JP6608941B2 - 棒状体及び切削工具 - Google Patents

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Description

本態様は、棒状体並びにドリル及びエンドミル等の切削工具に関する。
長尺状の棒状体は、構造部材として用いられている。例えば、長尺状の円柱形状の棒状体からなるブランクは、刃付け加工をすることによってドリル及びエンドミル等の切削工具になる。孔開け加工に使用するドリルとして、先端に位置する切刃及び切刃から延びたフルート溝を有するソリッドドリルが知られている。ドリルは、例えば電子部品を搭載する基板の孔開け加工において用いられる。棒状体の一例として、特開2012−526664号公報(特許文献1)には、径方向又は長手方向に組成が異なるブランクが開示されている。
ブランクには、Coを含有する結合相でWC粒子を結合した構成からなる超硬合金が一般的に用いられる。超硬合金の組成としては、例えば特開平8−218145号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。特許文献1には、WC粒子の粒径を小さくすることなどによって硬度が高められることが記載されている。
近年、ブランクには、更なる耐摩耗性と耐折損性の向上が求められている。
本態様は、WC粒子、Co、Cr及びVを含有する超硬合金からなり、長手方向において第1端部及び第2端部を有する長尺状の棒状体であって、前記第1端部におけるCoの含有量が、前記第2端部におけるCoの含有量よりも少なく、前記第1端部におけるVの含有量が、前記第2端部におけるVの含有量よりも少なく、前記第1端部から前記第2端部に向かって、Crの含有量が傾斜SCrで変化するとともに、Vの含有量が傾斜Sで変化しており、傾斜SCrが傾斜Sよりも小さい。
図1は、図1A〜図1Dで構成される。図1Aは、本実施形態の棒状体の一例であるブランクについての側面図である。図1Bは、図1AのブランクにおけるCoの含有量の分布を示す図である。図1Cは、図1AのブランクにおけるCrの含有量の分布を示す図である。図1Dは、図1AのブランクにおけるVの含有量の分布を示す図である。 図1Aのブランクにおける超硬合金の一例についての透過型電子顕微鏡写真である。 図2のPにおけるCo濃度の分布状態を示すEDX分析データである。 図4は、図4A及び図4Bで構成される。図4Aは、図1Aのブランクの変形例についての側面図である。図4Bは、図4AのブランクにおけるCoの含有量の分布を示す図である。 図1のブランクの製造方法の一例について、金型の構成を説明するための模式図である。 本実施形態のドリルの一例についての側面図である。
棒状体について図面に基づいて説明する。本実施形態における切削工具用のブランク(以下、単にブランクともいう)は、棒状体の一例である。図1Aは、ブランクの側面図であり、図1B〜図1Dは、それぞれブランクにおけるCoの含有量、Crの含有量、Vの含有量の分布をそれぞれ示す図である。なお、図1Aにおける点線で示される部分は、ブランクを用いて形成される切削工具(ドリル1)の一例を示している。
切削工具の一例である図1のドリル1に用いられるブランク2は、WC、Co、Cr及びVを含有する超硬合金からなる長尺状の円柱形状であり、長手方向において、第1端部側に位置する端部(以下、端部Aとする。)と、第2端部側に位置する端部(以下、端部Bとする。)を有している。本実施形態のブランク2をドリル1に用いる場合には、第1端部側に位置する端部(以下、端部Xとする。)に切刃5が形成され、ドリル1における第2端部側の端部(以下、端部Yとする。)に位置するシャンク3にブランク2の端部Bが接合される。ブランク2は、直接にシャンク3に接合されてもよいし、別部材を介してもよい。
本実施形態においては、ブランク2における端部Aを研磨することによって切刃5が形成されることから、ブランク2における端部Aは、ドリル1における切刃5が形成される端部Xよりも第1端部側に位置している。
ブランク2は、WC、Co、Cr及びV以外に、W、Co、Cr、Vを除く周期表4、5、6族金属の炭化物を含有していてもよい。ブランク2は、Crを含有していることにより、耐食性が高い。また、Co及びCrを含んでいることにより耐熱性を高めることができる。また、Cr及びVは、WC粒子の異常粒成長を抑制することができるので、強度の高い超硬合金を安定して作製することができる。例えば、WC粒子の平均粒径が1μm未満の超硬合金とすることができる。
本実施形態によれば、ブランク2の状態では、端部AにおけるCoの含有量Coが、端部BにおけるCoの含有量Coよりも少ない。また、ドリル1の状態では、端部XにおけるCoの含有量が、端部YにおけるCoの含有量よりも少ない。これによって、切刃5を有する端部Xの側における耐摩耗性を高くすることができるとともに、ドリル1やエンドミル等の切削工具において折損しやすい中央よりも端部Yの側における耐折損性を高めることができる。なお、本実施形態における「含有量」とは、絶対的な量を指す値ではなく、含有比率(質量%)を指す値である。
また、ブランク2の状態では、端部AにおけるVの含有量Vが、端部BにおけるVの含有量Vよりも少ない。別の見方をすれば、ドリル1の状態では、端部XにおけるCoの含有量が、端部YにおけるCoの含有量よりも少ない。端部AにおいてVが相対的に少ないため、端部Aの側においてWC粒子の粒成長が抑制されにくくなり、WC粒子の平均粒径が大きくなる。
その結果、端部Aの側においては、超硬合金の耐チッピング性が向上する。一方、端部Bの側においては、相対的にV元素の含有量が多いことにより、端部Bの側においてWC粒子の粒成長が抑制され、WC粒子の平均粒径が小さくなる。その結果、端部Yの側においては、超硬合金の強度が高くなり、ドリル1の耐折損性が向上する。
