JP6609444B2 - 血管病変の評価方法および血管病変評価用キット - Google Patents

血管病変の評価方法および血管病変評価用キット Download PDF

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Description

本発明は、miR−214およびmiR−126からなる群から選択されるバイオマーカーを用いた血管病変の評価方法および、当該バイオマーカーの検出物質を含む血管病変評価用キットに関する。
近年、種々の疾病や障害を迅速かつ簡便に検出する手段として、バイオマーカーの利用開発が行われている。例えば、特許文献1には、卵巣癌を診断する方法として、miR−21、miR−141、miR−200a、miR−200b、miR−200c、miR−203、miR−205及びmiR−214からなる群より選択されるマイクロRNA(miRNA)の量を指標とする発明が開示されている。
一方、血管病変は血管またはリンパ管の限局性のなんらかの病理学的変化、障害または疾患をいい、血管腫(Hemangioma;血管増殖の結果、新生物に類似した腫瘤となったもの)や血管肉腫(Hemangiosarcoma;血管由来の未分化細胞からなる悪性新生物)などの良性または悪性の腫瘍や、アテローム性動脈硬化等の動脈硬化が挙げられる。このうち、血管肉腫は、ヒトでは稀ながら、イヌでは癌の5〜7%程度を占める主要な癌として知られている。血管肉腫は予後不良であり、早期発見手段の開発に対して強い要請がある。特許文献2には、miR−503、miR−193b、let−7e、miR−451、miR−423a、およびmiR−551bからなる群から選択される1又は2つ以上のmiRNAの発現量の増加を指標として哺乳動物の血管肉腫を検出する方法が記載されている。
特開2010−534480号公報(国際公開第2009/015357号に相当) 特開2014−082953号公報
バイオマーカーを用いることで病理学的変化等を迅速かつ簡便に検出することが期待されるものの、従来のバイオマーカーでは、血管病変の評価において特異性および感度の点において十分でない場合があった。したがって、本発明は、血管肉腫をはじめとする血管病変を、特異的且つ高感度に検出する手段を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、血管病変を罹患した患者では、miR−214およびmiR−126の少なくとも一方の発現レベルが上昇することを見出した。これにより、miR−214およびmiR−126からなる群から選択されるバイオマーカーを用いること、特に、miR−214とmiR−126とを組み合わせて用いることにより、特異的且つ高感度に血管病変を検出できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明によれば、特異的且つ高感度に血管病変を検出できる。
図1は、イヌ正常血管内皮細胞(CnAOEC細胞)ならびにイヌ血管肉腫由来培養細胞(Re12細胞、およびUd6細胞)を用いて、培地に分泌されたバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルを測定した結果である。 図2は、健康群、非腫瘍性脾疾患群および血管肉腫罹患群のイヌから回収した血漿中のバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルを測定した結果である。 図3は、実施例2における試験データを、miR−214およびmiR−126をそれぞれ独立したバイオマーカーとした場合の統計解析結果である。 図4は、健康群、非腫瘍性脾疾患群および血管肉腫罹患群の各個体におけるmiR−214、miR−126の発現レベルを示す。 図5は、実施例2における試験データを、miR−214およびmiR−126を組み合わせてバイオマーカーとした場合の統計解析結果である。 図6は、血管肉腫摘出前後における、血漿中のバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルを測定した結果である。 図7は、ヒト血管内皮細胞(HMEC1細胞)ならびにヒト血管肉腫由来培養細胞(ISO−HAS細胞、およびHAMON細胞)を用いて、培地に分泌されたバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルを測定した結果である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
本発明の第1の形態は、被験者における血管病変の評価方法であって、前記被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを測定すること、および前記バイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含み、前記バイオマーカーが、miR−214およびmiR−126からなる群から選択される、血管病変の評価方法に関する。本発明によれば、特異的且つ高感度に血管病変を検出できる。なお、本明細書における「測定」には、定量、半定量および検出のいずれの概念も包含される。さらに、「発現レベルを測定する」ことには、miRNAを直接的に測定する場合のほか、RT−PCR等によりmiRNAを一旦cDNAへと変換した後に当該cDNAを測定する場合のように、mRNAを間接的に測定する場合も包含される。また、「検出物質」には、miRNAに直接的にハイブリダイズして検出する物質のほか、RT−PCR等によりmiRNAを一旦cDNAへと変換した後に当該cDNAにハイブリダイズして検出する物質の両方を含む。
