図1は、本発明の踏み間違い防止装置の全体構成を示す。ブレーキペダルの後方にメイ ンペダルを配設している。コの字形で両側面を下向きにした部品である一つのメインペダルを、メインペダル後部1、メインペダル前部2、角度調整ペダル3の3点に分け、それぞれのパイプ部は図1に表示している通り、メインペダル後部1は、前端の左端寄りにパイプa4、そしてパイプd7を同じく前端の右寄りの位置に、角度調整ペダル3は、後端の左寄りの位置にパイプb5を、メインペダル前部2は、後端の右寄りの位置にパイプc6を配設するが、パイプa4とパイプd7の間にパイプb5とパイプc6が入る位置に、それぞれのパイプを溶接して一つの部品を形成している。この中の2点であるメインペダル前部2と角度調整ペダル3のパイプ部に頭付きピン8を通して、上下2段構えの二つの部品を固定アングル48で仮に固定し、その後ピンは外しているが図3に示す。この2点と支点穴を有するメインペダル後部1のパイプ部に頭付きピン8を通して、抜け止めに図4に示すE型止め輪19をはめ込んだものがアッセンブリーであり、それぞれの3点は鉛直方向に回動状態になっていて、メインペダルの前部と後部が頭付きピン8を軸に折れ曲がる関節になる。又、メインペダル前部2と角度調整ペダル3は、べたに着く角度αを調整する時のみ回動する。メインペダル前部2である左右両側面の穴には左右対称にローラー軸17を圧入後、内側面を点溶接で固定している。このローラー軸17にローラー18を挿入しE型止め輪19をはめ込んで左右両外側のローラー18が鉛直方向に回動状態になっている。
上記ローラーガイドの部品構成について示したのが図5であり、部分的な拡大分解斜視図である。この図を参照するとペダル受け10の左右側面同心穴には内側から左右同様にツバ付きブッシュ51を圧入している。その穴に左右二つに分割した右側の軸a22をペダル受け10の右側面外側から挿入しながらアームa25下部の穴を通し、順番にスペーサーb50、ガイド受け15、ローラーガイド右16を通したのが図5である。それから先は、図2を参考に説明するとアッセンブリーとして組み付けられたメインペダル後部1の左右側面同心の穴に外側から左右同様にツバ付きブッシュ51を圧入していて、その右側面の穴をも通しながら軸a22のネジ部を有する先端部にナットと座金を装着し、追従ペダル11の左右同心の穴である右側面の穴を通してから、反対側も同じような要領でペダル受け10の左右同心の穴に左側面外側から軸b41を挿入しながら、ローラーガイド左9、メインペダル後部1の左側面を通しながらナットと座金を装着して、追従ペダル11の左側面を通してダブルナットで追従ペダル11の左右両側面を締め付け固定する。その後、仮止めしていたローラーガイド右16とガイド受け15、それに反対側のローラーガイド左9を本締めし固定するもので、ローラーガイド左9は、ローラーガイド右16と左右対称に配設している。この両ローラーガイドは、ローラー18が転動する輪郭は同じになっているものの、ローラーガイド左9はペダル受け10の左側面内側面に座金付きのボルトで取り付けるのに対して、ローラーガイド右16はガイド受け15の左側面に座金付きのボルトで取り付ける。このガイド受け15の底面をペダル受け10のネジ穴に座金付きのボルトで取り付けるので、ローラーガイド右16の下辺部を切り欠いているが、これはボルト頭の逃がしであり、ローラーガイド左9には切り欠きはない。又、両ローラーガイド外周中心の穴にはブッシュ49を圧入して、軸の摩耗を防ぐとともに芯ずれも防いでいる。
