JP6588240B2 - 鍛造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、超音波振動を付与しつつ鍛造加工を行うようにした鍛造方法および鍛造装置に関する。
従来、鍛造加工を行うに際して、成形中に金型に超音波振動を付与するようにした超音波鍛造が周知である。超音波鍛造においては、非特許文献1や特許文献1等で述べられているように成形荷重の低減や形状転写性の向上を図ることができる。
このような超音波鍛造を行う鍛造装置は、ダイスおよびパンチからなる金型と、ダイスに取り付けられた振動子と、振動子を駆動する超音波発振器とを備え、ダイス内の鍛造素材をパンチで加圧する際に、超音波発振器からの出力によって振動子を駆動させてダイスに超音波振動を付与するようにしている。
一方、上記の鍛造装置においては超音波発振器によって振動子をダイスの共振周波数で駆動させるように調整されている。例えば特許文献2,3等に示すように超音波発振器は追尾機能を備え、超音波発振器による発振周波数の初期設定値(基準周波数)を共振周波数近辺に設定しておき、その発振周波数を追尾機能によって共振周波数に収束させてダイスを共振状態で振動させるようにしている。
神雅彦ほか、「超音波マイクロコイニングに関する基礎的研究(第4報)」,「第56回塑性加工連合講演会講演論文集」,2005年,p.583−584
特開2009−279596号公報 特開2000−42490号公報 特許第2681603号
ところで本発明者が上記のような鍛造装置を用いて超音波鍛造を行っていたところ、超音波発振器が追尾機能を備えているにもかかわらず、ダイスが共振周波数で振動せず十分な振幅で振動しない場合があることが確認された。その結果、超音波振動による所望の効果、例えば成形荷重の低減および形状転写性(微細形状の成形性)の向上を確実に図ることが困難であるという課題が発生した。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ダイス本体を共振周波数で正確に振動させることができ、成形荷重の低減および形状転写性の向上等の振動付与による効果を確実に得ることができる鍛造方法および鍛造装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意努力して、超音波鍛造の鍛造成形プロセス(過程)において、共振周波数での振動を阻害する原因について詳細に調査した。
その調査によると超音波鍛造では鍛造成形プロセスにおいてダイスの共振周波数が変動するが、その共振周波数は鍛造素材の状態等によって不連続(段階的)に変動する場合があることが判明した。そのように不連続に共振周波数が変動すると、その変動に伴い追尾範囲も変位することにより追尾範囲が超音波発振器の発振周波数から逸脱してしまい、超音波発振器の発振周波数が共振周波数に収束せず、他の周波数域に収束してしまい、ダイスを共振状態で振動させることができないということが判明した。
さらに本発明者は、綿密な実験、研究を繰り返し行うことによって、上記目的を達成し得る構成を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1]ダイス本体の成形孔にセットした鍛造素材をパンチによって加圧して塑性加工する際に、振動付与手段によってダイス本体に超音波振動を付与する一方、鍛造素材が塑性加工される課程においてダイス本体の共振周波数が変動するとともに、その変動する共振周波数に対応して変位する追尾範囲内に、振動付与手段の発振周波数が含まれる場合には発振周波数が共振周波数に収束するようになっている鍛造方法であって、
振動付与手段の発振周波数の初期設定値としての基準周波数を切替変更可能に構成しておき、
鍛造素材が塑性加工される課程において共振周波数が不連続に変動することによって追尾範囲が振動付与手段による発振周波数を逸脱するように変位した際に、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるようにしたことを特徴とする鍛造方法。
[2]鍛造素材が塑性加工される課程において鍛造素材の成形孔内周面に対する接触状態を、成形開始時点から順に不十分な接触状態および十分な接触状態に区分けし、
成形孔内周面に対する接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した後、基準周波数を切り替えるようにした前項1に記載の鍛造方法。
[3]鍛造素材が塑性加工される課程において鍛造素材がパンチ外周側面と成形孔内周面との間のパンチ外周隙間に充填されるように後方押し出しされ、
鍛造素材がパンチ外周隙間に充填される課程において鍛造素材のパンチ外周側面に対する接触状態を、充填開始時点から順に不十分な接触状態および十分な接触状態に区分けし、
パンチ外周側面に対する接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した後、基準周波数を切り替えるようにした前項1または2に記載の鍛造方法。
[4]パンチによる鍛造素材の加工が開始される時刻からの経過時間に基づいて、成形孔内周面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行する時刻を求め、その求めた時刻を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした前項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造方法。
[5]成形孔内周面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミングにおける鍛造素材に対するパンチの荷重を求め、その求めた荷重を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした前項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造方法。
[6]パンチによる鍛造素材の加工が開始される時刻からの経過時間に基づいて、パンチ外周側面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行する時刻を求め、その求めた時刻を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした前項3に記載の鍛造方法。
[7]パンチ外周側面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミングにおける鍛造素材に対するパンチの荷重を求め、その求めた荷重を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした前項3に記載の鍛造方法。
[8]基準周波数を切り替える直前に振動付与手段による振動の付与を停止して、基準周波数を切り替えた際に振動付与手段による振動の付与を再開するようにした前項1〜7のいずれか1項に記載の鍛造方法。
[9]成形孔を有するダイス本体と、成形孔に打ち込んで成形孔内の鍛造素材を塑性加工するパンチと、ダイス本体に超音波振動を付与する振動付与手段とを備えた鍛造装置であって、
振動付与手段の発振周波数の初期設定値を基準周波数としたときに、ダイス本体に超音波振動が付与されつつ鍛造素材が塑性加工される課程において、前記パンチによる鍛造素材の成形が開始されてから所定時間経過後に、振動付与手段の基準周波数を切り替える基準周波数切替手段を備えることを特徴とする鍛造装置。
[10 成形孔を有するダイス本体と、成形孔に打ち込んで成形孔内の鍛造素材を塑性加工するパンチと、ダイス本体に超音波振動を付与する振動付与手段とを備えた鍛造装置であって、
