JP6558755B2 - ポリアミド酸、ポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板 - Google Patents

ポリアミド酸、ポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド酸、ポリイミド、並びにこのポリイミドを利用した樹脂フィルム及び金属張積層板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
上述した高密度化に加えて、機器の高性能化が進んだことから、伝送信号の高周波化への対応も必要とされている。高周波信号を伝送する際に、信号の伝送経路の伝送損失が大きい場合、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなるなどの不都合が生じる。そのため、FPCの伝送損失の低減が重要となる。高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属箔との接着性に改善の余地がある。
耐熱性や接着性を改善するため、ポリイミドを絶縁層にした金属張積層板が提案されている(特許文献1)。特許文献1によると、一般的に高分子材料をモノマーに脂肪族系のものを用いることにより誘電率が低下することが知られており、脂肪族(鎖状)テトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリイミドの耐熱性は著しく低いために、はんだ付けなどの加工に供する事が不可能となり実用上問題があるが、脂肪族テトラカルボン酸二無水物を用いると鎖状のものに比べて耐熱性が向上したポリイミドが得られるとしている。しかしながら、このようなポリイミドフィルムは、10GHzにおける誘電率が3.2以下であるものの、誘電正接は0.01を超えるものであり、誘電特性は未だ十分ではなかった。また、上述の脂肪族モノマーを使用したポリイミドは熱膨張係数が大きいものが多く、これらを絶縁層にした金属張積層板では反りが発生するため、回路基板の絶縁層とすることは困難であった。
特開2004−358961号公報
本発明の目的は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能としながら、反りの発生を抑制できる回路基板の絶縁層材料を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明者らは、特定のジアミン構造を有するポリアミド酸から得られるポリイミドは、低誘電特性でありながら、樹脂フィルムを形成した場合に熱膨張係数(CTE)を低く抑えることが可能であり、反りの発生を抑制しながら、伝送特性も良好なFPC等の回路基板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリアミド酸は、ジアミン成分と、テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、を反応させて得られるものである。本発明のポリアミド酸は、前記ジアミン成分が、下記の一般式(i)で表されるジアミン化合物を、全ジアミン成分に対し、15〜45モル%の範囲内で含み、
かつ、
前記酸無水物成分が、無水ピロメリット酸(PMDA)及び3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)からなる群より選ばれる1種以上のテトラカルボン酸無水物を、全酸無水物成分に対し、50〜100モル%の範囲内で含むことを特徴とする。
Figure 0006558755
[式中、Rは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を意味し、pは1〜4の数を意味する。ここで、pが2以上の場合、Rは独立して異なる炭素数をとり得る。]
本発明のポリアミド酸は、前記ジアミン成分に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)及び2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)からなる群より選ばれる1種以上のジアミン化合物を、全ジアミン成分に対し、55〜85モル%の範囲内で含んでいてもよい。

本発明のポリイミドは、上記ポリアミド酸をイミド化して得られるものである。
本発明の樹脂フィルムは、上記ポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミドを含むものである。
本発明の樹脂フィルムは、熱膨張係数が10×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲内にあってもよい。
本発明の金属張積層板は、上記ポリイミドを含む樹脂層を有するものである。
本発明のポリアミド酸及びポリイミドは、側鎖に直鎖の低級アルキル基を導入した一般式(i)のジアミン化合物を用いることで、低誘電特性でありながら、樹脂フィルムを形成した場合に熱膨張係数(CTE)を低く抑えることが可能となる。従って、本発明のポリアミド酸及びポリイミドを使用した樹脂フィルムは、例えば、金属張積層板のベースフィルム層として好適に用いることができる。また、本発明のポリアミド酸及びポリイミドを絶縁層材料として用いることによって、反りの発生を抑制しながら、伝送特性が良好なFPC等の回路基板を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[ポリアミド酸及びポリイミド]
<ポリアミド酸>
本実施の形態のポリアミド酸は、本実施の形態のポリイミドの前駆体であり、ジアミン成分と、テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、を反応させて得られる。ここで、ジアミン成分は、一般式(i)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン化合物(i)」と記すことがある)を、全ジアミン成分に対し、15〜45モル%の範囲内で含んでいる。
Figure 0006558755
[式中、Rは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を意味し、pは1〜4の数を意味する。ここで、pが2以上の場合、Rは独立して異なる炭素数をとり得る。]
ジアミン化合物(i)の特徴として、側鎖に直鎖の低級アルキル基(すなわち、一般式(i)中の基Rとして、直鎖のメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基)を有することが挙げられる。側鎖に直鎖の低級アルキル基を有するジアミン化合物(i)を、ジアミン成分として必須に用いることによって、イミド基濃度を低下させ、低誘電特性とすると共に、樹脂フィルムの大幅なCTE増加を抑制することができる。ジアミン化合物(i)において、両端の芳香環におけるアミノ基の置換位置は、エーテル結合に対して、それぞれ3位(メタ位)又は4位(パラ位)であることが好ましい。