上述したメインペダルの内側に設ける追従ペダル11について、図1と図2を参照して説明する。追従ペダル11の右側面後方に穴があり、ここに取り付けるスペーサーa12は、追従ペダル11と固定プレート13を固定するためのもので、図1にメインペダル後部1の右側面切り欠き部から出ているのが一部見えている。固定プレート13の下部の穴に座金付きのボルトa14を通しながらスペーサーa12を挟んで追従ペダル11に取り付けている。固定プレート13の上部長穴部分は、アームa25のネジ穴に座金付きのボルトで取り付けている。この場合、図5に示しているアームa25の下部に穴があり、ペダル受け10の右側面外側から軸a22を、この穴に通しただけでは、アームa25は軸を中心に上部が振れる状態なので、上記のボルトa14と固定プレート13の上部長穴部分を取り付けている座金付きボルトによって、固定プレート13の上部と下部を固定することにより追従ペダル11とアームa25は、一体となって動くことになる。
前記アームa25は、ペダル受け10の右側面である軸a22の外筒に捻りバネ23を設け、復帰方向に付勢力を受ける構成にしている。又、このアームa25に取り付けている固定プレート13の上端部にある穴と、メインペダル前部2のバネ掛け20に引張バネ21を設け、固定プレート13の上部を介してアームa25とメインペダル前部2をお互い弱い力で引っ張り合っている。これは、メインペダル後部1よりメインペダル前部2の方がどうしても重いので、支点を境にメインペダル前部2が下がりメインペダル後部1が浮き上がるのを防いでいる。
車両のブレーキペダルとアクセルペダルの間に配設するアームb34とアームc35であるが、この二つのアームは、互いに両外側に曲げ、部品の取り付け面は平行になっている。これを、逆L字形に一定角度で重ね合わせ、アームb34の左右両縁と接するアームc35の面を部分溶接し一体にして一つのアームを形成している。そして、重なり合う面の中心に支点穴を明けていて、この穴にブッシュを圧入し座金と支点ボルト38で、中空軸を介して支え37のネジ穴に取り付け、回動状態になっている。又、アームc35の先端部ネジ穴には、中空で樹脂製のペダル押さえ39を座金付きの取付ボルト40で回動状態に備えて、車両のアクセルペダルに当接するようにしている。もう一方のアームb34の先端部はネジ部を有する軸付きになっており、この軸面と平行で、後方に位置するアームa25の先端部も同じようにネジ部を有する軸付きになっている。
上記の支え37は、架台36の左側面前部に支え37の下部を重ね合わせてから、図1に示すように車両のアクセルペダルの傾きよりアームc35の傾きの方を少し大きくすると同時に、ペダル押さえ39が車両のアクセルペダルの中心より少し前の位置で当接する高さと前後の位置に部分溶接で固定している。架台36の後部は、アングル28の上部に取り付け固定している。支え37、架台36、アングル28の3点が一つのアッセンブリーであり、架台36の前端部を車両のブレーキペダルとアクセルペダルの間である運転席前部にステーを介して取り付け固定している。又、アングル28の底辺部の穴に、レベルボルト30を通して、上下のナットにより高さを調整後締め付け、ボルト頭が床面と接している。その底辺部を一部切り欠いているが、運転席前部はエンジンルームと遮蔽するため床面が曲がっており、特に前輪の後部辺りは盛り上がりが大きいので、干渉しないよう切り欠いている
図2は、図1におけるA―A及びB−B断面矢視拡大斜視図である。図1では、メインペダルの内部構造が見えないので、見えるようにメインペダル上側の一部を断面にしてB−B断面から見た図である。メインペダル後部1とメインペダル前部2の内側に追従ペダル11を同軸に設けている。追従ペダル11は、左右両軸のネジ部を有する先端部によって左右両側面をナット及び座金とダブルナットで緩まないように締め付けているので、追従ペダル11と左右両軸は、一体となって鉛直方向に回転し、ペダル受け10に回動自在に軸受されている。このペダル受け10の底面長穴部分をブレーキペダルの後方である床面にステ−を介して座金付きのボルトで取り付け固定していて、ある程度、前後の位置調整ができるようになっている。ペダル受け10の右側面にはプレート27を座金付きのボルトb26と掛けボルト24で取り付けている。このプレート27の前部は、図1では隠れて見えないが長穴になっており、この長穴部分とアングル28の左側面をボルトc29及び座金とナットで締め付けている。このことによって、ペダル装置の前部と後部を繋いでいるだけでなく、前後の間隔の調整ができる。
