以下、図面を参照して、本発明の実施形態におけるリニアモータ装置、及び制御方法を説明する。図1は、本実施形態における工作装置1の構成を示す概略図である。リニアモータ装置としての工作装置1は、ロッドタイプのリニアモータ10と、リニアモータ10の可動子であるロッド101に固定された連結プレート12と、連結プレート12に固定され中空のヘッド軸13と、ヘッド軸13の動きを案内する案内装置14と、ヘッド軸13の先端に取り付けられたヘッド部15と、ヘッド軸13の内側に沿って配置されヘッド部15に接続され可とう性を有するチューブ19と、リニアモータ10を制御する制御部20と、を備える。
ヘッド軸13は、連結プレート12を介してロッド101に接続されていることにより、リニアモータ10のロッド101が移動すると、ロッド101の移動量と同じ移動量で同方向に移動する。案内装置14は、ヘッド軸13の移動方向がロッド101の移動方向と同じにし、ロッド101がなめらかに動くようにロッド101の移動を案内する。ヘッド部15は、ブラケット16と、保持部17と、真空パッド18とを備える。ブラケット16は、中空穴を有し、ヘッド軸13の端部に取り付けられ、ヘッド軸13と接する面と反対側の面に保持部17を固定している。ブラケット16の中空穴には、チューブ19が通っている。保持部17は、金属板で形成されている。保持部17は、ひずみ部として、少なくとも2つのS字形状の板バネを有している。S字形状の板バネの両端のうちの一端はブラケットに固定され、他端は真空パッド18に固定されている。真空パッド18は、ヘッド軸13の内側とブラケット16の中空穴と保持部17の中空穴とを通るチューブ19と接続されている。加圧部としての真空パッド18は、チューブ19を通じて空気が吸引されることにより、加圧対象物としてのワーク33を吸着する。ワーク33は、例えば電子部品などである。なお、ひずみ部は、S字形状以外の板バネであってもよく、湾曲した板バネなどであってもよい。
工作装置1は、リニアモータ10を駆動し、真空パッド18にて吸着したワーク33を基板31に向けて押し付ける。工作装置1は、真空パッド18でワーク33を基板31に押し付けて、ワーク33又は基板31に塗布された接着剤32を介してワーク33を基板31に取り付ける。このとき、制御部20は、保持部17の板バネに取り付けられたひずみゲージ113により測定されるひずみ量に基づいてリニアモータ10を駆動することで、ワーク33を基板31に押し付ける力(荷重)を制御する。真空パッド18でワーク33を押し付けると、保持部17が有するS字形状の板バネにひずみが生じる。板バネのひずみはワーク33を押し付ける荷重に応じて変化するので、板バネのひずみを測定することにより押し付けの荷重を測定することができる。板バネのひずみを測定するセンサとしてのひずみゲージ113は、板バネのひずみ量を示すひずみ信号を制御部20へ出力する。
図2は、保持部17におけるひずみゲージ113の取り付け位置を示す図である。ひずみゲージ113は、板バネの湾曲している箇所に取り付けられる。なお、図2では、板バネが湾曲している箇所の外側にひずみゲージ113を取り付ける例が示されているが、湾曲している箇所の内側にひずみゲージ113を取り付けてもよい。また、保持部17に設けられたすべての板バネごとにひずみゲージ113を取り付けてもよいし、一部の板バネ又はいずれか一つの板バネにひずみゲージ113を取り付けてもよい。
以下、リニアモータ10と制御部20との構成について説明する。図3は、本実施形態におけるリニアモータ10の斜視図(一部断面図)である。リニアモータ10は、コイル収容ケース102に対してロッド101が軸線方向に移動する。コイル収容ケース102内には、コイルホルダ105に保持された複数のコイル104が積層(配列)されている。コイル収容ケース102の両端面それぞれには、エンドケース109が取り付けられている。エンドケース109には、ロッド101の直線運動を案内するための軸受であるブッシュ108が取り付けられている。
ロッド101は、例えばステンレス等の非磁性材からなり、パイプのように中空の空間を有する。ロッド101の中空空間には、円柱状の複数のマグネット103(セグメント磁石)が互いに同極を対向させて積層されている。すなわち各マグネット103は、隣接するマグネット103の一方とN極同士を対向させ、隣接するマグネット103の他方とS極同士を対向させて積層されている。マグネット103の間には、例えば鉄等の磁性体からなるポールシュー107(磁極ブロック)が介在されている。ロッド101は、積層されたコイル104内を貫通するとともに、コイル収容ケース102に軸線方向に移動可能に支持されている。
図4は、本実施形態におけるコイルホルダ105に保持されたコイルユニットを示す斜視図である。同図に示されるように、コイル104は銅線を螺旋状に巻いたもので、コイルホルダ105に保持されている。すなわち、複数のコイル104は、ロッド101のマグネット103が配列されている方向を中心として、ロッド101の外周に沿って銅線が巻かれたものであり、各コイル104がマグネット103の配列されている方向と同じ方向に配列されている。隣接するコイル104を絶縁させる必要があるので、コイル104間にはリング状の樹脂製スペーサ105aが介在される。コイルホルダ105上にはプリント基板106が設けられる。コイル104の巻線の端部104aは、プリント基板106に結線される。
