JP6608627B2 - セラミックヒータおよびグロープラグ - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックヒータおよびグロープラグに関するものである。
ディーゼルエンジン等の圧縮着火方式の内燃機関では、始動時の補助熱源としてグロープラグが使用される。従来、グロープラグの構造としては種々のものが知られており、その一つとして、セラミックヒータを備えるグロープラグが知られている。セラミックヒータとしては、絶縁性セラミックの基体の内部に、発熱抵抗体を配置したヒータが知られている。このようなセラミックヒータでは、例えば、上記発熱抵抗体として、導電性成分である炭化タングステン(WC)と、絶縁性成分である窒化珪素(Si)とを含有する焼結体を用いる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような構成とすれば、炭化タングステンと窒化珪素の割合を調節することにより、発熱抵抗体の抵抗を容易に制御することが可能になり、また、発熱抵抗体を備えるセラミックヒータの抗折強度を高めることができる。
上記した内燃機関を搭載する車両等では、一般にバッテリが搭載されており、このバッテリによって、グロープラグの発熱に必要な電力を供給している。しかしながら、グロープラグが動作する内燃機関の始動時には、内燃機関を始動させるスタータに対してもバッテリから電力が供給されるため、バッテリ電圧が低下する。そのため、バッテリ電圧が低下する条件下であってもグロープラグの発熱性能を確保するために、グロープラグが備えるセラミックヒータの比抵抗を、より小さくすることが望まれる。セラミックヒータの比抵抗を小さくするために、セラミックヒータが備える発熱抵抗体では、炭化タングステン(WC)の含有割合がより大きく設定される傾向にあった。
特開2006−127995号公報 特開2002−220285号公報 特開2007−335397号公報
しかしながら、発熱抵抗体において炭化タングステン(WC)の含有割合を大きくすると、絶縁性セラミックの基体と発熱抵抗体との間で熱膨張係数の差が大きくなる。その結果、特に製造工程における焼結時に、セラミックヒータにクラックが発生する可能性が高まる。また、発熱抵抗体において炭化タングステン(WC)の含有割合を大きくした結果、窒化珪素(Si)の含有割合が小さくなると、焼結性が低下することによりセラミックヒータの強度が低下する可能性がある。
このように、セラミックヒータの比抵抗を抑えると共に発熱抵抗体の強度を確保し、発熱抵抗体におけるクラック発生を抑制する課題は、グロープラグが備えるセラミックヒータだけでなく、バーナーの着火用のヒータ、あるいは、ガスセンサの加熱用ヒータ等が備えるセラミックヒータにおいても共通する課題であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、絶縁性セラミックからなる基体と、該基体内に形成されて炭化タングステン(WC)および窒化珪素(Si)を含有する発熱抵抗体と、を備えるセラミックヒータが提供される。このセラミックヒータでは、前記発熱抵抗体の任意の断面において;全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合が33〜67%であり;ラインインターセプト法により計測した炭化タングステン凝集体の平均径が、1.4〜7.0μmである。
この形態のセラミックヒータによれば、発熱抵抗体の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を33〜67%とすることで、セラミックヒータの比抵抗を抑えることができる。さらに、上記形態のセラミックヒータによれば、発熱抵抗体の任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した炭化タングステン凝集体の平均径を、1.4〜7.0μmとしている。そのため、発熱抵抗体におけるクラックの発生を抑えると共に、セラミックヒータの強度低下を抑えることができる。
(2)上記形態のセラミックヒータにおいて、前記発熱抵抗体の任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した窒化珪素の粒子の平均径は、前記炭化タングステン凝集体の平均径よりも小さいこととしてもよい。
この形態のセラミックヒータによれば、発熱抵抗体におけるクラックの進展を抑える効果を、より高めることができる。
(3)本発明の他の形態によれば、セラミックヒータと、該セラミックヒータの発熱する端部を先端側に突出させつつ該セラミックヒータを囲んで保持する筒状部材と、前記セラミックヒータに電圧を印加するための導電性部材と、を備えるグロープラグが提供される。このグロープラグは、前記セラミックヒータとして、(1)または(2)に記載のセラミックヒータを備える。
この形態のグロープラグによれば、セラミックヒータの比抵抗が小さいため、グロープラグに印加される電圧が比較的低い場合であっても、十分な通電性能を確保して、発熱量を確保することが可能になる。また、セラミックヒータの強度低下が抑えられると共に、発熱抵抗体におけるクラック発生が抑えられているため、グロープラグ全体の耐久性を向上させることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、セラミックヒータの製造方法や、グロープラグの製造方法などの形態で実現することが可能である。
グロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。 発熱抵抗体の断面を、SEMを用いて観察した様子を例示する説明図である。 セラミックヒータの製造方法を示す工程図である。 各サンプルのセラミックヒータにおける製造条件、および、評価結果をまとめて示す説明図である。
A.グロープラグの全体構成:
図1は、本発明の第1の実施形態としてのグロープラグ500の概略構成を表わす断面模式図である。本実施形態のグロープラグ500は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関に取り付けられて、内燃機関の始動時における点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ500は、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の再活性バーナーシステムにおいて用いることもできる。図1に示すように、グロープラグ500は、主な構成要素として、主体金具510と、外筒540と、セラミックヒータ100と、中軸520と、リング550と、を備えている。なお、本明細書では、図1におけるグロープラグ500の軸線O方向の下方側をグロープラグ500の「先端側」と呼び、上方側を「後端側」と呼んで説明する。
主体金具510は、軸線Oに沿って延びる略円筒状の部材であり、本実施形態では、炭素鋼によって形成されている。主体金具510の内部には、軸線Oに沿って主体金具510を貫通する軸孔512が形成されている。また、主体金具510の後端側の外周面には、雄ねじ部511が形成されている。この雄ねじ部511が、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)のプラグ取り付け孔に形成された雌ねじに螺合することによって、グロープラグ500が内燃機関に固定される。
外筒540は、軸線Oに沿って延びる略円筒状の金属製部材である。外筒540の内部には、軸線Oに沿って外筒540を貫通する軸孔542が形成されている。軸孔542の内径は、セラミックヒータ100の外径と同等、あるいはセラミックヒータ100の外径に比べて若干小さく形成されており、軸孔542内にセラミックヒータ100が圧入される。外筒540の後端部は、主体金具510の軸孔512の先端部に嵌め込まれ、主体金具510の先端において、主体金具510と外筒540とが溶接される。
セラミックヒータ100は、軸線Oに沿って延びる略円柱状の部材であり、基体10と、発熱抵抗体20とを備えている。セラミックヒータ100は、その中ほどの部位において外筒540内の軸孔542内に嵌め込まれている。セラミックヒータ100において、上記中ほどの部位よりも先端側の部分は、外筒540の先端から突出している。上記中ほどの部位よりも後端側の部分は、主体金具510の軸孔512内に収容されている。セラミックヒータ100は、電力が供給されることによって発熱する。
基体10は、絶縁性のセラミックによって形成されている。基体10を構成する絶縁性セラミックは特に限定されないが、例えば、窒化珪素(Si)、サイアロン、および窒化アルミニウム(AlN)から選択される少なくとも一種の物質を含むことができる。特に、窒化珪素(Si)を含む絶縁性セラミック、すなわち窒化珪素質セラミックにより、基体10を構成することが好ましい。
窒化珪素質セラミックとしては、窒化珪素(Si)を主成分とする主相粒子が、焼結助剤成分に由来した粒界相により結合されているセラミックを挙げることができる。焼結助剤成分の含有量は、基体10全体に対して、例えば、2〜8質量%とすることが好ましい。焼結助剤成分が希土類元素を含有する場合、含有される希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)から選択される少なくとも1種の元素とすることができる。
また、焼結助剤成分としては、希土類元素に加えて、あるいは希土類元素に代えて、第4族元素、第5族元素、第13族元素(例えばアルミニウム:Al)、および第14族元素(例えば珪素:Si)の各族の元素群、および、マグネシウム(Mg)から選ばれる少なくとも1種を、含有させることもできる。上記希土類元素以外の他の焼結助剤成分の含有量は、基体10全体に対して、例えば1〜10質量%とすることができる。上記希土類元素以外の他の焼結助剤成分は、主に酸化物の形で添加され、基体10において、主に、酸化物、シリケート(珪酸塩)、あるいは複合酸化物などの形態で含有される。さらに、窒化珪素質セラミックには、焼結助剤以外の他の成分(例えば炭化珪素:SiC等)を添加してもよい。
発熱抵抗体20は、基体10の内部に埋設されており、通電によって抵抗発熱する導電性のセラミックによって形成されている。本実施形態では、発熱抵抗体20は、炭化タングステン(WC)および窒化珪素(Si)を含んでいる。また、発熱抵抗体20は、さらに焼結助剤等を含んでいてもよい。発熱抵抗体20における構成材料に係る微細構造の特徴については、後に詳しく説明する。
発熱抵抗体20は、軸線O方向に伸長すると共に先端側を頂点にして折り曲げられたU字状の構造を有する。このU字の折り返し部(下半円の部位)は、発熱抵抗体20の一部としての先端部25である。先端部25に接続し、軸線Oに沿って延びる部位は、発熱抵抗体20の一部としての一対の第1および第2リード部21,22である。先端部25は、第1および第2リード部21,22に比べて、発熱抵抗体20の伸長方向に垂直な方向の断面における断面積が小さい。
第1および第2リード部21,22の後端は、セラミックヒータ100の後端部の外表面において露出する。第1リード部21の端部が、第1の電位側の端部(マイナス側端部)27であり、第2リード部22の端部が、第1の電位側の端部27よりも高電位になる第2の電位側の端部(プラス側端部)28である。第1リード部21には、セラミックヒータ100の側面で露出する第1の電位側の接続端子(マイナス側接続端子)23が形成されている。また、第2リード部22には、上記第1の電位側の接続端子23よりも後端側の位置に、セラミックヒータ100の側面で露出する第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)24が形成されている。第1の電位側の接続端子(マイナス側接続端子)23は、セラミックヒータ100が外筒540内の軸孔542内に嵌め込まれることにより、軸孔542の内壁に接触し、外筒540と電気的に接続される。なお、本実施形態では、第1の電位側の接続端子23および第2の電位側の接続端子24は、発熱抵抗体20の他の部位と同じ材料で形成されており、発熱抵抗体20の一部として形成されている。ただし、第1の電位側の接続端子23および第2の電位側の接続端子24は、発熱抵抗体20の他の部位と別体で形成されていてもよい。
