[角形二次電池]
以下、図面を参照して本発明の角形二次電池の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、図面における各部の縮尺を適宜変更する場合がある。また、以下の説明における上下左右は、各部材の位置関係を説明する便宜的な方向であり、必ずしも鉛直方向や水平方向に対応するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る角形二次電池100の外観斜視図である。図2は、図1に示す角形二次電池100の蓋組立体と捲回体30の分解斜視図である。以下では、電極を捲回した捲回体30の捲回中心軸である捲回軸Aに平行な捲回軸方向XをX軸、扁平な捲回体30の厚さ方向YをY軸、捲回軸方向X及び厚さ方向Yに垂直な高さ方向ZをZ軸とするXYZ直交座標系を用いて説明する。
本実施形態の角形二次電池100は、主に、扁平角形の電池容器10と、電池容器10の外部に配置された一対の外部端子20と、電池容器10の内部に収容された扁平な捲回体30と、外部端子20と捲回体30とを電気的に接続する一対の集電板40とを備える。詳細については後述するが、本実施形態の角形二次電池100は、捲回体30の箔積層部31d,32dに設けられ、集電板40に対して接合される接合部31e,32eの形状に特徴を有している。
電池容器10は、上部に開口部を有する有底角筒状の電池缶11と、電池缶11の開口部を閉塞する電池蓋12とを備えている。電池容器10は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作することができ、電池缶11は、これらの材料を、例えば深絞り加工することによって製作することができる。電池缶11は、概ね長方形平板状の底壁11bと、底壁11bの長手方向に沿う一対の矩形の広側壁11aと、底壁11bの短手方向に沿う一対の矩形の狭側壁11cとを有している。
電池蓋12は、平面形状が概ね長方形の平板状の部材であり、例えばレーザ溶接によって電池缶11の開口部に全周に亘って接合されることで、電池缶11の開口部を閉塞している。電池蓋12は、捲回軸方向Xに沿う長手方向の両端部に外部端子20が設けられ、長手方向の中間部にガス排出弁13及び注液口14が設けられている。
ガス排出弁13は、例えば、電池蓋12をプレス加工して薄肉化し、又は薄膜状の部材を電池蓋12に設けた開口にレーザ溶接等によって接合することによって形成されている。ガス排出弁13は、電池容器10の内圧が所定の圧力を超えて上昇したときに開裂して電池容器10の内圧を低減する。注液口14は、電池缶11を電池蓋12によって閉塞した電池容器10内に非水電解液を注入するために設けられ、非水電解液の注入後に、例えばレーザ溶接によって注液栓15を接合することによって封止される。
一対の外部端子20の一方は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作された正極外部端子20Aであり、他方は、例えば銅又は銅合金によって製作された負極外部端子20Bである。各外部端子20は、電池容器10の外部に配置された外部絶縁体21と、電池容器10の内部に配置された不図示の内部絶縁体及びガスケットとを介して、電池蓋12に対して電気的に絶縁されている。各外部端子20は、接続ボルト22、端子板23、及び接続部材24を備えている。
端子板23は、外部絶縁体21を介して電池蓋12の上面に配置された板状の部材であり、電池蓋12の長手方向に延びて中央部にくびれが形成されている。端子板23は、中央部のくびれを挟んで長手方向に並設された二つの貫通孔を有し、一方の貫通孔には下方から上方へ向けて接続ボルト22が挿通され、他方の貫通孔には上方から下方へ向けて接続部材24が挿通されている。
接続部材24は、端子板23及び電池蓋12を貫通する柱状の部材であり、端子板23の貫通孔から突出した上端部を端子板23の上面で塑性変形させてかしめることによって、端子板23に電気的に接続されている。接続ボルト22は、例えば、複数の角形二次電池100の外部端子20間を接続する不図示のバスバーに設けられた貫通孔又は切り欠きに挿通させてナットを螺合することで、バスバーを外部端子20に固定して電気的に接続することができる。
一対の集電板40の一方は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作された正極集電板40Aであり、他方は、例えば銅又は銅合金によって製作された負極集電板40Bである。各集電板40は、電池容器10の内部に配置された内部絶縁体及びガスケットを介して、電池蓋12に対して電気的に絶縁されている。各集電板40は、電池蓋12に略平行に配置される基部41と、捲回体30を構成する電極に接続される一対の接続片42と、を備えている。
集電板40の基部41は、電池蓋12の長手方向を長手方向、電池蓋12の短手方向を短手方向とする概ね長方形の平板状に形成され、外部端子20の接続部材24を挿通させる貫通孔を有している。集電板40の接続片42は、電池蓋12の短辺側の基部41の長手方向端部に設けられ、基部41の短手方向の両側で下方へ曲折され、電池缶11の広側壁11aに沿って電池缶11の底壁11bへ向けて垂下する一対の板状に形成されている。
