JP6614697B2 - 多層発泡シート及びガラス板用間紙 - Google Patents
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Description
[1]ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された帯電防止層とを有する、見掛け密度30〜300kg/m3、厚み0.05〜2mmの多層発泡シートにおいて、
該帯電防止層の片面当たりの坪量が1〜10g/m2であり、
該帯電防止層が、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、高分子型帯電防止剤、及びスチレン系エラストマーを含む混合樹脂組成物から形成されており、
該混合樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の重量割合が15〜50重量%であり、
該混合樹脂組成物中のスチレン系エラストマーの重量割合が2〜20重量%であり、
該混合樹脂組成物中において、ポリエチレン系樹脂が連続相を形成し、ポリスチレン系樹脂及び高分子型帯電防止剤が該連続相中に分散する分散相を個別に形成していることを特徴とする多層発泡シート。
[2]前記ポリスチレン系樹脂の分散相が、前記多層発泡シートの平面方向に沿って引き伸ばされており、該多層発泡シートの垂直断面において、アスペクト比(長辺方向長さ/短辺方向長さ)が3以上の前記ポリスチレン系樹脂の分散相が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の多層発泡シート。
[3]前記混合樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の重量割合が2〜30重量%であることを特徴とする前記1又は2に記載の多層発泡シート。
[4]前記1〜3のいずれかに記載の多層発泡シートからなるガラス板用間紙。
本発明の多層発泡シートは、ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された帯電防止層とからなり、サンドイッチ構造を有するものである。さらに、該多層発泡シートの帯電防止層は、後述するように特定の配合の混合樹脂組成物から形成され、さらに該混合樹脂組成物が後述するモルフォロジーを形成していることにより、本発明の多層発泡シートは緩衝性を維持しつつも、全体としてコシが強くて取扱い性に優れ、帯電防止性に優れるものである。
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルのカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分及び連続気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:多層発泡シートを脱泡して求められる樹脂の密度(g/cm3)
該発泡層はポリエチレン系樹脂により形成されている。なお、該発泡層を形成するポリエチレン系樹脂と後述する帯電防止層を形成する混合樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂とを区別するために、発泡層を形成するポリエチレン系樹脂をポリエチレン系樹脂Aともいい、該混合樹脂組成物を形成するポリエチレン系樹脂をポリエチレン系樹脂Bともいう。
ポリエチレン系樹脂Aとしては、発泡性に優れ、多層発泡シートがより緩衝性に優れたものとなることから、低密度ポリエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂が好ましい。
該帯電防止層は、ポリエチレン系樹脂B、ポリスチレン系樹脂、高分子型帯電防止剤及びスチレン系エラストマーを含む混合樹脂組成物から形成されており、該混合樹脂組成物中においては、ポリエチレン系樹脂Bが連続相を形成し、ポリスチレン系樹脂及び高分子型帯電防止剤が該連続相中に分散する分散相を個別に形成している。該混合樹脂組成物においてポリエチレン系樹脂Bが連続相を形成しているので、該帯電防止層は、発泡層との接着性に優れたものとなる。また、ポリエチレン系樹脂よりも弾性率が高いポリスチレン系樹脂が、混合樹脂組成物中で分散相を形成していることから、本発明の多層発泡シートは、従来の発泡シートと異なり、厚みが薄くても剛性に優れコシが強いものとなる。さらに、高分子型帯電防止剤が分散相を形成していることにより、帯電防止層は優れた帯電防止性を発現し、帯電防止層が積層接着された多層発泡シートは、静電荷が蓄積しにくく、埃が付着しにくいものとなる。
