本実施形態は、電源装置及び照明器具に関し、より詳細には、電源の停電状態を検出する機能を備えた電源装置及び照明器具に関する。
以下の実施形態では、電源装置を用いた照明器具について図面を参照して説明する。
以下の実施形態で説明する照明器具は、停電時に蓄電池を電源として光源を点灯させる非常灯である。なお、照明器具は非常灯に限定されず、通電時及び停電時に避難誘導用の標識を照明する誘導灯でもよい。また、照明器具は、非常灯、誘導灯などの非常用照明器具に限定されず、一般照明用の照明器具でもよい。また、本実施形態の電源装置は照明器具に適用されているが、照明器具以外の電源装置でもよい。本実施形態の電源装置は、外部電源200の通電状態を検出した場合には出力電圧を生成し、外部電源200の停電状態を検出した場合には出力電圧を生成する動作を停止するような電源装置であれば、照明器具以外の電源装置にも適用が可能である。
(実施形態1)
図1は実施形態1の電源装置1を用いた照明器具100のブロック回路図である。
本実施形態の照明器具100は、電源装置1と、充電回路2と、蓄電池ユニット3と、点灯回路4と、光源ユニット5とを備える。
本実施形態の照明器具100は非常灯である。照明器具100は、商用交流電源のような外部電源200から入力される電源電圧Vinが所定の電圧値以上である場合は、蓄電池ユニット3を充電する。照明器具100は、電源電圧Vinが所定の電圧値を下回っている場合には、蓄電池ユニット3を電源として光源ユニット5を点灯させる。
ところで、非常灯のような非常用照明器具では、停電時に電源を商用交流電源から非常用電源に切り換えているが、電源電圧が0Vまで低下してから電源を非常用電源に切り換えるのではなく、電源電圧が所定の電圧値を下回ると電源を非常用電源に切り換えている。非常用照明器具では、日本照明器具工業会の技術基準(JIL5501、5502)によって、定格入力電圧(実効値)の40%以上かつ85%以下の電圧値(この電圧値を切替動作電圧と言う。)で電源を商用交流電源から非常用電源に切り換えるように規定されている。したがって、定格入力電圧がAC100Vの場合は切替動作電圧が40〜85Vの範囲になり、定格入力電圧がAC200Vの場合は切替動作電圧が80〜170Vの範囲になる。なお、本実施形態の照明器具100は、複数の定格入力電圧で動作可能であり、例えばAC100V〜AC242Vの定格入力電圧で動作可能である。このようなユニバーサル電源に対応した照明器具100の場合、切替動作電圧は最も低い定格入力電圧に合わせて設定されればよい。
本実施形態の照明器具100では、電源電圧Vinが切替動作電圧を下回っている状態を電源装置1が検知すると、電源装置1が電源を外部電源200から蓄電池ユニット3に切り換えて、光源ユニット5を点灯させている。これにより、停電時においても光源ユニット5が点灯することで、周囲の明るさを確保できる。
以下に、照明器具100の概略構成を図1に基づいて説明する。
電源装置1は、外部電源200から供給される交流電圧(電源電圧Vin)を、当該交流電圧の実効値よりも低い直流電圧に変換する。この電源装置1は、直流電源部11と、コンバータ回路12と、停電検出回路(電圧検出回路)14と、制御回路15とを備える。
直流電源部11は全波整流器DB1とコンデンサC1とを備える。全波整流器DB1は、例えばダイオードのブリッジ回路からなり、外部電源200から入力される交流の電源電圧Vinを全波整流する。コンデンサC1は、全波整流器DB1の出力端子間に接続されている。コンデンサC1は、電解コンデンサのような比較的大容量のコンデンサであることが好ましい。コンデンサC1は、全波整流器DB1から出力される脈流電圧のリップル成分を低減する。したがって、直流電源部11から出力される直流電圧の波形は、全波整流器DB1から出力される脈流電圧のリップル成分を低減したような電圧波形となる。ここにおいて、直流電源部11から出力される直流電圧の電圧値は、外部電源200から入力される電源電圧Vinの実効値に比例した電圧値となる。
コンバータ回路12は、例えばトランスT1とスイッチング素子SW1と整流平滑回路13とを備えたフォワード型のコンバータ回路である。コンデンサC1の両端間には、トランスT1の1次巻線とスイッチング素子SW1との直列回路が接続されている。トランスT1の2次巻線には整流平滑回路13が接続されている。スイッチング素子SW1は例えば電界効果トランジスタであり、制御回路15によってオン・オフが制御される。制御回路15が、所定の周波数及びデューティ比でスイッチング素子SW1をオン・オフすると、トランスT1の一次側に蓄積されたエネルギーがトランスT1の二次側に供給され、整流平滑回路13によって一定電圧値の直流電圧に変換される。なお、コンバータ回路12はフォワード型のコンバータ回路に限定されず、フライバック型のコンバータ回路でもよいし、適宜変更が可能である。
停電検出回路14は、直流電圧源である直流電源部11から入力される入力電圧V1の電圧値をもとに、外部電源200からの電源電圧Vinが切替動作電圧以上か、又は、切替動作電圧未満かを示す検出信号S1を制御回路15に出力する。なお、停電検出回路14の具体的な回路構成については後述する。
制御回路15は、所定の周波数及びデューティ比でトランジスタQ1をオン・オフすることによって、整流平滑回路13の出力電圧を制御する。
また、制御回路15は、停電検出回路14から入力される検出信号S1に応じて、点灯回路4の動作を制御する機能を有している。電源電圧Vinが切替動作電圧以上であることを示す検出信号S1が停電検出回路14から制御回路15に入力されている場合、制御回路15は点灯回路4に消灯命令を出力し、点灯回路4に光源ユニット5を消灯させる。電源電圧Vinが切替動作電圧を下回っていることを示す検出信号S1が停電検出回路14から制御回路15に入力されている場合、制御回路15は、点灯回路4に点灯命令を出力し、点灯回路4に光源ユニット5を点灯させる。この場合、点灯回路4には蓄電池ユニット3から電力が供給され、蓄電池ユニット3を電源として光源ユニット5を点灯させる。
本実施形態の制御回路15は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成として備えている。マイコンが、マイコンのメモリに記録されているプログラムを実行することによって、制御回路15の機能が実現される。このプログラムは、あらかじめマイコンのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。なお、制御回路15は、マイコンを主構成とするものに限定されず、アナログ回路で実現されてもよく、適宜変更が可能である。
充電回路2は、電源電圧Vinが切替動作電圧以上である通電状態において、電源装置1から蓄電池ユニット3に入力される充電電流を一定に制御して、蓄電池ユニット3を充電する。
