JP6578100B2 - 絶縁紙 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁紙に関する。
従来、絶縁性に優れたシート材は、モータやインバータ等において絶縁紙として利用されている。
絶縁紙に利用されるシート材は、異物やピンホールといった欠陥箇所が皆無であることを期待するのは難しい。
そのため、従来、複数枚のシート材を接着剤で貼り合せた積層シートを絶縁紙として用い、一方のシート材に欠陥箇所が存在しても他方のシート材の健全な箇所でこれをカバーさせて絶縁紙全体としての絶縁信頼性を確保することが広く行われている。
また、積層シートは、絶縁紙の一面側と他面側、或いは、絶縁紙の両表面とその内側とにそれぞれ別の機能を持たせる目的などからも絶縁紙として利用されている。
前記絶縁紙は、通常、ジュール熱の発生源に近い箇所で用いられるので、耐熱性に優れることが求められる。
そのため、前記接着剤は、熱が加えられた際に大きく接着力を低下させることが無いように、熱可塑性樹脂ベースのものではなく熱硬化タイプのものが広く用いられている。
この熱硬化タイプの接着剤として、低温域での接着安定性、並びに、常温域での接着性、柔軟性、加工性、及び、各種分子設計の容易さから、ポリウレタン系の接着剤が多く使われている。ポリウレタン系の接着剤としては、ポリエステルポリオールや、アクリルポリオールを主剤として、ポリイソシアネートを架橋剤として用いてこれらの反応によりウレタン結合を生成させるものや、ある程度の鎖長を有するポリウレタンを主剤とし、該主剤をイソシアネート架橋剤で硬化させたものがある。
また、ウレタン結合に代えてウレア結合を多く系内に導入させたポリウレタン−ウレア樹脂をポリウレタン樹脂の代わりに用い、更に、エポキシ樹脂を含有させた接着剤も知られている(例えば、特許文献1)
特許第4806944号公報
これらの接着剤は、一の基材上に接着剤層を形成し、一の基材と他の基材とを接着剤層で貼り合わせた後、熱によって接着剤層を硬化させて架橋構造体にすることによって基材どうしを接着させるタイプの接着剤である。
ところで、このようなタイプの接着剤は、基材どうしの積層直後においては、基材どうしの密着性に優れることが望まれ、また、接着剤層の硬化後においては、耐熱性及び接着性に優れることが望まれる。
ポリウレタン−ウレア樹脂を含有する引用文献1の接着剤は、ポリウレタン−ウレア樹脂がエポキシ樹脂で架橋されることにより耐熱性に優れるという利点を有する。
しかし、引用文献1の接着剤は、ポリウレタン−ウレア樹脂を用いることにより接着剤層が硬くなり、加工性が悪いものとなりやすいので、ポリウレタン樹脂を用いる場合に比べて、フィルム等各種材料との初期密着力に劣る傾向にある。その結果、絶縁紙の製造がし難いという問題がある。
さらに、引用文献1の接着シートでは、耐熱性として280℃のオーブンで90秒放置、260℃のハンダ浴に1分浸漬する等の短い時間での耐熱試験で耐熱性について判断しているが、より長期の耐熱性についてはこれまで十分に検討されていない。
前記のように絶縁紙は、長期間加熱状態とされることから、その耐用期間において、長期的な耐熱性が求められている。
しかしながら、上記のように接着剤の長時間の耐熱性の検討が十分になされていないため、絶縁紙についても長時間の耐熱性に改善の余地が残されている。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、長時間の耐熱性に優れ、且つ、製造しやすい絶縁紙を提供する。
本発明は、少なくとも2枚のシート材が接着剤で貼り合わされてなり、
前記接着剤が、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性接着剤であり、
前記ポリウレタン樹脂(A)が、カルボキシル基を有し、
前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、5〜30mgKOH/gである絶縁紙である。
また、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記エポキシ樹脂(B)として、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂と、3官能以上の多官能エポキシ樹脂とを含有する。
さらに、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して20〜100質量部である。
また、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記ポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が、1,000〜500,000である。
さらに、本発明に係る絶縁紙は、好ましくは、イソシアネート系架橋剤を更に含有し、
前記イソシアネート系架橋剤の含有量が、前記ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して2〜10質量部である。
また、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記シート材として、表面層を構成する第1シートと、該第1シートに前記接着剤を介して貼り合わされた第2シートとを有し、
前記第1シートが、紙状シートであり、
前記第2シートは、ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂シートである。
さらに、前記第1シート及び前記第2シートを有する絶縁紙においては、好ましくは、前記シート材として、前記第1シートが構成する表面層とは逆側の表面層を構成する第3シートをさらに有し、
前記第2シートは、該第3シートと前記第1シートとの間の中間層を構成しており、
前記第3シートは、紙状シートであり、且つ、前記接着剤によって前記第2シートに貼り合わされている。
また、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記ポリエステル樹脂シートが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂の少なくとも何れか一の樹脂を含有する。
また、前記ポリエステル樹脂シートがポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する絶縁紙においては、好ましくは、前記ポリエステル樹脂シートが、低オリゴマータイプのポリエチレンテレフタレート樹脂シートである。
さらに、本発明に係る絶縁紙においては、好ましくは、前記紙状シートが、芳香族ポリアミド繊維で形成されている。
本発明によれば、長時間の耐熱性に優れ、且つ、製造しやすい絶縁紙を提供し得る。
一実施形態に係る絶縁紙の概略断面図。 実施例及び比較例の絶縁紙及び絶縁シートの耐油試験の結果。 実施例及び比較例の絶縁紙の湿熱試験の結果。 実施例及び比較例の絶縁紙の冷熱サイクル試験の結果。 実施例及び比較例の絶縁紙の耐熱寿命試験の結果。 試験例の接着剤の硬化物の加熱重量減少率。 参考実施例2の接着剤が用いられた実施例5〜7についての絶縁紙の厚みと、比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す図。 ポリエステル系ポリウレタン樹脂を含有する接着剤が用いられた比較例8、9についての絶縁紙の厚みと、比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す図。 市販の接着剤が用いられた比較例10、11についての絶縁紙の厚みと比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本実施形態の絶縁紙は、モータ及びインバータの少なくとも何れか一方に用いられる絶縁紙である。
本明細書における「絶縁紙」との用語は、狭義の“紙”を意図するものではなく、いわゆる“不織布”などと呼ばれるものまでをも含む広義の意味で用いている。
また、本実施形態の絶縁紙は、少なくとも2枚のシート材が接着剤で貼り合わされてなる。
前記接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性接着剤である。
本明細書における「ポリウレタン樹脂」とは、「ポリウレタン−ウレア樹脂」を含む広義の「ポリウレタン樹脂」を意味するものではなく、ウレア結合を実質的に含んでいない「ポリウレタン樹脂」を意味する。
本実施形態の絶縁紙は、前記シート材として、表面層を構成する第1シートと、該第1シートに前記接着剤を介して貼り合わされた第2シートとを有する。前記第1シートは、紙状シートである。前記第2シートは、ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂シートである。
本明細書における「紙状シート」との用語は、狭義の“紙”を意図するものではなく、いわゆる“不織布”などと呼ばれるものまでをも含む広義の意味で用いている。
まず、前記接着剤の材料について説明する。
(ポリウレタン樹脂(A))
前記ポリウレタン樹脂(A)は、1分子に2以上の水酸基を有するポリオール成分(a)と、1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)とを含む反応成分をウレタン結合させて得られるものである。
前記ポリウレタン樹脂(A)は、酸価が5〜30mgKOH/g、好ましくは9〜25mgKOH/gである。
前記接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)の酸価が小さすぎると、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが反応した後での架橋密度が低くなり、硬化物が長時間の耐熱性に優れたものとなり難い。一方で、前記接着剤は、酸価が大きすぎると架橋密度が高くなりすぎて歪を発生し易くなり、柔軟性に優れたものとなり難い。
