JP6557253B2 - 抗腫瘍化合物としてのシグマ−2受容体リガンド薬物結合体、その合成法及び使用 - Google Patents

抗腫瘍化合物としてのシグマ−2受容体リガンド薬物結合体、その合成法及び使用 Download PDF

Info

Publication number
JP6557253B2
JP6557253B2 JP2016560467A JP2016560467A JP6557253B2 JP 6557253 B2 JP6557253 B2 JP 6557253B2 JP 2016560467 A JP2016560467 A JP 2016560467A JP 2016560467 A JP2016560467 A JP 2016560467A JP 6557253 B2 JP6557253 B2 JP 6557253B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cancer
compound
salt
pharmaceutically acceptable
compounds
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016560467A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017509672A (ja
JP2017509672A5 (ja
Inventor
ウィリアム・ホーキンス
ロバート・マーク
ダーク・スピッツァー
スワンナ・バンベラボン
ブライアン・バン・タイン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Washington University in St Louis WUSTL
Original Assignee
Washington University in St Louis WUSTL
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Washington University in St Louis WUSTL filed Critical Washington University in St Louis WUSTL
Publication of JP2017509672A publication Critical patent/JP2017509672A/ja
Publication of JP2017509672A5 publication Critical patent/JP2017509672A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6557253B2 publication Critical patent/JP6557253B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D451/00Heterocyclic compounds containing 8-azabicyclo [3.2.1] octane, 9-azabicyclo [3.3.1] nonane, or 3-oxa-9-azatricyclo [3.3.1.0<2,4>] nonane ring systems, e.g. tropane or granatane alkaloids, scopolamine; Cyclic acetals thereof
    • C07D451/14Heterocyclic compounds containing 8-azabicyclo [3.2.1] octane, 9-azabicyclo [3.3.1] nonane, or 3-oxa-9-azatricyclo [3.3.1.0<2,4>] nonane ring systems, e.g. tropane or granatane alkaloids, scopolamine; Cyclic acetals thereof containing 9-azabicyclo [3.3.1] nonane ring systems, e.g. granatane, 2-aza-adamantane; Cyclic acetals thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/496Non-condensed piperazines containing further heterocyclic rings, e.g. rifampin, thiothixene
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/517Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim ortho- or peri-condensed with carbocyclic ring systems, e.g. quinazoline, perimidine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D471/00Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00
    • C07D471/02Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D471/08Bridged systems