本実施形態におけるブランク2は、端部Aから端部Bへ向かうにしたがってCrの含有量が傾斜SCrで変化するとともにVの含有量が傾斜Sで変化する領域を有している。別の見方をすれば、ドリル1は、端部Xから端部Yへ向かうにしたがってCrの含有量が傾斜SCrで変化するとともにVの含有量が傾斜Sで変化する領域を有している。
このように、傾斜SCrが傾斜Sよりも小さいことにより、ブランク2の全体に亘って耐食性が良好になる。また、傾斜Sが傾斜SCrより大きいことにより、端部Aの側においては硬度が高くかつ耐チッピング性が向上するとともに、端部Bの側においては強度が高くかつ耐折損性が向上する。
なお、本実施形態において、端部A及び端部Bとは、ブランク2の端部を指すが、具体的には、EPMA分析によってブランク2の組成が分析できる範囲を指す。ブランク2の長手方向の組成変化を確認するには、ブランク2の長手方向の各金属元素の含有量の分布をEPMA分析によって測定して確認する。なお、図1C及び図1Dにおいては、ブランク2のEPMA分析において、正確な組成の測定ができない端部における測定値は記載を省略する。また、図4においては、Cr元素及びV元素の分布の記載を省略する。
そして、Coの含有量において、Coが0〜10質量%であり、Coが2〜16質量%である場合には、ブランク2の耐摩耗性及び耐欠損性を高く維持できる。Co及びCoのより望ましい範囲は、加工条件によって変わるが、例えば、プリント基板加工用のドリル1としてブランク2を用いる場合には、Coを1〜4.9質量%とするとともに、Coを5〜10質量%とすればよい。
Coが5質量%以上の場合には、通常の均一な組成において端部Bを緻密化させることが容易であり、焼成後のブランク2中にCoの凝集部ができにくい。そのため、Coの分布にムラができにくい。これは、Coが5質量%以上の場合には、Coの毛細管現象によってCoが拡散するために、Coの凝集部ができにくく、均一な分布状態になり易いためと考えられる。その結果、端部Aの側においてはCoが相対的に少なくても、緻密な超硬合金となる。
また、CoとCoとの比率(Co/Co)が、0.2〜0.7である場合には、端部Aにおける硬度を向上させることができるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。
また、VとVとの比率(V/V)が0.3〜0.9であるとともに、CrとCrとの比率(Cr/Cr)が0.8〜1.1である場合には、ブランク2の耐食性、耐熱性及び強度を高めることができる。
なお、端部AにおけるCrの含有量を示すCrが0.05〜2質量%であり、端部BにおけるCrの含有量を示すCrが0.1〜3質量%であり、端部AにおけるVの含有量を示すVが0〜1質量%であり、端部BにおけるVの含有量を示すVが0.05〜2質量%である場合には、ブランク2の耐食性、耐熱性及び強度をさらに高めることができる。
Crは、その少なくとも一部が結合相中に金属として固溶し、加えて、Cr又は他の金属との複合炭化物などとして存在する。Vは、その少なくとも一部は結合相中に金属として固溶し、加えて、VC又は他の金属との複合炭化物としても存在し得るが、VはCrに比べて結合相中への固溶量が少ない。本実施形態において、Cr、CrはCrの含有量をCr換算した値とし、V、VはVの含有量をVC換算した値とする。
Crが0〜0.1質量%/mmであり、Sが0.1〜0.5質量%/mmである場合には、ブランク2の耐食性、耐熱性、端部Aの側における耐摩耗性及び耐チッピング性、端部Bの側における耐折損性が高い。
なお、Co、Co、Cr、Cr、V、Vの測定方法は、ブランク2を長手方向に沿って半分に分割にした状態で、EPMA分析によって端部A及び端部Bのそれぞれにおける組成を測定することによって確認できる。ブランク2の端部Aから端部Bに亘る組成分析は、断面の長手方向に平行な中心軸上において測定する。ブランク2の長手方向のCrの含有量及びVの含有量の分布をEPMA分析によって測定し、ブランク2の全体の分布について最小二乗法で直線に近似した際の傾きをSCr、Sとして算出する。
本実施形態における端部Aは、外周部と、外周部から100μm以上内部に位置する中央部とを有している。このとき、外周部におけるCrの含有量が、中央部におけるCrの含有量よりも多い場合には、ブランク2の耐食性をより向上させることができる。なお、外周部とは、外周におけるEPMA分析によってブランク2の組成が分析できる範囲を指す。また、本実施形態においては、ブランク2を長手方向に沿って半分に分割した断面での端部Aの側の角部をA外周部として、このA外周部におけるCrの含有量を測定している。
端部AにおけるWC粒子の平均粒径aが、端部BにおけるWC粒子の平均粒径aよりも大きい場合には、硬度が高くて欠損が発生しやすい端部Aの耐摩耗性を改善することができる。また、端部Bの剛性が高められるので棒状体が撓みにくい。そのためブランク2を、端部Xの側に切刃5を有するとともに端部Yの側にシャンク3を有する切削工具とした際には、切刃5の耐摩耗性及び端部Aにおける耐チッピング性がより向上するとともに、端部Bにおける耐折損性がより向上する。
WC粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)写真からルーゼックス解析法にて算出する。また、WC粒子の平均粒径を確認する他の方法として、以下の方法を用いてもよい。
まず、ブランク2の断面について、後方散乱電子回折像システム付きのSEMによる電子線後方散乱回折(EBSD)法にてWC粒子の配向方向を観察する。各WC粒子の配向方向を確認することによって、各WC粒子の輪郭を特定する。そして、各WC粒子の輪郭に基づいて各WC粒子の面積を算出し、この面積を円に換算したときの直径を粒径とする。そして、各WC粒子の粒径の平均値を平均粒径とする。