なお、ポリエチレン系樹脂の融点は、JIS K7121−1987のプラチックの転移温度測定方法に基づき、試験片の状態調節として「(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を選択して測定される融解ピーク温度である。
更にスチレン系エラストマーは、混合樹脂組成物のモルフォロジーを制御することができる。具体的には、混合樹脂組成物がスチレン系エラストマーを含むことにより、ポリエチレン系樹脂の連続相中に、ポリスチレン系樹脂の分散相、および高分子型帯電防止剤の分散相が個別に分散するモルフォロジーを形成することができる。
また、スチレン系エラストマー中のスチレン成分の含有量が20〜50重量%であることがより好ましく、より好ましくは30〜45重量%である。
また、発泡層に高分子型帯電防止剤を含有させることもできる。発泡層に高分子型帯電防止剤を含有させる場合には、押出時の発泡性と得られる多層発泡シートの帯電防止性能とのバランスの観点から、発泡層中の高分子型帯電防止剤の含有量は2〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜8重量%である。
該混合樹脂組成物中においては、ポリエチレン系樹脂が連続相を形成し、ポリスチレン系樹脂が分散相を形成し、高分子型帯電防止剤も分散相を形成している。即ち、ポリエチレン系樹脂が連続相を形成し、剛性に優れるポリスチレン系樹脂が分散相を形成していることから、本発明の多層発泡シートは、従来の発泡シートと異なり、厚みが薄くても、剛性に優れコシが強いものとなっている。そのため、該多層発泡シートは、真空吸引時の追従性等に優れており、厚みが薄い場合であっても、従来のものと同様に扱うことができる。また、ポリスチレン系樹脂とは別に永久帯電防止性に優れる高分子型帯電防止剤も分散相を形成している。そのため、該帯電防止層を有することにより、多層発泡シートは、帯電防止性を発現することができる。
本発明の多層発泡シートは、前記のごとく、帯電防止層の坪量が小さい場合であっても、該帯電防止層が特定の配合の混合樹脂組成物が特定のモルフォロジーを形成していることにより、十分な剛性を発現することができる。
本発明の多層発泡シートの製造方法としては、帯電防止層を形成する溶融樹脂と発泡層を形成する溶融樹脂とをダイ内にて合流積層して押出発泡する共押出発泡法が採用される。該共押出発泡方法は、帯電防止層の厚みを薄くできると共に、帯電防止層と発泡層との間の接着力が高い多層発泡シートを得ることができるので好ましい。
まず、前記ポリエチレン系樹脂Aと、必要に応じて添加される気泡調整剤などの添加剤とを発泡層形成用押出機に供給し、加熱混練してから物理発泡剤を圧入し、さらに混練してポリエチレン系樹脂発泡層形成用樹脂溶融物とする。同時に、前記ポリエチレン系樹脂Bと、前記ポリスチレン系樹脂と、前記スチレン系エラストマー、前記高分子型帯電防止剤とを帯電防止層形成用押出機に供給し、加熱混練して帯電防止層形成用樹脂溶融物とする。次に、該発泡層形成用樹脂溶融物と該帯電防止層形成用樹脂溶融物を共押出用環状ダイに導入し、積層して共押出することにより多層発泡シートを製造する。
特に帯電防止層においてポリスチレン系樹脂の分散相をシートの平面方向に引き伸ばしやすいことから、5.0〜15g/10minであることが好ましく、より好ましくは6.0〜14g/10minである。さらに、ポリスチレン系樹脂のMFRが前記範囲内であると共に、ポリエチレン系樹脂BのMFRに対して0.5〜2倍程度であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5倍であり、さらに好ましくは0.5〜1倍である。
なお、気泡調整剤の添加量は、基材樹脂100重量部当たり0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜1重量部である。
表3に示す量のポリエチレン樹脂と、表3に示す量の気泡調整剤となるようなマスターバッチとをタンデム押出機の第一押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された溶融樹脂混合物とした。次に、該溶融樹脂混合物に、表3に示す量の発泡剤としての混合ブタンを圧入し、次いで前記第一押出機の下流側に連結された第二押出機に移送して、表3に示す押出樹脂温度に温調して発泡層形成用樹脂溶融物とし、該発泡層形成用樹脂溶融物を表3に示す吐出量で前記の共押出用環状ダイに導入した。
なお、比較例2においては、帯電防止層にポリスチレン系樹脂が配合されているがスチレン系エラストマーが配合されていないため、帯電防止層の製膜性が悪く、得られた多層発泡シートの表面は荒れていた。
