JP6589016B1 - レーザ加工ヘッド及びレーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
保護ガラスは、レーザ加工で生じたヒューム又はスパッタによる集束レンズの汚染を防止するために配置されている。
特許文献1には、レーザ加工時にノズルから噴出させるアシストガスのレーザ加工ヘッド内の流路を、アシストガスが保護ガラスのノズル側の表面である下表面に沿って流れるように設ける技術が記載されている。
そして、アシストガスを、環状の旋回流路内を一方向に流れる旋回流とした後にガス整流手段を通過させる。アシストガスは、ガス整流手段により旋回成分が減少すると共に周方向に均一な速度分布を有するよう整流されて保護ガラスの下表面を流れる。
特許文献1に記載されたレーザ加工ヘッドにおいて、保護ガラスの汚染を良好に防止するためには、より大流量のアシストガスを整流して保護ガラスの下表面に沿って流すことが検討される。
大流量のアシストガスを整流するには、ガス整流手段内のアシストガスが通過する距離を、より長くする必要がある。すなわち、ガス整流手段の径方向厚さを厚くする必要がある。
その場合、レーザ加工ヘッドの外径が大型化し、省スペース化が難しく他部材との干渉回避の措置が必要になる、という問題が生じる。
1) 集束レンズと、
ノズルと、
前記集束レンズと前記ノズルとの間に配置された保護ガラスと、
外部から供給されたガスを前記集束レンズの光軸のまわりに旋回させる旋回流路部と、
多孔質材料で形成され前記旋回流路部の内部に収容されたフィルタと、
前記フィルタを通過した前記ガスの流れを前記集束レンズの光軸に沿って前記保護ガラスに指向させる軸方向流路部と、
前記軸方向流路部を通過した前記ガスの流れを前記保護ガラスの前記ノズルに近い側の表面に沿って前記光軸に向かう内向流とする偏向流路部と、
を備えたレーザ加工ヘッドである。
2) 前記旋回流路部と前記偏向流路部との間にオリフィスを有することを特徴とする1)に記載のレーザ加工ヘッドである。
3) 前記フィルタは、前記光軸の方向からみて環状又は円弧状に形成され、縦断面形状において径方向の厚さよりも軸方向の長さの方が長いことを特徴とする1)又は2)に記載のレーザ加工ヘッドである。
4) レーザ発振器と、
ガス供給装置と、
レーザ加工ヘッドと、を備え、
前記レーザ加工ヘッドは、
前記レーザ発振器から供給されたレーザ光を所望の光束に整形する集束レンズと、
前記レーザ光を射出するノズルと、
前記集束レンズと前記ノズルとの間に配置され前記レーザ光が通過する保護ガラスと、
前記ガス供給装置から供給されたガスを前記集束レンズの光軸のまわりに旋回させる旋回流路部と、
多孔質材料で形成され前記旋回流路部の内部に収容されたフィルタと、
前記フィルタを通過した前記ガスの流れを前記集束レンズの光軸に沿って前記保護ガラスに指向させる軸方向流路部と、
前記軸方向流路部を通過した前記ガスの流れを前記保護ガラスの前記ノズルに近い側の表面に沿って前記光軸に向かう内向流とする偏向流路部と、
を有しているレーザ加工装置である。
5) 前記旋回流路部と前記偏向流路部との間にオリフィスを有することを特徴とする4)に記載のレーザ加工装置である。
図1は、レーザ加工装置51を示す構成図である。
レーザ加工装置51は、レーザ加工ヘッド1,制御装置2,レーザ発振器3,及びガス供給装置4を含んで構成されている。
レーザ加工装置51は、ワークWに対し、レーザ加工ヘッド1の先端からレーザ光Lsを照射して切断又は孔明けなどの加工を行う。
レーザ加工ヘッド1の内部には、ノズル9に対し遠い側から、コリメートレンズ7a,集束レンズ7b,及び保護ガラス7cが配置されている。すなわち、保護ガラス7cは集束レンズ7bとノズル9との間に配置されている。
保護ガラス7cは、ノズル9側から到来するヒューム又はスパッタが集束レンズ7bに付着することを防止する。
ガス供給装置4は、ガス源に窒素ボンベを用い、アシストガスとする高純度の窒素ガスをガス供給ホース6を通してレーザ加工ヘッド1に供給する。
