(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。本実施形態の冷却モジュール1は、図1に示すように、主たる構成要素として、複数個の接触部材2と、1個の冷却器3を備えている。冷却モジュール1は、例えばハイブリッド自動車などの車両に搭載される。冷却器3は、1個の冷媒導入部4、1個の冷媒導出部5、複数個の供給ヘッダ部6、複数個の排出ヘッダ部7、および複数個の冷却チューブ20を有している。
複数個の冷却チューブ20の各々は、1本の扁平かつ細長い管である。冷却チューブ20の厚み方向の最大長さをD、長手方向の最大長さをL、短手方向の最大長さをWとすると、扁平であるとは、D<Wであることをいい、細長いとは、W<Lであることをいう。
これら冷却チューブ20は、一定間隔を空けて、互いに平行に、個々の厚み方向に積層されて、配置されている。以下、冷却チューブ20の長手方向、短手方向、厚み方向を、それぞれ、チューブ長手方向、チューブ短手方向、チューブ厚み方向ともいう。また、積層方向は、チューブ厚み方向と一致する。積層方向に隣り合うどの2個の冷却チューブ20間においても、1つの接触部材2が挟まれている。
冷媒導入部4は、冷却器3の外部から冷媒(例えば、水、エチレングリコール等)を導入する配管である。冷媒導入部4は、複数個の冷却チューブ20のうち、積層方向の一方側の端に配置された冷却チューブ20に接続される。より具体的には、冷媒導入部4は、当該冷却チューブ20のチューブ長手方向一端部に接合される。
冷媒導出部5は、冷却器3の外部に冷媒を導出する配管である。冷媒導出部5は、冷媒導入部4の接続先である冷却チューブ20に接続される。より具体的には、冷媒導出部5は、当該冷却チューブ20のチューブ長手方向他端部に接合される。
複数個の供給ヘッダ部6は、配管であり、積層方向に隣り合うあらゆる2個の冷却チューブ20の上記チューブ長手方向一端部(すなわち、冷媒導入部4側の端部)の間に、1個ずつ配置される。そして、複数個の供給ヘッダ部6の各々は、当該供給ヘッダ部6を挟む2個の冷却チューブ20の両方に接合される。この供給ヘッダ部6の内部空間を介して、当該2個の冷却チューブの内部空間が互いに連通する。
複数個の排出ヘッダ部7は、配管であり、積層方向に隣り合うあらゆる2個の冷却チューブ20の上記チューブ長手方向他端部(すなわち、冷媒導出部5側の端部)の間に、1個ずつ配置される。そして、複数個の排出ヘッダ部7の各々は、当該排出ヘッダ部7を挟む2個の冷却チューブ20両方に接合される。この排出ヘッダ部7の内部空間を介して、当該2個の冷却チューブの内部空間が互いに連通する。
このような構成により、冷却器3の外部から冷媒導入部4に導入された冷媒は、直接、もしくは、1個または複数個の供給ヘッダ部6を通って、複数個の冷却チューブ20の上記チューブ長手方向一端部から、複数個の冷却チューブ20の内部空間に流入する。更に冷媒は、複数個の冷却チューブ20の内部空間の各々において、当該冷却チューブ20の上記チューブ長手方向一端部から上記チューブ長手方向他端部まで流れる。更に冷媒は、当該冷却チューブ20の上記チューブ長手方向他端部から、直接、もしくは、1個または複数個の排出ヘッダ部7を通って、冷媒導出部5から冷却器3の外部に導出される。
接触部材2の各々は、図2に示すように、発熱体10、絶縁板30、接合材40、弾性部材50を有している。発熱体10は、駆動時等に発熱する。
発熱体10は、いわゆる両面放熱型のモールドパッケージとして構成されている。具体的に、発熱体10は、発熱素子11と、発熱素子11に電気的および熱的に接続されたヒートシンク12と、これら発熱素子11およびヒートシンク12を封止するモールド樹脂13とを有する。
発熱素子11は、シリコン半導体等よりなるもので、たとえばMOSトランジスタおよびIGBT等のパワー素子等よりなる。このような発熱素子11は、通常の半導体プロセス等により、たとえば半導体チップとして形成されたものである。
ヒートシンク12は、発熱素子11の表裏両側に、すなわち、図2中の発熱素子11の上下両側に、それぞれに設けられている。このヒートシンク12は、銅、鉄等の放熱性に優れた金属等よりなるもので、板状をなし、発熱素子11の放熱板且つ電極として機能する。
発熱素子11における表裏の各側において、ヒートシンク12の一方の板面と発熱素子11とが、はんだ14を介して電気的および機械的に接合されている。このはんだ14は、この種のモールドパッケージに通常採用されるものとすることができ、典型的には鉛フリーはんだ等よりなる。
そして、これらヒートシンク12、発熱素子11、ヒートシンク12が順次積層された積層体が、モールド樹脂13により、包み込まれるように封止されている。このモールド樹脂13は、ポリイミドやエポキシ樹脂等の典型的なモールド材料よりなり、トランスファー成形、コンプレッション成形等より形成されたものである。
ここで、発熱素子11の表裏両側において、各ヒートシンク12は、発熱素子11とはんだ接続されている板面とは反対側の板面をモールド樹脂13より露出させている。そして、各ヒートシンク12において、このモールド樹脂13から露出する面が、放熱の用をなす放熱面15として構成されている。
このように、発熱体10は、当該発熱体10の表面において2個の放熱面15を有している。駆動時等に発生する発熱素子11の熱は、ヒートシンク12に伝わり、放熱面15を介して、発熱体10の外部に放出されるようになっている。このように、発熱体10は、発熱素子11の表裏両側、すなわち発熱体10の表裏両側に放熱面15を有しており、上記した両面放熱型のモールドパッケージとして構成されている。
なお、発熱体10は、この種のモールドパッケージと同様に、一部がモールド樹脂13で封止された図示しないリードフレームを備えている。そして、このリードフレームにおけるインナーリードと発熱素子11とがワイヤボンディング等で接続されている。また、このリードフレームにおけるアウターリードは、モールド樹脂13より露出して、外部配線部材等との電気的接続が可能なものとされている。
また、図示しないが、各ヒートシンク12には、各ヒートシンク12に一体に形成された端子部が設けられ、この端子部はモールド樹脂13より露出している。そして、これらリードフレームや各ヒートシンク12の端子部により、本実施形態の発熱体10は、発熱体10外部、ひいては冷却モジュール1外部との電気的な接続が可能になる。
上述の複数個の冷却チューブ20は、発熱体10と熱交換して発熱体10を冷却する冷却器として機能する。これら複数個の冷却チューブ20は、例えばアルミニウム等の熱伝導性に優れ、軽量化等に適した金属よりなる。
複数個の冷却チューブ20は、発熱体10における表裏の両放熱面15のそれぞれに対向して設けられている。つまり、冷却モジュール1は、積層方向に隣り合うどの2個の冷却チューブ20の間にも発熱体10が挟まれてなる積層構成を有する。
これら複数個の冷却チューブ20のそれぞれにおいては、表面のうち発熱体10の放熱面15に対向する一面が、放熱面15と熱的に接続される冷却面19とされている。つまり、冷却面19は、放熱面15との間で熱交換して発熱体10を冷却する用をなすものとされている。
具体的には、複数個の冷却チューブ20の各々は、図2中の上下方向を厚さ方向とし、表裏の矩形の主面を有する薄型の直方体形状をなすもので、発熱体10と対向する一方の主面に冷却面19が形成されている。
複数個の絶縁板30の各々は、電気絶縁性且つ熱伝導性を有する板であり、発熱体10の放熱面15と冷却チューブ20の冷却面19との間の電気絶縁性および熱伝導性を確保するものである。これら複数個の絶縁板30としては、たとえばシリコンナイトライドやアルミナ等のセラミックやガラス等よりなる板が挙げられる。また、これら複数個の絶縁板30は、絶縁板30としての電気絶縁性および熱伝導性が確保されるならば、たとえば電気絶縁性の樹脂等を板状に成形したものであってもよい。
これら複数個の絶縁板30の各々は、発熱体10の表裏の各側において、放熱面15と冷却チューブ20の冷却面19との間に介在している。具体的には、各絶縁板30は、表裏の板面のうちの一面を放熱面15に対向させ、他面を冷却面19に対向させた状態とされている。
ここで、各冷却チューブ20の冷却面19と、当該冷却面19に対向する絶縁板30との間には、金属製の接合材40が介在し、この接合材40によって、絶縁板30は冷却面19に一体に接合されている。この接合材40は、典型的には、ろう材であるが、はんだ等であってもよい。
たとえば、ろう材としてはAl−Cu、Al−Ag、Al−Si等が挙げられ、はんだとしては、Cuを含むCu系のはんだ等が挙げられる。このように、各絶縁板30は、冷却面19に対して、金属接合されている。金属接合の方法としては、ろう付け、はんだ付け等のろう接が採用される。
このような金属製の接合材40は、2種類の金属から構成される共晶からなるもの、つまり共晶部とされたものであり、図2に示されるように、冷却面19と接合されていることが望ましい。
