JP6588737B2 - 離型油とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、離型油とその製造方法に関する。
食品を型、トレー等の容器より剥離させる目的で離型油が使用されている。特にスポンジケーキ、マドレーヌ、フィナンシェのような洋菓子は、パンに比較して卵、糖質を多く含有することによる焦げ付きや、比重が軽いこと、また複雑な形状の型を使用することに起因し、離型性が悪いという問題がある。
離型油は通常、型と食品生地との界面で均質な油膜を作ることが必要であり、そのために両親媒性のあるレシチンが主に使用され、さらにレシチンに他の乳化剤等を添加し離型性を向上させる技術も検討されている(特許文献1)。
一方、型と生地との界面に粉体を添加し、離型性を向上させる技術が開発されている。例えば、離型油に粉体として澱粉、カルシウム化合物、二酸化ケイ素、ワックス等を介在させ、離型性を向上させる技術が提案されている(特許文献2〜5)。
特開2014−18170号公報 特開2001−275566号公報 特開平4−131044号公報 特開2003−265105号公報 特開昭62−138130号公報
しかしながら、特許文献2で提案されている澱粉は、水分の多いケーキ生地等では焼成中に生地中の水分で澱粉が糊化し、焼成後の離型性を得ることができない。
特許文献3で提案されているカルシウム化合物は、焼成品に移行し、焼成品の食感がざらつく懸念がある。
特許文献4で提案されている二酸化ケイ素は、これを添加した場合、二酸化ケイ素が沈降しやすいため、離型油として均一な状態を保つのが難しい。
特許文献5で提案されているワックスは、焼成品に離型油の風味が移行し、風味を損なう場合や、焼成品の表面が固くなり、食感が悪くなる場合がある。
また、型に塗布した離型油が焼成中に型の底に溜まると、底に溜まった離型油を生地が吸収し焼成品から油脂が染みだして焼成品がべたついたり、包装した際に外観を損なったりしてしまう。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、離型性が良く、焼成した食品の風味と食感が良好で、かつ、焼成した食品からの染みだしも抑制することができる離型油とその製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の離型油は、高融点油脂粉末を含有し、この高融点油脂粉末は、100メッシュを通過する粉末粒子を含むことを特徴としている。
また本発明の離型油の製造方法は、離型油の原材料である高融点油脂粉末を除いた油脂に、前記高融点油脂粉末の融点未満の温度で前記高融点油脂粉末を添加することを特徴としている。
本発明によれば、離型性が良く、焼成した食品の風味と食感が良好で、かつ、焼成した食品からの染みだしも抑制することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型油は、高融点油脂粉末を含有している。すなわち、この高融点油脂は、離型油の油脂中に溶解(溶融)せず粉末状のまま分散している。
このように、本発明の離型油は、高融点油脂を粉末状で溶解せずに含有しているため、焼成時には高融点油脂の融点まで粉末状として型に残存することから、この粉末状の高融点油脂が型と生地との間に介在することで生地が型に付着することを抑制し、離型性が向上する。高融点油脂を油脂に溶解すると、他の油脂と混合した融点となり、溶解温度が高融点油脂自体よりも下がる。しかし本発明では、高融点油脂を油脂中に溶解しない状態で含有することで、高融点油脂は他の油脂とは個別の融点を有するため、離型性が良好である。
また、型に塗布した離型油が焼成中に型の底に溜まると底に溜まった離型油を生地が吸収し、焼成品から油脂が染みだして焼成品がべたついたり、包装した際に外観を損なったりしてしまう。しかし本発明の離型油は、離型油を塗布した型に生地を入れて、焼成のために加熱を開始した後、離型油に含まれる高融点油脂粉末の溶解が遅いために、生地に油脂が染み込みにくく、そのため焼成品からの油脂の染みだしが少ない。
この高融点油脂粉末は、100メッシュを通過する粉末粒子を含む。高融点油脂粉末の粒子径(メッシュ)は、粒子径が細かい方が、表面積が大きくなり生地と型の間に薄く隙間なく型へ付着可能で、型への付着性および表面積の確保が可能であり、型への付着維持効果が向上することから、離型性が良く、かつ焼成品からの染みだしを抑制できる。これらの点を考慮すると、高融点油脂粉末は、100メッシュを通過する粉末粒子の割合が、高融点油脂粉末全量に対して好ましくは50質量%以上である。
なお、本発明において「100メッシュ」とは、JIS−Z−8801−2006の標準ふるいに規定されたもので、目開きは150μmである。100メッシュを通過する粉末粒子の測定方法および使用機器についてもJIS−Z−8801−2006の規格に準ずる。詳細条件については、例えば、後述の実施例の条件が参照される。