本発明においては、バイオマーカーとしてmiR−214およびmiR−126からなる群から選択されるmiRNA(マイクロRNA)を用いる。miRNAは、細胞内在性の、20〜25塩基程度の非コードRNAである。miRNAは、ゲノムDNA上のmiRNA遺伝子から、まず数百〜数千塩基程度の長さの一次転写物(pri−miRNA)として転写される。次いで、プロセシングを受けて約60〜70塩基程度のヘアピン構造を有するpre−miRNAとなる。その後、核から細胞質内に移り、さらにプロセシングを受けて20〜25塩基程度の二量体(ガイド鎖およびパッセンジャー鎖)からなる成熟miRNAとなる。成熟miRNAは、そのうちのガイド鎖(アンチセンス鎖)がRISC(RNA−Induced Silencing Complex)と呼ばれるタンパク質と複合体を形成し、標的遺伝子のmRNAに作用することで、標的遺伝子の翻訳を阻害する働きをすることが知られている。
ある種の細胞は、タンパク質や核酸等の分子を脂質二重膜構造に内包した小胞を細胞外に分泌することが知られており、これらの小胞はマイクロベシクルやナノベシクル等として知られている。分泌された小胞は他の細胞と融合し、内包するタンパク質や核酸等の分子を当該他の細胞へ伝達する機能を果たしていると考えられている。小胞に内包される分子は細胞の種類によって相違すると考えられている。したがって、腫瘍細胞が分泌する小胞に特異的に内包される分子を指標として、腫瘍検出のためのバイオマーカーとして利用することも検討されている。小胞に内包される分子として、ある種のmiRNAが細胞の種類特異的に含まれることも知られている。
一方、本発明者らは、障害を受けた血管内皮細胞(特に、血管内皮腫瘍細胞)が、細胞外へmiR−214およびmiR−126を多く分泌することを見出した。本発明の技術的範囲を制限するものではないが、これは、障害を受けた血管内皮細胞(特に、血管内皮腫瘍細胞)が、他の細胞へのシグナルとしてmiR−214およびmiR−126を利用しており、その伝達手段として分泌する小胞内にこれらの分子が含まれているためではないかと考えられる。なお、本発明で発現レベルの測定対象や検出物質の検出対象とされるmiRNAは、pri−miRNA、pre−miRNA(pri−miRNA、およびpre−miRNAを、「前駆体miRNA」とも称する。)および成熟miRNAのいずれであってもよいが、好ましくは成熟miRNAである。
本明細書における「被験者」は、miR−214および/またはmiR−126を発現するヒトおよび非ヒト動物を含む動物であれば特に制限されないが、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物であることが好ましい。測定対象であるmiR−214およびmiR−126は、上記のような多くの哺乳動物において存在が確認されている。このうち、本発明にかかる血管病変の評価方法は、ヒトまたはイヌに対して好適に用いられる。例として、ヒトおよびイヌの成熟miR−214(配列番号1)および成熟miR−126(配列番号2)配列を示す。成熟miR−214および成熟miR−126のヌクレオチド配列は、ヒトおよびイヌを含む哺乳類で共通である。
本発明において用いられる「生体試料」は、被験者から生体外に取出された細胞、組織または体液、例えば生検、穿刺吸引物、剥離物、細胞浸出液など、を意味する。特に限定されないが、より具体的には、例えば、尿、粘液、唾液、涙、血液、血漿、血清、痰、脊髄液、胸水、乳頭吸引物、リンパ液、気道液、腸液、泌尿生殖管液、母乳、***、脳脊髄液、気管系内体液、腹水、嚢胞性腫瘍体液、および羊水液が例示できるが、入手の容易さの観点から血液、血漿、および血清からなる群から選択されることが好ましい。生体試料の分離方法は、本技術分野において従来公知の手段により行えばよい。
本明細書において「血管病変」とは、血管またはリンパ管の限局性の病理学的変化、障害または疾患をいい、特に限定されるものではないが、例えば、血管腫(例えば、血管芽腫、血管内皮腫、血管外皮腫、毛細血管性血管腫、乳児毛細血管性血管腫、海綿状血管腫、蔓状血管腫、硬化性血管腫、老年性血管腫、クモ状血管腫、イチゴ状血管腫、疣贅状血管腫、リンパ管腫、蛇行性血管腫)、血管肉腫(例えば、悪性血管内皮腫、悪性血管外皮腫、カポジ肉腫)、アテローム性動脈硬化、肥厚性動脈硬化、高血圧性動脈硬化、血管内膜炎、冠状動脈疾患、脳卒中、心筋梗塞、再狭窄、および糖尿病性血管障害等が例示できる。本発明は特に、血管腫または血管肉腫の検出に好適に用いられ、より好ましくは、血管肉腫の検出に用いられる。
本発明においては、バイオマーカーとしてmiR−214およびmiR−126の少なくとも一方を用いるが、好ましくは、特異性および感度を顕著に向上できるという観点から、バイオマーカーとして、miR−214およびmiR−126の発現レベルを測定する。バイオマーカーの発現レベルの測定には、従来公知の定量的・半定量的手法が採用でき、例えば、発現レベルの測定は、核酸増幅法、マイクロアレイ法、またはノーザンブロット法により行われてもよい。より好ましくは、配列特異性の高さの観点から、核酸増幅法によって発現レベルの測定が行われる。以下、代表的な発現レベルの測定方法として核酸増幅法、ノーザンブロット法、およびマイクロアレイ法についてさらに説明するが、発現レベルの測定方法が下記に限定されるものではない。