中軸520は、軸線Oに沿って延びる形状を有し、導電性材料によって形成される棒状の部材であり、主体金具510の軸孔512内において、セラミックヒータ100の後端側に配置されている。中軸520は、例えば、SUS430等の金属材料によって形成することができる。中軸520の外径は、主体金具510の軸孔512の内径よりも小さく形成されており、中軸520と軸孔512の内壁との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。本実施形態では、第1の電位側の端部27および第2の電位側の端部28が露出するセラミックヒータ100の後端面と、中軸520の先端面との間は離間している。
リング550は、導電性材料で形成された円筒状部材であり、主体金具510の軸孔512の内部で、中軸520とセラミックヒータ100との間に組み付けられる。具体的には、セラミックヒータ100の後端部と、中軸520の先端部とが、リング550の内部に嵌め込まれる。セラミックヒータ100の後端部がリング550に嵌め込まれることにより、セラミックヒータ100の側面に露出する第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)24がリング550の内壁に接する。これにより、セラミックヒータ100の発熱抵抗体20の第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)24が、リング550を介して中軸520に電気的に接続される。リング550は、例えば、SUS410、SUS630等の金属材料によって形成することができる。
グロープラグ500では、さらに、中軸520の後端部において、金属製の端子金具530が加締め固定されている。
また、主体金具510の後端部には、主体金具510の軸孔512の内壁と中軸520の間、および、主体金具510の後端と端子金具530の間に介在するように、円筒状の絶縁部材560が配置されている。絶縁部材560は、中軸520を主体金具510内で位置決めすることによって、中軸520と主体金具510との間を電気的に絶縁する空隙を形成すると共に、端子金具530と主体金具510との間を電気的に絶縁する。絶縁部材560は、絶縁性および使用環境に応じた耐熱性を有する材料、例えば、ナイロン(登録商標)やPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の絶縁性樹脂によって形成することができる。
主体金具510の軸孔512の内壁と中軸520の間において、絶縁部材560よりも先端側には、円筒状の封止部材570が配置されている。封止部材570は、中軸520、絶縁部材560および主体金具510の各々に密着することによって、主体金具510の内部を密閉する。封止部材570は、絶縁性、弾性、および使用環境に応じた耐熱性を有する材料、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム等の弾性体によって形成することができる。
以上のように構成されたグロープラグ500では、端子金具530から電力が供給されると、中軸520、リング550および第2の電位側の接続端子24を通じて発熱抵抗体20に電力が供給され、セラミックヒータ100が発熱する。このとき、発熱抵抗体20の第1の電位側の接続端子23は、外筒540、主体金具510、および内燃機関のシリンダヘッドを通じて接地される。なお、グロープラグ500において、中軸520、端子金具530、およびリング550が、課題を解決するための手段における「導電性部材」に相当する。
B.セラミックヒータの特徴:
セラミックヒータ100の発熱抵抗体20は、既述したように、炭化タングステン(WC)および窒化珪素(Si)を含む導電性のセラミックによって形成されている。本実施形態の発熱抵抗体20において、任意の断面における全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合は、好ましくは33〜67%である。発熱抵抗体20において、任意の断面における全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合は、40%以上としてもよく、45%以上としてもよい。また、任意の断面における全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合は、60%以下としてもよく、55%以下としてもよい。
上記した任意の断面における全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合は、以下のように、求めることができる。まず、セラミックヒータ100における発熱抵抗体20を含む任意の断面を得る。そして、得られた断面を鏡面研磨し、プラズマエッチング処理を施して、断面における粒界を明確化する。その後、上記断面における発熱抵抗体20の部分を3000倍に拡大した任意の視野において、電子線プローブマイクロアナライザ(Electron Probe MicroAnalyser:EPMA)を用いて、タングステンの検出感度が相対的に高い領域(以下、WC領域と呼ぶ)の範囲を特定する。このようにして特定したタングステンの検出感度が相対的に高い領域を、炭化タングステン部分とする。そして、当該視野において、特定した炭化タングステン部分の面積の合計を算出する。このようにして得られた炭化タングステン部分の面積の合計を、当該視野全体の面積で除した値が、上記した「炭化タングステン部分の面積の割合」である。
