JP6588849B2 - ビーム輸送用超電導磁石装置、ビーム輸送システム、粒子線治療システム、ビーム輸送用超伝導磁石配置方法 - Google Patents

ビーム輸送用超電導磁石装置、ビーム輸送システム、粒子線治療システム、ビーム輸送用超伝導磁石配置方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビーム輸送用超電導磁石装置、ビーム輸送システム、粒子線治療システム、ビーム輸送用超伝導磁石配置方法に関する。
電子、陽子といった荷電粒子を加速して得られる粒子線(ビーム)は研究分野、医療分野においてさまざまな形態で利用されている。医療用のビーム利用のひとつとして陽子線(粒子線)治療法がある。この治療法は、加速された陽子をがんに打ち込んでがん細胞を死滅にいたらしめる治療法であり、線量ピーク(ブラッグピーク)位置をコントロールしてビームのエネルギーをがんの部位に集中させることができることから、手術等の外科療法、抗がん剤による化学療法、放射線療法などの治療方法に比べて、患者への負担が小さい治療法として近年普及しつつある。
ビームの利用においては、ビームは生成から照射利用までの間の経路を適切に輸送されなければならない。運動する荷電粒子は磁場によりローレンツ力を受けるため、磁石(磁場)を使ってその飛行経路を制御することが可能である。一定の大きさで上向きの磁場(磁石のN極からS極へ磁力線が向かう向きを磁場の向きとし、これが上向きとなっている磁場)中を、正の電荷を持つ粒子が運動する場合、粒子は進行方向に対し右向きの力を受けて曲がる。この一定の磁場を2極磁場と呼び、この磁場を発生する磁石を偏向磁石という。また、光学系におけるレンズと同様に、ビームに対しても磁気的なレンズというものが存在し、ビームを収束させたり拡散させる凸レンズ凹レンズに相当する磁場を4極磁場と呼び、また、ビームの収差を補正する磁場を6極磁場という。これら2極磁場、4極磁場、6極磁場等の磁場がビームの輸送に利用される。
非特許文献1には、陽子線装置について開示されており、生成された荷電粒子を加速し次段の主加速器(シンクロトロン)にビームを注入するための線形加速器、ビームを所定のエネルギーに加速するためのシンクロトロン及び患者へビームを照射するための回転ガントリーが図示されている。回転ガントリーは、がんの位置、形状に合わせて最適にビームを照射できるように、ビームのノズル及びビーム輸送磁石が患者の周りを回転するように構成されている。開示されているシステムは、ガントリーの半径は4m、重量は100トンである。
非特許文献1では陽子線を照射する治療システムについて述べられているが、耐放射性のがんに対しさらに治療効果のある重粒子線(炭素イオン)を利用した装置も開発されている。日本国内では放射線医学総合研究所(放医研)HIMAC(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)などが稼動している。陽子に比べ炭素イオンは電荷あたりの質量が大きいため、同じ磁場強度の磁石を使うとビーム軌道の曲率半径は大きくなる。したがって、HIMACの加速器(シンクロトロン)は陽子線のシステム(例:リング周長20m前後)に比べると大型化(例:リング直径約42m、周長約130m)している。
陽子線治療装置と同様に重粒子線でも回転ガントリーが望まれており、回転ガントリーについても開発が進められている。回転ガントリーを実現するためにはビームをより小さな半径で曲げることが必須になるが、強い磁場を発生させるために超電導磁石が使われている。
非特許文献2には、重粒子線治療装置用の回転ガントリーの開発について開示されている。これらビーム輸送用の磁石ではビーム軌道を曲げるために偏向磁石(2極磁石)によりビームが通過する領域に一定強度の磁場を発生させている。この一定磁場を発生させるための起磁力源の配置方法、すなわち、コイルの巻線方法としては、コサインシータ巻きというものが知られている。このコサインシータ巻きとは、鉛直上向きの磁場を発生させビームを水平面内に偏向させ、ビーム通過する断面に対し丸い断面をもつ電磁石において、電磁石を構成する電流の配置を水平面からの角度θに対し電流密度分布がcosθとなるように配置する方法である。実際の電磁石においては角度θが小さい位置に配置される電流(コイル巻線)がビームの軌道を侵さないように電磁石の端部において巻線をビーム通過領域からよけるようにコイル巻線をずらして巻き回す。非特許文献2ではこのコサインシータ巻線を実現するためにサーフェスワィンディングと呼ばれる特殊な巻線技術によって超電導回転ガントリーを実現するための偏向磁石を実現している。
Shimizu, S. et al., "A Proton Beam Therapy System Dedicated to Spot-Scanning Increases Accuracy with Moving Tumors by Real-Time Imaging and Gating and Reduces Equipment Size", PLOS ONE, April 2014, vol.9, Issue 4, e94971 Takayama, S. et al., "Magnetic field measurement of the superconducting magnet for rotating-gantry", Proceedings of the 9th annual meeting of Particle Accelerator Society of Japan, 2012.8.8-11, P247-251