鍛造素材に対するパンチの荷重を検出する荷重検出手段と、
振動付与手段の発振周波数の初期設定値を基準周波数としたときに、ダイス本体に超音波振動が付与されつつ鍛造素材が塑性加工される課程において、前記荷重検出手段からの情報に基づき、パンチの荷重が予め設定された基準周波数切替荷重値に到達したタイミングで、振動付与手段の基準周波数を切り替える基準周波数切替手段とを備えることを特徴とする鍛造装置。
発明[1]の鍛造方法によれば、共振周波数が不連続に変動した際に、その変動後の共振周波数に対応した追尾範囲内に、発振周波数の初期設定値としての基準周波数を切り替えるようにしているため、発振周波数を確実に共振周波数に収束できて、ダイス本体を共振状態で確実に振動させることができる。従って成形荷重の低減および形状転写性の向上等の振動付与による効果を確実に得ることができる。
発明[2][3]の鍛造方法によれば、より確実にダイス本体を共振状態で振動させることができる。
発明[4]の鍛造方法によれば、基準周波数の切り替えるタイミングを簡単に求めることができる。
発明[5]の鍛造方法によれば、基準周波数の切り替えるタイミングを正確に求めることができる。
発明[6]の鍛造方法によれば、基準周波数の切り替えるタイミングをより一層簡単に求めることができる。
発明[7]の鍛造方法によれば、基準周波数の切り替えるタイミングをより一層正確に求めることができる。
発明[8]の鍛造方法によれば、基準周波数を切り替える直前に振動形態が不安定になるのを防止でき、例えばオーバーロードエラー等の発生を有効に防止することができる。
発明[9][10]によれば、上記の方法発明を確実に実施可能な鍛造装置を提供する
ことができる。
図1はこの発明の第1実施形態の鍛造方法が実施可能な鍛造装置を示すブロック図である。 図2Aは第1実施形態の鍛造装置において鍛造素材を投入した直後の状態を示すブロック図である。 図2Bは第1実施形態の鍛造装置において成形開始直後の状態を示すブロック図である。 図2Cは第1実施形態の鍛造装置において鍛造素材が成形孔内周面に対し十分な接触状態に移行した直後の状態を示すブロック図である。 図2Dは第1実施形態の鍛造装置において鍛造素材がパンチ外周隙間への充填が開始された直後の状態を示すブロック図である。 図2Eは第1実施形態の鍛造装置において鍛造素材がパンチ外周側面に対し十分な接触状態に移行した直後の状態を示すブロック図である。 図2Fは第1実施形態の鍛造装置において成形が完了した直後の状態を示すブロック図である。 図3Aは第1実施形態の鍛造装置における共振周波数と成形プロセス時間との関係を示すグラフである。 図3Bは第1実施形態の鍛造装置における基準周波数と成形プロセス時間との関係を示すグラフである。 図4(a)は第1実施形態の鍛造装置において成形開始直後のインピーダンス曲線を示すグラフ、図4(b)は鍛造素材が成形孔内周面に対し十分な接触状態に移行した直後のインピーダンス曲線を示すグラフである。 図5は共振周波数の追尾範囲を説明するためのインピーダンス曲線を示すグラフである。 図6は第1実施形態の鍛造装置においてオーバーロード設定値を付加した成形開始直後のインピーダンス曲線を示すグラフである。 図7はダイス成形孔内周面に対する鍛造素材の接触状態を説明するための平面図である。 図8Aは鍛造用金型において面圧と振動応力との関係を説明するためのブロック図である。 図8Bは鍛造用金型において面圧と振動応力との関係を説明するためのブロック図である。 図8Cは鍛造用金型において面圧と振動応力との関係を説明するためのブロック図である。 図9はこの発明の第2実施形態の鍛造方法が実施可能な鍛造装置を示すブロック図である。 図10Aは成形孔内周面に対する鍛造素材の接触状態とプロセス経過時間との関係を示すグラフである。 図10Bは接触点間の中心角最大値θmaxとプロセス経過時間との関係を示すグラフである。 図10Cは共振周波数とプロセス経過時間との関係を示すグラフである。 図11はこの発明の第3実施形態の鍛造方法が実施可能な鍛造装置を示すブロック図である。 図12Aは成形孔内周面に対する鍛造素材の接触状態とパンチ荷重との関係を示すグラフである。 図12Bは接触点間の中心角最大値θmaxとパンチ荷重との関係を示すグラフである。 図12Cは共振周波数とパンチ荷重との関係を示すグラフである。
(1)第1実施形態
図1はこの発明の第1実施形態である鍛造方法を実行可能な鍛造装置を示すブロック図である。同図に示すようにこの鍛造装置は、下金型としてのダイス1と、上金型としてのパンチ2と、パンチ2を昇降駆動する昇降駆動機構3と、超音波振動を発振する振動子4と、振動子4を駆動する超音波発振器5とを基本的な構成要素として備えている。
ダイス1は、中央に円柱形の成形孔12を有する円筒形状ないしドーナッツ形状のダイス本体11と、ダイス本体11の成形孔12内における下端部に配置される成形ピン15とを備えている。そして成形孔12の内周面によって鍛造成形品W2の外周面が成形されるとともに、成形ピン15の上端面によって鍛造成形品W2の下面が成形されるようになっている。
なお、この成形ピン15は、上下方向に移動可能に構成して鍛造加工後に鍛造成形品を成形孔12から突き出すためのノックアウトピンを兼用させるようにしても良い。また、成形ピン15にノックアウトピンを兼用させずに別途、ノックアウト機構を設けるようにしても良い。
パンチ2は、成形孔12に対し軸心が一致しており、昇降駆動機構3の駆動によって昇降できるようになっている。そして図2Aに示すようにダイス本体11の成形孔内に鍛造素材W1を設置した状態で、パンチ2を降下させて成形孔12内に打ち込むことによって、鍛造素材W1に所定の成形荷重が加えられて、図2Fに示すように型内の形状に対応したカップ状の鍛造成形品W2が成形されるようになっている。
なお本実施形態においては、鍛造素材W1として円盤形状のものが用いられて、カップ状の鍛造成形品W2が成形されるようになっているが、言うまでもなく本発明においては、鍛造素材W1の形状は円盤形状に限定されるものではなく、多角柱形状、球体形状、多角面体形状等、どのような形状のものも用いても良い。さらに鍛造成形品W2もカップ状に限られず、どのような形状に成形するようにしても良い。
図1に示すように、振動子4はダイス本体11の外周面に取り付けられている。振動子4は超音波発振器5の出力値に応じた超音波振動を発振できるようになっており、振動子4から発振される超音波振動波は、ダイス本体11との接合面を介してダイス11に伝達されるようになっている。
なお本発明においては、振動子4とダイス本体11との間にホーンを介在させて、振動子4から発振される超音波振動をホーンを介してダイス本体11に伝達させるようにしても良い。
本実施形形態においては、振動子4および超音波発振器5によって振動付与手段が構成されている。またホーンが設けられる場合には、ホーン、振動子4および超音波発振器5によって振動付与手段が構成されることとなる。
また本実施形態において、鍛造素材W1の素材としては、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)製の連続鋳造材を所定長さに切断する等の方法によって製作されたものや、アルミニウムの粉末をビレット状に圧縮成形した後、熱間押出によって丸棒状に成形し、その押出材を所定長さに切断する等の方法によって製作されたもの、さらには引抜材からなるものや、圧延材からなるもの等も使用することができる。
