JP6579041B2 - 電池負極用活物質、電池、電池負極用活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
〔充電〕Li+ +CX+e− →LiCX …………(1)
〔放電〕LiCX →Li+ +CX +e− …………(2)
このようなリチウムの酸化還元は非常に卑な電位で起こるため、リチウムイオン電池は非常に高い電圧を得ることができ、リチウムイオン電池の高貯蔵エネルギー密度の要因となっている。ただし、酸化還元電位が卑であることは、非常に酸化されやすいことを示しており、酸化が起こった際の発熱量も大きく、危険度も高い。また、酸化還元電位が卑であるため、リチウムは水との接触によっても酸化され、水の方は分解されて水素ガスの発生が起こる。従って水系の電解液が使用できず、有機溶媒系の電解液を使用せざるを得ないが、一般的に使用される有機溶媒系の電解液は可燃性であり、リチウムの反応性と相俟って危険性を高める原因となっている。さらに、この有機溶媒系電解液はイオン伝導性が低いため、電極とセパレータを薄長くして対向面積を増やし、電導性の低さを補う必要があるが、セパレータが薄いこともショートを起きやすくする点で危険性を増す一つの要因である。
〔充電〕H2O +e−→H(吸蔵)+OH− …………(3)
〔放電〕H(吸蔵)+OH− →H2O+e− …………(4)
水素吸蔵合金としては、希土類とニッケルの合金を主体としたものが、主に使用されている。
リチウムイオン電池の場合、反応式(1)及び(2)からわかる通り、リチウム原子1個は1個の電子しかやりとりすることができず、またリチウム原子を吸収するためのカーボンも必要であることから、電極容量が小さい。すなわち、リチウムイオン電池は、容量は小さいが、1電子当たりのエネルギー(電圧)が高いために高エネルギー密度であるタイプの電池ということになる。しかし、上述した通り、そのために負極電位は極端に卑となり、それによって安全性が損なわれる原因となっている。
ニッケル水素電池は、電圧が低いため安全性は高いが、反応式(3)及び(4)に示したように、水素原子1個はリチウム同様1個の電子しかやりとりすることができず、かつ電圧も低いため、貯蔵エネルギー密度は低い。
〔充電〕FeOOH+H2O+3e− →Fe+3OH−……(5)
〔放電〕Fe+3OH− →FeOOH+H2O+3e−……(6)
鉄は安価であり、地球上どこにでも豊富に存在する資源であり、原料供給の問題もない点では電極活物質として極めて理想的な物質である。鉄電極は水素吸蔵合金電極に比較的近い酸化還元電位を示し、ニッケル水素電池と同様にアルカリ水溶液の水系電解液を使用することができる。鉄の酸化物は、アルカリ水溶液中での溶解度が極めて低く、電解液中に溶解しないという点では電池の中で安定性が保たれる。鉄は反応式(5)及び(6)に見られる通り、1原子当たり出し入れ可能な電子が3個あり、潜在的には大きな理論容量を持つ。すなわち、電圧は高くないが、容量が大きい、理想的な負極材料となり得る条件を潜在的には備えている。
しかし、実際には、鉄または鉄化合物を電極に用いた電池は、電極が不働態化を起こす問題が有り、充放電反応に対して活性でなくなってしまうため、現状ではほとんど実用化されていない。上記の通り、鉄の酸化物はアルカリ水溶液での溶解度が低いため、鉄電極で反応式(5)及び(6)のような反応が進行するためには、プロトン、水酸化物イオン、酸素イオン、水分子のいずれかが、鉄の酸化物の固体の中で移動する必要があるが、安定で緻密な構造をとると、固体内での物質の移動速度が遅くなり、電極活性を大きく損なう不働態化を起こす。この問題は、鉄の酸化物の構造に由来する本質的な問題であり、通常の鉄あるいは鉄の酸化物の状態に留まっている限り根本的な問題の解消は難しく、本質的な改良が必要であるが、現在のところ有効な手立てが得られていない。
本発明の電池負極用活物質は、アルカリ水溶液電解液を用いた電池に用いられる電池負極用活物質であって、鉄と、一種類以上の鉄以外の金属元素を含有し、鉄以外の金属元素のうち、少なくとも一種類が、電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素であり、電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素のうち、少なくとも一種類を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体と、水酸基を有する有機ポリマーとが化学結合した、無機/有機ハイブリッド化合物を含むことを特徴とする。