実施例1で得られた多層発泡シートの帯電防止層の垂直断面の透過型電子顕微鏡写真を図1及び図2に実施例2で得られた多層発泡シートの帯電防止層の垂直断面の透過型電子顕微鏡写真を図3及び図4に示す。図1〜図4において、ポリエチレン系樹脂(PE)1が連続相(海)を形成し、ポリスチレン系樹脂(PS)2がポリエチレン系樹脂1の連続相中に分散する分散相(島)を形成すると共に、高分子型帯電防止剤(帯防)3もポリエチレン系樹脂1の連続相中に分散する分散相(島)を形成しているモルフォロジー(海/島/島)が確認された。スチレン系エラストマー4は、主に、ポリエチレン系樹脂1とポリスチレン系樹脂2との界面に存在していた。また、ポリスチレン系樹脂2の大部分が多層発泡シートの平面方向に引き伸ばされて配向したアスペクト比3以上の分散相を形成していた。なお、実施例3〜5で得られた多層発泡シートにおいても、同様なモルフォロジーが確認された。
多層発泡シートの全体坪量は、ロールから巻き出した多層発泡シートからシートの全幅に亘って10cmの幅の試験片を切り出し、シートの全幅×10cmにて試験片の重量を割算することにより求めた(n=5)。
また、帯電防止層の坪量は、前記全体坪量をもとに、発泡層と帯電防止層との吐出量の比から求めた。
多層発泡シートの見掛け密度は、多層発泡シートの全体坪量を多層発泡シートの厚みで割算し、単位換算することにより求めた。
○:得られた多層発泡シートの帯電防止層に破れ無し
×:得られた多層発泡シートの帯電防止層に破れ有り
(水平垂れ下がり量)
得られたシートの押出方向と試験片の長さ方向とを一致させて、多層発泡シートの無作為に選択した10箇所から幅100mm×長さ200mmの測定用試験片をそれぞれ10枚切り出した。得られた試験片を水平な土台上に土台の端から水平方向に試験片の長さ方向を100mm突出させた状態で乗せて固定し、土台上面から垂れ下がった試験片の最下部までの垂直方向の距離を測定した。この測定を各試験片に対して行い、各測定値の算術平均値を水平垂れ下がり量とした。
(60°傾斜垂れ下がり量)
得られたシートの押出方向と試験片の長さ方向とを一致させて、多層発泡シートの無作為に選択した10箇所から幅200mm×長さ200mmの測定用試験片をそれぞれ10枚切り出した。得られた試験片を水平面より上方に60°傾斜させた土台の土台面上に土台の上端から土台面を真直ぐに延長した方向に試験片の長さ方向を100mm突出させた状態で乗せて固定し、垂れ下がった試験片の遊離先端から、土台面を真直ぐに延長した仮想面までの土台面と直交する方向の距離を測定した。この測定を各試験片に対して行い、各測定値の算術平均値を60°傾斜垂れ下がり量とした。
前記のとおり、JIS K6271(2001年)に準拠して多層発泡シートの表面抵抗率を測定した。なお、測定サンプルの両面側の表面抵抗率を測定し、それらの算術平均値を多層発泡シートの表面抵抗率とした。
2 ポリスチレン系樹脂の分散相
3 高分子型帯電防止剤の分散相
Claims (4)
- ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面側に共押出により積層接着された帯電防止層とを有する、見掛け密度30〜300kg/m3、厚み0.05〜2mmの多層発泡シートにおいて、
該帯電防止層の片面当たりの坪量が1〜10g/m2であり、
該帯電防止層が、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、高分子型帯電防止剤、及びスチレン系エラストマーを含む混合樹脂組成物から形成されており、
該混合樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の重量割合が15〜50重量%であり、
該混合樹脂組成物中のスチレン系エラストマーの重量割合が2〜20重量%であり、
該混合樹脂組成物中において、ポリエチレン系樹脂が連続相を形成し、ポリスチレン系樹脂及び高分子型帯電防止剤が該連続相中に分散する分散相を個別に形成していることを特徴とする多層発泡シート。
- 前記ポリスチレン系樹脂の分散相が、前記多層発泡シートの平面方向に沿って引き伸ばされており、該多層発泡シートの垂直断面において、アスペクト比(長辺方向長さ/短辺方向長さ)が3以上の前記ポリスチレン系樹脂の分散相が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の多層発泡シート。
- 前記混合樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の重量割合が2〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層発泡シート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の多層発泡シートからなるガラス板用間紙。
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