(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1実施形態の車両用灯具1の外観を斜め上から示す斜視図である。図2は、車両用灯具1の外観を示す図で図2(a)は正面図であり、図2(b)は底面図であり、図2(c)は側面図であり、図2(d)は背面図である。
図1,2に示すように車両用灯具1は、ボディ部10に外側レンズ20が組み付けられてユニット化されている。ここで、ボディ部10に対して外側レンズ20を取り付けた側を前面とし、外側レンズ20と反対側を背面とする。また、車両用灯具1が取り付けられた車両からみて前後左右の外側方向を車両用灯具1の側面方向とし、車両の上下方向を車両用灯具1の上下方向とする。本実施形態は、車両用灯具1を貨物自動車等の荷台の側面に取り付けて、側方灯と路肩灯とを兼用させるものである。
ボディ部10は、前面側に車両用灯具1を構成する各部材が搭載される略板状の部材であり、背面側には車両の取り付け部分に対する固定部が設けられる。ボディ部10を背面から見た形状は、左右方向に略平行な二本の直線部と、左右の端部に向かって先細りの曲線部と、上下方向に略平行な二本の直線部とを備え、左右方向の直線部よりも曲線部の最大幅が広くされている。ボディ部10の形状は特に限定されないが、外側レンズ20の背面側と略相似形状であることが小型化の観点から好ましい。ボディ部10を構成する材料としては、車両外部に取り付けられる車両用灯具1としての強度を備えていれば材料は限定しないが、成型の容易性や軽量化の点から各種樹脂を用いることが好ましい。
外側レンズ20は偏平なドーム形状をなしており、後述する車両用灯具1の内部構造を覆ってボディ部10に取り付けられ、内部からの可視光を透過する光学部材である。外側レンズ20を構成する材料としては、可視光を良好に透過するものであれば限定しないが、成型の容易性や軽量化の観点から樹脂材料が好ましく、特にアクリル樹脂は強度と耐候性を備えることからさらに好ましい。
図1,2に示したように外側レンズ20は、側方向出射部21と、上側曲面部22と、上側平面部23と、下側曲面部24と、下側平面部25とが一体に形成されている。これらの面を一体に形成する方法としては、金型を用いた公知の樹脂成型方法を用いることができ、すべての面を一括して成型してもよく、各面を成型した後に接合することや、左右に分割して形成して接合するなど様々な方法を用いてよい。また、外側レンズ20の背面側はボディ部10の外形と略相似形状をなしており、平面側の端部がボディ部10に固定されて接触している。
側方向出射部21は、車両の側面方向に光を出射する面であり、上面または底面からみてボディ部10に対して丸みを帯びた台形をなすように帯状の平面が連続して形成された面である。ここでは丸みを帯びた台形の例を示したが、車両の側面方向に光を出射する面であればよく、その形状は限定されず半楕円形状や多角形状であってもよい。また、帯状の平面を連続して形成した例を示したが、光を出射する面としては平面に限定されず光を散乱するための凹凸加工が施されていてもよく、曲面であってもよい。また、車両の側面方向に光を出射するとは、内部から出射される光が主として車両の前後左右の外側方向に向かう配光であることを意味し、全ての光が側面方向に出射されることだけを意味しない。ここでは、車両用灯具1を車両の側面に取り付けて、側方向出射部21を車両から水平方向に向けた場合を想定しているが、車両用灯具1を水平方向から所定の角度ずらして取り付けた場合には、側方向出射部21と光出射方向もそれに応じて水平方向から傾くことになる。
上側曲面部22は、側方向出射部21の上側端辺から上側平面部23の外縁まで連続して形成された曲面であり、背面側では縁部がボディ部10に接触している。上側曲面部22の曲面は外側に向かって凸となる曲面形状であり、側方向出射部21に向かって傾斜角度が増大するテーパ形状とされている。
上側平面部23は、背面側から側面方向に傾斜した平面部分を備えており、平面部分が上側曲面部22に対して窪んだ位置に設けられている。上側平面部23の平面部分の外縁には、上側曲面部22に連続するようなテーパ部23aが設けられており上側曲面部22と稜線を形成して接続されている。また、上側平面部23の背面側では縁部がボディ部に接触している。
