以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
また、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の電極体の巻回軸方向をX軸方向と定義する。つまり、X軸方向は、集電体もしくは電極端子の並び方向、または、容器の短側面の対向方向として定義できる。また、蓄電素子の上下方向をZ軸方向と定義する。つまり、Z軸方向は、集電体の脚が延びる方向、または、容器の短側面の長手方向として定義できる。また、X軸方向及びZ軸方向と交差する方向をY軸方向と定義する。つまり、Y軸方向は、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、または、容器の厚さ方向として定義できる。
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の容器100の容器本体111を分離して蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。なお、図3では、容器本体111の図示は省略されている。
蓄電素子10は、電極体を収容する容器と、電極体に電気的に接続された電極端子と、電極端子及び前記容器の間に配置された絶縁部材とを備える蓄電素子である。本実施の形態に係る蓄電素子10は、具体的には以下のように説明される。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。特に、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、またはハイブリッド電気自動車(HEV)に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。正極端子200は上部絶縁部材125を介して蓋体110に取り付けられており、負極端子300は上部絶縁部材135を介して蓋体110に取り付けられている。容器100内方には、下部絶縁部材120及び130と、正極集電体140と、負極集電体150と、電極体160とが収容されている。
また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解液)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体160等を内部に収容後、蓋体110と容器本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び容器本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
電極体160は、極板が積層されることで形成された電極体であり、正極集電体140及び負極集電体150と電気的に接続される。本実施の形態では、電極体160は、2種類の極板である正極及び負極と、セパレータとが交互に積層されかつ巻回されることで形成されている。
正極は、アルミニウムからなる長尺帯状の金属箔(正極基材層)の表面に、正極活物質を含む合剤層が形成されたものである。負極は、銅からなる長尺帯状の金属箔(負極基材層)の表面に、負極活物質層を含む合剤層が形成されたものである。
なお、正極活物質層に用いられる正極活物質、または負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質または負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。また、セパレータとしては、例えば樹脂からなる微多孔性のシートが採用される。
このように構成された電極体160において、より具体的には、正極と負極とは、セパレータを介し、巻回軸方向に互いにずらして巻回されており、正極及び負極は、それぞれのずらされた方向の端部に、活物質が塗工されていない部分である未塗工部を有する。
具体的には、正極は、巻回軸方向の一端に、正極活物質が塗工されていない未塗工部が積層された正極側端部161を有している。また、負極は、巻回軸方向の他端に、負極活物質が塗工されていない未塗工部が積層された負極側端部162を有している。正極側端部161は正極集電体140と接合され、負極側端部162は負極集電体150と接合される。これら接合の手法に特に限定はないが、例えば超音波溶接が採用される。なお、蓄電素子10が備える電極体160の数に特に限定はなく、2以上でもよい。
正極集電体140は、電極体160の正極側に配置され、正極端子200と電極体160の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体140は、電極体160の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
正極集電体140には、貫通孔140aが形成されており、貫通孔140aに、後述の正極端子200の接続部210が挿入されることで、正極集電体140と正極端子200とが接続される。
負極集電体150は、電極体160の負極側に配置され、負極端子300と電極体160の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体150は、電極体160の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