集電板40の一対の接続片42の下方側の捲回体30に接合される部分は、一対の接続片42間の間隔が徐々に拡大するように、捲回軸方向Xの外側が、扁平な捲回体30の厚さ方向Yの外側へ向けて曲折されている。すなわち、集電板40の一対の接続片42の下方側の部分は、電池蓋12の上面又は下面に垂直な方向から見て、電池蓋12の長手方向の中央部側の間隔が狭く、電池蓋12の長手方向の端部側の間隔が広い、電池蓋12の長手方向の端部側に向けて開いたV字を成すように曲折されている。また、集電板40の一対の接続片42は、捲回体30の捲回軸Aに概ね対称に設けられている。
同極の外部端子20と集電板40とは、外部端子20の接続部材24によって電気的に接続されている。具体的には、電池蓋12の貫通孔を貫通した外部端子20の接続部材24は、集電板40の基部41の貫通孔に挿通されて基部41を貫通する。集電板40の基部41を貫通した外部端子20の接続部材24の下端は、集電板40の基部41の下面で塑性変形させてかしめられる。これにより、同極の外部端子20と集電板40とが、外部端子20の接続部材24によって電気的に接続される。
また、外部端子20、集電板40、外部絶縁体21、ガスケット及び内部絶縁体は、外部端子20の接続部材24の上端と下端をかしめることによって電池蓋12に一体的に固定され、電池蓋12と共に蓋組立体を構成している。正極集電板40Aと負極集電板40Bは、それぞれ、一対の接続片42を介して、捲回体30の捲回軸方向Xの一端に設けられた正極電極31の箔積層部31dと、他端に設けられた負極電極32の箔積層部32dに接合される。
図3は、図2に示す角形二次電池100の捲回体30の巻き終わり側の端部を展開した状態を示す分解斜視図である。
本実施形態の角形二次電池100において、捲回体30は、正極電極31、負極電極32及びセパレータ33,34を捲回するための軸芯35を備えている。軸芯35は、捲回体30の平面形状に対応した略矩形の平板状の部材であり、捲回軸Aが中心線となっている。軸芯35は、絶縁性の材料、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等によって製作することができる。
捲回体30は、帯状のセパレータ33,34を介在させて積層した帯状の正極電極31及び負極電極32を、捲回軸Aに平行で扁平な軸芯35の周りに捲回した扁平な捲回電極群である。すなわち、捲回体30は、捲回軸Aを中心に電極を捲回した扁平な捲回体である。
セパレータ33,34は、正極電極31と負極電極32との間を絶縁すると共に、最外周に捲回された負極電極32の外側にもセパレータ34が捲回されている。セパレータ33,34は、例えば、ポリオレフィン系の樹脂材料によって製作することができ、具体的には、ポリプロピレン樹脂材料及びポリエチレン樹脂の少なくとも一方を含む多孔質の樹脂材料によって製作されている。
捲回体30は、正極電極31及び負極電極32が平坦に積層された厚さ方向Y両側の一対の平面部30aと、平面部30aの高さ方向Z両側で正極電極31及び負極電極32が湾曲して積層された半円筒状の一対の湾曲部30bを有している。一対の湾曲部30bは、捲回体30の捲回軸方向X及び厚さ方向Yに垂直な高さ方向Zの両側に形成されている。捲回体30は、捲回軸Aが電池缶11の底壁11b及び広側壁11aと平行になるように電池缶11内に挿入され、一対の平面部30aが電池缶11の一対の広側壁11aに対向して配置され、一対の湾曲部30bが電池蓋12及び電池缶11の底壁11bに対向して配置される。
正極電極31は、正極集電体である正極箔31aと、正極箔31aの両面に正極活物質合剤を塗工することによって形成された正極合剤層31bとを有している。正極電極31の幅方向の一側は、正極合剤層31bが形成されない未塗工部であり、正極箔31aが露出した箔露出部31cとされている。正極電極31は、箔露出部31cが負極電極32の箔露出部32cと捲回軸方向Xの反対側に配置されて、捲回軸Aを中心として軸芯35の周りに捲回されている。
正極電極31は、例えば、正極活物質に導電材、結着剤及び分散溶媒を添加して混練した正極活物質合剤を、幅方向の一側を除いて正極箔31aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。正極箔31aとしては、例えば、厚さ約20μmのアルミニウム箔を用いることができる。正極箔31aの厚みを含まない正極合剤層31bの厚さは、例えば、約90μmである。
正極活物質合剤の材料としては、例えば、正極活物質として100重量部のマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)を、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛を、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を、それぞれ用いることができる。正極活物質は、前記したマンガン酸リチウムに限定されず、例えば、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム、一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物を用いてもよい。また、正極活物質として、層状結晶構造を有するコバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、及びこれらの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウム−金属複合酸化物を用いてもよい。
