図1を参照すると、高水準の視点からの光遺伝学ベースのニューロモジュレーション介入は、光遺伝学的励起および/または光遺伝学的阻害により容易とされうる、所望の神経系の機能的モジュレーションの決定(2)と、それに続く、このような転帰をもたらす患者内の神経構造資源の選択(4)と、標的化される神経構造のニューロン内で発現する光応答性オプシンタンパク質をコードする、有効量のポリヌクレオチドの送達(6)と、標的化される神経構造の十分な部分が、光へと曝露されると、光応答性オプシンタンパク質により駆動される電流を実際に発生させることを確保するように、ある時間にわたり待機すること(8)と、光を、標的化される神経構造へと送達して、このような神経構造の、その中における光応答性オプシンタンパク質の存在を介する、制御された、特異的な励起および/または阻害を引き起こすこと(10)とを伴い、これは、膜を介してイオンを輸送することにより、ニューロンまたは他の細胞の膜電位をモジュレートすることができる。
上記で言及した通り、光遺伝学ベースのニューロモジュレーション介入は、光遺伝学的励起および/または光遺伝学的阻害により容易とされうる、所望の神経系の機能的モジュレーションの決定と、それに続く、このような転帰をもたらす患者内の神経構造資源の選択と、標的化される神経構造のニューロン内で発現する光応答性オプシンタンパク質をコードする、有効量のポリヌクレオチドの送達と、標的化される神経構造の十分な部分が、光へと曝露されると、光応答性オプシンタンパク質により駆動される電流を実際に発生させることを確保するように、ある時間にわたり待機することと、光を、標的化される神経構造へと送達して、このような神経構造の、その中における光応答性オプシンタンパク質の存在を介する、制御された、特異的な励起および/または阻害を引き起こすこととを伴う。
前述の難題の一部に取り組むのに、トランスジェニック動物の開発および使用が活用されているが、ヒト医療では、このような技法は適さない。光応答性オプシンをin vivoの細胞へと送達する手段が要求されており、この目標を達成するのに使用されうる、多数の潜在的方法が存在する。これらは、ウイルス媒介型遺伝子送達、電気穿孔、光穿孔、超音波、ハイドロダイナミック送達、あるいは直接的注射によるネイキッドDNAの導入、またはカチオン性脂質もしくはポリマーなど、さらなる促進剤で補充されたネイキッドDNAの導入を含む。
ウイルス発現系は、標的化される神経構造内の頑健な発現レベルのための、高コピー数と組み合わされた、迅速かつ多目的な実装という二重の利点を有する。細胞特異性は、プロモーターが、小型であり、特異的である場合、標的化の局在化により、かつ、特定の細胞または細胞突起のオプシン活性化の制限(すなわち、標的化型照明を介する)により、プロモーターの選択を介して、ウイルスにより得ることができる。ある実施形態では、オプシンを、Yizharら、2011年、Neuron、71巻:9〜34頁において記載されている方法により標的化する。加えて、ウイルスの異なる血清型(ウイルスカプシドタンパク質またはウイルスコートタンパク質により付与される)は、異なる組織指向性を示すであろう。レンチウイルスベクターおよびアデノ随伴(「AAV」)ウイルスベクターは、オプシンを、マウス、ラット、および霊長動物の脳へと導入するのに活用されて成功している。他のベクターは、レトログレード輸送タンパク質(例えば、狂犬病Gタンパク質)で偽型化されたウマ伝染性貧血ウイルス、および単純ヘルペスウイルス(「HSV」)を含むがこれらに限定されない。
加えて、これらは、有害作用の報告なしに、十分に忍容されており、比較的長期間にわたり高度な発現がなされており、長期にわたる処置パラダイムに機会を与えている。レンチウイルスは、例えば、標準的な組織培養法および超遠心分離法を使用して容易に産生させうるが、AAVは、個々の実験室により、またはコアのウイルス施設を介して、信頼できる形で産生させることができる。AAVは、その安全性プロファイルのために好ましいベクターであり、AAV血清型1および6は、霊長動物における筋内注射後に、運動ニューロンに感染することが示されている。加えて、AAV血清型2は、ヒト患者において発現し、十分に忍容されていることも示されている。
組換えウイルスベクター内にパッケージングされた所望のオプシン配列およびプロモーター配列/触媒配列をコードするDNAの送達を一般に含むウイルス発現法は、哺乳動物において、標的化される神経構造に効果的にトランスフェクトし、遺伝物質を標的化されるニューロンの核へと送達し、これにより、このようなニューロンが、感光性タンパク質を産生するように誘導し、感光性タンパク質が、ニューロン細胞膜全体を移動し、そこで、介入システムの照明構成要素に機能的に利用可能となるように活用されて成功を収めている。ウイルスベクターは、「オプシン発現カセット」と称しうるものをパッケージングし、「オプシン発現カセット」は、オプシン(例えば、ChR2、NpHR、Archなど)と、標的化される細胞のセット内の特定のオプシンの発現を駆動するように選択されるプロモーターとを含有することが典型的である。アデノ随伴ウイルス(AAV)の場合、目的の遺伝子(オプシン)は、1つのオプシン発現カセットだけを伴う一本鎖構成の場合もあり、配列が互いと相補的であり、ヘアピンループにより接続されたオプシン発現カセットの2つのコピーを伴う、自己相補性構造の場合もある。自己相補性AAVは、より安定的であり、より高度な発現レベルを示し、より迅速な発現を示すと考えられる。多様な数の血清型を使用して、それらのカプシドタンパク質および組織指向性が変化する血清型を伴う、目的の遺伝子を発現させることができる。潜在的なAAV血清型は、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、およびAAV9を含むがこれらに限定されない。カセット内のプロモーターは、ヒトシナプシンプロモーター(「hSyn」)またはヒトThy1プロモーター(「hThy1」)の場合など、標的化される組織に特異性を付与することが可能であり、これにより、ニューロン内のその制御下における、遺伝子のタンパク質発現が可能となる。代替的に、それらの各々が、神経特異的でなく、それらの各々が、神経変性疾患のための遺伝子治療の試みにおいて安全に活用されている、ヒトサイトメガロウイルス(「CMV」)プロモーター、またはニワトリベータ−アクチン(「CBA」)プロモーターなどの遍在性プロモーターも活用することができる。別の例は、ヒト伸長因子1アルファプロモーター(EF1a)であり、これもまた、遺伝子の普及型発現を可能とする。オプシンを保有するウイルス構築物は、特異的な細胞集団のために最適化されるが、このような例示的な例に限定されない。
標的化される神経構造のニューロン内で発現させる光応答性オプシンタンパク質を含むウイルスの送達は、1または複数の構成における、注射、点滴、吸入、またはエアゾール化を伴いうる。非限定的な例を目的として述べると、咳治療構成では、送達手段は、組織構造注射(すなわち、気管へと直接施される注射、および/または肺求心性神経に標的化される注射)、神経束内注射(すなわち、迷走神経など、標的化される神経または神経束への直接的注射)、神経節注射(すなわち、神経細胞体を含む神経節への直接的注射)、点滴および/またはエアゾール化(すなわち、エアゾール化された液滴を、気管および肺の深部構造へと送達する、マイクロスプレイヤーまたは噴霧器の使用)を含みうる。これらの構成の各々については、下記でさらに詳細に探索する。
組織構造は、ウイルスを注射するために、特異的に標的化することができる。例えば、気管に直接注射して、肺求心性迷走神経を標的化することは、所望でありうる。このような実施形態では、小型の腹腔鏡のための切開部などのアクセス経路を創出して、腹腔鏡ツール(カメラ、注射針、ツールなど)を、気管上皮に接近させた後で、注射針を、神経終端の近傍において、気管へと挿入することができる。代替的に、気管の関連領域へのアクセスは、気管内壁への注射を可能とするように改変されうる気管支鏡を使用して、気管の内腔から得ることもできる。注射針は、1または複数のカメラ、超音波、蛍光顕微鏡など、利用可能な腹腔鏡イメージングツールを使用して、関連する構造へと誘導することができる。関連するベクター溶液は、注射針を介して注射することができ、この場合、ベクター溶液は、組織全体に拡散することが可能であり、神経末端(すなわち、求心性線維神経終端)に取り込まれうる。ベクター溶液は、単回ボーラス投与として注射することもでき、組織構造全体への複数回にわたる注射として注射することもでき、注入ポンプを介して緩徐に(0.01〜1mL/分)注射することもできる。神経末端により取り込まれると、ベクターは、関連する軸索の全長に沿って、1または複数の関連神経系細胞体へとレトログレード輸送されうる。気管へと注射されるウイルスの注射の回数および用量は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Towneら(Gene Ther.、2010年1月、17巻(1号):141〜6頁)により実施された、霊長動物ウイルスのレトログレード輸送研究から近似することができる。この研究により、AAV6の1.3×1012ウイルスゲノムを含有する1mLの生理食塩液を、霊長動物の容量およそ30cm3の腓腹筋へと注射した後における、効率的なレトログレード輸送が裏付けられた。モルモットなど、実験動物種における気管内壁の平均表面積は、およそ5cm2であり、組織容量は、およそ1cm3であることを考慮すると、効率的なレトログレード輸送は、所望のベクターのおよそ4×1010ウイルスゲノムを含有する0.03mLの生理食塩液を使用して達成することができる。この0.03mLは、気管の表面積にわたり、ベクターを均等に分散させるように、複数の部位にわたり注射することができる。ヒトでは、気管の組織容量は、およそ35〜90cm3の範囲内である。気管筋層内でも、霊長動物腓腹筋内で見られる分布と同様の、注射されたウイルスの分布を仮定すると、気管の表面積にわたり、ベクターを均等に分散させるように、複数の部位にわたり注射された、ウイルスゲノムの合計1.3×1012〜3.9×1012を含有する、およそ1.0〜3.0mlの容量であれば、効率的なレトログレード輸送を、求心性迷走神経へともたらすと予測されるであろう。
他の実施形態では、神経線維は、直接的注射(すなわち、神経自体への注射)により標的化することができる。「神経束内」注射または「神経内」注射と称しうるこの手法は、注射針を神経束の小束へと配置するステップを伴う。神経束内注射は、比較的大きな標的(例えば、迷走神経の全体にわたる線維)を支配しうるニューロンを、1回の注射で特異的に標的化することを可能とするため、好適な手法である。関連するベクター溶液は、注射針を介して注射することができ、この場合、ベクター溶液は、神経束の全体に拡散しうる。次いで、ベクターは、能動的(受容体媒介型)手段または受動的(無傷の膜または一過性に破壊された膜にわたる拡散)手段を介して、個々の軸索線維に入りうる。軸索に入ったら、ベクターは、上記で記載した通り、レトログレード輸送機構を介して、細胞体へと送達されうる。神経へと注射されるウイルスの注射の回数および用量は、神経のサイズに依存し、成功した形質導入研究から外挿することができる。例えば、マウスの坐骨神経(直径およそ0.3mm)への、AAVの1×109vgを含有する0.002mLの生理食塩水の注射は、痛覚に関与する感覚ニューロンへの、効率的なトランス遺伝子送達を結果としてもたらすことが示されている。同様にまた、ラットの坐骨神経(直径1mm)への、AAVの1〜4×1010vgを含有する0.010mLの生理食塩水の注射も、所望のトランスフェクション結果を達成した。ヒトにおける迷走神経は、直径およそ3mmであり、これらの関連する研究からのデータの外挿によれば、1×1010〜1×1014vgを含有する0.1mLの生理食塩水の、迷走神経束への直接的注射を使用して、トランス遺伝子を、これらのニューロンへと効率的に送達するように、神経にトランスフェクトすることができる。全ての場合において、ベクター溶液は、単回ボーラス投与として注射することもでき、神経束に沿った複数回にわたる注射として注射することもでき、注入ポンプを介して緩徐に(0.001〜0.1mL/分)注射することもできる。
上述の通り、神経節への注射を活用して、末梢神経の神経系細胞体を標的化することができる。神経節は、末梢神経系の感覚ニューロンからなる。注射針を、細胞体を含有する神経節へと挿入し、注射針を介して、ベクター溶液を注射することができ、この場合、ベクター溶液は、組織全体に拡散することが可能であり、細胞体(細胞数百〜数千個)に取り込まれうる。一実施形態では、神経節1つ当たりのAAVの1×1011vg〜1×1014vgを含有する、用量およそ0.1mLの生理食塩水を使用することができる。迷走神経の節状神経節または頸静脈神経節は、皮膚を切開し、次いで、筋肉、筋膜、および腱の分離を介して神経節を露出させることにより標的化することができる。注射針は、神経節(カメラ、または蛍光顕微鏡など、他のイメージングデバイスにより直接視覚化される)へと誘導することができる。全ての場合において、ベクター溶液は、単回ボーラス投与として注射することもでき、注入ポンプを介して緩徐に(0.001〜0.1mL/分)注射することもできる。これらの範囲は、例示的なものであり、用量は、それらを標的化されるニューロンと組み合わせる、各ウイルス−プロモーター−オプシン構築物について調べる。
また、ウイルスの点滴またはエアゾール化も、求心性感覚迷走神経を特異的に標的化するのに使用することができる。点滴では、気管支鏡を使用しながら、AAVを含有するマイクロスプレイヤーを、気管へと挿入し、AAVの1×1010vg〜1×1014vgを伴う、用量0.1〜2mLの生理食塩水を、気管粘膜へと直接スプレーすることができる。エアゾール化では、AAVは、噴霧化を介して送達することができる。AAVの1×1010vg〜1×1014vgを伴う、1〜5mLの生理食塩水は、気管および肺の求心性迷走神経を特異的に標的化するように、噴霧器の使用を介して吸入することができる。点滴またはエアゾール化では、神経末端により取り込まれると、ベクターは、関連する軸索の全長に沿って、1または複数の関連神経系細胞体へとレトログレード輸送されうる。
エアゾール化または点滴の前に、ペルフルオロ系化合物(PFC)で前処理することにより、肺神経末端によるAAVの取込みを改善することができる。ペルフルオロ系化合物は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Beckettら(Human Gene Therapy Methods、2012年4月、23巻:98〜110頁)による研究において記載されている通りに援用することができる。この研究は、AAV送達の6時間前に、PFCで前処理することにより、AAVの取込みが500%を超えて増大することを裏付けた。この研究から外挿すると、ベクター投与前のPFC処理を使用して、遺伝子発現を増強することができる。
標的化される神経構造への遺伝子の送達の後、標的化される神経構造の十分な部分が、光へと曝露されると、光応答性オプシンタンパク質を発現させることを確保する、発現期間が一般に要求される。この待機期間は、約2週間〜6カ月間の間の期間を含みうる。この期間の後に、光を、標的化される神経構造へと送達して、所望の治療を容易とすることができる。このような光の送達は、下記でさらに詳細に記載される通り、経皮型構成、植込み型構成、多様な照明波長を伴う構成、パルス型構成、組織インターフェースなどを含む、多くの異なる構成の形態を取りうる。
図2を参照すると、適切な光送達システムは、光出力を標的化される組織構造へと供給するように構成された1または複数のアプリケーター(A)を含む。光は、アプリケーター(A)構造自体内で発生させることもでき、1または複数の送達セグメント(DS)を介して、アプリケーター(A)へと作動的にカップリングさせた、ハウジング(H)内で発生させることもできる。1または複数の送達セグメント(DS)は、光をアプリケーター自体内で発生させない場合に、光をアプリケーター(A)へと輸送または誘導するのに役立つ。アプリケーターおよび/または送達セグメントは、光送達エレメントまたは光送達エレメントを形成するアセンブリーであると考えることができる。光をアプリケーター内で発生させる場合、アプリケーターのうちの、光源と標的組織との間の部分は、光送達エレメントであると考えることができる。光をアプリケーター(A)内で発生させる、ある実施形態では、送達セグメント(DS)は単に、ハウジング(H)に対して遠位であるか、またはハウジング(H)から遠隔に配置されうる、光源および/または他の構成要素へと電力を供給する電気コネクターを含みうる。1または複数のハウジング(H)は、電力を光源へと供給し、例えば、遠隔測定サブシステム、通信サブシステム、制御サブシステム、および充電サブシステムを含む、他の電気回路を作動させるように構成することが好ましい。外部プログラマーおよび/またはコントローラー(P/C)デバイスは、患者の体表から、プログラマーおよび/またはコントローラー(P/C)デバイスとハウジング(H)との間の経皮誘導コイル構成を介するなど、無線通信または遠隔測定を容易とするように構成されうる通信リンク(CL)を介して、ハウジング(H)へと作動的にカップリングさせるように構成することができる。プログラマーおよび/またはコントローラー(P/C)デバイスは、入力/出力(I/O)ハードウェアおよびソフトウェア、メモリ、プログラミングインターフェースなどを含むことが可能であり、スタンドアローンシステムの場合もあり、他のコンピューティングシステムまたは保存システムへと作動的にカップリングさせるように構成する場合もある、パーソナルコンピューティングシステム内に格納されうる、マイクロコントローラーまたはプロセッサー(CPU)により、少なくとも部分的に作動させることができる。
図3Aおよび3Bを参照すると、上記で記載した通り、多様な波長における光曝露に応答する励起機能性および阻害機能性をもたらすのに、多様なオプシンタンパク質構成が利用可能である。図3A(1000)は、3つの異なるオプシンについて、波長を活性化と対比して描示し、図3B(1002)は、多様なオプシンはまた、臨床的に活用しうる、ドメイン活性化についての時間署名も有することを強調するが、例えば、ある特定の階段関数型オプシン(「SFO」)は、光による刺激後30分間の範囲で続く活性化をもたらすことが公知である。
図3C(1004)を参照すると、比較的低電力で、多様な波長を伴う照明をもたらす、様々な発光ダイオード(LED)が市販されている。図2を参照しながら上記で記載した通り、一実施形態では、光は、ハウジング(H)内で発生させ、送達セグメント(DS)を介して、アプリケーター(A)へと輸送することができる。光はまた、多様な構成にあるアプリケーター(A)において、またはアプリケーター(A)内でも発生させることができる。このような構成では、送達セグメント(DS)は、光伝送能を伴わない導線または電線からなりうる。他の実施形態では、光は、送達セグメント(DS)を使用して、アプリケーター(A)の地点において、または送達セグメント(DS)自体(例えば、1つの場合には、DSは、ファイバーレーザーでありうる)に沿った、1もしくは複数の地点において、対象の組織構造へと送達するように、送達することができる。図3C(1004)を再度参照すると、LED(または代替的に、この無機システムと有機LEDとの顕著な差違を描示する「ILED」)は、半導体光源であることが典型的であるが、可視波長、紫外波長、および赤外波長にわたり、比較的高度な輝度で発光する変化形も利用可能である。発光ダイオードに順方向バイアスをかける(発光ダイオードをオンにする)と、電子は、デバイス内の電子正孔と再結合し、エネルギーを光子の形態で放出することが可能である。この効果は、電界発光と呼ばれ、光の色(光子のエネルギーに対応する)は、半導体のエネルギーギャップにより決定される。LEDは、面積が小さい(1mm2未満)ことが多く、組み込まれた光学部品を使用して、その放射パターンを形作ることができる。一実施形態では、例えば、Cree Inc.により製造され、20mAで24mWを供給する炭化ケイ素デバイスを含む、LEDの変化形は、照明供給源として活用することができる。
有機LED(または「OLED」)とは、発光性の電界発光層が、電流に応答して光を発する有機化合物の被膜である、発光ダイオードである。この有機半導体材料の層は、可撓性であるように作製されうる、2つの電極の間に位置する。これらの電極のうちの少なくとも1つは、透明となるように作製することができる。不透明型電極は、後で説明される通り、光アプリケーター上の外部表面に沿って、反射層として役立つように作製することができる。OLEDは、それらの固有の可撓性により、本明細書で記載される光アプリケーターであって、下記でさらに詳細に記載される通り、それらの標的に適合するか、または可撓性もしくは可動性の基質へとカップリングさせた光アプリケーターなどの光アプリケーター内で使用される。しかし、それらの比較的小さな熱伝導性のために、OLEDは典型的に、面積当たりで発する光が、無機LEDより小さいことに注目されたい。
本明細書で記載される本発明のシステムの実施形態に適する他の光源は、ポリマーLED、量子ドット、発光電気化学セル、レーザーダイオード、垂直共振器面発光レーザー、および水平共振器面発光レーザーを含む。
ポリマーLED(または「PLED」)は、外部電圧へと接続されると光を発する、電界発光導電性ポリマーを伴い、発光ポリマー(「LEP」)もまたこれを伴う。これらは、全スペクトルにわたるカラーディスプレイのための薄膜として使用されている。ポリマーOLEDは、極めて効率的であり、要求する電力量が、発生させる光の量に対して比較的少量である。
量子ドット(または「QD」)とは、固有の光学特性を保有する半導体ナノ結晶である。それらの発光色は、可視スペクトル〜赤外スペクトルにおいて調整することができる。QDは、OLEDと同様の様式で構築される。
発光電気化学セル(「LEC」または「LEEC」)とは、電流から光を発生させる(電界発光)固体デバイスである。LECは通例、可動性イオンを含有する有機半導体を接続した(例えば、「サンドイッチ加工」)2つの電極から構成することができる。可動性イオンを別にすると、それらの構造は、OLEDの構造と極めて類似する。LECは、OLEDの利点の大半のほか、いくつかのさらなる利点であって、
・デバイスが、電極の仕事関数の差違に依存しない利点。結果として、電極は、同じ材料(例えば、金)から作製することができる。同様に、デバイスを、低電圧でもなお作動させうる利点;
・グラフェンまたはカーボンナノチューブとポリマーとのブレンドなど、近年開発された材料を電極として使用し、透明電極のために酸化インジウムスズを使用する必要を排する利点;
・活性電界発光層の厚さが、デバイスが作動するためにそれほど重要ではなく、LECを比較的廉価のプリンティング工程でプリントしうる(この場合、被膜の厚さに対する制御は困難でありうる)利点
を含む利点も有する。
半導体レーザーは、様々な出力色または出力波長で利用可能である。異なる様々な構成であって、本発明において役立つ構成も同様に利用可能である。窒化インジウムガリウム(InxGa1−xN、または単なるInGaN)によるレーザーダイオードの輝度出力は、405、445、および485nmのいずれにおいても大きく、これは、ChR2の活性化に適する。発光波長は、材料のバンドギャップに応じて、GaN/InN比により制御することができ、0.2In/0.8Gaでは青紫の420nm、0.3In/0.7Gaでは青の440nmに制御することができ、より大きな比では赤まで制御することができ、また、典型的には、2〜3nmの範囲である、InGaN層の厚さによっても制御することができる。
レーザーダイオード(または「LD」)とは、その活性媒質が、発光ダイオード内で見出される活性媒質と同様に、半導体であるレーザーである。レーザーダイオードの最も一般的な種類は、pn接合から形成され、注入される電流を電源とする。前者のデバイスを、場合によって、注入型レーザーダイオードと称して、光励起型レーザーダイオードから識別する。レーザーダイオードは、結晶ウェハーの表面上に極薄層をドーピングすることにより形成することができる。結晶をドーピングして、n型領域およびp型領域を、一方を他方の上に作製する結果として、pn接合またはダイオードをもたらすことができる。レーザーダイオードは、半導体によるpn接合ダイオードの大分類のサブセットを形成する。レーザーダイオードを隔てて、電気的に順方向バイアスをかけると、2種の電荷担体(正孔および電子)が、pn接合の向い側から、空乏領域へと「注入」される。正孔は、p型にドーピングされた半導体から注入され、電子は、n型にドーピングされた半導体から注入される。電荷担体を欠く空乏領域は、n型半導体とp型半導体とが物理的に接触すればいつでも、それらの電位差の結果として形成される。大半のダイオードレーザーでは、電力を供給するのに電荷注入を使用するため、このクラスのレーザーを、場合によって、「注入型レーザー」または「注入型レーザーダイオード」(「ILD」)と称する。ダイオードレーザーは、半導体デバイスであるので、それらはまた、半導体レーザーと分類することもできる。いずれの呼称も、ダイオードレーザーを、固体レーザーから識別する。一部のダイオードレーザーに電力を供給する別の方法は、光ポンピングの使用である。光励起型半導体レーザー(または「OPSL」)では、III−V族半導体チップを、利得媒質として使用し、別のレーザー(別のダイオードレーザーであることが多い)を、ポンプ光源として使用する。OPSLは、ILDを凌ぐ複数の利点であって、具体的には、波長の選択および内部電極構造からの干渉の欠如による利点をもたらす。電子と正孔とが同じ領域内に存在する場合、それらは、再結合するか、または「打ち消し合う」結果として、自発的発光をもたらす:すなわち、電子は、正孔のエネルギー状態を再占拠し、関与する電子状態と正孔状態との差違に等しいエネルギーを伴う光子を放出しうる(従来の半導体接合ダイオードでは、電子と正孔との再結合から放出されるエネルギーは、光子としてではなく、フォノン、すなわち、格子振動として運び去られる)。自発的発光は、レーザーダイオードに、発振閾値の下方で、LEDと同様の特性を与える。自発的発光は、レーザー発振を誘発するのに必要であるが、レーザーが発振し始めると、複数の低効率の光源のうちの1つとなる。光子放出型半導体レーザーと、従来のフォノン放出型(非発光型)半導体接合ダイオードとの差違は、異なる種類の半導体であって、その物理的構造および原子構造により、光子放出の可能性が付与される半導体の使用にある。これらの光子放出型半導体は、いわゆる「直接バンドギャップ」型半導体である。単一元素型半導体である、ケイ素およびゲルマニウムの特性は、光子放出を可能とするのに必要とされる形では整列しないバンドギャップを有し、「直接的」とは考えられない。他の材料、いわゆる化合物半導体は、ケイ素またはゲルマニウムと事実上同一な結晶構造を有するが、2つの異なる原子種の交互配置を、格子様パターンで使用して、対称性を破る。交互パターンにある材料間の遷移は、極めて重要な「直接バンドギャップ」特性を創出する。ヒ化ガリウム、リン化インジウム、アンチモン化ガリウム、および窒化ガリウムは全て、光を発する接合ダイオードを創出するのに使用しうる化合物半導体材料の例である。
垂直共振器面発光レーザー(または「VCSEL」)は、従来のレーザーダイオードのように、電流の流れに対して垂直ではなく、電流の流れの方向に沿って、光共振器軸を有する。このような構成では、放射が、その端面からではなく、共振器の表面から射出されるように、活性領域長が、横方向の寸法と比較して極めて短い。共振器の末端における反射材は、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層する4分の1波長の厚い多層構造から作製された、誘電体による鏡である。VCSELは、モノリシックの光学構造の作製を可能とする。
水平共振器面発光レーザー(または「HCSEL」)は、標準的な端面発光レーザーダイオードのパワーおよび高い信頼性を、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)のコストの低さおよびパッケージ化のたやすさと組み合わせる。HCSELはまた、オンチップ集積型オプトロニクスパッケージまたはオンチップ集積型フォトニクスパッケージにおいても役立つ。
