本発明は、一つには、(i)例えば230℃を超える高いガラス転位(Tg)特性と、(ii)10%未満の量の3,4−CIPAPIを有するClPAPI成分から製造されたポリエーテルイミドの粘度より実質的に低い改良された粘度と、(iii)ポリマーから製造された物品では、成形温度条件においてプレートアウトが観察されない非常に低濃度の残留環式構造物含有量と、の組み合わせを有するポリエーテルイミドポリマーの製造が今や可能であるという見解に基づいている。ポリマーは、特定の異性体混合物、例えば、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)異性体の混合物から製造される。
より具体的には、本発明者らは、顕著な量の3,4’−ClPAPIを含むモノマー混合物、例えば、PPDと共に3−および4−CIPAを含む混合物から調製されたモノマー混合物からCIPAPIを製造すると、驚くほど好都合な特性組み合わせを有するポリエーテルイミドが調製できることを見出した。ClPAPIが3,4’異性体リッチであると、他の異性体の溶解度が上昇する。理論に拘束されることなく、この上昇した溶解度によって、Na2BPAにより重合が始まると思われ、1,000〜100,000原子質量単位の分子量が容易に得られる。この改良ハロ置換プロセスによって、残留物と副生成物の含有量が低減された、特に単環型(n=1)環式副生成物の含有量が低減されたポリエーテルイミドが得られる。さらに、ポリエーテルイミドは、高いガラス転移温度、剛性および粘度のうちの1つまたは複数を含む改良された化学的および物理的特性を有し得る。
作用例におけるもの、あるいは別途明記されている場合を除き、本明細書と請求項における成分量、反応条件などを指すすべての数あるいは表現は、すべての場合において、「約」で修飾されているものと理解されるべきである。本特許出願においては種々の数値範囲が開示される。これらの範囲は連続的であり、最小値と最大値間のすべての数値を含む。別途明示される場合を除き、本出願に明記された種々の数値範囲は近似である。同じ成分あるいは特性に係る範囲はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせ可能である。
別途明示がある場合やポリスチレン標準に言及される場合を除き、本出願中の分子量はすべて質量平均分子量を指す。こうした分子量はすべて原子質量単位で表される。
単数表現は量の限定を示すものではなく、参照されたアイテムが少なくとも1つ存在することを示すものである。本明細書での「その組み合わせ」とは、参照された要素の1つまたは複数と、任意に参照されていない類似の要素と、を含むものである。明細書全体に亘る「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」、「一部の実施形態」などは、この実施形態に関連して記載された特定の要素(例えば、特長、構造、特性およびまたは特徴)が記載された少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、他の実施形態には含まれていてもいなくてもよい。また、記載された要素(類)は、種々の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられ得るものと理解されるべきである。
化合物は標準命名法を用いて記載される。例えば、表記のいかなる基によっても置換されていない位置は、その価電子帯が表示された結合または水素原子によって満たされているものと理解されるべきである。2つの文字または記号間以外のダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を示す。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を経由して結合される。
「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有するC1−30分枝鎖および直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−およびs−ヘキシル、n−およびs−ヘプチル、およびn−およびs−オクチルを含む。「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(例えばエテニル(−HC=CH2))を有する直鎖または分枝鎖の一価炭化水素基を意味する。「アルコキシ」は、酸素経由で結合したアルキル基(例えばアルキル−O−)を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基およびsec−ブチルオキシ基を意味する。
「アリール」は、フェニル、トロポン、インダニルまたはナフチルなどの、特定の数の炭素原子を含む芳香族部分を意味する。「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖の飽和二価脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン基(−CH2−)またはプロピレン(−(CH2)3−)を意味する。
「シクロアルキレン」は、二価の環式アルキレン基−CnH2n−x(式中、xは、環化で置換された水素の数)を意味する。「シクロアルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する環(環員がすべて炭素である)を1つ以上有する一価の基(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)を意味する。
接頭辞「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびアスタチン置換基の内の1つまたは複数を含む基または化合物を意味する。異なるハロ基(例えば、ブロモとフルオロ)の組み合わせも存在できる。ある実施形態では、クロロ基だけが存在する。
接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基が、ヘテロ原子である少なくとも1つの環(例えば、1個、2個または3個のヘテロ原子)(ここでのヘテロ原子は、それぞれ独立にN、O、S、SiまたはP)を含むことを意味する。
「置換」は、化合物または基が、置換される原子の正常価数を超えないことを条件として、水素の代わりに、C1−9アルコキシ、C1−9ハロアルコキ、ニトロ(−NO2)、シアノ(−CN)、C1−6アルキルスルホニル(−S(=O)2−アルキル)、C6−12アリールスルホニル(−S(=O)2−アリール)、チオール(−SH)、チオシアノ(−SCN)、トシル(CH3C6H4SO2−)、C3−12シクロアルキル、C2−12アルケニル、C5−12シクロアルケニル、C6−12アリール、C7−13アリールアルキレン、C4−12ヘテロシクロアルキルあるいはC3−12ヘテロアリールから独立に選択された少なくとも1個の(例えば1、2、3または4個の)置換基で置換されることを意味する。
別途明示される場合を除き、すべてのASTM試験は、ASTM標準2003年版に基づくものである。
ポリエーテルイミドは、式(1)の構造を有する:
式中、Rはp−フェニレンであり;nは1より大きく、例えば10〜1000以上であり、より具体的には10〜500である。
式(1)の基Zは、置換または未置換の二価有機基でもあり、Zの価数を超えないことを条件として、1〜6個のC1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子あるいはこれらの組み合わせで任意に置換された芳香族C6−24単環式または多環式部分であってもよい。典型的な基Zは、式(3)のジヒドロキシ化合物から誘導された基を含む:
式中、RaとRbは、それぞれハロゲン原子または一価炭化水素基を表わし、同じであっても異なっていてもよく;pとqは、それぞれ独立に0〜4の整数であり;cは0〜4であり;Xaは、各C6アリーレン基の架橋基およびヒドロキシ置換基がC6アリーレン基上の互いにオルト、メタまたはパラ(特定的にはパラ)に配置されているヒドロキシ置換芳香族基を結合する架橋基である。架橋基Xaは、単結合、−O−、−S、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−あるいはC1−18有機基であってもよい。C1−18有機架橋基は、環式または非環式であっても、芳香族または非芳香族であってもよく、さらに、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、シリコンまたはリンなどのヘテロ原子を含んでいてもよい。C1−18有機基は、それに結合しているC6アリーレン基がそれぞれ、C1−18有機架橋基の共通のアルキリデン炭素または異なる炭素に結合されるように配置されていてもよい。特定の例では、Z基は式(3a)の二価基である:
式中、Qは、−O−、−S−、−C(O)−、−SO2−、−SO−、および−CyH2y−とそのハロゲン化誘導体(パーフルオロアルキレン基を含む)(式中、y:1〜5の整数)である。特定の実施形態では、Zは、Qが2,2−イソプロピリデンであるビスフェノールAから誘導される。
ポリエーテルイミドはコポリマーであってもよく、また、ポリエーテルイミドの組み合わせも使用できる。ある実施形態では、ポリエーテルイミドは任意に、追加のイミド構造単位、例えば式(4)のイミド単位を含む:
式中、Rは式(1)に記載のものであり、Wは、式(5)のリンカーである:
これらの追加のイミド構造単位の存在量は、合計の単位数に対して0〜10モル%であってもよく、具体的には0〜5モル%であってもよく、より具体的には0〜2モル%であってもよい。ある実施形態では、ポリエーテルイミド中には、追加のイミド単位は存在しない。
ポリエーテルイミドは、所謂「ハロ置換」法または「塩素置換」法で調製される。この方法では、式(6)