本実施形態では、コイル104及びコイルホルダ105を金型にセットし、溶融した樹脂又は特殊セラミックスを金型内に注入するインサート成形によって、コイル収容ケース102をコイル104と一体に成形する。図3に示されるように、コイル収容ケース102には、コイル104の放熱性を高めるためにフィン102aが複数形成される。なお、コイルホルダ105に保持されたコイル104をアルミ製のコイル収容ケース102に収納し、コイル104とコイル収容ケース102との間のすきまを接着剤で埋めて、コイル104及びコイルホルダ105をコイル収容ケース102に固定してもよい。
図5は、本実施形態におけるリニアモータ10のマグネット103とコイル104の位置関係を示す図である。ロッド101内の中空空間には、円柱状の複数のマグネット103(セグメント磁石)が互いに同極が対向するように配列される。コイル104は3つでU・V・W相からなる一組の三相コイルとなる。一組の三相コイルを複数組み合わせて、コイルユニットが構成される。U・V・W相の三相に分けた複数のコイル104に120°ずつ位相が異なる三相電流を流すと、コイル104の軸線方向に移動する移動磁界が発生する。ロッド101は、駆動用磁石としての各マグネット103が生じさせている磁界と、移動磁界との作用により推力を得て、移動磁界の速さに同期してコイル104に対して相対的に直線運動を行う。
図3に示されるように、磁気センサ収容ケースであるエンドケース109の一方には、ロッド101の位置を検出するための磁気センサ112が取り付けられる。磁気センサ112は、ロッド101から所定のすきまを開けて配置され、ロッド101の直線運動によって生ずるロッド101内に積層されている各マグネット103が生じさせる磁界の方向(磁気ベクトルの方向)の変化を検出する。
図6に示されるように、磁気センサ112は、Si若しくはガラス基板121と、その上に形成されたNi、Feなどの強磁性金属を主成分とする合金の強磁性薄膜金属で構成される磁気抵抗素子122を有する。磁気センサ112は、特定の磁界方向で抵抗値が変化するためにAMR(Anisotropic-Magnetro-Resistance)センサ(異方性磁気抵抗素子)と呼ばれる(参考文献:「技術資料」、[online]、浜松光電株式会社、「2015年8月13日検索」、インターネット<URL;http://www.hkd.co.jp/amr_tec_amr/>)。
図7は、AMRセンサにおける磁界の方向と、抵抗値との関係を示すグラフである。磁気抵抗素子122に電流を流し、抵抗変化量が飽和する磁界強度を印加し、その磁界(H)の方向を電流方向Yに対して角度変化θを与えたとする。このとき、図7に示されるように、抵抗変化量(△R)は、電流方向と磁界の方向が垂直(θ=90°,270°)のときに最大となり、電流方向と磁界の方向が平行(θ=0°,180°)のときに最小となる。抵抗値Rは、電流方向と磁界方向の角度成分に応じて、下記の式(1)のように変化する。なお、磁界強度が飽和感度以上であれば、△Rは定数になり、抵抗値Rは磁界の強度には影響されなくなる。
R=R0−△Rsin2θ…(1)
R0:無磁界中の強磁性薄膜金属の抵抗値
△R:抵抗変化量
θ:磁界方向を示す角度
図8は、磁界強度が飽和感度以上の場合においても、磁界の方向を検出する磁気センサ112の強磁性薄膜金属の形状例を示す図である。同図に示すように、縦方向に形成された強磁性薄膜金属エレメント(R1)と、横方向のエレメント(R2)が直列に結線した形状になる。エレメント(R1)に対して最も大きな抵抗変化を促す垂直方向の磁界は、エレメント(R2)に対し最小の抵抗変化となる。抵抗値R1とR2は次式(2)、(3)で与えられる。
R1=R0−△Rsin2θ…(2)
R2=R0−△Rcos2θ…(3)
図9は、磁気センサの等価回路(ハーフブリッジ)を示す図である。この等価回路の出力Voutは次式(4)で与えられる。
Vout=R1・Vcc/(R1+R2)…(4)
式(4)に式(2)、(3)を代入し、整理すると、次式(5−1)、(5−2)が得られる。
Vout=Vcc/2+αcos2θ …(5−1)
α=△R・Vcc/2(2R0−△R) …(5−2)
図10は、磁界の方向を検出する磁気センサの強磁性薄膜金属の形状例を示す図である。同図に示すように、強磁性薄膜金属の形状を形成すれば、二つの出力Vout+とVout−を用いて中点電位の安定性の向上と増幅を行うことが可能になる。
ロッド101が直線運動するときの磁界方向の変化と磁気センサ112の出力について説明する。図11は、磁気センサ112と、ロッド101との位置関係を示す図である。同図に示すように、磁気センサ112を、飽和感度以上の磁界強度が印加されるギャップlの位置に、かつ磁界の方向変化がセンサ面に寄与するように配置する。このとき、磁気センサ112がロッド101に沿って位置A〜Eの距離λを相対的に移動した場合、磁気センサ112の出力は、次のようになる。
図12は、磁気センサ112の出力する信号例を示す図である。同図に示すように、ロッド101が距離λを直線移動したとき、センサ面では磁界の方向が1回転する。このときに電圧の信号は、1周期の正弦波信号になる。より正確にいえば、式(5−1)により表される電圧Voutは、2周期分の正弦波信号となる。しかし、磁気センサ112のエレメントの延伸方向に対して45°にバイアス磁界を掛けるならば、周期が半減し、ロッド101がλを直線移動したときに1周期の出力波形が得られる。