一般にビーム輸送用の偏向磁石は、ビームの進行方向に対し直交する方向に一定の強さの磁場を発生させる必要があり、ビームの飛行経路と干渉しないように、巻線はビーム通過領域をよけるように巻線される必要がある。また、ビームの軌道に沿って一定の磁場を発生させるためにコサインシータ巻線のような巻き方を施した電磁石が必要となるため、複雑な3次元形状の巻線(コイル)が必要となる。ビーム輸送用の磁石では一般にビームの位置精度を出すために高精度の巻線が必要とされる。3次元形状の磁石を高精度に巻線することは技術的な難易度が高く専用の巻線装置を必要とする。そこで、従来のような技術的難易度の高い3次元形状のコイルを用いずとも、ビーム輸送用の偏向磁石を実現させる技術が望まれる。
本発明は、以上の点に鑑み、実装容易なフラットコイルのみによってビーム輸送用超電導磁石を実現することを目的する。
本発明の第1の解決手段によると、
ビーム輸送用超伝導磁石装置であって、
磁場発生方向をz軸正方向及びビームの飛行経路がx−y平面上とした座標系で、x−y平面に対して対称の形状のビーム通過領域をビームが予め定められた曲率半径の円弧で偏向されて通過し、前記ビーム通過領域のz方向上側位置のx−y平面と下側位置のx−y平面によって挟まれる領域又は前記ビーム通過領域のz方向最大位置と最小位置のx−y平面によって挟まれる領域を低角度領域とし、前記低角度領域よりz軸方向外側の領域を高角度領域としたとき、
前記ビーム通過領域の円弧の内側且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置された、少なくとも1対の第一のフラットコイルと、
前記ビーム通過領域の円弧の外側で且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置され、且つ、z−x平面のコイル断面で前記ビーム通過領域の中心を表す座標原点におけるz−y平面に対して、前記第一のフラットコイルと対称又はほぼ対称に配置され、電流の向きを前記第一のフラットコイルと左右反対とし、前記第一のフラットコイルと同じ向きの磁場を発生するようにした、少なくとも1対の第二のフラットコイルと、
前記ビーム通過領域のz方向に外側且つ前記高角度領域にx−y面に対し対称に配置された、少なくとも1対の第三のフラットコイルと、
を備え、
前記第一のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
前記第二のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
前記第三のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角30度から63度の間、及び、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角30度から63度の間にある、
ことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
上述のようなビーム輸送用超伝導磁石装置を備えたビーム輸送システムが提供される。
本発明の第3の解決手段によると、
上述のようなビーム輸送用超伝導磁石装置を備えた粒子線治療システムが提供される。
本発明の第4の解決手段によると、
ビーム輸送用超伝導磁石配置方法であって、
磁場発生方向をz軸正方向及びビームの飛行経路がx−y平面上とした座標系で、x−y平面に対して対称の形状のビーム通過領域をビームが予め定められた曲率半径の円弧で偏向されて通過し、前記ビーム通過領域のz方向上側位置のx−y平面と下側位置のx−y平面によって挟まれる領域又は前記ビーム通過領域のz方向最大位置と最小位置のx−y平面によって挟まれる領域を低角度領域とし、前記低角度領域よりz軸方向外側の領域を高角度領域としたとき、
少なくとも1対の第一のフラットコイルを、前記ビーム通過領域の円弧の内側且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置し、
少なくとも1対の第二のフラットコイルを、前記ビーム通過領域の円弧の外側で且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置し、且つ、z−x平面のコイル断面で前記ビーム通過領域の中心を表す座標原点におけるz−y平面に対して、前記第一のフラットコイルと対称又はほぼ対称に配置し、電流の向きを前記第一のフラットコイルと左右反対とし、前記第一のフラットコイルと同じ向きに磁場を発生するようにした、少なくとも1対の第二のフラットコイルと、
少なくとも1対の第三のフラットコイルを、前記ビーム通過領域のz方向に外側且つ前記高角度領域にx−y面に対し対称に配置し、
前記第一のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
