JP6556208B2 - ヒドロゲル組成物およびこれを含む薬物送達システム - Google Patents
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Description
本出願は、2016年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/411065号の利益および2017年10月18日に出願された台湾特許出願第106135658号の優先権を主張し、それらの全体が参照することにより本明細書に援用される。
本技術分野は、新規なヒドロゲル組成物およびこれを含む薬物送達システムに関する。
[1]
ヒドロゲル組成物であって、
マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)と、
末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と
を含み、前記ヒドロゲル組成物のpH値が4.0〜6.5である、ヒドロゲル組成物;
[2]
前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の分子量が10kDa〜1000kDaである、[1]に記載のヒドロゲル組成物。
[3]
前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)のグラフト率が5%〜40%である、[1]および[2]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[4]
前記ヒドロゲル組成物中の、前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の濃度が0.75wt%〜10wt%である、[1]、[2]および[3]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[5]
前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)がチオール基を含まない、[1]、[2]、[3]および[4]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[6]
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)の分子量が2kDa〜20kDaである、[1]、[2]、[3]、[4]および[5]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[7]
前記ヒドロゲル組成物中の、前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)の濃度が0.75wt%〜10wt%である、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]および[6]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[8]
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)が4アームタイプ、8アームタイプまたはY形である、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]および[7]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[9]
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)がマレイミド基を含まない、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]および[8]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[10]
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の、前記マレイミド基に対する前記チオール基のモル比が0.2〜5.0である、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]および[9]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[11]
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の、前記マレイミド基に対する前記チオール基のモル比が1.0〜1.5である、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]、[9]および[10]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物;
[12]
[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]、[9]、[10]および[11]のうちの1つに記載のヒドロゲル組成物と、
前記ヒドロゲル組成物中に封入された医薬活性成分と
を含む薬物送達システム;
[13]
前記医薬活性成分が、成長因子、ホルモン、ペプチド、タンパク質、抗体、親水性小分子および疎水性小分子からなる群より選ばれたものである、[12]に記載の薬物送達システム;
[14]
前記医薬活性成分が、完全(intact)抗体および抗体フラグメントからなる群より選ばれたものである、[12]および[13]のうちの1つに記載の薬物送達システム;
[15]
前記医薬活性成分が、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体からなる群より選ばれたものである、[12]、[13]および[14]のうちの1つに記載の薬物送達システム;
[16]
前記医薬活性成分が、抗腫瘍薬、抗精神病薬、鎮痛薬および抗生物質からなる群より選ばれたものである、[12]および[13]のうちの1つに記載の薬物送達システム;
[17]
前記医薬活性成分が、ポリマー、金属、荷電化合物または荷電粒子とさらに会合して、その複合体を形成する、[12]、[13]、[14]、[15]および[16]のうちの1つに記載の薬物送達システム;
[18]
前記ポリマーにはポリグルタミン酸(PGA)、ヒアルロン酸、キトサン、またはデキストランが含まれる、[17]に記載の薬物送達システム;
[19]
前記金属には、亜鉛、カルシウム、マグネシウムまたは鉄が含まれる、[17]に記載の薬物送達システム;
[20]
前記複合体のサイズが10nm〜100μmである、[17]に記載の薬物送達システム;ならびに
[21]
前記医薬活性成分または前記複合体の濃度が1mg/mL〜300mg/mLである、[12]、[17]および[20]のうちの1つに記載の薬物送達システム。
以下の詳細な記載においては、説明の目的で、開示される実施形態が十分に理解されるよう多数の特定の詳細が記載される。しかし、これらの特定の詳細がなくとも、1つまたは複数の実施形態が実施可能であることは明らかであろう。また、図を簡略とするために、既知の構造および装置は概略的に示されている。
実施例1
ヒドロゲル組成物(1)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.4であり、混合溶液のpHは5.5であった。目視の確認によると、ゲル化は成功していた。
ヒドロゲル組成物(2)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.004gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:8.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.8であり、混合溶液のpHは5.5であった。目視の確認によると、ゲル化は成功していた。
ヒドロゲル組成物(3)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.005gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:10wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは5.5であった。目視の確認によると、ゲル化は成功していた。