負極電極32は、負極集電体である負極箔32aと、負極箔32aの両面に負極活物質合剤を塗工することによって形成された負極合剤層32bとを有している。負極電極32の幅方向の一側は、負極合剤層32bが形成されない未塗工部であり、負極箔32aが露出した箔露出部32cとされている。負極電極32は、箔露出部32cが正極電極31の箔露出部31cと捲回軸方向Xの反対側に配置されて、捲回軸Aを中心として軸芯35の周りに捲回されている。
負極電極32は、例えば、負極活物質に結着剤及び分散溶媒を添加して混練した負極活物質合剤を、幅方向の一側を除く負極箔32aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。負極箔32aとしては、例えば、厚さ約10μmの銅箔を用いることができる。負極箔32aの厚みを含まない負極合剤層32bの厚さは、例えば、約70μmである。
負極活物質合剤の材料としては、例えば、負極活物質として100重量部の非晶質炭素粉末を、結着剤として10重量部のPVDFを、分散溶媒としてNMPをそれぞれ用いることができる。負極活物質は、前記した非晶質炭素に限定されず、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi2等)、又はそれらの複合材料を用いてもよい。負極活物質の粒子形状についても特に限定されず、鱗片状、球状、繊維状又は塊状等の粒子形状を適宜選択することができる。
なお、前記した正極合剤層31b及び負極合剤層32bに用いる結着材は、PVDFに限定されない。前記した結着材として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体及びこれらの混合体などを用いてもよい。
捲回体30の捲回軸方向Xにおいて、負極電極32の負極合剤層32bの幅は、正極電極31の正極合剤層31bの幅よりも広くなっている。また、捲回体30の最内周と最外周には負極電極32が捲回されている。これにより、正極合剤層31bは、捲回体30の最内周から最外周まで負極合剤層32bの間に挟まれている。
捲回体30は、捲回軸方向Xの両端部に、集電板40を接合するための電極の箔積層部31d,32dが設けられている。より詳細には、捲回体30の捲回軸方向Xの一方の端部に、正極電極31の箔露出部31cが捲回されて積層された正極電極31の箔積層部31dが設けられ、捲回軸方向Xの他方の端部に負極電極32の箔露出部32cが捲回されて積層された負極電極32の箔積層部32dが設けられている。
図4は、図2に示す捲回体30を集電板40に接合した状態を示す断面図である。図5は、図4に示す矢印V方向から見た捲回体30及び集電板40の側面図である。なお、図4及び図5では、負極側の構成を示し、負極側と同様の構成を有する正極側の構成については、負極側の構成に括弧付きの符号を付して図示を省略する。
本実施形態の角形二次電池100は、前述のように、捲回体30の捲回軸方向Xの一端と他端で積層された正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32c、すなわち箔積層部31d,32dを有している。また、角形二次電池100は、箔積層部31d,32dを捲回体30の厚さ方向Yにおいて捲回軸Aの両側に二つに分けて束ねた接合部31e,32eを備えている。
集電板40は、捲回体30の接合部31e,32eに接合される一対の接続片42を有している。また、本実施形態の角形二次電池100は、集電板40の接続片42との間に捲回体30の接合部31e,32eを挟んで接合部31e,32eに接合される金属板50を備えている。金属板50のうち、捲回体30の捲回軸方向Xにおいて、軸芯35の一端に固定された正極金属板50Aは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、軸芯35の他端に固定された負極金属板50Bは、例えば、銅又は銅合金によって製作されている。以下、正極金属板50Aと負極金属板50Bを区別する必要がない場合には、これらを金属板50として説明する。金属板50の厚さは、例えば、正極箔31a又は負極箔32aよりも厚く、集電板40の厚さよりも薄い。
本実施形態において、軸芯35は、捲回軸方向Xの一端と他端に溝部35aが設けられている。溝部35aは、軸芯35の捲回軸方向Xの端面から捲回軸方向Xに所定の深さを有し、底部近傍の溝幅が一定であり、開口部近傍にV字状の傾斜面が形成され、開口部近傍の溝幅が拡大されている。本実施形態の角形二次電池100において、金属板50の端部は、軸芯35に設けられた溝部35aに挟み込まれて固定されている。また、金属板50は、扁平な捲回体30の厚さ方向Yにおいて箔積層部32dを捲回軸Aの両側に二つに分けるように拡開された第1の部分51及び第2の部分52を備えている。
二つに束ねられた捲回体30の箔積層部31d,32dは、集電板40の一対の接続片42と、金属板50の第1の部分51及び第2の部分52との間に挟持された状態で、例えば超音波圧接によって集電板40及び金属板50に接合され、接合部31e,32eが形成される。本実施形態の角形二次電池100において、集電板40の接続片42は、接合部31e,32eの捲回軸Aと反対側の外側表面31f,32fに接合され、金属板50の第1の部分51及び第2の部分52は、接合部31e,32eの捲回軸A側の内側表面31g,32gに接合されている。
なお、金属板50を軸芯35に固定しない場合には、集電板40の接続片42を接合部31e,32eの捲回軸A側の内側表面31g,32gに接合し、金属板50を接合部31e,32eの捲回軸Aと反対側の外側表面31f,32fに接合してもよい。すなわち、集電板40は、接合部31e,32eの内側表面31g,32g又は外側表面31f,32fのどちらかに接合されていればよい。