前記第二のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
前記第三のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角30度から63度の間、及び、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角30度から63度の間にある、
ことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石配置方法が提供される。
本発明によれば、実装容易なフラットコイルのみによってビーム輸送用超電導磁石を実現することができる。
本実施形態の磁石の断面内のコイル配置の角度位置を示す概念図である。 本実施形態の磁石の起磁力源配置を示す鳥瞰図である。 多極成分磁場についての説明をするための座標系の取り方ついての説明図である。 多極展開磁場のうちn=2次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。 多極展開磁場のうちn=4次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。 多極展開磁場のうちn=6次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。 断面内のコイル配置とn=4,6次の多極磁場を発生させる領域との対応を説明するための説明図である。 本実施形態の磁石を二つの電源で運転する場合のコイル組み合わせを示す概念図である。 磁場の目標仕様と設計値の一例を示す説明図である。
本実施形態は、ビーム輸送用の電磁石(偏向磁石)に関し、単純な形状のコイルを利用して偏向磁石を構成する方法を提供するものである。本実施形態のビーム輸送用超電導磁石は、例えば、上下対称である超電導電磁石であって、平板状に巻き回されたコイルのみの組み合わせによって構成されており、その平板状コイルはビーム通過領域に対し干渉しない位置に配置されており、コイル位置は所定の磁場均一度を満足するような特定の位置関係を満足する位置に配置される。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
図1は、この磁石の中心位置での断面内のコイル配置の角度位置を示す概念図である。また、図2は、本実施形態の磁石のコイル配置を示す概念図である。磁石の位置関係を明確にするために、まず座標、方向を定義する。右手系直角座標系に対して磁場発生方向をz軸正方向に取ることとし、x−y平面内を飛行していたビームはz方向の磁場によりx−y面内で偏向される磁石配置とする。また、磁石はx−y平面で上下対称であり、断面内でのコイル配置は対称又はほぼ対称形状となっている。
本実施形態の磁石は、予め定められた角度(例えば22.5度)以上の偏向角を実現するためのビーム輸送用の超伝導磁石であって、ビームがおおむね一定の曲率半径で曲げられて通過するビーム通過領域が、x−y平面に対して対称に配置された起磁力源と干渉しないように挟まれるように設けられており、その起磁力源はすべてフラットコイルによって構成されるものである。ここで言うフラットコイルとは、z軸の方向に磁場を発生させるようにx−y平面に対しほぼ平行に線材を巻き回したコイルであって、コイル巻線の横断面形状は巻き線の方向に沿って一定の形状を有しており、x−y平面を水平面としたとき、コイルはこの面に平行に置くことが可能な平坦な(平面的な)形状をしているものである。
ビームの通過領域と干渉しないように配置されるこのフラットコイルは、ビーム通過領域に対して所定の磁場均一度を達成するように位置及び形状が決められるが、特にコイル配置に関しては、例えば、以下のような特徴をもつ。
まず、ビーム通過領域のz方向最大位置及び最小位置(又は、方向上側位置及び下側位置)を通るx−y平面に平行な平面によって挟まれる領域を低角度領域と名付け、これらの平面より外側の領域を高角度領域と名付ける。この場合、湾曲した円弧状ビーム通過領域の円弧の半径方向内側でかつ低角度領域にx−y面に対し対称な少なくとも1対の第一のフラットコイル1a対が配置され、さらに円弧の外側でかつ低角度領域にx−y面に対し対称な少なくとも1対の第二のフラットコイル2a対が配置され、高角度領域内にx−y面に対し対称な少なくとも1対の第三のフラットコイル3a対が配置されている。さらにこの磁石をz−x平面で切った断面で見たとき、巻線部の断面形状はz−x平面の4つの象限において対称又はほぼ対称形状をしており、第一象限(x軸を横軸に取り、x>0,z>0)に着目したとき、座標原点から見てx軸からz軸方向になす角30度と63度のラインに第一のフラットコイル1aも第三のフラットコイル3aもかからない配置となっている。第三のフラットコイル3aが配置される高角度領域には、要求される磁場精度に応じてさらに第四のフラットコイル4aを配置することができ、その場合には第四のフラットコイル4aは63度のラインよりもさらに高角度側に配置される。