高融点油脂粉末は、融点が好ましくは55〜70℃である。融点がこの範囲内であると、離型性および焼成品からの染みだし抑制効果が特に向上する。すなわち油脂粉末がこのような高融点であると、焼成時には高融点油脂の融点まで粉末状として型に残存することから、この粉末状の高融点油脂が型と生地との間に介在することで生地が型に付着するのを抑制し、離型性が向上する。また、離型油を塗布した型に生地を入れて、焼成のために加熱を開始した後、離型油に含まれる高融点油脂粉末の溶解が遅いために、生地に油脂が染み込みにくく、そのため焼成品からの染みだしが少ないものと推測される。
なお、高融点油脂粉末の融点は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
高融点油脂粉末の含有量は、離型油全量に対して好ましくは5〜15質量%である。含有量がこの範囲内であると、離型性および焼成品からの染みだし抑制効果が特に向上し、焼成した食品の風味と食感も良好である。この含有量が5質量%以上であると、離型性および焼成品からの染みだし抑制効果が特に向上し、15質量%以下であると焼成した食品の風味と食感が良好である。
高融点油脂粉末は、例えば、油脂を水素添加し融点を高め、粉末化したものを使用できる。粉末化は、公知の方法により行うことができる。例えば、凍結乾燥や噴霧乾燥により固形物とし、その後粉砕し所望により篩別して粉末化することができる。
高融点油脂粉末の油脂原料としては、例えば、植物油脂、動物油脂、これらの分別油、エステル交換油脂等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。植物油脂としては、パーム油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油等が挙げられる。動物油脂としては、豚脂、牛脂、乳脂等が挙げられる。
本発明の離型油において高融点油脂粉末以外の、高融点油脂粉末を分散させる油脂は、特に限定されるものではないが、良好な離型性を確保する点から、離型油として型に塗布した際に、流れ落ちにくい(液ダレしにくい)ことが必要である。この点を考慮すると、高融点油脂粉末を分散させる油脂は、その3飽和トリグリセリドの含有量が、3〜40質量%であることが好ましい。3飽和トリグリセリドの含有量がこの範囲内であると、離型油として型に塗布した際に流れ落ちにくく離型性を確保できるとともに、焼成した食品の風味と食感も良好である。
この高融点油脂粉末を分散させる油脂は、用途に応じて、5℃で流動状の油脂と高融点油脂とを併用した、常温(20℃、以下同じ)で流動状を呈するもの(以下、「油脂A」とも言う。)、および、エステル交換油脂、特にパーム系油脂を含む油脂原料をエステル交換反応して得られるエステル交換油脂を主体とした、常温で固形状のもの(以下、「油脂B」とも言う。)が好ましく使用される。
油脂Aは、常温で流動状を呈し、かつ幅広い温度範囲で一定の粘度であることから、塗布性、特にスプレーでの塗布性やハンドリング性が良好である。
油脂Aに使用される5℃で流動状の油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、MCT、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油や、パーム油、ヤシ油、パーム核油等の分別軟質油などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
油脂Aに使用される高融点油脂は、融点が好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、最も好ましくは、58℃以上である。特に、動植物油脂の極度硬化油が好ましい。
これらの5℃で流動状の油脂と高融点油脂とを配合し、粘度を調整することによって油脂Aが得られる。油脂Aの粘度は、20℃で1000mPa・s以上が好ましい。本発明の離型油を常温でスプレーして型に塗布する場合を考慮すると、油脂Aの粘度は16000mPa・s以下が好ましい。ここで粘度は、市販のB型粘度計を用いて、回転速度20rpm、ローターNo.2〜4、温度20℃、30秒の条件で測定することができる。
油脂Aとしては、高融点油脂の融点、5℃で流動状の油脂の油種にもよるが、具体的には、高融点油脂1.0〜10.0質量%と5℃で流動状の油脂99.0〜90.0質量%とを混合したものが挙げられる。
油脂Bは、常温で固形状であることから、離型性と、焼成品からの染みだし抑制に優れている。また、20℃で固形状であるエステル交換油脂を主体としていることから、溶融し、型に塗布した際に、速やかに結晶化して、塗布後の液ダレ抑制に特に効果を発揮しやすくなる。
