実施形態を図1ないし図12によって説明する。以降の説明においてプリント基板に電子部品を実装するとは、部品供給装置によって供給される電子部品を吸着し、その吸着した電子部品をプリント基板上の搭載位置に搭載することをいう。
(1)表面実装機の全体構成
図1に示すように、本実施形態に係る表面実装機1は基台10、プリント基板B1(基板の一例)を搬送する搬送コンベア20(基板搬送装置の一例)、プリント基板B1に電子部品E1(部品の一例)を実装する部品実装装置30、部品実装装置30に電子部品E1を供給する部品供給装置40等を備えている。
基台10は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされる。また、基台10における搬送コンベア20の下方にはプリント基板B1に電子部品E1を実装する際にそのプリント基板B1をバックアップするための図示しないバックアッププレート等が設けられている。
以下の説明では基台10の長辺方向(図1の左右方向)をX軸方向とし、基台10の短辺方向(図1の前後方向)をY軸方向とし、基台10の上下方向(図2の上下方向)をZ軸方向とする。
搬送コンベア20はY軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板B1を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えており、プリント基板B1は両コンベアベルト22に架設する形でセットされる。プリント基板B1は搬送方向の一方側(図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入され、作業位置で停止して電子部品E1の実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(図1で示す左側)に搬出される。
部品供給装置40はフィーダ型とされ、搬送コンベア20の両側(図1の前後両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらの部品供給装置40には複数のフィーダ42が左右方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ42は複数の電子部品E1が収容された部品供給テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及び、リールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えており、搬送コンベア20側に位置する端部に設けられた部品供給位置から電子部品E1が一つずつ供給されるようになっている。
部品実装装置30は、基台10及び後述する部品供給装置40等の上方に設けられる一対の支持フレーム32、ロータリーヘッド50、及び、ロータリーヘッド50をX軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動させるロータリーヘッド移動機構を備えている。
各支持フレーム32はそれぞれX軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延びている。支持フレーム32にはロータリーヘッド移動機構を構成するX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が設けられている。ロータリーヘッド50はX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって一定の可動領域内でX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
Y軸サーボ機構は、Y軸ガイドレール33Yと、図示しないボールナットが螺合されたY軸ボールねじ34Yと、Y軸サーボモータ35Yとを有している。各Y軸ガイドレール33Yにはボールナットに固定されたヘッド支持体36が取り付けられている。Y軸サーボモータ35Yが通電制御されるとY軸ボールねじ34Yに沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体36、及び、後述するロータリーヘッド50がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
X軸サーボ機構は、X軸ガイドレール(不図示)と、図示しないボールナットが螺合されたX軸ボールねじ34Xと、X軸サーボモータ35Xとを有している。X軸ガイドレールにはその軸方向に沿ってロータリーヘッド50が移動自在に取り付けられている。X軸サーボモータ35Xが通電制御されるとX軸ボールねじ34Xに沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたロータリーヘッド50がX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