本実施形態において超音波発振器5は振動子4を振動させる際に周波数の初期設定値としての基準周波数を自在に変更できるとともに、成形途中において基準周波数を適宜切り替えることができるようになっている。さらに本実施形態の超音波発振器5は後に詳述するように追尾機能を備えており、成形時に基準周波数をダイス本体11の共振周波数近辺に設定した状態で振動子4を駆動させると、振動子4の発振周波数は当初の基準周波数から共振周波数に収束して一致するようになっている。
<共振周波数の変動の説明>
本実施形態の鍛造装置においては以下に説明するように鍛造素材W1が塑性加工される課程においてダイス本体11の共振周波数が変動するようになっている。
すなわち図3は本実施形態の超音波鍛造においてダイス本体11の共振周波数と成形プロセス時間との関係を示すグラフであり、縦軸に共振周波数を示し、横軸にプロセス時間を示している。
同グラフにおいて、プロセス時間の時刻「0」は、鍛造素材W1がダイス1の成形孔12内に投入されたタイミングに相当する。この状態では図2Aに示すように、鍛造素材W1と成形孔内周面とは実質的に非接触の状態であり、両者間には一定のクリアランスが存在している。
図3の時刻「t0」は図2Bに示すように、降下するパンチ2によって鍛造素材W1が加圧されて、鍛造素材W1が成形孔内周面との接触を開始するタイミングに対応している。この時刻「t0」は、パンチ2によって鍛造素材Wの成形が開始されるタイミングに相当する。
鍛造加工においては、この時刻「t0」以降に成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触点が発現し、これ以降成形が進むに従って、接触点は確率現象的に発生して増加していく。
図3の時刻「t1」は図2Cに示すように、パンチ2によって鍛造素材W1が外側(外径方向)に十分に塑性変形し、鍛造素材W1が成形孔内周面に対し十分な接触を開始するタイミングに相当している。よって時刻「t0」から時刻「t1」直前までの間は、鍛造素材Wが成形孔内周面に十分に接触していない状態、つまり不十分な接触状態が維持され、時刻「t1」で十分な接触状態に移行する。ここで時刻「t0」ではダイス本体11の共振周波数は「fr0」であるのに対し、時刻「t1」では共振周波数は瞬時に上昇して「fr1」となり、不連続(飛躍的)に変動している。
図3の時刻「t1」〜「t2」間においては成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触状態が十分な接触状態からほぼ完全に接触した状態(完全接触状態)に移行する。
その後の時刻「t2」は図2Dに示すように、パンチ2および成形孔12間の隙間(パンチ外周隙間)に鍛造素材Wの充填が開始されるタイミング、つまり後方押し出しが開始されるタイミングに相当する。ここで時刻「t1」から時刻「t2」において共振周波数は「fr1」から「fr2」に緩やかに上昇して連続的に変動している。
図3の時刻「t3」は図2Eに示すように、後方押し出しによってパンチ外周隙間に鍛造素材Wが充填されていく途中の状態であり、鍛造素材W1がパンチ外周側面に十分な接触を開始するタイミングに相当している。よって時刻「t2」から時刻「t3」直前までの間は鍛造素材W1が成形孔内周面(ダイス内周側面)に完全に接触した完全接触状態が維持されつつ、それに加えて時刻「t3」で鍛造素材W1がパンチ外周側面に十分に接触した状態となる。ここで時刻「t2」ではダイス本体11の共振周波数は「fr2」であるのに対し、時刻「t3」では共振周波数は瞬時に上昇して「fr3」となり、飛躍的(不連続的)に変動している。
図3の時刻「t4」は図2Fに示すように、パンチ外周隙間に鍛造素材Wが完全に充填されて成形が完了したタイミングに相当している。よって時刻「t3」から時刻「t4」直前までの間は、鍛造素材W1がパンチ外周側面に十分に接触した状態が維持される。ここで時刻「t3」から時刻「t4」において共振周波数は「fr3」から「fr4」に緩やかに上昇して連続的に変動している。
本実施形態において、鍛造素材W1の成形孔内周面に対する接触状態において、不十分な接触状態とは、成形孔内周面に対する鍛造素材Wの接触点が、周方向の一部に偏って配置されている状態をいう。十分な接触状態とは、成形孔内周面に対する鍛造素材Wの接触点が、周方向の長い範囲にわたって分散して配置している状態をいう。完全な接触状態とは、鍛造素材Wが、成形孔内周面の周方向の全域にわたって接触している状態をいう。
また鍛造素材W1のパンチ外周側面に対する接触状態において、不十分な接触状態とは、鍛造素材W1がパンチ外周隙間に十分に充填されていない状態をいう。十分な接触状態とは鍛造素材W1がパンチ外周隙間に十分に充填されている状態をいう。
なお成形孔内周面およびパンチ外周側面に対し不十分な接触状態および十分な接触状態については後に説明する。
<追尾範囲の説明>
図4(a)は本実施形態の鍛造装置において時刻「t0」におけるインピーダンス曲線を示すグラフであり、縦軸に振動子負荷と比例するインピーダンスを示し、横軸に周波数を示す。
同グラフに示すように鍛造素材W1が成形孔内周面に十分に接触していない時刻「t0」の状態では、「fr0」がダイス本体11の共振周波数となり、ダイス本体11が径方向に振動する際の周波数であると同時に、振動子4のインピーダンスの最小値となる。これは例えば振動子4による振動の振幅を一定になるように制御しつつ振動子4の発振周波数を変化させていき、その発振周波数が共振周波数に等しくなった時点で振動子4に求められる加振力(振動子負荷)が最小となるということであり、この状態が最も効率良く振動している状態と言える。また共振周波数「fr0」の周辺には副共振周波数「fa0」「fb0」が存在しこれらは共振周波数「fr0」と同様、インピーダンス曲線の谷底部となる。しかしながら副共振周波数「fa0」「fb0」での振動形態は、共振振動数「fr0」での振動形態とは異なり、例えばねじれ振動や曲げ振動が加わっており、成形孔内周面での振幅も不均一である。さらに副共振周波数「fa0」「fb0」では、共振振動数「fr0」の場合と比べてインピーダンスも高く、振動子4の負荷が大きくなり、効率良く振動させることが困難である。
一方、超音波発振器5に一般的に用いられる追尾方法としてPLL(phase locked loop)方式がある。この方式では超音波発振器5による振動子4の駆動周波数(発振周波数)をインピーダンス曲線の谷底部に収束させることにより、超音波発振器5の発振周波数を共振周波数frに一致させるように追尾させるものである。例えば図5に示すように超音波発振器5の発振周波数が共振周波数frの追尾範囲flの範囲内にあれば共振周波数frに収束し、追尾範囲flの範囲内になければ、副共振周波数fa、fb等の他の周波数域に収束してしまう。従って追尾範囲とは、超音波発振器5の発振周波数が共振周波数に収束することができる範囲であり、共振周波数「fr0」を含む特定の範囲である。
通常のPLL方式を用いた超音波鍛造では、図4(a)の○印に示すように超音波発振器5の初期の発振周波数としての基準周波数が追尾範囲内の「fs0」に設定されており、この周波数「fs0」で振動子4の駆動を開始することによって発振周波数を共振周波数「fr0」に収束させて、ダイス本体11を共振状態で振動させるようになっている。
なおPLL方式ではインピーダンスを直接測定するのではなく、上記特許文献2等に開示されるように振動子の電流と電圧の位相差をゼロに収束させるこで、発振周波数をインピーダンス曲線の谷底部に収束させるのが一般的である。
上記図3Aで説明した通り共振周波数「fr」は鍛造加工中に変動するものであるが、その変動に伴って追尾範囲「fl」も変動する。例えば図3Bに示すように共振周波数「fr」を含む所定の周波数範囲が追尾範囲「fl」となり、共振周波数「fr」の連続的な上昇に追従するように追尾範囲「fl」も連続的に上昇していく。
