以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
はじめに、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置501について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の一例を示す冷媒回路図である。なお、図1では、冷房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示している。また、冷凍サイクル装置501は、本発明に係る冷凍サイクル装置の一例である。
[冷凍サイクル装置501の構成]
図1に示すように、冷凍サイクル装置501は、圧縮機502、室内熱交換器503、室内ファン504、絞り装置505、室外熱交換器10、室外ファン506、及び、四方弁507を備えている。圧縮機502、室内熱交換器503、絞り装置505、室外熱交換器10及び四方弁507が冷媒配管によって接続され、冷媒回路が形成されている。
圧縮機502は、冷媒を圧縮するものである。圧縮機502で圧縮された冷媒は、吐出されて四方弁507へ送られる。圧縮機502は、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、又は往復圧縮機等で構成することができる。
室内熱交換器503は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能するものである。室内熱交換器503は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、ヒートパイプ式熱交換器、二重管式熱交換器、又はプレート熱交換器等で構成することができる。
絞り装置505は、室内熱交換器503又は室外熱交換器10を経由した冷媒を膨張させて減圧するものである。絞り装置505は、例えば冷媒の流量を調整可能な電動膨張弁等で構成するとよい。なお、絞り装置505としては、電動膨張弁だけでなく、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又はキャピラリーチューブ等を適用することも可能である。
室外熱交換器10は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能するものである。室外熱交換器10については、後段で詳細に説明する。
四方弁507は、暖房運転と冷房運転とにおいて冷媒の流れを切り替えるものである。つまり、四方弁507は、暖房運転時、圧縮機502の吐出口と室内熱交換器503とを接続し、圧縮機502の吸入口と室外熱交換器10とを接続するように切り替えられる。また、四方弁507は、冷房運転時、圧縮機502の吐出口と室外熱交換器10とを接続し、圧縮機502の吸入口と室内熱交換器503とを接続するように切り替えられる。
室内ファン504は、室内熱交換器503に付設されており、室内熱交換器503に熱交換流体である空気を供給するものである。
室外ファン506は、室外熱交換器10に付設されており、室外熱交換器10に熱交換流体である空気を供給するものである。
[冷凍サイクル装置501の動作]
次に、冷凍サイクル装置501の動作について、冷媒の流れとともに説明する。まず、冷凍サイクル装置501が実行する冷房運転について説明する。なお、冷房運転時の冷媒の流れは、図1に破線矢印で示している。ここでは、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、冷凍サイクル装置501の動作について説明する。
図1に示すように、圧縮機502を駆動させることによって、圧縮機502から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、破線矢印にしたがって冷媒が流れる。圧縮機502から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、四方弁507を介して凝縮器として機能する室外熱交換器10に流れ込む。室外熱交換器10では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、室外ファン506によって供給される空気との間で熱交換が行われて、高温高圧のガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。
室外熱交換器10から送り出された高圧の液冷媒は、絞り装置505によって、低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する室内熱交換器503に流れ込む。室内熱交換器503では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、室内ファン504によって供給される空気との間で熱交換が行われて、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。この熱交換によって、室内が冷却されることになる。室内熱交換器503から送り出された低圧のガス冷媒は、四方弁507を介して圧縮機502に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機502から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
次に、冷凍サイクル装置501が実行する暖房運転について説明する。なお、暖房運転時の冷媒の流れは、図1に実線矢印で示している。
図1に示すように、圧縮機502を駆動させることによって、圧縮機502から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、実線矢印にしたがって冷媒が流れる。
圧縮機502から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、四方弁507を介して凝縮器として機能する室内熱交換器503に流れ込む。室内熱交換器503では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、室内ファン504によって供給される空気との間で熱交換が行われて、高温高圧のガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。この熱交換によって、室内が暖房されることになる。
室内熱交換器503から送り出された高圧の液冷媒は、絞り装置505によって、低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器10に流れ込む。室外熱交換器10では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、室外ファン506によって供給される空気との間で熱交換が行われて、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。
室外熱交換器10から送り出された低圧のガス冷媒は、四方弁507を介して圧縮機502に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機502から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