運動の方向を知るためには、図13に示されるように、二組のフルブリッジ構成のエレメントを、互いに45°傾くように一つの基板上に形成すればよい。二組のフルブリッジ回路によって得られた出力VoutAとVoutBは、図14に示されるように、互いに90°の位相差を持つ余弦波信号及び正弦波信号となる。
本実施形態においては、図13に示される二組のフルブリッジ構成のエレメントを互いに45°傾くように一つの基板上に形成された磁気センサ112が、ロッド101の磁界の方向の変化を検出するので、たとえ図15に示されるように、磁気センサ112の取り付け位置が(1)から(2)にずれたとしても、磁気センサ112が出力する正弦波信号及び余弦波信号(出力VoutA及びVoutB)には変化が少ない。
図16は、磁気センサ112の出力VoutAとVoutBにより描かれるリサージュ図形を示す図である。磁気センサ112の出力の変化が少ないので、図16に示される円の大きさが変化しにくくなる。このため、磁気ベクトル24の方向θを正確に検出することができる。ロッド101と磁気センサ112との間のギャップlを高精度に管理しなくても、ロッド101の正確な位置を検出できるので、磁気センサ112の取り付け調整が容易になる。それだけでなく、ブッシュ108によって案内されるロッド101にガタを持たせることも可能になるし、ロッド101の多少の曲がりを許容することも可能になる。
図17は、エンドケース109に取り付けられる磁気センサ112を示す図である。エンドケース109には、磁気センサ112を収容するための空間からなる磁気センサ収容部126が設けられている。磁気センサ収容部126内に磁気センサ112を配置した後、磁気センサ112の周囲を充填材127で埋める。これにより、磁気センサ112がエンドケース109に固定される。磁気センサ112は温度特性を持ち、温度の変化によって出力が変化する。コイル104から受ける熱の影響を低減するため、エンドケース109及び充填材127には、コイル収容ケース102よりも熱伝導率の低い材料が使用される。例えば、コイル収容ケース102にはエポキシ系の樹脂が使用され、エンドケース109及び充填材127には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が使用される。
図18は、エンドケース109に取り付けられた軸受であるブッシュ108を示す図である。エンドケース109に軸受機能を持たせることで、ロッド101と磁気センサ112との間のギャップが変動するのを防止することができる。
図19は、本実施形態における制御部20の構成を示す概略ブロック図である。制御部20は、位置制御部201、スイッチ部202、速度制御部203、スイッチ部204、電流制御部205、電力変換器206、変流器(Current Transformer;CT)207、速度算出部208、位置算出部209、速度切替位置決定部210、位置判定部211、完了信号生成部212、ひずみ制御部213を備える。以下、ロッド101を最も上昇させた際の真空パッド18の位置を、真空パッド18の位置の基準となる原点にした場合について説明する。
位置制御部201は、外部より入力される位置指令と、位置算出部209が算出するリニアモータ10に備えられているロッド101の位置を示す情報とに基づいて、速度指令を算出する。また、位置制御部201は、第1速度〜第4速度(FL1SPD〜FL4SPD)を予め記憶しており、第1速度〜第4速度に基づいた4つの速度指令(第1速度指令〜第4速度指令)を出力する。
第1速度指令は、ロッド101が予め定められた原点から、ロッド101の一端に取り付けられているヘッド部15の真空パッド18の先端がワーク33の近傍(FL(Force Limit)モード開始位置)まで移動するときのロッド101が移動する速度を示す指令である。第1速度指令において、ロッド101を移動させる速度の上限値は、第1速度(FL1SPD)として予め定められている。例えば、リニアモータ10がロッド101を移動させる際の最高速度を第1速度(FL1SPD)とする。
第2速度指令は、真空パッド18がワーク33の近傍から、ワーク33に接触するまで移動するときのロッド101が移動する速度を示す指令である。第2速度指令において、ロッド101を移動させる速度は、第2速度(FL2SPD)として予め定められている。第2速度(FL2SPD)は、第1速度(FL1SPD)より遅い速度であり、真空パッド18がワーク33に接触する際に、一定以下の圧力がワーク33に対して加えられる速度に設定される。
第3速度指令は、真空パッド18をワーク33に押し当ててワーク33を基板31に実装させた後に、ロッド101及び真空パッド18をワーク33から遠ざける方向に移動させるときの速度を示す指令である。第3速度指令において、ロッド101を移動させる速度は、第3速度(FL3PSD)として予め定められている。すなわち、第3速度指令はロッド101及び真空パッド18を原点に向かって移動させる際に用いる指令である。
