JP6585175B2 - クローン病のバイオマーカーとしての宿主dna - Google Patents

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Description

本発明は、クローン病患者を診断し及び/又はクローン病を患っている患者における疾患の状態を診断するための新しい方法に関する。
クローン病(CD)は、口から肛門までの胃腸管の任意の部分を冒しうる慢性の炎症性腸疾患(IBD)である。発症年齢は、一般に、15〜30歳であり、女性及び男性において等しく蔓延している。最も有病率が高いのは、ヨーロッパと北米であり、100,000人あたり300人をちょうど超える(Molodeckyら、2012年)。一般に、CDは、腹部痛、重症の下痢及び体重異常をもたらす。この疾患は、病因が不明で多因子性であり:環境因子、宿主遺伝学及び腸内微生物叢ゲノムはすべて、疾患のリスク及びその重症度に影響することが示されている(Cho, J. H.及びBrant, S. R. (2011))。
CDの臨床診断は、血清学的、放射線学的、内視鏡的及び組織学的知見により裏付けられている。CDの診断を可能とする、検査ラボで独自開発された検査はない。利用可能な臨床検査の中では、血清CRP、糞便中カルプロテクチン及びラクトフェリンが最も広く使用されるマーカーであるが、これらはCDに特異的でない。疾患活動性は、複数のパラメータの組み合わせによるスコアであるクローン病活動性指標(CDAI)又は臨床パラメータのみから成るHarvey-Bradshaw指標(HBI)によって測定されうる(Laasら、2014年)。
更に、CDと診断された患者では、臨床症状のみをモニターすることには、疾患活動性を評価するのに十分な信頼性はない。低い疾患活動性を自己申告する患者は、内視鏡検査中に腸病変を呈することが多い。糞便中カルプロテクチン等の生物学的マーカーは、有用であるが、非特異的であり、その増加は遅発性の再燃(flare)における全身性/粘膜の炎症と関連する。内視鏡検査は、疾患の寛解の最も安定した信頼できる徴候とみなされる粘膜の治癒を検出することを可能にするが、必要とされる腸管前処置及び全身麻酔のために、内視鏡によるモニタリングを日常的に繰り返すことは実行可能でない。MRI等の新しいイメージングツールは、有効であることが示されているが、高額であって時間がかかり、限定されたアクセスが日常的使用を排除する。最も期待できるアプローチとして提示されるMRエンテログラフィは、腸管前処置及び侵襲性の結腸内視鏡検査も意味する。
Shewale JGら、Journal of Forensic Science、2007年、52巻(2) Parker & Barnes、Methods in Molecular Biology 106:247〜283頁(1999) Heidら、Genome Research 6:986〜994頁、(1996)
したがって、これらの障害の再発し寛解する性質のために、正確な調査及び処置の調整によるCDの厳格な管理は、そのような患者の管理において重要である。それにもかかわらず、上述の理由により、現行の診断方法はどれも満足のいくものではない。
したがって、患者及びヘルスケア提供者は、疾患活動性の評価及び患者のケアのモニタリングを可能とする非侵襲性のツールを積極的に探している。
より正確には、非侵襲性で、単純かつ正確な様式で患者における疾患を診断することを可能とするCDのバイオマーカーを特定する必要性が残っている。正確には、これが本発明の主題である。
また、活動性のCDを患っている患者と静止期の前記疾患を患っている患者を識別することを助けうるバイオマーカーを特定する必要性もある。実際に、内視鏡による分析を実行する必要なく、様々な処置の選択肢(集中的な又は慣用の)から選択するために、CDの病期を診断し、前記変化の発生を予測することにおいて、この情報は臨床医を助けうる。この必要性は、本発明によって満たされる。
胃腸粘膜の炎症状態を誘発することが知られている疾患を患っている患者の便サンプル中の宿主DNAの増加が、従来技術において観察されている。
599人の入院患者の前向きコホートにおいて、入院から7日以内の各患者から1つの直腸スワブを得た。宿主DNAの割合は、腸内微生物叢の多様性と負の相関関係にあった。多量のヒトDNAを分泌する患者では、エンテロコッカス属(Enterococcus)及びエシェリキア属(Escherichia)に富んだ一方、ルミノコッカス属(Ruminococcus)及びオドリバクター属(Odoribacter)は枯渇していた。糞便中のヒトDNAの定量は、腸の炎症を評価するための単純で非侵襲性のアプローチとしての役目を果たしうる(Vincentら、2014年)。
結腸直腸癌患者からの便サンプルも、増加した濃度のヒトDNAを含有する(Klaassenら、2003年)。
クローン病を患っている患者の便サンプル中の宿主DNAの量は、これまで評価されてこなかった。それにもかかわらず、CD患者からの便サンプルも、増加した濃度のヒトDNAを含有することが観察された。CD患者における腸病変の総面積は(潰瘍性大腸炎と比べて)小さく、クロ―ン病では糞便中の目に見える出血がかなり珍しいため、これは非常に驚くべきことである。
本発明者らは、定量的メタゲノム解析だけでなくqPCRによっても、健常対照及びCD患者から収集した多数の便サンプル中のヒトDNA存在量を分析した。更に、攻撃的なクローン病を患っている患者から得られた便サンプル対静止期の前記疾患を患っている患者から得られた便サンプルにおいて、宿主DNA存在量を評価した。
そうする際に、本発明者らは、便サンプル中のヒトDNAの存在及び量が、クローン病のマーカーであること、並びにこのまさに同じバイオマーカーを使用して、攻撃的なクロ―ン病を患っている患者対静止期の前記疾患を患っている患者が差別化可能であることを観察した。
要約すれば、本発明者らは、CD患者の糞便中の宿主DNAの存在が、CDの、その活動性又は重症度のバイオマーカーとして使用されうることを実証した。
健常及びNASH対照(左側)並びにクローン病患者(右側)からの便サンプル中に認められるヒトDNAのパーセントのボックスプロットを開示する。 疾患の活動期にある(左側)及び静止期にある(右側)クローン病患者両方についての、試験した便サンプル中に認められた宿主DNAの相対的存在量レベル(%単位)を開示する。カルプロテクチンレベル及びHBIスコアの組み合わせスコア(combined score)を使用して、疾患の状態(活動期対静止期)が、決定された。 試験した便サンプル中に認められたヒトDNAのパーセンテージカルプロテクチンレベルを開示する。 CD集団内の疾患活動性の予測スコアとしてヒトDNAのパーセントを使用する、ROC曲線を開示する。組み合わせスコアについてのAUCは、0.67の値を有する。 宿主DNA存在量を測定するためのVP5及びVP9 qPCRアッセイの定量データ間の相関を開示する。 VP5 qPCRアッセイの定量データとIlluminaシーケンシングによって測定したヒトDNAの相対的存在量のパーセンテージの間の相関を開示する。 VP9 qPCRアッセイの定量データとIlluminaシーケンシングによって測定したヒトDNAの相対的存在量のパーセンテージの間の相関を開示する。 qPCRアッセイによる糞便中カルプロテクチンのmRNAレベル(S100A8及びS100A9 mRNAレベルの測定量)とELISAによる糞便中カルプロテクチンのタンパク質レベル(A:S100A8;B:S100A9)の間の相関を開示する。
特にCDを診断するための測定方法
第1の態様では、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、定量データが、好ましくは参照値と比較した宿主DNAの相対的存在量を表す、工程を含む。
言い換えれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が参照値よりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象においてクロ―ン病(CD)を診断するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると決定する工程
を含む。
この方法は、非侵襲性であり、経済的に許容可能であり、高い特異度を示すため、従来技術の診断方法よりも有利である。
本明細書中で使用される場合、用語「宿主DNA」は、微生物又はウイルスDNAとは対照的に、胃腸微生物叢の宿主のDNAを指す。被験対象がヒト患者である場合、用語「宿主DNA」は、具体的には、「ヒトDNA」を指す。
DNAは、着目の前記生物学的サンプルから、例えば、Godon JJら、1997年に記載の抽出プロトコルを使用することによって抽出されうる。それでも、他のプロトコルが使用でき、周知である。注目すべきは、微生物DNA及び宿主DNAが、後の分析のために物理的に分離される必要がないことである。
哺乳動物DNAは、CpGメチル化又は細菌16SリボソームDNAの検出等の任意の慣用手段によって微生物DNAと識別されうる。ヒトDNA中のALU(STR)反復領域又はベータグロブリン、ベータアクチン及びhTERT遺伝子を標的とするqPCRを使用することも可能である(Klaassen CHWら、2003年;Shewale JGら、Journal of Forensic Science、2007年、52巻(2))。ナノストリング技術も有用でありうる。
宿主及び微生物DNAの定量は、任意の周知の方法によって実行可能である。サンプル中のDNA鎖の定量のための本分野で公知の最も一般的に使用される方法としては、ノーザンブロッティング及びインサイチュハイブリダイゼーション(Parker & Barnes、Methods in Molecular Biology 106:247〜283頁(1999))、PCRベースの方法、例えば、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(Heidら、Genome Research 6:986〜994頁、(1996))、並びに核酸ベースのマルチプレックス技術、例えば、マルチプレックスPCR及びDNAマイクロアレイが挙げられる。或いは、DNA二本鎖又はDNA-タンパク質二本鎖等の配列特異的な二本鎖を認識することのできる抗体が使用可能である。シーケンシングベースの分析のための代表的な方法としては、チェーン・ターミネーション法、ショットガンシーケンシング法、デノボシーケンシング、次世代シーケンシング法(大量並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454ピロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、SOLiDシーケンシング、Ion半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Helioscope単分子シーケンシング、単分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、RNAPシーケンシング、Nanopore DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング及び微小流路Sangerシーケンシングを含む)が挙げられる。