ヒドロゲル組成物(4)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.001gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%、pH:4.0)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:7.2)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.8であり、混合溶液のpHは5.6であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には12分かかった。
ヒドロゲル組成物(5)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.001gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%、pH:4.0)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.002gを脱イオン水50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.4)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.8であり、混合溶液のpHは4.3であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には20分かかった。
ヒドロゲル組成物(6)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.001gを脱イオン水50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%、pH:3.9)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.002gを脱イオン水50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.4)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.8であり、混合溶液のpHは4.1であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には6時間以上かかった。
ヒドロゲル組成物(7)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:3.9)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.002gを脱イオン水50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.4)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.4であり、混合溶液のpHは4.2であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には10分かかった。
ヒドロゲル組成物(8)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.001gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%、pH:4.0)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:10kDa、4アームタイプ)0.002gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:7.2)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.4であり、混合溶液のpHは5.6であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には2〜3分かかった。
ヒドロゲル組成物(9)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):31.6%)0.001gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%、pH:4.0)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:10kDa、4アームタイプ)0.0015gをPBS 50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:3wt%、pH:7.2)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.3であり、混合溶液のpHは5.6であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には6〜8分かかった。
ヒドロゲル組成物(10)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.002gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.2)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.004gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:8.0wt%、pH:5.5)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は2.0であり、混合溶液のpHは4.9であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化にかかった時間は5分未満であった。
ヒドロゲル組成物(11)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.002gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.2)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.006gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:12.0wt%、pH:5.5)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は3.0であり、混合溶液のpHは4.9であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化にかかった時間は5分未満であった。
ヒドロゲル組成物(12)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.002gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:4.0wt%、pH:4.2)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.01gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:20wt%、pH:5.5)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は5.0であり、混合溶液のpHは4.9であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には1日以上かかった。
ヒドロゲル組成物(13)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):5.4%)0.01gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:20wt%、pH:4.2)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.005gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:10wt%、pH:5.5)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは4.9であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には2〜3分かかった。