本実施形態の超伝導偏向磁石は、単純な形状のフラットコイルからのみ構成され、ビーム通過領域に干渉しないように配置されており、さらに断面内の特定の角度位置、この位置は多極成分磁場のうち最も強度の大きな又は他の多極成分と比べて比較的強度の大きな6極成分磁場を生じさせる位置、を避けるように配置する。これにより、コイルの構成数を低減し、かつ、磁石の製作が容易でありながら所定の磁場均一度を有するビーム輸送用の超電導磁石を実現することができる。
以下に、本実施形態を更に図面を参照しながら具体的に説明する。

(超伝導偏向磁石の仕様と設計結果)
偏向電磁石の磁場仕様について、一例として、重粒子用のエネルギー430MeV/uの炭素ビームを半径2.8mで偏向させる磁石を考える。ビームの通過領域は200mm×200mmでこの領域で均一な2極磁場をつくる。磁石は図2に示すように上下対称の8個のコイルから構成されている。ビームが通過する磁石中心は曲率半径2.8mの弧を描くように磁石は湾曲している。なお、エネルギー、ビームの半径、通過領域等は一例であり、これに限らず、適宜の値とすることができる。この磁石はフラットコイルと呼ばれる平面状に巻き回したコイルによって構成されている。この構成は簡便な巻線によって製作されたコイルを用いながらビームの通過に影響がないようにコイルを配置でき、さらに、上下対称面付近に配置されたコイルの磁石外側の戻りの電流によって外部への漏洩磁場を低減する効果を持っていることから、漏洩磁場を低減するための大量のリターンヨークを必要とせず、軽量の磁石を提供できることである。
図9は、磁場の目標仕様と設計値の一例を示す説明図である。ビームが通過する磁石中心の磁場の誤差(エラー)については厳しく制約を課し、漏洩磁場に対しては制約を緩くして矩形断面コイルの形状と位置を最適化計算した結果である。ビームを輸送するのに十分に小さな誤差磁場(多極磁場)と小さな漏洩磁場を満す解が得られている。
ここで、図1に示した、2次元断面内のコイル配置について参照する。図中では上下対称のコイル配置のうち上側だけを図示している。第一のフラットコイル1a及び第二のフラットコイル2aは、x軸から角度位置30度のラインを侵さないように配置される。このコイル配置が意味することについて説明するために、次に磁場設計について説明する。
(磁場設計について)
以下に、ビーム輸送用電磁石の設計に関し磁場の表式と磁場設計の概念について説明する。円弧状にビームを輸送する電磁石であっても、まずは、無限直線状起磁力源を用いた磁場設計を行い、それをベースにして3次元化する手法がとられる。無限直線状起磁力(電流)がつくる磁場について説明する。
図3は、多極成分磁場についての説明をするための座標系の取り方ついての説明図である。ここでは、図3に示すような座標系を考える。起磁力源を直線状の電流Iとし、電流は紙面に対して垂直に手前から奥に向って流れているものとする。磁場の方向をz軸方向に取る。電流の位置は、座標原点からの距離をfとし、z軸からなす角をφで与える。磁場評価点の位置は同様に、rとθで与えることとする。
この時、原点周辺の磁場Bz(r,θ)は、

Figure 0006588849
と、原点からの距離rのべき乗で展開した表式で書くことができる。
ここでnは展開次数であり、

Figure 0006588849
のように、nのそれぞれをn次の磁場と呼ぶこととする。n=0の磁場を2極磁場、n=1の磁場を4極磁場という呼び方もされるが、これはそれぞれのn次に特徴的な磁場分布を形成する磁石の極数に由来している。
ビーム飛行経路を一定の曲率で偏向させるためには一様な磁場が必要であり、偏向用電磁石では、基本的にn=0次の一様磁場(2極磁場)だけを残してそれ以外の次数の磁場成分(多極成分磁場ともいう)はゼロにする磁場設計を行う。
2極磁場が得られるコイル巻線方法(電流配置方法)としてはコサインシータ巻線がよく使われている。これは、図3における座標系において電流の強度(電流分布)をx軸からなす角Θに対してcos(Θ)状に分布させる配置方法である(図3では式1,2,3の説明のためz軸からθ及びφをとっているので注意)。
後述する式3において、多極展開磁場強度の電流ソースの角度位置に関する依存性はsin[(n+1)φ]の部分であるが、電流の強度分布としてsin(φ)の分布をもたせて積分をすればn=0以外の項はゼロとなることからわかるように、コサインシータ巻線では2極磁場のみが得られる。なお、コサインシータ巻線は連続的に電流密度分布を変化させることから自由度が非常に高い体系と解釈することもできる。
本発明及び/又は本実施形態では、いわゆるコサインシータ巻きの電流密度分布が連続的に変化する分布巻線コイルではなく、矩形断面のコイルが離散的に配置された体系によって偏向磁石を実現しようとしている。この場合であっても、コサインシータ巻線の場合と同様に、n=0以外の多極成分磁場をゼロ(又は、ゼロに近い値、無視できる値、等)とするようなコイル配置としなければならない。本発明及び/又は本実施形態では、コサインシータ巻線が原理的に積分によって多極成分磁場がキャンセルされるのと異なり、離散化されたコイルの断面形状や位置を適切に組み合せることによって多極成分磁場をキャンセルする。一般論として大雑把に言えば、磁場成分をキャンセルしたい次数の分だけ磁場ソース(コイル配置)の自由度を与える必要がある。多くの次数の磁場をキャンセルするためには離散コイルの個数を増やすことが必須である。