本実施の形態のポリアミド酸において、酸無水物成分は、全酸無水物成分に対し、50〜100モル%の範囲内で、無水ピロメリット酸(PMDA)及び/又は3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含んでいる。PMDA及び/又はBPDAを50モル%以上の配合量で用いることによって、ポリイミド中の分子の配向性を制御し、CTEの増加を抑制する作用を有するので、本実施の形態のポリアミド酸を用いて形成した樹脂フィルムの低CTE化が可能となる。
また、本実施の形態のポリアミド酸において、ジアミン成分は、全ジアミン成分に対し、55〜85モル%の範囲内の配合量で、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)及び2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)からなる群より選ばれる1種以上のジアミン化合物(以下、「ビフェニル系ジアミン化合物」と記すことがある)を含んでいることが好ましい。これらビフェニル系ジアミン化合物を原料に用いることによって、本実施の形態のポリアミド酸を用いて形成した樹脂フィルムの低CTE化に寄与する。

<ポリイミド>
本実施の形態のポリイミドは、上記ポリアミド酸をイミド化してなるものである。本実施の形態のポリイミドは、下記の一般式(1)及び(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 0006558755
[式中、ArはPMDA及び/又はBPDAを含む芳香族テトラカルボン酸無水物から誘導される4価の芳香族基、Rはジアミン化合物(i)から誘導される2価の芳香族ジアミン残基、Rはジアミン化合物(i)以外の芳香族ジアミンから誘導される2価の芳香族ジアミン残基をそれぞれ表し、m、nは各構成単位の存在モル比を示し、mは0.15〜0.45の範囲内、nは0.55〜0.85の範囲内である]
基Arは、例えば下記の式(3)又は式(4)で表されるものを挙げることができる。
Figure 0006558755
[式中、Wは単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示す]
特に、ポリイミドの極性基を減らし、誘電特性を向上させるという観点から、基Arとしては、式(3)、又は式(4)中のWが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−で表されるものが好ましく、式(3)、又は式(4)中のWが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−CO−で表されるものがより好ましい。
なお、上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構成単位として存在してもよい。構成単位を複数有する共重合体である場合は、ブロック共重合体として存在しても、ランダム共重合体として存在してもよい。
ポリイミドは、一般に、酸無水物とジアミンとを反応させて製造されるので、酸無水物とジアミンを説明することにより、本実施の形態のポリイミドの具体例が理解される。上記一般式(1)及び(2)において、基Arは酸無水物の残基ということができ、基R及び基Rはジアミンの残基ということができるので、好ましいポリイミドを酸無水物とジアミンにより説明する。
基Arを残基として有する酸無水物としては、基Arが上記式(3)で表されるPMDA及びBPDAの少なくとも片方を必須に用いる。PMDA及び/又はBPDAを用いることによって、ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、CTEの増加を抑制し、本実施の形態のポリイミドを用いた樹脂フィルムの低CTE化が可能となる。また、PMDA及びBPDA以外に、基Arを残基として有する酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が好ましく例示される。また、酸無水物として、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
基Rは、ジアミン化合物(i)から誘導される2価の芳香族ジアミン残基である。側鎖に炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を有するジアミン化合物(i)をジアミン成分として必須に用いることによって、樹脂フィルムの大幅なCTE増加を抑制しつつ、誘電率及び誘電正接を下げることができる。
ジアミン化合物(i)の仕込み量は、全ジアミン成分に対し、15〜45モル%の範囲内、好ましくは20〜40モル%の範囲内がよい。ジアミン化合物(i)が15モル%未満であると、ポリイミドの熱膨張係数が低下しすぎる傾向になり、45モル%を超えると、ポリイミドの熱膨張係数が上昇しすぎる傾向となるため、得られた金属張積層板が反るという課題が発生する。
また、基Rは、例えば下記の式(5)〜式(7)で表されるものを挙げることができる。
Figure 0006558755
[式(5)〜式(7)において、Rは独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、Zは単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す]
特に、ポリイミドの極性基を減らし、誘電特性を向上させるという観点から、基Rとしては、式(5)〜式(7)中のZが単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、Rが炭素数1〜6の1価の炭化水素基、nが0〜4の整数であることが好ましい。
基Rを残基として有するジアミンとしては、例えば4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-tert-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-tert-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。