ここで図3Aおよび図3Bに示すすように共振周波数「fr」は時刻「t0」から時刻「t1」に移行する際に不連続に瞬間的に増大し、それに伴い追尾範囲「fl」も不連続に瞬間的に変位する。例えば時刻「t0」ではインピーダンス曲線は図4(a)に示す状態であったのに対し、時刻「t1」ではインピーダンス曲線が瞬間的に図4(b)に示す状態となる。このため仮に時刻「t1」の直前に超音波発振器5の発振周波数が共振周波数「fr0」に一致していたとしても、時刻「t1」になった時点で共振周波数が瞬間的に「fr1」に変動し、それに伴い追尾範囲も瞬間的に変位する。その結果、図4(b)の○印に示すように超音波発振器5の発振周波数が変位後の追尾範囲から脱外してしまい、振動子4の発振周波数が変動後の共振周波数「fr1」に収束せず、例えば変動後の副共振周波数「fa1」に収束してしまう。このため共振状態でダイス本体11を振動させることができず、所望の効果を得ることができなくなってしまう。
そこで本実施形態においては、共振周波数が不連続に変動する際、具体的には時刻「t0」から時刻「t1」に達した際に、図4(b)の●印に示すように基準周波数を変位後の共振周波数「fr1」の追尾範囲内である「fs1」に切り替えるようにしている。これにより超音波発振器5の発振周波数が共振周波数「fr1」に収束し、ダイス本体11を共振状態で効率良く振動させることができ、所望の効果を得ることができる。
同様に時刻「t2」から時刻「t3」に達して、共振周波数が不連続に変動する際に、図3Aおよび図3Bに示すように基準周波数を変動後の共振周波数「fr3」の追尾範囲「fl」内である「fs3」に切り替えるようにしている。これにより振動子4の発振周波数が共振周波数「fr3」に収束し、ダイス本体11を共振状態で効率良く振動させることができ、所望の効果を得ることができる。
なお超音波鍛造においては通常、超音波発振器5に過大な電圧が流れないようにオーバーロード設定値が設定されており、そのオーバーロード設定値によっても実質的な追尾範囲は変化する。すなわち超音波発振器5に所定以上の電圧が加わると超音波発振器5が停止して振動が停止しオーバーロードエラーが発生する。その際、振幅を一定に制御するために電流を一定にした場合、インピーダンスが高いほど電圧が上昇するため、インピーダンスが一定の値を超えるとオーバーロードエラーとなり振動が停止してしまう。例えば図6に示すように共振周波数「fr0」の近傍以外でオーバーロード設定値「Ls」を超える場合は、追尾範囲「fl」が実質的にオーバーロード設定値「Ls」以下の狭い範囲に限定され、この狭い範囲に基準周波数「fs0」を設定する必要がある。
またこのようにオーバーロード設定値「Ls」によって共振周波数の近傍以外でオーバーロードエラーが発生するような場合においては、共振周波数が不連続に変化する時刻「t0」〜「t1」の後に基準周波数を「fs1」に切り替える際に、オーバーロードエラーの発生を防止するために、時刻「t0」に達する直前に振動を停止させてから時刻「t1」に達した後に、基準周波数を共振周波数「fr1」に近似した「fs1」に切り替えてから、振動を再開させるのが好ましい。
同様に時刻「t2」〜「t3」の時点で基準周波数を「fs3」に切り替える際にも、オーバーロードエラーの発生を防止するために、時刻「t2」に達する直前に振動を停止させてから時刻「t3」に達した後に、基準周波数を共振周波数「fr3」に近似した「fs3」に切り替えてから、振動を再開させるのが好ましい。
<成形孔内周面に対する鍛造素材の接触状態の説明>
次に本実施形態において、成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触状態について具体例を挙げて詳細に説明する。
図7はダイスにおける成形孔内周面(内周側面)に対する鍛造素材W1の接触状態を説明するための平面図である。これらの図に示すように、平面視状態または水平断面視の状態において、ダイス1の成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触点を「A」としたとき、接触点Aが2つ以上の場合(複数の場合)には、隣り合う2つの接触点Aのうち、一方の接触点Aと成形孔12の中心Oとを結ぶ線分AOと、他方の接触点Aと成形孔12の中心Oとを結ぶ線分AOとがなす角度(隣り合う接触点間の中心角)を「θ」としたとき、隣り合う接触点間の中心角θのうち最大値θmaxが180°超の場合(θmax>180°の場合)には、不十分な接触状態となる。また最大値θmaxが180°以下の場合(θmax≦180°の場合)には、十分な接触状態となる。
例えば図4(a)(b)の例では、θmaxが180°超であるため、不十分な接触状態となる。また同図(c)の例では、θmaxが180°以下であるため、十分な接触状態となる。
さらに平面視(水平断面視)の状態で鍛造素材W1が成形孔内周面に対し線接触する場合であっても、中心角最大値θmaxを基に、接触状態を区分けすることができる。例えば同図(d)の例では、θmaxが180°超であるため、不十分な接触状態となる。また同図(e)の例では、θmaxが180°以下であるため、十分な接触状態となる。
参考までに接触点Aが2つで中心角が180°の場合は、十分な接触状態となる。さらに接触点Aが1つの場合には、不十分な接触状態となる。
なお本実施形態では、成形孔12の中心は、成形孔輪郭線(内周面)に当てはめた最小二乗円である。この最小二乗円とは最小二乗法によって求められる。
ここで、本実施形態において、隣り合う2つの接触点間における成形孔内周面に沿った距離(周方向長さ)を、隣り合う接点間の距離としたとき、隣り合う接触点間の距離の最大値が、成形孔全周長さの半分超の場合とは、複数の接触点Aが、成形孔内周面のうち半分未満の範囲に偏って配置される状態となる。この状態は、θmaxが180°超の状態(θmax>180°の状態)に相当し、不十分な接触状態である。また隣り合う接触点間の距離の最大値が、成形孔全周長さの半分以下の場合とは、複数の接触点Aが成形孔内周面のうち半分以上の範囲にまたがって配置される状態となる。この状態は、θmaxが180°以下の状態(θmax≦180°の状態)に相当し、十分な接触状態である。
一方、本実施形態では、ダイス本体11の成形孔12の断面形状(平面形状)が円形に形成されているが、それだけに限られず、本発明においては、成形孔12の断面形状が、多角形状、楕円形状、長円形状、異形形状等の非円形に形成されていても良い。この場合、隣り合う接触点間の中心角θを基準にして、不十分な接触状態と十分な接触状態とを区別しても良いし、隣り合う接触点間の距離(周方向長さ)を基準にして、不十分な接触状態と十分な接触状態とを区別するようにしても良い。
また、本実施形態においては、成形孔内周面に対し鍛造素材W1の接触が開始した時点(成形開始時点)から、十分な接触状態に至るまでを、不十分な接触状態と定義しているが、それだけに限られず、本発明においては、鍛造素材W1を成形孔12に投入して成形が開始される時点までの状態(非接触状態)を、不十分な接触状態に含めるようにしても良い。つまり成形孔内周面に対し鍛造素材W1の接触点がない場合(0の場合)を、不十分な接触状態としても良い。
<振動形態の変化による共振周波数の変動の説明>
本実施形態においては、鍛造素材W1の成形孔内周面に対する接触状態が不十分な状態から十分な状態に移行した際に、共振周波数が不連続に変動するものであるが、詳細に分析すると、十分な接触状態に移行する直前に振動形態が瞬時に変化し、この変化時に共振周波数が不連続に変動している。