下側曲面部24は、側方向出射部21の下側端辺から下側平面部25の外縁まで連続して形成された曲面であり、背面側では縁部がボディ部10に接触している。下側曲面部24の曲面は外側に向かって凸となる曲面形状であり、側方向出射部21に向かって傾斜角度が増大するテーパ形状とされている。
下側平面部25は、背面側から側面方向に傾斜した平面部分を備えており、平面部分が下側曲面部24に対して窪んだ位置に設けられている。下側平面部25の平面部分の外縁には、下側曲面部24に連続するようなテーパ部25aが設けられており下側曲面部24と稜線を形成して接続されている。また、下側平面部25の背面側では縁部がボディ部に接触している。ここでは、上側曲面部22と上側平面部23および下側曲面部24と下側平面部25とが段差を有している形状を挙げたが、段差を有する位置関係である必要はなく、稜線を形成して接続していればよい。
上側曲面部22と上側平面部23は稜線を介して接続された多面形状を構成しており、車両用灯具1から上方に向かって光を出射する上方向出射部として機能する。同様に下側曲面部24と下側平面部25も稜線を介して接続された多面形状を構成しており、車両用灯具1から下方に向かって光を出射する下方向出射部として機能する。上方向出射部と下方向出射部は、側方向出射部21を挟んで対向して設けられており、上下方向出射部を構成している。
図1,2に示したように、側方向出射部21はボディ部10に対して丸みを帯びた台形を為すような帯状の面であり、上方向出射部および下方向出射部よりも面積が小さく形成されている。
上述したように、光学部材である外側レンズ20の上下方向出射部は、それぞれ曲面部と平面部とが接続した多面形状で構成され、側方向出射部21の面積は上方向出射部および下方向出射部よりも小さい。これにより、平面のみで光学部材を構成するよりも外側レンズ20の強度が向上する。また、上下方向出射部の面積が側方向出射部21よりも大きいため、後述するように上方向と下方向に出射する光量を確保でき、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
図3は、車両用灯具1の内部構造を示す図であり、図3(a)は図1中にA−A線での断面図で、図3(b)は図1中にB−B線での断面図である。ボディ部10は基板部11と、固定部12と、光源保持部13とを備え、回路基板14と、光源部15と、内側レンズ30と、外側レンズ20とを保持している。
基板部11は、各部材を搭載するための略平板状部分であり、背面側には車両側との固定を行う固定部12が設けられ、前面側には光源部15が取り付けられる光源保持部13が立設されている。また、基板部11の略中央位置には、回路基板14に接続された配線を外部に引き出す接続孔が形成されている。
回路基板14は、光源部15に対して電力を供給する駆動回路を搭載し、基板部に搭載された部材である。回路基板14には、外部から配線を経由して電力や制御信号が入力され、制御信号に応じて駆動回路が発光に適した電流値および電圧値の電流を光源部15に供給する。
光源部15は、回路基板14から供給される電流に応じて発光するLEDチップなどの発光素子を複数備え、光源保持部13に固定されている。光源部15が発光する光は単色光でもよいが、路肩灯として用いるためには白色光を発光するものを用いることが好ましい。図3中では光源部15を略矩形状の平板な部材として示しているが、例えば配線基板上にLEDチップを搭載してその周囲を樹脂封止した構造のパッケージなどを採用できる。パッケージ化されたLEDでは、光反射部材や光散乱部材を適用することで側方灯および路肩灯として適した配光特性を実現できる。ここで光源部15から照射される光を300カンデラ以下とすることで、法令などの定めによりその他灯火等として扱われるため、どのような配光でも可能となる。ここでは光源部15としてLEDチップを用いたものを例示したが、照明用途に用いることができる光源であればどのようなものでもよく、例えば有機EL(Electro Luminescence)光源やレーザ光源などを用いるとしてもよい。