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月1日出願の米国仮出願第61/973,366号の優先権を主張し、その内容は本明細書により参照として援用される。
連邦支援の研究または開発に関する陳述
本研究は、国立衛生研究所(NIH)助成金5R01CA163764−03の支援を受けた。連邦政府は、本発明に一定の権利を有することができる。
技術分野
本開示は、シグマ−2受容体結合化合物及び組成物、ならびに疾患治療用医薬としてのそれらの用途に関する。より詳細には、実施形態は、シグマ−2受容体リガンド薬物結合体、それらの合成、及び癌などの過剰増殖性疾患を治療するためのそれらの使用に関する。
膵癌は、癌死の原因の第4位にあり、2020年には第2位の死因となることが予想される。膵癌の5年生存率は、現行の治療選択肢では5.8%にすぎず、新たな治療法が切実に必要とされている。
シグマ−2受容体(S2R)は、膵管腺癌(PDAC)細胞で過剰発現され、S2Rリガンドに高い親和性を有する。S2Rリガンドは、PDAC細胞に局在し、癌細胞により迅速に取り込まれて、最終的にアポトーシス及び細胞死を招く。S2Rリガンドはまた、膵臓腺癌のモデルにおいて、従来の抗癌化学療法を増強し、生存率を改善する。
小分子画像化タグを連結させたS2Rリガンドを用いて、S2Rリガンドが、膵臓腺癌に優先的に結合することが実証されており、これを用いて、癌細胞のS2Rを視覚化することができる。同様に、S2Rリガンドを、アポトーシス促進性ペプチドまたはペプチド模倣薬と連結させることが可能であり、ペプチドを癌細胞に選択的に送達することができる。
エラスチン(Erastin)は、以下の構造:
のものであるが、フェロトーシスと呼ばれる鉄依存性の非アポトーシス性プロセスにより発癌性K−ras突然変異を持つ細胞を選択的に殺傷する薬物である。しかしながら、この薬物は、最初の臨床試験では、十分な結果を示せなかった。
エラスチンは、Stoekwell, B.R.の米国特許出願公開第2007/0161644号に、非アポトーシス性の細胞殺傷性質を有するとして記載されている。この参照文献はまた、以下の構造のエラスチンA
以下の構造のエラスチンB
及び以下の構造のデスメチルエラスチン(「化合物−21」と指定)
(本明細書中、SW V−27とも指定される)などのある特定のエラスチン類似体を開示した。この出願の発明者は、デスメチルエラスチンが、エラスチンのものに匹敵する腫瘍細胞殺傷活性を有することを主張した。Dixon, S.J., et al., Cell 149: 1060−1072, 2012には、エラスチンが、非アポトーシス性鉄依存性酸化細胞死(「フェロトーシス」)を仲介すると記載されている。しかしながら、これらの参照文献は、二環式部分を有する化合物を記載しておらず、記載される化合物は、アポトーシス細胞死の仲介も行うことはない。
McDunn, J.E.らのUS Patent 8,143,222ならびにSpitzer, D. et al., Cancer Res. 72: 201−209, 2012及びHornick, J.R., et al. Molecular Cancer 9:298, 2010には、癌治療用化合物が開示される。これらの参照文献に開示される化合物には、シグマ−2受容体と結合する標的指向部分(Zeng, C., et al., Cancer Res, 67: 6708−6716, 2007)及びアポトーシス促進性ペプチドなどのアポトーシス誘導部分を有する分子を含む。開示される化合物は、以下の構造のN−置換9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル=フェニルカルバマート部分などのシグマ−2受容体リガンドを含む:
式中、Rは、結合、C−C10アルキル、C−C10アルキルアミン、C−C10アルキルアミド、C−C10ヘテロアルキル、C−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、エステル、及び親水性重合体からなる群より選択することができる。形態によっては、この特許の化合物は、以下のような、二環式フェニルカルバマート部分を持つアルキルアミン誘導体
(n=1の場合を、SV119と指定)及び以下の構造のSW43
を含む。これらの参照文献に開示される化合物のいくつかは、腫瘍細胞殺傷活性を有すると記載されているものの、それらのどれも鉄依存性酸化細胞死(フェロトーシス)を仲介するとは開示されていない。
したがって、本発明者らは、本明細書において、新規組成物及び化合物、ならびにそれらの合成法、及び種々の癌を含む過剰増殖性障害の治療法を開示する。
様々な実施形態において、本教示は、構造式Iの化合物
及びその塩を含み、式中:Wは、C−C10アリールまたはC−C10ヘテロアリールなどのアリール基が可能であり、アリール基はどれも置換可能であり:Xは、直鎖アルキルなどの連結部分が可能であるが、直鎖アルキルに限定されず;及びYは、エラスチン、エラスチン類似体、例えばエラスチン−A、エラスチン−B、デスメチルエラスチンなど、またはエラスチン模倣物などのフェロトーシス誘導部分が可能である。
様々な実施形態において、本教示は、式Iの化合物、及び薬学上許容されるキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を含む。
様々な実施形態において、本教示は、過剰増殖障害の治療を必要としている対象において過剰増殖障害の治療を行う方法を含み、本方法は、対象に式Iの化合物を投与する工程を含む。
様々な実施形態において、本教示は、過剰増殖障害の治療を必要としている対象において過剰増殖障害の治療を行う方法を含み、本方法は、式Iの化合物またはその薬学上許容される塩、及び別の治療薬を順次または同時に投与することを含む。
様々な実施形態において、本教示は、ヒトの治療に使用するための式Iの化合物を含む。
様々な実施形態において、本教示は、過剰増殖障害の治療に使用するための式Iのいずれかの化合物を含む。
様々な実施形態において、本教示は、過剰増殖障害を治療する医薬を製造するための、式Iの化合物の使用を含む。
様々な実施形態において、本教示は、以下の構造の化合物またはその塩を含み
式中、nは、1〜5の整数であり、かつRは、Hまたはメチルが可能である。形態によっては、これらの実施形態の化合物またはその塩には、式中nとして1が可能でありRとしてHが可能である化合物及び塩が含まれる。形態によっては、これらの実施形態の化合物またはその塩には、式中nとして5が可能でありRとしてHが可能である化合物及び塩が含まれる。様々な形態において、これらの実施形態の化合物の塩は、シュウ酸塩が可能である。
様々な実施形態において、これらの化合物及びそれらの塩は、癌の治療方法に使用することができる。様々な形態において、これらの方法は、そのような治療を必要としている対象に、これらの化合物またはそれらの塩のいずれかを治療上有効量で投与することを含むことができる。様々な形態において、これらの化合物またはそれらの塩のいずれかで治療可能な癌は、特に制限なく、膵癌または滑膜肉腫など、どの癌であっても可能である。
様々な実施形態において、これらの化合物及びそれらの塩は、本明細書中開示される方法により合成することができる。形態によっては、これらの方法は、以下の構造の化合物
と、以下の構造の化合物
を反応させることを含むことができ、式中、nは、1〜5の整数であることが可能であり、かつRは、メチルまたはHであることが可能である。形態によっては、nとして1が可能であり、RとしてHが可能である。形態によっては、nとして5が可能であり、RとしてHが可能である。
形態によっては、本教示は、癌の治療に使用するためのこれらの化合物またはそれらの塩を含む。いくつかの態様において、癌は、特に制限なく、膵癌または滑膜肉腫などが可能である。
形態によっては、本教示は、癌の治療用医薬を製造するための、これらの化合物またはそれらの塩の使用を含む。いくつかの態様において、癌は、特に制限なく、膵癌または滑膜肉腫などが可能である。
様々な実施形態において、本教示は、式IVの化合物の合成法を含み:
本方法は、構造式Vの化合物:
と、構造式VIの化合物:
を反応させる工程を含み、式中、nは、1〜5の整数であり;かつRは、Hまたはメチルであることが可能である。
エラスチン及びデスメチルエラスチン(SW V−27)を図示する。 図2A〜Cは、本教示の化合物SW V−49s及びSW V−50sの合成を図示する。 Panc−1細胞による蛍光シグマ−2リガンドSW120の取り込みの、SW V−49sでの競合的阻害を示す。 図4A〜Fは、様々なヒト(A〜D)及びマウス(E)膵臓癌細胞株におけるin vitroでのSW V−49sの生存度アッセイを図示する。 図5A〜Bは、24時間(A)または7時間(B)処置後にアッセイした、SW V−49sにより誘導されるアポトーシス細胞死の増加を示す。 SW V−49sにより誘導されるフェロトーシス細胞死を示す。 マウスモデル系での、SW V−49s投与後の膵癌の腫瘍サイズの減少を示す。 マウスモデル系での、SW V−49s投与後の膵癌の100%生存率を示す。 SW V−49s及び対照の細胞殺傷特性を示す。 エラスチンで処処置した細胞の細胞生存度アッセイを示す。 図11A〜Bは、SW V−49sがシスチン取り込みを阻害して、ROS生成をもたらすことを示す。 図12A〜Cは、SW V−49s処置が、内因性アポトーシス経路を誘導することを示す。 SW V−49sが、アポトーシス及びROS依存性細胞死を誘導することを示す。 図14A〜Eは、SW V49sが、腫瘍の増殖を低下させ、生存率を向上させることを示す。
略語及び定義
開示を理解しやすくするため、多くの用語及び略語について、本明細書中使用される場合の定義を、以下のとおりに定める:
本開示またはその好適な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞の「a」、「an」、「the」、及び「said」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。
化学種及び部分は、Naming and Indexing of Chemical Substances for Chemical Abstracts(商標)2007 Edition, American Chemical Society, 2008に従って命名されるが、ただし以下に指定される場合を除く。
「低級」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、他に特に具体的に定義されない限り、炭素原子を1個から6個以内で含有することを意味する。
「低級アリール」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、フェニルまたはナフチルを意味し、これらのいずれも、提供されるとおりに随意に置換され得る。
「低級ヘテロアリール」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、1)五員または六員の単環式ヘテロアリール、その環員のうち、1〜4つは、O、S、及びNからなる群より選択されるヘテロ原子であることが可能である、あるいは2)二環式ヘテロアリール、縮合した環のそれぞれは、五員または六員であり、その環員のうち、1〜4つは、O、S、及びNからなる群より選択されるヘテロ原子であることが可能である、のいずれかを意味する。
「低級シクロアルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、三員〜六員の単環式シクロアルキルを意味する。低級シクロアルキルは、不飽和であることも可能である。低級シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
「低級ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、三員〜六員の単環式ヘテロシクロアルキルであって、その環員のうち1〜4つは、O、S、及びNからなる群より選択されるヘテロ原子であることが可能であるものを意味する。低級ヘテロシクロアルキルの例として、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルが挙げられる。低級ヘテロシクロアルキルは、不飽和であることも可能である。
「低級アミノ」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、−NRR’を示し、式中、R及びR’は、独立して、水素、アルキル、及び低級ヘテロアルキルからなる群より選択され、アルキル及び低級ヘテロアルキルのどれでも、随意に置換され得る。さらに、低級アミノ基のR及びR’は、一緒になって、五員または六員のヘテロシクロアルキルを形成することができ、ヘテロシクロアルキルはいずれであっても随意に置換され得る。
「オキシ」または「オキサ」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、−O−を示す。
「オキソ」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、=Oを示す。
「ペルハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の水素原子が全てハロゲン原子に置き換わったものを示す。
「ペルハロアルキル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、アルキル基の水素原子が全てハロゲン原子に置き換わったものを示す。
「スルホナート」、「スルホン酸」、及び「sulfonic」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、塩形成において用いられるとおりのスルホン酸としての−SOH基及びそのアニオンを示す。
「スルファニル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、−S−を示す。
「スルフィニル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、−S(O)−を示す。
「N−スルホンアミド」という用語は、RS(=O)NR’−基を示し、R及びR’は、本明細書中定義されるとおりである。
「S−スルホンアミド」という用語は、−S(=O)NRR’−基を示し、R及びR’は、本明細書中定義されるとおりである。
「チア」及び「チオ」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、−S−基、すなわちエーテルの酸素を硫黄に置き換えたものを示す。チオ基の酸化誘導体、いわゆるスルフィニル及びスルホニルは、チア及びチオの定義に含まれる。
「チオカルボニル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独の場合はチオホルミル−C(S)Hを、及び併用の場合は−C(S)−基を示す。
「N−チオカルバミル」という用語は、ROC(S)NR’−基を示し、R及びR’は、本明細書中定義されるとおりである。
「O−チオカルバミル」という用語は、−OC(S)NRR’−基を示し、R及びR’は、本明細書中定義されるとおりである。
「チオシアナト」という用語は、−CNS基を示す。
「トリハロメタンスルホンアミド」という用語は、XCS(O)NR−基を示し、Xはハロゲンであり、Rは、本明細書中定義されるとおりである。
「トリハロメタンスルホニル」という用語は、XCS(O)−基を示し、Xはハロゲンである。
「トリハロメトキシ」という用語は、XCO−基を示し、Xはハロゲンである。
「三置換シリル」という用語は、本明細書中使用される場合、単独でも併用でも、シリコーン基が、その3つの自由原子価電子において、本明細書中置換アミノの定義で列挙されるとおりの基で置換されたものを示す。例として、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
本明細書中の定義はいずれも、任意の他の定義と併用して、複合構造基を記載することができる。簡単のため、そのような定義のどれであっても、後続の要素が、親部分に接続しているものとする。例えば、複合基アルキルアミドは、アルキル基がアミド基を通じて親分子に結合しているものを表すだろうし、アルコキシアルキルという用語は、アルコキシ基がアルキル基を通じて親分子に結合しているものを表すだろう。
「随意に置換される」という用語は、先行する基が置換されていてもされていなくてもよいことを意味する。置換されている場合、「随意に置換される」基の置換基として、特に制限なく、単独でも併用でも、以下の群から独立して選択される1つまたは複数の基、あるいは特定の指定される基の組を挙げることができる;アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホナート、スルホン酸、三置換シリル、N、SH、SCH、C(O)CH、COCH、COH、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバマート、及び低級尿素。2つの置換基は、一緒になって、縮合した五員、六員、または七員の炭素環または複素環を形成することができ、形成された環は、ヘテロ原子を0〜3個含有し、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成する。随意に置換される基は、無置換(例えば、−CHCH)でも、全置換(例えば、−CFCF)でも、一置換(例えば、−CHCHF)でも、全置換と一置換の間の任意のレベルでの置換(例えば、−CHCF)でも可能である。置換基が、置換について明記されずに記載される場合、置換された形及び無置換の形の両方が包含される。置換基が「置換された」として明記される場合、置換された形が具体的に意図される。さらに、特定の部分に対して随意の置換基の異なる組を必要に合わせて定義することができる;そのような場合、随意の置換は、定義されるとおりになるだろうし、「〜で随意に置換された」という語句とすぐ続くことが多い。
「R」という用語、または「R’」という用語は、それ自身で現れて個数の指定が無い場合、他に特に指定が無い限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルからなる群より選択される部分を示し、これらのどれでも、随意に置換され得る。そのようなR及びR’基は、当然のことながら、本明細書中定義されるとおり、随意に置換される。R基に個数の指定があるかないかに関わらず、R、R’、及びRn、式中nは整数である、も含めて、各R基、各置換基、及び各用語は、当然のことながら、選択肢からの選択に関して、その他全てに対して独立している。どの可変項目、置換基、または用語(例えばアリール、ヘテロサイクル、Rなど)が、式または一般構造中に複数回登場したとしても、その定義は、登場ごとに、その他全ての登場時の定義に対して独立している。当業者ならさらにお分かりだろうが、ある特定の基は、記載されたとおりの端のどちらからでも、親分子に結合できる、または要素の連なりのなかである位置を占めることができる。すなわち、例にすぎないが、−C(O)N(R)−などの非対称な基は、炭素と窒素のいずれでも、親部分に結合することができる。
本明細書中開示される化合物には、不斉中心が存在する。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を有する市販の出発物質から合成で調製することも可能であるし、鏡像異性体生成物の混合物を調製し、続いてジアステレオマー混合物への変換などの分離、続いて分離または再結晶、クロマトグラフィー技法、キラルクロマトグラフィーカラムでの鏡像異性体の直接分離、または当該分野で既知の任意の他の適切な方法を行うことにより調製することも可能である。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、そうでなければ当該分野で既知の技法により作って分割することができる。さらに、本明細書中開示される化合物は、幾何異性体として存在することができる。さらに、化合物は、互変異性体として存在することができる;全ての互変異性体は、本開示により提供される。さらに、本明細書中開示される化合物は、溶媒和していない形でも、薬学上許容される溶媒、例えば水、エタノールなどと溶媒和した形でも存在することができる。一般に、溶媒和形は、溶媒和していない形と等価であると見なされる。
「結合」という用語は、2つの原子間の、または結合により繋がる原子がより大きな構造の一部分であると見なされる場合に2つの部分間の、共有結合による連結を示す。結合は、特に記載が無い限り、単結合、二重結合、または三重結合が可能である。分子の描画において2つの原子間の点線は、その位置にさらなる結合が存在することもしないことも可能であることを示す。
「疾患」という用語は、本明細書中使用される場合、「障害」及び「状態」(臨床状態において)という用語と、これらが全てヒトまたは動物の身体あるいは身体の一部分が正常な機能を失う異常な状態を反映し、典型的には、特徴的な症候及び症状により顕在化し、ヒトまたは動物に生活の質の低下が続く期間をもたらすという点で、同義であり、相互交換可能に使用される。
「併用療法」という用語は、本開示に記載される治療状態または障害を治療するために2種以上の治療薬を投与することを意味する。そのような投与は、そうした治療薬を実質的に同時の様式、例えば固定された比の活性成分を有する1つのカプセルとして、または各活性成分が入った複数の個別カプセルとして同時投与することを包含する。また、そのような投与は、順次様式で各種類の治療薬を使用することも包含する。
「治療上有効な」という語句は、疾患または障害の治療に使用される、あるいは臨床エンドポイントをもたらす、活性成分の量を指定するものとする。
「治療上許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、及びアレルギー反応を起こすことなく患者の組織と接触させて使用するのに適しており、妥当な薬効/危険性比に釣り合っており、かつその意図する用途に有効である、化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、双性イオン型など)を示す。
本開示において、「放射線」という用語は、イオン化(電子の獲得または喪失)を起こすのに十分なエネルギーを有するまたは核相互作用を介して十分なエネルギーを発生させることができる、粒子または光子を含む電離放射線を意味する。電離放射線の例でありまた好適なものとして、x−線がある。x−線を標的組織または細胞に送達する手段は、当該分野で既知である。所定の細胞に必要とされる電離放射線の量は、一般に、その細胞の性質に依存する。放射線の有効量を決定する手段は、当該分野で既知である。本明細書中使用される場合、電離放射線の「有効線量」という用語は、細胞障害または細胞死の増加をもたらす電離放射線の線量を意味する。
「放射線療法」という用語は、腫瘍の治療における電磁放射線または特定の放射線の使用を示し、電離放射線及び非電離放射線の使用を含む。
本明細書中開示される化合物は、治療上許容される塩として存在することができる。本開示は、上記に列挙される化合物を、酸付加塩をはじめとする塩の形で含む。適切な塩として、有機酸及び無機酸の両方で形成されたものを含む。そのような酸付加塩は、通常、薬学上許容される。しかしながら、薬学上許容されない塩であっても、問題の化合物の調製及び精製において有用である可能性がある。塩基付加塩もまた、形成可能であり、薬学上許容される。塩の調製及び選択についてのより完全な説明は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (Stahl, P. Heinrich. Wiley−VCHA, Zurich, Switzerland, 2002)に記載される。
「治療上許容される塩」という用語は、本明細書中使用される場合、水または油に溶解性であるか分散性であり、本明細書中定義されるとおり治療上許容される、本明細書中開示される化合物の塩または双性イオン型を表す。そのような塩は、化合物の最終的な単離及び精製中に調製することもできるし、遊離塩基型の適切な化合物を適切な酸と反応させることにより別個に調製することもできる。代表的な酸付加塩として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L−アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL−マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L−酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、para−トルエンスルホン酸塩(p−トシル酸塩)、及びウンデカン酸塩が挙げられる。同じく、本明細書中開示される化合物の塩基性基は、塩化物、臭化、及びヨウ化メチル、エチル、プロピル、及びブチル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、及びジアミル;塩化物、臭化、及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリル;ならびに臭化ベンジル及びフェネチルで四級化することができる。治療上許容される酸付加塩を形成させるのに使用可能な酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及びクエン酸などの有機酸が挙げられる。塩は、化合物の、アルカリ金属またはアルカリ土類イオンとの配位により形成させることもできる。したがって、本開示は、本明細書中開示される化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム塩なども考慮している。
塩基付加塩は、化合物の最終的な単離及び精製中に、カルボキシ基を、適切な塩基、例えば、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩と、あるいはアンモニアまたは有機第一級、第二級、または第三級アミンなどと反応させることにより、調製することができる。治療上許容される塩のカチオンとして、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、ならびに無毒の第四級アミンカチオン、例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとして、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンが挙げられる。
化合物
本開示は、構造式Iの化合物
またはその塩を提供し、式中:Wは、随意に置換されるC−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択され:Xは、連結部分であり;及びYは、エラスチン、エラスチン類似体、例えばエラスチン−A、エラスチン−B、またはデスメチルエラスチンなど、または単純化合成エラスチン模倣物から選択されるフェロトーシス誘導部分である。
いくつかの形態において、Wは、C−C10アリールが可能である。
いくつかの形態において、Wは、置換C−C10アリールが可能である。
いくつかの形態において、Wは、シグマ−2受容体リガンドが可能である。
いくつかの形態において、連結部分は、C−C12直鎖を含むことができる。
いくつかの形態において、連結部分は、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含むことができる。いくつかの形態において、1つまたは複数のヘテロ原子はそれぞれ、独立して、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より選択される。
いくつかの形態において、連結部分は、以下の構造を有することができ
式中、
は結合であり、nは、1〜10の整数、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10.9である。いくつかの形態において、n=1である。いくつかの形態において、n=5である。
いくつかの形態において、構造式Iの化合物のフェロトーシス誘導部分は、エラスチン、エラスチン−A、エラスチン−B、及びデスメチルエラスチンからなる群より選択することができる。
いくつかの形態において、構造式Iの化合物のフェロトーシス誘導部分は、エラスチンが可能である。
いくつかの実施形態において、本教示は、式IIの化合物
またはその塩を含み、式中:Wは、随意に置換されるC−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択され:Xは、連結部分であり;及びRは、水素及びメチルから選択される。
いくつかの実施形態において、本教示は、式IIIの化合物
またはその塩を含み、式中;Z及びZは、それぞれ、独立して、結合、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、−(CH(OCHCH(CH−、−(CH(CHCHO)(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−(CHS(O)(CH−、−(CHS(O)(CH−、−(CHN(R)(CH−、−(CHN(R)C(O)(CH−、−(CHC(O)N(R)(CH−、−(CHN(R)C(O)N(R)(CH−、−(CHS(O)N(R)(CH−、及び−(CHN(R)S(O)(CH−からなる群より選択され、Zは、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、−(CH(OCHCH(CH−、及び−(CH(CHCHO)(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−(CHS(O)(CH−、−(CHS(O)(CH−、−(CHN(R)(CH−、−(CHN(R)C(O)(CH−、−(CHC(O)N(R)(CH−、−(CHN(R)C(O)N(R)(CH−、−(CHS(O)N(R)(CH−、−(CHN(R)S(O)(CH−からなる群より選択され;Z、Z、及びZは、それぞれ、独立して、ハロ、オキソ、及びC−C10アルキルから選択される1つまたは複数の基で随意に置換可能であり;各Rは、独立して、水素、C−C10アルキル、及びC−C10アシルから選択され;a及びcは、それぞれ、独立して、0、1、2、3、及び4から選択される整数であり;各bは、独立して1、2、3、4、5、及び6から選択される整数であり;及びYは、エラスチン、エラスチン類似体、例えばエラスチン−A、エラスチン−B、またはデスメチルエラスチンなど、または単純化合成エラスチン模倣物から選択されるフェロトーシス誘導部分である。
ある特定の実施形態において、本教示の化合物は、以下の構造式IV:
またはその塩を有し、式中:nは、1、2、3、4、及び5から選択される整数であり;及びRは、水素及びメチルから選択することができる。
いくつかの形態において、nは1が可能であり;及びRは水素が可能である。
いくつかの形態において、nは5が可能であり;及びRは水素が可能である。
いくつかの形態において、塩は、シュウ酸塩が可能である。
いくつかの形態において、化合物は、本明細書中開示されるとおりの化合物1〜24から選択することができる。
医薬組成物
本教示の化合物は、そのままの化学物質として投与することができるものの、それらを医薬配合物とすることも可能である。したがって、本明細書中提供されるのは、1種または複数の本教示の化合物、またはその1種または複数の薬学上許容される塩、エステル、プロドラッグ、アミド、もしくは溶媒和物を、その1種または複数の薬学上許容されるキャリア及び随意に1種または複数の他の治療成分と一緒に含む医薬配合物である。キャリアは、配合物のその他の成分と適合性があり、配合物のレシピエントに対して有害ではないという意味で、「許容される」ものでなければならない。適切な配合物は、選択した投与経路に依存する。周知の技法、キャリア、及び賦形剤のどれであっても、当該分野で、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて適切であるとおり、また理解されるとおりに使用することができる。本明細書中開示される医薬組成物は、当該分野で既知の任意の様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、ドラジェ作製、湿式摩砕(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスにより、製造することができる。
配合物として、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、及び髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸内、及び外用(経皮、頬側、舌下、及び眼内を含む)投与に適したものが挙げられるが、そうはいっても、最適な経路は、例えば、レシピエントの状態及び障害に依存する可能性がある。配合物は、好都合なように、単位剤形で存在することが可能であり、薬学の当該分野で周知の方法のいずれかにより製造することができる。典型的には、そうした方法は、本開示の化合物またはその薬学上許容される塩、エステル、アミド、プロドラッグ、もしくは溶媒和物(「活性成分」)を、1種または複数の副成分を構成するキャリアと会合させる工程を含む。一般に、配合物は、活性成分を液状キャリアまたは微粉化固形キャリアまたはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要があれば、生成物を所望の配合物へと成形することにより製造される。
本明細書中開示される化合物は、以下のとおり投与することができる:
経口投与
本教示の化合物は、嚥下をはじめとして経口で投与することができ、そうすることで化合物は、胃腸管に入るか、あるいは舌下または頬側投与をはじめとして口から直接血流へと吸収される。
経口投与に適した組成物として、固形配合物、例えば、錠剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、及び硬または軟カプセル剤が挙げられ、カプセル剤は、液体、ゲル、粉末、または顆粒を含有することができる。
錠剤またはカプセル剤形では、存在する薬物量は、剤形の約0.05重量%〜約95重量%、より典型的には約2重量%〜約50重量%が可能である。
また、錠剤またはカプセル剤は、崩壊剤を含有することができ、崩壊剤は、剤形の約0.5重量%〜約35重量%、より典型的には約2%〜約25%を占める。崩壊剤の例として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプンなどが挙げられる。
錠剤での使用に適した結合剤として、ゼラチン、ポリエチレングリコール、糖類、ガム、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。錠剤での使用に適した希釈剤として、マンニトール、キシリトール、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及びデンプンが挙げられる。
錠剤またはカプセル剤での使用に適した界面活性剤及び流動化剤は、約0.1重量%〜約3重量%の量で存在することができ、そのような作用剤として、ポリソルベート80、ドデシル硫酸ナトリウム、タルク、及び二酸化ケイ素が挙げられる。
錠剤またはカプセル剤での使用に適した潤滑剤は、約0.1重量%〜約5重量%の量で存在することができ、そのような潤滑剤として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。
錠剤は、随意に1種または複数の副成分を用いて、圧縮または成形により作ることができる。圧縮錠剤は、自由流動状、例えば粉末または顆粒の活性成分を、随意に結合剤、不活性希釈剤、または潤滑剤、界面活性剤、もしくは分散剤と混合して、適切な機械で圧縮することにより製造できる。成形錠剤は、粉末化合物を液状希釈剤で湿潤させた混合物を、適切な機械で成形することにより作ることができる。識別のため、または活性化合物用量の様々な組み合わせを特徴付けるために、錠剤に染料または顔料を加えることができる。
液状配合物として、乳液、溶液、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤を挙げることができ、これらは軟または硬カプセル剤に入れて使用することができる。そのような配合物は、薬学上許容されるキャリア、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、セルロース、または油を含むことができる。配合物はまた、1種または複数の乳化剤及び/または懸濁化剤も含むことができる
経口投与用組成物は、即時放出または遅延もしくは持続放出をはじめとする修飾放出をするように配合することができ、随意に腸溶コーティングすることができる。
別の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を治療上有効量で、薬学上許容されるキャリアとともに含む。
非経口投与
本教示の化合物は、注射により、例えば、ボーラス注射または持続点滴により、血流、筋肉、または内臓へと直接投与することができる。非経口投与に適した手段として、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、頭蓋内などが挙げられる。非経口投与に適した装置として、注射器(針型及び針を使用しない注射器を含む)及び輸液法が挙げられる。配合物は、単位用量または複数用量容器、例えば密閉アンプルまたはバイアルに入って存在することができる。
ほとんどの非経口配合物は、賦形剤を含有する水溶液であり、賦形剤として、塩、緩衝剤、懸濁剤、安定剤及び/または分散剤、抗酸化剤、静菌剤、保存料、ならびに、配合物を予定されるレシピエントの血液と等張にする溶質、及び炭水化物が挙げられる。
非経口配合物は、脱水した形状(例えば、凍結乾燥により)または滅菌した非水溶液として製造することもできる。こうした配合物は、適切なビヒクル、例えば滅菌水とともに使用することができる。非経口液の調製において溶解性向上剤もまた使用することができる。
非経口投与用組成物は、即時放出または遅延もしくは持続放出をはじめとする修飾放出をするように配合することができる。化合物はまた、デポ製剤として配合することもできる。そのような長時間作用型配合物は、留置(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射により投与することができる。すなわち、例えば、化合物は、適切な重合体または疎水性材料(例えば、許容される油の乳濁液として)またはイオン交換樹脂とともに、あるいはやや低い溶解性の誘導体として、例えば、やや低い溶解性の塩として、配合することができる。
外用投与
いくつかの形態において、本教示の化合物は、外用で(例えば、皮膚、粘膜、耳、鼻、または目に対して)または経皮投与することができる。外用投与用配合物として、ローション剤、液剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、軟膏、フォーム剤、留置剤、パッチ剤などが挙げられるが、これらに限定されない。外用投与配合物用の薬学上許容されるキャリアとして、水、アルコール、鉱物油、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。外用投与はまた、例えば、電気穿孔法、イオン導入法、フォノフォレーシスなどによっても行うことができる。
典型的には、外用投与の場合の活性成分は、配合物の0.001%〜10%w/w(重量基準)を占めることができる。ある特定の実施形態において、活性成分は、配合物の、最大で10%w/w;5%w/w未満;2%w/w〜5%w/w;または0.1%〜1%w/wを占めることができる。
外用投与用組成物は、即時放出または遅延もしくは持続放出をはじめとする修飾放出をするように配合することができる。
直腸内、頬側、及び舌下投与
本教示の化合物の直腸内投与用坐剤は、活性作用剤を適切な非刺激性賦形剤、例えば、カカオバター、合成モノ、ジ、もしくはトリグリセリド、脂肪酸、またはポリエチレングリコールなどと混合することにより製造することができ、これらの賦形剤は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸で溶解して薬物を放出する。
頬側または舌下投与の場合、組成物は、従来様式で配合された、錠剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、またはゲル剤の形状を取ることができる。そのような組成物は、活性成分を香味基剤、例えばスクロース及びアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に含むことができる。
吸入による投与
吸入による投与については、いつくかの形態において、本教示の化合物は、吸入器、ネブライザー、加圧パック、またはエーロゾルスプレーもしくは粉末を送達する他の都合のよい手段から送達することができる。加圧パックは、適切な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスなどを含むことができる。加圧エーロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達する弁を提供することにより、定めることができる。あるいは、吸入または吹送法による投与の場合、本開示による化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、化合物と適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンなどとの混合粉末の形状を取ることができる。粉末組成物は、単位剤形で、例えば、カプセル剤、カートリッジ剤、ゼラチンもしくはブリスター包装剤で存在することができ、吸入器または吹送器を用いてそのような単位剤形から粉末を投与することができる。
医薬分野で既知の投与の他のキャリア材料及び様式もまた使用できる。本教示の医薬組成物は、薬学の周知の技法のいずれか、例えば有効な配合及び投与の手順により製造することができる。好適な単位投薬配合物とは、本明細書中記載されるとおり、有効量またはその適切な分割量の活性成分を含有するものである。患者に投与される化合物の正確な量は、担当医師の責任になる。任意の特定患者に対する具体的な投薬レベルは、様々な要因に依存するだろう。そのような要因として、使用する特定化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、治療される障害そのもの、及び治療される症候または状態の重篤度などが挙げられる。さらに、投与経路が、状態及びその重篤度に応じて変わり得る。有効な配合及び投与の手順に関する上記の考慮は、当該分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。薬物の配合については、例えば、Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1975; Liberman, et al., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びKibbe, et al., Eds., Handbook of Pharmaceutical Excipients (3rd Ed.), American Pharmaceutical Association, Washington, 1999に記載されている。
治療方法
本開示は、シグマ−2受容体と結合する標的指向部分を特長とし、したがってシグマ−2受容体を発現する細胞に関連する障害の治療また予防に有用となり得る、化合物及び医薬組成物を提供し、そのような障害として癌が挙げられるが、これに限定されない。

