JP6607100B2 - 乗物内装品の表皮の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮の意匠面を盛り上げて立体化するためのイセ込み縫い部を表皮の裏側に形成する乗物内装品の表皮の製造方法に関する。
一般的な乗物内装品では、外観をなす意匠面が、複数の表皮ピースを縫合することで形成された表皮にて構成されている。この種の表皮には、見栄え向上の観点等から、表皮ピースの縫い代部が波状に縫い縮められているイセ込み縫い部が裏側に設けられており、このイセ込み縫い部にて意匠面が盛り上がって立体化されている。そしてイセ込み縫い部は、例えば専用ミシンによって、特定の表皮ピースの縫い代部を、波状に縮めてイセ込まれた状態としつつ、別の表皮ピースの縫い代部に縫合することで形成できる。
例えば特許文献1に開示のイセ込み縫い用の専用ミシンは、主送り歯と差動送り歯とを備えた針板と、主送り歯の直上に配置された上送り歯を有している。この差動送り歯は、イセ込み縫いのための構造であり、主送り歯とは異なる送り量で駆動させることができる。そして二枚の表皮ピースを重ねた状態で針板上に配置し、さらに押え足で押えながら、これら両表皮ピースの縫い代部同士を縫合する。このときイセ込み縫い部を形成したい場合には、主送り歯と上送り歯を所定の送り量で駆動させるとともに、差動送り歯を、イセ込み量に対応するだけ増大させた送り量で駆動させる。こうして下側に配置する表皮ピースの縫い代部を差動送り歯で波状に縮めつつ(イセ込まれた状態としつつ)、上側に配置する別の表皮ピースに縫合することにより、両表皮ピースの縫い代部にイセ込み縫い部を形成できる。
特開平05-184752号公報
ところで公知技術では、差動送り歯によって、表皮ピースの縫い代部を波状に縮めてイセ込まれた状態とする。この差動送り歯は、イセ込み縫い用の専用ミシンに設けられた構造であり、通常のミシンには設けられていない構造である。このため表皮にイセ込み縫い部を設けようとしても、上述の専用ミシンを用意する必要があることから、設備投資による製造コストの増大が問題視されていた。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、表皮に対するイセ込み縫い部の形成を可能とすることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法では、表皮ピース同士を縫合して表皮を製造するに際して、表皮の裏側に配置される表皮ピースの縫い代部に、表皮の意匠面を盛り上げて立体化させるイセ込み縫い部を形成する。この種の表皮の製造方法においては、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、表皮に対するイセ込み縫い部の形成が可能であることが望ましい。
そこで本発明では、下記の第一工程と第二工程によって、イセ込み縫い部を表皮に形成することとした。すなわち第一工程では、第一の表皮ピースの縫い代部に、第一の表皮ピースを厚み方向に貫通する隙間部を適宜の間隔で複数形成したのち、隙間部にて分割された縫い代部分を、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持することにより、第一の表皮ピースの縫い代部をイセ込まれた状態とする。また第二工程では、第一の表皮ピースのイセ込まれた縫い代部を、第二の表皮ピースの縫い代部に、これらの縫い代部に沿って延びる縫合線によって縫合してイセ込み縫い部を形成する。ここで隙間部は、鍵孔形状とされて、第一の表皮ピースの縫い代部の縁で開口する開口部と、第一の表皮ピースの縫い代部が延設されている方向に対して交差する方向に延びている一対の縁部と、開口部の対面側で一対の縁部につながる円弧形状の連結縁部とを有しており、一対の縁部が、連結縁部によって離間して配置される。そして第一工程においては、第一の表皮ピースの縫い代部に沿って他の縫合線を形成して、円弧形状の連結縁部が閉じないように一対の縁部を寄せることにより、隙間部にて分割された縫い代部分を寄せた状態で維持し、第二工程においては、連結縁部よりも第一の表皮ピースの縁から離れた縫い代部の奥方に縫合線を形成する。本発明では、第一工程にて、第一の表皮ピースにおける特定の縫い代部分を、隙間部を詰めながら寄せた状態で維持することで、イセ込み縫い用の専用ミシンを用いなくとも、第一の表皮ピースの縫い代部をイセ込まれた状態にしておくことができる。また第二工程において、第一の表皮ピースと第二の表皮ピースの縫い代部同士を縫合線で縫合する。この縫合線は、例えばイセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いて形成することができる。また本発明では、一対の縁部が、連結縁部によって適切に離間して配置されている。このため第一の表皮ピースにおける特定の縫い代部分を、一対の縁部の間を詰めながら適切に寄せておく(適切なイセ込み量を確保する)ことができる。
