JP6554977B2 - 接続相判定プログラム、方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は接続相判定プログラム、接続相判定方法および接続相判定装置に関する。
3本の配電線のうち何れか2本の配電線に接続されたトランスの接続相を、トランスが設置された現場に出向くことなく、3本の配電線の線電流とトランスの配下の一部の需要家が導入したスマートメータで計測された電力量から判定する技術が提案されている。この技術では、上記の電力量が増加すると、トランスが接続された2本の配電線の線電流が増加し、残り1本の配電線の線電流は変化しないことに基づき、電力量と各配電線の線電流と時間変化の相関の強さを求めてトランスの接続相を判定している。なお、本明細書では当該技術を第1の技術と称する。
特開2015−094752号公報
しかしながら、配電線を介して電力の供給を受ける多くの需要家の電力の消費パターンは、例えば朝方と夕方に電力の消費が増える等のように、全体として同じようなパターンを示す傾向にある。このため、各配電線の線電流の時間変化は、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンに応じた変化が支配的であり、相関の判定に本来寄与する線電流の変化は、定常的な電力消費パターンに応じた変化の陰に埋もれてしまうことになる。これはスマートメータで計測される電力量にも当て嵌まる事象であり、スマートメータを設置している需要家の電力の消費パターンも多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンに類似している可能性が高い。
従って、第1の技術で求める電力量と各配電線の線電流と時間変化の相関の強さについても、定常的な電力消費パターンの影響が支配的となり、相関の判定に本来寄与する線電流および電力量の非定常的な変化が相関の強さの値に反映されない。このため、第1の技術はトランスの接続相の判定精度が低いという課題がある。
一つの側面では、本発明は、定常的な電力消費パターンの影響を抑制して接続相の判定精度を向上させることを目的とする。
1つの実施態様では、3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された電力量、および、3以上の前記第1配電線の線電流の各々との相関評価値を算出する。この相関評価値の算出にあたり、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた抑圧量を適用する。そして、算出した複数の前記相関定量化値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する。
一つの側面として、定常的な電力消費パターンの影響を抑制して接続相の判定精度を向上させることができる、という効果を有する。
実施形態で説明した接続相判定装置の機能ブロック図である。 配電網の一例を示す概略図である。 配電情報の一例を示す図表である。 電力量データの一例を示す図表である。 線電流データの一例を示す図表である。 接続相判定装置として機能するコンピュータの概略構成図である。 接続相判定処理を示すフローチャートである。 配電網の一例を示す概略図である。 配電網の他の例を示す概略図である。 時系列データの取得区間の移動を説明するための概略図である。 本実施形態で算出されるフィルタ特性の一例を示す線図である。 本願発明者等が実施した数値実験の条件を説明するための配電網の概略図である。 数値実験の結果を示す図表である。 第3の技術の課題を説明するための説明図である。 第3の技術の課題を説明するための説明図である。
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。まず図2を参照し、本実施形態で接続相を判定するトランスを含む配電網の一例を説明する。
図2に示す配電網100は、三相で高圧(例えば6.6kV)の交流電力を生成する配電変電所102を含んでいる。図2の例では配電系統が三相3線式とされ、配電変電所102には3本の高圧配電線104の一端が接続されている。配電変電所102で生成された三相で高圧の交流電力は3本の高圧配電線104を通じて送電される。なお、以下では3本の高圧配電線104を区別する場合に、それぞれをA線、B線、C線と称する。
高圧配電線104の途中にはセンサ内蔵開閉器106が設置されており、センサ内蔵開閉器106により、A線の線電流I、B線の線電流I、C線の線電流Iが、例えば30分単位で各々測定される。以下では、線電流I,I,Iを総称する場合は線電流I(但し、XはA,B,Cの何れか)の符号を用いる。
高圧配電線104は、センサ内蔵開閉器106の設置位置よりも交流電力の送電方向下流側の互いに異なる複数の位置に、単相のトランス108(の一次側)が各々接続されている。高圧配電線104に接続されるトランス108の数は、例えば数十〜数千程度である。トランス108は単相であるが、高圧配電線104は3本であるので、トランス108が接続される高圧配電線104の組み合わせ(接続相)には三つの可能性がある。図2ではトランス108の接続相に三つの可能性があることを表現するため、トランス108を三相で表している。以下では、可能性があるトランス108の接続相(高圧配電線104の組み合わせ)を、それぞれAB相、BC相、CA相と称する。
個々のトランス108の二次側には複数本の低圧配電線110の一端が接続されており、トランス108で生成された単相で低圧(例えば105V)の交流電力は複数本の低圧配電線110を通じて送電される。低圧配電線110には、個々の需要家に近接した複数箇所において、個々の需要家に対応する引込線112が各々接続されている。個々の需要家へは、低圧配電線110および引込線112を介して単相で低圧の交流電力が供給される。なお、1つのトランス108の配下の需要家の数(対応する引込線112が、1つのトランス108の二次側に接続された同じ低圧配電線110に接続されている需要家の数)は、例えば10〜20程度である。
また、需要家の一部には通信機能付きの電力メータ(スマートメータ116)が設置されている。スマートメータ116が設置されている需要家における消費電力量Pは、例えば30分単位でスマートメータ116によって計測され、計測結果は図示しない通信線を介して配電事業者等へ送信される。
なお、図2において、高圧配電線104は開示の技術における第1配電線の一例であり、低圧配電線110は開示の技術における第2配電線の一例であり、トランス108は開示の技術におけるトランスの一例である。