(2)ロータリーヘッドの構成
次に、図2〜図9を参照して、ロータリーヘッド50の構成について説明する。図2に示すように、ロータリーヘッド50は本体であるヘッド本体部52がヘッドカバー53、54によって覆われたアーム状をなしており、部品供給装置40によって供給される電子部品E1を吸着(保持の一例)してプリント基板B1上に搭載する。
ロータリーヘッド50は、図3に示す回転軸62、N軸被駆動ギヤ62N、図示しないN軸駆動装置、R軸被駆動ギヤ62R、ユニット側回転体64、複数本(本実施形態では18本)のノズルシャフト55、二つのZ軸駆動装置80、各ノズルシャフト55に対応して設けられている複数の切替装置90、及び、二つのV軸駆動装置100、図2に示すR軸駆動装置70、図4に示す脱落防止カバー130、及び、自転用回転体131などを有している。R軸被駆動ギヤ62Rは本体側回転体の一例である。また、脱落防止カバー130はカバーの一例である。
図4に示すように、回転軸62はZ軸方向に沿って軸状をなしており、ヘッド本体部52によってその軸線61周りに双方向に回転可能(すなわち回動可能)に支持されている。以降の説明では回転軸62の軸線61のことを単に回転軸線61という。図4に示すように回転軸62の下面からは板状に形成されているキー62A(第2の嵌合突起の一例)が下方向に伸びている。
N軸被駆動ギヤ62Nは回転軸62に固定されており、回転軸62と一体に回転する。図示しないN軸駆動装置はヘッド本体部52に配されており、N軸サーボモータ35N(図10参照)と、N軸サーボモータ35Nの出力軸周りに設けられたN軸駆動ギヤ(不図示)と、を有している。N軸駆動ギヤはN軸被駆動ギヤ62Nと噛み合わされており、N軸サーボモータ35Nが通電制御されると、N軸駆動ギヤ及びN軸被駆動ギヤ62Nの回転駆動を介して回転軸62が回転軸線61周りに任意の角度で回転される。
R軸被駆動ギヤ62RはN軸被駆動ギヤ62Nの下方に配置されており、内側に回転軸62が挿通されている。回転軸62とR軸被駆動ギヤ62Rとの間にはベアリング132が配されており、R軸被駆動ギヤ62Rは回転軸62に対して回転軸線61周りに相対回転可能に回転軸62に支持されている。
また、図5に示すように、R軸被駆動ギヤ62Rは、外周にギヤ歯133Aが形成されている大径部133と、大径部133の下側に一体に設けられており、大径部133より径が小さい中径部134と、中径部134の下側に一体に設けられており、中径部134より径が小さい小径部135とを有している。小径部135は嵌合部の一例である。
中径部134の下面には後述する自転用回転体131に設けられているピン131Kが嵌合挿入される嵌合凹部134A(第1の嵌合凹部の一例)が形成されている。また、小径部135は筒状に形成されており、内側に回転軸62が挿通されている。詳しくは後述するが、小径部135は自転用回転体131に設けられている貫通穴131Jに嵌合挿入されてR軸被駆動ギヤ62Rと自転用回転体131とを連結するものである。
図2に示すように、ロータリーヘッド50のZ軸方向における略中央部には、R軸被駆動ギヤ62Rを回転駆動するためのR軸駆動装置70が配されている。R軸駆動装置70は、R軸サーボモータ35Rと、R軸サーボモータ35Rの出力軸周りに設けられたR軸駆動ギヤ(不図示)と、を有している。R軸駆動ギヤはR軸被駆動ギヤ62Rと噛み合わされており、R軸サーボモータ35Rが通電制御されると、R軸駆動ギヤ及びR軸被駆動ギヤ62Rの回転駆動を介して自転用回転体131がZ軸方向に沿った回転軸線61周りに任意の角度で回転される。
図3に示すように、ユニット側回転体64は回転軸62より大径な略円柱状をなしている。図7に示すように、ユニット側回転体64の上面の中央には有底の穴64Aが形成されている。そして、有底の穴64Aの底壁に、回転軸62の下面に設けられているキー62Aが嵌る嵌合凹部64B(第2の嵌合凹部の一例)が形成されている。本実施形態では、嵌合凹部64Bは有底の穴64Aの底壁を回転軸線61方向に貫通している。
具体的には、図7に示すように、本実施形態に係る嵌合凹部64Bは大まかには円と細長い長方形とが重なった形状の一つの穴として形成されている。ただし、図7に示すように、本実施形態では上述した形状の一部に重なるようにして二つのボルト挿通穴64Cが形成されている。嵌合凹部64Bと二つのボルト挿通穴64Cとは一体化しておらず、独立した穴として形成されている。なお、嵌合凹部64Bと二つのボルト挿通穴64Cとは一体化した一つの穴として形成されてもよい。