この共晶部としての接合材40は、冷却面19と接合材40とについて共晶による接合を発現しやすい材料を適宜選択することで接合される。接合材40による共晶部が形成されていると、冷却面19と接合材40とで接合は確保されるので、強固な接合が実現されやすくなる、という利点がある。また、冷却モジュールの壊れ方を考えた場合、この共晶部の存在により、共晶部の脆弱な部分が優先的に破損するので、接合された絶縁板30自身が破損することはなく、漏電による機能停止を防ぐことができる、という利点もある。
具体的に述べると、典型的には、接合材40を構成する金属は、冷却面19すなわち冷却チューブ20を構成する金属とは異種金属である。また、共晶とは、共融混合物とも言い、同時に析出する2種以上の結晶の混合物である。
ここで、冷却面19を構成する金属が、たとえばAlであり、接合材40が、たとえば、Al−Cuである場合には、接合材40を構成する金属はCuである。そして、この場合、共晶部は、Al−Cuの共晶により構成される。また、接合材40がAl−Cuで構成されている場合、接合性の確保等の点から、接合材40による共晶部を形成するθ相の厚さが2μm以下であることが望ましい。なお、絶縁板30と接合材40とは、直接接触した状態で、ろう付けやはんだ付けの形態で接合されていればよい。
また、発熱体10の各放熱面15と絶縁板30との間には、接合材40よりも軟らかい弾性部材50が介在している。弾性部材50は、絶縁板30と密着すると共に、発熱体10の放熱面15とも密着する。各放熱面15と絶縁板30とは、弾性部材50を介して接続されている。
さらに言えば、弾性部材50は、接合材40よりも弾性率あるいはヤング率が小さく、軟らかく変形しやすいものである。このようなヤング率が小さい弾性部材50としては、典型的には、シリコーン樹脂等よりなる放熱グリスが挙げられる。なお、弾性部材50としては、弾性を有するとともに使用環境耐性を有するものであれば、その他、ゴム等よりなるシートなどであってもよい。
こうして、本実施形態の冷却モジュール1は、複数個の冷却チューブ20、複数個の絶縁板30、および、複数個の発熱体10が、複数個の接合材40および複数個の弾性部材50を介して積層された構成となっている。そして、各発熱体10の放熱面15とこれに対向する冷却チューブ20の冷却面19とは、対応する接合材40、対応する絶縁板30および対応する弾性部材50を介して接触することで、熱的に接続されている。
このような熱的接続構成を採用することにより、接合材40、絶縁板30および弾性部材50を介して放熱面15と冷却面19との間で熱交換が行われる。そのため、発熱体10に発生する熱は、冷却チューブ20に放熱され、発熱体10は冷却される。
ここで、本実施形態では、冷却チューブ20、絶縁板30、発熱体10がこの順で繰り返し積層された積層構成とされているが、この積層構成は、図示しない箇所にて、ねじ止め等の固定手段等により保持されている。具体的には、積層方向に圧縮される力が印加された状態で、これら冷却チューブ20、絶縁板30および発熱体10の積層がなされている。
このような本実施形態の冷却モジュール1の組み付け方法の一例を、次に示す。まず、各冷却チューブ20の冷却面19に、接合材40を介して絶縁板30を接合し、冷却チューブ20と絶縁板30とを一体化しておく。
次に、各絶縁板30に弾性部材50を配置しておくか、もしくは、各発熱体10の放熱面15に弾性部材50を配置しておく。そして、複数個の冷却チューブ20と複数個の発熱体10とを積層する。そして、上記ねじ止め等を行い、積層された各部品同士を固定する。こうして、冷却モジュール1ができあがる。
本実施形態によれば、各冷却チューブ20の冷却面19と、それに対向する発熱体10の放熱面15との間の伝熱経路、つまり放熱経路に、電気絶縁性の絶縁板30が介在する。したがって、冷却面19と放熱面15とは電気的に絶縁される。また、当該放熱経路において、冷却面19と絶縁板30との間に介在する金属製の接合材40により、熱抵抗の悪化を抑制することができる。
また、当該放熱経路において、放熱面15と絶縁板30との間に介在する低ヤング率の弾性部材50により、発熱による線膨張係数差に起因して絶縁板30に発生する応力を緩和することができるから、従来のような当該熱的接続部分をモールド樹脂で囲う構成を採用することは、不要となる。
したがって、冷却チューブ20の冷却面19と発熱体10の放熱面15との絶縁性を確保しつつ、発熱体10と絶縁板30の線膨張係数差により絶縁板30に発生する応力の緩和を実現することができる。また、したがって、冷却チューブ20の冷却面19と発熱体10の放熱面15との絶縁性を確保しつつ、熱的接続部分における熱抵抗の悪化の低減を実現することができる。
また、予め冷却チューブ20と絶縁板30とを一体に接合したうえで、放熱面15と絶縁板30との間に弾性部材50を配置して、発熱体10を組み付けている。そのため、放熱面15と絶縁板30との間、および、絶縁板30と冷却面19との間の両方に、それぞれ放熱グリス等の弾性部材を配置して組み付けを行う場合に比べて、組み付け作業の簡素化が期待できる。
次に、各冷却チューブ20の構成について更に詳細に説明する。複数の冷却チューブ20の各々の構成は、いずれも同じである。冷却チューブ20は、図2、図3に示すように、2個の外殻プレート21、22、1個の中間プレート23、および2個のインナーフィン24、25を有している。これら部材21、22、23、24、25は、すべて同一部材であり、例えばアルミニウム等の金属よりなる。また、部材21、22、23、24、25の線膨張係数は、絶縁板30の線膨張係数よりも大きい。例えば、部材21、22、23、24、25の線膨張係数は、絶縁板30の線膨張係数の3倍以上ででもよいし、6倍以上でもよい。
外殻プレート21、22は、互いから遠ざかる方向に凸に湾曲した2個の板部材である。外殻プレート21、22は、接合材40の絶縁板30側とは反対側に配置される。冷却チューブ20の内部空間は、外殻プレート21、22に囲まれることで形成される。この内部空間を冷媒が流通する。また、外殻プレート21、22のいずれか一方または両方の外側の面は、接合材40を介して絶縁板30に接合される冷却面19である。
また、各外殻プレート21のチューブ長手方向の一端部には、冷却チューブ20の内部空間を供給ヘッダ部6内部または冷媒導入部4内部に連通させるための連通孔が形成されている。また、外殻プレート21のチューブ長手方向の他端部には、冷却チューブ20の内部空間を排出ヘッダ部7内部または冷媒導出部5内部に連通させるための連通孔が形成されている。外殻プレート21は、第1外殻プレートに対応する。
また、各外殻プレート22のチューブ長手方向の一端部には、冷却チューブ20の内部空間を供給ヘッダ部6内部または冷媒導入部4内部に連通させるための連通孔が形成されている。また、外殻プレート22のチューブ長手方向の他端部には、冷却チューブ20の内部空間を排出ヘッダ部7内部または冷媒導出部5内部に連通させるための連通孔が形成されている。外殻プレート22は、第2外殻プレートに対応する。
ここで、積層方向に直交する平面を投影面とする。チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート21の連通孔と外殻プレート22の連通孔をこの投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。また、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート21の連通孔と外殻プレート22の連通孔をこの投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。
中間プレート23は、上記内部空間に収容された平板形状の部材である。中間プレート23は、絶縁板30に対向する姿勢で、すなわち、絶縁板30に対して直交しない姿勢で、配置される。例えば、中間プレート23は、絶縁板30に平行に配置されていてもよい。
中間プレート23は、外殻プレート21、22以外の冷却チューブ20の構成要素に該当する。この中間プレート23は、図2に示すように、当該内部空間を積層方向一方側の空間と積層方向他方側の空間に仕切る。中間プレート23から見て外殻プレート21側にある絶縁板30を基準とすれば、当該積層方向一方側の空間は、当該基準となる絶縁板30に近い側の空間であり、当該積層方向他方側の空間は、当該基準となる絶縁板30から遠い側の空間である。
この中間プレート23の全周は、外殻プレート21の縁部と外殻プレート22の縁部に挟まれて保持される。したがって、図2に示すように、少なくともチューブ短手方向の一端23aおよび他端23bが、チューブ長手方向の全範囲に亘って、外殻プレート21の縁部と外殻プレート22の縁部に挟まれて保持される。中間プレート23が有するこれらチューブ短手方向の一端23aおよび他端23bが、2個の被保持部に該当する。