光遺伝学的チャネルが存在する神経細胞膜において要求される照射量は、0.05〜2mW/mm2のオーダーであり、オプシンチャネルの発現密度、活性化閾値など、多数の要素に依存する。ニューロン内に存在する修飾ハロロドプシンは、波長を約520nm〜約600nmの間とし、一例では、約589nmとし、強度を約1mW/mm2〜約5mW/mm2の間など、約0.5mW/mm2〜約10mW/mm2の間とし、一例では、約2.4mW/mm2とする緑色光または黄色光でニューロンを照明することにより活性化させることができる。励起スペクトルは異なりうるが、同様の曝露値が、他のオプシンにもまた当てはまる。例えば、「阻害型」チャネル(「iChR」または「SwiChR」と称する「阻害型」チャネルなど)は、開放し、大量のCl−イオンを通過させ、これにより、ニューロンをより効果的に過分極させ、したがって、細胞を高効率および高感度で阻害するのに活用することができる。これらのオプシンの活性スペクトルは、ChRおよびChR2の活性スペクトルと同様であり、ピーク応答は、約460nmにおいて生じる。阻害型ポンプについて記載されている照射量レベルと同様の照射量レベルはまた、これらのチャネルを活性化させるのにも使用することができる。しかし、曝露のデューティーサイクルは、チャネル寿命が長いために使用することができる、イオンポンプを活性化させるためのデューティーサイクルよりはるかに低値でありえ、吸収される光子1つ当たり複数のイオンが輸送されることを可能とする。阻害型チャネルのリセット(閉止)は、波長範囲を580〜650nmとし、強度を約0.05mW/mm2〜約10mW/mm2の間とする赤色光を使用して達成することができる。大半のオプシン発現標的は、組織内または他の構造内に含有されているため、アプリケーターから発せられる光は、標的自体において必須の値に達するために、高値であることが必要でありうる。光の強度または照射量は、不透明な媒質である組織内の光散乱に主に起因して失われる。これもまた標的の曝露を減殺しうる、血液などの内因性発色団による寄生吸収もまたなされる。これらの効果のために、アプリケーターの出力時に要求される照射量範囲は、本明細書で記載される例の大半について、1〜100mW/mm2の間である。図4を参照すると、実験は、例えば、光ファイバー(OF)からの照明(I)への、直径1mmの神経束(N)の片側曝露について、測定された応答(任意の単位において)を、照射量(または光パワー密度;単位:mW/mm2)と対比したものが、図5(1006)で描示されるグラフに示される通り、漸近的となることを示した。オプシンタンパク質のこの特異的構成、発現密度、照明の配置、およびパルスパラメータについては、20mW/mm2を超えると、目覚ましい改善は見られない。しかし、この結果を使用して、光学特性およびオプシンタンパク質の発現密度が同様な他の標的に対する照射量の要件を見積もることができる。図5(1006)におけるデータは、神経細胞物質についての光拡散近似モデルであって、照射量(I)が、以下の関係:I=Ioe−(Qμz)に従うモデルにおいて使用することができる。結果として得られる式は、以下の実験データによく当てはまり、この結果を、図6(1008)のプロットに示す。詳細については、下記でさらに論じられる。
光侵入深さδとは、光を、その初期値のe−1(約37%)へと減衰させる組織の厚さであり、以下の拡散近似:
[式中、μaは吸収係数であり、μs’は等価散乱係数である]により与えられる。等価散乱係数とは、散乱係数μsと、異方性g:μs’=μs(1−g)[cm−1]とを組み込む、集中特性である。μs’の目的は、ステップサイズを1/μs’[cm]とするランダムウォークであって、各ステップが等方性散乱を伴うランダムウォークにおける光子の拡散について記載することである。このような記載は、吸収イベントの前に多くの散乱イベントが存在する場合、各々が部分偏角θだけを伴う、多くの小ステップ1/μsを使用する光子の移動についての記載と等価である、すなわち、μa<<μs’である。散乱の異方性gは、実質的に、散乱角θの期待値である。さらに、μeffは、物質の吸収および散乱に関する情報の総体を含有する集中パラメータであり、μeff=Sqrt(3μa(μa+μs’))である。大脳皮質は、灰白質(神経細胞体のうちの大部分)の表層を構成し、内部には白質が存在し、軸索間の通信を担う。白質は、軸索周囲の髄鞘により形成される複数の層のために白く見え、これは、脳の、高度に不均質かつ異方性である散乱特性の由来であり、公表された光学特性を伴う神経組織の光学計算における使用に適する代用組織である。
前出で記載した通り、組織内の一次元照射量プロファイルIは、以下の関係:I=Ioe−(Qμz)[式中Qは、特徴付けられる材料であって、間質液または生理食塩水など、光学的に中性の物質により取り囲まれた材料の容量分率である]に従う。大半の神経の場合、断面画像から、Q=0.45を推定することができる。組織の光輸送特性は、標的または標的を取り囲む組織を介して、照射量の指数関数的減少をもたらす(本出願に重要でない一時的拡散を無視する)。図6を参照しながら上記で記載したプロットは、理論とモデルとの良好な一致を例示することから、手法の妥当性が確認される。また、上記の光学パラメータにより計算される光侵入深さは、上記で記載した例について、測定される応答を照射量と対比する実験観察と合理的な形で十分に一致することも見ることができる。
さらに、多指向性照明の使用も、本明細書で記載されている通り、この要求を低減するのに役立つ可能性があり、したがって、制限形状として考えうるのは、標的の半径であり、直径ではない。例えば、上述の、1mmの神経を、片側からだけでなく、向かい合う2つの側から照明する場合、標的組織の有効厚さは今や、元の1/2となるため、必要とされる照射量は、約6mW/mm2だけとなることがわかる。これは、単純な線形系ではなく、または、照射量値は、20/2=10mW/mm2となったことに注目されたい。乖離は、照射場の端部において入射パワーの重大な減衰をもたらす、光子輸送過程の指数関数的性格による。したがって、深く、厚く、かつ/または包埋された組織標的のために効率上の利点をもたらす照明方向の数には、実際的な限界が存在する。
非限定的な例を目的として述べると、直径2mmの神経標的は、周方向に照明する場合、1mmの厚さの標的と考えることができる。頸部における迷走神経の有効直径は、約1.5〜約3ミリメートルの間である。周方向型および/または広範型照明を援用して、直接取り扱うことができない、大型構造および/または閉鎖的標的のために、電気的かつ光学的に効率的な、光遺伝学的標的の活性化を達成することができる。これを、光ファイバーOF1およびOF2により、標的化される組織構造(N)を、直径方向に向かい合う側から、それぞれ、照明場I1およびI2で照明する、図7に例示する。代替的に、照明の物理的長さを延長して、小領域へと限定された強い照明と関連する、相応の発熱を伴わずに、発現するオプシンタンパク質のより大きな光活性化をもたらすこともできる。すなわち、エネルギーを大きな領域に拡散させて、限局的温度の上昇を低減することができる。さらなる実施形態では、下記でさらに詳細に論じられる通り、アプリケーターは、ハウジングのプロセッサーへとフィードバックを施して、温度の上昇が過剰でないことを確保するように、抵抗温度検出器(RTD)、熱電対、またはサーミスタなどの温度センサーを含有しうる。
上記の例から、直径2.5mmの迷走神経内のニューロンまたはニューロンのセットの活性化は、前出と同様に、半径を標的組織の厚さと考えると、図6を参照しながら上記で記載した曲線を使用して見ることができる通り、≧5.3mW/mm2の外部表面照射量を使用し、後で記載される光アプリケーターを介して、名目上、周方向に照明することができる。しかし、これは、2.5mmの標的直径または厚さに要求される28mW/mm2に対する大幅な改善である。この場合、標的の表面積が増大しているので、図8に示される通り、光ファイバーOF3およびOF4を使用して、照明場I3およびI4をもたらすようにシステムを構成して、上記の実施形態による2つの向かい合う照明システムセットを使用することができる。光遺伝学的システムのデザインではまた、熱についての懸案事項も理解し、考慮する必要があり、過剰な照射量は、これに応じた温度の大幅な上昇を引き起こすであろう。したがって、従来の電気刺激またはデルタT≦2.0℃の「e−stim」デバイスにより可能とされる温度上昇へと適用される調節限界のために、組織内に包埋された標的へと、約2mmを超える有効深さで、より直接的な光学的アクセスをもたらすことが有益でありうる。
上記で記載した通り、本発明による使用に適する光アプリケーターは、様々な形で構成することができる。図9A〜9Cを参照し、スプリング様形状を伴う螺旋状アプリケーターを描示する。このような構成は、それを一時的または恒久的にカップリングさせる、神経、神経束、血管、または他の構造など、標的化される組織構造(N)と共にたやすく屈曲し、かつ/またこれらに適合するように構成することができる。このような構成は、構造を標的へと「ねじ込む」ことにより、このような標的化される組織構造(N)へとカップリングさせることもでき、標的を取り囲むか、または標的へとカップリングした、1または複数の組織構造へとカップリングさせることもできる。図9Aの実施形態に示される通り、導波路は、送達セグメント(DS)へと接続される場合もあり、送達セグメント(DS)の連続的な部分の場合もあり、アプリケーターへは、コネクター(C)を介して接続しうるので、アプリケーター(A)からは分離可能である。代替的に、導波路は、コネクターを伴わずに、アプリケーター部分へと固定し、取り外し不可能とすることもできる。これらの実施形態はまた、いずれも、本明細書で記載される手術手順に関しても記載される。コネクター(C)は、送達セグメント(DS)の遠位端およびアプリケーターの近位端の両方を挿入するスリップフィットスリーブとして役立つように構成することができる。送達セグメントが、光ファイバーなどの光導管である場合、送達セグメントは、軸のアライメントのずれを許容するように、アプリケーターの導波路と比較して、いくぶん小さなサイズとすることが好ましい。例えば、コア直径を50μmとするファイバーを、送達セグメント(DS)として使用して、アプリケーター(A)内の、直径を100μmとする導波路へとカップリングさせることができる。このような50μmの軸公差は十分に、機械加工工程および成形工程の両方を含む、今日の作製技術の能力の範囲内にある。本明細書では、導波路という用語を、光の出力結合を除き、名目上はその中を伝搬して、特に標的を照明するように、光を閉じ込める光導管について記載するのに使用する。
図50は、例示的な実施形態であって、コネクター(C)が、断面が実質的に円形である送達セグメントDS1およびアプリケーター(A)の上にぴったりとはまることを可能とするように、ポリマー材料から作製された、単一の可撓性の部品を含みうる実施形態を示す。これらは、シール1およびシール2として示される、実質的な防水シールであって、細胞、組織、体液、および/または他の生体物質が、光インターフェース(O−INT)に入ることを実質的に防止する防水シールを創出する、光ファイバーなどの導波路、ならびにアプリケーター上、および/または送達セグメント上、および/またはハウジング上の類似の接合構造でありうる。
図51は、代替的な例示的実施形態であって、コネクター(C)が、光学的接続をシーリングするのに、デバイスの全体に依拠するのではなく、シール0〜シール4として示される、シールのセットを含みうる実施形態を示す。非限定的な例を目的として述べると、o型リング、一重のリップシールおよび二重のリップシール、ならびにワイパーシールなど、様々な異なるシーリング機構を活用することができる。使用しうる材料は、非限定的な例を目的として述べると、ニトリル(S1037などのNBR)、Viton、シリコーン(V1039、S1083、およびS1146などのVMQ)、Neoprene、Chloroprene(CR)、エチレンプロピレン(E1074およびE1080などのEPDM)、ポリアクリル酸(ACM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、およびフルオロシリコーン(FVMQ)である。シール0〜シール4については、シールブッシング(SB)内に存在する例示的な実施形態で示す。
代替的に、シールは、送達セグメントおよび/またはハウジングおよび/またはアプリケーターの構成要素とすることもできるが、この場合、固定シールにより、1つの挿入シールが排されることから、システムの頑健性を改善することができる。このようなハイブリッドシステムを、図52に示すが、この図では、送達セグメントDS1を、コネクター(C)へと挿入し、シールであるシール2、シール3、およびシール4に、送達セグメントDS1の周りの実質的な防水シールを創出させることにより、光インターフェース(O−INT)における接続を確立する一方で、シール1は、コネクター(C)へと組み込むように、アプリケーター(A)を、その従属構成要素であるコネクター(C)と恒久的に連結する、一体型シールとしてシール1を示す。
代替的に、または他の実施形態に加えて、非限定的な例を目的として述べると、Loctite 4601などの生体適合性接着剤を使用して、接続される構成要素を接着することができる。他の接着剤も、本発明の範囲内にあると考えられるが、Loctite 4601などのシアノアクリル酸は、せん断強さが比較的小さく、交換では、可撓性スリーブを、接合させた構成要素から、引き延ばし、分離することにより、患者を害する無用の危険性を伴わずにはがすことができる。しかし、光インターフェース(O−INT)における透明性を維持するには、注意が必要である。
図53は、代替的な例示的実施形態であって、コネクター(C)が、高精度スリーブであるスプリットスリーブ(SSL)であって、光学エレメントを、光インターフェース(O−INT)において、軸方向に整列させるように構成されている、SSLをさらに含みうる実施形態を示す。非限定的な例を目的として述べると、直径1.25mmおよび直径2.5mmの光ファイバーフェルール(図示しない)の両方をカップリングさせるための、ジルコニアセラミック製のスプリットスリーブは、高精度のセンタリングをもたらすのに使用することができ、これらの部品は全て、アダマント株式会社から市販されている。同様に、同じスプリットスリーブ法を使用して、他の直径も、光ファイバー自体などの光学エレメントのバットカップリングに適合させることができる。
図54は、代替的な例示的実施形態であって、コネクター(C)の図52〜53のシールを、送達セグメントDS1の外周の周りにはまり、ギャップであるギャップ1およびギャップ2を創出するのに役立つシールであるシール2〜シール4からなる、一体型シーリング機構で置きかえた実施形態を示す。別個のシーリングエレメントを活用するのではなく、示されるシーリングエレメントは、統合型スリーブの一部となるように作製する。
代替的に(図示しないが)、シーリング機構は、ねじ式機構を活用して、シーリングエレメントに軸圧をかけて、細胞、組織、体液、および/または他の生体物質が、光インターフェースに入ることを実質的に防止する、実質的な防水シールを創出するように構成することもできる。
図9A〜9Cおよび50〜54に示される通り、コネクター(C)により接続される光学エレメントは、例示的な実施形態に示される光ファイバーでありうる。それらはまた、送達セグメント、ハウジングからの光出力、およびアプリケーター自体など、治療システムの他の部分でもありうる。
生体適合性接着剤は、カップリングの完全性を確保するように、コネクター(C)端部へと塗布することができる。代替的に、コネクター(C)は、アプリケーターまたは送達デバイスの連続的な一部となるように構成することもできる。光源をアプリケーターに配置する場合、コネクター(C)はまた、密閉型の電気接続ももたらしうる。この場合、コネクター(C)ははまた、光源を格納するのにも役立つ。光源は、効率的な光輸送のために、アプリケーターの導波路へとバットカップリングするように作製することができる。コネクター(C)は、送達セグメントまたはアプリケーターと連続でありうる。コネクター(C)は、それが、送達セグメントをアプリケーターへとセンタリングするのによりよく役立ちうるよう、複数の内部ローブを伴う断面形態を有するように作製することができる。
この実施形態におけるアプリケーター(A)はまた、標的の神経に対して光学的近位にあるアプリケーターセグメントの始端部を定める、近位接合部(PJ)も含む。すなわち、PJは、アプリケーターの光導管上の近位の位置(光がアプリケーターへと進む方向に照らして)であって、光出力を標的へと施すのに良好に配置された適切な位置である。この例では、アプリケーターを神経に沿って配置しても、標的の照明に必ずしも十分に適さない場合に要求されうる通り、デバイス全体により直線的な外観を与えるように、PJの直前のセグメントを湾曲させている。さらに、この例示的な実施形態のアプリケーターはまた、遠位接合部(DJ)、および内部表面(IS)、および外部表面(OS)も含む。遠位接合部(DJ)は、アプリケーターの終端の位置であって、標的組織を照明するのに、やはり良好に配置された適切な終端の位置を表す。アプリケーターは、DJを越えて伸展する場合もあるが、DJを越える照明は意図されない。DJはまた、鏡、再帰反射材、拡散反射材、回折格子であるファイバーブラッググレーティング(「FBG」:図11を参照しながら、下記でさらに記載される)、またはこれらの任意の組合せなどの反射エレメントであるように作製することもできる。BaSO4または他のこのような不活性の非発色性化合物の封入型「ブレッブ」から作製された積分球は、例えば、アプリケーターの導波路の遠位端に配置されると、拡散反射材として役立つ場合がある。このような散乱エレメントはまた、その空間分布および/または角度分布のために導波が無効となる光が治療用照明に所望されるのでない限り、標的領域からも離して配置すべきである。
内部表面(IS)は、アプリケーターの部分であって、例えば、図9Bにおいて、神経(N)として示される標的組織を「向く」部分について記載する。すなわち、Nは、アプリケーターのコイル内にあり、ISと光学的に通信している。すなわち、ISから出射する光は、Nへと方向付けられる。同様に、外部表面(OS)は、アプリケーターの部分であって、標的と光学的に通信していない部分について記載する。すなわち、螺旋の内部にある神経などの標的から離れて、その外部を向く部分である。外部表面(OS)は、反射表面となるように作製することができ、したがって、導波路内に光を閉じ込めるのに役立ち、内部表面(IS)を介して、標的への出力を可能とする。OSの反射率は、それに沿って沈着させた金属または誘電体の反射材の使用により達成することもでき、単に、ファイバー光学素子の根底をなす内在的機構である、全反射(「TIR」)を介して達成することもできる。さらに、内部表面(IS)は、螺旋状の導波路内に閉じ込められた光の出力結合をもたらすように、条件付けるかまたは変化させることもできる。本明細書では、出力結合という用語を、光を、導波路から、制御された様式または所望の形で出射させる過程について記載するのに使用する。出力結合は、多様な方式で達成することができる。このような一手法は、内部反射される光が、滑らかなTIRインターフェースにもはや到達しないように、ISをテクスチャリングすることでありうる。これは、ISに沿って連続的に施すこともでき、小刻みに施すこともできる。前者を、図10Aにおける、このようなテクスチャリングされたアプリケーターについての概略表示であって、ISから見た概略表示に例示する。表面テクスチャーとは、表面の粗さまたは粗度と同義である。図10Aの実施形態では、表面テクスチャーを、等方性であり、したがって、明確な指向性を欠くものとして示す。粗さの程度は、出力結合効率、またはテクスチャー領域に到達する光の量に比例して、アプリケーターから取り出される光の量に比例する。一実施形態では、構成は、「マット仕上げ」として公知であるものと類縁であると想定しうるのに対し、OSは、「光沢仕上げ」として公知であるものと類縁の、より平らで滑らかな仕上げがなされるように構成することができる。テクスチャー領域は、導波路に沿った領域または導波路内の領域であって、単純な表面処理を超える領域でありうる。テクスチャー領域はまた、標的の照明のための光の出力結合を可能とするように、導波路の断面積を減殺するか、またはこれを増大させる深さの成分も含む。
この非限定的な例では、テクスチャー領域(TA)によりテクスチャリングされた領域を含有するISは、出力カプラー(OC)に対応し、それらの間には、非テクスチャー領域(UA)が存在する。テクスチャー領域(TA)のテクスチャリングは、例えば、機械的手段(研磨など)により達成することもでき、化学的手段(エッチングなど)により達成することもできる。光ファイバーを、アプリケーターの基盤として使用する場合、コアへとカップリングさせうる、バッファー層およびクラッド層をまず除去して、テクスチャリングのためにコアを露出させることができる。導波路は、表面エッチングの深さをより均一とするために、平坦(重力に照らして)に置くこともでき、より楔形の強いエッチングのために、傾けて置くこともできる。
図10Bの概略表示を参照して、アプリケーターを、ISを下方に向けた側面から見ると、TAは、アプリケーターの周囲を、外部表面(OS)まで包み込んでいるわけではない。実際、このような実施形態では、テクスチャーは、光を、広範な立体角へと出力結合させることが可能であり、テクスチャー領域(TA)は、立体角の半径方向成分の大きさを大きくする必要がないため、TAは、アプリケーターを、周囲の半分までも包み込む必要はない。
いずれの場合も、標的へと出射される結合光の比率はまた、図10A〜11および20〜23に示される通り、ISから標的へと、より高度に均一な照明の出力結合をもたらすよう、アプリケーターに沿った位置の関数となるように制御することもできる。これは、出力結合ゾーンに遅れて(または遠位で)到達する光の比率の減少を来すように行うことができる。例えば、図10Bで概略的に例示されるこの非限定的な例において、テクスチャー領域(TA)により表される3つの出力結合ゾーンを考えると、図では、TA1、TA2、およびTA3となる。等分布の出力結合エネルギー(またはパワー)をもたらすためには、出力結合効率は、以下:TA1=33%、TA2=50%、TA3=100%の通りとなるであろう。当然ながら、異なる数の出力結合ゾーン(TAx)のために、他のこのような配分スキームを使用することもでき、下記でさらに詳細に記載される通り、出力結合効率に指向性をもたらし、再帰反射材を二経路構成において使用する場合に、他のこのような配分スキームを使用することもできる。
図10Cを参照すると、描示される代替的な実施形態では、遠位接合部(DJ)は、光伝搬の方向に照らして、TAサイズの顕著な差違を明らかにすることが特定される。
別の実施形態では、図10Dに例示される通り、テクスチャー領域TA1、TA2、およびTA3は、アプリケーターに対して、漸進的により遠位となるため、サイズを増大させる。同様に、非テクスチャー領域UA1、UA2、およびUA3は、漸進的に小さくなることが示されるが、これらはまた、一定とすることもできる。非テクスチャー領域(UAx)の広がり(または間隔、サイズ、面積など)は、最終的な照明分布を、全体としてより均一となるように制御し、そのように仕向けうる別の手段である、照明ゾーンの重複量を決定する。外部表面(OS)は、前出で記載した通り、TAから散乱させた光が、OSを介して、導波路から逸出することを防止するよう、反射性となるように作製し、デバイスの全体的効率を増強しうることに注目されたい。反射エレメントのために、コーティングを使用することができる。このようなコーティングは、例えば、金、銀、ロジウム、白金、アルミニウムなどの金属コーティングでありうるであろう。代替的に、BaSO4などであるがこれらに限定されない非発色物質による拡散性コーティングも、拡散反射材として使用することができる。
同様にして、テクスチャー領域(TA)の表面粗さも、アプリケーターに沿った位置の関数として変化させることができる。上記で記載した通り、出力結合の量は、表面粗度または表面粗さに比例する。特に、出力結合の量は、表面粗度を特徴付ける分布についての一次の素モーメント(「平均」)に比例する。その放射の空間均一性および角度均一性はいずれも、それぞれ、三次および四次の標準化モーメント(または「歪度」および「尖度」)に比例する。これらは、特定の実施形態では、臨床上および/またはデザイン上の必要に適するように調整(adjustedまたはtailored)されうる値である。また、サイズ、広がり、間隔、および表面粗さの各々も、標的照明の量および全体的な分布を制御するために援用することができる。
代替的に、指向的に特異的な出力結合であって、それがISに照らしてなす角度で、ある特定の方向に進む光を優先的に出力する出力結合も、援用することができる。例えば、入射角が、TIRに要求される入射角を超える場合、ISの導波路軸に直交する楔形の溝は、それに到達する光を優先的に結合させるであろう。そうでない場合、光は内部反射され、アプリケーターの導波路を進み続けるであろう。
さらに、このような指向的に特異的な出力結合構成では、アプリケーターは、上述の再帰反射手段であって、DJに対して遠位の再帰反射手段も活用しうる。図11は、FBG再帰反射材を含む例を例示する。
ファイバーなどの導波路は、1なおまたは多くの導波モードも支援しうる。モードとは、ファイバーコアに位置するか、またはそのすぐ周囲に位置する強度分布であるが、強度の一部は、ファイバークラッディング内にも伝搬しうる。加えて、コア領域に制約されない大きさのクラッディングモードも存在する。クラッディングモードにある光パワーは、ある中程度の距離にわたる伝搬の後で通例失われるが、場合によって、より長い距離にわたり伝搬する可能性もある。クラッディングの外側には、ファイバーに機械的強度の改善および水分に対する保護をもたらし、また、クラッディングモードの喪失も決定する、保護的ポリマーコーティングを施すことが典型的である。このようなバッファーコーティングは、アクリル酸、シリコーン、またはポリイミドからなりうる。体内における長期にわたる植込みのためには、水分を導波路から遠ざけて、標的照明分布を変化させ、他の相応の喪失をもたらす、屈折率の変化を防止することが所望でありうる。したがって、長期にわたる植込みのためには、バッファー層(またはバッファー領域)を、アプリケーターの導波路のテクスチャー領域(TAx)へと適用することができる。一実施形態では、「長期」とは、2年間を超えるかまたはこれと等しいと規定することができる。光導波路に対する水分吸収の主要な有害効果は、システム内の伝達の喪失を引き起こす、ヒドロキシル吸収バンドの創出である。これは、可視スペクトルでは無視しうるが、波長が約850nmより長い光については問題である。副次的に、水分吸収は、導波路自体の材料強度を低減する可能性があり、疲労破損をもたらしうる。したがって、水分吸収は、懸案事項であるが、ある特定の実施形態では、アプリケーターより多くの運動および運動サイクルを経る可能性が高い送達セグメントについて、いっそうの懸案事項である。
さらに、アプリケーターは、図9Bに示されるスリーブ(S)などのジャケットで包み込むか、または部分的に囲い込むことができる。スリーブ(S)は、また、反射材でもあり、意図される標的へと光を閉じ込めるのに役立つように作製することもできる。Mylar、金属箔、または多層状誘電体薄膜のシートなどの反射性材料は、スリーブ(S)のバルク内に配置することもでき、その内部表面または外部表面に沿って配置することもできる。スリーブ(S)の外部表面はまた、反射の目的でも活用することができるが、ある特定の実施形態では、このような構成は、周囲の組織と、内部表面より緊密に接触するので、好ましくない。このようなジャケットは、アプリケーターの周囲にぴったりとはめるのに要求される、必要なコンプライアンスをもたらすように、ポリマー性材料から作製することができる。スリーブ(S)またはこれへの付加物もしくは代替物は、その端部が、標的を、わずかな距離にわたり、わずかに圧迫し、しかし周方向への軸の移動、標的表面に沿った侵入を防止するように構成することができる。スリーブ(S)はまた、光の方向付けを、標的へと変化させることにより、全体的光学的効率を改善する、拡散性再帰反射材として役立つよう、高度に散乱性(白色で高アルベド性)となるように作製することもできる。
また、流体圧迫も、スリーブをアプリケーターに装着し、光の標的への送達を劣化させうる、細胞の増殖および組織の内方成長を阻害するように、よりぴったりとはめるのに使用することができる。流体チャネルを、スリーブ(S)へと組み込み、植込み時に充填することができる。バルブまたはピンチオフを援用して、流体チャネルをシーリングすることができる。本明細書では、さらなる詳細についても記載する。
さらに、スリーブ(S)はまた、瘢痕組織の形成を阻害する化合物を溶出させるように作製することもできる。これにより、そうしなければ、アプリケーターと標的との間における瘢痕の形成または組織の侵入により変化しうる照射パラメータの有効期限の延長をもたらすことができる。このような組織は、光を散乱させ、光への曝露を減殺しうる。しかし、このような侵入物の存在はまた、標的またはアプリケーターに隣接して配置された光センサーを介しても検出することができる。このようなセンサーは、システムの診断目的ために、局所環境の光学特性をモニタリングするのに役立ちうるであろう。スリーブ(S)はまた、アプリケーターの少なくとも一部が、断面AAにおいて閉鎖されていることを示す、図9Cの断面に例示される通り、自立的な接合手段を活用するように構成することもできる。代替的に、スリーブ(S)は、図9Cの簡略化された概略図内のエレメントFにより例示される通り、結紮またはこのような接合(attachment)の機械的手段もしくは形状的手段を使用して接合する(join)こともできる。