図2は、上記のようにして得られた発熱抵抗体20の任意の断面を、3000倍の倍率にて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した様子を例示する説明図である。図2では、炭化タングステン部分がより白く示されている。また、図2では、炭化タングステン部分以外の部分は、より黒く示されているが、この部分は、主として窒化珪素によって構成される窒化珪素部分である。図2に示すように、炭化タングステン部分も窒化珪素部分も共に、視野全体に分散して存在している。
発熱抵抗体20の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を33%以上とすることで、発熱抵抗体20における炭化タングステン(WC)の含有割合を確保することが容易になり、発熱抵抗体20の比抵抗をより低くすることが可能になる。また、発熱抵抗体20の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を67%以下とすることで、発熱抵抗体20における炭化タングステン(WC)の含有割合を抑えて、窒化珪素(Si)の含有割合を確保することができる。そのため、発熱抵抗体20の熱膨張率と、基体10の熱膨張率との差を抑えることが、より容易になる。その結果、例えば製造工程における焼結時に、発熱抵抗体20と基体10の間の熱膨張率の差に起因して、セラミックヒータ100にクラックが発生することを抑制できる。また、窒化珪素(Si)の含有割合を確保することで、発熱抵抗体20の焼結性の低下を抑えて、セラミックヒータ100の強度低下を抑えることができる。
また、本実施形態の発熱抵抗体20において、任意の断面における個々の炭化タングステン部分の径の平均値は、好ましくは1.4〜7.0μmである。任意の断面における個々の炭化タングステン部分の径の平均値は、2.0μm以上としてもよく、3.0μm以上としてもよい。また、任意の断面における個々の炭化タングステン部分の径の平均値は、6.0μ以下としてもよく、5.0μm以下としてもよく、4.0μm以下としてもよい。なお、以下の説明では、分散して存在する個々の炭化タングステン部分のことを、タングステン凝集体とも呼び、炭化タングステン部分の径の平均値を、タングステン凝集体の平均径とも呼ぶ。また、以下の説明では、分散して存在する個々の窒化珪素部分のことを、窒化珪素粒子とも呼ぶ。
本実施形態では、炭化タングステン凝集体の平均径は、既述した3000倍の観察視野において、ラインインターセプト法により計測している。具体的には、ラインインターセプト法とは、観察画像上に所定長さの直線を複数本平行に引き、粒子(タングステン凝集体)を上記直線が横切った部分の直線の長さの平均値を、平均粒径(タングステン凝集体の平均径)として得るという手法である。本実施形態では、少なくとも50本以上の直線を引くことにより、上記タングステン凝集体の平均径を求めている。上記したラインインターセプト法は、個々の炭化タングステン凝集体や、個々の窒化珪素粒子が、図2に示すように互いに完全に独立した粒子状ではない場合であっても、平均粒径を求めることができる方法である。
上記のように、炭化タングステン凝集体の平均径を1.4μm以上にすると、炭化タングステンの靱性が窒化珪素に比べて優れていることにより、発熱抵抗体20全体の靱性を向上させることができる。また、炭化タングステン凝集体の平均径を1.4μm以上とすることで、発熱抵抗体20においてクラックを生じさせ得る応力が発生する場合であっても、炭化タングステン凝集体においてクラックの進展を抑制し、発熱抵抗体20におけるクラック発生を抑えることができる。その理由は、以下のように考えられる。すなわち、発熱抵抗体においてクラックが発生して進展する際に、クラックの進展経路に、炭化タングステン凝集体が比較的径の大きな状態で存在すると、クラックは、炭化タングステン凝集体を迂回することなく、炭化タングステン凝集体内を進展しようとする。そして、炭化タングステンは、既述したように比較的靱性が高いため、炭化タングステン凝集体内でクラックの進展が抑制されるためと考えられる。
また、本実施形態において、炭化タングステン凝集体の平均径を7.0μm以下とすることで、発熱抵抗体20全体の強度を向上させることができる。すなわち、炭化タングステンは、窒化珪素に比べて焼結性が低く、炭化タングステン凝集体の径が大きいほど、強度がより低い領域がかたまって存在することになるため、炭化タングステン凝集体が、クラック発生などの内部破壊の起点となる可能性が高まる。そのため、炭化タングステン凝集体の平均径を上記範囲に抑えることにより、発熱抵抗体20全体の強度を高めることができる。
また、本実施形態の発熱抵抗体20では、任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した窒化珪素の粒子の平均径は、炭化タングステン凝集体の平均径よりも小さいことが望ましい。このような構成にすれば、発熱抵抗体20においてクラックが発生して進展する際に、靱性がより低い窒化珪素の粒子内を通過するのではなく、靱性がより高い炭化タングステン凝集体内を通過する確率が高まる。そのため、炭化タングステン凝集体の平均径を既述した範囲にすることにより、発熱抵抗体20におけるクラックの進展を抑える効果を、より高めることができる。
C.セラミックヒータの製造方法:
図3は、セラミックヒータ100の製造方法を示す工程図である。セラミックヒータ100を製造する際には、まず、炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末を用意する(ステップS100)。このステップS100で用意する炭化タングステン粉末の粒径(平均粒径)によって、発熱抵抗体20における炭化タングステン凝集体の平均径を制御することができ、窒化珪素粉末の粒径(平均粒径)によって、発熱抵抗体20における窒化珪素粒子の平均径を制御することができる。例えば、ステップS100で用意する炭化タングステン粉末の粒径を大きくするほど、発熱抵抗体20における炭化タングステン凝集体の平均径を大きくすることができる。炭化タングステン粉末の平均粒径は、空気透過法の一つであるフィッシャー法により測定すればよい。
