JP6551094B2 - 測色計 - Google Patents

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Description

本発明は、物体の色を測定する測色計に関する。
従来、測色計の光源として、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプ等が用いられる。ハロゲンランプから発せられる光は、可視光の波長領域(可視光域とも言う)から近赤外光の波長領域(近赤外光域とも言う)にかけてなだらかな分光スペクトルを有する。また、キセノンフラッシュランプから発せられる光は、太陽光と比較的近い分光スペクトルを有しており、該分光スペクトルは、近紫外光、可視光および赤外光の波長領域でほぼ一定の光の強度を呈し、多数の輝線を含んでいる。つまり、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプから発せられる光は、測定に用いるための可視光域の他に、赤外光の波長領域(赤外光域とも言う)においても放射強度を有する。
一方、測色計のセンサーについては、可視光域の光を検出する光電変換素子として、例えば、シリコンフォトダイオードが一般的に用いられる。そのシリコンフォトダイオードは、300〜1200nm程度の広い波長帯域の光に対して感度を有しており、可視光だけでなく、赤外光も検出する。したがって、測色計では、光源から発せられた赤外光は、測色対象物で反射または透過して、シリコンフォトダイオードによって検出される。このとき、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に、迷光としての赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が加算されてしまう。このため、赤外光が何らかの形で除去される必要がある。
そこで、光源として、ハロゲンランプやキセノンフラッシュランプが用いられる場合には、一般に、照明系または受光系に赤外光の通過を抑制するフィルター(赤外カットフィルターとも言う)が挿入される(例えば、特許文献1等)。これにより、測定結果に赤外光の影響が出ないように設計され得る。
ところで、近年、測色計の光源として、LEDの発光に応じて白色光を発する構成(白色LEDとも言う)が頻繁に用いられる(例えば、特許文献2等)。白色LEDは、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプ等の光源に対して、長寿命であり、キセノンフラッシュランプと比較して、トリガ回路および昇圧回路等の複雑な回路を有していない。このため、白色LEDが採用されることで、例えば、光源の長寿命化によって、管理が容易となり、また、測色計の小型化および省電力が実現可能であり、点光源に近い小さな発光面積によって、平行光束による照明が容易に可能となる。
白色LEDにおいて白色光を発するために複数色の光を混合する方式としては、例えば、3種類の方式に大別される。該3種類の方式は、[i]RGBの3色の単色LEDから発せられるRGBの3色の光を混合する方式、[ii]青色LEDの光と、その光による黄色蛍光体の励起で発せられる黄色光とを混合する方式、および[iii]紫色LEDの光と、その光によるRGB蛍光体の励起で発せられるRGBの3色の光とを混合する方式である。これらの3種類の方式の何れの方式の白色LEDから発せられる光であっても、可視光域のみに放射強度を有し、赤外光域の放射強度はほぼゼロである。このため、シリコンフォトダイオードにおいて、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合がそもそも生じない。すなわち、測色計に赤外カットフィルターが配置される必要がない。
特開2007−192749号公報 特開2005−257374号公報
ところで、測定対象物の中には、可視光の照射によって励起され、近赤外光を発する蛍光物質を含むものが存在する。このような測定対象物が用いられると、光源から発せられる光に赤外光が含まれていなくても、測定対象物から蛍光によって発せられる赤外光が、可視光に混入して、センサーとしてのシリコンフォトダイオードで受光される。
また、例えば、測定対象物からの光についての三刺激値を直読する方式、および測定対象物からの光を分光して測色する方式(分光測色方式とも言う)に拘わらず、センサーが赤外光域にも感度を有する場合が多い。
但し、白色LEDのような赤外光域に発光強度を有していない光源によって測定対象物が照明され、該測定対象物が、照明光の波長域の光のみを反射および透過させる場合には、センサーへの入射光に赤外光が混入しない。この場合には、センサーにおいて、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合が生じない。
しかしながら、測定対象物の内部に、可視光を励起光として赤外光を蛍光発光するような蛍光物質が含まれている場合には、センサーへ入射される可視光に赤外光が混入するため、その赤外光の光量に比例した出力が加算され、測色精度の低下を招く。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、測色精度の高い測色技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る測色計は、測色対象物が対向して配されるとともに可視光が通過する測定開口を有する測定部と、赤外光を含まない光を前記測定開口に向けて照射する発光部と、前記測定開口からの光を受光して光電変換によって電気信号を得る受光部と、前記測定開口から前記受光部に至る光路上に配置され且つ赤外光の通過を抑制する第1の赤外光カット部と、を備え、前記発光部が、赤外光を含む光を発する光源と、該光源から前記測定開口に向けた光路上に配置され且つ赤外光の通過を抑制する第2の赤外光カット部と、を含んでおり、前記発光部から前記受光部までの光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数に近似させるフィルターを有しており、前記受光部が、第1受光部と第2受光部と第3受光部とを含み、前記フィルターが、前記測定開口から前記第1受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数x(λ)に近似させる膜を含む第1フィルターを含み、前記フィルターが、前記測定開口から前記第2受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数y(λ)に近似させる膜を含む第2フィルターを含み、前記フィルターが、前記測定開口から前記第3受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数z(λ)に近似させる膜を含む第3フィルターを含む刺激値直読型の測色計である
