JP6597064B2 - エアロゲル複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゲル複合体に関する。
エアロゲルは、気孔率が高いために、優れた物理特性を有し、建築、自動車、家電製品、半導体、産業用設備等の分野における断熱材、音響調節材料、発光太陽光集光器、ガスフィルター、触媒及び支持体材料に適用できる可能性がある。これらの広い用途に対して好適に対応できるよう、エアロゲルには断熱性や柔軟性といった特性の他、さらに種々の化学的・物理的特性を付加することが望ましい。
ところで、エアロゲルの作製方法としては、アルコキシシランを加水分解し、重合して得られたゲル状化合物(アルコゲル)を、分散媒の超臨界条件下で乾燥する超臨界乾燥法が知られている(例えば特許文献1参照)。超臨界乾燥法は、アルコゲルと分散媒(乾燥に用いる溶媒)とを高圧容器中に導入し、分散媒をその臨界点以上の温度と圧力をかけて超臨界流体とすることにより、アルコゲルに含まれる溶媒を除去する方法である。しかし、超臨界乾燥法は高圧プロセスを要するため、超臨界に耐え得る特殊な装置等への設備投資が必要であり、なおかつ多くの手間と時間が必要である。
そこで、アルコゲルを、高圧プロセスを要しない汎用的な方法を用いて乾燥する手法が提案されている。このような方法としては、例えば、ゲル原料として、モノアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを特定の比率で併用することにより、得られるアルコゲルの強度を向上させ、常圧で乾燥させる方法が知られている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、このような常圧乾燥を採用する場合、アルコゲル内部の毛細管力に起因するストレスにより、ゲルが収縮する傾向がある。
一方、高圧プロセスを要さず、かつ化学的・物理的特性を付加したエアロゲルを作製する方法としては、金属アルコキシド及びSi−H結合を有するポリシロキサンを原料として使用する方法が挙げられる(例えば特許文献3参照)。具体的には、金属アルコキシド及びSi−H結合を有するポリシロキサンを塩基触媒下で反応させることにより、Si−Hの分解による水素ガスの発生とゲル化が同時に起こるため、収縮が抑制されかつ発泡体化したゲル体を得られるという技術である。しかしながら、この方法を用いても、エアロゲルの更なる取り扱い性向上に必要な柔軟性の付与は困難である。
米国特許第4402927号 特開2011−93744号公報 特開2003−267719号公報
このように、従来の製造プロセスが抱える問題点について様々な観点からの検討が行われている一方で、上記いずれのプロセスを採用したとしても、得られたエアロゲルは取り扱い性が悪く、大型化が困難であるため、生産性に課題がある。例えば、上記プロセスにより得られた塊状のエアロゲルは、手で触って持ち上げようとするだけで破損してしまう場合がある。これは、エアロゲルの密度が低いことと、エアロゲルが10nm程度の微粒子が弱く連結しているだけの細孔構造を有していることとに由来すると推察される。また、そのようなエアロゲルに対し、具体的に種々の好適な化学的・物理的特性を付与する方法等については、当然ながら十分な検討が進められていないのが現状である。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、柔軟性に優れるのみではなく紫外線遮蔽性にも優れるエアロゲル複合体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、エアロゲル成分中にシリカ粒子及び金属酸化物粒子を複合化したエアロゲル複合体であれば、優れた柔軟性を発現し、かつ所定の化学的・物理的特性として紫外線遮蔽性の付与が可能であることを見出した。
本発明は、エアロゲル成分、シリカ粒子及び金属酸化物粒子を含有するエアロゲル複合体を提供するものである。本発明のエアロゲル複合体は、従来技術により得られるエアロゲルとは異なり、柔軟性及び紫外線遮蔽性に優れる。
エアロゲル複合体は、エアロゲル成分、シリカ粒子及び金属酸化物粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有することができる。これにより、柔軟性が向上され易くなる。
本発明は、また、三次元網目骨格を構成する成分としてシリカ粒子及び金属酸化物粒子を含有するエアロゲル複合体を提供するものである。このようにして得られたエアロゲル複合体は、柔軟性及び紫外線遮蔽性に優れる。
本発明は、また、シリカ粒子及び金属酸化物粒子と、分子内に加水分解性の官能基を有するシリコン化合物及び該シリコン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥してなるエアロゲル複合体を提供するものである。このようにして得られたエアロゲル複合体は、柔軟性及び紫外線遮蔽性に優れる。
本発明において、上記ゾルは、分子内に反応性基を有するポリシロキサン化合物及びポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含有することができる。これにより、さらに優れた柔軟性を達成することができる。
また、シリカ粒子の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができる。これにより、柔軟性をさらに向上し易くなる。
この際、シリカ粒子の形状は球状とすることができる。また、シリカ粒子は溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種とすることができる。これにより、さらに優れた柔軟性を達成することができる。
また、金属酸化物粒子は酸化セリウム粒子、酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種とすることができる。これにより、さらに優れた紫外線遮蔽性を達成することができる。
この際、金属酸化物粒子の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができる。これにより、柔軟性を維持することができる。
なお、上記乾燥は、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度及び大気圧下で行うことができる。これにより、柔軟性に優れるエアロゲル複合体をさらに得易くなる。
本発明によれば、柔軟性に優れるのみではなく、紫外線遮蔽性にも優れるエアロゲル複合体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るエアロゲル複合体の微細構造を模式的に表す図である。 粒子の二軸平均一次粒子径の算出方法を示す図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<エアロゲル複合体>
狭義には、湿潤ゲルに対して超臨界乾燥法を用いて得られた乾燥ゲルをエアロゲル、大気圧下での乾燥により得られた乾燥ゲルをキセロゲル、凍結乾燥により得られた乾燥ゲルをクライオゲルと称するが、本実施形態においては、湿潤ゲルのこれらの乾燥手法によらず、得られた低密度の乾燥ゲルをエアロゲルと称する。すなわち、本実施形態においてエアロゲルとは、広義のエアロゲルである「Gel comprised of a microporous solid in which the dispersed phase is a gas(分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲル)」を意味するものである。一般的にエアロゲルの内部は網目状の微細構造となっており、エアロゲル粒子が結合したクラスター構造を有している。このクラスターにより形成される骨格間には、微細な細孔が存在し、三次元的に微細な多孔性の構造をしている。なお、本実施形態におけるエアロゲルは、シリカを主成分とするシリカエアロゲルである。シリカエアロゲルとしては、メチル基等の有機基又は有機鎖を導入した、いわゆる有機−無機ハイブリッド化されたシリカエアロゲルが挙げられる。なお、本実施形態のエアロゲル複合体は、エアロゲル中にシリカ粒子及び金属酸化物粒子が複合化されながらも、上記エアロゲルの特徴であるクラスター構造を有しており、三次元的に微細な多孔性の構造を有している。
本実施形態において、必ずしもこれと同じ概念を意味するものではないが、本実施形態のエアロゲル複合体は、三次元網目骨格を構成する成分としてシリカ粒子及び金属酸化物粒子を含有するものである、と表現することも可能である。本実施形態のエアロゲル複合体は、後述するとおり柔軟性に優れている。特に、柔軟性が優れていることによりエアロゲル複合体としての取り扱い性が向上して大型化も可能となるため、生産性を高めることができる。なお、このようなエアロゲル複合体は、エアロゲルの製造環境中にシリカ粒子を存在させることにより得られるものである。そしてシリカ粒子を存在させることによるメリットは、複合体自体の柔軟性等を向上できることのみならず、後述する湿潤ゲル生成工程の時間短縮、あるいは洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能であることにもある。なお、この工程の時間短縮及び工程の簡略化は、柔軟性が優れるエアロゲル複合体を作製する上で必ずしも求められることではない。
