ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)経路探索システムの構成:
(2)経路探索処理:
(3)他の実施形態:
(1)経路探索システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態である経路探索システムを含むナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるナビゲーションシステム10は、移動体としての車両で利用されるシステムであり、複数の利用者によって利用され得る。ナビゲーションシステム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20と、記録媒体30と通信部40とGPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。制御部20は、ROMや記録媒体30に記録されたプログラムを実行することができる。通信部40は、移動履歴解析システム100と無線通信を行うための装置である。すなわち、制御部20は、通信部40を制御することにより、任意のタイミングで移動履歴解析システム100と通信を行って、任意の情報を授受することができる。なお、本実施形態において移動履歴解析システム100は、複数の利用者の移動経路の履歴を収集し、複数の利用者の嗜好を複数の嗜好タイプに分類するシステムである。
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等の出力信号に基づいて車両の走行軌跡を特定することで車両の現在位置を取得する。GPS受信部41の出力信号は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等から特定される車両の現在位置を補正するなどのために利用される。
ユーザI/F部44は、利用者の指示を入力し、また、利用者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイやスイッチ、スピーカ等を備えている。制御部20は、ナビゲーションプログラムが実行されている過程において、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地を特定し、地図情報30bを参照して現在地を含む地図の画像を生成する。そして、制御部20は、当該画像を表示させる制御信号をユーザI/F部44の表示部に対して出力し、現在地を含む地図を表示部に表示させる。
ナビゲーションシステム10は、利用者から指示された出発地から目的地までの経路を取得し、当該経路に沿って車両を誘導するための案内を行う。当該案内を行うため、ナビゲーションシステム10の制御部20は経路探索プログラム21を実行可能である。本実施形態において制御部20は、嗜好タイプ毎の嗜好に合致した区間を含む経路を探索することが可能である。
記録媒体30には、当該経路探索等において参照可能な情報が記録される。すなわち、記録媒体30には、車両の移動過程において取得された車両の現在地の軌跡から移動経路が特定され、また、車両の移動過程における車両の動作(車速等)が特定され、履歴情報30aとして記録される。さらに、記録媒体30には、予め地図情報30bが記録される。地図情報30bは、道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、施設の位置および属性を示す施設データ等を含んでいる。さらに、リンクデータには、道路区間毎のコストを示す情報が対応づけられている。
さらに、本実施形態において、リンクデータには、各道路区間の道路の属性を示す情報が対応づけられている。道路の属性を示す情報は、道路種別と車線と道路幅と信号機に関する情報である。道路種別を示す情報は、国道、一般道、細街路、有料道路など、道路の種類を示す情報であり、有料道路の場合には、料金を算出するための情報も含まれている。車線を示す情報は、車線数を示す情報であり、片側通行、両側通行の区別とともに各方向の車線数を示す情報である。
道路幅を示す情報は、道路の幅を相対的に比較可能な情報であり、本実施形態においては、3段階(広い、狭い、通常)に道路の幅を示している。信号機に関する情報は、道路区間の端点または道路区間中に信号機が存在する場合に、その位置を示す情報を含み、信号機の構成も示している。信号機の構成を示す情報は、例えば、右左折専用の信号を示すことが可能であるか否かを示す情報等である。このような地図情報30bと同等の地図情報は、移動履歴解析システム100が備える図示しない記録媒体にも記録されている。
ナビゲーションシステム10において、利用者の嗜好に応じた経路探索を実行可能にするため、経路探索プログラム21は、嗜好取得部21aと経路探索部21bと経路表示部21cと強調表示部21dとを備えている。嗜好取得部21aは、移動経路の履歴に基づいて特定された、経路選択の嗜好を示す情報(後述する嗜好タイプを示す情報)を取得する機能を制御部20に実現させる。本実施形態において、嗜好は、複数の車両から収集された履歴情報に基づいて予め特定される。
すなわち、制御部20は、嗜好取得部21aの処理により、車両の移動過程において、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在地の軌跡を取得し、車両の移動過程で通過した移動経路を特定する。また、制御部20は、嗜好取得部21aの処理により、車速センサ42の出力信号等に基づいて、位置毎の車速の履歴を特定する。そして、制御部20は、嗜好取得部21aの処理により、移動経路の履歴と車速の履歴とを履歴情報30aとして記録媒体30に記録する。