第2の態様に係る測色計は、第1の態様に係る測色計であって、前記第1の赤外光カット部および前記第2の赤外光カット部のそれぞれが、干渉膜を含んでいる。
の態様に係る測色計は、第1または第2の態様に係る測色計であって、前記フィルターが、干渉膜を含んでいる。
第1から第の何れの態様に係る測色計によっても、受光部への赤外光の入射が抑制されるため、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合が生じ難い。したがって、測色精度の高い測色技術が提供され得る。
の態様に係る測色計によれば、発光部側で赤外光が低減されているにも拘わらず、試料における蛍光等によって赤外光を生じる場合であっても、受光部への赤外光の入射が低減され得る。
1からの何れの態様に係る測色計によっても、刺激値直読型の測色計であっても、測色精度が高められ得る。
一実施形態に係る測色計の概略的な構成を例示する図である。 白色LEDから発せられる白色光の分光スペクトルの一例を示す図である。 ハロゲンランプから発せられる光の分光スペクトルの一例を示す図である。 キセノンフラッシュランプから発せられる光の分光スペクトルの一例を示す図である。 LVFの分光透過率の一例を示す図である。 シリコンフォトダイオードの分光感度の一例を示す図である。 可視光の照射に応じて橙色の試料から発せられる光の分光スペクトルを例示する図である。 可視光の照射に応じて赤色の試料から発せられる光の分光スペクトルを例示する図である。 赤外カットフィルターの分光透過率の一例を示す図である。 赤外カットフィルターの分光透過率の一例を示す図である。 橙色の試料に係る分光反射率の測定結果の参考例を示す図である。 赤色の試料に係る分光反射率の測定結果の参考例を示す図である。 橙色の試料に係る分光反射率の測定結果を例示する図である。 赤色の試料に係る分光反射率の測定結果を例示する図である。 第1変形例に係る測色計の概略的な構成を例示する図である。 第2変形例に係る受光系の一構成例を示す図である。 第3変形例に係る測色計を概略的な構成を例示する図である。 第4変形例に係る測色計の受光系の一構成例を示す図である。 刺激値直読方式の測色計の3つのセンサーの分光感度を例示する図である。 第5変形例に係る測色計の概略的な構成を例示する図である。 第6変形例に係る測色計の概略的な構成を例示する図である。
以下、本発明の一実施形態および各種変形例を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)一実施形態>
<(1−1)測色計の概略的な構成>
図1は、一実施形態に係る測色計1の概略的な構成を例示する図である。
測色計1は、筐体2内に、照明系10、受光系20、制御部30および演算部40を備えている。
筐体2は、例えば、測色計1の各種構成を外側から覆う箱状のケースである。筐体2には、測色対象物Sm1の表面の色を測定するための測定部2hpが設けられている。測定部2hpには、可視光が通過する測定開口2hが設けられている。測定開口2hは、該測定開口2hに対向するように測色対象物Sm1が配置されている状態で、筐体2内の照明系10から発せられた可視光を通過させることで、該可視光を測色対象物Sm1に照射させる。このとき、測定開口2hは、可視光の照射に応じて測色対象物Sm1の表面で生じる光を通過させ、受光系20に受光させる。なお、測定開口2hは、例えば、部材が何も配置されていない孔部であっても良いし、可視光が通過可能な透明な部材が配置された部分であっても良い。透明な部材は、例えば、ガラスやアクリル等の透明な素材によって構成され得る。
照明系10は、発光部11、コリメータレンズ12および発光回路13を有している。
発光部11は、赤外光を含まない光を測定開口2hに向けて照射する。このため、測定開口2hに対向して測色対象物Sm1が配されている場合には、赤外光を含まない光が、測色対象物Sm1に照射される。該赤外光は、例えば、780〜1200nmの波長範囲の光である。ここで、発光部11が、例えば、発光ダイオード(LED)によって白色光を発する光源を含んでいれば、例えば、管理の容易化、測色計の小型化および省電力化等が可能となる。また、例えば、点光源等と言った狭い領域から光が発せられるため、平行光束による照明が容易となる。これにより、測色精度の向上が図られ得る。
なお、LEDによって白色光を発する構成(白色LEDとも言う)としては、例えば、3つの方式の第1〜3白色LEDが採用され得る。第1白色LEDは、RGBの3色の単色LEDから発せられるRGBの3色の光を混合して白色光を発する構成を有する。第2白色LEDは、青色LEDの光とその光による黄色蛍光体の励起で発せられる黄色光とを混合する構成を有する。第3白色LEDは、紫色LEDの光とその光によるRGB蛍光体の励起で発せられるRGB光とを混合する構成を有する。
コリメータレンズ12は、発光部11から発せられる光を測色対象物Sm1に向かう平行光に変換する。このとき、測色対象物Sm1に対して予め設定された所定の角度で光が照射される。
発光回路13は、制御部30からの信号に応じて、発光部11が発光するタイミングを制御する。
