[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の照明装置10を有する内視鏡システム1の概略図である。内視鏡システム1は、被観察体Sに照明光を照射する照明装置10と、例えば照明光の照明光量を設定するユーザーインターフェースである入力部30とを有する。内視鏡システム1は、被観察体Sからの反射光により被観察体Sの画像を取得する画像取得装置50と、被観察体Sの画像を表示する画像表示部70とを有する。本実施形態の照明装置10は、内視鏡システム1に用いられる内視鏡用照明装置であるが、これに限定される必要はなく、内視鏡以外の機器に用いられる照明装置であってもよい。
また、内視鏡システム1は、内視鏡2と、本体部40と、内視鏡2と本体部40とを着脱可能に接続する接続部60とを有する。内視鏡2は、例えばその先端が管腔に挿入される挿入部20と、挿入部20の基端部に連設される把持部21と、把持部21から延出されるユニバーサルコード23とを有する。接続部60は、ユニバーサルコード23の端部と本体部40とを着脱可能に接続する。照明装置10と画像取得装置50とは、内視鏡2から接続部60、本体部40にまたがって配置される。入力部30は、本体部40に配置される。画像表示部70は、挿入部20と本体部40と接続部60とは別体である。
照明装置10は、1次光を出射する1次光源11と、1次光源11を制御する光源制御回路12と、1次光源11から出射された1次光を導光する光ファイバ13と、光ファイバ13によって導光された1次光の光学特性を変換し、変換した光を照明光として出射する光変換ユニット100とを有する。光変換ユニット100は、照明光を光変換ユニット100から前方の照射領域に放射し、照明光を被観察体Sに照射する。
入力部30は、照明装置10の電源動作(ON/OFF)、照明装置10から出射される照明光の光量を設定するユーザーインターフェースを有する。入力部30は、内視鏡システム1の制御に関する指示を各構成に入力してもよい。入力部30には、不図示のキーボード、マウスなどの入力装置からユーザによる指示が入力される。
画像取得装置50は、撮像部51と、画像処理回路52とを有する。撮像部51は、例えばCCDイメージャである撮像素子を含み、挿入部20の内部で挿入部20の先端に配置される。撮像部51は、照明装置10から出射される照明光が被観察体Sで反射してその反射光から得られる光学像を電気信号に変換する。画像処理回路52は、撮像部51に電気的に接続されており、本体部40に配置される。画像処理回路52は、撮像部51から出力された電気信号に基づいて被観察体Sの画像信号を生成する。
画像表示部70は、画像取得装置50の画像処理回路52に接続される。画像表示部70は、液晶ディスプレイ等の一般的な表示装置であり、画像処理回路52で生成された画像信号に基づいて被観察体Sの画像を表示する。
照明装置10の詳細な構成について説明する。
照明装置10は、上述したように、1次光源11と、光源制御回路12と、光ファイバ13と、光変換ユニット100とを有する。1次光源11と光源制御回路12とは、本体部40に配置される。光ファイバ13は、内視鏡2から接続部60を介して本体部40にまたがって配置される。光変換ユニット100は、挿入部20の内部で挿入部20の先端に配置される。
1次光源11は、1次光源11から出射された1次光を光変換ユニット100に導光する光ファイバ13を介して光変換ユニット100に光学的に接続される。1次光源11は、例えば発光波長のピークが445nmである青色レーザー光を出射するレーザーダイオード(以下、青色LD14と称する)と、青色LD14を駆動するための光源駆動部15とを有する。青色LD14は、1次光である第1レーザー光を出射する第1レーザー光源である。本実施形態における1次光は、発光波長のピークが445nmである青色レーザー光と定義する。
光源制御回路12は、1次光源11に接続される。光源制御回路12には、入力部30と画像取得装置50(画像処理回路52)とが接続される。光源制御回路12には、入力部30から出力された照明光に対する光量制御情報、または画像取得装置50から出力された調光制御情報が入力される。光源制御回路12は、これらの制御情報に基づいて、青色LD14を所定の駆動電流、駆動間隔で駆動させるための制御信号を光源駆動部15に送信する。光源駆動部15は、制御信号を基に青色LD14を駆動する。
光ファイバ13は、1次光源11から出射される1次光を光変換ユニット100まで導光する導光部材である。光ファイバ13の入射端は、1次光源11に接続される。光ファイバ13の出射端(以下、光ファイバ出射端16と称する)は、光変換ユニット100に接続される。本実施形態における光ファイバ13は、例えば、コア径50μm、開口数FNA=0.2のマルチモード光ファイバである。光ファイバ13は、コア13a(図2参照)と、コア13aを覆うクラッド13b(図2参照)と、クラッド13bを覆うジャケット(図示せず)とを有する。ジャケットが剥かれてクラッド13bの外周面が露出している状態の光ファイバ13の光ファイバ出射端16側が後述する第1ホルダ160の中空部161に挿入される。1次光をコア13aに閉じ込めるため、コア13aの屈折率はクラッド13bの屈折率よりも高い。ジャケットは、例えば、引っ張り耐性及び曲げ耐性といった光ファイバ13の機械的な強度を向上するため、ナイロン、アクリル、ポリイミド、ETFEといった樹脂を用いる。
光変換ユニット100は、光ファイバ出射端16側に配置される。光変換ユニット100は、光ファイバ出射端16から出射される1次光を受光する。そして、光変換ユニット100は、受光した1次光の一部を、1次光とは異なる光学特性(例えば波長特性)を有する第1,2変換光に変換し、第1,2変換光を照明光として出射する。したがって、光変換ユニット100は、第1の光成分(第1変換光)と第2の光成分(第2変換光)との2つの光成分からなる光を照明光として出射する。光変換ユニット100から出射される第1,2変換光の配光特性は、入射する1次光の光量により変動せず、一定である。
図2は、光変換ユニット100を模式的に示す図である。光変換ユニット100は、第1光変換部材110と、第2光変換部材120と、第1熱伝達抑制部材130と、第1透明部材140と、第2透明部材150と、第1ホルダ160と、反射部材170とを有する。
ここで、光ファイバ出射端16から出射される1次光の中心軸を光軸Cと称する。第1光変換部材110と、第2光変換部材120と、第1熱伝達抑制部材130と、第1透明部材140と、第2透明部材150と、第1ホルダ160と、反射部材170とは、光軸Cを中心に、回転対称に配置される。
第1,2光変換部材110,120は、1次光の一部を吸収し、吸収した1次光の光学特性を変換する。そして、第1,2光変換部材110,120は、1次光の光学特性とは異なる光学特性を有する第1,2変換光を出射する。例えば、第1光変換部材110は、1次光の一部を吸収し、1次光を1次光とは異なる波長域を有する第1変換光に変換する。第2光変換部材120は、1次光の他の一部を吸収し、1次光を1次光とは異なる波長域を有する第2変換光に変換する。したがって、第1,2光変換部材110,120は、1次光を1次光とは異なる波長域を有する第1,2変換光である第1,2波長変換光に波長変換する波長変換部材である。なお詳細については後述するが、第1変換光の波長域は、第2変換光の波長域とは異なる。本実施形態では、第1,2変換光が、光変換ユニット100から前方の照射領域に放射され、被観察体Sに照射される照明光として利用される。詳細については後述するが、第1,2光変換部材110,120は、光学特性を変換する際に、変換損失に応じて所定の熱を発生する。
第1,2光変換部材110,120は、以下に示す光学的性質と熱的性質とを有する。
図3に示すように、本実施形態における第1光変換部材110は、1次光源11(青色LD14)から出射された1次光(青色レーザー光)の一部を吸収して、吸収した1次光を第1変換光(第1波長変換光,黄色蛍光)に波長変換する。第1波長変換光は、1次光よりも長波長側(黄色域)の550nmに発光波長のピークを有する蛍光であり、半値幅130nmの広帯域スペクトル特性を有する。具体的には、第1光変換部材110は、Y3Al5O12:Ce(以下、YAGと称する)の組成で示される図示しない蛍光体を有する。第1光変換部材110は、多結晶化されたYAGセラミックスである。YAGセラミックスは、透過する励起光をほとんど拡散させない性質を有し、また、約12W/mKという高い熱伝導率を有する。なお、第1光変換部材110には、YAGセラミックス以外にもYAG単結晶、LAG:Ce、TAG:Ce等のセラミックスといった蛍光体が用いられてもよい。
図3に示すように、本実施形態における第2光変換部材120は、1次光源11(青色LD14)から出射された1次光(青色レーザー光)の他の一部を吸収して、吸収した1次光を第2変換光(第2波長変換光,緑色蛍光)に波長変換する。第2波長変換光は、1次光よりも長波長側(緑色域)の540nmに発光波長のピークを有する蛍光であり、半値幅65nmの広帯域スペクトル特性を有する。第2光変換部材120は、図示しない粉末蛍光体と、粉末蛍光体を封止する封止部材を含む図示しないガラス封止緑色蛍光体とを有する。具体的には、粉末蛍光体は、Eu賦活の酸窒化物系蛍光体を用いる。封止部材は、例えばガラスなどの無機材料である透明樹脂等である。第2光変換部材120は、第1変換光の少なくとも一部を透過させる光学的な特性を有する。
第1,2光変換部材110,120は、吸収した1次光の光量を第1,2波長変換光の光量へ変換する内部量子効率(変換効率)として、所定の効率特性を有する。具体的には、第1光変換部材110(YAG)と第2光変換部材120(Eu賦活の酸窒化物系蛍光体)とは、略80%の内部量子効率を有する。したがって、第1,2光変換部材110,120が波長変換する際、第1,2光変換部材110,120が吸収した1次光の光量に対して、略80%分の光量が波長変換され、略20%分の光量が損失となる。この損失となる光量は熱に変換されてしまい、第1,2光変換部材110,120は発熱してしまう。このように、第1,2光変換部材110,120が波長変換する際に、内部量子効率に応じた変換損失が発生し、変換損失に応じた熱が第1,2光変換部材110,120から発生してしまう。