上記の冷房運転及び暖房運転の際、圧縮機502に冷媒が液状態で流入すると、液圧縮を起こし、圧縮機502の故障の原因となってしまう。そのため、蒸発器から流出する冷媒はガス冷媒(単相)となっていることが望ましい。冷房運転時では、室内熱交換器503が蒸発器として機能し、暖房運転時では、室外熱交換器10が蒸発器として機能している。
ここで、蒸発器では、ファンから供給される空気と、蒸発器を構成している伝熱管の内部を流動する冷媒との間で熱交換が行われる際に、空気中の水分が凝縮し、蒸発器の表面に水滴が生ずる。蒸発器の表面に生じた水滴は、フィン及び伝熱管の表面を伝って下方に落下していき、ドレン水として蒸発器の下方に排出される。
また、室外熱交換器10は、低外気温状態となっている暖房運転時、蒸発器として機能する。このため、暖房運転時、空気中の水分が室外熱交換器10に着霜することがある。そのため、暖房運転が可能な冷凍サイクル装置等では、通常、外気が一定温度(例えば、0℃)以下となったときに霜を除去するための「除霜運転」を行うようになっている。
「除霜運転」とは、蒸発器として機能する室外熱交換器10に霜が付着するのを防ぐために、圧縮機502から室外熱交換器10にホットガス(高温高圧のガス冷媒)を供給する運転のことである。なお、除霜運転を、暖房運転の継続時間が所定値(例えば、30分)に達した場合に実行するようにしてもよい。また、除霜運転を、室外熱交換器10が一定温度(例えば、マイナス6℃)以下の場合に、暖房運転を行う前に実行するようにしてもよい。室外熱交換器10に付着した霜及び氷は、除霜運転時に室外熱交換器10に供給されるホットガスによって融解される。
例えば、除霜運転時に圧縮機502から室外熱交換器10にホットガスを直接的に供給できるように、圧縮機502の吐出口と室外熱交換器10との間をバイパス冷媒配管(図示せず)で接続する構成にできる。また、圧縮機502から室外熱交換器10にホットガスを供給できるように、圧縮機502の吐出口を、冷媒流路切替装置(例えば、四方弁507等)を介して室外熱交換器10に接続する構成としてもよい。
[室外熱交換器10の詳細]
図2は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置における室外熱交換器の一例を示す斜視図である。図3及び図4は、図2に示す室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。
なお、図2以降において、X方向は、横方向であり、室外熱交換器10のフィン30の短手方向(幅方向)となる方向を表している。Y方向は、横方向であり、同一の熱交換部を構成するフィン30の並設方向となる方向を表している。Z方向は、上下方向(重力方向)であり、フィン30の長手方向となる方向を表している。白抜き矢印は、室外ファン506から室外熱交換器10へ供給される空気の流れ方向を表している。図2からわかるように、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、室外ファン506からX方向に空気が供給される。また、図3は、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。また、図4は、X方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
室外熱交換器10は、二列構造の熱交換器であり、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602を備えている。これら風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602は、フィンアンドチューブ型熱交換器であり、室外ファン506から供給される空気の流れ方向であるX方向に沿って並設されている。風上側熱交換器601の伝熱管の一端は、風上側ヘッダ集合管603に接続されている。風下側熱交換器602の伝熱管の一端は、風下側ヘッダ集合管604に接続されている。また、風上側熱交換器601の伝熱管の他端と、風下側熱交換器602の伝熱管の他端とは、列間接続部材605に接続されている。
つまり、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、風上側ヘッダ集合管603及び風下側ヘッダ集合管604の一方から、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602の一方の伝熱管に冷媒が分配される。そして、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602の一方の伝熱管に分配された冷媒は、列間接続部材605を介して、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602の他方の伝熱管に流入する。その後、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602の他方の伝熱管に流入した冷媒は、風上側ヘッダ集合管603及び風下側ヘッダ集合管604の他方で合流し、圧縮機502の吸入口又は絞り装置505の方へ流れていく。
なお、本実施の形態1では、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602は、同様の構成となっている。このため、以下では、双方を代表して、風上側熱交換器601について説明する。ここで、風上側熱交換器601及び風下側熱交換器602が、本発明の熱交換器に相当する。なお、風上側熱交換器601又は風下側熱交換器602の一方で室外熱交換器10の熱交換負荷を賄える場合、風上側熱交換器601又は風下側熱交換器602の一方のみで室外熱交換器10を構成しても勿論よい。
風上側熱交換器601は、第1熱交換部100及び第2熱交換部200を備えている。これらは、第1熱交換部100が第2熱交換部200の上方となるように、上下方向であるZ方向に並設されている。図3及び図4に示すように、第1熱交換部100及び第2熱交換部200は、同様の構成となっており、複数のフィン30及び複数の伝熱管20を備えている。詳しくは、フィン30は、上下方向に長い、換言すると第1熱交換部100及び第2熱交換部200の並設方向に長い板形状の部材である。フィン30は、例えば、上下方向に長い矩形状に形成されている。同一の熱交換部において、これらフィン30は、規定のフィンピッチ間隔FPを空けて並設されている。複数の伝熱管20は、上下方向に規定の間隔を空けて並設されている。また、伝熱管20のそれぞれは、フィン30の並設方向であるY方向に、これらフィン30を貫通している。第1熱交換部100と第2熱交換部200とは、別々に製造されたものであり、分離している。このため、第1熱交換部100のフィン30の下端部135(フィン30の長手方向の端部のうちの第2熱交換部200側の端部)と、第2熱交換部200のフィン30の上端部235(フィン30の長手方向の端部のうちの第1熱交換部100側の端部)との間には、隙間が空いている。
ここで、第1熱交換部100のフィン30の下端部135が、本発明の第5端部に相当する。