油脂Bは、常温で固形状であるため、スプレー時は加温し用いる。スプレーの使用を考慮すると、油脂Bは、40℃の粘度が40〜5000mPa・sが好ましい。油脂Bは上述のように、上記粘度でも型に塗布後、速やかに結晶化するため、液ダレが抑制される。ここで粘度は、市販のB型粘度計を用いて、回転速度20rpm、ローターNo.2、温度40℃、30秒の条件で測定することができる。
油脂Bは、20℃で固形状であるエステル交換油脂とヨウ素価が54以上である油脂(20℃で固形状であるエステル交換油脂は含まない)を組み合わせることが好ましい。
上記20℃で固形状であるエステル交換油脂の原料に使用されるパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。パーム油及びその分別油としては、ヨウ素価30〜60のものが好ましい。
上記パーム系油脂を含む油脂原料をエステル交換反応して得られるエステル交換油脂としては、パーム分別軟質部のエステル交換油脂や、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を用いることが好ましい。
これらのうちパーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂は、ラウリン系油脂としてはパーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。このラウリン系油脂は、ヨウ素価が2以下であることが好ましい。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂を用いると、他の油脂に対して結晶核となりやすく、核発生を誘発するため結晶化が遅れるのを抑制でき、塗布性が向上する。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂としては、極度硬化油を用いることができる。パーム系油脂は、前記に例示したものを用いることができるが、極度硬化油をラウリン系油脂及びパーム系油脂の合計量に対して20〜60質量%の範囲内で含有することが好ましい。上記パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂は、ラウリン系油脂5〜80質量%とパーム系油脂20〜95質量%とをエステル交換反応して得られたものであることが好ましく、ラウリン系油脂5〜30質量%とパーム系油脂70〜95質量%とをエステル交換反応して得られたものであることがより好ましい。上記パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂は、ヨウ素価が20〜45であることが好ましく、25〜40であることがより好ましい。
ヨウ素価が54以上である油脂としては、菜種油、大豆油、コーン油、米油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油を分別したパーム軟質部(パームオレイン、スーパーオレイン)等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
20℃で固形状であるエステル交換油脂とヨウ素価が54以上である油脂は、20℃で固形状であるエステル交換油脂を50質量%超、ヨウ素価が54以上である油脂を50質量%未満として組み合わせることが好ましく、20℃で固形状のエステル交換油脂を60質量%超、ヨウ素価が54以上である油脂を40質量%未満として組み合わせることがより好ましい。
本発明の離型油は、その効果を損なわない範囲において、上記の高融点油脂粉末およびそれを分散させる油脂に加えて、その他の成分を配合することができる。例えば、離型性や粘性等を考慮して、レシチンや他の乳化剤、食用ワックス、植物ステロール、消泡剤、酸化防止剤、澱粉等の他の添加成分を適宜の量、例えば離型油全量に対して好ましくは10質量%以下の量で配合することができる。その中でも、高純度レシチンを用いると離型性がさらに向上するので好ましい。高純度レシチンとしては、レシチンに含まれる油分を除去した粉末状のもの等を用いることができる。さらに高純度レシチンとクルードレシチン(天然由来の未精製レシチン)とを併用することで、高純度レシチンの溶解性が向上し、さらに離型性が向上する。高純度レシチンの含有量は、焼成品への風味を考慮すると離型油全量に対して1.0〜7.0質量%が好ましい。高純度レシチンに対するクルードレシチンの質量比(クルードレシチン/高純度レシチン)は、0.14〜1が好ましい。
