JP6586920B2 - 樹脂用プライマー塗装前処理剤組成物 - Google Patents
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Description
そこで、樹脂表面への塗料などの密着性向上や、樹脂表面の平滑化のために、樹脂表面に対してプライマー塗装することによって、樹脂表面と塗料や蒸着膜との間にプライマー膜を挟むことが行われている。
しかしながら、プライマー膜の形成においても、樹脂成形品には離型剤や充填剤などが配合されているため、これらが樹脂表面に存在するとプライマー膜が上手く乗らず「ハジキ」が生じ、その後の塗装、蒸着時に外観不良となってしまうことがある。
しかし、洗浄後のすすぎ前に洗浄剤組成物の凝集が生じることで、すすぎ後も洗浄剤組成物が樹脂表面に局在化して残存することもハジキの原因となることがある。特許文献1〜3で示される洗浄剤は、樹脂表面の洗浄は行えるが、すすぎ前に凝集してしまい、ハジキを生じさせてしまうことがある。
しかしながら、この組成物では樹脂洗浄時に泡立ってしまうため、操業性において問題となることがある。
しかしながら、量産製造ラインにおける1回水洗では、すすぎが不十分で、洗浄剤組成物の局在化が起こり、ハジキを生じさせてしまうことがある。
このように、プライマー塗装の前処理の洗浄時に樹脂に対して高い洗浄性を有し、すすぎ前の前処理剤組成物の凝集が抑制され、且つ低泡性である前処理剤組成物が求められている。
(式(2)中、R5は炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、aはオキシエチレン基の平均付加モル数でa=2〜9、bはオキシプロピレン基の平均付加モル数でb=2〜4、a/b=0.5〜3.0である。)
(式(3)中、R6は炭素数10〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、cはオキシエチレン基の平均付加モル数でc=1〜5である。)
本発明の樹脂用プライマー塗装前処理剤組成物(以下、単に「前処理剤組成物」ともいう。)は、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する。以下、各成分について説明する。
成分(A)は上記の式(1)で示される化合物であり、式(1)で示される化合物を用いることにより、樹脂表面に対して高い洗浄力を示すとともに、前処理剤組成物の保存安定性を向上させることができる。
式(1)中のR1は、炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、イソパルミチル基、イソステアリル基等が挙げられ、好ましくはラウリル基である。
R2〜R4は、それぞれ独立してメチル基またはエチル基であり、メチル基が好ましい。特に、R2〜R4の全てがメチル基であることが好ましい。
X−は、ハロゲンアニオン、メトサルフェート(CH3SO4 −)またはエトサルフェート(C2H5SO4 −)を表す。Xとしてはハロゲン原子が好ましく、中でも塩素原子が特に好ましい。
なお、成分(A)として、式(1)で示される化合物の1種または2種以上を用いることができる。
成分(B)は上記の式(2)で示される化合物であり、式(2)で示される化合物を用いることにより、濡れ性と低泡性を向上させることができる。
式(2)中のR5は、炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基であり、特に炭素数8〜9の分岐鎖アルキル基が好ましく、例えば、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等が挙げられる。R5の炭素数が小さすぎる場合や、大きすぎる場合、濡れ性に劣ることがある。
aはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、a=2〜9であり、特にa=2〜5が好ましい。aが小さすぎる場合、(B)成分の水に対する相溶性が低下するために樹脂表面に不溶分が凝集し、すすぎ後の残存を生じて洗浄性に劣ることがある。また、aが大きすぎる場合、(B)成分の親水性が強くなることにより、濡れ性や低泡性に劣ることがある。
bはオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、b=2〜4である。bが小さすぎる場合、低泡性に劣ることがある。また、bが大きすぎる場合、(B)成分は水に対する相溶性が低下するために樹脂表面に不溶分が凝集し、すすぎ後の残存を生じて洗浄性に劣ることがある。
なお、成分(B)として、式(2)で示される化合物の1種または2種以上を用いることができる。
成分(C)は上記の式(3)で示される化合物であり、式(3)で示される化合物を用いることにより、濡れ性を向上させることができる。