いくつかの実施形態において、本開示の化合物及び医薬組成物は、癌の治療または予防に有用となり得る。
ある特定の実施形態において、癌は、腺癌、成人T細胞白血病/リンパ腫、膀胱癌、芽細胞腫、骨癌、乳癌、脳癌、細胞腫、骨髄肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃腸癌、多形神経膠芽腫、神経膠腫、胆嚢癌、胃癌、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、腸管癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肺癌、リンパ腫、肝臓癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、中皮腫、多発性骨髄腫、眼癌、視神経腫瘍、口腔癌、卵巣癌、下垂体腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、膵臓癌、咽頭癌、腎細胞癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、脊椎腫瘍、小腸癌、胃癌、滑膜肉腫、T細胞リンパ腫、精巣癌、甲状腺癌、咽喉癌、泌尿生殖器癌、尿路上皮癌、子宮癌、膣癌、またはウィルムス腫瘍から選択される。
特定の実施形態において、癌は、膵癌が可能である。特定の実施形態において、癌は滑膜肉腫が可能である。
合剤及び併用療法
本教示の化合物は、本明細書中上記で既に記載したものなどの症状を治療するために、単独でまたは他の薬学上活性な化合物と組み合わせて使用することができる。本教示の化合物及び他の薬学上活性な化合物は、同時に(同一の剤形に含まれて、または別個の剤形に含まれてのいずれか)または順次、投与することができる。したがって、1つの実施形態において、本教示は、1種または複数の本教示の化合物を治療上有効量で、1種または複数の追加の薬学上活性な化合物とともに、対象に投与することにより、症状を治療する方法を含む。
別の実施形態において、提供されるのは、1種または複数の本教示の化合物、1種または複数の追加の薬学上活性な化合物、及び薬学上許容されるキャリアを含む医薬組成物である。
別の実施形態において、1種または複数の追加の薬学上活性な化合物は、抗癌剤、抗増殖薬、及び抗炎症薬からなる群より選択される。
本明細書中記載されるシグマ−2受容体結合組成物は、治療しようとする症状に関する治療効果から選択される他の治療試薬と、随意に組み合わせても使用される。一般に、本明細書中記載される化合物、及び併用療法を採用する実施形態での、他の作用剤は、同一医薬組成物に含まれて投与される必要はなく、物理化学的特性が異なることから、それらは、随意に異なる経路で投与される。最初の投与は、一般に、確立されたプロトコルに従ってなされ、次いで、観測された効果に基づいて、投薬量、投与様式、及び投与時間をその後修飾していく。場合によっては、シグマ−2受容体結合化合物を、本明細書中記載されるとおり、別の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。以下は例にすぎないが、シグマ−2受容体結合化合物の治療有効性は、同じく治療効果を有する別の治療薬(治療レジメンも含む)の投与により向上する。治療される疾患、障害、または症状に関わらず、患者が経験する全体的な薬効は、2種の治療薬の単なる合計であるか、または患者は向上した(すなわち相乗的な)薬効を経験するかのいずれかである。あるいは、本明細書中開示される化合物が副作用を有する場合、副作用を抑制する作用剤を投与することが適切である可能性がある;または、本明細書中記載される化合物の治療有効性は、アジュバントの投与により向上させることができる。
治療上有効な投薬量は、薬物が併用療法で使用される場合、変化する。併用療法で使用するための薬物及び他の作用剤の治療上有効な投薬量を実験的に決定する方法は、文書化された方法論である。併用療法は、さらに、患者の臨床管理を支援するための様々な時点で開始及び停止する定期的治療を含む。いずれの場合にしろ、複数の治療薬(そのうちの1種は、本明細書中記載されるとおりのシグマ−2受容体結合化合物である)を、任意の順序で、または同時に投与することができる。同時に投与する場合、複数の治療薬は、随意に、単独の一体化剤形でまたは複数の剤形で(例示にすぎないが、単独の丸剤でまたは2つの別個の丸剤、いずれかで)提供することができる。
いくつかの実施形態において、治療薬の1種が複数回用量で与えられるか、または両方とも複数回用量で与えられ、同時投与でない場合は、複数回用量の間隔は、0週間超から20週未満まで随意に変化する。
また、併用の方法、組成物、及び配合物は、2種の作用剤のみの使用に限定されることはなく、複数の併用療法の使用も想定される。当然のことながら、救済しようとする症状の治療、予防、または緩和の投薬レジメンは、様々な要因に応じて、随意に修飾される。そうした要因として、対象が患っている障害、ならびに対象の年齢、体重、性別、食事、及び医学的状態が挙げられる。すなわち、実際に採用される投薬レジメンは、幅広く変化し、したがって、実施形態によっては、本明細書中記載される投薬レジメンとは異なる。
本明細書中開示される併用療法を形成する医薬作用剤は、随意に、組み合わせた剤形であるか、実質的に同時投与を意図した別々の剤形である。併用療法を形成する医薬作用剤はまた、いずれかの作用剤が2段階投与を求めるレジメンにより投与される場合に、随意に、順次に投与される。2段階投与レジメンは、随意に、活性作用剤の順次投与または別々の活性作用剤の相隔てられた投与を求める。複数回投与工程の間隔は、各医薬作用剤の性質、例えば効力、溶解性、生体利用度、血漿中半減期、及び医薬作用剤の動態特性などに応じて、数分から数時間までの範囲に渡る。
別の実施形態において、シグマ−2受容体結合化合物阻害剤は、患者にさらなる利益をもたらす手順と併用して、随意に用いられる。シグマ−2受容体結合化合物阻害剤及び任意の追加療法は、疾患または症状の発生の前、最中、または後に、随意に投与され、シグマ−2受容体結合化合物を含有する組成物を投与するタイミングは、実施形態によって変わる。すなわち、例えば、シグマ−2受容体結合化合物は、予防薬として使用され、疾患または症状の発生を予防する目的で、症状または疾患を発症する傾向がある対象に継続的に投与される。シグマ−2受容体結合化合物及び組成物は、随意に、症候の発生中または発症直後できるだけ速やかに投与される。本教示の実施形態が、本明細書中示され説明されてきたものの、当業者には当然のことながら、そのような実施形態は例示で提供されたにすぎない。当業者は、教示から逸脱することなく多数の修飾、変更、及び置換を思いつくことができるだろう。本教示のいくつかの実施形態において、本明細書中記載される実施形態の様々な代替手段を、本教示の実施に採用することができる。
シグマ−2受容体結合化合物は、抗癌薬と組み合わせて使用することができ、そのような抗癌薬として以下のクラスのものが挙げられるが、それらに限定されない:アルキル化剤、アンジオポエチン1及び/または2阻害剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、オーロラキナーゼ阻害剤、B−raf阻害剤、BTK阻害剤、c−met阻害剤、CDK4及び/または6阻害剤、CDK4及び/またはCDK6阻害剤、cFMS阻害剤、架橋剤、DNA複製阻害剤、内皮増殖因子(EGF)阻害剤、肝細胞増殖因子/拡散因子(HGF/SF)阻害剤、HER2及びHER3阻害剤、インシュリン様増殖因子1受容体(IGFR−1)阻害剤、挿入剤、MEK阻害剤、微小管破壊剤、mTOR阻害剤、pan−ErbBチロシンキナーゼ阻害剤、PARP阻害剤、P13K阻害剤、PKB阻害剤、PKB阻害剤、ポロ様キナーゼ阻害剤、放射線類似作用剤、放射線増感剤、組換えヒトapo2リガンド、鎖分断剤、トポイソメラーゼII阻害剤、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)アゴニスト、ならびに血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤。
本明細書中開示される化合物は、式Iの化合物も含めて、癌治療の化学増感剤及び放射線増感剤としても有用である。これらの化合物は、癌の治療を受けたことがあるか、現在受けているか、または受ける予定がある哺乳類の治療に有用である。そのような他の治療として、化学療法、放射線療法、外科手術、または癌ワクチンなどの免疫療法が挙げられる。
本化合物は、治療薬、抗癌薬、及び/または放射線治療薬と組み合わせるのに特に有用である。すなわち、本開示は、同時、別々、または順次投与の、本発明の式Iの化合物と、治療薬、抗癌薬、及び/または放射線治療薬との併用を提供する。本開示の化合物とその他の抗癌剤は、相加的または相乗的に作用することができる。本化合物と別の抗癌剤との相乗的併用は、これらの作用剤の一方または両方の投薬量を減らした使用、及び/または本化合物及び別の抗癌剤の一方または両方の投薬頻度の低下を可能にするかもしれず、及び/または頻度を低下させて投与できることで、癌治療における作用剤の効力を減少させることなく、対象への作用剤の投与に関連した任意の毒性を減少させる可能性がある。さらに、相乗効果は、癌の治療におけるこれら作用剤の効力の改善及び/またはいずれかの作用剤を単独で使用する場合に関連する任意の有害なまたは望ましくない副作用の減少をもたらす可能性がある。
治療薬、抗癌剤、及び/または放射線療法は、当該分野で周知である治療プロトコルに従って投与することができる。当業者には明らかであるだろうが、治療薬、抗癌剤、及び/または放射線療法の投与は、治療する疾患及びその疾患に対する抗癌剤及び/または放射線療法の既知の効果に応じて変わる可能性がある。同じく、当業者の知識に応じて、治療プロトコル(例えば、投薬量及び投与回数)は、患者で観測される投与された治療薬(すなわち、抗悪性腫瘍剤または放射線)の効果を考慮して、及び投与された治療薬に対して観測される疾患の反応及び観測される副作用を考慮して、変わる可能性がある。
X線の線量範囲は、長期間(3〜4週間)に渡る場合は一日量50〜200レントゲンから単回線量2000〜6000レントゲンまでの範囲に渡る。放射性同位体の投与量範囲は、幅広く変化し、同位体の半減期、放射される放射線の強度及び種類、ならびに腫瘍性細胞による取り込みに依存する。
本開示では、組織に放射線を送達する任意の適切な手段を採用することができる。組織に放射線を送達する一般的な手段は、治療される身体の外部の電離放射線源によるものである。組織に放射線を送達する代替方法として、例えば、最初に、腫瘍の抗原と免疫反応する放射標識化抗体をin vivoで送達し、続いて、放射標識化抗体を有効量で腫瘍にin vivoで送達することが挙げられる。また、放射性同位体を用いて、組織または細胞に電離放射線を送達することができる。さらに、放射線は、放射線類似作用剤を用いて送達することができる。本明細書中使用される場合、「放射線類似作用剤」とは、放射線療法と同じ種類の細胞傷害を引き起こすが放射線を使用しない、化学療法薬、例えば、メルファランなどである。
癌及び腫瘍性疾患に使用する場合、シグマ−2受容体結合化合物は、以下の制限ではなく例示の抗癌剤の1種または複数と一緒に最適に使用することができる:(1)アルキル化剤、シスプラチン(PLATIN)、カルボプラチン(PARAPLATIN)、オキサリプラチン(ELOXATIN)、ストレプトゾシン(ZANOSAR)、ブスルファン(MYLERAN)、及びシクロホスファミド(ENDOXAN)が挙げられるが、これらに限定されない;(2)代謝拮抗剤、メルカプトプリン(PURINETHOL)、チオグアニン、ペントスタチン(NIPENT)、シトシンアラビノシド(ARA−C)、ゲムシタビン(GEMZAR)、フルオロウラシル(CARAC)、ロイコボリン(FUSILEV)、及びメトトレキセート(RHEUMATREX)が挙げられるが、これらに限定されない;(3)植物アルカロイド及びテルペノイド、ビンクリスチン(ONCOVIN)、ビンブラスチン、及びパクリタキセル(タキソール)が挙げられるが、これらに限定されない;(4)トポイソメラーゼ阻害剤、イリノテカン(CAMPTOSAR)、トポテカン(HYCAMTIN)、及びエトポシド(EPOSIN)が挙げられるが、これらに限定されない;(5)細胞傷害性抗生物質、アクチノマイシンD(COSMEGEN)、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN)、ブレオマイシン(BLENOXANE)、及びマイトマイシン(MITOSOL)が挙げられるが、これらに限定されない;(6)血管新生阻害剤、スニチニブ(SUTENT)及びベバシズマブ(AVASTIN)が挙げられるが、これらに限定されない;ならびに(7)チロシンキナーゼ阻害剤、イマチニブ(GLEEVEC)、エルロチニブ(TARCEVA)、ラパチニブ(TYKERB)、及びアキシチニブ(INLYTA)が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる治療薬は、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、アファチニブ、アレムツズマブ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミノレブリン酸、アムサクリン、アナストロゾール、アプレピタント、アスパラギナーゼ、アキシチニブ、アザシチジン、bcg、ベルトジミブ、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、cladisat.NaCl水溶液、クラドリビン、クロドロネート、クロファラビン、コビメチニブ、コルヒチン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シクロホスファミン、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、ダブラフェニブ、デカラジン、デシタビン、デメトキシビリジン、ダサチニブ、デクスラゾキサン、ジクロロアセタート、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エンザルタミド、エピルビシン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イフォスファミド、イマチニブ、イミキモド、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキセート、メトトレキセート、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトスマイシン、ミトタン、ミトキサン、ミトキサントロン、ネララビン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペガスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペリホシン、プリカマイシン、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマー、プロカルバジン、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ベリパリブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボラセルチブ、ボリノスタット、及びゾレドロン酸から選択することができる。
対象が炎症症状を患っている、または患う危険性がある場合、本明細書中記載されるシグマ−2受容体結合化合物は、随意に、炎症を治療する1種または複数の作用剤または方法と任意の組み合わせで併用される。自己免疫及び/または炎症症状を治療するための治療薬/療法として、以下の例のいずれかが挙げられるが、それらに限定されない;(1)コルチコステロイド、コルチゾン、デキサメタゾン、及びメチルプレドニゾロンが挙げられるが、これらに限定されない;(2)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、アスピリン、フェノプロフェン(NALFON)、フルルビプロフェン(ANSAID)、ケトプロフェン、オキサプロジン(DAYPRO)、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN)、ジクロフェナクカリウム(CATAFLAM)、エトドラク(LODINE)、インドメタシン(INDOCIN)、ケトロラク(TORADOL)、スリンダク(CLINORIL)、トルメチン(TOLECTIN)、メクロフェナム酸(MECLOMEN)、メフェナム酸(PONSTEL)、ナブメトン(RELAFEN)、及びピロキシカム(FELDENE)が挙げられるが、これらに限定されない:(3)免疫抑制薬、メトトレキセート(RHEUMATREX)、レフルノミド(ARAVA)、アザチオプリン(IMURAN)、シクロスポリン(NEORAL、SANDIMMUNE)、タクロリムス、及びシクロホスファミド(CYTOXAN)が挙げられるが、これらに限定されない;(4)CD20遮断薬、リツキシマブ(RITUXAN)が挙げられるが、これに限定されない;(5)腫瘍壊死因子(TNF)遮断薬、エタネルセプト(ENBREL)、インフリキシマブ(REMICADE)、及びアダリムマブ(HUMIRA)が挙げられるが、これらに限定されない;(6)インターロイキン1受容体アンタゴニスト、アナキンラ(KINERET)が挙げられるが、これに限定されない;(7)インターロイキン6阻害剤、トシリズマブ(ACTEMRA)が挙げられるが、これに限定されない;(8)インターロイキン17阻害剤、AIN457が挙げられるが、これに限定されない;(9)ヤヌスキナーゼ阻害、タソシチニブが挙げられるが、これに限定されない;ならびに(10)syk阻害剤、フォスタマチニブが挙げられるが、これに限定されない。
化合物合成
本教示の化合物は、一般合成スキーム及び以下で詳細に記載する実験手順で示す方法を用いて調製することができる。一般合成スキーム及び実験手順は、例示の目的で提示されるのであって、制限することを意図しない。本教示の化合物を調製するための出発物質は、市販されているか、そうでなければ当該分野で既知の常法を用いて調製することができる。
略号一覧
aq.=水性;CDCl=重水素化クロロホルム;DMSO−d=重水素化ジメチルスルホキシド;DMSO=ジメチルスルホキシド;h=時間;THF=テトラヒドロフラン。
本教示のいくつかの実施形態は、式IVの化合物の合成方法を含む:
様々な形態において、これらの方法は、構造式Vの化合物:
と、構造式VIの化合物を反応させることを含み:
式中、nは1〜5の整数であり、Rは、水素またはメチルである。
いくつかの形態において、nは1が可能であり;Rは水素が可能である。
いくつかの形態において、nは5が可能であり;Rは水素が可能である。
いくつかの形態において、反応は、還元剤の存在下で行うことができ、還元剤としては、例えば、制限なく、水素化アルミニウム、ボラン・テトラヒドロフラン、カテコールボラン、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジシアミルボラン、ヒドラジン、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムトリ−t−ブトキシアルミニウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、またはそれらの混合物がある。
化合物を調製する一般方法
以下のスキームを用いて、本教示の合成法を実施することができる。明細書中のどこかで定義されるもの及びスキームで記載される化合物に示されていないものを含む追加の構造基を組み込んで、本明細書中開示される様々な化合物を与えることができ、または中間体化合物を、当業者に既知である技法を用いてさらに操作した後に、本教示の化合物に変換することができる。
実施例1:3−(o−エトキシフェニル)−2−{[4−(2−{p−[(6−{3−(2−メトキシトルイジノカルボニルオキシ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナ−9−イル}ヘキシルアミノ)メチル]フェノキシ}アセチル)−1−ピペラジニル]メチル}−3H−キナゾリン−4−オン)(SW V−49s)。