次に図1を参照し、図2に示したような配電網100におけるトランス108の接続相を判定する接続相判定装置10を説明する。接続相判定装置10は、需要家選択部12、電力量データ取得部14、線電流データ取得部16、相関算出部18、接続相判定部20および出力処理部22を含んでいる。また、相関算出部18は、第1の相関定量化値算出部24、フィルタ特性算出部26および第2の相関定量化値算出部28を含んでいる。
需要家選択部12は、接続相の判定対象のトランス108を表すトランスIDを入力として受け付け、トランスIDに対応した配電区間および需要家を選択する。需要家選択部12は配電情報記憶部30が接続されており、配電情報記憶部30は、例えば図3に示すような配電情報32を記憶している。図3に示す配電情報32は、スマートメータ116を設置している個々の需要家毎に、需要家を表す需要家IDと、需要家が接続されているトランス108のトランスIDと、そのトランス108が属する配電区間を示す配電区間IDとが対応付けられている。需要家選択部12は、配電情報記憶部30に記憶された配電情報を参照し、受け付けたトランスIDのトランス108が属する配電区間および受け付けたトランスIDのトランス108の配下の需要家を選択する。
電力量データ取得部14は、電力量データ記憶部34が接続されており、電力量データ記憶部34は、例えば図4に示すような電力量データ36を記憶している。電力量データ36は、スマートメータ116が一定のサンプリング時間間隔(図4の例では30分)で計測した消費電力量P[kWh]を収集したデータであり、スマートメータ116が設置されている需要家毎の消費電力量Pの時系列データである。電力量データ取得部14は、需要家選択部12が選択した需要家の消費電力量を表す電力量データを電力量データ記憶部34から取得する。
線電流データ取得部16は、線電流データ記憶部38が接続されており、線電流データ記憶部38は、例えば図5に示すような線電流データ40を記憶している。線電流データ40は、配電区間IDに対応する配電区間において、一定のサンプリング時間間隔(図5の例では30分)でセンサ内蔵開閉器106が計測したA線、B線およびC線の線電流の時系列データである。線電流データ取得部16は、需要家選択部12が選択した配電区間における線電流を表す線電流データを線電流データ記憶部38から取得する。
相関算出部18の第1の相関定量化値算出部24は、電力量データ取得部14が取得した電力量データおよび線電流データ取得部16が取得した線電流データを周波数領域のデータへ各々変換する。そして、第1の相関定量化値算出部24は、電力量Pと線電流Iの周波数領域のデータを用いて、電力量Pと線電流Iの相関を周波数ω毎に定量化した第1の相関定量化値Sp,I)を算出する。
相関算出部18のフィルタ特性算出部26は、電力量Pの周波数ω毎のスペクトルの大きさSp,p(ω)および線電流Iの周波数ω毎のスペクトルの大きさSI,I)を算出する。そして、フィルタ特性算出部26は、算出したスペクトルの大きさを用いて、周波数ω毎のフィルタ特性に相当する周波数ω毎の重みb(ω)を算出する。
相関算出部18の第2の相関定量化値算出部28は、周波数ω毎の第1の相関定量化値Sp,I)と、周波数ω毎の重みb(ω)を用いて、電力量Pと線電流I,I,Iとの各組み合わせ毎に相関を定量化した第2の相関定量化値ρp,Iを各々算出する。
接続相判定部20は、第2の相関定量化値算出部28で電力量Pと線電流I,I,Iとの各組み合わせ毎に算出された第2の相関定量化値ρp,Iに基づいて、接続相判定対象のトランス108の接続相を判定する。
出力処理部22は、接続相判定部20による接続相の判定結果を、表示装置に表示したり、印刷装置で印刷することで出力する。
なお、相関算出部18は開示の技術における算出部の一例であり、接続相判定部20は開示の技術における判定部の一例である。
接続相判定装置10は、例えば図6に示すコンピュータ50で実現することができる。コンピュータ50はCPU52、一時記憶領域としてのメモリ54および不揮発性の記憶部56を含む。また、コンピュータ50は、入出力装置58が接続される入出力インターフェース(I/F)60を備える。また、コンピュータ50は、記録媒体62に対するデータの読み出しおよび書き込みを行う読出書込装置(R/W)64、および、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F66を含む。CPU52、メモリ54、記憶部56、入出力I/F60、R/W64およびネットワークI/F66は、バス68を介して互いに接続されている。
記憶部56はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶部56には、コンピュータ50を接続相判定装置10として機能させるための接続相判定プログラム70が記憶されている。CPU52は、接続相判定プログラム70を記憶部56から読み出してメモリ54に展開し、接続相判定プログラム70が有するプロセスを順次実行する。
接続相判定プログラム70は、需要家選択プロセス72、電力量データ取得プロセス74、線電流データ取得プロセス76、相関算出プロセス78、接続相判定プロセス80および出力処理プロセス82を有する。また、相関算出プロセス78は、第1の相関定量化値算出プロセス84、フィルタ特性算出プロセス86および第2の相関定量化値算出プロセス88を含む。
CPU52は、需要家選択プロセス72を実行することで、図1に示す需要家選択部12として動作する。また、CPU52は、電力量データ取得プロセス74を実行することで、図1に示す電力量データ取得部14として動作する。また、CPU52は、線電流データ取得プロセス76を実行することで、図1に示す線電流データ取得部16として動作する。また、CPU52は、相関算出プロセス78を実行することで、図1に示す相関算出部18として動作する。より詳しくは、CPU52は、第1の相関定量化値算出プロセス84を実行することで、図1に示す第1の相関定量化値算出部24として動作する。
また、CPU52は、フィルタ特性算出プロセス86を実行することで、図1に示すフィルタ特性算出部26として動作する。また、CPU52は、第2の相関定量化値算出プロセス88を実行することで、図1に示す第2の相関定量化値算出部28として動作する。また、CPU52は、接続相判定プロセス80を実行することで、図1に示す接続相判定部20として動作する。また、CPU52は、出力処理プロセス82を実行することで、図1に示す出力処理部22として動作する。これにより、接続相判定プログラム70を実行したコンピュータ50が、接続相判定装置10として機能することになる。