ポリイミドの誘電特性を踏まえ、本実施の形態のポリイミドの前駆体の調製に用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物としては、PMDA及び/又はBPDAを50モル%以上使用することを必須とする。PMDA及び/又はBPDAを50モル%以上使用することによって、本実施の形態のポリイミドを用いた樹脂フィルムの低CTE化が可能となる。また、PMDA及びBPDA以外の芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)等を挙げることができる。その中でも、特に好ましい酸無水物としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等を挙げることができる。これらの芳香族テトラカルボン酸無水物は、2種以上を組み合わせて配合することもできる。
また、ポリイミドの誘電特性を踏まえ、本実施の形態のポリイミドの前駆体の調製に好適に用いられる芳香族ジアミンとしては、ジアミン化合物(i)を必須成分とし、他に、例えば、1,4ビス(4-アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン(DTBAB)、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミンは、2種以上を組み合わせて配合することもできる。その中でも、本実施の形態のポリイミドを用いた樹脂フィルムの低CTE化に寄与するジアミン成分として、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)等が特に好ましい。
上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記一般式(1)及び(2)に含まれないその他のジアミン及び酸無水物を上記の酸無水物又はジアミンと共に使用することもでき、この場合、その他の酸無水物又はジアミンの使用割合は好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下とすることがよい。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
一般式(1)及び(2)で表わされる構成単位を有するポリイミドは、上記PMDA及び/又はBPDAを含む芳香族テトラカルボン酸無水物、ジアミン化合物(i)及び他の芳香族ジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
[樹脂フィルム]
本実施の形態の樹脂フィルムは、本実施の形態のポリイミドから形成されるポリイミド層を含む絶縁樹脂のフィルムであれば特に限定されるものではなく、絶縁樹脂からなるフィルム(シート)であってもよく、銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの樹脂シート等の基材に積層された状態の絶縁樹脂のフィルムであってもよい。また、本実施の形態の樹脂フィルムの厚みは、好ましくは3〜100μmの範囲内、より好ましくは3〜75μmの範囲にある。
本実施の形態のポリイミドは、ベースフィルム層(絶縁樹脂層の主層)としての適用が好適である。具体的には、熱膨張係数が10×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲内、好ましくは10×10−6〜25×10−6(1/K)の範囲内、より好ましくは15×10−6〜25×10−6(1/K)の範囲内にある低熱膨張性のポリイミド層をベースフィルム層に適用すると大きな効果が得られる。低熱膨張性ポリイミドの中で、好適に利用できるポリイミドは、非熱可塑性のポリイミドである。
一方、上記熱膨張係数を超えるポリイミド層も、例えば金属層や他の樹脂層などの基材との接着層としての適用が好適である。このような接着性ポリイミド層として好適に用いることができるポリイミドとして、そのガラス転移温度が、例えば360℃以下であるものが好ましく、200〜320℃の範囲内にあるものがより好ましい。
接着性ポリイミドの中で、好適に利用できるポリイミドは、熱可塑性のポリイミドである。熱可塑性のポリイミドの形成に好適に用いられる酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物等が挙げられる。その他、上記のポリイミドの説明で挙げた酸無水物を挙げることができる。この中でも、特に好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる1種以上の酸無水物が挙げられる。
熱可塑性のポリイミドの形成に好適に用いられる芳香族ジアミンとしては、耐熱性及び接着性の観点から、分子内にフェニレン基又はビフェニレン基を有するもの、あるいは、分子内に酸素元素又は硫黄元素を含む2価の連結基を有するものが好ましく、例えば、1,4ビス(4-アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。その他、上記のポリイミドの説明で挙げたジアミンを挙げることができる。この中でも、特に好ましいジアミン成分としては、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)から選ばれる1種以上のジアミンを挙げることができる。
本実施の形態の樹脂フィルムとしてのポリイミドフィルムの形成方法については特に限定されないが、例えば、ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を任意の基材上に塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施して基材上にポリイミド層(又はポリアミド酸層)を形成した後、剥離してポリイミドフィルムとする方法を挙げることができる。ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド層の形成に際しては、ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
本実施の形態の樹脂フィルムは、単層又は複数層のポリイミド層を含むことができる。この場合、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されていればよい。例えば、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2とすると、樹脂フィルムを2層とする場合にはP2/P1の組み合わせで積層することが好ましく、樹脂フィルムを3層とする場合にはP2/P1/P2の順、又は、P2/P1/P1の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。
