図1および図2により本発明の一実施の形態について説明する。なお、図1および図2は、内容物が充填される前、つまり内容物が充填されていない状態の包装袋を示す図である。
図1および図2に示すように、包装袋10は平パウチ型の包装袋となっており、別個である表面(表面フィルム)11と裏面(裏面フィルム)12とが対向するように配置されている。また、包装袋10は、上縁13と、上縁13と対向する下縁14と、上縁13と下縁14との間で延びる第一縁(第一側縁)15と第二縁(第二側縁)16とを備えている。このうち第一縁15に沿って第一縁シール部17が設けられ、第二縁16に沿って第二縁シール部18が設けられている。さらに、下縁14に沿って下縁シール部19が設けられている。
なお、本明細書中、D1方向とは、上縁13から下縁14に向かう方向をいい、D2方向とは、第一縁15から第二縁16に向かう方向をいう。D1方向は、平面内でD2方向に直交している。本実施の形態において、第一縁15および第二縁16はそれぞれD1方向に平行に延び、上縁13および下縁14はそれぞれD2方向に平行に延びている。しかしながら、これに限らず、第一縁15および第二縁16がそれぞれD1方向に傾斜して延びていても良く、上縁13および下縁14がそれぞれD2方向に傾斜して延びていても良い。
表面11および裏面12は、第一縁15において第一縁シール部17により接合され、第二縁16において第二縁シール部18により接合され、かつ下縁14において下縁シール部19により接合されている。そして包装袋10の上縁13には、開口された開口部が形成されている。なお、包装袋10に内容物が充填された後、上縁13の開口部がシールされて上縁シール部20(仮想線)が形成される。
包装袋10の第一縁15には、第一の開封開始手段(第一のノッチ)21が設けられ、包装袋10の第二縁16には、第二の開封開始手段(第二のノッチ)22が設けられている。また、表面11(図1)には、表面11を貫通しないように表面側易開封線30が設けられ、裏面12(図2)には、裏面12を貫通しないように裏面側易開封線50が設けられている。
図1に示すように、表面側易開封線30は、第一縁15側に位置する第一の易開封線31と、第二縁16側に位置する第二の易開封線41とで構成されている。第一の易開封線31と第二の易開封線41とは、互いに交差または連結しないようにD2方向に離間して配置されている。
次に、第一の易開封線31について説明する。図1に示すように、第一の易開封線31は、第一縁15側から第二縁16側に向かって延びる第一部分32と、第一縁15に向かって突出するように形成された第二部分33と、第一部分32と第一の開封開始手段21との間に設けられた第三部分34とを含んでいる。第一部分32は、第二部分33よりも第一縁15側に配置され、第三部分34は、第一部分32よりも第一縁15側に配置されている。
第一部分32は、第一縁15側から第二縁16側に向かって直線状に形成されている。第一部分32の一端部32aは第二部分33に接続され、第一部分32の他端部32bは第三部分34に接続されている。なお、第三部分34を設けず、第一部分32を、第一の開封開始手段21に連設して配置するようにしても良い。
第二部分33は、第一部分32に連設し、且つ、交差しないように配置されている。第二部分33は、半楕円形状であり、その第一縁15側の頂点で、第一部分32の一端部32aに接続されている。すなわち第一部分32の一端部32aは、第二部分33と接続される箇所で完全に終端しており、第一部分32と第二部分33とは、互いに交差しないように配置されている。第二部分33のうち、第二縁16側の端部には、一対の開放端35が形成されている。
なお、第二部分33は、必ずしも第一部分32に連設していなくても良い。例えば、第二部分33の第一縁15側の頂点が、第一部分32の一端部32aに近接するように配置されていても良い。なお、本発明において、「XがYに近接する」とは、XとYの間の間隔が0mmより大きく10mm以下であることを意味する。
第三部分34は、第二縁16に向かって突出するように形成され、第一の開封開始手段21と近接するように配置されている。この場合、第三部分34は、V字状に形成されており、V字の頂点で第一部分32の他端部32bに接続されている。なお、第三部分34は、必ずしも第一部分32に連設していなくても良い。例えば、第三部分34の頂点が、第一部分32の他端部32bに近接するように配置されていても良い。