上記追従ペダル11は、前後に調整ボルトを備えている。その調整ボルトである後部左側に設けているアクセルストッパー42は、ボルト頭がペダル受け10の角に当った所で追従ペダル11が下方への回転動作が止まるので、このボルト頭の出し具合でアクセルの範囲が調整される。このストッパーの右側にある調整ボルト43のボルト先端面が、メインペダル後部1との接点であり垂直に接触するように少し傾いている。このボルトの出し具合は、上のナットでロックするようになっていて、下のナット46はプレートに点溶接で固定されている。他の3か所の調整ボルトはプレートを上下のナットで挟んで締め付けているのに対して、このボルトだけ上記のように違うのは、ブレーキ操作をやり易くするため、追従ペダル11の軸の高さをできるだけ低くしているためである。つまり、ボルト頭を下の方へあまり出せないからであり調整代を保つためである。又、メインペダル後部1と調整ボルト43が接するようにメインペダル後部1の右側面を切り欠いてスペーサーa12と干渉しないようにしている。この接点は、軸からの距離が双方同じであるためメインペダル後部1と従ペダル11は、接してから対になって動く。
上記は、図1を理解する上で図2を説明したものであり図1に戻って説明すると、このペダル装置は、ブレーキペダルの後方にメインペダルを縦列に設置し、アームb34とアームc35をブレーキペダルとアクセルペダルの間に設置してから、この後部と前部をプレート27で繋いで固定する。それから互いにリンクするように、アームa25の先端部軸とアームb34の先端部軸を連結するもので、この両軸のスパンの長さに、ロッド33をジョイント31にねじ込んで長さ調整後ロックナット32でロックした互いに向き合う二つのジョイント31を両軸に挿入して、緩まないようにダブルナットで回動する状態に固定している。又、互いに向き合う二つのジョイント31には、ブッシュを圧入しているので滑らかに回動する。この場合、両軸のスパンの長さであるが、アームa25の傾きによって変わってくるので、予め適度な角度にしておく必要がある。このため固定プレート13の上部固定箇所は長穴なので調整できるが、長穴部分を固定している座金付きボルトと下部を固定しているボルトa14の双方緩めて、適度な角度にして固定する。この適度な角度とは、リンク効率を考えてペダル押さえ39がアクセルペダルに当接する時の、アームb34の傾きと平行な角度が適度である。
図2に示す追従ペダル11前部の左側にある戻りストッパー44は、先述したようにアームa25と一体に動くようになっており戻り方向に付勢力を受けているので、このストッパーのボルト頭は、アイドリング状態の時、ペダル受け10の角と接している。戻りストッパー44の調整は、べたに着く角度αが絡んでくるので、調整ボルト43の調整をしながら行う。べたに着く角度αになった時、アクセルが効きだしアクセルストッパー42が効くまでがアクセルストロークになる。もう一つの調整ボルトである追従ペダル11前部の右側にあるペダルストッパー45は、メインペダル前部2のストッパーである。上記アイドリング状態というのは、アクセルが効いていない状態のことだが、べたに着く角度αになってからアクセルが効きだすには、図1に示すペダル押さえ39がアクセルペダルに接している必要がある。然し、いつも接している必要はないので、べたに着く角度αになった時のみ接するようにしている。つまり、ペダル押さえ39とアクセルペダルの間には、戻りストッパー44を調整してすき間が出来るように余計戻している。これはペダル押さえ39がアクセルペダルに当接しているだけでアクセルが効いていないならば、ぎりぎりアイドリングになっているが、幅を持たせて余裕があった方が信頼性は高い。このため、メインペダル後部1と調整ボルト43のボルト先端面を早めに接するようにして追従ペダル11を動かし、べたに着く角度αでペダル押さえ39がアクセルペダルに当接するように最終調整する。この調整は、後述するべたに着く角度αの調整後行う。