以下の例に示すとおり、i)便サンプル中に存在するDNAを、ハイスループットシーケンシング技術を使用してシーケンシングすることによって、及びii)ヒトゲノムに対して、これらのシーケンシング技術によって得られた短リードをアライメントすることによって、DNAのプールからの宿主DNAを測定することも可能である。この場合、「宿主DNAの相対的存在量」は、ヒトゲノムからの単一の参照配列にマッピングされたリード数(H)及び生成されたリードの残余数(B)をカウントし、リードの総量(H+B)によってリード数Hを正規化することによって計算可能である。
本明細書中で意味されるように、用語「宿主DNA存在量」は、前記サンプル(特に、細菌及び真菌DNAを含む)中に存在するDNAの総量に対する宿主DNAの相対量を指す。したがって、本願では、それは、宿主DNAの「相対的存在量」(又は「相対量」)と呼ばれることが好ましい。
好ましくは、宿主DNA存在量は、プライマー及び/又はプロ―ブ等のヒト特異的な核酸断片を用いるqPCRによって測定される。
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」は、交換可能であり、cDNA、ゲノムDNA、リボソームDNA又はプラスミドDNA等の一本鎖又は二本鎖DNAに対応する天然のヌクレオチド(例えば、A、T、G、C及びU)の正確な連なり及びRNA等の前記DNAの転写産物を指す。本発明による核酸は、単離され、任意の合成方法、任意の組換え方法、任意のエクスビボの生成方法等並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない任意の公知の方法によって調製されうる。
宿主DNAに対してqPCRを実行するために必要とされるか又は有用であるプローブ及びプライマーは、本発明との関係において「核酸断片」と本明細書中で呼ばれる。
「核酸断片」によって、本明細書中では、着目の核酸にハイブリダイズする核酸がより一般的に意味される。例えば、そのような核酸断片は、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、又は好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの長さである。それらは、少なくとも25又は少なくとも50ヌクレオチドの長さであってもよい。
本発明による核酸断片は、生物学的サンプル中に存在する、真菌及び/又は細菌DNA(すなわち、微生物DNA)等の他のDNA(すなわち、非宿主DNA)からの宿主DNAの差別化を可能とするため、宿主DNAに、好ましくはヒト宿主DNAに特異的である。言い換えれば、本発明の核酸断片は、宿主DNAにハイブリダイズするが、生物学的サンプル中に存在する、真菌及び/又は細菌DNA(すなわち、微生物DNA)等の他のDNA(すなわち、非宿主DNA)の実質的な部分に結合しない(又は本質的に結合しない)。
本発明との関係において、核酸断片は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で宿主DNAにハイブリダイズすることが好ましい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、試されるハイブリダイゼーションが、約50℃から約65℃、より好ましくは約55℃から約65℃までの温度において、例えば、約0.9モルであることのできる塩溶液を用いて実行されるものである。しかしながら、当業者は、核酸断片の長さ、塩基組成、存在するイオンのタイプ等の変数を考慮に入れるために、そのような条件を変化させることができる。
「プライマー」は、より具体的には、着目の核酸、すなわち、本明細書における宿主DNAの増幅のための開始点としての役目を果たす核酸断片を指す。本発明の核酸プライマーの例としては、配列番号1、配列番号2、配列番号4及び配列番号5の配列のプライマーが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなプライマーは、宿主DNAを増幅するために、「プライマーセット」中で使用されうる。本発明のプライマーセットの例としては、プライマーセット(配列番号1、配列番号2)及び(配列番号4、配列番号5)が挙げられるが、これらに限定されない。
「プローブ」は、より具体的には、着目の核酸、すなわち、本明細書における宿主DNAの検出のために使用可能な核酸断片を指す。この用語は、「蛍光プローブ」等の多様な誘導体を包含する。上で定義されたプライマーセットと組み合わせて使用される場合、前記プローブは、着目の核酸の定量のために使用されうる。本発明のプロ―ブの例としては、配列番号3及び配列番号6の配列のプローブが挙げられるが、これらに限定されない。プローブは、同位体、放射線標識、ビオチン等の結合部分、ジゴキシゲニン等のハプテン、発光体、質量タグ、りん光若しくは蛍光部分によって、又は蛍光色素(例えば、MGB、FAM、VIC、TET、NED、TAMRA、JOE、HEX、ROX等)のみによって又は他の色素との組み合わせによって標識されうる。これらの標識は、蛍光、放射能、吸光光度分析、重量測定、X線回折又は吸収、磁気、酵素活性、質量測定、結合親和性等によって検出可能なシグナルを提供し、着目の核酸の検出又は定量を促進する。
本発明の好ましい実施形態では、宿主DNA存在量は、配列番号1〜配列番号6の配列、それらの変異体及びそれらの相補的配列の核酸断片の群から選択される少なくとも1つの核酸断片を使用することによって、定量的PCR(qPCR)により測定される。
より好ましくは、宿主DNA存在量は、配列番号3の配列のプローブと組み合わせたプライマーセット(配列番号1、配列番号2)を使用することにより及び/又は配列番号6の配列のプローブと組み合わせたプライマーセット(配列番号4、配列番号5)を使用することにより、定量的PCR(qPCR)によって測定される。
用語「相補的」は、例えば、第1の核酸配列の各ヌクレオチドが、逆方向の第2の核酸配列の相補的塩基と対となることを意味する。相補的ヌクレオチドは、A及びT(若しくはA及びU)又はC及びGである。
本発明による核酸断片の「変異体」としては、前記核酸断片へのアラインメント後に少なくとも99%同一であり、着目の核酸、本明細書における宿主DNAにハイブリダイズする能力を保持する核酸配列が挙げられるが、それに限定されない。変異体の例は、縮重核酸断片である。
本発明の方法は、ヒト又は動物のいずれかの任意の対象に適用可能である。それにもかかわらず、好ましい実施形態では、それはヒト患者、特に、CDを患っていることが疑われるか又はCDを有することの確認を必要とするヒトに適用される。より正確には、本発明の方法は、血小板数、平均血小板体積、赤血球沈降速度(ESR)、血清トロンボポエチン、血清エリスロポエチン、C反応性タンパク質及びオロソムコイド(α1-酸糖タンパク質)、TNFα、インターロイキン(特に、IL1、IL2、IL6、IL8、IL10、IL15)等の炎症マーカー並びにラクトフェリン及びカルプロテクチン等の糞便中の炎症マーカーの増大したレベルを示すヒト患者をモニターするのに有用である。CDを診断するための正確な方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Laasら、2014年に詳述されている。対象は、以下の病態:癌又は前癌、より具体的には、結腸癌、結腸直腸癌又は結腸直腸腺腫、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎(コラーゲン性大腸炎又はリンパ球性大腸炎等)、虚血性大腸炎、空置大腸炎、アレルギー性大腸炎、ベーチェット病、結腸直腸ポリープ、セリアック病、過敏性腸症候群(IBS)及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを患っていないことがより好ましい。
好ましい実施形態では、本発明の方法の工程a)において使用される生物学的サンプルは、便サンプルである。実際に、そのようなサンプルは、患者からの完全に無害な収集によって得られうる。好ましくは、前記便サンプルは、同サンプル中に含有されるDNAを変性させず、影響を与えることのない適切な緩衝液(この目的においては、例えば、RNA later(登録商標)RNA安定化試薬(Ambion社)、又はStool DNA Stabilizer(Invitek社)、又はEDTAとDMSOの混合物を使用できる)中に収集され、貯蔵される。より好ましくは、サンプルは、DNA抽出及びその後の分析まで、-80℃で貯蔵される。
本明細書中で使用される場合、用語「参照値」は、宿主DNAにおいて乏しいことが知られているサンプルを同定するために使用可能である、特定の値又はデータセットを指す。この参照値は、例えば、健常人について得られた過去の存在量データから得られる。それは、メジアン又は平均等の単一のカットオフ値であることができる。それは、各サンプルに等しく適用可能な単一の数値であることができる。好ましい実施形態では、この参照値は、予め定められた値である。典型的に、この予め定められた値は、約1%の値である。
原則として、健常人の便サンプルは、宿主DNAを欠いている。したがって、対象の便サンプル中の宿主DNAの存在は、前記対象が胃腸関連疾患を患っている可能性のあることを示唆する。本発明は、便サンプル中の宿主DNAの存在の検出を含む、対象においてCDを診断することを目的とするすべての方法も包含する。言い換えれば、CDのバイオマーカーとしての宿主DNAの使用を含む任意の診断方法が、本発明に包含される。
本発明との関係において、被験対象についての宿主DNAの相対的存在量は、それが前記参照値を上回る、好ましくは10倍、より好ましくは20倍上回る場合、「参照値よりも高い」ことを意味する。好ましい実施形態では、上で定義された宿主DNAの相対的存在量が1%よりも高い、好ましくは10%よりも高い、より好ましくは20%よりも高い場合、被験対象はCDを患っていると結論されうる。