第4速度指令は、真空パッド18をワーク33に押し当ててワーク33を基板31に実装させた後に、ロッド101を原点に向かって移動させるときの速度を示す指令である。第4速度指令において、ロッド101を移動させる速度の上限値は、第4速度(FL4SPD)として予め定められている。また、第4速度(FL4SPD)は、第3速度(FL3SPD)より速い速度が設定される。例えば、第1速度(FL1SPD)と同様に、第4速度(FL4SPD)をリニアモータ10がロッド101を移動させる際の最高速度とする。
スイッチ部202は、位置判定部211の制御に基づいて、位置制御部201が出力する4つの速度指令のうちいずれか一つを選択する。速度制御部203には、スイッチ部202により選択された速度指令と、速度算出部208が算出するロッド101の速度を示す速度情報とが入力される。速度制御部203は、速度指令が示す速度と、速度情報とが示す速度との偏差に基づいて、ロッド101が移動する速度を速度指令が示す速度にするための電流値を算出する。
また、速度制御部203は、算出した電流値を非制限電流指令として出力するとともに、予め定められた電流制限値(FL2I)を上限値にした電流指令である制限電流指令を出力する。算出された電流値が電流制限値(FL2I)以下の場合、非制限電流指令と制限電流指令とは、同じ電流値を示す。一方、算出された電流値が電流制限値(FL2I)より大きい場合、非制限電流指令は算出された電流値を示し、制限電流指令は電流制限値(FL2I)を示す。電流制限値(FL2I)は、リニアモータ10の推力と、ワーク33を基板31に実装する際にワーク33を押し付ける力と、真空パッド18とワーク33とが接触する際にワーク33に対して生じる荷重とに基づいて予め定められる。
スイッチ部204は、位置判定部211の制御に基づいて、速度制御部203が出力する制限電流指令及び非制限電流指令と、ひずみ制御部213が出力する押付電流指令とのうちいずれか一つの電流指令を選択する。電流制御部205は、スイッチ部204が選択した電流指令と、変流器207が測定したリニアモータ10に流れている電流値との偏差を小さくする電圧指令を算出する。電力変換器206は、電流制御部205が算出した電圧指令に基づいて、リニアモータ10のU、V、W相の各コイル104に電圧を印加する。変流器207は、電力変換器206とリニアモータ10とを接続している電力線に取り付けられている。変流器207は、当該電力線に流れている電流値を測定する。変流器207は、測定した電流値を示す信号を電流制御部205と速度切替位置決定部210とに出力する。
速度算出部208は、リニアモータ10に取り付けられている磁気センサ112から出力される正弦波信号及び余弦波信号(出力VoutA及びVoutB)の変化量に基づいて、リニアモータ10に備えられているロッド101の移動速度を算出する。位置算出部209は、磁気センサ112から出力される正弦波信号及び余弦波信号(出力VoutA及びVoutB)の変化量に基づいて、ロッド101の原点からの移動量を算出する。位置算出部209は、ロッド101の位置を示す位置情報を、位置制御部201と速度切替位置決定部210と位置判定部211とに出力する。
速度切替位置決定部210は、FLモード開始位置を示す信号を位置判定部211に出力する。FLモード開始位置は、ロッド101及び真空パッド18が、ワーク33及び基板31に向かって移動しているときに、速度指令を第1速度指令から第2速度指令に切り替える位置である。また、速度切替位置決定部210は、速度切替位置(FL3POS)を示す信号を位置判定部211に出力する。速度切替位置(FL3POS)は、ワーク33を基板31に押し付けた後にロッド101を原点に向かって移動させているときに、速度指令を第3速度指令から第4速度指令に切り替える位置である。
また、速度切替位置決定部210は、ワーク33を押し付ける処理を最初に行うとき、予め記憶している初期切替位置(FL2POSSUB)をFLモード開始位置として位置判定部211に出力する。速度切替位置決定部210は、真空パッド18をワーク33に最初に押し付ける際に、ロッド101が移動する速度及び位置と、リニアモータ10に流れる電流とに基づいて、ワーク33を押し付けてワーク33を基板31に取り付ける工程に要する時間を短縮するように、FLモード開始位置を更新する。FLモード開始位置を更新した後、速度切替位置決定部210は、FLモード開始位置を位置判定部211に出力する。初期切替位置は、ワーク33の高さに応じて予め定められた位置であり、真空パッド18をワーク33に接触させたときに不要な衝撃をワーク33に与えないように真空パッド18及びロッド101の減速を開始する位置である。速度切替位置(FL3POS)は、例えば、初期切替位置(FL2POSSUB)と同じ位置が予め設定されている。
位置判定部211は、外部より入力される位置指令及び動作開始信号と、位置算出部209が出力する位置情報とに基づいて、位置制御部201が出力する4つの速度指令からいずれか一つをスイッチ部202に選択させる制御をする。また、位置判定部211は、位置指令及び動作開始信号と、位置情報と、ひずみゲージ113から出力されるひずみ信号とに基づいて、スイッチ部204を制御する。位置判定部211は、非制限電流指令と制限電流指令と押付電流指令とのうちいずれか一つの電流指令をスイッチ部204に選択させる。
完了信号生成部212は、真空パッド18がワーク33を押し付けているときに、押し付けの荷重が予め定められた荷重に達すると、動作完了信号(UO2)をオンにして外部に出力する。押し付けの荷重が予め定められた荷重に達したか否かは、ひずみゲージ113から出力されるひずみ信号に基づいて、位置判定部211が判定する。完了信号生成部212は、位置判定部211による判定結果に基づいて、動作完了信号(UO2)をオンにして外部に出力する。