また、鉄以外の金属元素としてジルコニウムを含み、水酸基を有する有機ポリマーとしてポリビニルアルコールを含み、鉄以外の金属元素としてニッケルを含み、無機/有機ハイブリッド化合物が少なくともジルコン酸化合物とポリビニルアルコールとの化学結合を含む。そして、ニッケルが鉄あるいは鉄を含む化合物に固溶している。
さらに、CuΚα線を利用した粉末X線回折法で得られた回折強度―回折角図において、鉄あるいは鉄を含む化合物のいずれの回折ピークも半値幅が1(2θ°)以上である。
そして、無機/有機ハイブリッド化合物を形成する過程を、鉄の塩及び各鉄以外の金属元素の塩と、水酸基を有する有機ポリマーを、溶媒中で混合して混合溶液を作製し、混合溶液から溶媒を除去することによって固形物を形成し、固形物をアルカリに接触させて、固形物中の鉄の塩及び各鉄以外の金属元素の塩を中和することによって行うことができる。
そして、本発明の電池負極用活物質の構成によれば、鉄あるいは鉄以外の酸化物または酸化物の誘導体が水酸基を有する有機ポリマーと化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物が形成されていることで、通常の状態の規則的結晶構造ではなく、上述した複数の金属元素を含む、非晶質あるいはナノ粒子のような微粒子の状態となり、その状態が安定的に維持される。すなわち、鉄を含む実用的な性能を持つ負極用活物質を提供することができる。
本発明の電池負極用活物質は、アルカリ水溶液電解液を用いた電池の負極用活物質であって、鉄と鉄以外の一種類以上の金属元素を含有し、鉄以外の金属元素のうち少なくとも一種類が電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素であり、電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素のうち少なくとも一種類を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体と水酸基を有する有機ポリマーが化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物を含むことを基本とする。
水は、それ自身が不燃性であり、かつ消火性もあることから、水系電解液は、可燃性の有機溶媒系の電解液よりもはるかに安全であり、水系電解液であることにより、電池の危険性がかなり低減される。
溶媒の主成分が水であれば、安全性の特長が得られるため、少量の他の溶媒が混合されていることも許容される。本発明の負極用活物質は、そのような電解液も含め、アルカリ水溶液電解液を用いた電池に使用される。
本発明の電池負極用活物質は、アルカリ水溶液の電解液を用いた電池に適用されるが、アルカリ水溶液の電解液中では、鉄は、金属、酸化物あるいは水酸化物の形で存在する。
本発明の電池負極用活物質は、また、一種類以上の鉄以外の金属元素を含有し、鉄以外の金属元素のうち少なくとも一種類が電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素である。これらの金属元素も、アルカリ水溶液の電解液中では、金属、酸化物あるいは酸化物の誘導体、主には水酸化物として存在している。
鉄と鉄以外の金属元素は、金属、酸化物あるいは酸化物の誘導体の形をとるが、それらは一つの相を形成していてもいいし、複数の相として共存していてもいい。しかし、少なくとも鉄を含む相では、鉄原子と鉄以外の金属原子が一つの相の中で共存している(固溶している)ことが望まれる。
回折強度−回折角図とは、粉末X線回折の結果として一般的に得られるものであり、回折角2θに対するX線のカウント数の関係を示すものである。物質が結晶性である場合、結晶面の規則的な積層によってX線の回折現象が起こり、結晶面の面間隔に対応するある特定の回折角においてX線のカウント数が著しく高くなり、回折強度−回折角図においてその回折角位置にシャープなピークが得られる。結晶面の積層の規則性が崩れている場合、あるいは粒子が小さく、結晶面の積層数が多くない場合、ピークは高さが低く幅の広いブロードなものとなるため、半値幅(回折ピークの頂点の高さの半分の位置でのピーク幅を2θの角度単位2θ°で表したもの)が大きくなる。また、完全なアモルファスあるいは物質が結晶を形成できないほど小さいナノ粒子などの微粒子の場合、本来その物質が結晶である場合にピークが生じるはずの回折角においても全く回折ピークが現れない。すなわち、半値幅は無限大となる。従って、半値幅は、その物質の低結晶性、アモルファスあるいはナノ粒子のような微粒子の程度を表す尺度とみなすことができ、半値幅の値が大きいほど結晶性が低く、よりアモルファス、あるいはより微粒子であることを示している。