別の言い方では、宿主DNAの量が参照値と比較される。前記比較は、統計学的方法を使用して当業者により行うことが可能であり、特に、ROC曲線が、感度及び特異度のための最適のカットオフを決定するために使用可能である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つのアッセイを実行して、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの便サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程を含み、定量データは、好ましくは約1%の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す。
言い換えれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から便サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が約1%の参照値よりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、この特定の実施形態では、本発明の方法は、以下の工程:
a)ヒト患者から便サンプルを得る工程、
b)上で開示された任意の慣用手段によって、前記サンプル中のヒトDNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が約1%よりも高い場合、前記患者がクローン病を患っていると診断する工程
を含む。
特に、CDの状態をモニターするための測定方法
別の態様では、本発明は、不安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程を含み、定量データは、好ましくは参照値と比較される宿主DNA相対的存在量を表す。
言い換えれば、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が、参照値よりも高いかを決定する工程
を含む。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約10%の値である。
本発明は、更に、安定状態のクロ―ン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程を含み、定量データは、好ましくは第1の参照値及び第2の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す。
好ましい実施形態では、前記第1の参照値は、約10%の値であり、前記第2の参照値は、約1%の値である。
言い換えれば、本発明は、安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が、第1の参照値よりも低くかつ第2の参照値よりも高いかを決定する工程
を含む。
好ましい実施形態では、前記第1の参照値は、約10%の値であり、前記第2の参照値は、約1%の値である。
より具体的には、発明者らによって得られた結果は、非活動性(静止状態)のクローン病を患っている患者と攻撃的なクローン病(切迫した再燃期間に関連した状態)を患っている患者を、特に非侵襲性の様式で識別することを可能とするバイオマーカー(宿主DNA)を同定することを可能とした。本発明者らの結果は、したがって、この疾患の病期をモニターすることに関して特有の価値がある。
本発明との関係において、「安定な」患者は、疾患活動性が数週間にわたって安定しているCD患者(「安定状態」にある患者)と定義される。一方、「不安定な」患者(又は「不安定状態」にある患者)は、彼らの処置がその後数週間で変更されたか若しくは増強され、その血液検査が、その後数週間で活動性の上昇を示した/示す、及び/又はその自己評価が健康の低下を示した/示す及び/又は引き続いたサンプル中のカルプロテクチンレベルが上昇した/する、及び/又は全身性の粘膜炎症、より具体的には、全身性の粘膜潰瘍を有した/有するCD患者である。安定又は不安定は、CDEIS又はSES-CD等の結腸鏡検査スコアに基づいても定義されうる。
したがって、本発明は、より具体的には、CDを患っている対象におけるこれらの2つの具体的な状態を診断することを目的とする方法を標的とする。
より正確には、本発明は、対象におけるクローン病の活動性を診断するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、前記対象が不安定状態のクローン病を有すると診断する工程
を含む。
上記方法は、非侵襲性であり、経済的に許容可能であり、高い特異度を示すため、従来技術よりも有利である。
特に本発明の診断方法に関して、上で開示されたすべての実施形態は、特にクローン病の活動性をモニターすることを目的とする本方法にも当てはまる。
特に、前記対象は、CDを患っていることが疑われるか又はCDを有することの確認を必要とするか又はCDと診断されたヒト患者であることができる。より正確には、本発明の方法は、血小板数、平均血小板体積、赤血球沈降速度(ESR)、血清トロンボポエチン、血清エリスロポエチン、C反応性タンパク質及びオロソムコイド(α1-酸糖タンパク質)、TNFα、インターロイキン(特に、IL1、IL2、IL6、IL8、IL10、IL15)等の炎症マーカー並びにラクトフェリン及びカルプロテクチン等の糞便中の炎症マーカーの増大したレベルを示すヒト患者をモニターするのに有用である。CDを診断するための正確な方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Laasら、2014年に詳述されている。
また、生物学的サンプルは、好ましくは便サンプルであり、より好ましくは上に記載のとおりに取り扱われる。
好ましい実施形態では、宿主DNAの相対的存在量は上で開示されたとおりに決定される。
本発明者らは、本発明のこれらの方法が、宿主DNAの相対的存在量が決定され、参照値と直接的又は間接的に比較される場合に、感度及び特異度が高いことを発見した。
本明細書中で使用される場合、用語「参照値」は、安定なCDを有するサンプルを同定するために使用可能な特定の値又はデータセットを指す。この参照値は、例えば、安定なCDと明確に診断された患者又は患者プールについて得られた過去の存在量データから得られる。この参照値は、例えば、CDの安定状態にある患者からの便サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を測定することによって得られる。それは、メジアン又は平均等の単一のカットオフ値であることができる。それは、各サンプルに等しく適用可能な単一の数値であることができる。前記参照値は、予め定められた値であってもよい。典型的に、この予め定められた値は、約10%の値である。
好ましい実施形態では、上で定義された宿主DNAの相対的存在量が、10%よりも高い、好ましくは18%よりも高い、より好ましくは20%よりも高い場合、被験患者は不安定なCDを患っていると結論されうる。
特定の実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つのアッセイを実行して、不安定状態のクロ―ン病を有するか又は有することが疑われる対象からの便サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程を含み、定量データは、好ましくは約10%の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す。
言い換えれば、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から便サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
及び、
c)前記相対的存在量が、約10%の参照値よりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、この特定の実施形態では、本発明のインビトロの診断方法は、ヒト患者においてクローン病の不安定状態を診断することを可能とし、以下の工程:
a)上述の方法のいずれかによって、前記患者の便サンプル中のヒトDNAの相対的存在量を測定する工程、
及び、
b)前記相対的存在量が10%よりも高い場合、前記患者が不安定なCDを患っていると決定する工程
を含む。
逆に、本発明は、安定状態のクローン病(CD)を有するか若しくは有することが疑われる対象についての定量データの生成、又は言い換えれば、特に、安定なCDを診断するための前記対象からの生物学的サンプルの分析も可能とする。この場合、前記対象の生物学的サンプル中で測定された宿主DNAの相対的存在量が、CDを診断するために使用される参照値(典型的に、1%)よりも高いが、該疾患の不安定状態を診断するために使用される参照値(典型的に、10%)よりも低い場合、対象が安定なCDを患っていると結論される。
本発明の方法は、上で定義された、便サンプルを得る工程及び前記サンプルから核酸分子を抽出する工程から成る工程を含む(又は除外する)ことができる。
原則として、静止状態の(非活動性の)CDにある対象の便サンプルは、(例えば、測定技術次第で)0から10%までの間に包含される宿主DNAの相対的存在量を有する。それでも対象の便サンプル中の中間レベルの宿主DNAの存在(典型的に、1%から10%までの間)は、前記対象がCDを患っている可能性のあること、及び前記CDが静止状態にあることを示唆する。更に、対象の便サンプル中の高レベルの宿主DNA(典型的に、10%を上回る)の存在は、前記対象がCDを患っている可能性のあること及び前記CDが活動状態にあることを示唆する。したがって、本発明は、便サンプル中の宿主DNAの存在の検出を含む、対象におけるCDの状態を診断することを目的とするすべての方法を包含する。言い換えれば、CDの状態のバイオマーカーとしての宿主DNAの使用を含む任意の診断方法が、本発明に包含される。
特に、処置をデザインするための測定方法
別の実施形態では、本発明の診断方法は、クローン病を患っている対象に処置を適応させるために使用可能である。
したがって、この実施形態では、本発明の方法は、診断された対象のために処置をデザインする追加の工程を含み、前記処置は、(本発明の方法等により)診断されたCDの具体的状態に適応される。
よって、この態様によれば、本発明は、クローン病を患っている対象を処置するための方法であって、
i)上述の方法に従って、不安定又は安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成する工程、
及び
ii)適切な処置で前記対象を処置する工程であって、前記適切な処置が、古典的に開業医に属するものから選択される、工程
を含む方法に関する。
言い換えれば、本発明は、クローン病を患っている対象を処置するための方法であって、
i)上述の方法に従って、不安定又は安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析する工程、
及び
ii)適切な処置で前記対象を処置する工程であって、前記適切な処置が、古典的に開業医に属するものから選択される、工程