さらなる実施形態では、出力結合は、その中の光の軌道または導波路材料自体におけるバルク屈折率を変化させるのに役立つ、アプリケーターの導波路による、限局的歪み誘起効果であって、偏光またはモード分散の使用などの歪み誘起効果を介して達成することができる。例えば、出力結合は、空間的閉込めに要求される臨界角を超えると、導波路内の光の軌道を変化させるのに役立つ、形態により誘起される屈折率の変動および/もしくは複屈折の領域(または面積もしくは容量)を配置することにより達成することもでき、かつ/または屈折率依存的である、臨界角の値を変化させることにより達成することもできる。代替的に、導波路の縁辺部における入射角は、導波路への閉込めに要求される臨界角を超えるように改変されているため、光を導波路から出力結合させるように、導波路の形態を変化させることもできる。これらの改変は、標的照明のための出力結合が所望される領域内で、アプリケーターを一過性に加熱し、かつ/または捻じり、かつ/またはピンチングすることにより達成することができる。非限定的な例は、導波路(WG)の断片的区間を、端点(EP)と中心点(CP)との間で改変した、図13に示す。CPの断面積および/または直径は、EPの断面積および/または直径より小さい。この例示的な構成では、導波路(WG)を介して伝搬する光は、導波路材料の機械的変化のために、導波路の縁辺部で高入射角を取り、この結果として、CPの近傍で光の出力結合がもたらされる。角度が十分に大きい場合、EPとCPとの間のテーパー部分により与えられる、比較的傾斜した表面に入射する光は、WGから直接出力結合させうるが、WGから射出される程度にその方向を変化させる前には、前記テーパー部分との複数回の相互作用を要求することに注目されたい。したがって、WGを均一にテーパリングしない場合は、導波路から出射する出力結合光を、標的へと方向付けるか、または反射材など、代替的な構造に入射させて、出力結合光の方向付けを標的へと変化させるように、WGのいずれの側をテーパリングさせるのかということが検討の対象となりうる。
図12および後続の記載を参照しながら、文脈上の目的で、光線が、屈折率「n」の媒質から、屈折率「ncore」のコアに、最大受光角シータmaxで入射する例示的な状況であって、媒質−コアインターフェースにおいてスネルの法則を適用する例示的な状況について記載する。図12に例示される形状から、
[式中、
は、全反射についての臨界角である]となる。
スネルの法則で、sinθrに、cosθcを代入して、
を得る。
両辺を二乗することにより、
を得る。
これを解くと、上記で言及した式は、
となる。
これは、他の光学系における開口数(NA)と同じ形であるので、そのNAを、
であると規定することは、任意の種類のファイバーに共通となった。
臨界角未満で入射する光学エネルギーの全てが、結合した状態でシステムから出射されるわけではないことに注目されたい。
代替的に、屈折率は、紫外(UV)光への曝露を使用して、ファイバーブラッググレーティング(FBG)を創出するのになされうる通りに改変することもできる。バルク導波路材料のこの修飾は、屈折率の変動のために、導波路を介する光の伝搬を、多かれ少なかれ屈折性とするであろう。通常、このような屈折率の変動を作り出すときには、ゲルマニウムをドーピングされたシリカファイバーを使用する。ゲルマニウムをドーピングされたファイバーは、感光性であり、これは、コアの屈折率がUV光への曝露により変化することを意味する。
代替的に、かつ/または本発明の上述の態様および実施形態と組み合わせて、「ウィスパリングギャラリーモード」も、導波路の全長に沿った光の出力結合の、形状および/または歪み誘起による増強をもたらすように、導波路内で活用することができる。このような伝搬モードは、導波路の縁辺部近傍に集中しているため、屈折率、複屈折、および閉込めの臨界角の小さな変化に対する感受性が、典型的な導波路充填モードより大きい。したがって、ウィスパリングギャラリーモードは、このような出力結合手段に対する感受性が大きく、標的組織において制御された照明分布を作り出す、より精細な手段をもたらす。
代替的に、図14に示される通り、複数の送達セグメント(DS)を、ハウジング(H)から、アプリケーター(A)へともたらすこともできる。この図では、送達セグメントDS1と送達セグメントDS2とは、別個であり、はっきりと異なる。DS1およびDS2は、光をハウジング(H)内で創出する場合は、光を異なる供給源から(かつ、異なる色、または波長、またはスペクトルの光を)伝える場合もあり、光をアプリケーター(A)において、またはこの近傍で創出する場合は、別個の配線(または導線、またはケーブル)の場合もある。
いずれの場合も、アプリケーターは代替的に、名目上標的領域を照明することを目的とする、異なる送達セグメント(DSx)(表記中、xは、特定の送達セグメントの個別の番号を表す)からの光のための、別個の光チャネルもさらに含みうる。さらなる代替的な実施形態は、再帰反射手段の固有のスペクトル感度を利用して、1つのチャネルの出力結合の、別のチャネルの出力結合に対する減殺をもたらしうる。例えば、FBG再帰反射材を使用する場合と同様であろう。この例示的な場合には、FBGが作用を及ぼすのは、単色光または色の範囲の狭い光となろう。したがって、二方向性の出力結合では、FBGは、所与の光源からの光だけを再帰反射するであろうし、他の光源からの光は、大半が攪乱されずにそのまま通過し、別の場所へと射出されるであろう。代替的に、チャープFBGを使用して、より広範なスペクトルの再帰反射をもたらし、FBGが複数の狭い波長範囲に作用を及ぼすことを可能とし、二方向性の出力結合において活用することができる。当然ながらまた、2つを超えるこのようなチャネルおよび/または送達セグメント(DSx)も、本発明の範囲内にあり、後続の節で記載される通り、惹起される神経インパルスの指向性を制御するように選択する場合と同様であろう。
代替的に、複数の送達セグメントはまた、単一のアプリケーターへと光を供給する場合もあり、下記でさらに詳細に記載される通り、それら自体が1または複数のアプリケーターとなる場合もある。例えば、標的化される組織構造へと配置される単一の光ファイバーであって、ファイバーの末端面を介して照明を達成する光ファイバーは、単純な構成ではあるが、このような構成である。この構成では、ファイバーの末端面は、出力カプラー、または、本明細書で記載される通り、互換的な用語であり、同義であるが、発光ファセットである。
代替的に、単一の送達デバイスを使用して、光を、複数の光源から、アプリケーターへと導くこともできる。これは、繋ぎ合わされた導波路または接合された導波路(光ファイバーなど)の使用を介して達成することもでき、図15に示される通り、導波路への初期注入の前に、ファイバー切換え装置またはビーム結合器を介して達成することもできる。
この実施形態では、光源LS1およびLS2は、それぞれ、経路W1およびW2に沿って光を出力する。レンズL1およびL2を使用して、光の方向付けを、ビーム結合器(BC)へと変化させることができ、これは、1つの光源の出力を反射しながら、他の光源の出力を伝送するのに役立ちうる。LS1およびLS2の出力は、異なる色、または波長、またはスペクトルバンドの場合もあり、同じ色、または波長、またはスペクトルバンドの場合もある。LS1の出力とLS2の出力とが異なる場合、BCは、二色性の鏡の場合もあり、他のこのようなスペクトル弁別型光学エレメントの場合もある。光源LS1の出力と光源LS2の出力とがスペクトル的に類似する場合、BCは、偏光を活用して、ビームを組み合わせうる。レンズL3を使用して、W1とW2とを、導波路(WG)へと結合させることができる。レンズL1およびL2はまた、鏡など、他の光学エレメントで置きかえることもできる。この方法は、より多数の光源へと拡張可能である。
送達セグメントとして、またはアプリケーター内で使用しうる光ファイバーの種類は、変化させることができ、ステップインデックス型光ファイバー、GRIN(「グラジエントインデックス」)型光ファイバー、べき乗則インデックス型光ファイバーなどからなる群から選択することができる。代替的に、中空コア導波路、フォトニック結晶ファイバー(PCF)、および/または流体充填チャネルもまた、光導管として使用することができる。PCFは、光を中空コア内に閉じ込める能力を伴う任意の導波路、または従来の光ファイバーにおいて不可能な閉込め特徴を伴う任意の導波路を包摂することを意図する。PCFのより具体的な類型は、フォトニックバンドギャップファイバー(PBG;バンドギャップ効果により光を閉じ込めるPCF)、ホーリーファイバー(それらの断面内の空孔を使用するPCF)、空孔アシスト型ファイバー(空孔の存在により改変した、従来の高屈折率コアにより光を誘導するPCF)、およびブラッグファイバー(多層状被膜の同心環により形成されるPBG)を含む。これらはまた、「微細構造ファイバー」としても公知である。エンドキャップまたは他の封入手段を、チューブおよびPCFなど、開放型の中空導波路と共に使用して、導波路を損なう流体の侵入を防止することができる。
PCFおよびPBGは本質的に、プラスチックグラスファイバーおよびプラスチッククラッドグラスファイバーと同様に、標準的なグラスファイバーより大きな開口数(NA)を支援する。これらは、LED、OLEDなどの低輝度光源の送達をもたらす。これは、ある特定の実施形態では、このような低輝度光源は、レーザー光源より電気的に効率的であることが典型的であり、これは、本発明に従う植込み型デバイスの実施形態であって、バッテリー電力による光源を活用する実施形態に関与性であるため、注目に値する。高NA導波路チャネルを創出するための構成については、本明細書でより詳細に記載する。
代替的に、図16Aの非限定的な例示的実施形態に示される通り、スモールモードおよび/またはシングルモード(SM)の光ファイバー/導波路バンドルを使用して、光を、送達セグメントとして輸送することもでき、かつ/またはアプリケーター構造として輸送することもできる。この実施形態では、導波路(WG)は、送達セグメント(DS)の一部の場合もあり、アプリケーター(A)自体の一部の場合もある。図16Aの実施形態に示される通り、導波路(WG)は、複数の後続の導波路(BWGx)へと分岐する。各BWGxの末端は、処置位置(TLx)である。末端は、アプリケーション/標的照明の領域の場合もあり、代替的に、標的照明のためにアプリケーターへと固定される場合もある。このような構成は、非限定的な例を目的として述べると、肝臓、膵臓など、分散した体内組織内の植込みのために、または陰茎海綿体の海綿体動脈にアクセスするのに適切である。
図16Bを参照すると、導波路(WG)はまた、標的組織または標的組織を取り囲む組織の可能な運動および/または伸長/収縮に適応し、かつ、送達セグメントからアプリケーターへと伝達される機械的負荷(または「歪み」)、およびアプリケーターから送達セグメントへと伝達される機械的負荷を最小化するために、アンジュレーション(U)を含むように構成することもできる。アンジュレーション(U)は、組織の拡張時および/または伸長時には、パルスして直線状となりうる。代替的に、アンジュレーション(U)は、アプリケーター自体と一体の場合もあり、アプリケーター(A)に備給する送達セグメント(DS)の一部の場合もある。アンジュレーション(U)は、アンジュレーション(U)がアプリケーター内にある場合の実施形態では、出力結合領域となるように作製することができる。これは、アプリケーター内の固定型出力結合のための導波路の屈折率および/または機械的構成を調整する手段に関して前出で記載した工程と同様の工程を介して達成することができる。しかし、この場合、出力結合は、このような変化を引き起こす組織の運動を介して達成される。したがって、出力結合は名目上、組織の拡張状態時および/または収縮状態時および/または運動状態時だけにおいてもたらされる。アンジュレーション(U)は、導波路内の波状曲線または屈曲の連鎖により構成することもでき、コイルまたは他のこのような形態とすることもできる。代替的に、アンジュレーション(U)を含有するDSは、保護鞘または保護ジャケット内に囲い込んで、DSが、組織に直接接触せずに、伸長および収縮することを可能とすることができる。
方形のスラブ導波路は、前述の螺旋型導波路と同様となるように構成することもでき、恒久的導波路(WG)を接合する/埋め込むこともできる。例えば、スラブは、説明を目的とするものであり、前述の螺旋型アプリケーターの属性およびある特定の詳細は、このスラブ様アプリケーターにもまた適し、繰り返す必要はないことを言明する、図17に例示される通り、螺旋型アプリケーターの限定的な場合となるように形成することができる。
図17に描示される実施形態では、アプリケーター(A)は、送達セグメント(DS)により備給され、実質的にハーフピッチである螺旋は、描示される外縁部(E)に沿って閉止され、閉止孔(CH)を備えるが、必須ではない。当然ながら、これは、前出で論じた形状の縮約であり、それらの形状の中の基本概念の抽象性および互換性と、論じられるスラブ型導波路の基本概念の間の抽象性および互換性とを伝えることを意図するものである。
本明細書で記載される螺旋型アプリケーターはまた、神経など、直線的構造に沿って照明を施すのに使用しうる直線状アプリケーターなど、直線状アプリケーターとして活用しうることもまた理解されたい。直線状アプリケーターはまた、非限定的な例を目的として述べると、図18Aに例示される通り、迷光の方向付けを、標的へと変化させる反射材を伴う螺旋型アプリケーターなど、本明細書で記載される螺旋型アプリケーターとして構成することもできる。
この図では、導波路(WG)は、テクスチャー領域(TA)と、標的構造(N)を少なくとも部分的に取り囲む反射材(M)の追加とを含有する。この構成は、意図的に曝露され、散乱させた光の方向付けを、標的の、アプリケーターと反対側の側面へと変化させることにより、標的の裏側の曝露をもたらす。図18Bは、同じ実施形態を、図18Aの断面A−Aに沿って例示し、標的(N)を取り囲む鏡(反射材(M)としての)の使用を概略的に示す。図示しないが、WGとMとは、アプリケーターの一部を形成する、共通のケーシング(図示しない)へと固定することができる。反射材(M)を、複数の線形面からなるものとして示すが、そのようである必要はない。一実施形態では、反射材(M)は、滑らかな曲面、または、別の実施形態では、2つの曲面の組合せとなるように作製することができる。
別の代替的な実施形態では、直線状照明器は、同じ螺旋型(「螺旋状」)アプリケーターを介して、標的または標的を取り囲むか、これに隣接するか、もしくはこの近傍にある組織へと固定することができる。しかし、この場合、螺旋状部分は、照明器ではなく、別の照明器を、標的に照らして、定位置に位置取りし、維持する手段である。図19に例示される実施形態は、光出力を位置決めして維持する支持構造(D)に係合する、コネクターエレメントCE1およびCE2を介して、直線型アプリケーター(A)を、標的(N)の近傍の定位置に配置するのに、螺旋型アプリケーターの標的係合特質を活用する。出力である照明を、テクスチャー領域(TA)を介して発せられるものとして示すが、既に論じた通り、代替的な出力結合手段もまた、本発明の範囲内にある。本明細書で(本節の後出でもさらに)記載される、手法の一般性および異なる標的係合手段の互換性はまた、このような支持構造(D)として役立つように適用可能でもあり、したがって、それらの組合せもまた、本発明の範囲内にある。
薄型の平面状構造など、アプリケーター(A)のスラブ型(「スラブ様」)形状は、組織標的または意図される標的を含有する組織に、またはそれらの近傍もしくは周囲に植え込むか、または設置することができる。このようなスラブ型アプリケーター構成の実施形態を、図20A〜20Cに例示する。スラブ型アプリケーター構成は、標的組織の近傍に、またはこれに隣接して配置することができ、また、標的組織または標的を取り囲む組織の周囲に巻きつけることもできる。スラブ型アプリケーター構成は、即時的手術状況による要求に応じて、図20BのエレメントAM1で例示される通り、軸方向に巻きつける(すなわち、標的化される組織構造(N)の長軸に対して同心とする)こともでき、図20CのエレメントAM2で例示される通り、長手方向に巻きつける(すなわち、標的(N)の長軸に沿って)こともできる。標的位置に配置されると互いと接触する側方の外縁部は、完全な被覆を確保し、細胞性侵入物の量を制限する(すなわち、螺旋型アプリケーターに関する前節で記載した通り、標的への不変の照射量をよりよく確保するように、時間経過にわたり、瘢痕組織または他の光学的攪乱を制限する)ように、相補的特質を伴って作製しうるであろう。この非限定的な例についての図では、この目的で、閉止孔(CH)が提示されている。閉止孔(CH)は、併せて結紮することもでき、クランピング機構(図示しない)を使用して、他の形でカップリングさせることもできる。スラブ型アプリケーター構成はまた、上記で記載した特異的な螺旋型導波路とは異なる出力結合機構ももたらしうるが、このような機構は、代替可能であり、一般的に使用しうることを理解されたい。これとは逆に、スラブ型についての節で論じられた出力結合エレメント、光学的再循環、および導波構造のほか、配置法は、螺旋型導波路にも、直線状導波路にも適用可能でありうる。
図20A〜20Cに例示されるスラブ型アプリケーター(A)は、以下の通り、多様な構成要素からなる。アプリケーターに入射する光が「対面する」順序では、第1は、送達セグメント(DS)の導波路とのインターフェースである。代替的に、エミッターを、アプリケーターの近傍またはアプリケーター内に組み入れる場合は、導波路を電気的配線で置きかえることもできる。インターフェースの後には、分配ファセット(DF)を使用して、送達セグメント(DS)由来であれ、局所光源由来であれ、光伝搬を、異なるチャネル(CH)へとセグメント化し、方向付ける、光プレナム(OP)構造が存在しうる。光プレナム(OP)はまた、送達セグメント(DS)を、主にアプリケーター(A)と同じ方向に沿って配置すべき場合に所望されうる通り、OPに入る全ての光の方向付けを変化させるように構成することもできる。代替的に、OPは、主に、アプリケーターが、送達セグメント(DS)とは異なる形で方向付けられるような角度で、光の方向付けを変化させるように作製することができる。チャネル(CH)に沿って伝搬する光は、部分出力カプラー(POC)および全出力カプラー(TOC)などの出力結合手段に到達しうる。近位出力カプラー(POC)は、導かれた光の一部だけの方向付けを変化させて、前出で論じた通り、より遠位の標的へと、適切な照明をもたらすのに十分な光を通過させる。最終の出力カプラー(TOC)または最も遠位の出力カプラー(TOC)は、名目上、標的へと入射する全ての光の方向付けを変化させるように作製することができる。この実施形態はまた、誤った光の方向付けを、標的へと変化させる、外部表面反射材の装備も含有する。この実施形態はまた、開口部(AP)を伴って、アプリケーター(A)の内部表面(IS)上または近傍で、反射材(RE)を支援するようにも構成され、出力結合光を逃がして、任意の誤った光または散乱光の方向付けを、標的(N)へと戻すようによりたやすく変化させるのに役立つ。代替的に、このような反射材(RE)は、長手方向に巻きつける配置の場合、名目上、意図される標的係合領域(TEA)を被覆するよう、出力カプラー領域を被覆するのではなく、出力カプラー領域の近位にあるように構築することができる。反射材(RE)は、アプリケーター(A)の外側に沿って配置する場合、白金または金などの生体適合性材料から作製することができる。代替的に、このような金属コーティングは、下記で論じられる通り、それらを生体不活性とするために、機能化することができる。出力カプラー(POCおよびTOC)を、図20Aに、標的(N)または標的を取り囲む組織(N)の周囲への長手方向における巻きつけ(図20B)に適する、アプリケーター(A)の領域内に配置されるものとして示すが、巻きつけない実施形態および軸方向に巻きつける実施形態を活用する配置の場合(AM1)の通り、そのようにしなくともよい。任意のこのような表面(または部分表面)反射材(RE)は、アプリケーターを配置したら、少なくとも完全な周囲の被覆をもたらすのに十分な長さに沿って(またはその全体に)存在するものとする。本明細書で使用される、光導管という用語と、チャネルメンバーという用語とは、同義である。
この実施形態は、下記で記載されるPDMS、または、例えば、図20Aにおける通り、アプリケーター(A)の本体を形成する基質(SUB)として十分に適格な、他の一部のこのようなポリマーを活用する。例えば、ヒアルロナン、エラスチン、およびコラーゲンなど、天然の細胞外マトリックスの成分である生体物質もまた、基質(SUB)を形成するのに、単独で使用することもでき、無機化合物と組み合わせて使用することもできる。またハイドロゲルも、生体適合性であり、生体化合物および/または医薬化合物を溶出させるように作製することができ、弾性係数が小さく、適合性材料となっているので、使用することができる。同様にまた、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンも、基質(SUB)を形成するのに使用することができる。
屈折率が基質(SUB)(この非限定的な例では、PDMS)よりも小さな材料を、充填物(LFA)として使用して、導波路クラッディングを創出することができ、この場合、PDMS自体は、導波路コアとして作用する。可視スペクトルでは、PDMSの屈折率は、約1.4である。水の屈折率は約1.33であり、PBSおよび生理食塩水でもなお、約1.33であり、クラッディング材料に適するものとなっている。本明細書で提示される通り、これらはまた、アプリケーター(A)の完全性を損ない、体内へと放出される場合であってもなお、照明管理システムにおける使用のために、生体適合性であり、安全でもある。
代替的に、高屈折率の充填物を、導波路チャネルとして使用することもできる。これは、前出で記載された形状の逆として考えることができ、この形状では、基質(SUB)を構成するポリマーの代わりに、導波路コア媒質として作用する液体充填物(LFA)と、クラッディングとして作用する基質(SUB)材料とを擁する。多くの油の屈折率は、約1.5であるか、またはこれより大きく、コア材料に適するものとなっている。
代替的に、屈折率の異なる第2のポリマーを、前述の液体充填物の代わりに使用することもできる。高屈折率ポリマー(HRIP)とは、屈折率が1.50を超えるポリマーである。屈折率は、単量体のモル屈折度、構造、および重量と関連する。一般に、高モル屈折度および低モル容量は、ポリマーの屈折率を増大させる。直鎖状のチオエーテルおよびスルホン、環状のチオフェン、チアジアゾール、およびチアントレンを含む硫黄含有置換基は、HRIPの形成において、ポリマーの屈折率を増大させるために、最も一般に使用される基である。硫黄に富むチアントレン部分およびテトラチアントレン(tetrathiaanthrene)部分を伴うポリマーは、分子充填の程度に応じて、1.72を上回るn値を呈示する。このような材料は、屈折性の小さなポリマー性基質内の導波路チャネルとしての使用に適しうる。ホスホン酸およびホスファゼンなどのリン含有基は、可視光領域内で、高モル屈折度および高光透過率を呈示することが多い。ポリホスホン酸エステルは、ポリカーボネートと類似の化学構造を有する場合であってもなお、リン部分のために、屈折率が大きい。加えて、ポリホスホン酸エステルは、良好な熱安定性および光透過性も呈示し、また、プラスチックレンズへの鋳造成型にも適する。また、有機金属成分も、良好な薄膜形成能力を伴い、光の分散が比較的小さい、HRIPを結果としてもたらす。リンスペーサーおよびフェニル側鎖を含有する、ポリフェロセニルシアンおよびポリフェロセンも同様に、異例の高n値(n=1.74およびn=1.72)を示し、これらもまた、導波路のための候補物質である。
有機ポリマーマトリックスを、屈折性の大きな無機ナノ粒子と組み合わせるハイブリッド法を援用して、n値の大きなポリマーを作製することができる。したがって、PDMSは、PDMS基質へと組み込まれうる導波路チャネルを作製するのにも使用することができ、この場合は、天然のPDMSを、導波路クラッディングとして使用する。HRIPナノ複合体の屈折率に影響を及ぼす因子は、ポリマーマトリックス、ナノ粒子、および無機成分と有機成分とのハイブリッド技術の特徴を含む。無機相と有機相との連結もまた、共有結合を使用して達成する。ハイブリッド技術のこのような一例は、重合化可能基のほか、アルコキシ基も保有する、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)など、特殊な二官能性分子の使用である。このような化合物は、市販されており、同時的であるかまたは後続の重合化反応を介して、共有結合的連結を伴う均一なハイブリッド材料を得るのに使用することができる。
以下の関係:
[式中、ncomp、np、およびnorgは、それぞれ、ナノ複合体、ナノ粒子、および有機マトリックスの屈折率を表す。φpおよびφorgは、それぞれ、ナノ粒子および有機マトリックスの容量分率を表す]により、ナノ複合体の屈折率を推定する。
ナノ粒子負荷もまた、濃度が過大になると光学的喪失が増大し、ナノ複合体の加工可能性も低下するため、光学的適用のためのHRIPナノ複合体のデザインにおいて重要である。ナノ粒子の選択は、それらのサイズおよび表面特徴の影響を受けることが多い。光透過性を増大させ、ナノ複合体のレイリー散乱を低減するために、ナノ粒子の直径は、25nm未満とすべきである。ナノ粒子の、ポリマーマトリックスとの直接的な混合は、ナノ粒子の所望されない凝集を結果としてもたらすことが多い(これは、ナノ粒子の表面を改変することにより回避することもでき、液体ポリマーの粘度を、キシレンなどの溶媒で低下させ、これを、後で硬化させる前に、複合体を超音波で混合するときに、真空で除去することにより回避することもできる)。HRIPのためのナノ粒子は、TiO
2(鋭錐石、n=2.45;金紅石、n=2.70)、ZrO
2(n=2.10)、アモルファスケイ素(n=4.23)、PbS(n=4.20)、およびZnS(n=2.36)からなる群から選択することができる。さらなる材料を、下記の表に示す。結果として得られるナノ複合体は、上記の関係に従う、調整可能な屈折率範囲を呈示しうる。
例示的な一実施形態では、HRIPの調製は、PDMSおよびPbSに基づき、粒子の容量分率は、少なくとも0.8の重量分率に対応するncomp≧1.96(PbSの密度7.50g cm−3およびPDMSの密度1.35g cm−3を使用する)をもたらすように、約0.2またはこれを超えることが必要である。このようなHRIPは、高開口数(NA)を支援することが可能であり、これは、LEDなど、輝度が比較的小さな光源からの光を結合させる場合に有用である。上記に示した情報は、他の代替的な調合物のレシピもたやすく確認することを可能とする。
ナノ複合体には、多くの合成戦略が存在する。それらの大半は、3つの異なる種類へと群分けすることができる。調製法は全て、液体粒子の分散液に基づくが、連続相の種類が異なる。溶融加工では、粒子を、ポリマー溶融へと分散させ、押出し成型によりナノ複合体を得る。鋳造成型法では、ポリマー溶液を分散剤として使用し、溶媒蒸発により、前出で記載した複合体材料をもたらす。粒子の単量体による分散および後続の重合化は、いわゆるin situ重合化経路により、ナノ複合体を結果としてもたらす。
同様にして、低屈折率の複合体材料もまた、調製することができる。適切な充填材として、金(上記の表に示した)など、1未満の低屈折率の金属を選択することができ、結果として得られる低屈折率材料を、導波路クラッディングとして使用する。
光の入力を捕捉し、複数の出力チャネルを創出するための、様々な光プレナム構成が存在する。図20A〜20Cおよび22に示される通り、ファセットは、線形面からなるが、他の構成も本発明の範囲内にある。光の入力方向に照らした面の角度は、開口数(NA)を決定する。代替的に、非直線的な角度分布および強度の均一化のために、曲面も援用することができる。例えば、放物線型の表面プロファイルを使用することができる。さらに、面は、平坦でなくともよい。同様に、三次元表面も援用することができる。これらのプレナム分配ファセット(DF)の位置を使用して、チャネルへの入力として捕捉される電力の比率も同様に決定することができる。代替的に、プレナム分配ファセット(DF)は、入力光源の強度/照射量分布に従い、空間的に配置することもできる。非限定的な例として、LEDによる出力でありうる入力など、ランバート照射量分布を伴う入力を活用する構成では、分配ファセット(DF)の形状は、非限定的な例を目的として述べると、図21に示される通り、中央チャネルに、発光のうちの3分の1を当てるよう制限するように調整することができ、外側チャネルで残りの3分の2を均等に分割する。
出力結合は、前出で論じた通り、多くの方式で達成することができる。この議論を深め、その一部として考えると、意図される発光の領域内の散乱表面を活用することができる。さらにまた、前出で示したPOCおよびTOCなどの出力結合ファセットも援用することができる。これらは、反射型構成、屈折型構成、および/または散乱型構成を含みうる。ファセットの高さを、阻止される光の量または比率に比例するように構成することができるのに対し、長手方向の位置は、出力位置を決定する。複数の直列OCを援用するシステムについて前出でもまた論じた通り、各々の出力結合の程度は、照明の全体を均一化するよう、比例配分することができる。導波路チャネル内の片側ファセットは、導波路チャネル(またはコア)に沿って一方向に進む光を主に捕捉するように配置することができる。代替的に、導波路チャネル(またはコア)に沿って両方向に進む光を捕捉する両側ファセットは、順行および逆行両方の出力結合をもたらす。これは主に、遠位再帰反射材デザインと共に使用されるであろう。このようなファセットは、非限定的な例を目的として述べると、錐体、斜面、上方に湾曲した表面、下方に湾曲した表面などとして形作ることができる。図22は、斜面形ファセットのための出力結合を例示する。