一方、制御部20は、嗜好取得部21aの処理により、所定のタイミング(例えば、区間からの退出タイミングや目的地への到着タイミング等)において通信部40を制御し、履歴情報30aをプローブ情報として移動履歴解析システム100に対して送信する。移動履歴解析システム100においては、図示しないプログラム実行環境(CPU,ROM,RAM等)を備えており、複数の車両から送信される履歴情報30aを収集し、所定のタイミングで嗜好の解析を行う処理を実行する。嗜好の解析は、種々の手法を採用可能であり、本実施形態において移動履歴解析システム100は、1利用者に対して1個の移動経路を特定し、解析対象とする。すなわち、ナビゲーションシステム10から送信される履歴情報30aには、当該ナビゲーションシステム10の利用者が異なる日時に車両を走行させたことによって取得された異なる日時における移動経路を示す情報が含まれる。
そこで、移動履歴解析システム100は、同一の利用者(同一のナビゲーションシステム10)から送信された履歴情報30aが示す移動経路であって、利用者が利用した頻度が所定の基準以上である経路を解析対象の移動経路として取得する。すなわち、利用者が利用した頻度が所定の基準以上である経路(他の経路より利用頻度が高いと見なすことができる経路)は、利用者が嗜好によって当該経路を選択している確率が高い。従って、利用者が利用した頻度が所定の基準以上である経路を利用者の移動経路として取得することにより、信頼性の高い解析を行うことが可能になる。なお、利用者が利用した頻度が所定の基準以上である経路が複数個である場合、移動履歴解析システム100は、最も頻度が多い経路を解析対象の移動経路とみなす。
このようにして解析対象が特定されると、移動履歴解析システム100は、移動経路の特徴が類似する複数の嗜好タイプに移動経路を分類し、同一の嗜好タイプにおける共通の特徴を因子として特定することによって嗜好を定義する。具体的には、移動履歴解析システム100は、複数の利用者の移動経路の複数の特徴に基づいて、利用者毎の移動経路を、複数の特徴が類似する移動経路同士が同一の嗜好タイプになるように複数の嗜好タイプに分類する。
すなわち、複数の特徴を持つ移動経路を1個のサンプルと捉えると、利用者の嗜好が複数の特徴によって間接的に示された複数のサンプルが得られていることになる。そこで、制御部20は、解析対象として特定された移動経路を1個のサンプルと見なし、各サンプルにおける複数の特徴が類似する場合に同一の嗜好タイプとなるように各サンプルを分類することにより、得られた分類が嗜好を反映した嗜好タイプであると見なす。
移動経路の複数の特徴は、経路選択に影響を与える特徴であればよく、本実施形態においては、利用者毎の嗜好を際立たせる特徴を解析できるようにするため、移動履歴解析システム100は、基準経路の特徴と移動経路の特徴とを対比させる。具体的には、移動履歴解析システム100は、基準経路の特徴と解析対象の移動経路(複数の利用者毎の移動経路)の特徴との差を示す、複数の特徴についての差分値を取得する。
ここで、基準経路は標準的な経路(最も嗜好性が低い経路)であり、例えば、解析対象の移動経路と同一の出発地から同一の目的地までの経路の中で、最も多くの利用者が採用した経路であっても良いし、標準的なコスト(地図情報30bに含まれるコストと同等)に基づいて解析対象の移動経路と同一の出発地から同一の目的地までの経路として探索された経路であってもよい。いずれにしても、このような経路を基準経路とすれば、多くの利用者と異なる嗜好の利用者が選択した経路の特徴を際立たせることができる。解析対象の移動経路毎に基準経路が取得されると、移動履歴解析システム100は、複数の特徴項目についての特徴値を各経路について取得する。
すなわち、移動履歴解析システム100は、地図情報30bと同等の地図情報を参照し、経路における有料道路の割合、一般道の割合、平均車線数、信号機の数、経路長、所要時間、料金のそれぞれを特徴項目とし、各特徴項目についての値(特徴値と呼ぶ)を、解析対象の移動経路および基準経路について取得する。各経路の複数の特徴項目について特徴値が取得されると、移動履歴解析システム100は、特徴項目毎に移動経路の特徴値から基準経路の特徴値を減じることで、特徴項目毎に差分値を取得する処理を、解析対象の移動経路のそれぞれについて実行する。
差分値が取得されると、移動履歴解析システム100は、利用者毎の移動経路を、複数の差分値が類似する移動経路同士が同一の嗜好タイプになるように複数の嗜好タイプに分類する。すなわち、移動経路毎の差分値は、複数の特徴項目毎の差分値から構成されるため、移動履歴解析システム100は、複数の特徴項目毎の差分値を変数とした多変量解析を行うことによって、移動経路を、利用者の複数の嗜好に対応した複数の嗜好タイプに分類する。なお、多変量解析は、例えば、因子分析やクラスター分析等を採用可能であるが、ここでは、因子分析を例に説明する。
図2Bは、因子分析の概要を模式的に示す図である。同図においては、因子分析によって得られた因子が2個である場合の例を示しており、縦軸を第1因子、横軸を第2因子として複数の利用者毎の移動経路をグラフにプロットした状態を示している。同図に示すように、複数の差分値を変数とした各移動経路の因子分析が完了すると、得られた因子によってサンプルとしての移動経路を複数の嗜好タイプに分けることができる。すなわち、同図に示す例においては、因子毎に閾値T1,T2を設けると、第1因子が閾値T1以上のグループを嗜好タイプA、第2因子が閾値T2以上のグループを嗜好タイプBのように嗜好タイプを定義することができる。むろん、第1因子、第2因子が閾値T1,T2より小さいグループを嗜好タイプCと定義しても良い。