図4に示すように、ユニット側回転体64は、回転軸62のキー62Aが嵌合凹部64Bに嵌合された状態で上述したボルト挿通穴64Cに下側からボルトが挿通されて回転軸62の下面に締結されることによって回転軸62に固定されている。
また、ユニット側回転体64の下方にはボルトを外した際にボルトが床に落ちて紛失してしまうことを防止するために、カップ状の脱落防止カバー130が筒部136を介して着脱可能に取り付けられている。図9に示すように、脱落防止カバー130の底壁において前述したボルト挿通穴64Cの下方となる位置にはボルトを緩めるための工具が挿入される工具挿入穴130Aが設けられている。
また、ユニット側回転体64には18個の貫通孔が回転軸62を中心とする円周66(図7参照)上に等間隔に形成されている。そして、図3に示すように、各貫通孔には、筒状のシャフトホルダ57を介して、軸状をなすノズルシャフト55がユニット側回転体64を貫通しつつZ軸方向に沿って伸びる形で保持されている。各シャフトホルダ57の筒軸周りにはそれぞれノズルギヤ57Rが設けられている。
各ノズルシャフト55においてユニット側回転体64から下方に突出する下端部には、電子部品E1を吸着する吸着ノズル56(部品保持部材の一例)がそれぞれ設けられている。各吸着ノズル56には負圧又は正圧が供給されるようになっており、各吸着ノズル56は負圧によってその先端部に電子部品E1を吸着して保持するとともに、正圧によってその先端部に保持した電子部品E1を解放する。図示しないN軸駆動装置によってユニット側回転体64が回転されると、各ノズルシャフト55と共に各ノズルシャフト55に設けられた各吸着ノズル56が回転軸線61周りに回転移動(公転)する。
また、図3に示すように、各ノズルシャフト55の上端部にはばね止めボルト58が螺合されている。そして、各ノズルシャフト55の外周面側にはばね止めボルト58とシャフトホルダ57との間にて圧縮された状態で巻ばね59が配されており、各ノズルシャフト55はこの巻ばね59の弾性力によって上方に付勢されている。
図4に示すように、自転用回転体131はR軸被駆動ギヤ62Rとユニット側回転体64との間に位置しており、回転軸62及びユニット側回転体64に対して回転軸線61周りに相対回転可能にユニット側回転体64に支持されている。自転用回転体131はR軸被駆動ギヤ62Rに連結されて各ノズルシャフト55を自転させるためのものであり、R軸被駆動ギヤ62Rに連結される上側回転体131Aと、上側回転体131Aと一体に回転する下側回転体131Bとを備えている。なお、本実施形態では下側回転体131Bは複数の部品からなり、ここではそれら複数の部品をまとめて下側回転体131Bという。
下側回転体131Bはベアリング131Eを介してユニット側回転体64に相対回転可能に支持されている。また、下側回転体131Bの外周面には各ノズルシャフト55を回転させるためのギヤ131Lが形成されている。R軸サーボモータ35Rが通電制御されると、R軸駆動ギヤ、R軸被駆動ギヤ62R、及び、上側回転体131Aの回転駆動を介して下側回転体131Bが回転し、下側回転体131Bに形成されているギヤ131Lとノズルギヤ57Rとの噛み合いにより、各シャフトホルダ57が当該シャフトホルダ57の軸線周りに回転する。
そして、各シャフトホルダ57と各ノズルシャフト55とはボールスプライン結合していることから、下側回転体131Bの回転に伴って18本のノズルシャフト55がそれぞれ回転軸62に平行な軸線周りにおいて同方向及び同角度に一斉に回転(自転)する。
また、図8に示すように、上側回転体131Aには上側を向く端面(本体側回転体側を向く端面の一例)から下に向かって伸びるスリット131Cが形成されている。そして、上側回転体131Aにはスリット131Cを挟んで一方の側131Gと他方の側131Hとをボルトによって締結するためのネジ穴131Dが形成されている。
上側回転体131Aに設けられている貫通穴131JにはR軸被駆動ギヤ62Rの小径部135が嵌合挿入され、その状態で上側回転体131Aの上述した一方の側131Gと他方の側131Hとがボルトによって締結されることにより、小径部135の外周面が上側回転体131Aの内周面によって締め付けられる。これによりR軸被駆動ギヤ62Rと上側回転体131Aとが連結される。
また、図5及び図6に示すように、上側回転体131Aの上面には円柱状のピン131K(第1の係合突起の一例)が突設されている。ピン131Kは上側回転体131Aの上面に形成された穴に円柱状のピン131Kを圧入することによって設けられている。