また、本実施の形態1では、第1熱交換部100のフィン30は、該フィン30の短手方向であるX方向の端部として、側端部133,134を有している。同様に、第2熱交換部200のフィン30は、該フィン30の短手方向であるX方向の端部として、側端部233,234を有している。側端部233は側端部133側の端部であり、側端部234は側端部134側の端部である。図3に示すように、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。なお、上述のように、本実施の形態1では、第1熱交換部100及び第2熱交換部200を同様の構成としている。このため、第1熱交換部100のフィン30の側端部134も、第2熱交換部200のフィン30の側端部234に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。また、第1熱交換部100の伝熱管20も、第2熱交換部200の伝熱管20に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。
なお、本実施の形態1に係る室外熱交換器10の排水作用を説明するため、以下のように定義する。
図3の一点鎖線L11は、第1熱交換部100の伝熱管20の側端部21をZ方向につなぐ直線である。第1熱交換部100において、側端部133と該側端部133側の一点鎖線L11との間となる領域、及び、側端部134と該側端部134側の一点鎖線L11との間となる領域を、排水領域131と定義する。排水領域131は、Z方向のどの領域においても伝熱管20が存在しない領域となる。また、側端部133側の一点鎖線L11と、側端部134側の一点鎖線L11との間となる領域を、伝熱管領域132と定義する。伝熱管領域132は、Z方向の一部に伝熱管20が存在する領域である。
図3の一点鎖線L21は、第2熱交換部200の伝熱管20の側端部21をZ方向につなぐ直線である。第2熱交換部200において、側端部233と該側端部233側の一点鎖線L21との間となる領域、及び、側端部234と該側端部234側の一点鎖線L21との間となる領域を、排水領域231と定義する。排水領域231は、Z方向のどの領域においても伝熱管20が存在しない領域となる。また、側端部233側の一点鎖線L21と、側端部234側の一点鎖線L21との間となる領域を、伝熱管領域232と定義する。伝熱管領域232は、Z方向の一部に伝熱管20が存在する領域である。
また、第1熱交換部100の伝熱管20のうち、最も下方の伝熱管20(換言すると最も第2熱交換部200側の伝熱管20)を他の伝熱管20と区別して示したい場合、符号に「100」を加えて記載することとする。例えば、伝熱管120と記載する。また、第2熱交換部200の伝熱管20のうち、最も上方の伝熱管20(換言すると最も第1熱交換部100側の伝熱管20)を他の伝熱管20と区別して示したい場合、符号に「200」を加えて記載することとする。例えば、伝熱管220と記載する。
ここで、第1熱交換部100のフィン30が、本発明の第1フィンに相当する。第2熱交換部200のフィン30が、本発明の第2フィンに相当する。第1熱交換部100のフィン30の側端部133が、本発明の第1端部に相当する。第1熱交換部100のフィン30の側端部134が、本発明の第2端部に相当する。第2熱交換部200のフィン30の側端部233が、本発明の第3端部に相当する。第2熱交換部200のフィン30の側端部234が、本発明の第4端部に相当する。第1熱交換部100の伝熱管20が、本発明の第1伝熱管に相当する。第2熱交換部200の伝熱管20が、本発明の第2伝熱管に相当する。
[室外熱交換器10の排水作用]
続いて、本実施の形態1に係る室外熱交換器10の排水作用について説明する。なお、本実施の形態1に係る室外熱交換器10における排水性向上効果の理解を容易とするため、以下では、まず比較例の室外熱交換器の構成、及び該室外熱交換器の排水過程について説明する。その後、本実施の形態1に係る室外熱交換器10の排水過程を説明する。
なお、比較例を示す際、比較例の構成には、当該構成と対応する本実施の形態1の構成の符号に「1000」を加えた符号を付すものとする。例えば、比較例の室外熱交換器は、室外熱交換器1010と示す。
図5は、比較例に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。この図5は、図3と同様に、Y方向に比較例の室外熱交換器1010を観察した際の、第1熱交換部1100と第2熱交換部1200との境界部分を示している。
比較例の室外熱交換器1010が本実施の形態1に係る室外熱交換器10と異なる点は第1熱交換部1100が第2熱交換部1200に対してX方向にずれていない点である。このため、比較例の室外熱交換器1010においては、第1熱交換部1100のフィン1030の側端部1133と、第2熱交換部1200のフィン1030の側端部1233とは、X方向において同位置となっている。また、第1熱交換部1100のフィン1030の側端部1134と、第2熱交換部1200のフィン1030の側端部1234とは、X方向において同位置となっている。また、第1熱交換部1100の伝熱管1020と、第2熱交換部1200の伝熱管1020とは、X方向において同位置となっている。
このように構成された比較例の室外熱交換器1010では、付着した水滴が以下のように排出されていく。
図6〜図10は、比較例に係る室外熱交換器において、第1熱交換部の伝熱管領域に付着した水滴が第2熱交換部へ排出される過程を示す図である。これらは、図5と同位置を観察した図である。なお、図6〜図10では、水滴が認識しやすいように、水滴にハッチングを付している。
第1熱交換部1100の伝熱管領域1132に付着した水滴は、伝熱管領域1132となるフィン1030の表面部分及び伝熱管1020の表面を伝って、下方に落下していく(図6)。そして、この落下してきた水滴は、第1熱交換部1100の最下段の伝熱管1120の上面1122に到達する。伝熱管1120の上面1122に到達した水滴には、重力と、伝熱管1120及びフィン1030の表面張力とが、Z方向下向きに加わる。このため、伝熱管1120の上面1122に到達した水滴は、伝熱管1120の下方へ回り込もうとする(図7)。
伝熱管1120の下方へ回り込んだ水滴は、伝熱管1120の下面1123に到達する。この水滴には、重力がZ方向下向きに加わるのに対し、伝熱管1120及びフィン1030の表面張力及び静止摩擦力等がZ方向上向きに加わる。このため、伝熱管1120の下面1123に到達した水滴は、上方から落下してきた水滴と合体し、ある程度の水量となるまで、伝熱管1120の下面1123に滞留して成長する(図8)。
その後、水滴にかかる重力が表面張力等の重力方向上向きの力に勝ると、水滴は、表面張力等の影響を受けなくなり、伝熱管1120の下面1123を離脱して落下し、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に到達する。ここで、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135と、第2熱交換部1200のフィン1030の上端部1235との間には、隙間が空いている。このため、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に到達した水滴は、フィン1030の表面張力の働きにより、上方から落下してきた水滴と合体してある程度の水量となるまで、下端部1135に滞留する(図9)。