なお、配電情報32、電力量データ36および線電流データ40については、記憶部56に記憶させておくことで、記憶部56を配電情報記憶部30、電力量データ記憶部34および線電流データ記憶部38として機能させるようにしてもよい。また、配電情報32、電力量データ36および線電流データ40は、コンピュータ50とネットワークを介して接続された別のコンピュータに記憶されていてもよい。この場合、配電情報32、電力量データ36および線電流データ40は、ネットワークおよびネットワークI/F66を介して別のコンピュータから取得される。また、接続相判定装置10は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
次に本実施形態の作用を説明する。先に説明したように、第1の技術は、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンに応じた変化の影響により、トランスの接続相の判定精度が低いという課題がある。
ここで、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンは、主に、1日を周期とする比較的長周期のパターンである。このため、線電流および電力量の時系列データにハイパスフィルタを掛けることで、上記の定常的な電力消費パターンに相当する周波数成分を時系列データから除去または抑制することが考えられる。なお、本明細書ではこの技術を第2の技術と称する。この第2の技術により、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンの影響を抑制できることで、接続相の判定精度が向上することが期待される。
しかしながら、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンが、主に、1日を周期とするパターンであることは経験的に知られているものの、それ以外の認識されてないパターンが存在している可能性がある。そして、認識されていないパターンが存在しており、そのパターンの周波数がハイパスフィルタによって抑制される周波数帯域から外れていた場合には、認識されていないパターンの影響で接続相の判定精度が悪化する。このように、第2の技術におけるハイパスフィルタは、多くの需要家に共通する定常的な電力消費パターンの影響を全て抑制できる最適なフィルタ特性である保証はなく、接続相の判定精度向上の余地がある。
上記を考慮し、多くの需要家の定常的な電力消費パターンに応じた変化を含む、接続相が既知、または接続相の判定結果が既知のトランスに関する線電流および電力量の時系列データから、フィルタ特性を学習によって求めることが考えられる。なお、本明細書ではこの技術を第3の技術と称する。この第3の技術により、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均に相当するパターンの影響を、パターンが既知か未知かに拘わらず抑制できるフィルタ特性のフィルタが得られることで、接続相の判定精度が向上することが期待される。
しかしながら、第3の技術は、接続相が既知、または接続相の判定結果が既知のトランスに関する線電流および電力量の時系列データが必要であり、データ量が十分でない場合には、接続相を判定できない、或いは、接続相の判定精度が悪化する事態を招く。
また、第3の技術は、定常的な電力消費パターンの平均に相当するパターンがトランスに拘わらず一定であることを前提にしている。しかし、個々のトランスは配下の需要家が互いに異なっており、個々の需要家における定常的な電力消費パターンが同じである保証もない。このため、第3の技術で学習によって求めたフィルタ特性が、全てのトランスにとって最適なフィルタ特性とは限らない。そして、接続相判定対象のトランスの配下の需要家における定常的な電力消費パターンが、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均と相違している場合には、接続相の判定精度が低下する。
すなわち、図14には、線電流および電力量の時間変化を模擬した波形を示す。図14において、Ia,Ib,Icは3相の配電線の線電流の時間変化を模擬しており、P1〜P1001は総数1001の需要家の電力量の時間変化を模擬している。また、図14に示した各波形は、何れも1周期を100ポイントとする正弦波に乱数を重畳したものである。このうち、正弦波成分は定常的な電力消費パターンに対応する成分を模擬したものであり、乱数成分は相関の判定に本来寄与する非定常的な電力消費に対応する成分を模擬したものである。
ここで、図14に波形を示した線電流および電力量を用いて第3の技術によりフィルタ特性を学習した場合、図14に下側に示すように、定常的な電力消費パターンに対応する成分を模擬した1周期が100ポイントの正弦波成分を除去するフィルタ特性が得られる。このフィルタ特性は、総数1001の需要家の全てに対し、電力量の時間変化から定常的な電力消費パターンに対応する成分を模擬した1周期が100ポイントの正弦波成分を除去できる、最適なフィルタ特性である。
一方、図15には、線電流および電力量の時間変化を模擬した波形の他の例を示す。図15において、Ia,Ib,IcおよびP1〜P1000は図14に示した波形と同じである。図15で図14と異なっている点は、1001番目の需要家の電力量の時間変化を模擬した波形P1001が、1周期が50ポイントの正弦波に乱数を重畳したものである点である。図15に波形を示した線電流および電力量を用いて第3の技術によりフィルタ特性を学習した場合、1〜1000番目の需要家の波形P1〜P1000が同じであることから、この波形が学習に及ぼす影響が支配的になる。従って、図15の例でも、図15に下側に示すように、図14の例と同じく1周期が100ポイントの正弦波を除去するフィルタ特性が得られる。
しかし、このフィルタ特性のフィルタを1001番目の需要家の電力量の波形P1001に適用した場合、波形P1001に含まれる定常的な電力消費パターンに対応する成分を模擬した正弦波成分は1周期が50ポイントであることから、この正弦波成分を除去できない。すなわち、図15の例で得られるフィルタ特性は、1001番目の需要家のデータを用いた接続相判定における最適なフィルタ特性ではなく、1001番目の需要家の定常的な電力消費パターンの影響を除去できないので、接続相の判定精度が低下する。