核酸増幅法を用いる場合は、バイオマーカー(miR−214、miR−126)の成熟miRNAに相当する領域(例えば、連続する7〜25残基)を含むように設定したプライマーを用いる核酸増幅法により、バイオマーカー(miR−214、miR−126)の成熟miRNAの塩基配列を含むRNAまたはそのcDNAの部分領域を特異的に増幅し、増幅産物を測定することを含む。ここで、「領域に設定した」とは、ストリンジェントな条件下でその領域とハイブリダイズするという意味であり、バイオマーカー(miR−214、miR−126)のガイド鎖に対するリバース側プライマーを用いる場合と、フォワード側プライマーを用いる場合の両者が包含される。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば成書に記載の条件(サムブルック(Sambrook)ら編、「モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版」、1989年、コールドスプリングハーバーラボラトリー、特に11.45節“Conditions for Hybridization of Oligonucleotide probes”等)にしたがって決定でき、特に制限されない。ストリンジェントな条件は、塩濃度、温度、およびその他の条件によって決まり、例えば、塩濃度が低いほど、温度が高いほど、ストリンジェンシーは高くなり、プライマーとRNA(または、そのcDNA)とがハイブリダイゼーションしにくくなる。塩濃度は、一般に、SSC溶液(NaCl+クエン酸三ナトリウム)の濃度を調節することによって調節され、ストリンジェントな塩濃度は、例えば、NaCl約250mM以下およびクエン酸三ナトリウム約25mM以下である。ストリンジェントな温度は、一般に、完全ハイブリッドの融解温度(Tm)より15〜25℃低い温度であり、例えば、約30℃以上である。溶液に有機溶媒(例えばホルムアミド)を加えることにより、温度を下げることができる。その他の条件としては、ハイブリダイゼーション時間、洗浄剤(例えば、SDS)の濃度、およびキャリアーDNAの存否等であり、これらの条件を組み合わせることによって、様々なストリンジェンシーを設定することができる。好ましい例として、250mM NaCl、25mM クエン酸三ナトリウム、1% SDS、50% ホルムアミド、200μg/mLの変性サケ***DNAの条件で、42℃の温度によりハイブリダイゼーションを行う。また、ハイブリダイゼーション後の洗浄の条件もストリンジェンシーに影響する。この洗浄条件もまた、塩濃度および温度によって定義され、塩濃度の減少と温度の上昇によって洗浄のストリンジェンシーは増加する。好ましい例として、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1% SDSの条件で、68℃の温度にて洗浄を行う。また、「特異的に増幅する」とは、miR−214またはmiR−126のいずれか一方の成熟miRNAの塩基配列を含むRNAまたはそのcDNAの部分領域は増幅されるが、当該測定対象であるmiR−214またはmiR−126以外の成熟miRNAの塩基配列を含むRNAまたはそのcDNAの部分領域は増幅されないことを意味する。なお、プライマーのサイズは特に限定されないが、通常13〜30塩基程度であり、好ましくは15〜25塩基程度である。
テンプレートとなるRNAの部分領域と同じ塩基配列(ただしuはtになる)を有するDNA(cDNA)を得る好ましい例として、逆転写PCR(RT−PCR)が挙げられる。RT−PCRでは、生体試料からRNAを常法により抽出し、逆転写酵素の作用によりRNAをテンプレートとして第一鎖cDNAを生成させ、さらにこの第一鎖cDNAをテンプレートとして相補鎖を生成させて、二本鎖cDNAを得る。次いで、得られた二本鎖cDNAをテンプレートとしてPCRを行い、該cDNAまたはその部分領域を増幅する。RT−PCR自体は周知の技術であり、そのためのキットや装置も市販されているため、容易に実施することができる。
なお、RT−PCRを行う場合、最初のRNAの抽出時に混入するゲノムDNAに含まれる偽遺伝子を鋳型とする増幅が起きる場合がある。従って、用いるプライマーセットは、このような偽遺伝子に起因する増幅が起きないプライマーを選択したセットであることが好ましい。偽遺伝子に起因する増幅が起きるか否かは、例えば、そのプライマーセットを用い、ゲノムDNAをテンプレートとしてPCRを行った場合に、cDNAを鋳型としてPCRを行った場合と同じサイズの増幅産物のみが生成するか否かにより判定することができる。