このように、第1熱交換部1100の伝熱管領域1132に付着した水滴は、下方に障害物である伝熱管1020,1120があるため、落下が阻害される。このため、第1熱交換部1100の伝熱管領域1132に付着した水滴は、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に至るまでに時間がかかる。また、フィン1030の下端部1135に至った水滴も、第1熱交換部1100と第2熱交換部1200とが分離している影響で、室外ファンからの空気流れ方向であるX軸方向に広がるように、下端部1135に滞留する(図10)。
図11〜図15は、比較例に係る室外熱交換器において、第1熱交換部の排水領域に付着した水滴が第2熱交換部へ排出される過程を示す図である。これらは、図5と同位置を観察した図である。なお、図11〜図15では、水滴が認識しやすいように、水滴にハッチングを付している。
第1熱交換部1100の排水領域1131に付着した水滴は、排水領域1131となるフィン1030の表面部分を伝って、下方に落下していく(図11)。そして、この落下する水滴は、排水に対する抵抗体となるような障害物がないため、重力によって落下速度を維持したまま、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に到達する(図12及び図13)。
しかしながら、上述のように、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135と、第2熱交換部1200のフィン1030の上端部1235との間には、隙間が空いている。このため、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に到達した水滴は、伝熱管領域1132を落下する水滴と同様に、フィン1030の表面張力の働きにより、下端部1135に滞留する(図14)。そして、この水滴は、上方から落下してきた水滴と合体してある程度の水量となるまで、室外ファンからの空気流れ方向であるX軸方向に広がるように、下端部1135に滞留する(図15)。
このように、第1熱交換部1100の排水領域1131に付着した水滴は、下方に障害物である伝熱管1020,1120がないため、落下が阻害されず、第1熱交換部1100の下端部に至るまでの時間が短い。このため、当領域を介して水滴が排出されるのは、有効である。しかし、フィン1030の下端部1135に至った水滴は、第1熱交換部1100と第2熱交換部1200とが分離している影響で、室外ファンからの空気流れ方向であるX軸方向に広がるように、下端部1135に滞留する。
図16〜図20は、比較例に係る室外熱交換器において、第1熱交換部から水滴が落下し、該水滴が第2熱交換部から排出されていく過程を示す図である。これらは、図5と同位置を観察した図である。なお、図16〜図20では、水滴が認識しやすいように、水滴にハッチングを付している。
第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に滞留した水滴は、水量が少ない場合、重力と表面張力及び静止摩擦力等とが釣り合うことで滞留し続ける。そして、この水滴は、排水領域1131及び伝熱管領域1132より排出される水滴が下端部1135に到達することで、水量が増加する(図16及び図17)。
その後、水滴にかかる重力が表面張力等の重力方向上向きの力に勝ると、水滴は、表面張力等の影響を受けなくなり、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135を離脱して落下し、第2熱交換部1200のフィン1030の上端部1235に到達する。ただし、比較例の室外熱交換器1010においては、第1熱交換部1100のフィン1030の側端部1133と、第2熱交換部1200のフィン1030の側端部1233とは、X方向において同位置となっている。また、第1熱交換部1100のフィン1030の側端部1134と、第2熱交換部1200のフィン1030の側端部1234とは、X方向において同位置となっている。このため、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に滞留していた水滴は、均等に第2熱交換部1200のフィン1030の上端部1235に落下する(図18)。
そのため、この水滴が重力により第2熱交換部1200の最上段の伝熱管1220に到達する際、この水滴のうちの排水領域1231を落下する水分の一部が、伝熱管領域1232側へ伝熱管1220の表面張力の影響で引き寄せられる(図19)。そのため、排水が円滑に進む排水領域1231を介して落下する水滴の量が減少し、排水速度が遅くなる伝熱管領域1232を介して落下する水滴が増加してしまう(図20)。このように、第1熱交換部1100のフィン1030の下端部1135に滞留した水滴は、第1熱交換部1100と第2熱交換部1200のフィン端部同士が一致している場合、第2熱交換部1200の伝熱管領域1232側に水滴が引き寄せられやすいため、第2熱交換部1200において水滴の排出が遅くなってしまう。
以上説明したように、比較例の室外熱交換器1010は、第2熱交換部1200の伝熱管領域1232に付着した水滴と、第2熱交換部200の排水領域1231に付着した水滴とが、別々の経路で室外熱交換器1010の下方に排出される。そして、伝熱管領域1232に付着した水滴は、第2熱交換部1200つまり熱交換器1010の下端部に至るまでに時間がかかる。このため、比較例の室外熱交換器1010は、熱交換器1010全体における水の滞留量が減少し難い。
一方、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、第2熱交換部200の排水過程が以下のようになるので、室外熱交換器10の排水性を向上させることができる。なお、室外熱交換器10において、第1熱交換部100のフィン30の下端部135に滞留した水滴が第2熱交換部200に落下するまでの過程は、比較例の室外熱交換器1010と同様である。このため、以下では、室外熱交換器10の排水過程のうち、第1熱交換部100から水滴が落下し、該水滴が第2熱交換部200から排出されていく過程について説明する。
図21〜図25は、本発明の実施の形態1に係る室外熱交換器において、第1熱交換部から水滴が落下し、該水滴が第2熱交換部から排出されていく過程を示す図である。これらは、図3つまり図5と同位置を観察した図である。なお、図21〜図25では、水滴が認識しやすいように、水滴にハッチングを付している。
比較例と同様に、第1熱交換部100のフィン30の下端部135に滞留した水滴は、水量が少ない場合、重力と表面張力及び静止摩擦力等とが釣り合うことで滞留し続ける。そして、この水滴は、排水領域131及び伝熱管領域132より排出される水滴が下端部135に到達することで、水量が増加する(図21及び図22)。
その後、水滴にかかる重力が表面張力等の重力方向上向きの力に勝ると、水滴は、表面張力等の影響を受けなくなり、第1熱交換部100のフィン30の下端部135を離脱して落下し、第2熱交換部200のフィン30の上端部235に到達する。