これにより、捲回体30は、接合部31e,32eに接続された集電板40を介して電池容器10の外部に設けられた外部端子20に接続される。より具体的には、捲回体30は、正極電極31が正極集電板40Aを介して正極外部端子20Aに電気的に接続され、負極電極32が負極集電板40Bを介して負極外部端子20Bに電気的に接続され、集電板40を介して蓋組立体に固定される。
ここで、図3に示すように、捲回体30の捲回軸Aに平行な捲回軸方向Xにおいて、セパレータ33,34の幅は負極合剤層32bの幅よりも広いが、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cは、それぞれセパレータ33,34の幅方向端部よりも幅方向外側に突出している。したがって、セパレータ33,34は、正極電極31及び負極電極32の箔積層部31d,32dを集電板40及び金属板50に超音波圧接する際の支障にはならない。
図3及び図5に示すように、本実施形態の角形二次電池100では、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Zの両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている。すなわち、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、捲回軸方向X及び厚さ方向Yに垂直な高さ方向Zの寸法Hが、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から、合剤層31b,32b側へ向けて漸減している。換言すると、接合部31e,32eは、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側へ向けて漸減している。
これにより、捲回体30の接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hは、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側、すなわち捲回軸方向Xの外側の端縁で最大となり、正極電極31及び負極電極32の合剤層31b,32b側、すなわち捲回軸方向Xの内側の端縁で最小になっている。ここで、捲回軸方向Xの外側とは、捲回体30上の任意の位置を基準として、捲回体30の捲回軸方向Xの端部側を意味する。また、捲回軸方向Xの内側とは、捲回体30上の任意の位置を基準として、捲回体30の捲回軸方向Xの中心側を意味する。
すなわち、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、高さ方向Zの寸法Hが、捲回体30の捲回軸方向Xの端部側から中心側へ向けて漸減している。また、捲回体30の接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hは、捲回体30の捲回軸方向Xの端部側の端縁で最大となり、捲回体30の捲回軸方向Xの中心側、すなわち負極電極32の合剤層32b側の端縁で最小になっている。
なお、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方において、高さ方向Zの寸法Hが、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減していればよい。すなわち、接合部31e,32eの内側表面31g,32gと外側表面31f,32fのいずれか一方においてのみ、接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hが、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減していてもよい。
この場合、接合部31e,32eの内側表面31g,32gと外側表面31f,32fのいずれか他方における形状は、正方形、長方形、平行四辺形、菱形等を含む矩形であってもよい。また、接合部31e,32eの内側表面31g,32g及び外側表面31f,32fの双方において、接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hが、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減していてもよい。
また、捲回体30の接合部31e,32eの高さ方向Zの上下の端縁は、捲回軸方向Xの内側で捲回体30の平面部30aと湾曲部30bとの境界30cからの高さ方向Zにおける距離D1が最大となり、捲回軸方向Xの外側で境界30cからの高さ方向Zにおける距離D2が最小になっている。換言すると、捲回体30の接合部31e,32eの高さ方向Zの上下の端縁は、捲回体30の捲回軸方向Xの端部側で境界30cからの距離D1が最大となり、捲回体30の捲回軸方向Xの中心側すなわち負極電極32の合剤層32b側で境界30cからの距離D2が最小になっている。
また、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gの面積と外側表面31f,32fの面積とが等しくてもよいし、異なっていてもよい。接合部31e,32eの内側表面31g,32gの面積と外側表面31f,32fの面積とが異なる場合、内側表面31g,32gの面積が外側表面31f,32fの面積よりも小さいことが好ましい。本実施形態の角形二次電池100において、接合部31e,32eは、捲回軸方向Xの内側の端縁を上底とし、捲回軸方向Xの外側の端縁を下底とする台形の形状に形成されている。