核酸増幅の一般的な手法が、PCRである。PCR自体は常法に従って行うことができる。そして、PCRによる増幅後に、増幅産物の発現レベルを測定する。かような発現レベルの測定も、常法により行うことができる。さらに、増幅産物の電気泳動バンドの蛍光強度測定や、太さの目視判定のような、簡易定量または半定量も「測定」の概念に包含される。発現レベルの測定は、例えば逆転写産物を電気泳動にかけ、増幅バンドを検出することにより行うこともできる。また、蛍光標識したヌクレオチド三リン酸の存在下にPCRを行うことによって逆転写産物を蛍光標識し、増幅バンドの蛍光強度を測定することによっても、発現レベルを測定できる。さらに、電気泳動パターンをナイロンやニトロセルロースからなるメンブレンに転写し、逆転写産物にハイブリダイズする標識プローブをハイブリダイズさせて、標識を検出または定量する(PCR−サザン(Southern)法)によっても行うことができる。さらには、逆転写産物にハイブリダイズするプローブを固相化し、上記増幅工程を標識ヌクレオチド三リン酸の存在下に行い、固相化プローブに逆転写産物を結合させ、固相に結合された逆転写産物を測定することによっても行うことができる。これらはいずれも常法であり、周知の知見が適宜参照されうる。
上述したRT−PCRの逆転写産物を用いて、リアルタイムPCR(定量PCR)によりバイオマーカーの発現レベルを測定してもよい。あるいは、上記の逆転写反応とリアルタイムPCR(定量PCR)による定量を同一チューブ内で行う、いわゆるワンステップRT−PCRによってバイオマーカーの発現レベルを測定してもよい。リアルタイムPCR(定量PCR)は蛍光色素を用いた従来公知の手法で行えばよく、TaqMan(登録商標)プローブ法およびインターカレータ法(SYBR(登録商標) Green I)のいずれであってもよい。配列特異性の高さから、本発明においては、好ましくは、TaqMan(登録商標)プローブ法によってバイオマーカーの発現レベルを測定する。
以上、本発明の測定方法をPCR法によりおこなう場合を例に挙げて詳細に説明したが、本発明の測定方法は、上述したプライマーを用いてバイオマーカー(miR−214、miR−126)の成熟miRNAの塩基配列を含むRNAまたはそのcDNAの部分領域の増幅を行う方法であれば、他の核酸増幅法を利用するものであってもよい。
バイオマーカーの発現レベルの測定は、ノーザンブロット法により行ってもよい。ノーザンブロット法に用いるプローブは、バイオマーカー(miR−214、miR−126)の成熟miRNAに相当する領域(例えば、連続する7〜25残基)を含むように設定したプローブである。プローブは、上記のプライマーと同様、検出対象であるバイオマーカー(miR−214、miR−126)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なものであり、例えば、検出対象と、70%以上(例えば、80%以上、90%以上、92%以上、95%以上、99%以上、100%)相補的であり得る。プローブは検出対象であるバイオマーカー(miR−214、miR−126)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なものであれば特に制限されず、DNAプローブやRNAプローブのいずれであってもよく、あるいは、LNA(登録商標)などの架橋化した核酸など化学修飾されたもの、非天然塩基(人工塩基)を含むものでもよい。プローブ長さは、例えば、5〜30残基であり、好ましくは10〜25残基である。プローブは、放射線標識、蛍光色素、ジゴキシゲニン(DIG)、ビオチン、酵素等の標識化物質によって検出可能に標識化されたものである。
ノーザンブロットは本技術分野において周知の手法により実施することができる。詳細には、生体試料から抽出したRNAをゲル電気泳動によって分画し、ニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレン等のメンブレンに転写する。次いで、メンブレンを前述のプローブ存在下、緩衝液中でインキュベートする。その後、プローブの標識を検出することによって、プローブとハイブリダイズしたmiRNAを検出できる。発現レベルの測定はバンド強度を数値化すればよく、例えば、放射性物質で標識したプローブを使用する場合はオートラジオグラフィー等の手法により行えばよい。
バイオマーカーの発現レベルの測定は、マイクロアレイ法により行ってもよい。マイクロアレイに用いるプローブは、検出対象であるバイオマーカー(miR−214、miR−126)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な、上記したようなものである。同一の検出対象に対してハイブリダイズする複数のプローブを、同一のアレイに別々のスポットとして配置してもよい。
アレイ技法は公知で、遺伝子発現を解析するために用いられている(Chee,M.et al.(1996)Science,.274,610−613)。例えば、ポリL−リジン等による表面処理がなされたガラス、プラスチック、ポリマー、ラテックス、金属などの基材に、上記のプローブが位置指定可能に配置される。プローブの配置は、スポッターやアレイヤーによってプローブを付着させてもよく、または、光リソグラフィーやインクジェットプリント等の手段により基材上でプローブを合成してもよい。
本発明にかかる評価方法では、以上により測定した生体試料におけるバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルを、基準値と比較する。