ガス供給装置4は、ガス源を窒素ボンベではなく空気とし、中空糸膜などの分離フィルタにより酸素を分離して窒素リッチガスを生成し、レーザ加工ヘッド1に供給するものであってもよい。以下、ガス供給装置4からレーザ加工ヘッド1に供給されるガスを、ガスGと称する。
レーザ加工ヘッド1は、供給されたガスGを、内部の流路を通してノズル9の開口部9aから噴射する。
図2は、レーザ加工ヘッド1のノズルホルダ8の詳細構造を説明するための縦断面図である。図3は、図2における基部82の拡大縦断面図であり、図4は、図3におけるS4−S4位置での横断面図である。
また、図5は、図3に示されたノズルホルダ8からフィルタ85(後述)を外した状態を示す縦断面図であり、図6は、インナースリーブ84(後述)を示す縦断面図である。説明の便宜上、上下方向を図2に示された矢印の方向に規定する。
整流部10は、基部82と、基部82に取り付けられた保護ガラス7c,インナースリーブ84,及びフィルタ85と、を有する。
中継部81は、上部にフランジ811を有し、下端にノズル9がねじなどにより交換可能に装着されている。中継部81は、基部82とプレート83との間にフランジ811を挟み込んだ状態でねじN1によって基部82に固定される。
貫通孔821の上部には周縁の棚段として棚部822が形成されている。棚部822には、押さえプレート87によって、保護ガラス7cが、棚部822に対しOリング86を圧縮した状態で保持されている。
貫通孔821は、棚部822のすぐ下側に、小さい内径Da(図5参照)となっている縮径部82cを有する。また、貫通孔821は、縮径部82cから下側へ向かうに従って径が拡大する軸方向流路部82b及び軸線CL7に沿って同じ内径で延びる旋回流路部82aを有する。
また貫通孔821は、旋回流路部82aの下側に縮径部82cよりも小径の内フランジ部82dを有する。
インナースリーブ84の内周面84bは、基部84a側から小径突出部84cに向かうに従って径が縮小する傾斜周面となっている。
外径Dbは、基部82の縮径部82cの内径Daよりも僅かに小さく設定されている。
すなわち、縮径部82cと基部84aとにより、軸線CL7に直交する面における断面積が旋回流路部82aと基部84aとにより形成される旋回空間Vaの横断面積よりも小さいオリフィス89が形成されている。
また、インナースリーブ84の基部84aと基部82の旋回流路部82aとにより囲まれた空間として旋回空間Vaが形成され、基部84aと軸方向流路部82bとにより囲まれた空間として導入空間Vbが形成される。
旋回空間Vaは、縦断面形状が矩形となる環状に形成され、導入空間Vbは、縦断面形状が上方を頂点とする直角三角形を呈する。
インナースリーブ84の内部空間は、上下逆の円錐台状形状の空間であって、基部内空間Veと称する。
フィルタ85は、多孔質金属や多孔質樹脂などのいわゆる多孔質材料あるいはそれに相当する材料で形成されている。多孔質材料は、例えば焼結金属や焼結樹脂であり、相当する材料は、例えばグラスウール又は金網である。
多孔質金属の例として、住友電気工業株式会社製の「セルメット(登録商標)」がある。
ガス導入路88は、基部82の側面823に接続口824として開口する有底孔であり、奥側が旋回流路部82aに対しガス導入口88aにより連通している。
図3及び図5に示されるように、旋回流路部82aにおけるガス導入口88aの上下方向の位置P1は、下方側に寄っている。
ガス導入路88は、旋回流路部82aに対し概ね接線方向に延びるように形成されている。そのため、ガス導入口88aから進入したガス流G1は、旋回流路部82a内をその環状形状に沿って軸線CL7を中心として旋回するように流れる。この流れを便宜的に旋回流G2と称する。旋回流G2の旋回方向は、図4における反時計回り方向である。
そのため、旋回流G2は、旋回流路部82aの出口となる上方に向かって旋回しながら流れるに従い、流速が周方向で均一化されると共に旋回成分は減少する。