ここで、本実施の形態1に係る室外熱交換器10においては、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。すなわち、第1熱交換部100のフィン30の側端部133の下方には、フィン30が存在しない。このため、第1熱交換部100のフィン30の下端部135から落下した水滴のうち、第1熱交換部100のフィン30の側端部133近傍の水分は、水同士の分子間力の影響で、第2熱交換部200のフィン30の側端部233側に落下する。このため、第1熱交換部100のフィン30の下端部135から第2熱交換部200のフィン30の上端部235へ落下した水滴は、側端部233側の排水領域231に水分が多く集まった状態で、下方へ排出されていく(図23)。
そのため、比較例の図19で発生した「水滴が重力により第2熱交換部1200の最上段の伝熱管1220に到達する際、排水領域1231を落下する水分の一部が、伝熱管領域1232側へ伝熱管1220の表面張力の影響で引き寄せられる」という現象を防止できる。本実施の形態1に係る室外熱交換器10の場合、水滴が側端部233側の排水領域231に水分が多く集まった状態となっているため、側端部233側の排水領域231の水分にかかる重力の影響が大きくなるからである。このため、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、側端部233側の排水領域231に水分が多く集まった状態となる。したがって、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、第2熱交換部200において、排水領域231側を落下する水滴の量が比較例に比べて増加する(図25)。
このように、本実施の形態1に係る室外熱交換器10においては、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、第1熱交換部100のフィン30の下端部135から第2熱交換部200のフィン30の上端部235に落下した水滴は、第2熱交換部200の排水領域231側に引き寄せられやすいため、多くの水滴の排出が円滑となる。これにより、室外熱交換器10全体における水の滞留量も減少し易い。
以上のように、本実施の形態1に係る室外熱交換器10においては、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、従来よりも排水性を向上させることができる。
このため、除霜運転によって、室外熱交換器10に付着した霜が融解し始めた直後、多量の水滴が室外熱交換器10から排出される。したがって、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置501は、除霜運転にかかる時間が短くなる。このため、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置501は、除霜運転に必要な熱量を減らし、且つ、除霜時間を低減することができる。また、本実施の形態1に係る冷凍サイクル装置501は、暖房運転時の残水を減少させ、信頼性の向上、通風抵抗の減少、着霜耐力の向上を実現することができる。
また、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、第1熱交換部100の伝熱管20も、第2熱交換部200のフィン30の伝熱管20に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、第1熱交換部100の伝熱管120から落下した水滴のうちの少なくとも一部の水分は、第2熱交換部200の伝熱管220上に落下せず、排水領域231を落下していく。したがって、本実施の形態1に係る室外熱交換器10は、排水性をさらに向上させることができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、室外ファン506から供給される空気の流れ方向において風上側にずれて配置されていた。第1熱交換部100のフィン30の側端部133のずれる方向は、当該方向に限定されるものではなく、例えば本実施の形態2で示す方向でもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図26は、本発明の実施の形態2に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。図26は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
本実施の形態2に係る室外熱交換器10においては、実施の形態1と同様に、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。また、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、実施の形態1と同様に、第1熱交換部100及び第2熱交換部200を同様の構成としている。このため、第1熱交換部100のフィン30の側端部134も、第2熱交換部200のフィン30の側端部234に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。また、第1熱交換部100の伝熱管20も、第2熱交換部200のフィン30の伝熱管20に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。
本実施の形態2に係る室外熱交換器10が実施の形態1と異なる点は、室外ファン506から供給される空気の流れ方向に対して、側端部133が側端部134よりも下流側となるように、第1熱交換部100のフィン30が配置されている点である。つまり、本実施の形態2においては、側端部233が側端部234よりも下流側となるように、第2熱交換部200のフィン30が配置されている。そして、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、室外ファン506から供給される空気の流れ方向において風下側にずれて配置されている。
続いて、本実施の形態2に係る室外熱交換器10の排水過程について説明する。
ここで、一般的に、除霜運転は、室外ファン506を停止させた状態、つまり室外熱交換器10に空気を供給しない状態で行われる。一方、暖房運転時には、室外ファン506が駆動し、室外熱交換器10に空気が供給される。この室外熱交換器10に空気が供給されている状態においても、室外熱交換器10に付着した水滴の排出は行われる。そして、本実施の形態2に係る室外熱交換器10と実施の形態1で示した室外熱交換器10とでは、室外ファン506から室外熱交換器10に空気が供給されている状態における、第1熱交換部100から落下した水滴が第2熱交換部から排出されていく過程が異なる。このため、以下では、室外ファン506から室外熱交換器10に空気が供給されている状態において、本実施の形態2に係る室外熱交換器10では、第1熱交換部100から落下した水滴がどのように第2熱交換部から排出されていくかについて説明する。
図27〜図31は、本発明の実施の形態2に係る室外熱交換器において、第1熱交換部から水滴が落下し、該水滴が第2熱交換部から排出されていく過程を示す図である。これらは、図25と同位置を観察した図である。なお、図27〜図31では、水滴が認識しやすいように、水滴にハッチングを付している。