ある実施形態では、基準値は、健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルである。当該基準値は、複数(例えば、5〜1000個体)の健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルの平均値または中央値であり得る。この場合、バイオマーカー発現レベルが、基準値以下のときは血管病変を有しない指標であるとし、基準値を超えるときは血管病変を有する指標であるとすることができ、基準値は健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルである。さらなる実施形態では、基準値は、健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベル(または、複数(例えば、5〜1000個体)の健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルの平均値または中央値)を1.2倍(あるいは、1.5倍)した値である。
ある実施形態では、基準値は、同一の被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルであり得る。例えば、血管病変を罹患した被験者において、治療的処置(例えば、投薬、外科的処置)前における生体試料中のバイオマーカー発現レベルを基準値として、治療的処置(例えば、投薬、外科的処置)を施した後の同一被験者について、本発明により血管病変の検出を行ってもよい。この場合、治療的処置後の被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルが、基準値未満のときは血管病変を有しない指標であるとし、基準値以上のときは血管病変を有する指標であるとし、基準値は治療的処置前における同一被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルである。別の実施形態では、基準値は、同一の被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを0.8倍(あるいは、0.6倍)した値である。医学的に適切な治療的処置は、当業者において適宜選択され、公知である。バイオマーカー発現レベルは被験者における血管病変を評価する指標となるため、本発明の一実施形態では、被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを測定すること、およびバイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含み、バイオマーカーがmiR−214およびmiR−126からなる群から選択される、被験者における血管病変のデータ取得方法が提供される。別の実施形態では、血管病変患者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを測定すること、およびバイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含み、バイオマーカーがmiR−214およびmiR−126からなる群から選択される、血管病変患者の治療を管理する方法が提供される。
本発明においては、miR−214およびmiR−126からなる群から選択されるバイオマーカーの少なくとも一方について測定した発現レベルを基準値と比較することにより血管病変の評価を行ってもよいが、miR−214およびmiR−126の両者について測定した発現レベルをそれぞれ基準値と比較することにより血管病変の評価を行うことが、特異性および感度が顕著であるという観点から好ましい。このとき、miR−214およびmiR−126の少なくとも一方の発現レベルが基準値以下(または、基準値未満)の場合は血管病変を有しない指標であるとし、miR−214およびmiR−126の発現レベルがともに基準値を超える(または、基準値以上の)場合は血管病変を有する指標であることができる。これにより、バイオマーカーとしての特異性が高くなる。あるいは、miR−214およびmiR−126の発現レベルがともに基準値以下(または、基準値未満)の場合は血管病変を有しない指標であるとし、miR−214およびmiR−126の少なくとも一方の発現レベルが基準値を超える(または、基準値以上の)場合は血管病変を有する指標であることができる。これにより、バイオマーカーとしての検出感度が高くなる。あるいは、miR−214およびmiR−126の発現レベルがともに基準値以下(または、基準値以上の)の場合を病態レベル1(健常)、miR−214およびmiR−126の少なくとも一方の発現レベルが基準値を超える(または、基準値以上の)場合をレベル2、ならびにmiR−214およびmiR−126の発現レベルがともに基準値を超える(または、基準値以上の)場合をレベル3として、血管病変の病態を段階的に評価するために使用することもできる。以上の判断手法は、評価の目的に応じて選択して使用することができる。
本発明の一実施形態では、上記のバイオマーカーの測定値を補正するため、バイオマーカー発現レベルの測定に用いる同一生体試料中の内在性コントロール発現レベルをさらに測定してもよい。すなわち、本発明の一実施形態では、生体試料中の内在性コントロール発現レベルを測定すること、および内在性コントロール発現レベルにより補正したバイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含む。内在性コントロール発現レベルにより補正したバイオマーカー発現レベルを基準値と比較することで、より信頼性の高い評価を行うことができる。内在性コントロールの発現レベルは、上記のバイオマーカー発現レベルと同一の方法により測定することができる。なお、本実施形態では、基準値として用いられる発現レベルも、同様にして内在性コントロール発現レベルにより補正した値である。