次に、第二の易開封線41について説明する。第二の易開封線41は、第二縁16側から第一縁15側に向かって延びる第一部分42と、第二縁16に向かって突出するように形成された第二部分43と、第一部分42と第二の開封開始手段22との間に設けられた第三部分44とを含んでいる。このうち第三部分44は、第一部分42および第二部分43よりも第二縁16側に配置されている。
第一部分42は、第二縁16側から第一縁15側に向かって直線状に形成されている。第一部分42の一端部42aは、第二部分43よりも第一縁15側に位置している。一方、第一部分42の他端部42bは、第二部分43よりも第二縁16側に位置し、第三部分44に接続されている。なお、第三部分44を設けず、第一部分42を、第二の開封開始手段22に連設して配置するようにしても良い。
第二部分43は、第一部分42と交差するように配置されている。より具体的には、第二部分43は、それぞれ楕円弧からなる上側第二部分43aと下側第二部分43bとから構成されている。上側第二部分43aと下側第二部分43bとは、上下に線対称に配置されるとともに、互いに離間して配置されている。上側第二部分43aの下端43cと下側第二部分43bの上端43dとは互いに離間しており、下端43cと上端43dとの間を第一部分42が通過している。すなわち第二部分43の上側第二部分43aおよび下側第二部分43bは、それぞれ第一部分42と近接するように配置されている。本発明において、このような場合も、第二部分43と第一部分42とが「交差」しているという。このように、第二部分43の上側第二部分43aと下側第二部分43bとが互いに離間していることにより、第二の開封開始手段22側から表面11を開封した際、誤って引き裂きが第二部分43に伝播することを抑制することができる。なお、これに限らず、第二部分43を1つの部分から構成し、第二部分43が第一部分42と十字状に交差(連設)するようにしても良い。
第二部分43は、第一部分42の最も第二縁16側の部分(他端部42b)よりも第一縁15側に位置するように配置され、かつ第一部分42の最も第一縁15側の部分(一端部42a)よりも第二縁16側に位置するように配置されている。第二部分43のうち、第一縁15側の端部には、一対の開放端45が形成されている。
第三部分44は、第一縁15に向かって突出するように形成され、第二の開封開始手段22と近接するように配置されている。この場合、第三部分44は、V字状に形成されており、V字の頂点で第一部分42の他端部42bに接続されている。なお、第三部分44は、必ずしも第一部分42に連設していなくても良い。例えば、第三部分44の頂点が、第一部分42の他端部42bに近接するように配置されていても良い。
図1に示すように、上縁13から下縁14に向かう方向において、第一の易開封線31の第二部分33の幅W1が、第二の易開封線41の第二部分43の幅W2よりも狭くなっている。なお、第一の易開封線31の第二部分33の幅W1とは、第二部分33の開放端35における上下方向距離(D1方向における距離)をいい、第二の易開封線41の第二部分43の幅W2とは、第二部分43の開放端45における上下方向距離(D1方向における距離)をいう。
図2に示すように、裏面側易開封線50は、第一縁15側に位置する第三の易開封線51と、第二縁16側に位置する第四の易開封線61と、で構成されている。第三の易開封線51と第四の易開封線61とは、互いに交差または連結しないようにD2方向に離間して配置されている。
次に、第三の易開封線51について説明する。第三の易開封線51は、第一縁15側から第二縁16側に向かって延びる第一部分52と、第一縁15に向かって突出するように形成された第二部分53と、第一部分52と第一の開封開始手段21との間に設けられた第三部分54とを含んでいる。このうち第三部分54は、第一部分52および第二部分53よりも第一縁15側に配置されている。
第一部分52は、第一縁15側から第二縁16側に向かって直線状に形成されている。第一部分52の一端部52aは、第二部分53よりも第二縁16側に位置している。一方、第一部分52の他端部52bは、第二部分53よりも第一縁15側に位置しており、第三部分54に接続されている。なお、第三部分54を設けず、第一部分52を、第二の開封開始手段22に連設して配置するようにしても良い。