いずれにしても、因子によって嗜好タイプが定義されると、各嗜好タイプを特徴づける因子(因子が強く現れるか否か)が定義された状態となる。ここで、因子は移動経路の特徴や選択理由に対応しており、例えば、「信号交差点を回避する確率が高い」「有料道路を利用する確率が高い」「基準以上の速度で移動する確率が高い」などの因子が挙げられる。そして、一般に、1個の嗜好タイプは複数の因子によって特徴づけられる(複数の因子が閾値以上であることによって1個の嗜好タイプが定義される)。以上のような因子分析が行われると、移動履歴解析システム100は、各嗜好タイプに対応する因子によって各嗜好タイプを示す情報を定義し、図示しない記録媒体に記録する。
本実施形態において、移動履歴解析システム100は、さらに、嗜好タイプ毎の複数の移動経路に基づいて、嗜好タイプ毎に経路探索のためのコストを設定する。すなわち、移動履歴解析システム100は、移動履歴解析システム100の処理によって得られた嗜好タイプ毎に道路のコストを設定することで、各嗜好タイプの嗜好を持つ利用者が選択する可能性が高い道路区間が探索結果として得られやすくなるようにする。さらに、本実施形態においてコストは、嗜好タイプ毎に設定されるとともに道路の属性毎に設定される。すなわち、移動履歴解析システム100は、道路種別、車線数および道路幅毎にコストを設定する。
コストの設定は種々の手法で実施可能であるが、本実施形態において移動履歴解析システム100は、ある嗜好タイプについての探索においては、当該嗜好タイプに分類された複数の移動経路が探索されやすくなるように道路の属性毎のコストを算出する。すなわち、移動履歴解析システム100は、嗜好に合致した区間のコストが嗜好に合致していない区間のコストよりも小さくなるように道路の属性毎のコストを算出する。当該コストは、コストの仮設定と仮設定されたコストによる経路探索と評価(解析対象の嗜好タイプに分類された移動経路が探索される可能性が高いほど良い評価とする)を繰り返す等して算出可能である。コストが算出されると、移動履歴解析システム100は、算出されたコストと嗜好タイプとを対応づけて、嗜好タイプを示す情報とする。なお、コストは、各道路区間について定義されても良いし、嗜好タイプに応じたコストを算出するための情報(コスト算出のために標準のコストに乗じられるべき係数を示す情報等)によって定義されていても良い。
以上のように、移動履歴解析システム100は、複数の車両から送信される履歴情報30aに基づいて嗜好タイプを示す情報を生成し、記録媒体に記録して保持している。ナビゲーションシステム10の制御部20は、通信部40を制御し、任意のタイミングで移動履歴解析システム100と通信を行い、嗜好タイプを示す情報を取得することができる。
経路探索部21bは、出発地から目的地までの経路を複数の探索条件によって探索する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、地図情報30bが示すコストと嗜好タイプを示す情報に含まれるコストに基づいて経路を探索する。すなわち、本実施形態においては探索条件としてノーマルの探索条件と嗜好タイプに対応した探索条件とが存在し、経路探索部21bが使用する複数の探索条件には、嗜好に合致した経路を探索する探索条件が含まれている。
経路探索が行われる場合、制御部20は、経路探索部21bの処理により、ユーザI/F部44の入力部を制御して目的地の入力を受け付ける。また、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43の出力信号が示す現在地を出発地と見なす。そして、制御部20は、ノーマルの探索条件と嗜好タイプに対応した探索条件とによって出発地から目的地までの経路を探索する。
例えば、ノーマルの探索条件で探索を行う場合、制御部20は、地図情報30bを参照し、当該地図情報30bのリンクデータが示すコストの和を最小化するように出発地から目的地までの経路を探索する。嗜好タイプに対応した探索条件を行う場合、制御部20は、各嗜好タイプを示す情報について、各嗜好タイプの嗜好に合致した経路を探索するためのコストを算出する。そして、制御部20は、算出されたコストと地図情報30bとを参照し、各嗜好タイプについて算出されたコストの和を最小化するように出発地から目的地までの経路を探索する。すなわち、各嗜好タイプについて算出されたコストは、嗜好に合致した区間のコストの値が相対的に小さくなるように定義されているため、各嗜好タイプについて算出されたコストに基づいて探索を行うと、嗜好に合致した区間が他の区間よりも選択されやすくなるように経路探索を行うことが可能である。この結果、各嗜好タイプの嗜好に合致した経路が探索される。
経路表示部21cは、探索された複数の経路をディスプレイに表示する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、経路表示部21cの処理により、経路探索部21bにて探索された複数の経路を示す情報を地図情報30bに基づいて特定する。また、制御部20は、ユーザI/F部44のディスプレイに表示されている地図上に各経路を表示するための画像を生成し、当該地図を示す画像に各経路を示す画像を重畳する。そして、制御部20が、生成した画像をユーザI/F部44のディスプレイに対して出力することにより、探索された複数の経路が地図上に表示される。なお、地図上での経路の表示態様は種々の態様を採用可能であり、本明細書では、地図上の道路に経路を示す太い線を併記する構成が想定されている。