を含む方法に関する。
より好ましくは、本発明は、クローン病を患っている対象を処置するための方法を包含し、前記方法は、以下の工程:
i)上述の方法に従って、対象におけるCDの活動性を診断する工程、
及び
ii)適切な処置で前記対象を処置する工程であって、いったんCDの前記状態が診断されたら、前記適切な処置が古典的に開業医に属するものから選択される、工程
を含む。
例えば、CD患者が不安定状態にあると診断される場合、適応される処置は、アザチオプリン、メサラミン、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、ナタリズマブ、コルチコステロイド、シクロスポリン、メトトレキサート、タクロリムス、抗JAK(トファシチニブ)、抗インテグリン(べドリズマブ、rhuMAb Beta7、MAdCAM-1アンタゴニスト)又は抗IL12/IL23(ウステキヌマブ、ABT874)から成る群から選択される薬理学的処置であることができる。
或いは、クローン病患者が安定状態にあると診断された場合、適応される処置は、ライフスタイルへの介入、例えば、異なるカロリー制限強度の規定食及びマクロ栄養組成(低炭水化物、低脂肪、飽和脂肪規定食)となる。
更に、CD、特に、不安定状態のCDを患っている対象における処置の効率を試験するため、又は処置に対する患者の応答を評価するために本発明の方法の使用することが可能である。
この実施形態では、本発明の方法は、以下の工程:
i)処置の投与の前及び後に、上述の方法に従って、不安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成する工程、
及び
ii)処置の投与前の状態が不安定であったが、処置の投与を行うと安定となる場合、前記対象において処置が効率的であると結論する工程
を含む。
言い換えれば、本発明の方法は、
i)処置の投与の前及び後に、上述の方法に従って、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析する工程、
及び
ii)処置の投与前の状態が不安定であったが、処置の投与を行うと安定となる場合、前記対象において処置が効率的であると結論する工程
を含む。
より正確には、本発明の方法は、
i)処置の投与の前及び後に、上述の方法に従って、CDの活動性を診断する工程、
及び
ii)処置の投与前の状態が不安定であったが、処置の投与を行うと安定となる場合、前記対象において処置が効率的であると結論する工程
を含む。
クローン病患者が処置の投与の前に「不安定」であると診断され、処置の投与を行うと「安定」となる場合、前記患者は前記処置に応答している。したがって、この効率的な処置は、優先的に維持されるべきである。
逆に、クローン病患者が処置の投与前に「不安定」であると診断され、処置の投与を行っても「不安定」のままである場合、前記患者は前記処置に応答しておらず、前記処置を別のものと交換するか又は別の処置と併用するほうが良い。
注目すべきは、クローン病患者が処置の投与前に「安定」であると診断された場合、ライフスタイルへの介入で十分でありえるため、いかなる化学的処置の投与も価値がない。
特に、診断のための測定方法の組み合わせ
本発明者らは、更に、宿主DNA存在量の測定量を、CD及び/又はCDの状態(すなわち、活動性対静止状態)を診断するために一般に使用される別のバイオマーカーの測定量と関連付けることを提案する。
したがって、特定の実施形態では、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に引き付けられ、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mLと比較される前記カルプロテクチンレベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも高いか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mLよりも大きいか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象においてクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mLよりも大きい場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約1%の値である。
当業者は、μg/mL(又はμg/g)で示されたカルプロテクチンレベルが、カルプロテクチンタンパク質レベル、又は言い換えれば、カルプロテクチンタンパク質発現レベルを指すことを容易に理解する。タンパク質発現レベルは、特に、Reevesら(2000)及びSchena(2005)により概説された、本分野で周知の任意の方法によって評価可能である。それらの方法は、一般に、着目の生物学的サンプルを、抗体等の、タンパク質発現レベルを測定するのに好適である1つ又は複数の検出可能な試薬と接触させる工程、及びその後、好ましくは正規化後に、検出された試薬のレベルに基づいて、タンパク質発現レベルを決定する工程を含む。一般に、抗体の使用を含む方法の例としては、限定なく、ウエスタンブロット法、イムノブロット法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素免疫スポットアッセイ(ELISPOT)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫組織化学及び免疫沈降法が挙げられる。タンパク質発現レベルを測定するのに好適な他の方法であって、抗体の使用を必ずしも含まない方法が使用されてよく、限定なく、蛍光標識細胞分取(FACS)、原子間力顕微鏡法等の顕微鏡法、フローサイトメトリー、マイクロサイトメトリー、タンパク質結合アッセイ、リガンド結合アッセイ、マイクロアレイ、SDS-PAGE等のポリアクリルアミドゲル電気泳動、表面プラズモン共鳴(SPR)、フォレスター共鳴エネルギー移動(FRET)、バイオルミネッセンス共鳴エネルギー移動(BRET)、ケミルミネッセンス、蛍光偏光、りん光、液体クロマトグラフィーマススぺクトロメトリー(LC-MS)又は液体クロマトグラフィー/マススぺクトロメトリー/マススぺクトロメトリー(LC-MS-MS)等のマススペクトロメトリー、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間(SELDI-TOF)、及び磁気共鳴画像法(MRI)が挙げられる。
別の好ましい実施形態では、宿主DNAの相対的存在量及びカルプロテクチンレベルは、対象の同じ生物学的サンプルから測定可能である。
したがって、本発明は更に、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記サンプルにおけるカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mLと比較される前記カルプロテクチンレベルを表すか又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも高いか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mLよりも大きいか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象においてクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mLよりも大きい場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は約1%の値である。
好ましい実施形態では、カルプロテクチンは、被験対象の便サンプル中で測定される。より好ましい実施形態では、上記の宿主DNA及びカルプロテクチン検出は、同じ便サンプルから実行される。それにもかかわらず、これは、2つの別個のタイプの検出を行うことを必要とする可能性があり、1つは(例えば、qPCRにより)宿主DNAの相対的存在量を測定するため、及び1つは(例えば、ELISAにより)カルプロテクチンタンパク質レベルを測定するためである。
よって、別の態様では、本発明は、単一のタイプの検出が本発明の方法において実行可能であるように、カルプロテクチンの遺伝子レベルを測定することを提案する。より好ましくは、そのような検出は、同じ容器内で、更により好ましくは、便サンプル等の同じ生物学的サンプルから実行される。
この点については、本発明者らはここで、驚くべきことに、カルプロテクチンタンパク質と遺伝子レベルが、これらのタイプの機能エンティティ(すなわち、遺伝子及び前記遺伝子によりコードされるタンパク質)の挙動が互いに予測できないにもかかわらず、相互に相関することを発見した。実際に、本分野では、いったん転写されると、タンパク質発現レベルは、なお翻訳レベルで制御可能であり、対応するタンパク質が翻訳後修飾、変化する半減期及び区画化に供されうることが周知である。
よって、この態様によれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは第1の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは第2の参照値と比較される前記カルプロテクチン遺伝子レベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、クローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高いか、及びカルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも高いか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象においてクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチンレベルが第2の参照値よりも高い場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、宿主DNAに関する前記第1の参照値は、上で定義されたとおりであり、より好ましくは約1%の値である。
遺伝子レベル又は遺伝子発現レベルは、宿主及び微生物DNAを測定するための上記のもの等、本分野で周知の任意の方法によって測定可能である。カルプロテクチンをコードする遺伝子は、本分野で周知である。特に、ヒトカルプロテクチンは、S100カルシウム結合タンパク質A8(カルグラニュリンAとしても知られるS100A8)及びS100カルシウム結合タンパク質A9(カルグラニュリンB又は遊走阻害因子関連タンパク質14(MRP14)としても知られるS100A9)から作られるヘテロダイマーを形成することが知られている。ヒトS100A8遺伝子のヌクレオチド配列は、Genbank受託番号:CR407674、バージョン番号:CR407674.1のもとに利用可能であり、一方、ヒトS100A9遺伝子の1つは、NCBI参照配列受託番号:NM_002965、バージョン番号:NM_002965.3のもとに利用可能である。
