐体11自体が有する意匠は、物体形状取得部33’にて取得された筐体11の形状に関する情報から生成されるローカルマップ中において、筐体11の形状を認識できる程度の大きな意匠であることが好ましい。すなわち、筐体11自体が有する意匠は、物体形状取得部33’により取得した信号に含まれるノイズによりかき消されるような小さなものでないことが好ましい。
筐体11自体に特徴的な意匠などを施すことにより、目標物にランドマークを設ける必要がなくなる。
(C)姿勢角の定義についての他の実施形態
上記の第1実施形態において、姿勢角θは、前後軸と移動平面MSを定めるX軸とがなす角度として定義されていた。姿勢角θは移動平面MS上で定義できればよいので、移動平面MSを定めるX軸と前後軸とがなす角度を姿勢角θとして定義することに限られず、移動平面MSを定める任意の軸と前後軸とがなす角度を姿勢角θとして定義してもよい。
例えば、前後軸と移動平面MSを定めるY軸(図1)とがなす角度を姿勢角θとしてもよい。姿勢角θを、移動平面MSを定めるどの軸を基準に定義するかは、移動平面MSの形状などを考慮して適宜決定できる。
(D)経由位置へ移動する際の回転量制限動作についての他の実施形態
上記の第1実施形態において、第2走行モード開始位置又は離反位置APから経由位置VPへ移動する際の回転量制限動作は、(i)第2走行モード開始位置又は離反位置APにおける回転動作と、(ii)第2走行モード開始位置又は離反位置APから経由位置VPまでの進行動作(後進動作)と、を含む動作であった。
しかし、回転量制限動作は、検出可能領域DA1、DA2にランドマーク13全体(目標物(充電ステーション1)が有する特徴的な形状)が含まれるように、姿勢角θの変化量を制限する動作であればよいので、経由位置VPまで移動する回転量制限動作は上記に限られない。
例えば、図17に示すように、本体部31を離反位置AP(第2走行モード開始位置であってもよい)から経由位置VPまで移動させるときに、走行制御部344は、ランドマーク13が検出可能領域DA1、DA2内に含まれるよう姿勢角θの変化量を制限しつつ、本体部31が第1直線L1に近づくにつれて姿勢角θを正対角度θに近づけるように走行部32を制御してもよい。図17は、経由位置へ移動する際の回転量制限動作についての他の実施形態を示す図である。
本体部31が第1直線L1に近づくにつれて姿勢角θを正対角度θに近づけさせる動作は、例えば、離反位置AP(第2走行モード開始位置)から経由位置VPまで移動する際の各通過点における姿勢角θと正対角度θとの差の値を、本体部31の現在位置と第1直線L1との間の距離に基づいて決定することにより達成できる。
具体的には、例えば、本体部31が第1直線L1から離れている場合には、走行制御部344は、姿勢角θを正対角度θから大きく異ならせるよう走行部32を制御する。これにより、本体部31をより素早く第1直線L1に近づけることができる。
一方、本体部31が第1直線L1に近づいたら、走行制御部344は、姿勢角θを正対角度θに近い値とするように走行部32を制御する。これにより、本体部31が第1直線L1に近づいた場合に、本体部31が第1直線L1を超えて移動してしまうことを抑制できる。
本体部31が第1直線L1に近づくにつれて姿勢角θを正対角度θに近づけるよう走行部32を制御しつつ、本体部31を経由位置VPまで移動させることにより、経由位置VPにおいて姿勢角θが正対角度θとなるまで本体部31を回転させる必要がなくなる。その結果、本体部31が経由位置VPに到達したあと直ちに、本体部31の目標物(充電ステーション1)への進行動作を開始できる。
(E)走行部についての他の実施形態
上記の第1実施形態において、走行部32は「差動二輪型」の走行部であった。しかし、「差動二輪型」の走行部に限られず、例えば、一般的な自動車などに備わっている、本体部の前後に2つずつ車輪が配置される四輪の走行部のような進行動作と回転動作とのみにより移動する走行部を備える自律移動体においても、本発明は適用できる。
すなわち、例えば、オムニホイールを備えた走行部のように、本体部の前後軸の向き(姿勢角θ)を変えることなく斜めに移動可能な走行部以外の走行部を備えた自律移動体に対して、本発明を適用できる。
(F)物体形状取得部についての他の実施形態(その1)
物体形状取得部33’のセンサ制御部342は、レーザレンジセンサ33から複数回信号を取得してもよい。この場合、センサ制御部342は、複数回取得した信号のうち、ノイズ成分の少ない(すなわち、SN比の大きい)信号をローカルマップや環境地図などの地図情報を作成するデータとして用いてもよい。