ヒドロゲル組成物(14)の作製
先ず、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.01gをPBS 50μL中に溶解して、第1の溶液を作った(濃度:20wt%、pH:4.2)。次に、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.01gを0.9% NaCl溶液50μL中に溶解して、第2の溶液を作った(濃度:20wt%、pH:5.5)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは4.9であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には1〜2分かかった。
薬物送達システム(1)の作製
ハーセプチン(Herceptin)粉末0.00106gを0.9% NaCl溶液中に溶解し、薬物溶液(濃度:10.6mg/mL)を形成した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.89であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には4分かかった。
薬物送達システム(2)の作製
ハーセプチン粉末0.00106gを0.9% NaCl溶液中に溶解し、薬物溶液(濃度:10.6mg/mL)を形成した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.67であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には5分かかった。
薬物送達システム(3)の作製
ハーセプチン粉末0.00106gを0.9% NaCl溶液中に溶解し、薬物溶液(濃度:10.6mg/mL)を形成した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):5.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.33であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には5分かかった。
薬物送達システム(4)の作製
ハーセプチン粉末0.00106gを0.9% NaCl溶液中に溶解し、薬物溶液(濃度:10.6mg/mL)を形成した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):5.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には6分かかった。
薬物送達システム(5)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、145.5mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):5.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.33であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には1分かかった。
薬物送達システム(6)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、145.5mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):5.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には1分かかった。
薬物送達システム(7)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、145.5mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.0006gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.2wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.71であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には1分かかった。
薬物送達システム(8)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、128.6mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には20分かかった。
薬物送達システム(9)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、128.6mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には10分かかった。
薬物送達システム(10)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、128.6mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には4分かかった。
薬物送達システム(11)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、205mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には15〜17分かかった。
薬物送達システム(12)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、205mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には5〜6分かかった。
薬物送達システム(13)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解してから、塩化ナトリウム水溶液(0.9%)を用いて4℃で24時間透析して(MWCO:10000)、薬物溶液を形成した。次いで、薬物溶液を遠心分離し(4000g、4℃)、205mg/mLになるまで濃縮した。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には2〜3分かかった。
薬物送達システム(14)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解して、薬物溶液を形成した(濃度:190mg/mL)。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には3〜5分かかった。
薬物送達システム(15)の作製
ハーセプチン粉末0.1gを脱イオン水中に溶解して、薬物溶液を形成した(濃度:160mg/mL)。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):19.8%)0.00075gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:1.5wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化にかかった時間は2分未満であった。
薬物送達システム(16)の作製
MOPSバッファー50μL中のハーセプチン粉末0.01848gと、MOPSバッファー50μL中のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa,DS(グラフト率):11.3%)0.001gとを混合して複合体溶液を形成し、遠心分離して上澄み30μLを除去した。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを0.9%NaCl溶液30μL中に溶解し、複合体溶液と混合して、ヒドロゲルを作製した(最終薬物濃度:184.8mg/mL)。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には5分かかった。
薬物送達システム(17)の作製