内在性コントロールとしては、β−アクチン、GAPDH(グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ)、HPRT1(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1)、5S rRNA等のハウスキーピング遺伝子を用いてもよいが、測定試料の調製が容易であるという観点から、好ましくは、let−7a、miR−16、RNU48、U6、U47、RNU6B、snoRNA202、snoRNA234、RNU24、RNU38B、またはZ30等の低分子RNAまたはそのcDNAである。これらの内在性コントロールは、測定される生体試料によって適宜選択され得る。
内在性コントロール発現レベルによりバイオマーカー発現レベルを補正するためには、検出されたバイオマーカーの測定値を、検出された内在性コントロールの測定値で除し、算出された値をバイオマーカー発現レベルとして用いればよい。
本発明の第2の形態は、miR−214およびmiR−126からなる群から選択されるバイオマーカーの検出物質を含む、血管病変評価用キットに関する。本発明によれば、特異的且つ高感度に血管病変を検出できる。
本発明に用いられる「バイオマーカーの検出物質」は、核酸増幅法、ノーザンブロット法、およびマイクロアレイ法等のmiRNAの発現レベルの測定に用いられる検出物質であり、例えば、上記のような核酸増幅用プライマー、およびプローブが例示できる。当該キットは、miR−214およびmiR−126からなる群から選択される少なくとも一方のバイオマーカーについての検出物質を含む。好ましくは、上記のようにmiR−214およびmiR−126の両者の発現レベルを測定することによりバイオマーカーとしての特異性および感度を顕著に向上できることから、キットは、バイオマーカーの検出物質として、miR−214検出物質およびmiR−126検出物質を含む。より好ましくは、本発明にかかるキットは、上記の内在性コントロール検出物質をさらに含む。
キットの形態は乾燥状態でもよく、検出物質が溶液に溶解された状態でもよい。あるいは、マイクロアレイの基材、マイクロタイタープレート、または樹脂もしくは金属製のビーズ等を担体として、当該担体に検出物質が固定化された状態でもよい。また、キットは、上記の検出物質に加えて、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)、dNTP、オリゴdTプライマー、ランダムプライマー、RNase阻害剤、RNaseH、標識化物質、緩衝液等を含めて測定用キットにすることもできる。さらに、本発明の評価方法を実行するために使用できる各種機器や、使用説明書を含んでもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《実施例1》
イヌ正常血管内皮細胞(CnAOEC細胞)およびイヌ血管肉腫由来培養細胞(Re12細胞、およびUd6細胞)を用いて、培養中に培地に分泌されたバイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(RNU6B)の発現レベルを測定した。
(細胞培養)
イヌ正常血管内皮細胞(CnAOEC細胞)は、CELL APPLICATIONS社より購入した。
イヌ血管肉腫由来培養細胞(Re12細胞、およびUd6細胞)は以下のように調製した。すなわち、血管肉腫に罹患した2個体のイヌから採取した腫瘍細胞を、ヌードマウスの皮下に1×10cell/匹となるように移植した。移植処置から2〜4週間後、形成された腫瘍を摘出し、細胞培養用のフラスコにて10%(v/v)の熱不活化FBS(シグマ−アルドリッチ株式会社)を添加したDME培地中で腫瘍細胞を培養した。その後、腫瘍細胞集団から細胞株のクローニングを行い、2個体からそれぞれ増殖活性の高かった株として、Re12細胞およびUd6細胞を単離した。
なお、細胞の培養は、37℃のインキュベーター(95%空気/5%CO)内で行った。
(マーカーの測定)
1×10cell/mlの濃度で6ウェルプレートに播種した細胞を、上記条件で48時間培養した。次いで、培養後の培地をすべて回収し、NucleoSpin miRNA(タカラバイオ株式会社)を用いて低分子RNAを回収した。PrimeScript(登録商標)RT reagent kit(タカラバイオ株式会社)を用いて、回収したRNAの逆転写反応を行い、得られたcDNAをバイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(RNU6B;RNA, U6B small nuclear)の発現レベル測定用試料とした。
バイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(RNU6B)の発現レベル測定は、TaqMan(登録商標)プローブを用いた定量PCR法により行った。具体的には、反応試薬としてPremix EX Taq(Probe qPCR)(タカラバイオ株式会社)を用い、7500リアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステムズ)により測定を行った。また、プライマーセットおよびプローブとして、TaqMan(登録商標)MicroRNA Assays(アプライドバイオシステムズ)を用いた。