第二部分53は、第一部分52と交差するように配置されている。より具体的には、第二部分53は、それぞれ楕円弧からなる上側第二部分53aと下側第二部分53bとから構成されている。上側第二部分53aと下側第二部分53bとは、上下に線対称に配置されるとともに、互いに離間して配置されている。すなわち上側第二部分53aの下端53cと下側第二部分53bの上端53dとが互いに離間しており、下端53cと上端53dとの間を第一部分52が通過している。すなわち第二部分53の上側第二部分53aおよび下側第二部分53bは、それぞれ第一部分52と近接するように配置されている。なお、これに限らず、第二部分53を1つの部分から構成し、第二部分53が第一部分52と十字状に交差(連設)するようにしても良い。
第二部分53は、第一部分52の最も第一縁15側の部分(他端部52b)よりも第二縁16側に位置するように配置され、かつ第一部分52の最も第二縁16側の部分(一端部52a)よりも第一縁15側に位置するように配置されている。第二部分53のうち、第二縁16側の端部には、一対の開放端55が形成されている。
第三部分54は、第二縁16に向かって突出するように形成され、第一の開封開始手段21と近接するように配置されている。この場合、第三部分54は、V字状に形成されており、V字の頂点で第一部分52の他端部52bに接続されている。なお、第三部分54は、必ずしも第一部分52に連設していなくても良い。例えば、第三部分54の頂点が、第一部分52の他端部52bに近接するように配置されていても良い。
次に、第四の易開封線61について説明する。第四の易開封線61は、第二縁16側から第一縁15側に向かって延びる第一部分62と、第二縁16に向かって突出するように形成された第二部分63と、第一部分62と第二の開封開始手段22との間に設けられた第三部分64とを含んでいる。第一部分62は、第二部分63よりも第二縁16側に配置され、第三部分64は、第一部分62よりも第二縁16側に配置されている。
第一部分62は、第二縁16側から第一縁15側に向かって直線状に形成されている。第一部分62の一端部62aは第二部分63に接続され、第一部分62の他端部62bは第三部分64に接続されている。なお、第三部分64を設けず、第一部分62を、第二の開封開始手段22に連設して配置するようにしても良い。
第二部分63は、第一部分62に連設し、且つ、交差しないように配置されている。第二部分63は、半楕円形状であり、その第二縁16側の頂点で、第一部分62の一端部62aに接続されている。すなわち第一部分62の一端部62aは、第二部分63と接続される箇所で完全に終端しており、第一部分62と第二部分63とは、互いに交差しないように配置されている。第二部分63のうち、第一縁15側の端部には、一対の開放端65が形成されている。
なお、第二部分63は、必ずしも第一部分62に連設していなくても良い。例えば、第二部分63の第二縁16側の頂点が、第一部分62の一端部62aに近接するように配置されていても良い。
第三部分64は、第一縁15に向かって突出するように形成され、第二の開封開始手段22と近接するように配置されている。この場合、第三部分64は、V字状に形成されており、V字の頂点で第一部分62の他端部62bに接続されている。なお、第三部分64は、必ずしも第一部分62に連設していなくても良い。例えば、第三部分64の頂点が、第一部分62の他端部62bに近接するように配置されていても良い。
図2に示すように、上縁13から下縁14に向かう方向において、第三の易開封線51の第二部分53の幅W3が、第四の易開封線61の第二部分63の幅W4よりも広くなっている。なお、第三の易開封線51の第二部分53の幅W3とは、第二部分53の開放端55における上下方向距離(D1方向における距離)をいい、第四の易開封線61の第二部分63の幅W4とは、第二部分63の開放端65における上下方向距離(D1方向における距離)をいう。
第一の易開封線31と第二の易開封線41との間の距離L1、および、第三の易開封線51と第四の易開封線61との間の距離L2は、例えば、包装袋10の第一縁15から第二縁16までの長さL3の例えば1/10〜1/2としても良く、好ましくは1/6〜1/3としても良い。なお、図1および図2において、L1=L2である。