波長変換部材である第1,2光変換部材110,120は、後述する発光点p1,p2の発熱に伴う温度上昇によって内部量子効率(変換効率(発光強度維持率))が低下する温度消光特性を有する。具体的には、図4に示すように、室温25℃という状況下に配置された第1,2光変換部材110,120の発光点p1,p2の発光強度維持率を100%と定義する。発光点p1が150℃のときでは発光強度維持率は略80%となり、発光点p1が300℃のときでは発光強度維持率は略50%となる。また、発光点p2が150℃のときでは発光強度維持率は略90%となり、発光点p2が300℃のときでは発光強度維持率は略75%となる。
したがって、第1,2光変換部材110,120は、高い内部量子効率を有し且つ変換損失によって発生する熱量が少ない部材、または発熱による温度上昇に伴い内部量子効率の低下が起こりにくい(温度消光が少ない)部材であることが好ましい。
本実施形態の内部量子効率において、内部量子効率の割合が変換損失の割合よりも50%以上高いことが好ましい。この場合、例えば、第1,2光変換部材110,120は、YAG(黄色蛍光)とEu賦活の酸窒化物系蛍光体(緑色蛍光)と以外にも、TAG(黄色蛍光)、シリケート(緑色〜オレンジ色)、α‐サイアロン(黄色蛍光)、β‐サイアロン(緑色蛍光)、LuAG(緑色蛍光)、CASN(赤色蛍光)等の無機蛍光材料を利用できる。
なお後述する第1,2光変換部材110,120と第1ホルダ160との接触領域を増やす方法によって、第1,2光変換部材110,120から発生する熱は、効率よく第1ホルダ160に伝達される。したがって、20%程度の内部量子効率を有する第1,2光変換部材110,120が用いられてもよい。
本実施形態の温度消光特性において、例えば、第1,2光変換部材110,120は、発光点p1,p2が150℃付近且つ発光強度維持率が略50%以上の部材であることが好ましい。この場合、第1,2光変換部材110,120は、α‐サイアロン(黄色蛍光)、β‐サイアロン(緑色蛍光)、CASN(赤色蛍光)等の酸窒化物系、窒化物系の蛍光体、YAG等の酸化物系の蛍光体を利用できる。
また本実施形態では、黄色蛍光を出射する第1光変換部材110と緑色蛍光を出射する第2光変換部材120との組み合わせに限定される必要はない。例えば被観察体Sを観察する用途に応じて、例えば、緑色蛍光と赤色蛍光といった他の色の蛍光を出射する第1,2光変換部材110,120が互いに組み合わせられてもよい。また例えば、第1光変換部材110が緑色といった第1蛍光を出射し、第2光変換部材120が第1蛍光を吸収して赤色といった第2蛍光を出射する、2次吸収構造が配置されてもよい。
第1光変換部材110(YAG)の熱伝導率は例えば12W/m・Kであり、第2光変換部材120(ガラス封止緑色蛍光体)の熱伝導率は例えば1W/m・Kであり、このように第1光変換部材の熱伝導率は第2光変換部材の熱伝導率よりも高くなっている。また第1,2光変換部材110,120の熱伝導率は、第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率よりも高い。
第1,2光変換部材110,120は、第1,2光変換部材110,120自体の発熱量に対して劣化しない特性を有する材料であることが好ましい。例えば、第1,2光変換部材110,120は、YAGとガラス封止緑色蛍光体とに加えて、単結晶蛍光体、セラミック封止蛍光体といった、高い耐熱性を有する無機材料を利用することが好ましい。
例えば、蛍光体自身の耐熱性と第1ホルダ160への放熱性とを重視して、緑色蛍光体である第2光変換部材120は、例えばLuAG単結晶であってもよい。LuAG単結晶の熱伝導率は、例えば、12W/m・Kである。
本実施形態では、第1,2光変換部材110,120の1次光の吸収率と内部量子効率とを考慮して、第1光変換部材110が第2光変換部材120よりも1次光を多く吸収し、第1光変換部材110が第2光変換部材120よりも多くの光量を波長変換するように、第1,2光変換部材110,120の厚さと第2光変換部材120における封止部材に対する粉末蛍光体の濃度とが調整される。したがって、光変換によって生じる第1光変換部材110の発熱量は、光変換によって生じる第2光変換部材120の発熱量よりも多い。
第1,2光変換部材110,120は、柱形状、例えば円柱形状を有する。第2光変換部材120の直径は第1光変換部材110の直径よりも大きい。
例えば、第1光変換部材110の直径は1.0mmであり、第1光変換部材110の厚さは0.25mmである。図2に示すように、第1光変換部材110は、光ファイバ出射端16から出射される1次光が入射する円形の入射面111と、入射面111と対向する円形の出射面112と、入射面111と出射面112との間の外周面である側面113とを有する。入射面111における1次光の照射領域は、入射面111よりも小さい。
例えば、第2光変換部材120の直径は1.5mmであり、第2光変換部材120の厚さは0.25mmである。図2に示すように、第2光変換部材120は、第1光変換部材110の出射面112から離れて配置されている円形の入射面121と、入射面121と対向する円形の出射面122と、入射面121と出射面122との間の外周面である側面123とを有する。
光軸C方向において、第1光変換部材110は、第2光変換部材120とは離れて配置される。第1光変換部材110の中心軸は、第2光変換部材120の中心軸と同一直線上に配置される。
図2に示すように、第1熱伝達抑制部材130は、第1光変換部材110と第2光変換部材120との間の少なくとも一部に配置される。例えば、第1熱伝達抑制部材130は、光軸C方向において、入射面111が配置される平面上と、入射面121が配置される平面上との間に配置される。なお第1熱伝達抑制部材130は、光軸C方向において、出射面112が配置される平面上と、入射面121が配置される平面上との間に配置されればよい。このように第1熱伝達抑制部材130は、光軸C方向において、第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に介在し、第1光変換部材110の一部(出射面112)と第2光変換部材120の一部(入射面121)とに接触している。そして、第1熱伝達抑制部材130は、第1光変換部材110(出射面112と側面113)と第2光変換部材120(入射面121)とに熱的に接続される。第1熱伝達抑制部材130は、第1光変換部材110の側面113の側方にも配置され、側面113に接触している。
第1熱伝達抑制部材130は、第1光変換部材110と第2光変換部材120との一方から第1光変換部材110と第2光変換部材120との他方への熱の伝達を抑制する。第1熱伝達抑制部材130が第1,2光変換部材110,120間の断熱作用を高めることを重視して、第1熱伝達抑制部材130は、第1,2光変換部材110,120との少なくとも一方の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する。例えば、第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率は、第1,2光変換部材110,120の熱伝導率(12W/m・K,1W/m・K)よりも低いとする。この場合、例えば、第1熱伝達抑制部材130は、熱伝導率が0.2W/m・Kである透明のシリコーン樹脂を有する。
また第1熱伝達抑制部材130は、1次光(青色レーザ光)と第1,2変換光との少なくとも一部を透過させる光学的な特性を有する。
第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率が第1光変換部材110の熱伝導率(12W/m・K)のみよりも低い場合、第1熱伝達抑制部材130は、第1熱伝達抑制部材130自身の耐熱性を向上させるために、シリコーン樹脂の代わりに、透過率が高いガラスを有してもよい。このガラスの熱伝導率は、例えば、1W/m・Kである。
第1熱伝達抑制部材130は、1次光と第1,2波長変換光とが通過する空気が充填され、第1,2光変換部材110,120の間に形成される間隙部を有してもよい。この空気によって形成される第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率は、例えば、0.03W/m・Kである。
光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の厚さは、光軸C上における第1,2光変換部材110,120それぞれの厚さ(0.25mm,0.25mm)よりも薄い。言い換えると出射面112が配置される平面上と入射面121が配置される平面上との間における第1熱伝達抑制部材130の厚さは、第1,2光変換部材110,120それぞれの厚さよりも薄い。光軸C上において、第1熱伝達抑制部材130の厚さは、例えば0.1mmである。
ここで、本実施形態における第1,2光変換部材110,120と第1熱伝達抑制部材130との熱特性である熱抵抗値について、以下に説明する。
熱抵抗値とは部材における熱の伝わり難さを表す数値であり、熱抵抗値の数値が大きいほど熱が伝わり難いことを示す。
ここで、熱抵抗値をHR、光軸C上における部材の厚さをT、熱伝導率をCとしたとき、以下の式(1)が成り立つ。
HR=T/C・・・式(1)
HR:[(m2・K)/W)]、T:[m]、C:[W/(m・K)]である。
本実施形態における光軸C上の第1,2光変換部材110,120及び第1熱伝達抑制部材130それぞれの熱抵抗値HR1,HR2,HR3は、以下のとおりである。