これにより、ノイズ成分を含まないより正確な地図情報を作成できる。その結果、位置推定部343は、より精度よく本体部31の位置を推定できる。
また、上記の場合、センサ制御部342は、例えば、第1走行モードの実行時など充電ステーション1(目標物)から離れた場所を移動しているときにはレーザレンジセンサ33から1回のみ信号を取得する一方、充電ステーション1(目標物)に近づいたら複数回信号を取得してもよい。これにより、位置推定部343は、例えば、本体部31が目標物から離れている場合にはより高速に位置推定を実行しつつ、目標物に近づいたときには精度よく本体部31の位置を推定できる。
(G)物体形状取得部についての他の実施形態(その2)
上記の第1実施形態において、物体形状取得部33’は、物体Oの形状に関する情報を取得するためにレーザレンジセンサ33のみを有していた。しかし、これに限られず、物体形状取得部33’は、超音波センサなどの物体Oの存在に関する情報を取得するための他のセンサをさらに有していてもよい。
この場合、例えば、目標物に近い位置に本体部31が存在している場合には、超音波センサにより物体Oの存在を検知しレーザレンジセンサ33にてランドマークを含んだローカルマップを作成する一方、目標物から遠い位置に本体部31が存在している場合には、超音波センサとレーザレンジセンサ33との両方により物体Oの存在を検知してもよい。
本発明は、自律的に走行可能な自律移動体と、当該自律移動体が自律的に移動することにより到達する目標物と、を備える自律走行車システムに広く適用できる。
100 自律走行車システム
1 充電ステーション
11 筐体
O1 開口部
13 ランドマーク
13a 第1ランドマーク部材
13b 第2ランドマーク部材
13c 第3ランドマーク部材
13b−1、13c−1 板面
15 給電部
3 自律移動体
31 本体部
32 走行部
321a、321b モータ
323a、323b 車輪
325a、325b エンコーダ
33' 物体形状取得部
33 レーザレンジセンサ
33a 第1レーザレンジセンサ
33b 第2レーザレンジセンサ
34 制御部
341 記憶部
342 センサ制御部
343 位置推定部
344 走行制御部
345 走行スケジュール作成部
35 バッテリー
36 充電部
37 補助輪部
37a、37b補助車輪
MS 移動平面
O 物体
A2 第2走行モード開始領域
VP 経由位置
W 壁
θ 姿勢角
θ1 第1角度
θ2 第2角度
θ 正対角度
θS1 第1開始姿勢角
θS2 第2開始姿勢角
DA1 第1検出可能領域
BL1 第1境界線
BL2 第2境界線
BL3 第3境界線
Φ1 第1検出角
Φ2 第2検出角
DA2 第2検出可能領域
BL4 第4境界線
BL5 第5境界線
BL6 第6境界線
Φ3 第3検出角
Φ4 第4検出角
W1 第1幅
W2 第2幅
Θ1 第1直線と第2直線とがなす角度
Θ2 第3直線と第1直線とがなす角度
φ1 第1角度
φ2 第2角度
AP 離反位置
C 中心点
CP 交点
DP 交点
D1 離反距離
D2 距離
D3 線分APCPの長さ
L1 第1直線
L2 第2直線
L3 第3直線
LA 離反直線

Claims (10)

  1. 特徴的な形状を有するランドマークを有する目標物と、周囲に存在する物体を検出しながら自律的に移動する自律移動体と、を備えた自律走行車システムであって、
    前記自律移動体は、
    本体部と、
    前記本体部を前後へ進行させる進行動作と、前記本体部の前後方向を定める前後軸と前記本体部が移動する移動平面を定める軸とのなす角度である姿勢角を変化させて前記本体部の姿勢を変化させる回転動作とが可能な走行部と、
    前記本体部の前記前後軸上に配置され、少なくとも前記前後軸の左右側に所定の角度を有して延びる2つの境界線により形成される検出可能領域内に存在する物体の形状に関する情報を取得する物体形状取得部と、
    前記物体形状取得部により取得された前記物体の形状に関する情報に基づいて推定された前記本体部の前記移動平面上の位置及び/又は前記姿勢角に基づいて、前記走行部を制御する走行制御部と、
    を有し、
    前記本体部を前記回転動作及び/又は前記進行動作により前記目標物へと移動させる際に、前記走行制御部は、前記ランドマーク全体が前記検出可能領域内に含まれるよう、前記回転動作における前記姿勢角の変化量を制限する回転量制限動作を実行する、