ピン131KはR軸被駆動ギヤ62Rの中径部134に形成されている嵌合凹部134Aに嵌合されるものであり、ピン131Kが嵌合凹部134Aに嵌合されることによってR軸被駆動ギヤ62Rに対する上側回転体131Aの回転方向における位置(言い換えると、R軸被駆動ギヤ62Rに対する上側回転体131Aの位相)が決まる。ここで、ピン131Kの高さは回転軸62に設けられているキー62Aの高さより低くなっている。中径部134に形成されている嵌合凹部134Aとピン131Kとは位置決め機構の一例である。
図7に示すように、二つのZ軸駆動装置80は回転軸線61を挟んでロータリーヘッド50の左右両側に対称配置されている。Z軸駆動装置80は18本のノズルシャフト55のうちノズルシャフト55が配列されている円周66上の駆動位置300A、300Bに移動してきたノズルシャフト55をユニット側回転体64に対して回転軸線61に沿った方向(Z軸方向、上下方向)に昇降させるためのものである。
図3に示すように、Z軸駆動装置80はZ軸駆動源82と、Z軸駆動源82から下方に伸びるZ軸可動部84とを有している。Z軸駆動源82の内部にはZ軸可動部84をリニアモータ駆動によって駆動するためのZ軸リニアモータ35Z(図10参照)が設けられている。Z軸可動部84は、Z軸駆動源82に対して回転軸線61に沿った方向に移動可能に支持されており、Z軸駆動源82によって回転軸線61に沿った方向に昇降される。
図3に示すように、Z軸駆動装置80におけるZ軸可動部84の下端部にはカムフォロア86(以下、「Z軸カムフォロア86」と称する)がX軸方向に沿った軸周りに回転可能に取り付けられている。Z軸駆動源82によってZ軸可動部84が上昇端位置から下降されると、Z軸カムフォロア86が上記駆動位置にあるノズルシャフト55の上端部に当接し、当該ノズルシャフト55が巻ばね59の弾性力に抗って下降される。
ノズルシャフト55が下降されると、そのノズルシャフト55に設けられた吸着ノズル56が下降され、吸着ノズル56の先端部が部品供給位置あるいはプリント基板B1に近接する。この状態からZ軸可動部84が上昇されると、巻ばね59の弾性力復帰力によってノズルシャフト55及び吸着ノズル56が上昇する。
図3に示すように、各切替装置90は、円周66上に配された各ノズルシャフト55の外側において、隣接する二つのノズルシャフト55の間に位置する形で、回転軸線61を中心とする円周上に等間隔でそれぞれ設けられている。切替装置90は吸着ノズル56に供給される圧力を負圧と正圧との間で切り替えるためのものであり、各吸着ノズル56(各ノズルシャフト55)に対応する形で計18個設けられている。
各切替装置90は、軸状をなすバルブスプール92(バルブの一例)と、バルブスプール92の下側部分が収容される筒状のスリーブ94と、を有している。
各スリーブ94は、ユニット側回転体64に設けられた各取り付け孔の内部に挿入するようにして取り付けられている。各バルブスプール92は、その軸方向がZ軸方向(上下方向)に沿った形でスリーブ94の内部に配されており、その軸方向に沿って移動することで、各吸着ノズル56に供給される圧力を負圧と正圧との間で切り替える。なお、本実施形態では各スリーブ94に負圧及び正圧が供給される経路についての説明は省略する。
各バルブスプール92は、その上側部分に、横向きの略U字状をなすとともに後述するV軸駆動装置100のV軸カムフォロア106が当接される当接部93を有している。そして、各バルブスプール92は、略U字状をなす当接部93について、その開いた側を外側(回転軸62側とは反対側)に向けた形でそれぞれ配されている。
図3に示すように、二つのV軸駆動装置100は、ユニット側回転体64の回転軸62を挟んでロータリーヘッド50の左右両側に対称配置されている。V軸駆動装置100は各切替装置90のバルブスプール92をZ軸方向(上下方向)に移動させるためのものである。
各V軸駆動装置100は、箱状をなすV軸駆動源102と、V軸駆動源102から上方に伸びるV軸可動部104と、を有している。V軸駆動源102の内部には、V軸可動部104をリニアモータ駆動によって駆動するためのV軸リニアモータ35V(図10参照)が設けられている。V軸可動部104は、V軸駆動源102に対して回転軸62に沿った方向に移動可能に支持されており、V軸駆動源102によって回転軸62に沿った方向に昇降される。
V軸駆動装置100におけるV軸可動部104の上端部には、図3に示すように、カムフォロア106(以下、「V軸カムフォロア106」と称する)がX軸方向に沿った軸周りに回転可能に取り付けられている。V軸可動部104は、上記駆動位置にあるノズルシャフト55と対応するバルブスプール92に対して、略U字状の当接部93の内側にV軸カムフォロア106が位置するような配置でV軸駆動源102に支持されている。