したがって、中間プレート23のチューブ長手方向の両端部もチューブ短手方向の両端部も、外殻プレート21の縁部と外殻プレート22の縁部に挟まれて保持および固定される。中間プレート23の外周縁部は、外殻プレート21、22の縁部に、ろう付けされていてもよいし、はんだ付けされていてもよい。
図4に示すように、中間プレート23は、チューブ長手方向の両端部に2個の貫通孔形成部231、232を有する。
貫通孔形成部231によって形成される貫通孔は、複数の排出ヘッダ部7の内部空間と一列に並ぶ位置に配置されている。また、貫通孔形成部231によって形成される貫通孔は、チューブ長手方向の貫通孔形成部231側における外殻プレート21の連通孔と外殻プレート22の連通孔と、積層方向に垂直な面内の配置がほぼ一致している。
ここで、積層方向に直交する平面を投影面とする。貫通孔形成部231によって形成される貫通孔と、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。また。貫通孔形成部231によって形成される貫通孔と、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。
また、貫通孔形成部232によって形成される貫通孔と、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。また。貫通孔形成部232によって形成される貫通孔と、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、少なくとも一部で、具体的にほぼ全部で、互いに重なり合う。
したがって、複数個の排出ヘッダ部7の内部空間は、貫通孔形成部231によって形成される貫通孔を介して、積層方向に真っ直ぐ一列に連通する。このようになっていることで、外殻プレート21の当該連通孔から、貫通孔形成部231が形成する貫通孔を通って、外殻プレート22の当該連通孔に至る直線経路が、他の部材によって遮られることなく存在する。これら直線経路には、積層方向に平行な直線経路も含まれる。
貫通孔形成部232によって形成される貫通孔は、複数の供給ヘッダ部6の内部空間と一列に並ぶ位置に配置されている。また、貫通孔形成部232によって形成される貫通孔は、チューブ長手方向の貫通孔形成部232側における外殻プレート21の連通孔と外殻プレート22の連通孔と、積層方向に垂直な面内の配置がほぼ一致している。
したがって、複数個の供給ヘッダ部6の内部空間は、貫通孔形成部232によって形成される貫通孔を介して、積層方向に真っ直ぐ一列に連通する。このようになっていることで、外殻プレート21の当該連通孔から、貫通孔形成部232が形成する貫通孔を通って、外殻プレート22の当該連通孔に至る直線経路が、他の部材によって遮られることなく存在する。これら直線経路には、積層方向に平行な直線経路も含まれる。
なお、図3に、積層方向に垂直な平面に発熱体10と外殻プレート21と絶縁板30を投影した図を示す。この図では、外殻プレート21を実線で表し、発熱体10および絶縁板30を破線で表している。
また、図4に、積層方向に垂直な平面に発熱体10と中間プレート23と絶縁板30とインナーフィン24、とインナーフィン25とを投影した図を示す。図4では、中間プレート23を実線で表し、発熱体10、絶縁板30、インナーフィン24およびインナーフィン25を破線で表している。インナーフィン24とインナーフィン25の外形は一致している。
図4に示すように、積層方向に垂直な平面において、中間プレート23の貫通孔形成部231、232が投影される範囲の全体は、絶縁板30が投影される破線内の範囲の外にある。
また、中間プレート23は、図4、図5、図6、図7に示すように、貫通孔形成部231、232とは別に、第1スリット形成部233および第2スリット形成部234を有している。
第1スリット形成部233および第2スリット形成部234は、中間プレート23のチューブ短手方向両端部の間に設けられている。この両端部は、既に説明した通り、外殻プレート21、22に挟まれて保持されている。
ここで、積層方向に直交する平面を投影面とする。第1スリット形成部233によって形成される貫通孔(すなわちスリット)と、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。また、第1スリット形成部233によって形成される貫通孔(すなわちスリット)と、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。
また、第1スリット形成部233によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。第1スリット形成部233によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。
また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート21の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。
また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記一端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。第2スリット形成部234によって形成されるスリットと、チューブ長手方向の上記他端側における外殻プレート22の連通孔とを、この投影面に投影した場合、投影された2つの図形は、部分的にも重なることなく、分離している。
また、図4に示すように、第1スリット形成部233によって形成されるスリットをこの投影面に投影した範囲は、その一部が、インナーフィン24をこの投影面に投影した範囲と重なる。また、第1スリット形成部233によって形成されるスリットをこの投影面に投影した範囲は、その一部が、インナーフィン25をこの投影面に投影した範囲と重なる。したがって、当該スリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。
また、図4に示すように、第2スリット形成部234によって形成されるスリットをこの投影面に投影した範囲は、その一部が、インナーフィン24をこの投影面に投影した範囲と重なる。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットをこの投影面に投影した範囲は、その一部が、インナーフィン25をこの投影面に投影した範囲と重なる。したがって、当該スリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。
第1スリット形成部233および第2スリット形成部234の各々は、チューブ長手方向に伸びる細長いスリットを形成する。これら第1スリット形成部233および第2スリット形成部234は、絶縁板30の湾曲を抑えるために設けられている。
第1スリット形成部233によって形成されるスリットは、中間プレート23を、チューブ短手方向の長さが同じ3つの部分にチューブ短手方向に分けた場合に、それら3つの部分のうち中央部分以外の一方の部分に形成されている。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットは、上記3つの部分のうち中央部分でも上記一方の部分でもない他方の部分に形成されている。なお、これら分けられた部分のチューブ短手方向の長さを計測する際は、スリットもインナーフィン24の一部として計測する。
第1スリット形成部233は、中央部233a、導入側端部233b、排出側端部233cを有している。
中央部233aが形成するスリットは、チューブ長手方向に伸びる細長いスリットである。このスリットは、チューブ長手方向の一端において導入側端部233bが形成するスリットに繋がり、チューブ長手方向の他端において排出側端部233cが形成するスリットに繋がる。図4に示すように、積層方向に垂直な平面(すなわち投影面)において、中央部233aが投影される範囲の全体は、絶縁板30が投影される範囲にも発熱体10が投影される範囲にも含まれる。また、図4に示すように、中央部233aによって形成されるスリットの全体は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる。
積層方向に垂直な平面において、導入側端部233bが投影される範囲の一部(すなわち、貫通孔形成部231により近い一部)のみが、絶縁板30が投影される範囲に含まれる。また、積層方向に垂直な平面において、導入側端部233bが投影される範囲の一部(すなわち、貫通孔形成部231により近い一部)のみが、発熱体10が投影される範囲に含まれる。
図4に示すように、第1スリット形成部233が形成するスリットのうち、導入側端部233bが形成する部分の一部のみが、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる。
第1スリット形成部233が形成するスリットのうち、導入側端部233bが形成する部分は、中央部233aが形成する部分に比べ、チューブ短手方向の長さが長く、チューブ長手方向の長さが短い。