負極集電体150には、貫通孔150aが形成されており、貫通孔150aに後述の負極端子300の接続部310が挿入されることで、負極集電体150と負極端子300とが接続される。
上部絶縁部材125は、正極端子200と蓋体110とを電気的に絶縁する部材であり、下部絶縁部材120は、正極集電体140と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材135は、負極端子300と蓋体110とを電気的に絶縁する部材であり、下部絶縁部材130は、負極集電体150と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材125、135は、例えば上部パッキンと呼ばれる場合もあり、下部絶縁部材120、130は、例えば下部パッキンと呼ばれる場合もある。つまり、本実施の形態では、上部絶縁部材125、135及び下部絶縁部材120、130は、電極端子(200または300)と容器100との間を封止する機能も有している。
なお、上部絶縁部材125、135、並びに、下部絶縁部材120、130は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の絶縁性を有する素材によって形成されている。
正極端子200は、電極体160の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体160の負極に電気的に接続された電極端子である。また、図3に示すように、正極端子200には、正極端子200と正極集電体140とを電気的に接続する接続部210が設けられている。
接続部210は、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されて、正極集電体140に接続される部材であり、例えばリベットである。つまり、正極端子200の接続部210は、上部絶縁部材125の貫通孔125a、蓋体110の貫通孔110a、下部絶縁部材120の貫通孔120a、及び正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。これにより、正極端子200は、上部絶縁部材125、下部絶縁部材120、及び正極集電体140とともに蓋体110に固定される。
また同様に、負極端子300には、負極端子300と負極集電体150とを電気的に接続する接続部310が設けられている。負極端子300の接続部310は、上部絶縁部材135の貫通孔135a、蓋体110の貫通孔110b、下部絶縁部材130の貫通孔130a、及び負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。これにより、負極端子300は、上部絶縁部材135、下部絶縁部材130、及び負極集電体150とともに蓋体110に固定される。
このように構成された蓄電素子10は、正極端子200及び負極端子300のそれぞれに、軸部と頭部とを有する締結部材の軸部を所定の位置で貫通させた状態で、当該締結部材を取り付け可能である。簡単にいうと、蓄電素子10では、電極端子(200、300)に締結部材を容易に後付することができる。これについて、図4〜図6を用いて説明する。
なお、蓄電素子10における締結部材の取り付けのための構造は、正極端子200側と、負極端子300側とで共通している。そのため、以下では正極端子200及びその周辺の構造についての説明を行い、負極端子300及びその周辺の構造についての説明は省略する。
図4は、実施の形態に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す第1の斜視図である。図5は、実施の形態に係る正極端子200の上部絶縁部材125側の外観を示す斜視図である。図6は、実施の形態に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す第2の斜視図である。具体的には、図6では、図4に示す正極端子200と導電部材500とが締結部材400によって締結された状態が図示されている。また、図4及び図6では、正極端子200に接続される外部の導電部材500の一例として、圧着端子を有するケーブルが図示されている。
図4〜図6に示すように、蓄電素子10は、電極体160に電気的に接続された正極端子200であって、軸部411と頭部412とを有する締結部材400の軸部411を所定の位置で貫通させた状態で、締結部材400を取り付け可能な正極端子200を備える。具体的には、正極端子200には、正極端子200の端面204から当該所定の位置まで形成された切欠き201であって、軸部411と頭部412とを有する締結部材400の軸部411が挿通可能な切欠き201が形成されている。切欠き201の延設方向(図4におけるX軸方向)及び軸部411の貫通方向(図4におけるZ軸方向)に交差する方向の幅(図4におけるY軸方向の幅、以下「切欠き201の横幅」という)は、軸部411の外径以上である。また、切欠き201の横幅は、頭部412の横幅よりも小さい。
蓄電素子10はさらに、正極端子200及び容器100の間に配置された絶縁部材である上部絶縁部材125を備える。また、蓄電素子10において、正極端子200は、締結部材400の頭部412が挿通可能な開口部250を有している。より詳細には、正極端子200には、切欠き201の端面204における開口に隣接して配置された、締結部材400の頭部412が切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部250が形成されている。なお、開口部250の、切欠き201の延設方向及び軸部411の貫通方向に交差する方向の幅(図4におけるY軸方向の幅、以下「開口部250の横幅」という。)は、頭部412の横幅よりも大きい。また、開口部250の横幅は、切欠き201の横幅よりも大きい。