すなわち図8A〜図8Cに示すように本実施形態の鍛造加工中における鍛造素材W1の面圧Pと超音波振動による振動応力Vとの関係が逆転するタイミングで振動形態が瞬時に変化し、それに応じて共振周波数も瞬時に変動する。
振動応力Vとは、振動子4から付与された振動によって振動するダイス本体11における成形孔内周面での振動応力である。この振動応力Vは、ダイス本体11が振動により伸縮している際に発生する応力であり、成形孔内周面と鍛造素材W1との界面において径方向に発生する振動応力に相当する。この振動応力Vは、振動子4の振動に基づくものであるため、プロセス時間tにかかわらず、基本的には一定に保たれる。
このような状況下にあって鍛造素材W1の面圧Pが振動応力Vを下回っている場合、図8Aに示すようにダイス本体11が振動により収縮している瞬間は成形孔内周面と鍛造素材W1とが接触し、図8Bに示すようにダイス本体11が振動により拡大している瞬間は乖離している。つまり面圧Pが振動応力Vを下回っている場合、接触と乖離とが繰り返し行われることになる。このように接触と乖離とが行われている場合は、ダイス本体11の振動状態は、鍛造素材W1からの振動による影響を受けることはない。
一方、鍛造素材W1の面圧Pが振動応力Vを上回っている場合、図8Aに示すようにダイス本体11が収縮している瞬間であっても、図8Cに示すように拡大している瞬間であっても、成形孔内周面と鍛造素材W1との密着状態が常に維持される。つまり成形孔内周面と鍛造素材W1とが接触している部分では成形孔内周面から鍛造素材W1が乖離することがなく、ある意味一体化している。このため、その接触している部分においては、ダイス本体11の振動は鍛造素材W1に伝達されるとともに、鍛造素材W1の振動はダイス本体11に伝達されることとなる。この状態においては振動系の剛性は高くなり、周波数は急激に高くなる。なお面圧Pが振動応力Vを上回った時点では、周波数は瞬時に変動するものの、十分な接触状態に移行していない場合(接触部位が偏っている場合)には、振動形態が不安定となっている。振動形態が不安定な状態でダイス本体11に振動子4から超音波振動が付与されていると、超音波発振器5にオーバーロードエラーが発生してしまう。従って本実施形態においては、成形孔内周面に対する接触状態が不十分な場合には、超音波振動の付与を停止しておき、十分な接触状態に移行した後に超音波振動の付与を開始するのが好ましい。
<パンチ外周側面に対する鍛造素材の接触状態の説明>
また本実施形態の成形プロセスにおいて、鍛造素材W1は図2A〜図2Cに示すように径方向に拡がった後、図2D〜図2Fに示すようにパンチ外周隙間に充填されるように後方押し出しされる。この後方押し出しが開始される時点(図2Dに相当)におけるパンチ外周側面に発生する最大の面圧が振動応力以下の場合をパンチ外周側面に対する鍛造素材の接触状態が不十分な接触状態とし、パンチ外周側面に発生する最大の面圧が振動応力を超える場合(図2E等に相当)を十分な接触状態としている。
<構成および効果>
以上説明したように超音波鍛造においては、成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行する直前(t0)から移行した時点(t1)かけて振動形態が変動することにより、ダイス本体11の共振周波数が不連続に急変して、その急変に伴い追尾範囲も瞬間的に変位するため、超音波発振器5の発振周波数が変位後の追尾範囲から逸脱してしまい、発振周波数が変動後の共振周波数に収束されないことがある。その結果、ダイス本体11を共振状態で振動させることができず、振動付与による効果を十分に得ることが困難になるおそれがある。
そこで本実施形態においては、共振周波数が変動して追尾範囲が変位した際に基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるようにしているため、具体的には不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した直後に基準周波数を移行後の共振周波数に対応した追尾範囲内に切り替えるようにしているため、発振周波数が変動後の共振周波数に確実に収束する。従ってダイス本体11を共振状態で十分な振幅で振動させることができ、振動付与による効果例えば、成形荷重の低減および形状転写性の向上を図ることができる。
さらに本実施形態においては、パンチ外周側面に対する鍛造素材W1の接触状態が変化する際(t2〜t3)に共振周波数が不連続に変動して追尾範囲も瞬間的に変位するが、その際にも、発振周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるようにしているため、上記と同様、発振周波数を変動後の共振周波数に収束させることができ、ダイス本体11を共振状態で効率良く振動させることができる。具体的には、具体的にはパンチ外周側面に対する鍛造素材W1の不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した直後に基準周波数を移行後の共振周波数に対応した追尾範囲内に切り替えるようにしているため、発振周波数を変動後の共振周波数に確実に収束させることができる。
なお本実施形態において、基準周波数としての「fr1」「fr3」は実験データや過去の鍛造加工時のデータ等を基に求められる数値である。
また本実施形態においては、共振周波数が不連続に変動して追尾範囲が不連続に変位する直前に振動を一旦停止し、追尾範囲が変位した後その変位後の追尾範囲内に基準周波数を切り替えて振動を再開するようにしている。このため振動を連続して付与する場合の不具合、例えば基準周波数を切り替える前に振動形態が不安定となって発振周波数がオーバーロード設定値を超える域に配置されて、オーバーロードエラーが発生する等の不具合を有効に防止することができる。
(2)第2実施形態
超音波鍛造における鍛造成形プロセスにおいては既述した通り、時間の経過に伴って成形孔内周面に対する鍛造素材W1の接触状態が変化するため、プロセス経過時間に基づいて、成形孔内周面に対し鍛造素材W1が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミング、つまり不連続に共振周波数が変動するタイミングを予測することができる。加えて時間の経過に伴ってパンチ外周側面に対する鍛造素材W1の接触状態が変化するため、プロセス経過時間に基づいてパンチ外周側面に対し鍛造素材W1が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミング、つまり不連続に共振周波数が変動するタイミングを予測することができる。
この第2実施形態では、その予測したタイミングで超音波発振器5の基準周波数(発振周波数)を、変動後の共振周波数に対応した追尾範囲内に切り替えることによって、ダイス本体11を共振状態で効率良く振動させるようにしている。