本実施形態において、エアロゲル成分とシリカ粒子等との複合化態様は様々である。例えば、エアロゲル成分は膜状等の不定形であってもよく、粒子状(エアロゲル粒子)であってもよい。いずれの態様においても、エアロゲル成分が様々な形態になりシリカ粒子等の間に存在しているため、複合体の骨格に柔軟性が付与されていると推察される。
まず、エアロゲル成分とシリカ粒子等との複合化態様としては、不定形のエアロゲル成分がシリカ粒子等の間に介在する態様が挙げられる。このような態様としては、具体的には、例えばシリカ粒子等が膜状のエアロゲル成分(シリコーン)により被覆された態様(エアロゲル成分がシリカ粒子等を内包する態様)、エアロゲル成分がバインダーとなりシリカ粒子等同士が連結された態様、エアロゲル成分が複数のシリカ粒子等の間隙を充填している態様、これらの態様の組み合わせの態様(クラスター状に並んだシリカ粒子等がエアロゲル成分により被覆された態様等)、など様々な態様が挙げられる。このように、本実施形態においてエアロゲル複合体は、三次元網目骨格がシリカ粒子及び金属酸化物粒子とエアロゲル成分(シリコーン)とから構成されることができ、その具体的態様(形態)に特に制限はない。
一方、後述するように、本実施形態においてエアロゲル成分は、不定形ではなく図1のように明確な粒子状となってシリカ粒子等と複合化していてもよい。
本実施形態のエアロゲル複合体においてこのような様々な態様が生じるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、ゲル化工程におけるエアロゲル成分の生成速度が関与していると推察している。例えば、シリカ粒子のシラノール基数を変動させることによってエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。また、系のpHを変動させることによってもエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。
このことは、例えばシリカ粒子のサイズ、形状、シラノール基数、系のpH等を調整することにより、エアロゲル複合体の態様(三次元網目骨格のサイズ、形状等)を制御できることを示唆する。したがって、エアロゲル複合体の密度、気孔率等の制御が可能となり、エアロゲル複合体の断熱性と柔軟性を制御することができると考えられる。なお、エアロゲル複合体の三次元網目骨格は、上述した様々な態様の一種類のみから構成されていてもよいし、二種以上の態様から構成されていてもよい。
以下、図1を例にとり、本実施形態のエアロゲル複合体について説明するが、上述のとおり本発明は図1の態様に限定されるものではない。ただし、上記いずれの態様にも共通する事項(シリカ粒子等の種類、サイズ、含有量等)については、以下の記載を適宜参照することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るエアロゲル複合体の微細構造を模式的に表す図である。図1に示されるように、エアロゲル複合体10は、エアロゲル成分であるエアロゲル粒子1が部分的にシリカ粒子2及び金属酸化物粒子4を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格と、当該骨格に囲まれた細孔3とを有する。この際、シリカ粒子2及び金属酸化物粒子4はエアロゲル粒子1間に介在し、三次元網目骨格を支持する骨格支持体として機能していると推察される。したがって、このような構造を有することにより、エアロゲルとしての断熱性及び柔軟性を維持しつつ、適度な強度がエアロゲルに付与されることになると考えられる。なお、本実施形態においては、エアロゲル複合体は、シリカ粒子及び金属酸化物粒子がエアロゲル粒子を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格を有していてもよい。また、シリカ粒子及び金属酸化物粒子はエアロゲル粒子により被覆されていてもよい。なお、上記エアロゲル粒子(エアロゲル成分)はシリコーンから構成されるため、シリカ粒子への親和性が高いと推察される。そのため、本実施形態においてはエアロゲルの三次元網目骨格中にシリカ粒子を導入することに成功したと考えられる。この点においては、シリカ粒子のシラノール基も、両者の親和性に寄与していると考えられる。
エアロゲル粒子1は、複数の一次粒子から構成される二次粒子の態様を取っていると考えられており、概ね球状である。エアロゲル粒子1の平均粒子径(すなわち二次粒子径)は2nm〜50μmとすることができるが、5nm〜2μmであってもよく、又は10nm〜200nmであってもよい。エアロゲル粒子1の平均粒子径が2nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲル複合体が得易くなり、一方平均粒子径が50μm以下であることにより、微細な孔の形成が可能になり、高い気孔率のエアロゲル複合体が得易くなる。なお、エアロゲル粒子1を構成する一次粒子の平均粒子径は、低密度の多孔質構造の2次粒子を形成し易いという観点から、0.1nm〜5μmとすることができるが、0.5nm〜200nmであってもよく、又は1nm〜20nmであってもよい。
シリカ粒子2の表面構造は特に制限されず、表面に存在するシラノール基を修飾していない粒子、シラノール基をカチオン基、アニオン基、ノニオン基等で修飾したシリカ粒子、又は、シラノール基をアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基に置換したシリカ粒子を使用することもできる。
エアロゲルを作製する際に用いるシリカ粒子の形態は、特に制限されないが、例えば、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
前記シリカ粒子がコロイダルシリカの場合、スラリーのpHは8.0以下であるとよい。これにより、エアロゲルを作製する際にゲル化反応の制御が容易になる。
前記コロイダルシリカが分散された溶媒としては、特に制限なく用いることができる。例えば、水、アルコール、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
シリカ粒子2の形状は特に制限されず、球状、まゆ型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子2として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子2の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができるが、5〜300nmであってもよく、又は20〜100nmであってもよい。シリカ粒子2の平均一次粒子径が1nm以上であることにより、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲル複合体が得易くなる。一方、平均一次粒子径が500nm以下であることにより、粒子の沈降が抑制され、均一に系内へ分散し易くなる。
エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とシリカ粒子2とは、水素結合及び/又は化学結合の態様を取って結合していると推測される。この際、水素結合及び/又は化学結合は、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)のシラノール基及び/又は反応性基と、シリカ粒子2のシラノール基により形成されると考えられる。そのため、結合の態様が化学結合であると、適度な強度をエアロゲルに付与し易いと考えられる。このことから考えると、エアロゲル成分と複合化させる粒子として、シリカ粒子に限らず、粒子表面にシラノール基を有する無機粒子又は有機粒子も用いることができる。
シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数は、10×1018〜1000×1018個/gとすることができるが、50×1018〜800×1018個/gであってもよく、又は100×1018〜700×1018個/gであってもよい。シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数が10×1018個/g以上であることにより、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とのより良好な反応性を有することができ、耐収縮性に優れるエアロゲル複合体を得易くなる。一方、シラノール基数が1000×1018個/g以下であることにより、ゾル作製時における急なゲル化を抑制し易くなり、均質なエアロゲル複合体が得易くなる。
本実施形態において、粒子の平均粒子径(エアロゲル粒子の平均二次粒子径及びシリカ粒子の平均一次粒子径)は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を用いてエアロゲル複合体の断面を直接観察することにより得ることができる。例えば、三次元網目骨格からは、その断面の直径に基づきエアロゲル粒子又はシリカ粒子個々の粒子径を得ることができる。ここでいう直径とは、三次元網目骨格を形成する骨格の断面を円とみなした場合の直径を意味する。また、断面を円とみなした場合の直径とは、断面の面積を同じ面積の円に置き換えたときの当該円の直径のことである。なお、平均粒子径の算出に当たっては、100個の粒子について円の直径を求め、その平均を取るものとする。