第2発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法は、第1発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法において、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いて第一工程と第二工程を行う。第一工程においては、第一の表皮ピースの縫い代部に沿って他の縫合線を形成する。そして隙間部に挿通された他の縫合線をなす上糸と下糸が交絡しながら引き締まる力を利用して、隙間部にて分割された縫い代部分を、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持することとした。本発明ではイセ込み縫い用の構造を有さないミシンによる他の縫合線の形成により、上糸と下糸が交絡しながら引き締まる力を利用して第一の表皮ピースの縫い代部を好適にイセ込まれた状態とすることができる。
第3発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法は、第1発明又は第2発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法において、第一の表皮ピースの切欠き状とされた隙間部が、第一の表皮ピースの縫い代部が延設されている方向に対して交差する方向に延びている。本発明では、切欠き状の隙間部によって、第一の表皮ピースにおける特定の縫い代部分をスムーズに寄せておくことができる。
発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法は、第1発明〜第発明のいずれかにかかる乗物内装品の表皮の製造方法において、湾曲した表皮部分を、表皮部分に沿って配置されたイセ込み縫い部にて盛り上げて立体化させる。本発明では、湾曲した表皮部分(立体化することで見栄えが向上しやすい部位)を、イセ込み縫い部によって好適に立体化することができる。
発明にかかる乗物内装品の表皮の製造方法は、第1発明〜第発明のいずれかにかかる乗物内装品の表皮の製造方法において、乗物内装品が乗物用シートであるとともに、第一の表皮ピースが、乗物用シートの着座面側に配置されている。本発明では、乗物用シートの着座面側に配置されている第一の表皮ピースが、見栄えや着座性などを考慮して撓みにくい素材で形成されていたとしても、第一工程によって好適なイセ込み状態とすることができる。
本発明に係る第1発明によれば、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、表皮に対するイセ込み縫い部の形成が可能となる。また第1発明によれば、表皮に対してイセ込み縫い部を適切に形成することができる。また第2発明によれば、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いて、表皮に対してイセ込み縫い部を形成することができる。また第3発明によれば、表皮に対してイセ込み縫い部をスムーズに形成することができる。また第発明によれば、表皮の意匠面の適所にイセ込み縫い部を形成することができる。そして第発明によれば、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、乗物用シートの着座面を被覆する表皮部分に対してイセ込み縫い部を好適に形成することができる。
乗物用シートの斜視図である。 第一工程時における第一の表皮ピースの正面図である。 第一工程時における第一の表皮ピース一部の拡大正面図である。 第一工程時における第一の表皮ピース一部の拡大断面図である。 第一工程時における第一の表皮ピースの正面図である。 第一工程時における第一の表皮ピース一部の拡大断面図である。 第二の表皮ピースの正面図である。 第二工程時における第一の表皮ピースと第二の表皮ピースの斜視図である。 シートカバーを部分的に透視して示すシートクッション一部の概略斜視図である。 実施例2にかかるドア部の斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図10を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示することがある。図1の乗物用シート2は、乗物室内に配置される乗物内装品であり、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部には、シートバック6の下部が起倒可能に連結されているとともに、起立状態のシートバック6の上部には、ヘッドレスト8が配設されている。