強調表示部21dは、探索された複数の経路の中に嗜好に合致した区間が含まれる場合に当該区間を強調表示する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、嗜好取得部21aの処理によって取得された嗜好タイプを示す情報を参照し、各嗜好タイプの嗜好を特徴づける因子を特定する。そして、制御部20は、経路の探索に使用された探索条件によって探索対象とされた「嗜好に合致した区間」を強調する。このために、制御部20は、探索条件に対応する嗜好タイプの嗜好を特徴づける因子を特定し、探索条件に対応づける。例えば、タイプAの因子が因子A1,A2である場合、制御部20は、タイプAの嗜好に合致した経路の探索条件と、因子A1,A2とを対応づける。タイプBの因子が因子B1,B2,B3である場合、制御部20は、タイプBの嗜好に合致した経路の探索条件と、因子B1,B2,B3とを対応づける。
そして、制御部20は、探索された経路の中に嗜好に合致した区間が含まれるか否かを判定し、探索された経路の中に嗜好に合致した区間が含まれる場合に強調対象とする。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、各探索条件で探索された経路から各探索条件に対応づけられた因子に対応した区間を抽出し、強調対象として特定する。例えば、制御部20は、タイプAに合致した経路の探索条件で探索された経路から因子A1,A2に対応した区間を抽出し、強調対象として特定する。また、制御部20は、タイプBに合致した経路の探索条件で探索された経路から因子B1,B2,B3に対応した区間を抽出し、強調対象として特定する。なお、因子に対応した区間の抽出手法としては、種々の手法を採用可能であり、例えば、「信号交差点を回避する確率が高い」という因子であれば、制御部20が、単位距離当たりの信号交差点数が閾値よりも少ない区間を当該因子に対応した区間として抽出する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、強調態様を決定する。本実施形態において制御部20は、強調対象の区間の強調度合いを段階的に変化させる。具体的には、制御部20は、異なる因子によって同一の区間が選択される場合において、因子の数が多いほど当該区間の強調度合いを強くする。すなわち、ある因子によって強調対象として抽出された区間が異なる因子による強調対象としても抽出されていると、強調度合いが高くなる。例えば、ある区間が因子A1,A2に対応した区間である場合、当該区間の強調度合いは、因子A1に対応した区間である場合よりも強くなる。
すなわち、同一の区間の選択理由となった因子の数が多いほど、当該区間が嗜好に合致する度合いが高いといえる。そこで、制御部20は、因子の数が多いほど区間の強調度合いを強くする。この結果、区間を強調表示する際に、嗜好に合致する度合いを明示することが可能である。強調表示は、強調されていない区間との差異が明示されるような態様であれば良く、本実施形態において制御部20は、当該区間を示す線を太く表示することにより強調を行い、因子の数が多いほど線の太さを太くする。
強調度合いが決定されると、制御部20は、決定された強調度合いで強調対象の区間を強調する。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部44のディスプレイに表示されている各経路上における強調対象の区間を、決定された強調度合いで強調するための画像を生成し、各経路を示す画像に重畳する。そして、制御部20が、生成した画像をユーザI/F部44のディスプレイに対して出力することにより、強調対象の区間が強調表示される。
以上の構成によれば、移動経路の履歴に基づいて特定された経路選択の嗜好に合致した区間を強調表示することができる。従って、利用者は、移動経路から解析された嗜好に合致した区間を複数の経路で対比させることができる。この結果、利用者は、提示された区間に基づいて経路が利用者自身の嗜好に合致しているか否かを判断することが容易になり、容易に利用者の嗜好に基づいて経路を選択することが可能になる。
さらに、本実施形態において強調される区間は各経路の探索理由(嗜好を示す因子)に対応しており、ディスプレイ上に表示される複数の経路においては、各経路が探索された理由は異なるため、各経路で強調対象となる道路の特徴が異なる。すなわち、制御部20が強調表示する区間は、各経路の探索条件によって探索対象となった嗜好に合致した区間である。従って、本実施形態によれば、各経路がどのような理由で(どのような嗜好に合致することが原因となって)探索されたのかを利用者に対して明示することができる。さらに、当該経路に含まれる嗜好に合致した区間が強調表示されるため、利用者は、当該区間が自身の嗜好に合致しているか否かを判断することができる。
(2)経路探索処理:
次に上述の構成における経路探索処理を詳細に説明する。図2Aは、当該経路探索処理を示すフローチャートである。本実施形態において、経路探索処理は、利用者がユーザI/F部44の入力部によって経路探索の開始指示および目的地の指示を行った場合に実行される。経路探索処理において、制御部20は、嗜好取得部21aの処理により、嗜好タイプを示す情報を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して移動履歴解析システム100に対して嗜好タイプを示す情報の送信要求を出力する。
移動履歴解析システム100は、複数の移動体の履歴情報30aに基づいて予め嗜好を複数の嗜好タイプに分類し、各嗜好タイプを示す情報として、各嗜好タイプの利用者が自身の嗜好によって経路を選択する際の選択理由となる因子を示す情報を定義している。さらに、移動履歴解析システム100は、各嗜好タイプに対して、各嗜好タイプの嗜好で選択される経路が選択されやすくなるように定義されたコストを示す情報を対応づけている。そこで、移動履歴解析システム100は、制御部20からの送信要求に応じてこれらの情報を含む嗜好タイプを示す情報を送信する。嗜好タイプを示す情報が送信されると、制御部20は、通信部40を介して当該情報を取得し、RAMに記録する。
次に、制御部20は、経路探索部21bの処理により、嗜好タイプに対応した探索条件で経路探索を行う(ステップS105)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43の出力信号が示す現在地を出発地と見なす。そして、制御部20は、嗜好タイプに対応した探索条件によって出発地から目的地までの経路を探索する。すなわち、制御部20は、各嗜好タイプを示す情報について、各嗜好タイプの嗜好に合致した経路を探索するためのコストを算出し、当該コストと地図情報30bとを参照し、各嗜好タイプについて算出されたコストの和を最小化するように出発地から目的地までの経路を探索する。
なお、このとき、制御部20は、ノーマルの探索条件での経路探索も実行する。この場合、制御部20は、地図情報30bを参照し、当該地図情報30bのリンクデータが示すコストの和を最小化するように出発地から目的地までの経路を探索する。ここでは、ノーマルの探索条件で探索された経路を基準経路と呼ぶ。図3Aは、出発地と目的地の周辺の地図を示す図であり、出発地をS、目的地をGとして示している。このような例において、制御部20がステップS105を実行すると、出発地Sから目的地Gまでの経路を複数個探索することになる。なお、図3Aに示す例においては、太い実線によって基準経路、太い破線によって嗜好タイプAの探索条件で探索された経路、太い一点鎖線によって嗜好タイプBの探索条件で探索された経路を示している。
次に、制御部20は、経路表示部21cおよび強調表示部21dの処理により、経路の表示態様(強調態様を含む)を取得する(ステップS110)。すなわち、本実施形態において、経路の表示態様は可変であり、利用者等によって予め表示態様を決定することができる。なお、本例においては、地図において道路を示す線よりも太い線で経路を表示し、異なる経路を異なる線種で表示する表示態様が選択された状態が想定されている。また、経路を示す線の太さを段階的に太くすることによって経路内の区間が強調される強調態様が想定されている(実例は図3Bとともに後述)。
次に、制御部20は、強調表示部21dの処理により、嗜好タイプ毎の経路と基準経路とで異なる区間を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、ステップS105で取得された基準経路と他の経路(嗜好タイプ毎の経路)とを比較し、異なる区間を取得する。例えば、図3Aに示す例において、実線で示す基準経路と破線で示す嗜好タイプAの経路とが比較された場合、異なる区間として区間Z1,Z2,Z3,Z4が取得される。また、実線で示す基準経路と一点鎖線で示す嗜好タイプBの経路とが比較された場合、異なる区間として嗜好タイプBの経路の全区間が取得される。
次に、制御部20は、強調表示部21dの処理により、異なる区間の特徴を取得する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、異なる区間としてステップS115で取得された区間の特徴、すなわち、経路を構成する区間の属性(道路種別や車線数、幅等)や、区間に存在する地物(信号機)等を取得する。むろん、これらの特徴は例であり、他の特徴(例えば、道路区間内での平均車速等)が特徴として取得されても良い。
次に、制御部20は、強調表示部21dの処理により、異なる区間の特徴と嗜好を示す因子とを比較する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得された区間の特徴とステップS100で取得された嗜好を示す因子とを比較し、嗜好を示す因子に対応した特徴が存在するか否かを判定する。なお、ここで制御部20は、経路の嗜好タイプ毎の因子と特徴とを比較する。すなわち、本実施形態において、探索された経路は異なる嗜好の利用者が選択しやすい経路であり、各経路は嗜好タイプ毎の探索条件で探索される。また、因子も嗜好毎に定義されている。
従って、各経路において比較対象となる因子は、各経路の嗜好に対応した因子である。例えば、図3Aに示す嗜好タイプAの経路と基準経路とが異なる区間は区間Z1,Z2,Z3,Z4であり、嗜好はタイプAである。上述の例のように嗜好タイプAの因子が因子A1,A2である場合、制御部20は、タイプAの因子A1,A2と区間Z1,Z2,Z3,Z4の特徴とを比較する。すなわち、制御部20は、因子が示す選択理由が各区間の特徴に合致するか否かを判定する。例えば、因子が「信号交差点を回避する確率が高い」である場合、制御部20は、比較対象の区間の単位距離当たりの信号機の数を特定し、当該数が閾値より少なければ因子が示す選択理由が当該区間の特徴に合致すると判定する。