実施の形態1と同様に、第1熱交換部100のフィン30の下端部135に滞留した水滴は、水量が少ない場合、重力と表面張力及び静止摩擦力等とが釣り合うことで滞留し続ける。そして、この水滴は、排水領域131及び伝熱管領域132より排出される水滴が下端部135に到達することで、水量が増加する。この際、室外ファン506からの気流の影響で、水滴には気流の下流側に向かおうとする力が加わる(図27及び図28)。
その後、水滴にかかる重力が表面張力等の重力方向上向きの力に勝ると、水滴は、表面張力等の影響を受けなくなり、第1熱交換部100のフィン30の下端部135を離脱して落下する。
そして、第1熱交換部100のフィン30の下端部135から落下した水滴は、室外ファン506からの気流に引き込まれる。このため、落下した水滴のうちの一部の水分は、室外ファン506からの気流によって水同士の分子間力が引き離されて、第2熱交換部200の下流側へ離脱し、第2熱交換部200から排出される。また、落下した水滴のうちの一部の水分は、第2熱交換部200のフィン30の上端部235に到達する。この際、当該水分は、つまり、第2熱交換部200のフィン30の上端部235に付着した水滴は、室外ファン506からの気流の影響により、下流側つまり側端部233側に多くの水分が集まった状態となる(図29)。
ここで、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、実施の形態1と同様に、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、第1熱交換部100のフィン30の下端部135から第2熱交換部200のフィン30の上端部235へ落下した水滴は、側端部233側の排水領域231に水分が多く集まった状態となる。また、上述したように、本実施の形態2に係る室外熱交換器10においては、第2熱交換部200のフィン30の上端部235に付着した水滴は、室外ファン506からの気流の影響により、下流側つまり側端部233側に多くの水分が集まった状態となる。つまり、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、実施の形態1よりもさらに多くの水分が側端部233側の排水領域231に多く集まった状態となる。
そのため、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、比較例の図19で発生した「水滴が重力により第2熱交換部1200の最上段の伝熱管1220に到達する際、排水領域1231を落下する水分の一部が、伝熱管領域1232側へ伝熱管1220の表面張力の影響で引き寄せられる」という現象を、実施の形態1よりもさらに防止できる(図30)。したがって、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、第2熱交換部200において、排水が円滑に進む排水領域231を介して落下する水滴の量が、実施の形態1よりもさらに増加する(図31)。
以上のように、本実施の形態2に係る室外熱交換器10においては、実施の形態1と同様に、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、従来よりも排水性を向上させることができる。
また、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、室外ファン506から供給される空気の流れ方向に対して、側端部133が側端部134よりも下流側となっている。このため、本実施の形態2に係る室外熱交換器10は、室外ファン506が駆動している際、実施の形態1よりもさらに排水性を向上させることができる。
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では、室外熱交換器10の伝熱管20として、断面が略真円形状の伝熱管を用いた。しかしながら、本発明に用いられる伝熱管は、断面が略真円形状の伝熱管に限定されるものではない。例えば、実施の形態1及び実施の形態2で示した室外熱交換器10の伝熱管20として、断面が略楕円形状又は略長円形状等の扁平形状となっている伝熱管を用いてもよい。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、本実施の形態3では、実施の形態1で示した室外熱交換器10に、断面が扁平形状の伝熱管20を採用した例について説明する。
図32は、本発明の実施の形態3に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。図32は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
本実施の形態3に係る室外熱交換器10では、断面が扁平形状の伝熱管20を用いている。本実施の形態3に係る室外熱交換器10のその他の構成は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態3に係る室外熱交換器10においても、実施の形態1と同様に、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、本実施の形態3に係る室外熱交換器10は、従来よりも排水性を向上させることができる。
ここで、断面が扁平形状の伝熱管20の場合、形状の影響で上面22に水滴が滞留しやすい。また、断面が扁平形状の伝熱管20の場合、表面張力の影響で下面23に水滴が滞留しやすい。このため、断面が扁平形状の伝熱管を用いた室外熱交換器に本発明を実施した場合、断面が略真円形状の伝熱管を用いた室外熱交換器に本発明を実施した場合と比べ、本発明の排水性向上効果がより顕著となる。
実施の形態4.
断面が扁平形状の伝熱管20を採用する場合、伝熱管20を以下のような姿勢で配置してもよい。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図33は、本発明の実施の形態4に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。図33は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
実施の形態3で示した室外熱交換器10は、Y方向と垂直な縦断面において、伝熱管20の長手方向が略水平となっていた。一方、本実施の形態4に係る室外熱交換器10は、Y方向と垂直な縦断面において、側端部134から側端部133に向かうにしたがって、伝熱管20の長手方向が下方へ傾斜するように配置されている。換言すると、本実施の形態4に係る室外熱交換器10の伝熱管20は、側端部134から側端部133に向かうにしたがって、第1熱交換部100側から第2熱交換部200側へ傾斜している。
本実施の形態4に係る室外熱交換器10においても、実施の形態3と同様に、第1熱交換部100のフィン30の側端部133は、第2熱交換部200のフィン30の側端部233に対して、側端部134から側端部133へ向かう方向にずれて配置されている。このため、本実施の形態4に係る室外熱交換器10は、従来よりも排水性を向上させることができる。
また、本実施の形態4に係る室外熱交換器10は、伝熱管20が上述のように傾斜している。このため、伝熱管20の上面22に滞留した水滴は、該上面22を流れ落ちて、第2熱交換部200における側端部233側の排水領域231に排出される。このため、本実施の形態4に係る室外熱交換器10は、実施の形態3よりもさらに排水性を向上させることができる。
実施の形態5.