蓄電池ユニット3は、例えば直列に接続された複数本の二次電池を備えている。蓄電池ユニット3は、外部電源200から給電されている場合に充電回路2によって充電され、外部電源200からの給電が停止している場合に放電する。二次電池は、円筒形のニッケル・水素蓄電池、あるいは、円筒形のニッケル・カドミウム蓄電池などの二次電池が好ましい。なお、照明器具100が一般照明用の照明器具である場合には、二次電池はリチウムイオン二次電池などでもよい。
点灯回路4は、電源電圧Vinが切替動作電圧を下回っていることを示す検出信号S1が制御回路15から入力された場合に、蓄電池ユニット3から供給される直流電流を定電流化して光源ユニット5に供給する。これにより、電源電圧Vinが切替動作電圧を下回っている停電状態では、蓄電池ユニット3を電源として光源ユニット5が点灯する。
光源ユニット5は、例えば直列に接続された複数個のLEDチップを備えている。LEDチップは例えば青色光を放射する青色発光ダイオードである。LEDチップは基板に実装されており、基板の実装面は封止樹脂で覆われている。封止樹脂は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された透光性の樹脂材料であることが好ましい。LEDチップから放射される青色光の一部を蛍光物質で波長変換し、青色光と混色することで、光源ユニット5から白色の照明光が放射される。なお、光源ユニット5は、LEDチップに限定されず、LEDチップ以外のOLED(Organic Light Emitting Diode)などの固体発光素子でもよい。
次に、本実施形態の電源装置1の特徴部分である停電検出回路14の回路構成を図2に基づいて説明する。この停電検出回路14は、第1抵抗R1と、第1トランジスタQ1と、ツェナーダイオードZD1(定電圧素子)と、第2トランジスタQ2と、第2抵抗R2と、第3抵抗R3と、電圧駆動型トランジスタQ3とを備えている。停電検出回路14の入力端t1,t2には、直流電源部11から入力電圧V1が入力される。停電検出回路14の出力端t3,t4は制御回路15に接続されており、停電検出回路14の出力端t3,t4から制御回路15に検出信号S1が出力される。なお、入力端t1,t2及び出力端t3,t4は、電線などを接続するための部品(端子)でもよいが、例えば電子部品のリードや、回路基板に配線として形成された導電体の一部でもよい。
一対の入力端t1,t2のうち、直流電源部11の高圧側の出力端に電気的に接続されている入力端t1には、第1抵抗R1の一端が電気的に接続されている。
第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、pnp形の第1トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q1のエミッタ領域及びベース領域とツェナーダイオードZD1との直列回路が電気的に接続されている。ここにおいて、トランジスタQ1のエミッタ領域及びベース領域は、エミッタ端子とベース端子との間のPN接合部となる。ツェナーダイオードZD1のカソードはトランジスタQ1のベース端子に電気的に接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードは入力端t2に電気的に接続されている。なお、図2の回路では、第1抵抗R1の他端に第1トランジスタQ1のエミッタ端子が電気的に接続されている。
また、第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、pnp形の第2トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q2のエミッタ領域及びベース領域と第2抵抗R2との直列回路が電気的に接続されている。ここにおいて、トランジスタQ2のエミッタ領域及びベース領域は、トランジスタQ2におけるエミッタ端子とベース端子との間のPN接合部となる。図2の回路では第1抵抗R1の他端にトランジスタQ2のエミッタ端子が電気的に接続されている。また、トランジスタQ2のベース端子にはトランジスタQ1のコレクタ端子が電気的に接続されている。トランジスタQ2のコレクタ端子と入力端t2との間には第3抵抗R3が電気的に接続されている。
なお、トランジスタQ1,Q2はバイポーラトランジスタであり、本実施形態の回路ではpnp型のバイポーラトランジスタである。また、本実施形態では定電圧素子としてツェナーダイオードZD1を備えるが、定電圧素子はツェナーダイオードZD1に限定されず、三端子レギュレータなどでもよい。
電圧駆動型トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q3は、ユニポーラ型のトランジスタであり、本実施形態では例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の電界効果トランジスタである。なお、電圧駆動型トランジスタQ3はMOST型の電界効果トランジスタに限定されず、接合型の電界効果トランジスタなどでもよい。直流電源部11の低圧側の出力端を基準電位GNDとすると、トランジスタQ2のコレクタ端子と基準電位GNDとの間に第3抵抗R3が接続されている。トランジスタQ3のゲート電極はトランジスタQ2のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ3のソース電極は基準電位GND及び出力端t4に接続されている。トランジスタQ3のドレイン電極は出力端t3を介して制御回路15に接続されている。出力端t3は例えばプルアップ抵抗を介して一定電圧にプルアップされている。トランジスタQ3がオンになると、電圧レベルがローの検出信号S1が制御回路15に出力され、トランジスタQ3がオフになると、電圧レベルがハイの検出信号S1が制御回路15に出力される。
第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、入力電圧V1を平滑するために小容量のコンデンサC2が接続されている。また、トランジスタQ1のベース端子とエミッタ端子との間には、ノイズによるトランジスタQ1の誤動作を抑制するためのコンデンサC3と、コンデンサC3の放電経路を形成する抵抗R4とが並列に接続されている。同様に、トランジスタQ2のベース端子とエミッタ端子と間には、ノイズによるトランジスタQ2の誤動作を抑制するためのコンデンサC4と、コンデンサC4の放電経路を形成する抵抗R5とが並列に接続されている。なお、抵抗R4は、トランジスタQ1がオンになる時にツェナーダイオードZD1に流れる動作電流を設定するために用いられてもよい。また、コンデンサC3,C4は必須の構成ではなく、必要に応じて接続されていればよい。