本実施の形態において、表面側易開封線30と裏面側易開封線50とは、互いに同一の形状をもっている。すなわち、第一の易開封線31と第四の易開封線61とが互いに同一の形状をもち、第二の易開封線41と第三の易開封線51とが互いに同一の形状をもっている。また、平面方向から見て、第一の易開封線31と第三の易開封線51とが重なり合い、第二の易開封線41と第四の易開封線61とが重なり合っている。
次に図3により、表面11および裏面12の層構成について説明する。表面11および裏面12は、少なくとも基材層とシーラント層が積層された積層フィルムで構成される。
図3に示すように表面11および裏面12は、それぞれ互いに積層された基材層24Aとシーラント層24Bとを有し、基材層24Aにスリットが設けられ、このスリットにより表面側易開封線30および裏面側易開封線50が形成されている。表面11および裏面12の基材層24Aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリプロピレン(PP)などを用いることができる。また、基材層24Aは延伸されていることが好ましい。他方、表面11および裏面12のシーラント層24Bとしては、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などを用いることができる。
また、表面11および裏面12の基材層24Aとシーラント層24Bとの間に図示しない中間層が設けられていてもよい。このような中間層としては、酸素や水蒸気などのガスバリア性、遮光性、各種の機械的強度など、必要とされる性能に応じて適切なものが選択され得る。例えば、中間層として、アルミニウム箔などの金属層や、アルミニウムなどの金属または酸化アルミニウムなどの金属酸化物または酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層などを設けることができる。また中間層として、延伸ナイロンフィルムを設けてもよい。
表面側易開封線30および裏面側易開封線50は、例えば、炭酸ガスレーザーを用いて形成することができる。なお、表面11および裏面12を構成するフィルムの外面からレーザーで表面側易開封線30および裏面側易開封線50を形成した場合、図3に示すように、表面11および裏面12の断面図において、表面側易開封線30および裏面側易開封線50は、フィルムの外面から内面に向かって先細り形状となる。
表面側易開封線30および裏面側易開封線50は、基材層24Aの厚み方向の途中まで形成され、且つ、シーラント層24Bを貫通しないように形成するか、又は、基材層24Aを貫通し、且つ、シーラント層24Bを貫通しないように形成することが好ましい。また、上述した中間層が形成されている場合、表面側易開封線30および裏面側易開封線50は、中間層に達するように形成されていてもよい。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず包装袋10の製造方法について述べる。
はじめに、表面11用の積層フィルムおよび裏面12用の積層フィルムを作製する。この場合、基材層の原反を準備し、基材層を連続的に搬送させながら基材層に印刷を施す。次に帯状の基材層を連続的に搬送させながら、溶融押出ラミネート法を用いて基材層にシーラント層を積層して積層フィルムを作製する。なお、ドライラミネート法を用いて基材層にシーラント層を積層してもよい。
次に、このようにして得られた長尺状の表面11用の積層フィルムおよび裏面12用の積層フィルムを各々連続的に搬送しながら、レーザー加工することにより各積層フィルムに表面側易開封線30および裏面側易開封線50を形成する。レーザー加工の種類としては、炭酸ガスレーザーのほか、YAGレーザー、半導体レーザー、アルゴンイオンレーザー等が可能であり、特に限定するものではない。
この間、図4に示すように、表面11用の積層フィルムに表面側易開封線30を形成する。この場合、一の包装袋10に対応する表面11に形成される第二の易開封線41と、隣接する他の包装袋10に対応する表面11に形成される第一の易開封線31とが、隣接するようにレーザー加工が施される。一般に、レーザー加工装置の機構や加工時間による制約等から、一度にレーザー加工できる最大幅は制限されている。このため、第一縁15から第二縁16までの長さL3が長い包装袋においては、第一縁15から第二縁16まで連続的にレーザー加工を施すことが難しい場合がある。これに対して本実施の形態においては、第一の易開封線31と第二の易開封線41とが、互いに交差または連結しないように距離L1を空けて配置されている。このことにより、包装袋10の幅(第一縁15から第二縁16までの距離L3)の全域に亘って易開封線を形成する場合に比べて、易開封線を形成する領域を少なくすることができるため、レーザー加工を施す時間を短くすることができる。また、包装袋10の幅(第一縁15から第二縁16までの長さL3)が長い包装袋であっても、レーザー加工により第一の易開封線31と第二の易開封線41とを形成することができる。従って、包装袋10の生産性に優れる。