なお、ポリウレタン樹脂(A)の酸価は、ポリウレタン樹脂(A)をメチルエチルケトン(MEK)などで溶液化して、JIS K1557−5:2007の方法に従って測定したものを意味する。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)は、カルボキシル基を有する。前記カルボキシル基は、ポリオール成分(a)やポリイソシアネート成分(b)によってポリウレタン樹脂に備えさせることができる。
前記接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)がカルボキシル基を有するので、このカルボキシル基と、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基とを反応させることができ、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とを架橋反応させることができる。その結果、前記接着剤は、その硬化物が長時間の耐熱性に優れたものとなる。
なお、引用文献1では、耐熱性(耐ハンダリフロー性等)を向上させるという観点から、接着剤に無機充填剤(シリカ等)や金属充填剤(アルミニウム等)を含有させているが、前記接着剤は、無機充填剤や金属充填剤を含有しなくても、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とを架橋反応させることで、耐熱性を十分に発揮することができる。また、接着剤は、無機充填剤や金属充填剤を多く含有すると、初期密着強度が低下し得るが、前記接着剤は、無機充填剤や金属充填剤を含有しなくても、耐熱性を十分に発揮することができるので、初期密着強度及び耐熱性の双方に優れたものとしやすいものとなる。
前記カルボキシル基は、例えば、ポリオール成分(a)に、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)を含有させることでポリウレタン樹脂(A)に備えさせることができる。この場合には、ポリオール成分(a)は、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)と共に一般的なポリオール(a2)を含有することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は、1分子に2以上の水酸基を有する。
また、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は、1分子に2以上の水酸基を有するので、1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)と反応し、ポリウレタン樹脂が得られる。
カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)としては、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、それらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)やγ−カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量500未満)、酸無水物とグリセリンから誘導されるハーフエステル類、水酸基と不飽和基を含有するモノマーとカルボキシル基と不飽和基を含有するモノマーとをフリーラジカル反応により誘導される化合物などが挙げられる。これらの化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。なお、本明細書における数平均分子量は、末端官能基定量法で測定した値を意味する。
なお、以上は本発明において使用される好ましい化合物の例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示化合物のみならず、その他現在市販されていて、市場から容易に入手できる、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は、いずれも本発明に使用することができる。
これらの化合物の中で好ましいものは、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸であり、特に好ましいものは、ジメチロールプロパン酸である。
ポリウレタン樹脂(A)を生成する際、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)の使用量は、ポリウレタン樹脂(A)の酸価を5〜30mgKOH/gの範囲内となるようにする。
ポリオール(a2)は、ポリウレタン樹脂の合成の際に用いられる従来公知のポリオールを用いることができる。
ポリオール(a2)の具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)及び/又は芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸など)と、低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール,1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)と、を縮重合したものが例示される。
このようなポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールは、ポリエーテルポリオールに比べ、耐熱性に優れている。従って、ポリエステルポリオールは、耐熱性に優れた接着剤を得る上においてポリエーテルポリオールよりも有利である。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べ、耐加水分解性に優れている。従って、ポリエーテルポリオールは、耐加水分解性に優れた接着剤を得る上においてポリエステルポリオールよりも有利である。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールは、耐加水分解性、耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
ポリカーボネートポリオールの中でも、ポリヘキサメチレンカーボネートが、コストの観点や、材料としての入手のし易さから好適である。
その他のポリオールの具体例としては、ダイマージオールやその水素添加物、ポリブタジエンポリオールやその水素添加物、ポリイソプレンポリオールやその水素添加物、アクリルポリオール、エポキシポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、シロキサン変性ポリオール、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω−ポリブチルメタクリレートジオール、シロキサン変性ポリオールなどを挙げることができる。
これらのうちダイマージオールの水素添加物、ポリブタジエンポリオールの水素添加物から得られるジオールは、ポリカーボネートジオールと同様に、耐加水分解性、耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
ポリオール(a2)の数平均分子量(Mn、末端官能基定量法による)は、特に限定されないが、500〜6,000であることが好ましい。
ポリオール(a2)の数平均分子量(Mn)が大きすぎると、ウレタン結合の凝集力が発現し難くなって機械特性が低下する傾向にある。
また、結晶性ポリオールは、Mnが大きすぎると、前記接着剤を被膜化した際に被膜が白化現象を引き起こす場合があるので、単独で使用する場合には、Mnが3,000以下のものを使用するのが好ましい。
なお、ポリオール(a2)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオール成分(a)としては、上述したポリオール(a2)に加えて、必要に応じて、短鎖ジオール(a3)を用いることができる。
短鎖ジオール(a3)の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量法による数平均分子量500未満);1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上)などを挙げることができる。
なお、ポリウレタン樹脂(A)を生成する際には、ポリウレタン樹脂(A)の材料として、短鎖ジオール成分(a3)と同様に、多価アルコール系化合物を用いることもできる。多価アルコール系化合物の具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパンなどを挙げることができる。
短鎖ポリオール(a3)をポリオール(a2)と併用して用いる場合には、短鎖ポリオール(a3)が短鎖ジオールであることが好ましい。
短鎖ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが好ましく、特に好ましいのはエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールである。
これらの短鎖ジオールは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイソシアネート成分(b)としては、ポリウレタン樹脂の製造に用いられている従来公知のポリイソシアネート成分を用いることができる。
ポリイソシアネート成分(b)の具体例としては、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、それらの混合体、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDI、ジュリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソフォロンンジイソシアネート、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートと、低分子量のポリオールとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを挙げることができる。