なお、シリカ粒子については原料から平均粒子径を測定することが可能である。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常水に分散している固形分濃度5〜40質量%のコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にて中空シリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。この際、選択したシリカ粒子が図2に示すような形状であった場合、シリカ粒子2に外接し、その長辺が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形L)を導く。そして、その外接長方形Lの長辺をX、短辺をYとして、(X+Y)/2として二軸平均一次粒子径を算出し、その粒子の粒子径とする。
エアロゲル複合体に含まれるエアロゲル成分の含有量は、エアロゲル複合体の総量100質量部に対し、4〜25質量部とすることができるが、10〜20質量部であってもよい。含有量が4質量部以上であることにより適度な強度を付与し易くなり、25質量部以下であることにより反応を制御し易くなる。
エアロゲル複合体に含まれるシリカ粒子の含有量は、エアロゲル複合体の総量100質量部に対し、1〜25質量部とすることができるが、3〜15質量部であってもよい。含有量が1質量部以上であることにより適度な強度をエアロゲル複合体に付与し易くなり、25質量部以下であることによりエアロゲルを作製する際にゲル化反応の制御が容易になる。
本発明のエアロゲル複合体は、これらエアロゲル成分及びシリカ粒子2の他に、化学的・物理的特性の付与を目的として、金属酸化物粒子4をさらに含んでいる。例えば、金属酸化物粒子4としては、紫外線遮蔽性の付与を目的として、酸化セリウム粒子、酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含むことができる。本実施形態のエアロゲル複合体においてこのような様々な態様が生じるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、これら金属酸化物粒子4は水中では水和が起こり、表面が水酸基(−OH)で覆われるため、シリカ粒子2表面のシラノール基と反応し、脱水縮合反応が起きている可能性を考えている。
エアロゲル複合体に含まれる金属酸化物粒子の含有量は、エアロゲル複合体の総量100質量部に対し、1〜25質量部とすることができるが、3〜15質量部であってもよい。含有量が1質量部以上であることにより適度な化学的・物理的特性(例えば紫外線遮蔽性)をエアロゲル複合体に付与し易くなり、25質量部以下であることにより粒子間の凝集を抑制できる。
前記金属酸化物粒子がコロイダル粒子の場合、スラリーのpHは8.0以下であるとよい。これにより、エアロゲルを作製する際にゲル化反応の制御が容易になる。
前記金属酸化物粒子が分散された溶媒としては、特に制限なく用いることができる。例えば、水、アルコール、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
金属酸化物粒子4の形状は特に制限されず、球状、まゆ型、会合型等が挙げられる。これらのうち、金属酸化物粒子4として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。金属酸化物粒子4の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができるが、5〜250nmであってもよく、又は10〜100nmであってもよい。金属酸化物粒子4の平均一次粒子径が1nm以上であることにより、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲル複合体が得易くなる。一方、平均一次粒子径が500nm以下であることにより、粒子の沈降が抑制され、均一に系内へ分散し易くなる。なお、金属酸化物粒子に関しても、上述のようにシリカ粒子を測定する場合と同様の手法で平均粒子径を測定することが可能である。
[圧縮弾性率]
本実施形態のエアロゲル複合体において、25℃における圧縮弾性率は3MPa以下とすることができるが、2MPa以下であってもよく、1MPa以下であってもよく、又は0.5MPa以下であってもよい。圧縮弾性率が3MPa以下であることにより、取り扱い性が優れるエアロゲル複合体とし易くなる。なお、圧縮弾性率の下限値は特に限定されないが、例えば0.05MPaとすることができる。
圧縮弾性率は、小型卓上試験機「EZTest」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いて測定することができる。小型卓上試験機を用いた圧縮弾性率の測定方法の概要は次の通りである。
(測定サンプルの準備)
刃角約20〜25度の刃を用いて、エアロゲル複合体を7.0mm角の立方体(サイコロ状)に加工し、測定サンプルとする。次に、面の平行を確保するために、必要に応じて#1500以上の紙やすりで測定サンプルを整形する。そして、測定前に、定温乾燥機「DVS402」(ヤマト科学株式会社製、製品名)を用いて、大気圧下、100℃で30分間、測定サンプルを乾燥する。次いで測定サンプルをデシケータ中に移し、25℃まで冷却する。これにより、圧縮弾性率測定用の測定サンプルを得る。
(測定方法)
500Nのロードセルを使用する。また、ステンレス製の上圧盤(φ20mm)、下圧盤(φ118mm)を圧縮測定用冶具として用いる。測定サンプルをこれら冶具の間にセットし、1mm/minの速度で圧縮を行い、25℃における測定サンプルサイズの変位等を測定する。測定は、500N超の負荷をかけた時点又は測定サンプルが破壊した時点で終了とする。ここで、圧縮ひずみεは次式より求めることができる。
ε=Δd/d1
式中、Δdは負荷による測定サンプルの厚みの変位(mm)を示し、d1は負荷をかける前の測定サンプルの厚み(mm)を示す。
また、圧縮応力σ(MPa)は、次式より求めることができる。
σ=F/A
式中、Fは圧縮力(N)を示し、Aは負荷をかける前の測定サンプルの断面積(mm)を示す。
圧縮弾性率E(MPa)は、例えば0.1〜0.2Nの圧縮力範囲において、次式より求めることができる。
E=(σ−σ)/(ε−ε
式中、σは圧縮力が0.1Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、σは圧縮力が0.2Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示す。
なお、この圧縮弾性率は、後述するエアロゲル複合体の製造条件、原料等を変更することにより適宜調整することができる。
<エアロゲル成分の具体的態様>
本実施形態のエアロゲル複合体におけるエアロゲル成分としては、以下の態様が挙げられる。これらの態様を採用することにより、エアロゲル複合体の断熱性及び柔軟性を所望の水準に制御することが容易となる。ただし、これらの態様の各々を採用することは、必ずしも本実施形態にて規定するエアロゲル複合体を得ることが目的ではない。各々の態様を採用することで、各々の態様に応じた圧縮弾性率を有するエアロゲル複合体を得ることができる。したがって、用途に応じた断熱性及び柔軟性を有するエアロゲル複合体を提供することができる。
(第一の態様)
本実施形態のエアロゲル複合体は、下記一般式(1)で表される構造を有することができる。
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体の骨格中に導入することにより、柔軟なエアロゲル複合体となる。このような観点から、式(1)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(1)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
(第二の態様)
本実施形態のエアロゲル複合体は、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有するエアロゲル複合体であり、かつ橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有するエアロゲル複合体であってもよい。このようなラダー型構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体の骨格中に導入することにより、耐熱性と機械的強度を向上させることができる。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、エアロゲル複合体の骨格がラダー型構造からなっていてもよいが、エアロゲル複合体が部分的にラダー型構造を有していてもよい。
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体の骨格中に導入することにより、例えば、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有する(すなわち、下記一般式(X)で表される構造を有する)エアロゲルよりも優れた柔軟性を有するエアロゲル複合体となる。なお、下記一般式(X)にて示すように、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有するエアロゲルでは、橋かけ部の構造が−O−であるが、本実施形態のエアロゲル複合体では、橋かけ部の構造が上記一般式(2)で表される構造(ポリシロキサン構造)である。
式(X)中、Rはヒドロキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、耐熱性と機械的強度とをより向上させるという観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表される構造を有していてもよい。