中間体1A.N−9−ベンジル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−オール(2)。
LiAlH(o−tert−Bu)(20.0g、78.5mmol)を無水THF(30mL)に加えた混合物を、氷浴で冷却した。化合物9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(1)(5.0g、21.8mmol)を無水THF(45mL)に溶解させた溶液を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NHCl水溶液で反応をクエンチした。固体を濾別し、THFで洗った。有機層を1つにまとめて、NaSOで乾燥させ、濾過し、乾固するまでエバポレートして、N−9−ベンジル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−オールを、明黄色油状物として得た(4.8g、収率95%)。H NMR (CDCl) δ 7.20−7.35 (m, 5H), 4.22−4.32 (m, 1H), 3.79 (s, 2H), 3.02−3.06 (m, 2H), 2.33−2.43 (m, 2H), 2.12−2.26 (m, 1H), 1.85−1.99 (m, 3H), 1.30−1.54 (m, 3H),1.08−1.13 (m, 2H).
中間体1B.N−(9−ベンジル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチル−フェニル)カルバマート(3).
中間体1A(4.8g、20.6mmol)、イソシアン酸2−メトキシ−5−メチルフェニル(3.8g、23.5mmol)、二酢酸ジブチルスズ(数滴)をCHCl(45mL)に加えた混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、水、飽和NaHCO水溶液、及びブラインで洗い、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン、80:20:1)で精製して、N−(9−ベンジル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチル−フェニル)カルバマートを白色固体として得た(6.8g、収率83%)。
H NMR (CDCl) δ 7.97 (s, 1H), 7.16−7.37 (m, 6H), 6.73−6.80 (m, 2M), 5.22−5.30 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.81 (s, 2H), 3.04−3.07 (m, 2H), 2.42−2.52 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 1.91−2.20 (m, 3H), 1.48−1.56 (m, 3H), 1.15−1.18 (m, 2H).
中間体1C.O−(9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−カルバマート(4)。
中間体1B(6.8g、17.3mmol)をメタノール/酢酸エチル(1:1、160mL)に溶解させた溶液に、20%w/w水酸化パラジウム/炭素(1.35g)及びギ酸アンモニウム(5.4g、86、5mmol)を加えた。混合物を6時間還流させ、冷却し、セライトパッドで濾過し、エバポレートした。得られる残渣を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO水溶液、水、及びブラインで洗い、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を除去して、脱保護した二環式アミンO−(9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−カルバマート4を明褐色油状物として得た(定量的)。H NMR (CDCl) δ 7, 94 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.73−6, 80 (m, 2H), 4.96−5.04 (m, 1H), 3, 84 (s, 3H), 3.33−3.36 (m, 2H), 2.33−2.41 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.06−2.14 (m, 1H), 1.45−1.75 (m, 8H).
中間体1D.N−(9−(6−アミノヘキシル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチル−フェニル)カルバマート(6a)。
中間体1Cの第二級アミン(3.3g、11.0mmol)、N−(6−ブロモヘキシル)フタルイミド(3.5g、11.3mmol)、KI(2.0g、12.4mmol)、及びKCO(7.8g、56.5mmol)をアセトニトリル(90mL)に加えた混合物を、一晩撹拌還流させた。濾過した後、揮発成分を減圧エバポレートした。得られる残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール含有ジクロロメタン)で精製して、所望の中間体であるフタルイミド保護したアミン5a(5.8g、収率96%)を明褐色油状物として得た。
化合物5a(2.8g、5.3mmol)を、エタノール(100mL)中、ヒドラジン水和物(540mg、10.7mmol)とともに5時間還流させた。溶媒をエバポレートして、NaOHの10%水溶液(20mL)を加えた。混合物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥させ、エバポレートして、所望の第一級アミンN−(9−(6−アミノヘキシル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチル−フェニル)カルバマート6a(1.9g、収率88%)を明黄色油状物として得た。H NMR (CDCl) δ 7.96 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.72−6.80 (m, 2H), 5.10−5.18 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.05−3.07 (m, 2H), 2.66−2.71 (m, 2H), 2.55−2.59 (m, 2H), 2.39−2.49 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.10−2.20 (m, 1H), 1.81−1.94 (m, 2H), 1.18−1.54 (m, 15H).
中間体1E.エチル=2−(4−ホルミルフェノキシ)アセタート(7)。
4−ヒドロキシベンズアルデヒド(2.4g、20.0mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶解させた溶液に、エチル=2−ブロモアセタート(3.7g、22.0mmol))及び炭酸カリウム(8.3g、60.0mmol)を加えた。反応混合物を24時間還流させた。冷却後、反応混合物を濾過し、エバポレートして、エチル=2−(4−ホルミルフェノキシ)アセタートを明黄色液状物として得た(定量的)。H NMR (CDCl) δ 9.90 (s, 1H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 8.4Hz, 2H), 4.71 (s, 2H), 4.28 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.31 (t, J = 7.1Hz, 3H).
中間体1F.2−(4−ホルミルフェノキシ)酢酸(8)。
メタノール/水(2:1、90mL)中で、中間体1Eを、水酸化ナトリウム(2.2当量)を用いて、24時間加水分解し、続いて10%HCI溶液で酸性にして、2−(4−ホルミルフェノキシ)酢酸をオフホワイト色固体として得た(3.1g、収率87%)。H NMR (DMSO−d) δ 13.18 (br s, 1H), 9.91 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.86 (s2, H).
中間体1G.2−(2−クロロアセトアミド)安息香酸(9)。
2−アミノ安息香酸(5.0g、36.5mmol)をジクロロメタン(90mL)に溶解させた溶液に、トリエチルアミン(4.06g、40.1mmol)を加え、混合物を氷浴で冷却した。塩化クロロアセチル(4.5g、40.1mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解させた溶液を滴下し、混合物を周辺温度で一晩撹拌放置した。固体を濾別し、冷水、続いて5%ジエチルエーテル含有ヘキサンで洗い、風乾させて、2−(2−クロロアセトアミド)安息香酸を白色固体として得た(7.4g、収率95%).H NMR (DMSO−d) δ 11.82 (s, 1H), 8.52 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.63 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.21 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 4.45 (s, 2H).
中間体1H.2−(クロロメチル)−3−(2−エトキシフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン(10)。
中間体1G(3.1g、14.5mmol)及び2−エトキシアニリン(2.0g、14.5mmol)をアセトニトリル(50ml)に加えた混合物に、塩化ホスホリル(6.5g、42.4mmol)を滴下した。混合物を一晩加熱還流させた。反応混合物を室温に冷却し、氷/飽和NaCO溶液のスラリーに注いだ。得られる固体を濾別し、水で洗い、風乾させて、2−(クロロメチル)−3−(2−エトキシフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン(10)を褐色固体として得た(2.5g、収率53%)。H NMR (CDCl) δ 8.31 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.78−7.82 (m, 2H), 7.47−7.55 (m, 2H), 7.35 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.06−7.14 (m, 2H), 4.35 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 4.17 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 4.06 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 1.23 (t, J = 6.9 Hz, 3H).
中間体1I.3−(2−エトキシフェニル)−2−(ピペラジン−1−イルメチル)キナゾリン−4(3H)−オン(11)。
中間体1H(2.5g、8.0mmol)、KCO(4.4g、32.0mmol)、及びKI(1.7g、10.4mmol)をアセトニトリル(75mL)に加えた混合物に、ピペラジン(2.7g、32.0mmol)を加えた。反応混合物を、85〜90℃で一晩加熱した。冷却後、反応混合物を濾過して、固体をアセトニトリルで洗った。有機層を1つにまとめてエバポレートした。得られる残渣を水に分散させて、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗い、NaSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートした。粗残渣を、カラムクロマトグラフィー(10%メタノール、0.5%NHOH含有ジクロロメタン)で精製して、3−(2−エトキシフェニル)−2−(ピペラジン−1−イルメチル)キナゾリン−4(3H)−オンを黄色油状物として得た(2.3g、収率79%)。H NMR (CDCl) δ 8.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.75−7.77 (m, 2H), 7.39−7.50 (m, 2H), 7.28 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.01−7.08 (m, 2H), 4.05 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.18−3.28 (m, 2H), 2.73 (s.4H), 2.33−2.37 (m, 2H), 2.17−2.20 (m, 2H), 1.22 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
中間体1J.4−(2−(4−((3−(2−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル)−ピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ)ベンズアルデヒド(12)。
酸8(360mg、2.0mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(280mg、2.4mmol)をアセトニトリル(12mL)に加えた混合物に、冷却した状態で、DCC(500mg、2.4mmol)のアセトニトリル(4mL)溶液加えた。室温で45分間撹拌した後、中間体1I(800mg.2.2mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解させた溶液を加え、一晩撹拌を続けた。固体を濾別し、濾液をエバポレートした。得られる残渣をカラムクロマトグラフィー(8%メタノール含有ジクロロメタン)で精製して、4−(2−(4−((3−(2−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル)−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エトキシ)ベンズアルデヒドをオフホワイト色固体として得た(847mg、収率80%)。H NMR (CDCl) δ 9.89 (s, 1H), 8.27−8.31 (m, 1H), 7.72−7.84 (m, 4H), 7.42−7.52 (m, 2H), 7.25 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 7.02−7.09 (m, 4H), 4.74 (s, 2H), 4.05 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3, 42−3.49 (m, 4H), 3.22−3.31 (m, 2H), 2.18−2.46 (m, 4H), 1.22 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
9−(6−((4−(2−(4−((3−(2−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル)−ピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ)ベンジル)アミノ)ヘキシル)−N−(9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)カルバマートシュウ酸塩(SW V−49s)。
中間体1J(12)(480mg、0.91mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解させた溶液に、アミン中間体1D(6a)(386mg、0.95mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解させた溶液を加えた。混合物を4時間撹拌し、次いで溶媒をエバポレートした。残渣をエタノール(5mL)に溶解させ、次いでNaBH(100mg、2.6mmol)を加えた。混合物を6時間撹拌し、次いで10%HCI溶液でクエンチした。溶媒をエバポレートした後、混合物を10%NaOH溶液で塩基性にし、ジクロロメタンで抽出してエバポレートした。得られる残渣を、カラムクロマトグラフィー(10%メタノール、0.5%NHOH含有ジクロロメタン)で精製して、遊離アミンとして生成物を得た(460mg、収率55%)。H NMR (CDCl) δ 8.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.74−7.78 (m, 2H), 7.41−7.51 (m, 2H), 7.23−7.26 (m, 3H), 7.14 (s, 1H), 7.03−7.09 (m, 2H), 6.86 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.73−6.79 (m, 2H), 5.10−5.16 (m, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.04 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.74 (s, 2H), 3.43−3.48 (m, 4H), 3.22−3.30 (m, 2H), 3.12 (br s, 2H), 2.60−2.64 (m, 4H), 2.37−2.50 (m, 4H), 2.29 (s, 3H), 2.19−2.25 (m, 3H), 1.90−1.96 (m, 2H), 1.48−1.58 (m, 7H), 1.28−1.34 (m, 6H), 1.22 (t, J = 6.9 Hz, 3H).1当量のシュウ酸を加えたエタノールを用いて、シュウ酸塩を調製し、SW V−49sをオフホワイト色固体として得た(470mg、収率93%)、mp164−165℃。元素分析(C556911・2HO):計算値%:C63.51;H7.07;N9.43、実測値%:C63.54、H7.06、N9.76.
実施例2:3−(o−エトキシフェニル)−2−{[4−(2−{p−[(10−{3−(2−メトキシトルイジノカルボニルオキシ)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナ−9−イル}デシルアミノ)メチル]フェノキシ}アセチル)−1−ピペラジニル]メチル}−3H−キナゾリン−4−オン)シュウ酸塩。(SWV−50s)
中間体2A.N−(9−(10−アミノデシル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3a−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)カルバマート(6b)。
中間体1Cの第二級アミン(3.6g、11.8mmol)、N−(10−ブロモデシル)フタルイミド(4.4g、12.0mmol)、KI(2.0g、12.4mmol)、及びKCO(8.2g、59.4mmol)をアセトニトリル(90mL)に加えた混合物を、一晩還流撹拌した。濾過後、揮発成分を減圧エバポレートした。得られる残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール含有ジクロロメタン)で精製して、所望のフタルイミド保護した中間体5b(6.0g、収率86%)を明褐色油状物として得た。