これらポリイソシアネート成分(b)のうち、工業上安定的に廉価で耐熱性に優れる接着剤を得るといった観点からは、芳香族イソシアネートが好ましく、特に好ましいのは、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、それらの混合体、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDIである。これらのポリイソシアネート成分(b)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、引用文献1の接着剤のようにポリウレタン−ウレア樹脂を含有する接着剤の場合には、ポリウレタン−ウレア樹脂の材料として用いるポリイソシアネート成分としては、上述したような廉価なものを用いることが困難なため、コストがかかるという問題がある。
なお、ポリウレタン−ウレア樹脂を製造する際には、原料としてポリアミン類を用いるが、引用文献1の接着剤のようにポリウレタン−ウレア樹脂を含有する接着剤には、通常、ポリアミン類が微量に残存する。そして、このポリアミン類は、エポキシ樹脂と反応するので、接着剤にエポキシ樹脂が含まれる場合には、この反応により、溶液状の接着剤の安定性を著しく低下させることがあるという問題がある。
しかし、前記接着剤は、ポリウレタン−ウレア樹脂を実質上含有しないので、このような問題が生じ得ない。
(ポリウレタン樹脂(A)の製造方法)
ポリウレタン樹脂(A)は、従来公知のポリウレタンの製造方法により製造することができる。
具体的には、先ず、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下又は不存在下で、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)と、ポリオール(a2)及び、ポリイソシアネート成分(b)と、鎖伸長剤として必要に応じて用いられる短鎖ポリオール(a3)からなる反応成分を反応させてポリウレタン樹脂(A)を得る。反応成分は、一般的にはイソシアネート基と水酸基の当量比が0.8〜1.25の配合組成とすればよい。また、反応はワンショット法又は多段法により、通常20〜150℃、好ましくは60〜110℃で反応させればよい。
上記のようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000であることが、ポリウレタン樹脂の柔軟性、接着性、及び耐熱性などの特性がより有効に発揮されるために好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した値を意味する。例えば、以下の装置、条件にて測定することができる。
(1)機器装置:商品名「HLC−8020」(東ソー社製)
(2)カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
(3)溶媒:THF
(4)流速:1.0ml/min
(5)試料濃度:2g/L
(6)注入量:100μL
(7)温度:40℃
(8)検出器:型番「RI−8020」(東ソー社製)
(9)標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
本実施形態では、ポリウレタン樹脂の合成において、必要に応じて触媒を使用できる。
触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネートなどの金属と有機酸又は無機酸との塩、有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミン、ジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。前記触媒は、ポリウレタン樹脂の合成の反応を促進する。しかし、前記触媒を過剰に使用すると、ポリウレタン樹脂以外の物質を分解する分解反応を誘発するおそれがあり、その結果、得られる接着剤が、高温域での耐熱性、長期での耐熱性が劣るものとなるおそれがあるので、前記触媒を用いる場合には、前記触媒を適量用いることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は、溶剤を用いずに合成しても、有機溶剤を用いて合成してもよい。
有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤、又はイソシアネート基に対して反応成分よりも低活性な有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ−ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトンが、ポリウレタン樹脂の溶解性、接着剤の乾燥性等から好ましい。
(エポキシ樹脂(B))
前記接着剤では、エポキシ樹脂(B)の含有量が、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは30〜80質量部である。
前記接着剤は、エポキシ樹脂が少なすぎると、架橋濃度が低くなり、耐熱性能が十分とならないおそれがあり、一方で、エポキシ樹脂が多すぎると、硬化後の塗膜が歪んだり、脆くなり、ウレタン樹脂系としてのフレキシブル性が失われてしまうおそれがある。
エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂(h)と、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)とを含有することが好ましい。前記接着剤は、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂(h)を含有することにより長期の耐熱性により一層優れたものとなる。また、前記接着剤は、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)を含有することにより、架橋密度が高くなり、長期の耐熱性により一層優れたものとなる。
フェノキシ樹脂(h)としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、1分子にビスフェノールA型の骨格とビスフェノールF型の骨格とを有するフェノキシ樹脂を使用することが出来、これらを一種単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
フェノキシ樹脂(h)は、好ましくはエポキシ当量が5,000以上、更に好ましくは7,000以上である。
3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)とは、1分子にエポキシ基を3つ以上有するエポキシ樹脂である。
3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能型フェノールエポキシ樹脂等を使用できる。
具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(jER152、jER154:三菱化学製)、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(jER157S65、jER157S70:三菱化学製)、3官能フェノール型エポキシ樹脂(jER1032S50、jER1032H60)、4官能フェノール型エポキシ樹脂(jER1031S)等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記接着剤は、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂(h)100質量部に対して、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)を、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは30〜70質量部含有する。
エポキシ樹脂(B)としては、フェノキシ樹脂(h)と、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(i)とに加えて、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ゴム変性型等のエポキシ樹脂を併用することが可能である。
エポキシ樹脂(B)は、有機溶剤に溶解した状態で、ポリウレタン樹脂(A)と混合することが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ−ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトンが、エポキシ樹脂の溶解性、接着剤の乾燥性等から好ましい。
また、トルエン、メチルエチルケトンは、アルコール系の溶剤に比べて、イソシアネート基を失活し難いという観点で好ましい。
なお、引用文献1の接着剤のようにポリウレタン−ウレア樹脂を含有する接着剤の場合には、通常、アルコール系の溶剤を用いるので、アルコールによってイソシアネート基を失活させてしまう懸念がある。このイソシアネート基の失活は、ポリイソシアネート成分だけでなく、後述するようなブロックタイプのイソシアネート系架橋剤にも生じ得ることである。
前記接着剤は、イソシアネート系架橋剤を更に含有することが好ましい。
前記接着剤は、イソシアネート系架橋剤を含有することによって、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とが架橋反応するよりも早く、エポキシ樹脂の水酸基とイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基が反応し、架橋構造を形成することが出来る。
