JP6560158B2 - 金型温度調節装置及び金型温度調節方法 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、貯留タンクに貯留された媒体を加熱するヒーター及び媒体を冷却する冷却路を設け、金型の媒体流通路に媒体を循環供給する構成とされた金型温度調節装置が開示されている。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る第2の金型温度調節装置は、金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節装置であって、前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーの出力データから構成される温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を推定する制御部と、前記所要時間を報知する報知部と、を備えており、前記制御部は、前記温度変化曲線が前記目標温度よりも15℃〜5℃低い推定温度になった際に前記所要時間を推定することを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る第3の金型温度調節装置は、金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節装置であって、前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度を検出する温度センサーと、前記温度センサーの出力データから構成される温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を推定する制御部と、前記所要時間を報知する報知部と、を備えており、前記制御部は、前記目標温度の超過を許容するように前記温調媒体を加熱するヒーターを制御する構成とされ、かつ予め設定された所定時間が経過した際に前記所要時間を推定することを特徴とする。
なお、図1では、媒体等が通過する経路となる管路(配管)等を、実線及び破線にて模式的に示している。
また、図2〜図4におけるグラフでは、横軸を時間軸、縦軸を温度センサーの検出温度(出力データ)とし、その推移(温度変化曲線)を模式的に示している。
本実施形態に係る金型温度調節装置1は、図1に示すように、金型3に設けられた媒体流通路4に温調媒体を循環供給する構成とされている。また、金型温度調節装置1は、温調媒体及び金型3の両方または一方の温度を検出する温度センサー17を備えている。また、金型温度調節装置1は、送媒路13及び返媒路15を介して金型3の媒体流通路4に接続され、温調媒体を貯留する貯留部10と、媒体流通路4に温調媒体を循環させるように供給するポンプ14と、を備えている。また、金型温度調節装置1は、各部を制御する制御部21を有した制御盤20を備えている。この金型温度調節装置1は、貯留部10において予め設定された温度となるように調節される温調媒体を媒体流通路4に供給する構成とされている。
この金型3の成形機としては、金型3の固定型と可動型とによって形成されるキャビティー等に、シリンダ等で溶融させた材料としての合成樹脂をノズル等から射出して充填し、成形品を逐次、成形する射出成形機等としてもよく、また、圧縮成形機等の他の成形機としてもよい。また、成形材料としては、合成樹脂材料に、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化合成樹脂材料等としてもよい。
また、返媒路15と媒体流通路4,4の出口とも略同様、単一の返媒路15を複数に分岐させるマニホールド部やこのマニホールド部の複数の接続口に接続されたホースやチューブ等の可撓性を有した配管材を介して接続した構成としてもよい。また、マニホールド部や管路等の適所に、媒体流通路4から返媒される温調媒体の通過を許容または遮断する返媒バルブを設けた例を示している。
返媒路15は、貯留部10の上端部に接続されている。また、この返媒路15には、温調媒体及び金型3の両方または一方の温度を検出する温度センサーとしての返媒側温度センサー17が設けられている。つまり、この返媒側温度センサー17は、金型3を通過した温調媒体の温度を検出する構成とされている。なお、図1に二点鎖線によって示すように、温調媒体及び金型3の両方または一方の温度を検出する温度センサーとして、金型3に向けて供給される温調媒体の温度を検出する送媒側温度センサー17Aを送媒路13に設けたり、金型3の温度を検出する金型温度センサー17Bを金型3に設けたりしてもよい。
また、本実施形態では、供給路18を介して温調媒体供給源2からの温調媒体の供給圧(給水圧)が系内(温調媒体の循環路内)に掛けられた状態、つまり、系内が原則的に所定圧となるように加圧された状態となる構成としている。そのため、設定温度を常圧下での温調媒体の沸点以上の温度に設定することができる。また、図例では、供給路18に開放リリーフ弁(安全弁)を設け、また、供給路18と排出路19とを連通させるように、オリフィス等で流量調整がなされたバイパス路を設けた例を示している。また、図例では、供給路18の温調媒体供給源2側となるバイパス路との分岐部の上流側(温調媒体供給源2側)に、ストレーナを設けた例を示している。
また、上記した例では、系内を加圧した状態で、排出路19の排出弁19aを開閉制御することで温調媒体の供給(補給)や冷却をする加圧・直接冷却型とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、供給路18に、冷却弁としても機能する供給弁を設けた直接冷却型としてもよい。この場合は、排出路19の排出弁19aを常時開放させた状態としてもよく、さらには、このような排出弁19aを設けないようにしてもよい。つまり、排出路19をオーバーフロー管路としてもよい。また、この場合は、上記設定温度の上限を、温調媒体が沸騰し難い温度(温調媒体が水である場合には、例えば、90℃や85℃程度)としてもよい。