光線(ER)は、導波路コア(WG)に入る(またはWG内を伝搬する)。ERは、出力結合ファセット(F)に入射し、反対表面へと方向付けを変化させる。ERは、反射光線RR1となり、ここから、出力結合光線OCR1が創出され、反射光線RR2についても同様である。OCR1は、標的に方向付けられる。OCR2およびRR3も同様に、RR2から創出される。OCR2は、ファセットと同じWG表面から発せられることに注目されたい。その側に標的または反射材が存在しない場合、光は失われる。Fの深さはHであり、角度はθである。角度θは、RR1およびその後続の光線の方向を決定する。角度αは、簡略型の作製のための離型を可能とするために提示する。角度αはまた、ERと反対方向に進む光を出力結合させるのにも使用することができ、遠位再帰反射材を使用する場合と同様であろう。
代替的に、出力結合ファセット(F)は、同様の手段によるが、導波路から突出して、光が代替的な方向へと方向付けを変化させることを可能とする場合もある。
アプリケーターおよび送達セグメントなどであるがこれらに限定されない光学エレメントに関する本明細書の記載はまた、本明細書の別の箇所でより詳細に記載される通り、SFOオプシンおよび/またはSSFOオプシンを使用する場合と同様であるが、複数の光源または光の色で活用することもできる。
導波路チャネルは、上記で記載した通りでありうる。また、流体素子の使用も、スリーブ(S)に関して上記で記載した通り、アプリケーターを拡張させ(または収縮させ)て、機械的な適合を変化させるのに援用することができる。図20A〜Cで描示されているものなど、アプリケーター(A)と共に使用する場合、流体素子は、圧力誘導性組織透明化を介して、侵入物の透過性を低下させるほか、光の透過を増大させるのに役立つ場合がある。光学的透明化としてもまた公知である組織透明化とは、散乱体とグラウンドマターとの屈折率の合致に起因する、組織による光散乱の可逆的低減を指す。光学的透明化は、組織に、物質(「透明化剤」)であって、非限定的な例を目的として述べると、x線造影剤(例えば、Verografin、Trazograph、およびHypaque−60)、グルコース、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールベースのポリマー(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGベースのポリマー、およびグリセロールなどの物質を含侵させることにより達成することができる。光学的透明化はまた、組織を機械的に圧迫することにより達成することもできる。
アプリケーター基質へと組み込まれる流体チャネルはまた、出力結合ファセットを調整するのにも使用することができる。ファセットの下方の小型のレザバーは、膨潤し、これにより、光の量および/またはその光の方向を調整するために、ファセットの位置および/または角度を拡張させるように作製することができる。
捕捉された光はまた、デバイス/組織状態の光輸送効率に関する情報を提示することにより、アプリケーターおよび/またはシステムの効率または機能的完全性を評価するのにも使用することができる。光散乱の増大の検出は、組織および/またはデバイスの光学的品質または特徴の変化を示しうる。このような変化は、センサーにより集光される検出光の量の変化により証拠立てることができる。このような変化は、センサーおよびエミッターの相対的位置に応じた、信号強度の増大または減少の形態を取りうる。向かい合う光学センサーを援用して、図23に例示される通り、より直接的に出力をサンプリングすることができる。この非限定的な実施形態では、光照射場(LF)は、アプリケーター(A)内の導波路からの出力結合を介して、標的(N)を照明することを意図し、迷光は、センサーSEN1により集光する。SEN1は、コントローラーに、検出された光の強度に関する情報を提供するように、配線SW1を介して、ハウジング(図示しない)へと電気的に接続することができる。第2のセンサーSEN2もまた、描示される。センサーSEN2を使用して、アプリケーター(A)の1つの(または複数の)導波路内の光をサンプリングし、その情報を、配線SW2を介して、コントローラー(またはプロセッサー)へと伝えることができる。これにより、アプリケーターの導波路内を伝搬する光の量に関するさらなる情報を提供する。このさらなる情報は、常駐の出力カプラーを介して発せられる光エネルギーまたは光パワーの量を示すベースラインの提示を介して、標的曝露の光学的品質を、導波路内を伝導する光に比例するものとして、よりよく推定するのに使用することができる。
代替的に、検出される信号の経時的特徴を、診断目的で使用することもできる。例えば、緩徐な変化が、組織の変化またはデバイスの経年劣化を指し示しうるのに対し、迅速な変化は、歪み依存的な変動または温度依存的な変動でありうる。さらに、この信号は、標的におけるより安定的な曝露を確保するように、パワー出力を時間経過にわたり調整することを介する、閉ループ制御のためにも使用することができる。SEN1などのセンサーの検出信号はまた、標的内に存在する光遺伝学的タンパク質の量を確認するのにも使用することができる。信号に対する効果が比例的に小さいために、このような検出が困難である場合は、ヘテロダイン型検出スキームは、この目的で援用することができる。このような曝露は、治療効果をもたらすには不十分な持続時間または強度の曝露でありうるが、包括的なシステム診断法だけの目的で行うことができる。
代替的に、アプリケーターは、個別にアドレス可能な光源エレメントであって、図24(1010)の実施形態に示される通り、光送達の強度および位置の調整を可能とする光源エレメントと共に作製することができる。このようなアプリケーターは、単一の波長の光を送達して、神経を活性化させるかまたは阻害するように構成することができる。代替的に、アプリケーターは、2つまたはこれを超える異なる波長または出力スペクトルの光を送達して、単一のデバイス内または複数のデバイス内で、活性化および阻害の両方をもたらすように構成することもできる。
このようなアプリケーターの代替的な例を、図25に示すが、この図では、アプリケーター(A)は、光源エレメント(LSx)からなり、ベース(B)上に取り付けられたエミッター(EM)からなることが可能であり;エレメント「DS」xxは、アプリケーター(A)上の行/列によるそれらの座標に従う、関連の送達セグメントを表し;上記で記載した通り、エレメント「SUB」は、基質を表し、エレメント「CH」は、閉止孔を表し、エレメント「TA」は、テクスチャー領域を表す。
本明細書で記載される光センサーはまた、光検出器としても公知であり、異なる形態を取る。これらは、非限定的な例を目的として述べると、光電池、光ダイオード、焦電素子、フォトレジスター、光伝導体、フォトトランジスター、および光ガルバノデバイスを含みうる。光ガルバノセンサー(光電気化学センサーとしてもまた公知である)は、ステンレス鋼線または白金線などの導体を、標的組織上で、標的組織において、または標的組織に隣接して曝露することを可能とすることにより構築することができる。標的組織から再放射される光であって、導体に入射する光は、導体に、同じ電解液(体内で見出される電解液など)中に浸漬した場合と同様でありうる、センサー導体と少なくとも実質的に同じ電気回路内にある、別の導体または導電性エレメントに照らして、起電力または「EMF」をもたらす、光ガルバノ反応を経させるであろう。EMFは、検出器応答信号を構成する。次いで、この信号を、光源の出力を、変化に適応するように調整するために、システムコントローラーへの入力として使用することができる。例えば、センサーの信号が減衰する場合は、光源の出力を増大させることができ、逆の場合も同様である。
代替的な実施形態ではまた、さらなるセンサーであるSEN2も、全身性変化の可能な原因をさらに診断する目的で、センサーSEN1の信号以外の信号を記録するのに援用することができる。
例えば、SEN2が、一定のレベルを維持する場合に、標的の濁度および/または吸光度が増大しうるなら、アプリケーターに入る光パワーは一定であるが、センサーSEN1はレベルの低下を示すことが指し示される。センサーSEN2の応答が相応に減少すれば、経年劣化したデバイスで経験されうる通り、出力および/または効率の減殺に適応するように、光源への電力を増大させるべきであることが指し示されるであろう。したがって、アプリケーターへと送達される光のパワーおよび/またはパルス繰返し率の増大により、過小曝露の危険性を緩和して、治療レベルを維持することができる。
光源の光出力への変化は、例えば、出力パワー、曝露の持続時間、曝露間隔、デューティーサイクル、パルススキーム、パルス幅、パルス間隔、照射量、および/またはデューティーサイクルに対して施すことができる。
図23に示される例示的な構成では、以下の表を使用して、センサーの応答変化の各場合における、コントローラーのための例示的なプログラミングについて記載することができる。
「一定」という用語は、信号またはそのレベルの変化が見られないことだけではなく、そのレベルを許容される公差内に維持することも含意することを理解されたい。このような公差は、平均で±20%のオーダーでありうる。しかしまた、患者および他の固有性を考慮し、公差域を、患者1人ずつのベースであって、主要治療転帰および/もしくは主要治療効果、ならびに/または副次的治療転帰および/もしくは副次的治療効果をモニタリングするベースで調整して、許容可能な公差域の限界を確認することが必要な場合もある。図5に示される通り、過剰曝露が有効性の減殺を引き起こすとは予測されない。しかし、エネルギーを保存しながら、なおも治療有効性を確保しようとすれば、患者の安全性および快適さを改善するために、過剰曝露を回避して、バッテリーの寿命および再充電間隔の両方を延長せざるを得ない。
代替的に、SEN2は、本発明者らが、治療センサーと称するものであって、物理的治療転帰を直接的または間接的にモニタリングするように構成されたものでありうる。このような治療センサーは、非限定的な例を目的として述べると、電気センサー、電極、ENGプローブ、EMGプローブ、圧力トランスデューサー、化学センサー、EKGセンサー、または運動センサーでありうる。直接的センサーとは、前述の化学センサーおよび圧力センサーの例など、治療転帰を直接モニタリングするセンサーであると考えられる。間接的センサーとは、処置の効果をモニタリングするセンサーであるが、最終的な結果をモニタリングするわけではないセンサーである。このようなセンサーは、本明細書の別の箇所でもまた論じられる通り、前述のENGプローブ、EKGプローブ、およびEMGプローブの例である。
代替的に、治療センサーは、患者が、少なくともある程度は、光投与量および/または光投与回数を決定することを可能とする、患者入力デバイスでありうる。このような構成は、非限定的な例を目的として述べると、筋肉痙直などの症例であって、患者が、光投与量および/または光投与回数を制御して、所与の状況のための必須の制御レベルであるとみなされるものを供給する症例において活用することができる。
代替的な実施形態では、さらなる光センサーを、光源の近傍の送達セグメントの入力末端に配置することができる。このさらなる情報は、送達セグメントの光学的効率の査定を可能とすることにより、システム状態を診断する一助となりうる。例えば、出力末端センサーが光の量の減少を記録する一方で、入力末端センサーはこれを記録しない場合、送達セグメントおよび/またはそれらのアプリケーターへの接続は、不良であると考えることができる。したがって、送達セグメントおよび/またはアプリケーターの取替えを指し示すことができる。
代替的な実施形態では、SEN1はさらに、アプリケーターからの光信号、またはアプリケーターに隣接する光信号を集光し、遠隔位置へと伝えるのに役立つ、光ファイバーまたはアプリケーター自体の少なくともある態様などの集光器を活用するように構成することもできる。非限定的な例を目的として述べると、光は、標的組織において、またはその近傍でサンプリングするが、検出および加工のために、コントローラーへと伝送することができる。このような構成を、図55に示すが、この図では、送達セグメント(DS)により、光をアプリケーター(A)へと供給し、光照射場(LF)を創出する。光照射場(LF)は、集光エレメント(COL−ELEM)によりサンプリングするが、これは、非限定的な例を目的として述べると、プリズム、ロッド、ファイバー、側面発光ファイバー、共振器、スラブ、鏡、回折エレメント、および/またはファセットでありうる。集光光(COL−LIGHT)は、導波路WG2により、SEN1(図示しない)へと伝達される。
代替的に、送達セグメント自体またはその部分は、ハウジング内で、光をスペクトル的に分離することにより、光をSEN1の遠隔位置へと伝達するのにも使用することができる。この構成は、図15に示される構成と同様でありうるが、LS2がSEN1となり、ビーム結合器(BC)を、標的組織からの光を、SEN1へと伝達すること可能としながら、LS1からの光の実質的に全てを、治療的目的および診断目的で、導波路(WG)へと注入することをなおも可能とするように構成する変化を伴う。このような構成は、SEN1が、ケモメトリックセンサーであることが可能であり、例えば、蛍光信号が、所望の測定量でありうる場合に配置することができる。
システムは、植込み時に検査することもでき、植込み後に検査することもできる。異なる光源を、単独で、または組み合わせて誘発することにより、アプリケーターのどの領域が、最も有効または効果的であるのかなどの検査を、システム構成について施して、患者に対するそれらの効果を確認することができる。これは、例えば、LEDのアレイなどのマルチエレメントシステム、または複数の出力結合法を使用する場合に活用することができる。このような診断的測定は、アプリケーター上、アプリケーター内、もしくはこの近傍に常駐される植込み型電極、または別の節で記載される通り、別の場所へと植え込まれた電極を使用することにより達成することができる。代替的に、このような測定は、植込み時に、刺激を誘導するための局所神経電極および/または神経インパルスを探査する電気プローブを使用して、例えば、手術中に、曝露された運動神経または筋肉組織に対する電気刺激を施し、これにより、神経を位置付け、特定して、それらの興奮性もまた調べるように、CHECKPOINT(登録商標)という商標名で、NDI and Checkpoint Surgical,Inc.から市販されている刺激器/探知器などのデバイスを使用して行うことができる。得られたアプリケーターの照明構成は、下記でさらに規定される通り、最適の治療転帰のために、遠隔測定モジュール(TM)を介して、コントローラーまたはシステムハウジング(H)のプロセッサー/CPUへと至る、外部プログラマー/コントローラー(P/C)を使用して、システムへとプログラミングすることができる。
光源がアプリケーター内もしくはその上に埋め込まれているか、またはアプリケーターの近傍に配置されたデバイスなどのデバイスのための電気接続は、本明細書で記載されるアプリケーターへと組み込むことができる。Metal Rubber(商標)という商標名で、NanoSonics,Inc.により市販されている製品などの材料、および/またはmc10製の無機可撓性の伸長型回路プラットフォームを使用して、アプリケーター上またはアプリケーター内に電気回路を作製することができる。代替的に、PYRALUX(登録商標)という商標名で、DuPont,Inc.により市販されている製品、またはポリイミドなど、他のこのような可撓性で電気的に絶縁性の材料も、接続のための銅製クラッドによるラミネートを伴う回路を含む可撓性回路を形成するのに使用することができる。シート形態のPYRALUX(登録商標)は、このような回路の巻きつけを可能とする。回路材料を、電極と、ポリイミドによる小型の周囲領域とだけを含有する形態へと切断することにより、より大きな可撓性をもたらすこともできる。
次いで、コンフォーマルコーティングを使用して、このような回路を、電気的隔離のために封入する。このような様々なコンフォーマル絶縁コーティングであって、非限定的な例を目的として述べると、いずれも、化学的および生物学的に不活性である、パリレン(parlene)(ポリパラキシリレン)およびパリレンC(反復単位1つ当たり1つの塩素基を付加したパリレン)を含む絶縁コーティングが利用可能である。シリコーンおよびポリウレタンもまた使用することができ、アプリケーター本体または基質自体を構成するように作製することができる。コーティング材料は、刷毛塗り、スプレー塗り、および浸し塗りを含む多様な方法により適用することができる。パリレンCは、ステント、心除細動器、ペースメーカー、および体内へと恒久的に植え込まれる他のデバイスのための、生体許容性コーティングである。
特定の実施形態では、生体適合性コーティングおよび生体不活性コーティングを使用して、アプリケーター上またはアプリケーター周囲における細胞の成長を結果としてもたらす可能性があり、システムの光学特性を変化させうる異物応答などの異物応答を低減することができる。これらのコーティングはまた、電極およびアレイとアプリケーターを形成する密閉型パッケージングとの間のインターフェースへと接着するように施すこともできる。
非限定的な例を目的として述べると、パリレンCおよびポリ(エチレングリコール)(本明細書で記載されるPEG)のいずれも、生体適合性であることが示されており、アプリケーターのための封入材料として使用することができる。生体不活性材料は、生物学的応答を、非特異的に下方調節するか、または他の形で改善する。本発明の実施形態における使用のための、このような生体不活性材料の例は、哺乳動物細胞膜の外殻において主要な、リン脂質(レシチンおよびスフィンゴミエリン)の親水性ヘッド基である、ホスホリルコリンである。別のこのような例は、天然の粘膜表面の特性の一部をもたらす、ポリエチレンオキシドポリマー(PEO)である。PEOポリマーは、高度に親水性で可動性の長鎖分子であり、これは、大きな水和殻を吸着しうる。PEOポリマーは、タンパク質および細胞による略奪に対する抵抗を増強することが可能であり、PDMSまたは他のこのようなポリマーなど、様々な材料表面へと適用することができる。本発明の実施における使用のための、生体適合性材料と生体不活性材料との組合せについての代替的な実施形態は、PDMS基質上のコーティングが可能な、ホスホリルコリン(PC)コポリマーである。代替的にまた、前出で記載した金または白金などの金属コーティングも使用することができる。このような金属コーティングは、例えば、D−マンニトールを末端とするアルカンチオールの自己組織化単分子層(SAM)から形成された生体不活性外層をもたらすようにさらに構成することができる。このようなSAMは、コーティングを意図されるデバイスを、2mMのアルカンチオール溶液(エタノール中に)中、室温で一晩にわたり浸漬して、SAMをデバイス上に形成させることにより作製することができる。次いで、デバイスを取り出し、絶対エタノールで洗浄し、窒素で乾燥させて、これを清浄化することができる。
本明細書では、光アプリケーターの様々な実施形態が開示される。光をどこで発生させるのかに依存して、さらなる選択肢が生じる(すなわち、ハウジング内または別の場所と対比した、アプリケーター内またはその近傍)。図26Aおよび26Bは、これらの2つの構成を例示する。
図26Aを参照すると、第1の構成では、光を、ハウジング内で発生させ、送達セグメントを介して、アプリケーターへと輸送する。送達セグメントは、前出で記載した、丸型ファイバー構成、中空導波路構成、ホーリーファイバー構成、フォトニックバンドギャップデバイス構成、および/またはスラブ構成からなる群から選択される光導波路でありうる。複数の導波路もまた、異なる目的で援用することができる。非限定的な例としては、従来の円形断面の光ファイバーは、このようなファイバーは普及型であり、頑健かつ可撓性となるように作製しうるため、光源からの光をアプリケーターへと輸送するのに使用することができる。代替的に、規則的平面充填をもたらす多角形の断面を伴うファイバーを、別の導波路への入力として使用することもできる。このような導波路は、びっしりと敷き詰める断面形態を有する、すなわち、それらは、規則的で合同な多角形を介して、隙間のない平面充填またはテセレーションを形成する。すなわち、このような導波路は、それらの断面形状が、二次元空間を完全に充填する(敷き詰める)ことを可能とする特性を有する。この形状は、照明を、このような導波路の面を越えて空間的に均一となるように施すことができる、光学特性をもたらす。他の形状では、完全な均一性は不可能であるが、それにもかかわらずこれらは、極めて均一な照射プロファイルを有するように作製することができる。本出願では、標的組織に対する均一の照明を施しうるために、均一な照射分布を活用することができる。したがって、このような規則的平面充填断面の導波路は、有用でありうる。これは概略表示であり、複数のアプリケーターおよびそれらのそれぞれの送達セグメントを援用しうることもまた理解されたい。代替的に、単一の送達セグメントにより、複数のアプリケーターに備給することもできる。同様にまた、臨床的必要に基づき、複数の種類のアプリケーターも援用することができる。
図26Bの構成を参照すると、光は、アプリケーター内にある。光出力を発生させる電力は、ハウジング内に含有され、送達セグメントを介して、アプリケーターへと輸送される。これは概略表示であり、複数のアプリケーターおよびそれらのそれぞれの送達セグメントを援用しうることを理解されたい。同様にまた、複数の種類のアプリケーターも援用することができる。
これらのアプリケーターのサイズは、標的組織構造により決定することができる。非限定的な例を目的として述べると、流体チャネルによるスラブ型(または「スラブ様」も同義である)アプリケーターは、一辺が200μmの方形のHRIP導波路3つによる平行なアレイを含むように構成することができ、アプリケーターは、幅が1〜10mmの間であり、長さが5〜100mmの間であることが可能であり、各チャネル導波路の全長に沿って、標的組織に分散させた照明を施すように、複数の出力カプラーを備えうる。
光をアプリケーター内またはその近傍で発生させない場合、関連する送達セグメントは、光ファイバーなど、光導波路でありうる。代替的に、光をアプリケーターにおいて、またはその近傍で発生させる場合、送達セグメントは、電気配線でありうる。送達セグメントは、流体によるアプリケーターの制御および/または調整をもたらすように、さらに流体導管からなりうる。送達セグメントはまた、活用される特異的な実施形態であって、前出で記載した実施形態により決定される通り、これらの任意の組合せでもありうる。
対象システムの実施形態は、患者の体内に部分的に、または全体的に、植え込むことができる。図27は、これを例示するが、この図で、図解の左側は、部分的に植え込まれたシステムを概略的に描示し、図解の右側は、完全に植え込まれたデバイスを概略的に描示する。ハウジング(H)は、標的組織(N)を照射するように植え込まれた、アプリケーター(A)へと接続される送達セグメント(図に応じて、DSまたは「DSx」の多様な実施形態/表記)を含む光導管および/または電気導管のための経皮フィードスルーまたはポートの使用と共に、植え込むこともでき、持ち運ぶこともでき、身体(B)に装着することもできる。この例示的な実施形態では、経皮光フィードスルー(COFT)を、ハウジング(H)へと固定され、体外空間(ES)内に配置された送達セグメントへとカップリングさせうる一方で、アプリケーター(A)は、標的組織(N)と共に、体内空間(IS)内にある。
図56は、経皮光フィードスルーまたはポートについてのある実施形態であって、非限定的な例を目的として述べると、外部送達セグメント(DSE)を含み、外部送達セグメント(DSE)を、体外空間(ES)内に常駐される外部シーリングエレメント(SSE)と、体内空間(IS)内に常駐される内部シーリングエレメント(SSI)とからなるシールを通してルーティングする実施形態を示す。これらのシーリングエレメントは、経皮光フィードスルー(COFT)のための無感染シールを実質的に維持するように、圧迫エレメント(COMPR)を介して、併せて保持することができる。内部シール(SSI)は、経皮シールを形成する場合に、圧迫エレメント(COMPR)からの圧迫力をより実質的に付与するように、それへとカップリングさせた、より剛性の部材と共に、医療用織布製シーリング表面を含みうる。医療用織布(fabric/textile)は、非限定的な例を目的として述べると、ダクロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ナイロン、およびPTFEからなるリストから選択することができる。織布(woven textile)および/または不織布を、内部シール(SSI)の構成要素として使用することができる。織布(fabric)またはその上の構成要素はまた、化合物を溶出させて、創傷の治癒をモジュレートし、シールの特徴を改善するようにも作製することができる。このような化合物は、非限定的な例を目的として述べると、血管内皮増殖因子(VEGF)、グリコサミノグリカン(Gag)、および他のサイトカインからなるリストから選択することができる。適用可能な医療用織布は、例えば、DupontおよびATEX Technologiesなどの販売元から購入することができる。送達セグメント(DS)は、アプリケーター(A)の光接続および/または電気接続(明確さを目的として図示しない)へと接続することができる。外部送達セグメント(DSE)は、ハウジング(H)の光出力および/または電気出力(明確さを目的として図示しない)へと接続することができる。この例では皮膚(SKIN)として指し示される患者の表面は、その上にシールを形成しうる表皮を介して、天然のエレメントをもたらしうる。皮膚(SKIN)を通って、圧迫エレメント(COMPR)へと至る、外部送達セグメント(DES)をシーリングする手段に関する詳細については、図57A〜59に示される、ハウジング(H)内の光フィードスルーに関する、本明細書の別の箇所で論じる。
図57Aおよび57Bは、光フィードスルー(OFT)を含む密閉シーリング式植込み型ハウジング(H)の代替的な実施形態であって、送達セグメント(DSx)を、ハウジング(H)へとカップリングさせうる実施形態を示す。システムは、送達セグメント(DSx)を、コネクター(C)を介する、複数の電気接続および少なくとも1つの光学的接続を介して、ハウジング(H)へとカップリングさせうるような構成であって、この例示的な実施形態では、Cを送達セグメント(DS)の構成要素として示すが、代替的な構成も本発明の範囲内にある構成をさらに含みうる。また、ハウジング(H)、送達セグメント(DSx)、およびコネクター(C)の隠線図であって、回路基板(CBx)、光源(LSx)、光学レンズ(OLx)、送達セグメント(DSx)の近位部分、および密閉型障壁(HBx)など、ある実施形態の詳細を明らかにする隠線図も示す。光源(LSx)を取り付けることができ、回路基板(CBx)により、光源(LSx)へと電力を送達することができる。光学レンズ(OLx)は、光を送達セグメント(DSx)へと伝達するのに役立つサファイヤ製ロッドレンズでありうる。
図58は、光学レンズ(OLx)およびフランジ型シール(FSx)からなる、植込み型ハウジング(H)および光フィードスルー(OFT)の拡大図を示す。例示的な実施形態では、サファイヤ製レンズの円筒形の外部表面は、例えば、高純度の金でコーティングすることができ、ろう付け炉内で、チタンシールなどのフランジ型シールへとろう付けすることができる。これにより、光学レンズ(OLx)とフランジ型シール(FSx)との生体適合性密閉型接続を創出することができる。次いで、例示的なレンズ−シールの組合せを、これもまたチタンからなりうる、ハウジング(H)の外部表面内の孔へと挿入し、フランジ型シール(FSx)を、ハウジング(H)内の相補的な孔の外周に少なくとも部分的に溶接することができる。これにより、完全に生体適合性の密閉シーリング型アセンブリーを創出することができ、これを介して、本明細書の別の箇所で記載されている通り、標的組織における処置のための、送達セグメント(DS)および/またはアプリケーター(A)による使用のために、ハウジング(H)内の光源(LSx)からの光を結合させ、ハウジング(H)の外部の光も伝達することができる。