次に、この停電検出回路14の動作を以下に説明する。
停電検出回路14には、直流電源部11から電源電圧Vinの実効値に比例した大きさの入力電圧V1が入力されている。停電検出回路14は、電源電圧Vinの実効値が切替動作電圧以上であれば、電圧レベルがハイの検出信号S1を出力する。停電検出回路14は、電源電圧Vinの実効値が切替動作電圧を下回ると、電圧レベルがローの検出信号S1を出力する。停電検出回路14は、チャタリング防止のため、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧と、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧とに電圧差(ヒステリシス)を設けている。つまり、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧は、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧よりも低い電圧に設定されている。なお、本実施形態では、電圧レベルがハイの検出信号S1を停電検出回路14が出力している状態を通電検知状態と定義し、電圧レベルがローの検出信号S1を停電検出回路14が出力している状態を停電検知状態と定義する。また、本実施形態では、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧を第1切替電圧と定義し、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧を第2切替電圧と定義する。
直流電源部11から停電検出回路14に入力電圧V1が入力されると、第1抵抗R1とトランジスタQ1のベース端子・エミッタ端子間とを介してツェナーダイオードZD1に電圧が印加される。通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、ツェナーダイオードZD1にはツェナー電圧を超える電圧が印加されるように、回路定数が設定されている。ツェナーダイオードZD1がオンになると、コンデンサC2の両端電圧Vc2は一定の電圧値にクランプされる。ここで、トランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧をVbe1、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧をVZD1とした場合、コンデンサC2の両端電圧Vc2は電圧(Vbe1+VZD1)にクランプされる。以下では、この電圧(Vbe1+VZD1)を閾値電圧Vthという。
通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、ツェナーダイオードZD1がオンになって、トランジスタQ1がオンになり、トランジスタQ2,Q3がオフになる。トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2,Q3がオフとなる場合、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧がコンデンサC2に印加される。
通電検知状態において電源電圧Vinが低下すると入力電圧V1も低下するが、電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧は閾値電圧Vthよりも高くなる。この場合、コンデンサC2の両端電圧Vc2は閾値電圧Vthにクランプされる。なお、電源電圧Vinが低下するのに伴い、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧も低下するため、トランジスタQ1に流れるベース電流も低下するが、トランジスタQ1はオン状態を維持している。
通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧よりも低下すると、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が閾値電圧Vthよりも低くなり、トランジスタQ1にベース電流が流れなくなって、トランジスタQ1がオフになる。トランジスタQ1がオフになると、トランジスタQ2,Q3がオンになり、電圧レベルがローの検出信号S1が出力端t3から制御回路15に出力される。すなわち、第1切替電圧は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が閾値電圧Vthに等しくなるときの電源電圧Vinとなる。
ところで、トランジスタQ1がオフになる直前のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧とほぼ同じになり、次の式(1)で表される。
Vc2=V1×r2/(r1+r2) …(1)
なお、r1,r2は、それぞれ、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の抵抗値である。
一方、トランジスタQ1がオフになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を、第1抵抗R1と、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧とほぼ同じになる。並列等価抵抗Rzの抵抗値をrzとすると、トランジスタQ1がオフになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は次の式(2)で表される。
Vc2=V1×rz/(r1+rz) …(2)
ここで、式(1)の分圧比r2/(r1+r2)に比べて、式(2)の分圧比rz/(r1+rz)の方が小さい値となる。したがって、トランジスタQ1がオフになる直前に比べ、トランジスタQ1がオフになった直後は、分圧比が小さくなることによって、コンデンサC2に印加される電圧Vc2が小さくなる。よって、トランジスタQ1がオフになった直後に、電源電圧Vinの変動などで入力電圧V1が多少変動しても、両端電圧Vc2が閾値電圧Vthを上回りにくくなり、チャタリングが発生しにくくなる。
また、この状態から電源電圧Vinの実効値が増加して第2切替電圧以上になると、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧が閾値電圧Vthを上回り、トランジスタQ1にベース電流が流れ始めて、トランジスタQ1がオンになる。トランジスタQ1がオンになると、トランジスタQ2,Q3がオフになり、電圧レベルがハイの検出信号S1が出力端t3から制御回路15に出力される。すなわち、第2切替電圧は、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧が閾値電圧Vthとなるときの電源電圧Vinとなる。