図3は、べたに着く角度αを調整できる構成部品が見えるように、メインペダル前部2を底面から見て一部断面にした拡大斜視図である。角度調整ペダル3とメインペダル前部2の上下2段構えの上下段を固定アングル48で仮に固定後ピンは外している。角度調整ペダル3の上部裏側に取付プレート47を溶接しており、この取付プレート47の穴をボルト、座金、ナットで固定アングル48の上部長穴部分に取り付けて、もう一方の固定アングル48の底辺である面をメインペダル前部2の長穴部分にボルト、座金、ナットで固定する。このように取り付けている上部と底面が長穴なので固定アングル48を前後にずらすことができる。この場合、固定アングル48の上部長穴部分は、ある一定角度で斜めになっており固定アングル48を前後に動かすことにより、取付プレート47の取り付け穴をボルトが上下させるので、固定アングル48の底辺取付面を基準にすると頭付きピン8を軸に角度調整ペダル3が回動して前端部の高さが変わり、べたに着く角度αを調整できる。この調整は、頭付きピン8を挿入した図1の状態で行わなければならないのは当然のことである。
具体的な調整方法は、固定アングル48の上部と底面を締め付けているボルト、ナットを緩めれば固定アングル48を前後に動かせることになる。この場合、固定アングル48の長穴部は底辺部に対して勾配がついており斜面でボルトを支えている。その勾配は前部が上がり後部が下がっているので、固定アングル48を後部へ動かせば取付プレート47の穴をボルトで持ち上げるから、各パイプに挿入している頭付きピン8を軸に角度調整ペダル3の前部が上がる。すると、上がった分だけ角度調整ペダル3の前部が足の裏で押し下げられメインペダル後部1の後端が上がるので、べたに着く角度αが小さくなる。これは、メインペダル後部1の後端と足のつま先が接するブレーキペダルの接点を結ぶ線なのでそうなる。逆に固定アングル48を前部へ動かせばべたに着く角度αが大きくなる。このようにべたに着く角度αを増減調整できる。
どういうやり方をするかというと、この車なら、べたに着く角度αはこの位が最適というような角度調整をすることである。このため、アクセルとブレーキの分岐点になる角度がべたに着く角度αであり、これを境にアクセルとブレーキの操作方向が全く逆方向であるため、この両者には、ブレーキ操作をやり易くするとアクセル操作がやり難くなるという2律背反性があることを予め知っておく必要がある。車は安全第1なので普通ブレーキ優先にする。詳しくは、ブレーキペダルを踏み込んで車が止まるまでの踏み込み深さであるが、車によって、ばらつきがありブレーキが深い車は、角度調整ペダル3の前部を足の裏で押し下げるのが大きくなるので、反動で踵の跳ね上がりが大きくなる。従って、足首の角度が前方へ傾き姿勢が悪くなる。この姿勢緩和のため、べたに着く角度αを最初から大きくして踵を下げておけば、停止時の足の姿勢が緩和されるというものである。ブレーキが浅い車は、角度調整ペダル3の前部を足の裏で押し下げるのが小さいので、踵の跳ね上がりが小さい。この場合、ブレーキ操作はまだ余裕があるのでアクセル操作をやり易くしようと思えばべたに着く角度αを小さくする。この位で良いと思うならばそのままにして置く。とにかくやってみて現合で合わせて固定する。
以上説明したペダル装置の操作方法及び作用について、オートマチック車として説明する。先ず足の置き方であるが、つま先をブレーキペダルの上に置き、踵はメインペダル後部1の後端に来るように足を置くようにする。然し、足のサイズによっては、つま先とブレーキペダルの掛かりが浅くなったり深くなったりする。つまり、通常メインペダルの前後の位置を普通サイズの人に合わせているので、サイズが小さい人はつま先とブレーキペダルの掛かりが浅く、サイズが大きい人は深くなる。この場合、踵はメインペダル後部1の後端に届けばよいのであって、後端より少し位はみ出すのは構わない。