受光系20は、測定開口2hからの光を、予め設定された所定角度で受光する。このため、測定開口2hに対向して測色対象物Sm1が配されている場合には、測色対象物Sm1から主に反射によって発せられる光が、受光系20によって予め設定された所定角度で受光される。該受光系20は、対物レンズ21、導光部22および受光系本体部20bを有している。
対物レンズ21は、測色対象物Sm1から発せられる光を導光部22に導くレンズである。ここで、測色対象物Sm1から発せられる光は、測定の対象となる光(被測定光とも言う)である。
導光部22は、測色対象物Sm1から発せられる被測定光を受光系本体部20b内に導く。該導光部22は、例えば、光ファイバー等を有して構成される。
受光系本体部20bは、例えば、略円筒形の筐体を有しており、該筐体内に、赤外光カット部23、結像レンズ24,25、コリメータレンズ26、分光部27および受光部28を有している。
赤外光カット部23は、赤外光の通過を抑制する。そして、該赤外光カット部23は、測定開口2hから受光部28に至る光路上に配置されている。
分光部27は、コリメータレンズ26から入射される被測定光の可視光を分光する。該分光部27としては、例えば、リニアバリアブルフィルター(LVF: Linear Variable Filter)等が採用される。LVFは、例えば、被測定光が透過する位置が一方向(波長変化方向とも言う)にずれるにつれて、透過する光の波長が変化するフィルターである。具体的には、分光部27に入射された被測定光は、LVFによって、波長変化方向の位置に応じてそれぞれ異なる単色光に分解され、受光部28で受光されて光電変換によって電気信号に変換される。また、例えば、分光部27としてLVFが採用されると、可視光を分光する構成の小型化によって、測色計1の小型化が図られ得る。
また、分光部27は、測定開口2hから受光部28に至る光路上に配置されている。具体的には、測色対象物Sm1から発せられて、対物レンズ21、導光部22、赤外光カット部23、結像レンズ24,25およびコリメータレンズ26を透過した被測定光が、分光部27によって分光される。
結像レンズ24,25は、導光部22から受光系本体部20b内に入射されて赤外光カット部23を透過した被測定光を、コリメータレンズ26に導く。コリメータレンズ26は、結像レンズ24,25から導かれた被測定光を分光部27に効率良く導く。ここで、結像レンズ24,25およびコリメータレンズ26は、例えば、それぞれLVFの波長変化方向に直交する方向(LVF直交方向とも言う)、およびLVFの波長変化方向に相対的に強い屈折力を有するシリンドリカルレンズである。具体的には、コリメータレンズ26は、LVFに被測定光を平行に入射させる。結像レンズ24,25は、LVF直交方向において、受光部28の受光面(センサー面とも言う)で被測定光を結像させる。これにより、受光部28において被測定光が最大限に利用され得る。つまり、コリメータレンズ26からLVFに向かう被測定光は、光束の断面が略線状の平行光となる。
受光部28は、測定開口2hからの光を受光して、光電変換によって電気信号を得る。このため、測定開口2hに対向して測色対象物Sm1が配されている場合には、発光部11による測色対象物Sm1への光の照射に応じて、該測色対象物Sm1から発せられる可視光を受光して、光電変換によって電気信号を得る。本実施形態では、受光部28が、被測定光を複数の単色光に分光し、分光後の複数の単色光を複数のセンサーで受光することで、光の強度に応じた電気信号を得ている。
具体的には、例えば、分光部27で光が分光される方向に対応する方向に複数の受光素子が並べられたラインセンサーの形態を有する。これにより、複数の受光素子において、例えば、相互に異なる波長域の光が受光されて、該光の光量に応じた電気信号が光電変換によって取得され得る。なお、複数の受光素子としては、例えば、光の照射に応じて電気信号を生じさせる光電変換を行うシリコンフォトダイオード等が採用され得る。
演算部40は、受光部28で取得される電気信号に基づく演算によって、測色対象物Sm1の色に係る情報を取得する。ここでは、例えば、各種表色系の演算方式に則った演算が行われる。なお、演算部40における演算には、例えば、得られた電気信号に、人間の眼の感度が掛け合わされるような演算が含まれる。
<(1−2)赤外線カット部の配設>
図2は、白色LEDから発せられる白色光の分光スペクトルの一例を示す図である。図2では、横軸が波長を示し、縦軸が相対強度を示している。そして、図2において、第1白色LEDから発せられる光の分光スペクトルが実線で描かれた曲線で示され、第2白色LEDから発せられる光の分光スペクトルが破線で描かれた曲線で示され、第3白色LEDから発せられる光の分光スペクトルが一点鎖線で描かれた曲線で示されている。図2で示されるように、第1〜3白色LEDの各白色LEDから発せられる光は、可視光の成分によって構成されており、実質的に赤外光の成分を含んでいない。
一方、図3は、ハロゲンランプから発せられる光の分光スペクトルの一例を示す図である。図4は、キセノンフラッシュランプから発せられる光の分光スペクトルの一例を示す図である。図3および図4では、横軸が波長を示し、縦軸が相対強度を示している。そして、図3において、ハロゲンランプから発せられる光の分光スペクトルが実線で描かれた曲線で示され、図4において、キセノンフラッシュランプから発せられる光の分光スペクトルが実線で描かれた曲線で示されている。図3および図4で示されるように、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプの何れのランプからも、可視光域の光だけでなく、赤外光域の光が発せられる。