化合物5b(2.9g、4.9mmol)を、エタノール(100mL)中、ヒドラジン水和物(700mg、13.9mmol)とともに5時間還流させた。溶媒をエバポレートし、10%NaOH水溶液(20mL)を加えた。混合物をCHCIで抽出し、NaSOで乾燥させ、エバポレートして、第一級アミンN−(9−(10−アミノデシル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3α−イル)−N’−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)カルバマート6b(2.2g、収率95%)を明黄色油状物として得た。H NMR (CDCl) δ 7.96 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.72−6.80 (m, 2H), 5.10−5.18 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.04−3.07 (m, 2H), 2.65−2.70 (m, 2H), 2.53−2.58 (m, 2H), 2.39−2.49 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.08−2.20 (m, 1H), 1.83−1.94 (m, 2H), 1.18−1.54 (m, 23H).
12(380mg、0.72mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解させた溶液に、アミン中間体2A(343mg、0.74mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解させた溶液を加えた。混合物を4時間撹拌し、次いで溶媒をエバポレートした。残渣をエタノール(5mL)に溶解させ、次いでNaBH(100mg、2.6mmol)を加えた。混合物を6時間撹拌し、次いで10%HCI溶液でクエンチした。溶媒をエバポレートした後、混合物を10%NaOH溶液で塩基性にし、ジクロロメタンで抽出して、エバポレートした。得られる残渣を、カラムクロマトグラフィー(10%メタノール、0.5%NHOH含有ジクロロメタン)で精製して、生成物を遊離アミンとして得た(295mg、収率42%)。H NMR (CDCl) δ 8.29 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.73−7.78 (m, 2H), 7.41−7.51 (m, 2H), 7.21−7.24 (m, 3H), 7.14 (s, 1H), 7.02−7.08 (m, 2H), 6.86 (d, J = 8. 2 Hz, 2H), 6.73−6.79 (m, 2H), 5.10−5.16 (m, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.04 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.72 (s, 2H), 3.44−3.48 (m, 4H), 3.21−3.31 (m, 2H), 3.09 (brs, 2H), 2.59−2.62 (m, 4H), 2.36−2.50 (m, 4H), 2.29 (s, 3H), 2.17−2.24 (m, 3H), 1.88−1.94 (m, 2H), 1.40−1.57 (m, 7H), 1.24−1.30 (m, 6H), 1.21 (t, J = 6.9 Hz, 3H).1当量のシュウ酸を加えたエタノールを用いて、シュウ酸塩を調製し、SW V−50sを明褐色固体として得た(308mg、収率95%)、mp183−184℃。元素分析(C597711・2HO):計算値、%:C64.64:H7.45;N8.94、実測値%;C64.84、H7.41、N8.62。
表1.シグマ−2受容体リガンドエラスチン結合体化合物及びシグマ−2受容体リガンドエラスチン類似体結合体化合物を含む、二重ドメインシグマ−2受容体リガンド薬物結合体化合物のさらなる実施例。
生物活性アッセイ
式(I)の化合物の生物学的有効性を評価するのに使用可能なアッセイは以下のとおりである。
本明細書中記載される方法及び組成物は、当業者に周知の実験技術を利用しており、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001; Spector, D. L. et al., Cells: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1998; Nagy, A., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual (Third Edition), Cold Spring Harbor, NY, 2003; Harlow, E., Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1999;及びCarruthers, W., and Coldham, I., Modern Methods of Organic Synthesis (4th Edition), Cambridge University Press, Cambridge, U.K., 2004などの実験マニュアルに見ることができる。
医薬の投与方法及び投薬レジメンは、Remington: the Science and Practice of Pharmacy (Alfonso R. Gennaro ed. 19th ed. 1995); Hardman, J.G., et al., Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ninth Edition, McGraw−Hill, 1996;及びRowe, R.C., et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, Fourth Edition, Pharmaceutical Press, 2003などの標準的な参考書により提供される方法を用いて、当業者に周知の薬理学の標準原則に従って決定することができる。本明細書及び付属の請求項において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈で特に記載が無い限り、複数形も含むものとする。
毒性検査方法
6匹の成年メスマウスで死体解剖を行った。マウスの系統名は、C57BL/6であった。事前の処置として、2週間の課程にわたって、フェロトーシス誘導薬物またはビヒクル対照の腹腔内投与を毎日行った。マウスには、あらかじめ皮下にKCKO異種移植も行っておいた(Besmer, D.M., et al., Cancer Res.17:4432−4442, 2011)。
細胞株
CFPAC−1、BxPC−3、AsPC−1、PANC−1、及びMia PaCa−2細胞株を、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC、Manassas、VA)から入手した。SYO−1細胞株、すなわち滑膜肉腫細胞株(Kawai, A., et al., Cancer Lett. 204: 105−113, 2004)は、Dr. Brian Van Tine(Washington University School of Medicine、St.Louis、MO)により提供された。KCKO細胞株は、遺伝子導入マウスのヒトMUC1発現膵臓腫瘍から単離した(Besmer et al. Cancer ResearCH 2011; 71:4432−4442, Tinder et al J Immunol 2008; 181: 3116−3125)。KCKO細胞株は、Dr. Pinku Mukherjee (University of North Carolina、Charlotte、NC)により提供された。PANC−1細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地に4mMのL−グルタミン、1.5g/Lの重炭酸ナトリウム、及び10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したもので培養した。Mia PaCa−2細胞株は、ダルベッコ変法イーグル培地に10%FBS及び2.5%ウマ血清を添加したもので培養した。BxPC−3、AsPC−1、及びKCKO細胞株は、RPM1−1640培地に10%FBSを添加したもので培養した。SYO−1滑膜肉腫細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地に10%FBSを添加したもので培養した。抗生物質のペニシリン(100mg/ml)及びストレプトマイシン(100mg/ml)を培地に添加し、細胞を、加湿インキュベーター中、37℃で5%CO下に維持した。
統計
統計分析及びデータプロットは、GraphPad Prismソフトウェアバージョン6(San Diego、CA)を用いて行った。結果は、少なくとも3つの生物学的複製物の平均±SEMで表した。IC50値は、正規化した生存率対薬物濃度で曲線当てはめを行うことにより計算した。一元配置ANOVAを用いて、NAC及びZVADを用いた試験でのIC50値及びSW V−49s阻害における差異を分析した。対応のない両側t検定を用いて、CBC及び生化学分析における差異を評価し、シスチン取り込み、カスパーゼ、及びROS検出アッセイのサブグループにおける差異を確認した。二元配置ANOVAを用いて、腫瘍体積における差異を分析した。カプラン・マイヤー生存分析法を用い、群間の差異をログランク検定で比較した。全ての分析について、p値<0.05を、有意であると見なした。
死体解剖前の検査。
マウスA(ID:732)は、ビヒクル対照であった。被毛を右側腹部にわたって剪毛したが、一部再生してきた。右側腹部に非常に小さな皮下肥厚が触知できた。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は21グラムであった。
マウスB(ID:727)は、試験薬物で処置した。被毛を右側腹部にわたって剪毛したが、一部再生してきた。大きさ1.5×0.6cmの皮下腫瘤が、腰椎の上に認められ、その下にある筋系に密着していた。この腫瘤を覆う皮膚に直径4〜5mmの潰瘍が認められた。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は21グラムであった。
マウスC(ID:735)は、ビヒクル対照であった。この動物には、後方麻痺が認められ、後肢を引きずっていた。左後肢から深部痛反応を誘発することは可能であったが、右後肢ではできなかった。被毛は右側腹部にわたってやや薄くなっていた。堅い皮下腫瘤が、腰椎の上に認められた。この腫瘤は、その下の組織にしっかり結合していた。右側腹部にわたって直径0.2〜0.3cmの皮膚肥厚が認められ、その中に直径0.1cmの潰瘍があった。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は20グラムであった。
マウスD(ID:737)は、試験薬物で処置した。皮下腫瘤が、脊椎の上に触知できた。被毛は正常であった。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は19グラムであった。
マウスE(ID:746)は、ビヒクル対照であった。被毛を右側腹部にわたって剪毛したが、一部再生してきた。直径0.6cmの堅い皮下小結節が、右側腹部に認められた。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は23グラムであった。
マウスF(ID:738)は、試験薬物で処置した。被毛は正常であった。堅い皮下腫瘤が、腰椎の上に触知できた。頸椎は容易に触知でき、筋肉萎縮の可能性を示唆した。鼻または眼からの分泌物または下痢はなかった。体水分及び体脂肪は正常であった。体重は22グラムであった。
肉眼剖検
マウスAについて、剖検前の検査で認められた皮下肥厚は、大きさ0.5×0.1cmの堅い腫瘤であった。0.4×0.1cmの肥厚範囲が遠位結腸近くの腸間膜に認められ、理屈に拘らなければ、これは恐らく肥大リンパ節の結果と思われる。直径2mmの発赤病巣が左肺に認められた。心臓及び肝臓は軽度に褪色していた。腸管、筋骨格系、泌尿器系、生殖器系、脳、胸腺、脾臓、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
マウスBについて、皮下腫瘤は、複数に分葉化しており、大きさが1.8×0.6cmあり、直径1.0cmの小結節が結合していた。皮下腫瘤は、皮下、腰椎の上、右背外側に位置していた。脊椎への浸潤はなかった。腫瘤は、腹側性に突出して腹部に衝突していた。肝臓はやや褪色していた。心臓は軽度に褪色していた。呼吸器系、腸管、泌尿器系、生殖器系、脳、胸腺、脾臓、リンパ節、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
マウスCについて、皮下腫瘤は、大きさが1.8×1.7×1.5cmあり、中腰椎を取り囲んでいるようであった。腫瘤は、淡黄色をしており、堅く、やや結節性であった。心臓及び肝臓は軽度に褪色していた。呼吸器系、腸管、泌尿器系、生殖器系、脳、胸腺、脾臓、リンパ節、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
マウスDについて、皮下腫瘤は、大きさが1.2×0.8cmあり、腰椎の上に横たわっていた。理屈に拘らなければ、椎骨の背側棘突起が腫瘍に浸食されてしまった可能性がある。肝臓は軽度に褪色していた。呼吸器系、腸管、泌尿器系、生殖器系、心臓、脳、胸腺、脾臓、リンパ節、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
マウスEについて、肺は、斑状の赤色をしていた。肝臓はやや褪色していた。腸管、筋骨格系、泌尿器系、生殖器系、心臓、脳、胸腺、脾臓、リンパ節、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
マウスFについて、皮膚及び皮下組織に2つの腫瘤が認められた。1つは、大きさが0.5×0.5×0.3cmであって皮膚に存在しており、もう1つは、大きさが0.5×0.5×0.2cmであって、皮下組織中、腰椎の上にあった。呼吸器系、腸管、泌尿器系、生殖器系、心臓、脳、胸腺、脾臓、リンパ節、副腎、甲状腺、下垂体、中耳、または眼に、肉眼病変はなかった。
病理組織検査。
マウスAについて、軽度の多発性炎症浸潤物が、マクロファージ、好中球、リンパ球、及び形質細胞を含む腸間膜脂肪中に認められた。リンパ過形成、組織球増殖、及び髄洞の拡大を伴う反応性腸間膜リンパ節が認められた。肺では、1葉に中度の限局性出血が認められ、理屈に拘らなければ、CO安楽死に関連しているようであった。脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、または胃腸管に顕著な病変はなかった。
マウスBについて、軽度から中度の慢性腹膜炎が、腸間膜に、ならびに小腸大腸腸管及び胃の漿膜表面に沿って、ならびに膵臓周囲に認められた。これは、繊維症の領域に沿った、マクロファージ、好中球、リンパ球、及び形質細胞の浸潤を特徴とした。軽度の粘膜過形成が回腸に認められた。膵臓近くに位置する腸間膜リンパ節は、先に記載したとおり、反応性であった。膵臓実質中に病変は認められなかった。軽度の腹膜炎が、胆嚢周囲及び右腎臓の被膜表面に沿って認められた。肝臓または腎臓に、その他の病変は認められなかった。軽度の被膜肥厚及び中皮過形成が、脾臓に沿って認められた。脾臓の赤色髄で髄外赤血球生成の中度の増加があった。脳、心臓、または肺に顕著な病変はなかった。
マウスCについて、肺の検査から、原発性腫瘍の転移の小さな病巣がいくつか明らかになった。理屈に拘らなければ、腫瘤内に小骨片が認められたことから、原発性腫瘍は、骨に浸潤したようであった。脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、または胃腸管に顕著な病変はなかった。
マウスDについて、最小〜軽度の慢性腹膜炎が、胃の漿膜表面、腸管に沿って、及び膵臓周囲に認められ、既に記載したとおり、炎症細胞及び炎症性領域を伴っていた。腹膜炎の病巣もまた、肝臓及び腎臓の被膜表面に沿って認められた。胃腸管、膵臓、肝臓、及び腎臓にその他の病変は認められなかった。脾臓では、髄外赤血球生成の中度の増加があった。肺では、肺の1葉に化膿性肉芽腫の小病巣2つが認められた。これは病因不明のものであった;関連する異物は認められなかった。腰部筋系への腫瘍の浸潤は歴然としていた。腫瘍細胞はまた、椎体に非常に接近しており、小骨片を取り囲んでいた。理屈に拘らなければ、椎体の背側棘突起の説明となると思われる。脳または心臓に顕著な病変はなかった。
マウスEについて、腸間膜脂肪に、マクロファージ、リンパ球、好中球、及び形質細胞の最小〜軽度の浸潤があった。軽度反応性リンパ節が、既に記載したとおり、膵臓近くに認められた。脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、または胃腸管に顕著な病変は認められなかった。
マウスFについて、軽度慢性腹膜炎が、既に記載したとおり、腸管の漿膜表面に沿って、及び膵臓を取り囲む腸間膜において認められた。膵臓の小葉の1つにおいて、腺房細胞の減少ならびにマクロファージ及び線維芽細胞による交換があり、これは恐らく腸間膜で認められた反応の拡大を説明している。軽度腹膜炎もまた被膜及び腎臓を取り囲む腸間膜に認められた。腸管、肝臓、または腎臓にその他の病変は認められなかった。脾臓では、髄外赤血球生成及び顆粒球生成の中度の増加があった。脳、心臓、肺、または胃に肉眼病変はなかった。
血液検査。
薬物処置した動物と対照動物の間に認められた違いは、薬物処置した動物で認められた、腸管及び腹部臓器の漿膜表面に沿ったならびに膵臓を取り囲む腸間膜での最小〜中度慢性腹膜炎の存在であった。一方で、対照動物は、繊維増殖を伴わない、腸間膜での最小〜軽度多巣性炎症性浸潤物を示した。他の知見として、マウスCでALT及びASTの上昇が認められたことが挙げられる。理屈に拘らなければ、この知見についての病因は、不明であった。予想通り、肝細胞障害の組織学的証拠はなかった。理屈に拘らなければ、他に可能性のある原因として、血液試料の溶血、または腫瘍浸潤による骨損傷が挙げられた。
マウスCでは、腰椎筋系への腫瘍浸潤があり、骨断片化を伴っていた。理屈に拘らなければ、椎突のもの、ならびに肺転移のようであった。マウスDでは、腰椎筋系への腫瘍浸潤及び背側棘突起の断片化があった。
軽度の血小板凝集が認められた。
化合物SW V−49sのシグマ−2受容体結合性質
これらの実験では、以下の構造の蛍光標識化シグマ−2リガンドSW120を用いて、SW V−49sの競合結合アッセイを行った。
AsPC−1細胞(5×10個/ウェル)を、処理の24時間前に6ウェルプレートに蒔いた。次いで、細胞を、0、10、30、及び50μMのSW V−49sとともに、37℃で30分間インキュベートした。続いて、10nMの蛍光標識化シグマ−2リガンドSW120を、SW V−49s含有細胞培養液に添加した。37℃で30分間インキュベーション後、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、0.05%トリプシンEDTA(Life Technologies.Grand Island、NY)で収穫した。その後、細胞を1000×gで5分間遠心し、ペレットをPBSで2回洗浄した。SW120の内部移行は、フローサイトメーター(FACSCalibur(商標)、BD Biosciences、SanJose、CA)で測定した。
図3は、ヒトPanc−1細胞における、SW V−49sと対抗する10μMの蛍光標識化SW120の内部移行の競合的阻害を示す(Spitzer, D., et al. Cancer Res, 72: 201−209, 2012)。これらのデータは、SW V−49sの濃度上昇とともにSW120内部移行の効率的な遮断を示す。これらの結果は、SW V−49sがシグマ−2受容体と効率的に結合することを示す。
SW V−49sは、in vitroで癌細胞株の致死を示す。