ここで、トランジスタQ1がオンになる直前のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧とほぼ同じ電圧になり、上記の式(2)で表される。一方、トランジスタQ1がオンになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧とほぼ同じになり、上記の式(1)で表される。したがって、トランジスタQ1がオンになる直前に比べ、トランジスタQ1がオンになった直後は、分圧比が大きくなることによって、コンデンサC2の両端電圧Vc2が大きくなる。よって、トランジスタQ1がオンになった直後に、電源電圧Vinの変動などで入力電圧V1が多少変動しても、両端電圧Vc2が閾値電圧Vthを下回りにくくなり、チャタリングが発生しにくくなる。
このように、本実施形態では、第1抵抗R1と、第1抵抗R1に直列に接続された分圧用抵抗(第2抵抗R2、第3抵抗R3)とで分圧回路が構成されている。トランジスタQ1のオン時とオフ時とでトランジスタQ2のオン/オフが切り替わることによって、分圧回路の分圧比が切り換えられる。すなわち、トランジスタQ1のオン時とオフ時とで分圧回路の分圧比が変化することで、トランジスタQ1がオフになるときの第1切替電圧と、トランジスタQ1がオンになるときの第2切替電圧とにヒステリシスが設けられる。第1切替電圧と第2切替電圧とにヒステリシスが設けられることで、検出信号S1のチャタリングが抑制される。なお、第1切替電圧と第2切替電圧との間のヒステリシスは第3抵抗R3の抵抗値r3によって所望の値に設定される。
また、停電検出回路14の動作電流は比較的小さい値に抑えられるので、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3には抵抗値が比較的大きい抵抗器を使用でき、コンデンサC2は静電容量値が比較的小さいものでも十分に平滑が可能である。コンデンサC2の両端電圧Vc2は、電圧(Vbe1+VZD1)でクランプされるため、外部電源200がAC100V〜242Vのユニバーサル電源であっても、耐電圧が比較的低い部品で停電検出回路14を構成できる。
なお、入力電圧V1の電圧リプルがほぼゼロであれば、トランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域とツェナーダイオードZD1との直列回路と並列に平滑用のコンデンサC2が接続されていなくてもよい。ノイズによる誤動作を抑制するために必要であれば、トランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域とツェナーダイオードZD1との直列回路と並列に平滑用のコンデンサC2が接続されていればよく、適宜変更が可能である。
以上説明したように、本実施形態の電源装置1は、電源回路(コンバータ回路12)と、電圧検出回路(停電検出回路14)とを備える。電源回路は、直流電圧源(直流電源部11)から供給される入力電力から出力電力を生成する。電圧検出回路は、直流電圧源から一対の入力端t1,t2に入力される入力電圧V1と閾値電圧Vthとの高低に応じた検出信号S1を出力端t3,t4から出力する。電圧検出回路は、第1抵抗R1と、第1トランジスタQ1と、定電圧素子(ツェナーダイオードZD1)と、第2抵抗R2と、第2トランジスタQ2と、第3抵抗R3と電圧駆動型トランジスタQ3とを備える。第1抵抗R1の一端は、一対の入力端t1,t2の一方(本実施形態では入力端t1)に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端と一対の入力端t1,t2の他方(本実施形態では入力端t2)との間には、第1トランジスタQ1のエミッタ領域及びベース領域と定電圧素子との直列回路が電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端と一対の入力端t1,t2の他方(入力端t2)との間には、第2トランジスタQ2のエミッタ領域及びベース領域と第2抵抗R2との直列回路が電気的に接続されている。第3抵抗R3は、第2トランジスタQ2のコレクタ端子と一対の入力端t1,t2の他方(入力端t2)との間に電気的に接続されている。電圧駆動型トランジスタQ3のゲート電極とソース電極との間には第3抵抗R3が電気的に接続されている。第1トランジスタQ1のコレクタ端子に第2トランジスタQ2のベース端子が電気的に接続されており、電圧駆動型トランジスタQ3のドレイン電極が出力端t3に電気的に接続されている。
この電源装置1では、入力電圧V1が閾値電圧Vth以上であれば、第1トランジスタQ1がオン、第2トランジスタQ2及び電圧駆動型トランジスタQ3がオフになる。この場合、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が第1抵抗R1の他端に印加される。一方、入力電圧V1が閾値電圧Vthよりも低下すると、第1トランジスタQ1がオフ、第2トランジスタQ2及び電圧駆動型トランジスタQ3がオンになる。この場合、入力電圧V1を、第1抵抗R1と、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の並列回路とで分圧した電圧が第1抵抗R1の他端に印加される。第1トランジスタQ1のオン時とオフ時とで分圧比が切り換えられるから、第1トランジスタQ1がオフになるときの第1切替電圧と、第1トランジスタQ1がオンになるときの第2切替電圧とにヒステリシスが設けられ、検出信号S1のチャタリングが抑制される。そして、この電源装置1では、電圧検出回路に高容量の電解コンデンサなどを必要としないから、電圧検出回路を基板に実装するのに必要な面積を小さくでき、小型の電源装置1及び照明器具100を実現できる。
なお、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3のそれぞれは、1つの抵抗器でもよいし、直列あるいは並列に接続された複数の抵抗器でもよい。
(実施形態2)
実施形態2の電源装置1を用いた照明器具100について図面を参照して説明する。なお、停電検出回路14以外の構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図3は本実施形態の停電検出回路14の回路図である。実施形態1の停電検出回路14ではトランジスタQ1,Q2がpnp型のバイポーラトランジスタであったが、本実施形態の停電検出回路14では、トランジスタQ1,Q2がnpn型のバイポーラトランジスタである。また、本実施形態では、実施形態1の停電検出回路14と通電検知状態及び停電検知状態で検出信号S1の信号レベルが反転しており、通電検知状態では検出信号S1の信号レベルがロー、停電検知状態では検出信号S1の信号レベルがハイになる。