光源部15からの配光としては特にその配光特性は限定されないが、指向性が低く全方向に光を照射できるものがよい。特に側方向出射部21方向へ出射する光と下方に出射する光について光量を確保できることが好ましく、上方に出射する光も含まれていることがさらに好ましい。
内側レンズ30は偏平なドーム形状をなしており、回路基板14および光源部15を覆って基板部11上に取り付けられ、内部からの可視光を着色して透過する光学部材である。内側レンズ30を構成する材料としては、可視光を良好に透過し着色するものであれば限定しないが、成型の容易性や軽量化の観点から樹脂材料が好ましく、特にポリカーボネートは強度の点からさらに好ましい。内側レンズ30のうち光源部15の下方位置には、着色した樹脂が存在しない切り欠き部30aが設けられている。ここで、内側レンズ30によって着色される色としては、例えば黄色や緑色、赤色、青色などが挙げられ、マーカーとしての機能を発揮する。
図3に示したように、本実施形態では外側レンズ20と内側レンズ30の二つの光学部材を組み合わせて全体として光学部材としての機能を奏している。光源部15が発光した光は、例えば図中矢印で示したような方向に出射される。基板部11の光源部15を搭載する面から鉛直な方向を主方向とすると、主方向が配光分布のうち光量が最大となる主発光方向となっている。主方向とその左右方向に進む光は内側レンズ30を透過して着色され、側方向出射部21から外部に照射される。また、上方向出射部に進む光も内側レンズ30を透過して着色され、上方向出射部から外部に照射される。下方向出射部に進む光のうち一部は内側レンズ30を透過して着色されるが、切り欠き部30a方向に進む光は着色されず下方向出射部から外部に照射される。主方向と交差する方向に出射する光の一部を非着色で透過することから、白色光が切り欠き部30aと上側平面部23を通過する領域は、非着色透過部として機能している。ここでは、光源部15から出射する光の主発光方向をボディ部10や基板部11、光源部15のいずれかに対して鉛直な主方向と一致させ、主発光方向を側方向出射部21に向けている例を示した。しかし、主方向に対して鉛直から所定角度ずれた方向を主発光方向としてもよく、側方向出射部21とは異なる方向に主発光方向を向けてもよい。
光源部15の下方に切り欠き部30aが設けられていることにより、光源部15からの白色光が着色されずに車両用灯具1の下方に照射され、側方向出射部21や上方向出射部からは着色された光が照射される。この下方に出射される白色光によって、路肩灯として夜間路側帯の位置などを照射できる。また、光源部15はボディ部10の基板部11に搭載されるとともに、上方向出射部の面積が側方向出射部21よりも大きいため、上側平面部23から外部に取り出される光量を確保することができる。これにより、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。車両に対する路肩灯の取付けは義務ではないが、夜間路側帯の位置などを運転者が運転席から容易に確認できるため、車両用灯具1が側方灯と路肩灯を兼用することで利便性が向上する。
次に本実施形態の車両用灯具1について分解斜視図を図4,5に示す。図4は斜め上から見た分解斜視図であり、図5は斜め下から見た車両用灯具の分解斜視図である。ボディ部10には、基板部11の前面側に係止突起11aと外枠11bが設けられている。内側レンズ30は、外側レンズ20と所定の間隙をもって内側に配置される光学部材であり、側方向出射部31と、上側曲面部32と、上側平面部33と、下側曲面部34と、下側平面部35とが一体に形成され、下側平面部35のうち光源部15の下方位置に切り欠き部30aが設けられている。図中では、光源部15に破線で示したように5つの発光ダイオードを用いた例を示している。