また、図4に示すように、集電板40の一対の接続片42は、捲回体30の捲回軸方向Xの内側から外側へ向けて、捲回体30の厚さ方向Yにおける間隔が徐々に広がるV字状に設けられている。そして、接続片42に接合された捲回体30の接合部31e,32eは、捲回体30の捲回軸方向Xの内側の端縁が捲回軸Aに近い厚さ方向Yの内側に配置され、捲回軸方向Xの外側の端縁が捲回軸Aから離れた厚さ方向Yの外側に配置されている。ここで、厚さ方向Yの内側とは、捲回体30の任意の位置を基準として、捲回体30の厚さ方向Yの中心側すなわち捲回軸A側を意味する。また、厚さ方向Yの外側とは、捲回体30の任意の位置を基準として、捲回体30の厚さ方向Yの端部側を意味する。
集電板40及び金属板50を捲回体30の接合部31e,32eに接合することで、図2に示す蓋組立体が構成される。蓋組立体を構成する捲回体30は、捲回軸方向Xの両端部を除いて、絶縁保護フィルム61によって覆われる。また、捲回体30の捲回軸方向Xの両端部及び一対の集電板40は、一対の絶縁ケース62によって覆われる。絶縁保護フィルム61及び絶縁ケース62は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、捲回体30及び集電板40を電池缶11に対して絶縁する。なお、絶縁保護フィルム61及び絶縁ケース62は、一体に設けられていてもよい。
蓋組立体は、捲回体30を電池缶11の開口部から挿入し、電池蓋12によって電池缶11の開口部を閉塞した状態で、例えばレーザ溶接によって電池蓋12を電池缶11の開口部の全周に亘って接合することで、電池缶11に接合される。その後、電池蓋12の注液口14を介して電池容器10内に非水電解液を注入し、例えばレーザ溶接によって注液口14に注液栓15を接合して電池容器10を密閉する。電池容器10に注入する非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
以上の構成により、角形二次電池100は、供給された外部発電電力を外部端子20及び集電板40を介して捲回体30に蓄積して充電され、捲回体30に蓄積された電力を集電板40及び外部端子20を介して外部機器に供給することができる。
以下、本実施形態の角形二次電池100の作用について説明する。
前述のように、本実施形態の角形二次電池100は、捲回軸Aを中心に正極電極31及び負極電極32を捲回した扁平な捲回体30を備えている。捲回体30は、捲回軸方向Xの一端と他端に、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが積層された箔積層部31d,32dを有している。箔積層部31d,32dは、捲回体30の厚さ方向Yにおいて捲回軸Aの両側に二つに分けて束ねられた接合部31e,32eを有している。また、角形二次電池100は、接合部31e,32eの捲回軸A側の内側表面31g,32g又は捲回軸Aと反対側の外側表面31f,32fに接合される集電板40を備えている。
また、本実施形態の角形二次電池100では、捲回体30の箔積層部31d,32dを二つに分けて束ねるために、図2及び図3に示す拡開前の状態から、図4及び図5に示す拡開された状態にしている。このように捲回体30の箔積層部31d,32dが拡介された状態では、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cの変形量は、捲回体30の捲回軸方向Xの内側が大きく、捲回体30の捲回軸方向Xの外側が小さくなる傾向がある。
ここで、捲回体30の箔積層部31d,32dに設けられる接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hが、捲回体30の捲回軸方向Xの外側から内側へ向けて均一であるか又は漸増する場合を仮定する。この場合、捲回体30の捲回軸方向Xの内側で、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが高さ方向Zの比較的広い範囲に亘って固定される。すると、接合部31e,32eを集電板40に接合するときや、角形二次電池100に振動が加わったときに、捲回体30の捲回軸方向Xの内側で、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cに大きな応力が作用し、箔露出部31c,32cが切断される虞がある。箔露出部31c,32cの切断は、望ましくない異物の発生や電気抵抗の増加に繋がる虞がある。
そこで、本実施形態の角形二次電池100では、図4及び図5に示すように、接合部31e,32eの内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方において、接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hを、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減させている。すなわち、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。