端部AにおけるWC粒子の平均粒径aは、例えば0.3〜1.5μmに設定でき、また、端部BにおけるWC粒子の平均粒径aは、0.1〜0.9μmに設定できる。平均粒径a及び平均粒径aが上記の値である場合には、端部Aの耐チッピング性がより向上するとともに、端部Bの耐折損性がより向上する。ブランク2がドリル1に用いられる場合、端部AにおけるWC粒子の平均粒径の望ましい範囲は0.4〜0.7μmであり、端部BにおけるWC粒子の平均粒径の望ましい範囲は0.15〜0.5μmである。
ブランク2は、端部Aから端部Bへ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S1Coで変化する第1領域11と、第1領域11よりも端部Bの側に位置しており、端部Aから端部Bへ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S2Coで変化する第2領域12とを有していてもよい。このとき、傾斜S1Coが傾斜S2Coよりも大きい場合には、端部Aの側における耐摩耗性を高く維持したまま、端部Bの側の広範囲における靭性を高めることができてブランク2の耐折損性を高めることができる。
第1領域11においては、Crの含有量が傾斜S1Crで変化していてもよく、また、Vの含有量が傾斜S1Vで変化していてもよい。加えて、第2領域12においては、Crの含有量が傾斜S2Crで変化していてもよく、また、Vの含有量が傾斜S2Vで変化していてもよい。
なお、傾斜(S1Co、S2Co、S1Cr、S2Cr、S1V、S2V)とは、ブランク2の長手方向の各金属元素(Co、Cr、V)の含有量の変化率を示す。第1領域11及び第2領域12の存在は、ブランク2の長手方向でのCoの含有量の分布によって確認できる。そして、第1領域11及び第2領域12におけるCrの含有量、Vの含有量を測定し、各領域における分布を最小二乗法で近似した際の傾きを、S1Co、S1Cr、S1V、S2Co、S2Cr、S2Vとして算出する。なお、傾きは、端部Aから端部Bに向かって低くなる向きをプラスとし、端部Aから端部Bに向かって高くなる向きをマイナスとする。
傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、傾斜S2Coが0〜0.2質量%/mmである場合には、端部Aの側における硬度を向上できるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。なお、第1領域11における傾斜S1Coは領域内で一定でなくてもよい。特に、第1領域11の中でも、端部Aの側における傾斜が大きくなる場合には、端部Aにおける耐摩耗性が高く、かつブランク2の耐折損性がより高くなる。
なお、ブランク2の表面にダイヤモンド被覆層(図示せず)を被覆する際には、第2領域12に含有されるCoの含有量が少ない場合には、ダイヤモンド結晶の成長を妨げるCoの含有量が少ないため、第2領域12においてはダイヤモンド被覆層の結晶化度が高くなるので、ダイヤモンド被覆層の硬度及び密着性が向上する。
図1Aのブランク2は、超硬合金の組成として、図2の透過型電子顕微鏡(TEM)写真に示すように、複数のWC粒子25を有している。これらのWC粒子25のうち隣接する2つのWC粒子25の間には、Coを含有する粒界27が存在している。粒界27によって隣接するWC粒子25を結合させることができる。
隣接する2つのWC粒子25と、これらのWC粒子25の間に位置する粒界27とを1つの組としたとき、本実施形態のブランク2は、このような組が複数位置する領域を有している。この領域を、図2に示すような一視野における10以上の組のそれぞれにおいて、粒界27におけるCoの濃度と、この粒界を介して隣接するWC粒子25におけるCoの濃度とを測定したとき、Coの含有量が1〜7質量%であって、粒界27におけるCoの濃度が隣接するWC粒子25におけるCoの濃度の1.2倍以上である組が、50%以上である。
ブランク2が上記の領域を有している場合には、Co含有量が1〜7質量%と少ない場合であっても、硬度及び強度に優れたドリル1とすることができる。これは、粒界27に結合相となるCoが拡散して存在しておりWC粒子25を結合できているためと考えられる。粒界27のCoの濃度がWC粒子25の粒内の1.2倍以上である組の百分率は、粒界27における結合相を構成するCoの分散度合いを確認していると言い換えることができる。
図2における線Pで示される、隣接する2つのWC粒子25及びこれらの粒子の間に位置する粒界27に跨る部分でのCoの濃度分布の変化が図3に示されている。図3において、点線内で立ち上がっている部分が粒界27に相当する部分であり、線Pにおける粒界27は、WC粒子25の1.2倍以上のCo濃度を有している。
領域29の存在を特定するには、TEMによって、WC粒子25が10個以上確認できる1つの視野において観察を行う。この1つの視野内において、1つのWC粒子25の粒内から粒界27を横切って、隣接するWC粒子25の粒内までにわたってCoの濃度分布を確認する。なお、上述した「組」の設定にあたっては、隣接するWC粒子25の組み合わせが異なれば「組」を設定できる。
例えば、10個のWC粒子25a〜25jが観察されるとき、25aと25b、25aと25c、25aと25h、25aと25f、25bと25c、25bと25d、25cと25e、25fと25g、25iと25h、25iと25j、25hと25j、それぞれの間の粒界27とで10組以上の「組」が設定される。
そして、それぞれの組において、Coの濃度分布から、まず、WC粒子25の粒内におけるCoの含有量の平均値Coaを算出する。次に、粒界27におけるCoの含有量の最大値Comaxを確認する。そして、Comax/Coaが1.2以上となった組が50%以上であるか否かで、領域29の存在を確認することができる。なお、領域29がブランク2の全体にわたって存在するものであってもよいが、少なくとも特定の位置のみが領域29にて構成されるものであってもよい。
また、領域29において、WC粒子25の平均粒径が0.1〜1.5μmである場合には、微粒でありながら、WC粒子25が強固に結合されていることから、ブランク2における硬度、靭性および強度がさらに高まる。
