以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<表面保護フィルムの全体構造>
ここに開示される表面保護フィルムは、一般に、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称される形態のものであり、特に光学部品(例えば、偏光板、波長板等の液晶ディスプレイパネル構成要素として用いられる光学部品)の加工時や搬送時に光学部品の表面を保護する表面保護フィルムとして好適である。前記表面保護フィルムにおける粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。また、ここに開示される表面保護フィルムは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。
ここに開示される表面保護フィルムの典型的な構成例を図1に模式的に示す。この表面保護フィルム1は、基材(例えばポリエステルフィルム)12と、その第一面12上に設けられた帯電防止層11と、基材12の第二面(帯電防止層11とは反対側の表面)に設けられた粘着剤層13とを備える。表面保護フィルム1は、この粘着剤層13を被着体(保護対象、例えば偏光板等の光学部品の表面)に貼り付けて使用される。使用前(すなわち、被着体への貼付前)の表面保護フィルム1は、粘着剤層13の表面(被着体への貼付面)が、少なくとも粘着剤層13側が剥離面となっている剥離ライナーによって保護された形態であってもよい。あるいは、表面保護フィルム1がロール状に巻回されることにより、粘着剤層13が基材12の背面(帯電防止層11の表面)に当接してその表面が保護された形態であってもよい。
図1に示すように、基材12の第一面上に帯電防止層11が直接(他の層を介することなく)形成され、この帯電防止層11が表面保護フィルム1の背面に露出した態様(すなわち、帯電防止層11がトップコート層を兼ねる態様)は、トップコート層とは別に帯電防止層を設ける構成に比べて、基材12上に帯電防止層11が設けられた帯電防止層付きフィルム(ひいては該フィルムを用いてなる表面保護フィルム)は、表面保護フィルムを構成する層の数を少なくできるため、生産性向上等の観点からも有利である。
<基材>
本発明の表面保護フィルムは、第一面(背面)および第二面(第一面とは反対側の面)を有する基材を有することを特徴とする。ここに開示される技術において、基材を構成する樹脂材料は、特に制限なく使用することができるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性、可撓性、寸法安定性等の特性に優れたものを使用することが好ましい。特に、基材が可撓性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができ、有用である。
前記基材(支持体)として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;等を主たる樹脂成分(樹脂成分のなかの主成分、典型的には50質量%以上を占める成分)とする樹脂材料から構成されたプラスチックフィルムを、前記基材として好ましく用いることができる。前記樹脂材料の他の例としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等の、スチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等の、オレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド等の、アミド系ポリマー;等を樹脂材料とするものが挙げられる。前記樹脂材料のさらに他の例として、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー等が挙げられる。上述したポリマーの2種以上のブレンド物からなる基材であってもよい。
前記基材としては、透明な熱可塑性樹脂材料からなるプラスチックフィルムを好ましく採用することができる。前記プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルムを使用することが、より好ましい態様である。ここで、ポリエステルフィルムとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のエステル結合を基本とする主骨格を有するポリマー材料(ポリエステル樹脂)を主たる樹脂成分とするものをいう。かかるポリエステルフィルムは、光学特性や寸法安定性に優れる等、表面保護フィルムの基材として、好ましい特性を有する一方、そのままでは帯電しやすい性質を有する。
前記基材を構成する樹脂材料には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)等の各種添加剤が配合されていてもよい。前記ポリエステルフィルムの第一面(帯電防止層が設けられる側の表面)には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、例えば、基材と帯電防止層との密着性を高めるための処理であり得る。基材の表面にヒドロキシル基等の極性基が導入されるような表面処理を好ましく採用し得る。また、基材の第二面(粘着剤層が形成される側の表面)に前記と同様の表面処理が施されていてもよい。かかる表面処理は、フィルムと粘着剤層との密着性(粘着剤層の投錨性)を高めるための処理であり得る。
本発明の表面保護フィルムは、基材上に帯電防止層を有することにより、帯電防止機能を有するが、更に、前記基材として、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムを使用することも可能である。前記基材を用いることにより、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が抑えられるため、好ましい。また、基材がプラスチックフィルムであり、前記プラスチックフィルムに帯電防止処理を施すことにより、表面保護フィルム自身の帯電を低減し、かつ、被着体への帯電防止能が優れるものが得られる。なお、帯電防止機能を付与する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法、また、帯電防止剤等を練り込む方法等があげられる。
前記基材の厚みとしては、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記基材の厚みが、前記範囲内にあると、被着体への貼り合せ作業性と被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
<帯電防止層(トップコート層)>
本発明の表面保護フィルムは、第一面および第二面を有する基材と、前記基材の前記第一面に設けられた帯電防止層と、前記基材の前記第二面に粘着剤組成物より形成される粘着剤層と、を備える表面保護フィルムであって、前記帯電防止層が、導電性ポリマー成分としてポリアニリンスルホン酸、バインダとしてポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を含有する帯電防止剤組成物から形成されることを特徴とする。前記表面保護フィルムが、帯電防止層(トップコート層)を有することにより、表面保護フィルムの帯電防止性と剥離帯電圧の経時安定性が向上し、好ましい態様となる。
<導電性ポリマー>
前記帯電防止層は、導電性ポリマー成分として、ポリアニリンスルホン酸を含有することを特徴とする。前記導電性ポリマーを使用することにより、帯電防止層に基づく帯電防止性及び経時の剥離帯電圧を満足することができる。また、前記ポリアニリンスルホン酸は、「水溶性」であるが、後述するイソシアネート系架橋剤を使用することにより、帯電防止層中に固定化でき、耐水性を向上できる。前記水溶性の導電性ポリマー含有水溶液を用いることにより、経時の表面抵抗値に優れた帯電防止層が得られ、好ましい態様となる。一方、帯電防止層を形成する際に用いられる導電性ポリマーが「水分散性」である場合、前記水分散性導電性ポリマー含有溶液を用いて、帯電防止層を形成すると、凝集物が発生し易くなり、均一に塗布できず、経時の表面抵抗値が著しく劣る傾向にあるため、好ましくない。
前記導電性ポリマーの使用量は、帯電防止層(トップコート層)に含まれるバインダ100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、より好ましくは、25〜150質量部であり、更に好ましくは、40〜120質量部である。前記導電性ポリマーの使用量が少なすぎると、帯電防止効果が小さくなる場合があり、導電性ポリマーの使用量が多すぎると、帯電防止層の基材への密着性が落ちたり、透明性が低下する恐れがあり好ましくない。
前記導電性ポリマー成分として使用されるポリアニリンスルホン酸は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、5×105以下であるものが好ましく、3×105以下がより好ましい。また、これら導電性ポリマーの重量平均分子量は、通常は1×103以上であることが好ましく、より好ましくは5×103以上である。
前記帯電防止層を形成する方法として、帯電防止層形成用のコーティング材(帯電防止剤組成物)を基材(支持体)の第一面に塗布・乾燥(または硬化)させる方法が採用でき、コーティング材の調製に用いる導電性ポリマー成分としては、ポリアニリンスルホン酸、バインダとしてポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を必須成分として含有するものであり、前記必須成分が水に溶解した形態のもの(導電性ポリマー水溶液、又は、単に水溶液という。)を好ましく使用し得る。かかる導電性ポリマー水溶液は、例えば、親水性官能基を有する導電性ポリマー(分子内に親水性官能基を有するモノマーを共重合させる等の手法により合成され得る。)を水に溶解させることにより調製することができる。前記親水性官能基としては、スルホ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、四級アンモニウム基、硫酸エステル基(−O−SO3H)、リン酸エステル基(例えば−O−PO(OH)2)等が例示される。かかる親水性官能基は塩を形成していてもよい。
また、前記ポリアニリンスルホン酸水溶液の市販品としては、三菱レイヨン社製の商品名「aqua−PASS」などが例示される。
ここに開示される帯電防止層は、導電性ポリマー成分としては、ポリアニリンスルホン酸(ポリアニリンタイプ)を必須成分として含有するが、例えば、その他の1種または2種以上の帯電防止成分(導電性ポリマー以外の有機導電性物質、無機導電性物質、帯電防止剤など)を共に含んでもよい。なお、好ましい一態様としては、前記帯電防止層が、前記導電性ポリマー以外の帯電防止成分を実質的に含有しない、すなわち、前記帯電防止層に含まれる帯電防止成分が実質的に導電性ポリマーのみからなる態様が、より好ましく実施され得る。
前記有機導電性物質としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体等の両性イオン型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体等のノニオン型帯電防止剤;前記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基(例えば、4級アンモニウム塩基)を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等の導電性ポリマー;が挙げられる。このような帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記無機導電性物質としては、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等が挙げられる。このような無機導電性物質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記帯電防止剤としては、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、ノニオン型帯電防止剤、前記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体、等が挙げられる。