内在性コントロール(RNU6B)発現レベルで補正したバイオマーカー(miR−214、miR−126)発現レベルを、結果を図1に示す。図1に示す通り、正常血管内皮細胞(CnAOEC細胞)と比べて、血管肉腫由来培養細胞ではmiR−214の培地への分泌量が多かった。また、血管肉腫由来培養細胞のうち、Re12細胞は、miR−126の分泌量も多かった。
《実施例2》
イヌの健康群(n=10)、非腫瘍性脾疾患群(n=9)、および血管肉腫罹患群(n=10)から、それぞれ3〜4mlの血液を採血管(エチレンジアミン四酢酸−2ナトリウム処理)に回収した。血液から速やかに血漿を回収し、使用時まで−80℃にて保管した。血漿サンプルからNucleoSpin miRNA(タカラバイオ株式会社)を用いて低分子RNAを回収した。内在性コントロールとしてmiR−16を用いた以外は実施例1と同様の手法により、バイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(miR−16)の発現レベルを測定した。
内在性コントロール(miR−16)発現レベルで補正したバイオマーカー(miR−214、miR−126)発現レベルについての結果を、図2に示す(Control:イヌ健康個体群、NNS:イヌ非腫瘍性脾疾患群、HSA:イヌ血管肉腫罹患群)。図2Aに示す通り、血管肉腫罹患群では、miR−214および/またはmiR−126の血漿中で高い発現レベルを示す個体が多かった。血管肉腫罹患群においては、HSA3のようにmiR−214およびmiR−126の発現レベルがともに高い個体;HSA10のようにmiR−214の発現レベルが高く、miR−126の発現レベルがやや高い個体;HSA9のようにmiR−214の発現レベルが低く、miR−126の発現レベルが高い個体、等が確認された。
図2Aの結果について、スティール法により統計解析を行った結果を図2Bに示す(図2B中、「**」は統計的有意差があることを示す。)。図2Bに示す通り、血管肉腫罹患群では、健康群や非腫瘍性脾疾患群と比較して、血漿中でのバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルが上昇していた。
上記結果を医療統計解析ソフトGraphPad Prism6(グラフパッドソフトウェア社)にて解析した結果を図3A(miR−214)およびB(miR−126)に示す。図3において、縦軸(Sensitivity%)はバイオマーカーとしての感度(値が高いほど、偽陰性を示す確率が低いことを示す)を、横軸(Specificity%)はバイオマーカーとしての特異性(値が高いほど、偽陽性を示す確率が低いことを示す)を示す。図3において、AUC(曲線下面積)が大きいほど、信頼度が高いことを示す。AUC(曲線下面積)は0.9以上であればよいが、特異性および感度の観点から、0.95以上が好ましい(最大値:1.0)。図3に示す通り、miR−214(AUC=0.9)およびmiR−126(AUC=0.94)は、血管病変の検出に利用し得ることが分かる。
内在性コントロール(miR−16)発現レベルで補正したmiR−214発現レベルを横軸に、内在性コントロール(miR−16)発現レベルで補正したmiR−126発現レベルを縦軸にプロットした結果を図4に示す。図4に示す通り、血管肉腫罹患群の個体では、miR−214およびmiR−126の少なくとも一方について、発現量が多くなる傾向にあった。さらに、miR−214およびmiR−126の両者を組み合わせてバイオマーカーとした場合について、医療統計解析ソフトGraphPad Prism6(グラフパッドソフトウェア社)にて解析した結果を図5に示す。図5に示す通り、miR−214およびmiR−126の両者を組み合わせることにより、miR−214およびmiR−126をそれぞれ単独でバイオマーカーとして用いた場合と比べて、特異性および感度において一層優れた血管病変バイオマーカーとなる(AUC=0.97)ことが分かる。
《実施例3》
実施例2で用いた血管肉腫罹患群のうち3個体について、腫瘍摘出手術を行った。腫瘍摘出手術前後における血漿中のバイオマーカーの発現レベルを測定した。具体的には、血管肉腫罹患個体であるHSA3、HSA6およびHSA8から、手術当日を0日目として、初診時から術前日までに採血した。それぞれの個体から腫瘍摘出手術を行い、20日目(HSA3)、21日目(HSA6)または15日目(HSA8)に再度採血した。回収した血液から血漿を調製し、上記と同様の手法によりバイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(miR−16)の発現レベルを測定した。
腫瘍摘出手術前後での、血漿中の内在性コントロール(miR−16)発現レベルで補正したバイオマーカー(miR−214、miR−126)発現レベルを、図6に示す(図6A:miR−214、 図6B:miR−126、縦軸は対数表示)。なお、図6において、「FC」の下の数値はFold−Change(倍率変化;手術前における発現レベルを1としたときの、手術後における発現レベル)を意味する。また、図6中、「**」は統計的有意差があることを示す。