本発明の離型油は、離型油の原材料である油脂(高融点油脂粉末を除いた油脂)に、高融点油脂粉末の融点未満の温度で高融点油脂粉末を添加することによって製造することができる。レシチン等の上記その他の成分は、高融点油脂粉末を添加する前に、離型油の原材料である油脂(高融点油脂粉末を除いた油脂)に添加し溶解後均一に混合することができる。例えば、離型油の原材料である各油脂(高融点油脂粉末を除いた油脂)を溶解後、レシチンやその他の成分を添加し、溶解または分散後、高融点油脂粉末の融点未満まで冷却し、その後高融点油脂粉末を均一に分散し、離型油を得ることができる。
高融点油脂粉末を混合する方法としては、以下二つの方法が挙げられる。一つ目の方法としては、原材料である油脂(高融点油脂粉末を除いた油脂)を溶解し、レシチン等を混合した油相を、油相温度が高融点油脂粉末の融点以上である場合は、高融点油脂粉末の融点未満に冷却し、高融点油脂粉末を混合後、均一に分散後、急冷捏和することができる。二つ目の方法としては、前記油相を急冷捏和した後に高融点油脂粉末を混合することができる。
急冷捏和処理は、通常、可塑性油脂組成物を製造する場合と同様にして行うことができる。また、急冷捏和処理は、従来公知の急冷捏和装置を用いて行うことができる。密閉状態で連続的に急冷し、同時に捏和して均質な油脂組成物を得る装置としては、ボテーター、パーフェクター、コンビネーター、オンレーター、ネクサス等を用いることができる。
本発明の離型油は、ケーキ、焼き菓子等の洋菓子、人形焼き、鯛焼き、どらやき等の和菓子のような菓子類や、パン類等の生地を焼成するための型、トレー等の容器に塗布することによって使用される。特に、スポンジケーキ、マドレーヌ、フィナンシェのような洋菓子は、パンに比較して卵、糖質を多く含有することによる焦げ付きや、比重が軽いこと、また複雑な形状の型を使用することに起因し、離型性が悪いという問題があるが、本発明の離型油は、離型性が良く、焼成した食品の風味と食感が良好で、かつ、焼成した食品からの染みだしも抑制することができることから、このような洋菓子の製造に好適である。
本発明の離型油は、刷毛やモップ等を使用し、あるいはスプレー噴霧によって容器に塗布することができる。本発明の離型油を噴霧塗布する装置としては、各種のエアーレス方式のスプレーガンや、各種のグリーサーが使用可能である。
高融点油脂粉末を分散させる油脂として、上記油脂A、すなわち5℃で流動状の油脂と高融点油脂とを併用したものは、常温で流動状を呈するため、そのまま刷毛やスプレー噴霧等を用いて塗布することができる。上記油脂B、すなわちエステル交換油脂を主体とした可塑性を持つものは、常温で固形状であることからそのまま刷毛で塗布することができ、またスプレー噴霧の場合は高融点油脂粉末が溶解しない温度まで加温して用いることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1及び表2に示す配合量は質量部を表す。
1.測定方法
高融点油脂粉末の融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定した。
油脂中における3飽和トリグリセリドの含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
油脂の粘度は、油脂を75℃で溶解後、混合し、各温度まで放冷しB型粘度計((株)日本計器製)を用いて測定した。(油脂A、油脂Bの粘度を測定した。)
温度20℃:回転速度20rpm、ローターNo.2〜4、30秒の条件で測定した。
温度40℃:回転速度20rpm、ローターNo.2、30秒の条件で測定した。
高融点油脂粉末における100メッシュを通過する粉末粒子の割合は、SEISHIN ROBOT SHIFTER RPS-105(自動乾式音波ふるい分け測定器、(株)セイシン企業製)を用いて、粉体粒度測定条件(分級時間:4分、分級:3分、音波強度30、音波周波数:50Hz)で測定した。100メッシュふるいは、JIS−Z−8801−2006の標準ふるい(目開き150μm)を用いた。
2.離型油の製造
(エステル交換油脂1)
パーム核極度硬化油20質量%、パーム油55質量%、パーム油極度硬化油25質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭し、エステル交換油脂1を得た。
エステル交換油脂1は20℃で固形状であった。
(エステル交換油脂2)
パーム分別軟質油(ヨウ素価56)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭し、エステル交換油脂2を得た。
エステル交換油脂2は20℃で固形状であった。
(高融点油脂粉末1)
スプレーファットNR−100(融点67℃)理研ビタミン株式会社製
(高融点油脂粉末2)
スプレーファットPM(融点58℃)理研ビタミン株式会社製
(高融点油脂粉末3)
MR60(融点60℃)(ミヨシ油脂(株)製)を乳鉢ですり潰した菜種極度硬化油
(レシチン)
クルードレシチン:レシチンM(昭和産業株式会社製)