HR1=0.25×10−3[m]/12[W/(m・K)]=2.1×10−5[(m2・K)/W)]
HR2=0.25×10−3[m]/1[W/(m・K)]=2.5×10−4[(m2・K)/W)]
HR3=0.1×10−3[m]/0.2[W/(m・K)]=5.0×10−4[(m2・K)/W)]
光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の厚さT3は第1,2光変換部材110,120の厚さT1,T2よりも薄いが、光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率C3は第1,2光変換部材110,120の熱伝導率C1,C2に対して差がある。このため、光軸C上における熱抵抗値HR3は、光軸C上における熱抵抗値HR1,HR2よりも大きい。
熱抵抗値HR3が熱抵抗値HR1,HR2よりも大きくなるように、熱抵抗値HR3は、熱伝導率C3と厚さT3との組み合わせを考慮して設定される。熱抵抗値HR3は、熱抵抗値HR1,HR2それぞれよりも2倍以上であることが好ましい。これにより、第1,2光変換部材110,120の一方から発生した熱が第1,2光変換部材110,120の他方に伝達されることを、第1熱伝達抑制部材130は効果的に抑制することができる。
例えば、第1,2透明部材140,150は、高い透過率を有するガラスまたはシリコーン樹脂(熱伝導率:0.2W/m・K)等を有する。第1,2透明部材140,150は、1次光(青色レーザ光)と第1,2変換光との少なくとも一部を透過させる性質を有する。第1,2透明部材140,150の代わりに、間隙部等の透明領域が配置されてもよい。
図2に示すように、第1透明部材140は、円錐台形状を有する。第1透明部材140は、光ファイバ出射端16から出射される1次光が入射する小さい円形の入射面141と、入射面141と対向する大きい円形の出射面142と、入射面141と出射面142との間の外周面である側面143とを有する。入射面141は、光ファイバ出射端16と同一の大きさであるか、光ファイバ出射端16よりも大きい。入射面141は、光ファイバ出射端16に光学的に接続される。出射面142は、入射面111と接触している。側面143全体は、第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に接触している。
図2に示すように、第2透明部材150は、略円錐台形状を有する。第2透明部材150は、第2光変換部材120が配置される凹状の接触面151と、接触面151と対向する大きい円形の出射面152と、接触面151と出射面152との間の外周面である側面153とを有する。接触面151において、第2透明部材150は第2光変換部材の出射面122と側面123とに接触している。側面153全体は、第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に接触している。
例えば、第1ホルダ160は、第1,2光変換部材110,120の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する金属製の真鍮を有する。このような第1ホルダ160の熱伝導率は、120W/m・Kであり、例えば第1光変換部材110(YAG)の熱伝導率(12W/m・K)と第2光変換部材120(ガラス封止緑色蛍光体)の熱伝導率(1W/m・K)とよりも高い。第1ホルダ160には透過率といった光学的な制約がないため、第1ホルダ160の選定に対する自由度は高い。例えば、第1ホルダ160は、アルミまたは銅などの金属、窒化アルミといった金属化合物といった、高い熱伝導率を有する部材であればよい。なお第1ホルダ160は、第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有していればよい。第1ホルダ160の体積は第1,2光変換部材110,120それぞれの体積よりも大きく、第1ホルダ160の表面積は第1,2光変換部材110,120それぞれの表面積よりも広い。
第1ホルダ160は、光ファイバ出射端16と、第1光変換部材110と、第2光変換部材120と、第1熱伝達抑制部材130と、第1透明部材140と、第2透明部材150とを内部に保持する。第1ホルダ160は、例えば円柱形状を有する。また、第1ホルダ160は、光ファイバ出射端16が配置される円柱形状の中空部161と、光ファイバ出射端16から1次光の出射方向(軸方向)に沿って拡径している円錐台形状の中空部162とを有する。中空部161、162は、光軸Cを中心として軸方向に連続して延びており、第1ホルダ160の内部を貫通している。
中空部162は、第1透明部材140の入射面141側が配置される開口部であり、1次光が入射するホルダ入射部163と、第2透明部材150の出射面152側が配置される開口部であり、照明光を出射するホルダ出射部164とを含む。中空部162は、ホルダ入射部163からホルダ出射部164まで貫通している貫通孔部であり、ホルダ入射部163からホルダ出射部164にかけて拡径しているテーパー形状を有する。言い換えれば、中空部162を形成している内周面がテーパー面165をなしている。ホルダ入射部163には、光ファイバ出射端16から1次光が入射する。ホルダ出射部164は、第1,2変換光を照明光として出射する。
中空部162内には、光軸C上において、光ファイバ出射端16側から順に、第1透明部材140、第1光変換部材110、第1熱伝達抑制部材130、第2光変換部材120、第2透明部材150が配置され、保持されている。第2透明部材150の出射面152とホルダ出射部164の端面とは、略同一平面上に配置される。第2光変換部材120の出射面122は、ホルダ出射部164の端面よりも内側に存在する。
第1光変換部材110と第2光変換部材120との少なくとも一部は、ホルダ入射部163に入射する1次光の中心軸である光軸C上に配置される。第1光変換部材110は、ホルダ入射部163と第2光変換部材120との間に配置される。第1熱伝達抑制部材130の少なくとも一部は、第1光変換部材110と第2光変換部材120との間且つ光軸Cを含む領域に配置される。第1熱伝達抑制部材130の側面133全体は、テーパー面165と接触して、テーパー面165に熱的に接続される。第1熱伝達抑制部材130は、テーパー面165に対して、入射面111の縁部から入射面121の縁部にかけて接触する。
第1ホルダ160の中心軸は、光ファイバ出射端16から出射される1次光の光軸Cと同軸である。第1光変換部材110と第2光変換部材120と第1熱伝達抑制部材130と第1透明部材140と第2透明部材150とは、中空部162において、第1ホルダ160の中心軸に対して対称(回転対称)となるように配置される。本実施形態では、入射面111の縁部及び入射面121の縁部のみが全周にわたってテーパー面165と反射部材170とに接触しており、第1光変換部材110の側面113と第2光変換部材120の側面123とはテーパー面165とは離れて配置される。このように、第1,2光変換部材110,120の一部は、第1ホルダ160と反射部材170とに熱的に接続される。
第1ホルダ160のテーパー角は、円錐台の内周面であるテーパー面165と第1ホルダ160の中心軸とで形成される傾斜角度で定義する。無指向性の第1,2変換光を光変換ユニット100から効率良く取り出すために、テーパー角は10°〜60°付近にあることが好ましい。具体的には、本実施形態における光変換ユニット100(第1ホルダ160)は、テーパー角25°、入射径0.4mm、出射径2.6mmである。
第1ホルダ160のテーパー面165には、反射部材170が形成される。反射部材170は、高い反射率と高い熱伝導率とを有することが好ましい。本実施形態における反射部材170は、テーパー面165に銀またはアルミニウムなどの金属を薄くめっきした金属反射膜(反射ミラー)である。例えば、銀の熱伝導率は420W/m・Kであり、アルミニウムの熱伝導率は240W/m・Kである。反射部材170は、1次光と第1変換光と第2変換光とが反射部材170に入射したときに、これらを正反射又は拡散反射する。反射部材170は、ホルダ出射部164から出射される第1,2変換光それぞれの配光角が互いに対して等しくなるように、反射によって第1,2変換光それぞれの配光を変化させる。
光ファイバ出射端16から出射される1次光は、光軸C上で最も強く照射される。第1光変換部材110に1次光が最も強く照射される位置は、1次光が照射される第1光変換部材110の入射面111と光軸Cとの交点の位置であり、これは1次光の一部が吸収されて波長変換された第1変換光の強度が最も強くなる位置でもある。この交点が第1光変換部材110の実質的な発光点p1と定義される。同様に、第2光変換部材120に1次光が最も強く照射される位置は、1次光が照射される第2光変換部材120の入射面121と光軸Cとの交点の位置であり、第2変換光の強度が最も強くなる位置でもある。したがって、この交点が第2光変換部材120の実質的な発光点p2と定義される。
(1次光入射時の照明光の動作)
図5,6を参照して、光変換ユニット100で照明光が生成される動作について説明する。1次光は、光ファイバ13により導光され、光ファイバ出射端16から光変換ユニット100に出射される。光ファイバ出射端16から出射される1次光の配光は狭く、配光半値角は約15°である。なお1次光の強度は、光軸C上において最も高い。
図5に示すように、光変換ユニット100に出射された1次光は、第1透明部材140を透過して第1光変換部材110(YAG)の入射面111に入射する。入射した1次光の一部は第1光変換部材110に吸収され、他の一部は第1光変換部材110を透過する。吸収された1次光は、第1変換光(黄色蛍光)に波長変換されて、第1光変換部材110の実質的な発光点p1を含む領域から発生して等方的に出射される。