0.9% NaCl溶液をバッファー溶液として用い、濃度128.0mg/mLのハーセプチン/Zn複合体溶液を作った。pH値5.0の酸性条件下、適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)、およびチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をハーセプチン/Zn複合体溶液中に溶解して、PGA濃度1.0wt%、PEG濃度0.75wt%のハーセプチンヒドロゲルを作製した(マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.7)。ゲル化時間は30分を超えた。
薬物送達システム(18)の作製
0.5Mヒスチジン溶液をバッファー溶液として用い、濃度208.0mg/mLのハーセプチン/Zn複合体溶液を作った。pH値4.3の酸性条件下、適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)、およびチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をハーセプチン/Zn複合体溶液中に溶解して、PGA濃度1.3wt%、PEG濃度0.8wt%のハーセプチンヒドロゲルを作製した(マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.6)。ゲル化時間は5〜10分であった。
薬物送達システム(19)の作製
ドキソルビシン粉末0.004gを脱イオン水中に溶解して、薬物溶液を形成した(濃度:4.0mg/mL)。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.0015gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:3.0wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは4.5であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には20〜30分かかった。
薬物送達システムの作製
ドキソルビシン粉末0.002gを脱イオン水中に溶解して、薬物溶液を形成した(濃度:2.0mg/mL)。次いで、マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)0.001gを薬物溶液50μL中に溶解し、第1の溶液を作った(濃度:2.0wt%)。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.006gを薬物溶液50μL中に溶解し、第2の溶液を作った(濃度:12wt%)。次いで、第1の溶液と第2の溶液を等容量(50μL)で混合し、ヒドロゲルを作製した。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は6.0であり、混合溶液のpHは5.0であった。目視の確認によると、ゲル化は失敗した。
ヒドロゲル作製に対するpHの影響
各種バッファー溶液を用い、濃度1.5wt%のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.5%)の各種溶液を作製した。各種バッファー溶液を用い、濃度1.5wt%のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)の各種溶液を作製した。マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の溶液とチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)の溶液とを各種pH環境下で混合してヒドロゲルを作製し、ゲル化のプロセスを観察した。表1に、ゲル化時間、均一性およびヒドロゲルの剛性などの結果が示されている。
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対するアルカリ性pHの影響
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対する酸性pHの影響
ヒドロゲルGAEG13を実施例25により作製した。ヒドロゲルGAEG14を実施例26により作製した。ヒドロゲルGAEG15を実施例27により作製した。薬物搭載ヒドロゲル(GAEG13、GAEG14およびGAEG15)のカプセル化および溶解に対する酸性pHの影響について試験を行った。
薬物複合体搭載ヒドロゲル(1)の溶解効果
MOPSバッファー50μL中のハーセプチン粉末0.01848gと、MOPSバッファー50μL中のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)0.001gとを混合して複合体溶液を形成し、遠心分離して上澄み30μLを除去した。次いで、チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)0.001gを0.9% NaCl溶液30μL中に溶解し、複合体溶液と混合して、ヒドロゲル(PGA01)を作製した(最終薬物濃度184.8mg/mL)。この作製において、マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0であり、混合溶液のpHは6.0であった。目視の確認によると、ゲル化は成功しており、ゲル化には5分かかった。
薬物複合体搭載ヒドロゲル(2)の溶解効果
0.9% NaCl溶液をバッファー溶液として用い、濃度128.0mg/mLのハーセプチン/Zn複合体溶液を作製した。pH値5.0(酸性条件)下、適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:1000kDa、DS(グラフト率):12.5%)およびチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をハーセプチン/Zn複合体溶液中に溶解し、PGA濃度1.0wt%、PEG濃度0.75wt%(マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.7)のハーセプチンヒドロゲルを作り、ヒドロゲル(GAEGZ001)を作製した。ゲル化時間は30分を超えた。
薬物搭載ヒドロゲルの放出挙動
0.9% NaCl溶液をバッファー溶液として用い、濃度10.6mg/mLのハーセプチン溶液を作製した。次いで、適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):11.3%)をハーセプチン溶液中に溶解して、濃度3.0wt%の第1の溶液を作った。次いで、適量のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をハーセプチン溶液中に溶解して、濃度3.0wt%の第2の溶液を作った。次いで、pH値6.0(酸性条件)下で第1の溶液と第2の溶液とを混合し(マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0)、ヒドロゲルを作製した。ゲル化時間は10〜15分であった。
薬物複合体搭載ヒドロゲルの放出挙動
0.5Mヒスチジン溶液をバッファー溶液として用い、濃度9.3mg/mLのハーセプチン/Zn複合体溶液を作った。pH値4.1(酸性条件)下、適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率:9.0%)およびチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)ハーセプチン/Zn複合体溶液中に溶解して、PGA濃度1.5wt%、PEG濃度1.5wt%のハーセプチンヒドロゲルを作り(マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0)、ヒドロゲル(GAEGZ007)を作製した。ゲル化時間は50〜60分であった。
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対する酸性pHの影響
濃度141.3mg/mLのエタネルセプト(Etanercept)溶液を作った。適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):5.0%)をエタネルセプト溶液中に溶解し、濃度4.1wt%の第1の溶液を作った。適量のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をエタネルセプト溶液中に溶解し、濃度1.5wt%の第2の溶液を作った。pH値6.3(酸性条件)下で第1の溶液と第2の溶液とを混合し(マレイミド基に対するチオール基のモル比は0.8)、ヒドロゲルを作製した。ゲル化時間は90〜120分であった。
