JP6608598B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、微細構造を有し且つ耐熱性に優れるセラミックハニカム構造体を熱交換器の熱交換エレメントとして用いた空気予熱装置が記載されている。また、特許文献2には、微細構造を有し且つ外周面が外周被覆剤で被覆されたセラミックハニカム構造体を基体として用いたフィルタが記載されている。さらに、特許文献3には、微細構造を有し且つ表面が触媒被覆層で被覆されたセラミックハニカム構造体を抵抗体として用いた発熱体が記載されている。
また、前記ガラス層は、セラミック粉末を含有する表面処理液を前記隔壁の表面に配した後に熱処理を施す表面処理により形成されたものであり、前記表面処理液の粘度は60mPa・s以下であってもよい。そして、前記熱処理の温度は1000℃以上1300℃以下としてもよい。
さらに、このハニカム構造体においては、前記ガラス層をシリカ及びアルミナの少なくとも一方で構成してもよい。さらに、このハニカム構造体においては、前記隔壁を構成するセラミックを炭化ケイ素としてもよい。
図1に示すハニカム構造体1は、多孔質セラミック製の隔壁2aで四角柱状に区画されたセル10(一辺の長さは例えば1mm以上10mm以下)の複数がハニカム状に配列された基体2を備えている。詳述すると、基体2は、複数のセル10が縦方向及び横方向に隙間なく並べられて格子状をなす構造を有している。
なお、セル10の形状は四角柱状に限定されるものではなく、隙間なく並べて空間充填が可能な形状であれば、どのような形状でも適用可能である。例えば、三角柱状や六角柱状でもよい。また、四角柱状の場合でも、セル10の断面形状は、図1に示すような正方形に限定されるものではなく、長方形、平行四辺形等の形状も適用可能である。
このハニカム構造体1は、下記に示す処理を基体2に施すことにより基体2の表面(隔壁2aの表面)に被覆されたガラス層3を備えている(図2を参照)。すなわち、セラミック粉末を含有する表面処理液を基体2の隔壁2aの表面に例えば膜状に配した後に熱処理を施す表面処理を行うことにより、基体2の隔壁2aの表面にガラス層3が形成されている。表面処理液を基体2の表面に配する方法は特に限定されるものではなく、浸漬、スプレー、塗布等があげられる。
このように、ガラス層3で気孔が塞がれるとともに隔壁2aの表面が被覆されているので、ハニカム構造体1の気体透過率が低くなり、セル10中の気体が隔壁2aを透過して隣接するセル10に漏洩することが抑制される。ガラス層3の質量が基体2の質量の20質量%以上であれば、十分な量のガラス層3が隔壁2aの表面に被覆されているため、セル10中の気体が隔壁2aを透過して隣接するセル10に漏洩することが防止される。
ガラス層3の質量や厚さTは、表面処理を施す回数や表面処理に用いる表面処理液の粘度によって制御することができる。例えば、表面処理液の粘度は60mPa・s以下であることが好ましい。そうすれば、表面処理液が多孔質セラミックの気孔内に容易に浸透するため、隔壁2aの表面に形成されるガラス層3の質量が大きくなりやすく、質量が基体2の質量の20質量%以上であるガラス層3を容易に形成することができる。また、隔壁2aの表面に形成されるガラス層3の厚さを小さくできるので、セル10の目詰まりを防止しつつ気体透過率が低いハニカム構造体1を得ることができる。
また、表面処理液の組成は、セラミック粉末と溶媒であり、必要に応じて増粘剤、界面活性剤(分散剤)、解膠剤、流動点降下剤等の添加剤を添加してもよい。溶媒の種類は特に限定されるものではないが、水や、イソプロピルアルコール、エタノール等の有機溶剤があげられる。
さらに、セラミック粉末の平均粒径は特に限定されるものではないが、0.1μm以上200μm以下とすることが好ましい。
さらに、表面処理液に含まれるセラミック粉末の種類は特に限定されるものではなく、シリカ、ガラス、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ハフニア、イットリア、ランタナ等のセラミックのうち1種を単独で使用することができるし、あるいは2種以上を併用することもできる。これらの中では、シリカ及びアルミナの少なくとも一方を使用することが好ましく、シリカを使用することがより好ましい。セラミック粉末としてシリカを用いれば、ガラス層3はシリカで構成される珪酸ガラス層となる。
また、気体透過率とは、ハニカム構造体のセルの隔壁を透過してセル内からセル外に出る気体の量の比率である。この気体透過率は、ハニカム構造体のセル内に気体を加圧しつつ導入し(ハニカム構造体が熱交換器の熱交換エレメントとして使用される場合の圧力で気体を導入する)、セルの隔壁を透過してセル内からセル外に出た気体の量を測定することによって得ることができる。