フィンアンドチューブ型の熱交換器に断面が扁平形状の伝熱管を採用する場合、フィンへの伝熱管の挿入性等を考慮し、フィンに一端が開口した切り欠きを形成し、該開口から切り欠きに伝熱管を挿入する場合がある。断面が扁平形状の伝熱管20を採用した実施の形態3及び実施の形態4の室外熱交換器10において、このような伝熱管の取り付け構成を採用する場合、フィン30の以下のような位置に、伝熱管20挿入用の切り欠きを形成するとよい。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態3又は実施の形態4と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図34は、本発明の実施の形態5に係る室外熱交換器における第1熱交換部のフィン及び第2熱交換部のフィンを示す要部拡大図である。図35は、本発明の実施の形態5に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。
なお、図35は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。また、図34は、図35から伝熱管20を取り外した状態を示した図となっている。
第1熱交換部100のフィン30には、側端部134に開口した複数の切り欠き35が形成されている。これら切り欠き35は、上下方向に規定の間隔を空けて並設されている。また、第2熱交換部200のフィン30にも、側端部234に開口した複数の切り欠き35が形成されている。これら切り欠き35も、上下方向に規定の間隔を空けて並設されている。そして、第1熱交換部100及び第2熱交換部200の伝熱管20のそれぞれは、切り欠き35の開口から、該切り欠き35内に挿入されている。
ここで、第1熱交換部100のフィン30に形成された切り欠き35が、本発明の第1切り欠きに相当する。また、第2熱交換部200のフィン30に形成された切り欠き35が、本発明の第2切り欠きに相当する。
このように構成された第1熱交換部100においては、フィン30の側端部134と、伝熱管20における側端部134側の側端部21とが、X方向において略同じ位置となる。このため、フィン30の側端部133側の排水領域131を広く形成することができる。同様に、このように構成された第2熱交換部200においては、フィン30の側端部234と、伝熱管20における側端部234側の側端部21とが、X方向において略同じ位置となる。このため、フィン30の側端部233側の排水領域231を広く形成することができる。
実施の形態1〜実施の形態4で示したように、第2熱交換部200における側端部233側の排水領域231を落下する水滴の量を多くすることにより、室外熱交換器10の排水性を向上させることができる。本実施の形態5に係る室外熱交換器10は、この側端部233側の排水領域231を広く形成できるので、当該領域を落下する水滴の量を多くすることができ、排水性が向上する。
また、第1熱交換部100における側端部133側の排水領域131及び第2熱交換部200における側端部233側の排水領域231を広く形成することにより、これらの領域を落下する水滴の量が多くなるので、これらの領域を落下する水滴に作用する重力の影響によって、伝熱管20の上面22に滞留している水滴の一部をこれらの領域に導くことができる。このため、排水性がさらに向上する。
したがって、実施の形態3又は実施の形態4で示した室外熱交換器10における伝熱管20の取り付け構成を本実施の形態5のように変更することにより、実施の形態3又は実施の形態4で示した室外熱交換器10と同等又はそれ以上の排水性向上効果を得ることができる。
実施の形態6.
フィンアンドチューブ型の熱交換器には、熱交換性能を向上させるため、フィンに切り起こし片が形成される場合がある。実施の形態1〜実施の形態5で示した室外熱交換器10においても、フィン30に切り起こし片を形成することにより、熱交換性能を向上させることができる。この際、本実施の形態6のような位置に切り起こし片を形成することにより、排水性を向上させることも可能となる。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態5のいずれかと同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、本実施の形態6では、実施の形態5で示した室外熱交換器10に切り起こし片を形成した例について説明する。
図36及び図37は、本発明の実施の形態6に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。なお、図36は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。また、図37は、図4と同様に、X方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
本実施の形態6に係る第1熱交換部100のフィン30には、フィン30の一部を切り起こすことにより、複数の切り起こし片36が形成されている。これら切り起こし片36は、例えば伝熱管領域132に、上下方向に並設されている。各切り起こし片36は、フィン30の幅方向(X方向)に対し垂直、すなわち重力方向(Z方向)に延びるように形成されている。また、各切り起こし片36は、切り起こし部36a及び脚部36bによって構成されている。切り起こし部36aは、フィン30における切り起こし片36が形成されていない領域の表面から距離Shの位置に、該表面と平行に配置されている部分である。脚部36bは、フィン30における切り起こし片36が形成されていない領域の表面と、切り起こし部36aの端部とを接続する部分である。