図9はこの発明の第2実施形態である鍛造方法を実行可能な鍛造装置(鍛造用金型)を示すブロック図である。同図に示すようにこの鍛造装置は、昇降制御装置6と、基準周波数切替装置7とを備え、基準周波数切替装置7には、後述の方法等で求められた基準周波数と周波数切替時刻とが予め設定されている。そして昇降制御装置6は、昇降駆動機構3からの情報を基に、パンチ2が降下して鍛造素材Wを加圧して成形が開始される時刻を検知する。例えば機械式の昇降駆動機構(プレス)3であれば、プレスのクランクシャフトの回転角度を検出するセンサーからの出力情報を基に、昇降制御装置6は、パンチ2が成形開始高さに到達した時点を成形開始時刻として検知し、またはパンチ2のスライド位置を検出するセンサーからの出力情報を基に、昇降制御装置6は、パンチ2が成形開始高さに到達した時点を成形開始時刻(図3Aの時刻「t0」に相当)として検知する。こうして成形開始時刻「t0」を検知した昇降制御装置6は、その成形開始時刻に関する信号を基準周波数切替装置7に出力する。その信号を受信した基準周波数切替装置7は、内蔵されたタイマー71を基に、成形開始時刻「t0」からの時間(プロセス経過時間)を計測する一方、超音波発振器5に振動開始信号を送信する。振動開始信号を受信した超音波発振器5は初期の基準周波数(図3Bの「fs0」に相当)を発振周波数として振動子4を駆動させてダイス本体11の振動を開始する。続いて基準周波数切替装置7は、計測時間が第1の周波数切替時刻(図3Aの時刻t1に相当)に到達した直後に、第1の基準周波数切替信号を超音波発振器5に送信する。この第1の基準周波数切替信号を受信した超音波発振器5は発振周波数を第1の基準周波数(図3Bの「fs1」に相当)に切り替えて振動子4を駆動させてダイス本体11を振動させる。続いて基準周波数切替装置7は、計測時間が第2の周波数切替時刻(図3Aの時刻「t3」に相当)に到達した直後に、第2の基準周波数切替信号を超音波発振器5に送信する。この第2の基準周波数切替信号を受信した超音波発振器5は発振周波数を第2の基準周波数(図3Bの「fs3」に相当)に切り替えて振動子4を駆動させてダイス本体11を振動させるようになっている。
一方、鍛造成形が完了すると超音波振動の付与は停止する。すなわち、昇降制御装置6は、昇降駆動機構3からの情報を基に、成形が完了するタイミング(図3Aの時刻「t4」に相当)を検知する。例えばプレスのクランクシャフトの回転角度を検出するセンサーからの出力情報や、プレスのスライド位置を検出するセンサーからの出力情報を基に、昇降制御装置6は、プレスのストローク下死点に到達した時点を成形完了時刻として検知する。こうして成形完了時刻を検知した昇降制御装置6は、その成形完了に関する信号を超音波発振器5に送信する。成形完了信号を受信した超音波発振器5は、振動子4への出力を停止し、これにより振動子4によるダイス本体11の超音波振動が停止する。
このような鍛造成形が繰り返し行われて、鍛造成形品が順次生産されるものである。
本実施形形態においては、昇降制御装置6および基準周波数切替装置7は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成されている。そして本実施形態において、基準周波数切替装置7は基準周波数切替手段として機能するものである。
なおこの第2実施形態の鍛造装置において、オーバーロードエラーの発生をより確実に防止するために、既述したように第1の基準周波数に切り替える直前や、第2の基準周波数に切り替える直前に振動を一旦停止するようにしても良い。
<基準周波数切替時刻の求め方>
次に基準周波数切替時刻を求める方法を具体的に説明する。
図10Aは成形孔内周面に対する鍛造素材の接触状態とプロセス経過時間との関係を示すグラフ、図10Bは接触点間の中心角最大値θmaxとプロセス経過時間との関係を示すグラフ、図10Cは共振周波数とプロセス経過時間との関係を示すグラフである。
これらのグラフにおいて、上記図3のグラフと同様、「t0」はパンチ2が降下して成形が開始されるタイミングを示す時刻であり、「t1」は、成形孔内周面に対し鍛造素材W1が不十分な接触状態(θmax>180°)から十分な接触状態(θmax≦180°)に移行するタイミングを示す時刻であり、時刻「t1.5」は、十分な接触状態から完全な接触状態(θmax=0°)に移行するタイミングを示す時刻である。これらのグラフからも理解できるように、「t1」に到達する直前に共振周波数が不連続に変動して追尾範囲も瞬時に変位するため、「t1」に達していない時点(同グラフ中の×印で示す範囲)の周波数のままで「t1」に到達すると、超音波発振器5の発振周波数が変位後の追尾範囲から逸脱してしまい、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまう。これに対し「t1」以降の時点(同グラフの○印で示す範囲)で、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えることにより、発振周波数を共振周波数に収束させることができ、共振状態で振動させることができる。
これらの事情を踏まえると、上記図9に示す鍛造装置において「t1」に相当する時刻を基準周波数切替時刻「tc1」として設定すれば良いことが判る。
まず本実施形態では、上記図9の鍛造装置において、基準周波数切替時刻「tc1」として、成形開始時点に相当する「t0」に仮設定して、鍛造成形を行う。
この鍛造成形では基準周波数を切り替えるタイミングが早過ぎて、発振周波数が追尾範囲から逸脱してしまうため、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまう。その結果、振動状態が乱れてオーバーロードエラーが発生するため、それを確認することとなる。次に基準周波数切替時刻「tc1」を、上記仮設定した時刻「t0」から少し遅らせた時刻に設定し、同様に鍛造成形を行ってオーバーロードエラーが発生することを確認する。このような作業を繰り返し行って、仮設定する基準周波数切替時刻「tc1」を徐々に遅い時刻に順次設定していき、振動状態が乱れずにオーバーロードエラーが発生しない時刻のうち最も早い時刻を実験的に見出す。そしてその時刻を、正規の基準周波数切替時刻「tc1」とし、その時刻「tc1」を上記図9に示す鍛造装置に設定する。
一方上記と同様にして、ダイス外周側面に対し鍛造素材W1の接触状態が不十分な状態から十分な状態に移行するタイミングを基に、図3Aの「t3」に相当する基準周波数切替時刻「tc3」を決定することができる。すなわち図3Aの時刻「t1」「t2」間の適当な時刻を2番目の基準周波数切替時刻「tc3」として仮設定し、鍛造成形を行う。
この鍛造成形では基準周波数を切り替えるタイミングが早過ぎて、発振周波数が追尾範囲から大きく逸脱してしまうため、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまい、オーバーロードエラーが発生する。次に2番目の基準周波数切替時刻「tc3」を、上記仮設定した時刻から少し遅らせた時刻に設定し、同様に鍛造成形を行ってオーバーロードエラーが発生することを確認する。このような作業を繰り返し行って、仮設定する基準周波数切替時刻「tc3」を徐々に遅い時刻に順次設定していき、振動状態が乱れずにオーバーロードエラーが発生しない時刻のうち最も早い時刻を実験的に見出す。そしてその時刻を、正規の2番目の基準周波数切替時刻「tc3」とし、その時刻「tc3」を上記図9に示す鍛造装置に設定する。
こうして基第1および第2の準周波数切替時刻「tc1」「tc3」が設定された鍛造装置によって、既述した通り鍛造成形を行うことによって、共振状態で確実に振動させることができ、超音波振動による効果、例えば成形荷重の低減および形状転写性の向上を確実に図ることができる。
なお本実施形形態においては、基準周波数切替時刻「tc1」「tc3」として、オーバーロードエラーが発生しない最も早期の時刻を設定しているが、それだけに限られず、本発明においては、オーバーロードエラーが発生しない時刻であれば、どのような時刻でも、正規の基準周波数切替時刻「tc1」「tc3」として設定することができる。
この第2実施形態の鍛造方法によれば、経過時間を基に、基準周波数を切り替えるタイミングを決定するものであるため、簡単に実施することができる。