極端な場合に限ってメインペダルをある程度前後に動かすことが出来るようになっている。上述したように足を置けば、メインペダル後部1の回動支点である軸a22と軸b41より後部が足の重みで下がり、回動支点より前部であるメインペダル前部2と角度調整ペダル3は一体的に固定されているので一緒に跳ね上がる。すると、角度調整ペダル3の前部が足の裏と接触して止まる。この場合、ブレーキペダルとつま先の接点は動かさないので定まった、べたに着く角度αになる。この角度がブレーキ操作とアクセル操作の分岐点になるのはもちろん、どのような角度に設定しているかは、メインペダル後部1の後端と床上マットの距離は、必要最小限度のアクセルストロークにしている。然し、もっとブレーキ優先にしてアクセル全開を犠牲にすれば、一般的には、べたに着く角度αは少し大きくなりブレーキ操作し易くなる。これは、メインペダルに足を載せた状態からいうと、ブレーキ操作するには、足の裏と角度調整ペダル3の前部が斜面で接触している状態なのでブレーキペダルを足のつま先で踏み込む場合、ブレーキペダルの軌道にもよるが、足の裏と接している角度調整ペダル3の前部がより押し下げられ跳ね上がりは、少し大きくなるので総合的な判断をする。
エンジンを始動する場合は、上記のようにブレーキペダルとメインペダル後部1に足を置いた状態にして、つま先でブレーキペダルを踏み込んでからエンジンを始動する。この状態がブレーキを掛けて車両が停止した状態なので、ここから発進するには、ブレーキペダルと一緒に足のつま先を戻せばメインペダル後部1の後端に踵が届くので、そのまま足を降し、べたに着く角度αにする。その間、オートマチック車特有のクリーピング現象で車は動きだす。加速するには、足首の角度を後方へ起こしながらメインペダル後部1の後端を押し下げることにより、調整ボルト43を介して接している追従ペダル11を回転動作させる。すると、追従ペダル11と一体に動くアームa25が、ジョイント31とロッド33を介してアームb34と一体になっているアームc35を回転させ、アクセルペダルに当接しているペダル押さえ39がアクセルペダルを作動させるので、足首の角度を後方へ傾けるに従って、メインペダル後部1の後端を更に押し下げ加速するが戻せば減速する。べたに着く角度αまで戻せばアイドリング状態になる。
走行状態からブレーキ操作するには、足のつま先はブレーキペダルから浮いているものの、つま先から後ろである足の裏と角度調整ペダル3の前部、それに、メインペダル後部1の後端と踵は接していて、中間部分は隙間があるが、ちょうど足の土踏まずの部分でもあり、べたに着いている感覚と同じである。その状態から、足を前方へ移動すれば、足の裏と接している角度調整ペダル3の前部が押し下げられ、その反動で踵が跳ね上がり、つま先がブレーキペダルに掛かるので、そのまま前方へ踏み込めばブレーキ操作することになる。この場合、メインペダルに最初、足を置いた位置のずれであるが、ブレーキを踏み込んだ際の踵の跳ね上がりによる影響は、足首の作用で同じ方向に加わるので踏み込み量が少なければ足が前方へずれたりしない。踏み込み量が大きいとメインペダル前部1の前部は、押し下げられるにつれ床と平行ちかくになって押し下げられなくなり、メインペダル上を摺動することになるが、この摺動による摩擦抵抗は、ほんの僅かなので問題にもならない。又、固定プレート13の上端とメインペダル前部2の前部を引張バネ21で引っ張っているので、ブレーキを踏み込む方向に対してバネを引っ張るので抗力になるが、バネ自体の張力が弱いので問題にならない。むしろメリットの方が大きい。