(式中、Xはハロゲン)の構造の無水ハロフタル酸は、式(7)
(式中、Rは式(1)で記載のもの)の有機ジアミンで縮合されて、式(8)
のビス(ハロフタルイミド)を形成する。
ある実施形態では、Xはハロゲンであり、具体的にはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、より具体的にはクロロである。異なるハロゲンの組み合わせも使用できる。
特定の実施形態では、ジアミン(7)はp−フェニレンジアミンである。
無水ハロフタル酸(6)とアミン(7)の縮合(イミド化)は、触媒の有無にかかわらず行える。イミド化のための典型的な相間移動触媒としては、ナトリウムフェニルホスフィネート(SPP)、酢酸、ヘキサエチルグアニジニウムクロリド、安息香酸、フタル酸あるいはこれらの置換誘導体が挙げられる。ある実施形態では、ナトリウムフェニルホスフィネートはイミド化触媒として使用される。触媒を使用する場合、その存在量は、この反応の促進に有効な量であり、例えば、ジアミンの質量に対して約0.1〜0.3質量%である。
この反応は一般に、沸点が好適には約100℃超の、具体的には約150℃超の比較的非極性の溶媒、例えば、o−ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ジフェニルスルホン、あるいは、アニソール、ベラトロール、ジフェニルエーテルまたはフェネトールなどのモノアルコキシベンゼンの存在下で行われる。特に、オルト−ジクロロベンゼンとアニソールを挙げられる。
ビス(ハロフタルイミド)(8)は、一般には少なくとも110℃で、具体的には150℃〜275℃で、より具体的には175℃〜225℃で調製される。110℃より低い温度では、反応速度が経済的な運転としては小さくなりすぎる可能性がある。蒸発による溶媒の逸出なく高温の使用を容易にするためには、大気圧あるいは、例えば5大気圧までの超大気圧が使用できる。
溶媒、ジアミン(7)および無水ハロフタル酸(6)は、ビス(ハロフタルイミド)(8)形成反応中の全固形分含有量が約40質量%、25質量%あるいは約17質量%を超えない量で組み合わせできる。「全固形分含有量」は、任意の時刻での反応中に存在する液体を含む合計質量に対する反応物の割合を表す。
無水ハロフタル酸(6)とジアミン(7)とのモル比は1.98:1〜2.04:1であり、具体的には2:1である。他の比率を用いることもできるが、無水物またはジアミンの量が少し過剰であることが望ましい場合がある。無水ハロフタル酸(6)とジアミン(7)間の化学量論的バランスを適切に維持して、ポリマーの分子量を制限し得る望ましくない副生成物の生成を防止し、およびまたはアミン末端基を有するポリマーを生成する。従って、ある実施形態では、イミド化は、ジアミン(7)を無水ハロフタル酸(6)と溶媒との混合物に添加して、無水ハロフタル酸とジアミンとの目標とする初期モル比を有する反応混合物を形成するステップと;反応混合物を少なくとも100℃に加熱する(任意にイミド化触媒の存在下で)ステップと;加熱した反応混合物のモル比を分析して、無水ハロフタル酸(6)とジアミン(7)の実際の初期モル比を求めるステップと、必要に応じて、無水ハロフタル酸(6)またはジアミン(7)を分析した反応混合物に添加して、無水ハロフタル酸(6)とジアミン(7)のモル比を2.01〜2.3に調節するステップと、により進行する。
所望の範囲の異性体の混合物を生成するには、例えば75:25〜25:75、60:40〜40:60あるいは約50:50の相対比率で、4−無水ハロフタル酸と3−無水ハロフタル酸を添加する。
イミド化後、ビス(ハロフタルイミド)(8)
のハロゲン基Xを、式(9)
(式中、Mはアルカリ金属であり、Zは、式(1)に記載のもの)のジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩を用いた反応で置換して、式(1)
(式中、n、RおよびZは上記に定義したもの)のポリエーテルイミドを得る。
アルカリ金属Mはいずれのアルカリ金属であってもよく、典型的にはカリウムまたはナトリウムである。アルカリ金属塩は、金属と、1〜6個のC1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子あるいはこれらの組み合わせで任意に置換された芳香族C6−24単環式または多環式ジヒドロキシ化合物、例えば、式(3)の化合物、より具体的には式(3a)の基の1つに対応するジヒドロキシ化合物、さらにより具体的には式(10)
(式中、Ra、RbおよびXaは、式(3)に記載のもの)のビスフェノール化合物との反応によって得られる。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」あるいは「BPA」)が使用できる。
ビス(ハロフタルイミド)(8)とアルカリ金属塩(9)との反応による重合は、使用する反応条件下、特に温度下で実質的に安定である相間移動触媒の有無にかかわらず行える。重合用の典型的な相間移動触媒としては、ヘキサアルキルグアニジウムおよびα,ω−ビス(ペンタアルキルグアニジニウム)アルカン塩が挙げられる。以下、この両方のタイプの塩類を「グアニジニウム塩」と呼ぶ。
重合は一般に、沸点が好適には約100℃超の、具体的には約150℃超の比較的非極性の溶媒、例えば、o−ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ジフェニルスルホン、あるいは、アニソール、ベラトロール、ジフェニルエーテルまたはフェネトールなどのモノアルコキシベンゼンの存在下で行われる。特に、o−ジクロロベンゼンとアニソールが挙げられる。あるいは、極性非プロトン性溶媒を使用することができ、その具体的な例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN−メチルピロリジノン(NMP)が挙げられる。これらの溶剤の少なくとも1つを含む組み合わせも使用できる。
重合は、少なくとも110℃の温度で、具体的には150℃〜275℃で、より具体的には175℃〜225℃の温度で行える。110℃より低い温度では、反応速度が経済的な運転としては小さくなりすぎる可能性がある。蒸発による溶媒の逸出なく高温の使用を容易にするためには、大気圧あるいは、例えば5大気圧までの超大気圧が使用できる。
ある実施形態では、アルカリ金属塩(9)を有機溶媒に添加し、水を、例えばその共沸混合物として混合物から除去する。その後、ビス(ハロフタルイミド)(8)を添加し、水を、例えばその共沸混合物として混合物から除去後に、あらかじめ乾燥させた溶液中の触媒を有機溶媒に添加する。系からの水の除去は、1つまたは複数のリアクタと連動した蒸留塔などの当分野で既知の手段を用い、バッチプロセス、半連続プロセスあるいは連続プロセスのいずれかで実現できる。ある実施形態では、リアクタから蒸留する水と非極性有機液体の混合物は蒸留塔に送られ、ここで、水はオーバーヘッドから取り出され、溶媒は、所望の固形分濃度を維持または上昇させる流量で、リアクタ内に再循環される。水分を除去する他の方法としては、水を化学的または物理的に吸着する乾燥床に濃縮した蒸留物を通す方法が挙げられる。
ビス(ハロフタルイミド)(8)とアルカリ金属塩(9)のモル比は約1.0:0.9〜0.9:1.0であってもよい。重合中のビス(ハロフタルイミド)(8)の固形分含有量は、重合混合物の合計質量に対して、15質量%〜60質量%であってもよい。
従って、ビス(ハロフタルイミド)組成物からのポリエーテルイミドの製造方法は、触媒活性量の相間移動触媒の存在下、アルカリ金属塩(9)をビス(ハロフタルイミド)(8)と反応させるステップを備える。これに関して、ポリエーテルイミドの所望の特性は、その製造に用いるビス(ハロフタルイミド)(8)の位置異性体を注意深く選択することによって得られることが本発明者らによって見出された。特に、ビス(ハロフタルイミド)(8)を3−無水ハロフタル酸(6a)およびまたは4−無水ハロフタル酸(6b)
から形成して、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)(8a)、3,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)およびまたは4,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8c)
が得られる。式(8b)から分かるように、Rが対称の場合(例えば、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンの場合)、3,4’−および4,3’−異性体は同じである。ここでのおよび請求項での3,4’異性体への言及には、具体的には、Rが対称であるか否かに拘わらず、4,3’異性体が含まれる。特定の実施形態では、3−クロロフタル酸無水物(3−ClPA)、4−クロロフタル酸無水物(4−ClPA)およびジアミンの組み合わせを反応させて、ビス(クロロフタルイミド)を生成する。
ジアミンがm−フェニレンジアミンの場合、組成物を(ClPAMI)と呼ぶ。ClPAMI生成物は、3,3’−ビス(クロロフタルイミド)(3,3’−ClPAMI)(1,3−ビス[N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼン)、3,4’−ビス(クロロフタルイミド)(3,4’−ClPAMI)(1,3−ビス[N−(3−クロロフタルイミド,4−クロロフタルイミド)]ベンゼン)、および4,4’−ビス(クロロフタルイミド)(4,4’−ClPAMI)(1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼン)の混合物として得られる。
