JP6546717B2 - 電磁波吸収性組成物および電磁波吸収体 - Google Patents
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Description
従来知られている電磁波吸収体は、電磁波を効率よく吸収するためには、損失材の含有量を高くするか、あるいは電磁波吸収材を厚く設計する必要があり、軽量・小型の吸収体を実現することは困難であった。
電磁波吸収体としては、メッシュ状にエッチングされた金属層からなる電磁波吸収体、重合体成分からなるマトリクス中に導電性炭素材料を分散含有した複合材料からなる電磁波吸収体等が知られている(後者につき、特許文献1および2)。これらのうち、軽量・柔軟な電磁波吸収体が得られることから、重合体成分をマトリクスとする電磁波吸収体が有利である。
電磁波吸収体の電磁波吸収性能は、電磁波を反射することなく内部に取り込み、熱エネルギーに変化することによって発現される。そのため、電磁波と電磁波吸収体とのインピーダンスの整合がとれるように設計することが必要である。
重合体成分をマトリクスとする電磁波吸収体の場合には、適当な電磁波損失材を含有することによって下記数式1を満たすように設計される。
複素比誘電率の実数成分と虚数成分との関係が上記無反射曲線に近い材料ほど、吸収特性が良好な電磁波吸収体を製造することができる。一般に、電磁波吸収率としては20dB以上が必要であると考えられているため、図1における20dB曲線の範囲内でできるだけ無反射曲線に近い複素比誘電率を示す材料が探索されることとなる。
図1を参照すると明らかなように、電磁波吸収体の厚みを薄くする(すなわち、パラメータd/λの値を小さくする)ためには、複素比誘電率を大きくする必要がある。従って、従来知られている電磁波吸収体材料の場合には、吸収体中の誘電性損失材(および充填材)の含有量を増やす必要があり、従って軽量小型の電磁波吸収材を得ることができないとの問題があった。例えば上記の特許文献1の技術によると、重合体成分100重量部に対して、100重量部以上の炭素材料と240重量部以上の金属水酸化物を使用することが好ましいと説明されている。
電磁波損失材として磁性損失材を用いた場合には、複素比誘電率を1に近似したうえで、複素透磁率の実数成分ur’と虚数成分ur”との間に上記誘電性損失材の場合と同様の議論が妥当する。
本発明の目的は、重合体成分をマトリクスとする電磁波吸収体であって、
電磁波損失材の含有量が少なくても高い電磁波吸収効果が得られ、
吸収波長帯域を電磁波の照射角ごとに異なるように設計することが可能であり、そして
柔軟であってデザインの自由度が大きい電磁波吸収体、およびそのための電磁波吸収性組成物を提供することである。
(A)多官能性単量体を共重合してなるゴムであり且つ示差走査式熱量計によって測定したガラス転移温度が+5℃以下である重合体成分と
(B)長軸長Lと短軸長Dとの比L/Dが2〜100である、炭素材料の誘電性損失材と
を含有することを特徴とする、電磁波吸収性組成物によって達成され;第2に、
上記の電磁波吸収性組成物の成形体からなり、該成形体中の(B)損失材が、長軸方向配向強度が1.2以上となるように配向していることを特徴とする、電磁波吸収体によって達成される。
本発明の電磁波吸収体は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ等の筐体;アンテナカバー;ETCレーン、高速道路の外壁、高層ビルの外壁、鉄塔、新幹線、航空機などの建築物・構造物;船舶マスト;RF−IDなどのICカード;ICタグ;リーダ・ライタ;ワイヤレス給電システム対応機器等として、あるいはこれらに貼付する態様で、好ましく使用することができる。これらの機器に本発明の電磁波吸収体を適用することにより、回路基板由来の複写ノイズの大幅な低減および反射波によるノイズ障害の抑制が可能となり、従って機器の感度を高くすることも可能となる。
<<電磁波吸収性組成物>>
本発明の電磁波吸収性組成物は、
(A)重合体成分と(B)炭素材料の誘電性損失材と、を含有する。
本発明における(A)重合体成分は、多官能性単量体を共重合してなるゴムである。ここでいう「共重合」とは、付加重合形式の共重合のほか、重縮合形式による場合も包含する概念である。
上記ゴムとしては、例えばアクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、スチレン・ブタジエンゴム等の、付加重合工程を経て製造されるゴム;および
シリコーンゴム、ウレタンゴム等の、重縮合工程を経て製造されるゴム等を挙げることができ、これらの主たる原料単量体に多官能性単量体および任意的に使用されるその他の単量体からなる単量体混合物を共重合してなるゴムを使用することが好ましい。具体的には、それぞれ以下の通りである。
上記アクリルゴムの主たる原料単量体は(メタ)アクリル酸エステルである。この(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルおよび(メタ)アクリル酸ブチルよりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
アクリルゴムに使用される多官能性単量体としては、例えば多価アルコールのジ(メタ)アクリレートエステル、不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、多塩基酸のポリアルケニルエステル、多価アルコールのジ(不飽和カルボン酸)エステル等の他、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸のジ(メタ)アクリレートエステルとして例えばエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等を;