ひずみ制御部213には、ひずみゲージ113からひずみ信号が入力される。ひずみ制御部213は、予め定められたひずみ指令値と、ひずみ信号が示すひずみ量との偏差に基づいて、リニアモータ10に流す電流値を算出する。ひずみ制御部213が算出する電流値は、ひずみ指令値に対する偏差がゼロになるようにPI制御や、PID制御に基づいて算出される電流値であり、ロッド101に対して発生させる推力がワーク33に対して加える荷重となる電流値である。ひずみ制御部213は、算出した電流値を押付電流指令としてスイッチ部204へ出力する。ひずみ指令値は、リニアモータ10を駆動して真空パッド18をワーク33に押し付ける際に、ワーク33に加えられる荷重が所望の荷重になったときに板バネに生じるひずみ量に基づいて定められる。保持部17には複数のS字形状の板バネが設けられるので、各板バネのひずみ量の平均値、最大値や、複数回試行して得られたひずみ量の平均値や中央値、最大値などに基づいて、ひずみ指令値は定められてもよい。
次に、工作装置1がワーク33を最初に押し付ける際の動作について説明する。図20は、本実施形態における工作装置1がワーク33を基板31に最初に押し付ける際の動作を示すフローチャートである。ここで、ロッド101がワーク33及び基板31に近づく方向をCW方向とし、ロッド101がワーク33及び基板31から遠ざかる方向をCCW方向とする。制御部20は、ワーク33の位置に基づく位置指令が外部から入力されると、リニアモータ10の駆動を開始し、真空パッド18を原点に移動させる原点復帰を行う(ステップS101)。
位置判定部211は、原点復帰が完了すると、外部から動作開始信号(UI2)がオンになっているか否かを判定し(ステップS102)、動作開始信号がオンになるまで待機する(ステップS102:NO)。動作開始信号がオンになると(ステップS101:YES)、位置判定部211は、第1速度指令をスイッチ部202に選択させるとともに、非制限電流指令をスイッチ部204に選択させ(ステップS103)、ワーク33に向けた(CW方向への)真空パッド18及びロッド101の移動を開始させる(ステップS104)。
位置判定部211は、真空パッド18の位置が初期切替位置(FL2POSSUB)に到達しているか否かを判定し(ステップS105)、真空パッド18が初期切替位置(FL2POSSUB)に到達するまで第1速度指令を用いてリニアモータ10を駆動させる(ステップS105:NO)。真空パッド18が初期切替位置(FL2POSUB)に到達すると(ステップS105:YES)、位置判定部211は、スイッチ部202に第2速度指令を選択させるとともに、スイッチ部204に制限電流指令を選択させ(ステップS106)、ロッド101の移動速度を減速させる。
速度切替位置決定部210は、第2速度指令が選択された後に、ロッド101の移動速度が第2速度(FL2SPD)以下であるか否かを判定し(ステップS107)、ロッド101の移動速度が第2速度(FL2SPD)以下になるまで判定を繰り返し行う(ステップS107:NO)。ロッド101の移動速度が第2速度(FL2SPD)以下になると(ステップS107:YES)、速度切替位置決定部210は、現在の真空パッド18の位置と、初期切替位置(FL2POSSUB)との差分(FL2POSMAIN1)を算出し、算出した差分(FL2POSMAIN1)を記憶する(ステップS108)。
速度切替位置決定部210は、ひずみゲージ113から出力されるひずみ信号に基づいて、保持部17の板バネにひずみが検出されたか否かを判定し(ステップS109)、ひずみが検出されるまで待機する(ステップS109:NO)。ひずみが検出されると(ステップS109:YES)、速度切替位置決定部210は、ステップS108において算出した差分(FL2POSMAIN1)を現在の真空パッド18の位置から引いた位置を、新たなFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)として記憶する(ステップS110)。このとき、位置判定部211は、速度切替位置決定部210と同様にひずみを検出すると、ひずみ制御部213から出力される押付電流指令をスイッチ部204に選択させ、ひずみ量に基づくフィードバック制御を開始させる(ステップS111)。
なお、ステップS110において、新たなFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)を算出する際に、所定の距離Δdをマージンとして設けるようにしてもよい。具体的には、現在の真空パッド18の位置から、差分(FL2POSMAIN1)と微小距離Δdとを引いた位置を、新たなFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)にするようにしてもよい。また、保持部17の板バネにひずみが検出されたか否かの判定は、例えばひずみゲージ113から出力されるひずみ信号により示されるひずみ量と、所定値との比較により行われる。速度切替位置決定部210及び位置判定部211は、ひずみ量が所定値以上になった場合にひずみが生じていると判定して、ひずみを検出する。この所定値は、真空パッド18がワーク33に接触した際に保持部17のS字形状の板バネに生じるひずみを検出できるように定められる。また、複数のひずみゲージ113が保持部17に設けられている場合、いずれか一つのひずみゲージ113により測定されたひずみ量が所定値以上になった場合にひずみが生じていると判定する。