好ましい実施形態では、第2の参照値は、健常人(すなわち、クローン病を有さない)に属することが知られたサンプルを同定するために使用可能な特定の値又はデータセットである。したがって、前記参照値は、当業者によって容易に決定されうる。それは、メジアン又は平均等の単一のカットオフ値であることができる。それは、各サンプルに等しく適用可能な単一の数値であることができる。好ましい実施形態では、この参照値は、予め定められた値である。よって、本明細書中では、「第2の参照値よりも高い」によって、カルプロテクチン遺伝子レベルが、前記参照値を上回ることが意味される。
宿主DNAの相対的存在量及び/又はカルプロテクチン遺伝子レベルを測定するための特に好ましい技術は、例えば、カルプロテクチンをコードする遺伝子に特異的である核酸断片(プライマー及び/又はプローブ等)を使用するqPCRである。
「組み合わせた臨床スコア」によって、本明細書中で、生物学的パラメータを臨床パラメータと組み合わせて、CDにおける疾患重症度又は粘膜治癒に関連したスコアを生成する任意のスコアが意味される。それは、例えば、(CDを患っている患者において、典型的に、150μg/mLよりも高い)カルプロテクチンレベル、(CDを患っている患者において、典型的に、4よりも高い)HBI、性別、年齢、疾患持続時間、血小板数、アルブミン、血小板、CRP、直腸の出血(抄録OP05、ECCOの第7回会議)の組み合わせであることができる。
「予め定められたスコア」によって、本明細書中で、任意の統計学的又はアルゴリズムによる方法によってこれらの複数のパラメータの組み合わせから結果として生じる値が意味される。それは、例えば、カルプロテクチンについては150μg/mL、HBIについては4である。
更なる態様では、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mL若しくは250μg/gと比較される前記カルプロテクチンレベル、又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きいか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも大きいか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象におけるクローン病の活動性を診断するためのインビトロの方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きい場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも大きい場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象が不安定状態のクロ―ン病を有すると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約10%の値である。
別の好ましい実施形態では、宿主DNAの相対的存在量及びカルプロテクチンレベルは、対象の同じ生物学的サンプルから測定可能である。
したがって、本発明は更に、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mL若しくは250μg/gと比較される前記カルプロテクチンレベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きいか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも大きいか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象におけるクローン病の活動性を診断するためのインビトロの方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きい場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも大きい場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象が不安定状態のクローン病を有すると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約10%の値である。
好ましい実施形態では、カルプロテクチンは、被験対象の便サンプル中で測定される。より好ましい実施形態では、上記の宿主DNA及びカルプロテクチン検出は、同じ便サンプルから実行される。それにもかかわらず、これは、2つの別個のタイプの検出を行うことを必要とする可能性があり、1つは(例えば、qPCRにより)宿主DNAの相対的存在量を測定するため、及び1つは(例えば、ELISAにより)カルプロテクチンタンパク質レベルを測定するためである。
よって、別の態様では、本発明は、単一のタイプの検出が本発明の方法において実行可能であるように、カルプロテクチンの遺伝子レベルを測定することを提案する。より好ましくは、そのような検出は、同じ容器内で、更により好ましくは、便サンプル等の同じ生物学的サンプルから実行される。
よって、この態様によれば、本発明は、不安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは第1の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは第2の参照値と比較される前記カルプロテクチン遺伝子レベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、不安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高いか、及びカルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも高いか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象において不安定状態のクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも高い場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも高い場合、前記対象が不安定状態のクローン病を患っていると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、宿主DNAに関する前記第1の参照値は、上で定義されたとおりであり、より好ましくは約10%の値であり;カルプロテクチンに関する前記第2の参照値は、好ましくは、静止状態のクローン病を有する(すなわち、安定状態のクローン病を有する)対象において観察されるカルプロテクチン遺伝子レベルである。
「組み合わせた臨床スコア」によって、本明細書中で、生物学的パラメータを臨床パラメータと組み合わせて、CDにおける疾患重症度又は粘膜治癒に関連したスコアを生成する任意のスコアが意味される。それは、例えば、カルプロテクチンレベル、HBI、性別、年齢、疾患持続時間、血小板数、アルブミン、血小板、CRP、直腸の出血(抄録OP05、ECCOの第7回会議)の組み合わせであることができる。
「予め定められたスコア」によって、本明細書中で、任意の統計学的又はアルゴリズムによる方法によってこれらの複数のパラメータの組み合わせから結果として生じる値が意味される(例えば、抄録OP05、ECCOの第7回会議中に言及されるパラメータ及び値を参照されたい)。
更なる態様では、本発明は、安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mL若しくは250μg/gと比較される前記カルプロテクチンレベル、又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するためのインビトロの方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きいか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも低いか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象におけるクローン病の活動性を診断するためのインビトロの方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きい場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも低い場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低い場合、前記対象が安定状態のクロ―ン病を有すると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約1%の値である。
別の好ましい実施形態では、宿主DNAの相対的存在量及びカルプロテクチンレベルは、対象の同じ生物学的サンプルから測定可能である。
したがって、本発明は更に、安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;及び
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは150μg/mL若しくは250μg/gと比較される前記カルプロテクチンレベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きいか、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも低いか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象において安定状態のクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)前記サンプル中のカルプロテクチンレベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が参照値よりも大きい場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL若しくは250μg/gよりも低い場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低い場合、前記対象が安定状態のクローン病を有すると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、前記参照値は、約1%の値である。