図6に示す通り、HSA3およびHSA6については、血漿中のバイオマーカー(miR−214、miR−126)の発現レベルが低下していた。一方、HSA8についてはmiR−126の発現レベルに低下傾向が認められるものの、miR−214はほとんど変動が認められなかった。したがって、血管病変のバイオマーカーとしてmiR−214およびmiR−126の両者について発現レベルを測定することで、より高感度な血管病変の評価が可能であることが分かる。
《実施例4》
ヒト血管内皮細胞(HMEC1細胞)およびヒト血管肉腫由来培養細胞(ISO−HAS細胞、およびHAMON細胞)を用いて、培養中に培地に分泌されたバイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(miR−16)の発現レベルを測定した。
(細胞培養)
HMEC1細胞(ヒト血管内皮細胞)は、MCDB131培地(10ng/ml EGF、1μg/mlハイドロコルチゾン、10mMグルタミン、10%(v/v)ウシ胎児血清を含む)にて培養した。ISO−HAS細胞(ヒト血管肉腫由来培養細胞、International Journal of Cancer (1999),81(2)305〜308参照)は、DME培地(15%(v/v)ウシ胎児血清、50%(v/v)ISOS−1細胞培養上清(15%(v/v)ウシ胎児血清を含むDME培地でISOS−1細胞を3〜4日培養し、0.22μmフィルタでろ過して回収)を含む)にて培養した。HAMON細胞(ヒト血管肉腫由来培養細胞、Journal of Dermatological Science (2013),70(2),116〜122参照)は、DME培地(牛胎児血清10%を含む)にて培養した。
(マーカーの測定)
1〜2×10cell/mlの濃度で6ウェルプレートに播種した細胞を、37℃のインキュベーター(95%空気/5%CO)内で48時間培養した。培養後の培地を回収し、以下のプライマーおよびプローブを用いて実施例1、2に準じてバイオマーカー(miR−214、miR−126)および内在性コントロール(miR−16)の発現レベルを測定した。
内在性コントロール(miR−16)発現レベルで補正したバイオマーカー(miR−214、miR−126)発現レベルを、結果を図7に示す。図7に示す通り、ヒト血管内皮細胞(HMEC1細胞)と比べて、ヒト血管肉腫由来培養細胞はmiR−214の培地への分泌が多かった。また、血管肉腫由来培養細胞のうち、HAMON細胞は、miR−126の分泌量も多かった。

Claims (8)

  1. 被験者における血管病変の評価方法であって、
    前記被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを測定すること、および
    前記バイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含み、
    前記バイオマーカー発現レベルが、前記基準値以下の場合は血管病変を有しない指標であるとし、前記基準値を超える場合は血管病変を有する指標であるとし、前記基準値は健常な個体から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルであり、
    前記血管病変が、血管肉腫であり、
    前記バイオマーカーが、miR−214およびmiR−126からなる群から選択される、血管病変の評価方法。
  2. 被験者における血管病変の評価方法であって、
    前記被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルを測定すること、および
    前記バイオマーカー発現レベルを基準値と比較することを含み、
    治療的処置後の前記被験者から分離した生体試料中の前記バイオマーカー発現レベルが、前記基準値未満のときは血管病変を有しない指標であるとし、前記基準値以上のときは血管病変を有する指標であるとし、前記基準値は当該治療的処置前における同一被験者から分離した生体試料中のバイオマーカー発現レベルであり、
    前記血管病変が、血管肉腫であり、
    前記バイオマーカーが、miR−214およびmiR−126からなる群から選択される、血管病変の評価方法。
  3. 前記バイオマーカーとして、miR−214およびmiR−126の発現レベルを測定する、請求項1または2に記載の血管病変の評価方法。
  4. 前記発現レベルの測定が、核酸増幅法、マイクロアレイ法、またはノーザンブロット法により行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の血管病変の評価方法。
  5. 前記生体試料中の内在性コントロール発現レベルを測定すること、および
    当該内在性コントロール発現レベルにより補正した前記バイオマーカー発現レベルを前記基準値と比較する、請求項1〜のいずれか1項に記載の血管病変の評価方法。
  6. 前記生体試料が、血液、血漿、および血清からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の血管病変の評価方法。
  7. miR−214およびmiR−126であるバイオマーカーの検出物質を含む、血管肉腫評価用キット。
  8. 前記検出物質が、核酸増幅用プライマー、またはプローブである、請求項に記載の血管肉腫評価用キット。
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