図5に示すように、第1光変換部材110から側方と前方との少なくとも1つに出射された第1変換光の一部は、第1熱伝達抑制部材130と第2光変換部材120と第2透明部材150とを透過し、第1ホルダ160のテーパー面165を照射する。この第1変換光はテーパー面165の反射部材170によって反射され、第1変換光の進行方向は変わる。そして、この第1変換光は、第1光変換部材110に再入射することなく、第2透明部材150の出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。図示はしないが、前方に出射された第1変換光の一部は、反射部材170に進行せず、直接出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。つまり、第1変換光の進行方向が反射部材170によって変わることなく、第1変換光の一部は出射される。また、第1光変換部材110の実質的な発光点p1から後方(光ファイバ出射端16側)へ出射された第1変換光の一部は、テーパー面165の反射部材170に進行する。図示はしないが、この第1変換光は反射部材170によって反射されて、第1変換光の進行方向は前方に変わる。そして、この第1変換光は、第1光変換部材110と第1熱伝達抑制部材130と第2光変換部材120と第2透明部材150とを透過し、出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。
なお、第1変換光は、反射部材170により配光変換され、周囲よりも前方へ進行する成分が増す。これにより、図6に示すように、等方的な配光よりも狭角化された配光が実現する。このとき、第1変換光の配光半値角は、100°以下、例えば、72°である。
一方、第1光変換部材110で吸収されなかった1次光は、図5に示すように、第1光変換部材110と第1熱伝達抑制部材130とを透過して第2光変換部材120の入射面121に照射される。照射された1次光は、第2光変換部材120に含まれる緑色の粉末蛍光体に吸収される。吸収された第1次光は、第2変換光(緑色蛍光)に波長変換されて、第2光変換部材120の実質的な発光点p2を含む領域から発生して等方的に出射される。
図5に示すように、第2光変換部材120から側方と前方との少なくとも1つに出射された第2変換光の一部は、第2透明部材150を透過し、第1ホルダ160のテーパー面165を照射する。第2変換光はテーパー面165の反射部材170によって反射され、第2変換光の進行方向は変わる。そして、この第2変換光は、第1,2光変換部材110,120に再入射することなく、出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。前方に出射された第2変換光の一部は、反射部材170に進行せず、直接出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。つまり、第2変換光の進行方向が反射部材170によって変わることなく、第2変換光の一部は出射される。また、図示はしないが、第2変換光の一部は、第2光変換部材120の実質的な発光点p2から後方(光ファイバ出射端16側)へ出射され、テーパー面165の反射部材170に進行する。この第2変換光は反射部材170によって反射されて、第2変換光の進行方向は前方に変わる。そして、この第2変換光は、第1光変換部材110と第1熱伝達抑制部材130と第2光変換部材120と第2透明部材150とを透過し、出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。
発光点p2は、発光点p1に比べて、入射面111と入射面121との間の距離だけ、言い換えると、第1光変換部材110の厚さと、光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の厚さとの和だけ、出射面152(ホルダ出射部164)側に配置されている。しかしながら発光点p1,p2は、入射面141(ホルダ入射部163)から第1ホルダ160の長さの2/3以下の位置に配置される。したがって、第2変換光は第1変換光と同様に反射部材170によって配光変換され、等方的な配光よりも狭角化された配光が実現され、第2変換光の配光角は第1変換光の配光角と略同一となる。このとき、第1,2変換光それぞれの配光半値角が100°以下の状態で、第1,2変換光それぞれは出射される。
光軸C上において、第1熱伝達抑制部材130は、第1,2光変換部材110,120よりも薄い。したがって発光点p2は発光点p1に近くに配置されることが可能となり、第2変換光の配光特性は第1変換光の配光特性に近づくことが可能となる。このとき、図6に示すように、第2変換光の配光半値角は、100°以下、例えば、76°である。そして配光が狭い第1,2変換光が照明光としてホルダ出射部164から出射される。
次に、図7を参照して光変換ユニット100から発生する熱と、熱の伝達とを説明する。ここでは、熱の発生が最も多い個所である発光点p1,p2に着目し、発光点p1,p2から発生する熱の伝達を説明する。
第1,2光変換部材110,120が吸収した1次光を第1,2変換光に変換する際、変換の損失によって、第1,2光変換部材110,120は熱を発生する。発熱量は、第1,2光変換部材110,120に入射する1次光の光量に比例する。
ここで、第1,2光変換部材110,120から発生した熱の経路と、各経路における熱の伝達量とについて説明する。なお各経路において伝達される熱量は、第1,2光変換部材110,120周辺に配置される部材の熱伝導率に依存する。
第1光変換部材110周辺に配置される部材は、例えば、第1光変換部材110に熱的に接続される第1熱伝達抑制部材130と第1透明部材140と第1ホルダ160と反射部材170とを示す。第1熱伝達抑制部材130と第1透明部材140とは、低い熱伝導率(0.2W/m・K)を有するシリコーン樹脂を有する。第1ホルダ160は高い熱伝導率(120W/m・K)を有する真鍮を有し、反射部材170は高い熱伝導率(420W/m・K)を有する銀を有する。
ここで、第1光変換部材110から発生した熱は、主に3つ経路を通り伝達される。これら経路を第1,2,3経路R1,R2,R3と称する。
第1経路R1では、熱は、第1光変換部材110から第1熱伝達抑制部材130を介して第2光変換部材120に伝達される。
第2経路R2では、熱は、第1光変換部材110から反射部材170を介して第1ホルダ160に伝達され、第1ホルダ160から外部に放出される。
第3経路R3では、熱は、第1光変換部材110から第1透明部材140を介して光ファイバ13に伝達され、光ファイバ13から外部に放出される。
例えば、各経路における熱の伝達量は、第1光変換部材110周辺に配置される部材それぞれの熱伝導率を考慮すると、第2経路R2、第1経路R1、第3経路R3の順で、低くなる。つまり第1経路R1における熱の第1伝達量は、第2経路R2における熱の第2伝達量よりも少ない。
このため第1光変換部材110から発生した熱は、第1経路R1と第3経路R3とよりも優先して第2経路R2に伝達され熱拡散する。したがって、第2経路R2を伝達する熱量は、第1,3経路を伝達する熱量よりも多くなる。なお例えば第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率は、第1透明部材140の熱伝導率と同じであるとする。また、光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の厚さ(0.1mm)は、光軸C上における第1透明部材140の厚さよりも薄い。したがって、第1経路R1を伝達する熱量は、第3経路R3を伝達する熱量よりも多くなる。
また、第2光変換部材120周辺に配置される部材は、例えば、第2光変換部材120に熱的に接続される第1熱伝達抑制部材130と第2透明部材150と第1ホルダ160と反射部材170と示す。第1熱伝達抑制部材130と第2透明部材150とは、低い熱伝導率(0.2W/m・K)を有するシリコーン樹脂を有する。第1ホルダ160は高い熱伝導率(120W/m・K)を有する真鍮を有し、反射部材170は高い熱伝導率(420W/m・K)を有する銀を有する。
ここで、第2光変換部材120から発生した熱は、主に3つ経路を通り伝達される。これら経路を第4,5,6経路R4,R5,R6と称する。
第4経路R4では、熱は、第2光変換部材120から第1熱伝達抑制部材130を介して第1光変換部材110に伝達される。
第5経路R5では、熱は、第2光変換部材120から反射部材170を介して第1ホルダ160に伝達され、第1ホルダ160から外部に放出される。
第6経路R6では、熱は、第2光変換部材120から第2透明部材150に伝達され、第2透明部材150から外部に放出される。
例えば、各経路における熱の伝達量は、第1光変換部材110周辺に配置される部材それぞれの熱伝導率を考慮すると、第5経路R5、第4経路R4、第6経路R6の順で、低くなる。
このため第2光変換部材120から発生した熱は、第4経路R4と第6経路R6とよりも優先して第5経路R5に伝達され熱拡散する。したがって、第5経路R5を伝達する熱量は、第4,6経路を伝達する熱量よりも多くなる。なお例えば第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率は、第2透明部材150の熱伝導率と同じであるとする。また、光軸C上における第1熱伝達抑制部材130の厚さ(0.1mm)は、光軸C上における第2透明部材150の厚さよりも薄い。したがって、第4経路R4を伝達する熱量は、第6経路R6を伝達する熱量よりも多くなる。
第1ホルダ160は真鍮であり、第1ホルダ160の体積と表面積とは、第1,2光変換部材110,120のそれよりも大きい。したがって、熱が第1,2光変換部材110,120から連続して発生した際、熱は、第1,2光変換部材110,120から第1ホルダ160に速やかに伝達され、結果として第1,2光変換部材110,120に留まりにくい。そして熱は、第1ホルダ160から迅速に外部に放出される。