積層方向に垂直な平面において、排出側端部233cが投影される範囲の一部(すなわち、貫通孔形成部231により近い一部)のみが、絶縁板30が投影される範囲に含まれる。また、積層方向に垂直な平面において、排出側端部233cが投影される範囲の一部(すなわち、貫通孔形成部231により近い一部)のみが、発熱体10が投影される範囲に含まれる。
図4に示すように、第1スリット形成部233が形成するスリットのうち、排出側端部233cが形成する部分の一部のみが、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる。
第1スリット形成部233が形成するスリットのうち、排出側端部233cが形成する部分は、中央部233aが形成する部分に比べ、チューブ短手方向の長さが長く、チューブ長手方向の長さが短い。
第2スリット形成部234は、中央部234a、導入側端部234b、排出側端部234cを有している。中央部234a、導入側端部234b、排出側端部234cは、上述の中央部233a、導入側端部233b、排出側端部233cの説明において中央部233a、導入側端部233b、排出側端部233cをそれぞれ中央部234a、導入側端部234b、排出側端部234cに置き換えて成り立つ特徴を有している。
また、図4、図5、図6、図7に示すように、導入側端部233b、排出側端部233c、導入側端部234b、排出側端部234cには、それぞれリブ235、236、237、238が接続されている。
リブ235、236、237、238は、中間プレート23の一部であり、中間プレート23の他の部分と一体に形成されている。リブ236、237は、積層方向の外殻プレート21側に伸びており、インナーフィン24の位置決めのために用いられる。リブ235、238は、積層方向の外殻プレート22側に伸びており、インナーフィン25の位置決めのために用いられる。中央部233aは、リブ235、236よりもチューブ短手方向内側に配置されている。中央部234aは、リブ237、238よりもチューブ短手方向内側に配置されている。
インナーフィン24は、図2、図8に示すように、冷却チューブ20の内部空間に収容されて中間プレート23と外殻プレート21の間に配置される板である。インナーフィン25は、図2、図8に示すように、冷却チューブ20の内部空間に収容されて中間プレート23と外殻プレート22の間に配置される板である。これらインナーフィン24、25の各々は、ストレートフィンと呼ばれるタイプのインナーフィンである。
インナーフィン24、25は、当該内部空間を流通する冷媒と発熱体10との伝熱を促進させる部材である。そのために、インナーフィン24、25は、積層方向に蛇行しながらチューブ短手方向に伸びる波形状を有している。
これによりインナーフィン24は、中間プレート23と外殻プレート21の間の空間をチューブ長手方向に伸びる複数個の細流路に仕切っている。これら複数個の細流路は、チューブ短手方向に並んでいる。また、インナーフィン25は、中間プレート23と外殻プレート22の間の空間をチューブ長手方向に伸びる複数個の細流路に仕切っている。
インナーフィン24、25のどちらも、チューブ長手方向の長さおよび配置は、絶縁板30のチューブ長手方向における長さおよび配置と同じである。したがって、インナーフィン24、25のどちらも、チューブ長手方向の一端は第1スリット形成部233の導入側端部233bおよび第2スリット形成部234の導入側端部234bに重なる。また、インナーフィン24、25のどちらも、チューブ長手方向の一端は第1スリット形成部233の排出側端部233cおよび第2スリット形成部234の排出側端部234cに重なる。そして、インナーフィン24は、リブ236、237によってチューブ長手方向の端部が位置決めされている。また、インナーフィン25は、リブ235、238によってチューブ長手方向の端部が位置決めされている。
図8に示すように、インナーフィン24は、複数個の外殻プレート接触部241、複数個の中間プレート接触部242、および複数個の連結部243を有している。
複数個の外殻プレート接触部241の各々は、外殻プレート21側の波形状の頂点部であり、外殻プレート21に接触される部分である。これら複数個の外殻プレート接触部241は、外殻プレート21に溶接(例えば、ろう付け、はんだ付け)によって接合されている。これら複数個の外殻プレート接触部241は、チューブ短手方向に並んで配置される。また、これら複数個の外殻プレート接触部241の各々は、チューブ長手方向に伸びている。
複数個の中間プレート接触部242の各々は、中間プレート23側の波形状の頂点部であり、中間プレート23に接触する部分である。これら複数個の中間プレート接触部242は、中間プレート23に溶接(例えば、ろう付け、はんだ付け)によって接合されている。これら複数個の中間プレート接触部242は、チューブ短手方向に並んで配置される。また、これら複数個の中間プレート接触部242の各々は、チューブ長手方向に伸びている。
複数個の連結部243の各々は、波形状の隣り合う2個の頂点を繋ぐ部分である。複数個の連結部243の各々は、チューブ短手方向の一端において外殻プレート接触部241に接続し、チューブ短手方向の他端において中間プレート接触部242に接続し、外殻プレート21にも中間プレート23にも接触しない。これら複数個の連結部243も、チューブ短手方向に並んで配置される。
リブ237は、図8に示すように、チューブ短手方向の一方側の最も外側にある中間プレート接触部242と、当該一方側の2番目に外側にある中間プレート接触部242の間において、インナーフィン24に向けて突出している。このようになっていることで、リブ237によってインナーフィン24が位置決めされる。
また、図示しないが、リブ236は、チューブ短手方向の他方側の最も外側にある中間プレート接触部242と、当該他方側の2番目に外側にある中間プレート接触部242の間において、インナーフィン24に向けて突出している。このようになっていることで、リブ236によってインナーフィン24が位置決めされる。
図8に示すように、インナーフィン25は、複数個の外殻プレート接触部251、複数個の中間プレート接触部252、および複数個の連結部253を有している。
複数個の外殻プレート接触部251の各々は、外殻プレート22側の波形状の頂点部であり、外殻プレート22に接触する部分である。これら複数個の外殻プレート接触部251は、外殻プレート22に溶接(例えば、ろう付け、はんだ付け)によって接合されている。これら複数個の外殻プレート接触部251は、チューブ短手方向に並んで配置される。また、これら複数個の外殻プレート接触部251の各々は、チューブ長手方向に伸びている。
複数個の中間プレート接触部252の各々は、中間プレート23側の波形状の頂点部であり、中間プレート23に接触する部分である。これら複数個の中間プレート接触部252は、中間プレート23に溶接(例えば、ろう付け、はんだ付け)によって接合されている。これら複数個の中間プレート接触部252は、チューブ短手方向に並んで配置される。また、これら複数個の中間プレート接触部252の各々は、チューブ長手方向に伸びている。
複数個の連結部253の各々は、波形状の隣り合う2個の頂点を繋ぐ部分である。複数個の連結部253の各々は、チューブ短手方向の一端において外殻プレート接触部251に接続し、チューブ短手方向の他端において中間プレート接触部252に接続し、外殻プレート22にも中間プレート23にも接触しない。これら複数個の連結部253も、チューブ短手方向に並んで配置される。
図示しないが、リブ238は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側にある中間プレート接触部252と、当該一方側の2番目に外側にある中間プレート接触部252の間において、インナーフィン25に向けて突出している。このようになっていることで、リブ238によってインナーフィン25が位置決めされる。
また、図示しないが、リブ235は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側にある中間プレート接触部252と、当該他方側の2番目に外側にある中間プレート接触部252の間において、インナーフィン25に向けて突出している。このようになっていることで、リブ235によってインナーフィン25が位置決めされる。
ここで、インナーフィン24と第2スリット形成部234との位置関係について説明する。図8に示すように、複数個の中間プレート接触部242のうちチューブ短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部242の間には、複数個の外殻プレート接触部241のうち一部の外殻プレート接触部241が配置される。
特に、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目および3番目にある2個の中間プレート接触部242の間には、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241が配置される。