さらに、領域29において、WC粒子25の粒径分布における標準偏差が0.5μm以下である場合には、WC粒子25のばらつきが小さいため、ブランク2の強度をさらに高めることができる。
また、CoとCoとの比率(Co/Co)が、0.2〜0.7である場合には、端部Aにおける硬度を向上させることができるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。
CoとCoとの中間値を有する位置を中間部としたとき、中間部及び端部Aを構成する超硬合金が領域29からなる場合には、ドリル1における切刃5の耐摩耗性および耐欠損性を高めることができる。
第1領域11と第2領域12との間には、端部Aから端部Bへ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S3Coで変化する第3領域13が位置していてもよい。このとき、傾斜S3Coの傾斜が傾斜S2Coよりも大きい場合には、第1領域11及び第2領域12の傾斜S1Co、S2Coを制御することが容易であり、折損が発生しやすい端部Bの側における耐折損性をさらに高めることができる。傾斜S3Coが2〜50質量%/mmであれば、端部Aの側の耐摩耗性と端部Bの側の耐折損性をともに高めることができる。
図1Dには、Co元素の含有量の変化に対応するようにV元素の含有量が変化している様子が示されている。つまり、図1Dにおいては、第1領域11におけるV元素の傾斜S1Vが、第2領域12におけるV元素の傾斜S2Vよりも大きくなっている。また、第3領域13におけるV元素の傾斜S3Vが、第1領域11におけるV元素の傾斜S1Vよりも大きくなっている。
一方、図1Cにおいて、Cr元素の含有量の変化は、Co元素の含有量の変化に対応しておらず、理由は不明であるが、隣接する位置におけるCrの含有量の値が大きくばらついている一方で、全体としては小さな傾斜の変化となっている。
ブランク2は、図4に示すように、第1領域11よりも端部Aの側に、Coの含有量が傾斜S4Coで変化する第4領域14を有していてもよい。このとき、傾斜S4Coの傾斜が傾斜S1Coの傾斜よりも小さい場合には、端部Aの側における耐摩耗性の高い範囲を広くし易い。
また、傾斜S4Coが0〜0.5質量%/mmであるとともに、第4領域14におけるCoの含有量が0〜0.6質量%である場合には、ブランク2の表面にダイヤモンド被覆層をコーティングする際に、第4領域14に含有されるCoの含有量が少なくなるため、第4領域14の表面においてダイヤモンド被覆層の結晶化度をさらに高めることができる。そのため、ダイヤモンド被覆層の硬度及び密着性が向上する。第1領域11と第4領域14との境界には、Coの含有量の分布における屈曲点が存在してもよい。
第1領域11の長さをL、第2領域12の長さをL、第3領域13の長さをL、第4領域14の長さをLとしたとき、L/L=0.3〜3である場合には、端部Aにおける硬度を向上できるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。L/L=0.01〜0.1である場合には、第2領域12及び第1領域11におけるCoの含有量の調整が容易である。L/L=が0〜0.05である場合には、端部Aにおける超硬合金の緻密化をより安定して促進できる。L/L=が0.05より大きく、かつ第4領域14に緻密化されていない部分が存在する場合には、ドリル1を作製する際に、第4領域14の一部を研磨除去してもよい。
なお、第1領域11、第2領域12、第3領域13及び第4領域14の組成は、それぞれブランク2の幅方向の中央部において測定すればよい。
端部Aの外周部におけるCoの含有量CoAOが、端部Aの中央部におけるCoの含有量Coよりも少ない場合には、ドリルやエンドミル等の回転工具において、切刃5のうちで最も摩耗しやすい外周部における耐摩耗性を高めることができる。
図1、4においては、ブランク2は、端部Aに位置する突起部15を有している。突起部15は、突起部15よりも第2端部側に位置する部分と比較して直径が小さい形状となっている。すなわち、突起部15の直径dは、突起部15よりも第2端部側に位置する部分での直径dよりも小さい。突起部15は容易に形成できるとともに、図示はしないが、突起部15に刃付け加工したドリル1の先端部を形成することもできるので、加工代の無駄が少ない。
図1、4に示すように、突起部15が半球状である場合には、ブランク2をランダムに接合装置内に投入する際にブランク2同士が衝突しても、突起部15が欠けることが抑制され、また、突起部15によって他のブランク2が傷つけられることも抑制できる。また、本実施形態では、突起部15は端部Aにつながる根元側が、断面視においてR面でつながっている。これによって、成形体35の成形時に下パンチ23の端部に荷重が集中して、下パンチ23が欠けてしまうことが抑制される。
ここで、端部Aの直径d及びB部の直径dがともに2mm以下で、長手方向の長さをLとしたとき、dに対するLの比率(L/d)が3以上である場合には、焼成後のブランク2において、Co及びCoを所定の値に調整することが容易である。すなわち、比率(L/d)が大きい値である場合には、焼成中にCoが拡散したとしても、ブランク2中のCoとCoの差を十分に確保し易い。比率(L/d)のより望ましい範囲としては、4〜10である。
ブランク2は焼成後に研磨しない状態であってもよいが、ブランク2をシャンク3に接合する工程において、ブランク2を把持する際にブランク2の位置精度を高めるために、焼成後のブランク2の外周面をセンタレス加工するものであってもよい。
なお、ブランク2の好適な寸法は、プリント基板加工用のドリル1として用いる場合には、d、dが0.2〜2mm、長さLが3〜20mmである。dの特に望ましい範囲は0.3〜1.7mmである。他の用途においては、dは2mmを越える場合もあり、このような場合におけるdの望ましい範囲は、0.2〜20mmであり、L=3〜50mmである。