これにより、捲回体30の捲回軸方向Xの内側で、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、箔露出部31c,32cに作用する応力を低減することができる。したがって、捲回体30の接合部31e,32eを集電板40に接合するときや、角形二次電池100に振動が加わったときに、捲回体30の捲回軸方向Xの内側で、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが切断されるのを防止することができる。
また、捲回体30の接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hは、箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減することで、捲回体30の捲回軸方向Xの外側で最大となり、捲回体30の捲回軸方向Xの内側で最小になっている。これにより、接合部31e,32eの高さ方向Zの寸法Hを、捲回体30の捲回軸方向Xの外側で、集電板40の接続片42に接合可能な最大の寸法に設定し、接合部31e,32eの面積を大きくすることができる。
より具体的には、本実施形態の角形二次電池100において、接合部31e,32eは、内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方において、捲回軸方向Xの内側、すなわち合剤層31b,32b側の端縁を上底とし、捲回軸方向Xの外側、すなわち箔露出部31c,32cの端部側の端縁を下底とする台形の形状に形成されている。したがって、前記した特許文献2に記載されているような従来の楕円形の溶接部と比較して、接合部31e,32eの面積をより大きくすることができ、正極電極31及び負極電極32と集電板40との間の電気抵抗をより低減することが可能になる。
また、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gの面積と外側表面31f,32fの面積とが異なる場合には、例えば、超音波圧接に使用するホーンとアンビルの位置決め精度を緩和し、接合部31e,32eの形成を容易にすることができる。この場合、接合部31e,32eは、内側表面31g,32gの面積が、外側表面31f,32fの面積よりも小さいことが好ましい。これにより、面積の大きい接合部31e,32eの外側表面31f,32fに隣接してアンビルを配置し、面積の小さい接合部31e,32eの内側表面31g,32gに隣接してホーンを配置して超音波圧接を行うことができる。
捲回体30の接合部31e,32eは、外側表面31f,32fに集電板40が接合され、内側表面31g,32gに金属板50が接合されている。これにより、集電板40と金属板50との間に捲回体30の接合部31e,32eを挟持した状態で、これらを超音波圧接によって接合することができ、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cにしわが発生するのを防止できる。
以上説明したように、本実施形態の角形二次電池100によれば、正極電極31及び負極電極32を捲回した捲回体30において、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが積層された箔積層部31d,32dを二つに分けて集電板40に接合するときに、箔露出部31c,32cの切断を防止しつつ電気抵抗の増加を抑制することができる。
なお、前述の実施形態では、接合部31e,32eは、内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方で台形の形状を有し、金属板50の高さ方向Zの寸法が捲回軸方向Xで一定である角形二次電池100について説明した。しかし、角形二次電池100は、接合部31e,32eの形状が台形である場合に限定されず、金属板50の高さ方向Zの寸法が捲回軸方向Xで一定でなくてもよく、金属板50を有しなくてもよい。以下、本実施形態の角形二次電池100の変形例1から変形例6について、図6から図11を用いて説明する。
図6は、角形二次電池100の変形例1を示す図5に相当する捲回体30の側面図である。本変形例では、接合部31e,32eは、半楕円形又は半長円形の形状に形成されている。これにより、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。換言すると、接合部31e,32eは、捲回軸方向Xの外側の端縁が高さ方向Zに沿う直線状に形成され、曲線状の部分が捲回軸方向Xの内側に向くように形成され、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減している。
本変形例の角形二次電池によれば、前述の実施形態の接合部31e,32eの形状と比較して面積はやや減少するが、捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。また、接合部31e,32eの捲回軸方向Xの内側の部分に角部が形成されず、応力の集中を防止して正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが切断されるのを効果的に防止することができる。
図7は、角形二次電池100の変形例2を示す図5に相当する捲回体の側面図である。本変形例では、接合部31e,32eは、三角形の形状に形成されている。これにより、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。