上記に基づき本実施形態では、接続相判定対象のトランス108の配下のスマートメータ116で計測された電力量Pと高圧配電線104の線電流Iとの複数の相関評価値を、次のように算出する。すなわち、複数の前記相関評価値を、各周波数成分における電力量Pと線電流Iとの相関値に対する抑圧量を、電力量Pおよび線電流Iの各周波数成分のスペクトルの大きさに応じて大きくして算出する。そして、算出した複数の前記相関評価値に基づいて接続相判定対象のトランス108の接続相を判定する。
以下、接続相判定対象のトランス108のトランスIDが接続相判定装置10に入力された場合に、CPU52によって接続相判定プログラム70が実行されることで、接続相判定装置10で行われる接続相判定処理について、図7を参照して説明する。
接続相判定処理のステップ150において、需要家選択部12は、接続相判定装置10に入力された接続相判定対象のトランス108のトランスIDを受け付ける。ステップ152において、需要家選択部12は、ステップ150で受け付けたトランスIDをキーにして配電情報記憶部30に記憶された配電情報32を検索することで、接続相判定対象のトランス108に対応付けられた配電区間および需要家のIDを取得する。例えば、図3に示す配電情報32が配電情報記憶部30に記憶され、受け付けたトランスIDが"T2"の場合、需要家選択部12により、配電区間IDとして"11-2"が取得され、需要家のIDとして"d2","d3","d4"が取得される。
ステップ154において、電力量データ取得部14は、ステップ152で需要家選択部12が取得した需要家IDをキーにして電力量データ記憶部34に記憶された電力量データ36を検索することで、上記の需要家IDと対応付けられた電力量データを取得する。ステップ154で取得される電力量データは、接続相判定対象のトランス108の配下の需要家のうち、スマートメータ116が設置されている需要家のスマートメータ116で計測された消費電力量Pの時系列データである。以下、電力量データ(消費電力量Pの時系列データ)を、P(t) (但しt=1,…,T)と表することとする。
なお、スマートメータ116は消費電力量Pの計測を30分毎に行う構成が一般的である。この場合、消費電力量Pのデータが1日あたり48ポイント取得される。消費電力量Pの取得期間を1年=365日とすると時系列データの総数T=17520となる。以下ではT=17520の例を説明する。
また、電力量データ取得部14は、需要家選択部12によって需要家IDが複数取得された場合(接続相判定対象のトランス108の配下にスマートメータ116を設置している需要家が複数存在する場合)、各需要家の電力量データを全て取得する。そして、電力量データ取得部14は、取得した複数の電力量データについて、各ポイント毎に消費電力量Pの合計値を演算することで、複数の電力量データを1つの電力量データに統合する。
例えば、接続相判定対象のトランス108の配下に、スマートメータ116を設置している需要家が需要家1〜5の5軒存在しており、各需要家に対応する電力量データをP1(t),…,P5(t)とすると、電力量データ取得部14は以下の演算を行う。
P(t)=P1(t)+P2(t)+…+P5(t) (t=1,2,3,…,17520)
これにより、5つの電力量データが1つの電力量データに統合される。
次のステップ156において、線電流データ取得部16は、ステップ152で需要家選択部12が取得した配電区間IDをキーにして線電流データ記憶部38に記憶された線電流データ40を検索する。そして、線電流データ取得部16は、上記の配電区間IDと対応付けられた3本の高圧配電線104の線電流I(詳しくは、A線の線電流I、B線の線電流IおよびC線の線電流I)の時系列データである線電流データを取得する。
ステップ156で取得される線電流データは、接続相判定対象のトランス108が存在する配電区間におけるセンサ内蔵開閉器106で計測された線電流Iの時系列データである。以下、線電流データ(線電流Iの時系列データ)を、I(t) (但しt=1,…,T)と表することとする。
なお、本実施形態では、少なくとも配電区間が同一のセンサ内蔵開閉器106およびスマートメータ116が、同一時刻または同一とみなせる所定時間差以内の時刻に、線電流Iまたは消費電力量Pの計測を各々行うものとする。これにより、時系列データの総数Tも電力量データと同じ(T=17520)になり、線電流データI(t)は、より詳しくは以下のように表せる。
(t) (t=1,…,17520)
(t) (t=1,…,17520)
(t) (t=1,…,17520)
なお、線電流データ取得部16は、接続相判定対象のトランス108よりも送電方向上流側(配電変電所102側)に設置されたセンサ内蔵開閉器106(図8の例ではセンサ内蔵開閉器106)で計測された線電流データI(t)を取得する。但し、図8のように接続相判定対象のトランス108よりも送電方向下流側にもセンサ内蔵開閉器106が存在する場合(図8の例ではセンサ内蔵開閉器106,106)は、これらのセンサ内蔵開閉器106によって計測された線電流データI(t)も取得する。そして、線電流データ取得部16は、接続相判定対象のトランス108よりも上流側より取得した線電流データI(t)から、接続相判定対象のトランス108よりも下流側より取得した線電流データI(t)を各ポイント毎に減算する。
例えば、図8に示すセンサ内蔵開閉器106から取得した線電流データをIA1(t),IB1(t),IC1(t)、センサ内蔵開閉器106,106から取得した線電流データをそれぞれIA2(t),IB2(t),IC2(t)、IA3(t),IB3(t),IC3(t)とする。この場合、以下の演算を行う。
(t)=IA1(t)−(IA2(t)+IA3(t)) (t=1,2,…,17520)
(t)=IB1(t)−(IB2(t)+IB3(t)) (t=1,2,…,17520)
(t)=IC1(t)−(IC2(t)+IC3(t)) (t=1,2,…,17520)
一方、図9に示すように、接続相判定対象のトランス108よりも送電方向下流側にセンサ内蔵開閉器106が存在しない場合は、接続相判定対象のトランス108よりも送電方向上流側より取得した線電流データIA1(t),IB1(t),IC1(t)をそのまま用いる。すなわち、
(t)=IA1(t) (t=1,…,17520)
(t)=IB1(t) (t=1,…,17520)
(t)=IC1(t) (t=1,…,17520)
とする。