図59は、本発明の実施形態であって、光源(LSx)を、ファイバーバンドル(FBx)へと、2つの間に介在させた光学レンズ(OLx)を介して、少なくとも部分的に、光学的にカップリングさせうる実施形態の等尺図を示す。光学的に屈折率をマッチさせた接着剤を使用して、光学レンズ(OLx)を、光源(LSx)へと、直接固定することができる。光源は、密閉シーリング式植込み型ハウジング(明確さを目的として図示しない)内に含有される場合があり、光学レンズ(OLx)は、密閉シーリング式植込み型ハウジング(H)の内壁と交差するが、この場合、光学レンズ(OLx)の一部分は、ハウジング(H)内に存在し、光学レンズ(OLx)の別の部分は、ハウジング(H)の外部に存在し、その外部表面(OS)の少なくとも一部分の周囲において、密閉シーリングされ、ファイバーバンドル(FB)は、密閉シーリング式植込み型ハウジング(H)の外部に存在することが可能であり、光学レンズ(OLx)へとカップリングさせうることを理解されたい。例えば、単一の光源である、LEDなどの光源(LS)を使用する場合、7本の光ファイバー(OFx)によるバンドルを使用して、例えば、1mm×1mmのLEDでありうる、光源(LS)の出力を捕捉することができる。ファイバーバンドル(FB)の外径は、全ての光ファイバー(OFx)が、光源(LS)の出力へと曝露されていることを確保するように、1mmでありうる。外径(クラッディング直径)0.33mmのファイバーの使用が、直径1mmの円を近似するのに、六角細密充填(HCP)構成を使用して、7本のファイバーを円形断面へと充填する、最も効率的な方式である。最終的な集光効率は、ファイバーのコア/クラッディング比の平方である充填比から計測するが、さらなる比重で、ファイバーのエタンデュの、LED出力のエタンデュに対する比であって、開口数としてのエタンデュ比についても考慮する。これらのサブファイバー、または、場合によって、サブバンドルは、分離することができ、さらに、所望の構成に応じて、ルーティングすることもでき、トリミングすることもでき、切断することもでき、研磨することもでき、かつ/またはこれらにレンズで集光することもできる。光学レンズ(OLx)とフランジ型シール(FSx)とのろう付けは、接着剤を使用する前に実施すべきである。
上記の表は、単一の光源からの光を、複数のファイバー(バンドル)へと、空間的に効率的な様式で結合させるための、複数の異なる可能性について記載する。円形のファイバーでは、HCP構成の最大充填比は、約90.7%である。六角形または他の形で形作られた個別のファイバーを使用して、なおより効率的なバンドルを構築することができ、示されるファイバーバンドル(FBx)は、例示的な目的だけものであることを理解されたい。複数のファイバーは、より小型でより可撓性の大きなサブバンドルへと分離することができる。ファイバーバンドル(FBx)は、接着剤で併せて接着し、かつ/またはシース(明確さを目的として図示しない)内に格納することができる。複数の小型の光ファイバー(OFx)を使用して、最終的に可撓性の大きなファイバーバンドル(FBx)をもたらし、これに、蛇行性経路を介して、可撓性のルーティングを施して、標的組織にアクセスすることができる。加えて、光ファイバー(OFx)は、1つを超える標的組織部位へとルーティングされるように、個別に分離することもでき、サブグループに分離することもできる。例えば、ファイバー7本による構築物を使用する場合、これらの7本のファイバーは、7つの個別の標的へとルーティングすることができる。7×7構築を使用する場合も同様に、ファイバー7本ずつの個別のバンドルを、7つの個別の標的へと同様にルーティングし、代替的な1×7構築物によるファイバーバンドルより可撓性を大きくすることができ、よって、標的へとより容易にルーティングすることができる。
図60は、本発明の実施形態であって、アプリケーター(A)を使用して、標的組織(N)を照明することができ、少なくとも1つの光源(LSx)の使用を伴う実施形態を例示する。光源(LSx)は、LEDの場合もあり、レーザーダイオードの場合もある。光源(LSx)は、標的組織に配置することもでき、標的組織に隣接して配置することもでき、アプリケーター(A)内に少なくとも部分的に存在する場合があり、送達セグメント(DS)により、例えば、ハウジング(H)内部に存在する、それらの電源およびコントローラーへと電気的に接続することができる。
図61は、このような例示的なシステム構成を示す。この例示的な実施形態では、単一のLED片を、非限定的な例を目的として述べると、デュロメーター硬度が小さく、無制約グレードの植込み材料である、NuSil製のMED−4714またはMED4−4420など、光学的に透明で可撓性のシリコーン内に格納する。この構成は、熱を散逸させるために、比較的大きな表面積をもたらす。例えば、Rohm製のpicoLEDデバイス、またはPhillips,Inc.から市販されているLuxeon Rebel製品によるダイで使用されているLEDなど、0.2mm×0.2mmで波長473nmのLEDは、約1.2mWの光を発生させうる。記載される例示的な実施形態では、25個のLEDが活用され、合計約30mWの光を発生させ、これにより、約60mWの熱が発生する。これらは、名目上、30〜50%の間の効率である。LEDにより発生する熱は、本発明により提供される、15mm2という比較的大きな表面積、またはアプリケーター(A)の表面における4mW/mm2の熱流束にわたり、散逸させることができる。植込み(無制約)グレードシリコーンの熱伝導性は、約0.82Wm−1K−1であり、熱拡散性は、約0.22mm2秒−1であり、この材料の大きな面積および/または容量にわたり熱を分配することにより、組織表面においてもたらされるピーク温度の上昇が減殺される。
図62は、図60の実施形態の代替的な構成であって、アプリケーター(A)のための渦巻き状デザインまたは螺旋状デザインの付加を活用する構成を例示する。このような構成は、標的組織の曝露範囲の拡張を可能としうる。これはまた、長手方向の曝露長が、標的組織に意図される曝露長を超え、また、アプリケーター(A)の配置される位置も、標的組織を妥当なマージンで包含する場合、標的組織に照らしたアプリケーターのわずかな誤留置を許容するのにも有用でありうる。大半の末梢への適用に妥当なマージンは、約±2mmである。アプリケーター(A)の内径(ID)は、アプリケーター(A)を伴う標的組織を、無用の応力を伴わずに軸方向に移動させるために、標的組織の外径(OD)より少なくともわずかに大きくなければならない。大半の末梢神経の場合、わずかに大きいとは、アプリケーター(A)のIDが、標的組織のODより5〜10%大きいこととしうる。
光ファイバーなどであるがこれらに限定されない、ファイバーおよび/または導波路上の保護被覆もしくは導波路を含有する保護被覆は、アプリケーターに対する力が、標的組織へと伝えられる前に、大幅に低減されるように、ストレインリリーフ形状をもたらすように形作ることができる。非限定的な例を目的として述べると、可撓性ファイバーが、標的組織に対する力を低減する形態は、蛇行形態、螺旋形態、渦巻き形態、二重非重複渦巻き形態(または「蝶ネクタイ」形態)、クローバーの葉形態、またはこれらの任意の組合せを含む。
図63A〜63Dは、これらの異なる構成のうちのいくつかであって、コネクター(C)を介して、光導波路送達セグメント(DS)をアプリケーター(A)へと接続する前に、DSのストレインリリーフ部分を創出するように、アンジュレーション(U)を構成する構成を例示する。図63Aは、送達セグメント(DS)および/またはアプリケーター(A)内にストレインリリーフ部分を創出するための、アンジュレーション(U)の蛇行部分を例示する。図63Bは、送達セグメント(DS)および/またはアプリケーター(A)内にストレインリリーフ部分を創出するための、アンジュレーション(U)の螺旋部分を例示する。図63Cは、送達セグメント(DS)および/またはアプリケーター(A)内にストレインリリーフ部分を創出するための、アンジュレーション(U)の渦巻き部分を例示する。図63Dは、送達セグメント(DS)および/またはアプリケーター(A)内にストレインリリーフ部分を創出するための、アンジュレーション(U)の蝶ネクタイ部分を例示する。これらの例示的な実施形態では、標的組織は、アプリケーター内に存在するが、本明細書の別の箇所で記載されている他の構成もまた、本発明の範囲内にある。
図64は、アプリケーター(A)を、送達セグメント(DS)に対して、ある角度で配向させるが、前出の例示的な実施形態で例示した通りの直角に配向させるのではないように構成しうる、代替的な実施形態を示す。このような角は、例えば、ある特定の末梢神経の場合と同様に、裂け目またはポケットに存在する標的組織など、解剖学的限界に適応するために要求されうるであろう。本明細書の別の箇所で記載されている通り、送達セグメント(DS)内、または出力カプラーなど、アプリケーター(A)のエレメント内の、別の屈曲またはアンジュレーション(U)も、角度を創出するのに活用することができる。
代替的な実施形態では、ファイバーの方向に対して、ある角度で光を反射して、角度を達成するように、送達セグメント(DS)の遠位端、またはアプリケーター(A)の光入力部の近位端において、光学的特質を、システムへと組み込むことができる。
コア直径を100μmとする、三菱電機株式会社製のESKA SK−10など、プラスチック製の光ファイバーは、ジグ内にルーティングし、かつ/またはジグ内で形作り、次いで、アンジュレーション(U)を直接的に形成するように熱処理することができる。代替的に、被覆を、導波路を覆うように使用することもでき、この被覆は、アンジュレーション(U)を導波路内で間接的に創出するように作製することができる。代替的な例示的プラスチック製ファイバーによる導波路は、0.63のNAをもたらすように、THV(n−1.35)によるクラッディングを伴う、PMMA(n=1.49)によるコア材料から構築することができる。Instech Solomon製のPE10などのポリエチレンチューブを、チューブ内ではシリカ製光ファイバーを使用しながら、ジグ内で形作り、アンジュレーション(U)を創出するように熱処理した被覆として使用することができる。これらの2つの例示的な実施形態のための熱処理は、形作られるエレメントを、ジグ内、または所望の形態もしくは所望の形態を近似する形態を維持するツール内にルーティングし、次いで、アセンブリーを、オーブン内、70℃で30分間にわたり加熱することにより達成することができる。代替的に、屈曲は、各ステップでは、小さな屈曲だけを作製し、最終的な加熱(または焼鈍)により、所望の形態をもたらすように、より段階的なステップで創出することもできる。この手法は、伝達の喪失を結果としてもたらしうる、屈折率の変動など、応力誘導性の光学的変化を惹起しないことを確保するのにより優れている場合がある。前出の例では、光ファイバーについて論じたが、他の送達セグメントおよびアプリケーター構成も、本発明の範囲内にある。
皮膚などの組織を介する光の伝達は、拡散性であり、主要な過程は散乱である。散乱は、組織を照明する光の指向性および輝度を減殺する。したがって、指向性および/または輝度の大きな光源の使用は、無意味となる。これにより、標的に影響を及ぼしうる組織内の深さが制限される場合がある。照射量の低減のために、単純な経皮照明を使用して、標的を十分に照射することができず、完全植込み型システムは、過度に侵襲的であるとみなされうる場合には、in vivo集光器を、患者の組織内で使用することができる。
一実施形態では、外部光源からの光を集光するための、少なくとも部分的な植込み型システムを、患者の皮膚内に、in vivoおよび/またはin situで配置して、外部光源と植込み型アプリケーターとの間の光を捕捉および伝達することができる。このようなアプリケーターについては、本明細書の別の箇所で記載されている。
代替的に、外部光源からの光を集光するための、少なくとも部分的な植込み型システムを、患者の皮膚内に、in vivoおよび/またはin situで配置して、外部光源からの光を捕捉および伝達し、別個のアプリケーターを使用せずに、標的組織へと直接方向付けることができる。
システムの集光エレメントは、ファイバー光学素子の場合と同様に、例えば、外層の屈折率が、本体またはコア材料の屈折率と名目上異なるポリマー材料から構築することができる。皮膚および他の組織の屈折率は、水の屈折率とほぼ等しく、可視スペクトル内で1.33〜1.40の範囲に対応し、PMMAを、クラッディングなしのコア材料として使用する場合、0.56という高値のNAをもたらしうる、機能的なクラッディングを与えるであろう。しかし、皮膚などの組織内の天然の発色団は、外部光源からの光、とりわけ、可視光に対する強力な吸収体でありうる。このような天然の発色団の例は、グロビン(例えば、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、およびメトヘモグロビン)、メラニン(例えば、ニューロメラニン、真性メラニン、および亜メラニン)、およびキサントフィル(例えば、カロテノールの脂肪酸エステル)である。エバネセント波は、クラッディングが不十分であるかまたはクラッディングなしの集光デバイス内に存在し、これらの天然の色素による吸収であって、意図されない加熱および/または付随的な加熱であり、標的へと伝導される光の量を減少させるだけでなく、また、その性能を持続的に劣化させる集光器上の皮膜も創出しうる加熱を潜在的に引き起こす吸収と結合しうる。例えば、真皮−表皮間接合部にはメラニンが常在し、皮膚の毛細血管床内には血液が常在しうる。
一実施形態では、植込み型光導体の表面の深さは、組織表面の下方100μm〜1000μmの間に位置する。このため、皮膚への植込みの場合、植込み型光導体の表面は、表皮下に置かれる。
植込み型集光器/光導体は、ポリマー材料、ガラス材料、または結晶質材料から作製することができる。一部の非限定的な例は、本明細書の別の箇所で記載される通り、PMMA、NuSil製のMED−4714またはMED4−4420などのシリコーン、PDMS、および高屈折率ポリマー(HRIP)である。
クラッド層はまた、信頼性、頑健性、および全体的性能を改善するように、植込み型集光器上でも使用することができる。非限定的な例を目的として述べると、THV(低屈折率のフルオロポリマーブレンド)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、および/またはポリメチルペンテンを使用して、コア材料の周囲にクラッド層を構築することができる。これらの材料は、生体適合性であり、屈折率が比較的小さい(n=1.35〜1.4)。したがって、これらは、広範な開口数(NA)にわたる集光をもたらす。
導波路内に存在するエバネセント波は、すぐ周囲の環境ともなお、相互作用しうるため、植込み型光導体/集光器上のクラッド層の使用に加えて、コーティングを、導体/集光器の外部表面へと配置して、集光器の外部表面における組織内、またはこの近傍における組織内の天然の発色団による吸収を回避するように、導体内に直接光を閉じ込め、かつ/または外部表面の光学的品質を維持することができる。このようなコーティングは、例えば、金、銀、ロジウム、白金、アルミニウムなどの金属コーティングでありうるであろう。誘電体コーティングもまた使用することができる。例は、金属コーティングを保護するためのSiO2、Al2O3、または反射率を改善する、層状誘電体によるスタックコーティング、または4分の1波長の厚さのMgF2など、同様に反射率を改善する、単純な単層コーティングである。
代替的に、植込み型集光器の外部表面は、デバイスの組織への導入のためのパイロット部材を活用するように構成することができる。このパイロット部材は、刃具および/または拡張器であるように構成することができ、植込み型光導体は、このパイロット部材へと、植込みのために、取り外し可能な形でカップリングさせることができる。
植込みは、非限定的な例を目的として述べると、X線写真検査、蛍光顕微鏡法、超音波、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、光学イメージング、顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、内視鏡検査、および光コヒーレンストモグラフィー(OCT)などの術前イメージングおよび/または術中イメージングを使用して実施することができる。
代替的に、パイロット部材はまた、植込みの間、植込み型集光器を保持する基部も形成しうる。したがって、パイロット部材は、植込み型集光器の外部表面を囲い、少なくとも名目上の防護環境をもたらす金属製ハウジングでありうる。このような場合、残りのメンバー(パイロット部材の植込みは、既知である)は定位置に放置し、集光器だけを交換すること(exchanging)により、集光器の交換(replacement)を容易とすることができる。これは、例えば、長期の植込みが問題含みであり、集光器の光学的品質および/または効率が減殺される場合になされうる。
代替的に、植込み型集光器の外部表面は、本明細書の別の箇所で記載されている通り、金または白金、パリレンC、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ホスホリルコリン、ポリエチレンオキシドポリマー、例えば、D−マンニトールを末端とするアルカンチオールの自己組織化単分子層(SAM)のコーティングを活用することにより、より生体不活性とすることができる。
集光エレメントは、非限定的な例を目的として述べると、光ファイバーもしくは導波路、ライトパイプ、または複数のこのようなエレメントからなりうる。例えば、散乱効果だけを考慮すると、単一の直径を500μmとし、内在的開口数(NA)を0.5とし、皮膚表面下300μmに位置する光ファイバーは、皮膚表面に入射するコリメート光による直径1mmのビームに由来する光のうちの多くとも約2%を捕捉することが可能でありうる。したがって、20mWを捕捉するためには、1Wの供給源電力が要求される場合があり、1.3W/mm2の表面照射量が要求される。この効果は、システム内に組み入れられたこのような各ファイバーについて、相加的な改善をもたらす。例えば、4本のこのようなファイバーは、要求される表面への入射光パワーを、4分の1に低下させながら、なお20mWを捕捉する。当然ながら、これにより、標的に送達される輝度が増大するわけではないが、周囲の照明においてなされうる通り、標的に送達され、分配される電力は増大しうる。システムへのエネルギーを付加せずに、輝度を増大させ得ないことは、物理学の根本的法則であると承知されたい。記載されるファイバーなど、複数のファイバーを使用して、本明細書の別の箇所で記載する複数の送達セグメントを介して、光をアプリケーターへと供給することができる。
上記の実施形態で記載した光ファイバー導波路など、多数の集光エレメントもまた、本発明の範囲内にある。
図34の実施形態と同様に、代替的な実施形態を、図65に示す。外部光源(ELS)からの光線(LR)を、外部光源(ELS)から出射し、外部境界(EB)に到達し(皮膚の角質層および/または表皮などに到達し、その後、真皮−表皮間接合部(DEJ)を越える)て、植込み型集光器(PLS)の近位表面に達する、説明的な例示的実施形態であって、近位集光表面が、個別の部分であり、各々が、標的組織(N)を照明するために、アプリケーター(A)へと作動的にカップリングさせた、導波路および/または送達セグメント(DSx)のための入力をもたらす部分へと分けられる実施形態に示す。
図66は、図65の実施形態と同様の、代替的な実施形態であって、植込み型集光器(PLS)が別個の部分へと細分化されず、代わりに、光を、単一の入力チャネルを介して、アプリケーター(A)へと供給する実施形態を例示する。送達セグメント(DSx)は、図示しないが、さらなる実施形態では活用されうる。
本発明のさらなる実施形態では、表面冷却法および表面冷却装置を使用して、真皮−表皮間接合部に位置するメラニンによる光の吸収により引き起こされうる、付随的な熱損傷の危険性を緩和することができる。基本的な皮膚冷却法については、別の箇所に記載されている。非限定的な例として述べると、それらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第5,486,172号;同第5,595,568号;および同第5,814,040号により記載されている皮膚冷却法などである。
図67は、図66の実施形態と同様の、本発明の代替的な実施形態であるが、皮膚冷却エレメント(SCE)を付加した実施形態を例示する。皮膚冷却エレメント(SCE)を、皮膚表面と直接接触させて示すが、前述の、組み込まれた特許参考文献において記載されている通り、接触させなくともよい。外部光源(ELS)と同様、皮膚冷却エレメント(SCE)もまた、システムコントローラーおよび電源へと接続することができる。使用者は、冷却量および/または冷却温度のほか、外部光源(ELS)からの照明光と比べた、その持続時間および回数も調整することにより、快適さおよび有効性を改善するように、皮膚冷却エレメント(SCE)のパラメータをプログラムすることができる。外部とは、体外と同義であると理解される。
代替的な実施形態では、本明細書の別の箇所で記載した組織透明化剤などの組織透明化剤を、植込み型集光デバイスによる集光のために、組織を介する光の伝達を改善するのに使用することができる。以下の組織透明化剤:非限定的な例を目的として述べると;グリセロール、ポリプロピレングリコールベースのポリマー、ポリエチレングリコールベースのポリマー(PEG200およびPEG400など)、ポリジメチルシロキサン、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、ある特定のx線不透過性x線造影剤(Reno−DIP、ジアトリゾ酸メグルミンなど)を使用することができる。例えば、9:1の比で、15〜60分間の間にわたる、PEG−400およびチアジン(Thiazone)の局所適用を使用して、植込み型集光器を介する光の全体的伝達を改善するように、ヒト皮膚内の光の散乱を減少させることができる。
図28を参照すると、植込み型ハウジング(H)の例について、多様な構成要素を例示するブロック図が描示されている。この例では、植込み型刺激器は、プロセッサー(CPU)、メモリ(MEM)、電源(PS)、遠隔測定モジュール(TM)、アンテナ(ANT)、および光刺激発生器(本明細書の別の箇所で記載される通り、光源を含む場合もあり、光源を含まない場合もある)のための駆動回路(DC)を含む。ハウジング(H)は、1つの送達セグメント(DSx)へとカップリングさせるが、カップリングさせなくともよい。Hは、それらの一部の波長が異なりうる、異なる光出力を送達しうる、複数の光路(例えば、複数の光源および/または光導波路もしくは光導管)を含むように構成しうるという意味で、マルチチャネルデバイスでありうる。異なる実装では、1本、2本、5本、またはこれを超える光ファイバーなどであるがこれらに限定されない送達セグメントを、増加または減少させて使用することができ、関連する光源も、装備することができる。送達セグメントは、ハウジングから取外し可能な場合もあり、固定される場合もある。
メモリ(MEM)は、プロセッサー(CPU)による実行のための命令、センシング回路(SC)により処理される光データおよび/もしくはセンサーデータであり、バッテリーレベル、放電率など、ハウジング内の両方のセンサーから得られるデータ、ならびに光センサーおよび温度センサーなど、おそらくはアプリケーター(A)内の、ハウジング(H)の外部に配置されたセンサーから得られるデータ、ならびに/または患者のための治療に関する他の情報を保存しうる。プロセッサー(CPU)は、選択され、メモリ(MEM)内に保存される、複数のプログラムまたはプログラム群のうちの1または複数に従い、光源(図示しない)へと電力を送達する駆動回路(DC)を制御しうる。光源は、前出で記載した通り、ハウジング(H)の内部に存在する場合もあり、遠隔のアプリケーター(A)内またはその近傍に配置される場合もある。メモリ(MEM)は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリなど、任意の電子データ保存媒体を含みうる。メモリ(MEM)は、プログラムによる命令であって、プロセッサー(CPU)により実行されると、プロセッサー(CPU)に、光源についてのパルスパラメータを決定する機能など、プロセッサー(CPU)およびそのサブシステムに帰せられる多様な機能を果たさせる命令を保存しうる。
電気的接続は、非限定的な例を目的として述べると、Bal−SEAL製のSYGNUS(登録商標)Implantable Contact Systemなどの電気フィードスルー(EFT)を介して、ハウジング(H)を通した接続でありうる。
本開示で記載される技法に従い、メモリ(MEM)内に保存された情報は、患者が既に施された治療に関する情報を含みうる。このような情報の保存は、例えば、主治医が、保存された情報を読み出して、本開示に従い、その最近の来院において患者に適用された治療を決定しうるように、後続の処置に有用でありうる。プロセッサー(CPU)は、1または複数のマイクロプロセッサー、ディジタル信号プロセッサー(DSP)、アプリケーション特異的集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のディジタル式論理回路を含みうる。プロセッサー(CPU)は、植込み型刺激器の作動を制御する、例えば、刺激発生器を、メモリ(MEM)から読み出される、選択されたプログラムまたはプログラム群に従い、刺激治療を送達するように制御する。例えば、プロセッサー(CPU)は、駆動回路(DC)を、光信号を、例えば、1または複数の刺激プログラムにより指定される強度、波長、パルス幅(該当する場合)、および繰返し数を伴う刺激パルスとして送達するように制御しうる。プロセッサー(CPU)はまた、駆動回路(DC)も、送達セグメント(DSx)のサブセットを介して刺激を選択的に送達するように制御することが可能であり、刺激は、1または複数の刺激プログラムにより指定される。前出で記載した通り、異なる送達セグメント(DSx)を、異なる標的組織部位へと方向付けることができる。
遠隔測定モジュール(TM)は、非限定的な例を目的として述べると、植込み型刺激器と主治医プログラマーモジュールおよび/または患者プログラマーモジュール(総称的には、主治医プログラマーもしくは患者プログラマー、または「C/P」)の各々との間の二方向性の通信を可能とする、ラジオ周波数(RF)送受信機を含みうる。より一般的な形態については、図2を参照しながら上記で、コントローラー構成(P/C)の入力/出力(I/O)態様として記載している。遠隔測定モジュール(TM)は、様々な形態のうちのいずれかによるアンテナ(ANT)を含みうる。例えば、アンテナ(ANT)は、医療デバイスと関連するハウジング内に埋め込まれた、導電性コイルまたは配線により形成することができる。代替的に、アンテナ(ANT)は、植込み型刺激器の他の部品を保有する回路基板上に取り付ける場合もあり、回路基板上の回路トレースの形態を取る場合もある。こうして、遠隔測定モジュール(TM)は、プログラマー(C/P)との通信を可能としうる。エネルギー要件および穏当なデータ速度要件を踏まえると、遠隔測定システムは、誘導結合を使用して、遠隔測定通信および再充電のための電力の両方をもたらすように構成しうるが、説明的目的で、別個の再充電回路(RC)を、図28に示す。代替的な構成を、図29に示す。
図29を参照すると、175kHzの遠隔測定搬送波周波数は、一般的なISMバンドと同調し、4.4kbpのオン−オフキーイングを使用して、調節限界内に十分にとどまりうる。代替的な遠隔測定モダリティーについては、本明細書の別の箇所で論じる。アップリンクは、共鳴同調コイルを隔てたHブリッジドライバーでありうる。遠隔測定キャパシターC1を、大型の再充電キャパシターC2と平行に配置して、RF電力再充電周波数を最適化するための、50〜130kHzの同調範囲をもたらすことができる。ダイナミックレンジの大きなタンク電圧のために、スイッチS1の実装では、直列接続されたnMOSトランジスターおよびpMOSトランジスターを援用して、寄生漏れを回避する。スイッチが、オフである場合は、pMOSトランジスターのゲートを、バッテリー電圧(VBattery)へと接続し、nMOSのゲートは、接地する。スイッチが、オンである場合は、pMOSゲートは、負のバッテリー電圧(−VBattery)であり、nMOSゲートは、チャージポンプの出力電圧により制御する。スイッチのオン抵抗は、5Ω未満となるように設計して、適正なタンク線質係数を維持する。大型のnMOSトランジスターにより実装される電圧リミッターを回路内に組み込んで、全波整流器出力が、バッテリー電圧をわずかに超えるように設定することができる。次いで、整流器の出力により、調整器を介して、再充電型バッテリーを充電することができる。
図30は、駆動回路(DC)についてのある実施形態に関し、別個の集積回路(または「IC」)もしくはアプリケーション特異的集積回路(または「ASIC」)、またはそれらの組合せとなるように作製することができる。
出力パルストレインまたは出力パルスバーストの制御は、この非限定的な例に示される通り、ステートマシンにより、パラメータは、マイクロプロセッサーから渡して、局所的に管理することができる。デザイン上の制約の大半は、出力ドライブDACにより付与される。まず、システムを参照するのに、安定的な電流が要求される。チップ上で発生させてトリミングした、100nAで一定の電流を使用して、最大値を5Aとする8ビットの基準電流を発生させる、R−2RベースのDACからなる、基準電流発生器を駆動する。次いで、RoとRrefとの比の最大値を40として設計した電流出力部で、基準電流を増幅する。電力効率を改善するよう、電圧ヘッドルーム要件を低減して、電流出力部が、出力トランジスターを飽和状態に保つ必要を排するように、オンチップの検出抵抗器ベースのアーキテクチャーを選択した。このアーキテクチャーでは、出力ドライバーミラーリングにおいて、薄膜抵抗器(TFR)を使用して、マッチングを増強する。正確なミラーリングを達成するために、ノードXとノードYとは、増幅器のネガティブフィードバックにより、同じとすることができ、この結果として、RoとRrefとに、同じ電圧降下がもたらされる。したがって、出力電流IOと基準電流Irefとの比は、RrefとROとの比に等しい。