本実施形態のように、2次元平面内で電流起磁力源を左右反対称(z軸に対して)、上下対称(x軸に対して)に配置すると、対称性によってnが奇数の次数の磁場がキャンセルされてゼロとなり都合が良い。ここで左右反対称とはコイル断面形状がz軸に対して対称であり、電流の向きが反対であることをいう。図1では上半分のみのコイル配置が示されているが、図中の丸の中央に点が打たれた印は電流が紙面奥から手前に向かって流れていることを示し、丸にバツの印は電流が紙面奥に向かって流れていることを示す。
式2に、式2の電流Iの符号を反転しさらにφの符号を反転したものを加算すると、

Figure 0006588849
となる(左右反対称の対称性を考慮した表式)。さらに上下対称の場合には、式2’に、式2’のφを(π−φ)におきかえたものを加算すると、

Figure 0006588849
が得られる。左右反対称、上下対称の電流配置の場合には、このようにnが奇数次の多極磁場は0となるので、考慮すべき磁場はnが偶数次の項のみであり、残すべきn=0の2極磁場以外のn=2の6極磁場、n=4の10極磁場、n=6の14極磁場、、、等をキャンセルする磁場設計を行なうこととなる。n次の磁場は次数が高いほど(r/f)のn乗でその強度は小さくなっていくため、無限に高い次数の磁場までをキャンセルする必要はなく、キャンセルすべき磁場に関しては、ビームが通過する領域において要求される磁場精度によって決定される。本実施形態の磁石においては、一例としてn=6次までをキャンセル(又は、予め定めた値以下まで減少)するようにし、それ以上の高次の多極磁場は強度が大きくならないように制約してコイル配置を決定した。
(コイル配置の原理)
本実施形態では、上下対称、左右反対称の起磁力体系であるため、偶数次の磁場のみが設計の対象であり、また、漏洩磁場については努力目標としてこれを低減するように設計を行なった。図9に示したように、制約した磁場の数は磁石中心の磁場が7個(さらに漏洩磁場を加えると9個)である。制約する磁場の数が多いため、少ない数の離散コイルで所定の磁場均一度を得るためには合理的なコイル配置が必要である。図9では、一例として、2次、4次、6次をそれぞれ0.05、0.16、0.16ガウス以下になるようにキャンセルし、8次、10次、12次をそれぞれ7.0、7.2、5.3ガウス以下に制約する。さらに、漏洩磁場については、一例として、座標原点(中心)からz軸に沿った垂直方向の距離の−2乗に比例する漏洩磁場成分の強度を、座標原点からz軸に沿った垂直方向3mの位置で2ガウス以下(図9では、1.5ガウス以下)とし、距離の−4乗に比例する漏洩磁場成分の強度を、座標原点からz軸に沿った垂直方向3mの位置で20ガウス以下(図9では、12ガウス以下)となるよう、可能な範囲で小さくする。
式3は、磁石中心付近のn次の多極磁場の表式であるが、電流の角度位置に依存する部分はsin[(n+1)φ]/fn+1の部分である。以下に、この式3に従って各次数の磁場設計の考え方について説明する。
[n=0次]
多極磁場を抑制しながら最も効率よくn=0次の2極磁場(偏向磁場)を発生させることを考えることすると、磁石中心に逆向きの磁場を発生させる電流を配置しないことは明白である(第一及び第二のフラットコイル1a及び2aの戻り電流については逆向きとなるがやむをえない。また、この電流は距離が遠いため寄与が小さい)。n=0次の磁場は電流の角度位置に対してsin[φ]の依存性があるため、なるべくx軸に近づけて(即ちz軸から90度の位置で)電流(コイル)を配置するのが効率が良い。
[n=2次]
図4は、多極展開磁場のうちn=2次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。n=2次の成分の磁場は、電流の角度位置に対してsin[3φ]の依存性があることから、強度の符号がz軸から30度の位置で+1、60度の位置で0、90度の位置で−1と変化する(図4に−π/2 ≦ φ ≦ π/2でsin[3φ]の絶対値が最大値をとる角度位置を示す)。n=0次の磁場を効率良く発生するためには90度に近い側(x軸側)に電流を寄せる必要があるため、n=2の6極磁場を発生させないためには、60度のラインを挟んで(起磁力源をバランスさせて)配置することが合理的な配置方法である。戻りの電流は、距離fのn+1=3乗に反比例して寄与が小さくなるため、磁石中心に近い内側の電流の寄与が大きい。n=2次の磁場は磁場の符号が変わるところが60度のラインしかないため、起磁力源として正の電流しか配置しないことにすれば(対となる戻りの電流のことは考えない)、大きな起磁力源はこの60度のラインで2分されて配置されることになる。
[n=4、6次]
図5は、多極展開磁場のうちn=4次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。n=4次の成分の磁場は、電流の角度位置に対してsin[5φ]の依存性があることから、強度の符号がz軸から18度の位置で+1、36度の位置で0、54度の位置で−1、72度の位置で+0、90度の位置で1と変化する(図5に−π/2 ≦ φ ≦ π/2でsin[5φ]の絶対値が最大値をとる角度位置を示す)。