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、より優れた柔軟性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に6〜2000とすることができるが、10〜1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
(第三の態様)
本実施形態のエアロゲル複合体は、シリカ粒子及び金属酸化物粒子と、分子内に加水分解性の官能基を有するシリコン化合物及び該シリコン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、これらを総称して「シリコン化合物等」という場合がある)と、を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥して得られるものであってもよい。なお、これまで述べてきたエアロゲル複合体も、このように、シリカ粒子及び金属酸化物粒子と、シリコン化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥することで得られるものであってもよい。
シリコン化合物における分子内のケイ素数は1又は2とすることができる。分子内に加水分解性の官能基を有するシリコン化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルケイ素アルコキシドが挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドは、耐水性を向上する観点から、加水分解性の官能基の数を3個以下とすることができ、具体的には、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びエチルトリメトキシシランが挙げられる。ここで、加水分解性の官能基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
また、加水分解性の官能基の数が3個以下であり、分子内に反応性基を有するシリコン化合物であるビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
さらに、分子末端の加水分解性の官能基が3個以下のシリコン化合物であるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン等も用いることができる。
これらのシリコン化合物等は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のエアロゲル複合体を作製するにあたり、上記のシリコン化合物等を含有するゾルは、分子内に反応性基を有するポリシロキサン化合物及び該ポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、これらを総称して「ポリシロキサン化合物等」という場合がある)をさらに含有することができる。
ポリシロキサン化合物等における反応性基は、特に限定されないが、同じ反応性基同士で反応するか、あるいは他の反応性基と反応する基とすることができ、例えば、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基、エポキシ基、ポリエーテル基、メルカプト基、カルボキシル基、フェノール基等が挙げられる。これらの反応性基を有するポリシロキサン化合物は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。反応性基としては、例えば、エアロゲル複合体の柔軟性を向上する観点から、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基、ポリエーテル基等が挙げられ、これらのうち、アルコキシ基又はヒドロキシアルキル基はゾルの相溶性をより向上することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性の向上の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜6とすることができるが、エアロゲル複合体の柔軟性をより向上する観点から2〜4であってもよい。
分子内にヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(4)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(4)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、前記一般式(1)で表される構造をエアロゲル複合体の骨格中に導入することができる。
式(4)中、Rはヒドロキシアルキル基を示し、R10はアルキレン基を示し、R11及びR12はそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(4)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR10は各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(4)中、2個以上のR11は各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR12は各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲル複合体をさらに得やすくなる。このような観点から、式(4)中、Rとしては炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(4)中、R10としては炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(4)中、R11及びR12としてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(4)中、nは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(4)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42−B0970、Fluid OFOH 702−4%等の化合物(いずれも、モメンティブ社製)などが挙げられる。
分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(5)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(5)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、前記一般式(2)で表される橋かけ部を有するラダー型構造をエアロゲル複合体の骨格中に導入することができる。
式(5)中、R14はアルキル基又はアルコキシ基を示し、R15及びR16はそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R17及びR18はそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(5)中、2個のR14は各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR15は各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR16は各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(5)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR17は各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR18も各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲル複合体をさらに得やすくなる。このような観点から、式(5)中、R14としては炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としてはメチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(5)中、R15及びR16としてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(5)中、R17及びR18としてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(5)中、mは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(5)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、例えば、特開2000−26609号公報、特開2012−233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物はゾル中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物は混在していてもよい。また、分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これらのポリシロキサン化合物等は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ゾルに含まれるシリコン化合物等の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。5質量部以上にすることにより良好な反応性を得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性を得易くなる。