不飽和カルボン酸のアルケニルエステルとして例えばアクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等を;
多塩基酸のポリアルケニルエステルとして例えばフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等を;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類を;
両末端に水酸基を有するポリ−1,3−ブタジエン、両末端に水酸基を有するポリイソプレン、両末端に水酸基を有するポリカプロラクトン等の両末端に水酸基を有する重合体のジ(メタ)アクリレート類を、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼンおよびトリアリルイソシアヌレートよりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
上記多官能性単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、0.5〜7モル%とすることが好ましく、0.5〜5モル%とすることがより好ましく、0.5〜3モル%とすることがさらに好ましく;そして、
上記その他の単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、49.5モル%以下とすることが好ましく、30モル%以下とすることがより好ましい。
多官能性単量体に由来する構造単位は、電磁波吸収体中における(B)損失材の配向を確保するとの観点から0.5モル%以上とすることが好ましく、一方で組成物調製の際の作業性を確保し、電磁波吸収体が過度に脆くなることを防止する観点からは、この値を7モル%以下とすることが好ましい。その他の単量体に由来する構造単位の下限値は、特に限定されるものではないが、例えば3モル%のいう数値を例示することができる。
上記NBRの主たる原料単量体は不飽和ニトリル化合物および共役ジエンである。
この不飽和ニトリル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。共役ジエンとしては、ブタジエンおよびイソプレンから選択される1種以上が好ましく、ブタジエンがさらに好ましい。
NBRに使用される多官能性単量体としては、アクリルゴムに使用される多官能性単量体として上記したところと同じものを使用することができる。
NBRに任意的に使用されるその他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル等のエポキシ基を有する単量体等を挙げることができる。
本発明における(A)重合体成分としてのNBRにおいて、不飽和ニトリル化合物に由来する構造単位は、全構造単位に対して、10〜60モル%とすることが好ましく、20〜55モル%とすることがより好ましく;
上記共役ジエンに由来する構造単位は、全構造単位に対して、39.5〜85モル%とすることが好ましく、45〜80モル%とすることがより好ましく;
上記多官能性単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、0.5〜7モル%とすることが好ましく、1.0〜6モル%とすることがより好ましく;そして、
上記その他の単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、44.5モル%以下とすることが好ましく、30モル%以下とすることがより好ましい。
上記クロロプレンゴムの主たる原料単量体は2−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)である。
クロロプレンゴムに使用される多官能性単量体としては、アクリルゴムに使用される多官能性単量体として上記したところと同じものを使用することができる。
クロロプレンゴムに任意的に使用されるその他の単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン等を挙げることができる。
本発明における(A)重合体成分としてのクロロプレンゴムにおいて、クロロプレンに由来する構造単位は、全構造単位に対して、70〜97モル%とすることが好ましく、80〜97モル%とすることがより好ましく;
上記多官能性単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、0.5〜7モル%とすることが好ましく、0.5〜5モル%とすることがより好ましく、0.5〜2モル%とすることがさらに好ましく;そして、
上記その他の単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、30モル%以下とすることが好ましく、20モル%以下とすることがより好ましい。
上記フッ素ゴムの主たる原料単量体はフッ素原子を有する不飽和単量体である。このフッ素原子を有する不飽和単量体としては、例えばビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
フッ素ゴムに使用される多官能性単量体としては、アクリルゴムに使用される多官能性単量体として上記したところと同じものを使用することができる。