次に、制御部20は、強調表示部21dの処理により、強調度合いを決定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、ステップS115で取得された区間のそれぞれについて区間の特徴と嗜好タイプ毎の因子とを比較するが、1個の嗜好についての因子は複数個存在し得る。例えば、上述の例においては、嗜好タイプAの因子は因子A1,A2であり、2個存在する。そこで、制御部20は、1個の区間の特徴に合致する因子の数を特定する。例えば、上述の例において、区間Z1の特徴が因子A1,A2と一致しているのであれば因子の数は2個、いずれか一方のみに一致するのであれば因子の数は1個である。そして、制御部20は、因子の数が多い区間であるほど強調度合いが高くなるように強調度合いを決定する。本利においては、因子の数が多い区間であるほど経路を示す線が太くなるように強調度合いが決定される。
次に、制御部20は、経路表示部21cおよび強調表示部21dの処理により、経路を表示する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、車両の現在地を含む地図をディスプレイに表示するための画像を生成し、ステップS105で探索された経路を示す画像を重畳する。さらに、制御部20は、経路内の強調対象の区間をステップS130で決定された度合いで強調するための画像を重畳する。そして、制御部20は、生成された画像をユーザI/F部44のディスプレイに対して出力する。この結果、例えば、図3Bに示されるように、地図上の経路が太い線で示される。さらに、経路内の嗜好に合致した区間がより太い線で強調される。このとき、嗜好に合致した度合いが高いほど(因子の数が多いほど)太い線で強調される。
なお、図3Bに示す例においては、利用者が、強調対象の嗜好タイプを選択できるように構成されている。すなわち、図3Bに示す例においては、嗜好タイプを選択するためのボタンS1,S2がディスプレイ上に表示されており、利用者がタッチ操作等によっていずれかのボタンを選択することにより強調対象を選択することができる。図3Bに示す例においては、嗜好タイプAが選択された状態を示している。この場合、制御部20は、嗜好タイプAの嗜好に合致した区間を強調対象とし、嗜好タイプBの嗜好に合致した区間は強調対象としない。このため、図3Bに示されるように、嗜好タイプAの嗜好に合致した区間のみが強調表示される(区間を示す線が経路を示す線より太くなる)。
(8)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、経路選択の嗜好を示す情報に基づいて嗜好に合致した区間を強調表示する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、経路探索システムを構成する各手段は、上述の実施形態のように、1個の装置で実現されてもよいし、2個以上の装置に分かれて存在していても良い。後者としては、例えば、経路探索部21bにおける経路探索処理等が移動履歴解析システム100で実行される構成を採用可能である。むろん、図1に記載された制御部以外の制御部が各手段の一部を実行する構成であってもよい。例えば、ユーザI/F部44が備える制御部が経路表示部21cを実行する構成であっても良い。
さらに、移動経路は車両が移動した経路に限定されず、歩行者等の経路であってもよい。また、車両は自動車に限定されず、自転車等であってもよい。むろん、ナビゲーションシステム10は、車両に搭載された装置であってもよいし、可搬型の装置であってもよい。さらに、解析対象の移動経路は、同一の利用者に対して複数個定義されてもよい。例えば、同一の利用者が所定の利用頻度以上で利用する経路が複数個存在する場合に、各移動経路が解析対象となってもよい。この場合、各移動経路が異なる嗜好タイプに分類され得るため、各移動経路が選択された条件(例えば、日時、時間帯、曜日、値域、目的地等)を移動経路に対応付け、各移動経路に条件を対応づけておき、同一条件下での経路探索要求が行われた場合に嗜好タイプ分類が参照され、条件毎にコストが設定されるように構成されていても良い。この場合、条件毎の嗜好を反映した区間を強調表示することができる。むろん、同一の車両を複数の利用者で利用する場合に、各利用者についての移動経路が解析対象となってもよい。この場合、各利用者が経路探索者となった場合に、各経路探索者の嗜好タイプが区別される。
嗜好取得部は、移動経路の履歴に基づいて特定された経路選択の嗜好を示す情報を取得することができればよい。すなわち、嗜好は、移動経路の履歴に基づいて予め特定されていれば良い。嗜好は、種々の態様で解析可能であり、例えば、移動経路の特徴を特定すれば、当該特徴が経路の嗜好である(ある嗜好の利用者が当該特徴の経路を選択しやすい)と分析することができる。
移動経路の特徴は、利用者が経路選択をする際の判断要素となり得る特徴であり、移動経路を示す情報自体であってもよいし、移動経路を示す情報から生成される情報であってもよい。前者としては、例えば、移動経路を構成する道路区間の道路属性等が挙げられ、後者としては、例えば、移動経路を構成する道路区間の道路属性等が移動経路内に占める比率等が挙げられる。