次のステップ158において、相関算出部18の第1の相関定量化値算出部24は、電力量Pと線電流Iの相関の強さを周波数ω毎に定量化した第1の相関定量化値Sp,Iを算出する。第1の相関定量化値Sp,I)は、例えば次の(1)式で求めることができる。
但し、(1)式において、P^は、電力量データP(t)を、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を高速に計算するアルゴリズムであるFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)によって周波数領域のデータに変換したものである。I^は、線電流データI(t)を、同じくFFTによって周波数領域データに変換したものである。KはFFTのポイント数、〈*〉は*のアンサブル平均、Re(*)は*の実部をとる演算を表す。また、P ̄2はP(t)2 (t=1,…,17520)の平均を表し、I2はI(t)2 (t=1,…,17520)の平均を表している。
先の(1)式の具体的な演算方法について、T=17520の場合を例により詳しく説明する。電力量データP(t) (t=1,…,17520)から、17520サンプルの区間よりも短い区間(ここでは例として336サンプルとする、これがKとなる)を、それよりも短い区間(ここでは例として168サンプルとする)ずつずらしながら取得する。取得したものをP[m] (m=1,2,…103)とする。式で表現すると以下のようになる。
P[1]=(P(1+0×168),P(2+0×168),…,P(336+0×168))
P[2]=(P(1+1×168),P(2+1×168),…,P(336+1×168))
P[3]=(P(1+2×168),P(2+2×168),…,P(336+2×168))

P[103]=(P(1+0×168),P(2+0×168),…,P(336+0×168))
上記処理のイメージを図10に示す。
また、P[m]と同様にI[m] (m=1,2,…103)も求める。但し、P[m]とI[m]とで区間長やずらし方は同一とする。
次に、P[m]=(P(1+m×168),P(2+m×168),…,P(336+m×168))をFFTによって周波数領域のデータへ変換したもの、すなわち
を算出する。なお、ωは正規化周波数を表し、
で与えられる。同様に、I[m]=(I(1+m×168), I(2+m×168),…, I(336+m×168))をFFTによって周波数領域のデータへ変換したもの、すなわち
も同様に算出する。
この場合、第1の相関定量化値Sp,I)は次の(2)式で算出される。
なお、(2)式において、右上の添え字”*”は共役複素数を表す。また、(2)式のうち、
の部分がアンサンブル平均〈*〉に相当する。
次のステップ160において、相関算出部18のフィルタ特性算出部26は、電力量Pの周波数ω毎のスペクトルの大きさSp,p(ω)と、線電流Iの周波数ω毎のスペクトルの大きさSI,I)を各々算出する。電力量Pの周波数ω毎のスペクトルの大きさSp,p(ω)は次の(3)式で算出できる。
また、線電流Iの周波数ω毎のスペクトルの大きさSI,I)は次の(4)式で算出できる。
上記の(3),(4)式の具体的な演算方法は、先に説明したステップ158と同様であるので説明を省略する。
ステップ162において、相関算出部18のフィルタ特性算出部26は、ステップ160で算出したスペクトルの大きさSp,p(ω),SI,I)に基づいて、フィルタ特性(周波数ω毎の重みb(ω))を算出する。重みb(ω)は、次の2つの条件を満たすものであればよい。
(条件1)スペクトルの大きさSp,p(ω)が大きい周波数ωほど重みb(ω)の値を小さくする。
(条件2)スペクトルの大きさSI,I)が大きい周波数ωほど重みb(ω)の値を小さくする。
上記の条件を満たす重みb(ω)は、例えば次の(5)式により算出できる。
(5)式で各周波数成分ω毎に求めた重みb(ω)により表されるフィルタ特性の一例を図11に示す。但し、b(ω)=b(ωK=k) (k=1,2,…,K-1)が成り立つので、図11では正規化周波数0.5以上はプロットしていない。
なお、ステップ158と、ステップ160,162との実行順序は、図7に示した順序に限られるものではなく、ステップ160,162の処理をステップ158の処理よりも先に実行してもよい。
次のステップ164において、相関算出部18の第2の相関定量化値算出部28は、電力量Pと線電流I、電力量Pと線電流I、電力量Pと線電流Iの各組み合わせについて、第2の相関定量化値ρp,Iを各々算出する。第2の相関定量化値ρp,Iは、ステップ162でフィルタ特性算出部26によって算出された重みb(ω)により表されるフィルタ特性のフィルタと第1の相関定量化値Sp,I)を用いて、次の(6)式で算出できる。
なお、第2の相関定量化値ρp,Iは開示の技術における相関評価値の一例であり、第1の相関定量化値Sp,I)は開示の技術における「各周波数成分における相関値」の一例であり、重みb(ω)は開示の技術における抑圧量の一例である。
ステップ166において、接続相判定部20は、ステップ164で相関算出部18の第2の相関定量化値算出部28によって算出された第2の相関定量化値ρp,I,ρp,I,ρp,Iのうちρp,Iが最小か否か判定する。ステップ166の判定が肯定された場合はステップ170へ移行し、ステップ170において、接続相判定部20は、接続相判定対象のトランス108の接続相はAB相と判定する。
また、ステップ166の判定が否定された場合はステップ168へ移行する。ステップ168において、接続相判定部20は、ステップ164で相関算出部18の第2の相関定量化値算出部28によって算出された第2の相関定量化値ρp,I,ρp,I,ρp,Iのうちρp,Iが最小か否か判定する。ステップ168の判定が肯定された場合はステップ172へ移行し、ステップ172において、接続相判定部20は、接続相判定対象のトランス108の接続相はBC相と判定する。
また、ステップ168の判定が否定された場合はステップ174へ移行する。ステップ174において、接続相判定部20は、接続相判定対象のトランス108の接続相はCA相と判定する。
ステップ170またはステップ172またはステップ174の処理を行うとステップ176へ移行する。ステップ176において、出力処理部22は、ステップ170またはステップ172またはステップ174における接続相の判定結果を、表示装置に表示したり、印刷装置で印刷することによって出力し、接続相判定処理を終了する。