ジアミンがp−フェニレンジアミンの場合、組成物を(ClPAPI)と呼ぶ。ClPAPI生成物は、3,3’−ビス(クロロフタルイミド)(3,3’−ClPAPI)(1,4−ビス[N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼン)、3,4’−ビス(クロロフタルイミド)(3,4’−ClPAPI)(1,4−ビス[N−(3−クロロフタルイミド,4−クロロフタルイミド)]ベンゼン)および4,4’−ビス(クロロフタルイミド)(4,4’−ClPAPI)(1,4−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼン)の混合物として得られる。
理論に拘束されることなく、3,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)(例えば3,4’−ClPAPI異性体)の溶解度は、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)(3,3’−および4,4’−ClPAPI異性体を含む)より約10倍大きいと考えられる。3,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)の濃度が上昇すると、反応の固形物の質量%は30質量%から60質量%に上昇し、固形物の質量%が30質量%から45質量%に上昇すると、単環型副生成物は、1.5質量%から0.75質量%に減少する。ポリエーテルイミド生成物中の3,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)の量が上昇すると、ポリエーテルイミド生成物の弾性率と延性に悪影響を及ぼす可能性があるが、これは、次にポリマーの分子量を増加させることによって改善できる。ポリマーの分子量が増加すると、通常はプロセス上の問題が生じ得るが、しかし、ここでは、ポリマー生成物の流動性が向上しているために、そうした問題は回避される。
従って、ポリエーテルイミドは、ビス(ハロフタルイミド)組成物から、具体的には、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)(8a)を含むビス(ハロフタルイミド)組成物から、具体的には、ビス(ハロフタルイミド)組成物の合計質量に対して、少なくとも15質量%の、具体的には15質量%〜85質量%未満の、より具体的には17質量%〜80質量%の、あるいは19質量%〜75質量%の量の3,3’−ClPAPIを含むビス(ハロフタルイミド)組成物から製造される。別の実施形態では、ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、15質量%〜53質量%未満の、具体的には17質量%〜51質量%の、より具体的には19質量%〜49質量%の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)(8a)を、具体的には3,3’−ClPAPIを含む。
また、ビス(ハロフタルイミド)組成物、具体的にはビス(クロロフタルイミド)組成物)は、ビス(ハロフタルイミド)組成物の合計質量に対して、10質量%超の、具体的には10質量%超〜85質量%未満の、あるいは17質量%超〜85質量%未満の、あるいは18質量%〜84質量%の、あるいは19質量%〜82質量%の、あるいは25質量%〜80質量%の、あるいは30質量%〜78質量%の量の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)を、具体的には3,4’−CIPAPIをさらに含む。あるいは、ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その合計質量に対して、50質量%〜85質量%の、あるいは68質量%〜85質量%の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)(8b)を、具体的には3,4’−ClPAPIを含む。別の実施形態では、ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、47質量%超〜85質量%未満の、あるいは49質量%〜80質量%の、あるいは51質量%〜75質量%の式(8b)の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)を、具体的には3,4’−ClPAPIを含む。
また、ビス(ハロフタルイミド)組成物、具体的にはビス(クロロフタルイミド)組成物は、ビス(ハロフタルイミド)組成物の質量に対して、0質量%超〜27質量%未満の、具体的には1質量%〜26質量%の、あるいは2質量%〜24質量%の、あるいは3質量%〜20質量%の量の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)(8c)を、具体的には4,4’−ClPAPIを含む。
従って、ポリエーテルイミドの製造方法では、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩の第1の部分をビス(ハロフタルイミド)組成物と反応させて、第1の分子量を有する第1のポリエーテルイミドを形成し;ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩の第2の部分を第1のポリエーテルイミドに添加して、第1の分子量より高い第2の分子量を有する第2のポリエーテルイミドを形成する。別の実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩の第3の部分を第2のポリエーテルイミドに添加して、第2の分子量より高い第3の分子量を有する第3のポリエーテルイミドを形成する。さらに別の実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩の第4の部分を第3のポリエーテルイミドに添加して、第3の分子量より高い第4の分子量を有する第4のポリエーテルイミドを形成する。単環型副生成物の濃度を最小化するために、反応物質および反応条件として、特に、3,3’−CIPAPI、3,4’−CIPAPIおよび4,4’−CIPAPIそれぞれの量を26質量%、50質量%および24質量%とし、塩とCIPAPIとの比を0.94〜0.95として、Mwが25,000〜35,000原子質量単位のポリマー生成物を最初に生成する。その後、この生成物を含む反応混合物に対して、追加のアルカリ金属塩の添加による修正を1〜5回、具体的には1〜3回あるいは1〜2回を行って、Mwが50,000〜60,000原子質量単位のポリマーを生成する。
ビス(ハロフタルイミド)組成物を用いて上記のように製造されたポリエーテルイミドの剛性は、30〜110℃の温度範囲において、平行平板レオメータで求めて、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより20%〜40%高い。
また、ポリエーテルイミドのせん断速度粘度は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30%低い。
上記のビス(ハロフタルイミド)組成物を使用して製造されたポリエーテルイミドの3,3’、3,4’,4,3’および4,4’位置の−O−Z−O基の比は、ビス(ハロフタルイミド)組成物における比と同じか、あるいは実質的に同じである。ある実施形態では、ポリエーテルイミドは、式(1)の構造を有する:
式中、n、RおよびZは上記に定義したものである。また、ポリエーテルイミドは、その中の−O−Z−O−基の合計モル%に対して、3,3’位置に0超〜15モル%未満の−O−Z−O−基を有し、3,4’および4’,3位置に17超〜85モル%未満の、具体的には47質量%超〜85質量%未満の−O−Z−O−基を有し、4,4’位置に0超〜27モル%未満の−O−Z−O−基の二価結合を有する。ある実施形態では、ポリエーテルイミドは、3,3’位置に15〜85モル%未満の−O−Z−O−基を有し、4,3’および3,4’位置に47超〜85モル%未満の−O−Z−O−基を有し、4,4’位置に0超〜27モル%未満の−O−Z−O−基を有する。別の実施形態では、ポリエーテルイミドは、その中の−O−Z−O−基の合計モル%に対して、3,3’位置に少なくとも15モル%の−O−Z−O−基の二価結合を有し、3,4’および4’,3位置に10モル%超の−O−Z−O−基を有し、4,4’位置に27モル%未満の−O−Z−O−基を有する。ここに開示したビス(ハロフタルイミド)組成物中の質量%を反映した他のモル%であってもよい。もちろん、これらのポリエーテルイミドは、ここに開示した特性および特徴の内のいずれか1つまたは複数を有していてもよい。
上記のビス(ハロフタルイミド)組成物を用いて製造されたポリエーテルイミドは、その質量部に対して、それぞれ100ppm未満の、具体的には80ppm未満の、より具体的には60ppm未満の、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)を含み得る。また、ポリエーテルイミドは、その質量部に対して、100ppm未満の、具体的には80ppm未満の、より具体的には60ppm未満の下式のハロ(ビスフタルイミド)を含み得る。
また、ポリエーテルイミドは、その質量部に対して、100ppm未満の、具体的には80ppm未満の、より具体的には60ppm未満の下式のビスフタルイミドを含み得る。
また、ポリエーテルイミドは、その質量部に対して、合計量が200ppm未満の、具体的には180ppm未満の、より具体的には160ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、4,4’−ビス(ハロフタルイミド)と、ハロ(ビスフタルイミド)と、を含み得る。