本実施形態においては、切削工具としてプリント基板の孔開け加工に用いられるドリル1が例示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、長尺状の本体部を有するものであればよい。例えば、金属加工用ドリルや医療用ドリル、エンドミル、内径加工用のスローアウェイチップ等の旋削加工用の切削工具として適用可能である。また、ブランク2等の棒状体は、切削工具以外でも、耐摩材、摺動部材として用いることができる。棒状体は、切削工具以外として用いる場合でも、所定の形状に加工され、端部Bが固定された状態で、端部Aを含む領域が相手材と接触して使用される用途に好適に用いられる。
(ブランクの製造方法)
ブランクを作製する方法の一例として、突起部15を有するブランク2を作製する方法について説明する。まず、ブランク2及び切削工具(ドリル1)をなす超硬合金を作製するためのWC粉末等の原料粉末を調合する。本実施形態においては、2種類の原料粉末を調合する。
ブランク2における突起部15が位置する端部Aを含む部位を作製するための第1原料粉末30と、端部Bの側の部位を作製するための第2原料粉末33を調合する。第1原料粉末30は、原料粉末として、Cr粉末、VC粉末、Co粉末を含有していてもよい。
第2原料粉末33は、原料粉末としてWC粉末、Cr粉末、VC粉末及びCo粉末を含有している。第1原料粉末30中のCr粉末、VC粉末及びCo粉末の含有量は、第2原料粉末33中のCr粉末、VC粉末及びCo粉末の含有量よりも少ない。第1原料粉末30中のCo粉末の含有量は、第2原料粉末33中のCo粉末の含有量に対する質量比率で、0〜0.5、特に0〜0.3である。
また、第1原料粉末30及び第2原料粉末33は、それぞれ上記の粉末以外に、WC、Cr、VC以外の周期表第4、5及び6族金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物粉末のいずれかの添加物を含有していてもよい。
例えば、第1原料粉末30中のWC粉末の調合量は90〜100質量%であり、Co粉末の調合量は0〜8質量%、添加物の調合量は総量で0〜5質量%である。第2原料粉末33中のWC粉末の調合量は65〜95質量%であり、Co粉末の調合量は5〜30質量%であり、添加物の調合量は総量で0〜10質量%である。また、第1原料粉末30中のWC粉末の平均粒径と、第2原料粉末33中のWC粉末の平均粒径とを異ならせることによって、焼成後のブランク2の端部Aから端部BにかけてのCo、Cr及びVの分布状態、硬度や靭性等の特性を調整することもできる。
上記の調合された粉末にバインダ及び溶媒を添加することによってスラリーが作製される。このスラリーを造粒して顆粒とし、成形用粉末とする。
図5に示すように、プレス成形金型(以下、単に金型と略す。)20を準備し、金型20のダイス21のキャビティ22内に上記の顆粒を投入する。そして、ダイス21のキャビティ22内に投入された顆粒の上方から上パンチ24を下降させて加圧することにより成形体が作製される。本実施形態においては、キャビティ22の底部である下パンチ23のプレス面となる上面は、突起部15を形成するための凹部25を有する。
本実施形態における成形方法は、キャビティ22内の凹部25を含む領域に第1原料粉末30を投入する工程と、キャビティ22に第2原料粉末33を投入する工程と、上方から上パンチ24を下降させてダイス21のキャビティ22内に投入された第1原料粉末30及び第2原料粉末33との積層体を加圧する工程と、この積層体からなる成形体35を金型20から取り出す工程とを具備する。
成形体35は円柱形状であり、端部AにおけるCoの含有量が、端部BにおけるCoの含有量よりも少ない。その結果、ブランク2において所定のCoの含有量の分布に調整しやすくなる。
また、凹部25の底面が曲面である場合には、成形体35において、生突起部32の欠けを抑制できるとともに、焼成後のブランク2における突起部15内のCoの含有量のバラツキを抑制できるため、局所的に焼結不良となることが避けられ易い。なお、凹部25及び突起部15は省略してもよい。
直径が2mm以下の焼結体を得る場合には、例えば、加圧時の上パンチ24の保持位置から上パンチ24の位置が0.1mm〜2mm、成形体の長さに対して0.1%〜20%の長さ分だけ下方に下降するように上パンチ24に追加荷重を加えるとともに下パンチ23の荷重を小さくしてもよい。成形条件が上記である場合には、成形体35に加わる圧力のムラが改善されるので、成形体35を抜き出す際に破損することが避けられ易く、成形体35を焼成した後のブランク2の形状を所定の形状とすることができる。
このとき、図5に示すように、成形体35の下パンチ23側の直径Dを上パンチ24側の直径Dよりも小さくしてもよい。本実施形態における比率D/Dの望ましい範囲は、0.8〜0.99である。
また、特に図示しないが、例えば、第1原料粉末30と第2原料粉末33との間に、第1原料粉末30におけるCo粉末の含有量よりも少なく、かつ、第2原料粉末33におけるCo粉末の含有量よりも多いCo粉末の含有量を有する第3原料粉末など、他の原料粉末が存在していてもよい。
加圧成形された成形体は、金型から取り出され、1300〜1500℃で0.5〜2時間焼成された後、シンターHIP処理されることによってブランク2となる。焼成温度は、Coの含有量やWC粒子の平均粒径によって調整される。このとき、本実施形態では、焼成時の1000℃から焼成温度までの昇温速度を4〜7℃/分、焼成温度における減圧圧力を50〜200Paとする。そして、シンターHIPは、焼結温度よりも5〜20℃低い温度で、5〜10MPaの圧力で処理する。これによって、端部A、端部B、第2領域12、第1領域11、第3領域13及び第4領域14のCoの含有量を容易に調整することができる。