ステップS100の後、ステップS100で用意した炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末と、焼結助剤粉末および溶媒等を、所定の割合で混合し(湿式混合)、その後に乾燥させることにより混合粉末を調整する(ステップS110)。このときの、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末の混合比によって、発熱抵抗体20の任意の断面における、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を制御することができる。炭化タングステン粉末の混合割合を多くするほど、発熱抵抗体の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を大きくすることができる。全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を既述した望ましい範囲にするためには、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、例えば73〜85質量%とすることが望ましい。
ステップS110で用いる焼結助剤粉末は、特に限定されないが、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、およびエルビウム(Er)等の群から選択される希土類元素の酸化物、または、上記希土類元素を含む化合物であって、加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いることができる。また、ステップS110で用いる焼結助剤としては、第4族元素、第5族元素、および第6族元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化物、または、上記元素の化合物であって、加熱により酸化物となる化合物を用いることができる。焼結助剤としては、この他、SiOおよびAl等を用いることもできる。焼結助剤としては、上記した物質から選択される1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、2種以上を用いることが望ましい。焼結助剤の含有量は、例えば、発熱抵抗体20の全体を100質量%とした場合に、10質量%以下とすることが望ましい。なお、ステップS110では、焼結助剤以外の他の成分を添加してもよい。
ステップS110で用いる溶媒としては、例えば、水および有機溶媒から選択される少なくとも1種の溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、カルビトール類、セロソルブ類、酢酸エステル類、1価アルコール類およびケトン類等が挙げられる。用いる溶媒の量は、特に限定されないが、炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末の合計を100質量%とした場合に、25質量%以上とすることができ、50質量%以上とすることが好ましい。また、炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末の合計を100質量%とした場合に、200質量%以下とすることができ、100質量%以下とすることが好ましい。
ステップS110の後、ステップS110で調整した混合粉末とバインダ(有機バインダ)とを混練し、射出成形により、発熱抵抗体20となるU字状の導電性セラミック成形体を形成する(ステップS120)。用いるバインダは特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン等の可塑剤、ワックス、および分散剤等を適宜混合したものを用いることができる。バインダは、1種類のみを用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。上記混練時のバインダの含有量は特に限定されないが、例えば、炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末の合計を100質量%とした場合に、25質量%以上とすることができ、50質量%以上とすることが好ましい。また、炭化タングステン粉末および窒化珪素粉末の合計を100質量%とした場合に、200質量%以下とすることができ、100質量%以下とすることが好ましい。
ステップS120の後、得られた導電性セラミック成形体を、基体10を構成するための絶縁性セラミック粉末に埋め込み、プレス形成により、セラミックヒータ100に対応する形状に成形する(ステップS130)。具体的には、例えば、基体10の構成材料である絶縁性セラミック粉末を圧粉して、上記導電性セラミック成形体の形状に対応する凹部を有する半割型を2個作製し、これらの半割型の間の所定の位置に、上記した導電性セラミック成形体を配置して、プレス成形すればよい。これにより、基体10の形状を有する絶縁性セラミック粉末製の成形体に、発熱抵抗体20となる導電性セラミック成形体が埋め込まれた未焼成セラミックヒータが得られる。なお、ステップS120における導電性セラミック成形体の作製工程と、ステップS130に含まれる上記半割型の作製工程とは、いずれを先に行なってもよい。
ステップS130の後、ステップS130で得られた未焼成セラミックヒータを仮焼して、バインダの除去(脱脂)を行なう(ステップS140)。仮焼温度は、例えば、600〜800℃とすることができる。
ステップS140で仮焼したのち、未焼成セラミックヒータを焼成して(ステップS150)、セラミックヒータ100を完成する。具体的には、例えば、未焼成セラミックヒータを、ホットプレス用成形型で挟持して焼成炉内に配置し、ホットプレス焼成すればよい。ホットプレス焼成は、例えば、不活性雰囲気中(窒素雰囲気中)で行なえばよい。焼成温度は、例えば、1750℃〜1850℃とすることができる。また、焼成時間は、例えば、30〜180分とすることができる。なお、ステップS150における焼成時間によって、発熱抵抗体20における既述した窒化珪素の粒子の粒径を調節することができる。具体的には、ステップS150の焼成時間を長くするほど、窒化珪素の粒子の平均粒径を大きくすることができる。また、焼成時のプレス圧力は、例えば15〜40MPaとすることができる。