<実施例1>
シートクッション4においては、シートパッド4Pが、枠状のシートフレーム4F(図示省略)上に配置されてシートカバー4Sで被覆されている。ここでシートパッド4Pは、シート外形をなす上面視で略矩形の部材であり、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。このシートパッド4Pには、図1を参照して、シート幅方向における中央に、相対的に凹み状とされた天板メイン部4aが形成されている。また天板メイン部4aの左方と右方には、各々、相対的に着座側に突出する天板サイド部4bと、シート側面を形成するカマチ部4cが形成されている。これら天板メイン部4aと天板サイド部4bは、それぞれ着座状態の乗員に接するシートの着座面を構成している。そして左右の天板サイド部4bの前部は湾曲状とされており、例えば左側の天板サイド部4bに設けられた湾曲部位4dでは、その外縁が、シート前方に向かうにつれて次第に右方に湾曲している。
[シートカバー(表皮)]
またシートカバー4Sは、本発明の表皮に相当する面材であり、複数の表皮ピースを縫合することで形成されている。例えばシートパッド4Pの湾曲部位4dは、図9を参照して、複数の表皮ピースとしての後述する第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12で被覆されており、これら両表皮ピース11,12は、シートカバー4Sの裏側に配置された互いの縫い代部11a,12a同士で縫合されている。そしてこれら両縫い代部11a,12aには、後述するイセ込み縫い部30が設けられており、このイセ込み縫い部30によって、湾曲部位4dの外縁側を覆うシートカバー部分が盛り上がって立体化されている。この種のイセ込み縫い部30は、例えば公知技術に示した専用ミシンを用いて製造できるのであるが、この種の専用ミシンの導入は、設備投資の関係などから極力避けたいとの要請がある。そこで本実施例においては、後述する第一工程と第二工程によって、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、シートカバー4Sに対するイセ込み縫い部30の形成を可能にした。以下、各構成について詳述する。
[第一の表皮ピース]
第一の表皮ピース11は、図2を参照して、正面視で扇状の表皮ピースであり、四半円弧状とされた扇沿縁11bと、この扇沿縁11bに沿って設けられた第一縫い代部11aと、一対の上側マーカー11c,11dを有している。ここで第一縫い代部11aは、扇沿縁11bの一端側E1から他端側E2まで延設されている。そしてこの第一縫い代部11aの延びる方向に向けて、後述する図5の第一縫合線SEW1や図8の第二縫合線SEW2が形成されることとなる。また一対の上側マーカー11c,11dは、それぞれ扇沿縁11bを三角状に切欠いた部位であり、後述する複数の隙間部20a〜20nを挟んで扇沿縁11bの両側に分かれて設けられている。
[第二の表皮ピース]
また第二の表皮ピース12は、図7及び図8を参照して、正面視で長方形状の表皮ピースであり、長辺縁12bと、この長辺縁12bに沿って設けられた第二縫い代部12aと、一対の下側マーカー12c,12dを有している。長辺縁12bは、第二の表皮ピース12の長辺をなす部位である。また第二縫い代部12aは、後述する第二工程において、第一縫い代部11aに重ねられた状態で縫合される部位である。また一対の下側マーカー12c,12dは、それぞれ長辺縁12bを三角状に切欠いた部位であり、対応する上側マーカー11c,11dに重ね合わせ可能な適宜の位置に設けられている。
そしてシートカバー4Sでシートパッド4Pを被覆した状態においては、図9を参照して、湾曲部位4dをなす天板サイド部4bが第一の表皮ピース11で被覆され、さらに扇沿縁11bが、湾曲部位4dの外縁に沿って配置される。また湾曲部位4dにつながるカマチ部4cが第二の表皮ピース12で被覆される。ここで第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12の素材は、後述する通常のミシンにて縫合可能である限り特に限定しないが、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)等の面材を例示できる。そして第一の表皮ピース11は、着座面を構成する天板サイド部4bを覆うことから、例えば牛革などの天然皮革で構成することができ、この天然皮革は、見栄えが良く高剛性であるが硬く撓みにくい素材である。また第二の表皮ピース12は、天然皮革とは異なる織物や編物で構成することができ、この種の織物や編物は、典型的に天然皮革に比して柔らかく伸縮性に優れている。なお各表皮ピース11,12の裏面には、ウレタンラミなどのパッド材や、不織布などの裏基布を一体化することができるが、この場合には、シートカバー4Sの厚みが増して撓みにくくなる。