フッ素ゴムに任意的に使用されるその他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、スチレン、α−メチルスチレン等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明における(A)重合体成分としてのフッ素ゴムにおいて、フッ素原子を有する不飽和単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、70〜99.5モル%とすることが好ましく、80〜97モル%とすることがより好ましく;
上記多官能性単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、0.5〜7モル%とすることが好ましく、0.5〜5モル%とすることがより好ましく、0.5〜3モル%とすることがさらに好ましく;そして、
上記その他の単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、29.5モル%以下とすることが好ましく、20モル%以下とすることがより好ましい。
上記スチレン・ブタジエンゴムの主たる原料単量体は、スチレンおよび1,3−ブタジエンである。
スチレン・ブタジエンゴムに使用される多官能性単量体としては、アクリルゴムに使用される多官能性単量体として上記したところと同じものを使用することができる。
スチレン・ブタジエンゴムに任意的に使用されるその他の単量体としては、例えば1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン等の、1,3−ブタジエン以外の共役ジエン;
α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,2,6−トリルスチレン等の、スチレン以外の芳香族ビニル化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明における(A)重合体成分としてのスチレン・ブタジエンゴムにおいて、1,3−ブタジエンに由来する構造単位は、全構造単位に対して、40〜85モル%とすることが好ましく、50〜75モル%とすることがより好ましく;
上記スチレンに由来する構造単位は、全構造単位に対して、10〜50モル%とすることが好ましく、15〜40モル%とすることがより好ましく;
上記多官能性単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、0.5〜7モル%とすることが好ましく、0.5〜5モル%とすることがより好ましく、0.5〜3モルとすることがさらに好ましく;そして、
上記その他の単量体に由来する構造単位は、全構造単位に対して、30モル%以下とすることが好ましく、10モル%以下とすることがより好ましい。
上記のアクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、フッ素ゴムおよびスチレン・ブタジエンゴムは、それぞれ、公知の付加重合工程によって製造することができる。
重合方法としては、例えば乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等を挙げることができるが、重合制御の容易さ、量産性等の観点から、乳化重合によることが好ましい。乳化重合は、例えば特許第5151202号に記載された方法と同様にして、あるいはこれに適宜の修正を加えた方法により、行うことができる。
上記シリコーンゴムの主たる原料単量体は、2官能の加水分解性シラン化合物である。その具体例としては、例えばジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
シリコーンゴムにおける多官能性単量体は、3官能または4官能の加水分解性シラン化合物である。その具体例としては、3官能の加水分解性化合物として、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を;
4官能の加水分解性化合物として、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
上記ウレタンゴムの主たる原料は、ジイソシアネートおよびジヒドロキシル化合物であり、これらを鎖延長剤によって鎖成長することによって、ウレタンゴムを製造することができる。その具体例としては、ジイソシアネートとして、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を;
ジヒドロキシ化合物として、例えばポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール等を;
鎖延長剤として、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール等を、それぞれ例示することができ、それぞれこれらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
ウレタンゴムにおける多官能性単量体は、3官能性のヒドロキシル含有鎖延長剤、3官能性のイソシアネート等を挙げることができる。その具体例としては、3官能性のヒドロキシル含有鎖延長剤として、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等を;
3官能性のイソシアネートとして、例えばトリメチレンジイソシアネート等を、それぞれ挙げることができる。
上記のシリコーンゴムおよびウレタンゴムは、それぞれ、公知の方法によって製造することができる。
これらのゴムを製造するための重縮合は、例えば溶液状、懸濁状、塊状等の任意の系で行うことができるが、制御の容易性および量産性の観点から、塊状で行うことが好ましい。