以下、停電検出回路14の回路構成について説明する。
この停電検出回路14は、第1抵抗R1と、第1トランジスタQ1と、ツェナーダイオードZD1(定電圧素子)と、第2トランジスタQ2と、第2抵抗R2と、第3抵抗R3と、電圧駆動型トランジスタQ3とを備えている。また、停電検出回路14は、直流電源部11から入力電圧V1が入力される一対の入力端t1,t2と、検出信号S1を出力する出力端t3,t4とを備えている。
一対の入力端t1,t2のうち、直流電源部11の高圧側の出力端に電気的に接続されている入力端t1には、第1抵抗R1の一端が電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、ツェナーダイオードZD1とnpn形の第1トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q1のベース領域及びエミッタ領域との直列回路が電気的に接続されている。ここにおいて、トランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域は、ベース端子とエミッタ端子との間のPN接合部となる。ツェナーダイオードZD1のカソードは第1抵抗R1の他端に電気的に接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードはトランジスタQ1のベース端子に電気的に接続されている。トランジスタQ1のエミッタ端子は入力端t2に電気的に接続されている。
また、第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、第2抵抗R2と、npn形の第2トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q2のベース領域及びエミッタ領域との直列回路が電気的に接続されている。ここにおいて、トランジスタQ2のベース領域及びエミッタ領域は、ベース端子とエミッタ端子との間のPN接合部となる。トランジスタQ2のベース端子にはトランジスタQ1のコレクタ端子が電気的に接続され、トランジスタQ2のエミッタ端子は入力端t2に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端とトランジスタQ2のコレクタ端子との間には第3抵抗R3が電気的に接続されている。なお、トランジスタQ1,Q2はバイポーラトランジスタであり、本実施形態の回路ではnpn型のバイポーラトランジスタである。また、本実施形態では定電圧素子としてツェナーダイオードZD1を備えるが、定電圧素子はツェナーダイオードZD1に限定されず、三端子レギュレータなどでもよい。
電圧駆動型トランジスタ(以下、トランジスタと記載する。)Q3は例えばMOS型の電界効果トランジスタである。直流電源部11の低圧側の出力端を基準電位GNDとすると、トランジスタQ2のエミッタ端子が基準電位GNDに電気的に接続されている。トランジスタQ3のゲート電極にはトランジスタQ2のコレクタ端子が電気的に接続されている。トランジスタQ3のソース電極は基準電位GND及び出力端t4に電気的に接続されている。トランジスタQ3のドレイン電極は出力端t3に電気的に接続されている。出力端t3は例えばプルアップ抵抗を介して一定電圧にプルアップされている。トランジスタQ3がオンになると、電圧レベルがローの検出信号S1が制御回路15に出力され、トランジスタQ3がオフになると、電圧レベルがハイの検出信号S1が制御回路15に出力される。
なお、第1抵抗R1の他端と入力端t2との間には、入力電圧V1を平滑するために小容量のコンデンサC2が接続されている。トランジスタQ1のベース端子とエミッタ端子との間には、ノイズによるトランジスタQ1の誤動作を抑制するためのコンデンサC3と、コンデンサC3の放電経路を形成する抵抗R4とが並列に接続されている。同様に、トランジスタQ2のベース端子とエミッタ端子との間には、ノイズによるトランジスタQ2の誤動作を抑制するためのコンデンサC4と、コンデンサC4の放電経路を形成する抵抗R5とが並列に接続されている。
次に、この停電検出回路14の動作を以下に説明する。
停電検出回路14には、直流電源部11から電源電圧Vinの実効値に比例した大きさの入力電圧V1が入力されている。停電検出回路14は、電源電圧Vinの実効値が切替動作電圧以上であれば、電圧レベルがローの検出信号S1を出力する。停電検出回路14は、電源電圧Vinの実効値が切替動作電圧を下回ると、電圧レベルがハイの検出信号S1を出力する。停電検出回路14は、チャタリング防止のため、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧と、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧とに電圧差(ヒステリシス)を設けている。つまり、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧は、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧よりも低い電圧に設定されている。なお、本実施形態では、電圧レベルがローの検出信号S1を停電検出回路14が出力している状態を通電検知状態と定義し、電圧レベルがハイの検出信号S1を停電検出回路14が出力している状態を停電検知状態と定義する。また、本実施形態では、検出信号S1の電圧レベルがローからハイに切り替わるときの切替動作電圧を第1切替電圧と定義し、検出信号S1の電圧レベルがハイからローに切り替わるときの切替動作電圧を第2切替電圧と定義する。
直流電源部11から停電検出回路14に入力電圧V1が入力されると、第1抵抗R1とトランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域とを介してツェナーダイオードZD1に電圧が印加される。ここで、通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、ツェナーダイオードZD1にはツェナー電圧を超える電圧が印加されるように、回路定数が設定されている。したがって、通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、ツェナーダイオードZD1はオンになり、コンデンサC2の両端電圧Vc2は一定の電圧値にクランプされる。ここで、トランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧をVbe1、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧をVZD1とした場合、コンデンサC2の両端電圧Vc2は電圧(Vbe1+VZD1)にクランプされる。以下では、この電圧(Vbe1+VZD1)を閾値電圧Vthという。