キャパシター(C)は、プリチャージ相で獲得された電圧を保持する。ノードYにおける電圧が、ノードXにおける初期電圧と正確に等しい場合、C上に保存された電圧は、Ibiasと平衡するように、P2のゲートに適正なバイアスをかける。例えば、ROを隔てた電圧が、元のRref電圧より低い場合、P2のゲートがプルアップされ、P1のゲート上のIbiasをプルダウンさせる結果として、より大きな電流が、ROへともたらされる。この実施形態のデザインでは、10pFという大保持容量のキャパシターを使用することにより、電荷注入を最小化する。性能は、最終的に、抵抗器のマッチング、漏れ、および有限の増幅器利得により制限されうる。512の電流出力部を伴う場合、光刺激ICは、各々が51.2mAずつの最大電流を送達する、別個のソースにより、活性化および阻害という2つの出力(図30に示される)を駆動しうる。
代替的に、光学エレメント上の最大バックバイアスが、他のエレメント上の降下に耐えうる場合は、デバイスを、逆位相で(一方はシンクとして、もう一方はソースとして)駆動することができ、最大電流は、100mAを超える。刺激速度は、0.153Hz〜1kHzで調整することができ、パルスまたはバーストの持続時間は、100秒〜12ミリ秒で調整することができる。しかし、刺激出力パルストレイン特徴の実際の限界は、チャージポンプのエネルギー移動により最終的に定められ、これは一般に、治療プロトコールを構成する場合に検討すべきことである。
ハウジング(H)(またはアプリケーター、または遠隔配置を介するシステム)はさらに、ハウジング内に常駐のコントローラーへのセンサー入力をもたらすように、加速度計も含有しうる。これは、モジュレーションおよび精密な制御に有用でありうる。加速度計の遠隔配置は、光遺伝学的制御下にある解剖学的要素において、またはその近傍に施すことができ、アプリケーター内、またはその近傍に常駐させることができる。目下の特殊な場合に要求される通り、注意を要する動きが検出されると、システムは、患者の意図に沿い、刺激および/または阻害の増大または減少をもたらすように、そのプログラミングを変化させうる。
本明細書の前出で記載した通り、ハウジング(H)は、アプリケーターと共に使用するための流体ポンプ(図示しない)もなおさらに含有しうる。
患者および/または医師のための外部プログラミングデバイスを使用して、植え込まれたハウジングの設定および性能を変化させることができる。同様に、植え込まれた装置は、システムの状態に関する情報およびフィードバック情報を伝送するのに、外側デバイスと通信しうる。これは、PCベースのシステムとなるように構成することもでき、スタンドアローンシステムとなるように構成することもできる。いずれの場合も、システムは一般に、遠隔測定モジュール(TM)の遠隔測定回路およびアンテナ(ANT)を介して、ハウジングと通信するものとする。患者および医師のいずれも、コントローラー/プログラマー(C/P)を活用して、処置の持続時間、光の強度または振幅、パルス幅、パルス周波数、バースト長、およびバースト速度などの刺激パラメータを、適宜調整することができる。
通信リンク(CL)を確立したら、MMNプログラマー/コントローラーとハウジングとの間のデータの転送を開始することができる。このようなデータの例は、
1.ハウジングからコントローラー/プログラマーへ:
a.患者による使用
b.バッテリー寿命
c.フィードバックデータ
i.デバイス診断(エミッターと向かい合う光センサーによる、直接的な光伝達の測定など)
2.コントローラー/プログラマーからハウジングへ:
a.デバイス診断に基づく照明レベル設定の更新
b.パルススキームに対する変更
c.埋込み回路の再構成
i.フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、アプリケーション特異的集積回路(ASIC)、または他の集積回路もしくは埋込み回路など
である。
非限定的な例を目的として述べると、ZigBeeなど、低電力および/または低周波数の近距離無線通信を、遠隔測定のために援用することができる。体内の組織は、十分に規定された電磁応答を示す。例えば、筋肉の比誘電率は、両対数による単調周波数応答または分散を顕示する。したがって、≦1GHzの周波数範囲で埋込み遠隔測定デバイスを作動させることは有利である。2009年に、US FCCは、EM周波数スペクトルの一部を、Medical Device Radiocommunications Serviceとして公知(「MedRadio」として公知)の、植込み型システムにおける無線生体遠隔測定の専用とした(次いで、2011年に改定した)。このような遠隔測定を援用するデバイスは、「medical micropower network」サービスまたは「MMN」サービスとして公知でありうる。現在確保されているスペクトルは、401〜406、413〜419、426〜432、438〜444、および451〜457MHzの範囲であり、これらの公認のバンド幅:
・401〜401.85MHz:100kHz
・401.85〜402MHz:150kHz
・402〜405MHz:300kHz
・405〜406MHz:100kHz
・413〜419MHz:6MHz
・426〜432MHz:6MHz
・438〜444MHz:6MHz
・451〜457MHz:6MHz
を備える。
規則では、MedRadioデバイスのための周波数帯域決定スキームを指定していない。しかし、FCCは、
・MMNは、413〜419MHz、426〜432MHz、438〜444MHz、および451〜457MHzのバンドで稼働する他の公認の無線局への有害な干渉を引き起こすべきではない;
・MMNは、413〜419MHz、426〜432MHz、438〜444MHz、および451〜457MHzのバンドで稼働する他の公認の無線局からの干渉を容認しなければならない;
・MMNデバイスは、413〜419MHz、426〜432MHz、438〜444MHz、および451〜457MHzの周波数バンドを使用して、MMNの一部ではない他のデバイスへと、情報を中継するのに使用することはできない;
・MMNプログラマー/コントローラーは、別のMMNのプログラマー/コントローラーと通信して、無線リンクを協調的に共有しうる;
・植込み型MMNデバイスは、それらのMMNのプログラマー/コントローラーだけと通信しうる;
・植込み型MMNデバイスは、別の植込み型MMNデバイスと直接通信することはできない;
・MMNプログラマー/コントローラーは、1人の患者における植込み型デバイスだけを制御しうる
と明記していることを理解されたい。
興味深いことに、これらの周波数バンドは、米国連邦政府の陸上移動無線および自家用の陸上移動無線、米国連邦政府のレーダー、ならびにラジオ局の遠隔放送などの主要基盤では、他の目的で使用されている。近年、高周波数範囲もまた、植込み型医療デバイスにおける遠隔測定および無線電力の伝送に適用可能であり、効率的であることが示されている。
MMNは、インプラント自体における磁気スイッチを介して、外部場に干渉したり、外部場から干渉されたりしないように作製することができる。このようなスイッチは、MMNプログラマー/コントローラーが、インプラントのごく近位にある場合にだけ起動させることができる。これはまた、発光の制限のために、磁気スイッチにより誘起された場合に限り、電気効率の改善をもたらす。巨大磁気抵抗(GMR)デバイスは、5〜150ガウスの間の起動磁場強度で利用可能である。これは、磁気作動点と称することが典型的である。GMRデバイスには、内在的ヒステリシスが存在し、それらもまた、ある範囲の磁気放出点を呈示し、これは、作動点磁場強度の約半分であることが典型的である。したがって、作動点に近い磁場を活用するデザインでは、磁場がこれに対処するように形作られない限りにおいて、ハウジングと、MMNプログラマー/コントローラーとの間の距離に対する感受性の問題を抱えることになる。代替的に、MMNプログラマー/コントローラーと、インプラントとの間の位置/距離に対する感受性の低減をもたらすように、MMNプログラマー/コントローラーの磁場強度を増大させることもできる。さらなる実施形態では、MMNは、磁場の周波数により、デバイスの安全性プロファイルおよび電気効率の改善を要求するように作製することができ、これにより、誤った磁気曝露に対する感受性を小さくする。これは、スイッチの出力に同調させた電気回路(L−C回路またはR−C回路など)を装備することにより達成することができる。
代替的に、別の種類の磁気デバイスを、スイッチとして援用することもできる。非限定的な例を目的として述べると、MEMSデバイスを使用することができる。カンチレバー型MEMSスイッチは、MEMSの1つの部材を、小型磁気リードスイッチと同様に、その磁化感受性により、MEMSの別の部分と物理的に接触させるように構築することができる。浮上型カンチレバーは、支持されるカンチレバー部材の端部の上に、強磁性材料(Ni、Fe、Co、NiFe、およびNdFeBなどであるがこれらに限定されない)を沈着させることにより、磁化感受性となるように作製することができる。このようなデバイスはまた、カンチレバーの振動が、振動磁場により、カンチレバーの天然の共鳴周波数を超える周波数で駆動される場合に限り接触するように、カンチレバーの長さを介して調整することもできる。
代替的に、赤外感受性スイッチを使用することもできるであろう。本発明のこの態様の、この実施形態では、光ダイオードまたは光導体を、ハウジングの外部表面へと曝露し、赤外光源を使用して、MMNのための通信リンクを起動することができる。赤外光は、体内組織を、その散乱の低減のために、可視光よりたやすく透過する。一方、水および他の内在的発色団は、図31(1018)のスペクトルであって、水のスペクトルが、700〜2000nmにわたり、脂肪組織のスペクトルが、600〜1100nmにわたるスペクトルに示される通り、960、1180、1440、および1950nmのピークで、強力な吸収を示す。
しかし、組織内の侵入深さは、図32(1020)のスペクトルであって、ヒト皮膚についての光散乱スペクトルであり、ミー散乱効果(光の波長と同様のサイズの要素)およびレイリー(光の波長より小さなサイズの要素)散乱効果の両方に由来する個別の成分を含む光散乱スペクトルを表示するスペクトルに示される通り、その光の散乱特性からより大きな影響を受ける。
上述のピークを回避する場合、光散乱の、この比較的単調な低減は、吸収よりはるかに重要である。したがって、800〜1300nmの範囲内で作動する赤外(または近赤外)トランスミッターは、好ましい場合がある。このスペクトル範囲は、皮膚の「光の窓」として公知である。
このようなシステムはさらに、図33(1022)に示される電気回路などの電気回路を、センシングスイッチだけでなく、遠隔測定のためにも活用しうる。光信号伝達に基づき、このようなシステムは、ハイスループットのデータ速度をもたらしうる。
一般に、リンクの信号対ノイズ比(SNR)は、
[式中、IsおよびINは、入射信号の光パワーおよび光ダイオードのノイズ電流のそれぞれから生じる光電流であり、Psは、受信される信号の光パワーであり、Rは、光ダイオードの応答度(A/W)であり、INelecは、レシーバーについての、入力を基準としたノイズであり、PNambは、干渉光源(周辺光など)に起因する入射光パワーである]と規定される。
PSはさらに、
[式中、PTx(W)は、伝達されるパルスの光パワーであり、JRxλ(cm−2)は、波長をλとするときの、光インパルスに対する、組織の空間的応答フラックスであり、ηλは、λにおける、光学素子/光フィルター内の任意の非効率の一因となる効率因子(ηλ≦1)であり、ATは、レシーバーの光学素子が信号を統合する組織面積を表す]と規定することができる。
全信号光電流に影響を及ぼす上述の因子、およびシステムレベルの設計パラメータとのそれらの関係は、エミッターの波長、エミッターの光パワー、組織に対する効果、レンズサイズ、トランスミッター−レシーバー間のアライメントのずれ、レシーバーノイズ、周辺光源、光ダイオードの応答度、光学ドメインのフィルタリング、レシーバー信号ドメインのフィルタリング、変調方式、ならびに光ダイオードおよびエミッターの選択を含む。これらのパラメータの各々は、所与のデザインに適正な信号強度の達成を確保するように、独立に操作することができる。
干渉の潜在的可能性が最も大きい光源の信号電力は、比較的小さな周波数(例えば、日光:DC;蛍光:周波数を最大数十キロヘルツまたは数百キロヘルツとする)からなり、したがって、信号ドメイン内でハイパスフィルターを使用し、データ送信に高周波数を使用することにより除去することができる。
エミッターは、非限定的な例を目的として述べると、VCSEL、LED、HCSELからなる群から選択することができる。VCSELは一般に、他の光源より輝度が高く、かつ、エネルギー効率が高く、高周波数でのモジュレーションが可能である、このような光源の例は、Finisar,Inc.から、モデル識別番号「HFE 4093−342」で市販されているデバイスであり、860nmで作動し≦5mWの平均電力を供給する。他の光源もまた、有用であり、様々なレシーバー(検出器)についても同様である。一部の非限定的な例を、以下の表に列挙する。
遠隔測定エミッターの、レシーバーとのアライメントは、コントローラー/プログラマー内のセンサーと相互作用して、ユニットのアライメントがなされているという位置情報を使用者に提供するハウジングと連携させた磁石のアレイなど、非接触登録システムを使用することにより改善することができる。こうして、システム全体の総エネルギー消費量を低減することができる。
グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)は、ヒト皮膚内の光散乱を低減するが、それらの臨床的有用性は、極めて限定されている。グリセロールおよびPEGは、親水性であり、親油性の角質層の浸透は不良であるため、これらの薬剤の、無傷の皮膚内の浸透は、ごく微少であり、極めて緩徐である。皮膚への浸透を増強するために、これらの薬剤は、真皮へと注射することが必要であるか、または角質層を機械的に(例えば、テープによる剥離(stripping)、光による剥離(abrasion))もしくは熱(例えば、エルビウム:イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)レーザーアブレーション)などにより除去しなければならない。このような方法は、テープによる剥離、超音波、イオントフォレーシス、電気穿孔、マイクロダーマブレーション、レーザーアブレーション、無針注射銃、およびフォトメカニカル的に駆動された化学波(「光穿孔」として公知の工程など)を含む。代替的に、アレイ内またはローラー(Dermaroller(登録商標)マイクロニードリングデバイスなど)上に含有されたマイクロニードルを使用して、浸透障壁を減殺することができる。Dermaroller(登録商標)マイクロニードリングデバイスは、その192の注射針の各々が、直径を70μmとし、高さを500μmとするように構成する。これらのマイクロニードルを、幅2cm×直径2cmの円筒形のローラー上に均一に分散させる。マイクロニードルローラーの標準的な使用は、同じ皮膚領域上の、10〜15回にわたる適用の後で、1cm2当たりの穿孔240の穿孔密度を結果としてもたらすことが典型的である。このようなマイクロニードル法は、確かに機能的であり、価値があるが、透明化剤を無傷の皮膚へと単に局所的に適用し、その後、これが、角質層および表皮を越えて、真皮へと移動しうるなら、臨床的有用性は改善されるであろう。米国医薬品局(FDA)は、いずれも、屈折率が、真皮コラーゲンの屈折率(n=1.47)と緊密に合致し、単独およびポリジメチルシロキサン(PDMS)などのプレポリマー混合物と組み合わせて利用可能な、親油性ポリプロピレングリコールベースのポリマー(PPG)および親水性PEGベースのポリマーを承認した。PDMSは、光学的に透明であり、一般に、不活性、非毒性、および不燃性であると考えられる。PDMSは場合によって、ジメチコンと呼ばれ、前出の節で詳細に記載した通り、複数の種類のシリコーン油(重合化させたシロキサン)のうちの1つである。PDMSの化学式は、CH3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3[式中、nは、単量体である[SiO(CH3)2]単位の繰返し回数である]である。これらの光学的透明化剤の、適切に処置された皮膚への浸透が、高度の散乱の低減および相応の光輸送効率を達成するには、約60分間を要する。このことを念頭に置くと、この手法を活用するシステムは、光学的透明化を達成するのに十分な時間の後で、名目上、処置曝露を通して、または処置曝露の間、光学的透明化を維持するのに十分な容量で、その照明を起動するように構成することができる。代替的に、患者/使用者に、システムを使用する前に十分な時間にわたり彼らの皮膚を処置するように指導することもできる。
代替的に、マイクロニードルローラーは、組織透明化剤を含有しうる中央流体チャンバーであって、注射針と連絡した中央流体チャンバーを付加して構成することができる。この構成は、マイクロニードルを介する、組織透明化剤の直接的な注射を可能とすることにより、組織透明化の増強をもたらしうる。
小***症、***障害、および神経障害性疼痛など、本明細書で記載される臨床的適応のうちのいくつかを伴う場合と同様でありうる通り、アプリケーターを体外に装着する場合、圧迫包帯様システムであれば、露出されたエミッターおよび/またはアプリケーターを、表面下に光遺伝学的標的を含有する組織へと押し込んで、圧力誘導性組織透明化を介する光透過の増強をもたらしうるであろう。この構成はまた、効果を増大させるため、組織透明化剤と組み合わせることもできる。忍容可能な圧力の程度は、臨床適用およびその設置部位の関数であることが明らかである。代替的に、光源の標的領域への圧迫はまた、外部光源からの光をアプリケーターへと送達するために集光するのにもまた役立つ、1または複数の植込み型送達セグメントと組み合わせることもできる。このような例を、図34に示すが、この図では、外部光源(PLS)(送達セグメントの遠位端の場合もあり、光源自体の場合もある)は、患者の外部境界(EB)と接触させて配置している。PLSは、光を体内へと発し、これは、ファイバーバンドルの場合もあり、他のこのような構成の場合もある、基幹導波路(TWG)に沿った伝搬のために、レンズ、集中装置、または光を集光する他の任意の手段でありうる集光装置(CA)により集光することができ、次いで、別個の暫定的送達セグメント(BNWGx)へと分岐し、これが、標的(N)と近位であるアプリケーター(Ax)へと光を送達する。
図68は、外部充電デバイスを、患者による簡略型使用のために、衣服へと取り付ける、ある実施形態であって、ベスト、スリング、ストラップ、シャツ、およびズボンからなる群から選択することができるがこれらに限定されない、取付けデバイス(MOUNTING DEVICE)を含む実施形態を例示する。取付けデバイス(MOUNTING DEVICE)は、送達セグメント(DS)へと作動的にカップリングさせるように構成されているハウジング(H)の例示的な例により表される、植込み型受電モジュールの実質的に近傍に配置される、磁気コイル、または電流保有プレートなどであるがこれらに限定されない、無線電力伝送放出エレメント(EMIT)をさらに含む。ハウジング(H)内には、コントローラーが、それへの電流を制御することにより光源を起動するように、電源、光源、およびコントローラーが存在しうる。代替的に、受電モジュールは、とりわけ、アプリケーターを、光源を含有するように構成する場合、アプリケーター(図示しない)に配置することもできる。
電気刺激(「e−stim」)などの神経刺激は、ニューロン内に二方向性のインパルスを引き起こすことが可能であり、これらは、逆行性刺激および/または順行性刺激として特徴付けることができる。すなわち、活動電位は、ニューロンに沿って双方向に伝搬するパルスを誘発することが可能である。しかし、刺激と組み合わせた、光遺伝学的阻害の協調的使用は、光遺伝学的阻害を使用して、誤信号を抑制または解除することにより、意図される信号だけが、標的位置を越えて伝搬することを可能としうる。これは、本発明者らが、「マルチアプリケーターデバイス」または「マルチゾーンデバイス」と称するものを使用して、複数の方式で達成することができる。このようなデバイスにおいて活用される個々のエレメントの機能および特徴については、前出で規定した。
第1の実施形態では、マルチアプリケーターデバイスを、図35に示される通り、標的神経(N)に沿って、各相互作用ゾーン(Zx)のために、別個のアプリケーター(Ax)を活用するように構成する。一例は、両方の端部(A1、A3)および中央部の電気刺激デバイス(A2)における光遺伝学的アプリケーターの使用である。この例は、所望の信号方向が、励起性電極の片側でありうる、一般的状況を表すように選択した。可能とされる信号方向は、中央アプリケーターA2の反対側のアプリケーターからの光遺伝学的阻害の選択的適用により選択することができる。この非限定的な例では、誤インパルス(EI)は、刺激カフA2のRHSにあり、矢印(DIR−EI)により指し示される通り、右側へと進み、A3が対象とする標的の部分を通り過ぎ、所望のインパルス(DI)は、A2のLHSにあり、矢印(DIR−DI)により指し示される通り、左側へと進み、A1が対象とする標的の部分を通り過ぎる。A3の起動は、信号の光遺伝学的阻害を介するEIの伝達を無効とし、これを抑制するのに役立つ場合がある。同様に、A3の代わりにA1を起動すれば、所望のインパルス(DI)の伝達を抑制し、誤インパルス(EI)の伝搬を可能とするのに役立つであろう。したがって、二方向性は、この三重アプリケーター構成において維持され、これを、インパルス方向を制御するための柔軟な構成としている。このような柔軟性は、臨床的に常に要求されるわけではなく、後続の段落において説明される通り、より単純なデザインも使用することができる。この阻害/抑制信号は、治療標的の具体的動態により決定される通り、電気刺激に随伴する場合もあり、これに先行する場合もある。各光アプリケーターはまた、2つのスペクトル的にはっきりと異なる光源を活用して、標的内のそれらのそれぞれのオプシンを活性化させることにより、光遺伝学的励起および阻害の両方をもたらすことが可能であるように作製することもできる。この実施形態では、各アプリケーター(Ax)は、その固有の送達セグメント(DSx)により備給されている。これらの送達セグメント、DS1、DS2、およびDS3は、存在するアプリケーターの種類により決定される通り、光および/または電気のための導管として役立つ。前出で記載した通り、送達セグメントは、電源、処理、フィードバック、遠隔測定などをもたらすのに要求される、電気部品および/または電気光学部品を含有するハウジングへと接続される。代替的に、アプリケーターA2が、光遺伝学的アプリケーターであることも可能であり、アプリケーターA1またはA3を使用して、誤信号方向を抑制することができる。
代替的に、上記で述べた通り、治療により、単一の方向だけを要求するように指示される場合は、あるアプリケーター対だけを要求する場合もある。図36の実施形態を参照すると、上記で記載した所望のインパルス(DI)および誤インパルス(EI)の指向性は、維持される。しかし、所望のインパルス(DI)の指向性は、左向きで一定であると考えられるため、アプリケーターA3は、存在せず、アプリケーターA2を、前出で記載した通り、誤インパルス(EI)の光遺伝学的抑制のために使用する。
代替的に、図37の実施形態であって、電気活性化ゾーンおよび光活性化ゾーンZ1、Z2、およびZ3が空間的に隔てられているが、なおも単一のアプリケーター(A)内に含有されている実施形態を参照すると、単一のアプリケーターを使用することもできる。
さらにまた、本明細書で記載される電気刺激と光刺激との組合せも、手術中の阻害試験であって、電気刺激を送達し、光の適用により阻害して、インプラントおよび光遺伝学的阻害の適正な機能を確認する試験のために使用することができる。これは、医療上の制約および/または患者の固有性および/または処置下における状態に応じて、手術手順時またはその後の試験について記載された前出のアプリケーターおよびシステムを使用して実施することができる。また、多重アプリケーター、または多重ゾーンアプリケーター、または複数のアプリケーターの組合せにより、前記1または複数のアプリケーター内の個別の光源エレメントのいずれが、神経機能を阻害するのに、最も効果的であり、かつ/または効率的な手段でありうるのかも規定することができる。すなわち、エミッターまたはエミッターのセットを使用する光遺伝学的阻害を介して、誘導された刺激を抑制するか、または抑制しようと試み、患者または標的、応答を確認または測定して、使用のための最適の組合せについて検討することにより、e−stimデバイスを、多重型エミッターシステム内、または分散型エミッターシステム内の異なるエミッターおよび/またはアプリケーターの効果について調べるシステム診断ツールとして使用することができる。次いで、この最適の組合せを入力として使用して、外部コントローラー/プログラマーを介する、ハウジングへの遠隔測定リンクを介して、システムを構成することができる。代替的に、単一のエミッターまたはエミッターのセットの最適のパルス特徴を、同様に確認し、植込み型システムへと配置することもできる。
一実施形態では、システムは、阻害性および励起性両方のプローブおよび/またはアプリケーターのいずれもが、標的組織内に存在する、光活性化型イオンチャネルを含有する細胞を照明するのに使用される光学プローブであるように構成することができる。この構成では、細胞は、本明細書の別の箇所で記載されている光遺伝学法を使用して改変することができる。
このようなシステムのさらなる一実施形態は、1または複数の光アプリケーターを、迷走神経に接合して、上行刺激信号を脳へと送る一方で、励起性アプリケーターをCNSに対して近位に配置し、阻害性アプリケーターを励起性アプリケーターに対して遠位に配置することにより、下行信号を抑制することでありうる。励起性アプリケーターが、例えば、名目上450±50nmの光による、10〜100mW/mm2の範囲内の照明を、神経束の表面へと施して、迷走神経内の標的細胞の細胞膜内のカチオンチャネルを活性化させうるのに対し、阻害性アプリケーターは、名目上590±50nmの光による、10〜100mW/mm2の範囲内の照明を施して、標的細胞の細胞膜内のCl−イオンポンプを活性化させて、誤下行信号がPNSに達することを抑制する。
代替的な実施形態では、阻害性プローブを、励起性プローブが神経にバイアスをかける前に起動して、誤信号を抑制することができる。例えば、阻害性プローブを、励起性プローブの少なくとも5ミリ秒前に起動することにより、Cl−ポンプが、eNpHR3.0などのオプシンで、少なくとも1回のサイクルを経る時間を与え、これにより、より頑健な誤信号の阻害を潜在的に可能とする。他のオプシンは、本明細書の別の箇所で記載される通り、時定数が異なり、その後の励起前活性化時間も異なる。
代替的に、システムは、阻害性または励起性のプローブおよび/またはアプリケーターの一方だけが、標的組織内に存在する、光活性化型イオンチャネルを含有する細胞を照明するのに使用される光学プローブであるのに対し、他のプローブは、電気プローブであるように構成することもできる。刺激アプリケーターが電気プローブである場合、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願第13/707,376号および同第13/114,686号において記載されている神経刺激パラメータなどの典型的な神経刺激パラメータを使用することができる。所定の振幅および幅の刺激パルスを発生させる同じ機能を果たすのに適する出力回路の代替的実施形態を含む刺激プローブの作動については、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第6,516,227号および同第6,993,384号において記載されている。非限定的な例を目的として述べると、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願第12/360,680号において記載されている電気的神経阻害プローブなどの電気的神経阻害プローブを駆動するためのパラメータを使用することができる。電気プローブを使用して、神経阻害を達成する場合、デバイスは、「高周波数脱分極遮断」と呼ばれるモードで作動させることができる。非限定的な例を目的として述べると、高周波数脱分極遮断型電気プローブを駆動するためのパラメータに関する詳細については、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kilgore KLおよびBhadra N、High Frequency Mammalian Nerve Conduction Block: Simulations and Experiments、Engineering in Medicine and Biology Society、2006年、EMBS 2006年第28回IEEE年次国際大会、4971〜4974頁を参照することができる。