本発明の電磁波吸収性組成物における(A)重合体成分は、その平均粒子径が、好ましくは50〜300nmであり、より好ましくは50〜250nmであり、特に50〜200nmであることが好ましい。得られる電磁波吸収性組成物における(B)損失材の配向性を確保するためには平均粒子径が50nm以上であることが好ましく、一方、重合性を製造する際の合成系の安定性の観点からは平均粒子径を300nm以下に留めることが好ましい。
上記の平均粒子径は、液状媒体中に分散した重合体の粒子の体積平均粒子径を動的光散乱方法で測定して得られた粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。この平均粒子径は、例えばマイクロトラック粒度分析計、ナノトラック粒度分析計(ともに日機装(株)製)等を用いて測定することができる。
本発明の電磁波吸収性組成物における(A)重合体成分は、下記式(R1)で定義される1秒後の応力緩和率R1が50〜90%であり下記式(R2)で定義される1,000秒後の応力緩和率R2が25〜60%であることが好ましい。
R1=τ(1)/τ(0)×100(%) (R1)
R2=τ(1,000)/τ(0)×100(%) (R2)
(上記式中、τ(0)、τ(1)およびτ(1,000)は、それぞれ、重合体(A)の流動開始温度Tsよりも40℃高い温度Tpにおいて前記重合体(A)にせん断力を加え、せん断歪が30%に達してから0秒後、1秒後および1,000秒後のせん断応力である。)
上記の応力緩和率R1およびR2は、所定の形状に加工した重合体成分を試料として、市販の粘弾性測定装置を用いて測定した粘弾性データから上記式R1およびR2によって算出することができる。具体的には、重合体成分の流動開始温度Tsよりも40℃高い測定温度Tpにおいて、試料の上方から垂直方向下方に向かう4.9Nの力を印加しつつ、試料の横方向から0.52rad/秒の角速度でせん断力を加え、せん断歪が30%に達した時点でせん断力を調整して30%のせん断歪を維持する。ここで、せん断歪が30%に達してから0秒後、1秒後および1,000秒後のせん断応力τ(0)、τ(1)およびτ(1,000)を測定し、これらの値を上記式(R1)および(R2)に代入することにより、1秒後の応力緩和率R1および1,000秒後の応力緩和率R2を求めることができる。
1秒後の応力緩和率R1は、電磁波吸収体の成形時における(B)損失材の配向し易さおよび成形体の外観に関連する指標である。このR1が50%以上であることによって、加工によって損失材が適度に配向することが担保される。一方でR1が90%以下であることによって、得られる成形体において表面荒れ、ワレ等が生じず、良好な外観を呈することが担保される。
1,000秒後の応力緩和率R2は、得られた電磁波吸収体中の(B)損失材の配向性の維持および吸収体成形の際の吸収体サイズの再現性に関連する指標である。このR2が25%以上であることによって、初期の配向が長期間維持されることが担保される。一方でR2が60%以下であることによって、得られる成形体のサイズのバラツキが少なくなることとなる。
従って、所定のR1およびR2の双方を満たす重合体成分を使用することにより、得られる電磁波吸収体における(B)損失材の配向性を制御することが容易となり、且つ該配向性が長期間維持されることとなるのである。
1秒後の応力緩和率R1は、70〜90%であることがより好ましく、75〜90%であることがさらに好ましく;
1,000秒後の応力緩和率R2は、30〜60%であることがより好ましく、35〜60%であることがさらに好ましい。
本発明における(A)重合体成分のガラス転移温度(Tg)は、+5℃以下である。このガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量計(DSC)によって測定したデータから決定される数値である。ガラス転移温度の下限は特に制限されるものではないが、例えば−100℃以上という値を例示することができる。
一般に、(A)重合体成分のガラス転移温度が低い方が、柔軟であり、変形に対する耐性が高い電磁波吸収体を得られることとなる。一方で、(A)重合体成分のガラス転移温度が低いと、応力緩和が速くなるから、吸収体における(B)損失材の配向を維持する程度が低くなる。そこで、(B)損失材が配向し易く、しかも付与された配向が長い間維持される好適な電磁波吸収体を得るためには、ガラス転移温度が低く、しかし応力緩和がある程度遅い重合体成分が必要となる。本発明は、(A)重合体成分として多官能性単量体を共重合してなるゴムを採用することにより、上記の相反する要請を充足したものである。
本発明における(B)損失材は、長軸長Lと短軸長Dとの比L/D(アスペクト比)は2〜100であり、10〜80であることが好ましい。
(B)損失材のサイズは、電磁波吸収性能、電磁波吸収性組成物を調製する際の混錬のし易さ、電磁波吸収体を製造する際の加工性等のバランスをとる観点から、長軸長Lおよび短軸長Dについて、それぞれ以下のとおりである。
長軸長L:好ましくは10〜500μm、より好ましくは25〜400μm、さらに好ましくは40〜300μm
短軸長D:好ましくは1〜12μm、より好ましくは2〜10μm
(B)損失材の長軸長Lは、少量の添加で高い電磁波吸収性能を発現することを重視すると10μm以上とすることが好ましく、(A)重合体成分中における分散性および電磁波吸収体の加工性の観点からは500μm以下とすることが好ましい。
上記炭素材料としては、例えば黒鉛、炭素繊維、カーボンマイクロコイル、カーボンナノチューブ、グラフェン等を挙げることができる。
上記黒鉛は、例えば石炭コークスを微細粉砕したうえ、分級する方法等によって得ることができる。黒鉛の形状としては、電磁波吸収体としたときの配向性の観点から、鱗状黒煙が好ましい。