上述のように、本実施形態では、3本の高圧配電線104のうちの何れか2つに接続されたトランス108の配下のスマートメータ116で計測された電力量データP(t)と、3本の高圧配電線104の線電流データI(t),I(t),I(t)を取得する。また、第2の相関定量化値ρp,Iを、周波数ω毎の第1の相関定量化値Sp,I)に対する抑圧量(重みb(ω)の逆数)を、電力量および線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさSp,p(ω),SI,I)が大きくなるに従って大きくして算出する。そして、算出した複数の第2の相関定量化値ρp,Iに基づいて接続相判定対象のトランス108の接続相を判定する。これにより、需要家の定常的な電力消費パターンの影響を抑制して接続相の判定精度を向上させることができる。
特に、接続相判定対象のトランス108の配下のスマートメータ116を設置している需要家の定常的な電力消費パターンが多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均と相違していた場合に、相違しているパターンが周波数ω毎の重みb(ω)に反映される。すなわち、接続相判定対象のトランス108の配下のスマートメータ116を設置している需要家の定常的な電力消費パターンの影響が抑制されるように周波数ω毎の重みb(ω)が算出される。従って、上記の場合のトランス108の接続相の判定精度を向上させることができる。
また、本実施形態において、3本の高圧配電線104の線電流データI(t),I(t),I(t)は、トランス108が複数接続された箇所よりも上流側の位置で計測される。このため、線電流データI(t),I(t),I(t)には、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均に相当する成分が含まれている。これに対して本実施形態では、周波数ω毎の重みb(ω)を、電力量および線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさSp,p(ω),SI,I)が大きくなるに従って大きくして算出している。これにより、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均に相当するパターンの影響も抑制されるように周波数ω毎の重みb(ω)が算出される。従って、高圧配電線104のうちトランス108が複数接続された箇所よりも上流側で線電流データI(t),I(t),I(t)を計測する場合にも、トランス108の接続相の判定精度を向上させることができる。
なお、上記では高圧配電線104が3本の例を説明したが、これに限定されるものではなく、高圧配電線104の数は4本、或いは5本以上であってもよい。
また、実施形態に記載した数式は一例であり、開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
また、上記では周波数領域のデータを離散値(デジタル)として処理する態様を説明したが、電力量および線電流の計測時間間隔が十分に小さければ、周波数領域のデータを連続値(アナログ)として処理することも可能である。
更に、上記では開示の技術をトランス108の接続相の判定に適用した態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、3以上の第1配電線のうちの何れか2つに第2配電線が直接接続された形態における第2配電線の接続相の判定に適用することも可能である。
また、上記では接続相判定プログラムが記憶部56に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、接続相プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカード等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された電力量、および、3以上の前記第1配電線の線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた抑圧量を適用して算出し、
算出した複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する
処理をコンピュータに実行させる接続相判定プログラム。
(付記2)
前記抑圧量は、各周波数成分のスペクトルの大きさに応じて大きくなる付記1記載の接続相判定プログラム。
(付記3)
前記第2配電線は、複数の前記第1配電線のうちの何れか2つにトランスを介して接続され、
前記複数の相関評価値に基づいて前記トランスの接続相を判定する付記1または付記2記載の接続相判定プログラム。
(付記4)
前記電力量の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSp,p(ω)、前記線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSI,I)としたときに、周波数ω毎の相関値に対する抑圧量として、
周波数ω毎のフィルタ特性を表す、上記の(7)式で求まる周波数ω毎の重みb(ω)を用いる付記1〜付記3の何れか1項記載の接続相判定プログラム。
(付記5)
前記計測装置は、前記第2配電線の配下の需要家単位の電力量を、前記第2配電線の配下の複数の需要家のうちの1つ以上の需要家について計測し、
前記第1配電線の線電流は、前記複数の第1配電線のうち、互いに異なる前記第2配電線が接続された複数の接続箇所よりも上流側の位置で計測される付記1〜付記4の何れか1項記載の接続相判定プログラム。
(付記6)
3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された電力量、および、3以上の前記第1配電線の線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた抑圧量を適用して算出し、
算出した複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する
処理をコンピュータに実行させる接続相判定方法。
(付記7)
前記抑圧量は、各周波数成分のスペクトルの大きさに応じて大きくなる付記6記載の接続相判定方法。
(付記8)
前記第2配電線は、複数の前記第1配電線のうちの何れか2つにトランスを介して接続され、
前記複数の相関評価値に基づいて前記トランスの接続相を判定する付記6または付記7記載の接続相判定方法。
(付記9)