なお、ステップS150の焼成の後には、得られたセラミックヒータ100を適宜研磨すればよい。
以上のように構成された本実施形態のセラミックヒータ100によれば、発熱抵抗体20の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合を33〜67%とすることで、セラミックヒータ100の比抵抗を抑えることができる。そのため、例えば、セラミックヒータ100を備えるグロープラグに印加される電圧が比較的低い場合であっても、十分な通電性能を確保して、発熱量を確保することが可能になる。
さらに、本実施形態では、発熱抵抗体20の任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した炭化タングステン凝集体の平均径を、1.4〜7.0μmとしている。そのため、上記のように発熱抵抗体20における炭化タングステンの割合を高めて、発熱抵抗体20と基体10との間の熱膨張係数が大きくなる傾向にある場合であっても、製造工程における焼結時等に、セラミックヒータ100の発熱抵抗体20におけるクラックの発生を抑えることができる。また、炭化タングステン凝集体の平均径を上記範囲としているため、発熱抵抗体20における炭化タングステンの割合を上記のように高めた場合であっても、セラミックヒータ100の強度低下を抑えることができる。
D.変形例:
・変形例1:
上記した実施形態では、発熱抵抗体20を、均一な導電性セラミックによって構成したが、異なる構成としてもよい。例えば、発熱抵抗体20において、部位毎に炭化タングステン(WC)の含有割合を異ならせて、部位毎に比抵抗を異ならせてもよい。具体的には、例えば、発熱抵抗体20の先端部における炭化タングステン(WC)の割合を、後端側よりも小さくすることで、先端部の比抵抗を後端側より大きくしてもよい。このような場合であっても、発熱抵抗体のいずれの部位においても、任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合、および、炭化タングステン凝集体の平均径の値を、既述した範囲とすることで、実施形態と同様の効果が得られる。なお、炭化タングステン(WC)の含有割合が部位毎に異なる発熱抵抗体20を採用する場合には、例えば、ステップS120で導電性セラミック成形体を作製する際に、炭化タングステンの含有割合が異なる部位を、それぞれ別々に射出成形により作製すればよい。
・変形例2:
実施形態では、発熱抵抗体20の任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した窒化珪素の粒子の平均径は、炭化タングステン凝集体の平均径よりも小さいこととしたが、異なる構成としてもよい。窒化珪素の粒子の平均径が、炭化タングステン凝集体の平均径と同等以上であっても、発熱抵抗体20の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合、および、炭化タングステン凝集体の平均径の値が、既述した範囲であれば、実施形態と同様の効果が得られる。
・変形例3:
実施形態では、セラミックヒータ100を、グロープラグ用ヒータとして用いたが、異なる構成としてもよい。バーナーの着火用のヒータ、ガスセンサの加熱用ヒータ、あるいは暖房用等の各種ヒータが備えるセラミックヒータにおいて、本願発明を適用することができる。
・変形例4:
実施形態では、発熱抵抗体20はU字形状としたが、異なる形状としてもよい。セラミックヒータの用途に応じて、U字状以外の形状を適宜採用することができる。
発熱抵抗体の任意の断面における、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合、および、炭化タングステン凝集体の平均径の値が互いに異なる種々のセラミックヒータとして、サンプル1〜25のセラミックヒータを作製した。そして、各サンプルについて、セラミックヒータの比抵抗、強度、および、製造工程における焼成時のクラック発生率を調べた。
<各サンプルの作製>
図3に基づき説明した方法により、サンプル1〜25のセラミックヒータを作製した。各サンプルは、発熱抵抗体の原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径が異なること以外は、共通する材料を用いて製造した。炭化タングステン粉末の平均粒径は、空気透過法の一つであるフィッシャー法により測定した値である。ステップS110で混合粉末を調整する際の条件は、以下の通りである。
図4は、サンプル1〜25のセラミックヒータにおける製造条件、および、後述する評価結果をまとめて示す説明図である。
サンプル1では、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、67質量%とした。また、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.7μmであり、ステップS150における焼成時間は60分とした。