<バインダ>
前記帯電防止層は、必須成分として、ポリエステル樹脂をバインダとして含有することを特徴とする。前記ポリエステル樹脂は、ポリエステルを主成分(典型的には50質量%超え、好ましくは75質量%以上、例えば90質量%以上を占める成分)として含む樹脂材料であることが好ましい。前記ポリエステルは、典型的には、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類(典型的にはジカルボン酸類)およびその誘導体(当該多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール類(典型的にはジオール類)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有することが好ましい。
前記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)−リンゴ酸、meso−酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パーフルオロスベリン酸、3,3,6,6−テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パーフルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−テレフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3'−[4,4’−(メチレンジ−p−ビフェニレン)ジプロピオン酸、4,4’−ビベンジル二酢酸、3,3’(4,4’−ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ−p−フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上述したいずれかの多価カルボン酸の酸無水物;上述したいずれかの多価カルボン酸のエステル(例えばアルキルエステル。モノエステル、ジエステル等であり得る。);上述したいずれかの多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えばジカルボン酸クロリド);等が挙げられる。
前記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の好適例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ハイミック酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;ならびに前記ジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1〜3のモノアルコールとのエステル)等が挙げられる。
一方、前記多価アルコール成分として採用し得る化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、キシリレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類が挙げられる。他の例として、これらの化合物のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、例えば5×103〜1.5×105程度(好ましくは1×104〜6×104程度)であり得る。また、前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば0〜120℃(好ましくは10〜80℃)であり得る。
前記ポリエステル樹脂として、市販の東洋紡社製の商品名「バイロナール」などを用いることができる。
前記帯電防止層(トップコート層)は、ここに開示される表面保護フィルムの性能(例えば、帯電防止性等の性能)を大きく損なわない限度で、バインダとして、ポリエステル樹脂以外の樹脂(例えば、アクリル樹脂、アクリルレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等から選択される1種または2種以上の樹脂)をさらに含有し得る。ここに開示される技術の好ましい一態様としては、帯電防止層のバインダが実質的にポリエステル樹脂のみからなる場合である。例えば、バインダに占めるポリエステル樹脂の割合が98〜100質量%である帯電防止層が好ましい。帯電防止層全体に占めるバインダの割合は、例えば50〜95質量%とすることができ、通常は60〜90質量%とすることが適当である。
<滑剤>
ここに開示される技術における帯電防止層(トップコート層)は、滑剤として、脂肪酸アミドを使用することが好ましい態様である。滑剤として、脂肪酸アミドを使用することにより、帯電防止層の表面にさらなる剥離処理(例えば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等の公知の剥離処理剤を塗布して乾燥させる処理)を施さない態様においても、十分な滑り性と印字密着性を両立した帯電防止層(トップコート層)を得られるため、好ましい態様となりうる。このように帯電防止層の表面にさらなる剥離処理が施されていない態様は、剥離処理剤に起因する白化(例えば、加熱加湿条件下に保存されることによる白化)を未然に防止し得る等の点で好ましい。また、耐溶剤性の点からも有利である。
前記脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N´−ステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。これら滑剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記帯電防止層全体に占める滑剤の割合は、1〜50質量%とすることができ、通常は5〜40質量%とすることが適当である。滑剤の含有割合が少なすぎると、滑り性が低下しやすくなる傾向にある。滑剤の含有割合が多すぎると、印字密着性が低下することがあり得る。
ここに開示される技術は、その適用効果を大きく損なわない限度で、帯電防止層(トップコート層)が、前記脂肪酸アミドに加えて、他の滑剤を含む態様で実施され得る。かかる他の滑剤の例として、石油系ワックス(パラフィンワックス等)、鉱物系ワックス(モンタンワックス等)、高級脂肪酸(セロチン酸等)、中性脂肪(パルミチン酸トリグリセリド等)のような各種ワックスが挙げられる。あるいは、前記ワックスに加えて、一般的なシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を補助的に含有させてもよい。ここに開示される技術は、かかるシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を実質的に含有しない態様で好ましく実施され得る。ただし、ここに開示される技術の適用効果を大きく損なわない限度において、滑剤とは別の目的で(例えば、後述する帯電防止層形成用コーティング材の消泡剤として)用いられるシリコーン系化合物の含有を排除するものではない。
<架橋剤>
前記帯電防止層は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を含有することを特徴とする。前記イソシアネート系架橋剤を用いることにより、帯電防止層を形成する際に必須成分である水溶性のポリアニリンスルホン酸をバインダ中に固定化でき、耐水性に優れ、更に、印字密着性の向上等の効果を実現することができる。
また、前記イソシアネート系架橋剤として、水溶液中でも安定なブロック化イソシアネート系架橋剤を使用することが好ましい態様である。前記ブロック化イソシアネート系架橋剤の具体例としては、一般的な粘着剤層や帯電防止層(トップコート層)の調製の際に使用できるイソシアネート系架橋剤(例えば、後述する粘着剤層に使用されるイソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤))をアルコール類、フェノール類、チオフェノール類、アミン類、イミド類、オキシム類、ラクタム類、活性メチレン化合物類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、及び、重亜硫酸ソーダなどでブロックしたものが使用できる。
ここに開示される技術における帯電防止層は、必要に応じて、帯電防止成分、酸化防止剤、着色剤(顔料、染料等)、流動性調整剤(チクソトロピー剤、増粘剤等)、造膜助剤、界面活性剤(消泡剤等)、防腐剤等の添加剤を含有し得る。
<帯電防止層の形成>
前記帯電防止層(トップコート層)は、前記導電性ポリマー成分等の必須成分および必要に応じて使用される添加剤が適当な溶媒(水など)に溶解した液状組成物(帯電防止層形成用のコーティング材、帯電防止剤組成物)を基材に付与することを含む手法によって好適に形成され得る。例えば、前記コーティング材を基材の第一面に塗布して乾燥させ、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う手法を好ましく採用し得る。前記コーティング材のNV(不揮発分)は、例えば5質量%以下(典型的には0.05〜5質量%)とすることができ、通常は1質量%以下(典型的には0.10〜1質量%)とすることが適当である。厚みの小さい帯電防止層を形成する場合には、前記コーティング材のNVを例えば0.05〜0.50質量%(例えば0.10〜0.40質量%)とすることが好ましい。このように低NVのコーティング材を用いることにより、より均一な帯電防止層が形成され得る。
前記帯電防止層形成用コーティング材を構成する溶媒としては、帯電防止層の形成成分を安定して、溶解し得るものが好ましい。かかる溶媒は、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒であり得る。前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;等から選択される1種または2種以上を用いることができる。好ましい一態様では、前記コーティング材の溶媒が、水または水を主成分とする混合溶媒(例えば、水とエタノールとの混合溶媒)である。
<帯電防止層の性状>
ここに開示される技術における帯電防止層の厚さは、典型的には3〜500nmであり、好ましくは3〜100nm、より好ましくは3〜60nmである。帯電防止層の厚みが小さすぎると、帯電防止層を均一に形成することが困難となり(例えば、帯電防止層の厚みにおいて、場所による厚みのバラツキが大きくなり)、このため、表面保護フィルムの外観にムラが生じやすくなることがあり得る。一方、厚すぎると、基材の特性(光学特性、寸法安定性等)に影響を及ぼす場合がある。
ここに開示される表面保護フィルムの好ましい一態様では、帯電防止層の表面において測定される表面抵抗値(Ω/□)としては、好ましくは、1.0×1011未満であり、より好ましくは、8.0×1010未満であり、更に好ましくは、5.0×1010未満である。前記範囲内の表面抵抗値を示す表面保護フィルムは、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工または搬送過程等において使用される表面保護フィルムとして好適に利用され得る。なお、前記表面抵抗値は、市販の絶縁抵抗測定装置を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される表面抵抗値から算出することができる。