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されるものではないが、イソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体、ポリメリック体とした多官能のイソシアネート基を有するもの等、従来から使用されている公知のものを使用することができる。
例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
これらのイソシアネート系架橋剤のうち、芳香族系のものであれば、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートが好ましい。脂肪族系のものであれば、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体が好ましい。
また、イソシアネート系架橋剤としては、1分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましい。
さらに、イソシアネート系架橋剤としては、前記ポリイソシアネートの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。
イソシアネート系架橋剤の好ましい態様として、下記化合物(1)〜(8)を例示するが、これらに限定されるものではない。
イソシアネート架橋剤は、接着剤たる塗工液の可使時間との関係によりブロックタイプにすることが好ましい。
イソシアネート架橋剤をブロックタイプにするためのブロック剤としては、メタノール、フェノール、メチルエチルケトオキシム、ジメチルマロネート、3,5-ジメチルピラゾール等が好適に用いられる。
これらの中でも特に好ましいのは、メチルエチルケトオキシム、3,5-ジメチルピラゾールである。メチルエチルオキシムは、比較的低温で脱ブロック化が進行し、3,5−ジメチルピラゾールは、更に低温で脱ブロック化が進行する。
イソシアネート架橋剤は、適量であれば耐熱性や耐候性の向上に有効である。
但し、イソシアネート架橋剤の使用量が多すぎると塗膜が硬脆くなり接着剤としての性能が低下する。この為、前記接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、イソシアネート架橋剤を2〜10質量部含有することが好ましい。
前記接着剤は、必要に応じて添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、金属不活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(接着剤及びその製造方法)
以上の様にして得られたポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、必要に応じてイソシアネート架橋剤を混合することによって前記接着剤を得ることができる。
前記接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有し、前記ポリウレタン樹脂(A)が、カルボキシル基を有し、前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、5〜30mgKOH/gである。
これにより、前記接着剤は、長時間の耐熱性に優れ、且つ、密着性に優れたものとなる。
このようにして得られた前記接着剤は、プラスチックフィルム、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの接着に好適に適用される。
前記接着剤は、従来公知の塗工方法、例えば、グラビア、スプレーなど種々の塗工方法によって塗工することで、長時間の耐熱性に優れ、且つ、密着性に優れるという効果を発揮する。
塗工量については、乾燥後の厚みが1〜50μmとなるように接着剤を塗工することが好ましい。
(紙状シート)
前記絶縁紙を構成する紙状シートは、繊維が用いられて形成されている。
該紙状シートの形成に用いられる繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルスルフィド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アリレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維や、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維などの無機繊維が挙げられる。また、絹、木綿などの天然繊維や、セルロースなどの半合成繊維なども挙げられる。
なお、紙状シートは、これらの繊維の内の1種類のみが用いられたものであっても良く、これらの内の複数種類のものが混抄されたものであってもよい。
前記絶縁紙における紙状シートの厚みは、絶縁紙に高い機械的特徴を付与することができるとともに折り曲げ加工された際の保形性に優れることなどの観点から、20〜150μmが好ましく、20〜60μmがより好ましい。
前記芳香族ポリアミド繊維で形成された紙状シートとしては、電気絶縁性がより優れたものになるという観点から、全芳香族ポリアミド樹脂繊維を主たる材料とした、いわゆる、“アラミド紙”などと呼ばれる紙状シートが好ましい。
前記アラミド紙としては、フェニレンジアミンとフタル酸との縮合重合物のごとく、アミド基以外がベンゼン環で構成された樹脂材料からなる繊維(全芳香族ポリアミド繊維)を主たる構成材として形成されたシート状物を用いることができる。
前記アラミド紙は、力学的特性に優れ、曲げ加工した際に破れ難いという観点から、坪量が5g/m以上であることが好ましい。
前記アラミド紙としては、例えば、デュポン社より商品名「ノーメックスペーパー」で市販されているもの等を用いることができる。
(ポリエステル樹脂シート)
前記絶縁紙を構成するポリエステル樹脂シートのポリエステル樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂の少なくとも何れか一の樹脂を含有することが好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂シートは、低オリゴマータイプのポリエチレンテレフタレート樹脂シートであることがより好ましい。
低オリゴマータイプのポリエチレンテレフタレート樹脂シートは、オリゴマー抽出量が0.5質量%以下の低オリゴマーのものであることが好ましい。
なお、オリゴマー抽出量は、例えば、38mm×38mmの大きさのシートを139℃のキシレン20cc中で2時間煮沸し、徐冷したのちシートを取出し、該キシレン中のオリゴマー量を測定することで求められる。
前記キシレン中のオリゴマー量は、測定波長240nmの吸光度により求められ、オリゴマーの濃度と吸光度との関係について予め作成した検量線により求められる。
なお、吸光度の測定は、例えば、SHIMADZU製UV−VIS−NIR分光光度計UV−3101PCを用いることができる。
該ポリエステル樹脂シートは、含有される樹脂成分に占める前記ポリエステル樹脂が、好ましくは29〜62質量%、より好ましくは56〜76質量%である。
前記絶縁紙におけるポリエステル樹脂層の厚みは、好ましくは16〜250μm、より好ましくは25〜125μmである。
(絶縁紙及びその製造方法)
図1に示すように、前記絶縁紙1は、5層の積層構造となっている。
前記絶縁紙1は、一面側の表面層2と、他面側の表面層2’と、これらの表面層2,2’の間に設けられる中間層3とを備えている。これらの表面層2、2’の各層は、前記紙状シートで形成されている。前記中間層3は、ポリエステル樹脂シートで形成されている。
また、前記絶縁紙1は、更に、前記接着剤で形成された接着剤層4、4’を2層備えている。該絶縁紙1は、前記表面層2、2’がそれぞれ前記接着剤層4、4’を介して前記中間層3に積層されて構成されている。
前記接着剤層4、4’の各層の厚みは、1〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。
前記絶縁紙の製造方法では、まず、ポリエステル樹脂シートの両面に接着剤を塗布する。
そして、接着剤が有機溶剤を含有する場合には、加熱により有機溶剤を揮発させ、接着剤層を形成する。有機溶剤を揮発させるための加熱温度は、80〜130℃が好ましい。また、この加熱時間は、1〜10分が好ましい。
次に、形成された接着剤層の各層に紙状シートを積層させる。そして、加熱により、接着剤層に含まれるポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂とを硬化反応させることにより、前記絶縁紙を得る。この硬化反応のための加熱温度は、80〜130℃が好ましい。また、この加熱時間は、8〜24時間が好ましい。
上記製造方法により、前記絶縁紙1は、前記シート材として、表面層2を構成する第1シートと、該第1シートに前記接着剤を介して貼り合わされた第2シートと、前記第1シートが構成する表面層2とは逆側の表面層2’を構成し、前記接着剤によって前記第2シートに貼り合わされた第3シートを備えた構成となっている。前記第2シートは、第3シートと第1シートとの間の中間層3を構成している。前記第1シート及び第3シートは、紙状シートであり、前記第2シートは、ポリエステル樹脂シートである。
前記絶縁紙は、長時間の耐熱性に優れ、且つ、製造しやすい絶縁紙であるので、モータ及びインバータの少なくとも何れか一方に用いられる絶縁紙として好適に用いることができ、特に、回転電機のコアと巻線コイルとの間、又は巻線コイルどうしの間の絶縁のためのモータ用絶縁紙として好適に用いることができる。