係止突起11aは、内側レンズ30の背面側端部に対応する位置に複数設けられた係止爪である。内側レンズ30をボディ部10に組み合わせると、係止突起11aによって内側レンズ30が位置決めされ、背面側端部に設けられた溝などに係止爪が嵌まり、内側レンズ30を係合する。
外枠11bは、基板部11の外周を囲んで立設された枠状部分であり、外側レンズ20の背面側端部と略同一の形状をなしている。外側レンズ20をボディ部10に組み合わせると、係止突起11aと外枠11bとの間に外側レンズ20の背面側端部が嵌まって位置決めされ、位置決めした状態で例えば溶着により固定される。ここで図3〜5に示すように、外側レンズ20の背面側端部では肉厚を変えて段差を形成しており、肉薄に形成された端部が係止突起11aと外枠11bとの間隙に入り込み、肉厚に形成された段差が外枠11bの前面側に当接する。これによりボディ部10と外側レンズ20との隙間が低減され、溶着による固定が容易となる。ボディ部10と外側レンズ20との固定に溶着を用いる場合には、車両用灯具1の交換では、光源部15のみを取り外して交換するのではなく、車両用灯具1のユニット全体を車両から取り外して交換する。
外側レンズ20のうち、側方向出射部21、上側曲面部22および下側曲面部24の内面には凹形状または凸形状のステップが複数形成され、上側平面部23と下側平面部25の内面は平滑面とされている。また、外側レンズ20全体の外面も平滑面とされている。
内側レンズ30のうち、上側曲面部32と下側曲面部34の内面には凹形状または凸形状のステップが複数形成され、側方向出射部31と上側平面部33と下側平面部35の内面は平滑面とされている。また、側方向出射部31と上側平面部33の外面には凹形状または凸形状のステップが複数形成され、上側曲面部32、下側曲面部34および下側平面部35の外面は平滑面とされている。ここで、上側平面部33の外面に設けられるステップと、上側曲面部32および下側曲面部34の内面に設けられるステップとは異なるピッチとされている。各面でピッチの異なるステップを形成することで、それぞれの面に適した光の散乱や取り出しをすることができる。
このように、外側レンズ20と内側レンズ30の各面に必要に応じて凹形状または凸形状のステップを複数形成することで、光源部15から出射された光を適切に散乱して外部に取り出すことができる。ステップを形成する位置や形状については、図4,5に示したものに限定されず、必要に応じて所望の領域に形成することができる。
次に、図6〜図11を用いて内側レンズ30についてさらに詳細に説明する。図6は、内側レンズ30をボディ部10に取り付けた状態を斜め下から見た斜視図である。図7は、内側レンズ30をボディ部10に取り付けた状態を示す図で、図7(a)は上面図で、図7(b)は正面図で、図7(c)は底面図で、図7(d)は側面図である。図6,7に示したように内側レンズ30は、側方向出射部31と、上側曲面部32と、上側平面部33と、下側曲面部34と、下側平面部35とが一体に形成されている。
側方向出射部31は、車両の側面方向に光を出射する面であり、上面または底面からみてボディ部10に対して丸みを帯びた台形を為すように帯状の面が連続して形成された面である。ここでは丸みを帯びた台形の例を示したが、車両の側面方向に光を出射する面であればよく、その形状は限定されず楕円形状や多角形状であってもよい。
上側曲面部32は、側方向出射部31の上側端辺から上側平面部33の外縁まで連続して形成された曲面であり、背面側では縁部がボディ部10に接触している。上側曲面部32の曲面は外側に向かって凸となる曲面形状であり、側方向出射部31に向かって傾斜角度が増大するテーパ形状とされている。
上側平面部33は、背面側から側面方向に傾斜した平面部分を備えており、上側曲面部32と稜線を形成して接続されている。また、上側平面部33の背面側では縁部がボディ部に接触している。
下側曲面部34は、側方向出射部31の下側端辺から下側平面部35の外縁まで連続して形成された曲面であり、背面側では縁部がボディ部10に接触している。下側曲面部34の曲面は外側に向かって凸となる曲面形状であり、側方向出射部31に向かって傾斜角度が増大するテーパ形状とされている。