[シートカバーの製造]
シートカバー4Sの製造に際しては、隣り合う表皮ピース同志を縫合し、さらに特定の表皮ピースの縫い代部に、下記の第一工程及び第二工程によってイセ込み縫い部30を形成する。本実施例においては、第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12を一例として、図2〜図8を参照しつつ、イセ込み縫い部30の形成手法の詳細を説明することとする。そして第一工程と第二工程は、例えばイセ込み縫い用の構造を有さない通常のミシン(図示省略)を用いて行うことができる。この種の通常のミシンとして、第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12を本縫い等で縫合可能な各種の工業用ミシンや家庭用ミシンを例示できる。
[第一工程(隙間部の形成)]
第一工程では、図2〜図4を参照して、第一の表皮ピース11の第一縫い代部11aに複数の隙間部20a〜20nを適宜の間隔で形成する(なお図4では、一部の隙間部のみ図示されている)。これら複数の隙間部20a〜20nは、第一の表皮ピース11を厚み方向に貫通する部位であり、一対の上側マーカー11c,11dの間の扇沿縁11b部分に等間隔で配置されている。ここで複数の隙間部20a〜20nの基本構成は略同一であることから、以下に、上側マーカー11d側に設けられた特定の隙間部20bを一例にその詳細を説明する。
隙間部20bは、図3を参照して、扇沿縁11bを鍵孔状に切欠いてなる部位であり、開口部26と、一対の縁部23,24と、連結縁部25を有している。この隙間部20bは、第一縫い代部11aが延設されている方向(図5の第一縫合線SEW1の延びる方向を参照)に対して交差する方向に延びている。そして隙間部20bによって、第一縫い代部11aの扇沿縁11b側が後述する縫い代部位(22a,22b)に分割されている。そして開口部26は、扇沿縁11b側に形成された開口である。また連結縁部25は、上面視で略円形状とされた隙間部20bの縁であり、第一縫い代部11aの奥側に形成されて開口部26に対面配置されている。また一対の縁部23,24は、第一縫い代部11aが延設されている方向に対して交差する方向に延びている隙間部20bの縁であり、開口部26から連結縁部25に向けて直線状に形成されている。そして図4を参照して、一対の縁部23,24は、これらの間に配置した連結縁部25によって、適度な離間寸法L1で対面状に配置されている。そして後述する第一縫い代部11aをイセ込み状態とする際に、両縁部23,24の間を詰めることで、隣り合う縫い代部位22a,22bを、適切なイセ込み量を確保するように寄せておくことができる。
また第一縫い代部11aの扇沿縁11bは、図2を参照して、複数の縫い代部位22a〜22mに分割されている。そして扇沿縁11bには、これら各縫い代部位22a〜22mと各隙間部20a〜20nがアルファベット順に交互に配置されている。これら複数の縫い代部位22a〜22mの基本構成は略同一であることから、以下に、上記隙間部20bに隣接する特定の縫い代部位22bを一例にその詳細を説明する。この縫い代部位22bは、上方視で略矩形状をなす部位であり、第一縫い代部11aの生地そのもので形成されている。縫い代部位22bの幅寸法L2は、図4を参照して、後述する第一縫合線SEW1のピッチと隙間部20bの離間寸法L1を考慮して、図6に示す第一縫合線SEW1の上糸Y1と下糸Y2によって縫付け可能な寸法に設定されている。そして縫い代部位22bは、図3及び図4に示すように、隣接する隙間部20bによって他の縫い代部位22aから分割されている。
[第一縫合線(他の縫合線)の形成]