ここに開示される表面保護フィルムは、その背面(帯電防止層の表面)が、水性インキや油性インキにより(例えば、油性マーキングペンを用いて)容易に印字できる性質を有することが好ましい。かかる表面保護フィルムは、表面保護フィルムを貼り付けた状態で行われる被着体(例えば光学部品)の加工や搬送等の過程において、保護対象たる被着体の識別番号等を前記表面保護フィルムに記載して表示するのに適している。したがって、印字性に優れた表面保護フィルムであることが好ましい。例えば、溶剤がアルコール系であって顔料を含むタイプの油性インキに対して高い印字性を有することが好ましい。また、印字されたインキが擦れや転着により取れにくい(すなわち、印字密着性に優れる)ことが好ましい。ここに開示される表面保護フィルムは、また、印字を修正または消去する際に、印字をアルコール(例えばエチルアルコール)で拭き取っても外観に目立った変化を生じない程度の耐溶剤性を有することが好ましい。
ここに開示される表面保護フィルムは、基材、粘着剤層、及び、帯電防止層に加えて、さらに他の層を含む態様でも実施され得る。かかる「他の層」の配置としては、基材の第一面(背面)と帯電防止層との間、基材の第二面(前面)と粘着剤層との間等が例示される。基材背面と帯電防止層との間に配置される層は、例えば、帯電防止成分を含む層(上述した帯電防止層)であり得る。基材前面と粘着剤層との間に配置される層は、例えば、前記第二面に対する粘着剤層の投錨性を高める下塗り層(アンカー層)、帯電防止層等であり得る。基材前面に帯電防止層が配置され、帯電防止層の上にアンカー層が配置され、その上に粘着剤層が配置された構成の表面保護フィルムであってもよい。
<粘着剤組成物>
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤層を有し、前記粘着剤層は粘着剤組成物から形成されるものであり、前記粘着剤組成物としては、(メタ)アクリル系ポリマーを使用するアクリル系粘着剤を使用するものである。
前記粘着剤組成物は、モノマー成分として、少なくとも、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50〜99.9質量%、及び、窒素含有モノマーを0.05〜25質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする。前記炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体(被保護体)に対する粘着力を低く制御することが容易となり、軽剥離性や再剥離性に優れた表面保護フィルムが得られる。また、前記窒素含有モノマーを用いることにより、被着体に表面保護フィルムを貼付し、加工・搬送等する際に、浮きや剥がれなどが生じない適度な粘着力を確保でき、更にせん断力に優れた表面保護フィルムを得ることができる。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
なかでも、本発明の表面保護フィルムには、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが好適なものとしてあげられる。特に、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100質量%に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50〜99.9質量%含有し、好ましくは、60〜98質量%、より好ましくは、70〜97質量%、更に好ましくは80〜96質量%である。前記範囲内であれば、粘着剤組成物の適度な濡れ性や、粘着剤層の凝集力に優れ、好ましい態様となる。
前記窒素含有モノマーの具体例としては、たとえば、シアノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
前記シアノ基含有モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
前記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
前記イミド基含有モノマーとしては、たとえば、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
前記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100質量%に対して、窒素含有モノマーを、0.05〜25質量%含有し、好ましくは、0.06〜23質量%、より好ましくは、0.07〜20質量%、更に好ましくは0.08〜18質量%である。前記範囲内であれば、浮きや剥がれなどが生じない適度な粘着力を確保でき、更にせん断力に優れた表面保護フィルムを得ることができ、好ましい態様となる。
また、本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、原料モノマーとして、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を使用することができる。
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における粘着力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうるカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基は、帯電防止成分(帯電防止剤)であるイオン性化合物やオキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンなどのポリエーテル成分と適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても、好適に用いることができる。
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。特にアルキル基の炭素数が4以上のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いることで高速剥離時の軽剥離化が容易となり好ましい。
前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、20質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、1〜18質量%、更に好ましくは、2〜16質量%であり、最も好ましくは3.5〜15質量%である。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と、得られる粘着剤層の凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシルペンチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部未満がさらに好ましく、最も好ましくは、0.01質量部以上0.1質量部以下である。10質量部を超えると、極性作用が大きいカルボキシル基のような酸官能基が多数存在し、帯電防止成分としてイオン性化合物を配合する場合、前記イオン性化合物に、カルボキシル基等の酸官能基が相互作用することにより、イオン伝導が妨げられ、導電効率が低下し、十分な帯電防止性が得られなくなる恐れがあり、好ましくない。
更に、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、窒素含有モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、本発明の特性を損なわない範囲内であれば、特に限定することなく用いることができる。たとえば、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマーなどの粘着力向上や架橋化基点として働く官能基を有する成分を適宜用いることができる。これら重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
本発明において、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、窒素含有モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、0〜30質量部であることがより好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、帯電防止剤としてイオン性化合物する場合、前記イオン性化合物との良好な相互作用、および良好な再剥離性を適宜調節することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分としてアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを含有してもよい。
また、前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、帯電防止成分であるイオン性化合物との相溶性の観点から1〜40であることが好ましく、3〜40であることがより好ましく、4〜35であることがさらに好ましく、5〜30であることが特に好ましい。前記平均付加モル数が1以上の場合、被着体(被保護体)の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、前記平均付加モル数が40より大きい場合、イオン性化合物との相互作用が大きく、粘着剤組成物の粘度が上昇して塗工が困難となる傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、ヒドロキシル基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分全量中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがより一層好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましく、1質量%以下であることがなお好ましい。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が10質量%超えると、イオン性化合物との相互作用が大きくなり、イオン伝導が妨げられ、帯電防止性が低下することとなり、好ましくない。
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、たとえば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
また、前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることがより好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーとイオン性化合物との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
また、前記反応性界面活性剤の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万が好ましく、より好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤層の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し、被着体(例えば、偏光板)への濡れが不十分となり、被着体と表面保護フィルムの粘着剤層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と表面保護フィルムの粘着剤層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤層が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被着体(被保護体)への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