また、上記ゾルが、ポリシロキサン化合物等をさらに含有する場合、シリコン化合物等及びポリシロキサン化合物等の含有量の総和は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。含有量の総和を5質量部以上にすることにより良好な反応性をさらに得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなる。この際、シリコン化合物等の含有量とポリシロキサン化合物等の加水分解生成物の含有量との比は、0.5:1〜4:1とすることができるが、1:1〜2:1であってもよい。これらの化合物の含有量の比を0.5:1以上とすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、4:1以下とすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
上記ゾルに含まれるシリカ粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1〜20質量部とすることができるが、4〜15質量部であってもよい。含有量を1質量部以上にすることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲル複合体が得易くなる。また、含有量を20質量部以下にすることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲル複合体が得易くなる。一方、上記ゾルに含まれる金属酸化物粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1〜20質量部とすることができるが、2〜10質量部であってもよい。含有量を1質量部以上にすることにより紫外線遮蔽性に優れるエアロゲルを得やすくなる。また、含有量を20質量部以下にすることにより高い気孔率のエアロゲルが得やすくなる。
(その他の態様)
本実施形態のエアロゲル複合体は、下記一般式(6)で表される構造を有することができる。
式(6)中、R19はアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
本実施形態のエアロゲル複合体は、下記一般式(7)で表される構造を有することができる。
式(7)中、R20及びR21はそれぞれ独立にアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
本実施形態のエアロゲル複合体は、下記一般式(8)で表される構造を有することができる。
式(8)中、R22はアルキレン基を示す。ここで、アルキレン基としては炭素数が1〜10のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
<エアロゲル複合体の製造方法>
次に、エアロゲル複合体の製造方法について説明する。エアロゲル複合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
すなわち、本実施形態のエアロゲル複合体は、ゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換する工程と、洗浄及び溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを主に備える製造方法により製造することができる。なお、ゾルとは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本実施形態においては上記シリコン化合物等と、場合によりポリシロキサン化合物等と、中空シリカ粒子と、金属酸化物粒子とが溶媒中に溶解若しくは分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
以下、本実施形態のエアロゲル複合体の製造方法の各工程について説明する。
(ゾル生成工程)
ゾル生成工程は、上述のシリコン化合物と、場合によりポリシロキサン化合物と、シリカ粒子及び/又はシリカ粒子を含む溶媒と、金属酸化物粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む溶媒とを混合し、加水分解させてゾルを生成する工程である。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中にさらに酸触媒を添加してもよい。また、特許第5250900号に示されるように、溶媒中に界面活性剤、熱加水分解性化合物等を添加することもできる。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコール類の混合液を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、ゲル壁との界面張力を低減させる点で、表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば溶媒としてアルコール類を用いる場合、アルコール類の量は、シリコン化合物及びポリシロキサン化合物の総量1モルに対し、4〜8モルとすることができるが、4〜6.5であってもよく、又は4.5〜6モルであってもよい。アルコール類の量を4モル以上にすることにより良好な相溶性をさらに得やすくなり、また、8モル以下にすることによりゲルの収縮をさらに抑制しやすくなる。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸類;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩類;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸類などが挙げられる。これらの中でも、得られるエアロゲル複合体の耐水性をより向上する酸触媒としては有機カルボン酸類が挙げられる。当該有機カルボン酸類としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、シリコン化合物及びポリシロキサン化合物の加水分解反応を促進させて、より短時間でゾルを得ることができる。
酸触媒の添加量は、シリコン化合物及びポリシロキサン化合物の総量100質量部に対し、0.001〜0.1質量部とすることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含むもの、ポリオキシプロピレン等の親水部を含むものなどを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含むものとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含むものとしては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸等が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、後述する湿潤ゲル生成工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、相分離を抑制する作用をすると考えられている。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはシリコン化合物及びポリシロキサン化合物の種類並びに量にも左右されるが、例えばシリコン化合物及びポリシロキサン化合物の総量100質量部に対し、1〜100質量部とすることができる。なお、同添加量は5〜60質量部であってもよい。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を促進すると考えられている。よって、この熱加水分解性化合物としては、加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られやすい。
熱加水分解性化合物の添加量は、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を十分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、シリコン化合物及びポリシロキサン化合物の総量100質量部に対して、1〜200質量部とすることができる。なお、同添加量は2〜150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性をさらに得やすくなり、また、200質量部以下とすることにより、結晶の析出及びゲル密度の低下をさらに抑制しやすくなる。
ゾル生成工程の加水分解は、混合液中のシリコン化合物、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子、金属酸化物粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば20〜60℃の温度環境下で10分〜24時間行ってもよく、50〜60℃の温度環境下で5分〜8時間行ってもよい。これにより、シリコン化合物及びポリシロキサン化合物中の加水分解性官能基が十分に加水分解され、シリコン化合物の加水分解生成物及びポリシロキサン化合物の加水分解生成物をより確実に得ることができる。