さらに有利な特長として、ポリエーテルイミドでは、アルカリ金属塩(9)とビス(ハロフタルイミド)(8)との分子内反応で生じる単環型副生成物の濃度が低減されている。ある実施形態では、上記のように製造されたポリエーテルイミドは、その質量に対して、1.5質量%未満の、具体的には1.1質量%未満の、より具体的には0.6質量%のアルカリ金属塩(9)と、ビス(ハロフタルイミド)(8)、具体的には3,3’ビス(ハロフタルイミド)との単環型付加物を含む。Xが塩素である特定の実施形態では、ポリエーテルイミドは、その質量に対して、1.5質量%未満の、具体的には1.1質量%未満の、より具体的には0.6質量%未満のアルカリ金属塩(9)とビス(クロロフタルイミド)(8)の単環型付加物を含む。
ポリエーテルイミドの質量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定して、5,000〜100,000g/モルであり得る。一部の実施形態では、Mwは10,000〜80,000であってもよい。ここでの分子量は、ポリスチレン標準質量平均分子量(Mw)を指す。
ポリエーテルイミドのガラス転移温度は、ASTM D3418に準拠し示差走査熱量測定法(DSC)で測定して、180℃超であってもよく、具体的には200℃〜315℃であってもよい。ある実施形態では、ポリエーテルイミドのガラス転移温度は230℃〜253℃である。
組成物は、さらに任意に、例えば、平坦状、プレート状およびまたは繊維状充填剤などの補強充填剤を含んでいてもよい。典型的には、平坦状、プレート状充填剤の厚みは1〜1000μmであり、長さと幅は厚みの少なくとも10倍を超える。この種の補強充填剤の典型的なものとしては、ガラスフレーク、雲母、フレーク化炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレークおよび鋼フレーク;表面処理珪灰石を含む珪灰石;胡粉、石灰石、大理石および合成の沈降炭酸カルシウムを含む、一般に粉砕粒状の形態の炭酸カルシウム;繊維状タルク、モジュラータルク、針状タルクおよび層状タルクを含むタルク;硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリンなどのカオリンおよび、ポリマーマトリックス樹脂との相溶性を促進するための当分野で既知の種々のコーティングを含むカオリン;雲母;および長石が挙げられる。
また、典型的な補強充填剤としては、無機短繊維、天然鉱物繊維状充填剤、単結晶繊維、ガラス繊維、セラミック繊維および有機強化繊維状充填剤などの繊維状充填剤が挙げられる。無機短繊維としては、ホウケイ酸ガラス、炭素繊維および、珪酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび硫酸カルシウム半水和物の内の少なくとも1つを含む混合物から誘導されたものが挙げられる。単結晶繊維あるいは「ウィスカー」としては、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケルおよび銅単結晶繊維が挙げられる。Eガラス、ECRガラス、Sガラス、NEガラスなどのガラス繊維および石英繊維なども使用できる。
こうした補強充填剤は、モノフィラメント繊維またはマルチフィラメント繊維の形態で提供されてもよく、単独であるいは、例えば、共織、コア/シース、隣接、オレンジタイプまたはマトリックスおよび小繊維構造などによって、あるいは繊維製造分野の当業者に既知の他の方法によって、他のタイプの繊維と組み合わせて用いられてもよい。典型的な共織構造としては、ガラス繊維−炭素繊維、炭素繊維−芳香族ポリイミド(アラミド)繊維および芳香族ポリイミド繊維−ガラス繊維が挙げられる。繊維状充填剤は、例えば、ロービング、0/90度繊維などの織布補強剤、コンティニュアスストランドマット、チョップドストランドマット、ティッシュ、ペーパおよびフェルトなどの不織布補強剤、三次元織布補強剤、performs、ひもなどの形態で供給されてもよい。
補強繊維の直径は5〜25μmであり、具体的には9〜15μmである。成形用組成物の調製時には、長さが3mm〜15mmのチョップドストランドの形態のガラス繊維などの補強繊維を使用するのが便利である。一方、これらの組成物で成形された物品では、混合中に相当な破砕が起こり得るため、繊維の長さは、典型的には短くなっているであろう。リジッドな繊維状充填剤と平坦状、プレート状充填剤との組み合わせは、例えば、成形品の反り低減用に使用できる。
一部の用途では、充填剤の表面を化学カップリング剤で処理して、組成物中の熱可塑性樹脂への接着を向上させることが望ましいものであり得る。有用なカップリング剤の例としては、アルコキシシランおよびアルコキシジルコネートが挙げられる。アミノ、エポキシ、アミドあるいはチオ官能性アルコキシシランは特に有用である。組成物を成形部品に形成するために必要な高い溶融温度での加工中に発泡またはガス生成を生じ得るコーティングの分解を防ぐには、熱安定性の高い繊維コーティングが望ましい。
ポリエーテルイミド組成物に使用される補強充填剤の量は大きく変化し得るが、所望の物性および難燃性が有効に得られる量である。一部の例では、補強充填剤の存在量は、組成物の合計質量に対して、10質量%超〜60質量%であり、より具体的には15質量%〜40質量%であり、さらにより具体的には20質量%〜35質量%である。
ポリエーテルイミド組成物は、さらに任意に、1種または複数種の他のタイプの粒状充填剤を含んでいてもよい。典型的な粒状充填剤としては、溶融シリカや結晶シリカなどのシリカ粉末;窒化ホウ素粉末およびホウケイ酸粉末;アルミナおよび酸化マグネシウム(すなわちマグネシア);ケイ酸塩球;煙塵;セノスフェア;アルミノケイ酸塩(アーモスフェア);天然ケイ砂;石英;珪岩;パーライト;トリポリ;珪藻土;合成シリカ;およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの充填剤はすべて、ポリマーマトリックス樹脂との接着性および分散性向上のために、シランで表面処理されていてもよい。追加の粒状充填剤が存在する場合、ポリエーテルイミド組成物中のその量は大きく変わり得るが、所望の物性および難燃性が有効に得られる量である。一部の例では、粒状充填剤の存在量は、組成物の合計質量に対して、1質量%〜80質量%であり、具体的には5質量%〜30質量%であり、より具体的には5質量%〜20質量%である。
ポリエーテルイミド組成物は、その所望の特性に著しく悪影響を及ぼさないように選択されることを条件として、この種のポリマー組成物に通常組込まれる種々の添加剤を含んでいてもよい。典型的な添加剤としては、触媒(例えば、耐衝撃性改良剤とポリエステル間の反応促進用のもの)、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線(UV)吸収剤、失活剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、帯電防止剤、染料、顔料および光効果剤などの視覚効果剤、難燃剤、防滴剤および放射線安定剤が挙げられる。添加剤の組み合わせも使用できる。前述の添加剤(任意の充填剤は除く)の存在量は、組成物の合計質量に対して、一般に0.005質量%〜20質量%であり、具体的には0.01質量%〜10質量%である。
好適な酸化防止剤は、ホスファイト、ホスホナイト、ヒンダードフェノールまたはこれらの混合物などの化合物であり得る。トリアリールホスファイトとアリールホスホネートとを含むリン含有安定剤は有用な添加剤である。二官能性リン含有化合物も見過ごされ得る。好適な安定剤の分子量は300以上であり得る。一部の典型的な化合物は、Ciba Chemical社からIRGAPHOS168として市販されているトリス−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトと、Dover Chemical社からDOVERPHOS S−9228として市販されているビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ホスファイトとホスホナイトの例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトおよび5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィランが挙げられる。
2つ以上の有機リン化合物を含む組み合わせも考慮される。有機リン化合物が組み合わせで使用される場合、それらは同じタイプであっても異なるタイプであってもよい。組み合わせとしては、例えば、2つのホスファイトであってもよく、あるいはホスファイトとホスホナイトであってもよい。一部の実施形態では、分子量が300以上のリン含有安定剤が有用である。リン含有安定剤、例えばアリールホスファイトの存在量は、組成物の合計質量に対して、0.005質量%〜3質量%であってもよく、具体的には0.01質量%〜1.0質量%であってもよい。
例えばアルキル化モノフェノールやアルキル化ビスフェノールまたは多価フェノールなどのヒンダードフェノールも酸化防止剤として使用できる。典型的なアルキル化モノフェノールとしては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール;2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール;2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール;2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール;側鎖において、線状か分枝状のノニルフェノール、例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールおよびこれらの混合物が挙げられる。典型的なアルキリデンビスフェノールとしては、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール化合物の分子量は300g/モル以上であってもよい。高分子量であれば、例えば300℃以上の高加工温度において、ポリマー融液中のヒンダードフェノール部分が保持され易くなる。ヒンダードフェノール安定剤の組成物中の存在量は、組成物の合計質量に対して、通常は0.005質量%〜2質量%であり、具体的には0.01質量%〜1.0質量%である。