なお、本発明に係る絶縁紙は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る絶縁紙は、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明に係る絶縁紙は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る絶縁紙は、5層の積層構造となっているが、本発明に係る絶縁紙は、前記ポリエステル樹脂シート及び前記紙状シートが接着剤を介して積層し、その後硬化反応させていれば、5層の積層構造でなくてもよく、例えば、3層の積層構造であってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例、参考実施例、および、参考比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(試験1)
<ポリウレタン樹脂(A)の合成例>
<ポリウレタン樹脂の合成例:A1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、ネオペンチルグリコール(NPG)25.3g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)4.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)98.2gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃下で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)93.2gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A1の樹脂溶液AA1を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が420dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が5.2mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A1の重量平均分子量は83,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、ネオペンチルグリコール(NPG)25.3g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)8.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)100.0gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃で4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100.8gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A2の樹脂溶液AA2を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が410dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が10.0mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A2の重量平均分子量は79,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,3−ブタンジオール15.0g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)16.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)99.0gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)96.3gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A3の樹脂溶液AA3を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が500dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が20.5mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A3の重量平均分子量は86,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A4>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,4−ブタンジオール7.0g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)22.5gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)98.4gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)86.4gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A4の樹脂溶液AA4を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が450dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が29.8mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A4の重量平均分子量は83,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A5>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,4−ブタンジオール7.0g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)22.5gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)89.6gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃でトルエン−2,4−ジイソシアネートとトルエン−2,6−ジイソシアネートとの(80/20wt%)混合体48.3gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A5の樹脂溶液AA5を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が200dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が20.9mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A5の重量平均分子量は70,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A6>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のダイマー酸ジオールの水素添加物(プリポール2033:クローダジャパン(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=542)200.0g、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)10.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)90.0gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)110.9gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A6の樹脂溶液AA6を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が300dPa・s/20℃、固形分が40%、ポリウレタン樹脂は、酸価が13.0mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A6の重量平均分子量は62,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成比較例:X1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、ネオペンチルグリコール(NPG)28.5g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)2.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)98.8gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)97.2gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂X1の樹脂溶液XX1を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が380dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が2.6mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂X1の重量平均分子量は75,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成比較例:X2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,4−ブタンジオール7.0g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)29.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)101.1gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)98.5gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂X2の樹脂溶液XX2を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が470dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン樹脂は、酸価が36.3mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂X2の重量平均分子量は85,000であった。