さらなる実施形態では、センサーを使用して、誤信号抑制量を、閉ループ様式で確認して、阻害性システムのパラメータを調整することができる。このようなシステムの例を、図23に示すが、この図では、センサー(SEN)を、阻害プローブを過ぎた所に配置して、誤神経シグナル抑制の程度を確認する。センサー(SEN)は、例えば、ENGプローブを使用することにより、神経シグナルを測定するように構成することができる。センサー(SEN)は、代替的に、物理的治療転帰を、直接的または間接的にモニタリングするように構成された治療センサーでもありうる。このような治療センサーは、非限定的な例を目的として述べると、ENGプローブ、EMGプローブ、圧力トランスデューサー、化学センサー、EKGセンサー、または運動センサーでありうる。直接的センサーは、前述の化学センサーおよび圧力センサーの例など、治療転帰を直接モニタリングするセンサーであると考えられる。間接的センサーは、処置の効果をモニタリングするセンサーであるが、最終的な結果をモニタリングするわけではないセンサーである。このようなセンサーは、本明細書の別の箇所で記載されている通り、前述のENGプローブ、EKGプローブ、およびEMGプローブの例である。
代替的に、治療センサーは、患者が、少なくともある程度は、光投与量および/または光投与回数を決定することを可能とする、患者入力デバイスでありうる。このような構成は、非限定的な例を目的として述べると、筋肉痙直または咳などの症例であって、患者が、光投与量および/または光投与回数を制御して、所与の状況のための必須の制御レベルであるとみなされるものを供給する症例において活用することができる。
プローブおよび/またはアプリケーターの配置に関して、本明細書で記載される通り、遠位とは、神経に沿って、より末梢側の配置を指し、近位とは、より中枢側の配置を指す。したがって、励起プローブに対して遠位に位置する阻害プローブを使用して、上行神経シグナルを施しながら、下行神経シグナルを抑制することができる。同等に、この構成は、阻害プローブに対して近位に位置する励起プローブとして記載することもできる。同様に、阻害プローブに対して遠位に位置する励起プローブを使用して、下行神経シグナルを施しながら、上行神経シグナルを抑制することができる。同等に、この構成は、励起プローブに対して近位に位置する阻害プローブとして記載することもできる。下行シグナルは、CNSから遠ざかって、PNSへと遠心方向に進み、逆も同様に、上行シグナルは、求心方向に進む。
オプシン遺伝物質の光感度が最重要である、ある特定の状況では、波長(上記で論じた通り、ある特定の「赤方偏移」オプシンは、関連する放射波長の、組織構造などの物質中のより大きな透過性のために、有利でありうる)にはそれほど焦点を当てず、応答時間と光感度(または吸収断面)との間で示されているトレードオフに焦点を当てることが所望でありうる。言い換えれば、多くの適用における最適のオプシン選択は、システム動態および光感度の関数でありうる。図49Aのプロット(252)を参照すると、例えば、50%の応答に対する電気生理学的用量(または「EPD50」;低値のEPD50は、大きな感光性を意味する)が、時間精度(照明を中断した後で、オプシンが不活化するときの時定数を表す「タウオフ」)と対比してプロットされている。このデータは、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Mattisら、Nat Methods、2011年12月10日、9巻(2号):159〜172頁によるものであり、前述のトレードオフを例示する。EPD50およびタウオフに加えて、オプシン選択の最適化において役割を果たす、他の重要な因子は、曝露密度(「H閾値」)および光電流レベルも含みうる。H閾値は、EPD50用量を、オプシンについて決定することにより評価することができ、オプシンにより創出されるチャネルが、「リセット」を長く要求するほど、関連する膜は分極を長く維持し、したがって、さらなる脱分極を遮断するであろう。以下の表は、特徴を比較しながら、いくつかの例示的なオプシンを取り上げる。
したがって、低値の曝露密度(H閾値)と、長い光回復時間(タウオフ)と、高光電流との組合せは、適用に十分に適するオプシンであって、満腹感、視力回復、および疼痛への対処について本明細書で記載されるオプシンなど、過剰な時間精度を要求しないオプシンを結果としてもたらす。上記で記載した通り、オプシンを活性化させる一因となる、光または放射の光侵入深さについては、さらなる検討の余地がある。組織は、不透明な媒質であり、ミー散乱効果(光の波長と同様のサイズの要素)およびレイリー(光の波長より小さなサイズの要素)散乱効果により、光のパワー密度を主に減衰させる。いずれの効果も、波長に反比例する、すなわち、短い波長ほど、長い波長より大きく散乱する。したがって、オプシンの励起波長は、長いことが好ましいが、照明光源と標的との間に組織を介在させる構成にこれが要求されるわけではない。オプシンを含有する標的組織における最終的な照射量(光パワーの密度および分布)と、オプシン自体の応答との間に平衡をもたらすことができる。組織内の侵入深さ(単純なλ−4の散乱依存性を仮定する)を、上記の表に列挙する。上述のパラメータの全てを考慮すると、C1V1tおよびVChR1のいずれも、低値の曝露閾値と、長い光回復時間と、光侵入深さとの組合せのために、多くの臨床状況において所望の選択である。図49B〜49Cおよび49E〜49Iでは、前述で組み込んだMattisらによる参考文献によるデータであって、候補オプシンの多様なパラメータの相互関連/関係を裏付けるデータを含有する、さらなるプロット(それぞれ、254、256、260、262、264、266、268)を取り上げる。図49Dでは、図3Bに示されるプロットと同様のプロット(258)であって、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Yizharら、Neuron、2011年7月、72巻:9〜34頁によるデータを含有するプロット(258)を取り上げる。図49Jの表(270)では、それらのいずれもが参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Wangら、2009年、Journal of Biological Chemistry、284巻:5625〜5696頁およびGradinaruら、2010年、Cell、141巻:1〜12頁に加えて、前述で組み込んだYizharらによる参考文献によるデータも取り上げる。
本発明で有用な励起型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、C1V1、ならびにC1V1の変異体である、C1V1/E162TおよびC1V1/E122T/E162T;ChR2/L132CおよびChR2/T159Cを含む青色脱分極型オプシン、ならびにこれらの、ChETA置換であるE123TおよびE123Aとの組合せ;ならびにChR2/C128T、ChR2/C128A、およびChR2/C128Sを含むSFOを含む、赤方偏移脱分極型オプシンを含みうる。これらのオプシンはまた、脱分極遮断戦略を使用する阻害にも有用でありうる。本発明で有用な阻害型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、NpHR、Arch、eNpHR3.0、およびeArch3.0を含みうる。トラフィッキングモチーフを含むオプシンは、有用でありうる。阻害型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される阻害型オプシンから選択することができる。刺激型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される刺激型オプシンから選択することができる。オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、Opto−β2ARまたはOpto−α1ARからなる群から選択することができる。図38A〜48Mに例示される配列は、オプシンタンパク質、トラフィッキングモチーフ、および本明細書で記載されるオプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。また、本明細書で決定される、自然発生の配列のアミノ酸変異体も含まれる。変異体は、選択されるオプシンのタンパク質配列と約75%を超えて相同であることが好ましく、より好ましくは約80%を超え、なおより好ましくは約85%を超え、最も好ましくは90%を超えて相同である。一部の実施形態では、相同性は、約93〜約95または約98%という高値となるであろう。この文脈における相同性は、配列類似性または配列同一性を意味し、同一性が好ましい。この相同性は、当技術分野で公知の標準的な技法を使用して決定されるであろう。本発明の組成物は、本明細書で提示されるタンパク質配列および核酸配列であって、提示される配列と約50%を超えて相同であるか、提示される配列と約55%を超えて相同であるか、提示される配列と約60%を超えて相同であるか、提示される配列と約65%を超えて相同であるか、提示される配列と約70%を超えて相同であるか、提示される配列と約75%を超えて相同であるか、提示される配列と約80%を超えて相同であるか、提示される配列と約85%を超えて相同であるか、提示される配列と約90%を超えて相同であるか、または提示される配列と約95%を超えて相同である変異体を含むタンパク質配列および核酸配列を含む。
あらかじめ図71を参照すると、一実施形態では、例えば、ハウジング(H)は、制御回路および電源を含み、導線は、ハウジング(H)を、アプリケーター(A)へと作動的にカップリングさせるので、送達システム(DS)は、電力を送り、信号をモニタリングする導線を含み、アプリケーター(A)は、図20A〜20Cを参照しながら記載されるアプリケーターと同様でありうる、カフ型のアプリケーターを含むことが好ましい。代替的に、図9A〜9Bを参照しながら記載される構成などの構成を活用することができる。一般に、アプリケーターを介する光の適用に応答して、迷走神経内の関連するニューロンの、制御可能な阻害型ニューロモジュレーションを容易とするオプシン構成が選択されるであろう。したがって、一実施形態では、NpHR、eNpHR 3.0、ARCH 3.0、またはArchT、またはMac 3.0などの阻害型オプシンを活用することができる。別の実施形態では、阻害パラダイムは、上記で記載した過剰活性化パラダイムで、刺激型オプシンを活用することにより達成することができる。過剰活性化阻害に適する刺激型オプシンは、ChR2、VChR1、ある特定の階段関数型オプシン(ChR2変異体;SFO)、ChR2/L132C(CatCH)、本明細書で列挙される励起型オプシン、または赤方偏移型C1V1変異体(例えば、C1V1)を含むことが可能であり、これらのうちの後者は、迷走神経の標的化される神経構造と比べて、アプリケーター(A)に潜入する傾向がある場合もあり、これを封入する傾向がある場合もある、線維性組織を介する照明の透過を支援しうる。別の実施形態では、SSFOも活用することができる。SFOまたはSSFOは、バッテリー寿命延命に関し、後続の治療の一助となりうる、数分間〜数時間という長時間にわたる時間ドメイン効果を及ぼしうるという点で差別化することができる(すなわち、1つの光パルスで、生理学的結果が長時間持続する結果として、アプリケーター(A)を介する光の総適用量が減少しうる)。上記で記載した通り、関連する遺伝物質は、上記で記載した注射パラダイムと関連するウイルストランスフェクションを介して送達することが好ましい。阻害型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される阻害型オプシンから選択することができる。刺激型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される刺激型オプシンから選択することができる。オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、Opto−β2ARまたはOpto−α1ARからなる群から選択することができる。代替的にまた、図14などに関して本明細書の別の箇所で記載されている通り、阻害型チャネル、活性化のために使用される単一の青色光源、またはチャネルの活性化および不活化をもたらす青色光源と赤色光源との組合せも選択することができる。
代替的に、システムは、患者の体内に植え込まれる、1または複数の無線電力の伝送インダクター/レシーバーであって、植込み型電源へと電力を提供するように構成される伝送インダクター/レシーバーを活用するように構成することもできる。
誘導カップリングおよび無線電力の伝送には、様々な異なるモダリティーが存在する。例えば、Witricityから市販されている非放射性共鳴カップリング、または多くの自家用デバイスで見られる、より常套的な誘導(近接場)カップリングが存在する。全ては、本発明の範囲内にあると考えられる。提起される誘導レシーバーは、患者へと、長期間にわたり植え込むことができる。したがって、インダクターの機械的可撓性は、ヒト皮膚またはヒト組織の機械的可撓性と同様であることが必要でありうる。生体適合性であることが公知のポリイミドは、可撓性基質のために使用された。
非限定的な例を目的として述べると、平面状の渦巻状インダクターは、可撓性プリント回路基板(FPCB)技術を使用して、可撓性植込み型デバイスへと作製することができる。輪状構成、渦巻状構成、蛇行状構成、および閉鎖状構成を含むがこれらに限定されない、多くの種類の平面状インダクターコイルが存在する。磁気フラックスおよび磁場を、2つのインダクターの間に集約するためには、コア材料の透過性が、最も重要なパラメータである、透過性が増大するにつれ、より大きな磁気フラックスおよび磁場は、2つのインダクターの間に集約される。フェライトは、透過性が高いが、蒸着および電気メッキなどのマイクロ加工技術と適合性ではない。しかし、電着法は、透過性の高い多くの合金に援用することができる。特に、Ni(81%)およびFe(19%)組成被膜は、最大の透過性、最小の保磁力、最小の異方性場、および最大の機械的硬度を組み合わせる。このようなNiFe材料を使用して作製される例示的なインダクターは、幅200μmのトレース線幅、幅100μmのトレース線間隔を含み、巻線回数を40回とし、可撓性の24mm四方を含むデバイスであって、患者の組織内に植え込みうるデバイス内で結果として得られる自己インダクタンスを約25μHとするように構成することができる。出力率は、自己インダクタンスに正比例する。
日本および米国など、多くの国々におけるラジオ周波数保護指針(RFPG)では、10kHz〜15MHzの周波数範囲内の電磁場下にある非接地金属対象物に起因する接触危険についての電流の限界を推奨している。電力伝送は一般に、皮下組織への有効な透過のために、数十MHzを超えない搬送波周波数を要求する。
本発明のある特定の実施形態では、植込み型電源は、外部の無線電力伝送デバイスと共に使用する場合、インプラント内またはインプラントと関連する光源および/または他の回路を作動させるのに十分な電気エネルギーを保存するのに、再充電型マイクロバッテリーおよび/またはキャパシターおよび/またはスーパーキャパシターの形態を取る場合もあり、そうならなければ、これらを組み込む場合もある。VARTAから市販されている再充電型NiMHボタン電池など、例示的なマイクロバッテリーは、本発明の範囲内にある。スーパーキャパシターはまた、電気化学キャパシターとしても公知である。
阻害型オプシンタンパク質は、非限定的な例を目的として述べると、NpHR、eNpHR 1.0、eNpHR 2.0、eNpHR 3.0、Mac、Mac 3.0、Arch、Arch3.0、およびArchTからなる群から選択することができる。阻害型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される阻害型オプシンから選択することができる。刺激型オプシンタンパク質は、非限定的な例を目的として述べると、ChR2、C1V1−E122T、C1V1−E162T、C1V1−E122T/E162T、CatCh、VChR1−SFO、およびChR2−SFOからなる群から選択することができる。刺激型オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、図49Jに列挙される刺激型オプシンから選択することができる。オプシンは、非限定的な例を目的として述べると、Opto−β2ARまたはOpto−α1ARからなる群から選択することができる。光源は、約0.1〜約20ミリ秒の間のパルス持続時間、約0.1〜100パーセントの間のデューティーサイクル、および1平方ミリメートル当たり約5ミリワット〜1平方ミリメートル当たり約200ミリワットの間の表面照射量を送達するように制御することができる。
図69Aおよび69Bは、本発明の代替的な実施形態であって、迷走神経の光遺伝学的制御のための、少なくとも部分的な植込み型システムを配置するのに、トロカールおよびカニューレを使用しうる実施形態を示す。トロカール(TROCAR)を使用して、アプリケーターおよびハウジングなど、本発明のエレメントの、意図される近似的な配置位置に対応しうる、手術のためのアクセス地点の間の組織を通る、トンネルを創出することができる。カニューレ(CANNULA)は、患者の組織へと、トロカールの挿入と共に挿入することもでき、その後で挿入することもできる。トロカールは、システムエレメントを導入するためのオープンルーメンをもたらすように、カニューレの挿入および配置の後で取り出すことができる。次いで、カニューレ(CANNULA)のオープンルーメンにより、ハウジングとアプリケーターとの間の経路に沿って、送達セグメント(DS)を配置する手段をもたらすことができる。送達セグメント(DS)の端部は、エンドキャップ(ENDC)で被覆することができる。エンドキャップ(ENDC)は、蛍光顕微鏡イメージングおよび/または誘導装置下におけるデバイスの可視性を増強する、ラジオ波不透過性マーキング(ROPM)を含むようにさらに構成することができる。エンドキャップ(ENDC)により、植え込まれる送達セグメント(DS)または他のシステム構成要素の光学表面を劣化させないことを確保するように、防水シールを施すことができる。カニューレは、送達セグメント(DS)の植込みの後で取り出すことができる。その後、本明細書の別の箇所で記載されている通り、送達セグメント(DS)を、標的組織へと配置されるアプリケーターおよび/またはハウジングへと接続することができる。さらなる実施形態では、エンドキャップ(ENDC)または送達セグメント(DS)自体は、フック、歯、およびバーブなどであるがこれらに限定されない一時的組織固定エレメント(AFx)であって、さらなる操作およびシステムの残余への接続を待つ間、植込み型デバイスが、その位置に安定して存在することを可能とする一時的組織固定エレメント(AFx)もまた含むように構成することができる。
図70は、代替的な実施形態であって、図69AおよびBの実施形態と同様に、エンドキャップ(ENDC)へと固定されたバーブ型組織固定エレメント(AF)を活用するようにさらに構成された実施形態を例示する。組織固定エレメント(AF)は、この例では、患者の組織へと挿入されるときのデバイスの先端である、鋭利端部(SHARP)を伴う皮下注射針として示されるカニューレ(CANNULA)と共に挿入された後で、実質的に定位置を維持するように、バーブ型でありうる。組織への組織固定エレメント(AF)挿入物のバーブ型特質は、送達セグメント(DS)の取出しを実質的に不可能とする。なおさらなる実施形態では、組織固定エレメント(AF)は、挿入の後で、活性化させるとき、それが、実質的な定位置を確実に維持する構成だけにあり、したがって、初回の植込み時の再配置をより容易とし、それが捕捉されたら、組織から端部を解放するように、送達セグメント(DS)の前進運動と共に活用されうる能力をもたらすように、トリガー機構(図示しない)など、アクチュエーターに対して応答性とすることができる。送達セグメント(DS)は、例示的な実施形態に示される通り、カニューレ(CANNULA)の中空の中心的ルーメンの実質的に内部の場合もあり、実質的にそのわずかに前方の場合もある。本明細書で使用されるカニューレとはまた、長型部材または送達導管も指す。長型送達導管は、カニューレでありうる。長型送達導管は、カテーテルでもありうる。カテーテルは、操作可能型カテーテルでありうる。操作可能型カテーテルは、電気機械的エレメントへと作動的にカップリングさせた、電気式マスター入力デバイスを伴う操作者により下されるコマンドに応答して、ステアリングを長型送達導管へと誘導する電気機械的エレメントを有するように構成された、ロボット操作可能型カテーテルでありうる。手術による植込み法は、長型送達導管を取り出し、送達セグメントを、第1の解剖学的位置と、第2の解剖学的位置との間に定位置に留置するステップをさらに含みうる。
本発明の代替的な実施形態は、標的化される求心性迷走神経の神経阻害に影響を及ぼす標的組織の細胞内の、SFOオプシンおよび/またはSSFOオプシンの使用を含むことが可能であり、このようなシステムは、感光性タンパク質を活性化させ、次いで、その後に不活化するために、二色型照明システムを含みうる。本明細書の別の箇所で記載される通り、階段関数型オプシンは、名目上450nmのLED光源またはレーザー光源などの青色光または緑色光を使用して、活性化させることができ、名目上600nmのLED光源またはレーザー光源などの黄色光または赤色光を使用して、不活化させることができる。これらの色の一時的調整は、持続時間を0.1〜10ミリ秒の間とする活性化パルスを創出する活性化のための、第1の光源からのパルス刺激、次いで、第1の光源からの活性化パルスが完了して、1〜100ミリ秒後の間の時点における、持続時間を0.1〜10ミリ秒の間とする不活化パルスを創出する不活化のための、第2の光源からのパルス刺激により、過剰刺激(脱分極)遮断状態をもたらすように施すことができる。代替的に、NpHRおよびArchなどであるがこれらに限定されない、ある特定の阻害型オプシンも同様に、青色光を使用して不活化させることができる。
迷走神経阻害のためのシステムは、アプリケーター、コントローラー/ハウジング、送達セグメント、および記載される他のシステムエレメントのうちのいずれかの組合せから構成することができ、本明細書で規定される治療パラメータを活用することが理解される。非限定的な例を目的として述べると、名目上590nmのLED光源を含むシステムは、密閉型の光フィードスルーを介して、直径100μmの光ファイバー37本によるバンドルからなる導波路送達セグメントへと作動的にカップリングさせて、その中のコントローラーにより制御される植込み型ハウジング内から、複数の出力カプラーからなり、迷走神経幹または迷走神経枝の外側またはその周りに配置しうる反射スリーブをはめた、軸方向に巻きつけるスラブ型アプリケーターへと光を伝達して、標的組織内にNpHRオプシンを含有する細胞を、バンドルの表面において、0.1〜10ミリ秒の間のパルス持続時間、20〜50%の間または一定のデューティーサイクル、および5〜20mW/mm2の間の照射量で照明することができる。
図71は、迷走神経の両側照明のために構成された、咳を処置するためのシステムについての代替的な例示的実施形態を描示する。例えば、巻きつけないときの幅を10mmとし、長さを40mmとする、巻きつけスラブ型アプリケーターである、アプリケーターA1およびA2を、それぞれ、迷走神経枝N1およびN2の周りに配置する。アプリケーターA1およびA2の各々はさらに、内部表面2Aおよび外部表面4を含み、この場合、外部表面4は、図20Bに関してより詳細に記載される通り、少なくとも部分的な反射表面であって、送られてきた光を再循環させて標的組織へと戻すように構成された反射表面でありうる。アプリケーターA1およびA2は、図23および55に関してより詳細に記載される通り、センサーSEN1およびSEN2をさらに含む。光は、図9〜20に関してより詳細に記載される通り、送達セグメントDS1を介して、アプリケーターA1へと送達され、送達セグメントDS2を介して、アプリケーターA2へと送達される。コネクターC1−2は、図9Aおよび50〜54に関してより詳細に記載される通り、送達セグメントDS1からの光を、アプリケーターA1へと作動的に結合させるように構成されている。同様に、コネクターC2−2は、送達セグメントDS2からの光を、アプリケーターA2へと作動的に結合させるように構成されている。送達セグメントDS1およびDS2は、それぞれ、図16Bおよび63A〜64に関してより詳細に記載される通り、アンジュレーションU1およびU2をさらに含む。送達セグメントDS1およびDS2は、センサーSEN1およびSEN2と、ハウジング(H)のコントローラー(CONT)との間の信号配線SW(図示しない)を含むようにさらに構成することができる。したがって、コネクターC1−2およびC2−2は、電気接続も同様にもたらすようにさらに構成することができる。送達セグメント(DS)は、図57A〜59に関してより詳細に記載される通り、光フィードスルーOFT1およびOFT2のそれぞれを介して、ハウジング(H)へと作動的にカップリングさせる。光フィードスルーOFT1およびOFT2はまた、非限定的な例を目的として述べると、Bal−Seal,Inc.製のSYGNUS(登録商標)密閉型コネクターなどを使用することにより、電気接続も支援しうる。光は、図15に関してより詳細に記載される通り、ハウジング(H)内の光源LS1から、送達セグメントDS1へともたらされ、ハウジング(H)内の光源LS2から、送達セグメントDS2へともたらされる。光源LS1およびLS2は、本明細書の別の箇所でより詳細に記載される通り、迷走神経枝N1およびN2の標的組織内に存在するオプシンを活性化および/または不活化させるよう、スペクトル的に異なる出力をもたらすLEDおよび/またはレーザーとなるように構成することができる。ハウジング(H)内に示されるコントローラー(CONT)は、図28〜30に関してより詳細に記載されるコントローラー(CONT)の、明確さのための単純化である。外部主治医プログラマーモジュールおよび/または患者プログラマーモジュール(C/P)は、図27〜28および71に関してより詳細に記載される通り、コントローラー(CONT)と、通信リンク(CL)を介するアンテナ(ANT)を介する遠隔測定モジュール(TM)を介して通信しうる。患者プログラマーモジュール(C/P)またはそのサブセットは、患者が咳の切迫を感じた場合など、患者が要望するときに起動するアクチュエーターとなるようにさらに構成することができる。電源(PS)(明確さを目的として図示しない)は、図27〜30に関してより詳細に記載される通り、外部充電器(EC)を使用して、無線により再充電されるバッテリーでありうる。さらに、外部充電器(EC)は、図68に関してより詳細に記載される通り、取付けデバイス(MOUNTING DEVICE)内に常駐されるように構成することができる。取付けデバイス(MOUNTING DEVICE)は、この例示的な実施形態のために、とりわけよく構成されている通り、シャツまたはベストでありうる。図27に関してより詳細に記載される通り、外部充電器(EC)のほか、外部主治医プログラマーモジュールおよび/または患者プログラマーモジュール(C/P)ならびに取付けデバイス(MOUNTING DEVICE)は、体外空間(ESP)内に配置しうるのに対し、システムの残余は、植え込み、体内空間(ISP)内に配置することができる。名目上590nmで一定の光5mWを、左側迷走神経および右側迷走神経の各々へと、1回1分間にわたり、毎日10回で施す場合、この例示的なシステムで、再充電の前に30%の電荷保存を下回らずに、5日間にわたり治療を施すためには、容量(C)を800mAhのLiイオンバッテリーまたはLiポリマーバッテリーが要求されうる。したがって、このようなバッテリーを充電するために推奨される速度は、この場合、C/2または400mAであるので、再充電は、約12mlのインプラント容量を要求し、2時間を要する。これらのバッテリーはまた、交換が指し示されうる地点まで容量が劣化する前に、約1000回循環しうる。これは、上記で記載した使用状況で、10年間を超える植込み時間に対応する。
図72は、植込み/設置構成の大まかな解剖学的位置についての例であって、コントローラーハウジング(H)を、胸部に植え込み、それぞれ、迷走神経20Aおよび20Bを両側刺激するように配置された、アプリケーターA1およびA2へと作動的にカップリングさせる(送達セグメントDS1およびDS2を介して)例を例示する。
全身麻酔を使用する3カ所の切開(incision)(両側迷走神経へのアクセスのための、患者の頸部の各側1カ所ずつであって、アプリケーターを配置する1カ所ずつと、ハウジングの植込みのための、鎖骨下方の胸部内壁内または腋窩における1カ所と)を使用して、両側光遺伝学デバイスまたは「OGx」デバイスを、迷走神経に沿って植え込むことができる。OGxシステムは、胸部の皮膚下、例えば、手術により創出されたポケット内に配置することができ、送達セグメントは、皮下に創出されたトンネルを介して、頸部の切開位置とハウジング位置との間にルーティングする。以下は、このような手術法の例である。