離型剤の例としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、ペンタエリスリトールテトラステアレート、グリセリントリステアレートおよびエチレングリコールジステアレートなどの脂肪族および芳香族カルボン酸と、これらのアルキルエステルが挙げられる。高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンと、同様のポリオレフィンホモポリマーおよびコポリマーも離型剤として使用できる。離型剤の組成物中の存在量は、組成物の合計質量に対して、典型的には0.05質量%〜10質量%であり、具体的には0.1質量%〜5質量%である。溶融プロセス中の溶融ポリマー混合物からの離型剤の逸出を防ぐために、好適な離型剤の分子量は典型的には300超の高分子量であろう。
特に、任意のポリオレフィンを添加して組成物の耐薬品性および離型性を改良できる。ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンなどのホモポリマーは、単独で、あるいは組み合わせて使用できる。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)あるいは分枝鎖ポリエチレンとして添加できる。ポリオレフィンも、マレイン酸、クエン酸あるいはそれらの無水物などのカルボン酸ラジカルを含む化合物との、また、アクリル酸エステルなどのアクリル酸ラジカルを含む酸性化合物との、さらに、これらのものの少なくとも1つを含む組み合わせとのコポリマーの形態で使用できる。ポリオレフィン、特にHDPETが存在する場合、その使用量は、組成物の合計質量に対して、0質量%超〜10質量%であり、具体的には0.1質量%〜8質量%であり、より具体的には0.5質量%〜5質量%である。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含んでいてもよい。こうした追加のポリマーの例としては、これに限定されないが、PPSU(ポリフェニレンスルホン)、ポリエーテルイミド、PSU(ポリスルホン)、PPET(ポリフェニレンエーテル)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、MFA(TFE(テトラフルオロエチレン)とPFVE(パーフルオロ化ビニルエーテル)とのコポリマー)、FEP(フッ素化エチレンプロピレンポリマー)、PPS(ポリ(フェニレンスルフィド))、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PA(ポリアミド)、PBI(ポリベンズイミダゾール)、PAI(ポリ(アミド−イミド))、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリールスルホン)、ポリフェニレン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズチアゾールおよびこれらのブレンドとコポリマーが挙げられる。このポリマーが存在する場合、その使用量は、組成物の合計質量に対して、0質量%超〜20質量%であり、具体的には0.1質量%〜15質量%であり、より具体的には0.5質量%〜10質量%である。ある実施形態では、組成物は、ここに記載したポリエーテルイミド以外のポリマーを含まない。
また、顔料およびまたは染料添加剤などの着色剤が任意に含まれていてもよい。有用な顔料としては、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物および混合金属酸化物などの無機顔料;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;スルホケイ酸ナトリウム硫酸塩、クロム酸塩など;カーボンブラック;亜鉛フェライト;群青;アゾ、ジ−アゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバントロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、エンスロン、ジオキサジン、フタロシアニンおよびアゾレーキなどの有機顔料;ピグメントレッド101、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット29、ピグメントブルー15、ピグメントブルー60、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー119、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー150およびピグメントブラウン24;あるいはこれらの顔料の内の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。顔料の使用量は、組成物の合計質量に対して、一般には0質量%〜10質量%であり、具体的には0質量%〜5質量%である。向上した衝撃が望ましい一部の例では、二酸化チタンなどの顔料の平均粒径は5μm未満であろう。
また、組成物は、樹脂組成物に防滴やその他の有益な特性の付与に有効な量のフッ素ポリマーを任意に含んでいてもよい。一例では、フッ素ポリマーの存在量は、組成物の0.01質量%〜5.0質量%である。好適なフッ素ポリマーとその製造方法の例は、例えば、米国特許第3,671,487号、同3,723,373号および同3,383,092号に記載されている。好適なフッ素ポリマーとしては、フッ素化α‐オレフィンモノマー(例えばCF2=CF2、CHF=CF2、CH2=CF2およびCH2=CHF)およびフルオロプロピレン(例えばCF3CF=CF2、CF3CF=CHF、CF3CH=CF2、CF3CH=CH2、CF3CF=CHF、CHF2CH=CHFおよびCF3CF=CH2など)の内の1つまたは複数から誘導された構造単位を含むホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
例えばポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン)などの2つ以上のフッ素化α‐オレフィンモノマーから誘導される構造単位を含むコポリマーも、1つまたは複数のフッ素化モノマーと、ポリ(テトラフルオロエチレン−エチレン−プロピレン)コポリマーなどのフッ素化モノマーと共重合できる1つまたは複数の非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマーと、から誘導される構造単位を含むコポリマーと同様に使用できる。好適な非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、α‐オレフィンモノマー(エチレン、プロピレン、ブテンなど)やアクリレートモノマー(メタクリル酸メチル、ブチルアクリレートなど)などが挙げられるが、ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマー(PTFE)が好適である。
フッ素ポリマーは、所定の方法で、芳香族ポリカーボネートまたはポリエーテルイミド樹脂などのポリマーと予混合できる。例えば米国特許第5,521,230号に開示されているように、例えば、フッ素ポリマーとポリカーボネート樹脂の水分散液を蒸気沈殿させて、熱可塑性樹脂組成物の防滴添加剤として使用するフッ素ポリマー濃縮物を形成できる。あるいは、フッ素ポリマーはカプセル化できる。
一部の例では、臭素と塩素を本質的に含まないポリエーテルイミド組成物を有することが望ましい。臭素と塩素を「本質的に含まない」とは、組成物が、その質量に対して、臭素と塩素を3質量%未満含むことを意味し、また他の実施形態では、1質量%未満含むことを意味する。他の実施形態では、組成物はハロゲンフリーである。「ハロゲンフリー」とは、ハロゲン含有量(フッ素、臭素、塩素およびヨウ素の合計量)が、組成物の合計質量部(ppm)に対して1000ppm以下であると定義される。ハロゲン量は、原子吸光法などの通常の化学分析で求められる。
ポリエーテルイミド組成物は、緊密混合を形成する条件下で成分を混合することにより調製できる。こうした条件には、多くの場合、単軸または二軸スクリュー押出機、ミキシングボウル、あるいは成分にせん断を印加できる同様の混合装置内での溶融混合が含まれる。二軸スクリュー押出機は、単軸スクリュー押出機より混合能力および自己拭き取り能力が高いことから、好適であることが多い。組成物中の揮発性不純物を除去するために、押出機の少なくとも1つのベントを通して混合物を減圧することが好都合であることが多い。ポリエーテルイミドポリマーを乾燥後に溶融することが好都合であることが多い。融液加工は、過度なポリマー分解を回避しながらも十分に溶解させて未溶解成分のない緊密なポリマー混合物を得るために、290℃〜370℃で行われることが多い。また、不適当な黒斑あるいは他の異質の混入物質を取り除くために、40〜100μmのキャンドルフィルターまたはスクリーンフィルターを用いて、ポリマーブレンドを溶融ろ過してもよい。