下側平面部35は、背面側から側面方向に傾斜した平面部分を備えており、下側曲面部34と稜線を形成して接続されている。また、下側平面部35の背面側では光源部15の下方位置に切り欠き部30aが設けられている。
上側曲面部32と上側平面部33は稜線を介して接続された多面形状を構成しており、車両用灯具1から上方に向かって光を出射する上方向出射部として機能する。同様に下側曲面部34と下側平面部35も稜線を介して接続された多面形状を構成しており、車両用灯具1から下方に向かって光を出射する下方向出射部として機能する。上方向出射部と下方向出射部は、側方向出射部31を挟んで対向して設けられており、上下方向出射部を構成している。
図6,7に示したように、側方向出射部31はボディ部10に対して丸みを帯びた台形を為すような帯状の面であり、上方向出射部および下側曲面部34よりも面積が小さく形成されている。
上述したように、光学部材である内側レンズ30の上下方向出射部は、それぞれ曲面部と平面部とが接続した多面形状で構成され、側方向出射部31の面積は上方向出射部および下方向出射部よりも小さい。これにより、平面のみで光学部材を構成するよりも内側レンズ30の強度が向上する。また、上下方向出射部の面積が側方向出射部31よりも大きいため、上方向と下方向に出射する光量を確保でき、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
また、光源部15が発光した光は、主方向とその左右方向に進む光は側方向出射部31を透過して着色され外部に照射される。また、上方向に進む光も上側曲面部32と上側平面部33を透過して着色され外部に照射される。下方向に進む光のうち一部は下側曲面部34と下側平面部35を透過して着色され外部に照射されるが、切り欠き部30a方向に進む光は着色されず白色のまま外部に照射される。主方向と交差する方向に出射する光の一部を非着色で透過することから、切り欠き部30aは非着色透過部として機能している。
光源部15の下方に切り欠き部30aが設けられていることにより、光源部15からの白色光が着色されずに車両用灯具1の下方に照射され、側方向出射部21や上方向出射部からは着色された光が照射される。この下方に出射される白色光によって、夜間路側帯の位置などを運転者が運転席から容易に確認できる。このように本実施形態では、光学部材として内側レンズ30のみを用いた場合でも、外側レンズ20と内側レンズ30とを組み合わせた場合と同様の作用効果を得ることが可能である。
図8は、内側レンズ30の外観を斜め上から示す斜視図である。図9は、内側レンズ30の内部を示す背面図である。図10は、内側レンズ30の構造を示す図で図10(a)は図8中のA−A断面図であり、図10(b)は図8中のB−B断面図である。図11は、内側レンズ30の外観と内部構造を示す図で図11(a)は斜め上からの斜視図であり、図11(b)は図8中B−B線で分割した状態を底面側から示す斜視図であり、図11(c)は図8中B−B線で分割した状態を上面側から示す斜視図である。
側方向出射部31の外面には、凹形状または凸形状のステップが縦方向に複数形成されている。具体的なステップの形状やピッチは限定されないが、例えば魚眼ステップを用いると、車両側面方向に照射される光の配光角度を拡げることができ、他車からの荷台部分の視認性を高めることができる。
上側平面部33の外面にも、凹形状または凸形状のステップが複数形成されている。具体的なステップの形状やピッチは限定されないが、断面が略三角形状の三角ステップを用いることで良好に光を散乱することができ、車両用灯具1の内部構造を視認しにくくなる。これにより、光源部15からの光ではなく、上側平面部33全体で面発光した光を直接視認するため、自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
上側曲面部32の内面36と下側曲面部34の内面37には、同一方向に延伸して同じピッチで凹形状または凸形状のステップが複数形成されている。具体的なステップの形状やピッチは限定されないが、三角ステップを用いることで良好に光を散乱することができる。また、上側平面部33の外面と内面36および内面37に形成するステップとして、背面側から主方向に延伸した同一方向のステップを形成すると、内側レンズ30を成型する際に金型から抜きとりが容易となる。