上記炭素繊維としては、例えば有機繊維(例えばポリアクリロニトリル)を高温で炭化する方法;石油ピッチ、石炭ピッチまたはコールタールピッチを高温で炭化する方法等によって得られた炭素繊維のほか、カーボンナノファイバーであってもよい。このカーボンナノファイバーは、公知の基板成長法または気相成長法によって得ることができる。
上記カーボンマイクロコイルは、主としてアセチレンの触媒活性化熱分解法によって得られる一種の気相成長カーボンファイバーであり、コイル径がミクロンオーダーの3D−ヘリカル/らせん構造をなしている材料である。コイル径は1〜10μmであり、該コイルを形成するカーボンファイバー径は0.1〜1μmであり、コイルの長さは1〜10mmであることが好ましい。
上記カーボンナノチューブは、具体的には例えばアーク放電法、レーザー蒸発法、熱分解法等の気相成長法によって得ることができる。本発明におけるカーボンナノチューブとしては、単層および多層のいずれであってもよい。
上記グラフェンは、例えば剥離転写法、SiC熱分解法、化学気相成長法、カーボンナナノチューブを切開する方法等によって得ることができる。本発明におけるグラフェンとしては、本発明所定のアスペクト比を容易に得られることおよび電磁波吸収体における配向性の観点から、鱗片形状の紛体状グラフェンを用いることが好ましい。
非極性セグメントと極性セグメントとを有するブロック共重合体またはグラフと共重合体等を挙げることができる。
本発明の電磁波吸収性組成物は、上記のような(A)重合体成分および(B)損失材を必須の成分として含有するが、これら以外にその他の成分を含有していてもよい。ここで使用することのできるその他の成分としては、例えば難燃剤、架橋剤、架橋助剤、無機充填剤、固体潤滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤、軟化剤、樹脂、(A)重合体成分以外のゴム等を挙げることができる。
上記架橋剤としては、例えばパーオキサイド、硫黄等を挙げることができる。本発明の電磁波吸収性組成物における架橋剤の含有割合は、電磁波吸収性組成物の全体に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。
上記架橋助剤としては、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能モノマー等を;
上記無機充填剤としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等を;
上記固体潤滑剤としては、例えばフッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン等を
それぞれ挙げることができる。
本発明の電磁波吸収性組成物は上記のような各成分の混合物からなる組成物であり、本発明の電磁波吸収体は上記電磁波吸収性組成物の成形体からなる。
上記各成分から電磁波吸収性組成物を経て電磁波吸収体までを一括して製造してもよいし;あるいは
先ず上記各成分から電磁波吸収性組成物を製造し、別工程において前記組成物から電磁波吸収体を製造することとしてもよい。
前者の場合、上記各成分のすべてを一括して、または順次に、適当な混錬・成形装置に投入して混錬および成形を行うことにより、電磁波吸収体を得ることができる。ここで、混錬または成形の際に、原料混合物に一定方向へのシェアがかかる装置を使用し、これにより(B)損失材を配向させた成形体とすることが好ましい。このような混錬・成形方法としては、例えばロール成形、カレンダーロール成形、混錬押出し成形(単軸または二軸)等を挙げることができるほか;
混錬押し出し機の出口に適当な金型を配置して行う、例えば射出成形、ブロー成形、真空成形等を例示することができる。
後者の場合、組成物を製造する段階および電磁波吸収体を製造する段階のうちの少なくとも片方において、原料混合物または組成物に一定方向へのシェアがかかる装置を採用し、これにより最終的に(B)損失材が配向された成形体とすることが好ましい。
原料混合物に一定方向へのシェアがかかる混錬装置としては、例えばロール、カレンダーロール、混錬押出し機(単軸または二軸)等を;
原料混合物に一定方向へのシェアがかからない混錬装置としては、例えばバンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー等を、それぞれ挙げることができる。混錬後に得られる電磁波吸収性組成物の形状としては、混錬装置の性質に応じて、例えば塊状(不定形状)、シート状、ペレット状、紛体状、顆粒状等であることができる。
組成物に一定方向へのシェアがかかる成形装置としては、例えばロール、カレンダーロール、混錬押出し機(単軸または二軸)、射出成形機、ブロー成形機、真空成形機、スリットダイ塗工機等を;
組成物に一定方向へのシェアがかからない成形装置としては、例えばプレス装置等を挙げることができる。
混錬および成形は、任意の温度で行うことができるが、各成分が良好に分散され、(B)損失材が本発明所定の範囲で配向した組成物または成形体を迅速に得るとの観点から、30〜200℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、使用する(A)重合体成分の流動開始温度Ts(℃)に対して、0〜100℃高い温度の間であり、さらに好ましくは20〜80℃高い温度の間、さらに好ましくは30〜60℃高い温度の間である。混錬・成形工程のうち、原料混合物または組成物に一定方向へのシェアをかける段階における加工温度は、Ts(℃)に対して、20〜60℃高い温度の間とすることが、(B)損失材の配向の点で好ましい。