裏面12用の積層フィルムについても、上記と略同様にして裏面側易開封線50を形成する。
次に帯状の表面11用の積層フィルムと、帯状の裏面12用の積層フィルムとを互いのシーラント層が向き合うようにして重ね合わせながら連続的に搬送する。その後、表面11用の積層フィルムと裏面12用の積層フィルムとに対してヒートシールを施すことにより、第一縁シール部17と、第二縁シール部18と、下縁シール部19とをそれぞれ形成する。
その後、第一縁シール部17および第二縁シール部18にそれぞれ第一の開封開始手段21および第二の開封開始手段22を形成し、表面11と裏面12とを個々の包装袋毎に切断して個片化することにより、包装袋10を得ることができる。
このようにして得られた包装袋10内に上方の開口部から内容物が挿入され、包装袋10の開口部がヒートシールされて密封され、上縁シール部20が形成される。
使用にあたって、使用者は、包装袋10の第一の開封開始手段21から表面11および裏面12を切断して開封する。
この場合、表面11においては、第一の開封開始手段21から破断(開封)が開始され、表面11に第一の開封開始手段21から始まる破断線が形成される。
この破断線は、第一の易開封線31の第一部分32および第二部分33に沿って順次伝播する。次いで第二部分33の一方の開放端35から第二縁16側に向けて破断線が形成される。その後、破断線は第二の易開封線41の第二部分43、第一部分42の順に伝播していく。なお、第一の開封開始手段21から始まる破断線がD2方向と平行に伝播しない場合、破断線は、第一の易開封線31の第三部分34、第一部分32に順次伝播することになる。また、第二の易開封線41の第一部分42の他端部42bから破断線がD2方向と平行に伝播しない場合、破断線は、第二の易開封線41の第一部分42、第三部分44に順次伝播することになる。
なお、表面11においては、第一の易開封線31の第三部分34は第二縁16に向かって突出した形状となっている。これにより、仮に第一の開封開始手段21からの引き裂きが上下方向にずれた場合であっても、破断線が第三部分34から外れないようになっている。また、第二の易開封線41の第二部分43の幅W2は、第一の易開封線31の第二部分33の幅W1よりも広くなっている。これにより、第一の易開封線31の第二部分33から第二縁16に向かって引き裂きが進んだ際、破断線が仮にD2方向に平行な線から多少ずれた場合であっても、破断線が第二の易開封線41の第二部分43に接続されるようになっている。
同様に裏面12においては、第一の開封開始手段21から破断が開始され、裏面12に第一の開封開始手段21から始まる破断線が形成される。
この破断線は、第三の易開封線51の第一部分52に沿って順次伝播し、次いで第一部分52の一端部52aから第二縁16側に向けて破断線が形成される。その後、第四の易開封線61の第二部分63、第一部分62の順に伝播していく。なお、第一の開封開始手段21から始まる破断線がD2方向と平行に伝播しない場合、破断線は、第三の易開封線51の第三部分54、第一部分52に順次伝播することになる。また、第四の易開封線61の第一部分62の他端部62bから破断線がD2方向と平行に伝播しない場合、破断線は、第四の易開封線61の第一部分62、第三部分64に順次伝播することになる。
なお、裏面12においては、第三の易開封線51の第三部分54は第二縁16に向かって突出した形状となっている。これにより、仮に第一の開封開始手段21からの引き裂きが上下方向にずれた場合であっても、破断線が第三部分54から外れないようになっている。また、第四の易開封線61の第二部分63は、第二縁16に向かって凸形状になっている。これにより、第三の易開封線51の第一部分52から第二縁16に向かって引き裂きが進んだ際、破断線が仮に第一部分52に平行な線から多少ずれた場合であっても、破断線が第四の易開封線61の第二部分63に接続されるようになっている。