フィルタ85から上方へ抜け出て保護ガラス7cを指向する上方流G3は、導入空間Vbからオリフィス空間Vcへと流れる。
すなわち、導入空間Vbを形成する軸方向流路部82bは、ガスGの流れを、上方流G3として保護ガラス7cに指向させる。
オリフィス89の上方には、保護ガラス7cが対向配置されて上進する進路を塞ぎ、流路の径方向外側はOリング86によって塞がれ、径方向内側が基部内空間Veに連通している。そのため、オリフィス89を通過した上方流G3は、保護ガラス7cに当たって径方向内側へ偏向して内向流G4となる。
内向流G4は、インナースリーブ84の上方の先端部84dと保護ガラス7cとの間の空間である頂上空間Vdを通過して、保護ガラス7cのノズル9に近い側の表面7c1に沿って中心の軸線CL7に向かう。すなわち、頂上空間Vdを形成する基部82とインナースリーブ84と保護ガラス7cとは、上方流G3を内向流G4に偏向する偏向流路部82eとなる。
この内向流G4は、既述のように旋回成分を実質的に有していないので、径方向で中心に向かって進行したのち軸線CL7に沿って下方へ向かう下方流G5となる。
上述のように、オリフィス89は、ガスGの流路において、旋回流路部82aと偏向流路部82eとの間に設けられている。
これにより、ノズル9の開口部9aから外部に噴出するアシストガスGaは、拡散しない収束した流れとなる。
比較例のノズルホルダ8Pは、フィルタ85が取り付けられていないことから、下方流G5に相当する流れは旋回成分を有する下方流G5Pとして生成され、基部内空間Ve及び中継部内空間Vfを旋回して下降する。
これにより、下方流G5Pがノズル9の開口部9aから外部に噴出するアシストガスGaPは、旋回して拡散する流れとなり、切断加工において切断面の面品質に方向性が生じ得る。
これに対し、ノズルホルダ8は、旋回成分を有していない或いは旋回成分が僅かな下方流G5を生成する。そのため、アシストガスGaは収束する流れとなりノズルホルダ8を備えたレーザ加工ヘッド1を用いた切断加工では、切断面の面品質に方向性が生じにくい。
また、ノズルホルダ8は、環状の旋回流路部82aの内部に、多孔質材料で形成され軸線CL7方向に長く延びるフィルタ85を有している。
そのため、ノズルホルダ8の内部空間である中継部内空間Vfを下降する下方流G5は、旋回成分のない実質的に平行な流れとなってノズル9から噴出するアシストガスGaは、拡散しない収束した流れとなる。従って、切断面の面品質に方向性が生じにくく、良好な面品質が得られる。
図9は、フィルタ85の替わりに広がり角度135°の弧状のフィルタ85Aを旋回流路部82aに装着した整流部10Aの例を示す横断面図である。図9は図4に対応し比較可能な図である。
図10に示されるように、ノズルホルダ8Aの内部の基部内空間Ve及び中継部内空間Vfを流れる下方流G5Aは、ノズルホルダ8Aがノズルホルダ8よりも旋回成分の減少程度が少ないことからわずかな旋回を伴って下方に流れる。そして、ノズル9の開口部9aからアシストガスGaAとして外部に噴出する。ただ、下方流G5Aの旋回成分はわずかであるので、噴出したアシストガスGaAは実質的に拡散せず、概ね収束した流れとなる。
例えば、図11に示されるように、フィルタ85の替わりに複数のフィルタ851と一つのフィルタ852とを用いて、概ね360°の環状のフィルタとしてもよい。
基部82が上下分割しない構造とした場合は、図11に示されるように、フィルタ851を、その円弧の弦に相当する長さL2を、基部82の縮径部82cの内径Daよりも小さく設定することで、旋回流路部82aに装着することができる。
また、図11の例では、フィルタ851を4個装着したのち、残りの隙間に装着可能な幅のフィルタ852を装着する。この場合、フィルタ852と両隣のフィルタ851との間に。平面視で三角形状の隙間が生じるが、フィルタの全体に対する隙間の割合はわずかであるため、下方流G5は、実質的に旋回性をもたない良好な流れとなる。