また、図6は、多極展開磁場のうちn=6次の成分の磁場の絶対値が最大値となる線電流の角度位置を示す説明図である。n=6次の成分の磁場は、電流の角度位置に対してsin[7φ]の依存性があることから、強度の符号がz軸から12.9度の位置で+1、25.7度の位置で0、38.6度の位置で−1、51.4度の位置で+0、64.3度の位置で+1、77.1度の位置で0、90度の位置で1と変化する(図6に−π/2 ≦ φ ≦ π/2でsin[7φ]の絶対値が最大値をとる角度位置を示す)。n=0次及び2次でおおまかな起磁力源の配置が決っているため、それの影響を受け配置できるn=4及び6の磁場を調整できる領域は制限される。
n=4,6次の多極磁場の発生量が大きな領域(感度が高い領域)にコイルを配置することは、キャンセルすべき多極磁場の絶対量が増えるため得策ではない。従って、第一のフラットコイル1aは64.3度よりも角度が大きな領域にその大部分(例えば、8割以上等)が配置されることになり、第三のフラットコイル3aは38.6度から54度の範囲にその大部分(例えば、8割以上)が配置されることになる。磁場の要求仕様によっては高角度領域にさらに電流を配置することが必要となり、その場合には第四のフラットコイル4aがn=4,6次の高次の多極磁場を調整するために配置される。
[n>=8次]
n>=8次の高次多極磁場は符号がかわる角度位置が増えることから、これらの多極展開磁場を完全にキャンセルするためには、コイルを小さく分割して符号が変わる領域にうまくコイルを配置することが必要である。しかし本実施形態の磁石では離散コイルの個数を最小限とすることを優先としているため、コイルの断面形状調整によってその強度が大きくならないように制約した(図9で示した例のように、8次、、10次、12次に対して、それぞれ、7.0ガウス、7.2ガウス、5.3ガウス以下程度)。
図7は、断面内のコイル配置とn=4,6次の多極磁場を発生させる領域との対応を説明するための説明図である。以上のように、コイルの個数を6〜8個(3〜4対)で磁石を構成する場合には、図7のように、6極磁場(n=2)をキャンセルするためにφ=60度のラインでおおまかに2つに分けるように起磁力源を配置し、さらに10極(n=4)、14極磁場(n=6)の発生量が大きいφ=38.6度、54度、64.3度の角度位置に起磁力源が集中しないように起磁力源を配置することが必要となる。
(2電源励磁による磁場調整)
図8は、本実施形態の磁石を二つの電源で運転する場合のコイル組み合わせを示す概念図である。離散コイルで構成される磁石では、コサインシータ巻線のような広く電流が分布している磁石よりも巻線の製作精度、位置精度が厳しくなる場合が想定される。磁石を製作すると必ず製作誤差により磁場が設計よりずれるため、このずれに対して補正する手段が必要となる。とりわけ低い次数の6極磁場は誤差磁場の発生強度が原理的に大きく、そして、ビーム通過領域の広い領域に対して磁場を歪ませるため、この成分に対する磁場補正は必須である。
本実施形態の磁石では、磁石を構成するコイルを2つのグループに分けて励磁を行うことにより、大がかりな補正コイルを実装することなく6極磁場の補正を行うことが可能である。2つのコイルグループは同じ電流で励磁されるように設計されているが、実機の仕上がり状況に応じて(製作誤差によって生じる6極磁場をキャンセルするように)わずかに電流値を変えて運転する。2電源で運転することによって2つの自由度を持つことになるから、偏向磁場の強度を一定に保ったまま6極磁場の強度を自由に変化させることが可能となる。
6極磁場(n=2)は、電流がz軸から60度のラインをまたぐと発生する磁場の符号が変わるから、この60度のラインでコイルをグループ分けをし(図7)、励磁電流に差をつけることによって効率良く(わずかな電流差で)6極磁場を発生することが可能である。また、6極磁場よりも高次の多極磁場については原理的に発生強度が小さいことと、それぞれのコイルグループの中でも磁場のキャンセルが行われているため影響が小さい。
また、本実施形態の体系の磁石では磁石長が長い方が均一な磁場を出すためには有利である。そのため磁石長が長くなる傾向にあり磁石の蓄積エネルギーが増大しクエンチ時の磁石保護が難しくなる。電源回路を分割することにより磁石保護が容易になる。また、本実施形態の磁石のコイル配置は2電源回路間の磁気的なカップリングが極めて小さくなるため、2電源化された回路はほぼ独立とみなせ、磁石保護過程における磁気的結合によるエネルギーのやりとりについて考慮する必要がないことも利点のひとつである。
(その他の効果)
本実施形態の磁石は、フラットコイルを採用することによって簡便に製作できるばかりか、外側に結果的に配置される戻りの電流を利用して、磁石外部の漏洩磁場を低減することが可能である。この効果により漏洩磁場の低減に必要な鉄ヨークを大幅に低減することが可能であり、したがって回転ガントリー用の支持構造や回転構造に対する負荷を低減できる。
(本発明及び/又は本実施形態の磁石の利用)
本発明及び/又は本実施形態のビーム輸送用超電導磁石は、通常考えられるビーム輸送用途に適用できるが軽量であることが特徴であるので、特に粒子線治療装置用回転ガントリーなど重量が重要なファクターとなる装置に対して最適である。また、本発明及び/又は本実施形態のビーム輸送用超電導磁石は、研究用加速器・医療用加速器などのビーム輸送を伴う装置・システム全般に適用できる。軽量であることが特徴であるので、特に粒子線治療装置用回転ガントリーなど重量が重要なファクターとなる装置に対して最適である。