図5は、分光部27を構成するLVFの分光透過率の一例を示す図である。図5では、横軸が波長を示し、縦軸が透過率を示している。そして、図5では、390nmの波長の光を透過させる部分における透過率が実線で描かれた曲線で示され、560nmの波長の光を透過させる部分における透過率が破線で描かれた曲線で示されている。図5で示されるように、可視光域については、設計通りの波長の光を透過させるとともに、それ以外の波長の光の透過が実質的に完全にブロックされている。その一方で、紫外光域から赤外光域までの広い波長帯域の光を全て実質的にブロックするように、干渉膜を設計することは困難である。例えば、LVFのうち、390nmの波長の光を透過させる部分においては、800nm以上の波長域の赤外光も透過させてしまう。
図6は、受光部28を構成するシリコンフォトダイオードの分光感度の一例を示す図である。図6では、横軸が波長を示し、縦軸が感度を示している。図6で示されるように、シリコンフォトダイオードは、可視光域に対する感度だけでなく、赤外光に対する強い感度を有する。
ここで、仮にハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプが光源として使用される測色計を想定すると、光源から発せられた可視光および赤外光は、測色対象物で反射して、シリコンフォトダイオードによって検出される。このとき、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が加算されてしまう。そこで、光源として、ハロゲンランプやキセノンフラッシュランプが用いられる場合には、測定結果に赤外光の影響が出ないように、一般に、照明系または受光系に赤外カットフィルターが挿入される。
一方、白色LEDが光源として使用される測色計では、光源から実質的に赤外光が発せられず、白色LEDから発せられた可視光が測色対象物で反射して、シリコンフォトダイオードによって検出される。このため、測定結果に赤外光の影響が出ることが想定され難い。そこで、シリコンフォトダイオードにおいて、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合が生じない。すなわち、測色計に赤外カットフィルターが配置される必要がない。
しかしながら、可視光の照射によって励起されて蛍光によって近赤外光を生じる蛍光物質を含む試料が存在する。図7は、可視光の照射に応じて橙色の試料(第1試料とも言う)から発せられた光の分光スペクトルを例示する図である。図8は、可視光の照射に応じて赤色の試料(第2試料とも言う)から発せられた光の分光スペクトルを例示する図である。
図7および図8では、横軸が波長を示し、縦軸が相対光量(相対強度に対応)を示している。そして、図7および図8では、400nmの光の照射に応じて試料から発せられた光の分光スペクトルが太線で描かれた曲線で示され、450nmの光の照射に応じて試料から発せられた光の分光スペクトルが破線で描かれた曲線で示され、500nmの光の照射に応じて試料から発せられた光の分光スペクトルが一点鎖線で描かれた曲線で示されている。また、図7および図8では、550nmの光の照射に応じて試料から発せられた光の分光スペクトルが二点鎖線で描かれた曲線で示され、600nmの光の照射に応じて試料から発せられた光の分光スペクトルが細線で描かれた曲線で示されている。
図7および図8で示されるように、例えば、400nmの光が試料に照射された場合に、試料から発せられた光の分光スペクトルには、400nm付近の可視光域の相対光量の他に、700〜1050nm付近の近赤外光域の相対光量が混入していたことが分かる。このような現象は、400nmの可視光が励起光とされて、850nm付近の近赤外光域の光を放射する蛍光物質が試料に含まれていることを意味している。そして、図7および図8で示されるように、励起光として働く可視光の波長域は、約400〜600nmの波長域に及ぶものと推定される。つまり、第1および第2試料には、約400〜600nmの可視光を励起光として、近赤外光域の光を放射する蛍光物質が含まれているものと推定される。
このような可視光の照射に応じて近赤外光域の光を放射する蛍光物質が含まれた第1および第2試料が測色対象物として用いられると、光源から発せられる光に赤外光が含まれていなくても、測色対象物から発せられる可視光に、蛍光による近赤外光が混入する。このとき、可視光に近赤外光が混入した光が、センサーとしてのシリコンフォトダイオードで受光されると、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が加算されてしまい、測色精度の低下を招く。
そこで、本実施形態に係る測色計1では、測色対象物Sm1で発生する赤外光の受光部28への入射を抑制するために、測定開口2hから受光部28に至る光路上に赤外光カット部23が配置されている。ここで、赤外光の通過を低減する赤外光のカット(赤外光カットとも言う)とは、例えば、780〜1200nmの波長域の赤外光を、少なくとも数%あるいは1%以下の強度まで低減させることを意味する。そして、例えば、約850nmの波長域の赤外光が顕著に低下されれば良い。
赤外光カット部23としては、例えば、干渉膜が蒸着されることで生成されるフィルムが採用される。また、赤外光カット部23として、レンズ、プリズムおよび光学フィルター等と言った他の機能を有する光学部品に、赤外光をカットするための干渉膜が蒸着されたものが採用されても良い。これにより、赤外光の透過を抑制する性質を有する各種の構成が実現され得る。また、例えば、干渉膜の代わりに、赤外光を吸収する性質を有するガラスフィルターが光路中に挿入されることで、赤外光カット部23の機能が実現されても良い。また、例えば、赤外光を吸収するフィルターの表面に、赤外光をカットする機能を有する干渉膜を蒸着させることで構成される赤外光カット部23が採用されることで、赤外光の透過率がさらに低下されて、測色計1における測色精度の向上が図られても良い。
図9および図10は、赤外光カット部23としての赤外カットフィルターの分光透過率を例示する図である。図9では、赤外光カット部23としての干渉膜の分光透過率が示され、図10では、赤外光カット部23としての赤外光を吸収する性質を有するガラスフィルターの分光透過率が示されている。