また、この制御部21は、図2に示すように、温度センサー(例えば、返媒側温度センサー)17の出力データから構成される温度変化曲線Lの所定時点T1,T2,T3,T4における接線L1,L2,L3,L4の傾きに基づいて目標温度SVに到達するまでの所要時間を推定する所要時間推定モードを実行する構成とされている。また、本実施形態では、制御部21は、予め設定された所定時間が経過する毎に所要時間を推定する構成とされている。なお、この所要時間推定モードは、当該金型温度調節装置1を起動すれば自動的に実行されるものでもよく、また、適宜の操作部の操作によって実行されるものでもよい。
なお、以下では、温調媒体及び金型3の温度が常温(例えば、10℃〜30℃)程度の状態から金型温度調節装置1を起動した場合について説明する。また、図2の縦軸を返媒側温度センサー17の検出温度(出力データ)として説明する。
そして、満レベルとなれば、ポンプ14を起動させた状態で、つまりは温調媒体を循環させながら、貯留部10から金型3側に供給される温調媒体の温度が予め設定された設定温度となるように、送媒側温度センサー17Aや、貯留部10内の温調媒体の温度を検出するタンク温度センサー等の検出温度に基づいて、制御部21によって加熱手段11及び冷却手段19aがPID制御等される。つまり、ヒーター11が起動され、送媒側温度センサー17Aの検出温度に基づいて、温調媒体の温度が設定温度となるようにヒーター11のPID制御等の通電制御がなされる。
また、第1時点T1は、当該金型温度調節装置1を起動した後または温調媒体のブロー等の初期準備工程実行後の所定時間経過後としてもよい。この所定時間は、予め設定されたものでもよく、表示操作部23を介して設定可能とされたものでもよい。図例では、第1時点T1を、温度変化曲線Lが略一定な傾きで略直線的に推移している範囲内の時点とした例を示している。
そして、送媒側温度センサー17Aの検出温度が上昇し、予め設定された比例帯の範囲内となれば、ヒーター11の稼働率(ヒーター11に出力される操作量)が減少される。これにより、返媒側温度センサー17の検出温度の温度変化曲線Lは、傾きが徐々に緩やかになる。つまり、上記した第1時点Tにおいて推定された所要時間は、誤差が大きくなることが考えられる。そのため、本動作例では、所定時間が経過する毎に所要時間を推定する構成としている。
つまり、本動作例では、所定時間が経過する毎に所要時間の推定がなされ、所要時間が更新される構成としている。
なお、返媒側温度センサー17の検出温度が目標温度SVとなれば、以降の所要時間推定動作(所要時間推定モード)を実行しないようにしてもよい。
なお、上記基本動作は、一例であり、適宜の変形動作の実行が可能である。
また、本実施形態では、温調媒体を、水とした例を示しているが、水に限られず、油系、アルコール系等の他の温調媒体を採用するようにしてもよい。本実施形態に係る金型温度調節装置1を構成する各機器や配管態様としては、図例のものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
つまり、温調媒体及び金型3の両方または一方の温度を検出する温度センサーとしての返媒側温度センサー17の出力データから構成される温度変化曲線Lの所定時点T1〜T4における接線L1〜L4の傾きに基づいて目標温度SVに到達するまでの所要時間を推定し、この所要時間を報知部としての表示操作部23において報知させる構成としている。従って、目標温度SVに到達したか否かを作業者が定期的に確認したり、昇温が確実になされるように初期準備運転を長時間に亘って実行したりする必要性を低減することができる。つまり、成形準備可能な目標温度SVに到達するまでの所要時間を把握することができるので、成形準備工程の実行に必要な準備や他の作業を効率的に行うことができる。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、上記した動作例と同様の動作については、その説明を省略または簡略に説明する。
また、本実施形態に係る金型温度調節方法は、上記第1実施形態と同様、金型温度調節装置1を用いて実行可能である。
また、上記同様にして、温度変化曲線Lの温度が推定温度SV1になった所定時点T5、つまりヒーター11の稼働率が所定値を下回った所定時点T5における接線L5の傾きに基づいてこの接線L5が目標温度SVに到達する到達予定時点T5Aを算出し、この到達予定時点T5Aに基づいて所要時間を算出し、報知するようにしてもよい。
また、本実施形態では、温度変化曲線Lが目標温度SVよりも所定値低い推定温度SV1になった際に所要時間を推定する構成としている。従って、例えば、所定時間が経過した際に所要時間を推定するような態様とした場合と比べて、金型3の熱容量や温調媒体が通過する経路態様、初期温度等の違いによる影響を受け難くなり、比較的に正確な所要時間を把握することができる。
また、この目標温度SVよりも所定値低い推定温度SV1を、目標温度SV近傍で、目標温度SVから15℃〜5℃程度低い温度とするようにしてもよい。これによれば、ヒーター11の稼働率が低くなって温度変化曲線Lが比較的に緩やかな勾配となり、より正確な所要時間を把握することができる。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、上記した動作例と同様の動作については、その説明を省略または簡略に説明する。
また、本実施形態に係る金型温度調節方法は、上記第1実施形態と同様、金型温度調節装置1を用いて実行可能である。
また、所要時間を推定する所定時間は、当該金型温度調節装置1の起動後または所要時間推定モード開始後の比較的に早い時間としてもよく、上記第1実施形態と同様の第1時点T1としてもよい。つまり、第1時点T1を、温度変化曲線LAが略一定な傾きで略直線的に推移している範囲内の時点としてもよい。