このようにして表面11および裏面12を破断することにより包装袋10を容易に開封することができる。
具体的には、図5に示すように、表面11側において、第一の開封開始手段21から破断が開始され、表面11に第一の開封開始手段21から始まる破断線が形成される。この時、表面11に開封縁A又は開封縁B(二点鎖線)のいずれかが形成される。
また、図6に示すように、裏面12側において、第一の開封開始手段21から破断が開始され、裏面12に第一の開封開始手段21から始まる破断線が形成される。この時、裏面12に開封縁Cが形成される。
この場合、表面11の開封縁A又はB(図5)と裏面12の開封縁C(図6)とが互いにずれ、これらの間に段差が生じるので、使用者は表面11の外方に突出する開封縁A又は裏面12の外方に突出する開封縁Cを摘まんで包装袋10を容易に開くことができる。
なお、包装袋10の第二の開封開始手段22から表面11および裏面12を切断して開封する場合についても、上記と同様である。
以上のように本実施の形態によれば、包装袋10を開封したときに、表面11側の破断線と裏面12側の破断線とが互いに異なる位置に形成されるため、表面11の開封縁A又はBと裏面12側の開封縁Cとは互いに段差をもつことになる。このため外方へ突出する側の開封縁を摘んで包装袋10を容易に開封することができる。また、包装袋10の第一縁15から第二縁16に亘って開封縁を形成しやすい。従って、包装袋10の開封性に優れる。
また、本実施の形態によれば、表面側易開封線30の第一の易開封線31と第二の易開封線41とは、互いに交差または連結しないように配置され、裏面側易開封線50の第三の易開封線51と第四の易開封線61とは、互いに交差または連結しないように配置されている。このため、包装袋10の幅(第一縁15から第二縁16までの距離L3)の全域に亘って易開封線を形成する場合に比べて、易開封線を形成する領域を少なくすることができるため、レーザー加工を施す時間を短くすることができる。また、包装袋10の幅(第一縁15から第二縁16までの距離L3)が長い包装袋10であっても、レーザーを用いて易開封線を形成しやすくすることができる。従って、包装袋10の生産性に優れる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形例について説明する。以下の説明では、上述の実施の形態と同様に構成される部分については、上述の実施の形態と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
(易開封線の変形例)
上述の実施の形態では、第一〜第四の易開封線31、41、51、61が、いずれも連続線で構成される例を示したが、これに限らず、第一〜第四の易開封線31、41、51、61が点線や破線などの断続線で構成されるようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、第一〜第四の易開封線31、41、51、61の第二部分33、43、53、63が、それぞれ楕円弧形状の部分を含む場合を例にとって説明したが、第二部分33、43、53、63が第一縁15又は第二縁16に向かって突出する限りにおいて、楕円弧形状に限定されるものではない。例えば、第二部分33、43、53、63は、それぞれ円弧形状の部分、U字状の部分、またはV字状の部分を含んでいても良い。
また、上述の実施の形態では、第一〜第四の易開封線31、41、51、61の第二部分33、43、53、63の頂点が、それぞれ第一部分32、42、52、62と交差又は接続する点に一致している。しかしながらこれに限らず、第二部分33、43、53、63の頂点が、第一部分32、42、52、62と交差又は接続する点からずれていても良い。
また、上述の実施の形態では、第一〜第四の易開封線31、41、51、61の第一部分32、42、52、62は、それぞれ包装袋10の第一縁15から第二縁16に向かうD2方向に平行となっている。これにより、第一又は第二の開封開始手段21、22から引き裂きを開始した際、引き裂きが第一部分32、42、52、62に沿って、D2方向に伝播するので、表面11又は裏面12を水平に引き裂くことができる。しかしながらこれに限らず、第一部分32、42、52、62は、それぞれD2方向に対して若干傾斜していても良い。
さらに、上述の実施の形態では、表面側易開封線30と裏面側易開封線50とが、互いに同一の形状を有しているが、これに限らず、表面側易開封線30と裏面側易開封線50とが、互いに異なる形状を有していても良い。