回折強度−回折角図において、鉄あるいはそれを含む化合物のいずれの回折ピークも半値幅が1(2θ°)以上であることにより、負極用活物質は、低結晶性、アモルファスあるいはナノ粒子のような微粒子の状態となっている。
本発明において、「金属酸化物の誘導体」とは、MOx(M:金属元素)の化学式で表される金属酸化物を基本単位として含有しており、基本単位の金属酸化物を主体として他の原子、分子、イオンなどが付加した化合物全般のことを示す。例えば、水酸化物やH2Oを付加した水和物(MOx・yH2O)なども、MOxを基本単位としたものである。さらに、特性が損なわれない範囲で一部が別の元素に置換されているものや、化学量論組成からずれているもの、或いは添加物が加えられているものなども、誘導体に含まれる。
鉄の酸化物あるいは酸化物の誘導体は、電池作動時に酸化還元反応を起こすため、有機ポリマーとの結合が解消されてしまう可能性もある。しかし、本発明の電池負極用活物質には、電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素が含まれているため、その金属元素の酸化物または酸化物の誘導体が無機/有機ハイブリッド化合物を形成し続けており、無機/有機ハイブリッド化合物全体を安定的に維持する。従って、鉄を含む金属、金属酸化物あるいは金属酸化物の誘導体も、この無機/有機ハイブリッド化合物の中で微粒子の凝集・成長あるいは結晶化を阻害され続け、低結晶性、アモルファスあるいはナノ粒子のような微粒子の状態で安定的に存在することができる。
これらの条件から、無機/有機ハイブリッド化合物を形成する、鉄以外の金属元素の金属酸化物または金属酸化物の誘導体としては、ジルコン酸化合物が好適である。
ここで、ジルコン酸とは、ZrO2を基本単位とし、それがH2Oを含んでいる化合物であり、一般式ZrO2・xH2Oで表せるものであるが、ジルコン酸化合物とは、ジルコン酸及びジルコン酸の誘導体、或いはジルコン酸を主体とした化合物全般である。従って、ジルコン酸の特性が損なわれない範囲で一部別の元素が置換されているものや、化学量論組成からずれているもの、或いは添加物が加えられているものであってもいい。例えば、ジルコン酸の塩や水酸化物も、ZrO2を基本単位としたものであり、塩や水酸化物を基本とした誘導体、或いはそれを主体とした化合物も、ジルコン酸化合物に含まれる。すなわち、本発明では、鉄以外の金属元素としてジルコニウムを含むことが望ましい。
本発明の電池負極用活物質の製造方法では、鉄の塩及び各鉄以外の金属元素の塩を、水酸基を有する有機ポリマーの共存する状態でアルカリによって中和し、前記金属元素を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体が水酸基を有する有機ポリマーと化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物を形成する過程を経ることによって、電池負極用活物質を得る。
電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属酸化物または金属酸化物の誘導体は、好ましくはジルコン酸化合物であるが、ジルコニウムの塩としては、アルカリで中和されることによってジルコン酸化合物を生成し、ジルコン酸化合物と水酸基を有する有機ポリマーとの安定な無機/有機ハイブリッド化合物を生成するものであれば、どのようなものでもよい。ジルコニウム塩、オキシジルコニウム塩が使用でき、オキシ塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムあるいはそれらの水和物などが使用できる。
さらにまた、鉄以外の金属元素として、ニッケルを含むことが好ましいが、その場合は、ニッケルの塩として、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどが使用できる。