典型的なプロセスでは、種々の成分を押出混合器に投入して連続したストランドを製造し、これを冷却後ペレット状に裁断する。別の手順では、成分を乾式混合によって混合後、ミル内で溶融・粉砕するか、あるいは押出して裁断する。また、組成物といずれの任意成分を混合して、例えば射出成形法またはトランスファー成形法で直接成形してもよい。これらの成分はすべて、できるだけ水分を含まないことが好ましい。また、混合は、以下の条件が確実に満たされるように行われる:機械内での滞留時間を短くすること;温度を注意深く制御すること;摩擦熱を利用すること;および成分間の緊密混合が得られること。
その後、シリンダ温度を従来の320℃〜420℃、金型温度を従来の100℃〜170℃としたNewbury型またはvan Dorn型射出成形機などの、熱可塑性組成物用に従来から使用されてきた任意の装置内で組成物を成形できる。
さらなる実施形態では、各ハロ基はクロロ基である。
さらに、ビス(ハロフタルイミド)組成物が47質量%超〜85質量%未満の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)を含む場合、ポリエーテルイミドは、その部数に対して、それぞれ100ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)ポリエーテルイミドと;100ppm未満の下式のモノハロ(ビスフタルイミド)と;
100ppm未満の下式の未置換ビスフタルイミドと;
合計で200ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,4’−ビス(ハロフタルイミド)およびモノハロ(ビスフタルイミド)と、を含む。さらなる実施形態では、各ハロ基はクロロ基である。
また、上記のポリエーテルイミド組成物を含む物品も開示される。物品は、シート、フィルム、多層シート、多層フィルム、成形部品、異型押出品、コーティング部品あるいは繊維であってもよい。また、物品は、厚みが0.1〜100mm、具体的には1〜10mm、より具体的には1〜5mmの成形部品であってもよい。
ポリエーテルイミド組成物は、例えば、成形、押出(異型押出を含む)、熱成形あるいは型成形(射出成形、圧縮成形、ガスアシスト成形、構造用発泡成形およびブロー成形を含む)などの任意の数の方法を用いて物品に形成できる。ある実施形態では、物品の形成方法は、組成物を造形し、押出し、ブロー成形し、あるいは射出成形して物品を形成するステップを備える。ポリエーテルイミド組成物は、フィルム押出とシート押出(例えば、溶融キャスティング、インフレーションフィルム押出およびカレンダー)などの熱可塑性プロセスを用いても物品に形成できる。共押出および積層プロセスを用いて複合多層フィルムまたはシートを形成できる。
応用分野の例としては、フードサービス、医療、照明、レンズ、点検窓、窓、筐体、安全シールドなどが挙げられる。高溶融流動性によって、組成物は、複雑な形状およびまたは厚みが薄い部分や長い流動長さなどの複雑な部品に成形できる。その他の物品の例としては、これに限定されないが、調理器具、医療用具、トレー、プレート、ハンドル、ヘルメット、動物の檻、電気コネクタ、電気機器の筐体、エンジン部品、自動車エンジン部品、照明ソケットとリフレクタ、電動機部品、配電装置、通信設備、コンピュータなど、およびスナップフィットコネクタに成形されたデバイスなどが挙げられる。また、ポリエーテルイミド組成物は、フィルム、シートおよび積層系の複合物にも形成される。他の物品としては、例えば、繊維、シート、フィルム、多層シート、多層フィルム、成形部品、異型押出品、コーティング部品および発泡体:窓、荷物棚、壁パネル、椅子部品、照明パネル、ディフューザ、シェード、バーティション、レンズ、天窓、照明装置、リフレクタ、配管、電線導板、管渠、パイプ、結束バンド、電線被覆、電気コネクタ、空気取扱装置、ベンチレータ、ルーバー、絶縁体、ビン、貯蔵容器、ドア、ヒンジ、ハンドル、シンク、ミラーハウジング、鏡、便座、ハンガ、コートフック、棚、梯子、手すり、階段、カート、トレー、調理器具、フードサービス装置、通信設備および計器板などが挙げられる。
組成物は、例えば自動車リフレクタなどのリフレクタ、光学レンズ、光ファイバーコネクタおよび接着剤などの物品に特に有用である。組成物が接着剤として使用される場合、物品は、第1の面を有する第1の基板と、第2の面を有する第2の基板と、第1の面と第2の面間に配置されたポリエーテルイミドを含む接着性組成物の層と、を含む。接着剤は、例えば、2つのポリマー基板、2つの金属基板あるいは金属基板とポリマー基板の接着に使用できる。基板の金属またはポリマーの種類に関しては特別な制限はない。ある実施形態では、接着剤は、金属基板と、フッ素ポリマー基板(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板など)と、金属基板の表面とフッ素ポリマー基板の表面間に配置されたポリ(エーテルイミド)を含む接着性組成物と、を有する物品に特に有用である。特定の実施形態では、物品は、(i)第1の面を有するポリテトラフルオロエチレン基板と、(ii)第2の面を有する金属基板と、(iii)ポリテトラフルオロエチレン基板と金属基板間に位置する本発明のポリマー組成物と、を含む。ポリマー組成物を含む接着層が被着体の表面に直接接触していてもよく、あるいは、例えばプライマーなどの追加の層が存在していてもよい。
当業者であれば、これ以上の説明なしに、本明細書の記載を用いて本発明を利用できるものと考えられる。以下の実施例は、当業者に対して追加のガイダンスを与えるためのものである。従って、これらの実施例は、いかなる方法においても、本発明を限定するものではない。
実施例で使用する材料を表1に示す。実施例で示す量の単位は、同定された組成物の合計質量に対する質量%である。
技術と手順
ゲル透過クロマトグラフィ試験手順
GPCサンプルは、サンプル5〜10mgをジクロロメタン10mLに溶解させて調製した。ポリマー溶液3〜5滴を、酢酸(1〜2滴)を加えたジクロロメタン溶液10mLに添加した。その後、サンプル溶液をろ過して試験し、ポリマーピークをoDCBピークと比較して分析した。計器はWaters2695セパレーションズモジュールを用い、これをAldrich Chemistry社のポリスチレン標準で校正した。二環型(n=2)および三環型(n=3)構造物については、GPCトレースをスライスして分析し、単環型構造物は、別々に積分できるように十分に分解した。
ClPAPI調製手順:3,3’−ClPAPI、3,4’−ClPAPIおよび4,4’−ClPAPI混合物
栓とガス栓が付いた250mLの三口フラスコに、pPD3.0g(0.0275モル)、4−CIPA5.052g(0.0275モル)、3−ClPA5.052g(0.0275モル)、SPP0.011g(0.1ミリモル)およびoDCB60gを投入した。その後、撹拌棒、軸受、窒素アダプターおよび上部に還流凝縮器を設けたDean Starkトラップレシーバをフラスコに装備した。容器のヘッドスペースに窒素を緩やかに流した。その後、反応温度を100℃に上げた後、1時間かけて200℃に上げた。混合物の固形分が20質量%〜50質量%に達するまで、混合物からoDCBを除去した(oDCB約20g)。注:ClPAのこの混合物のランダムな反応によって、3,3’−ClPAPI、3,4’−ClPAPIおよび4,4’−ClPAPIがそれぞれ1:2:1の比で生成される。2〜3時間後、サンプルを取り出し、30mgをアセトニトリル20mL中に溶解させ(15分間超音波処理してろ過)、モノアミン(モノアミンは、pPDなどのジ−アミンを有するハロ−無水フタル酸のモノ−イミドである)で校正したHPLCで4−ClPAおよびpPDを分析した。検体の量を把握後、pPDまたは4−ClPAのいずれかを用いて適切に修正した。3−モノアミン、4−モノアミン、3−ClPAおよび4−ClPAが反応のスペック範囲(0.2モル%)に入るまでこれを繰り返した。その後、静止窒素雰囲気下で反応を冷却し維持した。
上記の1:2:1ランダム分布以外の異性体混合物は、例えば、3,3−および4,4−ClPAPI異性体を別々に調製する同様の手順を用いる方法、およびまたは、異なる割合の3−および4−ClPA出発原料を用いて異なる割合の3つの異性体を含む生成物を生成後、異なる異性体組成物の生成物を混合して、ポリマー混合物中に別の所望の割合の異性体を生成する方法などの、当分野で既知の方法により生成できる。
重合手順
ポリエーテルイミドを以下のように製造した。3,3’−、3,4’−および4,4−異性体それぞれの混合物を製造後(上記の適用可能なClPAPIまたはClPAMI調製手順に従って、表1に示した1、2、3、4および5の混合物の反応から製造後)、反応容器をドライボックスに移してNa2BPA塩7.35g(0.0270モル)を添加した。その後、窒素をゆるやかに流しながら反応温度を200℃に上げ、oDCBを一部除去して混合物を乾燥させた。混合物の固形分が30〜50質量%に達するまで、混合物からoDCBを除去した(oDCB約20〜40g)。オーバーヘッドをKarl Fischer分析によって乾燥させた後(50ppm未満)、溶液にHEGCl71mg(1モル%)を加えた。溶液は、30分以内に褐色になり、90分後には最終的に金色になった。2時間後に混合物をサンプリングしてMwを測定し、その後、反応が安定水準に達するまで(安定水準=3サンプルが300原子質量単位内)、1時間毎にMw分析を繰り返した。Mwが45,000原子質量単位未満の場合、Na2BPAによる修正を行った。その後、濃縮H3PO4(85%水溶液)134mg(ポリマーに対して1モル%)で反応を急冷した。酸を添加後、窒素パージを行って(5分)水を除去した。さらに1時間は反応温度を上げた。その後、反応を冷却し、ベラトロールまたはoDCB(約70mL)で10質量%に希釈した。その後、Whatman1μmGF(ガラスフィルタ)ディスクを用いたBuchner漏斗上で混合物をろ過した。その後、金色の溶液を1Lの酸性水が入った1Lの分液漏斗に移して、激しく振とうした。分液漏斗の内容物が相分離後、金色のポリマー溶液を同容量のヘキサンが入ったブレンダに移して混合した。混合物をろ過し、減圧下、165℃×24時間乾燥させた。