式(3)中のR6は、炭素数10〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基であり、特に分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基がさらに好ましい。例えば、イソデシル基、イソラウリル基、ガーベット型ラウリル基、イソミリスチル基、ガーベット型ミリスチル基等が挙げられ、ガーベット型のものが特に好ましい。R6の炭素数が小さすぎる場合、濡れ性に劣ることがあり、R6の炭素数が大きすぎる場合、(C)成分は水に対する相溶性が低下するために樹脂表面に不溶分が凝集し、すすぎ後の残存を生じて洗浄性に劣ることがある。
cはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、c=1〜5であり、特にc=1〜3が好ましい。cが大きすぎる場合、(C)成分の親水性が強くなることにより、濡れ性や低泡性に劣ることがある。
なお、成分(C)として、式(3)で示される化合物の1種または2種以上を用いることができる。
なお、水としては、例えば、上水や水道水、イオン交換水、精製水などを使用することができる。
本発明の前処理剤組成物がキレート剤を含有する場合におけるキレート剤の含有量は、1〜10質量%が好ましい。
表1、表2、表3に示す成分(A)〜(C)を表4、表5の割合で混合して、樹脂用プライマー塗装前処理剤組成物を得た。なお、水希釈品のpHについては、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が20質量%の水溶液で室温において測定し、いずれの組成物もpH=7であることを確認した。
実施例と比較例について、下記の各試験を行った。結果を表4、表5に示す。
成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.2質量%となるように水を加えた前処理剤組成物に関して、JIS R3257の手順に則り、不飽和ポリエステル樹脂の試験片に対して液滴を形成した直後の接触角を測定した。
(評価基準)
◎:15°未満=濡れ性あり(凝集しない)
○:15°以上25°未満=やや濡れ性あり(やや凝集しない)
×:25°以上=濡れ性なし(凝集する)
成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.4質量%となるように水を加えた前処理剤組成物に関して、JIS K3362の手順に則り、45℃における5分後の液面からの泡高さを測定した。
(評価基準)
◎:80mm未満=低泡性あり
○:80mm以上100mm未満=やや低泡性あり
×:100mm以上=低泡性なし
成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が0.4質量%となるように水を加えた前処理剤組成物に不飽和ポリエステル樹脂の試験片を浸漬し、20秒間超音波洗浄した。その後、流水で20秒間試験片をすすぎ、180℃で30分間乾燥を行い、洗浄試験片を得た。プライマーに用いられる有機溶剤の中から極性、無極性溶剤として酢酸エチルおよびヘキサンを選択し、JIS R3257に則り、洗浄試験片に対する滴下直後の接触角を測定した。
(評価基準)
○:13°未満=洗浄性良好
×:13°以上=洗浄性不良
一方、比較例1では、成分(C)が含まれていないので、濡れ性、低泡性が不十分であった。
比較例2では、成分(B)のアルキル基の炭素数、オキシエチレン基の平均付加モル数、オキシプロピレン基の平均付加モル数およびオキシエチレン基の平均付加モル数とオキシプロピレン基の平均付加モル数の比が本発明の規定範囲外であるので、濡れ性、低泡性および洗浄性が不十分であった。
比較例3では、成分(B)のオキシエチレン基の平均付加モル数とオキシプロピレン基の平均付加モル数の比が本発明の規定範囲外であるので、濡れ性、低泡性および洗浄性が不十分であった。
比較例4では、成分(B)が含まれていないので、濡れ性、低泡性および洗浄性が不十分であった。
比較例5では、成分(C)のアルキル基の炭素数が本発明の規定範囲外であるので、濡れ性、低泡性および洗浄性が不十分であった。
比較例6では、成分(C)のオキシエチレン基の平均付加モル数が本発明の規定範囲外であるので、濡れ性および洗浄性が不十分であった。
Claims (1)
- (A)式(1)で示される化合物を20〜50質量%、(B)式(2)で示される化合物を40〜75質量%、および(C)式(3)で示される化合物を3〜15質量%含有する樹脂用プライマー塗装前処理剤組成物。
R5−O−(EO)a−(PO)b−H ・・・(2)
(式(2)中、R5は炭素数8〜10の分岐鎖アルキル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、aはオキシエチレン基の平均付加モル数でa=2〜9、bはオキシプロピレン基の平均付加モル数でb=2〜4、a/b=0.5〜3.0である。)
R6−O−(EO)c−H ・・・(3)
(式(3)中、R6は炭素数10〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、cはオキシエチレン基の平均付加モル数でc=1〜5である。)
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