<粘着剤層における帯電防止成分>
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物が、帯電防止成分を含有することが好ましく、前記帯電防止成分として、イオン性化合物を含有することがより好ましい。前記イオン性化合物としては、アルカリ金属塩、及び/又は、イオン液体が挙げられる。これらのイオン性化合物を含有することにより、優れた帯電防止性を付与することができる。なお、前記のように帯電防止成分を含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層(帯電防止成分を使用)は、剥離した際に帯電防止されていない被着体(例えば、偏光板)への帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された表面保護フィルムとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。
前記アルカリ金属塩は、イオン解離性が高いため、微量の添加量でも優れた帯電防止能を発現する点で、好ましい。前記アルカリ金属塩としては、たとえば、Li+、Na+、K+よりなるカチオンと、Cl−、Br−、I−、AlCl4 −、Al2Cl7 −、BF4 −、PF6 −、SCN−、ClO4 −、NO3 −、CH3COO−、C9H19COO−、CF3COO−、C3F7COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、C2H5OSO3 −、C6H13OSO3 −、C8H17OSO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(C3F7SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、NbF6 −、TaF6 −、HF2 −、(CN)2N−、(CF3SO2)(CF3CO)N−、(CH3)2PO4 −、(C2H5)2PO4 −、CH3(OC2H4)2OSO3 −、C6H4(CH3)SO3 −、(C2F5)3PF3 −、CH3CH(OH)COO−、及び、(FSO2)2N−よりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。より好ましくは、LiBr、LiI、LiBF4、LiPF6、LiSCN、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(FSO2)2N、Li(CF3SO2)3Cなどのリチウム塩、さらに好ましくはLiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(C3F7SO2)2N、Li(C4F9SO2)2N、Li(FSO2)2N、Li(CF3SO2)3Cが用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記イオン液体を帯電防止成分(帯電防止剤)として用いることで、粘着特性を損なうことなく、帯電防止効果の高い粘着剤層が得られる。イオン液体を用いることで優れた帯電防止特性が得られる理由の詳細は明らかでないが、イオン液体は、通常のイオン性化合物とくらべ、低融点(融点100℃以下)であるため、分子運動が容易であり、優れた帯電防止能が得られるものと考えられる。特に被着体への帯電防止を図る際にはイオン液体が被着体へ極微量転写することにより、被着体での優れた剥離帯電防止性が図れていると考えられる。特に、融点が室温(25℃)以下のイオン液体は、被着体への転写がより効率的に行えるため、優れた帯電防止性が得られる。
また、前記イオン液体は100℃以下のいずれかで液状であるため、固体の塩に比べて、粘着剤への添加および分散または溶解が容易に行える。さらにイオン液体は蒸気圧がない(不揮発性)ため、経時で消失することもなく、帯電防止特性が継続して得られる特徴を有する。なお、イオン液体とは、融点が100℃以下で、液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)を指す。
前記イオン液体としては、下記一般式(A)〜(E)で表される有機カチオン成分と、アニオン成分からなるものが好ましく用いられる。これらのカチオンを持つイオン液体により、さらに帯電防止能の優れたものが得られる。
前記式(A)中のRaは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、RbおよびRcは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、Rcはない。
前記式(B)中のRdは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、Re、Rf、およびRgは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
前記式(C)中のRhは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、Ri、Rj、およびRkは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
前記式(D)中のZは、窒素、硫黄、またはリン原子を表し、Rl、Rm、Rn、およびRoは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但しZが硫黄原子の場合、Roはない。
前記式(E)中のRPは、炭素数1から18の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
式(A)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、モルフォリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン、ピロリジニウム−2−オンカチオン、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムカチオンなどが挙げられる。
式(B)で表されるカチオンとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
式(C)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
式(D)で表されるカチオンとしては、たとえば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、前記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたものなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、トリブチル−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどがあげられる。なかでもトリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオンなどの非対称のテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオンが好ましく用いられる。
式(E)で表されるカチオンとしては、たとえば、スルホニウムカチオン等が挙げられる。また、前記式(E)中のRPの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
一方、アニオン成分としては、イオン液体になることを満足するものであれば特に限定されず、例えば、Cl−、Br−、I−、AlCl4 −、Al2Cl7 −、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、NO3 −、CH3COO−、CF3COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(C3F7SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、NbF6 −、TaF6 −、HF2 −、(CN)2N−、C4F9SO3 −、(C2F5SO2)2N−、C3F7COO−、(CF3SO2)(CF3CO)N−、C9H19COO−、(CH3)2PO4 −、(C2H5)2PO4 −、C2H5OSO3 −、C6H13OSO3 −、C8H17OSO3 −、CH3(OC2H4)2OSO3 −、C6H4(CH3)SO3 −、(C2F5)3PF3 −、CH3CH(OH)COO−、及び、(FSO2)2N−などが用いられる。
また、アニオン成分としては、下記式(F)で表されるアニオンなども用いることができる。
また、アニオン成分としては、なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン液体が得られることから好ましく用いられる。
本発明に用いられるイオン液体の具体例としては、前記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられ、たとえば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルビベリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムピス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(ベンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、2−メチルピラゾリウムテトラフルオロポレート、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラペンチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘキシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2
−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−Nメチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、テトラオクチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメダンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムチオシアネート、4−エチル−4−メチルモルフォリニウムメチルカーボネートなどがあげられる。
なお、前記イオン液体は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、前記イオン性化合物の含有量は、1質量部以下が好ましく、0.001〜0.9質量部がより好ましく、より好ましくは0.005〜0.8質量部、最も好ましくは0.01〜0.5質量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と低汚染性の両立がしやすいため、好ましい。
<オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサン>