特性試験用のサンプル調製:
温度を約360℃〜380℃に設定した180トン(1800kN)成形機で試験部品を射出成形した。ペレットを120℃の強制空気循環オーブン内で3〜4時間乾燥させた後、射出成形した。
試験手順
調製したサンプルを以下のように試験した。
貯蔵弾性率試験手順
動的機械分析(DMA)は以下の手順で行った。フィルムサンプルをグリップ上に載せ、周波数1Hz、温度変化率2℃/分の引張モードで試験を行った。貯蔵弾性率を温度の機能として記録した。
レオロジー試験手順
平行平板レオメータを用い、温度340℃、1ラジアン/秒(低せん断)〜316ラジアン/秒(高せん断)の範囲で粘度を測定した。
耐薬品性試験手順
ポリエーテルイミドフィルムのサンプルを塩化メチレンに浸漬し、1、3、7および21日後にフィルムの質量損失(%)を求めた。
Tg試験手順
温度変化率を20℃/分とした示差走査熱量測定法によって、サンプル10mgのガラス転移温度(Tg)を測定した。
実施例1〜5
目的:実施例1〜5の目的は、17質量%超〜85質量%未満の量の3,4’−ClPAPI−リッチ−ClPAPI成分でポリエーテルイミドを製造し、異なる異性体および異性体比が材料特性にどのように影響するかを評価し、性能特性を、17質量%未満の3,4’−ClPAPI−リッチ−ClPAPI成分で製造されたポリエーテルイミドおよび任意の比率の3,4’−ClPAMI成分で製造されたポリエーテルイミドと比較することである。
表1に記載の混合物を上記の手順で用いた。混合物1、2、4および5からポリエーテルイミドを調製した。しかしながら、混合物3では、48時間反応をモニター後で、検出可能な分子量が得られなかった。得られたポリエーテルイミドは、以下の表で、本発明の実施例1および2、比較実施例4および5として識別されている。
調製したポリマーの目標Mwは55,000(校正にポリスチレン標準を使用)であったが、一部のものは、それより僅かに上下した。3−ClPAリッチのポリマーのPDIは、単環型(1個のBPAと3,3’−ClPAMIまたは3,3’−ClPAPIとの付加物)であるために、1000グレードコントロールより高くなった。単環型は、3,3’−ClPAMIまたは3,3’−ClPAPIが高濃度であるために、3−ClPAリッチのポリマー系だけに特有である。
Mw、MnおよびPDIのGPCデータによって証明されるように、ポリエーテルイミドの径は同様であり、上記の方法に従って、Tg、全環式含有量、剛性、および流動性について試験し、その結果を表2に示す。
ポリエーテルイミドの分子量は、GPCデータで証明されるように、表2において同様であった。
考察
これらの結果は、本発明に準じて製造された(特定の異性体の混合物から、例えば、3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)異性体の混合物から製造された)材料は、特有の特性の組み合わせ、すなわち、(i)230℃超の高ガラス転位温度と、(ii)10%未満の量の3,4−CIPAPIを有するClPAPI成分から製造されたポリエーテルイミドの粘度より実質的に低い改良された粘度と、(iii)このポリマーから製造された物品では、成形温度条件でプレートアウトが観察されない非常に低濃度の環式残留含有量と、を有することを証明している。
実施例1の結果から、少なくとも50質量%の3,4’−CIPAPIと、少なくとも25質量%の3,3−CIPAPIと、最大25質量%の4,4’−CIPAPIと、を含む混合物でPEIを製造すると、得られるPEIのTgは249℃であることが分かる。実施例1の剛性は2.428であり、これは、以下にさらに議論するように向上しており;30℃〜110℃の温度範囲において、10質量%未満の量の3,4’−CIPAPIを有するClPAMI成分から製造されたものと比較して、少なくとも20%高い。さらに、本PEIのせん断速度粘度は低いが;10質量%未満の量の3,4’−CIPAPIを有するClPAMI成分から製造されたPEIのせん断速度粘度は、実施例1より少なくとも30%高い。
表2から、発明的実施例1および2から比較実施例4を減算し、これらの材料の粘度を、比較実施例4の材料の粘度および発明的実施例1および2で使用された材料の粘度それぞれで除算して証明されるように、本発明の組成物は、表示されたラジアン/秒(1ラジアン/秒〜56ラジアン/秒)において、改良された低粘度を示すことが分かる。本材料で観察された粘度の低減は45%〜約90%であった。改良された低粘度の計算式は、以下の式で示される:{粘度低下率%=100%×(比較実施例の粘度−発明的実施例の粘度)/比較実施例の粘度}。
また、少なくとも50質量%の3,4’−CIPAPIと、少なくとも25質量%の3,3−CIPAPIと、最大25質量%の4,4’−CIPAPIと、の3,4’−PAPI混合物で製造されたPEIでは、環式構造物(単環型、二環型および三環型)の合計含有量は、ポリマーの合計質量に対して0.8質量%である。実施例1のPEIの耐薬品性は、10質量%未満の量の3,4’−CIPAPIを有するClPAMI成分から製造されたPEIと比較して87%向上していた(実施例4)。
実施例2の結果から、17質量%超の3,4’−CIPAPIと、少なくとも57質量%の3,3−CIPAPIと、を含む混合物でPEIを製造すると、得られるPEIのTgは253℃であることが分かる。実施例2の剛性は2,939MPaであり、これは、以下にさらに議論するように向上しており;30〜110℃の温度範囲において、10質量%未満の量の3,4’−CIPAMIを有するClPAMI成分から製造されたPEIと比較して、少なくとも40%高い。さらに、本PEIのせん断速度粘度は低いが;10質量%未満の量の3,4’−CIPAPIを有するClPAMI成分から製造されたPEIのせん断速度粘度は、実施例1より少なくとも30%高い。
また、17質量%超の3,4’−CIPAPI混合物と少なくとも57質量%の3,3−CIPAMIで製造されたPEIでは、環式構造物(単環型、二環型および三環型)の合計含有量は、ポリマーの合計質量に対して1,3質量%である。
比較実施例4の結果から、10質量%未満の3,4’−CIPAMIと2質量%未満の3,3−CIPAMIとを含む混合物でPEIを製造すると、得られるPEIのTgは219℃であり、HDTは少なくとも218℃であることが分かる。発明的実施例1および2と比較すると、Tgは少なくとも30℃低い。比較実施例4の剛性は1,916MPaであり、これは、30〜110℃の温度範囲において、発明的実施例1および2と比較して少なくとも20%低い。比較実施例4のせん断速度粘度は高いが;実施例1と2から製造されたPEIのせん断速度粘度は、比較実施例4より少なくとも30%低い。
比較実施例5の結果から、47質量%超〜85質量%未満の3,4’−ClPAMIと、少なくとも15質量%の3,3−ClPAMIと、を含む混合物でPEIを製造すると、得られるPEIのTgは少なくとも229℃であることが分かる。比較実施例5の剛性は2,159MPaであり、これは、以下に記載するように向上しており;30〜110℃の温度範囲において、10質量%未満の量の3,4’−CIPAMIを有するClPAMI成分から製造されたPEIと比較して、少なくとも10%高い。比較実施例5のせん断速度粘度はわずかに高いが;実施例1および2から製造されたPEIのせん断速度粘度は少なくとも5%低い。
比較実施例4および5に対して、本発明の実施形態を表す実施例1および2のTgは少なくとも249℃と向上しており(図3)、剛性は少なくとも20%向上しており(図2)、流動性は少なくとも30%向上していた(図1)。本発明の実施形態を表す実施例1および2の単環型、二環型および三環型構造物の合計残留濃度は、比較実施例より著しく低く(図4)、実施例1の耐薬品性は、実施例2、4および5より著しく高い(図5)。
本明細書で引用された特許および参考文献はすべて、参照によって本明細書に援用される。
実施形態1:下式の構造
[式中、nは1より大きく;Rはそれぞれp−フェニレンであり;Zは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、任意に1〜6個のC1−18アルキル基、1〜8個のハロゲン原子あるいはこれらの組み合わせで置換された芳香族C6−24単環式または多環式部分であり;−O−Z−O−基とフェニル置換基間の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’および4,4’位置にあり、−O−Z−O−基の二価結合は、ビス(ハロフタルイミド)組成物の質量に対して、少なくとも15質量%の下式の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、
17質量%超〜85質量%未満の下式の3,4’−ビス(ハロフタルイミド)と、
0質量%超〜27質量%未満の下式の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)
(式中、Xは、それぞれ独立にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり;Rはp−フェニレンである)と、を含むビス(ハロフタルイミド)組成物から形成される]を有するポリエーテルイミドであって;Tgが230℃〜253℃であり;剛性が、30℃〜110℃の温度範囲において、平行平板レオメータで求めて、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより20%〜40%高く;せん断速度粘度が、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30%低いポリエーテルイミドを含むポリマー組成物。