V軸駆動源102によってV軸可動部104が上方に移動されると、V軸カムフォロア106が当接部93に当接してバルブスプール92を押し上げ、吸着ノズル56に負圧が供給される。一方、V軸駆動源102によってV軸可動部104が下方に移動されると、V軸カムフォロア106がその両側に位置する当接部93に当接してバルブスプール92を押し下げ、吸着ノズル56に正圧が供給される。
なお、ロータリーヘッド50には、基板認識カメラC1(図10参照)が設けられている。基板認識カメラC1は、ロータリーヘッド50とともに一体的に移動することで、作業位置に停止したプリント基板B1上の任意の位置の画像を撮像する。また、基台10上における作業位置の近傍には、部品認識カメラC2(図1参照)が固定されている。部品認識カメラC2は、吸着ノズル56によって部品供給装置40の部品供給位置から吸着された電子部品E1の画像を撮像する。
(3)表面実装機の電気的構成
次に、図10を参照して、表面実装機1の電気的構成について説明する。表面実装機1の本体は、制御部110によってその全体が制御統括されている。制御部110は、CPU等により構成される演算制御部111を備えている。演算制御部111には、モータ制御部112と、記憶部113と、画像処理部114と、外部入出力部115と、フィーダ通信部116と、表示部117と、入力部118と、がそれぞれ接続されている。
モータ制御部112は、記憶部113に記憶されている実装プログラム113Aに従って部品実装装置30のX軸サーボモータ35X及びY軸サーボモータ35Yを駆動させるとともに、ロータリーヘッド50のN軸サーボモータ35N、R軸サーボモータ35R、Z軸リニアモータ35Z、及びV軸リニアモータ35Vをそれぞれ駆動させる。また、モータ制御部112は、実装プログラム113Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
記憶部113は、CPUを制御するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)や装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部113には実装プログラム113A、各種データ113Bなどが記憶されている。
各種データ113Bには実装対象となるプリント基板B1の生産枚数に関する基板情報、プリント基板B1に実装される電子部品E1の個数や種類等を含む部品情報、プリント基板B1上の電子部品E1の搭載位置に関する搭載位置情報、部品供給装置40の各フィーダ42に保持された電子部品E1の数や種類に関するデータ等が含まれている。
画像処理部114には、基板認識カメラC1及び部品認識カメラC2から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれるようになっている。画像処理部114では、取り込まれた各カメラC1,C2からの撮像信号に基づいて、部品画像の解析並びに基板画像の解析がそれぞれ行われるようになっている。
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機1の本体に設けられる各種センサ類115Aから出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部115は、演算処理部111から出力される制御信号に基づいて、各種アクチュエータ類115Bに対する動作制御を行うように構成されている。
フィーダ通信部116は、部品供給装置40に取り付けられた各フィーダ42の制御部と接続されており、各フィーダ42を統括して制御する。各フィーダ42の制御部は、部品供給テープを送出するためのモータの駆動を制御する。
表示部117は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、表面実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部118(設定部の一例)は、キーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付けるようになっている。
以上のような構成とされた表面実装機1では、自動運転中において、搬送コンベア20によってプリント基板B1を基台10上の作業位置に搬送する搬送状態と、作業位置に搬入されたプリント基板B1上に実装する実装状態とが交互に実行される。この実装状態では、部品供給装置40によって供給される電子部品E1を18個の吸着ノズル56にそれぞれ吸着させる吸着作業と、ロータリーヘッド50を搬送してそれらの電子部品E1をプリント基板B1に搭載する搭載作業とが交互に繰り返される。
(5)ロータリーユニットの着脱