ただし、溶媒中に熱加水分解性化合物を添加する場合は、ゾル生成工程の温度環境を、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制してゾルのゲル化を抑制する温度に調節してもよい。この時の温度は、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制できる温度であれば、いずれの温度であってもよい。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合は、ゾル生成工程の温度環境は0〜40℃とすることができるが、10〜30℃であってもよい。
(湿潤ゲル生成工程)
湿潤ゲル生成工程は、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る工程である。本工程では、ゲル化を促進させるため塩基触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N−メチルモルホリン、2−メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、水酸化アンモニウム(アンモニア水)は、揮発性が高く、乾燥後のエアロゲル複合体中に残存し難いため耐水性を損なわないという点、さらには経済性の点で優れている。上記の塩基触媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、ゾル中のシリコン化合物等、ポリシロキサン化合物等、及びシリカ粒子の脱水縮合反応及び/又は脱アルコール縮合反応を促進することができ、ゾルのゲル化をより短時間で行うことができる。また、これにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。特に、アンモニアは揮発性が高く、エアロゲル複合体中に残留し難いので、塩基触媒としてアンモニアを用いることで、より耐水性の優れたエアロゲル複合体を得ることができる。
塩基触媒の添加量は、シリコン化合物等及びポリシロキサン化合物等の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることができるが、1〜4質量部であってもよい。0.5質量部以上とすることにより、ゲル化をより短時間で行うことができ、5質量部以下とすることにより、耐水性の低下をより抑制することができる。
湿潤ゲル生成工程におけるゾルのゲル化は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。ゲル化温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。ゲル化温度を30℃以上とすることにより、ゲル化をより短時間に行うことができ、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。また、ゲル化温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制しやすくなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
湿潤ゲル生成工程における熟成は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。熟成により、湿潤ゲルを構成する成分の結合が強くなり、その結果、乾燥時の収縮を抑制するのに十分な強度(剛性)の高い湿潤ゲルを得ることができる。熟成温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。熟成温度を30℃以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、熟成温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制しやすくなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
なお、ゾルのゲル化終了時点を判別することは困難な場合が多いため、ゾルのゲル化とその後の熟成とは、連続して一連の操作で行ってもよい。
ゲル化時間と熟成時間は、ゲル化温度及び熟成温度により異なるが、本実施形態においてはゾル中に中空シリカ粒子が含まれていることから、従来のエアロゲルの製造方法と比較して特にゲル化時間を短縮することができる。この理由は、ゾル中のシリコン化合物等、ポリシロキサン化合物等が有するシラノール基及び/又は反応性基が、中空シリカ粒子のシラノール基と水素結合及び/又は化学結合を形成するためであると推察する。なお、ゲル化時間は10〜120分間とすることができるが、20〜90分間であってもよい。ゲル化時間を10分間以上とすることにより均質な湿潤ゲルを得易くなり、120分間以下とすることにより後述する洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能となる。なお、ゲル化及び熟成の工程全体として、ゲル化時間と熟成時間との合計時間は、4〜480時間とすることができるが、6〜120時間であってもよい。ゲル化時間と熟成時間の合計を4時間以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、480時間以下にすることにより熟成の効果をより維持しやすくなる。
得られるエアロゲル複合体の密度を下げたり、平均細孔径を大きくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で高めたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で長くしてもよい。また、得られるエアロゲル複合体の密度を上げたり、平均細孔径を小さくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で低くしたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で短くしてもよい。
(洗浄及び溶媒置換工程)
洗浄及び溶媒置換工程は、上記湿潤ゲル生成工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する工程(洗浄工程)と、湿潤ゲル中の洗浄液を乾燥条件(後述の乾燥工程)に適した溶媒に置換する工程(溶媒置換工程)を有する工程である。洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲルを洗浄する工程を行わず、溶媒置換工程のみを行う形態でも実施可能であるが、湿潤ゲル中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高いエアロゲル複合体の製造を可能にする観点からは、湿潤ゲルを洗浄してもよい。なお、本実施形態においては、ゲル中にシリカ粒子が含まれていることから、後述するように溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。
洗浄工程では、上記湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄する。当該洗浄は、例えば水又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。上記の有機溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
後述する溶媒置換工程では、乾燥によるゲルの収縮を抑制するため、低表面張力の溶媒を用いることができる。しかし、低表面張力の溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、溶媒置換工程において低表面張力の溶媒を用いる場合、洗浄工程で用いる有機溶媒としては、水及び低表面張力の溶媒の双方に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が挙げられる。なお、洗浄工程において用いられる親水性有機溶媒は、溶媒置換工程のための予備置換の役割を果たすことができる。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水又は有機溶媒の量としては、湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換し、洗浄できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。洗浄は、洗浄後の湿潤ゲル中の含水率が、シリカ質量に対し、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄工程における温度環境は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
溶媒置換工程では、後述する乾燥工程における収縮を抑制するため、洗浄した湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える。この際、加温することにより置換効率を向上させることができる。置換用溶媒としては、具体的には、乾燥工程において、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥する場合は、後述の低表面張力の溶媒が挙げられる。一方、超臨界乾燥をする場合は、置換用溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ジクロロジフルオロメタン、二酸化炭素等、又はこれらを2種以上混合した溶媒が挙げられる。