さらに第一工程では、図5を参照して、各隙間部20a〜20nにて分割された縫い代部位22a〜22mを、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持する。こうすることで第一の表皮ピース11の第一縫い代部11aを縮めてイセ込まれた状態とすることができる。本実施例においては、第一縫合線SEW1によって第一縫い代部11aをイセ込まれた状態とする。この第一縫合線SEW1は、本発明の他の縫合線に相当し、図6に示すように通常のミシンによって上糸Y1と下糸Y2を本縫いすることで形成できる。そして各隙間部20a〜20nに挿通された第一縫合線SEW1の上糸Y1と下糸Y2が交絡しながら引き締まる力を利用して、各縫い代部位22a〜22mを、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持することができる。例えば図6を参照して、各縫い代部位22a〜22dには、第一縫合線SEW1の上糸Y1と下糸Y2が刺通された状態で固定されている。また隙間部20b等では、第一縫合線SEW1の上糸Y1と下糸Y2が交絡しながら引き締まっており、この両糸Y1,Y2の引締め力によって、隙間部20bの各縁部23,24が離間寸法L3(L3<L1)に詰められている。こうして隙間部20b等の離間寸法が詰められることで、各縫い代部位22a〜22dが互いに近づく方向に寄せられることとなる。なお上記構成では、第一の表皮ピース11が硬く撓みにくい天然皮革(又は厚手の生地)で構成されていても、各隙間部20a〜20nを詰めることで、第一縫い代部11aを好適なイセ込み量でイセ込み状態としておくことができる。
[第二工程(縫合線の形成)]
第二工程では、図8を参照して、第一の表皮ピース11のイセ込まれた第一縫い代部11aを、第二の表皮ピース12の第二縫い代部12aに、第二縫合線SEW2によって縫合してイセ込み縫い部30を形成する。この第二縫合線SEW2は、本発明の縫合線に相当し、通常のミシンによって図示しない上糸と下糸を本縫いすることで形成できる。第二工程の具体的な手順は、第一の表皮ピース11の裏側に第二の表皮ピース12をあてがいながら第一縫い代部11aと第二縫い代部12aを重ねる。そして第一縫い代部11aの各上側マーカー11c,11dの少なくとも一方を、第二縫い代部12aの対応する下側マーカー12c,12dに位置合わせしておく。この状態で通常のミシンを用いて、第一縫い代部11aに沿って第二縫合線SEW2を形成することで、イセ込まれた第一縫い代部11aを第二縫い代部12aに縫合してイセ込み縫い部30を形成することができる。なお第二縫合線SEW2は、第一縫合線SEW1に重ならないように形成されることが好ましく、本実施例においては、第一縫合線SEW1よりも第一縫い代部11aの奥側に形成されている。
[シートカバーによるシートパッドの被覆作業]
図9を参照して、シートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆する。このとき第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12を、第二縫合線SEW2を境に展開しつつ、これら展開させた両表皮ピース11,12によってシートパッド4Pの湾曲部位4dを被覆する。第一の表皮ピース11は、着座面となる天板サイド部4bを被覆し、さらに扇沿縁11bが、湾曲部位4dの外縁に沿って配置される。また第二の表皮ピース12は、カマチ部4cを被覆する。そして両表皮ピース11,12の裏側に配置されたイセ込み縫い部30が、湾曲部位4dの外縁に沿って湾曲状とされて配置される。こうして湾曲部位4dを被覆する湾曲したシートカバー部分(扇沿縁11bの配置された部分)を、イセ込み縫い部30によって盛り上げて立体化することにより、シートの見栄えを向上させることができる。
以上説明したとおり本実施例では、第一工程にて、第一の表皮ピース11における特定の縫い代部分(縫い代部位22a〜22m)を、隙間部20a〜20nを詰めながら寄せた状態で維持しておく。こうすることでイセ込み縫い用の専用ミシンを用いなくとも、第一の表皮ピース11の第一縫い代部11aをイセ込まれた状態にしておくことができる。特に本実施例では、第一縫合線SEW1の形成により、上糸Y1と下糸Y2が交絡しながら引き締まる力を利用して第一縫い代部11aをイセ込まれた状態とすることができる。さらに第二工程において、第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12の縫い代部同士を第二縫合線SEW2で縫合することでイセ込み縫い部30を形成できる。そして上述の第一縫合線SEW1と第二縫合線SEW2は、例えばイセ込み縫い用の構造を有さない通常のミシンを用いて形成することができる。このため本実施例によれば、イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いたとしても、シートカバー4Sに対するイセ込み縫い部30の形成が可能となる。