なおプロセス経過時間から十分な接触状態に移行するタイミング(基準周波数を切り替えるタイミング)を予測する場合、予測値は確率的な現象となり揺らぎを持っている。加えて鍛造素材W1の成形速度は様々な要因で変動するものである。従って十分な接触状態に移行するタイミングの予測値は、余裕を持って設定するのが好ましい。例えばある程度の幅(範囲)を持った予測値を求め、周囲環境や成形条件等を考慮して、その範囲内で適当な時刻を、基準周波数切替時刻「tc1」「tc3」として設定するようにすれば良い。
(3)第3実施形態
本発明者の実験によると、鍛造成形時のパンチの荷重変化と、鍛造素材の接触状態との間には関連性があることが判明している。そこでこの第3実施形態においては、成形孔内周面およびパンチ外周側面に対し鍛造素材W1が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するパンチ荷重、つまり不連続に共振周波数が変動するパンチ荷重を求め、そのパンチ荷重(基準周波数切替荷重値)を基に超音波発振器5の基準周波数(発振周波数)を、変動後の共振周波数に対応した追尾範囲内に切り替えることによって、ダイス本体11を共振状態で効率良く振動させるようにしている。
図11はこの発明の第3実施形態である鍛造方法を実行可能な鍛造装置(鍛造用金型)を示すブロック図である。同図に示すようにこの鍛造装置は、パンチ2の鍛造素材W1に対する荷重を検出する荷重検知器81と、その荷重検出器81からパンチ荷重に関する信号を取得する基準周波数切替装置8とを備えている。基準周波数切替装置8には、後述の方法等で求められた基準周波数切替荷重値が予め設定されている。そして基準周波数切替装置8は、荷重検出器81からの情報を基にパンチ2が降下した際に、鍛造素材Wに対するパンチ2の荷重(パンチ荷重)を検出し、そのパンチ荷重が上記基準周波数切替荷重値に到達したタイミングで、基準周波数切替信号を超音波発振器5に送信する。基準周波数切替信号を受信した超音波発振器5は、振動子駆動用の電力を調整して振動子4の発振周波数を切り替えて、ダイス本体11に付与される振動の周波数が切り替えられるようになっている。こうして基準周波数が切り替えらるように鍛造成形が行われる。
一方、鍛造成形が完了すると超音波振動の付与は停止する。すなわち、昇降制御装置6は、昇降駆動機構3からの情報を基に、成形が完了したタイミングを検出し、その成形完了に関する信号を超音波発振器5に送信する。成形完了信号を受信した超音波発振器5は、振動子4への出力を停止し、これにより振動子4によるダイス本体11の超音波振動が停止する。
このような鍛造成形が繰り返し行われて、鍛造成形品が順次生産されるものである。
本実施形態においては、基準周波数切替装置8は、マイクロコンピュータ等によって構成されており、基準周波数切替手段として機能する。さらに荷重検出器81が荷重検出手段として機能するものである。
なおこの第3実施形態の鍛造装置においても上記と同様、基準周波数を切り替える直前に振動を一旦停止するようにしても良い。
<基準周波数切替荷重値の求め方>
次に基準周波数切替荷重値を求める方法を具体的に説明する。
図12Aは鍛造素材の接触状態とパンチ荷重との関係を示すグラフ、図12Bは接触点中心角最大値θmaxとパンチ荷重との関係を示すグラフ、図12Cは共振周波数とパンチ荷重との関係を示すグラフである。
これらのグラフにおいて、「L0」はパンチ2が降下して成形が開始されるタイミングでの荷重値であり、「L1」は、成形孔内周面に対し鍛造素材W1が不十分な接触状態(θmax>180°)から十分な接触状態(θmax≦180°)に移行するタイミングでの荷重値であり、「L1.5」は、成形孔内周面に対し鍛造素材W1が十分な接触状態から完全な接触状態(θmax=0°)に移行するタイミングでの荷重値である。これらのグラフからも理解できるように、「L1」に到達した直後に共振周波数が不連続に変動して追尾範囲も瞬時に変位するため、「L1」に達していない時点(同グラフ中の×印で示す範囲)の周波数のままで「L1」に到達すると、超音波発振器5の発振周波数が変位後の追尾範囲から逸脱してしまい、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまう。これに対し「L1」以降の時点(同グラフの○印で示す範囲)で、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えることにより、発振周波数を共振周波数に収束させることができ、共振状態で振動させることができる。
これらの事項を踏まえると、上記図8に示す鍛造装置における基準周波数切替荷重値「Lc1」を「L1」に設定すれば良いことが判る。
まず本実施形態では、上記図11の鍛造装置において、基準周波数切替荷重値「Lc1」として無荷重(0kN)に仮設定して鍛造成形を行う。この鍛造成形では基準周波数を切り替えるタイミングが早過ぎて、発振周波数が追尾範囲から逸脱してしまうため、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまう。その結果、振動状態が乱れてオーバーロードエラーが発生するため、それを確認することとなる。次に仮設定の基準周波数切替荷重値「Lc1」を、0kNから少し高い値に設定し、同様に鍛造成形を行ってオーバーロードエラーが発生することを確認する。このような作業を繰り返し行って、仮設定の基準周波数切替荷重値「Lc1」を徐々に上昇させた値に設定していき、振動状態が乱れずにオーバーロードエラーが発生しない荷重のうち最も小さい荷重を実験的に見出す。そしてその荷重値を、正規の基準周波数切替荷重値「Lc1」とし、その荷重値「Lc1」を上記図8に示す鍛造装置に設定する。
一方上記と同様にして、パンチ外周側面に対し鍛造素材W1の接触状態が不十分な状態から十分な状態に移行するタイミングを基に、図3Aの「t3」に相当する基準周波数切替時刻「Lc3」を決定することができる。すなわち図3Aの時刻「t1」「t2」間に対応する荷重値を2番目の基準周波数切替荷重値「Lc3」として仮設定し、鍛造成形を行う。
この鍛造成形では基準周波数を切り替えるタイミングが早過ぎて、発振周波数が追尾範囲から大きく逸脱してしまうため、発振周波数を共振周波数に収束させることができなくなってしまい、オーバーロードエラーが発生する。次に2番目の基準周波数切替荷重値「Lc3」を、上記仮設定した荷重値から大きい荷重に設定し、同様に鍛造成形を行ってオーバーロードエラーが発生することを確認する。このような作業を繰り返し行って、仮設定する基準周波数切替荷重値「Lc3」を徐々に大きい荷重に順次設定していき、振動状態が乱れずにオーバーロードエラーが発生しない荷重のうち最も小さい荷重を実験的に見出す。そしてその荷重値を、正規の2番目の基準周波数切替荷重値「Lc3」とし、その荷重値「Lc3」を上記図11に示す鍛造装置に設定する。
こうして1番目および2番目の基準周波数切替荷重値「Lc1」「Lc3」が設定された鍛造装置によって、既述した通り鍛造成形を行うことによって、共振状態で確実に振動させることができ、超音波振動による効果、例えば成形荷重の低減および形状転写性の向上を確実に図ることができる。
なお本実施形形態においては、基準荷重値「Lc1」「Lc3」として、オーバーロードエラーが発生しない最も小さい荷重を設定しているが、それだけに限られず、本発明においては、オーバーロードエラーが発生しない荷重であれば、どのような荷重でも、基準荷重値「Lc1」「Lc3」として設定することができる。
この第3実施形態の鍛造方法においては、パンチ荷重から十分な接触状態に移行するタイミング(基準周波数を切り替えるタイミング)を予測しているため、鍛造素材W1の成形速度の変動による影響を受けることがない。このためこの第3実施形態の鍛造方法は、プロセス経過時間から予測する第2実施形態の鍛造方法と比較して、高い精度で基準周波数を切り替えるタイミングを予測することができ、オーバーロードエラーの発生をより確実に防止しつつ、成形荷重の低減および形状転写性の向上をより確実に図ることができる。