そして、図8に示すように、第2スリット形成部234の中央部234aによって形成されるスリットの全体は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接する空間244aに直接連通している。
また図示しないが、第2スリット形成部234の導入側端部234bによって形成されるスリットの一部は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接する空間244aに直接連通している。それと共に、当該スリットの一部は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側にある外殻プレート接触部241に接する空間244bにも直接連通している。
また図示しないが、第2スリット形成部234の排出側端部234cによって形成されるスリットの一部は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接する空間244aに直接連通している。それと共に、当該スリットの一部は、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側にある外殻プレート接触部241に接する空間244bにも直接連通している。
ここで、中間プレート23のうち、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から2番目にある中間プレート接触部242に接触する部分を接触部分Aとする。そして、中間プレート23のうち、チューブ短手方向の上記一方側の最も外側から3番目にある中間プレート接触部242に接触する部分を接触部分Bとする。この場合、接触部分Aから伸びて接触部分Bに至るチューブ短手方向に平行な直線は、すべて、第2スリット形成部234によって形成されたスリットを通る。このようになっていることで、第2スリット形成部234による絶縁板30の湾曲低減効果を高めることができる。
次に、インナーフィン24と第1スリット形成部233との位置関係について説明する。図示しないが、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目および3番目にある2個の中間プレート接触部242の間には、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241が配置される。
そして、第1スリット形成部233の中央部233aによって形成されるスリットの全体は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接するに直接連通している。
また図示しないが、第1スリット形成部233の導入側端部233bによって形成されるスリットの一部は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接する空間に直接連通している。それと共に、当該スリットの一部は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側にある外殻プレート接触部241に接する空間にも直接連通している。
また図示しないが、第1スリット形成部233の排出側端部233cによって形成されるスリットの一部は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目にある外殻プレート接触部241に接する空間に直接連通している。それと共に、当該スリットの一部は、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側にある外殻プレート接触部241に接する空間にも直接連通している。
ここで、中間プレート23のうち、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から2番目にある中間プレート接触部242に接触する部分を接触部分Cとする。そして、中間プレート23のうち、チューブ短手方向の上記他方側の最も外側から3番目にある中間プレート接触部242に接触する部分を接触部分Dとする。この場合、接触部分Cから伸びて接触部分Dに至るチューブ短手方向に平行な直線は、すべて、第1スリット形成部233によって形成されたスリットを通る。このようになっていることで、第1スリット形成部233による絶縁板30の湾曲低減効果を高めることができる。
インナーフィン25と第2スリット形成部234との位置関係は、インナーフィン24と第2スリット形成部234の関係の説明において、外殻プレート接触部241、中間プレート接触部242、空間244a、空間244bを、それぞれ、外殻プレート接触部251、中間プレート接触部252、空間254、空間255に置き換えた事項が成り立つ。
インナーフィン25と第1スリット形成部233との位置関係は、インナーフィン24と第1スリット形成部233の関係の説明において、外殻プレート接触部241、中間プレート接触部242を、それぞれ、外殻プレート接触部251、中間プレート接触部252に置き換えた事項が成り立つ。
以上のような構成の冷却モジュール1を製造する際の、接合材40を用いた絶縁板30と冷却チューブ20の接合工程について説明する。接合工程では、ろう接が採用されるので、冷却チューブ20、絶縁板30、接合材40が高温になる。接合工程が終了した後は、冷却チューブ20、絶縁板30、接合材40が急速に冷却される。その際、冷却チューブ20、絶縁板30、接合材40が収縮する。
冷却チューブ20の線膨張係数が絶縁板30の線膨張係数よりも大きいので、これらが冷えて収縮するとき、冷却チューブ20の方が絶縁板30よりも収縮量が大きくなる傾向にある。以下では、絶縁板30に接合されているのが外殻プレート21である場合について説明するが、絶縁板30に接合されているのが外殻プレート22であっても同じことが言える。
外殻プレート21のうち絶縁板30に接合されている部分は、絶縁板30と同程度しか収縮しないものの、絶縁板30に接合されていない中間プレート23は、外殻プレート21に比べて収縮量が大きい。
すると、中間プレート23の被保持部23a、23bによって、外殻プレートが中間プレートに引き込まれてしまう。この引き込みによって外殻プレート21が変形する。この変形では、外殻プレート21のうち、中間プレート23を保持する部分の近傍が絶縁板30側に向かって盛り上がる。このような外殻プレート21の変形に伴い、図9に示すように、絶縁板30が冷却チューブ20に向かって凸に湾曲してしまう。なお、図9では外殻プレート21および絶縁板30の変形量は、誇張されて描かれている。外殻プレート21および絶縁板30の実際の変形量はもっと小さい。
図9のように、絶縁板30が冷却チューブ20に向かって凸に湾曲してしまうと、弾性部材50の厚みが部分的に増加し、その結果、絶縁板30と発熱体10との間の距離が長くなって、絶縁板30、弾性部材50、発熱体10間の密着性が悪化する。絶縁板30と発熱体10の間の距離が長くなると、弾性部材50を介した熱伝達性能に影響がある。
しかし、本実施形態の冷却モジュール1では、中間プレート23のチューブ短手方向両端部の間に、第1スリット形成部233および第2スリット形成部234が設けられている。この両端部は、既に説明した通り、外殻プレート21、22に挟まれて保持されている。
このように、チューブ短手方向両端部の間の部分に、第1スリット形成部233および第2スリット形成部234が設けられていることで、中間プレート23の当該部分における短手方向の剛性が低下する。その結果、中間プレート23が外殻プレート21をチューブ短手方向に引き込む力が低減され、絶縁板30の湾曲が抑制される。絶縁板30の湾曲が抑制されれば、絶縁板30と発熱体10の間の距離が長くなることを抑えられ、ひいては、接合材40を介した熱伝達性能の低下が抑えられる。
また、絶縁板30が冷却チューブ20に向かって凸に湾曲してしまう別の要因として、中間プレート23と外殻プレート21、22の間にあるインナーフィン24、25の存在がある。
中間プレート23が縮むと、インナーフィン24、25の中間プレート接触部242、252も、中間プレート23の縮む方向に付勢される。また、もし第1スリット形成部233、第2スリット形成部234がなければ、中間プレート23は全体的にチューブ短手方向中央部に向かって縮む。したがって、もし中間プレート23に第1スリット形成部233、第2スリット形成部234も設けられていなければ、チューブ短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部の間に配置される一部の外殻プレート接触部は、短手方向の両側から押し縮められる。