また本実施例では、切欠き状の隙間部20a〜20nによって、縫い代部位22a〜22mをスムーズに寄せておくことができる。このとき各隙間部に設けられた一対の縁部23,24が、連結縁部25によって適切に離間して配置されていることで、第一縫い代部11aに適切なイセ込み量を確保することができる。そして本実施例では、湾曲部位4dを被覆するシートカバー部分である扇沿縁11b部分(立体化することで見栄えが向上しやすい部位)を、イセ込み縫い部30によって好適に立体化することができる。さらに乗物用シート2の着座面側に配置されている第一の表皮ピース11が、見栄えや着座性などを考慮して撓みにくい素材で形成されていたとしても、第一工程によって好適なイセ込み状態とすることができる。
<実施例2>
実施例2では、実施例1の構成部材とほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施例では、図10を参照して、乗物内装品としてのドア部40の表皮に本発明を適用した例を説明する。このドア部40は、略矩形の窓部41と、この窓部41の下方で乗物室内側に突出するドアトリム部42を有している。このドアトリム部42は、略長方形状の部材であり、その上面の端部側に湾曲部位44を有している。そしてドアトリム部42の表皮は、ドアトリム部42の上面を被覆する第一の表皮ピース44Sと、ドアトリム部42の側面を被覆する第二の表皮ピース45Sを縫合することで形成されている。そこで本実施例においては、ドアトリム部42の湾曲した端部を盛り上げて立体化するため、対応する表皮の裏側において、第一の表皮ピース44Sと第二の表皮ピース45Sの縫い代部(図示省略)にイセ込み縫い部30を設けることとした。なおドアトリム部42の各表皮ピースの縫い代部は、ドアトリム部42の形状に合わせて適宜の位置でカットして短くしておくことができる。
本実施形態にかかる乗物内装品の表皮の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、第一工程と第二工程の手順を例示したが、これら各工程の手順は適宜変更可能である。例えば本実施例では、もっぱら通常のミシンを用いたが、イセ込み縫い用の専用ミシンを用いることを排除する趣旨ではない。例えばイセ込み縫い用の専用ミシンを使用することで、第一工程における各縫い代部位を寄せた状態で維持する手順と第二工程を同時に行うことができ、この場合には、第一縫い代部のイセ込み量を好適に増大させることができる。さらに第一工程において第一縫い代部に隙間部を予め設けることにより、第一の表皮ピースが硬く撓みにくい(又は厚く撓みにくい)素材であったとしても、専用ミシンによって、第一縫い代部を好適なイセ込み状態とすることができる。
また第一工程において、各縫い代部位22a〜22mを寄せた状態で維持する手法として、通常のミシンによって第一縫合線SEW1を形成する手法を例示した。この他の手法として、各縫い代部位を寄せた状態で接着や貼着で維持する手法、各縫い代部位を寄せた状態で熱プレスによって融着して維持する手法を例示できる。なお複数の隙間部を形成する場合には、その一部にのみ上糸と下糸を挿通しておくこともできる。すなわち第一縫い代部をイセ込む際には、複数の隙間部の全てを詰めることができ、一部の隙間部のみを詰めることもできる。また第一縫合線と第二縫合線の縫目は、これら縫合線の目的を達成可能である限り、本縫い以外の縫目形式であってもよい。
また本実施形態では、第一の表皮ピース11と第二の表皮ピース12とイセ込み縫い部30の構成(形状,寸法,配置位置など)を例示したが、これらの構成を限定する趣旨ではない。例えば各表皮ピースは、扇状や長方形状のほか、シートカバーの構成に応じて適宜の形状や寸法をとることができ、イセ込み縫い部も、縫い代部の形状に応じて適宜の形状をとることができる。また第一の表皮ピースと第二の表皮ピースとイセ込み縫い部は、シートカバーの適宜の位置に設けることができる。
また隙間部20a〜20nの構成(形状,寸法,形成位置,形成数など)を例示したが、同部の構成を限定する趣旨ではない。例えば隙間部は、半円状や半楕円状や多角形状等の各種の形状の切欠きや、各種形状の貫通孔で構成することができる。なお隙間部は、好適なイセ込み量を確保する必要上、一対の縁部が連結縁部で離間されていることが好ましく、この場合の隙間部は、鍵孔状のほか、長方形状や台形状などの各種形状をとることができ、さらに各縁部と連結縁部は、直線状や曲線状などの各種形状をとることができる。なお複数の隙間部を形成する場合には、複数の隙間部を全て同一構成とすることができ、また隙間部の一部の構成を異ならせることもできる。そして隙間部の構成に応じて、縫い代部位の構成も適宜変更可能である。