サンプル2〜9では、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、73質量%とした。サンプル2において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.5μmであり、ステップS150における焼成時間は60分とした。サンプル3,4において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.7μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル3では60分とし、サンプル4では120分とした。サンプル5,6において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、2.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル5では60分とし、サンプル6では120分とした。サンプル7,8において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、3.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル7では90分とし、サンプル8では150分とした。サンプル9において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、5.1μmであり、ステップS150における焼成時間は150分とした。
サンプル10〜17では、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、77質量%とした。サンプル10において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.5μmであり、ステップS150における焼成時間は60分とした。サンプル11,12において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.7μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル11では60分とし、サンプル12では90分とした。サンプル13,14において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、2.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル13では60分とし、サンプル14では120分とした。サンプル15,16において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、3.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル15では60分とし、サンプル16では150分とした。サンプル17において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、5.1μmであり、ステップS150における焼成時間は150分とした。
サンプル18〜24では、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、85質量%とした。サンプル18,19において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、0.7μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル18では90分とし、サンプル19では120分とした。サンプル20,21において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、2.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル20では60分とし、サンプル21では120分とした。サンプル22,23において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、3.5μmである。ステップS150における焼成時間は、サンプル22では90分とし、サンプル23では150分とした。サンプル24において、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、5.1μmであり、ステップS150における焼成時間は180分とした。
サンプル25では、ステップS110における炭化タングステン粉末の混合割合は、炭化タングステン粉末と窒化珪素粉末との合計に対して、90質量%とした。また、原料として用いた炭化タングステン粉末の平均粒径は、3.0μmであり、ステップS150における焼成時間は120分とした。
ステップS150における焼成温度は、いずれのサンプルにおいても、1800℃とした。なお、ステップS150において、焼成炉内の温度を昇温する際には、構成材料の収縮開始温度(液相生成開始温度)以下である1450℃までに、プレス加圧を開始し、その後、この加圧状態を維持した。そして、焼成炉内の温度が1650℃になった時点で、炉内の窒素雰囲気の雰囲気圧力を、0.1〜1.0MPaとする雰囲気加圧を開始し、その後、この雰囲気加圧状態を維持した。
なお、得られた各サンプルでは、基体10を構成する絶縁性セラミックとして、熱膨張率は、3.2〜4.0ppm/Kのセラミックを用いた。
<WC面積比>
各サンプルの発熱抵抗体の任意の断面における、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合(WC面積比)は、既述したように、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定した。すなわち、各サンプルについて、発熱抵抗体を含む任意の断面を得て、得られた断面について、鏡面研磨、およびプラズマエッチング処理を施した。その後、上記断面を3000倍に拡大した任意の視野において、EPMA(日本電子株式会社製JXA−8800)を用いてWC領域の範囲を特定し、特定したWC領域の面積の合計を、当該視野全体の面積で除して、WC面積比を求めた。なお、既述した図2は、サンプル2についてのSEM画像を示す。
<WC凝集径および窒化珪素粒径>
各サンプルの発熱抵抗体の任意の断面における、炭化タングステン凝集体の平均径(WC凝集径)および窒化珪素の粒子の平均径は、既述したように、ラインインターセプト法によって測定した。すなわち、発熱抵抗体の任意の断面における3000倍の観察視野の画像上において、所定長さの直線を複数本平行に引き、粒子(タングステン凝集体または窒化珪素の粒子)を上記直線が横切った部分の直線の長さの平均値を、平均粒径とした。各粒径を測定する際には、上記した直線が横切る粒子の数を50以上確保した。