図2に示すように、先ず、原料として、ステップ1で溶媒を、ステップ2で鉄の塩を、ステップ3で鉄以外の金属元素を含む塩を、ステップ4で水酸基を有する有機ポリマーを、それぞれ準備する。
次に、ステップ5で、これらの原料を混合して、鉄の塩及びそれぞれの鉄以外の金属元素を含む塩と水酸基を有する有機ポリマーが共存する原料溶液を得る。このとき、溶媒としては、鉄の塩及びそれぞれの鉄以外の金属元素を含む塩、および水酸基を有する有機ポリマーを溶解できるものであれば、どのようなものでもよい。前述した通り、有機ポリマーの代表例はポリビニルアルコールであるが、この場合最適な溶媒は水である。
その後、ステップ8で、固形物をアルカリに接触させて、鉄または鉄以外の金属元素を含む塩を中和し、ステップ9で、鉄と鉄以外の金属元素を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体が水酸基を有する有機ポリマーと化学結合した、無機/有機ハイブリッド化合物を含んだ、電池負極用活物質を得る。この場合に、生成する鉄を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体の粒子は、有機ポリマーとの結合、あるいは隣接する鉄以外の金属元素を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体と有機ポリマーのハイブリッド化合物の生成によって、成長を阻害され、結晶化も抑えられるため、粉末X線回折法で得られた回折強度―回折角図において001面に対応する回折ピーク強度の半値幅が1(2θ°)以上であるか、回折ピークが無いものとなる。
膜状物の場合は原料溶液を平面上に流延し、その後、加熱によって溶媒を除去することで成形できる。
糸状物の場合は、例えば口の細いノズルから原料液を噴出させると同時に加熱によって溶媒を除去することで成形できる。原料液に電場を印加し糸状に飛び出させる、エレクトロスピニング法を利用することも可能である。
粉末状の場合は、原料液を噴霧すると同時に加熱して溶媒を除去する、スプレードライ法により、成形することができる。粉末状あるいは粒状に成形する場合は、溶媒を除去せず、液滴の状態でアルカリの中に浸漬する方法も可能である。
本実施例は、鉄以外の金属元素としてジルコニウムとニッケルの二種類を含む場合を示す。
塩化第一鉄四水和物6g、オキシ塩化ジルコニウム8水和物2g、硝酸ニッケル六水和物9gを水27ccに溶かしたものを、ポリビニルアルコール(重合度3,100〜3,900、ケン化度86〜90%)の10重量%水溶液10gに混合し、原料混合溶液を作製した。
次に、この原料混合溶液を、マイクロメータを用いて台座とのギャップを調節できるブレードが装着されたコーティング装置(R K Print Coat Instruments Ltd.製 Kコントロールコータ202)の平滑な台座の上に敷いた、ポリエステルフィルム上に流延した。この時、台座が65℃になるように制御しながら加熱した。原料溶液を台座の上に流延した後、すぐにギャップを0.5mmに調節したブレードを一定速度で原料溶液上を掃引して一定の厚みにならした。さらに、そのまま加熱しながら放置することによって、水分を飛ばした。この操作により、鉄の塩、オキシジルコニウム塩、ニッケル塩およびポリビニルアルコールが混合された、膜状固形物が生成した。
図3Aに示すように、通常の市販のFe2O3では、結晶構造によるシャープな回折ピークが明瞭に見られる。これに対して、図3Bに示すように、本実施例の電池負極用活物質では、シャープなピークは見られなかった。通常のFe2O3の回折ピークの半値幅はいずれも1(2θ°)よりも小さいのに対し、本実施例の電池負極用活物質では回折ピークは非常にブロードで高さが低く、半値幅はいずれも1(2θ°)以上であった。
また、本実施例の電池負極用活物質の回折強度―回折角図では、導入されている鉄以外のジルコニウムおよびニッケルを含む化合物のピークはまったく見られなかった。すなわち、ジルコニウムおよびニッケルは、独立して結晶相を形成しているのではなく、原子レベルあるいは少なくともナノ粒子のような微細な粒子のレベルで固溶していることがわかる。