図3のグラフから、ガラス層の質量の増加とともに通気抵抗値が増加し、ガラス層の質量を基体の質量の20質量%以上とすれば、通気抵抗値が極めて高く、気体がセルの隔壁を極めて透過しにくいことが分かる。また、図4のグラフから、ガラス層の質量の増加とともに気体透過率が低下し、ガラス層の質量を基体の質量の20質量%以上とすれば、気体がセルの隔壁を透過しないことが分かる。
さらに、ハニカム構造体に形成されているガラス層の質量は、ガラス層が形成されているものについては基体の質量の20質量%である。さらに、ハニカム構造体を構成するセラミックの種類は炭化ケイ素であり、ガラス層を構成するセラミックの種類はシリカ(表面処理液に含まれるセラミック粉末の種類はシリカ)である。
これは、表面処理液の粘度が60mPa・s以下である場合は、表面処理液が気孔の内部に浸透しやすく、気孔の内部にまでガラス層が形成されるため、ガラス層の厚さを薄く保ちつつ十分な質量のガラス層を形成することができ、嵩比重が増大したものと考えられる。
本実施形態の熱交換器は、熱処理炉等のバーナに適用する排熱回収型の空気予熱装置に備えられるものである。この熱交換器は、燃料を空気によって燃焼させるバーナ(図示せず)からの燃焼気を加熱に用いた後の高温の排気ガスと、バーナに供給される低温の前記空気との間で熱交換を行って、排気ガスの持つ熱を回収するものであり、熱交換エレメントとして用いられるハニカム構造体1のセル10のうち一部に高温のガス、すなわち排気ガスが導入され、他部に低温のガス、すなわち空気が導入される。高温の排気ガスが導入される排気セル10Aと、低温の空気が導入される空気セル10Bは隣接しているため、隔壁2aを介して連続的に熱交換が行われ、空気が予熱される。以下に、さらに詳細に説明する。
排気ガスが導入される排気セル10Aが横方向に一列に並べられ、排気セル列をなしている(図1のA−A断面図である図6の(a)を参照)。また、空気が導入される空気セル10Bが横方向に一列に並べられ、空気セル列をなしている(図1のB−B断面図である図6の(b)を参照)。そして、排気セル列と空気セル列とが縦方向に交互に並べられている。
なお、排気セル列の上端は、排気セル10Aの長手方向を横切るように斜め方向に切断されているため、排気セル列中の各排気セル10Aの排気ガス排出口12は、排気セル10Aの並び順に従って排気セル10Aの長手方向の順次異なる位置に配置されている(図6の(a)を参照)。また、熱交換エレメントの上端面は封止材13により封止されている。これにより、各排気セル10Aの排気ガス排出口12から排出された排気ガスは合流し、封止されている熱交換エレメントの上端面(封止材13)と各排気ガス排出口12との間に形成された排気合流路14を通って、排気セル列の側面に設けられた共通排出口15から排出されるようになっている。
なお、空気セル列の下端は、空気セル10Bの長手方向を横切るように斜め方向に切断されているため、空気セル列中の各空気セル10Bの空気排出口22は、空気セル10Bの並び順に従って空気セル10Bの長手方向の順次異なる位置に配置されている(図6の(b)を参照)。また、熱交換エレメントの下端面は封止材23により封止されている。これにより、各空気セル10Bの空気排出口22から排出された空気は合流し、封止されている熱交換エレメントの下端面(封止材23)と各空気排出口22との間に形成された空気合流路24を通って、空気セル列の側面に設けられた共通排出口25から排出されるようになっている。
2 基体
2a 隔壁
3 ガラス層
10 セル
10a 開口部
Claims (2)
- セラミック製の隔壁で多角柱状に区画されたセルの複数がハニカム状に配列された基体を有し、該複数のセルの一部に高温のガスを導入し、他部に低温のガスを導入して、前記高温のガスと前記低温のガスとの間で連続的に熱交換を行う熱交換エレメントに用いるハニカム構造体の製造方法であって、
前記隔壁を構成するセラミックが炭化ケイ素であり、
セラミック粉末を含有し且つ粘度が60mPa・s以下である表面処理液を前記隔壁の表面に配した後に熱処理を施す表面処理により、前記基体の質量の20質量%以上の質量であり且つ前記隔壁の表面を被覆するガラス層を形成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 前記ガラス層はシリカ及びアルミナの少なくとも一方で構成されることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
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