本実施形態では、第1熱伝達抑制部材130が光軸C方向において第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に配置され、第1熱伝達抑制部材130の熱伝導率は第1,2光変換部材110,120の熱伝導率それぞれよりも低い。したがって光変換時に第1,2光変換部材110,120から発生する熱が第1,2光変換部材110,120に集中することを抑制でき、第1,2光変換部材110,120の温度上昇に伴う変換効率の低下を抑制でき、明るい照明光を実現できる。
第1,2光変換部材110,120の一部は第1ホルダ160と反射部材170とに熱的に接続されており、第1ホルダ160と反射部材170との熱伝導率それぞれは第1,2光変換部材110,120の熱伝導率それぞれよりも高い。したがって光変換時に第1,2光変換部材110,120から発生する熱を、第1,2光変換部材110,120から第1ホルダ160と反射部材170とに効率的且つ優先的に伝達できる。つまり第1,2光変換部材110,120から発生する熱を分散できる。そして、多くの1次光が第1,2光変換部材110,120に入射しても、熱の大部分が第1,2光変換部材110,120から放出されるため、第1,2光変換部材110,120は多くの熱を発生せず、明るい照明光を提供できる。
1次光が最初に入射する第1光変換部材110の発熱量は第2光変換部材120の発熱量よりも多いが、第1光変換部材110の熱伝導率は第2光変換部材120の熱伝導率よりも高い。したがって、光変換ユニット100にて発生する局所的な熱は第1光変換部材110から優先的に放出され、熱による第1光変換部材110の変換効率の低下を抑制できる。また第1光変換部材110と第2光変換部材120との温度差を少なくでき、熱に対して明るさが安定した照明光を提供できる。
例えば、第1,2光変換部材110,120の内部量子効率は50%以上であり、第1,2光変換部材110,120の発光点p1,p2が150℃のときでは発光強度維持率は略50%以上となる。したがって光変換ユニット100により多くの1次光を入射でき、明るい照明光を提供できる。
例えば、第1,2光変換部材110,120は、樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、且つ高い耐熱性を有する無機材料を用いる。これにより、多くの1次光が高温下の光変換ユニット100に入射しても、熱が高い熱伝導率によって外部に放出されるため、明るさが安定した照明光を提供できる。
1次光が透過する第1熱伝達抑制部材130は第1,2光変換部材110,120の間に配置されるが、光軸C上において第1熱伝達抑制部材130は第1,2光変換部材110,120よりも薄い。したがって、発光点p2は発光点p1に近づくことができ、第2変換光の配光角を第1変換光の配光角と略同一にできる。
第1,2光変換部材110,120は、ホルダ入射部163からホルダ出射部164にかけて拡径しているテーパー形状を有する第1ホルダ160の内部に配置される。したがって、照明光としての第1,2変換光の配光を狭角にでき、光軸C方向においてホルダ出射部164から離れている被観察体Sに対して明るい照明光を照射できる。
なお本実施形態では、黄色蛍光を出射する第1光変換部材110と緑色蛍光を出射する第2光変換部材120とを有する構造の他に、第1光変換部材110が緑色といった第1蛍光を出射し、第2光変換部材120が第1蛍光を吸収して赤色といった第2蛍光を出射する、2次吸収構造を有する構造を用いてもよい。2次吸収構造は、第1光変換部材110が第2光変換部材120から離れて配置される非接触構造でもある。ここで、第1光変換部材110が第2光変換部材120に接触している構造を、接触構造と称する。非接触構造では、接触構造に比べて、第2光変換部材120は第1光変換部材110から離れて配置される。したがって第2光変換部材120が吸収する緑色の第1蛍光の吸収量を少なくでき、多くの緑色の第1蛍光を照明光として利用できる。
なお1次光源11は、青色LD14に限らず、LEDを用いてもよい。これにより、1次光源11を安価に作製できる。
第1ホルダ160の中空部162は、テーパー形状ではなく、円柱形状または放物形状を有してもよい。これにより、中空部162を容易に加工でき、安価に第1ホルダ160を作製できる。
第1,2光変換部材110,120は、円柱形状ではなく、角柱形状を有してもよい。この場合、角柱に配置される入射面111,121の角部のみが第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に接触していればよい。第1,2光変換部材110,120の材質によっては、ダイシング等により、円柱よりも角柱を容易に加工できる。
図示はしないが、光ファイバ13が省略され、1次光源11の出射端部が光変換ユニット100の入射面141に直接光学的に接続されてもよいし、複数のレンズを有する空間光学系が1次光源11の出射端部と光変換ユニット100の入射面141との間に配置されてもよい。
第1,2光変換部材110,120それぞれは第1ホルダ160と物理的に接触していることが好ましいが、これに限定されない。第1光変換部材110から第1ホルダ160へ熱が伝達されれば、第1光変換部材110は、第1ホルダ160と物理的に接触していなくても、第1ホルダ160に近接していてもよい。この場合、第1光変換部材110と第1ホルダ160との間に、例えば反射部材170、図示しない接着層、図示しない空気層などが介在する。第1光変換部材110から発生した熱は、第1光変換部材110から反射部材170、接着層、空気層等を介して第1ホルダ160に伝達可能である。第1光変換部材110と第1ホルダ160とについて説明したが、第2光変換部材120と第1ホルダ160とについても、同様である。
本実施形態では、第1光変換部材110における入射面111の縁部は第1ホルダ160のテーパー面165と接触し、熱が第1光変換部材110から第1ホルダ160に伝達される。熱が伝達されれば、縁部はテーパー面165から離れてもよい。このとき、縁部とテーパー面165との間の距離は、第1光変換部材110(出射面112)と第2光変換部材120(入射面121)との間の距離よりも短いことが好ましい。これにより、第1光変換部材110から第1ホルダ160に伝達される熱量を、第1光変換部材110から第2光変換部材120に伝達される熱量よりも多くできる。第1光変換部材110と第1ホルダ160とについて説明したが、第2光変換部材120と第1ホルダ160とについても、同様である。
第1ホルダ160は、第1ホルダ160の外周面に配置され、熱を外部に放出する図示しないフィン部を有してもよい。これにより第1ホルダ160は、放熱効率を向上できる。
なお、熱伝達抑制部材の熱伝導率は、12W/m・K未満であればよい。第1ホルダ160の熱伝導率は、15W/m・K以上であればよい。
[変形例]
以下に、本実施形態の変形例1乃至5を説明する。各変形例では、主に、本実施形態と異なることのみ記載する。
図8に示す変形例1において、第1光変換部材110は例えば円錐台形状を有し、第1光変換部材110の側面113全体が第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。したがって、第1光変換部材110が第1ホルダ160に熱的に接続される第1領域は、第2光変換部材120が第1ホルダ160に熱的に接続される第2領域よりも広くなる。第1領域は第1光変換部材110の側面113全体であり、第2領域は第2光変換部材120における入射面121の縁部全周である。本変形例では、第1光変換部材110の発熱量は、第2光変換部材120の発熱量よりも多い。
第1光変換部材110から発生した熱の一部は、第1光変換部材110の側面113全体から第1ホルダ160に伝達される。
本変形例において、第1光変換部材110と第1ホルダ160との接触面積が第1実施形態よりも増える。したがって、第1光変換部材110から第1ホルダ160に伝達される熱量を増やすことができ、発熱量が多い第1光変換部材110の放熱性を向上できる。
また本変形例では、第1熱伝達抑制部材130は円錐台形状を有し、第1熱伝達抑制部材130の側面133全体は第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。第1光変換部材110の出射面112は第1熱伝達抑制部材130の第1面131に積層し、第1熱伝達抑制部材130の第2面132は入射面121に積層する。第1面131は、第2面132よりも小さい。第1面131,第2面132は、例えば円形である。第1面131には例えば1次光と第1変換光とが入射し、第2面132は例えば1次光と第1変換光とを出射する。第1面131は第2変換光を出射し、第2面132には第2変換光が入射してもよい。
なお、本変形例では、第2光変換部材120も例えば円錐台形状を有し、第2光変換部材120の側面123全体が第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続されてもよい。この場合、第2光変換部材120から第1ホルダ160に伝達される熱量を増やすことができ、第2光変換部材120の放熱性も向上できる。