<比抵抗>
各サンプルの発熱抵抗体の比抵抗は、以下のようにして測定した。まず、各セラミックヒータにおいて、発熱抵抗体の断面積が一定である部分(発熱抵抗体がU字に折れ曲がる折れ曲がり部分を除いた部分)から抵抗測定用の試験片を切り出す。そして、試験片の長さL(cm)と発熱抵抗体の断面積S(cm)とを測定した。各試験片の長さは、1cmに揃えた。次いで、切り取られた試験片内の発熱抵抗体の抵抗値を室温(23〜25℃)にて、ミリオームメータにより測定した。その後、この抵抗値に基づき、以下の計算式に従って比抵抗値を算出した。
比抵抗値(μΩ・cm) =
(抵抗値〔μΩ〕× 試験片の断面積[S(cm)])/試験片の長さ[L(cm)]
比抵抗を測定する際には、各サンプルについて10個の試験片を用意して(n=10)、平均値を求めた。比抵抗の評価は、比抵抗の値が200μΩ・cm以下の場合には「○」、200μΩ・cmを越える場合には「×」とした。
<素子強度>
各サンプルのセラミックヒータの強度としては、以下のようにして抗折強度を測定した。抗折強度は、JIS R 1601に準じて、3点曲げ強度を測定した。この際のスパンは12mmとし、クロスヘッド速度は0.5mm/分とした。測定に用いた各サンプルの直径は3.3mm、各サンプルの全長は45mmである。
抗折強度を測定する際には、各サンプルについて30個のセラミックヒータを用意した(n=30)。抗折強度の評価は、各サンプルにおける10個のセラミックヒータの最低強度の値が、800MPa以上であれば「○」、800MPa未満であれば「×」とした。
<クラック発生率>
各サンプルのクラック発生率は、目視によりクラックの有無を確認した後に発生率を算出した。すなわち、各サンプルのセラミックヒータを、基体と発熱抵抗体との界面まで鏡面研磨を行ない、当該鏡面において軸線O方向における基体と発熱抵抗体との界面の長さが最も長くなるようにした。そして、得られた鏡面研磨面を、光学顕微鏡を用いて観察し、上記界面における発熱抵抗体を目視で確認して、クラックの発生有無を判定した。クラック発生率を評価する際には、各サンプルについて100個のセラミックヒータを用意した(n=100)。クラック発生率の評価は、クラック発生率が0%以上、2%未満であれば「◎」、2%以上、4%未満であれば「○」、4%以上、6%未満であれば「△」、6%以上であれば「×」とした。
図4では、比抵抗と素子強度のいずれかの評価が「×」であれば、判定を「×」とした。比抵抗と素子強度の双方の評価が「○」であれば、クラック発生率の評価を、判定結果とした。
図4に示すように、発熱抵抗体の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合が33〜67%であり、且つ、ラインインターセプト法により計測した炭化タングステン凝集体の平均径が、1.4〜7.0μmのときに、比抵抗を抑えつつ、セラミックヒータの強度を確保すると共に、クラック発生率が抑制されたセラミックヒータが得られることが確認された。また、発熱抵抗体の任意の断面において、ラインインターセプト法により計測した窒化珪素の粒子の平均径が、炭化タングステン凝集体の平均径よりも小さい方が、クラック発生率を抑制できることが確認された。
なお、発熱抵抗体の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合が33%以上を満たさないサンプル1では、炭化タングステンの含有量が少ないために、セラミックヒータの比抵抗の値が不十分であった。また、炭化タングステン凝集体の平均径が、1.4μm以上を満たさないサンプル2およびサンプル10では、クラック発生率が高くなった。また、炭化タングステン凝集体の平均径が、7.0μm以下を満たさないサンプル9、17、および24では、セラミックヒータの強度が不十分となった。さらに、発熱抵抗体の任意の断面において、全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合が67%以下を満たさないサンプル25では、基体と発熱抵抗体との間で熱膨張係数が大きくなりすぎるために、クラック発生率が高くなった。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…基体
20…発熱抵抗体
21…第1リード部
22…第2リード部
23…第1の電位側の接続端子接続端子
24…第2の電位側の接続端子接続端子
25…先端部
27…第1の電位側の端部端部
28…第2の電位側の端部端部
100…セラミックヒータ
500…グロープラグ
510…主体金具
511…雄ねじ部
512…軸孔
520…中軸
530…端子金具
540…外筒
542…軸孔
550…リング
560…絶縁部材
570…封止部材

Claims (2)

  1. 絶縁性セラミックからなる基体と、該基体内に形成されて炭化タングステン(WC)および窒化珪素(Si)を含有する発熱抵抗体と、を備えるセラミックヒータにおいて、
    前記発熱抵抗体の任意の断面において、
    全面積に対する炭化タングステン部分の面積の割合が33〜67%であり、
    ラインインターセプト法により計測した炭化タングステン凝集体の平均径が、1.4〜7.0μmであり、
    ラインインターセプト法により計測した窒化珪素の粒子の平均径は、前記炭化タングステン凝集体の平均径よりも小さいことを特徴とする
    セラミックヒータ。
  2. セラミックヒータと、該セラミックヒータの発熱する端部を先端側に突出させつつ該セラミックヒータを囲んで保持する筒状部材と、前記セラミックヒータに電圧を印加するための導電性部材と、を備えるグロープラグであって、
    前記セラミックヒータとして、請求項1に記載のセラミックヒータを備えることを特徴とする
    グロープラグ。
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