また、第1原料粉末30及び第2原料粉末33の焼結性が異なるために、焼成中、端部A及び端部Bの収縮率が異なって成形体が変形し、端部Bの収縮率が端部Aの収縮率よりも大きくなる。すなわち、焼成によって、端部BのCoの一部が、端部Aに向かって拡散するために、端部Bは端部Aよりも収縮する。これによって、焼結体の形状は端部Bの直径が端部Aの直径よりも小さくなる傾向にある。
ここで、昇温速度が4℃/分より速い場合には、焼成中にCoの拡散が進行し過ぎることが避けられるため、焼結後のブランク2におけるCo濃度の差を大きくでき、SをSCrよりも大きくし易く、また、CoをCoよりも少なくし易い。昇温速度が7℃/分より遅い場合には、SCrをSよりも小さくし易く、端部AにおいてWC粒子を緻密化させ易くなる。
また、焼成温度における減圧圧力が50Pa以上の場合には、焼成中にCoの拡散が進行し過ぎることが避けられるため、焼結後のブランク2におけるCo濃度の差を大きくできる。また、SをSCrよりも大きくし易く、CoをCoよりも少なくし易い。減圧圧力が200Pa以下の場合には、SCrをSよりも小さくし易く、端部AにおいてWC粒子を緻密化させ易くなる。加えて、領域29を形成する場合においては、減圧圧力が50〜200Paであることによって、Coの拡散が均一になり易いため、領域29が形成され易くなる。
さらに、シンターHIPの処理温度と焼結温度との差が5℃より大きい場合には、SをSCrよりも大きくし易く、CoをCoよりも少なくし易い。このとき、領域29を形成する場合においては、上記の焼結温度との差が5℃より大きいことによって、焼成中にCoの拡散が進行し過ぎることが避けられ易いため、粒界27の三重点にCoが凝集しにくく、領域29が形成され易くなる。
また、シンターHIPの処理温度と焼結温度との差が20℃以下の場合には、SCrをSよりも小さくし易く、端部AにおいてWC粒子を緻密化させ易くなる。またここで、領域29を形成する場合においては、上記の焼結温度との差が20℃以下であることによって、ブランク2の収縮が進み易いので、Coを良好に拡散させることができる。
なお、本発明における成形工程は上記実施形態に示したプレス成形に限定されるものではなく、冷間静水圧プレス、ドライバッグ成形、射出成形等によって成形することもできる。
(切削工具の製造方法)
上記工程によって得られたブランク2を用いて、プリント基板加工用のドリル1を作製する方法の一例について説明する。数十本又は数百本のブランク2が、ランダムに接合装置内に投入される。ブランク2は、接合装置内で長手方向が揃えられた状態で整列される。突起部15を有する場合には、突起部11を画像データ等にて確認し、ブランク2の端部A及び端部Bを特定する。この特定に基づいて、自動的に、端部A及び端部Bを一定の方向に並べることができる。
そして、並べられたブランク2は、自動的に、別途準備されたシャンク3及び首部7によって構成される部材に当接された後、レーザ等で接合される。その後、接合されたブランク2に刃付け加工が施される。このとき、ドリル1の構成は、図1に示すように、端部Xがドリル1の切刃5側で、端部Yがドリル1のシャンク3側となる。
(切削工具)
上記ブランク2の刃付け加工によって、ドリル1等の切削工具が作製される。図6のドリル1は、刃付け加工されたブランク2(加工部)と、加工部に接合された首部7と、首部7の後端側(図6における上側)に位置するシャンク3とによって構成されている。加工部は、端部Xに位置する切刃5とを備え、切刃5に続く溝6とを有している。加工部及び首部7によってボディ8が構成されている。そのためシャンク3は、ボディ8の後端側に位置しているともいえる。加工部の最大直径は、例えば2mm以下に設定される。
切刃5は、中心軸を有して回転しながら被削材に最初に接触する部分であり、高い耐チッピング性と耐摩耗性が要求される。溝6は加工によって発生する切屑を後方へ排出する機能を持ち、首部7は、互いに直径の異なる加工部及びシャンク3を接続するつなぎの部分である。加工部の最大直径は、例えば2mm以下に設定される。シャンク3は、ドリル1を加工機に固定する部分として利用可能である。
特に図示しないが、ドリル1の表面には被覆層が位置していてもよい。被覆層としては、例えば、PVD法で成膜されたTiN、TiCN、TiAlN、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、及び、CVD法で成膜されたダイヤモンド等が挙げられる。
ドリル1は、首部7及びシャンク3が鋼、合金鋼又はステンレス鋼等の安価な材質で構成され、ブランク2が首部7の先端に接合された構造であってもよい。また、ドリル1の全体がブランク2によって構成されていてもよい。また、首部7は必須ではなく、ドリル1は、ブランク2とシャンク3とが直接に接合された構成であってもよい。
金属コバルト(Co)粉末と、炭化クロム(Cr)粉末と、炭化バナジウム(VC)粉末と、残部が平均粒径0.3μmの炭化タングステン(WC)粉末を表1に示す割合で、表1に示す第1原料粉末及び第2原料粉末の2種類の混合粉末を調合した。各混合粉末に対して、バインダや溶媒を添加、混合して、スラリーを作製し、スプレードライヤにて平均粒径70μmの顆粒を作製した。
貫通孔を144個有するダイスを備えた図5に示す金型を準備した。表1の第1原料粉末を投入し、続いて、表1の第2原料粉末を充填してプレス成形を行なった。第1原料粉末及び第2原料粉末が積層された成形体をプレス成形によって成形し、金型から取り出した。このとき、下パンチ側の直径をD、上パンチ側の直径をD、成形体下部の長さをH、成形体上部の長さをHとして、成形体の形状が表1に示される。
成形体を、1000℃から表2に示す昇温速度で昇温し、表2に示す雰囲気及び焼成温度で1時間焼成した後、表2に示すシンターHIP(表2においてHIPと記載)温度に変えて、5MPaの圧力で30分間シンターHIP処理をし、1200℃以下までの降温速度が10℃/分で冷却し、そのまま200℃以下まで冷却することによりブランクを得た。