図9に示す変形例2において、光変換ユニット100は、光軸C方向において第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に配置され、光軸Cを中心に回転対称に配置される第3透明部材180をさらに有する。光軸C上において、光ファイバ出射端16側から順に、第1透明部材140、第1光変換部材110、第3透明部材180、第1熱伝達抑制部材130、第2光変換部材120、第2透明部材150が配置される。第1熱伝達抑制部材130と第3透明部材180とは円錐台形状を有し、第1熱伝達抑制部材130の側面133全体と第3透明部材180の側面183全体とは第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。第1光変換部材110の出射面112は第3透明部材180の第1面181に積層し、第3透明部材180の第2面182は第1熱伝達抑制部材130の第1面131に積層し、第1熱伝達抑制部材130の第2面132は入射面121に積層する。第3透明部材180は、例えば、ガラスを有する。第3透明部材180の熱伝導率は、1W/m・Kである。第3透明部材180は、1次光と第1,2変換光とを透過させる透過部材である。ここで、光軸C上において、第1熱伝達抑制部材130の厚さは、0.05mmである。第1面181は、第2面182よりも小さい。第1面181,第2面182は、例えば円形である。第1面181には例えば1次光と第1変換光とが入射し、第2面182は例えば1次光と第1変換光とを出射する。第1面181は第2変換光を出射し、第2面182には第2変換光が入射してもよい。
本変形例における光軸C上の熱抵抗値HR1,HR2,HR3は、以下のとおりである。
HR1=0.25×10−3[m]/12[W/(m・K)]=2.1×10−5[(m2・K)/W)]
HR2=0.25×10−3[m]/1[W/(m・K)]=2.5×10−4[(m2・K)/W)]
HR3=0.05×10−3[m]/0.2[W/(m・K)]=2.5×10−4[(m2・K)/W)]
このように、光軸C上における熱抵抗値HR3は、光軸C上における熱抵抗値HR1よりも大きく、光軸C上における熱抵抗値HR2と同じである。
本変形例では、一方の第2光変換部材120側のみに、第1光変換部材110と第2光変換部材120との少なくとも一方の熱抵抗値HR1,HR2よりも大きい熱抵抗値HR3を有する第1熱伝達抑制部材130が配置されればよい。これにより、例えば、第1熱伝達抑制部材130によって、第1光変換部材110から第2光変換部材120への熱の伝達を抑制できる。
図10に示す変形例3において、光軸C方向における第1光変換部材110と第2光変換部材120との間において、第1熱伝達抑制部材130と第3透明部材180とが配置される。第1熱伝達抑制部材130は、発光点p1と発光点p2と結ぶ光軸C上に配置され、第3透明部材180は第1熱伝達抑制部材130の周囲に配置される。第3透明部材180は、第1熱伝達抑制部材130が配置される例えば円柱形状の中空部を有する円錐台形状を有する。第1熱伝達抑制部材130は、例えば円柱形状を有する。第1熱伝達抑制部材130は柱形状を有していればよい。中空部の形状は、第1熱伝達抑制部材130が配置されれば、特に限定されない。第1熱伝達抑制部材130の外周の側面133は、第3透明部材180の内周面に熱的に接続される。第3透明部材180の側面183全体が第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に接触される。本変形例の第1熱伝達抑制部材130の直径は、第1実施形態の第1熱伝達抑制部材130の最小直径よりも小さい。光軸Cに直交する光変換ユニット100の幅方向において、第3透明部材180が第1熱伝達抑制部材130と第1ホルダ160との間に配置されるため、第1熱伝達抑制部材130は第1ホルダ160と物理的に接触していない。
第1熱伝達抑制部材130は、例えば、熱伝導率が0.2W/m・Kである透明の樹脂を有する。第3透明部材180は、例えば、熱伝導率が1W/m・Kであるガラスを有する。
本変形例では、第1熱伝達抑制部材130は、発光点p1と発光点p2と結ぶ光軸C上に配置される。したがって、テーパー面165側において伝達される熱よりも光軸C上において第1光変換部材110と第2光変換部材120との間にて伝達される熱を優先して抑制できる。
図11に示す変形例4において、光変換ユニット100は、光軸Cを中心に回転対称に配置される熱伝達部材190をさらに有する。例えば、熱伝達部材190は、光軸C方向において第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に配置される。また熱伝達部材190は、発熱量が多い第1光変換部材110に熱的に接続され、発熱量が少ない第2光変換部材120から離れて配置され、第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。熱伝達部材190の側面193はテーパー面であり、側面193全体がテーパー面165に熱的に接続される。なお熱伝達部材190は、円柱形状の第1光変換部材110の側面113と第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165との間に配置されてもよい。熱伝達部材190が第1光変換部材110と第1ホルダ160とに熱的に接続されていれば、熱伝達部材190の形状は特に限定されない。
熱伝達部材190は、第1光変換部材110の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。このような高熱伝導部材は、例えば、グラファイトシート、または酸化亜鉛を有する。グラファイトシートにおいて、面方向の熱伝導率は、厚さ方向の熱伝導率よりも高い。このため、第1光変換部材110から熱伝達部材190に伝達された熱は、厚さ方向よりも平面方向に伝達される、つまり熱伝達部材190から第1ホルダ160に伝達される。面方向の熱伝導率は、例えば、700W/m・Kである。酸化亜鉛は、透明電極として用いられる。酸化亜鉛の熱伝導率は、例えば、25W/m・Kである。
グラファイトシートのように、熱伝達部材190が着色されている場合、例えば、熱伝達部材190は、第1ホルダ160に入射する1次光の中心軸である光軸Cを除いた領域に配置される。このため熱伝達部材190は、例えば、ドーナッツ形状を有する。透明電極として用いられる酸化亜鉛のように、熱伝達部材190が透明である場合、熱伝達部材190は、光軸C上にも配置されてよい。
熱伝達部材190が側面113とテーパー面165との間に配置される場合、熱伝達部材190は、着色されて非透明であってもよいし、透明でもよい。
第1光変換部材110から発生した熱は、第2経路R2に加えて、熱伝達部材190を介して第1ホルダ160に伝達され、第1ホルダ160から外部に放出される。
本変形例は、熱伝達部材190によって第1光変換部材110から第1ホルダ160に伝達される熱量を増やすことができ、発熱量が多い第1光変換部材110の放熱性を向上できる。
図12に示す変形例5において、第2透明部材150の代わりに、熱伝達部材190が配置される。熱伝達部材190は、略円錐台形状を有する。熱伝達部材190は、1次光が照射される第2光変換部材120の入射面121側よりも光変換ユニット100の出射部側であるホルダ出射部164側に配置される。熱伝達部材190は、第2光変換部材120が配置される凹状の接触面191と、接触面191と対向する大きい円形の出射面192と、接触面191と出射面192との間の外周面である側面193とを有する。熱伝達部材190の接触面191は、第2光変換部材の出射面122と側面123とに熱的に接続される。側面193全体は、第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。
本変形例の熱伝達部材190は、1次光と第1,2変換光とを透過させる透過部材である。熱伝達部材190は、第2光変換部材120のガラス封止緑色蛍光体の熱伝導率(1W/m・K)よりも高い熱伝導率(12W/m・K)を有する透明なセラミックスである。このセラミックスは、例えば、CeがドープされていないYAGセラミックスである。
第2光変換部材120が樹脂封止緑色蛍光体(熱伝導率:0.2W/m・K)である場合、熱伝達部材190は透明ガラス(熱伝導率:1W/m・K)を使用することができる。なお本変形例では、第1光変換部材110の熱伝導率は、第2光変換部材120の熱伝導率よりも高い。
熱伝達部材190は、第2光変換部材120に対して第1光変換部材110とは反対側及び第2光変換部材120の側方に配置され、第1ホルダ160に熱的に接続される。したがって第2光変換部材120から発生した熱は、第5経路R5である第2光変換部材120から反射部材170を介して第1ホルダ160に伝達されるだけではなく、第2光変換部材120から熱伝達部材190を介しても第1ホルダ160に伝達され、第1ホルダ160から外部に放出される。
本変形例では、熱伝達部材190の配置位置によって、熱を第2光変換部材120から逃げやすくできる。また熱伝達部材190によって、熱を第2光変換部材120から第1ホルダ160に容易に伝達でき、第2光変換部材120の放熱性を向上できる。また本変形例では、熱伝達部材190によって、第2光変換部材120から第1光変換部材110に伝達される熱量を低減できる。
[第2実施形態]
図13を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態の第1光変換部材110は、第1実施形態と同様に、波長変換部材である。したがって、第1変換光は、黄色蛍光といった第1波長変換光である。本実施形態の第2光変換部材120は、受光した1次光の波長を変換せず、1次光とは異なる配光角の光を出射する配光角変換部材である。例えば、第2光変換部材120は、例えば、1次光を、1次光の広がり角度を広げた1次拡散光に変換する拡散部材である。第2光変換部材120が1次光の配光角を変換する際、変換損失が発生し、第2光変換部材120は、1次光の一部を吸収し、熱を発生する。
第2光変換部材120は、図示しない封止部材と、封止部材の内部に分散された状態で封止部材に封止され、封止部材の屈折率よりも低い屈折率を有する図示しない拡散粒子とを有する。封止部材は、例えば屈折率が1.4のシリコーン樹脂を有する。拡散粒子は、例えば、屈折率が1.76、消衰係数が0.1未満のアルミナを有する。拡散粒子は、1次光を吸収する物質を有する。拡散粒子は、特定の屈折率nと消衰係数kとをあわせた複素屈折率Nといった光学的な性質を有する。