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤組成物が、ポリエーテル成分を含有することが好ましく、中でも、オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有することが好ましく、オキシアルキレン主鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有することが、より好ましい。前記オルガノポリシロキサンを使用することにより、粘着剤表面の表面自由エネルギーが低下し、軽剥離化を実現しているものと推測される。
前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン主鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
(式中、R
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6のオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖中のアルキレン基は、直鎖又は分岐していてもよく、前記オキシアルキレン鎖の末端が、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよい。また、R
1又はR
2のいずれか一方が、ヒドロキシル基でもよく、又は、アルキル基、アルコキシ基であってもよく、前記アルキル基、アルコキシ基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。nは、1〜300の整数である。)
前記オルガノポリシロキサンは、シロキサンを含む部位(シロキサン部位)を主鎖とし、この主鎖の末端にオキシアルキレン鎖が結合しているものが使用される。前記オキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマーおよびイオン性化合物との相溶性のバランスがとれ、軽剥離化を実現しているものと推測される。
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6の炭化水素基を含むオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖として、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられるが、なかでもオキシエチレン基やオキシプロピレン基が好ましい。なお、R
1及びR
2が、共にオキシアルキレン鎖を有する場合、同一であっても、異なっていてもよい。
また、前記オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
更に、前記オキシアルキレン鎖の末端は、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよいが、中でも、アルコキシ基であることがより好ましい。粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせる場合、末端がヒドロキシル基のオルガノポリシロキサンでは、セパレーターとの相互作用が生じ、セパレーターを粘着剤層表面から剥がす際の粘着(剥離)力が上昇する場合がある。
また、nは、1〜300の整数であり、好ましくは10〜200であり、より好ましくは20から150である。nが前記範囲内にあると、ベースポリマーとの相溶性のバランスが取れて好ましい態様となる。更に、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。前記オルガノポリシロキサンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品として、商品名が、X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6004、KF−889(以上、信越化学工業社製)、BY16−201、SF8427(以上、東レ・ダウコーニング社製)、IM22(旭化成ワッカー社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、主鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサン以外に、側鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサンを用いることも、可能であり、主鎖よりも側鎖にオキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることが、より好ましい態様である。前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
(式中、R
1は1価の有機基、R
2,R
3及びR
4はアルキレン基、R
5は水素もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m, nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a, bが同時に0となることはない。)
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基又はベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基で例示される1価の有機基であり、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。R
2,R
3及びR
4はメチレン基,エチレン基,プロピレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基を用いることができる。ここで、R
3及びR
4は異なるアルキレン基であり、R
2はR
3又はR
4と同じであっても、異なっていてもよい。R
3及びR
4はそのポリオキシアルキレン側鎖中に溶解し得るイオン性化合物の濃度を上げるためにそのどちらか一方が、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。R
5はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基またはアセチル基,プロピオニル基等のアシル基で例示される1価の有機基であってもよく、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。前記ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンのなかでも、ヒドロキシル基末端を有するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンが相溶性のバランスがとりやすいと推測されるため好ましい。
前記オルガノシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品としての商品名KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6022、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−2516(以上、信越化学工業社製)SF8428、FZ−2162、SH3749、FZ−77、L−7001、FZ−2104、FZ−2110、L−7002、FZ−2122、FZ−2164、FZ−2203、FZ−7001、SH8400、SH8700、SF8410、SF8422(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4440,TSF−4441、TSF−4445、TSF−4450、TSF−4446、TSF−4452、TSF−4460(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)、BYK−333、BYK−307、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)などがあげられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で使用する前記オルガノシロキサンとしては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が、1〜16が好ましく、より好ましくは3〜14である。HLB値が前記範囲内を外れると、被着体への汚染性が悪くなり、好ましくない。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、前記オルガノポリシロキサンの含有量は、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3質量部であり、更に好ましくは0.05〜1質量部、最も好ましくは0.05〜0.5質量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と軽剥離性(再剥離性)の両立がしやすいため、好ましい。
<架橋剤>
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層とする。例えば、前記粘着剤が、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有数場合、前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた表面保護フィルム(粘着剤層)を得ることができる。
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記イソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤)としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、前記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネート600、タケネートD110N、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、三井化学社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより、粘着力の経時安定性が向上し、より信頼性に優れた表面保護フィルムを得ることができる。
また、前記イソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤として、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いる場合には、両化合物の配合比(重量比)としては、[2官能のイソシアネート化合物]/[3官能以上のイソシアネート化合物](重量比)が、0.1/99.9〜50/50で配合することが好ましく、0.1/99.9〜20/80がより好ましく、0.1/99.9〜10/90がさらに好ましく、0.1/99.9〜5/95がより好ましく、0.1/99.9〜1/99が最も好ましい。前記範囲内に調整して配合することにより、粘着力の経時安定性が向上し、好ましい態様となる。
前記エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
前記メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