実施例1で作製した活物質粉末と銅粉末を同重量混合し、この混合物0.35gにポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(固形分60重量%、アルドリッチ社)0.03gを混ぜ、2cm角に裁断したスポンジ銅(伏見製薬株式会社)に充填し、10MPaの圧力でプレスし、電極とした。電極は、リードを取り付けた後に、30重量%の水酸化カリウム水溶液の満たされたビーカーの中に浸漬した。
電極は、満充電後一晩置いて1atmの吸着水素とほぼ平衡にあるとみなせる水素吸蔵合金電極(MH(1atm)と表記する)を参照極とし、ニッケル板を対極として、充放電を行った。最初は、活物質中の鉄化合物がすべてFe2O3とした場合、Fe2O3の1g当たりに対して、50mA(50mAg−1)の電流で充放電を繰り返し行った。
また、比較対照として、通常の市販のFe2O3についても同様の電極を作製し、同様の条件で充放電を行った。
図4A及び図5Aは、放電の際のカーブを示し、図4B及び図5Bは、充電の際のカーブを示している。また、図4A〜図5B中の符号は、繰り返し充放電のサイクル数を示している。
一方、図5A及び図5Bより、本実施例の電極は、通常の鉄化合物と異なり、充放電電位カーブが明らかな二段とはなっておらず、ナノ粒子あるいは非晶質の場合に予想される図1Bのように、通常の鉄化合物の二段の充放電電位が均されたような電位カーブを示している。すなわち、本発明の方法で鉄化合物の酸化還元電位を変えられる(制御できる)ことが示された。さらに、本発明の活物質では、充放電を繰り返しても容量の低下がほとんど起こらず、不働態化が起こらなくなることが示された。
また、実施例ではポリビニルアルコールを使用した無機/有機ハイブリッド化合物の例が挙げられているが、ポリビニルアルコールは炭化水素鎖に水酸基がついただけのものであり、水酸基を有する有機ポリマーのうちの最も単純な構造のものである。従って、本実施例のようにポリビニルアルコールを使用することで本発明の効果が得られたことは、水酸基を有する有機ポリマー全体についても、同様の効果が得られることを意味している。
Claims (5)
- アルカリ水溶液電解液を用いた電池に用いられる電池負極用活物質であって、
鉄と、一種類以上の鉄以外の金属元素を含有し、
前記鉄以外の金属元素のうち、少なくとも一種類が、電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素であり、
前記電池作動時に酸化還元反応を起こさない金属元素のうち、少なくとも一種類を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体と、水酸基を有する有機ポリマーとが化学結合した、無機/有機ハイブリッド化合物を含み、
前記鉄以外の金属元素としてジルコニウムを含み、前記水酸基を有する有機ポリマーとしてポリビニルアルコールを含み、前記鉄以外の金属元素としてニッケルを含み、前記無機/有機ハイブリッド化合物が少なくともジルコン酸化合物とポリビニルアルコールとの化学結合を含み、
前記ニッケルが、鉄あるいは鉄を含む化合物に固溶しており、
CuΚα線を利用した粉末X線回折法で得られた回折強度―回折角図において、鉄あるいは鉄を含む化合物のいずれの回折ピークも半値幅が1(2θ°)以上である
電池負極用活物質。 - 正極と、負極と、電解液とを少なくとも備えた電池であって、
前記電解液にアルカリ水溶液電解液が用いられ、
前記負極が請求項1に記載の電池負極用活物質を含む
電池。 - ニッケル−鉄電池、空気−鉄電池のいずれかである請求項2に記載の電池。
- 請求項1に記載の電池負極用活物質を製造する方法であって、
鉄の塩及び各前記鉄以外の金属元素の塩を、水酸基を有する有機ポリマーの共存する状態でアルカリによって中和し、前記金属元素を含む金属酸化物または金属酸化物の誘導体が、前記水酸基を有する有機ポリマーと化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物を形成する過程を経る
電池負極用活物質の製造方法。 - 前記無機/有機ハイブリッド化合物を形成する過程を、鉄の塩及び各前記鉄以外の金属元素の塩と、水酸基を有する有機ポリマーを、溶媒中で混合して混合溶液を作製し、前記混合溶液から前記溶媒を除去することによって固形物を形成し、前記固形物をアルカリに接触させて、前記固形物中の前記鉄の塩及び各前記鉄以外の金属元素の塩を中和することによって行う請求項4に記載の電池負極用活物質の製造方法。
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