拡散粒子の屈折率は、1.41以上であることが好ましい。また拡散粒子の屈折率と封止部材の屈折率との差が0.2以上で、且つ拡散粒子の屈折率が1.61以上であることがより好ましく、これにより多くの1次光が拡散される。消衰係数が小さいほど、拡散粒子に吸収される1次光量は少なくなる。したがって、拡散粒子は、消衰係数が0.1以下の材料であることが好ましい。
拡散粒子の材料は、例えば、金属または無機酸化物といった無機材料である。金属は、例えばアルミニウム、チタン、亜鉛などである。無機材料は、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウムといった、反射型拡散粒子または透過型拡散粒子などである。拡散粒子は、1種類のみの材料によって構成される必要はなく、複数種類の材料によって構成されでもよい。
第2光変換部材120に入射した1次光の広がり角度の増加角度は、主に、拡散粒子の粒径と、封止部材に対する拡散粒子の濃度と、拡散粒子と封止部材との屈折率と、第2光変換部材120の厚さとを基に決定される。
1次拡散光の配光角がホルダ出射部164から出射される第1変換光の配光角度と略等しくなるように、上記した粒径、濃度、屈折率、厚さなどが設定される。
第2光変換部材120は、第1変換光に対しても配光角を変換(拡散)する。
本実施形態では、第1変換光は、第2光変換部材120を透過して、照明光としてホルダ出射部164から出射される。なお第1変換光が第2光変換部材120を透過する際、第1変換光の配光角は、第2光変換部材120によって広がるが、第2光変換部材120よりも前方に配置される反射部材170によって狭角となる。したがって、第1変換光の配光特性は、図6に示される配光特性に近づく。
第2光変換部材120は、第1光変換部材110によって吸収されず第1光変換部材110を透過した1次光を照射される。1次光は、第2光変換部材120によって1次拡散光に変換される。図示しないが、1次拡散光の一部は、第2光変換部材120の入射面121から第1熱伝達抑制部材130を透過して第1光変換部材110に向かって進行する。この1次拡散光は、第1光変換部材110によって波長変換され、第1変換光(照明光)としてホルダ出射部164から出射される。1次拡散光の他の一部は、第2光変換部材120の出射面122と側面123との少なくとも1つから出射される。この1次拡散光の一部は、反射部材170に進行せず、第2透明部材150を透過して直接出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。また、1次拡散光の他の一部は反射部材170によって反射され、1次拡散光の進行方向は変わる。そして、1次拡散光は、第1,2光変換部材110,120に再入射することなく、第2透明部材150を透過してホルダ出射部164から前方に出射される。1次拡散光の配光角は、上記した粒径、濃度、屈折率、厚さなどによって、狭角となる。したがって1次拡散光の配光特性は、図6に示す第1変換光の配光特性に近づく。
第2光変換部材120が1次光の配光角を変換する際、変換損失が発生し、第2光変換部材120は、1次光の一部を吸収し、熱を発生する。この熱の伝達は、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、互いに異なる光変換特性を有する第1,2光変換部材110,120が配置されても、第1熱伝達抑制部材130によって、光変換時に第1,2光変換部材110,120から発生する熱が第1,2光変換部材110,120に集中することを抑制できる。また、第1,2光変換部材110,120の温度上昇に伴う変換効率の低下を抑制でき、1次拡散光の配光が第1変換光の配光に揃った明るい照明光を実現できる。
第2光変換部材120は、ホルダ入射部163からホルダ出射部164にかけて拡径しているテーパー形状を有する第1ホルダ160の内部に配置される。したがって、1次拡散光の配光を狭角にでき、第2光変換部材120による配光角変換量を所定以内に抑制でき、言い換えると、拡散粒子の濃度を低減でき、第2光変換部材120の変換損失による発熱を低減できる。
[変形例]
以下に、本実施形態の変形例1乃至2を説明する。各変形例では、主に、本実施形態と異なることのみ記載する。なお図14では、図示の明瞭化のために、第2光変換部材120によって波長変換された第2変換光(第2波長変換光)の図示を省略する。
図14に示す変形例1では、第1光変換部材110は第2実施形態の第2光変換部材120と同様に配光角変換部材(拡散部材)であり、第2光変換部材120は第1実施形態と同様に波長変換部材である。
したがって第1光変換部材110は、例えば、1次光を、1次光の広がり角度を広げた1次拡散光に変換する拡散部材である。第1光変換部材110が1次光の配光特性を変換する際、変換損失が発生し、第1光変換部材110は、1次光の一部を吸収し、熱を発生する。図示しない封止部材と拡散粒子といった第1光変換部材110の構成は、第2実施形態の第2光変換部材120の構成と略同様であるため、ここでは説明を省略する。
本変形例では、1次光は、最初に第1光変換部材110を照射し、第1光変換部材110によって1次拡散光に変換される。1次拡散光は、第1熱伝達抑制部材130と第2光変換部材120とを透過する。そして、1次拡散光の一部は反射部材170によって反射され、1次拡散光の進行方向は変わる。そして、1次拡散光は、第1,2光変換部材110,120と第1熱伝達抑制部材130とに再入射することなく、第2透明部材を透過してホルダ出射部164から前方に出射される。また1次拡散光の別の一部は、反射部材170に進行せず、第2透明部材を透過して直接出射面152(ホルダ出射部164)から前方に出射される。つまり、1次拡散光の進行方向が反射部材170によって変わることなく、1次拡散光は出射される。また図示はしないが、第2光変換部材120を照射した1次拡散光のさらに別の一部は、第2光変換部材120によって波長変換され、第2透明部材150を透過して第2変換光(照明光)としてホルダ出射部164から出射される。
本変形例では、1次拡散光が第2光変換部材120を照射する際、入射面121における照射領域124を拡散によって広げることができる。したがって、光変換ユニット100に入射する1次光の光量に対する第2光変換部材120における局所的な発熱を緩和でき、第2光変換部材120の変換効率の低下を抑制できる。
図15に示す変形例2では、光変換ユニット100は、第2熱伝達抑制部材220と第3光変換部材230とをさらに有する。第2熱伝達抑制部材220と第3光変換部材230とは、光軸Cを中心に回転対称に配置される。光ファイバ出射端16側から順に、第1透明部材140、第1光変換部材110、第1熱伝達抑制部材130、第2光変換部材120、第2熱伝達抑制部材220、第3光変換部材230、第2透明部材150が配置される。第2熱伝達抑制部材220は円錐台形状を有し、第3光変換部材230は円柱形状を有する。第3光変換部材230は、円錐台形状を有してもよい。第2熱伝達抑制部材220の側面223全体と第3光変換部材230の入射面231の縁部全周とは第1ホルダ160の内周面であるテーパー面165に熱的に接続される。第2光変換部材120の出射面122は第2熱伝達抑制部材220の第1面221に積層し、第2熱伝達抑制部材220の第2面222は第3光変換部材230の入射面231に積層する。凹状の接触面151には第3光変換部材230が配置されており、第3光変換部材230の出射面232と側面233とは接触面151に接触している。第1面221は、第2面222よりも小さい。第1面221,第2面222は、例えば円形である。第2面221には例えば1次光と第1,2変換光とが入射し、第2面222は例えば1次光と第1,2変換光とを出射する。第1面221は第3光変換部材230が光学特性を変換した光を出射し、第2面222には第3光変換部材230が光学特性を変換した光が入射してもよい。円形の入射面231は、円形の出射面232と同じ大きさである。入射面231には例えば1次光と第1,2変換光とが入射し、出射面232は例えば第1,2変換光と第3光変換部材230が光学特性を変換した光とを出射する。
第3光変換部材230は、例えば、波長変換部材であってもよいし、配光角変換部材であってもよい。
第2熱伝達抑制部材220は、熱伝導率が0.2W/m・Kである透明のシリコーン樹脂を有する。第2熱伝達抑制部材220の熱抵抗値は、第1熱伝達抑制部材130の熱抵抗値HR3と略同一である。なお第1,2,3光変換部材110,120,230それぞれの発熱量の大小関係から、第1,2熱伝達抑制部材130,220の熱伝導率は互いに異なってもよいし、第1,2熱伝達抑制部材130,220の熱抵抗値は互いに異なってもよいし、
例えば第1光変換部材110の発熱量が第2光変換部材120の発熱量よりも多く、第2光変換部材120の発熱量が第3光変換部材230の発熱量よりも多いとする。第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に配置される第1熱伝達抑制部材130の熱抵抗値HR3が第2光変換部材120と第3光変換部材230との間に配置される第2熱伝達抑制部材220の熱抵抗値よりも大きくなるように、第1,2熱伝達抑制部材130,220それぞれの熱伝導率と厚さとが設定されてもよい。したがって、第1熱伝達抑制部材130によって、最も発熱する第1光変換部材110から第2,3光変換部材120,230への熱の伝達を抑制できる。
本変形例では、第1,2熱伝達抑制部材130,220によって、第1,2,3光変換部材110,120,230それぞれから他の光変換部材に伝達される熱量を低減でき、熱を第1ホルダ160に容易に伝達できる。したがって、光変換時に第1,2,3光変換部材110,120,230から発生する熱が第1,2,3光変換部材110,120,230に集中することを抑制でき、第1,2,3光変換部材110,120,230の温度上昇に伴う変換効率の低下を抑制でき、明るい照明光を提供できる。