図9で示されるように、赤外カットフィルターとしての干渉膜は、例えば、約370〜780nmの波長の可視光を透過し、約780〜1100nmの波長の赤外光を反射する。また、図10で示されるように、赤外カットフィルターとしてのガラスフィルターは、例えば、約370〜780nmの波長の可視光を透過し、約780〜1100nmの波長の赤外光を吸収する。これらの作用により、測定したい可視光域における光のロスを低く抑え、不要な赤外光を排除することが可能である。
図11は、測色対象物Sm1としての橙色の第1試料における分光反射率の測定結果の一例を示す図である。図12は、測色対象物Sm1としての赤色の第2試料における分光反射率の一例を示す図である。図11および図12では、横軸が波長を示し、縦軸が反射率を示している。そして、図11および図12では、測色計1から赤外光カット部23が仮に取り除かれた構成によって取得された分光反射率の実測値が、破線で描かれた曲線で示されている。また、図11および図12では、蛍光によって生じた赤外光の成分が取り除かれた場合の真の分光反射率が実線で描かれた曲線で示されている。
図11および図12で示されるように、可視光域のうちの400〜500nmの比較的短い波長域において、真の分光反射率に対して、分光反射率の実測値が明らかに高い反射率を呈した。ここでは、400〜500nmの比較的短い波長域の光を受光する受光部28が、赤外光域においても分光感度を有し、受光部28において、測色対象物Sm1からの可視光に係る出力に、測色対象物Sm1からの赤外光に係る出力が重畳され得る。このとき、真の分光反射率に対し、反射率が最大で25%程度上昇し得ることが分かる。この分光反射率のずれ量は、かなり大きく、看過できるものではない。
これに対して、本実施形態に係る測色計1のように、赤外光カット部23が設けられている場合には、分光反射率の実測値と、真の分光反射率との差が殆どなくなる。
図13は、測色対象物Sm1としての橙色の第1試料における分光反射率の測定結果の一例を示す図である。図14は、測色対象物Sm1としての赤色の第2試料における分光反射率の一例を示す図である。図13および図14では、横軸が波長を示し、縦軸が反射率を示している。そして、図13および図14では、赤外光カット部23を有する測色計1によって取得された分光反射率の実測値が、破線で描かれた曲線で示されている。また、図13および図14では、蛍光による赤外光の成分が取り除かれた場合の真の分光反射率が実線で描かれた曲線で示されている。
図13および図14で示されるように、真の分光反射率に対して、分光反射率の実測値が殆ど同じ値を呈した。つまり、分光反射率の実測値は、真の分光反射率とほぼ同一の値を呈していた。この場合、赤外光カット部23の存在によって、蛍光で生じた赤外光の受光部28への入射が抑制される。このため、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合が生じ難い。
<(1−3)一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係る測色計1によれば、測定開口2hから受光部28に至る光路上に赤外光カット部23が配置されている。これにより、測色対象物Sm1で発生する赤外光の受光部28への入射が抑制される。このため、受光部28において、赤外光域の分光スペクトルに応じた出力が、本来測定したい可視光域の分光スペクトルに応じた出力に加算されるような不具合が生じ難い。したがって、測色精度の高い測色技術が提供され得る。
<(2)変形例>
なお、本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
<(2−1)第1変形例>
上記一実施形態では、受光系20によって、測色対象物Sm1から主に反射によって発せられる光が、予め設定された所定角度で受光されたが、これに限られない。例えば、発光部11からの光の照射に応じて測色対象物Sm1を主に透過することで発せられる光が、受光系20によって予め設定された所定角度で受光されても良い。つまり、受光部28は、例えば、発光部11による光の照射に応じて測色対象物Sm1から発せられる光を受光して光電変換によって電気信号を得るものであれば良い。ここで、第1変形例に係る測色計1Aの具体例を挙げて説明する。
図15は、第1変形例に係る測色計1Aの概略的な構成を例示する図である。図15で示されるように、第1変形例に係る測色計1Aは、上記一実施形態に係る測色計1がベースとされて、筐体2が、照明系10を有する第1筐体2aと、受光系20を有する第2筐体2bとに分割されたものである。
第1筐体2aには、測色対象物Sm1の色を測定するための第1測定部2hpaが設けられている。第1測定部2hpaには、可視光が通過する第1測定開口2haが設けられている。また、第2筐体2bには、測色対象物Sm1の色を測定するための第2測定部2hpbが設けられている。第2測定部2hpbには、可視光が通過する第2測定開口2hbが設けられている。測色対象物Sm1の色を測定する際には、該測色対象物Sm1が第1測定部2hpaと第2測定部2hpbとの間に挟まれている位置に配される。
そして、第1測定開口2haは、該第1測定開口2haに対向するように測色対象物Sm1が配置されている状態で、第1筐体2a内の照明系10から発せられた可視光を通過させることで、該可視光を測色対象物Sm1に照射させる。このとき、第2測定開口2hbは、可視光の照射に応じて測色対象物Sm1を透過する光を、第2測定開口2hbを通過させ、受光系20に受光させる。このため、第1変形例に係る測色計1Aにおいても、上記一実施形態に係る測色計1と同様に、赤外光カット部23が、第2測定開口2hbから受光部28に至る光路上に配置されている。したがって、本変形例に係る測色計1Aでは、一実施形態に係る測色計1と同様な効果を奏する。
<(2−2)第2変形例>