本実施の形態の樹脂フィルムは、必要に応じて、ポリイミド層中に無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施の形態の樹脂フィルムを低熱膨張性のポリイミドフィルムとして適用したものは、例えばカバーレイフィルムにおけるカバーレイ用フィルム材として適用することができる。本実施の形態の樹脂フィルムに、任意の接着剤層を積層してカバーレイフィルムを形成することができる。カバーレイ用フィルム材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下が好ましい。また、接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば25μm以上50μm以下が好ましい。
本実施の形態の樹脂フィルムを接着性のポリイミドフィルムとして適用したものは、例えば多層FPCのボンディングシートとしても利用することができる。ボンディングシートとして用いる場合、任意の基材フィルム上に、本実施の形態の樹脂フィルムをそのままボンディングシートとして使用してもよいし、この樹脂フィルムを任意の基材フィルムと積層した状態で使用してもよい。
[金属張積層板]
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された金属層と、を有する。金属張積層板の好ましい具体例としては、例えば銅張積層板(CCL)などを挙げることができる。
<絶縁樹脂層>
本実施の形態の金属張積層板において、絶縁樹脂層は、単層又は複数層のポリイミド層を有する。この場合、金属張積層板に優れた高周波特性を付与するためには、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されていればよい。また、絶縁樹脂層と金属層との接着性を高めるため、絶縁樹脂層における金属層に接する層は、熱可塑性ポリイミド層であることが好ましい。例えば、絶縁樹脂層を2層とする場合において、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2、金属層をM1とすると、P1/P2/M1の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。
<金属層>
本実施の形態の金属張積層板における金属層の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。なお、後述する本実施の形態の回路基板における配線層の材質も金属層と同様である。
信号配線に高周波信号が供給されている状態では、その信号配線の表面にしか電流が流れず、電流が流れる有効断面積が少なくなって直流抵抗が大きくなり信号が減衰する問題(表皮効果)がある。金属層の絶縁樹脂層に接する面の表面粗度を下げることで、この表皮効果による信号配線の抵抗増大を抑制できる。しかし、電気性能要求基準を満足させるために表面粗度を下げると、銅箔と誘電体基板との接着力(剥離強度)が弱くなる。そこで、電気性能要求を満足可能であり、絶縁樹脂層との接着性を確保しつつ金属張積層板の視認性を向上させるという観点から、金属層の絶縁樹脂層に接する面の表面粗度は、十点平均粗さRzが1.5μm以下であることが好ましく、かつ、算術平均粗さRaが0.2μm以下であることが好ましい。
金属張積層板は、例えば本実施の形態のポリイミドを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、例えばメッキによって金属層を形成することによって調製してもよい。
また、金属張積層板は、本実施の形態のポリイミドを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに金属箔を熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製してもよい。
さらに、金属張積層板は、金属箔の上に本実施の形態のポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する塗布液をキャストし、乾燥して塗布膜とした後、熱処理してイミド化し、ポリイミド層を形成することによって調製してもよい。
[回路基板]
本実施の形態の回路基板は、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層上に形成された配線層と、を有する。本実施の形態の回路基板において、絶縁樹脂層は、単層又は複数層のポリイミド層を有することができる。この場合、回路基板に優れた高周波特性を付与するためには、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されていればよい。また、絶縁樹脂層と配線層との接着性を高めるため、絶縁樹脂層における配線層に接する層が、本実施の形態のポリイミドを用いて形成された熱可塑性ポリイミド層であることが好ましい。例えば、絶縁樹脂層を2層とする場合において、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2、配線層をM2とすると、P1/P2/M2の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態の非熱可塑性ポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。
本実施の形態のポリイミドを使用する以外、回路基板を作成する方法は問われない。例えば、本実施の形態のポリイミドを含む絶縁樹脂層と金属層で構成される金属張積層板を用意し、金属層をエッチングして配線を形成するサブトラクティブ法でもよい。また、本実施の形態のポリイミド層上にシード層を形成した後、レジストをパターン形成し、さらに金属をパターンメッキすることにより配線形成を行うセミアディティブ法でもよい。
以下、代表的にキャスト法とサブトラクティブ法との組み合わせの場合を例に挙げて本実施の形態の回路基板の製造方法について、具体的に説明する。
まず、本実施の形態の金属張積層板の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含むことができる。
工程(1):
工程(1)は、本実施の形態のポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を得る工程である。この工程は、上記のとおり、原料のジアミン化合物(i)及び他の芳香族ジアミンを含むジアミン成分と酸無水物成分を適宜の溶媒中で反応させることにより行うことができる。
工程(2):
工程(2)は、金属層となる金属箔上に、ポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、塗布膜を形成する工程である。金属箔は、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状で使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、銅箔は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