低表面張力の溶媒としては、20℃における表面張力が30mN/m以下のものが挙げられる。なお、当該表面張力は25mN/m以下であっても、又は20mN/m以下であってもよい。低表面張力の溶媒としては、例えば、ペンタン(15.5)、ヘキサン(18.4)、ヘプタン(20.2)、オクタン(21.7)、2−メチルペンタン(17.4)、3−メチルペンタン(18.1)、2−メチルヘキサン(19.3)、シクロペンタン(22.6)、シクロヘキサン(25.2)、1−ペンテン(16.0)等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン(28.9)、トルエン(28.5)、m−キシレン(28.7)、p−キシレン(28.3)等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン(27.9)、クロロホルム(27.2)、四塩化炭素(26.9)、1−クロロプロパン(21.8)、2−クロロプロパン(18.1)等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル(17.1)、プロピルエーテル(20.5)、イソプロピルエーテル(17.7)、ブチルエチルエーテル(20.8)、1,2−ジメトキシエタン(24.6)等のエーテル類;アセトン(23.3)、メチルエチルケトン(24.6)、メチルプロピルケトン(25.1)、ジエチルケトン(25.3)等のケトン類;酢酸メチル(24.8)、酢酸エチル(23.8)、酢酸プロピル(24.3)、酢酸イソプロピル(21.2)、酢酸イソブチル(23.7)、エチルブチレート(24.6)等のエステル類などが挙げられる(かっこ内は20℃での表面張力を示し、単位は[mN/m]である)。これらの中で、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)は低表面張力でありかつ作業環境性に優れている。また、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン等の親水性有機溶媒を用いることで、上記洗浄工程の有機溶媒と兼用することができる。なお、これらの中でも、さらに後述する乾燥工程における乾燥が容易な点で、常圧での沸点が100℃以下のものを用いてもよい。上記の溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒置換工程に使用される溶媒の量としては、洗浄後の湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。
溶媒置換工程における温度環境は、置換に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、ヘプタンを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
なお、本実施形態においては、ゲル中に中空シリカ粒子が含まれていることから、上述のとおり溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。推察されるメカニズムとしては次のとおりである。すなわち、従来であれば乾燥工程における収縮を抑制するため、湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒(低表面張力の溶媒)に置き換えていたが、本実施形態においては中空シリカ粒子(及び金属酸化物粒子)が三次元網目状の骨格の支持体として機能することにより、当該骨格が支持され、乾燥工程におけるゲルの収縮が抑制される。そのため、洗浄に用いた溶媒を置換せずに、ゲルをそのまま乾燥工程に付すことができると考えられる。このように、本実施形態においては、洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能である。ただし、本実施形態は溶媒置換工程を行うことを何ら排除するものではない。
(乾燥工程)
乾燥工程では、上記の通り洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥させる。これにより、最終的にエアロゲル複合体を得ることができる。
乾燥の手法としては特に制限されず、公知の常圧乾燥、超臨界乾燥又は凍結乾燥を用いることができる。これらの中で、低密度のエアロゲル複合体を製造しやすいという観点からは、常圧乾燥又は超臨界乾燥を用いることができる。また、低コストで生産可能という観点からは、常圧乾燥を用いることができる。なお、本実施形態において、常圧とは0.1MPa(大気圧)を意味する。
本実施形態のエアロゲル複合体は、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥することにより得ることができる。乾燥温度は、置換された溶媒(溶媒置換を行わない場合は洗浄に用いられた溶媒)の種類により異なるが、特に高温での乾燥が溶媒の蒸発速度を速め、ゲルに大きな亀裂を生じさせる場合があるという点に鑑み、20〜150℃とすることができる。なお、当該乾燥温度は60〜120℃であってもよい。また、乾燥時間は、湿潤ゲルの容量及び乾燥温度により異なるが、4〜120時間とすることができる。なお、本実施形態において、生産性を阻害しない範囲内において臨界点未満の圧力をかけて乾燥を早めることも、常圧乾燥に包含されるものとする。
本実施形態のエアロゲル複合体は、また、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、超臨界乾燥することによっても得ることができる。超臨界乾燥は、公知の手法にて行うことができる。超臨界乾燥する方法としては、例えば、湿潤ゲルに含まれる溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にて溶媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、超臨界乾燥する方法としては、湿潤ゲルを、液化二酸化炭素中に、例えば、20〜25℃、5〜20MPa程度の条件で浸漬することで、湿潤ゲルに含まれる溶媒の全部又は一部を当該溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素を単独で、又は二酸化炭素及び溶媒の混合物を除去する方法が挙げられる。
このような常圧乾燥又は超臨界乾燥により得られたエアロゲル複合体は、さらに常圧下にて、105〜200℃で0.5〜2時間程度追加乾燥してもよい。これにより、密度が低く、小さな細孔を有するエアロゲル複合体をさらに得やすくなる。追加乾燥は、常圧下にて、150〜200℃で行ってもよい。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
本実施例で用いるシリカ粒子含有原料(コロイダルシリカ)及びセリア粒子含有原料(コロイダルセリア)を表1に示す。
(合成例1)
撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン「XC96−723」(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、上記一般式(5)で表される両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
[エアロゲルの作製]
(実施例1)
水を201.7質量部、イオン性界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製、以下「CTAB」と略記)を20.0質量部混合した水溶液に、シリカ1を106.5質量部(シリカ粒子:21.3質量部、水:85.2質量部)、セリア1を92.3質量部(セリア粒子:21.3質量部、水:71.0質量部)、シリコン化合物としてメチルトリメトキシシラン(製品名:KBM−13、信越化学工業株式会社製、以下「MTMS」と略記)を60.0質量部及びジメトキシジメチルシラン(東京化成工業株式会社製、以下「DMDMS」と略記)を20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後、60℃で60時間熟成して湿潤ゲルを得た。
その後、得られた湿潤ゲルを水1000.0質量部及びメタノール1500.0質量部の混合液に浸漬し、60℃で3時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノール2500.0質量部に交換しながら1回行った。次に、洗浄した湿潤ゲルを、低表面張力溶媒であるメチルエチルケトン2500.0質量部に浸漬し、60℃で3時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいメチルエチルケトンに交換しながら2回行った。洗浄及び溶媒置換された湿潤ゲルを、常圧下にて、25℃で48時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥することで、エアロゲル1を得た。
(実施例2)