図10(b)に示したように、上側平面部33の延長線と主方向とが交わる角度をθ1とし、下側平面部35の延長線と主方向とが交わる角度をθ2とすると、θ1>θ2とされている。このように、上側平面部33と主方向との成す角が下側平面部35と主方向との成す角よりも大きいことで、上側曲面部32と上側平面部33からなる上方向出射部と、下側曲面部34と下側平面部35からなる下方向出射部とが上下で非対称な形状となる。これにより、内側レンズ30をボディ部10に取り付ける際に、上下方向を誤って取り付けることを防止できる。
次に、図12〜図14を用いて外側レンズ20についてさらに詳細に説明する。図12は、外側レンズ20の内部を示す背面図である。図13は、外側レンズ20の構造を示す図で図13(a)は図12中のA−A断面図であり、図13(b)は図12中のB−B断面図である。図14は、外側レンズ20を図12中のB−B線で分割した状態を示す斜視図である。
上側曲面部22の内面26と下側曲面部24の内面27には、水平方向に延伸して同じピッチで凹形状または凸形状のステップが複数形成されている。具体的なステップの形状やピッチは限定されないが、シリンドリカルステップを用いることで良好に光を散乱することができる。
側方向出射部21の内面28には、凹形状または凸形状のステップが複数形成されている。具体的なステップの形状やピッチは限定されないが、三角ステップを水平方向に延伸して形成することで、側方向出射部21から取り出される光を際立たせることができ、他車からの荷台部分の視認性を高めることができる。
図13(b)に示したように、上側平面部23の延長線と主方向とが交わる角度をθ3とし、下側平面部25の延長線と主方向とが交わる角度をθ4とすると、θ3>θ4とされている。このように、上側平面部23と主方向との成す角が下側平面部25と主方向との成す角よりも大きいことで、上側曲面部22と上側平面部23からなる上方向出射部と、下側曲面部24と下側平面部25からなる下方向出射部とが上下で非対称な形状となる。これにより、外側レンズ20をボディ部10に取り付ける際に、上下方向を誤って取り付けることを防止できる。
以上述べたように本実施形態では、光学部材である外側レンズ20や内側レンズ30の上下方向出射部が曲面部と平面部とが接続した多面形状で構成され、側方向出射部の面積が上下方向出射部よりも小さいことから、車両用灯具の強度が向上する。また、上下方向出射部の面積が側方向出射部よりも大きいため、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。図15は、第2実施形態の光源部15の他の構成例を示す模式図である。
第2実施形態の光源部15は、発光素子16と導光板17を組み合わせたものを用いる。発光素子16は、LEDチップを光源として図示しない基板等の上に搭載し、搭載面と水平方向に白色光を照射する所謂サイドビュー型のLEDパッケージを用いる。導光板17は、光を透過する樹脂等の材料で構成された略平板状の部材であり、図示しない基板等に搭載されている。導光板17は、入射面17aと、下方出射面17bと、光散乱部17cと、光出射面17dを備えている。
入射面17aは発光素子16からの光が入射される側面であり、必要に応じて表面に反射防止加工が施されている。下方出射面17bは入射面17aに対向する側面であり、車両用灯具1の下方に向けて配置される面である。光散乱部17cは導光板17の背面側に設けられた凹凸構造であり、導光板17内部を進む光の一部を前方に散乱反射する。光出射面17dは導光板17の主たる光取り出し面であり、車両用灯具1の側面方向に光を出射する面である。