上記のようにして得られる電磁波吸収体の形状としては、例えばシート状、板状、フィルム状、棒状、直方体状、円柱状、多角柱状(特に三角柱、四角柱または六角柱)、多角錐状(特に三角錐または四角錘)等、想定される適用用途において(B)損失材の配向性を活用できる形状とすることが好ましい。
電磁波吸収体のサイズは任意である。電磁波吸収体を、例えばシート状に成形する場合、その厚みdとしては、例えば0.1〜10mmの範囲で、ターゲットとする電磁波の波長をλとした場合のパラメータd/λが図1の無反射曲線にできるだけ近くなるように設定することが好ましい。
本発明の電磁波吸収体は、これを単独で用いてもよいし、電磁波吸収特性の異なる複数の電磁波吸収体を組み合わせて使用してもよい。この場合、例えば複素比誘電率の異なる複数の電磁波吸収体をそれぞれシート状に成形し、これらを積層してなる積層吸収体;
同じまたは異なる複素比誘電率を有する複数のシートを、(B)損失材の配向方向が層間で異なるように積層してなる積層吸収体
等を好ましく例示することができる。積層吸収体の製造方法としては、例えば多層ラミネート押出成形、インサート射出成形、多色射出成形(コアバック成形、回転モールド成形等)等を挙げることができる。
本発明の電磁波吸収体は、例えば金属層または金属酸化物層とともに使用してもよい。この場合の金属層は、電磁波吸収体が有する面のうちの少なくとも1つに設けることが好ましい。金属種としては、例えば銅、ニッケル、鉄、亜鉛、チタン、銀等を挙げることができる。金属酸化物の種類としては、これらの金属の酸化物を挙げることができる。金属層または金属酸化物層の厚みは、0.1〜20mmとすることが好ましく、0.5〜10mmとすることがより好ましい。金属層とともに使用する場合の最も好ましい態様としては、
金属層は、例えば別に製造した金属板を貼付する方法、ラミネート加工、金属フィルムインモールド成形、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法等によって形成することができる。
以降の予備実験例、実施例および比較例における各種の評価は、それぞれ、以下の方法によって行った。
(1)重合体成分の流動開始温度
重合体成分の流動開始温度Tsは、JIS−K7210(1999)に記載の「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」に準拠して、(株)島津製作所製の熱流動評価装置「CFT−500D」を用いた等速昇温試験により求めた。
測定条件は、以下のとおりとした。
昇温速度:5℃/分
荷重:100kgf
キャピラリーダイのサイズ:内径1.00mmおよび長さ1.00mm
(2)重合体成分の応力緩和率
重合体成分の応力緩和率は、(株)ユービーエム製の粘弾性測定装置「MR−500」を用いて、高さ2mm、直径20mmの円柱形状に加工した各重合体試料に対して、直径19.96mmのパラレルプレートを用いたせん断応力緩和試験によって求めた。
流動開始温度Tsよりも40℃高い測定温度Tpにおいて、上記のパラレルプレートを用いて、測定開始時の垂直荷重が4.9Nの状態でせん断歪30%となるように回転角度を調整して、経過時間に対するせん断応力を測定した。そして、せん断歪が30%に達してから0秒後、1秒後および1,000秒後のせん断応力τ(0)、τ(1)およびτ(1,000)を調べ、これらの値を上記式(R1)および(R2)に代入して1秒後の応力緩和率R1および1,000秒後の応力緩和率R2を求めた。
(3)重合体成分のガラス転移温度
重合体成分のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(NETZSCH社製、型式「DSC 204 F1」)を用いて、JIS K 7121(1987)に準拠して示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。
電磁波吸収体における損失材の配向性は、非特許文献1(Enomae et al.,Nordic Pulp and Paper Research Journal,21(2),pp253−259(2006))に記載の分析手法に準拠して評価した。
各実施例および比較例で得られた電磁波吸収体シートを5mm×2mmの大きさに切り出し、撮影用試料とした。ここで、観察面が配向軸に対して平行となるように断面を切削した。(株)日立ハイテクノロジーズ製の電界放出形走査電子顕微鏡(製品名:S−4300)を用い、上記撮影用試料をその断面における損失材の配向軸が水平方向となるように配置して、撮影した。
得られた画像につき、1024×1024pixcel部分をトリミングし、8bitのグレースケール処理を施し、解析ソフト「Fiber‐Orientation−Analysis−8.13」を用いて計算した配向強度を長軸方向配向鏡強度とした。
電磁波吸収体の電磁波吸収性能は、アジレント・テクノロジー社製、ベクトルネットワークアナライザ(VNA、製品名:N5227 PNA)を用いて、測定周波数帯域として
(B)損失材が誘電性損失材である場合には1〜10GHz帯および18〜26GHz帯を、
(B)損失材が磁性損失材である場合には1〜10GHz帯を、
それぞれ測定周波数帯域として、自由空間法によって測定を行った。
評価用試料としては、
1〜10GHz帯については300mm×300mm、
18〜26GHz帯については100mm×100mm、
厚み0.5〜2.0mm(この範囲で下記の予備実験の結果によって最適値を設定した)