水を211.2質量部、イオン性界面活性剤としてCTABを20.0質量部混合した水溶液に、シリカ1を142.0質量部(シリカ粒子:28.4質量部、水:113.6質量部)、セリア1を47.3質量部(セリア粒子:14.2質量部、水:33.1質量部)、シリコン化合物としてMTMSを60.0質量部及びDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後は、実施例1と同様にしてエアロゲル2を得た。
(実施例3)
水を201.7質量部、イオン性界面活性剤としてCTABを20.0質量部混合した水溶液に、シリカ1を106.5質量部(シリカ粒子:21.3質量部、水:85.2質量部)、セリア2を92.3質量部(セリア粒子:21.3質量部、水:71.0質量部)、シリコン化合物としてMTMSを60.0質量部及びDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後は、実施例1と同様にしてエアロゲル3を得た。
(実施例4)
水を211.2質量部、イオン性界面活性剤としてCTABを20.0質量部混合した水溶液に、シリカ1を142.0質量部(シリカ粒子:28.4質量部、水:113.6質量部)、セリア2を47.3質量部(セリア粒子:14.2質量部、水:33.1質量部)、シリコン化合物としてMTMSを60.0質量部及びDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後は、実施例1と同様にしてエアロゲル4を得た。
(比較例1)
水を258.8質量部、イオン性界面活性剤としてCTABを20.0質量部混合した水溶液に、セリア1を141.7質量部(セリア粒子:42.5質量部、水:99.2質量部)、シリコン化合物としてMTMSを60.0質量部及びDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後は、実施例1と同様にしてエアロゲル5を得た。
(比較例2)
水を258.8質量部、イオン性界面活性剤としてCTABを20.0質量部混合した水溶液に、セリア2を141.7質量部(セリア粒子:42.5質量部、水:99.2質量部)、シリコン化合物としてMTMSを60.0質量部及びDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物として上記ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で30分攪拌してゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後は、実施例1と同様にしてエアロゲル6を得た。
(比較例3)
水を200.0質量部、酸触媒として酢酸を0.10質量部、カチオン系界面活性剤としてCTABを20.0質量部及び熱加水分解性化合物として尿素を120.0質量部混合し、これにシリコン化合物としてMTMSを100.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後、得られた湿潤ゲルを用いて、実施例1と同様にしてエアロゲル7を得た。
各実施例及び比較例における、乾燥方法、Si原料(シリコン化合物及びポリシロキサン化合物)の種類及び添加量、シリカ粒子、セリア粒子の添加量を表2にまとめて示す。
[耐収縮性、圧縮弾性率の評価]
各実施例で得られた湿潤ゲル、エアロゲル複合体、並びに各比較例で得られた湿潤ゲル、エアロゲルについて、以下の条件に従って測定又は評価をした。メタノール置換ゲルの常圧乾燥におけるエアロゲル複合体及びエアロゲルの状態、並びにエアロゲル複合体の圧縮弾性率の評価結果をまとめて表3に示す。
(1)メタノール置換ゲルの常圧乾燥におけるエアロゲル複合体及びエアロゲルの状態
各実施例及び比較例で得られた湿潤ゲル30.0質量部を、メタノール150.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら3回行った。次に、洗浄された湿潤ゲルを、刃角約20〜25度の刃を用いて、100mm×100mm×100mmのサイズに加工し、乾燥前サンプルとした。得られた乾燥前サンプルを安全扉付き恒温器「SPH(H)−202」(エスペック株式会社製、製品名)を用い、60℃で2時間、100℃で3時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥することで乾燥後サンプルを得た(特に溶媒蒸発速度等は制御していない)。ここで、サンプルの乾燥前後の体積収縮率SVを次式より求めた。そして、体積収縮率SVが5%以下であるときを「収縮なし」と評価し、5%以上であるときを「収縮」と評価した。なお、乾燥後にサンプルが粉砕してしまっていたときを「粉砕」と評価した。
SV=(V−V)/V×100
式中、Vは乾燥前サンプルの体積を示し、Vは乾燥後サンプルの体積を示す。
(2)圧縮弾性率の測定
刃角約20〜25度の刃を用いて、エアロゲル複合体及びエアロゲルを7.0mm角の立方体(サイコロ状)に加工し、測定サンプルとした。次に、面の平行を確保するために、必要に応じて#1500以上の紙やすりで測定サンプルを整形した。得られた測定サンプルを、測定前に、定温乾燥機「DVS402」(ヤマト科学株式会社製、製品名)を用いて、大気圧下、100℃で30分間乾燥した。次いで測定サンプルをデシケータ中に移し、25℃まで冷却した。これにより、圧縮弾性率測定用の測定サンプルを得た。
測定装置としては、小型卓上試験機「EZTest」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いた。なお、ロードセルとしては500Nを使用した。また、ステンレス製の上圧盤(φ20mm)及び下圧盤(φ118mm)を圧縮測定用冶具として用いた。平行に配置した上圧盤及び下圧盤の間に測定サンプルをセットし、1mm/minの速度で圧縮を行った。測定温度は25℃とし、測定は、500N超の負荷をかけた時点又は測定サンプルが破壊した時点で終了とした。ここで、ひずみεは次式より求めた。
ε=Δd/d1
式中、Δdは負荷による測定サンプルの厚みの変位(mm)を示し、d1は負荷をかける前の測定サンプルの厚み(mm)を示す。
また、圧縮応力σ(MPa)は、次式より求めた。
σ=F/A
式中、Fは圧縮力(N)を示し、Aは負荷をかける前の測定サンプルの断面積(mm)を示す。
圧縮弾性率E(MPa)は、0.1〜0.2Nの圧縮力範囲において、次式より求めた。
E=(σ−σ)/(ε−ε
式中、σは圧縮力が0.1Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、σは圧縮力が0.2Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示す。
実施例1〜4では、耐収縮性、圧縮弾性率に優れるエアロゲル複合体を得ることができた。
[紫外線遮蔽性の評価]
上記の測定で粉砕せずに作製できたエアロゲル複合体について、下記の測定方法で紫外線遮蔽性の評価をした。表4に結果を示す。
(3)紫外線遮蔽性の評価
新聞紙を10cm×10cmに切りだし、室内の東側に位置する、自然光が射し込む窓際に置いた。その上に3cm×3cm×0.5cmに加工したエアロゲル複合体を置き、40日間そのままの状態を保持した。40日後、エアロゲル複合体を取り除き、エアロゲル複合体が置かれていた部分の新聞紙の色を確認した。実験前後で新聞紙に変色が無い場合はA、新聞紙が黄色く変色した場合はBとした。
表3、表4より、実施例で得られたエアロゲル複合体は、耐収縮性に優れ、柔軟性があり、かつ紫外線遮蔽性も確認できた。
一方、比較例1〜2はメタノールで溶媒置換をしている最中に粉砕してしまったため、ブロック体のゲルを得ることが困難であった。また、比較例3は耐収縮性、柔軟性、紫外線遮蔽性の効果を得ることはできなかった。
1…エアロゲル粒子、2…シリカ粒子、3…細孔、4…金属酸化物粒子、10…エアロゲル複合体、L…外接長方形。

Claims (6)

  1. エアロゲル成分、シリカ粒子及び金属酸化物粒子を含有し、
    前記エアロゲル成分が支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、かつ前記橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有し、
    前記金属酸化物粒子が酸化セリウム粒子、酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種である、エアロゲル複合体。

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。]
  2. 前記エアロゲル成分、前記シリカ粒子及び前記金属酸化物粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有する、請求項1記載のエアロゲル複合体。
  3. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜500nmである、請求項1又は2記載のエアロゲル複合体。
  4. 前記シリカ粒子の形状が球状である、請求項1〜のいずれか一項記載のエアロゲル複合体。
  5. 前記シリカ粒子が溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜のいずれか一項記載のエアロゲル複合体。
  6. 前記金属酸化物粒子の平均一次粒子径が1〜500nmである、請求項1〜のいずれか一項記載のエアロゲル複合体。

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