高純度レシチン:SLPホワイト(辻製油株式会社製)
<実施例1〜12、比較例3>
混合釜に表1及び表2の油脂(実施例1〜8は油脂A、実施例9〜12は油脂Bである。)を75℃で溶解後、レシチンを添加し溶解させ、50℃まで冷却後、高融点油脂粉末を添加し、分散後、パーフェクターで20℃まで急冷捏和し離型油を得た。
尚表1及び表2の油脂、高融点油脂粉末、ワックス、レシチンは質量部である。
<比較例1>
混合釜に表2の油脂、高融点油脂粉末を75℃で溶解後、レシチンを添加し溶解させ、パーフェクターで20℃まで急冷捏和し離型油を得た。
<比較例2、4>
混合釜に表2の油脂を75℃で溶解後、レシチンを溶解させ、50℃まで冷却後、ワックスを添加し分散後、パーフェクターで20℃まで急冷捏和し離型油を得た。
3.評価
次の配合でケーキ生地を作製し、刷毛でケーキ型に上記離型油を2gグラム塗布し、ケーキを焼成し、以下の評価を行った。
<ケーキ配合>
薄力粉 100質量部
砂糖 110質量部
全卵 130質量部
ケーキ用起泡剤 15質量部
ベーキングパウダー 1質量部
水 30質量部
<ケーキ作製条件>
上記ケーキ配合を混合し、低速1分、高速で2分30秒撹拌し、ケーキ生地を得た。
レモン型用6連結型に2gの離型油を塗布し、1個あたり上記ケーキ生地を60g流し込み、オーブンで180℃、19分焼成し、レモン型ケーキを製造した。
[離型性]
上記レモン型ケーキを焼成後、高さ30センチから落下させ、その後反転させたときに離型した数に基づき、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:型からすべてきれいに抜けた(6個すべて離型した。6/6)。
○:3〜5個離型した(3/6〜5/6)。
×:2個以下離型またはすべて離型しない。
[焼成品からの染みだし]
焼成したケーキの離型油塗布面を上にして20分間室温で放冷後、あらかじめ重さを測定しておいたパラフィン紙に塗布面が接触するようにおき、25℃、30分間保存後、パラフィン紙に染みだした油脂量を測定し、塗布した油脂に対する染みだした油脂量を以下の基準で評価した。
染みだし%=染みだした油脂の質量/塗布量(2g)×100
評価基準
◎:5%以下
○:5%超〜10%以下
×:10%超
[塗布性]
上記のとおり刷毛でケーキ型に離型油を2gグラム塗布した際の塗布性を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:型に塗布しやすく付着し流れない。
○:型に塗布しやすく付着し流れにくい。
×:型に付着後、すぐ流れ落ちる。
[焼成品の風味]
五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜しパネルとした。
上記パネルにより、焼成後のケーキに離型油の異味があるか否かを評価した。それに基づいて以下の基準で評価した。
評価基準
◎:10名中8名以上が異味なしと評価した。
○:10名中7〜5名が異味なしと評価した。
×:10名中4名以下が異味なしと評価した。
[焼成品の食感]
上記パネルにより、食感としてケーキのソフトさを評価した。それに基づいて以下の基準で評価した。
評価基準
◎:10名中8名以上がソフトであると評価した。
○:10名中7〜5名がソフトであると評価した。
×:10名中4名以下がソフトであると評価した。
以上の評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 0006588737
Figure 0006588737

Claims (6)

  1. 離型油の油脂中に溶解せず粉末状のままで分散している高融点油脂粉末を含有し、
    前記高融点油脂粉末は、100メッシュを通過する粉末粒子を含む、離型油。
  2. 前記高融点油脂粉末を分散させる油脂は、その3飽和トリグリセリドの含有量が、3〜40質量%である、請求項1に記載の離型油。
  3. 前記高融点油脂粉末は、融点が55〜70℃である、請求項1または2に記載の離型油。
  4. 前記高融点油脂粉末は、100メッシュを通過する粉末粒子の割合が、前記高融点油脂粉末全量に対して50質量%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の離型油。
  5. 前記高融点油脂粉末は、含有量が5〜15質量%である、請求項1から4のいずれかに記載の離型油。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の離型油の製造方法であって、
    離型油の原材料である高融点油脂粉末を除いた油脂に、前記高融点油脂粉末の融点未満の温度で前記高融点油脂粉末を添加する離型油の製造方法。
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