換言すると、本変形例においては、接合部31e,32eは、頂点が捲回軸方向Xの内側を向き、底辺が高さ方向Zに沿って捲回軸方向Xの外側に配置された二等辺三角形の形状に形成されている。これにより、接合部31e,32eは、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減している。本変形例の角形二次電池によれば、変形例1の接合部31e,32eの形状と比較して面積はやや減少するが、捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。
図8は、角形二次電池100の変形例3を示す図5に相当する捲回体の側面図である。本変形例では、接合部31e,32eは、階段状の形状に形成されている。これにより、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。
より具体的には、接合部31e,32eは、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて、高さ方向Zの両側からステップ状に減少している。図5に示す例では、高さ方向Zの段差が一段である場合を示しているが、捲回軸方向Xの外側から内側へ向けて複数の高さ方向Zの段差を設けてもよい。これにより、本変形例の接合部31e,32eの形状を実施形態及び変形例1の接合部31e,32eの形状に近づけることができる。本変形例の角形二次電池によれば、変形例1の接合部31e,32eの形状と比較して面積はやや減少するが、捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。
図9は、角形二次電池100の変形例4を示す図5に相当する捲回体の側面図である。本変形例では、接合部31e,32eは、V字形に形成されている。これにより、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。
より具体的には、接合部31e,32eは、前述の実施形態で説明した台形の接合部31e,32eが、高さ方向の中央部で分離され、捲回軸方向Xの内側から外側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて開いたV字形の配置とされている。なお、本変形例では、接合部31e,32eが高さ方向Zにおいて2つに分離されている場合について示しているが、接合部31e,32eが高さ方向Zにおいて3つ以上に分離されていてもよい。本変形例の角形二次電池によれば、変形例1の接合部31e,32eの形状と比較して面積はやや減少するが、捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。
図10は、角形二次電池100の変形例5を示す図5に相当する捲回体の側面図である。本変形例では、金属板50は、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて、高さ方向Zの寸法H’が漸減している。すなわち、金属板50は、捲回軸方向Xの外側の端縁において、高さ方向Zの寸法H’が最大になり、捲回軸方向Xの内側の端縁において、高さ方向Zの寸法H’が最小になっている。また、本変形例の角形二次電池は、前述の実施形態で説明した角形二次電池100と同様の台形の接合部31e,32eを有している。本変形例の角形二次電池によれば、接合部31e,32eよって前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。さらに、金属板50によって捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cの切断をより効果的に防止できる。
図11は、角形二次電池100の変形例6を示す図5に相当する捲回体の側面図である。本変形例の角形二次電池は、金属板50を有しないが、前述の実施形態の角形二次電池100と同様に、集電板40が捲回体30の接合部31e,32eの外側表面31f,32fに接合されている。また、捲回体30の接合部31e,32eは、内側表面31g,32g及び外側表面31f,32fの双方において、両方の湾曲部30bと高さ方向Zに隣接する高さ方向Z両側の端部における捲回体30の捲回軸方向Xの端部側よりも、該端部における正極電極31、負極電極32の合剤層31b,32b側の方が、湾曲部30bから高さ方向Zに離れるように配置されている(図3を参照)。
換言すると、接合部31e,32eは、内側表面31g,32g及び外側表面31f,32fの双方において、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減する台形の形状に形成されている。本変形例の角形二次電池によれば、捲回軸方向Xの内側で正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが固定される高さ方向Zの範囲を減少させ、前述の実施形態の角形二次電池100と同様の効果を得ることができる。
[角形二次電池の製造方法]
以下、本発明の角形二次電池の製造方法の実施形態について、図1から図5を援用し、図12を用いて説明する。本実施形態の角形二次電池100の製造方法は、主に、捲回工程、結束工程と、接合工程を備えている。
(捲回工程)
捲回工程では、図3に示すように、正極電極31及び負極電極32の間にセパレータ33,34を介在させて捲回軸Aに平行な軸芯35を中心に捲回して扁平な捲回体30を製作する。捲回体30は、正極電極31の箔露出部31cと、負極電極32の箔露出部32cとをそれぞれ捲回軸方向Xの一端と他端に配置して捲回することで、捲回軸方向Xの一端と他端に箔露出部31c,32cが積層された箔積層部31d,32dが形成される。