このように、本実施の形態では、正極端子200の端面204における、切欠き201の開口に隣接する位置に、開口部250が形成されている。より詳細には、正極端子200は、開口部250から挿入された頭部412を収容可能な空間を有している。なお、この空間は、正極端子200において開口部250と連続して設けられた空間であり、開口部250の一部であるということもできる。
なお、本実施の形態に係る締結部材400は、ボルト410とナット420とで構成されており、ボルト410は、上述の軸部411と頭部412とを有している。頭部412は、軸部411の一端に設けられた、最大径が軸部411の外径よりも大きな部分であり、本実施の形態では、平面視(締結部材400の軸方向(図4におけるZ軸方向)から見た場合)において矩形の形状を有している。また、軸部411は、締結部材400における雄ネジを形成する部分であり、雌ネジが形成されたナット420と螺合する。
このように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、正極端子200に設けられた切欠き201及び開口部250を有しており、これにより、締結部材400を用いた導電部材500と正極端子200との接続を容易に行うことができる。
具体的には、図4に示すように、正極端子200の端面204の側から、切欠き201に軸部411が挿入され、かつ、開口部250に頭部412が挿入されるように、締結部材400の一部であるボルト410が、正極端子200に取り付けられる。つまり、ボルト410を、軸部411が起立した状態で、正極端子200の切欠き201に挿入することができる。言い換えると、切欠き201と開口部250とに、締結部材400の軸部411と頭部412とを、端面204から挿通させることで、締結部材400を正極端子200に取り付けることができる。
これにより、軸部411の頭部412とは反対側の端部が、正極端子200の切欠き201から上方に突出した状態で、ボルト410が正極端子200に装着される。さらに、軸部411を、外部の導電部材500に設けられた取付孔500aに貫通させ、軸部411とナット420とを螺合させて締め付けることで、導電部材500と正極端子200とが締結される。
これにより、外部の導電部材500と正極端子200とを機械的及び電気的に接続するともに、締結部材400と正極端子200とを機械的及び電気的に接続するとことができる。つまり、締結部材400を用いた締結工程により、締結部材400、正極端子200、及び、導電部材500の3者が一括して固定される。そのため、例えば、締結部材400を正極端子200に固定するための工程(例えば溶接など)を、締結部材400を用いた導電部材500と正極端子200との締結工程とは別に行う必要がない。
従って、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、締結部材400を用いた導電部材500と電極端子(上記説明では正極端子200)との接続を容易に行うことができる。
また、本実施の形態では、正極端子200に、切欠き201及び開口部250が形成されているが、このような正極端子200は、例えばプレス加工によって容易に作製することができる。つまり、切欠き201を有する正極端子200は、例えば、平板状の正極端子200の一部が切り欠かれることで形成される必要はなく、上述のプレス加工で形成されてもよく、また、例えば鋳造によって形成されてもよい。
また、上部絶縁部材125に、締結部材400の取り付けのための部位を形成する必要がないため、例えば、既存のパッキン等を、本実施の形態に係る蓄電素子10が備える上部絶縁部材125として採用することができる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10はさらに、ナット420を締める際のボルト410の回り止めのための構造を有している。
具体的には、図5に示すように、正極端子200は、頭部412と当接することで頭部412の回動を規制する規制部220を有する。規制部220は、本実施の形態では、締結部材400(ボルト410)の頭部412が収容される空間を囲む壁部であって、頭部412の側方(締結部材400の軸方向に直交する方向)に配置された壁部の少なくとも一部によって形成されている。つまり、頭部412の外形は、平面視において円形ではなく、本実施の形態では矩形であるため、軸部411と螺合するナット420が回された場合に、頭部412の側面が規制部220と当接する。これにより、頭部412が、ナット420とともに軸部411を中心として回動することが防止される。
すなわち、規制部220は、締結部材400の一部であるボルト410の回り止めとして機能する。これにより、締結部材400を用いた、導電部材500と正極端子200との締結作業が効率よく行われる。また、例えば、予定された締め付けトルクによる締結を確実に行うことが可能となる。
なお、規制部220がない場合、または、規制部220が、頭部412の回動を規制するように作用しない場合であっても、例えば、頭部412と正極端子200との間の摩擦力により、ナット420を締め付けることは可能である。しかし、ボルト410の回り止めとして機能する規制部220が設けられているほうが、例えば、上述のように、締結作業の効率化等の観点から好ましい。