これらの実験では、ヒト及びマウスの膵臓癌細胞株ならびに滑膜肉腫細胞株を、SW V−49sまたはその親化合物であるSV119及びエラスチン単独でまたはこれらを併用しての両方で処理してから24時間後の生存度アッセイを行った。データは、SWV−49についてヒト膵臓癌細胞株Panc−1(ATCC(登録商標)CRL−1469(商標))に対して4.3μMのIC50濃度(図4A);SW V−49sについてヒト膵臓癌細胞株BxPC−3(ATCC(登録商標)CRL−1687(商標))に対して2.3μMのIC50濃度(図4B);SW V−49sについてヒト膵臓癌細胞株MIA PaCa−2(ATCC(登録商標)CRL−1420(商標))に対して2.3μMのIC50濃度(図4C);SW V−49sについてヒト膵臓の癌細胞株AsPC−1(ATCC(登録商標)CRL−1682(商標))に対して3μMのIC50濃度(図4D);及びSW V−49sについてマウス膵臓癌細胞株(KCKO細胞)に対して2.2μMのIC50濃度(図4E)を示した。比較として、エラスチン単独では、試験した全てのヒト及びマウス膵臓癌細胞株に対して>100μMのIC50を示した;SV119単独では、試験した全てのヒト及びマウス膵臓癌細胞株に対して>54μMのIC50を示した;そしてエラスチンとSV119の等モル混合物は、試験した全てのヒト及びマウス膵臓癌細胞株に対して>44μMのIC50を示した。
滑膜肉腫細胞株(図4F、SYO−1、ME1欠損)は、SW V−49sに対して非常に敏感であったため、癌細胞の50%を殺傷するのに必要な最小薬物濃度を測定するのが困難であったが、測定されたIC50は、約1.0μMであった。比較として、滑膜肉腫細胞に対して試験した他の化合物についてのIC50は、以下のとおりであった:エラスチン、>16μM:SV119、6.2μM;エラスチン+SV119、4.9μM。
これらのデータは、ヒト及びマウスの膵臓癌細胞及び滑膜肉腫細胞を含む癌細胞に対して、SW V−49sが、その構成上の親化合物と比較して、個別でも併用でも、それらよりはるかに致死性であることを示す。
SW V−49sの二重機能性。
これらの実験では、本発明者らは、本教示の化合物が、膵臓癌細胞に対して、アポトーシス細胞死経路、フェロトーシス細胞死経路、またはそれらの組み合わせのどれを引き起こすことにより致死性であるのかを調べた。すなわち、本発明者らは、アポトーシス細胞死の指標としてカスパーゼ3/7についてのアッセイを行い、フェロトーシス細胞死の指標として活性酸素種(ROS)の生成についてアッセイを行った。図5Aに示すとおり、AsPC−1細胞を、50μMのエラスチン、SV119、またはエラスチン+SV119の等モル混合物で24時間処理すると、4μMのSW V−49sと比較してはるかに低いカスパーゼ活性がもたらされた。図5Bには、8μMのSW V−49s、8μMのエラスチン、8μMのSV119、または8μMのエラスチンとSV119の等モル混合物で7時間処理したAspc−1細胞のCaspase−Glo(登録商標)(Promega)アッセイの結果を示す。SW V−49sで処理した細胞は、全ての対照と比較して、カスパーゼ3/7の有意な増加(約3倍)を示したp<0.0001。
図6には、8μMのSW V−49s、8μMのエラスチン、8μMのSV119、または8μMのエラスチンとSV119の等モル混合物で、または陽性対照で、30分間処理したAspc−1の活性酸素種(ROS)アッセイの結果を示す。SW V−49sで処理した細胞は、エラスチン、SV119、またはそれらの併用と比較して、ROSカスパーゼの有意な増加(50%)を示しp<0、0001、フェロトーシス細胞であることと一致した。親化合物であるSV119及びエラスチンは、個別で細胞に使用してもまたは併用で細胞に使用しても、その同濃度では効果がなかった。
理屈に拘らなければ、これらのデータは、SW V−49sが膵臓癌細胞でアポトーシス及びフェロトーシス両方の細胞死経路を誘導することを示す。
SW V−49s投与は、In、Vivoで、膵臓腫瘍サイズを減少させることができる
図7は、確立された同系皮下KCKOマウス膵臓腫瘍を持つC57BL/6マウスに、10日間にわたり、SW V−49s、エラスチン、SV119、エラスチンとSV119の混合物、及びビヒクル対照を投与した期間中及びその後の平均腫瘍体積(mm単位)の変化を示す。SW V−49s処置は、腫瘍体積の有意な減少をもたらしたが、他の処置はもたらさなかった(p<0.05)。これらの処置は、最小限の非特異的効果をもたらした。図7に示すとおり、腫瘍体積は、他の処置では約40mmから約140mmへと増加したのに比べて、SWV49s処置したマウスでは約40mmから約20mmで減少した。
SW V−49sの投与は、マウスモデル系で膵癌生存率を高めることができる。
これらの実験では、実施例9で記載したマウスの生存実験において、SW V−49sを与えられた群では生存率が100%であった(図8)。その他の全ての群では、平均生存率は、18日前後に集中していた。
SW V−49sは、膵癌で細胞死を誘導する。
薬物の細胞毒性を、CELLTITER−GLO(登録商標)、発光細胞生存度アッセイ(Promega、Madison、WI)により評価した。膵臓細胞株を、処理の24時間前に、白色96ウェル透明底プレートに2×10/ウェルの密度で蒔いた。薬物をDMSOに溶解させ、培養液で系列希釈して、DMSOの最終濃度を1%未満とした。次いで、細胞を24時間処理して、CELLTITER−GLO(登録商標)試薬100μlを各ウェルに添加した。プレートの内容物を、オービタルシェーカーを用いて混合し、引き続き室温で10分間インキュベートした。発光シグナルを、マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek instruments、Winooski、VT)を用いて測定した。異なる薬物濃度について3つ組でアッセイした。薬物の効力を評価するため、化合物のIC50を、ヒト及びマウス由来の膵臓癌細胞株パネルでin vitroで計算した。細胞を、SW V−49s、SVI19、エラスチン、及びエラスチンとSV119の等モル混合物で24時間処理し、次いで、CELLTITBR−GLO(登録商標)生存度アッセイを行った。エラスチンは、活性が最も低い化合物であり、IC50>150μMであった。SVI19は、中程度の効力を示し、その効力はエラスチンが加わることで増強された。しかしながら、SW V−49sは、エラスチンとSV119の等モル混合物での処理と比較して、IC50の17〜20倍の低下という強い細胞毒性を示した(表4及び図9)。これらの結果は、SW V49sが、膵臓癌細胞に選択的に送達されることを示す。
(平均±SEM)、n≧3、p<0.05
エラスチンが全ての膵臓細胞株に対して効果を示さなかったので、本発明者らは、SYO−1細胞を用いて品質管理実験を行った。AsPC−1細胞及びSYO−1細胞を、96ウェルプレートに一晩蒔いて、次いで同様な濃度のエラスチンで24時間処理した。生存度アッセイを24時間後に行った。40μMエラスチンでの処理は、AsPC−1細胞では2%であったのに比べて、SYO−1細胞の84%の死亡をもたらした(p<0.0001)、(図10)。この実験は、使用したエラスチンが生理活性であり、膵臓細胞株はエラスチンに対して耐性があることを示す。
SW V−49sは、シスチン取り込みを阻害し、活性酸素種を発生させる。
これらの実験では、シスチン取り込みアッセイを、既に記載されたとおりに行った(Dixon, S.J. et al Cell 2012; 149: 1060−1072)。簡単に述べると、5×10のAsPC−1細胞/ウェルを6ウェルプレートに一晩蒔いておいた。翌日、細胞を、予め温めておいたNaフリー取り込み緩衝液(137mMの塩化コリン、3mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、5mMのD−グルコース、0.7mMのKHPO、及び10mMのHEPES[pH7.4])で2回洗浄した。続いて、細胞を、取り込み緩衝液1ml中、37℃で10分間インキュベートして、細胞アミノ酸を枯渇させた。次いで、緩衝液を、200μMのSW V−49s及び0.12μCi(80〜110mCi/mmol)のL−[3,3’−14C]−シスチン(American Radiolabeled Chemicals、St Louis、MO)を含有する取り込み緩衝液600μlと交換して、37℃で3分間インキュベートした。その後、細胞を、氷冷した取り込み緩衝液で3回洗浄し、0.1MのNaOH500μlで溶解させた。この溶解物にシンチレーション液1mlを加え、シンチレーションカウンターで1分あたりの放射線カウントとして測定した。
エラスチンは、シスチン/グルタミン酸交換輸送体(システムx )を阻害することによりシスチン取り込みを遮断し、ROS依存性細胞死をもたらすことが示されている(Dixon et al Cell 2012: 149: 1060−1072)。この機構を評価するため、AsPC−1細胞を6ウェルプレートに24時間蒔いておいた。次いで、細胞を、同濃度のSV119、エラスチン、SV119とエラスチンの併用、SW V−49s、及び対照としてDMSOで処理した。その後、シスチン取り込みアッセイを行った。SV119、エラスチン、及びSV119とエラスチンの併用で処理した細胞では、シスチン取り込みの減少が、それぞれ、25%、41%、及び44%の減少であったのと比較して、SW V−49sで処理した細胞は、シスチン取り込みに、85%の減少を示した(3.7倍少ないシステイン取り込み)(p=0.004、図11A)。
全ROS/スーパーオキシド検出キット(Enzo life sciences、Farmmgdale、NY)を用い、使用説明書に従って、ROS測定を行った。簡単に述べると、AsPC−1細胞を2×10細胞/ウェルの密度で、黒壁透明底96ウェルプレートに24時間蒔いておいた。化合物をDMSOに溶解させ、培養液で希釈して、DMSOの最終濃度を1%未満にした。AsPC−1細胞を、8μMの、SV119、エラスチン、及びSV119とエラスチンの等モル混合物で処理した。処理の1時間後にROSアッセイを行った。細胞を1時間処理し、次いで培地を除去して100μL/ウェルのROS/スーパーオキシド検出ミックスを加えた。マルチモードプレートリーダー(Bio−Tek、Winooski、VT)を用いて、発光シグナルを測定した。アッセイは6つ組で行った。
SW V−49sで処理した細胞のROSレベルは、他と比較して1.5倍高かった。その濃度でSV119、エラスチン、及びSV119とエラスチンの等モル混合物で処理した細胞では、ROSレベルは上昇しなかった(図11B、p<0.0001)。
化合物SW V−49sは、内因性アポトーシス経路を誘導することができる。
これらの実験では、カスパーゼ−3/7、8、及び9の活性を、AsPC−1細胞において、対応するCASPASE−GLO(登録商標)アッセイを用いて、使用説明書に従って(Proraega、Madison、Wi)、測定した。このアッセイは、カスパーゼ特異的基質を利用したもので、この基質は、切断されるとルシフェラーゼの基質であるアミノルシフェリンを放出し、その結果、カスパーゼ特異的な発光シグナルを生じる。細胞を、2×10の密度で、白色96ウェル透明底プレートに24時間蒔いておいてから、4μMの化合物で処理した。次いで、内容物をプレートシェーカーで30秒間混合し、その後室温で90分間インキュベートした。マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek)を用いて、発光シグナルを測定した。アッセイは3つ組で行い、DMSOのカスパーゼ活性をベースラインと見なした。
本発明者らは、SV119がカスパーゼ−3依存性アポトーシスを誘導することを示した(Kashiwagi, H., et al, Mol Cancer 2007;6:48)。これらの実験では、AsPC−1細胞を、4μMのSW V−49s、SV119、エラスチン、及びSV119とエラスチンの等モル混合物で24時間処理した。CASPASE−GLO(登録商標)アッセイを用いて、カスパーゼ−3レベルを測定して、SW V−49s化合物のSW119ドメインの活性を査定し、カスパーゼ−8及び9レベルを測定して、どちらのアポトーシス経路が関与するのかを同定した。SW V−49sで処理した細胞は、カスパーゼ−3及び9を有意に増加させた(それぞれ、ベースラインより3.4倍及び3.2倍高い、***p<0.001、図12A及び図12B)。対照的に、カスパーゼ8に有意な増加は見られなかった、ns>0.5(図12C)。試験した他の化合物は、同様な濃度で、どのカスパーゼも活性化させなかった(図12A〜C)。これらの結果は、SW V−49sが選択的に癌細胞に送達され、SW V−49sの2つのドメインが相乗的に働いて内因性アポトーシス経路を活性化させることを示唆する。
SW V−49sは、ROS及びアポトーシス依存性細胞死を誘導することができる。
本発明者らは、SW V−49sがアポトーシス及びROS生成を誘導できることを実証した。細胞死の誘導におけるこれら2つの機構の役割を査定するため、SW V−49sの効力に対するパンカスパーゼ阻害剤及び抗酸化剤の効果を試験した。これらの実験では、AsPC−1細胞を、10mMの抗酸化剤N−アセチルシステイン(NAC)、20μMのパンカスパーゼ阻害剤ZVAD、及び対照としてDMSOで1時間前処理した。次いで、3つの群を、10μMのSW V−49sで5時間処理し、その後CELLTITER−GLO(登録商標)生存度アッセイを行った。結果は、NAC及びZVADで前処理した細胞の生存度が、それぞれ63%及び91%に低下したのと比較して、SW V−49sのみで処理した細胞の生存度が、39%に低下したことを示した(図13、p<0.0001)。NACは、SW V−49s活性を阻害するのにより有効であることがわかった(図13、p<0.002)。これらのデータは、SW V−49sの二重機能性を示し、SW V−49sがアポトーシス及びROS依存性細胞死の両方を誘導できることを示す。
SW V−49sは、膵癌のマウス及び患者由来異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を低下させ、生存度を高める。
ワシントン大学施設内動物管理機関により認可された動物実験プロトコルに従って、動物実験を行った。マウスを用いたin vivo実験を行って、SW V−49s、SVI19、エラスチン、SV119とエラスチンの併用、及びビヒクルの効果を比較した。in vivo実験で使用したビヒクルは、25%クレモフォールと75%HOの混合物である。C57BL/6マウス(6週齢、国立癌研究所研究室)の右側腹部に、KCKO細胞をRPMI培養液に加えた単独細胞懸濁液200μLを注入した(マウス1匹あたり25×10/10細胞)。マウスは無作為に4つの群に分けた(n=15)。平均腫瘍径が約5mmの時点で処置を開始した。マウスには、100μL/用量中375nmolesのSW V−49s及びビヒクルを10日間、SV119、エラスチン、SV119とエラスチンの等モル混合物を、毎日、腹腔内注射して与えた。腫瘍をデジタルノギスで1日おきに測定した。病態評価のため、異なる治療群から複数のマウスを本大学の比較医学科に送った。全血球計数(CBC)及び生化学的解析(AST、ALT、BUN、全ビリルビン、及びCr)のため血液を採取した。臓器は、肉眼検査及び組織学的検査を行った。
同系癌モデル(KCKOを移植したC57BL/6)では、SW V−49sのみが、平均腫瘍体積を減少させることができた(図14A、p=0.0003)。その他の試薬は、どれも、単独でも併用でも、腫瘍増殖の減少をもたらさず、それらは全て、ビヒクル(対照)と同様な増殖率を有した(図14A、p=0.9)。SW V49sで処理した群の平均生存率は、その他の群で(18〜21)日であったのと比べて、48日であった(図14B、カプラン・マイヤー生存曲線、p<0.001)。注目すべきは、マウスの挙動(毛繕い)に肉眼での異常は見られず、薬物関連死は何も記録されなかったことである。このことは、未変化の血清標識(CBC、AST、ALT、BUN、全ビリルビン、及びCr)により支持された(表5及び表6)。また、臓器分析(脳、心臓、肺、消化管、腎臓、肝臓、及び膵臓)からは、軽度の腹膜炎を除いて、薬物副作用のどのような明確な徴候も出てこなかった。
表6は、SW V−49s及びビヒクル(対照)で10日間処置したC57BL/6マウスのCBCデータを示す。2群間の血球数の差は、統計的に有意ではない。
表7は、SW IV−134及びビヒクル(対照)で10日間処置したC57BL/6マウスの生化学分析を示す。2群間の検査室での値の差は、統計的に有意ではない。
SW V−49sを、PDAC患者由来マウス異種移植モデルでも試験した。このモデルは、臨床的により関連性がある。外科PDAC標本(2x2mm片)を得て、麻酔したNOD SCIDマウスの側腹部に皮下移植した。次いで、腫瘍を収穫して、メスの無胸腺ヌードマウス(6週齢、国立癌研究所研究室)の右側腹部に移植した。これらのマウスを、14日間、毎日SW IV−134及びビヒクルをip注射して処置した。マウスを無作為に2群に分けた(n=15)。平均腫瘍径が約6mmの時点で薬物処置を開始した。マウスには、100μL中375nmoles/マウスのSW V−49s及びビヒクルを2週間、毎日、腹腔内注射して与えた。腫瘍を1日おきに測定した。腫瘍が直径2cmに達したら、または潰瘍形成したら、マウスを安楽死させた。
このモデルでは、SW V−49sは、確立された腫瘍の増殖速度を顕著に遅くした(図14C、p<0.0001)。SW V−49sで処置した群の平均生存率は、ビヒクル群で33日であったのと比べて、58日であった(図14D、カプラン・マイヤー生存曲線、p=0.0002)。マウスには、目立った非特異的効果はなく、処置によく耐えた。
SYO−1滑膜肉腫(SS)異種移植体も、300nmolesのSW V−49で処置した。SSの急速増殖モデルにおいて、増殖阻害が観測された。図14Eは、SW V−49(300nmoles)で14日間処置及びその後の、SS細胞株SYO−1の無胸腺ヌードマウス異種移植体を示す、p<0.0001。SYO異種移植は、PDACに対して達成された結果と同様な結果を得るために必要とするSW V−49の用量が少なかった。これらの結果は、膵癌及び滑膜肉腫の両方で、SW V−49sの高い効力を実証し、その選択的送達を示す。
本発明は、以下の態様および実施態様を含む。
[1]
以下の構造
式中、nは1〜5の整数であり、RはHまたはメチルである、
である、化合物またはその塩。
[2]
n=1かつRはHである、[1]に記載の化合物またはその塩。
[3]
n=5かつRはHである、[1]に記載の化合物またはその塩。
[4]
前記塩は、シュウ酸塩である、[1]〜[3]いずれか1項に記載の化合物またはその塩。
[5]
癌の治療方法であって、該治療を必要としている対象に、[1]〜[3]いずれか1項に記載の化合物またはその塩を治療上有効量で投与することを含む、前記方法。
[6]
前記化合物またはその塩は、[2]に記載の化合物またはその塩である、[5]に記載の癌の治療方法。
[7]
前記化合物またはその塩は、[3]に記載の化合物またはその塩である、[5]に記載の癌の治療方法。
[8]
前記癌は、膵癌である、[5]〜[7]いずれか1項に記載の癌の治療方法。
[9]
前記癌は、滑膜肉腫である、[5]〜[7]いずれか1項に記載の癌の治療方法。
[10]
[1]に記載の化合物の合成方法であって、以下の構造
の化合物と、以下の構造
の化合物を反応させることを含み、
式中、nは1〜5の整数であり、RはHまたはメチルである、
前記方法。
[11]
n=1かつRはHである、[10]に記載の方法。
[12]
n=5かつRはHである、[10]に記載の方法。
[13]
癌の治療に使用するための、[1]に記載の化合物またはその塩。
[14]
前記癌は、膵癌である、[13]に記載の化合物またはその塩。
[15]
前記癌は、滑膜肉腫である、[13]に記載の化合物またはその塩。
[16]
癌の治療用医薬の製造のための、[1]に記載の化合物または塩の使用。
[17]
前記癌は、膵癌である、[16]に記載の化合物またはその塩の使用。
[18]
前記癌は、滑膜肉腫である、[16]に記載の化合物またはその塩の使用。
他の実施形態
上記に記載された詳細な説明は、当業者が本開示を実施する助けとなるように提供されるものである。しかしながら、本明細書中記載され特許請求される開示は、本明細書中開示される具体的な実施形態によりその範囲が制限されないものとする。なぜなら、これらの実施形態は、本開示の複数の態様の例示を意図するからである。等価な実施形態は何でも本開示の範囲内に含まれるものとする。事実、本明細書中示され記載されるものに加えて、本発明発見の精神または範囲から逸脱しない本開示の様々な修飾が、上記の説明から当業者には明らかであるだろう。そのような修飾もまた、付随する請求項の範囲内に含まれるものとする。