なお超音波鍛造においては、周波数の切り替えを可能な限り早い段階で行うのが好ましい。このため十分な接触状態に移行するタイミングを的確に把握できるこの第3実施形態の鍛造方法においては、可及的に早い段階で基準周波数を正確に切り替えることができ、この点からも、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
この発明の鍛造方法は、超音波振動を用いて型鍛造を行うようにした鍛造装置等に利用することができる。
1:ダイス
11:ダイス本体
12:成形孔
2:パンチ
4:振動子(振動付与手段)
5:超音波発振器(振動付与手段)
7,8:基準周波数切替装置(基準周波数切替手段)
81:荷重検出器(荷重検出手段)
fl:追尾範囲
fr、fr0〜fr4:共振周波数
fs0、fs1、fs3:基準周波数
Lc1:基準周波数切替荷重値
Lt1:基準周波数切替時刻
t0:成形開始時刻
W1:鍛造素材

Claims (8)

  1. ダイス本体の成形孔にセットした鍛造素材をパンチによって加圧して塑性加工する際に、振動付与手段によってダイス本体に超音波振動を付与する一方、鍛造素材が塑性加工される課程においてダイス本体の共振周波数が変動するとともに、その変動する共振周波数に対応して変位する追尾範囲内に、振動付与手段の発振周波数が含まれる場合には発振周波数が共振周波数に収束するようになっている鍛造方法であって、
    振動付与手段の発振周波数の初期設定値としての基準周波数を切替変更可能に構成しておき、
    鍛造素材が塑性加工される課程において共振周波数が不連続に変動することによって追尾範囲が振動付与手段による発振周波数を逸脱するように変位した際に、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるものとし、
    鍛造素材が塑性加工される課程において鍛造素材の成形孔内周面に対する接触状態を、成形開始時点から順に不十分な接触状態および十分な接触状態に区分けし、
    成形孔内周面に対する鍛造素材の接触点において、隣り合う2つの接触点のうち、一方の接触点と成形孔の中心とを結ぶ線分と、他方の接触点と成形孔の中心とを結ぶ線分とがなす角度を、隣り合う接触点間の中心角としたとき、隣り合う接触点間の中心角の最大値が180°超の場合には、不十分な接触状態とし、隣り合う接触点間の中心角の最大値が180°以下の場合には、十分な接触状態とし、
    成形孔内周面に対する接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した後、基準周波数を切り替えるようにしたことを特徴とする鍛造方法。
  2. ダイス本体の成形孔にセットした鍛造素材をパンチによって加圧して塑性加工する際に、振動付与手段によってダイス本体に超音波振動を付与する一方、鍛造素材が塑性加工される課程においてダイス本体の共振周波数が変動するとともに、その変動する共振周波数に対応して変位する追尾範囲内に、振動付与手段の発振周波数が含まれる場合には発振周波数が共振周波数に収束するようになっている鍛造方法であって、
    振動付与手段の発振周波数の初期設定値としての基準周波数を切替変更可能に成しておき、
    鍛造素材が塑性加工される課程において共振周波数が不連続に変動することによって追尾範囲が振動付与手段による発振周波数を逸脱するように変位した際に、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるものとし、
    鍛造素材が塑性加工される課程において鍛造素材の成形孔内周面に対する接触状態を、成形開始時点から順に不十分な接触状態および十分な接触状態に区分けし、
    成形孔内周面に対する鍛造素材の接触点において、隣り合う2つの接触点間における成形孔内周面に沿った距離を、隣り合う接点間の距離としたとき、隣り合う接触点間の距離の最大値が、成形孔全周長さの半分超の場合には、不十分な接触状態とし、隣り合う接触点間の距離の最大値が、成形孔全周長さの半分以下の場合には、十分な接触状態とし、
    成形孔内周面に対する接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した後、基準周波数を切り替えるようにしたことを特徴とする鍛造方法。
  3. ダイス本体の成形孔にセットした鍛造素材をパンチによって加圧して塑性加工する際に、振動付与手段によってダイス本体に超音波振動を付与する一方、鍛造素材が塑性加工される課程においてダイス本体の共振周波数が変動するとともに、その変動する共振周波数に対応して変位する追尾範囲内に、振動付与手段の発振周波数が含まれる場合には発振周波数が共振周波数に収束するようになっている鍛造方法であって、
    振動付与手段の発振周波数の初期設定値としての基準周波数を切替変更可能に成しておき、
    鍛造素材が塑性加工される課程において共振周波数が不連続に変動することによって追尾範囲が振動付与手段による発振周波数を逸脱するように変位した際に、基準周波数を変位後の追尾範囲内に切り替えるものとし、
    鍛造素材が塑性加工される課程において鍛造素材がパンチ外周側面と成形孔内周面との間のパンチ外周隙間に充填されるように後方押し出しされ、
    鍛造素材がパンチ外周隙間に充填される課程において鍛造素材のパンチ外周側面に対する接触状態を、充填開始時点から順に不十分な接触状態および十分な接触状態に区分けし、
    パンチ外周側面に対する接触状態が不十分な接触状態から十分な接触状態に移行した後、基準周波数を切り替えるようにしたことを特徴とする鍛造方法。
  4. パンチによる鍛造素材の加工が開始される時刻からの経過時間に基づいて、成形孔内周面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行する時刻を求め、その求めた時刻を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした請求項1または2に記載の鍛造方法。
  5. 成形孔内周面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミングにおける鍛造素材に対するパンチの荷重を求め、その求めた荷重を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした請求項1または2に記載の鍛造方法。
  6. パンチによる鍛造素材の加工が開始される時刻からの経過時間に基づいて、パンチ外周側面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行する時刻を求め、その求めた時刻を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした請求項3に記載の鍛造方法。
  7. パンチ外周側面に対して不十分な接触状態から十分な接触状態に移行するタイミングにおける鍛造素材に対するパンチの荷重を求め、その求めた荷重を基準にして基準周波数の切り替えるタイミングを決定するようにした請求項3に記載の鍛造方法。
  8. 基準周波数を切り替える直前に振動付与手段による振動の付与を停止して、基準周波数を切り替えた際に振動付与手段による振動の付与を再開するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の鍛造方法。
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