図11及び図12に示すように、本実施形態に係るロータリーヘッド50はメンテナンスのために自転用回転体131より上側の部分140と自転用回転体131から下側の部分141(自転用回転体131を含む)とに分離することができる。以降の説明では上側の部分140のことを本体部140といい、下側の部分141のことをロータリーユニット141という。
ここでは先ず本体部140へのロータリーユニット141の取り付けについて説明する。ロータリーユニット141の取り付けでは、先ず、ロータリーユニット141を回転軸62の下方から上に持ち上げることによって自転用回転体131及びユニット側回転体64の内側に回転軸62が挿入される。前述したように回転軸62の下面に設けられているキー62Aの高さはピン131Kの高さより高いので、回転軸62が挿入されると先ずキー62Aの先端部がユニット側回転体64の底壁の嵌合凹部64Bに嵌る。
ただし、回転軸線61周りにおけるキー62Aの角度と嵌合凹部64Bの角度とがあっていないとキー62Aを嵌合凹部64Bに挿入できないので、作業者はロータリーユニット141を回転軸線61周りに回転させてキー62Aが嵌合凹部64Bに嵌る角度を探りながらキー62Aを嵌合凹部64Bに嵌めることになる。
キー62Aが嵌合凹部64Bに嵌ると、次にピン131Kが嵌合凹部134Aに挿入される。このときも回転軸線61周りにおけるピン131Kの角度と嵌合凹部134Aの角度とが合っていないとピン131Kを嵌合凹部134Aに挿入できないので、作業者はロータリーユニット141を回転軸線61周りに回転させてピン131Kが嵌合凹部134Aに挿入される角度を探りながらピン131Kを嵌合凹部134Aに挿入することになる。
そして、ユニット側回転体64の底壁に形成されている二つのボルト挿通穴64Cに下側からボルトが挿通されて回転軸62の下面に形成されているねじ穴に締結されることにより、ロータリーユニット141が回転軸62に固定される。そして、ユニット側回転体64の下側に脱落防止カバー130が取り付けられる。
ピン131Kが嵌合凹部134Aに挿入された状態のとき、R軸被駆動ギヤ62Rの小径部135は自転用回転体131の貫通穴131Jに嵌合された状態になる。その状態で前述したように自転用回転体131(より具体的には上側回転体131A)に形成されているスリット131Cを挟んで自転用回転体131の一方の側131Gと他方の側131Fとがボルトによって締結されることにより、小径部135が自転用回転体131によって締め付けられてR軸被駆動ギヤ62Rと自転用回転体131とが連結される。
次に、ロータリーユニット141の取り外しについて説明する。ロータリーユニット141の取り外しでは、先ず、上述した自転用回転体131の一方の側131Gと他方の側131Fとを締結しているボルトが緩められる。次に、ユニット側回転体64を回転軸62に固定している二つのボルトが外される。
具体的には、前述したように脱落防止カバー130の底壁には工具を挿入するための工具挿入穴130Aが形成されているので、作業者は工具挿入穴130Aに工具(ドライバ)を挿入してボルトを緩めて外す。これによりロータリーユニット141を取り外すことができる。このとき、落下したボルトは脱落防止カバー130によって受けられる。
(6)実施形態の効果
以上説明した実施形態に係るロータリーヘッド50によると、ロータリーユニット141だけを取り外すことができるので、本体部140を含むロータリーヘッド50全体を取り外さなければならない場合に比べ、ロータリーヘッド50のメンテナンスの作業効率を向上させることができる。
更に、ロータリーヘッド50によると、R軸被駆動ギヤ62Rに対する自転用回転体131の回転方向の位置を決める位置決め機構を備えているので、ロータリーユニット141を着脱しても制御部110による制御に支障をきたさないようにすることができる。以下、具体的に説明する。
R軸被駆動ギヤ62Rと自転用回転体131とが連結されて各吸着ノズル56を自転させる場合、メンテナンスが終わってロータリーユニット141を本体部140に取り付けるとき、R軸被駆動ギヤ62Rに対する上側回転体131Aの回転方向の位置が一定にならないと、制御部110は各吸着ノズル56がそれぞれ自転方向にどれだけ回転した状態にあるかが判らなくなってしまう。各吸着ノズル56がそれぞれ自転方向にどれだけ回転した状態にあるかが判らないと、制御部110は吸着ノズル56に保持されている電子部品E1を吸着ノズル56の自転方向に目的の角度だけ回転させた状態でプリント基板B1に搭載させるとき、吸着ノズル56をどれだけ回転させればよいかが判らず、制御に支障をきたしてしまう。