また、上述の実施の形態において、第二部分33、63はそれぞれ略半楕円形状であり、その開放端35、65の近傍でD2方向に対して平行に延びる部分を有している。しかしながらこれに限らず、第二部分33、63は、その開口が第一縁15又は第二縁16に向かうように配置されたV字部分91と、V字部分91の一対の端部に接続され、D2方向に沿って平行な直線部分92とを連結した形状であっても良い(図7(a)参照)。あるいは、第二部分33、63は、開口が第一縁15又は第二縁16に向かうように配置された円弧部分又は楕円弧部分93と、円弧部分又は楕円弧部分93の一対の端部に接続され、D2方向に沿って平行な直線部分94とを連結した形状であっても良い(図7(b)参照)。なお、直線部分92、94は必ずしもD2方向に沿って平行でなくてもよく、それぞれD2方向に対して若干傾斜していても良い。
(包装袋の変形例)
上述の実施の形態では、内容物が充填される前に第一縁シール部17、第二縁シール部18および下縁シール部19が形成され、上縁13の開口部から内容物が挿入された後、この開口部がシールされて上縁シール部20が形成される場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、内容物が充填される前に第一縁シール部17、第二縁シール部18および上縁シール部20が形成され、下縁14の開口部から内容物が挿入された後、この開口部がシールされて下縁シール部19が形成されても良い。
また、上述の実施の形態では、包装袋10は、上縁13、下縁14、第一縁15および第二縁16がいずれも直線である長方形形状である場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば包装袋10が正方形形状であっても良く、あるいは、上縁13、下縁14、第一縁15および第二縁16の一部または全部が曲線であっても良い。
さらに、上述の実施の形態において、包装袋10が平パウチ型の包装袋となっている例を示したが、これに限らず、図8に示すように、底部ガセット部23を有するガセット袋型の包装袋10であってもよい。また、上述の実施形態では、別個の表面11と裏面12を用いて包装袋10を形成する例を示したが、これに限らず、図9に示すように、一体の表面11と裏面12を用いて三方シール袋型の包装袋10を形成するようにしてもよい。この場合、下縁シール部19を設けないようにしてもよい。
(再封止手段が設けられる例)
また表面11に設けられた表面側易開封線30および裏面12に設けられた裏面側易開封線50のうち、最も下方の易開封線より下方に再封止手段25を設けてもよい。図10に、上述の実施の形態による包装袋10に再封止手段25を設けた例を示す。図10において、再封止手段25は、表面側易開封線30および裏面側易開封線50よりも下方に設けられている。そして、再封止手段25は、第一縁15から第二縁16に至るように設けられている。再封止手段25としては、例えばチャックテープを用いることができる。チャックテープは、雄型部材と雌型部材とで構成されるものであり、例えば、表面11に雄型部材を取り付け、裏面12に雌型部材を取り付けることができる。そして、包装袋10を開封した後、雄型部材と雌型部材を嵌合させることにより、包装袋10を再封することができる。この場合、内容物が充填されていない状態で、表面11および裏面12は、第一縁シール部17と第二縁シール部18と上縁シール部20とによって接合されており、内容物が充填された後、下縁シール部19がシールされる。なお、上述の例では、再封止手段25が包装袋10の第一縁15から第二縁16に至るように形成される例を示したが、再封止手段25は、少なくとも第一縁シール部17から第二縁シール部18に至るように設けられていればよい。
第一の開封開始手段21および第二の開封開始手段22としては、切欠き(ノッチ)のほか、切込みや傷痕群であってもよい。傷痕群は、例えば、表面11および裏面12を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、表面11および裏面12を貫通しないように、表面11および裏面12に形成された複数の孔を含んでいてもよい。例えば傷痕群の孔は、表面11および裏面12の基材層24Aのみを貫通し、シーラント層24Bを貫通していなくてもよい。