通電検知状態において電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、ツェナーダイオードZD1がオンになって、トランジスタQ1がオンになり、トランジスタQ2がオフ、トランジスタQ3がオンになる。
トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフ、トランジスタQ3がオンとなる場合、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧がコンデンサC2に印加される。
通電検知状態において電源電圧Vinが低下すると入力電圧V1も低下するが、電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧以上であれば、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧は閾値電圧Vthよりも高くなる。この場合、コンデンサC2の両端電圧Vc2は閾値電圧Vthにクランプされている。なお、電源電圧Vinが低下するのに伴い、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧も低下するため、トランジスタQ1に流れるベース電流も低下するが、トランジスタQ1はオン状態を維持している。
一方、通電検知状態で電源電圧Vinの実効値が第1切替電圧よりも低下すると、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が閾値電圧Vthよりも低くなり、トランジスタQ1にベース電流が流れなくなって、トランジスタQ1がオフになる。トランジスタQ1がオフになると、トランジスタQ2がオン、トランジスタQ3がオフになり、電圧レベルがハイの検出信号S1が出力端t3から制御回路15に出力される。すなわち、第1切替電圧は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が閾値電圧Vthに等しくなるときの電源電圧Vinとなる。
ところで、トランジスタQ1がオフになる直前のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧とほぼ同じになり、次の式(3)で表される。
Vc2=V1×r2/(r1+r2) …(3)
一方、トランジスタQ1がオフになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を、第1抵抗R1と、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧とほぼ同じになる。トランジスタQ1がオフになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は次の式(4)で表される。
Vc2=V1×rz/(r1+rz) …(4)
ここで、式(3)の分圧比r2/(r1+r2)に比べて、式(4)の分圧比rz/(r1+rz)の方が小さい値となる。したがって、トランジスタQ1がオフになる直前に比べ、トランジスタQ1がオフになった直後は、分圧比が小さくなることによって、コンデンサC2に印加される電圧Vc2が小さくなる。よって、トランジスタQ1がオフになった直後に、電源電圧Vinの変動などで入力電圧V1が多少変動しても、両端電圧Vc2が閾値電圧Vthを上回りにくくなり、チャタリングが発生しにくくなる。
また、この状態から電源電圧Vinの実効値が増加して第2切替電圧以上になると、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧が閾値電圧Vthを上回り、トランジスタQ1にベース電流が流れ始めて、トランジスタQ1がオンになる。トランジスタQ1がオンになると、トランジスタQ2がオフ、トランジスタQ3がオンになり、電圧レベルがローの検出信号S1が出力端t3から制御回路15に出力される。すなわち、第2切替電圧は、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧が閾値電圧Vthとなるときの電源電圧Vinとなる。
ここで、トランジスタQ1がオンになる直前のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と並列等価抵抗Rzとで分圧した電圧とほぼ同じ電圧になり、上記の式(4)で表される。一方、トランジスタQ1がオンになった直後のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧とほぼ同じになり、上記の式(3)で表される。したがって、トランジスタQ1がオンになる直前に比べ、トランジスタQ1がオンになった直後は、分圧比が大きくなることによって、コンデンサC2の両端電圧Vc2が大きくなる。よって、トランジスタQ1がオンになった直後に、電源電圧Vinの変動などで入力電圧V1が多少変動しても、両端電圧Vc2が閾値電圧Vthを下回りにくくなり、チャタリングが発生しにくくなる。
以上のように、停電検出回路14では、第1抵抗R1と、第1抵抗R1に直列に接続された分圧用抵抗(第2抵抗R2、第3抵抗R3)とで分圧回路が構成されている。トランジスタQ1のオン時とオフ時とでトランジスタQ2のオン/オフが切り替わることによって、分圧回路の分圧比が切り換えられる。すなわち、トランジスタQ1のオン時とオフ時とで分圧回路の分圧比が変化することで、トランジスタQ1がオフになるときの第1切替電圧と、トランジスタQ1がオンになるときの第2切替電圧とにヒステリシスが設けられる。第1切替電圧と第2切替電圧とにヒステリシスが設けられることで、検出信号S1のチャタリングが抑制される。なお、第1切替電圧と第2切替電圧との間のヒステリシスは第3抵抗R3の抵抗値r3によって所望の値に設定される。
停電検出回路14の動作電流は比較的小さい値に抑えられるので、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3には抵抗値が比較的大きい抵抗器を使用でき、コンデンサC2は静電容量値が比較的小さいものでも十分に平滑が可能である。また、コンデンサC2の両端電圧Vc2は、電圧(Vbe1+VZD1)でクランプされるため、外部電源200がAC100V〜242Vのユニバーサル電源であっても、耐電圧が比較的低い部品で停電検出回路14を構成できる。