引用される参照は全て、それぞれがそっくりそのまま、参照として本明細書により援用される。出願人らは、どの参照の著者により提示されるどのような結論に対しても異議を申し立てる権利を有する。

Claims (22)

  1. 構造式IV
    (IV)
    [式中、
    nが1、2、3、4および5より選択される整数であり、R2がHまたはメチルである]
    を有する、化合物またはその塩。
  2. n=1であり、R2がHである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
  3. n=5であり、R2がHである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
  4. 塩がシュウ酸塩である、請求項13のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  5. 下記構造式

    より選択される化合物またはその塩
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩、および薬学上許容されるキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む、組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を含む、治療を必要とする対象においてを治療するための医薬であって、癌が膵癌または滑膜肉腫である、医薬
  8. 化合物またはその薬学上許容される塩が、請求項2に記載の化合物またはその塩である、請求項7に記載の医薬。
  9. 化合物またはその薬学上許容される塩が、請求項3に記載の化合物またはその塩である、請求項7に記載の医薬。
  10. 癌が膵癌である、請求項7に記載の医薬。
  11. 癌が滑膜肉腫である、請求項7に記載の医薬。
  12. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩および更なる治療薬を含む、治療を必要とする対象において膵癌または滑膜肉腫を治療するための医薬であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩が、患者に更なる治療薬と順次または同時投与される、医薬。
  13. 更なる治療薬が、アルキル化剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、架橋剤、DNA複製阻害剤、挿入剤、微小管破壊剤、PARP阻害剤、放射線類似作用剤、放射線増感剤、鎖分断剤またはトポイソメラーゼII阻害剤より選択される、請求項12に記載の医薬。
  14. 更なる治療薬が、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、バラセルチブ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デメトキシビリジン、ジクロロアセタート、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オラパリブ、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、ペリホシン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンより選択される、請求項12または13に記載の医薬。
  15. 請求項1に記載の化合物またはその塩の合成方法であって、構造
    で示される化合物を、構造
    で示される化合物と反応させることを含み、
    式中、nは1〜5の整数であり、R2はHまたはメチルである、方法。
  16. n=1であり、R2がHである、請求項15に記載の方法。
  17. n=5であり、R2がHである、請求項15に記載の方法。
  18. 構造式SW V-49:
    (SW V-49)
    で示される化合物またはその薬学上許容される塩。
  19. 請求項18に記載の化合物またはその薬学上許容される塩および1以上の薬学上許容される賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含む、医薬組成物。
  20. 請求項18に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を含む、治療を必要とする患者において癌を治療するための医薬であって、癌が膵癌または滑膜肉腫である、医薬
  21. 癌が膵癌である、請求項20に記載の医薬。
  22. 癌が滑膜肉腫である、請求項20に記載の医薬。
JP2016560467A 2014-04-01 2015-04-01 抗腫瘍化合物としてのシグマ−2受容体リガンド薬物結合体、その合成法及び使用 Active JP6557253B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201461973366P 2014-04-01 2014-04-01
US61/973,366 2014-04-01
PCT/US2015/023954 WO2015153814A1 (en) 2014-04-01 2015-04-01 Sigma-2 receptor ligand drug conjugates as antitumor compounds, methods of synthesis and uses thereof