位置判定部211は、ひずみ量がしきい値以上になったか否かを判定し(ステップS112)、ひずみ量がしきい値に達するまでひずみ量に基づくフィードバック制御を継続させる(ステップS112:NO)。ひずみ量がしきい値以上になると(ステップS112:YES)、位置判定部211は、ひずみ量がしきい値に達したことを示す信号を完了信号生成部212へ出力する。完了信号生成部212は、動作完了信号(UO2)をオンにして外部に出力する(ステップS113)。なお、しきい値は、ワーク33に対して所望の荷重を加えた際のひずみ量に基づいて定められる。
位置判定部211は、外部から入力される動作開始信号がオフであるか否かを判定し(ステップS114)、動作開始信号がオフになるまで待機する(ステップS114:NO)。動作開始信号がオフになると(ステップS114:YES)、位置制御部201は、原点を移動先とする位置指令に応じて速度指令を算出する。位置判定部211は、第3速度指令をスイッチ部202に選択させるとともに、制限電流指令をスイッチ部204に選択させて(ステップS115)、原点に向けた(CCW方向への)ロッド101の移動を開始させる(ステップS116)。
位置判定部211は、真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達しているか否かを判定し(ステップS117)、真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達するまで、真空パッド18及びロッド101の移動を継続させる(ステップS117:NO)。真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達すると(ステップS117:YES)、位置判定部211は、第4速度指令をスイッチ部202に選択させる(ステップS118)。
位置判定部211は、真空パッド18が原点に到達したか否かを判定し(ステップS119)、真空パッド18が原点に達するまで真空パッド18及びロッド101の移動を継続させる(ステップS119:NO)。真空パッド18が原点に到達すると(ステップS119:YES)、位置判定部211は、真空パッド18が原点に到達したことを示す信号を完了信号生成部212に出力し、完了信号生成部212が動作完了信号をオフにして(ステップS120)、ワーク33を基板31に最初に押し付ける動作を終了する。
図21は、本実施形態における工作装置1が更新したFLモード開始位置を用いてワーク33を基板31に押し付ける動作を示すフローチャートである。制御部20は、ワーク33を取り付ける基板31の位置、あるいはワーク33の位置に基づく位置指令が外部から入力されると、リニアモータ10の駆動を開始し、真空パッド18を原点に復帰させる原点復帰を行う(ステップS201)。
位置判定部211は、原点復帰が完了すると、外部から動作開始信号(UI2)がオンになっているか否かを判定し(ステップS202)、動作開始信号がオンになるまで待機する(ステップS202:NO)。動作開始信号がオンになると(ステップS202:YES)、位置判定部211は、第1速度指令をスイッチ部202に選択させるとともに、非制限電流指令をスイッチ部204に選択させ(ステップS203)、ワーク33に向けた(CW方向への)真空パッド18及びロッド101の移動を開始させる(ステップS204)。
位置判定部211は、真空パッド18の位置がFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)に到達しているか否かを判定し(ステップS205)、真空パッド18がFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)に到達するまで第1速度指令を用いてリニアモータ10を駆動させる(ステップS205:NO)。真空パッド18がFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)に到達すると(ステップS205:YES)、位置判定部211は、第2速度指令をスイッチ部202に選択させるとともに、制限電流指令をスイッチ部204に選択させ(ステップS206)、ロッド101の移動速度を減速させる。
位置判定部211は、ひずみゲージ113から出力されるひずみ信号に基づいて、保持部17の板バネにひずみが検出されたか否かを判定し(ステップS207)、ひずみが検出されるまで待機する(ステップS207:NO)。ひずみが検出されると(ステップS207:YES)、位置判定部211は、ひずみ制御部213から出力される押付電流指令をスイッチ部204に選択させ、ひずみ量に基づくフィードバック制御を開始させる(ステップS208)。
位置判定部211は、ひずみ量がしきい値以上になったか否かを判定し(ステップS209)、ひずみ量がしきい値に達するまでひずみ量に基づくフィードバック制御を継続させる(ステップS209:NO)。ひずみ量がしきい値以上になると(ステップS209:YES)、位置判定部211は、ひずみ量がしきい値に達したことを示す信号を完了信号生成部212へ出力する。完了信号生成部212は、動作完了信号(UO2)をオンにして外部に出力する(ステップS210)。