(結束工程)
結束工程では、図4及び図5に示すように、捲回体30の捲回軸方向Xの一端と他端の箔積層部31d,32dを、捲回体30の厚さ方向Yにおいて捲回軸Aを挟んで二つに分けて束ねる。本実施形態の角形二次電池100は、軸芯35に固定された金属板50を有している。そのため、金属板50の第1の部分51と第2の部分52とを捲回体30の厚さ方向Yに広げるように拡開することで、箔積層部31d,32dを二つに分けることができる。
(接合工程)
接合工程では、二つに分けて束ねた箔露出部31c,32c、すなわち箔積層部31d,32dを、それぞれ超音波圧接によって接合して接合部31e,32eを形成し、接合部31e,32eの内側表面31g,32g又は外側表面31f,32fに集電板40を接合する。
図12は、本実施形態の角形二次電池100の製造方法の説明図である。図12において、(a)は、接合部31e,32eの内側表面31g,32gの平面図、(b)は、接合部31e,32eの外側表面31f,32fの平面図、(c)は、ホーン200の側面図、(d)は、アンビル300の側面図である。
本実施形態の角形二次電池100の製造方法では、接合工程において、接合部31e,32eは、内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方において、捲回体30の捲回軸方向X及び厚さ方向Yに垂直な高さ方向Zの寸法が、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減する形状に形成される。
具体的には、図12に示す例では、接合部31e,32eは、内側表面31g,32gにおいて、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減する台形の形状に形成されている。一方、接合部31e,32eは、外側表面31f,32fにおいて、高さ方向Zに平行な長辺を有する長方形の形状に形成される。
接合工程では、二つに分けて束ねた箔露出部31c,32c、すなわち箔積層部31d,32dの捲回軸Aと反対側の外側表面に隣接させてアンビル300を配置し、捲回軸A側の内側表面に隣接させてホーン200を配置する。ホーン200の箔積層部31d,32dに対向する面に、複数の凸部201を形成してもよい。また、アンビル300の箔積層部31d,32dに対向する面に、複数の凸部301を形成してもよい。凸部201,301の形状は、特に限定されず、例えば、四角柱、円柱、三角柱、円錐、三角錐等の形状を用いることができる。
そして、集電板40と金属板50との間に箔積層部31d,32dを挟持し、ホーン200とアンビル300を用いた超音波圧接によって、箔積層部31d,32dに接合部31e,32eを形成し、接合部31e,32eを集電板40と金属板50に接合する。ホーン200及びアンビル300に凸部201,301を形成することで、ホーン200及びアンビル300に接する集電板40及び金属板50との間に作用する摩擦力を増加させ、超音波圧接を効果的に行うことができる。なお、金属板50を有しない場合にも、同様に、ホーン200及びアンビル300と集電板40及び箔積層部31d,32dとの間に作用する摩擦力を増加させ、超音波圧接を効果的に行うことができる。
ここで、アンビル300の箔積層部31d,32dに対向する面の面積は、ホーン200の箔積層部31d,32dに対向する面の面積よりも大きい。そのため、接合部31e,32eは、アンビル300に隣接して配置された外側表面31f,32fの面積がホーン200に隣接して配置された内側表面31g,32gの面積よりも大きくなる。これにより、ホーン200とアンビル300との位置合わせ精度を緩和し、超音波圧接を容易にすることができる。また、ホーン200を接合部31e,32eの内側表面31g,32gに隣接して配置することで、アンビル300を接合部31e,32eの内側表面31g,32gに隣接して配置する場合と比較して超音波圧接を容易にすることができる。
本実施形態の角形二次電池100の製造方法によれば、捲回体30の接合部31e,32eを、内側表面31g,32gと外側表面31f,32fの少なくとも一方において、高さ方向Zの寸法Hが、捲回軸方向Xの外側から内側、すなわち箔露出部31c,32cの捲回軸方向Xの端部側から合剤層31b,32b側へ向けて漸減する形状に形成することができる。したがって、正極電極31及び負極電極32を捲回した捲回体30において、正極電極31及び負極電極32の箔露出部31c,32cが積層された部分を二つに分けて集電板40に接合するとき又は角形二次電池100に振動が加わったときに、箔露出部31c,32cの切断を防止しつつ、電気抵抗の増加を抑制することができる。
なお、本実施形態の角形二次電池100の製造方法では、捲回体30の箔積層部31d,32dの捲回軸Aと反対側の外側表面に隣接させてアンビル300を配置し、捲回軸A側の内側表面に隣接させてホーン200を配置する例について説明した。しかし、箔積層部31d,32dの外側表面に隣接させてホーン200を配置し、箔積層部31d,32dの内側表面に隣接させてアンビル300を配置することも可能である。この場合、接合部31e,32eは、アンビル300に隣接して配置された内側表面31g,32gの面積がホーン200に隣接して配置された外側表面31f,32fの面積よりも大きくなる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。