発光素子16は、導光板17の入射面17aに対向するように基板に搭載され、発光した光は入射面17aから導光板17の内部に入射する。導光板17の内部を進む光の一部は光散乱部17cによって前方に反射され、光出射面17dから出射して側方向出射部21,31や上方向出射部、下方向出射部を透過し、着色されて車両用灯具1の外部に着色光として照射される。また、導光板17の内部を進む光のうち、光散乱部17cで反射されなかった光は、下方出射面17bから出射して非着色透過部である切り欠き部30aから車両用灯具1の外部に白色光として照射される。
光源部15として発光素子16と導光板17を組み合わせて用いることで、導光板17の厚さや光散乱部17cを適切に設計して、下方出射面17bから下方に取り出す白色光と、光出射面17dから取り出して着色する光とを所望の配光分布とすることができる。また、上側平面部23,33方向に向かう光を含むような配光分布も実現できるため、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。第1実施形態では、光源部15の下方位置で下側平面部35に切り欠き部30aを設けることで、主方向と交差する方向に出射する光の一部を非着色で透過していた。第1実施形態で述べたように、内側レンズ30は外側レンズ20と組み合わせても光学部材として機能するが、内側レンズ30だけでも本発明の光学部材として機能する。内側レンズ30だけを光学部材として用いる場合、下側平面部35に切り欠き部30aが形成されていると、内部の光源部15や回路基板14が露出されてしまう。
そこで本実施形態では、内側レンズ30を着色領域と非着色領域の二色で成型して、光源部15の下方に白色光を照射しながらも、車両用灯具1の内部を密閉して保護する。図16は、第3実施形態の車両用灯具1に用いられる内側レンズ30の外観と内部構造を示す図であり、図16(a)は斜め上からの斜視図であり、図16(b)は中央で分割した状態を底面側から示す斜視図であり、図16(c)は中央で分割した状態を上面側から示す斜視図である。
本実施形態でも内側レンズ30は、側方向出射部31と、上側曲面部32と、上側平面部33と、下側曲面部34と、下側平面部35とが一体に形成されている。第1実施形態とは異なり、本実施形態の下側平面部35には、光源部15の下方位置に非着色透過部39が設けられている。
非着色透過部39は、光源部15からの白色光に着色せず白色光のまま透過する材料で形成されており、内側レンズ30の他の部分を構成する着色された樹脂との二色で成型されている。その他の構造は第1実施形態と同様である。
本実施形態では、光源部15から発光された白色光は、非着色透過部39以外の着色された樹脂を透過すると着色されて外部に照射される。また、光源部15から下方に照射された白色光は非着色透過部39を透過して、白色光のまま外部に照射される。
光源部15の下方に非着色透過部39が設けられていることにより、内側レンズ30の内部に収容されている光源部15や回路基板14は外部に露出せずに保護される。したがって、内側レンズ30をボディ部10に組み合わせた状態で車両用灯具1として用いることが可能である。このとき、内側レンズ30とボディ部10の固定は係止突起11aによる係合でもよいが、係止突起11aと外枠11bとで内側レンズ30の端部を挟んで溶着すると密閉性が向上するため好ましい。
本実施形態でも、光学部材である内側レンズ30の上下方向出射部が曲面部と平面部とが接続した多面形状で構成され、側方向出射部の面積が上下方向出射部よりも小さいことから、車両用灯具の強度が向上する。また、上下方向出射部の面積が側方向出射部よりも大きいため、側方灯と路肩灯を兼用しながらも自運転者から荷台位置を容易に確認することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態では、第1実施形態から第3実施形態に示した車両用灯具1を貨物自動車等の荷台の後面に取り付けて車高灯として用いる。車両用灯具1を荷台の後面上部にとりつけると、側方向出射部21からの着色光により後続車両からの荷台の視認性を高めることができる。また、下側平面部25の非着色透過部から下方に照射される白色光によって、荷台後面を照射することができるため、荷台に描かれた文字や図案を照らす看板照明としても機能させることができる。