(付記)
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれている。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1a,1b: 第一のフラットコイル
2a,2b: 第二のフラットコイル
3a,3b: 第三のフラットコイル
4a,4b: 第四のフラットコイル
5: ビーム通過領域

Claims (14)

  1. ビーム輸送用超伝導磁石装置であって、
    磁場発生方向をz軸正方向及びビームの飛行経路がx−y平面上とした座標系で、x−y平面に対して対称の形状のビーム通過領域をビームが予め定められた曲率半径の円弧で偏向されて通過し、前記ビーム通過領域のz方向上側位置のx−y平面と下側位置のx−y平面によって挟まれる領域又は前記ビーム通過領域のz方向最大位置と最小位置のx−y平面によって挟まれる領域を低角度領域とし、前記低角度領域よりz軸方向外側の領域を高角度領域としたとき、
    前記ビーム通過領域の円弧の内側且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置された、少なくとも1対の第一のフラットコイルと、
    前記ビーム通過領域の円弧の外側で且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置され、且つ、z−x平面のコイル断面で前記ビーム通過領域の中心を表す座標原点におけるz−y平面に対して、前記第一のフラットコイルと対称又はほぼ対称に配置され、電流の向きを前記第一のフラットコイルと左右反対とし、前記第一のフラットコイルと同じ向きの磁場を発生するようにした、少なくとも1対の第二のフラットコイルと、
    前記ビーム通過領域のz方向に外側且つ前記高角度領域にx−y面に対し対称に配置された、少なくとも1対の第三のフラットコイルと、
    を備え、
    前記第一のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
    前記第二のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
    前記第三のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角30度から63度の間、及び、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角30度から63度の間にある、
    ことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  2. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記第三のフラットコイルを、2対以上備え、2対以上の前記第三のフラットコイルのうち少なくともひとつは前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角30度から63度の間、及び、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角30度から63度の間にあることを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  3. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記第三のフラットコイルが配置される前記高角度領域に、高次の多極磁場を調整するため、63度のラインよりもさらに、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角度の高角度側にx−y面に対し対称に配置される、1対の第四のフラットコイルをさらに備えたことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  4. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記座標原点によるz−x平面の第一象限における前記第一のフラットコイル及び前記第二のフラットコイル及び前記第三のフラットコイルのそれぞれのコイル断面積の8割以上又は大部分が、前記座標原点におけるz軸からみたx方向になす角度位置18度から38.6度の領域及び54度から64.3度の領域を除いた領域に配置されていることを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  5. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記第一のフラットコイル及び前記第二のフラットコイル及び前記第三のフラットコイルは、z軸の方向に沿った磁場を発生させるようにx−y平面に対しほぼ平行に線材を巻き回したコイルであって、コイル巻線の横断面形状は巻き線の方向に沿って一定の形状を有しており、x−y平面を水平面としたとき前記第一のフラットコイル及び前記第二のフラットコイル及び前記第三のフラットコイルは前記水平面に平行に置くことが可能な平坦又は平面的な形状をしているコイルであることを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  6. 請求項に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記コイル巻線の横断面形状は、巻き線の方向に沿って矩形形状を有していることを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  7. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記第三のフラットコイル用の第一の励磁回路と、