得られたブランクについて、直径d、及び直径dを測定して表2に記載した。また、ブランクを長手方向に沿って半分に分割にして、端部Aから端部BまでのCoの含有量、Crの含有量、Vの含有量の変化をEPMA分析にて測定し、第1領域から第4領域の有無、傾斜、長さを確認した。さらに、ブランクの端部Aについては、外周部におけるCoの含有量を測定した。結果は表2〜5に示した。また、EBSD法によって、A中央部、A外周部、B中央部におけるWC粒子の平均粒径を測定した。
さらに、得られたブランクの一部については表面を研磨して研磨面を作成し、端部AにおけるCoの含有量とB部におけるCoの含有量の中間のCoの含有量となる位置を中間部として、WC粒子が10個以上確認できる視野において観察を行った。
まず、TEMを用いてこの視野におけるCoの含有量を求めた。この視野内において、1つのWC粒子の粒内から粒界を横切って、隣接するWC粒子の粒内までにわたるCoの濃度分布をEDXにて確認した。そして、隣接する2つのWC粒子と、その間に位置する粒界とを1組とし、各組におけるCo濃度の分布図から、まず、WC粒子の粒内におけるCo含有量の平均値Coaと、粒界におけるCo含有量の最大値Comaxとを算出した。
そして、Comax/Coaが1.2以上となる粒界を有する組を特定し、粒界のCo濃度がWC粒子の粒内の1.2倍以上である組の百分率を求めた。なお、試料No.22については、Co含有量が1〜7質量%の位置がなかったので測定しなかった。
そして、このブランクの外周部をセンタレス加工した後、ランダムに接合装置内に投入し、接合装置内にてブランクの突起部の向きを認識して、各ブランクの端部A及び端部Bを同じ向きに整列させ、ブランクの端部Bをシャンクに当接させて接合し、ブランクの端部Aを含む部位に刃付け加工を施すことによって、ドリルを作製した。
得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果を表5に示す。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FR4、0.8mm厚、3枚重ね
ドリル形状:φ0.25mm
回転数:160krpm
送り速度:3.2m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表1〜5より、CoがCoと同じである試料No.I−13では逃げ面摩耗幅が大きく、試料No.I−15では焼結不足で1孔目で初期欠損した。また、SCrがSと同じである、又は、SCrがSよりも大きい試料No.I−15〜I−21では、耐熱性及び耐折損性が低く、加工個数が少なくなった。
これに対して、Co及びVが、それぞれCo及びVよりも少なく、SCrがSよりも小さい試料No.I−1〜I−12では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。
特に、比率(Co/Co)が0.2〜0.7である試料No.I−1、I−2、I−6、I−7、I−9〜I−12では、加工個数が多くなった。また、比率(V/V)が0.3〜0.9であるとともに、比率(Cr/Cr)が0.8〜1.1である試料No.I−1〜I−3、I−6〜I−12では、加工個数が多かった。
さらに、試料No.I−1〜I−12では、いずれも傾斜S2Coの第2領域と、傾斜S2Coよりも大きい傾斜S1Coの第1領域を有し、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。特に、傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、傾斜S2Coが0〜0.2質量%/mmである試料No.I−1、I−2、I−6〜I−12では、加工個数が多かった。また、端部AにおけるWC粒子の平均粒径が、端部BにおけるWC粒子の平均粒径よりも大きい試料No.I−1〜I−4、I−6〜I−12では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなり、いずれも、端部AにおけるWC粒子の平均粒径が0.3〜1.5μmであり、端部BにおけるWC粒子の平均粒径が0.1〜0.9μmであった。
さらに、CrAOが、Crに比べて高い試料No.I−1、I−2、I−5〜I−12では、表中に記載してはいないが、耐食性が高く、長期間の保存によっても錆が発生しなかった。
実施例1で用いた原料粉末を用いて表6の成形体を作製し、表7の条件で焼成した。そして、このブランクを用いてドリルを作製した。得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果を表7〜10に示す。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FR4材、24層板、3.2mm厚、1枚
ドリル形状:φ0.25mm
回転数:160krpm
送り速度:3.2m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表6〜10より、Co及びVが、それぞれCo及びVよりも少なく、SCrがSよりも小さい試料No.II−1〜II−4では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。
実施例1で用いた原料粉末を用いて表11の成形体を作製し、表12の条件で焼成した。そして、このブランクを用いてドリルを作製した。得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果は表12〜15に示した。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FP4材、0.06mm厚、10枚重ね
ドリル形状:φ0.105mm
回転数:300krpm