どういうメリットかというと、メインペダルは左右両軸にブッシュを介して左右両側面を回動自在に設けているので、足の動きに順応するフリーのペダルになっている。だからこそ、ブレーキ操作とアクセル操作の橋渡しの役目を直接あるいは間接的に果たしているのである。その中で、メインペダルの前部と後部の重さのバランスを取る意味で引張バネ21を設けているのは、どうしても前部が重いので後部を押し下げる必要があるのを不要にしている。バネの張力は前部の重さより少し大きいが、ムダな動作を省いているだけでなく安全性を高めている。それは、図2を参照に説明したようにペダル押さえ39とアクセルペダルの間は、安全上すき間が出来るように余計戻しているが、そのことと引張バネ21との関係は、前記のブレーキ操作に対しては、僅かな抗力になるが問題にならないとしたが、その抗力は固定プレート13を介してアームa25を戻そうとする張力になるので、かえって良い結果になる。なぜなら、アームa25はもともと捻りバネ23によって復帰方向に付勢力を受けているのに、ブレーキ操作の際、復帰を促されることになるから確実性が増す。バネは初期の張力が弱いのが問題であり、戻りをチェックあるいはカバーする意味で、すき間が出来るように余計戻すことを引張バネ21が手助けしている。
前述の引張バネ21の作用について、メインペダル後部1の後部を押し下げる必要があるのを不要にしていると説明しているのに足の置き方の説明では、メインペダル後部1の後部が足の重みで下がり、回動支点より前部は跳ね上がるというのは説明不足なので補足説明する。前述のペダル押さえ39とアクセルペダルの間には安全上すき間が出来るように余計戻された状態というのは、図2に示す追従ペダル11前部の戻りストッパー44のボルト頭をそれだけ引っ込めていることなので、追従ペダル11後部の調整ボルト43が軸を境に跳ね上がっており、これと接するメインペダル後部1を持ち上げ、べたに着く角度αより小さい角度になっている。つまり、角度調整ペダル3の前端はブレーキペダルより下がっているため、最初メインペダルとブレーキペダルに足を置くと、メインペダル後部1の後部が足の重みで下がり、回動支点より前部は足の裏と隙間があるので跳ね上がることになる。又、引張バネ21がメインペダル後部1を調整ボルト43に接するように力が働いているが、ブレーキ操作の時は角度調整ペダル3の前部が足の裏で強制的に押し下げられるため接点は離れることになる。然し、ブレーキペダルとつま先を一緒に戻せば引張バネ21の張力で接するまで戻る。それと同時に足を降すことになるので少しは負担軽減になる。これともう一つ、最初メインペダルとブレーキペダルに足を載せる場合であるが、引張バネ21が無かったらメインペダル前部2は追従ペダル11のペダルストッパー45に当るまで下がるようになるが、引張バネ21を設けているためメインペダル後部1と調整ボルト43が接するまで持ち上げており必要以上の動作を無くしている。
次に、ブレーキ操作とアクセル操作における跳ね上がり問題を解決する足の姿勢制御機構について説明する。図4にローラーガイドによる作動状態を示すC−C断面矢視拡大斜視図で、ブレーキペダルを足のつま先で踏み込んで車が停止した時のメインペダルの状態を示している。これは、ブレーキ操作に伴い角度調整ペダル3の前部が足の裏で押し下げられ、その反動で軸を支点にメインペダル後部1の後部が跳ね上がるのを大きく抑えている。その結果、足の姿勢が良くなりブレーキ操作がやり易くなっている。その機構については、図5に示すローラーガイド右16に線EFGで示す輪郭をローラー18が転動するようになっていて線E部分がアクセル操作、線F部分内がべたに着く角度α、線G部分がブレーキ操作と3部分に分けられ、べたに着く角度αの時、線Fの中央部分にローラー18を配置するようになっていて、べたに着く角度αの調整によっては上下にずれるが、はみ出すことはない。ロ−ラーガイド右16、軸a22、ローラー18は左右対称に配設され左右同時に作動するので、単にロ−ラーガイド、軸、ローラーと表現し説明する。メインペダルの姿勢は、軸、頭付きピン8、ローラーの3点を線で結んだ3角形で決まる。このうち軸から頭付きピン8までのスパンと頭付きピン8からローラーまでのスパンの2辺は一定距離に定まっていて、他の1辺である軸からローラーまでのスパンはローラーガイドの輪郭の形状によって変化する。線F部分は軸を中心とする円周上なので、この円周上をローラーが転動する場合、軸からローラーまでのスパンは変わらないので定まった3角形で動くことになる。つまり、メインペダルの前部、後部は一体になって動き、どちらを押し下げても軸を支点に反対側が押し下げられた角度だけ跳ね上がることになる。