なお、入力電圧V1の電圧リプルがほぼゼロであれば、トランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域とツェナーダイオードZD1との直列回路と並列に平滑用のコンデンサC2が接続されていなくてもよい。ノイズによる誤動作を抑制するために必要であれば、トランジスタQ1のベース領域及びエミッタ領域とツェナーダイオードZD1との直列回路と並列に平滑用のコンデンサC2が接続されていればよく、適宜変更が可能である。
本実施形態の停電検出回路14では、高容量の電解コンデンサなどが不要で、耐電圧が比較的低い部品で実現でき、また1系統の回路で切替動作電圧にヒステリシスを設けることができるので、停電検出回路14を基板に実装するのに必要な面積を小さくできる。よって、小型の電源装置1及びそれを用いた照明器具100を実現できる。
以上説明したように、本実施形態の電源装置1は、電源回路(コンバータ回路12)と、電圧検出回路(停電検出回路14)とを備える。電源回路は、直流電圧源(直流電源部11)から供給される入力電力から出力電力を生成する。電圧検出回路は、直流電圧源から一対の入力端t1,t2に入力される入力電圧と閾値電圧Vthとの高低に応じた検出信号S1を出力端t3,t4から出力する。電圧検出回路は、第1抵抗R1と、第1トランジスタQ1と、定電圧素子(ツェナーダイオードZD1)と、第2抵抗R2と、第2トランジスタQ2と、第3抵抗R3と電圧駆動型トランジスタQ3とを備える。第1抵抗R1の一端は、一対の入力端t1,t2の一方(本実施形態では入力端t1)に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端と一対の入力端t1,t2の他方(本実施形態では入力端t2)との間には、第1トランジスタQ1のエミッタ領域及びベース領域と定電圧素子との直列回路が電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端と一対の入力端t1,t2の他方(入力端t2)との間には、第2トランジスタQ2のエミッタ領域及びベース領域と第2抵抗R2との直列回路が電気的に接続されている。第3抵抗R3は、第2トランジスタQ2のコレクタ端子と一対の入力端t1,t2の他方(入力端t2)との間に電気的に接続されている。電圧駆動型トランジスタQ3のゲート電極及びソース電極にはそれぞれ第2トランジスタQ2のコレクタ端子及びエミッタ端子が電気的に接続されている。第1トランジスタQ1のコレクタ端子に第2トランジスタQ2のベース端子が電気的に接続されており、電圧駆動型トランジスタQ3のドレイン電極が出力端t3に電気的に接続されている。
入力電圧V1が閾値電圧Vth以上であれば、第1トランジスタQ1がオン、第2トランジスタQ2がオフ、電圧駆動型トランジスタQ3がオンになり、入力電圧V1を第1抵抗R1と第2抵抗R2とで分圧した電圧が第1抵抗R1の他端に印加される。一方、入力電圧V1が閾値電圧Vthよりも低下すると、第1トランジスタQ1がオフ、第2トランジスタQ2がオン、電圧駆動型トランジスタQ3がオフになる。この場合、入力電圧V1を、第1抵抗R1と、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の並列回路とで分圧した電圧が第1抵抗R1の他端に印加される。第1トランジスタQ1のオン時とオフ時とで分圧比が切り換えられるから、第1トランジスタQ1がオフになるときの第1切替電圧と、第1トランジスタQ1がオンになるときの第2切替電圧とにヒステリシスが設けられ、検出信号S1のチャタリングが抑制される。そして、この電源装置1では、電圧検出回路に高容量の電解コンデンサなどを必要としないから、電圧検出回路を基板に実装するのに必要な面積を小さくでき、小型の電源装置1及び照明器具100を実現できる。
なお、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3のそれぞれは、1つの抵抗器でもよいし、直列あるいは並列に接続された複数の抵抗器でもよい。
(実施形態3)
実施形態3の照明器具100について図4を参照して説明する。
本実施形態の照明器具100は、実施形態1の照明器具100と停電検出回路14の回路構成が異なっており、停電検出回路14以外は実施形態1の照明器具100と同様であるから、停電検出回路14以外の構成については説明を省略する。
図4は本実施形態の停電検出回路14の回路図である。本実施形態の停電検出回路14は、実施形態1で説明した停電検出回路14に第4抵抗R6とコンデンサC5とが追加されている。第4抵抗R6及びコンデンサC5以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第4抵抗R6は、第1抵抗R1及びコンデンサC2の接続点と、トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子との間に電気的に接続されている。
コンデンサC5は、第4抵抗R6とコンデンサC2との直列回路と並列に電気的に接続されている。コンデンサC5はノイズによる誤動作を抑制するためのコンデンサであり、コンデンサC5は必須ではなく、必要に応じて接続されていればよい。
実施形態1で説明した停電検出回路14の場合、停電検出回路14の入力段にある直流電源部11は、例えばコンデンサインプット型整流回路のように出力電圧(上記の入力電圧V1)に発生する電圧リプルが抑制されているような電源回路であることが好ましい。
一方、直流電源部11が例えば力率改善回路のような電源回路であれば、直流電源部11から停電検出回路14に入力される入力電圧V1の波形は、電源電圧Vinを全波整流したような電圧波形となり、入力電圧V1の電圧リプルが大きくなる。
コンデンサC2の両端電圧Vc2が閾値電圧Vth(=Vbe1+VZD1)でクランプされている状態を想定すると、入力電圧V1が閾値電圧Vthよりも高い場合のみ、第1抵抗R1に電流Ir1が流れることになる。この電流Ir1は下記の式(5)で表される。
Ir1=(V1−Vbe1−VZD1)/r1 …(5)
したがって、トランジスタQ1のベース電流は入力電圧V1の電圧リプルに応じて変動するため、切替動作電圧に設けられたヒステリシスが十分でない場合は検出信号S1のチャタリングが発生する可能性がある。
それに対して、本実施形態の停電検出回路14では、コンデンサC2から第4抵抗R6を介してトランジスタQ1にベース電流が流れることになり、第4抵抗R6によってベース電流の変動幅が抑制されるから、検出信号S1のチャタリングを抑制できる。