ここで、冷却チューブ20が、中間プレート23に代えて、スリットが形成されていない中間プレート123を有している比較例について説明する。この比較例において、冷却チューブ20、絶縁板30が接合後に収縮する場合、インナーフィン24、25は、図10に示す状態から図11に示す状態に変形する。つまり、チューブ短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部の間に配置される一部の外殻プレート接触部は、短手方向の両側から押し縮められる。その結果、インナーフィン24、25は、図11に示すように、外殻プレート21、22側に更に突出してしまう。
このように突出してしまう外殻プレート接触部が、図11に示すように、中間プレート123の短手方向の端部付近に存在していれば、絶縁板30が冷却チューブ20に向かって凸に湾曲してしまう要因となる。
これに対し、本実施形態では、第1スリット形成部233、第2スリット形成部234によって形成されるスリットが、一部の外殻プレート接触部241、251に接する空間に連通および開口している。そして、当該一部の外殻プレート接触部241は、チューブ短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部242の間にある。また、当該一部の外殻プレート接触部251は、チューブ短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部252の間にある。ここで、外殻プレート接触部が2個の中間プレート接触部の間にあるとは、インナーフィン24に沿って、外殻プレート接触部が2個の中間プレート接触部の間にあることを言う。
中間プレート23は、冷えて縮む際、スリットが大きくなるように縮む。言い換えれば、スリットを囲む第1スリット形成部233のうちチューブ短手方向の一方側端部と他方側端部は互いに反対方向に縮む。また、スリットを囲む第2スリット形成部234のうちチューブ短手方向の一方側端部と他方側端部は互いに反対方向に縮む。
したがって、上記のような外殻プレート接触部241、251に接する空間に、スリットが連通していれば、当該外殻プレート接触部241、251は、中間プレートの短手方向の両端部に引き伸ばされる。この結果、外殻プレート接触部241、251が短手方向の両側から押し縮められて外殻プレート側に更に突出する可能性が低下するので、絶縁板30の湾曲が抑制される。
また、積層方向に垂直な平面において第1スリット形成部233が投影される範囲の一部、すなわち、中央部233aの全部および導入側端部233b、排出側端部233cの一部は、発熱体10が投影される範囲に含まれる。また、積層方向に垂直な平面において第2スリット形成部234が投影される範囲の一部、すなわち、中央部234aの全部および導入側端部233b、排出側端部233cの一部は、発熱体10が投影される範囲に含まれる。このようになっていることで、第1スリット形成部233、第2スリット形成部234によって形成されるスリットが発熱体10の近傍に配置されるので、絶縁板30の湾曲を抑制することが熱伝達性能の悪化抑制に顕著に寄与する。
ここで、本実施形態の絶縁板30、冷却チューブ20の接合が完了し、冷却チューブ20と絶縁板30が冷却された後の、絶縁板30の平面度について説明する。図12は、図3と同等の図において、絶縁板30の各部の積層方向位置が等高線で表されている。また、図13には、絶縁板30上の一点鎖線90、91で示す部分の積層方向位置が、それぞれ実線90A、91Aで表されている。図13においては、横軸が高さ、すなわち、図12における積層方向の手前ほど高くなる量を表す。また、図13においては、縦軸がチューブ短手方向の位置を表す。なお、絶縁板30上の一点鎖線92で示す部分の積層方向位置は、絶縁板30上の一点鎖線91で示す部分の積層方向位置と同じである。
この図に示すように、積層方向に垂直な平面において発熱体10が投影される範囲内では、絶縁板30の高さは、チューブ長手方向の端部付近かつチューブ短手方向の端部付近に対応する位置で、最も高い。また、当該範囲内では、絶縁板30の高さは、チューブ長手方向の中央付近かつチューブ短手方向の中央付近に対応する位置で、最も低い。そして、当該範囲内では、絶縁板30の最大高さと最低高さの差はH1である。なお、図13における範囲Wは、積層方向に垂直な平面において発熱体10が投影される範囲を表す。
ここで、比較例として、中間プレート23と比べて第1スリット形成部233、第2スリット形成部234を有しない中間プレートを有する冷却モジュールにおける、絶縁板30の平面度について説明する。この平面度は、絶縁板30、冷却チューブ20の接合が完了し、冷却チューブ20と絶縁板30が冷却された後の平面度である。
図14は、図12同様、絶縁板30の各部の積層方向位置が等高線で表されている。また、図15には、図13と同じ形式で、絶縁板30上の一点鎖線90、91で示す部分の積層方向位置が、それぞれ実線90B、91Bで表されている。なお、絶縁板30上の一点鎖線92で示す部分の積層方向位置は、絶縁板30上の一点鎖線91で示す部分の積層方向位置と同じである。
この図に示すように、積層方向に垂直な平面において発熱体10が投影される範囲内では、絶縁板30の高さは、チューブ長手方向の端部付近かつチューブ短手方向の端部付近に対応する位置で、最も高い。また、当該範囲内では、絶縁板30の高さは、チューブ長手方向の中央付近かつチューブ短手方向の中央付近に対応する位置で、最も低い。そして、当該範囲内では、絶縁板30の最大高さと最低高さの差はH2である。
これら高低差H1、H2は、それぞれの絶縁板30の平面度を示す指標である。高低差H2は、図13に示した高低差H1の約2倍である。したがって、本実施形態の絶縁板30の方が、比較例の絶縁板30に比べ、反りが少ない。
なお、本実施形態の冷却モジュール1では、冷却モジュール1が完成した時点において、絶縁板30の高さが最も高い位置、すなわち、絶縁板30の接合対象の冷却チューブ20から遠ざかる方向に最も盛り上がっている位置に、スリットの一部が形成されている。これらスリットは、第1スリット形成部233および第2スリット形成部234によって形成されるスリットである。このようになっていることで、絶縁板30の反りがより低減される。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態の冷却モジュール1は、第1実施形態の冷却モジュール1に対して、各中間プレート23を図16に示す中間プレート23xに置き換えたものである。
中間プレート23xは、第1実施形態の中間プレート23に対して、2個の置き換えが行われたものである。具体的には、中間プレート23xでは、中間プレート23に対して、第1スリット形成部233の中央部233aが、2個の中央部233a1、233a2に置き換えられている。そして、中間プレート23xでは、中間プレート23に対して、第2スリット形成部234の中央部234aが、2個の中央部234a1、234a2に置き換えられている。
図16に示す通り、中央部233a1と中央部233a2は、チューブ長手方向に一列に並んでおり、それぞれ、チューブ長手方向に伸びる細長いスリットを形成している。
中央部233a1が形成するスリットは、貫通孔形成部232側の端部で導入側端部233bに形成されるスリットに繋がる。中央部233a2が形成するスリットは、貫通孔形成部231側の端部で排出側端部233cに形成されるスリットに繋がる。
中央部233a1が形成するスリットと中央部233a2が形成するスリットは、チューブ長手方向に分離している。したがって、中間プレート23xのチューブ長手方向中央部には、第1スリット形成部233によって形成されるスリットが存在しない部分がある。
また、中央部234a1、234a2についても、上述の中央部233a1、233a2の説明において、中央部233a1、中央部233a2、導入側端部233b、排出側端部233c、第1スリット形成部233をそれぞれ中央部234a1、中央部234a2、導入側端部234b、排出側端部234c、第2スリット形成部234に置き換えたときの特徴が成立する。
したがって、中間プレート23xのチューブ長手方向中央部には、チューブ短手方向のどこにもスリットが存在しない部分が存在する。このような中間プレート23xであっても、概ね第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、このような中間プレート23xは、冷却チューブ20が2個の接触部材2に挟まれて全体として積層方向に過度に押し潰されてしまう可能性を低減することができる。
なお、図16に示されるように、第1スリット形成部233によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。本実施形態の冷却モジュール1は、第1実施形態の冷却モジュール1に対して、各中間プレート23を図17に示す中間プレート23yに置き換えたものである。
中間プレート23yは、第1実施形態の中間プレート23に対して、第1スリット形成部233の中央部233aおよび第2スリット形成部234の中央部234aの位置を変更したものである。