移動経路の履歴は、少なくとも移動体の移動過程で選択された経路(区間)を特定可能な情報であれば良く、移動体の移動過程で移動体の現在地の軌跡が収集されるなどして特定される。移動経路の履歴は、複数回の移動の履歴であることが好ましく、多数の移動経路の履歴が収集されることによって、嗜好の精度が向上することが期待される。また、移動経路の履歴が収集される対象となる移動体は、経路探索システムの利用者が利用する移動体であっても良いし、当該利用者が利用する移動体を含めた多数の移動体であっても良い。
なお、移動経路の履歴は、少なくとも移動体の移動過程で選択された経路を含んでいれば良いが、他の情報が含まれていても良い。例えば、移動体の動作(移動速度や加速度等)が移動経路の履歴に含まれ、経路選択の嗜好の1因子として解析対象となる構成であっても良い。
嗜好は、経路選択の傾向を示していれば良く、経路探索システムの利用者自身の嗜好であっても良いし、経路選択の傾向となり得る典型的な複数の嗜好であっても良い。いずれにしても、移動経路の履歴に基づいて嗜好が予め解析され、その結果、当該嗜好を示す情報(少なくとも嗜好に合致した区間を特定可能な情報)が予め定義される。そして、経路探索システムや他の装置が備える記録媒体に記録された嗜好を示す情報を嗜好取得部が取得できるように構成される。
経路探索部は、出発地から目的地までの経路を複数の探索条件によって探索することができればよい。すなわち、経路探索部は、異なる探索条件で経路探索を行うことができればよい。経路探索は種々の態様で実現可能であり、例えば、道路区間毎にコストが対応づけられ、経路探索アルゴリズムによって最小のコストの経路が探索される構成等を採用可能である。コストは、道路区間毎に固定の値であっても良いし、動的に変化しても良い。また、異なる探索条件による経路探索も種々の態様で実現可能であり、例えば、探索条件毎にコストの重み付けが変化する構成であっても良いし、探索条件毎にコストを定義し、各探索条件に対応したコストによって経路探索が行われることによって探索条件毎の経路探索が行われる構成であっても良い。
経路表示部は、探索された複数の経路をディスプレイに表示することができればよい。すなわち、経路表示部は、探索された複数の経路を対比可能にディスプレイに表示することができればよい。ディスプレイ上では少なくとも嗜好に合致した区間が利用者に認識されるように経路が表示されれば良く、ディスプレイ上に表示された地図内で経路を構成する道路が明示されても良いし、経路が模式的に示されても良いし、文字等の情報(総距離や信号の有無、有料道路の有無)によって経路が示されてもよい。
強調表示部は、探索された複数の経路の中に嗜好に合致した区間が含まれる場合に当該区間を強調表示することができればよい。すなわち、強調表示部は、嗜好を示す情報に基づいて、探索された経路の中に嗜好に合致した区間が含まれるか否かを判定する。そして、探索された経路の中に嗜好に合致した区間が含まれる場合に、強調表示部は、利用者が当該区間を明確に認識することができるように当該区間を強調表示する。
強調表示は、強調されていない区間との差異が明示されるような態様であれば良く、例えば、強調されていない区間と異なる色や強調されていない区間より太い線等によって嗜好に合致した区間を表示する構成等を採用可能である。嗜好に合致した区間の表示態様も同様であり、例えば、探索された経路と同様の表示態様(地図内上での表示や模式的な表示、文字等による表示等)を採用可能である。いずれにしても、嗜好に合致した区間は、他の区間と区別できるように強調される。
なお、強調対象の経路は1個であっても良いし、複数個であっても良い。前者であれば、利用者は、ディスプレイに表示された特定の経路に嗜好に合致した区間が含まれるか否かを容易に判定することが可能である。後者であれば、利用者は、各経路内の嗜好に合致した区間を対比しながら経路同士を比較することが可能になる。
さらに、経路探索部が使用する複数の探索条件には、嗜好に合致した経路を探索する探索条件が含まれていてもよい。すなわち、嗜好を示す情報によって嗜好に合致した区間を特定可能であるため、当該区間が他の区間よりも選択されやすくなるように(コストが小さくなるように)定義して経路探索を行うことが可能である。このような経路探索を行う条件は、嗜好に合致した経路を探索する探索条件として予め定義され、経路探索部は当該探索条件を含む複数の探索条件で経路を探索する。むろん、この場合、経路表示部は、嗜好に合致した経路を探索する探索条件で探索された経路を、ディスプレイに表示することが好ましい。この場合、当該経路に含まれる嗜好に合致した区間が強調表示されるため、利用者は、嗜好に合致する経路として探索された経路が、実際に、自身の嗜好に合致するか否かを容易に判定することができる。
さらに、強調表示の度合いが段階的に変化しても良い。このための構成例として、嗜好が経路の選択理由を示す複数の因子によって定義され、異なる因子によって同一の区間が選択される場合において、因子の数が多いほど当該区間の強調度合いを強くするように強調表示されても良い。すなわち、経路の選択理由は1個とは限らず、多くの場合複数の選択理由の組み合わせによって嗜好の1タイプが形成される。例えば、「せっかち」な人の嗜好に合致した経路の選択理由が「信号交差点の回避」「有料道路を含む」「基準以上の速度での移動が可能であるか否か」である例等が挙げられる。