また、規制部220及び頭部412は、頭部412が軸部411を中心とした回動をする場合に、規制部220が、その回動を規制するように頭部412に当接する関係にあればよい。そのため、例えば、頭部412の平面視における外形は、矩形に限定されず、矩形以外の多角形、例えば六角形であってもよく、また、楕円、長円であってもよい。
また、上部絶縁部材125は、平板状の本体の周縁に、正極端子200を囲むように設けられた壁部が設けられた構造であってもよい。この場合、例えば、壁部の、正極端子200の開口部250と対向する位置に、締結部材400の頭部412が切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部を設ける。これにより、上部絶縁部材125の壁部が、頭部412の開口部250への挿入の妨げとなることが防止される。
ここで、本実施の形態に係る正極端子200には、上述の、導電部材500を接続するための締結部材400の取り付けのための構造に加え、図4に示すように、導電部材が溶接される面である溶接面203が形成されている。
具体的には、正極端子200において、端面204から延設された切欠き201の長さは、例えば、図4に示すように正極端子200のX軸方向の長さの半分以下であり、X軸方向における残りの領域が溶接面203として扱われる。つまり、本実施の形態に係る正極端子200は、上面(Z軸方向プラス側の面)がほぼフラットに形成されているため、切欠き201が設けられた部分以外を、バスバー等の導電部材との溶接に用いることができる。
すなわち、正極端子200は、締結部材400の後付が可能あるとともに、例えばレーザー溶接等の接合に十分な平面を、溶接面203として有している。そのため、複数の蓄電素子10を並べて、これら複数の蓄電素子10を例えば1以上のバスバーを用いて直列に接続し、かつ、両端の蓄電素子10のそれぞれに、外部の導電部材500を、締結部材400を用いて接続することが可能である。これを図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態に係る蓄電装置50の基本構成を示す斜視図である。蓄電装置50は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。蓄電装置50は、例えば、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される蓄電モジュールである。なお、蓄電装置50は、複数の蓄電素子10を収容する外装体、および、複数の蓄電素子10についての充放電を制御する制御基板等の他の要素を備えてもよいが、これら他の要素についての図示は省略されている。
本実施の形態に係る蓄電装置50は、並んで配置された複数の蓄電素子10と、複数のバスバー600とを備えている。これら複数の蓄電素子10のうちの隣り合う2つの蓄電素子10の異極間はバスバー600により接続されている。つまり、当該2つの蓄電素子10のうちの一方の蓄電素子10の正極端子200と、他方の蓄電素子10の負極端子300とは、バスバー600で接続されており、その結果、これら複数の蓄電素子10は、直列に接続されている。
より詳細には、各バスバー600の両端部のそれぞれは、例えばレーザー溶接によって正極端子200または負極端子300と溶接されており、これにより、各バスバー600は、正極端子200及び負極端子300と機械的及び電気的に接続される。
また、このように直列に接続された複数の蓄電素子10のうちの、両端の蓄電素子10のそれぞれは、図7に示すように、圧着端子を有するケーブルである導電部材501または502と接続されている。
例えば、両端の蓄電素子10のうちの、図7において手前側の蓄電素子10の正極端子200には、締結部材400によって導電部材501が接続されている。また、両端の蓄電素子10のうちの、図7において奥側の蓄電素子10の負極端子300には、締結部材400によって導電部材502が接続されている。これにより、蓄電装置50は、導電部材501及び502を介して、外部の装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置50は、導電部材501及び502を介して供給される、外部の装置からの電力によって充電することができる。
このように、本実施の形態に係る蓄電装置50は、複数の蓄電素子10を備え、これら複数の蓄電素子10の各々は、締結及び溶接という互いに異なる種類の接続方法に対応可能な構造を有している。
従って、蓄電装置50は、図7に示すように、複数の蓄電素子10を1以上のバスバーで直列に接続し、かつ、両端の蓄電素子10に、外部の装置との接続に用いる導電部材(501、502)を接続する態様のほか、各種の接続態様に対応することができる。
例えば、1列に並べられた複数の蓄電素子10を、2つのバスバー600を用いて並列に接続した場合を想定する。この場合、例えば、これら複数の蓄電素子10の両端以外の1つの蓄電素子10の正極端子200に、締結部材400を用いて導電部材501を接続し、当該蓄電素子10の負極端子300に、締結部材400を用いて導電部材502を接続してもよい。このような接続態様であっても、蓄電装置50は、外部の装置との間で、導電部材501及び502を介した電力のやり取りを行うことは可能である。