前記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜10質量部含有されていることが好ましく、0.1〜8質量部含有されていることがより好ましく、0.5〜5質量部含有されていることがさらに好ましく、1〜4質量部含有されていることが最も好ましい。前記含有量が0.01質量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、得られる粘着剤層の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10質量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体(例えば、偏光板)への濡れが不十分となって、被着体と粘着剤層(粘着剤組成物層)との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。さらに、架橋剤量が多いと剥離帯電特性が低下する傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記粘着剤組成物には、さらに、上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるための架橋触媒を含有させることができる。かかる架橋触媒として、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズなどのスズ系触媒、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)鉄、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄などの鉄系触媒を用いることができる。これら架橋触媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記架橋触媒の含有量(使用量)は、特に制限されないが、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、およそ0.0001〜1質量部とすることが好ましく、0.001〜0.5質量部がより好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなり、好ましい態様となる。
前記粘着剤組成物には、ポリエーテル成分として、オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物を含有してもよい。前記化合物を粘着剤に含有することにより、さらに被着体への濡れ性に優れた粘着剤を得ることができる。
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルアリルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;その他、ポリオキシアルキレン鎖(ポリアルキレンオキシド鎖)を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物(およびその誘導体を含む)、ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物(およびその誘導体を含む)等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン鎖含有モノマーを、ポリオキシアルキレン鎖含有化合物としてアクリル系ポリマーに配合してもよい。かかるポリオキシアルキレン鎖含有化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)のブロック共重合体、PPG−PEG−PPGのブロック共重合体、PEG−PPG−PEGのブロック共重合体等が挙げられる。前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の誘導体としては、末端がエーテル化されたオキシプロピレン基含有化合物(PPGモノアルキルエーテル、PEG−PPGモノアルキルエーテル等)、末端がアセチル化されたオキシプロピレン基含有化合物(末端アセチル化PPG等)、等が挙げられる。
より好ましい一態様としては、前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物が、少なくとも一部に(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物である。前記(ポリ)エチレンオキシド鎖含有化合物を配合することにより、ベースポリマーと帯電防止成分との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。中でも特にPPG−PEG−PPGのブロック共重合体を用いた場合には低汚染性に優れた粘着剤が得られる。前記ポリエチレンオキシド鎖含有化合物としては、前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物全体に占める(ポリ)エチレンオキシド鎖の重量が5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜85質量%、さらに好ましくは5〜80質量%、もっとも好ましくは5〜75質量%である。
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の分子量としては、数平均分子量(Mn)が50000以下のものが適当であり、200〜30000が好ましく、さらには200〜10000がより好ましく、通常は200〜5000のものが好適に用いられる。Mnが50000よりも大きすぎると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下し粘着剤層が白化する傾向にある。Mnが200よりも小さすぎると、前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。なお、ここでMnとは、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により得られたポリスチレン換算の値をいう。
また、前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の市販品としての具体例は、たとえば、アデカプルロニック17R−4、アデカプルロニック25R−2(以上、いずれもADEKA社製)、エマルゲン120(花王社製)、アクアロンHS−10(以上、第一工業製薬社製)などが挙げられる。
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の配合量としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.005〜20質量部とすることができ、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、最も好ましくは0.1〜1質量部である。配合量が少なすぎると帯電防止成分のブリードを防止する効果が少なくなり、多すぎると前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。
さらに、前記粘着剤組成物には、アクリルオリゴマーを含有してもよい。アクリルオリゴマーは、重量平均分子量が1000以上30000未満が好ましく、1500以上20000未満がより好ましく、2000以上10000未満がさらに好ましい。前記アクリルオリゴマーとしては、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含む(メタ)アクリル系重合体であり、アクリル系粘着剤として使用する場合は、粘着付与樹脂として機能し、接着性を向上させ、表面保護フィルムの浮き抑制に効果がある。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、脂環式構造を有する脂環式炭化水素基である]
一般式(1)における脂環式炭化水素基R2としてはシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基等の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。このような脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル基を有する(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステルを挙げることができる。このように比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位としてアクリルオリゴマーに持たせることで、接着性を向上させることができる。
前記アクリルオリゴマーの配合量としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜10質量部含有されていることが好ましく、0.1〜7質量部含有されていることがより好ましく、0.2〜5質量部含有されていることがさらに好ましく、0.3〜2質量部含有されていることが最も好ましい。前記範囲の配合量で用いることにより、被着体への粘着力向上が図れ、浮きの抑制を図り易く、好ましい態様となる。
さらに、前記粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
<粘着剤層・表面保護フィルム>
本発明の表面保護フィルムは、前記粘着剤層を基材上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材などに転写することも可能である。
また、基材上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物(溶液)を基材に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を基材上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を基材上に塗布して表面保護フィルムを作製する際には、基材上に均一に塗布できるよう、前記粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
また、本発明の表面保護フィルムを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
本発明の表面保護フィルムは、通常、前記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と接着性のバランスを得やすいため、好ましい。
また、本発明の表面保護フィルムは、総厚みが、1〜400μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、20〜100μmであることが最も好ましい。前記範囲内であると、粘着特性(再剥離性、接着性など)、作業性、外観特性に優れ、好ましい態様となる。なお、前記総厚みとは、基材、粘着剤層、及び、帯電防止層などの全ての層を含む厚みの合計を意味する。
<セパレーター>
本発明の表面保護フィルムには、必要に応じて粘着面を保護する目的で、粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
前記セパレーターを構成する材料としては、紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
本発明の光学部材は、前記表面保護フィルムにより保護されることが好ましい。前記表面保護フィルムは、前記表面保護フィルムは、経時での浮きや剥がれが生じないよう適度な粘着力を有し、帯電防止性と剥離帯電圧の経時安定性に優れるため、加工、搬送、出荷時等の表面保護用途(表面保護フィルム)に使用できるため、前記光学部材(偏光板など)の表面を保護するために、有用なものとなる。特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いることができるため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用途に非常に有用となる。
以下、本発明に関連するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。また、表中の配合量(添加量)を示した。