<ポリウレタン−ウレア樹脂の合成比較例:X3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,3−ブタンジオール5.0g、及びジメチロールプロピオン酸(DMPA)15.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてトルエン145.2gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、60℃下でイソフォロンジイソシアネート(IPDI)118.8gを仕込み、80℃で3時間反応させて反応液を得た。反応液におけるプレポリマーのNCO%を測定したところ、NCO%が4.64%であるプレポリマーが得られた。その後、反応液にトルエン303.2gを添加し、反応液の温度が30℃となるまで冷却した。
次いでイソフォロンジアミン(IPDA)45.5gを計りとり、イソプロパノールアルコール(IPA)448.4gで希釈した。次いでこのIPDAとIPAの混合液をよく撹拌した後、プレポリマーを含有する反応液に徐々に添加した。反応液の粘度が適切な状態となるまで混合液の添加を進め、IPDAとIPAの総量の90%の混合液が入ったところで、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収を確認すると、ほぼ消失していた。溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、ポリウレタン−ウレア樹脂X3の樹脂溶液XX3を得た。得られた樹脂溶液は、粘度が310dPa・s/20℃、固形分が30%、ポリウレタン−ウレア樹脂は、酸価16.3mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン−ウレア樹脂X3の重量平均分子量は76,000であった。
<エポキシ樹脂(B)の溶解例>
<エポキシ樹脂の溶解例:h1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(エポキシ当量:7,800g/eq.、jER1256:三菱化学(株)製)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。フェノキシ樹脂h1の溶解品hh1を得た。得られたフェノキシ樹脂の溶液の固形分は40%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:h2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、1分子にビスフェノールA型の骨格とビスフェノールF型の骨格とを有するフェノキシ樹脂(エポキシ当量:9,000g/eq.、jER4275:三菱化学(株)製)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。フェノキシ樹脂h2の溶解品hh2を得た。得られたフェノキシ樹脂の溶液の固形分は40%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:i1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂(3官能以上)(エポキシ当量:177g/eq.、jER154:三菱化学(株)製)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。エポキシ樹脂i1の溶解品ii1を得た。得られたエポキシ樹脂の溶液の固形分は80%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:i2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールAノボラック型のエポキシ樹脂(3官能以上)(エポキシ当量:208g/eq.、jER157S70:三菱化学(株)製)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。エポキシ樹脂i2の溶解品ii2を得た。得られたエポキシ樹脂の溶液の固形分は80%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:i3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、3官能フェノール型のエポキシ樹脂(エポキシ当量:169g/eq.、jER1032H60:三菱化学(株)製)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。エポキシ樹脂i3の溶解品ii3を得た。得られたエポキシ樹脂の溶液の固形分は80%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:i4>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、4官能フェノール型のエポキシ樹脂(エポキシ当量:200g/eq.、jER1031S:三菱化学(株)製)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。エポキシ樹脂i4の溶解品ii4を得た。得られたエポキシ樹脂の溶液の固形分は80%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:Y1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(エポキシ当量:2,850g/eq.、jER1009:三菱化学(株)製)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温し完全溶解させた。エポキシ樹脂Y1の溶解品YY1を得た。得られたエポキシ樹脂の溶液の固形分は40%であった。
<接着剤の作製>
[参考実施例の接着剤、及び参考比較例の接着剤]
前記及び後記の各種材料を使用して接着剤を得た。
ポリウレタン樹脂(A)を含有する樹脂溶液として、前記合成例A1〜A6の樹脂溶液AA1〜AA6を使用し、合成比較例X1、X2の樹脂溶液XX1、及びXX2を使用した。
また、ポリウレタン−ウレア樹脂を含有する樹脂溶液として、合成比較例X3の樹脂溶液XX3を使用した。
エポキシ樹脂(B)を含有するエポキシ樹脂溶液として、前記エポキシ樹脂の溶解例h1、h2から得られたフェノキシ樹脂溶液hh1及びhh2、i1〜i4から得られたエポキシ樹脂溶液ii1〜ii4、Y1から得られたエポキシ樹脂溶液YY1、更に低分子のビスフェノールA型のエポキシ樹脂(エポキシ当量:186g/eq.、jER828:三菱化学(株)製)を使用した。
ブロックイソシアネート型架橋剤として、メチルエチルケトオキシムブロックタイプ(C1)(BI 7984:バクセンデン社)、3,5−ジメチルピラゾールタイプ(C2)(BI 7951:バクセンデン社)を使用した。
以上の各種試料を下記表1の配合割合で混合し、参考実施例及び参考比較例の接着剤を作製した。なお、参考実施例及び参考比較例の接着剤は、固形分が30%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で調整したものである。
[接着剤のPETフィルムへの塗工]
接着剤をメチルエチルケトン(MEK)で固形分25%に希釈した。そして、希釈した接着剤をPETフィルム(縦:210mm、横:150mm、厚み:100μm、ルミラー:パナック(株)製)の片面側全面に塗布し、その後、100℃で1分間乾燥させることにより、接着剤層付きPETフィルムを作製した。なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行った。
[初期密着1]
前記接着剤層付きPETフィルムの接着剤層と、該PETフィルムと同形状の別途用意したPETフィルムの未塗布面とが接するように、接着剤層付きPETフィルムと、別途用意したPETフィルムとを重ね合わせ、10秒間放置した。そして、接着剤層付きPETフィルムから、別途用意したPETフィルムを剥がし、以下の基準で密着性を評価した。
◎:剥離時に強い抵抗を感じ、音がする。
○:剥離時に音がする。
×:容易に剥離し、剥離時に音がしない。
[初期密着2]
前記接着剤層付きPETフィルムの接着剤層と、アラミド紙(該接着剤層付きPETフィルムと同形状)の面とが接するように、接着剤層付きPETフィルムと、アラミド紙とを重ね合わせ、80℃に調整されているラミネーターを用いて貼り付けた。そして、常温下で、接着剤層付きPETフィルムから、アラミド紙を剥がし、以下の基準で密着性を評価した。
◎:アラミド紙が材料破壊する。
○:一部接着層にアラミド紙が残存して剥離する。
×:簡単に剥離する。
[加工適性]
前記接着剤層付きPETフィルムの接着剤層と、アラミド紙(該接着剤層付きPETフィルムと同形状)の面とが接するように、接着剤層付きPETフィルムと、アラミド紙とを重ね合わせ、80℃に調整されているラミネーターを用いて貼り付けた。そして、以下の基準で加工適性を評価した。
◎:きれいに貼り付けられた。
○:歪は確認できるが、皺や浮きはない。
×:歪や皺により貼り付けが上手くいかず、浮きがある。
[耐熱評価 255℃]