ブレーキ操作とアクセル操作の分岐点である、べたに着く角度αからブレーキ操作を行った場合、角度調整ペダル3とメインペダル前部2は図3に示す固定アングル48で固定されているので、角度調整ペダル3の前部が足の裏で押し下げられると同時にメインペダル前部2も押し下げられる。この押し下げられる力は図4に示す頭付きピン8を軸にメインペダルの前部が下方へ折れ曲がろうとする回転力になって、ローラーはメインペダル前部2と一体になっているのでローラーがロ−ラーガイドの輪郭に押し付けられ、線F部分から線G部分へとローラーが転動して行くが、線F部分を転動する時は上述したように軸を支点にメインペダルの後部も跳ね上がる。然し、線G部分にローラー18が転動するに従って軸からローラーまでのスパンが短くなり、頭付きピン8を軸に関節となってメインペダルの前部が下方へ折れ曲がるが、ロ−ラーガイドの輪郭が壁となって折れ曲がるのは限られる。このように折れ曲がることによって頭付きピン8の起き上がりが小さくなるので、メインペダル後部1の後部があまり跳ね上がらなくなる。その跳ね上がりは、メインペダル後部1が軸から頭付きピン8までの一定距離の円を描いて起こされるが、折れ曲がりを大きくすると起こされるのは小さくなり、足の姿勢が良くなるからブレーキ操作しやすくなる。
次にアクセル操作における作動状態ついて説明する。べたに着く角度αからメインペダル後部1の後端を踵で押し下げると、軸の中心から頭付きピン8の中心までの一定距離を半径として軸を支点に頭付きピン8が後方へ起こされロ−ラーガイドの線F部分をローラーが転動する時は、先に説明したように押し下げられた反対側が跳ね上がるからローラーは上方へ引っ張られて転動して行く。そうすると、ロ−ラーガイドの切り欠き部である線E部分に入り込むに従いメインペダルの前部が頭付きピン8を軸に関節として下方へ折れ曲がる。この折れ曲がりは足の裏と接する角度調整ペダル3の前部の跳ね上がりが小さくなりアクセル操作し易くなる。なぜなら、足首の角度を後方へ傾けながらメインペダル後部1の後端を踵で押し下げる動作は、足首の角度をあまり傾けなくてもメインペダル後部1の後端を踵で押し下げることが出来るようになるからである。これは、足首の角度を後方へ傾ける動作は小さくして踵を下げる動きが加わるということである。
上述したブレーキ操作とアクセル操作における作動は、構造上ローラーがローラーガイドに対して力の伝わり方が違うが、結果としてブレーキ操作、アクセル操作とも足の姿勢が良くなり操作し易くなっている。その違いというのは、ブレーキ操作に伴い角度調整ペダル3の前部が足の裏で押し下げられる力によって、頭付きピン8を軸に折れ曲がろうとする力がローラーに伝わりローラーがローラーガイドに押し付けられるもので、アクセル操作に於いては、足の踵で直接メインペダル後部1の後端を押し下げるので、左右両軸を支点に頭付きピン8が直接おこされることによって、ローラーがローラーガイドの輪郭に沿って引っ張られる。どう違うかは、ブレーキ操作の時は関節を起こす作用と曲げる作用に分散されるが、アクセル操作の場合の関節は、逃げていく折れ曲がりになるから、結果は同じであれ能動的な曲がりと受動的な曲がりの違いになる。
上述したように関節の曲がり方の違いはあるが、ローラーガイドの切り欠き角度によって関節の曲がりが左右されることは言うまでもなく、切り欠いた面積で表されるが、切り欠き角度を大きくするとローラーが元に戻り難くなるのであまり大きくもできない。図5に示すローラーガイド右16を参考に説明すると、E線部分よりG線部分の方が切り欠き面積が大きくなっているため、アクセルよりブレーキの方が関節の曲がりが大きくブレーキ優先になっている。