好ましい実施形態では、カルプロテクチンは、被験対象の便サンプル中で測定される。より好ましい実施形態では、上記の宿主DNA及びカルプロテクチン検出は、同じ便サンプルから実行される。それにもかかわらず、これは、2つの別個のタイプの検出を行うことを必要とする可能性があり、1つは(例えば、qPCRにより)宿主DNAの相対的存在量を測定するため、及び1つは(例えば、ELISAにより)カルプロテクチンタンパク質レベルを測定するためである。
よって、別の態様では、本発明は、単一のタイプの検出が本発明の方法において実行可能であるように、カルプロテクチンの遺伝子レベルを測定することを提案する。より好ましくは、そのような検出は、同じ容器内で、更により好ましくは、便サンプル等の同じ生物学的サンプルから実行される。
よって、この態様によれば、本発明は、安定状態のクローン病を有するか又は有することが疑われる対象についての定量データを生成するための方法に関し、前記方法は、
a)少なくとも1つのアッセイを実行して、前記対象からの生物学的サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程であって、第1の定量データが、好ましくは第1の参照値と比較される宿主DNAの相対的存在量を表す、工程;並びに
b)少なくとも1つのアッセイを実行して、(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程であって、第2の定量データが、好ましくは第2の参照値及び/若しくは第3の参照値と比較される前記カルプロテクチンレベル又は好ましくは予め定められたスコアと比較される前記組み合わせた臨床スコアを表す、工程
を含む。
言い換えれば、本発明は、安定状態のクローン病(CD)を有するか又は有することが疑われる対象からの生物学的サンプルを分析するための方法に関し、前記方法は、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細書中で好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高いか、並びにカルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも低いか及び/若しくは第3の参照値よりも高いか又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低いかを決定する工程
を含む。
より正確には、本発明は、対象において安定状態のクローン病(CD)を診断するための方法であって、
a)前記対象から生物学的サンプルを得る工程、
b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
c)(本明細書において好ましい)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中の、カルプロテクチン遺伝子レベル又は組み合わせた臨床スコアを決定する工程、
並びに、
d)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高い場合、並びに前記カルプロテクチンレベルが第2の参照値よりも低く及び/若しくは第3の参照値よりも高い場合又は前記組み合わせた臨床スコアが予め定められたスコアよりも低い場合、前記対象が安定状態のクローン病を患っていると診断する工程
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、宿主DNAに関する前記第1の参照値は、安定状態について上記したとおりであり(1%);カルプロテクチンに関する前記第2の参照値は、好ましくは活動性のクローン病を有する(すなわち、不安定状態のクローン病を有する)対象において観察されるカルプロテクチン遺伝子レベルであり;及び/又はカルプロテクチンに関する前記第3の参照値は、好ましくは健常人(すなわち、クローン病を有さない)において観察されるカルプロテクチン遺伝子レベルである。
「組み合わせた臨床スコア」によって、本明細書中で、生物学的パラメータを臨床パラメータと組み合わせて、CDにおける疾患重症度又は粘膜治癒に関連したスコアを生成する任意のスコアが意味される。それは、例えば、カルプロテクチンレベル、HBI、性別、年齢、疾患持続時間、血小板数、アルブミン、血小板、CRP、直腸の出血(抄録OP05、ECCOの第7回会議)の組み合わせであることができる。
「予め定められたスコア」によって、本明細書中で、任意の統計学的又はアルゴリズムによる方法によってこれらの複数のパラメータの組み合わせから結果として生じる値が意味される(例えば、抄録OP05、ECCOの第7回会議中に言及されるパラメータ及び値を参照されたい)。
これらの方法は、ヒト又は動物のいずれかの任意の対象に適用可能である。それにもかかわらず、好ましい実施形態では、それらはヒト患者、特に、CDを患っていることが疑われるか又はCDを有することの確認を必要とするか、又はCDと診断されたヒトに適用される。
本発明の方法において使用される生物学的サンプルは、好ましくは便サンプルである。
好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション分析及び/又は上記のポリヌクレオチドのシーケンシングに基づくプロファイリング法を使用することによって、相対的なDNA存在量が決定される。
上で示されたとおり、カルプロテクチンレベルは、当業者に一般に知られた任意の方法に従って測定される。好ましくは、カルプロテクチンタンパク質レベルは、μg/mL又はμg/gで表されうる。
これらの方法は、従来技術に対する、特に、便サンプル中のカルプロテクチンレベルの測定量のみを含むものと比較した重要な利点を有する。実際に、当業者にわかるとおり、そのような診断方法は、感度が十分でなく、偽陽性の結果を生じる。
更に、2つの測定量(工程b)及び工程c))は、単純な相関を反映せず:ヒトDNAのパーセントが、150μg/mLよりも高いカルプロテクチンを含むサンプル中で顕著に増加することは、胃腸の炎症の徴候を有する患者の便中に、より多くのヒトDNAが存在するという事実を反映していることが、本発明者らにより観察された。したがって、2つの測定量は関連するが、それらは、臨床疾患の全く同じ臨床特徴をとらえるようには見えない。
宿主DNAの相対的存在量及びカルプロテクチン遺伝子レベルを測定するための好ましい技術は、qPCRである。
本発明の方法における使用のためのキット
上記の方法は、例えば、本発明の核酸断片を含むか又はそれから成る、予め包装されたキットを使用することによって実行されうる。
よって、本発明は、本発明の任意の方法における使用のためのキットを対象とし、前記キットは、
a)宿主DNAと特異的にハイブリダイズする、少なくとも1つの核酸断片;
及び
b)前記方法を実行するための指示
を含むか、又はそれらから成る。
本明細書中で使用される場合、用語「指示」は、出版物、記録、ダイアグラム又はどのように本発明の方法を実行するかを伝達するために使用可能な任意の他の媒体を指す。前記指示は、例えば、前記キットを含有する容器に貼り付けられうる。好ましくは、前記キットを使用するための指示は、参照値を含む。
好ましい実施形態によれば、宿主DNAと特異的にハイブリダイズする前記核酸断片は、配列番号1〜配列番号6の配列、それらの変異体及びそれらの相補的配列の核酸断片の群から選択される。
より好ましくは、前記キットは、
a)プライマーセット(配列番号1、配列番号2)及び配列番号3の配列のプローブ;並びに/又はプライマーセット(配列番号4、配列番号5)及び配列番号6の配列のプローブ;並びに
b)前記の方法を実行するための指示
を含むか、又はそれらから成る。
しかし、更により好ましくは、上記キットは、
c)カルプロテクチンタンパク質又は遺伝子レベルを特異的に決定することのできる、少なくとも1つの試薬
を更に含むことができる。
用語「カルプロテクチンレベルを特異的に決定することのできる試薬」又は「カルプロテクチン発現レベルを特異的に決定することのできる試薬」は、カルプロテクチンを特異的に認識し、タンパク質又は遺伝子レベルでのその発現レベルの定量を可能とする試薬又は試薬のセットを示す。これらの試薬は、例えば、タンパク質カルプロテクチンを特異的に認識する抗体、アプタマー若しくはアフィボディ又はカルプロテクチンをコードする遺伝子を認識するプライマー及び/若しくはプローブ等の核酸断片であることができる。本発明との関係において、そのような試薬は、それが、1)結合及び/若しくはハイブリダイズ活性の閾値レベルを示し、並びに/又は2)カルプロテクチンに関連することが知られた標的分子と有意に交差反応しない場合に、カルプロテクチンに「特異的」である又はカルプロテクチンを「特異的に認識」すると言われる。そのような試薬の結合親和性は、例えば、スキャッチャード解析によって、当業者によって容易に決定されうる。試薬の交差反応性も当業者によって容易に決定可能であり、したがって、本明細書中で更に詳述される必要がある。カルプロテクチンの発現レベルを特異的に決定することのできる試薬の例としては、限定なく、抗カルプロテクチン抗体(Invitrogen社からのMAC387 IgG1等)及び上記のS100A8及び/又はS100A9遺伝子等の、カルプロテクチンをコードする遺伝子と特異的にハイブリダイズする核酸断片が挙げられる。
本発明は更に、本発明の任意の方法における上記キットの使用(特に、インビトロの使用)に関する。
(実施例1)
1.材料及び方法
1.1.コホート
1.1.1.CDコホート
すべての参加者は、その胃腸微生物叢ゲノムを調査するためにクローン病患者の多様な母集団から便サンプルを収集することを目的とする「CrohnOmeter 1」研究の一部であった。研究への組み入れ基準は、クローン病の臨床診断であり、参加者はインフォームドコンセントフォームにサインした。CrohnOmeter 1は、縦断研究であり、各参加者は8カ月間にわたって平均して8個の便サンプルを提供した。全部で99人の参加者が含まれ、便サンプルを提供した。99人の参加者のうち、68人の便サンプルをシーケンシングした。全部で438個のサンプルをシーケンシングした。
各研究参加者は、便サンプルを研究に提供するたびに、問診票に記入した。問診票は、患者の健康及び便の特徴に関する情報を得た。特に、疾患活動性の状態/炎症状態を評価するために、以下の情報を使用した:
- (患者の便に含まれる)カルプロテクチンレベルを測定した(カルプロテクチンは、炎症を強調するタンパク質マーカーである)。