また、上記同様にして、第1時点T1における接線L1の傾きに基づいてこの接線L1が目標温度SVに到達する到達予定時点T1Aを算出し、この到達予定時点T1Aに基づいて所要時間を算出し、報知するようにしてもよい。
また、本実施形態では、目標温度SVの超過を許容するように温調媒体を加熱するヒーター11を制御する構成とし、かつ予め設定された所定時間が経過した際に所要時間を推定する構成としている。従って、オーバーシュートすることとはなるが、目標温度SVに到達するまでの時間を短縮化することができる。また、目標温度SV付近または目標温度SVを越えるまで概ね直線的に昇温し、この昇温途中に所要時間を推定することができるので、比較的に正確な所要時間を把握することができる。
また、上記した各動作例において説明した互いに異なる動作等を、適宜、組み替えたり、組み合わせたりして、適用するようにしてもよい。この場合は、必要に応じて適宜、変形するようにしてもよい。
また、上記した各動作例では、返媒側の温調媒体の温度の温度変化曲線に基づいて目標温度SVに到達するまでの所要時間を推定する態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。送媒側の温調媒体の温度及び金型3の温度の温度変化曲線も、温調媒体が循環されるため、概ね同様に推移し、これらのうちのいずれかの温度の温度変化曲線に基づいて目標温度SVに到達するまでの所要時間を推定することも可能である。
また、所要時間を推定するタイミング(所定時点)は、上記した各動作例において説明した態様に限られない。例えば、送媒側の温調媒体の温度と金型3の温度または返媒側の温調媒体の温度とを比較し、これらの温度差が予め設定された所定の閾値を下回れば、その時点(所定時点)における接線の傾きに基づいて目標温度SVに到達するまでの所要時間を推定する態様としてもよく、その他、種々のタイミングとしてもよい。
また、例えば、過去の実績データ(金型3の識別番号、目標温度SV及びこの目標温度SVに到達するまでに実際に要した所要時間)を記憶部22に蓄積しておき、目標温度SVが入力され、識別データ等に基づいて金型3が識別されれば、実績データを参照して目標温度SVに到達するまでの所要時間を決定し、報知するようにしてもよい。この場合は、昇温前(起動直後)の金型3または温調媒体の温度を、実績データの昇温前(起動直後)の温度と比較し、所要時間を補正するようにしてもよい。例えば、昇温前の金型3または温調媒体の温度が実績データの昇温前の温度よりも高い場合には、実績データの温度変化曲線を参照して同じ温度になるまでの時間を差し引いて所要時間を推定するようにしてもよい。また、昇温前の金型3または温調媒体の温度が実績データの昇温前の温度よりも低い場合には、実績データの温度変化曲線を同じ温度となるように低くなる側に仮想的に延長し、この延長された部分に相当する時間を加算して所要時間を推定するようにしてもよい。所要時間推定モード(金型温度調節方法)としては、その他、種々の変形動作の実行が可能である。
11 ヒーター
17 返媒側温度センサー
17A 送媒側温度センサー
17B 金型温度センサー
21 制御部
23 表示操作部(報知部)
3 金型
4 媒体流通路
L,LA 温度変化曲線
L1〜L5 接線
SV 目標温度
SV1 推定温度
T1〜T5 所定時点
Claims (4)
- 金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節装置であって、
前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーの出力データから構成される温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を推定する制御部と、
前記所要時間を報知する報知部と、
を備えており、
前記制御部は、予め設定された所定時間が経過する毎に前記所要時間を推定することを特徴とする金型温度調節装置。 - 金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節装置であって、
前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーの出力データから構成される温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を推定する制御部と、
前記所要時間を報知する報知部と、
を備えており、
前記制御部は、前記温度変化曲線が前記目標温度よりも15℃〜5℃低い推定温度になった際に前記所要時間を推定することを特徴とする金型温度調節装置。 - 金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節装置であって、
前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーの出力データから構成される温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を推定する制御部と、
前記所要時間を報知する報知部と、
を備えており、
前記制御部は、前記目標温度の超過を許容するように前記温調媒体を加熱するヒーターを制御する構成とされ、かつ予め設定された所定時間が経過した際に前記所要時間を推定することを特徴とする金型温度調節装置。 - 金型に設けられた媒体流通路に温調媒体を循環供給する金型温度調節方法であって、
前記温調媒体及び前記金型の両方または一方の温度の温度変化曲線の所定時点における接線の傾きに基づいて目標温度に到達するまでの所要時間を、予め設定された所定時間が経過する毎に推定し、この所要時間を報知することを特徴とする金型温度調節方法。
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