また、以下の説明中の各特性は、それぞれ次のようにして測定または評価した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2質量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式(2)により求めた。
式(2):1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
n−ブチルアクリレート(BA):−55℃
4−ヒドロキブチルアクリレート(4HBA):−32℃
2−ヒドロキエチルアクリレート(HEA):−15℃
アクリル酸(AA):106℃
N−ビニルピロリドン(NVP):80℃
ジエチルアクリルアミド(DEAA):81℃
アクリルアミド(AAm):165℃
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
<表面抵抗値の測定>
温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下、抵抗率計(三菱化学アナリティック製、ハイレスタUP MCP−HT450型)を用い、JIS−K−6911に準じて測定を行った。
なお、本発明における表面抵抗値(Ω/□)としては、初期及び室温(23℃×50%RH)×1週間(7日間)静置した場合共に、好ましくは、1.0×1011未満であり、より好ましくは、8.0×1010未満であり、更に好ましくは、5.0×1010未満である。前記範囲内の表面抵抗値を示す表面保護フィルムは、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工または搬送過程等において使用される表面保護フィルムとして好適に利用され得る。
<偏光板剥離帯電圧(偏光板側)の測定>
各例に係る表面保護フィルム1を幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、剥離ライナーを剥離した後、図2に示すように、あらかじめ除電しておいたアクリル板10(三菱レイヨン社製、商品名「アクリライト」、厚み:1mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせた偏光板20(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)の表面に、表面保護フィルム1の片方の端部が偏光板20の端から30mmはみ出すようにして、ハンドローラーにて圧着した。
このサンプルを23℃×50%RHの環境下に1日放置した後、高さ20mmのサンプル固定台30の所定の位置にセットした。偏光板20から30mmはみ出した表面保護フィルム1の端部を自動巻取り機(図示せず)に固定し、剥離角度150°、剥離速度10m/minとなるように剥離した。このときに発生する被着体(偏光板)表面の電位を、偏光板20の中央から高さ100mmの位置に固定してある電位測定器40(春日電機社製、型式「KSD−0103」)にて、「初期の偏光板剥離帯電圧」を測定した。測定は、23℃、50%RHの環境下で行った。
また、23℃×50%RHの環境下に7日間放置した後、「初期の偏光板剥離帯電圧」と同様に、「経時の偏光板剥離帯電圧」を測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
なお、偏光板剥離帯電圧とは、本発明の表面保護フィルムを構成する帯電防止層および粘着剤層に由来する剥離帯電圧であり、帯電防止性に寄与するものである。
本発明における偏光板剥離帯電圧(kV)(絶対値、初期及び経時共に)としては、好ましくは、1.0以下であり、より好ましくは、0.8以下であり、更に好ましくは、0.5以下である。前記範囲内にあると、例えば、液晶ドライバ等の損傷を防ぐことができ、好ましい態様となる。
<フィルム側剥離帯電圧(表面保護フィルムの帯電防止層側)の測定>
前記偏光板剥離帯電圧の測定と同様にして、偏光板20の表面から表面保護フィルム1を、剥離角度150°、剥離速度10m/minとなるように剥離した。このときに発生する表面保護フィルム1の電位を、該表面保護フィルム1の中央から高さ100mmの位置に固定してある電位測定器40(春日電機社製、型式「KSD−0103」)にて、「初期のフィルム側剥離帯電圧」を測定した。測定は、23℃、50%RHの環境下で行った。
また、23℃×50%RHの環境下に7日間放置した後、「初期の偏光板剥離帯電圧」と同様に、「経時の偏光板剥離帯電圧」を測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
なお、フィルム側剥離帯電圧とは、本発明の表面保護フィルムを構成する帯電防止層に由来する剥離帯電圧であり、帯電防止性に寄与するものである。
本発明におけるフィルム側剥離帯電圧(kV)(絶対値、初期及び経時共に)としては、好ましくは、1.0以下であり、より好ましくは、0.8以下であり、更に好ましくは、0.5以下である。前記範囲内にあると、剥離後の表面保護フィルムが帯電せず、作業性に優れるため、好ましい態様となる。
<滑り性(動摩擦力)の測定>
表面保護フィルムを幅70mm、長さ100mmのサイズにカットし、アクリル板(三菱レイヨン社製、商品名「アクリライト」、厚み:1mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせて試験片を用意した。この試験片の背面(帯電防止層表面)を下にして、水平に保持した平滑なPETフィルム上に置き、その試験片の上に荷重1.5kgを載せた。前記荷重を載せた試験片を、伸縮性のない糸を用いて引張試験機に取り付け、測定温度25℃において引張速度300mm/min、引張距離300mmの条件で試験片を水平に引っ張り、試験片にかかる動摩擦力(N)の平均値(n=3)を求めた。
なお、本発明における滑り性(動摩擦力)(N)としては、好ましくは、5以下であり、より好ましくは、4.5以下であり、更に好ましくは、4以下である。前記範囲内にあると、表面保護フィルムを張り付けた被着体を取り扱う際に、基材背面(帯電防止層表面)の滑り性が良好であると作業性の点で有利となる。
<印字性(印字密着性)の評価>
23℃×50%RHの測定環境下でシャチハタ社製Xスタンパーを用いて、帯電防止層表面上に印字を施した後、その印字の上からニチバン社製のセロテープ(登録商標)を貼り付け、次いで、剥離速度30m/min、剥離角度180°の条件で剥離する。その後、剥離後の表面を目視観察し、印字面積の50%以上が剥離された場合を×(印字性不良)、印字面積の50%以上が剥離されずに残った場合を○(印字性良好)と評価した。
<せん断力の測定>
表面保護フィルムを幅10mm、長さ100mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、前記表面保護フィルムの粘着剤層の粘着(接着)面積が、1cm2になるように、TAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:25mm、長さ:100mm)に貼り合わせ、23℃で剥離速度0.06mm/minでせん断方向に引張り、そのときの最大荷重(N/cm2)をせん断力とした。
なお、前記せん断力(N/cm2)は、10以上が好ましく、より好ましくは、10〜50、更に好ましくは、10〜40である。前記せん断力が、前記範囲内であれば、被着体がカールしようとするときに発生するせん断方向の力に耐えることができ、表面保護フィルムの滑りやズレが生じることなく、被着体のカールを抑制できるため、好ましい。
<加熱時の浮き>
表面保護フィルムを幅40mm、長さ40mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、スライドガラス(松波硝子工業社製、厚み:1.3mm、幅:65mm、長さ:165mm)に固定したTAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)に0.25MPaの圧力でラミネートし、評価サンプルを作製した。これを50℃、5atmの環境下で15分間オートクレーブ処理を行い、その後80℃、常圧の環境下で2時間放置した後、偏光板から表面保護フィルムが浮いているかどうかを目視にて確認した。評価基準は以下の通りである。
浮きの発生が認められた場合を×、浮きの発生が認められなかった場合を○として、評価した。
<帯電防止層(A)用水溶液の調製>
バインダとしてポリエステル樹脂バイロナールMD−1480(25%水溶液、東洋紡社製)、導電性ポリマーとしてポリアニリンスルホン酸(aquapass、重量平均分子量4万、三菱レイヨン社製)、架橋剤としてジイソプロピルアミンでブロックしたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、滑剤として、オレイン酸アミドを水/エタノール(1/3)の混合溶媒に、バインダを固形分量で100質量部、導電性ポリマーを固形分量で75質量部、架橋剤を固形分量で10質量部、滑剤を固形分量で30質量部とを加え、約20分間撹拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.4%の帯電防止層(A)用水溶液を調製した。
<帯電防止層(B)用水溶液の調製>
バインダとしてポリエステル樹脂バイロナールMD−1480(25%水溶液、東洋紡社製)、導電性ポリマーとしてポリアニリンスルホン酸(aquapass、重量平均分子量4万、三菱レイヨン社製)、架橋剤としてジイソプロピルアミンでブロックしたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を水/エタノール(1/3)の混合溶媒に、バインダを固形分量で100質量部、導電性ポリマーを固形分量で75質量部、架橋剤を固形分量で10質量部とを加え、約20分間撹拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.4%の帯電防止層(B)用水溶液を調製した。
<帯電防止層(C)用水溶液の調製>
バインダとしてポリエステル樹脂バイロナールMD−1480(25%水溶液、東洋紡社製)、導電性ポリマーとしてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)0.5%およびポリスチレンスルホネート(重量平均分子量15万)(PSS)0.8%を含む水溶液(Bytron P、H.C.Stark社製)を水/エタノール(1/1)の混合溶媒に、バインダを固形分量で100質量部と、導電性ポリマーを固形分量で50質量部と、架橋剤を固形分で20質量部とを加え、約20分間撹拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.4%の帯電防止層(C)用水溶液を調製した。
<帯電防止層(D)用水溶液の調製>
バインダとしてポリエステル樹脂バイロナールMD−1480(25%水溶液、東洋紡社製)、導電性ポリマーとしてポリアニリンスルホン酸(aquapass、重量平均分子量4万、三菱レイヨン社製)を水/エタノール(1/3)の混合溶媒に、バインダを固形分量で100質量部、導電性ポリマーを固形分量で75質量部とを加え、約20分間撹拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.4%の帯電防止層(D)用水溶液を調製した。
<帯電防止層付きの基材の調製>