    自律走行車システム。
  2. 前記走行制御部は、前記本体部を自律走行開始位置から第2走行モード開始領域内まで前記回転動作及び/又は前記進行動作によって移動させる第1走行モードと、
    前記本体部が前記第2走行モード開始領域内に到達した時に開始される走行モードであって、第2走行モード開始位置から前記目標物まで前記回転動作及び/又は前記進行動作によって前記本体部を移動させる第2走行モードと、を実行可能であり、
    前記回転量制限動作は、前記第2走行モードの実行中に実行される、
    請求項1に記載の自律走行車システム。
  3. 前記第2走行モードの実行中に、前記物体形状取得部は、前記2つの境界線のなす角度を、前記第1走行モードの実行時における前記2つの境界線のなす角度よりも小さくする、請求項2に記載の自律走行車システム。
  4. 前記目標物の近傍に設けられた経由位置をさらに備え、
    前記第2走行モードの実行中に、前記走行制御部は、前記本体部を前記経由位置を経由させてから前記目標物まで移動させるように前記走行部を制御し、
    前記本体部が前記経由位置に到達後、前記走行制御部は、前記回転動作により前記本体部が前記経由位置にあるときに前記経由位置と前記目標物とを結ぶ第1直線と前記前後軸とが一致するように前記姿勢角を調整し、次に前記経由位置から前記目標物に向けて前記本体部を進行させる動作を前記回転量制限動作として実行する、請求項2又は3に記載の自律走行車システム。
  5. 前記本体部が前記第2走行モード開始領域内にあるときに、前記走行制御部は、前記本体部が前記第2走行モード開始位置から前記経由位置へと前記進行動作する場合に前記ランドマーク全体が前記検出可能領域内に含まれるか否かを判断し、
    前記第2走行モード開始位置から前記経由位置へと前記進行動作する場合に前記ランドマーク全体が前記検出可能領域内に含まれないと判断した場合、
    前記走行制御部は、前記本体部を、前記第2走行モード開始位置から、前記経由位置へと前記進行動作する場合に前記ランドマーク全体が前記検出可能領域内に含まれるようになる離反位置へと移動させ、次に、前記離反位置から前記経由位置へと前記本体部を移動させる動作を前記回転量制限動作として実行する、
    請求項4に記載の自律走行車システム。
  6. 前記本体部が前記第2走行モード開始領域内にあるときに、前記走行制御部は、前記経由位置と前記第2走行モード開始位置とを結ぶ第2直線と前記第1直線とがなす角度を算出し、
    前記第2直線と前記第1直線とがなす角度が第1角度以下の場合に、前記走行制御部は、前記第2走行モード開始位置から前記経由位置へと前記進行動作する場合に前記ランドマーク全体が前記検出可能領域内に含まれると判断する、
    請求項5に記載の自律走行車システム。
  7. 前記第2走行モード開始位置から前記離反位置へと前記本体部を移動させる間、前記走行制御部は、前記本体部の現在位置と前記経由位置とを結ぶ第3直線と前記第1直線とがなす角度を算出し、
    前記第3直線と前記第1直線とがなす角度が第2角度以下の場合に、前記走行制御部は、前記本体部が前記離反位置に到達したと判断する、
    請求項5又は6に記載の自律走行車システム。
  8. 前記第2走行モード開始位置から前記離反位置へと前記本体部を移動させる場合において、前記走行制御部は、前記第2走行モード開始位置において前記回転動作を実行して前記第2走行モード開始位置において前記前後軸が前記第1直線と平行になるよう前記姿勢角を変化させ、次に、前記進行動作により前記本体部を前記第2走行モード開始位置から前記離反位置へと進行させる動作を前記回転量制限動作として実行する、請求項5〜7のいずれかに記載の自律走行車システム。
  9. 前記物体形状取得部はレーザレンジセンサを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の自律走行車システム。
  10. 前記目標物は充電ステーションを含み、
    前記自律移動体は、前記走行部を駆動するバッテリーと、前記本体部が前記充電ステーションに到達した状態で前記充電ステーションと充電電力のやりとりを行うことにより前記バッテリーを充電する充電部と、をさらに有する、
    請求項1〜9のいずれかに記載の自律走行車システム。
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