JP6553464B2 - コンクリート舗装構造の施工方法 - Google Patents
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Description
段差の補修工法としては、一般に、パッチング工法、注入工法、オーバーレイ工法及び打換え工法が知られている。しかしながら、これらの工法は、補修時に交通を遮断する必要がある上、頻繁な補修が必要であったり、施工費も高くなったりするなどの問題がある。そのため、段差を補修するよりも、段差が生じ難いコンクリート舗装構造の開発が望まれている。
また、ポンピング現象に起因する段差が生じ難いコンクリート舗装構造として、特許文献1には、隣接するコンクリート版の目地の下方に枕版を敷設し、コンクリート版の端部をボルトで枕版に固定すると共に、コンクリート版に設けられているボルト通し孔を、コンクリート版の温度伸縮を許容する大きさとした構造が提案されている。しかしながら、このコンクリート舗装構造は、雨水などの水が目地から路盤に侵入することを防止することができるものの、ボルトによるコンクリート版と枕版との間の接続部の構造が複雑であり、手間がかかると共に施工費も高いという問題がある。
すなわち、本発明は、以下の第(1)項〜第(6)項である。
(1)隣接するコンクリート版の間に形成される目地の下方に枕版が敷設されたコンクリート舗装構造であって、
前記枕版が、前記目地に沿って形成された排水用溝を有しており、前記目地から侵入した水が前記排水用溝を介して排出されることを特徴とするコンクリート舗装構造。
(3)前記コンクリート版が、現場打ちコンクリート版であることを特徴とする第(1)項又は第(2)項に記載のコンクリート舗装構造。
(4)前記枕版が、30N/mm2以上の圧縮強度を有するコンクリートから形成されていることを特徴とする第(1)項〜第(3)項のいずれか一項に記載のコンクリート舗装構造。
(6)排水用溝を有する枕版を路盤上に敷設して転圧し、その上に路盤紙を敷設すると共に前記枕版の排水用溝に沿って仮挿入物を配置した後、コンクリートを打設し、前記仮挿入物を除去することによって目地を形成することを特徴とする、コンクリート舗装構造の施工方法。
図1は、本発明のコンクリート舗装構造の車両の走行方向における縦断面図である。また、図2は、本発明のコンクリート舗装構造の道路幅方向における縦断面図である。
図1及び2に示すように、本発明のコンクリート舗装構造は、路盤1上に敷設されたコンクリート版2と、隣接するコンクリート版2の間に形成される目地3の下方に設けられた枕版4とを有する。
また、コンクリート版2は、現場打ちコンクリート版の他、プレキャストコンクリート版であってもよい。ただし、コンクリート版2としてプレキャストコンクリート版を用いる場合、プレキャストコンクリート版を所定の位置に保持するために、ボルトなどを用いてコンクリート版2と枕版4とを連結させることが必要である。また、プレキャストコンクリート版を用いる場合、コンクリート版2と枕版4との間にグラウト材を一般に設ける必要があるのに対し、現場打ちコンクリート版を用いる場合、グラウト材は不要である。したがって、施工の容易性及び手間などを考慮すると、コンクリート版2は現場打ちコンクリート版であることが好ましい。
目地3は、目地3に沿って形成された枕版4の排水用溝5と接続している。そのため、目地3から侵入した水は、排水用溝5を介して排出される。したがって、目地3から水が侵入しても路盤1に侵入しないため、ポンピング現象の発生を防止することができ、段差が発生し難くなる。枕版4に排水用溝5が形成されていない場合、目地3から侵入した水がコンクリート版2と枕版4との隙間から路盤1に侵入し、ポンピング現象が発生して段差が発生してしまう。
また、排水用溝5の大きさは、特に限定されず、枕版4の大きさなどに応じて適宜調整すればよい。例えば、枕版4は、製造及び施工の手間、強度などを考慮すると、車両の走行方向の長さが好ましくは20cm〜40cm、より好ましくは25cm〜35cmであり、道路幅方向の長さが好ましくは50cm〜200cm、より好ましくは100〜150cm、厚さが好ましくは2.5cm〜20cm、より好ましくは4cm〜12cmである。このような大きさの枕版4を用いる場合、形成される排水用溝5は、枕版4の強度及び水の排出効率の観点から、最大深さが1.5cm〜2.5cm(ただし、枕版4の厚さの半分以下)、最大幅が10cm〜20cm(ただし、車両の走行方向の枕版4の長さの半分以下)であることが好ましい。
枕版4の排水用溝5は、排水用溝5に対応する形状を備える型を用いて形成してもよいし、切削などの機械的処理を行って排水用溝5を形成してもよい。