前記電力量の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSp,p(ω)、前記線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSI,I)としたときに、周波数ω毎の相関値に対する抑圧量として、
周波数ω毎のフィルタ特性を表す、上記の(7)式で求まる周波数ω毎の重みb(ω)を用いる付記6〜付記8の何れか1項記載の接続相判定方法。
(付記10)
前記計測装置は、前記第2配電線の配下の需要家単位の電力量を、前記第2配電線の配下の複数の需要家のうちの1つ以上の需要家について計測し、
前記第1配電線の線電流は、前記複数の第1配電線のうち、互いに異なる前記第2配電線が接続された複数の接続箇所よりも上流側の位置で計測される付記6〜付記9の何れか1項記載の接続相判定方法。
(付記11)
3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された電力量、および、3以上の前記第1配電線の線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた抑圧量を適用して算出する算出部と、
前記算出部によって算出された複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する判定部と、
を含む接続相判定装置。
(付記12)
前記算出部は、各周波数成分のスペクトルの大きさに応じて前記抑圧量を大きくする付記11記載の接続相判定装置。
(付記13)
前記第2配電線は、複数の前記第1配電線のうちの何れか2つにトランスを介して接続され、
前記判定部は、前記複数の相関評価値に基づいて前記トランスの接続相を判定する付記11または付記12記載の接続相判定装置。
(付記14)
前記算出部は、前記電力量の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSp,p(ω)、前記線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSI,I)としたときに、周波数ω毎の相関値に対する抑圧量として、
周波数ω毎のフィルタ特性を表す、上記の(7)式で求まる周波数ω毎の重みb(ω)を用いる付記11〜付記13の何れか1項記載の接続相判定装置。
(付記15)
前記計測装置は、前記第2配電線の配下の需要家単位の電力量を、前記第2配電線の配下の複数の需要家のうちの1つ以上の需要家について計測し、
前記第1配電線の線電流は、前記複数の第1配電線のうち、互いに異なる前記第2配電線が接続された複数の接続箇所よりも上流側の位置で計測される付記11〜付記14の何れか1項記載の接続相判定装置。
次に、上述した実施形態で説明した接続相判定(以下、提案手法という)による判定精度を確認するために、本願発明者等が実施した数値実験の結果を説明する。この数値実験では、実データおよび実データから算出した実験用のデータを用い、第1の技術〜第3の技術および提案手法により接続相の判定を各々行い、判定精度を評価した。
本数値実験では、図12に示す仮想配電網120を想定した。仮想配電網120は、配電変電所102から、3本の高圧配電線104の組(フィーダ)が4系統延びているものとし、各フィーダの名称をそれぞれY,T,H,Kとした。なお、図12では図面の錯綜を避けるため、フィーダを2系統のみ示している。各フィーダには、配電変電所102の直後にセンサ内蔵開閉器106が各々設けられているものとした。また、高圧配電線104に接続されたトランス108の数、個々のトランス108の配下の需要家の数は、個々のフィーダ毎に図12の表に示す通りにした。
また、本数値実験では、個々のトランス108の配下の需要家のうち、スマートメータ116を設置している需要家の数として2つのケースを想定した。第1のケースは、個々のトランス108の配下のスマートメータ116を設置している需要家の数が「1」の場合で、図12の表ではこのケースをメータパターン1として示している。第2のケースは、個々のトランス108の配下の全ての需要家がスマートメータ116を設置している場合で、図12の表ではこのケースをメータパターン2として示している。
スマートメータ116によって計測される電力量データP(t)としては、スマートメータの実証実験で公開された実データを使用した。本数値実験で用意した電力量データP(t)は、1年分のデータで、スマートメータ116が30分毎に1回計測を行うものとした。このため、1年分の電力量データP(t)は17520個のデータになった(P(t) (t=1,…,17520))。
センサ内蔵開閉器106によって計測される線電流データI(t),I(t),I(t)については、実データから算出した実験用のデータを用いた。すなわち、本数値実験のために、結線やインピーダンス等を現実に合わせた仮想配電系統を設定した。そして、この仮想配電系統のデータと実データである電力量データP(t)から潮流計算により算出した。また、本数値実験で用意した線電流データI(t),I(t),I(t)は、電力量データP(t)と同じく1年分のデータで、データの個数はそれぞれ17520個になった(I(t),I(t),I(t) (t=1,…,17520))。
また、第3の技術に関しては、本数値実験を他の技術と対等な条件とするために、第2の技術で接続相を判定したトランス108に関する電力量データP(t)および線電流データI(t),I(t),I(t)をフィルタ特性の学習に用いた。
更に、電力量データP(t)および線電流データI(t),I(t),I(t)の全データを使用するケースと、3ヶ月分のデータを使用するケースを設け、前述のメータパターン1,2との組み合わせにより、個々の技術毎に4つのケースで接続相の判定を行った。本数値実験の結果を図13に示す。
図13に示すように、提案手法による接続相判定の判定精度は、4ケースの全てにおいて、第1の技術および第2の技術による接続相判定の判定精度を上回っている。
また、提案手法を第3の技術と比較すると、メータパターン1については第3の技術よりも高い判定精度が得られている。メータパターン1は、判定対象のトランス108の配下のスマートメータ116を設置している需要家の数が「1」の場合である。第3の技術で学習されるフィルタ特性は、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均に相当する電力消費パターンの影響を除去する特性になる。このため、第3の技術は、判定対象のトランス108の配下でスマートメータ116を唯一設置している需要家の定常的な電力消費パターンが、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均と相違が大きくなるに従って、接続相の判定精度が悪化する。
