JP6579430B2 - 積層体およびそれを用いた包装体 - Google Patents
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Description
本発明による積層体を図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態における本発明の積層体10の断面概略図である。積層体10は、両面に電子線が照射されたポリエチレンフィルム基材1と、両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルム層2とを備えてなる。また、一実施形態において、図2に示すように、積層体10は、両面に電子線が照射されたポリエチレンフィルム基材1と、片面が電子線照射されていないポリエチレンフィルム層2とを備えてなる。このとき、電子線照射されていないポリエチレンフィルム層の面が最外面となるように積層されていることが好ましい。ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面が最外面であることにより、積層体のヒートシール性を維持することができる。また、一実施形態において、積層体は、図3に示すように、両ポリエチレンフィルム基材1と、ポリエチレンフィルム層2との間に、バリア膜3が設けられていてもよい。
本発明による積層体が備えるポリエチレンフィルム基材は、ポリエチレンおよび架橋剤を含んでなり、その両面が、電子線照射されたものである。また、このポリエチレンフィルム基材は単層であっても、複数のポリエチレンフィルムからなる積層フィルム基材であってもよい。積層体がこのようなポリエチレンフィルム基材を備えてなることにより、積層体表面の耐熱性および強度が向上し、包装体などの外層として要求される物性を満足できる。
ゲル分率(質量%)=(Z−Y)/X×100 (1)
本発明による積層体が備えるポリエチレンフィルム層は、ポリエチレンフィルムからなり、その少なくとも片面が、電子線照射されていないことを特徴とする。積層体がこのような層を備えることにより、同一材料(ポリエチレン)を使用しながら、基材と、その基材上に設けられた層とで異なる物性(例えば、強度、耐熱性、ヒートシール性など)が異なる積層体とすることができる。
本発明による積層体は、所望により、ポリエチレンフィルム基材と、ポリエチレンフィルム層との間にバリア膜を備えていてもよい。バリア膜としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウムなどの金属やアルミニウム酸化物、珪素酸化物などの無機酸化物をポリエチレンフィルム層の表面に蒸着することにより形成することができる。蒸着方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。なお、包装用材料に用いられる透明積層体からなるフィルムを製造する場合には、主に、真空蒸着法を用い、一部、プラズマ化学気相成長法も用いられる。
本発明による包装体は、上記した積層体を、両面が電子線照射されたポリエチレンフィルム基材が外側、ポリエチレンフィルム層が内側、ポリエチレンフィルム層の片面が電子線照射されてなる場合は、ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面が内側になるように二つ折にして重ね合わせて、その端部などをヒートシールすることにより製造することができる。シール方法により、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他などのヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装体を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)なども可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7125)を質量比で、4:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
電圧:110kV
電流:1mA
照射線量:650kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
実施例1において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
低密度ポリエチレン(PTT社製、商品名:LD2420H)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7311)を質量比で、3:2となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例3において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にエチレン−メチルアクリレート共重合体(アルケマ(株)製、商品名:LOTRYL18MA02)を質量比で、4:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例5において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7125)を質量比で、9:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例7において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例7と同様に積層体を得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)をインフレーション成膜し、厚さ120μmのポリエチレンフィルムを得た。
電子線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
比較例1により得られたポリエチレンフィルムの一方の面から、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EES−L−DP01、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、実施例1と同様の条件にて電子線を照射し、両面に電子線が照射されたポリエチレンフィルムを得た。
(外観評価)
実施例1〜8および比較例1〜3の各フィルムを10cm×10cmにカットしてサンプル片を3つずつ作製した。このサンプル片を、電子線を照射しなかった側の面、すなわち、ドライラミネートした直鎖状低密度ポリエチレンフィルム側が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールテスターを用いて、温度を180℃、圧力1kgf/cm2、1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。温度を190℃、200℃と変更した以外は、残り2つの各サンプル片も同様にして、ヒートシールをした。
○:200℃でヒートシールした場合であっても、表面が溶融しておらず外観上の問題がない
△:190℃でヒートシールした場合、表面が溶融しており、外観上の問題がある
×:180℃でヒートシールした場合、表面が溶融しており、外観上の問題がある
評価結果は下記の表1に示される通りであった。
また、ヒートシール後のサンプル片を15mm幅で短冊状に切り、ヒートシールしなかった両端部を引張試験機に把持し、速度300mm/分、荷重レンジ50Nの条件にて剥離強度(N/15mm)を測定した。測定結果は下記の表1に示される通りであった。
実施例1〜6および比較例1〜2の各積層体を1gとなるようにカットしてサンプル片を作製し、5gの400メッシュステンレス金網で包み、キシレン100ml中に120℃で24時間浸漬した。その後、ステンレス金網で包んだサンプル片を80℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定し、ゲル分率を求めた。
Claims (10)
- ポリエチレンフィルム基材と、ポリエチレンフィルム層と、を備えてなる積層体であって、
前記ポリエチレンフィルム基材は、両面が電子線照射されており、かつポリエチレンおよび架橋剤を含んでなり、
前記ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面が最外面となるように、前記ポリエチレンフィルム基材と、前記ポリエチレンフィルム層と、がドライラミネートされてなり、
前記ポリエチレンフィルム層は、少なくとも前記ポリエチレンフィルム基材側と反対側の面に電子線が到達していないことを特徴とする、積層体。 - 前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと他のモノマーとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の積層体。
- 前記ポリエチレンフィルム基材における架橋剤の含有量は、1〜49質量%である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記架橋剤は、スチレン系エラストマー、エチレン−アクリレート共重合体またはエチレン―アクリル酸エステル―グリシジルメタクリレートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記ポリエチレンフィルム基材が、2以上のポリエチレンフィルムからなる積層フィルム基材である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記電子線の線量が10〜2000kGyである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記電子線の加速電圧が30〜300kVである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記ポリエチレンフィルム基材のゲル分率が20〜80%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記ポリエチレンフィルム基材と、前記ポリエチレンフィルム層との間に、バリア膜をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体からなる包装体であって、前記積層体が備える前記ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面側が、ヒートシールされてなる、包装体。
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