- 各患者のHarvey-Bradshaw指標(HBI)を記録する。HBIは、患者の一般健康状態を反映する複合型自己評価指標である。スコアは、一般的なウェルビーイングの評価、腹部痛の評価、1日あたりの液状便の回数、腹部腫瘤の存在及び合併症の存在に基づく。それは、クローン病患者の状態の評価のために広く行きわたっている。
1.1.2健常対照コホート
個人の対照群を、健常人から集めた。主要除外基準は、処方薬の使用及び重要疾患歴であった。複数のサンプルを同じ個人から収集して、全部で137個のサンプルに至った。
1.1.3 NASH対照コホート
より大規模な研究からの追加の2人のNASH患者をシーケンシングした。NASH2と呼ばれる、より大きなNASH研究の目的は、その胃腸微生物叢ゲノムを調査し、NASH及び単純な脂肪肝患者の間の相違を同定するために、NASH患者の多様な母集団から便サンプルを収集することであった。それら2人の患者から6個のサンプルが利用可能であった。このコホートは小さかったが、胃腸に局在しない炎症性疾患のための対照集団として選択した。
1.2.サンプルの収集及び調製
1.2.1.糞便のサンプリング
CDコホートからの対象に、彼らの家からの便サンプルを収集するために、DNA安定化剤及び書面による指示を含有する専用の収集キットを3週間毎に提供した。有効なDNA保存バッファー(典型的に、RNA later(登録商標))中に約1グラムのアリコートを2つ収集し次第、サンプルを含有するチューブを通常郵便によって研究室へ輸送した。1つのチューブを、便懸濁液のバックアップとして直接、-80℃で貯蔵した。第2のチューブを、DNA抽出のために使用し:高速遠心分離を使用して、便材料から3つのアリコートを調製した。次いで、これら3つのアリコートを、DNA抽出まで-80℃で貯蔵した。
対照コホートのために、同じ収集キットを使用した。
1.2.2.DNA抽出
各糞便サンプルの凍結したアリコートを、250μLのグアニジンチオシアネート0.1Mトリス(pH7.5)及び40μLの10% N-ラウロイルサルコシン中に懸濁した。次いで、懸濁液を強力なビーズ破砕に供して、微生物細胞からDNAを放出させ、標準的なプロトコル(Godonら、1997年)を使用してDNA抽出を行った。DNAの完全性及び濃度を、Nanodrop及びAgilentにより、並びにアガロースゲル電気泳動で評価した。
1.3.Illuminaシーケンシング
ISO17025の正式認可を受けた研究室において、HiSeq 2500 Illuminaシーケンサーでシーケンシングを実行した。ISO17025の正式認可を受けた方法HSHOv4 PE100を使用した。DNAライブラリーの調製は、製造業者の指示(Illumina社)に従った。シーケンシング装置供給者により示されたワークフローを使用して、様々な工程:クラスター生成、テンプレートハイブリダイゼーション、等温増幅、直線化、ブロッキング及び変性及びシーケンシングプライマーのハイブリダイゼーションを実行した。供給者のパイプラインを使用してベースコールを実行した。各サンプルについて、4000万の最小のペアエンドリードの標的を生成した。シーケンシングリード長は、100bpであった。
1.4バイオインフォマティクスプロセシング
Enterome社の社内パイプラインを使用して、生リードを処理した。手短に言えば、パイプラインは、MOCAT(Kultimaら、2012年)及びインターナルスクリプトの編集に基づく。それは、Illuminaアダプターのリスト及びヒトゲノム(hg19)を含むMOCAT v1.3を使用するクオリティコントロール、マッピング及び遺伝子存在量の計算から成る。ヒトゲノムにマッピングするリード数は、長さの90%における95%の同一性に基づき、低クオリティスコアの塩基をトリミングすることを含む、クオリティコントロール工程後に回復する。サンプル中のヒトのリードのパーセントを、1-hg19にマッピングするリード数/トリミング後のリード数を使用して計算する。
2.結果
2.1.対照対クローン病患者(CD)の比較
本発明者らは、ウィルコクソンの順位和検定を使用して、健常対照からの137個のサンプル、NASH患者からの6個のサンプルを、CD患者からの438個のサンプルと比較した。p値は、CD対健常対照においてはきわめて有意であった(p値=1.667e-12)、図1。2つのコホートについての要約統計量をTable 1(表1)に提供する。
クローンサンプルの84%と比較して、健常対照からのサンプルの99%が、すべてその全便中DNAにおいて1%未満のヒトDNAを有していた。よって、1%のカットオフ値によって、クローンサンプルの16%が捕捉されうる。よって、便中のDNAの存在はきわめて特異的である。
2.2.クローン病患者(CD)における疾患重症度への関連
便サンプル中のヒトDNAのパーセントに関して、クローン病患者と健常対照の間にはきわめて有意な相違があるため、宿主DNAの相対的存在量の測定量が疾患活動性のバイオマーカーとして使用しうるか否かを評価するために、疾患重症度への関連を研究した。
この目的のために、患者を、3つの基準:
1)彼らが、150を超えるカルプロテクチンレベルを有したか否か、
2)彼らが、4を超えるHBIスコアを有したか否か、
3)彼らが、4を超えるHBIスコアを有したか又は彼らのカルプロテクチンレベルが150を超えたか否か(組み合わせスコア)
に従って、疾患活動性群に分類した。
ウィルコクソン順位和検定に基づいて、静止状態の患者からの便サンプル中(n=227)対CDの活動期にある患者の便サンプル中(n=211)のヒトDNAのパーセント(相対的存在量)の間の相違は、きわめて有意であった(図2を参照されたい、P値=1.034e-09)。
20%を超えるヒトDNAを含むサンプルの95.5%は、活動性の患者由来であった。
10%を超えるヒトDNAを含むサンプルの90%は、活動性の患者由来であった。
1%を超えるヒトDNAを含むサンプルの80%は、活動性の患者由来であった。
ROC曲線(図4)は、可視化表現であり、様々なカットオフに基づく真の陽性及び偽陽性の数を示している。左下角に見られるように、非常に特異度が高い(100%、しかし感度が低く、患者のわずか約10%が補足される)。直線は、「無情報」スコアを表す。
カルプロテクチンレベルをそれ自体として見て、ヒトDNA(図3)と比較すると、この2つの測定量は、単純な相関を反映しないが、ヒトDNAのパーセントは、150μg/mlよりも高いカルプロテクチンを含むサンプルにおいて有意に増加しており(P値=1.041e-07)、胃腸の炎症の徴候を有する患者の便中には、より多くのヒトDNAが存在するという事実を反映している。興味深いことに、2つの測定量は関連するが、これらは、臨床疾患の全く同じ臨床的特徴を捕捉しているように見えず、それは、図3から見られるように、いくつかのサンプルは非常に高いカルプロテクチンレベルを有し、ヒトDNAを有しないからである。
(実施例2)
1.材料及び方法
1.1.コホート
参加者は、上記の「CrohnOmeter 1」研究の一部であった。全部で11個の便サンプルをシーケンシングした。コホートは、実施例1のものと同じ基準を満たした。
1.2.サンプルの収集及び調製
1.2.1.糞便のサンプリング及びDNA抽出
実施例1において上で詳述したものと同様の手順に従って、糞便のサンプリング及びDNA抽出を実行した。
1.2.2.宿主DNAに対して実行したqPCR
ValidPrime(登録商標)アッセイ(TATAA Biosciences社)で11個のサンプルを分析し、3回繰り返して行った。ValidPrimeは、高度に最適化され、ハプロイドノーマルゲノムあたり、厳密に1つのコピーが存在するゲノムDNAの非転写遺伝子座に特異的である。
プライマーは、400nMの最終濃度でランし、プローブは200nMの最終濃度を有した。
1反応あたり100000コピーから6.10コピーにわたる標準曲線を、サンプルとともにランし、標準品間の希釈因子は4倍であった。サンプルを4.84ng/μlの濃度に正規化し、これは少なくとも10倍希釈であった。
CFXマネージャーソフトウエア(Bio-Rad社)からのデータ、Cq値を、閾値法を使用して生成した。閾値を230に設定した。CFXマネージャーソフトウエア(Bio-Rad社)から標準曲線を得た。標準曲線を使用して、CFXマネージャーにおいてサンプル濃度を計算した。
1.2.3.qPCRデータの統計解析
推定したヒトDNAのパーセンテージを、ヒトゲノムにマッピングしたリード数をサンプル中の総リード数で割ったものに基づいて計算した。ValidPrimeアッセイを使用して、このパーセンテージをヒトDNAの定量に相関させた。
別の変数(qPCRアッセイ)の値を使用して変数(ヒトDNA)の値を予測する能力を、典型的にデータの線形回帰分析から決定し、2つの変数の間に線形応答があると推定した。統計解析をRにおいて実行した。
2.結果
2.1.qPCR特異的プライマーによる宿主DNA存在量の定量
図5は、VP5及びVP9プライマーとプローブを使用して実行したqPCRアッセイ間で生成した定量データにおける統計学的に有意な相関を実証する(相関=0.964)。
図6及び図7は、VP5(図6)又はVP9(図7)プライマーとプローブを使用して実行したqPCRアッセイによって生成した定量データにおける、統計学的に有意な相関及び実施例1で提案した方法(すなわち、Illuminaシーケンシング)によって測定したヒトDNAのパーセンテージを示す(相関=VP5アッセイについて0.909及びVP9アッセイについて0.927)。
したがって、Table 2(表2)に上記したVP5及びVP9プライマーとプローブを使用するqPCRによる宿主DNAの存在量の測定量は、クローン病の診断及び前記疾患の活動性のモニタリングを可能としうる。
(実施例3)
1.材料及び方法
1.1.コホート
参加者は、上記の「CrohnOmeter 1」研究の一部であった。全部で15個の便サンプルをシーケンシングした。コホートは、実施例1のものと同じ基準を満たした。
1.2.サンプルの収集及び調製
1.2.1.糞便のサンプリング及びRNA抽出
実施例1において上で詳述した手順に従って、糞便のサンプリングを実行した。
次いで、PowerMag(登録商標)Microbiome RNA/DNA Isolation Kit(カタログ番号27500-4-EP、MOBIO Laboratories社)で、製造業者の指示に従い、いくつかの変更を加えて、便サンプルを抽出した。手短に言えば、650μlの溶解バッファー及び100μlのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを、便サンプルに直接添加した。できるだけ多くをガラスビーズプレートに移した。ホモジナイザー(Tissuelyser II、Quiagen社)を、30Hzで2×5分、運転した。上清を移した後、追加のビーズ破砕工程を実行した。ペレットに添加した体積は300μlの溶解バッファー及び45μlのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールであった。220μlの阻害剤除去用溶液を、プールした上清に添加し、450μlの全サンプル体積をKingFisher Flex(Thermo Scientific社)で更に処理した。