位置判定部211は、外部から入力される動作開始信号がオフであるか否かを判定し(ステップS211)、動作開始信号がオフになるまで待機する(ステップS211:NO)。動作開始信号がオフになると(ステップS211:YES)、位置制御部201は、原点を移動先とする位置指令に応じて速度指令を算出する。位置判定部211は、第3速度指令をスイッチ部202に選択させるとともに、制限電流指令をスイッチ部204に選択させて(ステップS212)、原点に向けた(CCW方向への)ロッド101の移動を開始させる(ステップS213)。
位置判定部211は、真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達しているか否かを判定し(ステップS214)、真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達するまで、真空パッド18及びロッド101の移動を継続させる(ステップS214:NO)。真空パッド18が速度切替位置(FL3POS)に到達すると(ステップS214:YES)、位置判定部211は、第4速度指令をスイッチ部202に選択させる(ステップS215)。
位置判定部211は、真空パッド18が原点に到達したか否かを判定し(ステップS216)、真空パッド18が原点に達するまで真空パッド18及びロッド101の移動を継続させる(ステップS216:NO)。真空パッド18が原点に到達すると(ステップS216:YES)、位置判定部211は、真空パッド18が原点に到達したことを示す信号を完了信号生成部212に出力し、完了信号生成部212が動作完了信号をオフにして(ステップS217)、ワーク33を基板31に押し付ける動作を終了する。
図22は、図21に示す動作のうちステップS202からステップS210までの動作における速度、電流、及び動作完了信号の変化を示す波形図である。同図において、縦軸は真空パッド18の位置を示している。制御部20は、動作開始信号がオンになると、真空パッド18を第1速度(FL1SPD)でワーク33に向かって移動させる。制御部20は、真空パッド18がFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)に到達すると、真空パッド18を第1速度(FL1SPD)から第2速度(FL2SPD)まで減速させる。制御部20は、真空パッド18を第2速度(FL2SPD)でワーク33に向かって移動させる。真空パッド18がワーク33に接触して板バネのひずみが検出されると、制御部20は、ひずみ量に基づいたフィードバック制御を開始し、真空パッド18をワークに押し付ける力が所望の荷重になったことをひずみ信号により検出すると動作完了信号をオンにする。
図23は、図21に示す動作のうちステップS212からステップS217までの動作における速度、電流、及び動作完了信号の変化を示す波形図である。同図において、縦軸は真空パッド18の位置を示している。制御部20は、真空パッド18をワーク33に押し付けた後、第3速度(FL3SPD)で真空パッド18を原点に向かって移動させ、上昇させる。制御部20は、真空パッド18が速度切替位置に達すると第3速度(FL3SPD)より早い第4速度(FL4SPD)で真空パッド18を原点に向かって移動させる。制御部20は、原点において真空パッド18の速度が零になるように、リニアモータ10のロッド101の移動速度を減速させ、真空パッド18が原点に到達すると動作完了信号をオフにする。
図24は、図21に示す動作のうちステップS202からステップS209までの動作における速度、電流、ひずみ量の変化例を示す波形図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は速度、電流、ひずみ量を示す。制御部20は、動作開始信号がオンになると、真空パッド18及びロッド101の位置に基づいた位置制御により、第1速度(FL1SPD)でワーク33に向かって移動させ、FLモード開始位置(FL2POSMAIN2)に到達すると第2速度(FL2SPD)まで減速させる。制御部20は、リニアモータ10に流す電流を電流制限値(FL2I)で制限することで推力を一定以下にした推力制御(第1の制御)により、真空パッド18を第2速度(FL2SPD)の一定速度かつ一定の推力以下でワーク33に向かって移動させる。リニアモータ10に流れる電流が電流制限値以下である状態において真空パッド18がワーク33に接触したことをひずみ量から検出すると、制御部20は、ひずみ量に基づいたフィードバック制御による押付制御(第2の制御)に切り替える。制御部20は、押付制御を行うことにより、所望の荷重をワーク33に加える。なお、図24に示した速度、電流、ひずみ量の波形は、一例であり、リニアモータ10の推力、保持部17に設けられる板バネの個数、板バネの弾性や形状などに応じて変化する。
本実施形態における工作装置1は、リニアモータ10に一定以下の速度及び推力で真空パッド18をワーク33に向けて移動させ、ひずみゲージ113により測定されるひずみ量に基づいて真空パッド18とワーク33とが接触したことを検出すると、ひずみ量に基づいてリニアモータ10を制御する。ひずみ量は真空パッド18をワーク33に押し付ける荷重の増加に比例するので、ひずみ量に基づいた制御により、ワーク33に加える荷重の精度を向上させることができる。