前記接着剤層付きPETフィルムの接着剤層と、アラミド紙(該接着剤層付きPETフィルムと同形状)の面とが接するように、接着剤層付きPETフィルムと、アラミド紙とを重ね合わせ、80℃に調整されているラミネーターを用いて貼り付けた。
希釈した接着剤(固形分25%)を前記接着剤層付きPETフィルムの接着剤層側とは反対側全面に塗布し、その後、100℃で1分間乾燥させた。なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行った。そして、前記接着剤層付きPETフィルムの新たに形成した接着剤層と、アラミド紙(該接着剤層付きPETフィルムと同形状)の面とが接するように、接着剤層付きPETフィルムと、アラミド紙とを重ね合わせ、80℃に調整されているラミネーターを用いて貼り付けた。
これにより、アラミド紙/PET/アラミド紙の構成となる積層シートを得た。
そして、この積層シートを100℃のオーブン中に12時間放置し、硬化反応を進行させた。
次に、この積層シートを5cm×5cmに切り出し、255℃のオーブンに24時間放置し、以下の基準で耐熱評価を行った。
◎:255℃の処理後変化なし。
○:255℃の処理で変形するが剥離や膨れは認められない。
×:255℃の処理後剥離や膨れが認められる。
[耐熱評価 TG-DTA]
接着剤(固形分30%)を離型紙の一面側全面上に塗布し、その後、100℃で1分間乾燥させた。なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行った。
そして、接着剤層付き離型紙を100℃にて12時間加熱して硬化させ、試験片を得た。
次に、TG−DTA((株)リガク製、TG8120)を用い、空気100ml/分の雰囲気下、常温から5℃/分で昇温を行ってTG−DTA曲線を得た。そして、5%の重量が減少した温度(5%減温度)、50%の重量が減少した温度(50%減温度)に注目し、耐熱性を判断した。尚、TG−DTAの5%減温度は短期的な耐熱性を示し、50%減温度は長期的な耐熱性を示す。評価は以下の様にTG−DTAより耐熱性を判断した。
◎:5%減温度が280℃以上、及び50%減温度が350℃以上である。
○:◎以外で、且つ、5%減温度が200℃以上、及び50%減温度が300℃以上である。
×:◎又は○以外
[溶液安定性(貯蔵安定性)]
接着剤たる塗工液を容器に入れて密栓し、40℃のオーブン中で4週間保管を行った。
また、オーブンに投入前の接着剤たる塗工液の初期粘度(25℃)と、40℃のオーブン中で4週間保管した後、25℃に戻した時の接着剤たる塗工液の粘度(処理後の粘度)とを測定した。
なお、粘度は、単一円筒形回転粘度計を用い、JIS Z8803:2011に準拠した方法で測定した。
そして、以下の基準で貯蔵安定性の評価を行った。
○:処理後の粘度が、初期粘度の2倍未満である。
×:処理後の粘度が、初期粘度の2倍以上である。
結果を下記表2に示す。
以上の試験1の結果より、参考実施例に係る接着剤は、接着剤として、特にプラスチックフィルム用接着剤として、良好な耐熱性を有する接着剤であることがわかる。
(試験2)
<実施例1>
参考実施例2の接着剤をメチルエチルケトンとトルエン(MEK:TOL=2:1(質量比))で固形分25%に希釈した。
次に、希釈した接着剤を、ポリエステル樹脂シートたるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(縦:350mm、横:210mm、厚み:25μm)の両面に塗布した。
そして、接着剤が塗布されたPETフィルムを110℃で3分間加熱することにより有機溶剤を揮発させ、接着剤層を形成した。
次に、形成された接着剤層の各層に紙状シートたるアラミド紙(縦:350mm、横:210mm、厚み:50μm)(デュポン社製、商品名「ノーメックスペーパー」)を積層させた。
そして、加熱(加熱温度:100℃、加熱時間:12時間)により、接着剤層に含まれるポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂とを硬化反応させることにより、絶縁紙を得た。
なお、絶縁紙における接着剤層の厚みは、7μmであった。
<実施例2>
ポリエステル樹脂シートとして、厚みが50μmであるポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁紙を得た。
<実施例3>
PETフィルムとして、厚みが25μmであるものを用いたこと、並びに、アラミド紙として、厚みが37μmであるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁紙を得た。
<実施例4>
PETフィルムとして、厚みが38μmであるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例1>
接着剤として、アクリル樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂フェノールアラルキルエポキシ樹脂、及び、硬化剤としてのイミダゾールを含有する接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例2>
接着剤として、アクリル樹脂、及び、イソシアネート硬化剤を含有する接着剤を用いたこと以外は、実施例2と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例3>
接着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を含有する接着剤を用いたこと以外は、実施例3と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例4>
市販の絶縁紙(アラミド紙(厚み:50μm)/接着剤層(厚み:10μm)/PETフィルム(厚み:25μm)/接着剤層(厚み:7μm)/アラミド紙(厚み:50μm)の積層シート)(縦:350mm、横:210mm)を比較例4の絶縁紙とした。
<比較例5>
厚み125μmのPETフィルムを比較例5の絶縁シートとした。
<比較例6>
厚み125μmのPENフィルムを比較例6の絶縁シートとした。
<比較例7>
接着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を含有する接着剤を用いたこと以外は、実施例2と同様にして絶縁紙を得た。
<耐油試験>
各実施例及び比較例の絶縁紙及び絶縁シートを150℃の油に0時間、500時間、1000時間、1500時間漬け込み、評価試料を得た。
そして、評価試料をチャック間180mm、引張速度200mm/minで縦方向に引張り、最大荷重を読み取り(n=5)、読み取った値の算術平均値を引張強度とした。
そして、初期(0時間)の引張強度に対する、油への漬け込み後の引張強度の比(%)を引張強度保持率として算出した。結果を図2に示す。
<湿熱試験>
各実施例及び比較例の絶縁紙を温度85℃、湿度85%の雰囲気下に0時間、250時間、500時間、1000時間置き、評価試料を得た。
そして、上述した耐油試験と同様にして、引張強度保持率を求めた。結果を図3に示す。
<冷熱サイクル試験>
各実施例及び比較例の絶縁紙を−40℃の雰囲気下に30分間置き、その後150℃の雰囲気下に30分間置くことを冷熱サイクル1サイクルとし、各実施例及び比較例の絶縁紙を冷熱サイクル0サイクル、250サイクル、500サイクル、1000サイクル下に置き、評価試料を得た。
そして、上述した耐油試験と同様にして、引張強度保持率を求めた。結果を図4に示す。
<耐熱寿命試験>
各実施例及び比較例の絶縁紙を200℃の雰囲気下に0時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、2000時間置き、評価試料を得た。
そして、上述した耐油試験と同様にして、引張強度を求めた。
次に、時間をxとし、引張強度をyとしたときのy=a×ln(x)+bの近似曲線を求めた(a及びbを求めた)。そして、この近似曲線と初期(0時間)の引張強度とから、引張強度が初期の値に対して半分の値となる時間(引張強度半減時間)を求めた。
また、各実施例及び比較例の絶縁紙を220℃の雰囲気下に0時間、250時間、500時間、750時間、1000時間置き、評価試料を得、上記の方法で引張強度半減時間を求めた。
さらに、各実施例及び比較例の絶縁紙を240℃の雰囲気下に0時間、250時間、500時間、750時間、1000時間、2000時間置き、評価試料を得、上記の方法で引張強度半減時間を求めた。
また、各実施例及び比較例の絶縁紙を250℃の雰囲気下に0時間、50時間、100時間、250時間、500時間置き、評価試料を得、上記の方法で引張強度半減時間を求めた。
さらに、各実施例及び比較例の絶縁紙を255℃の雰囲気下に0時間、50時間、100時間、250時間、500時間置き、評価試料を得、上記の方法で引張強度半減時間を求めた。
また、各実施例及び比較例の絶縁紙を260℃の雰囲気下に0時間、50時間、100時間、250時間置き、評価試料を得、上記の方法で引張強度半減時間を求めた。
結果を図5に示す。
<剥離試験>
各実施例及び比較例の絶縁紙を100℃、150℃、180℃、200℃、220℃、240℃、250℃、260℃の雰囲気下に10分間置き、評価試料を得た。
そして、上記の雰囲気下の下で、評価試料と、AIKOH ENGINEERING製引張試験機「MODEL-1840VT」、HUTEC製複合試験用恒温槽とを用い、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で縦方向にPETフィルム又はPENフィルムからアラミド紙を剥離する剥離試験を行い、剥離力(接着力)を測定した。
結果を下記表3に示す。
なお、100℃における剥離力に対する、260℃における剥離力の比(%)を保持率として算出した。
<吸湿保管後の体積抵抗率の測定>
各実施例及び比較例の絶縁紙を常態下で保管した後に、絶縁紙の体積抵抗率を測定した。
体積抵抗率は、JIS C 2139:2008の方法で求めた。