具体的には、本実施形態の中央部233aは、第1実施形態の中央部233aに比べ、チューブ短手方向の第2スリット形成部234から離れる側に、ずれている。この結果、本実施形態の中央部233aは、リブ235、236よりもチューブ短手方向外側に配置されている。
また、本実施形態の中央部234aは、第1実施形態の中央部234aに比べ、チューブ短手方向の第1スリット形成部233から離れる側に、ずれている。この結果、本実施形態の中央部234aは、リブ237、238よりもチューブ短手方向外側に配置されている。
このような中間プレート23xであっても、概ね第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態の冷却モジュール1では、冷却モジュール1が完成した時点において、絶縁板30の高さが最も高い位置に、スリットが形成されていない。
なお、図17に示されるように、第1スリット形成部233によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。本実施形態の冷却モジュール1は、第3実施形態の冷却モジュール1に対して、各中間プレート23yを図18に示す中間プレート23zに置き換えたものである。
中間プレート23zは、第3実施形態の中間プレート23yに対して、第3スリット形成部230を追加したものである。第3スリット形成部230が形成するスリットは、チューブ長手方向に伸びる細長いスリットである。このスリットは、チューブ長手方向の一端において貫通孔形成部232が形成する貫通孔に繋がり、チューブ長手方向の他端において貫通孔形成部231が形成する貫通孔に繋がる。
第1スリット形成部233によって形成されるスリットは、中間プレート23を、チューブ短手方向の長さが同じ3つの部分にチューブ短手方向に分けた場合に、それら3つの部分のうち中央部分以外の一方の部分に形成されている。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットは、上記3つの部分のうち中央部分でも上記一方の部分でもない他方の部分に形成されている。また、第3スリット形成部230によって形成されるスリットは、上記3つの部分のうち中央部分に形成されている。
このような中間プレート23zであっても、概ね第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図18に示されるように、第1スリット形成部233によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。また、第2スリット形成部234によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。また、第3スリット形成部230によって形成されるスリットの一部は、チューブ厚み方向においてインナーフィン24ともインナーフィン25とも重なる位置に、配置される。
(第5実施形態)
次に第5実施形態について説明する。本実施形態の冷却モジュール1は、第1実施形態の冷却モジュール1に対して、インナーフィン24を図19、図20に示すインナーフィン24xに置き換えたものである。図19は、本実施形態の冷却モジュール1を図2と同じ形式で表した図である。図20は、本実施形態のインナーフィン24xのみを表す斜視図である。インナーフィン24xは、外殻プレート21、22以外の冷却チューブ20の構成要素に該当する。
インナーフィン24xは、第1実施形態のインナーフィン24に対して、スリット形成部245、246、247、248を設けたものである。これらスリット形成部245、246、247、248が、歪緩和構造に該当する。これらスリット形成部245、246、247、248により、インナーフィン24xには2個のスリットが形成されている。
具体的には、2個のスリット形成部245、246は、それぞれチューブ長手方向に伸びており、同じ1つのスリットを形成する。このスリットも、チューブ長手方向に伸びている。スリット形成部245とスリット形成部246の間にあるこのスリットは、インナーフィン24xが存在しない空間である。
また、2個のスリット形成部247、248は、それぞれチューブ長手方向に伸びており、同じ1つのスリットを形成する。このスリットも、チューブ長手方向に伸びている。スリット形成部247とスリット形成部248の間にあるこのスリットは、インナーフィン24xが存在しない空間である。
スリット形成部245、246によって形成されるスリットは、インナーフィン24xを、チューブ短手方向の長さが同じ3つの部分にチューブ短手方向に分けた場合に、それら3つの部分のうち中央部分以外の一方の部分に形成されている。また、スリット形成部247、248によって形成されるスリットは、上記3つの部分のうち中央部分でも上記一方の部分でもない他方の部分に形成されている。なお、これら分けられた部分のチューブ短手方向の長さを計測する際は、スリットもインナーフィン24xの一部として計測する。
インナーフィン24は、これら2個のスリットにより、チューブ短手方向に3つに空間的に分離されている。より具体的には、インナーフィン24xは、スリット形成部245を有する第1部分24aと、スリット形成部246、247を有する第2部分24bと、スリット形成部248を有する第3部分24cとを有している。これら3つの部分24a、24b、24cはいずれも、冷却チューブ20の内部空間を、チューブ長手方向に伸びる複数個の細流路に仕切っている。これら複数個の細流路は、チューブ短手方向に並んでいる。
なお、インナーフィン24xは、第1実施形態の中間プレート23と同様の複数個の外殻プレート接触部241および複数個の中間プレート接触部242を有している。
冷却チューブ20と絶縁板30を接合した後に冷却チューブ20、絶縁板30、接合材40が冷却されると、第1実施形態で説明した通り、中間プレート23が縮む。中間プレート23が縮むと、インナーフィン24の中間プレート接触部242も中間プレート23の縮む方向に移動する。このとき、もしインナーフィン24xに上記スリット形成部245、246、247、248がなければ、インナーフィン24xは、チューブ短手方向の両側から大きく押し縮められる。これにより、外殻プレート接触部241は、外殻プレート21側に更に突出してしまう。このように突出してしまう外殻プレート接触部241が、中間プレート23のチューブ短手方向の端部付近に存在していれば、絶縁板30が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう要因となる。
これに対し、本実施形態のように、インナーフィン24xにスリット形成部245、246、247、248が設けられていれば、インナーフィン24xの中間プレート接触部242が中間プレート23の縮む方向に移動しても、インナーフィン24xが、チューブ短手方向の両側から押し縮められる力が弱まる。この結果、外殻プレート接触部241がチューブ短手方向の両側から押し縮められて外殻プレート21側に更に突出する可能性が低下するので、絶縁板30の湾曲が抑制される。絶縁板30の湾曲が抑制されれば、絶縁板30と発熱体10の間の距離が長くなることを抑えられる、ひいては、接合材40を介した熱伝達性能の低下が抑えられる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記各実施形態における絶縁板30は、もし接触部材2と冷却チューブ20の間の電気的絶縁が必要でないなら、電気的絶縁性を有さない板に置き換えてもよい。
(変形例2)
上記各実施形態において、中間プレートには第1スリット形成部233および第2スリット形成部234が設けられている。しかし、これらのうち1個のみが中間プレートに形成されている場合でも、弾性部材50介した熱伝達性能の低下を抑制することができる。
(変形例3)
上記各実施形態において、スリット形成部230、233、234、245、246、247、248の各々が形成するスリットは、チューブ長手方向に伸びる細長い形状となっている。しかし、スリット形成部230、233、234、245、246、247、248の各々が形成するスリットは、チューブ短手方向に伸びる細長い形状となっていてもよい。
(変形例4)
上記第4実施形態において、中間プレート23zから、第1スリット形成部233と第2スリット形成部234を廃して第3スリット形成部230のみを残してもよい。この場合でも、弾性部材50介した熱伝達性能の低下を抑制することができる。
(変形例5)
上記第5実施形態においては、インナーフィン25も、インナーフィン24と同様の特徴を有していてもよい。
(変形例6)
上記第5実施形態に記載した特徴は、第1実施形態のみならず、第2、第3、第4実施形態にも適用可能である。
(変形例7)