つまり、蓄電装置50は、本実施の形態に係る蓄電素子10を複数備えていることで、複数の蓄電素子10の配置位置または電気的な接続態様の自由度が高い。また、例えば、図7における最も手前の蓄電素子10から導電部材501を取り外す場合、ボルト410及びナット420で構成される締結部材400を正極端子200から取り外すことができる。そのため、例えば、当該蓄電素子10を、他の蓄電装置で再利用すること等が容易である。
なお、蓄電素子10は、締結部材400を用いた導電部材と電極端子との接続を容易化する構造として、図4〜図6に示される構造以外の構造を採用してもよい。そこで、蓄電素子10における締結部材400の取り付け構造についての各種の変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
(変形例1)
図8は、実施の形態の変形例1に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す第1の斜視図である。図9は、実施の形態の変形例1に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す第2の斜視図である。
図8および図9に示す蓄電素子10aは、正極端子200と、正極端子200及び容器100の間に配置された上部絶縁部材125とを備え、正極端子200には、切欠き201が形成されている。これらの点においては、上記実施の形態に係る蓄電素子10と共通する。
本変形例に係る蓄電素子10aは、締結部材400の頭部412が切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部260が、上部絶縁部材125に形成されている。つまり、本変形例では、頭部412が挿入される開口部260が、上部絶縁部材125における、切欠き201の端面204の開口に連通する位置に配置されている。より詳細には、開口部260は、上部絶縁部材125の端面126であって、切欠き201の開口が存在する、正極端子200の端面204と同じ側(図8におけるX軸方向プラス側)の端面126に形成されている。また、正極端子200の端面204における切欠き201の開口と、上部絶縁部材125の開口部260とは、正極端子200及び上部絶縁部材125の並び方向(図8におけるZ軸方向)において隣り合い、連通している。
本実施の形態では、図9に示すように、上部絶縁部材125の上面側に形成された溝の一部によって開口部260が形成されている。つまり、上部絶縁部材125は、開口部260から挿入された頭部412を収容可能な空間を有している。なお、この空間は、上部絶縁部材125において開口部260と連続して設けられた空間であり、開口部260の一部であるということもできる。
上記構造は、正極端子200に、頭部412が挿入される開口部250(例えば図4参照)を形成する必要がないため、例えば、正極端子200が比較的に薄い場合に有用である。
また、本変形例に係る上部絶縁部材125は、例えば、図9に示すように、頭部412と当接することで頭部412の回動を規制する規制部230を有する。規制部230は、本変形例では、締結部材400(ボルト410)の頭部412が収容される空間を囲む壁部であって、頭部412の側方に配置された壁部の少なくとも一部によって形成されている。つまり、軸部411と螺合するナット420が回された場合に、頭部412の側面が規制部230と当接することで、頭部412がナット420とともに、軸部411を中心として回動することが防止される。すなわち、規制部230は、締結部材400の一部であるボルト410の回り止めとして機能する。これにより、上記実施の形態に係る規制部220と同じく、締結部材400を用いた締結作業の効率化等の効果が得られる。
なお、図9では、上部絶縁部材125は、平板状の本体に、頭部412の移動を許容する溝が設けられた形状を有しており、その溝の側壁を規制部230として機能させている。しかし、例えば、平板状の本体に、少なとも一条のリブであって、頭部412の側面と当接するリブを立てることで、当該リブを規制部230として機能させてもよい。
(変形例2)
図10は、実施の形態の変形例2に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す斜視図である。図11は、実施の形態の変形例2に係る正極端子200及びその周辺の構造を示す側面図である。具体的には、図11は、本変形例に係る蓄電素子10bをX軸方向プラス側から見た場合の、蓄電素子10bの一部を示している。
図10及び図11に示す蓄電素子10bは、正極端子200と、正極端子200及び容器100の間に配置された上部絶縁部材125とを備え、正極端子200には、切欠き201が形成されている。これらの点においては、上記実施の形態に係る蓄電素子10と共通する。
本変形例に係る蓄電素子10bは、締結部材400の頭部412が切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部が、正極端子200及び上部絶縁部材125の双方に形成されている。具体的には、正極端子200には第一開口部250aが形成され、上部絶縁部材125には、第二開口部260aが形成されており、第一開口部250aと第二開口部260aとの組み合わせにより、1つの開口部270が形成されている。
つまり、正極端子200及び上部絶縁部材125は、切欠き201の端面204における開口に隣接して配置された、締結部材400の頭部412が切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部270を有する。また、本変形例では、正極端子200が有する規制部220(図5参照)、及び、上部絶縁部材125が有する規制部230の双方を、締結部材400の一部であるボルト410の回り止めとして機能させることができる。