一方の面(第一面)にコロナ処理が施された厚さ38μm、幅30cm、長さ40cmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ポリエステルフィルム)のコロナ処理面に、前記帯電防止層(A)〜(D)のいずれかの水溶液を、乾燥後の厚みが15、30、45nmとなるように塗布した。この塗布物を130℃に1分間加熱して乾燥させることにより、PETフィルムの第一面に帯電防止層を有する帯電防止層付き基材を作製した。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(E)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10質量部、アクリル酸(AA)0.02質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)0.1質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル165質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(E)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(E)の重量平均分子量は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(F)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)5質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル165質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(F)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(F)の重量平均分子量は、58万、ガラス転移温度(Tg)は、−64℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(G)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)15質量部、アクリル酸(AA)0.05質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル188質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(G)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(G)の重量平均分子量は、60万、ガラス転移温度(Tg)は、−59℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(H)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート(BA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10質量部、アクリル酸(AA)0.02質量部、ジエチルアクリルアミド(DEAA)20質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル195質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(H)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(H)の重量平均分子量は、75万、ガラス転移温度(Tg)は、−39℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(I)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10質量部、アクリル酸(AA)0.1質量部、ジエチルアクリルアミド(DEAA)5質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル173質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(I)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(I)の重量平均分子量は、60万、ガラス転移温度(Tg)は、−63℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(J)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)4質量部、アクリルアミド(AAm)5質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル164質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(J)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(J)の重量平均分子量は、58万、ガラス転移温度(Tg)は、−63℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(K)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)4質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル156質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(K)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(K)の重量平均分子量は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−68℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(L)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10質量部、アクリル酸(AA)0.1質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル165質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(L)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(L)の重量平均分子量は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
<実施例1>
〔アクリル系粘着剤溶液の調製〕
前記アクリル系ポリマー(E)溶液(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、ポリエーテル成分として、オルガノポリシロキサン(KF-353、信越化学工業社製)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液4質量部(固形分0.4質量部)、帯電防止剤であるアルカリ金属塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3SO2)2:LiTFSI、東京化成工業社製)を酢酸エチルで1%に希釈した溶液30質量部(固形分0.3質量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)3.5質量部(固形分3.5質量部)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(三井化学社製、タケネート600)0.3質量部(固形分0.3質量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)3質量部(固形分0.03質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
〔表面保護フィルムの作製〕
前記アクリル系粘着剤溶液を、前記帯電防止層を有する基材(帯電防止層付き基材)の帯電防止層とは反対の面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、表面保護フィルムを作製した。
<実施例2〜6、及び、比較例1〜3>
表1〜表3の配合内容に基づき、実施例1と同様にして、表面保護フィルムを作製した。
実施例及び比較例に係る表面保護フィルムにつき、上述した各種測定および評価を行った結果を、表4に示した。
表2及び表3中の略称を、以下に説明する。
[モノマー成分]
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキエチルアクリレート
AA:アクリル酸
NVP:N−ビニルピロリドン
DEAA:ジエチルアクリルアミド
AAm:アクリルアミド
[ポリエーテル成分]
KF353:オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサン(HLB値:10)(信越化学工業社製、商品名:KF−353)
KF6004:オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサン(HLB値:9)(信越化学工業社製、商品名:KF−6004)
HS10:第一工業製薬(株)製、商品名「アクアロンHS−10」(アニオン系界面活性剤)
[イオン性化合物]
LITFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(アルカリ金属塩、東京化成工業社製)(有効成分100%)
BMPTFSI:1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(イオン液体、シグマアルドリッチ社製、25℃で液状)(有効成分100%)
EMIFSI:イオン液体:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(イオン液体、第一工業製薬社製)(有効成分100%)
[架橋剤]
C/HX:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートHX)(有効成分100%)
C/L:トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)(有効成分100%)
タケネート600:1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(三井化学社製、商品名:タケネート600)(有効成分100%)
[架橋触媒]
Sn:ジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成工業社製)
Fe:トリス(アセチルアセトナト)鉄(東京化成工業社製)
注)表中の「>1.0E+13」とは10の13乗を超えることを示した。
表4より、全ての実施例において、帯電防止層が起因する表面抵抗値及びフィルム側剥離帯電圧に優れ、更に、帯電防止層に使用される架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を使用することにより、印字密着性にも優れ、帯電防止層に滑剤を配合した実施例においては、滑り性にも優れることが確認できた。また、粘着剤層に起因するせん断力や加熱時の浮きについても優れた結果が得られ、更に、粘着剤層に帯電防止成分を配合した実施例においては、偏光板剥離帯電圧にも優れることが確認できた。
一方、表4より、比較例1〜3においては、帯電防止層を構成する成分として、水分散タイプの導電性ポリマー(PEDOT/PSS)を使用した場合(比較例1)、帯電防止層を調製する際に使用される水溶液に凝集物が認められ、帯電防止層に起因する経時での表面抵抗値(室温で1週間後測定)やフィルム側剥離帯電圧に劣ることが確認された。また、帯電防止層を調製する際に使用される架橋剤そのものを使用しなかった場合(比較例2)、印字密着性に劣ることが確認された。また、粘着剤層を構成するモノマー成分として、窒素含有モノマーを使用しなかったため(比較例1〜3)、せん断力に劣り、加熱時において浮きが発生し、表面保護フィルムとして、実用的ではないことが確認された。