枕版4は、路盤1の所定の箇所に形成された凹部に配置される。この枕版4の上面(コンクリート版2側の面)は、凹部が形成されていない路盤1の表面と同じ高さになっている。枕版4の上面を凹部が形成されていない路盤1の表面と同じ高さにするためには、枕版4を路盤1の凹部に配置した後、転圧ローラなどで締め固めることが好ましい。このような方法を用いる場合、転圧ローラなどで締め固める際に枕版4の破壊を防止する観点から、圧縮強度が好ましくは30N/mm2以上、より好ましくは40N/mm2以上の枕版4を使用することが望ましい。
また、枕版4の圧縮強度は、枕版4の厚さと密接な関係を有しているため、使用する枕版4の圧縮強度に応じて枕版4の厚さを設定することが望ましい。例えば、圧縮強度が40N/mm2の枕版4を用いる場合、枕版4の厚さは8cm〜12cmであることが好ましく、圧縮強度が200N/mm2の枕版4を用いる場合、枕版4の厚さは4cm〜6cmであることが好ましい。
以下、本発明のコンクリート舗装構造の施工方法について現場打ちコンクリート舗装を例に挙げて説明するが、この例に本発明のコンクリート舗装構造の施工方法が限定されるわけではない。
本発明のコンクリート舗装構造の施工方法では、まず、排水用溝5を有する枕版4を路盤1上に敷設して転圧する。具体的には、路盤1の所定の箇所に形成された凹部に枕版4を配置した後、転圧ローラなどの転圧機械の重量による繰り返し圧縮や振動によって締め固める。これにより、路盤1の表面を均一にすると共に、枕版4の上面を凹部が形成されていない路盤1の表面と同じ高さにすることができる。
太平洋セメント株式会社の中央研究所の敷地内に試験舗装区間を設け、3種類のコンクリート舗装を行った。
<コンクリート舗装A:実施例>
まず、図1及び2に示すような構造を有する排水用溝5を有する枕版4を作製した。この枕版4は、圧縮強度が50N/mm2のコンクリート製であり、排水用溝5に対応する形状を備える型を用いて作製した。また、枕版4のサイズは、車両の走行方向の長さを30cm、道路幅方向の長さを100cm、厚さを10cmとし、排水用溝5のサイズは、最大深さを2cm、最大幅を14cmとした。
コンクリート舗装を行う路盤1は、一般的な粒度調整砕石路盤とし、路床のCBRが4程度であったため、厚さを25cmとした。路盤1は、二層仕上げとし、一層目の仕上がり厚さを15cm、二層目の仕上がり厚さを10cmとした。また、路盤1は、12tロードローラ及び20tタイヤローラを用いて転圧することによって形成し、二層目の形成時に、側溝7に設けた排水口8に排水用溝5が接続されるようにして枕版4を敷設した後、転圧することによって締め固めた。
排水用溝5を有する枕版4の代わりに排水用溝5を有していない枕版4を用いたこと以外はコンクリート舗装Aと同様にした。
<コンクリート舗装C:比較例>
排水用溝5を有する枕版4を用いなかったこと以外はコンクリート舗装Aと同様にした。
この評価では、評価開始から3ヶ月間は、平日の日中に100L/日の水を各コンクリート舗装の目地3に均一に散水した。その後9ヶ月間は、散水量を300L/日(100L/日を3回に分けて散水)に変更して均一に散水した。なお、雨天の日については散水を行わなかった。コンクリート舗装Aについては、散水時に排水口8から側溝7に水が排出されていることを確認した。
また、上記の各コンクリート舗装を行った試験舗装区間の交通量は、平日が乗用車50台程度の往復、土、日及び祝日が乗用車0〜2台程度の往復である。また、平日には、週2回、4トンのフォークリフトを250回往復させた。
段差量の結果を表1に示す。
これに対して、排水用溝5を有していない枕版4を用いて施工したコンクリート舗装構造(コンクリート舗装B)は、評価から12ヶ月後に大きな段差が生じ、供用性が低下した。また、枕版4自体を用いずに施工したコンクリート舗装構造(コンクリート舗装C)は、評価から6ヶ月後に大きな段差が生じ、供用性が低下した。
Claims (2)
- 排水用溝を有する枕版を路盤上に敷設して転圧し、その上に路盤紙を敷設してコンクリートを打設した後、前記枕版の排水用溝に沿ってカッタ切断して目地を形成することを特徴とする、コンクリート舗装構造の施工方法。
- 排水用溝を有する枕版を路盤上に敷設して転圧し、その上に路盤紙を敷設すると共に前記枕版の排水用溝に沿って仮挿入物を配置した後、コンクリートを打設し、前記仮挿入物を除去することによって目地を形成することを特徴とする、コンクリート舗装構造の施工方法。
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