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017509672A JP2017509672A (ja) 2017-04-06
JP2017509672A5 JP2017509672A5 (ja) 2018-01-25
JP6557253B2 true JP6557253B2 (ja) 2019-08-07

Family

ID=54241267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016560467A Active JP6557253B2 (ja) 2014-04-01 2015-04-01 抗腫瘍化合物としてのシグマ−2受容体リガンド薬物結合体、その合成法及び使用

Country Status (8)

Country Link
US (4) US10087175B2 (ja)
EP (1) EP3126356B1 (ja)
JP (1) JP6557253B2 (ja)
CN (1) CN106459011B (ja)
AU (2) AU2015240775B2 (ja)
CA (1) CA2944069C (ja)
ES (1) ES2743701T3 (ja)
WO (1) WO2015153814A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2015240775B2 (en) 2014-04-01 2019-01-03 Washington University Sigma-2 receptor ligand drug conjugates as antitumor compounds, methods of synthesis and uses thereof
US11175296B2 (en) 2016-10-26 2021-11-16 Washington University Methods of diagnosing and treating cancer comprising ME1
US20200138829A1 (en) * 2017-05-24 2020-05-07 Ferro Therapeutics, Inc. Methods of cancer treatment
US11541116B1 (en) 2022-01-07 2023-01-03 Kojin Therapeutics, Inc. Methods and compositions for inducing ferroptosis in vivo

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7358262B2 (en) * 2003-01-29 2008-04-15 Whitehead Institute For Biomedical Research Identification of genotype-selective anti-tumor agents
US20070161644A1 (en) * 2005-01-25 2007-07-12 Stockwell Brent R Erastin analogs and uses thereof
JP2008537726A (ja) * 2005-01-25 2008-09-25 ホワイトヘッド インスティチュート フォー バイオメディカル リサーチ 癌細胞を殺傷するためのエラスチンアナログおよびその使用
EP1848698B1 (en) * 2005-01-25 2013-03-13 Prolexys Pharmaceuticals, Inc. Quinoxaline derivatives as antitumor agents
WO2006130426A2 (en) 2005-05-27 2006-12-07 Kemia, Inc. Modulators of ccr-5 activity
AU2006330883A1 (en) * 2005-12-22 2007-07-05 Prolexys Pharmaceuticals, Inc. 3-aryl-substituted quinazolones, and uses thereof
WO2008013987A2 (en) * 2006-07-27 2008-01-31 Prolexys Pharmaceuticals, Inc. N-alkyl substituted piperazinylmethylquinazolinones and azepanylmethylquinazolinones
EP2061759B1 (en) * 2006-10-04 2013-03-27 Bristol-Myers Squibb Company Cyclic modulators of chemokine receptor activity
US8143222B2 (en) 2007-10-22 2012-03-27 Washington University Modular platform for targeted therapeutic delivery
AU2015240775B2 (en) 2014-04-01 2019-01-03 Washington University Sigma-2 receptor ligand drug conjugates as antitumor compounds, methods of synthesis and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
EP3126356A1 (en) 2017-02-08
US20200123149A1 (en) 2020-04-23
US10344029B2 (en) 2019-07-09
US20210221805A1 (en) 2021-07-22
AU2019200353A1 (en) 2019-02-07
EP3126356B1 (en) 2019-07-31
AU2019200353B2 (en) 2020-01-30
EP3126356A4 (en) 2017-08-16
US10975069B2 (en) 2021-04-13
AU2015240775A1 (en) 2016-10-20
WO2015153814A1 (en) 2015-10-08
US20170015660A1 (en) 2017-01-19
JP2017509672A (ja) 2017-04-06
US10087175B2 (en) 2018-10-02
CN106459011A (zh) 2017-02-22
NZ724819A (en) 2020-09-25
ES2743701T3 (es) 2020-02-20
CN106459011A8 (zh) 2017-06-30
AU2015240775B2 (en) 2019-01-03
CA2944069A1 (en) 2015-10-08
CA2944069C (en) 2022-03-08
US20190002457A1 (en) 2019-01-03
CN106459011B (zh) 2019-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI827646B (zh) Ptpn11抑制劑
US10975069B2 (en) Sigma-2 receptor ligand drug conjugates as antitumor compounds, methods of synthesis and uses thereof
CN105899491B (zh) 用于抑制shp2活性的1-哒嗪-/三嗪-3-基-哌(-嗪)/啶/吡咯烷衍生物及其组合物
ES2899461T3 (es) Inhibidores heterocíclicos de glutaminasa
US9296687B2 (en) Modulators of HSP70/DnaK function and methods of use thereof
WO2018005533A1 (en) Antiproliferative pyrimidine-based compounds
CA3056893A1 (en) Compounds and compositions for treating hematological disorders
AU2017220738A1 (en) Carboxamide derivatives useful as RSK inhibitors
AU2021202619B2 (en) Multifunctional inhibitors of MEK/PI3K and mTOR/MEK/PI3K biological pathways and therapeutic methods using the same
ES2952281T3 (es) Compuestos deuterados para uso en el tratamiento del cáncer
BR112019022553A2 (pt) novo derivado de tetrahidronaftil ureia
KR20230049678A (ko) 이카로스 또는 아이올로스에 의해 매개되는 장애를 위한 유리한 요법
US20190352300A1 (en) Pyrrolopyrimidine itk inhibitors for treating inflammation and cancer
US20200197385A1 (en) Therapeutic agent for cancer containing axl inhibitor as active ingredient
KR101693326B1 (ko) 3,4-디히드로퀴나졸린 유도체 및 그를 포함하는 복합제
JP2008531720A (ja) 過剰増殖疾患のアントラキノンによる治療
NZ724963A (en) Mdm2 inhibitors and therapeutic methods using the same

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171208

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181113

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190212

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6557253

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250