上記第5実施形態においては、第1スリット形成部233および第2スリット形成部234を廃してもよい。この場合でも、インナーフィン24にスリット形成部245、246、247、248が形成されているので、弾性部材50介した熱伝達性能の低下を抑制することができる。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、発熱する発熱体を含む接触部材と接触し、発熱体を冷却する扁平かつ細長い冷却チューブが以下の特徴を有する。なお、接触部材は、発熱体に密着する弾性部材と、弾性部材の発熱体側とは反対側にあって弾性部材に密着する板と、板の弾性部材側とは反対側にあって弾性部材よりもヤング率の高い接合材とを含む。冷却チューブは、第1外殻プレートと、第2外殻プレートと、中間プレートと、を備える。第1外殻プレートは、接合材の板側とは反対側に配置され、冷媒を流通させるための内部空間を第2外殻プレートと共に囲む。第1外殻プレートの外側の面は、接合材を介して板に接合されており、中間プレートは、内部空間に配置されて内部空間を板により近い側と板からより遠い側に仕切り、中間プレートは、当該冷却チューブの短手方向の両端の被保持部で第1外殻プレートと第2外殻プレートに保持され、中間プレートは、当該冷却チューブの長手方向の両端部に2個の貫通孔形成部(231、232)を有し、中間プレートは、両端の被保持部の間に、スリットを形成するスリット形成部を、2個の貫通孔形成部とは別に、有している。
発明者は、鋭意検討および試行錯誤の末、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう要因の1つに、中間プレートが第1外殻プレートと第2外殻プレートに保持される被保持部を有している点があることを見出した。接合材によって板と外殻プレートが互いに接合された後、板、接合材、第1外殻プレート、第2外殻プレートが冷えて収縮する。このとき、冷却チューブと板の線膨張係数が違うと、第1外殻プレートのうち板に接合されている部分は板と同程度しか収縮しないものの、板に接合されていない中間プレートは第1外殻プレートに比べて収縮量が大きくなる傾向にある。すると、中間プレートの被保持部によって、第1外殻プレートが中間プレートに引き込まれてしまう。
この引き込みによって第1外殻プレートが変形する。この変形では、第1外殻プレートのうち、中間プレートを保持する部分の近傍が板側に向かって盛り上がる。このような外殻プレートの変形に伴い、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう。板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまうと、弾性部材の厚みが部分的に増加し、その結果、板と発熱体の間の距離が長くなる。
そこで、発明者は、中間プレートにおいて、スリットを形成するスリット形成部を、被保持部の間に設けることを着想した。このようにすることで、中間プレートが第1外殻プレートを引き込む力が低減され、その結果、板の湾曲が抑制される。板の湾曲が抑制されれば、板と発熱体の間の距離が長くなることを抑えられる。
また、第2の観点によれば、冷却チューブは、インナーフィンを備える。中間プレートを、短手方向の長さが同じになるように、短手方向に3つの部分に分けた場合、スリットは3つの部分のうち中央部分以外の部分に形成される。インナーフィンは、内部空間に収容されて中間プレートと第1外殻プレートの間に配置される。インナーフィンは、第1外殻プレートに接触する複数個の外殻プレート接触部と中間プレートに接触する複数個の中間プレート接触部とを有する。複数個の外殻プレート接触部が短手方向に並んで配置され、複数個の中間プレート接触部が短手方向に並んで配置される。複数個の中間プレート接触部のうち短手方向に隣り合う2個の中間プレート接触部の間に、複数個の外殻プレート接触部のうち一部の外殻プレート接触部が配置される。スリットが、一部の外殻プレート接触部に接する空間に開口している。
発明者は、鋭意検討および試行錯誤の末、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう別の要因として、中間プレートと第1外殻プレートの間にあるインナーフィンの存在があることを見出した。
インナーフィンは、第1外殻プレートに接触する複数個の外殻プレート接触部と中間プレートに接触する複数個の中間プレート接触部とを有する。そして、複数個の外殻プレート接触部および複数個の中間プレート接触部は、中間プレートの短手方向に並んで配置される。また、複数個の中間プレート接触部のうち隣り合う2個の中間プレート接触部の間には、複数個の外殻プレート接触部のうち一部の外殻プレート接触部が配置される。このようになっている場合、中間プレートが縮むと、インナーフィンの中間プレート接触部も中間プレートの縮む方向に付勢される。したがって、もし上記スリット形成部がなければ、当該一部の外殻プレート接触部は、短手方向の両側から押し縮められる。これにより、当該一部の外殻プレート接触部は、第1外殻プレート側に更に突出してしまう。このように突出してしまう外殻プレート接触部が、中間プレートの短手方向の端部付近に存在していれば、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう要因となる。
そこで、発明者は、スリットを、当該一部の外殻プレート接触部に接する空間に開口するように配置することを着想した。中間プレートは、冷えて縮む際、スリットが大きくなるように縮む。言い換えれば、スリット形成部のうちスリットの一方側端部と他方側端部は互いに反対方向に縮む。したがって、上記のように、隣り合う2個の中間プレート接触部の間の一部の外殻プレート接触部に接する空間に、スリットが連通していれば、当該一部の外殻プレート接触部は、中間プレートの短手方向の両端部に引き伸ばされる。この結果、外殻プレート接触部が短手方向の両側から押し縮められて第1外殻プレート側に更に突出する可能性が低下するので、板の湾曲が抑制される。
また、第3の観点によれば、当該冷却チューブの厚み方向に垂直な平面においてスリット形成部が投影される範囲の少なくとも一部は、発熱体が投影される範囲に含まれる。このようになっていることで、スリット形成部によって形成されるスリットが発熱体の近傍に配置されるので、板の湾曲を抑制することが熱伝達性能の悪化抑制に顕著に寄与する。
また、第4の観点によれば、発熱する発熱体を含む接触部材と接触し、発熱体を冷却する冷却チューブが、以下の特徴を有する。なお、接触部材は、発熱体に密着する弾性部材と、弾性部材の発熱体側とは反対側にあって弾性部材に密着する板と、板の弾性部材側とは反対側にあって弾性部材よりもヤング率の高い接合材とを含む。冷却チューブは、第1外殻プレートと、第2外殻プレートと、中間プレートと、インナーフィンと、を備える。第1外殻プレートは、接合材の板側とは反対側に配置され、冷媒を流通させるための内部空間を第2外殻プレートと共に囲む。第1外殻プレートの外側の面は、接合材を介して板に接合されている。中間プレートは当該冷却チューブの短手方向の両端部で第1外殻プレートと第2外殻プレートに保持されている。インナーフィンは、内部空間に収容されて中間プレートと第1外殻プレートの間に配置され、中間プレートに接合される。インナーフィンは、第1外殻プレートに接触する複数個の外殻プレート接触部と中間プレートに接触する複数個の中間プレート接触部とを有し、インナーフィンは、スリットを形成するスリット形成部を有する。インナーフィンを、短手方向の長さが同じになるように、短手方向に3つの部分に分けた場合、スリットは3つの部分のうち中央部分以外の部分に形成されている。
発明者は、鋭意検討および試行錯誤の末、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう別の要因として、中間プレートと第1外殻プレートの間にあるインナーフィンの存在があることを見出した。
インナーフィンは、第1外殻プレートに接触する複数個の外殻プレート接触部と中間プレートに接触する複数個の中間プレート接触部とを有する。そして、複数個の外殻プレート接触部および複数個の中間プレート接触部は、中間プレートの短手方向に並んで配置される。また、複数個の中間プレート接触部のうち隣り合う2個の中間プレート接触部の間には、複数個の外殻プレート接触部のうち一部の外殻プレート接触部が配置される。このようになっている場合、中間プレートが縮むと、インナーフィンの中間プレート接触部も中間プレートの縮む方向に移動する。このとき、もしインナーフィンに上記スリット形成部がなければ、インナーフィンは、短手方向の両側から大きく押し縮められる。これにより、外殻プレート接触部は、第1外殻プレート側に更に突出してしまう。このように突出してしまう外殻プレート接触部が、中間プレートの短手方向の端部付近に存在していれば、板が冷却チューブに向かって凸に湾曲してしまう要因となる。
そこで、発明者は、インナーフィンにスリット形成部を設けることを着想した。このようになっていれば、インナーフィンの中間プレート接触部が中間プレートの縮む方向に移動しても、インナーフィンが、短手方向の両側から押し縮められる力が弱まる。この結果、外殻プレート接触部が短手方向の両側から押し縮められて第1外殻プレート側に更に突出する可能性が低下するので、板の湾曲が抑制される。