ここで、第1熱交換部100のフィン30に形成された切り起こし片36のうち、最も下方つまり第2熱交換部200側に形成された切り起こし片36を他の切り起こし片36と区別して示したい場合、符号に「100」を加えて記載することとする。つまり、切り起こし片136と記載する。本実施の形態6においては、少なくとも切り起こし片136は、第2熱交換部200における側端部233側の排水領域231の上方に配置されている。換言すると、少なくとも切り起こし片136は、第1熱交換部100のフィン30において、第2熱交換部200の伝熱管20における側端部233側の端部よりも側端部133側となる領域に配置されている。
また、本実施の形態6に係る第2熱交換部200のフィン30にも、フィン30の一部を切り起こすことにより、第1熱交換部100と同形状の複数の切り起こし片36が形成されている。これら切り起こし片36は、例えば伝熱管領域232に、上下方向に並設されている。
切り起こし片36は、室外ファン506から供給される空気の流動方向に発達した温度境界層を分断し、新たに更新する作用を有する。換言すると、切り起こし片36は、温度境界層を薄くして、伝熱に伴う抵抗を低減する作用を有する。これにより、フィン30間の通風路を流れる空気とフィン30との間の熱伝達を促進させることができる。
切り起こし片36の切り起こし部36aと、隣り合うフィン30の表面との間には、フィンピッチ間隔FPよりも狭い隙間FPminが形成される。隙間FPminには、狭い方向に作用する毛管力が発生するため、水滴が当部に引き込まれやすい。ここで、フィン30の下端部135に至った水滴は、第1熱交換部100と第2熱交換部200とが分離している影響で、室外ファン506からの空気流れ方向であるX軸方向に広がるように、下端部135に滞留する。このため、下端部135に滞留した水滴は、第1熱交換部100の最下段に形成された切り起こし片136に引き込まれるため、当部を起点に下方へ離脱しやすくなる。
この際、本実施の形態6に係る室外熱交換器10においては、切り起こし片136は、第2熱交換部200における側端部233側の排水領域231の上方に配置されている。このため、切り起こし片136から離脱した水滴は、排水領域231を落下していく。したがって、実施の形態1〜実施の形態5で示した室外熱交換器10に対して、本実施の形態6で示した位置に切り起こし片36を形成することにより、実施の形態1〜実施の形態5で示した室外熱交換器10と同等又はそれ以上の排水性向上効果を得ることができる。
さらにまた、実施の形態1〜実施の形態5で示した室外熱交換器10に対して、本実施の形態6で示した位置に切り起こし片36を形成することにより、実施の形態1〜実施の形態5で示した室外熱交換器10の熱交換性能を向上させることもできる。
実施の形態7.
実施の形態1〜実施の形態6で示した室外熱交換器10において、第1熱交換部100のフィン30の下端部135に以下のような突部を形成することにより、排水性をさらに向上させることができる。なお、本実施の形態7において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態6のいずれかと同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、本実施の形態7では、実施の形態1で示した室外熱交換器10に突部を形成した例について説明する。
図38は、本発明の実施の形態7に係る室外熱交換器における第1熱交換部と第2熱交換部との境界部分を示す要部拡大図である。なお、図38は、図3と同様に、Y方向に室外熱交換器10を観察した際の、第1熱交換部100と第2熱交換部200との境界部分を示している。
本実施の形態7に係る室外熱交換器10は、第1熱交換部100のフィン30の下端部135に、第2熱交換部200側へ突出する突部137を有している。この突部137は、第1熱交換部100のフィン30の下端部135において、第2熱交換部200の側端部233よりも側端部133側となる位置に設けられている。つまり、突部137の下方には、第2熱交換部200が存在しない。なお、突部137は、例えば、フィン30を形成する際(切り出す際)に、該フィン30と一体に形成される(切り出される)。また例えば、突部137をフィン30とは別の部品として形成し、フィン30に当該別部品の突部137を取り付けてもよい。
フィン30の下端部135に至った水滴は、第1熱交換部100と第2熱交換部200とが分離している影響で、室外ファン506からの空気流れ方向であるX軸方向に広がるように、下端部135に滞留しやすい。このとき、下端部135に突部137を設けることにより、フィン30の下端部135に至った水滴は、突部137に導かれる。そして、突部137に導かれた水滴に作用する重力が表面張力に打ち勝つと、突部137に導かれた水滴は、突部137から離脱する。この際、突部137の下方には第2熱交換部200が存在しないので、第2熱交換部200を通ることなく、突部137から離脱した水滴を室外熱交換器10から排出することができ、水滴の排出が円滑となる。したがって、実施の形態1〜実施の形態6で示した室外熱交換器10に本実施の形態7で示した突部137を設けることにより、実施の形態1〜実施の形態6で示した室外熱交換器10排水性をさらに向上させることができる。
以上、上記の実施の形態1〜実施の形態7においては、室外ファン506から供給される空気の流れ方向に二列の熱交換器を並設して室外熱交換器10を構成し、並設された熱交換器の双方を本発明に係る熱交換器とした。これに限らず、室外ファン506から供給される空気の流れ方向に複数列の熱交換器を配置して室外熱交換器10を構成する際、並設された熱交換器のうちの一部を本発明に係る熱交換器としてもよい。この場合、最も風上側となる熱交換器を本発明に係る熱交換器にすることが好ましい。風下側の熱交換器に流入する空気は風上側の熱交換器を通過する際に除湿されるため、風下側の熱交換器は、風上側の熱交換器と比べて、水分が付着しないからである。
また、上記の実施の形態1〜実施の形態7では、本発明に係る熱交換器を室外熱交換器10として用いたが、本発明に係る熱交換器を室内熱交換器503として用いても勿論よい。室内熱交換器503に滞留する水分を減らすことで、室内ファン504の入力を削減させることができ、冷凍サイクル装置501の消費エネルギーの削減が可能となる。