上記一実施形態および上記第1変形例では、分光部27がLVFによって構成されたが、これに限られない。例えば、分光部27を有する受光系本体部20bが、回折格子によって構成される分光部27Bを有する受光系本体部20bBに置換されることで、受光系20が受光系20Bに置換されても良い。このような構成が採用されても、測色精度の高い測色技術が容易に提供され得る。ここで、このような構成が採用される第2変形例に係る受光系本体部20bBの具体例を挙げて説明する。
図16は、第2変形例に係る受光系本体部20bBの一構成例を示す図である。図16で示されるように、受光系本体部20bBは、例えば、略直方体状の筐体を有しており、該筐体内に、赤外光カット部23、分光部27Bおよび受光部28を有している。
赤外光カット部23は、導光部22によって導かれて筐体に設けられたスリット部20SLを介して受光系本体部20bB内に入射される被測定光の光路上に設けられている。そして、赤外光カット部23を通過した被測定光は、分光部27Bに照射される。
分光部27Bは、例えば、回折格子等を含んで構成され、赤外光カット部23から入射される被測定光の可視光を分光する。該分光部27Bでは、回折格子で回折された被測定光が、一方向にずれるにつれて、波長が大小の一方向に変化するように分光される。また、分光部27Bは、測定開口2h(または第2測定開口2hb)から受光部28までの光路上に配置されている。これにより、測色対象物Sm1から発せられて、赤外光カット部23を透過した被測定光が、分光部27Bによって複数の単色光に分光される。
このように、第2変形例に係る受光系本体部20bBは、ポリクロメーター内に赤外光カット部23が配された構成を有している。
ところで、被測定光に赤外光が含まれている場合、仮に赤外光カット部23が設けられていなければ、受光系本体部20bBの筐体の内壁部等で赤外光が反射されて、受光部28に赤外光が照射され得る。これに対して、図16で示される本変形例では、受光系本体部20bBに入射された被測定光に含まれる赤外光域の光の通過が赤外光カット部23で抑制される。これにより、受光部28に赤外光が照射され難くなり、測色計1Bにおける測色精度が向上し得る。
<(2−3)第3変形例>
上記一実施形態ならびに上記第1および第2変形例では、白色LEDが適用された発光部11によって、赤外光を含まない光が測色対象物Sm1に照射されたが、これに限られない。例えば、発光部11が、赤外光を含む光を発する光源と、該光源から測定開口2h(または第1測定開口2ha)に向けた光路上に配置され且つ赤外光の通過を抑制する赤外光カット部とを含む構成が採用されても良い。このとき、第2測定開口2hbから受光部28に向けた光路上だけでなく発光部に赤外光カット部が設けられていることになる。
このような構成では、発光部側で赤外光が低減されているにも拘わらず、測定対象物Sm1における蛍光等によって赤外光を生じる場合であっても、受光部28への赤外光の入射が低減され得る。なお、赤外光を含む光を発する光源としては、例えば、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプ等が採用される。また、赤外光カット部としては、例えば、上述した赤外光カット部23と同様な構成のものが採用され得る。ここで、このような構成が採用される第3変形例に係る測色計の具体例を挙げて説明する。
図17は、第3変形例に係る測色計1Cの概略的な構成を例示する図である。図17で示されるように、第3変形例に係る測色計1Cは、上記一実施形態に係る測色計1がベースとされて、発光部11が、発光部11Cに置換されることで、照明系10が、照明系10Cに変更されたものである。
発光部11Cは、光源11Ca、背面反射部材11Cbおよび赤外光カット部11Ccを備えている。光源11Caは、ハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプ等を備えて構成され、赤外光を含む光を発する。背面反射部材11Cbは、光源11Caの背面を覆うように配置された凹状の反射部材である。赤外光カット部11Ccは、例えば、背面反射部材11Cbの開口部を覆うように配置されている。該赤外光カット部11Ccとしては、上記一実施形態の赤外光カット部23と同様な構成および機能のものが採用され得る。このような構成により、光源11Caから発せられる光が、直接または背面反射部材11Cbで反射されて、背面反射部材11Cbの開口部に配された赤外光カット部11Ccに照射される。このとき、赤外光カット部11Ccを光が通過する際に、光源11Caから発せられた光に含まれる赤外光が低減され得る。そして、発光部11Cから赤外光を含まない光が出射され、該光がコリメータレンズ12および測定開口2hを介して測色対象物Sm1に照射され得る。
なお、このような構成が採用される場合、例えば、測定部2hpが積分球であり、該積分球に測定開口2hが設けられた構成が採用されても良い。この場合、例えば、照明系10Cから積分球内に照射される光が、積分球内で反射して測定開口2hを介して測色対象物Sm1に照射され、その際に測色対象物Sm1から発せられて測定開口2hを介して積分球内に入射される光が、積分球内で反射して受光系20で受光され得る。
<(2−4)第4変形例>
上記一実施形態および上記第1〜3変形例では、分光部27,27Bで分光された光がラインセンサーの形態を有する受光部28によって受光される受光系20,20Bが採用されたが、これに限られない。例えば、人間の眼の分光感度に相当するセンサーを用いて、X,Y,Zの3刺激値を測定する方式(刺激値直読方式とも言う)の受光系20Dが採用されても良い。つまり、刺激値直読型の測色計が採用されても良い。ここで、このような構成が採用される第4変形例に係る受光系20Dの具体例を挙げて説明する。
図18は、第4変形例に係る受光系20Dの一構成例を示す図である。図18で示されるように、3個の受光部28a〜28cとしての3つのセンサーが設けられており、受光部28aの前面にフィルターF1aが設けられ、受光部28bの前面にフィルターF1bが設けられ、受光部28cの前面にフィルターF1cが設けられている。ここで、3つのセンサーとしては、例えば、シリコンフォトダイオードが採用され得る。