また、各実施例及び比較例の絶縁紙を常温下で24時間水道水に浸漬させた後に、絶縁紙の体積抵抗率を測定した。
さらに、各実施例及び比較例の絶縁紙を温度85℃、湿度85%の雰囲気下に24時間置いた後に、絶縁紙の体積抵抗率を測定した。
また、各実施例及び比較例の絶縁紙について、ESPEC社製の「EHS−411M」により121℃×0.48MPaのプレッシャークッカーテスト(「PCT」ともいう。)を実施した後に、絶縁紙の体積抵抗率を測定した。
結果を下記表4に示す。
以上の試験2の結果より、実施例に係る絶縁紙は、耐油性、耐湿熱性、及び、耐冷熱性に優れることがわかる。また、実施例に係る絶縁紙は、耐熱寿命が格段に向上していることがわかる。
(試験3)
<試験例1〜32>
下記の材料を下記表5、6の配合割合で混合して、試験例1〜32の接着剤を作製した。
なお、「フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び硬化促進剤」とは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と、硬化促進剤とを混合した混合物を意味する。また、試験例25〜31では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と、硬化促進剤と、フェノールアラルキルエポキシ樹脂とを混合した混合物を用いた。さらに、試験例1〜32の接着剤は、固形分が30%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で調整したものである。
ポリウレタン樹脂
ポリエステル樹脂
アクリル樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ当量(182〜192)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂
フェノールアラルキルエポキシ樹脂
硬化促進剤:2−ウンデシルイミダゾール
<試験例33〜42>
上記(試験1)に記載した材料を下記表7の配合割合で混合して、試験例33〜42の接着剤を作製した。
なお、試験例33〜42の接着剤は、固形分が30%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で調整したものである。
<100時間加熱後のアラミド紙の密着性>
試験例1〜42の接着剤をメチルエチルケトン(MEK)で固形分25%に希釈した。
そして、希釈した接着剤をアラミド紙の片面側全面に塗布し、その後、100℃で1分間乾燥させることにより、接着剤層付きアラミド紙を作成した。なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが10μmとなるように行った。
次に、前記接着剤層付きアラミド紙の接着剤層と、該アラミド紙と同形状の別途用意したアラミド紙の未塗布面とが接するように、接着剤層付きアラミド紙と、別途用意したアラミド紙とを重ね合わせ、80℃に調整されているラミネーターを用いて貼り付け、積層シートを得た。
そして、この積層シートを100℃のオーブン中に12時間放置し、硬化反応を進行させて試験シートを得た。
次に、該試験シートを100mm×100mmに切りだし、200℃、220℃、240℃、260℃の雰囲気下で100時間加熱し、加熱後に浮きや剥がれの有無を目視観察して、以下の基準で密着性の評価を行った(n=3〜5)。
○:浮き及び剥がれの何れも観察されなかった。
×:浮き及び剥がれの少なくとも一方が観察された。
結果を表8、9に示す。
<熱重量測定/示差熱分析>
熱重量測定/示差熱分析装置(TG/DTA)を用いて、試験例30、39の接着剤の硬化物の加熱重量減少率を測定した。
結果を図6及び表10に示す。
表8,9、10及び図6に示すように、試験例39の接着剤は、試験例30の接着剤に比べて、硬化物を単独で加熱した場合での熱重量減少率が大きいが、絶縁紙に対しては耐熱性を向上させる役割を有していることがわかる。
(試験4)
<実施例5>
絶縁紙における接着剤層の厚みを20μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして絶縁紙を得た。
<実施例6>
PETフィルムとして、厚みが38μmであるものを用いたこと以外は、実施例5と同様にして絶縁紙を得た。
<実施例7>
PETフィルムとして、厚みが50μmであるものを用いたこと以外は、実施例5と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例8>
絶縁紙における接着剤層の厚みを30μmとしたこと以外は、比較例7と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例9>
PETフィルムとして、厚みが125μmであるものを用いたこと以外は、比較例8と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例10>
接着剤として、市販の接着剤を用いたこと以外は、実施例7と同様にして絶縁紙を得た。
<比較例11>
PETフィルムとして、厚みが150μmであるものを用いたこと以外は、比較例10と同様にして絶縁紙を得た。
上記実施例5〜7、及び、上記比較例8〜11の絶縁紙の比較トラッキング指数(CTI)を測定した。比較トラッキング指数(CTI)は、JIS C2134:2007に記載の方法に従って測定した。
この結果を表11に示す。
また、図7に、参考実施例2の接着剤が用いられた実施例5〜7についての絶縁紙の厚みと、比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す。
さらに、図8に、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を含有する接着剤が用いられた比較例8、9についての絶縁紙の厚みと、比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す。
さらに、図9に、市販の接着剤が用いられた比較例10、11についての絶縁紙の厚みと、比較トラッキング指数(CTI)との関係を示す。
表11、及び図7に示すように、参考実施例2の接着剤を用いた場合には、絶縁紙の厚さを大きくすると、比較トラッキング指数(CTI)の値が急増した。
1:絶縁紙、2、2’:表面層、3:中間層、4、4’:接着剤層

Claims (10)

  1. モータ及びインバータの少なくとも何れか一方に用いられ、
    少なくとも2枚のシート材が接着剤で貼り合わされてなり、
    前記接着剤が、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性接着剤であり、
    前記ポリウレタン樹脂(A)が、カルボキシル基を有し、
    前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、5〜30mgKOH/gであり、
    前記エポキシ樹脂(B)として、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂と、3官能以上の多官能エポキシ樹脂とを含有する絶縁紙。
  2. モータ及びインバータの少なくとも何れか一方に用いられ、
    少なくとも2枚のシート材が接着剤で貼り合わされてなり、
    前記接着剤が、ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性接着剤であり、
    前記ポリウレタン樹脂(A)が、カルボキシル基を有し、
    前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が、5〜30mgKOH/gであり、
    イソシアネート系架橋剤を更に含有し、
    前記イソシアネート系架橋剤の含有量が、前記ポリウレタン樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して2〜10質量部である絶縁紙。
  3. 前記エポキシ樹脂(B)として、エポキシ当量が5,000g/eq.以上であるフェノキシ樹脂と、3官能以上の多官能エポキシ樹脂とを含有する請求項に記載の絶縁紙。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が、1,000〜500,000である請求項1〜3の何れか1項に記載の絶縁紙。
  5. 前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して20〜100質量部である請求項1〜4の何れか1項に記載の絶縁紙。
  6. 前記シート材として、表面層を構成する第1シートと、該第1シートに前記接着剤を介して貼り合わされた第2シートとを有し、
    前記第1シートが、紙状シートであり、
    前記第2シートは、ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂シートである請求項1〜5の何れか1項に記載の絶縁紙。
  7. 前記シート材として、前記第1シートが構成する表面層とは逆側の表面層を構成する第3シートをさらに有し、
    前記第2シートは、該第3シートと前記第1シートとの間の中間層を構成しており、
    前記第3シートは、紙状シートであり、且つ、前記接着剤によって前記第2シートに貼り合わされている請求項6に記載の絶縁紙。
  8. 前記ポリエステル樹脂シートが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂の少なくとも何れか一の樹脂を含有する請求項6又は7に記載の絶縁紙。
  9. 前記ポリエステル樹脂シートが、低オリゴマータイプのポリエチレンテレフタレート樹脂シートである請求項8に記載の絶縁紙。
  10. 前記紙状シートが、芳香族ポリアミド繊維で形成されている請求項6〜9の何れか1項に記載の絶縁紙。
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