また、複数のガス導入口88aは、旋回流路部82aにおける旋回流G2の均一化の観点から、周方向に等角度間隔で設けるとよい。例えば、ガス導入口88aを2つ設ける場合は、180°離隔した位置(径方向で対向した位置)に設けるとよい。
制御装置2は、レーザ加工装置51に構造として一体的に備えていなくてもよい。制御装置2を、レーザ加工ヘッド1,レーザ発振器3,及びガス供給装置4に対して別体とし、これらと無線又は有線で通信可能なように配置してもよい。
2 制御装置
3 レーザ発振器
4 ガス供給装置
5 ファイバケーブル
6 ガス供給ホース
7 本体部
7a コリメートレンズ、 7b 集束レンズ、 7c 保護ガラス
7c1 表面
8,8A ノズルホルダ
81 中継部、 82 基部、 82a 旋回流路部
82b 軸方向流路部、 82c 縮径部、 82d 内フランジ部
82e 偏向流路部、 821 貫通孔、 822 棚部
823 側面、 824 接続口、 83 プレート
84 インナースリーブ、 84a 基部、 84a1 外周面
84b 内周面、 84c 小径突出部、 84d 先端部
85,85A,851,852 フィルタ、 86 Oリング
87 押さえプレート、 88 ガス導入路、 88a ガス導入口
89 オリフィス
9 ノズル、 9a 開口部
10,10A 整流部
51 レーザ加工装置
CL7 軸線
Da 内径、 Db 外径
d1 距離、 d2 厚さ
G ガス、 Ga,GaA アシストガス
G1 ガス流、 G2 旋回流、 G3 上方流、 G4 内向流
G5,G5P,G5A 下方流
Ls レーザ光
L2 長さ
N1 ねじ
P1 位置
ta 距離
Va 旋回空間、 Vb 導入空間、 Vc オリフィス空間
Vd 頂上空間、 Ve 基部内空間、 Vf 中継部内空間
W ワーク
Claims (5)
- 集束レンズと、
ノズルと、
前記集束レンズと前記ノズルとの間に配置された保護ガラスと、
外部から供給されたガスを前記集束レンズの光軸のまわりに旋回させる旋回流路部と、
多孔質材料で形成され前記旋回流路部の内部に収容されたフィルタと、
前記フィルタを通過した前記ガスの流れを前記集束レンズの光軸に沿って前記保護ガラスに指向させる軸方向流路部と、
前記軸方向流路部を通過した前記ガスの流れを前記保護ガラスの前記ノズルに近い側の表面に沿って前記光軸に向かう内向流とする偏向流路部と、
を備えたレーザ加工ヘッド。 - 前記旋回流路部と前記偏向流路部との間にオリフィスを有することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工ヘッド。
- 前記フィルタは、前記光軸の方向からみて環状又は円弧状に形成され、縦断面形状において径方向の厚さよりも軸方向の長さの方が長いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレーザ加工ヘッド。
- レーザ発振器と、
ガス供給装置と、
レーザ加工ヘッドと、を備え、
前記レーザ加工ヘッドは、
前記レーザ発振器から供給されたレーザ光を所望の光束に整形する集束レンズと、
前記レーザ光を射出するノズルと、
前記集束レンズと前記ノズルとの間に配置され前記レーザ光が通過する保護ガラスと、
前記ガス供給装置から供給されたガスを前記集束レンズの光軸のまわりに旋回させる旋回流路部と、
多孔質材料で形成され前記旋回流路部の内部に収容されたフィルタと、
前記フィルタを通過した前記ガスの流れを前記集束レンズの光軸に沿って前記保護ガラスに指向させる軸方向流路部と、
前記軸方向流路部を通過した前記ガスの流れを前記保護ガラスの前記ノズルに近い側の表面に沿って前記光軸に向かう内向流とする偏向流路部と、
を有しているレーザ加工装置。 - 前記旋回流路部と前記偏向流路部との間にオリフィスを有することを特徴とする請求項4記載のレーザ加工装置。
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