これに対して提案手法は、スマートメータ116を設置している少数の需要家の定常的な電力消費パターンが多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均と大きく相違していたとしても、相違している定常的な電力消費パターンに応じたフィルタ特性が得られる。従って、判定対象のトランス108の配下のスマートメータ116を設置している需要家の数が少ないメータパターン1のような場合に、第3の技術よりも高精度に接続相を判定できるものと推察される。
一方、提案手法は、メータパターン2については第3の技術に対して判定精度が僅かに低下している。メータパターン2は、判定対象のトランス108の配下の全ての需要家がスマートメータ116を設置している場合である。この場合、判定対象のトランス108の配下の需要家の中に、定常的な電力消費パターンが多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均と相違している需要家が含まれていたとしても、それが電力量データP(t)に及ぼす影響は相対的に小さくなる。従って、殆どの需要家がスマートメータ116を設置しているメータパターン2のような場合は、多数の需要家の定常的な電力消費パターンの平均に相当する電力消費パターンの影響を除去するフィルタ特性のフィルタが有効になると考えられる。
しかし、メータパターン2についての第3の技術と提案手法との判定精度の差は僅かであり、提案手法は、第3の技術のように大量のデータを用いてフィルタ特性を学習するという高負荷の処理が不要というメリットがある。また、スマートメータ116の普及の実情はメータパターン1に近く、少なくともメータパターン2相当までスマートメータ116の普及が進むまでの間は、第3の技術よりも提案手法の方が有用と考えられる。
10 接続相判定装置
18 相関算出部
20 接続相判定部
24 第1の相関定量化値算出部
26 フィルタ特性算出部
28 第2の相関定量化値算出部
50 コンピュータ
52 CPU
56 記憶部
70 接続相判定プログラム
100 配電網
102 配電変電所
104 高圧配電線
106 センサ内蔵開閉器
108 トランス
110 低圧配電線
116 スマートメータ

Claims (7)

  1. 3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された特定の需要家の電力消費を表す電力量、および、3以上の前記第1配電線の多数の需要家の電力消費を表す線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に、前記電力量および前記線電流の各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた特定の需要家の定常的な電力消費パターンの影響および多数の需要家の定常的な電力消費パターンの影響を抑制する抑圧量を適用して算出し、
    算出した複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する
    処理をコンピュータに実行させる接続相判定プログラム。
  2. 前記抑圧量は、各周波数成分のスペクトルの大きさに応じて大きくなる請求項1記載の接続相判定プログラム。
  3. 前記第2配電線は、複数の前記第1配電線のうちの何れか2つにトランスを介して接続され、
    前記複数の相関評価値に基づいて前記トランスの接続相を判定する請求項1または請求項2記載の接続相判定プログラム。
  4. 前記電力量の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSp,p(ω)、前記線電流の周波数ω毎のスペクトルの大きさをSI,I)としたときに、周波数ω毎の相関値に対する抑圧量として、

    周波数ω毎のフィルタ特性を表す、上記の(1)式で求まる周波数ω毎の重みb(ω)を用いる請求項1〜請求項3の何れか1項記載の接続相判定プログラム。
  5. 前記計測装置は、前記第2配電線の配下の需要家単位の電力量を、前記第2配電線の配下の複数の需要家のうちの1つ以上の需要家について計測し、
    前記第1配電線の線電流は、前記複数の第1配電線のうち、互いに異なる前記第2配電線が接続された複数の接続箇所よりも上流側の位置で計測される請求項1〜請求項4の何れか1項記載の接続相判定プログラム。
  6. 3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された特定の需要家の電力消費を表す電力量、および、3以上の前記第1配電線の多数の需要家の電力消費を表す線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に前記電力量および前記線電流の各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた特定の需要家の定常的な電力消費パターンの影響および多数の需要家の定常的な電力消費パターンの影響を抑制する抑圧量を適用して算出し、
    算出した複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する
    処理をコンピュータに実行させる接続相判定方法。
  7. 3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された特定の需要家の電力消費を表す電力量、および、3以上の前記第1配電線の多数の需要家の電力消費を表す線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における前記電力量と前記線電流の各々との相関値に前記電力量および前記線電流の各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた特定の需要家の定常的な電力消費パターンの影響および多数の需要家の定常的な電力消費パターンの影響を抑制する抑圧量を適用して算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された複数の前記相関評価値に基づいて前記第2配電線の接続相を判定する判定部と、
    を含む接続相判定装置。
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