そして、刺激値直読方式の受光系20Dでは、例えば、発光部11(11C)から受光部28a〜28cまでの光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数に近似させるフィルターF1a〜F1cが設けられていれば良い。なお、該フィルターは、干渉膜であっても良いし、ガラスフィルター等で構成されても良い。例えば、光を吸収する性質が異なるガラスフィルターの積層体が光路中に挿入されることで、フィルターF1a〜F1cの機能が実現されても良い。さらに、例えば、干渉膜の代わりに、ゼラチン膜およびアセテート膜等の何れの材質の膜が採用されても良い。
具体的には、受光系20Dは、3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Xを得る第1受光ユニット20Da、3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Yを得る第2受光ユニット20Db、および3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Zを得る第3受光ユニット20Dcを備えている。
例えば、第1受光ユニット20Daでは、フィルターF1aの表面に、分光応答度が重価係数x(λ)に近似される干渉膜29aが蒸着されることで、3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Xが得られ、フィルターF1aの裏面に、赤外光をカットする赤外光カット部23aとしての干渉膜が蒸着されたものが採用され得る。この場合、例えば、測色計全体の分光応答度が重価係数x(λ)に近似されるように、干渉膜29aおよび赤外光カット部23aが設けられていれば良い。
また、第2受光ユニット20Dbでは、フィルターF1bの表面に、分光応答度が重価係数y(λ)に近似される干渉膜29bが蒸着されることで、3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Yが得られ、フィルターF1bの裏面に、赤外光をカットする赤外光カット部23bとしての干渉膜が蒸着されたものが採用され得る。この場合、例えば、測色計全体の分光応答度が重価係数y(λ)に近似されるように、干渉膜29bおよび赤外光カット部23bが設けられていれば良い。
また、第3受光ユニット20Dcでは、フィルターF1cの表面に、分光応答度が重価係数z(λ)に近似される干渉膜29cが蒸着されることで、3刺激値X,Y,Zのうちの刺激値Zが得られ、フィルターF1cの裏面に、赤外光をカットする赤外光カット部23cとしての干渉膜が蒸着されたものが採用され得る。この場合、例えば、測色計全体の分光応答度が重価係数z(λ)に近似されるように、干渉膜29cおよび赤外光カット部23cが設けられていれば良い。
図19は、仮に、第1〜3受光ユニット20Da〜20Dcに赤外光カット部23a〜23cが設けられていない場合における各受光ユニットにおける分光感度の一例を示す図である。図19では、横軸が波長を示し、縦軸が感度を示している。そして、刺激値Xに係る受光ユニットの分光感度が実線で描かれた曲線で示され、刺激値Yに係る受光ユニットの分光感度が一点鎖線で描かれた曲線で示され、刺激値Zに係る受光ユニットの分光感度が破線で描かれた曲線で示されている。
図19で示されるように、各受光ユニットは、可視光域に対する感度だけでなく、赤外光に対する強い感度を有する。つまり、各受光ユニットでは、可視光域においては、重価係数との一致度が高い一方で、赤外光域ではシリコンフォトダイオードが感度を有する1200nm程度まで広帯域の光がカットされるような膜設計は困難である。図19では、約950〜1200nmの波長域の一部の赤外光域の光に対しても感度を有する。このため、刺激値直読方式の受光系20Dでは、例えば、測定開口2hから受光部28a〜28cに至る光路上に赤外光カット部23a〜23cが配置されている。これにより、刺激値直読型の測色計であっても、測色精度が高められ得る。
<(2−5)第5変形例>
上記一実施形態および上記第1〜3変形例では、照明系10(10C)による光の照射に応じて測色対象物Sm1で生じる光が、LVFおよび回折格子等の分光部27(27B)で空間的に分光されたが、これに限られない。例えば、照明系で生じる光を、測色対象物Sm1に照射する前に、時分割で分光する分光部27Eが設けられた構成が採用されても良い。つまり、例えば、発光部から受光部までの光路上に、可視光を分光する分光部が備えられていれば良い。このような構成によれば、照明系から受光部までの光路上の何れの位置で可視光が分光されるような構成が採用されても、測色精度が高められ得る。ここで、このような構成が採用される第5変形例に係る測色計1Eの具体例を挙げて説明する。
図20は、第5変形例に係る測色計1Eの一構成例を示す図である。図20で示されるように、測色計1Eは、上記一実施形態に係る測色計1Eがベースとされて、照明系10、受光系20および演算部40が、照明系10E、受光系20Eおよび演算部40Eに置換され、さらに分光部27Eが追加された構成を有している。
照明系10Eは、上記一実施形態に係る照明系10と類似する構成を有しているが、照明系10Eは、上記一実施形態に係る照明系10がベースとされて、コリメータレンズ12が、発光部11から発せられた光を分光部27Eに入射させるための凸レンズ12Eに置換されたものである。
分光部27Eは、例えば、モノクロメーター等によって構成され、白色光を可視光域の多数の単色光に時分割で変換する。図20で示される分光部27Eでは、例えば、第1の反射部Mr1で反射された光が、回動自在に配置された平面状の回折格子Gr2に照射され、その際に回折格子Gr2から発せられる光が、第2の反射部Mr2で反射されて、スリットを介して分光部27Eの外に射出される。このとき、例えば、回折格子Gr2の姿勢を規定する角度が段階的に少しずつ変更されることで、分光部27Eから射出される単色光の波長域が段階的に少しずつ変更され得る。なお、回折格子Gr2の角度は、例えば、制御部33からの信号に基づいて駆動部33によって制御される。