のシートを準備し、該試料の背面を厚み0.2mmのアルミニウム板で裏打ちしたものを用いた。そして、該試料中の組成物の流れ方向(MD方向)が電磁波の電界方向に対して平衡となるように配置して、測定を行った。
(6)破断伸び
破断伸びは、各実施例および比較例で得られた電磁波吸収体シートを3号ダンベル状に打ち抜いた試験片について、JIS 6251に準拠して、引張速度500mm/分にて測定した。
この破断伸びが180%以上であった場合は破断伸び「良好」、180%未満であった場合は破断伸び「不良」として評価した。
製造例1
蒸留水200重量部に、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5重量部を溶解した水溶液に、エチルアクリレート85重量部、アクリロニトリル12重量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート3重量部を仕込み、10℃まで冷却した後、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.02重量部を添加して、10℃において重合反応を行った。重合転化率が約90重量%に達した後、反応系にN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5重量部を添加して共重合反応を停止して、共重合体ラテックスを得た(反応時間6時間)。得られたラテックスを大過剰の0.25重量%塩化カルシウム水溶液に添加して共重合体ゴムを凝固した。この凝固物を回収し、十分に水洗した後、約90℃において3時間乾燥することにより、共重合体1を得た。
また、得られたラテックスの一部をクロロホルム/トルエン混合溶媒(体積比4:1)によって体積比で10倍に希釈し、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(形式「UPA−EX150」、日機装(株)製)を用いて体積平均粒径を算出したところ、189nmであった。また、共重合体1のガラス転移温度は0℃であった。
蒸留水200重量部に、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5重量部を溶解した水溶液に、ブチルアクリレート79重量部およびアクリロニトリル21重量部を仕込み、10℃まで冷却した後、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.02重量部を添加して、15℃において重合反応を行った。重合転化率が約95%に達した後、反応系にN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5重量部を添加して共重合反応を停止して、共重合体ラテックスを得た(反応時間4時間)。得られたラテックスを大過剰の0.25重量%塩化カルシウム水溶液に添加して共重合体ゴムを凝固した。この凝固物を回収し、十分に水洗した後、約90℃において3時間乾燥することにより、共重合体2を得た。
得られたラテックスを用いて上記製造例1と同様にして共重合体2の体積平均粒径を算出したところ、178nmであった。また、共重合体2のガラス転移温度は−11℃であった。
上記製造例1において、仕込量を、エチルアクリレート77重量部、アクリロニトリル6重量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート17重量部としたほかは製造例1と同様に操作うすることにより、共重合体3を得た。
得られたラテックスを用いて上記製造例1と同様にして共重合体3の体積平均粒径を算出したところ、170nmであった。また、共重合体3のガラス転移温度は−9℃であった。
蒸留水200部に、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5重量部を溶解した水溶液、原料モノマーとしてブタジエン66重量部、アクリロニトリル28重量部およびジビニルベンゼン6重量部、ならびにレドックス触媒をオートクレーブに仕込み、10℃に温度調整した後、重合開始剤としてパラメンタンハイドロオキサイド0.01部を加え、重合転化率95%まで乳化重合した。次いで、反応停止剤N,N−ジエチルヒドロキシルアミンを添加し、共重合エマルジョンを合成した。その後、この溶液中に水蒸気を吹き込み未反応の原料モノマーを除去した後、この溶液を5%塩化カルシウム水溶液中に添加し、析出した共重合体を80℃に設定した送風乾燥機で乾燥することにより、共重合体4を得た。
得られたラテックスを用いて上記製造例1と同様にして共重合体4の体積平均粒径を算出したところ、191nmであった。また、共重合体4のガラス転移温度は−40℃であった。
大洋塩ビ(株)製の塩化ビニル(製品名:TH−1400)100重量部と、可塑剤としてジオクチルフタレート400重量部との混合物を、100℃に温調した関西ロール(株)製のミキシングロールを用いて、ロール回転数を前20rpmおよび後22rpmとして1分間混練することにより、軟質ポリ塩化ビニル組成物を得た。
製造例5
表面が厚み10nmのマグネタイト(Fe3O4)で被覆された平均粒径4μm、アスペクト比1の軟磁性鉄粉を、アトライターを用いて2分間処理することによって塑性変形して扁平状に加工することにより、アスペクト比が20の軟磁性鉄粉2を得た。
以降の実施例および比較例のそれぞれは、以下のような予備実験によって決定した最適組成を採用したものである。
重合体成分100重量部に対して損失材を変量した数種類の予備試料を調製した。各試料について、