なお例えば1つの熱伝達抑制部材が第1,2,3光変換部材110,120,230における3層のいずれか間に配置されていてもよい。これにより、一方の光変換部材から他の光変換部材に伝達される熱量を低減できる。
[第3実施形態]
図16を参照して、第3実施形態について説明する。本実施形態では、光変換ユニット100は、第1ホルダ160とは別体で、第1ホルダ160を覆う筒状の第2ホルダ240を有する。第2ホルダ240は、第1ホルダ160が第2ホルダ240に挿入されることによって、第1ホルダ160を覆う。このとき、第2ホルダ240は、第1ホルダ160に熱的に接続される。第2ホルダ240は、第1ホルダ160と同様に真鍮であってもよい。なお後述する拡散部材である第2光変換部材120の発熱量は第1光変換部材110の発熱量よりも少ないため、第2ホルダ240は真鍮ほど熱伝導率が高い部材でなくてもよい。
角柱形状(例えば円柱形状)の第1光変換部材110は、入射面111の縁部が全周にわたってテーパー面165と接触した状態で、ホルダ出射部164近傍に配置される。例えば、出射面112はホルダ出射部164と同一平面上に配置される。したがって、第2透明部材150が省略され、第1透明部材140が中空部162に充填される。第1光変換部材110は、第1実施形態にて説明したように、例えば蛍光体といった波長変換部材である。
第2光変換部材120は、第2ホルダ240の端部に配置される。第2光変換部材120は、第2実施形態にて説明したように、例えば拡散部材といった配光角変換部材である。拡散部材の拡散条件において、1次拡散光は広配光となるように、粒径、濃度、屈折率、厚さなどが設定される。
第2ホルダ240が第1ホルダ160を覆った状態において、第1熱伝達抑制部材130が第1光変換部材110と第2光変換部材120との間に形成される。本実施形態の第1熱伝達抑制部材130は、シリコーン樹脂の熱伝導率(0.2W/m・K)よりも低い熱伝導率を有する空気層を利用する。
第1光変換部材110はホルダ出射部164近傍に配置されているため、ホルダ出射部164から出射される第1変換光の配光は広配光となる。この第1変換光は、第2光変換部材120によってさらに拡散される。
第1光変換部材110に吸収されず第2光変換部材120を照射する1次光は、拡散部材の粒径、濃度、屈折率、厚さなどによって、広配光の1次拡散光に変換される。
第1光変換部材110から発生した熱の大部分は、主に第1ホルダ160に伝達され、第1ホルダ160から第2ホルダ240を介して外部に放出される。
第2光変換部材120から発生した熱の大部分は、主に第2ホルダ240に伝達され、第2ホルダ240から外部に放出される。
第1熱伝達抑制部材130は、空気層を利用する。したがって、第1熱伝達抑制部材130によって、第1,2光変換部材110,120の間において伝達される熱量を低減できる。
第1,2光変換部材110,120それぞれは、互いに別体の第1ホルダ160と第2ホルダ240とに保持される。第1,2光変換部材110,120それぞれの発熱量を基に、第1ホルダ160と第2ホルダ240との材料を適宜選択できる。これにより、材料の組み合わせによって、放熱効率を向上できる。
第1,2光変換部材110,120がホルダ出射部164側に配置される。したがって、広配光の第1変換光と広配光の1次拡散光とを提供でき、第1変換光の配光特性と1次拡散光の配光特性と互いに対して等しくできる。
[第4の実施形態]
図17を参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態では、2つの1次光源が配置される。説明の便宜上、1次光源11,11aと称する。1次光源11は、第1実施形態における1次光源11と同一である。1次光源11aは、発光波長のピークが405nmである青紫色レーザー光を出射するレーザーダイオード(以下、青紫色LD14aと称する)と、青紫色LD14aを駆動するための光源駆動部15aとをさらに有する。青紫色LD14aは、1次光である第2レーザー光を出射する第2レーザー光源である。本実施形態における1次光を、発光波長のピークが445nmである青色レーザー光と発光波長のピークが405nmである青紫色レーザー光ととして定義する。
光源制御回路12は、青色LD14と青紫色LD14aとを所定の駆動電流、駆動間隔で駆動させるための制御信号を光源駆動部15,15aに送信する。光源制御回路12の制御によって、青色LD14と青紫色LD14aとは切り替わって駆動する、または青色LD14と青紫色LD14aとは同時に駆動する。
照明装置10は、青色LD14から出射された青色レーザー光と、青紫色LD14aから出射された青紫色レーザー光とを合波し、合波した光を光ファイバ13に入射させる光カプラ18をさらに有する。光カプラ18は、例えば、光分波器を有する。
本実施形態では、2本の光ファイバ13が配置され、光ファイバ13の入射端それぞれは光カプラ18に接続されており、光ファイバ出射端16それぞれは互いに対して独立している光変換ユニット100に接続される。光カプラ18から出射された1次光は、光ファイバ13それぞれに入射し、光ファイバ13それぞれによって光変換ユニット100それぞれに導光される。そして光変換ユニット100それぞれは、照明光を出射する。光ファイバ13同士は、互いに対して別体である。光変換ユニット100同士は、互いに対して別体である。
YAGである第1光変換部材110は、青紫色レーザー光に対してほとんど励起せず黄色の蛍光をほとんど生成しない。しかしながら、第1光変換部材110は、青紫色レーザー光の少なくとも一部を吸収して熱を発生する。
ガラス封止緑色蛍光体である第2光変換部材120は、青紫色レーザー光に対して青色レーザー光と同様に励起して所定の変換効率で緑色の蛍光を生成し、変換損失分だけ熱を発生する。第2光変換部材120は、緑色蛍光体と拡散粒子とが混合された状態で封止しているガラスを有してもよい。
本実施形態では、青色LD14のみが駆動した際における照明装置10の動作は、第1の実施形態で説明した動作と同じであるため、説明を省略する。なお上述したように第2光変換部材120がガラスを有する場合、第1,2変換光と青色レーザー拡散光である1次拡散光とのそれぞれの配光角は、互いに等しくなる。
青紫色LD14aのみが駆動した際、青紫色レーザー光の大部分は、YAGである第1光変換部材に吸収されない。なお青紫色レーザー光の一部は、ガラス封止緑色蛍光体である第2光変換部材120に吸収され緑色の蛍光に波長変換される。青紫色LD14aによる第2変換光の配光特性は、青色LD14による第2変換光の配光特性と略等しい。なお上述したように第2光変換部材120がガラスを有する場合、第2変換光と青紫色レーザー拡散光である1次拡散光とのそれぞれの配光角は、互いに等しくなる。
青色LD14と青紫色LD14aとが同時に駆動した際、青色レーザー光により波長変換された第1,2変換光と、青紫色レーザー光により波長変換された第2変換光とは、青色LD14と青紫色LD14aとの駆動比率に応じた所定の割合で、照明光として出射される。第1,2光変換部材110,120に吸収されない青色レーザー光と青紫色レーザー光も照明光として出射される。
なお青色LD14と青紫色LD14aとの駆動比率が変更された際、青色レーザー光と青紫色レーザー光との比率が変更され、照明光は色調整される。
本実施形態では、青色LD14のみが駆動した際における熱の伝達は、第1の実施形態で説明した熱の伝達と同じであるため、説明を省略する。
青紫色LD14aのみが駆動した際、YAGである第1光変換部材110は、青色レーザー光の大部分を吸収せず、青色レーザー光の一部を吸収して熱を発生する。またガラス封止緑色蛍光体である第2光変換部材120は、青色レーザー光を所定の波長変換損失に応じて熱を発生する。
なお上述したように第2光変換部材120がガラスを有し、青色LD14または青紫色LD14aのみが駆動した際、第2光変換部材では、緑色蛍光体の波長変換損失とアルミナである拡散粒子による配光角変換損失とによって熱を発生する。
青紫色LD14aのみが駆動した際、第2光変換部材120の発熱量は第1光変換部材110の発熱量よりも多くなる。また第1実施形態と同様に、第1光変換部材110から第2光変換部材120への熱の伝達は第1熱伝達抑制部材130によって抑制され、熱は第1ホルダ160に優先して伝達される。このため、第1,2光変換部材110,120の一方の熱が第1,2光変換部材110,120の他方に伝達することを、第1熱伝達抑制部材130は効果的に抑制することができ、波長変換効率の低下を低減できる。
青色LD14と青紫色LD14aとが駆動した際、2種類の1次光によって第1,2光変換部材110,120から発生した熱が第1,2光変換部材110,120の間を移動することを、第1熱伝達抑制部材130によって抑制され、第1ホルダ160に優先して伝達される。
本実施形態では、青紫色LD14aが追加されるため、2種類の1次光を切り替えて出射でき、照明光の色を切り替えることができる。これにより、被観察体Sの観察モードに応じた照明光を提供できる。
青紫色レーザー光が利用される場合であっても、第1,2光変換部材110,120から発生する熱が第1,2光変換部材110,120に集中することを抑制でき、温度上昇に対して変換効率の低下を低減でき、明るい照明光を提供できる。
青色レーザー光と青紫色レーザー光とが同時に利用される場合であっても、第1,2光変換部材110,120から発生する熱が第1,2光変換部材110,120に集中することを抑制でき、温度上昇に対して変換効率の低下を低減でき、明るい照明光を提供できる。また青色レーザー光と青紫色レーザー光との比率が調整されることによって、照明光の色を調整できる照明装置10を提供できる。
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能である。