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対する酸性pHの影響
濃度100mg/mLのHSA(ヒト血清アルブミン)溶液を作った。適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率): 12.1%)をHSA溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第1の溶液を作った。適量のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をHSA溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第2の溶液を作った。pH値5.0〜6.15(酸性条件)下で第1の溶液と第2の溶液とを混合し(マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0)、ヒドロゲル(A)を作製した。ゲル化時間は8〜12分であった。
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対するアルカリ性pHの影響
濃度50mg/mLのHSA(ヒト血清アルブミン)溶液を作った。適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):12.1%)をHSA溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第1の溶液を作った。適量のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をHSA溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第2の溶液を作った。pH値8.18(アルカリ性条件)下で第1の溶液と第2の溶液とを混合し(マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0)、ヒドロゲル(D)を作製した。しかし、ヒドロゲルは即座にゲル化してしまった。
薬物搭載ヒドロゲルのカプセル化および溶解に対する酸性pHの影響
濃度20mg/mLのリラグルチド溶液を作製した。適量のマレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)(Mw:200〜400kDa、DS(グラフト率):12.1%)をリラグルチド溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第1の溶液を作った。適量のチオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)(Mw:5kDa、4アームタイプ)をリラグルチド溶液中に溶解し、濃度2.0wt%の第2の溶液を作った。pH値5.0(酸性条件)下で第1の溶液と第2の溶液とを混合し(マレイミド基に対するチオール基のモル比は1.0)、ヒドロゲル(A)を作製した。ゲル化時間は8〜12分であった。
薬物搭載ヒドロゲルのin−vivo薬物動態(pharmacokinetics,PK)の研究
薬物複合体搭載ヒドロゲルのin−vivo薬物動態(pharmacokinetics,PK)の研究
まず、濃度20.0mg/mLの“ハーセプチン”溶液を、対照群として作製した。
薬物搭載ヒドロゲルのin−vivo薬力学(pharmacodynamics,PD)の研究
“ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)”溶液を準備し、対照群とした。
薬物複合体搭載ヒドロゲルのin−vivo薬力学(PD)の研究
“ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)”溶液を準備し、対照群とした。
Claims (20)
- ヒドロゲル組成物であって、
マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)と、
末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と
を含み、
前記ヒドロゲル組成物のpH値が4.0〜6.5であり、
前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の、前記マレイミド基に対する前記チオール基のモル比が0.2〜5.0である、
ヒドロゲル組成物。 - 前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の分子量が10kDa〜1000kDaである、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)のグラフト率が5%〜40%である、請求項1および2のうちの1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記ヒドロゲル組成物中の、前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の濃度が0.75wt%〜10wt%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)がチオール基を含まない、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)の分子量が2kDa〜20kDaである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記ヒドロゲル組成物中の、前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)の濃度が0.75wt%〜10wt%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)が4アームタイプ、8アームタイプまたはY形である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)がマレイミド基を含まない、請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 前記末端チオール基を含有するポリエチレングリコール(PEG)と前記マレイミド基を含有するポリグルタミン酸(PGA)の、前記マレイミド基に対する前記チオール基のモル比が1.0〜1.5である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒドロゲル組成物と、
前記ヒドロゲル組成物中に封入された医薬活性成分と
を含む薬物送達システム。 - 前記医薬活性成分が、成長因子、ホルモン、ペプチド、タンパク質、抗体、親水性小分子および疎水性小分子からなる群より選ばれたものである、請求項11に記載の薬物送達システム。
- 前記医薬活性成分が、完全(intact)抗体および抗体フラグメントからなる群より選ばれたものである、請求項11および12のうちの1項に記載の薬物送達システム。
- 前記医薬活性成分が、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体からなる群より選ばれたものである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
- 前記医薬活性成分が、抗腫瘍薬、抗精神病薬、鎮痛薬および抗生物質からなる群より選ばれたものである、請求項11および12のうちの1項に記載の薬物送達システム。
- 前記医薬活性成分が、ポリマー、金属、荷電化合物または荷電粒子とさらに会合して、その複合体を形成する、請求項11〜15のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
- 前記ポリマーにはポリグルタミン酸(PGA)、ヒアルロン酸、キトサン、またはデキストランが含まれる、請求項16に記載の薬物送達システム。
- 前記金属には、亜鉛、カルシウム、マグネシウムまたは鉄が含まれる、請求項16に記載の薬物送達システム。
- 前記複合体のサイズが10nm〜100μmである、請求項16に記載の薬物送達システム。
- 前記医薬活性成分または前記複合体の濃度が1mg/mL〜300mg/mLである、請求項11、16および19のうちのいずれか1項に記載の薬物送達システム。
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