このように嗜好が複数の因子によって定義された状態においては、道路上の各区間が当該因子に合致する区間であるか否かを特定することができる。また、異なる因子によって同一の区間が選択される場合、その理由となった因子の数は異なり得る。そして、同一の区間の選択理由となった因子の数が多いほど、当該区間が嗜好に合致する度合いが高いといえる。そこで、強調表示部において、因子の数が多いほど区間の強調度合いを強くすれば、区間を強調表示する際に、嗜好に合致する度合いを明示することが可能である。
さらに、複数の移動体の移動経路の履歴に基づいて、移動経路の特徴が類似する複数の嗜好タイプに移動経路が分類され、同一の嗜好タイプにおける共通の特徴が因子として特定されることによって嗜好が定義される構成であっても良い。すなわち、多数の人間の嗜好を有限の数(例えば数個)の嗜好タイプに分類することができるという前提で嗜好の解析が行われてもよい。
移動経路の特徴は、移動経路の選択理由(因子)に関連した特徴であれば良く、経路を構成する区間の属性(道路種別や車線数、幅等)であっても良いし、区間に存在する地物(信号機)であってもよいし、経路全体に関する特徴(経路長や経路の所要時間、経路の通過に必要な料金等)であっても良い。
特徴の解析は、移動経路自体に基づいて行われても良いし、移動経路と基準経路との対比によって行われてもよい。例えば、基準経路の特徴と移動経路の特徴との差を示す、複数の特徴についての差分値を取得し、特徴と見なしても良い。基準経路は、対比されることによって利用者の嗜好を明らかにする経路として定義されていればよく、例えば、多くの利用者が選択する経路や、経路探索処理においてデフォルトで提案される経路、嗜好性の最も弱い経路等が挙げられる。
いずれにしても、複数の移動経路について特徴が特定されると、特徴が類似する移動経路同士が同一のタイプになるように複数のタイプに分類されることにより、複数の嗜好タイプを定義することができる。すなわち、移動経路毎の特徴(上述の差分値等)は、複数個存在するため、これらの複数の特徴のセットを1個の移動経路についてのサンプルと捉えることができる。そこで、特徴が類似する場合に同一タイプとなるように各サンプルを分類すれば、得られた分類が嗜好を反映した嗜好タイプであると定義することができる。
なお、サンプルを複数のタイプに分類する手法としては、種々の手法を採用可能である。例えば、複数の特徴についての値を変数とした多変量解析を行うことによって、複数の嗜好タイプが定義されても良い。なお、多変量解析は、差分値を変数とし、差分値を複数のタイプに分類することができればよく、例えば、因子分析やクラスター分析等を採用可能である。
さらに、嗜好取得部が、嗜好を示す情報として、利用者の移動経路の特徴が属する嗜好タイプを示す情報を含む情報を取得し、強調表示部が、利用者の嗜好に合致した区間を強調表示対象の区間とする構成が採用されていてもよい。すなわち、利用者の移動経路の特徴がいずれの嗜好タイプに属するのかを特定すれば、特定された嗜好タイプに利用者が属すると見なすことにより、利用者の嗜好を特定することができる。利用者の嗜好が特定された状態で、当該嗜好に合致した区間を強調表示すれば、複数の経路をディスプレイ上に表示する際に、利用者の嗜好に合致した区間を利用者に伝達することができる。
このような構成は、例えば、図1に示す構成において、制御部20が嗜好取得部21aの処理によって利用者の嗜好を特定することで実現可能である。利用者の嗜好は、記録媒体30に記録された履歴情報30aを解析する(例えば、基準経路と移動経路との差分の区間の特徴を特定する等)構成や移動履歴解析システム100によって嗜好タイプの解析が行われた後、制御部20が移動履歴解析システム100から利用者自身の移動経路が属する嗜好タイプを取得する構成等によって実現可能である。
利用者の嗜好が取得されると、制御部20は、上記実施形態と同様の構成によって探索された嗜好タイプ毎の経路から、利用者の嗜好タイプに合致した経路を選択し、さらに当該経路の中で利用者の嗜好タイプに合致した区間を強調表示する。この構成によれば、複数の経路をディスプレイ上に表示する際に、利用者の嗜好に合致した区間を利用者に伝達することができる。むろん、利用者の嗜好に合致した区間を強調表示する構成の他、利用者の嗜好に合致していない区間を強調表示する構成であっても良い。この構成によれば、利用者は、利用者の嗜好に反する経路を選択しないようにすることができ、この結果、利用者の嗜好に反しない経路を選択することができる。
さらに、経路探索部が探索に使用する複数の探索条件に、嗜好タイプ毎の嗜好に合致した経路を探索する探索条件が含まれており、経路表示部がディスプレイに表示する複数の経路に、当該嗜好タイプ毎の探索条件で探索された複数の経路が含まれており、強調表示部が強調表示する区間が、各経路の探索条件によって探索対象となった嗜好に合致した区間である構成であっても良い。すなわち、嗜好タイプ毎の嗜好に合致する経路が探索される場合、各経路が探索された理由が異なる(異なる嗜好に合致した経路となる)。そこで、強調表示部が、探索結果に含まれる区間を強調表示する際、各経路が探索された理由としての嗜好に合致した区間を強調表示する。この構成によれば、各経路がどのような理由で(どのような嗜好に合致することが原因となって)探索されたのかを利用者に対して明示することができる。
さらに、本発明のように、経路選択の嗜好を示す情報に基づいて嗜好に合致した区間を強調表示する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えたナビゲーションシステム、携帯端末や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。