塗布膜を形成する方法は、ポリアミド酸の樹脂溶液を金属箔の上に直接塗布するか、又は金属箔に支持されたポリイミド層の上に塗布した後に乾燥することで形成できる。塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
ポリイミド層は、単層でもよいし、複数層からなるものでもよい。ポリイミド層を複数層とする場合、異なる構成成分からなる前駆体の層の上に他の前駆体を順次塗布して形成することができる。前駆体の層が3層以上からなる場合、同一の構成の前駆体を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層又は単層は、工業的に有利に得ることができるので好ましい。また、前駆体の層の厚み(乾燥後)は、例えば、3〜100μmの範囲内、好ましくは3〜75μmの範囲内にあることがよい。
ポリイミド層を複数層とする場合、ベースフィルム層が本実施の形態のポリイミドからなる非熱可塑性ポリイミド層であり、金属層に接するポリイミド層が熱可塑性ポリイミド層となるように前駆体の層を形成することが好ましい。熱可塑性ポリイミドを用いることで、金属層との密着性を向上させることができる。このような熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200〜320℃である。
また、単層又は複数層の前駆体の層を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上に前駆体の層を形成することも可能である。
工程(3):
工程(3)は、塗布膜を熱処理してイミド化し、絶縁樹脂層を形成する工程である。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。金属層の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
以上のようにして、ポリイミド層(単層又は複数層)と金属層とを有する金属張積層板を製造することができる。
また、本実施の形態の回路基板の製造方法は、上記(1)〜(3)の工程に加え、さらに、以下の工程(4)を含むことができる。
工程(4):
工程(4)は、金属張積層板の金属箔をパターニングして配線層を形成する工程である。本工程では、金属層を所定形状にエッチングすることによってパターン形成し、配線層に加工することによって回路基板を得る。エッチングは、例えばフォトリソグラフィー技術などを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、以上の説明では、回路基板の製造方法の特徴的工程のみを説明した。すなわち、回路基板を製造する際に、通常行われる上記以外の工程、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以上のように、本実施の形態のポリイミドを使用することによって、伝送損失を小さく抑えた金属張積層板を形成することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
熱膨張係数は、3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
[誘電率及び誘電正接の測定]
誘電率及び誘電正接は、以下の方法により求めた。
空洞共振器摂動法誘電率評価装置(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363B)を用い、所定の周波数における樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の誘電率および誘電正接を測定した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものである。
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
ジアミンA:1,4ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジプロピルベンゼン
ジアミンB:1,4ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン
ジアミンC:1,4ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジブチルベンゼン
ジアミンD:1,4ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン
ジアミンE:1,4ビス(3‐アミノフェノキシ)−2,5−ジプロピルベンゼン
m‐TB:2,2’‐ジメチル‐4,4’‐ジアミノビフェニル
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
[合成例A−1]
窒素雰囲気下、攪拌子入り三つ口フラスコに、19.43gの2,5−ジプロピルベンゼン−1,4−ジオール(0.10モル)を加えて300mlのDMFに溶解し、得られた溶液に30.40gの炭酸カリウム(0.22モル)および34.66gの1−クロロ−4−ニトロベンゼン(0.22モル)を加え100℃で6時間反応を行った。所定時間後に反応を止め冷却後、精製水中に注ぎ込みクロロホルムで抽出後、有機層から溶媒を除去した。クロロホルム/ヘキサンによる再結晶で精製を行って、化合物Aを得た。
[合成例A−2]
窒素雰囲気下、攪拌子入り三つ口フラスコに、11.73gの鉄粉(0.21モル)を量りとり、70mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。三つ口フラスコを110℃に加熱後、140mlのDMFに溶解した30.55gの化合物A(0.07モル)を滴下ロートで三つ口フラスコ中に滴下し、その後、120℃で3時間反応した。反応終了直後、セライトろ過で鉄粉を除去し、沸騰したDMFで濾過残渣を十分に洗浄した。ろ液を0℃に冷却し、析出物を大量の精製水で洗浄した後、乾燥してジアミンAを得た。
[合成例B−1、B−2]
2,5−ジプロピルベンゼン−1,4−ジオールの代わりに、2,5−ジメチルベンゼン−1,4−ジオールを用いた以外、合成例A−1、A−2と同様にして化合物B、ジアミンBを得た。
[合成例C−1、C−2]
2,5−ジプロピルベンゼン−1,4−ジオールの代わりに2,5−ジブチルベンゼン−1,4−ジオールを用いた以外は合成例A−1、A−2と同様にして化合物C、ジアミンCを得た。
[合成例D−1、D−2]
2,5−ジプロピルベンゼン−1,4−ジオールの代わりにテトラメチルヒドロキノンを用いた以外は合成例A−1、A−2と同様にして化合物D、ジアミンDを得た。
[合成例E−1、E−2]