1.2.2.RNAの質及び正規化
15個の抽出したRNA/DNAサンプルの吸光度及び純度を、分光光度計(DropSense96、Trinean nv社)において分析した。RNAの質を、ゲル電気泳動(BioAnalyze、Agilent Technologies社)において、RIN値で測定した。吸光度測定に基づいて、約66.67ng/μlにサンプルを正規化した。
1.2.3.cDNA合成
TATAA GrandScript cDNA Synthesis kit #A103(TATAA Biocenter AB社)を使用して、すべてのサンプルをcDNAに逆転写した。cDNA合成の前に、製造業者の指示に従ってHeat&Run gDNA removal Kit(カタログ番号80200-50、ArticZymes社)を使用してDNase処理を実行した。できるだけ高いCq値を回収可能とするために、RNAの最大負荷を反応に添加した。試薬を混合した。T100(Bio-Rad Laboratories社)において20μlの反応体積で逆転写を実行した。table 3(表3)中の温度プログラムを、cDNA合成に適用した。
1.2.4.qPCR
逆転写後に15個のサンプルを9倍希釈した。TATAA Probe(登録商標) GrandMaster Mix #TA02(TATAA Biocenter AB社)でqPCRを実行し、試薬を混合した。ゲノムDNAを含むすべてのサンプル及び陰性対照を、10μlの反応中、3回繰り返してCFX384プラットフォーム(Bio-Rad社)においてランした。着目の2つの遺伝子(Table 3(表3)を参照されたい)、(ゲノムDNAバックグラウンド補正のための)ValidPrime及びB2Mメディウム及び(物理的破砕を制御するための)ショートアッセイを使用してサンプルをランし、これらの2つのアッセイ間の大きなデルタCqは、分解を示す。Bjoerkmanら(2016)を参照されたい。ピペッティングロボット(EpMotion 5070、Eppendorf社、Germany)によってピペッティングを実行した。2工程の温度プログラムを適用し、FAMチャンネルで検出を実行した。
カルプロテクチンのヘテロダイマーを形成するタンパク質をコードするS100A8及びS100A9遺伝子を増幅するためにデザインしたプライマー及びプローブを使用して、qPCRを実行した。前記プライマー及びプローブは、一般的に利用可能なこれらの遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて、当業者によって容易にデザイン可能である。
CFXマネージャーソフトウエア(Bio-Rad社)において閾値法を使用して生データを生成した。geNorm and NormFinderによる参照遺伝子のバリデーションを使用するGenExソフトウエア(MultiD Analyses AB社)でqPCRデータを分析し、最も安定に発現した遺伝子を評価した。
1.2.5.統計解析
各遺伝子について、3つ組の値を平均した。Cq値を、ハウスキーピング遺伝子によって正規化した値(デルタCq値)とともに、カルプロテクチンタンパク質レベルを測定するために得たログ10変換したELISA値と比較した(実施例1、150μg/mLの値を参照されたい)。スピアマン相関をコンピュータで計算した。更に、250μg/gのカットオフを使用して、患者を炎症性又は非炎症性に分類し(Dhaliwalら、2015年)、2つの群を比較するために各遺伝子についてのCq値に対してウィルコクソン順位検定を実行した。統計解析をRにおいて実行した。
2.結果
2.1.qPCR特異的プライマーによるカルプロテクチン遺伝子レベルの定量
S100A8及びS100A9遺伝子は、被験サンプルの12個(S100A9)から15個(S100A8)すべてについてCq値を有した。
図8は、遺伝子S100A8及びS100A9における、糞便mRNAレベルと糞便カルプロテクチンレベル(タンパク質レベル)の間の統計学的に有意な相関を示す。
したがって、qPCRによるカルプロテクチン遺伝子レベル、より具体的には、S100A8及び/又はS100A9遺伝子レベルの測定量は、好ましくは宿主DNAの相対的存在量の測定量と組み合わせた場合に、クローン病の診断、より具体的には、前記疾患の活動性をモニターすることを可能としうる。
この試験は更に、好ましくは単一の試験管中で、実施例2に記載の宿主DNA存在量を測定するためのqPCR試験と組み合わせて容易に実行可能である。
(参考文献)

Claims (19)

  1. クローン病(CD)の活動性を、それを患っている対象において決定するためのインビトロの方法であって、
    a)前記対象から便サンプルを得る工程、
    b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
    及び、
    c)前記相対的存在量が、参照値よりも高い場合、前記対象が不安定状態のクローン病を有すると決定する工程
    を含む方法。
  2. 前記参照値が、10%の値である、請求項1に記載の方法。
  3. d)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベルを決定する工程、
    並びに、
    e)前記カルプロテクチンレベルが150μg/mL又は250μg/gよりも大きい場合、前記対象が不安定状態のクロ―ン病を有すると決定する工程
    をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. a)前記対象から便サンプルを得る工程、
    b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
    c)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチン遺伝子レベルを決定する工程、
    並びに、
    d)前記相対的存在量が、第1の参照値よりも大きい場合、及び前記カルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも大きい場合、前記対象が不安定状態のクローン病を有すると決定する工程
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記第1の参照値が、10%の値である、請求項4に記載の方法。
  6. CDを患っている対象において処置の効率を試験するため、又は処置に対する患者の応答を評価するためのインビトロの方法であって、以下の工程:
    1)請求項1から5のいずれか一項に記載の方法に従って、処置の投与前及び後にCDの活動性を決定する工程、
    並びに
    ii)処置の投与前の状態が不安定であったが、処置の投与を行うと安定となる場合、前記対象において処置が効率的であると結論する工程
    を含む方法。
  7. 前記工程1)が、請求項1に記載の方法に従うものである、請求項6に記載の方法。
  8. 対象においてクローン病(CD)を検出するためのインビトロの方法であって、
    a)前記対象から便サンプルを得る工程、
    b)前記サンプル中の宿主DNAの相対的存在量を決定する工程、
    及び、
    c)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると決定する工程
    を含む方法。
  9. 前記参照値が、1%の値である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記対象が、クローン病を患っていることが疑われる、請求項8又は9に記載の方法。
  11. d)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチンレベルを決定する工程、
    並びに、
    e)前記相対的存在量が参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチンレベルが150μg/mLよりも大きい場合、前記対象がクローン病を患っていると決定する工程
    をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記参照値が、1%の値である、請求項11に記載の方法。
  13. d)前記サンプル中又は前記対象からの別の生物学的サンプル中のカルプロテクチン遺伝子レベルを決定する工程、
    並びに、
    e)前記相対的存在量が第1の参照値よりも高い場合、及び前記カルプロテクチン遺伝子レベルが第2の参照値よりも高い場合、前記対象がクローン病を患っていると決定する工程
    をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記相対的存在量の参照値が、1%の値である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記相対的存在量が、前記サンプル中に存在するDNAの総量に対する宿主DNAの相対量である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記対象がヒト患者である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記存在量が、定量的PCRによって測定される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記存在量が、配列番号1〜配列番号6の配列、それらの変異体及びそれらの相補的配列からなる核酸断片の群から選択される少なくとも1つの核酸断片を使用することによって測定され、前記変異体が前記核酸断片に対して少なくとも99%同一である、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項1から18のいずれか一項に記載の任意の方法における使用のためのキットであって、
    a)宿主DNAと特異的にハイブリダイズする、少なくとも1つの核酸断片であって、配列番号1、配列番号3、配列番号4及び配列番号5の配列、それらの変異体及びそれらの相補的配列からなる核酸断片の群から選択され、前記変異体が前記核酸断片と少なくとも99%同一である核酸断片;並びに
    b)前記方法を実行するための指示
    を含むキット。
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