ロータリーヘッド50によると、R軸被駆動ギヤ62Rに対する自転用回転体131の回転方向の位置を決める位置決め機構を備えるので、R軸被駆動ギヤ62Rに対する自転用回転体131の回転方向の位置を一定にすることができる。言い換えると、R軸被駆動ギヤ62Rに対する自転用回転体131の位相を一定にすることができる。これにより、ロータリーユニット141を着脱しても制御部110による制御に支障をきたさないようにすることができる。
更に、ロータリーヘッド50によると、位置決め機構は、自転用回転体131からR軸被駆動ギヤ62Rに向かって突出するピン131K(第1の嵌合突起)と、R軸被駆動ギヤ62Rに設けられ、ピン131Kが嵌る嵌合凹部134A(第1の嵌合凹部)とを有しているので、R軸被駆動ギヤ62Rに対する自転用回転体131の回転方向の位置を決めることができる。
更に、ロータリーヘッド50によると、回転軸線61方向におけるピン131Kの長さとキー62Aの長さとが互いに異なっているので、ピン131Kとキー62A(第2の嵌合突起)との長さが同じ場合に比べ、ピン131Kを嵌合凹部134Aに嵌める作業、及び、キー62Aを嵌合凹部64Bに嵌める作業を効率よく行うことができる。以下、具体的に説明する。
作業者は本体部140にロータリーユニット141を取り付けるとき、ピン131Kを嵌合凹部134Aに嵌めるとともに、キー62Aを嵌合凹部64Bに嵌めることになる。しかしながら、R軸被駆動ギヤ62Rと回転軸62とは相対回転可能であるので、例えばキー62Aが嵌合凹部64Bに嵌まるように作業者がロータリーユニット141を回転軸線61周りに回転させたとき、R軸被駆動ギヤ62Rが回転軸62に対してピン131Kが嵌合凹部134Aに嵌合しない角度に相対回転してしまっている可能性がある。その場合は、その回転角度のままではピン131Kを嵌合凹部134Aに嵌めることができない。
ピン131Kが嵌合凹部134Aに嵌らない場合、作業者はピン131K及びキー62Aの両方が嵌るまでR軸被駆動ギヤ62Rと回転軸62との回転方向の相対角度を変えながら何度も取り付けを試みることになり、取り付け作業の作業効率が低下してしまう虞がある。
これに対し、ロータリーヘッド50によると、回転軸線61方向におけるピン131Kの長さとキー62Aの長さとが互いに異なっているので、例えばキー62Aの方がピン131Kより長いとすると、作業者は先ずロータリーユニット141を回転させてキー62Aを嵌合凹部64Bに嵌め、キー62Aが嵌合凹部64Bに嵌った状態を維持したままロータリーユニット141を回転させてピン131Kを嵌合凹部134Aに嵌めることにより、ピン131Kを嵌合凹部134Aに嵌める作業とキー62Aを嵌合凹部64Bに嵌める作業とを順番に行うことができる。これにより、ピン131K及びキー62Aをそれぞれ嵌める作業を効率よく行うことができる。
更に、ロータリーヘッド50によると、自転用回転体131(より具体的には上側回転体131A)のスリット131Cを挟んで一方の側131Gと他方の側131Fとをボルトによって締結することによって自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに連結するので、回転軸線61方向におけるロータリーユニット141の位置を決める基準が二重基準になってしまわないようにすることができる。これにより、自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結しつつ電子部品E1の吸着や搭載に支障をきたす虞を低減することができる。以下、具体的に説明する。
仮に自転用回転体131がR軸被駆動ギヤ62Rに密着した状態で回転軸線61方向からボルトによってR軸被駆動ギヤ62Rに連結されるとした場合、自転用回転体131がR軸被駆動ギヤ62Rに密着する位置が回転軸線61方向におけるロータリーユニット141の位置を決める一つの基準となる。一方、ユニット側回転体64は回転軸62が有底の穴に完全に差し込まれた状態で回転軸62に固定されるので、回転軸62が有底の穴に完全に差し込まれた位置が回転軸線61方向におけるロータリーユニット141の位置を決めるもう一つの基準となる。すなわち、二重基準になってしまう。
通常、回転軸線61方向におけるロータリーユニット141の長さには製造公差があるので、二重基準になると、自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結できなかったり、あるいはユニット側回転体64が本来の位置からプリント基板B1側にずれてしまったりするという問題が生じる。
例えば、ロータリーユニット141の実際の長さが設計値より短い場合は、回転軸62とユニット側回転体64とによって回転軸線61方向の位置が規定されるので、自転用回転体131とR軸被駆動ギヤ62Rとの間に隙間ができてしまい、自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結できなくなってしまう。