送り速度:1.8m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表11〜15より、Co及びVが、それぞれCo及びVよりも少なく、SCrがSよりも小さい試料No.III−1〜III−3では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。
また、試料No.I−1、I−3〜I−6、I−13〜I−21、II−1〜II−5、III−1、III−2及びIII−4について、各試料の表面を研磨して研磨面を作成し、端部AにおけるCoの含有量と端部BにおけるCoの含有量の中間のCoの含有量となる位置を中間部として、WC粒子が10個以上確認できる視野において観察を行った。
まず、TEMを用いてこの視野におけるCoの含有量を求めた。この視野内において、1つのWC粒子の粒内から粒界を横切って、隣接するWC粒子の粒内までにわたるCoの濃度分布をEDXにて確認した。そして、隣接する2つのWC粒子と、その間に位置する粒界とを1組とし、各組におけるCo濃度の分布図から、まず、WC粒子の粒内におけるCo含有量の平均値Coaと、粒界におけるCo含有量の最大値Comaxとを算出した。
そして、Comax/Coaが1.2以上となる粒界を有する組を特定し、粒界のCo濃度がWC粒子の粒内の1.2倍以上である組の百分率を求めた。
表16より、試料No.I−13〜I−20、II−5及びIII−4では、逃げ面摩耗幅が大きくなり、かつ加工個数も少なかった。
これに対して、Coの含有量が1〜7質量%であり、隣接する2つのWC粒子と、間に位置する粒界とを1組とし、一視野における10組以上において粒界を挟んで隣接するWC粒子に跨るCoの濃度分布を測定したとき、粒界のCo濃度がWC粒子の粒内の1.2倍以上である組が50%以上である領域を有する試料No.I−1、I−3〜I−6、I−21、II−1〜II−4、III−1及びIII−2では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数も多くなった。
1 ドリル(切削工具)
2 ブランク(切削工具用ブランク)
3 シャンク
5 切刃
6 溝
7 首部
8 ボディ
11 第1領域
12 第2領域
13 第3領域
14 第4領域
15 突起部
25 WC粒子
27 粒界
29 領域

Claims (12)

  1. WC粒子、Co、Cr及びVを含有する超硬合金からなり、長手方向において第1端部及び第2端部を有する長尺状の棒状体であって、
    前記第1端部におけるCoの含有量が、前記第2端部におけるCoの含有量よりも少なく、
    前記第1端部におけるVの含有量が、前記第2端部におけるVの含有量よりも少なく、
    前記第1端部から前記第2端部に向かって、Crの含有量が傾斜SCrで変化するとともに、Vの含有量が傾斜SVで変化しており、
    前記傾斜SCrが前記傾斜SVよりも小さい棒状体。
  2. 前記第端部におけるCoの含有量に対する前記第端部におけるCoの含有量の比率が、0.2〜0.7である請求項1記載の棒状体。
  3. 前記第端部におけるVの含有量に対する前記第端部におけるVの含有量の比率が、0.3〜0.9であり、
    前記第端部におけるCrの含有量に対する前記第端部におけるCrの含有量の比率が、0.8〜1.1である請求項1又は2記載の棒状体。
  4. 前記棒状体は、前記第1端部の側に位置して、前記Coの含有量が傾斜S1Coで変化している第1領域と、前記第2端部の側に位置して、前記Coの含有量が傾斜S2Coで変化している第2領域とを有し、
    前記傾斜S1Coが、前記傾斜S2Coよりも大きい請求項1乃至3のいずれか記載の棒状体。
  5. 前記傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、前記傾斜S2Coが0.2質量%/mm未満である請求項4記載の棒状体。
  6. 前記第1端部における前記WC粒子の平均粒径が、前記第2端部における前記WC粒子の平均粒径よりも大きい請求項1乃至5のいずれか記載の棒状体。
  7. 前記第1端部における前記WC粒子の平均粒径が0.3〜1.5μmであり、前記第2端部における前記WC粒子の平均粒径が0.1〜0.9μmである請求項6記載の棒状体。
  8. 前記第1端部は、外周部と、該外周部から100μm以上内部に位置する中央部とを有し、
    前記外周部におけるCrの含有量が、前記中央部におけるCrの含有量よりも多い請求項1乃至7のいずれか記載の棒状体。
  9. 隣接する2つの前記WC粒子からなる隣接WC粒子と、該隣接WC粒子の間に位置する粒界とを1つの組としたとき、該組が複数位置する領域を有し、
    該領域の一視野における10以上の前記組のそれぞれにおいて、前記粒界におけるCoの濃度と、前記隣接WC粒子におけるCoの濃度とを測定したとき、
    Coの含有量が1〜7質量%であり、
    前記粒界におけるCoの濃度が、前記隣接WC粒子におけるCoの濃度の1.2倍以上である組が、50%以上である請求項1乃至8のいずれか記載の棒状体。
  10. 前記領域における前記WC粒子の平均粒径が、0.1〜0.8μmである請求項9記載の棒状体。
  11. 前記領域における前記WC粒子の粒径分布の標準偏差が0.5μm以下である請求項9又は10記載の棒状体。
  12. WC粒子、Co、Cr及びVを含有する超硬合金からなり、長手方向において、切刃を有する端部Xと、シャンク側に位置する端部Yとを有する長尺状の切削工具であって、
    前記端部XにおけるCoの含有量が、前記端部YにおけるCoの含有量よりも少ないとともに、
    前記端部XにおけるVの含有量が、前記端部YにおけるVの含有量よりも少なく、
    前記端部Xから前記端部Yに向かって、Crの含有量が傾斜SCrで変化するとともに、Vの含有量が傾斜SVで変化しており、
    前記傾斜SCrが前記傾斜SVよりも小さい切削工具。
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