植込み手順は、手術の前に予防用抗生剤(ゲンタマイシンおよびバンコマイシンなど)の注入を施された患者に対して、全身麻酔下で実施することができる。頸部の左側の露出を改善するために、患者の頭部を正中線に置きながら左肩を持ち上げるか、または右側に向けることにより、頸部を広げることができる。手術のために皮膚を清浄化し、準備する。次いで、横切開(incision)(約5〜6cmと測定される)を、鎖骨の上方およそ1センチメートルの頸部内の側面上、正中線のすぐ側方に施すことができる。次いで、鎖骨上から、鎖骨下空間の側方部分への皮下(s.c.)切開(dissection)(広頸筋下の)を実施して、ハウジングを格納するのに十分な空間を創出することができる。次いで、胸鎖乳突筋を切開し(dissected)、側方に牽引して、頸動脈鞘を露出させることができる。次いで、頸動脈鞘を越えて横方向に走る肩甲舌骨筋を切開し、頭部側に牽引することができる。また、必要な場合、頸神経ワナも切開し、頭部側に牽引して、さらなる露出を得ることができる。次いで、頸動脈鞘を開き、頸動脈と頸静脈との間に切開を施して、迷走神経を露出させることができる。迷走神経は、頸動脈鞘内で最大の神経であり、深部に位置している場合がある。次いで、露出およびアクセスを改善するために、迷走神経を持ち上げることができる。次いで、アプリケーターを神経へと固定し、送達セグメントを、周囲の組織へとしっかりと固定して、機械的支持をもたらすことができる。外科医は、アプリケーターを固定するときに、顕微鏡を活用して、迷走神経を可視化することができ、マイクロ鉗子を使用して、植込み時に、アプリケーターを取り扱い、操作することができる。送達セグメントのうちの2〜5cmの部分の尾側は、前出の、肩甲舌骨筋への深部切開により創出された空間でループさせることができる。このループは、ストレインリリーフを可能とするだけでなく、また、送達セグメントの遠位部分を、神経と平行に配向させることも可能としうる。したがって、この構成により、頸部の通常の動きから生じるアプリケーターの神経からの逸脱または神経の緊張の可能性を最小化することができる。次いで、緊縛および/または小型の結紮を使用して、送達セグメントを、周囲の組織へとしっかりと固定することができる。次いで、トンネル形成ツール、トロカール、またはカニューレを、皮下脂肪内の、この第1の切開部対の間に通して、アプリケーターとハウジングとの間の経路をもたらすことができる。次いで、送達セグメントの遠位端を、カニューレによりルーティングし、カニューレを取り出すことができる。次いで、送達セグメントを、ハウジングへと接合することができる。同様に、頸部の右側の露出を改善するために、右肩を持ち上げ、頭部を左側に向け、両側のアプリケーターを植え込み、接続するように、手順を繰り返すことができる。次いで、ハウジングを、切開部に対して遠位の鎖骨下ポケット内に挿入し、深部組織へとしっかりと固定することができる。次いで、アセンブルされたユニットの機械的完全性について検査し、必要な場合は調整を施し、良好となれば、創傷を閉止することができる。経口抗生剤のレジメは、術後約10日間にわたり持続させることができる。
代替的に、OGxデバイスは、それが、使用者へと、単一の統合型ユニットとして提供されるように構成することができる。このような場合、上記で記載した例示的な植込み術は、前出の例に基づく以下の変化形において表される通り、変更する必要がある。この代替的な構成では、アプリケーターを、送達セグメントへと接続し、これを、ハウジングへと接続するため、アプリケーターの植込みの前に、トンネル形成カニューレを使用することができる。この例示的な場合には、アプリケーターおよび送達セグメントは、トンネル形成カニューレを介して頸部へと導入することができる。次いで、必須の長さの送達セグメントが達成されたら、トンネル形成カニューレは、頸部切開(incision)時に取り出すことができる。代替的に、カニューレは、送達セグメントを軸方向に取り出すことを可能とする、縦方向の開口部を施すように作製することもできる。この例示的な場合には、カニューレは、頸部から取り出すこともでき、腋窩から取り出すこともできる。
前に戻り、図69Aおよび69Bを参照して、本発明の代替的な実施形態であって、迷走神経の光遺伝学的制御のための、少なくとも部分的な植込み型システムを配置するのに、トロカールおよびカニューレを使用しうる実施形態を示す。トロカール(TROCAR)を使用して、アプリケーターおよびハウジングなど、本発明のエレメントの、意図される近似的な配置位置に対応しうる、手術のためのアクセス地点の間の組織を通る、トンネルを創出することができる。カニューレ(CANNULA)は、患者の組織へと、トロカールの挿入と共に挿入することもでき、その後で挿入することもできる。トロカールは、システムエレメントを導入するためのオープンルーメンをもたらすように、カニューレの挿入および配置の後で取り出すことができる。次いで、カニューレ(CANNULA)のオープンルーメンにより、ハウジングとアプリケーターとの間の経路に沿って、送達セグメント(DS)を配置する手段をもたらすことができる。送達セグメント(DS)の端部は、エンドキャップ(ENDC)で被覆することができる。エンドキャップ(ENDC)は、蛍光顕微鏡イメージングおよび/または誘導装置下におけるデバイスの可視性を増強する、ラジオ波不透過性マーキング(ROPM)を含むようにさらに構成することができる。エンドキャップ(ENDC)により、植え込まれる送達セグメント(DS)または他のシステム構成要素の光学表面を劣化させないことを確保するように、防水シールを施すことができる。カニューレは、送達セグメント(DS)の植込みの後で取り出すことができる。その後、本明細書の別の箇所で記載されている通り、送達セグメント(DS)を、標的組織へと配置されるアプリケーターおよび/またはハウジングへと接続することができる。さらなる実施形態では、エンドキャップ(ENDC)または送達セグメント(DS)自体は、フック、歯、およびバーブなどであるがこれらに限定されない一時的組織固定エレメント(AFx)であって、さらなる操作およびシステムの残余への接続を待つ間、植込み型デバイスが、その位置に安定して存在することを可能とする一時的組織固定エレメント(AFx)もまた含むように構成することができる。
図70は、代替的な実施形態であって、図69AおよびBの実施形態と同様に、エンドキャップ(ENDC)へと固定されたバーブ型組織固定エレメント(AF)を活用するようにさらに構成された実施形態を例示する。組織固定エレメント(AF)は、この例では、患者の組織へと挿入されるときのデバイスの先端である、鋭利端部(SHARP)を伴う皮下注射針として示されるカニューレ(CANNULA)と共に挿入された後で、実質的に定位置を維持するように、バーブ型でありうる。組織への組織固定エレメント(AF)挿入物のバーブ型特質は、送達セグメント(DS)の取出しを実質的に不可能とする。なおさらなる実施形態では、組織固定エレメント(AF)は、挿入の後で、活性化させるとき、それが、実質的な定位置を確実に維持する構成だけにあり、したがって、初回の植込み時の再配置をより容易とし、それが捕捉されたら、組織から端部を解放するように、送達セグメント(DS)の前進運動と共に活用されうる能力をもたらすように、トリガー機構(図示しない)など、アクチュエーターに対して応答性とすることができる。送達セグメント(DS)は、例示的な実施形態に示される通り、カニューレ(CANNULA)の中空の中心的ルーメンの実質的に内部の場合もあり、実質的にそのわずかに前方の場合もある。本明細書で使用されるカニューレとはまた、長型部材または送達導管も指す。長型送達導管は、カニューレでありうる。長型送達導管は、カテーテルでもありうる。カテーテルは、操作可能型カテーテルでありうる。操作可能型カテーテルは、電気機械的エレメントへと作動的にカップリングさせた、電気式マスター入力デバイスを伴う操作者により下されるコマンドに応答して、ステアリングを長型送達導管へと誘導する電気機械的エレメントを有するように構成された、ロボット操作可能型カテーテルでありうる。手術による植込み法は、長型送達導管を取り出し、送達セグメントを、第1の解剖学的位置と、第2の解剖学的位置との間に定位置に留置するステップをさらに含みうる。
in vivoにおけるニューロンを伴う実験による確認:
本発明者らは、モルモットモデルを使用して、咳の光遺伝学的制御を確認するのに、2つの研究(まず、麻酔下/無意識下形態の研究であり、次いで、その後、意識下形態の研究である)を行った。
遺伝物質の送達:
AAVをコードするオプシンを、Dunkin Harleyモルモットにおいて、迷走神経への両側直接注射により、咳を調節する求心性神経へと送達した。
迷走神経への直接的注射のために、動物に、IM注射を介して送達される、1kg当たり50mgのケタミン、1kg当たり3.5mgのキシラジンの混合物により麻酔をかけた。麻酔をかけ、手術の準備をしたら、頸部の腹側表面上の皮膚を介して切開(incision)を施し、鈍的切開(dissection)を使用して、頸動脈および迷走神経を露出させた。迷走神経を、頸動脈から分離した。ウイルスは、35gの注射針を、節状神経節の下方およそ5mmの神経幹へと、注射針の斜角のついた端部を神経節へと向けて直接配置することにより注射した。注射は、両側に実施した。創傷は、結紮により閉止し完全に回復するまで、動物を、それらの飼育ケージ内の加温パッド上に置いた。
麻酔下試験モデルでは、3つのコホートを作り出した。1ml当たりのウイルス粒子1.0×1014個を含有する、15マイクロリットルの溶液を、両側迷走神経へと注射した。注射は、以下の血清型−プロモーター−オプシン−マーカーの組合せ:AAV6−hSyn−eNpHR3.0−EYFP(Virovekによる恵与);AAV6−hSyn−GFP(Virovekによる恵与);AAV1−CAG−ARCHt−EYFP(ノースカロライナ大学による恵与)を使用して、節状神経節の下方およそ5mmに施した。全ての動物は、注射の6週間後に、神経へと方向付けられた、594nm(NpHR)または532nm(ArchT)の両側光約10mWで迷走神経を照明することにより調べた。
意識下試験モデルについても同様に、以下の血清型−プロモーター−オプシン−マーカーの組合せ:AAV6−hSyn−eNpHR3.0−EYFP(Virovekによる恵与)およびAAV6−hSyn−GFP(Virovekによる恵与)を使用して、2つのコホートを準備した。これらの動物には、ウイルス注射の2週間後において、両側カフもさらに植え込み、ウイルス注射の4、5、および7週間後において、光(594nm、6〜10mW)を伴い、かつ、これを伴わずに、咳応答について調べた。
麻酔下咳モデル:
遺伝子送達の4〜16週間後に、動物に、ウレタン(1kg当たり1mg)の腹腔内注射により麻酔をかけた。頸部内の正中線切開により胸郭外気管を露出させ、その尾側最末端に、屈曲型ルアースタブアダプターを伴う、カニューレを挿入した(Canningら、2004年、Identification of the tracheal and laryngeal afferent neurones mediating cough in anaesthetized guinea-pigs、The Journal of Physiology、557巻(2号):543〜558頁)。気管カニューレは、ウォータージャケットを装着したオーガンバスであって、加温および加湿された室内空気で持続的に満たされたオーガンバスの内部に終わる短いチューブへと接合した。次いで、正中線切開(incision)により、腹側気管内壁内の気管粘膜(カニューレに対して吻側)を露出させた。気管のこの部分は、加温された酸素化クレブス緩衝液で連続的に表面潅流した。緩衝液は、喉頭レベルに配置された微弱な吸引源を使用して、気管から回収した。呼吸活性は、気管カニューレの側方ポートへと接合された圧力トランスデューサーによりモニタリングし、データ収集システムを使用してディジタル的に記録した。呼吸数は、1分間当たりの呼吸回数として計算し、表した。咳は、短い吸気努力の増強の後における、大きな特徴的呼気努力により特定し、実験者が目視により確認した。
咳は、気管粘膜の化学刺激により引き起こし、次いで、迷走神経への直接的な光の適用時における咳応答について調べた。
化学刺激のために、クエン酸(0.01〜2M)のアリコートを、気管粘膜へと直接適用した。クエン酸アリコートは、3〜5秒間にわたり、カニューレの近傍に、気管を潅流するクレブス緩衝液へと直接投与した。クエン酸のアリコートを、1分間隔で濃度を増大させながら添加することにより、濃度−応答曲線を構築して、咳の累積回数を決定した。濃度曲線をベースラインとして確立したら、閾値刺激時の咳反射を防止するために、発現したオプシンに適切な波長の光を、3mm長のカフアプリケーターを使用して、多様な光パワー、周波数、およびパルス持続時間(1〜40mW、1〜100Hz、1〜20ミリ秒)で、迷走神経に直接当てた。咳反射の低減は、データ収集システムにより読み取られる、ベースラインの反射と比較した呼気圧の減少を伴う、呼気努力の欠如として観察した。
図73を参照すると、データ収集コンピュータシステムからの試料リードアウトは、呼気圧のプロットを、AAV1−CAG−ArchT−EYFPを迷走神経の両側に注射して処置された試料動物における「咳」または「咳なし」の目視による確認と共に示す。クエン酸曝露時に光を適用しなかった場合、目視および圧力により咳が確認されるが、クエン酸曝露時に光を適用した場合、目視および圧力により咳が確認されない。図74を参照すると、研究における動物が、試験プロトコールのために、咳の回数を示すようにプロットされている(各動物は、単一のデータ点で表され、平均±平均の標準誤差は、水平方向の直線として示される)。「全対照」欄は、4〜16週齢で測定された全ての非処置動物からのデータを示す。「hSyn−GFP」欄は、AAV6−hSyn−GFP注射の6週間後に調べられた動物からのデータを描示する。AAV6−hSyn−eNpHR3.0−EYFPまたはAAV1−CAG−ArchT−EYFP(「NpHR」、「ArchT」)の6週間後に調べられた動物は、同じクエン酸刺激パラダイムにかけた場合、「hSyn−GFP」対照動物より有意に(P<0.05)少ない咳を示す。
意識下咳モデル:
光感度が最重要である構成では、オプシン構成は、例えば、NpHR、Arch、ArchTを含みうる。ウイルス粒子は、転写プロモーター(hSyn、CMV、Hb9Hb、Thy1、またはEf1aなど)と、選択されるオプシンタンパク質をコードする遺伝物質とを有するDNA配列によりパッケージングすることができる。体重300gの麻酔下の雄モルモット(Dunkin Harley)では、ウイルスの注射は、頸部領域を介して、迷走神経へと直接的になされる場合もあり、節状神経節へと直接的になされる場合もある。図75は、意識下咳モデルについて、プロセスフローの概観を例示する。
光送達に向けて、動物に、IM注射を介して送達される、1kg当たり50mgのケタミン、1kg当たり3.5mgのキシラジンの混合物により麻酔をかけた。麻酔をかけ、手術の4をしたら、頸部の腹側表面上の皮膚を介して切開(incision)を施し、カフ型のアプリケーターを、迷走神経の周囲に、配置が、喉頭反回神経が迷走神経に接合される場所に対して近位であることを確保するように注意を払って配置した。頸部の後方で体外に出る光ファイバーケーブルを、カフへと接合させた。動物が回復し、切開部が治癒したら、下記で記載される通り、噴霧されたクエン酸に対するそれらの咳応答について動物を査定した。植え込まれたカフ/光ファイバーケーブルは、外部レーザーへとカップリングさせて、噴霧されたクエン酸へのそれらの曝露から7分後〜10分後の間に、ウイルスをトランスフェクトされた迷走神経へと、光を送達した。
本明細書で示される光ファイバーケーブルおよびフェルールへと接合された特注のカフアプリケーター(図64)をモルモットに植え込み、迷走神経への光の送達に使用した。
咳の測定に向けて、上記で記載した通り、体重300gの雄モルモット(Dunkin Harley)に、ウイルスを注射し、光送達カフを植え込んだ。ウイルス注射の前後に、所定の間隔で、意識下の無拘束動物における、吸入されたクエン酸に対する咳応答を査定した。
動物を、Buxco製のプレチスモグラフ(図76Aおよび76B)内に入れ、噴霧されるクエン酸(0.3M)へと、10分間にわたり曝露した。噴霧されるクエン酸溶液は、5L/分の流量でチャンバーへと引き入れる。このクエン酸用量は、モルモットにおける咳を安定的に誘導することが見出されている。個々の咳は、3つの方式:(1)プレチスモグラフ内の任意の圧力変化をモニタリングする圧力トランスデューサーを介する方式、(2)プレチスモグラフ内部に配置されたマイクロフォンであって、咳音を検出するマイクロフォンを介する方式、ならびに(3)目視による動物の観察を介する方式で検出した。マイクロフォンおよび圧力トランスデューサーのいずれも、プレチスモグラフ内の音および圧力の変化を記録する、Acknowledgeデータ解析ソフトウェアを実行する、Biopacディジタル記録システムへと接続した。音シグナルおよび対応する圧力変化の両方として記録される挿間だけを、咳としてカウントした。マイクロフォンが、圧力トランスデューサーである場合、それは、限定された周波数範囲にわたり作動するのに対し、より一般的な「圧力トランスデューサー」は、広範バンド型デバイスである。したがって、これらの2つのセンサーの同時的な使用により、実際の咳を検出する、より信頼できる手段がもたらされる。
4分後〜6分後の3分間に記録された咳の回数を、ベースラインとして用いた。7分後〜10分後にわたる3分間は、光を迷走神経へと送達する、試験時間として用いた。このモデルでは、同じ動物を繰り返して調べることにより、時間経過にわたる処置の有効性を調べることができる。また、意識下の動物を調べることも、任意の潜在的な咳治療について査定するために、最も臨床的に関与性のアッセイである。
図77Aを参照すると、光遺伝学的処置を伴わない対照動物では、音および圧力により記録される咳が、アプリケーターを介する光の適用により中断されなかったことが示されうる。しかし、図77Bに示される通り、上記で記載した通り、AAV6−hSyn−eNpHR3.0−EYFPを、迷走神経へと直接投与された動物では、アプリケーターを介して、光を迷走神経へと適用したところ、音および圧力により記録される咳が中断された。図78は、AAV6−hSyn−eNpHR3.0−EYFPを注射した7週後において、動物を、噴霧されるクエン酸へと曝露し、光を迷走神経へと適用する時間(7分後〜10分後)における咳の回数は、動物を、噴霧されるクエン酸へと曝露するが、光を迷走神経へと適用しない時間(4分後〜6分後)において測定される咳の回数より有意に(P<0.01)少なかったことを示す。6匹の動物の各々に由来するデータを、平均±SEMと併せて示す。
本明細書では、本発明の多様な例示的実施形態について記載する。これらの例に対する言及は、非限定的な意味で行う。これらの例は、本発明のより広く適用可能な態様を例示する目的で提示される。本発明の真の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、記載される本発明には、多様な変更を施すことができ、同等物は、代用することができる。加えて、多くの改変は、特定の状況、材料、物質の組成、工程、目的への工程アクトまたは工程ステップ、本発明の精神または範囲に適応するように施すことができる。さらに、当業者に察知される通り、本明細書で記載および例示される個々の変化形の各々は、本発明の精神または範囲から逸脱しない限りにおいて、他の複数の実施形態のうちのいずれかの特質からたやすく分離することもでき、これらとたやすく組み合わせることもできる、個別の構成要素および特質を有する。全てのこのような改変は、本開示と関連する特許請求の範囲内にあることを意図する。
対象の診断手順または介入手順を実行する(carry out)ための、記載されるデバイスのうちのいずれも、このような介入の実行(executing)における使用のための、パッケージングされた組合せで提供することできる。これらの提供される「キット」は、使用のための指示書をさらに含むことが可能であり、このような目的で一般に援用される滅菌トレー内または滅菌容器内にパッケージングすることができる。
本発明は、対象デバイスを使用して実施しうる方法を含む。方法は、このような適切なデバイスを用意する行為を含みうる。このような用意は、末端使用者により実施されうる。言い換えれば、「用意する」行為は、末端使用者が、対象の方法において必須のデバイスを得るか、これにアクセスするか、接近するか、これを設置するか、設定するか、起動するか、電源を入れるか、またはこれを用意するように他の形で行為することだけを要求する。本明細書で列挙される方法は、列挙されたイベントの順序で実行しうるほか、列挙されたイベントの、論理的に可能な任意の順序で実行することもできる。
本発明の例示的な態様については、材料の選択および製造に関する詳細と併せて、上記に提示した。本発明の他の詳細について述べると、これらは、上記で言及した特許および刊行物との関連で察知されうるほか、一般に、当業者に公知であるか、または当業者に察知されうる。同じことは、本発明の方法ベースの態様に関しても、一般に、または論理的に援用される、さらなる行為の点で当てはまる。
加えて、本発明について、多様な特質を任意選択で組み込む複数の例を参照しながら記載してきたが、本発明の各変化形に関して想定される通り、本発明は、記載されるかまたは指し示されるものに限定されない。本発明の真の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、記載される本発明には、多様な変更を施すことができ、同等物(本明細書に列挙された同等物であれ、ある種の簡潔さのために含まれていない同等物であれ)は、代用することができる。加えて、値の範囲が提示される場合、その範囲の上限と下限との間のあらゆる介在値、およびその言明された範囲内の、他の任意の言明された値または介在値は、本発明の範囲内に包摂されることが理解される。
また、本発明の記載される変化形の、いかなる任意選択の特質も、独立に、または本明細書で記載される特質のうちの任意の1もしくは複数と組み合わせて、提示され、特許請求されうることも想定される。単数の項目に対する言及は、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書およびこれと関連する特許請求の範囲で使用される通り、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、「前記」、および「その」は、そうでないことが具体的に言明されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。言い換えれば、冠詞の使用は、上記の記載のほか、本開示と関連する特許請求の範囲においても、対象項目のうちの「少なくとも1つ」を許容する。このような特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草される場合もあることがさらに注意される。したがって、この言明は、特許請求の範囲の要素の列挙との関連における「ただ」、「だけ」などの除外的用語法の使用、または「否定的」限定の使用の先行詞として用いられることを意図する。
このような除外的用語法の使用がなければ、本開示と関連する特許請求の範囲における、「〜を含むこと」という用語は、任意のさらなる要素の包含を許容する(所与の要素の数が、このような特許請求の範囲において数え上げられるのか、特質の追加が、このような特許請求の範囲において提示される要素の性格を変容させるものと考えうるのかにかかわらず)ものとする。本明細書で具体的に定義される場合を除き、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、特許請求の範囲の妥当性を維持しながら、一般に理解される意味であって、可能な限り広範な意味を与えられるものとする。
本発明の広がりは、提示される例および/または対象の明細書には限定されず、本開示と関連する特許請求の範囲の文言だけによって限定される。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
感光性タンパク質を有するように遺伝子改変された組織構造を有する患者における空咳を、制御可能な形で管理するためのシステムであって、
a.放射を標的化される組織構造の少なくとも一部分へと方向付けるように構成された光送達エレメントと;
b.光を前記光送達エレメントへと供給するように構成された光源と;
c.光源へと作動的にカップリングさせたコントローラーと
を含み、
前記標的化される組織構造を構成する細胞の膜電位が、前記感光性タンパク質の、前記放射への曝露に少なくとも部分的に起因してモジュレートされるよう、前記コントローラーが、操作者により操作されて、前記標的化される組織構造を、放射で照明するように構成されているシステム。
(項目2)
前記標的化される組織構造が、迷走神経枝である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
アプリケーターが、標的組織構造を照明するように配置されており、前記アプリケーターが、少なくとも光送達エレメントとセンサーとからなり、前記センサーが、
a.標的組織またはその環境の状態を表す電気信号を発生させ、
b.前記信号を、前記コントローラーへと送達する
ように構成されており、前記信号が、所望の範囲内に維持されるよう、前記コントローラーが、前記センサーからの前記信号を解釈し、少なくとも1つの光源出力パラメータを調整するようにさらに構成されており、前記光源出力パラメータが、電流、電圧、光パワー、照射量、パルス持続時間、パルス間隔時間、パルス繰返し周波数、およびデューティーサイクルからなる群から選択することができる、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記センサーが、光センサー、温度センサー、化学センサー、および電気センサーからなる群から選択される、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記コントローラーが、前記光源をパルス様式で駆動するようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
電流パルスが、1ミリ秒〜100秒の範囲内の持続時間である、項目5に記載のシステム。
(項目7)
電流パルスのデューティーサイクルが、99%〜0.1%の範囲内である、項目5に記載のシステム。
(項目8)
前記コントローラーが、患者入力に対して応答性である、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記患者入力が、電流の送達を誘発する、項目8に記載のシステム。
(項目10)
電流コントローラーが、電流振幅、パルス持続時間、デューティーサイクル、および送達される全エネルギーからなる群から選択される1または複数の変数を制御するようにさらに構成されている、項目5に記載のシステム。
(項目11)
前記光送達エレメントが、神経または神経束の外周のうちの少なくとも約60%に配置されている、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記感光性タンパク質が、オプシンタンパク質である、項目1に記載のシステム。
(項目13)
前記オプシンタンパク質が、脱分極型オプシン、過分極型オプシン、刺激型オプシン、阻害型オプシン、キメラ型オプシン、および階段関数型オプシンからなる群から選択される、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記オプシンタンパク質が、NpHR、eNpHR 1.0、eNpHR 2.0、eNpHR 3.0、SwiChR、Mac、Mac 3.0、Arch、ArchT、iChR、ChR2、C1V1−T、C1V1−TT、CatCh、VChR1−SFO、ChR2−SFO、ChloC、およびiC1C2からなる群から選択される、項目12に記載のシステム。
(項目15)
ウイルスを使用して、前記感光性タンパク質を、標的組織へと送達する、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記ウイルスが、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、レンチウイルス、およびHSVからなる群から選択される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記ウイルスが、前記オプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記ポリヌクレオチドが、転写プロモーターをコードする、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記転写プロモーターが、hSyn、CMV、Hb9Hb、Thy1、およびEf1aからなる群から選択される、項目18に記載のシステム。