このようにして、分光部27Eから時分割で射出される単色光が、例えば、コリメートレンズLz2によって平行光とされて、測定開口2hを介して測色対象物Sm1に照射される。このとき、測色対象物Sm1で発せられる光が、受光部28Eで受光される。
受光系20Eは、光束を収束させる正のパワーを有する対物レンズ21、対物レンズ21を透過した光に含まれる赤外光を低減するための赤外光カット部23、および受光部28Eを有している。ここでは、赤外光カット部23の存在によって、約400nmの波長域の可視光の照射に応じた測色対象物Sm1における蛍光によって発せられる赤外光が低減され得る。受光部28Eは、例えば、シリコンフォトダイオード等によって構成され、各単色光について、光電変換によって単純に受光部28Eに入射される光量に応じた電気信号を出力する。
演算部40Eは、受光部28Eから出力される電気信号に応じて、各単色光についての測色対象物Sm1の反射率が算出され得る。
<(2−6)第6変形例>
上記一実施形態ならびに上記第1および第2変形例では、照明系10の発光部11として、例えば、LEDによって白色光を発する光源が採用されたが、これに限られない。例えば、ハロゲンランプおよびキセノンランプ等と言った、発する光に赤外光の成分が含まれる光源と、該光源から測色対象物Sm1までの間に配された赤外光カット部とを有する照明系が採用されても良い。このような構成によれば、測色対象物Sm1が赤外光の照射による温度上昇等の温度変化に起因して変色するものであっても、赤外光カット部の存在によって、測色対象物Sm1への赤外光の照射が抑制され、測色対象物Sm1の温度変化に起因する変色が抑制され得る。さらに、測色対象物Sm1において可視光線の照射による励起で発せられる赤外光の通過が、測定開口2h(2hb)から受光部28に至る光路上に設けられた赤外光カット部23によって抑制されるため、受光部28に対して測色したい可視光線の光束が入力され得る。ここで、このような構成が採用される第6変形例に係る測色計1Fの具体例を挙げて説明する。
図21は、第6変形例に係る測色計1Fの一構成例を示す図である。図21で示されるように、測色計1Fは、上記一実施形態に係る測色計1がベースとされて、照明系10が、照明系10Fに置換された構成を有している。
照明系10Fは、上記一実施形態に係る照明系10のうちの発光部11が発光部11Fに置換されたものである。発光部11Fは、光源部11Faと赤外光カット部11Fbとを有している。光源部11Faは、例えば、ハロゲンランプおよびキセノンランプ等と言った、発する光に赤外光の成分が含まれる光源であれば良い。赤外光カット部11Fbは、例えば、赤外光カット部23と同様に赤外光の通過を抑制するものであれば良い。
<(2−7)その他の変形例>
例えば、上記第5変形例では、モノクロメーター内の回折格子Gr2によって、照明系10Eから出射される光を分光したが、これに限られない。例えば、回折格子Gr2の代わりに、一方向にスライド可能に配されたLVFのシフト量が徐々に変更されることで、分光部から射出される単色光の波長域が段階的に少しずつ変更されても良い。
なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1,1A〜1F 測色計
2 筐体
2a 第1筐体
2b 第2筐体
2h 測定開口
2ha 第1測定開口
2hb 第2測定開口
2hp 測定部
2hpa 第1測定部
2hpb 第2測定部
10,10C,10E,10F 照明系
11,11C,11F 発光部
11Cc,11Fb,23,23a〜23c 赤外光カット部
20,20D,20E 受光系
20b,20bB 受光系本体部
20Da〜20Dc 第1〜3受光ユニット
27,27B,27E 分光部
28,28B,28E,28a〜28c 受光部
29a〜29c 干渉膜
30 制御部
40,40E 演算部
F1a〜F1c フィルター
Gr2 回折格子
Sm1 測色対象物

Claims (3)

  1. 測色対象物が対向して配されるとともに可視光が通過する測定開口を有する測定部と、
    赤外光を含まない光を前記測定開口に向けて照射する発光部と、
    前記測定開口からの光を受光して光電変換によって電気信号を得る受光部と、
    前記測定開口から前記受光部に至る光路上に配置され且つ赤外光の通過を抑制する第1の赤外光カット部と、を備え、
    前記発光部が、
    赤外光を含む光を発する光源と、該光源から前記測定開口に向けた光路上に配置され且つ赤外光の通過を抑制する第2の赤外光カット部と、を含んでおり、
    前記発光部から前記受光部までの光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数に近似させるフィルターを有しており、
    前記受光部が、第1受光部と第2受光部と第3受光部とを含み、
    前記フィルターが、前記測定開口から前記第1受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数x(λ)に近似させる膜を含む第1フィルターを含み、
    前記フィルターが、前記測定開口から前記第2受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数y(λ)に近似させる膜を含む第2フィルターを含み、
    前記フィルターが、前記測定開口から前記第3受光部に至る光路上に、可視光の波長範囲の分光応答度を重価係数z(λ)に近似させる膜を含む第3フィルターを含む刺激値直読型の測色計。
  2. 請求項1に記載の測色計であって、
    前記第1の赤外光カット部および前記第2の赤外光カット部のそれぞれが、干渉膜を含んでいる測色計。
  3. 請求項1または請求項2に記載の測色計であって、
    前記フィルターが、干渉膜を含んでいる測色計。
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