入力電圧V1はコンデンサC2で平滑されることで、電圧リプルがある程度低減される。また、コンデンサC2の両端電圧Vc2は、トランジスタQ1がオンになる前後のそれぞれでツェナーダイオードZD1によりほぼ一定の電圧にクランプされる。同様に、コンデンサC2の両端電圧Vc2は、トランジスタQ1がオフになる前後のそれぞれでツェナーダイオードZD1によりほぼ一定の電圧にクランプされる。したがって、第4抵抗R6に流れる電流のリプル成分が抑制されるから、入力電圧V1の電圧リプルが比較的大きい場合でも、検出信号S1のチャタリングを抑制することができる。
なお、実施形態2で説明した停電検出回路14において、第1抵抗R1及びコンデンサC2の接続点と、ツェナーダイオードZD1のカソードとの間に第4抵抗を接続してもよい。これにより、入力電圧V1のリプル電圧が比較的大きい場合でも、検出信号S1のチャタリングを抑制することができる。また、第4抵抗とコンデンサC2との直列回路と並列にコンデンサを接続してもよく、ノイズによる誤動作を抑制することができる。
本実施形態の電源装置1は、第1トランジスタQ1のエミッタ領域及びベース領域と定電圧素子(ツェナーダイオードZD1)との直列回路と、第1抵抗R1の他端との間に、電気的に接続されている第4抵抗R6を更に備えている。
第4抵抗R6によって、第4抵抗R6を介して第1トランジスタQ1に流れる電流のリプル成分が抑制されるから、入力電圧V1の電圧リプルが比較的大きい場合でも検出信号S1のチャタリングを抑制することができる。
なお、第4抵抗R6は、1つの抵抗器でもよいし、直列あるいは並列に接続された複数の抵抗器でもよい。
(実施形態4)
実施形態4の照明器具100について図5を参照して説明する。
実施形態3の照明器具100では、停電検出回路14が直流電源部11(第1の直流電源部)から入力される入力電圧V1を監視しているが、本実施形態の照明器具100では、停電検出回路14が直流電源部11の入力側から入力される電圧を監視している。なお、停電検出回路14以外は実施形態3の照明器具100と同様であるから、停電検出回路14以外の構成については説明を省略する。
実施形態3の停電検出回路14では、第1抵抗R1の一端が、直流電源部11の高圧側の出力端に電気的に接続されている。それに対して、本実施形態の停電検出回路14では、第1抵抗R1の一端にダイオードD1,D2のカソードが接続されている。ダイオードD1のアノードは外部電源200の一端に接続され、ダイオードD2のアノードは外部電源200の他端に接続されている。ここにおいて、ダイオードD1,D2と、全波整流器DB1の一部の回路(ダイオード)とで、外部電源200から入力される交流の電源電圧Vinを全波整流して直流に変換する整流回路16(交流直流変換部)が実現されている。
停電検出回路14には、電源電圧Vinを整流回路16で全波整流して得られた入力電圧V3が入力されている。停電検出回路14は、整流回路16から入力される入力電圧V3を監視しており、実施形態3の停電検出回路14と同様の動作を行うので、その説明は省略する。本実施形態の停電検出回路14によれば、直流電源部11の入力側から得た入力電圧V3を監視する場合でも、電源電圧Vinと切替動作電圧との高低に応じた検出信号S1を出力することができる。
このように、電源装置1において、直流電圧源が、直流電源部11と、交流直流変換部(整流回路16)とを備えることも好ましい。直流電源部11は、交流電源(外部電源200)から供給される交流電力を直流に変換して電源回路(コンバータ回路12)に供給する。交流直流変換部は、交流電源の電源電圧を直流に変換して電圧検出回路(停電検出回路14)に出力する。
直流電源部11の入力側の交流電圧を交流直流変換部が直流に変換した電圧が、電圧検出回路の一対の入力端t1,t2に入力された場合でも、電圧検出回路は、入力端t1,t2に入力された入力電圧と閾値電圧との高低に応じた検出信号を出力することができる。
なお、実施形態1,2の停電検出回路14が、本実施形態と同様に、直流電源部11の入力側から得た入力電圧V3を監視してもよく、電源電圧Vinと切替動作電圧との高低に応じた検出信号S1を出力することができる。
ところで、実施形態1〜4で説明した照明器具100の外観図を図6Aに示す。
図6Aに示す照明器具100Aは、天井に埋め込んだ状態で使用される非常灯である。
この照明器具100Aは、電源装置1を収納する器具本体20を有している。器具本体20は本体21とカバー22とを備える。
本体21は、筒状に形成されており、天井に設けられた埋込用孔に挿入される。
カバー22は、平面形状が円形に形成されており、本体21の下部に取り付けられている。カバー22の中央にはレンズ23が配置されており、光源ユニット5の発光はレンズ23を通して外部に照射される。
照明器具100Aの器具本体20には、実施形態1〜4で説明した電源装置1が保持されているので、照明器具100Aの小型化を実現することができる。
なお、実施形態1〜4の照明器具100は非常灯に限定されず、誘導灯でもよい。
図6Bに誘導灯のような照明器具100Bの外観図を示す。
図6Bに示す照明器具100Bは、例えば壁に取り付けられた状態で使用される誘導灯である。
この照明器具100Bは、電源装置1を収納する器具本体30を有している。器具本体30は、ボディ31と、発光部32と、表示パネル33とを備える。
ボディ31は一面が開口した直方体状に形成されており、ボディ31の内部には光源ユニット5以外の照明器具100Bの構成が収納されている。
ボディ31の開口部には、発光部32と表示パネル33とが上下に並べて取り付けられる。
発光部32は光源ユニット5を内部に収納しており、光原ユニット5の発光は表示パネル33に入射する。
表示パネル33には、例えば避難方向を示すピクトグラムが表記されている。
照明器具100Bでは、光源ユニット5から表示パネル33に入射する光によって、表示パネル33が明るく光るから、表示パネル33に表記されたピクトグラムが視認しやすくなる。
本実施形態の照明器具100は、実施形態1〜4で説明した電源装置1と、電源装置1を保持する器具本体20,30とを備えており、照明器具100の小型化を実現できる。
また、照明器具100は、充電回路2と、点灯回路4と、蓄電池(蓄電池ユニット3)とを更に備えてもよい。入力電圧V1が閾値電圧Vthよりも高いことを示す検出信号S1を電圧検出回路が出力している場合には、充電回路2が電源回路の出力電力で蓄電池を充電すればよい。入力電圧V1が閾値電圧Vthよりも低いことを示す検出信号S1を電圧検出回路が出力している場合には、点灯回路4が蓄電池を電源として光源(光源ユニット5)を点灯させればよい。
これにより、直流電圧源の停電時に蓄電池を電源として光源を点灯させる照明器具100を実現することができる。
以上説明した構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。