    前記第一のフラットコイル及び第二のフラットコイル用の第二の励磁回路と
    を備えたことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  8. 請求項に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記第一の励磁回路及び前記第二の励磁回路は、少なくとも6極磁場をキャンセルするように異なる電流値を供給することを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  9. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記座標原点からz軸に沿った垂直方向3mの位置に於ける漏洩磁場を20ガウス未満としたことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  10. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置において、
    前記座標原点からz軸に沿った垂直方向の距離の−2乗に比例する漏洩磁場成分の強度を、前記座標原点からz軸に沿った垂直方向3mの位置で2ガウス以下とし、前記距離の−4乗に比例する漏洩磁場成分の強度を、前記座標原点からz軸に沿った垂直方向3mの位置で20ガウス以下としたことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石装置。
  11. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置を備えたビーム輸送システム。
  12. 請求項1に記載のビーム輸送用超伝導磁石装置を備えた粒子線治療システム。
  13. ビーム輸送用超伝導磁石配置方法であって、
    磁場発生方向をz軸正方向及びビームの飛行経路がx−y平面上とした座標系で、x−y平面に対して対称の形状のビーム通過領域をビームが予め定められた曲率半径の円弧で偏向されて通過し、前記ビーム通過領域のz方向上側位置のx−y平面と下側位置のx−y平面によって挟まれる領域又は前記ビーム通過領域のz方向最大位置と最小位置のx−y平面によって挟まれる領域を低角度領域とし、前記低角度領域よりz軸方向外側の領域を高角度領域としたとき、
    少なくとも1対の第一のフラットコイルを、前記ビーム通過領域の円弧の内側且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置し、
    少なくとも1対の第二のフラットコイルを、前記ビーム通過領域の円弧の外側で且つ前記低角度領域にx−y面に対し対称に配置し、且つ、z−x平面のコイル断面で前記ビーム通過領域の中心を表す座標原点におけるz−y平面に対して、前記第一のフラットコイルと対称又はほぼ対称に配置し、電流の向きを前記第一のフラットコイルと左右反対とし、前記第一のフラットコイルと同じ向きの磁場を発生するようにし、
    少なくとも1対の第三のフラットコイルを、前記ビーム通過領域のz方向に外側且つ前記高角度領域にx−y面に対し対称に配置し、
    前記第一のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
    前記第二のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角0度から30度の間にあり、
    前記第三のフラットコイルの配置位置が、前記座標原点から見てx軸方向からz軸方向になす角30度から63度の間、及び、前記座標原点から見てx軸マイナス方向からz軸方向になす角30度から63度の間にある、
    ことを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石配置方法。
  14. 請求項13に記載のビーム輸送用超伝導磁石配置方法において、
    前記第一のフラットコイル及び前記第二のフラットコイル及び前記第三のフラットコイルの配置により、前記ビーム通過領域の磁場を表す展開次数nが奇数次の多極磁場を0とし、nが偶数次の、n=0の2極磁場を残し、それ以外のn=2の6極磁場、n=4の10極磁場、n=6の14極磁場をキャンセルすることを特徴とするビーム輸送用超伝導磁石配置方法。
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