上記構造は、頭部412の厚みを、正極端子200及び上部絶縁部材125の厚みによって吸収することができるため、例えば、頭部412の厚みが比較的に大きい場合に有用である。また、正極端子200における第一開口部250aの、正極端子200の厚み方向(Z軸方向)の幅が比較的に小さいため、例えば、正極端子200が比較的に薄い場合に有用である。また、ボルト410の回り止めとして、金属製の正極端子200の一部(規制部220)を用いるため、例えば、樹脂製である上部絶縁部材125の規制部230のみでボルト410の回り止めを行うよりも、当該回り止めの確実性が向上される。
(その他)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、締結部材400のサイズ及び形状は、特定のサイズ及び形状に限定されない。締結部材400は、軸部411が切欠き201に挿入され、かつ、頭部412が、開口部250に挿入された場合に、軸部411の突出方向(Z軸方向プラス側)に抜け出せないサイズ及び形状であればよい。つまり、切欠き201の横幅は、開口部250の横幅よりも小さく形成されており、この構造により軸部411の突出方向への抜け止めがなされるサイズ及び形状であれば、締結部材400のサイズ、形状及び種類等に特に限定はない。このことは、上記変形例1及び2に係る、蓄電素子10a及び10bについても同じである。
また、正極端子200または負極端子300に取り付けられる締結部材は、ボルト410及びナット420によって構成される締結部材400以外であってもよい。例えば、頭部と軸部とを有するリベットが、正極端子200または負極端子300に取り付けられる締結部材として採用されてもよい。この場合であっても、例えば、リベットである締結部材を用いた締結工程(かしめ工程)により、締結部材、正極端子200、及び、導電部材500(例えば図4参照)の3者が同時に固定される。そのため、例えば、締結部材を正極端子200に固定するための工程を、締結部材400を用いた導電部材500と正極端子200との締結工程(かしめ工程)とは別に行う必要がない。
また、例えば、切欠き201は、正極端子200の、短側面側(X軸方向プラス側)の端面204から延設されているが、切欠き201の延設方向はこれに限られない。例えば、正極端子200の、負極端子300側(X軸方向マイナス側)の端面から切欠き201が延設されていてもよい。また、正極端子200の、長側面側(Y軸方向プラス側またはマイナス側)の端面から切欠き201が延設されていてもよい。
いずれの場合であっても、切欠き201の位置に応じて、頭部412の挿入用の開口部が形成されることで、締結部材400を用いた導電部材500と正極端子200との接続を容易に行わせることができる。例えば、正極端子200のサイズもしくは形状、または、締結部材400のサイズもしくは形状に応じて、切欠き201の延設方向または位置等が決定されてもよい。
また、正極端子200の溶接面203に溶接等によって接合される導電部材はバスバー600には限定されない。例えば、溶接面203と溶接可能な端子を有するケーブルが、正極端子200の溶接面203と接合される導電部材であってもよい。
また、蓄電素子10における締結部材400の取り付けのための構造は、正極端子200側と負極端子300側とで共通するとしたが、正極端子200及び負極端子300の一方のみが、例えば図4〜図6で示した締結部材400の取り付け構造を有してもよい。つまり、締結部材400の取り付けを容易化する構造は、蓄電素子10において、正極端子200側及び負極端子300側のそれぞれで独立して採用可能であるため、正極端子200側及び負極端子300側の双方が当該構造を有する必要はない。
また、例えば、締結部材400(ボルト410)の回り止めは、規制部220または230を頭部412の側面と当接させること以外の手法によって行われてもよい。
図12は、締結部材400の回り止めのための構造の別の一例を示す斜視図である。図12に示す上部絶縁部材125は、締結部材400が有する頭部412aが切欠き201の延設方向に挿通可能な開口部260を有し、かつ、開口部260よりも内方に形成されたリブ232を有する。
また、締結部材400は、ボルト410及びナット420で構成されており、ボルト410は、軸部411と、平面視における外形が円形である頭部412aとを有している。
さらに、頭部412aには、直線状の頭部溝413が形成されており、頭部412aが、開口部260から内方(X軸方向マイナス側)に移動した場合、頭部溝413をリブ232と係合させることができる。その結果、頭部412aは、リブ232によって軸部411を中心とする回動が規制される。つまり、リブ232が、締結部材400(ボルト410)の回り止めとして機能する。
上記構造では、頭部412aに設けられた直線状の頭部溝413を回り止めに利用するため、例えば、既存のマイナス溝付きのボルト(雄ネジ)を、ボルト410として採用することができる。
また、蓄電素子10が備える電極体160の構造は巻回型でなくてもよく、平板状の正極と負極とがセパレータを挟んで交互に積層された構造であってもよい。また、電極体160は、長尺帯状の正極と負極とがセパレータを挟んで蛇腹状に折り畳まれた構造であってもよい。