損失材が誘電性損失材である場合には複素比誘電率の実数成分εr’および虚数成分εr”を求め、これら実数成分および虚数成分の関係が無反射曲線に最も近い組成を採用した。実施例および比較例におけるd/λ値としては、虚数成分(縦軸)対実数成分(横軸)のプロットにおいて、プロットした点から発した縦軸に平行な線が無反射曲線と交差した点のd/λ値を採用した。
予備試料の調製は、以下の方法によった。
所定温度に調温した関西ロール(株)製のミキシングロールを用いて、ロール回転数を前20rpmおよび後22rpmとして、100重量部の重合体成分を1分間素練りした後、所定量の損失材を投入してさらに3分間混錬した。混錬後の材料を幅500mmおよび厚み2mmのシート状に成形加工することにより、予備試料を得た。
第1表および図2に、実施例E1および比較例e1の組成を決定するために行った予備実験の一部を示す。実施例E1の組成としては、予備実験例1〜3のうち、複素比誘電率の実数成分εr’および虚数成分εr”の関係が無反射曲線に最も近い予備実験例2の組成を、
比較例e1の組成としては、予備実験例4〜6のうち、複素比誘電率の実数成分εr’および虚数成分εr”の関係が無反射曲線に最も近い予備実験例6の組成を、
それぞれ採用した。
[重合体成分]
共重合体1:上記製造例1で製造した「共重合体1」
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエンゴム、JSR(株)製、商品名「EP51」
[損失材]
炭素繊維20:炭素繊維、アスペクト比20、三菱樹脂(株)製、商品名「ダイアリードK223HM」
実施例E1〜E7および比較例e1〜e4
第2表に記載した種類および量(重量部)の重合体成分および損失材を用いて各実験を行った。重合体成分および損失材の組成比およびd/λ比は、上記と同様の手法によって行った予備実験によって決定したものである。
第2表に記載の温度に調温した関西ロール(株)製のミキシングロールを用いて、ロール回転数を前20rpmおよび後22rpmとして、所定量の重合体成分を1分間素練りした後、所定量の損失材を投入してさらに3分間混錬した。実施例E6において、難燃剤は(B)損失材の添加前に、架橋剤は(B)損失材の添加後にそれぞれ投入した。
次いで、関西ロール(株)製の300tonプレス機を用いて上記混錬後の材料を加圧成形し、各周波数帯用として厚みの異なる2枚のシートを得た。これらのシートの厚みは、予備実験で求めたd/λ比に周波数5.8GHzおよび22GHzをそれぞれ代入して決定した厚みである。そして各シートを各周波数帯用の大きさに切り出して、電磁波吸収性能の評価を行った。
評価結果は第2表に示した。
[重合体成分]
共重合体1:上記製造例1で製造した「共重合体1」
共重合体2:上記製造例2で製造した「共重合体2」
軟質塩ビ:上記比較製造例1で製造した「軟質ポリ塩化ビニル組成物」
共重合体3:上記製造例3で製造した「共重合体3」
共重合体4:上記製造例4で製造した「共重合体4」
CEBC:オレフィン結晶/エチレン・ブチレン/オレフィン結晶ブロック共重合体、JSR(株)製、製品名「DR6100」
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエンゴム、JSR(株)製、製品名「EP51」
[損失材]
炭素繊維:三菱樹脂(株)製、製品名「ダイアリードK223HM」、アスペクト比20
黒鉛:(株)中越黒鉛工業所製、製品名「SB#1」、アスペクト比3
球状黒鉛:(株)中越黒鉛工業所製、製品名「WF−15C」、アスペクト比1
実施例M1ならびに比較例m1およびm2
上記実施例E1等と同様にして、第3表に記載した種類および量(重量部)の重合体成分および損失材を用いて混練りを行った。
次いで、関西ロール(株)製の300tonプレス機を用いて上記混錬後の材料を加圧成形してシートを得た。のシートの厚みは、予備実験で求めたd/λ比に周波数5.8GHzを代入して決定した厚みである。そしてこのシートを300mm×300mmの大きさに切り出して、電磁波吸収性能の評価を行った。
評価結果は第3表に示した。なお、実施例M1は参考例である。
[重合体成分]
共重合体1:上記製造例1で製造した「共重合体1」
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエンゴム、JSR(株)製、製品名「EP51」
[損失材]
軟磁性鉄粉1:アスペクト比1
軟磁性鉄粉2:上記製造例5で製造した「軟磁性鉄粉2」、アスペクト比20
Claims (5)
- (A)多官能性単量体を共重合してなるゴムであり且つ示差走査式熱量計によって測定したガラス転移温度が+5℃以下である重合体成分と
(B)長軸長Lと短軸長Dとの比L/Dが2〜100である、炭素材料の誘電性損失材と
を含有することを特徴とする、電磁波吸収性組成物。 - 上記(A)重合体成分が、アクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、フッ素ゴムおよびスチレン・ブタジエンゴムから選択され、ただし多官能性単量体が共重合されているゴムである、請求項1の電磁波吸収性組成物。
- 上記(A)重合体成分における多官能性単量体の共重合割合が0.5〜7モル%である、請求項2に記載の電磁波吸収性組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波吸収性組成物の成形体からなり、該成形体中の(B)損失材が、長軸方向配向強度が1.2以上となるように配向していることを特徴とする、電磁波吸収体。
- 請求項4に記載の電磁波吸収体を具備することを特徴とする、電子機器。
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