また、本実施形態における工作装置1は、複数のひずみゲージ113のいずれかでひずみの発生を検出すると押付制御を開始する。これにより、真空パッド18がワーク33に接触すると直ちに押付制御に移行することができ、精度よくワーク33に荷重を加えることができる。
工作装置1は、真空パッド18の位置に応じた制御により真空パッド18がワーク33に接触する前に第1速度より遅い第2速度に減速させることで、ワーク33に不要な衝撃を与えずに真空パッド18をワーク33に押し付けることができる。また、保持部17は、チューブ19を真空パッド18につなげられるように、チューブ19を通す中空穴を確保して板バネでブラケット16と真空パッド18とを保持することで、エアの流路を確保しながら押し付け力を測定することができる。また、このように保持部17を形成して板バネにひずみゲージ113を設けたことにより、ロードセルを用いることなく荷重の精度を向上させることができる。また、板バネにひずみゲージ113を貼り付けることで、微小な力によるわずかなひずみを検出することができ、精度よく押し付け力を測定できる。また、ヘッド部15を軽量化することができ、ひずみゲージ113を取り付けたことによる動作性能への影響を小さくできる。また、ひずみゲージ113にて荷重を測定することにより、案内装置14における摺動抵抗のばらつきや、時間経過に伴う摺動抵抗の変化などがあっても、精度よく押し付け力を制御することができる。
工作装置1には、真空パッド18(加圧部)と案内装置14との間にひずみ部(板バネ)が設けられているので、案内装置14における摺動抵抗に変動があったとしても、ワーク33に対する押し付け力のばらつきを解消することができる。
また、工作装置1は、ワーク33を最初に押し付ける際に、第1速度から第2速度に減速する際に要する距離(差分(FL2POSMAIN1))を検出し、真空パッド18がワーク33に接触した位置と差分(FL2POSMAIN1)とから新たなFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)を算出する。また、工作装置1は、ワーク33を最初に押し付けた際に算出したFLモード開始位置(FL2POSMAIN2)を用いて、ワーク33を基板31に押し付ける動作を行う。すなわち、工作装置1は、ワーク33を最初に押し付ける際に検出したワーク33の位置と、第1速度から第2速度に減速するまでに要する離とに基づいてFLモード開始位置を算出し、算出したFLモード開始位置を用いてワーク33の押し付けを行う。これにより、工作装置1は、第2速度で移動させる区間を短くすることができ、ワーク33の押し付けなどに要する時間を短縮することができる。
なお、上述の実施形態においては、制御部20がロッドタイプのリニアモータ10を制御する場合について説明したが、制御部20がフラットタイプのリニアモータや回転モータを制御するようにしてもよい。制御部20が回転モータを制御する場合、モータの回転運動をボールねじなどを用いて直線運動に変換するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、ヘッド部15がロッド101と共に移動するヘッド軸13に取り付けられた構成について説明したが、ロッド101の一端にヘッド部15が取り付けられた構成としてもよい。また、板バネのひずみを測定するためにひずみゲージを用いる構成を説明したが、板バネのひずみを測定できるセンサであればひずみゲージ以外のセンサを用いてもよい。
また、上述の実施形態の押付制御における判定(ステップS112とステップS208)は、ひずみゲージ113が複数ある場合には、各ひずみ量の最大値、平均値又は最小値のいずれかに基づいた判定を行ってもよい。また、ひずみ制御部213は、ひずみ指令値との偏差を算出する際に、各ひずみ量の最大値、平均値又は最小値のいずれかを用いて偏差を算出してもよい。これにより、複数のひずみゲージ113の測定値のばらつきで、ワーク33に加える荷重にばらつきが生じることを抑制できる。
また、上述の実施形態における押付制御を開始する際の条件(ステップS109とステップS207における条件)を、リニアモータ10に流れる電流値が電流制限値(FL2I)以下である状態においてひずみを検出したか、という条件に変更してもよい。これにより、リニアモータ10が真空パッド18及びロッド101の移動に不必要な推力を発生させている場合には押付制御に移行させないことができる。また、本実施形態における工作装置1は、リニアモータ10に流れる電流が電流制限値以下である状態においてひずみゲージ113により板バネ(ひずみ部)のひずみが検出された場合に押付制御(第2の制御)を行うことで、ひずみゲージ113を用いた押し付けの最適な制御を行うことができる。
また、上述の制御部20は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、制御部20に備えられる各部が行う処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、各機能部の処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。