実施形態2:ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、45質量%超〜75質量%未満の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)を含み;ポリエーテルイミドの合計質量に対して、1質量%未満の全環式構造物(単環型、二環型および三環型)を含み;ハロゲン化溶剤に対する耐薬品性が、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより高い実施形態1に記載の組成物。
実施形態3:ハロゲン化溶剤はジクロロメタンである実施形態2に記載の組成物。
実施形態4:ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、0質量%超〜15質量%未満の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)を含み;ポリエーテルイミドのTgは、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、15質量%超の1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、を含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30℃高く;ポリエーテルイミドの剛性は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、15質量%超の1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、を含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも40%高く;ポリエーテルイミドのせん断速度粘度は、30℃〜110℃の温度範囲において、平行平板レオメータで求めて、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、15質量%超の1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、を含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30%低く;Xは、それぞれ独立にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、Rはp−フェニレンである実施形態1に記載の組成物。
実施形態5:ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、48質量%超〜75質量%未満の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、26質量%未満の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)と、を含み;ポリエーテルイミドの合計質量に対して、1質量%未満の全環式構造物(単環型、二環型および三環型)を含み;ポリエーテルイミドの剛性は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、26質量%超の1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、を含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも20%高く;ポリエーテルイミドのせん断速度粘度は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、26質量%超の1,3−ビス[N−(4−クロロフタルイミド)]ベンゼンと、を含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30%低い実施形態1に記載の組成物。
実施形態6:Zは2,2−(4−フェニレン)イソプロピリデンであり、ハロ基はクロロである実施形態1に記載の組成物。
実施形態7:ポリエーテルイミドは、その部数に対して、それぞれ100ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)と、100ppm未満の下式のハロ(ビスフタルイミド)と、
100ppm未満の下式のビスフタルイミドと、
合計で200ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,4’−ビス(ハロフタルイミド)およびハロ(ビスフタルイミド)と、を含む実施形態1に記載の組成物。
実施形態8:実施形態1に記載の組成物を含む物品。
実施形態9:シート、フィルム、多層シート、多層フィルム、成形品、異型押出品、コーティング部品および繊維から選択される実施形態8に記載の物品。
実施形態10:カメラモジュール、アンテナモジュール、電気コネクタ、ハードディスクドライブブラケット、ラップトップカバーおよびビットソケットから選択される実施形態8に記載の物品。
実施形態11:下式
(式中、Mはアルカリ金属であり;Zは、任意に1〜6個のC1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子あるいはこれらの組み合わせで置換された芳香族C6−24単環式または多環式部分である)のジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩を、ビス(ハロフタルイミド)組成物の質量に対して、30質量%超〜85質量%未満の下式の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、
17質量%超〜85質量%未満の下式の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、
0質量%超〜27質量%未満の下式の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)
(式中、Rはそれぞれp−フェニレンであり、Xは、それぞれ独立にフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである)と、を含むビス(ハロフタルイミド)組成物と反応させるステップを備え、さらに、ポリエーテルイミドは下式の構造
[式中、nは1より大きく;Rはそれぞれp−フェニレンであり;Zは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、上記に定義したものであり;−O−Z−O−基とフェニル置換基間の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’および4,4’位置にある]を有し;ポリエーテルイミドのTgは230℃〜253℃であり;ポリエーテルイミドの剛性は、30〜110℃の温度範囲において、平行平板レオメータで求めて、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより20%〜40%高く;ポリエーテルイミドのせん断速度粘度は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより少なくとも30%低いポリエーテルイミド組成物の製造方法。
実施形態12:ビス(ハロフタルイミド)組成物は、その質量に対して、45質量%超〜75質量%未満の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)を含み;組成物は、ポリエーテルイミドの合計質量に対して、1質量%未満の全環式構造物(単環型、二環型および三環型)を含み;組成物のハロゲン化溶剤に対する耐薬品性は、1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物の質量に対して、10質量%未満の1,3−[N−(4−クロロフタルイミド)][N−(3−クロロフタルイミド)]ベンゼンを含む1,3−ビス[N−(ハロフタルイミド)]ベンゼン組成物から製造されたことを除いて同じポリエーテルイミドより高い実施形態11に記載の方法。
実施形態13:ビス(ハロフタルイミド)組成物は、30質量%超〜85質量%未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、48質量%超〜75質量%未満の4,3’−ビス(ハロフタルイミド)と、0質量%超〜15質量%未満の4,4’−ビス(ハロフタルイミド)と、を含む実施形態11に記載の方法。
実施形態14:Zは2,2−(4−フェニレン)イソプロピリデンであり、ハロ基はクロロである実施形態11に記載の方法。
実施形態15:ポリエーテルイミド組成物は、その部数に対して、それぞれ100ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)および4,4’−ビス(ハロフタルイミド)と;100ppm未満の下式のハロ(ビスフタルイミド)と;
100ppm未満の下式のビスフタルイミドと;
合計で200ppm未満の3,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,3’−ビス(ハロフタルイミド)、4,4’−ビス(ハロフタルイミド)およびハロ(ビスフタルイミド)と、を含み;Xはハロゲンである実施形態11に記載の方法。
例示の目的で典型的な実施形態を記載したが、これらの記載は本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない。従って、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、適応および代替案を考え得るであろう。