また本実施形態では、乗物内装品として、乗物用シートやドア部を例示したが、乗物内装品の種類を限定する趣旨ではない。乗物内装品は、乗物室内に配置され且つ表皮を備えた部材であればよく、インストルメントパネルや天井部やコンソールなどの各種部材を例示できる。また乗物用シートにおいては、シートクッションのほか、シートバックやヘッドレストやアームレスト等の各種シート構成部材のシートカバーに本実施形態の構成を適用できる。そして乗物内装品に応じて、表皮の構成を適宜変更することができ、さらにイセ込み縫い部の配置位置も適宜変更することができる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物に搭載される乗物内装品に適用できる。
2 乗物用シート(乗物内装品)
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4P シートパッド
4a 天板メイン部
4b 天板サイド部
4c カマチ部
4d 湾曲部位
4S シートカバー
11 第一の表皮ピース
11a 第一縫い代部
11b 扇沿縁
11c,11d 上側マーカー
12 第二の表皮ピース
12a 第二縫い代部
12b 長辺縁
12c,12d 下側マーカー
20a〜20n 隙間部
22a〜22m 縫い代部位(本発明の隙間部にて分割された縫い代部分)
23,24 縁部
25 連結縁部
26 開口部
30 イセ込み縫い部
40 ドア部
41 窓部
42 ドアトリム部
44 湾曲部位
44S 実施例2にかかる第一の表皮ピース
45S 実施例2にかかる第二の表皮ピース
SEW1 第一縫合線(本発明の他の縫合線)
SEW2 第二縫合線(本発明の縫合線)

Claims (5)

  1. 表皮ピース同士を縫合して表皮を製造するに際して、前記表皮の裏側に配置される前記表皮ピースの縫い代部に、前記表皮の意匠面を盛り上げて立体化させるイセ込み縫い部を形成する乗物内装品の表皮の製造方法において、
    第一の表皮ピースの縫い代部に、前記第一の表皮ピースを厚み方向に貫通する隙間部を適宜の間隔で複数形成したのち、前記隙間部にて分割された縫い代部分を、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持することにより、前記第一の表皮ピースの縫い代部をイセ込まれた状態とする第一工程と、
    前記第一の表皮ピースのイセ込まれた縫い代部を、第二の表皮ピースの縫い代部に、これらの縫い代部に沿って延びる縫合線によって縫合して前記イセ込み縫い部を形成する第二工程とを備え、
    前記隙間部は、鍵孔形状とされて、前記第一の表皮ピースの縫い代部の縁で開口する開口部と、前記第一の表皮ピースの縫い代部が延設されている方向に対して交差する方向に延びている一対の縁部と、前記開口部の対面側で前記一対の縁部につながる円弧形状の連結縁部とを有しており、前記一対の縁部が、前記連結縁部によって離間して配置され、
    第一工程においては、前記第一の表皮ピースの縫い代部に沿って他の縫合線を形成して、前記円弧形状の連結縁部が閉じないように前記一対の縁部を寄せることにより、前記隙間部にて分割された縫い代部分を寄せた状態で維持し、
    前記第二工程においては、前記連結縁部よりも第一の表皮ピースの縁から離れた縫い代部の奥方に前記縫合線を形成する乗物内装品の表皮の製造方法。
  2. イセ込み縫い用の構造を有さないミシンを用いて第一工程と第二工程を行うとともに、第一工程においては、前記第一の表皮ピースの縫い代部に沿って前記他の縫合線を形成することにより、前記隙間部に挿通された前記他の縫合線をなす上糸と下糸が交絡しながら引き締まる力を利用して、前記隙間部にて分割された縫い代部分を、対応する隙間部を詰めながら寄せた状態で維持する請求項1に記載した乗物内装品の表皮の製造方法。
  3. 前記第一の表皮ピースの切欠き状とされた前記隙間部が、前記第一の表皮ピースの縫い代部が延設されている方向に対して交差する方向に延びている請求項1又は2に記載した乗物内装品の表皮の製造方法。
  4. 湾曲した表皮部分を、前記表皮部分に沿って配置された前記イセ込み縫い部にて盛り上げて立体化させる請求項1〜3のいずれか一項に記載した乗物内装品の表皮の製造方法。
  5. 前記乗物内装品が乗物用シートであるとともに、前記第一の表皮ピースが、前記乗物用シートの着座面側に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載した乗物内装品の表皮の製造方法。
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