1−クロロ−4−ニトロベンゼンの代わりに1−クロロ−3−ニトロベンゼンを用いた以外は合成例A−1、A−2と同様にして化合物E、ジアミンEを得た。
[合成例1]
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコに、3.567gのジアミンA(0.0095モル)、8.045gのm‐TB(0.0379モル)及び127.5gのDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、2.746gのBPDA(0.0093モル)及び8.142gのPMDA(0.0373モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液A−aを得た。ポリアミド酸溶液A−aの重量平均分子量は141,000であった。
[合成例2〜8]
表1及び表2に示す原料組成とした他は、合成例1と同様にして、ポリアミド酸溶液A−b、A−c、B−a、C−a、D−a、E−a、F−aを調製した。
Figure 0006558755
Figure 0006558755
[実施例1]
厚さ12μmの電解銅箔の片面(表面粗さRz;1.06μm)に、合成例1で調製したポリアミド酸溶液A−aを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで熱処理を行い、イミド化を完結した。得られた金属張積層板について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、樹脂フィルム1を得た。
樹脂フィルム1の熱膨張係数(CTE)、誘電率及び誘電正接を求めた。各測定結果を表3に示す。
[実施例2〜7]
表3に示すポリアミド酸溶液を使用した他は、実施例1と同様にして、実施例2〜7の樹脂フィルム2〜7を得た。得られた樹脂フィルムの熱膨張係数(CTE)、誘電率及び誘電正接を求めた。各測定結果を表3に示す。
Figure 0006558755
以上の結果から、ジアミン成分に所定比率のジアミン化合物(i)を含有するポリアミド酸及びポリイミドを用いて樹脂フィルムを形成することにより、CTEを低く抑えながら、低誘電率化を図ることが可能であることが確認された。従って、本発明のポリアミド酸及びポリイミドを絶縁層材料として用いることによって、反りの発生を抑制しながら、伝送特性が良好なFPC等の回路基板を提供できることが示された。
[実施例8]
厚さ12μmの電解銅箔の片面(表面粗さRz;1.39μm)に、ポリアミド酸溶液F−aを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、その上にポリアミド酸溶液A−aを硬化後の厚みが、約25μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液F−aを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、金属張積層板を得た。
[実施例9]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液A−bを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
[実施例10]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液A−cを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
[実施例11]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液B−aを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
[実施例12]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液C−aを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
[実施例13]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液D−aを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
[実施例14]
実施例8におけるポリアミド酸溶液A−aの代わりに、ポリアミド酸溶液E−aを使用したこと以外、実施例8と同様にして、金属張積層板を得た。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (5)

  1. ジアミン成分と、テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、を反応させて得られるポリアミド酸であって、
    前記ジアミン成分が、下記の一般式(i);
    Figure 0006558755
    [式中、Rは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を意味し、pは1〜4の数を意味する。ここで、pが2以上の場合、Rは独立して異なる炭素数をとり得る。]
    で表されるジアミン化合物を、全ジアミン成分に対し、15〜45モル%の範囲内で含むとともに、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)及び2,2’−ジ−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)からなる群より選ばれる1種以上のジアミン化合物を、全ジアミン成分に対し、55〜85モル%の範囲内で含み、
    かつ、
    前記酸無水物成分が、無水ピロメリット酸(PMDA)及び3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)からなる群より選ばれる1種以上のテトラカルボン酸無水物を、全酸無水物成分に対し、50〜100モル%の範囲内で含むことを特徴とするポリアミド酸。
  2. 請求項1に記載のポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミド。
  3. 請求項1に記載のポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミドを含む樹脂フィルム。
  4. 熱膨張係数が10×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲内にある請求項に記載の樹脂フィルム。
  5. 請求項に記載のポリイミドを含む樹脂層を有する金属張積層板。

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