また、ロータリーユニット141の実際の長さが設計値より長い場合は、R軸被駆動ギヤ62Rと自転用回転体131とによって回転軸線61方向の位置が規定され、ユニット側回転体64が本来の位置からプリント基板B1側にずれてしまう。ユニット側回転体64がプリント基板B1側にずれると吸着ノズル56とプリント基板B1との距離がずれてしまい、電子部品E1の吸着や搭載に支障をきたす虞がある。
これに対し、ロータリーヘッド50によると、自転用回転体131のスリット131Cを挟んで一方の側131Gと他方の側131Fとをボルトによって締結することによって自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに連結するので、自転用回転体131の位置が回転軸線61方向に多少ずれていたとしてもR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結することができる。つまり、回転軸線61方向における自転用回転体131の位置に自由度を持たせた状態で強固に連結することができる。
このため、ロータリーヘッド50を少し短めに形成しておけば、常にユニット側回転体64と回転軸62とによって回転軸線61方向におけるロータリーヘッド50の位置を決めることができるので二重基準を解消できるとともに、自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結することができる。これにより、自転用回転体131をR軸被駆動ギヤ62Rに強固に連結しつつ電子部品E1の吸着や搭載に支障をきたす虞を低減することができる。
更に、ロータリーヘッド50によると、ロータリーユニット141を取り外す際に落下したボルトを脱落防止カバー130によって受けるので、ボルトが床に落ちて紛失してしまうことを抑制できる。ただし、単にボルトを脱落防止カバー130で覆うとボルトを緩めるための工具を挿入できなくなってしまう。ロータリーヘッド50によると、脱落防止カバー130においてボルトの下方となる位置にボルトを緩めるための工具が挿入される工具挿入穴130Aが設けられているので、ボルトの紛失を抑制しつつボルトを緩めることができる。
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記の実施形態ではR軸被駆動ギヤ62R(本体側回転体)に嵌合凹部134A(第1の嵌合凹部)が設けられ、自転用回転体131にピン131K(第1の嵌合突起)が設けられている場合を例に説明した。これに対し、R軸被駆動ギヤ62Rにピン131Kが設けられ、自転用回転体131に嵌合凹部134Aが設けられてもよい。
(2)上記の実施形態では位置決め機構としてピン131K(第1の嵌合突起)と嵌合凹部134A(第1の嵌合凹部)とを例に説明したが、位置決め機構の構成はR軸被駆動ギヤ62R(本体側回転体)に対する自転用回転体131の回転方向の位置を決めることができる構成であればこれに限定されない。
(3)上記の実施形態では回転軸62にキー62A(第2の係合突起)が設けられ、ユニット側回転体64に嵌合凹部64B(第2の嵌合凹部)が設けられている場合を例に説明した。これに対し、回転軸62に嵌合凹部64B(第2の嵌合凹部)が設けられ、ユニット側回転体64にキー62Aが設けられてもよい。
(4)上記の実施形態ではキー62A(第2の係合突起)の方がピン131K(第1の嵌合突起)より長い場合を例に説明した。これに対し、ピン131Kの方がキー62Aより長くてもよい。あるいは、ピン131Kの長さとキー62Aさとは同じであってもよい。
(5)上記の実施形態では自転用回転体131のスリット131Cを挟んで一方の側131Gと他方の側131Fとをボルトによって締結することによって上側回転体131AをR軸被駆動ギヤ62Rに連結する場合を例に説明した。これに対し、上側回転体131AがR軸被駆動ギヤ62Rに密着した状態で軸線方向からボルトによってR軸被駆動ギヤ62Rに連結されてもよい。
(6)上記の実施形態では脱落防止カバー130を備えている場合を例に説明したが、脱落防止カバー130は必ずしも備えていなくてもよい。
(7)上記の実施形態では部品保持部材として吸着ノズル56を例に説明したが、部品保持部材は吸着ノズル56に限られるものではない。例えば、部品保持部材は二つのツメで電子部品E1を挟んで保持する所謂チャックであってもよい。
(8)上記の実施形態ではZ軸駆動装置80がリニアモータを用いて吸着ノズル56を昇降させる場合を例に説明したが、Z軸駆動装置80は回転式モータを用いて昇降させるものであってもよい。