以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の吊下型建具を説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
<第1実施形態>
図1に示されるように、本実施形態の吊下型建具1は、建具の上方に設けられたレールRに支持される。本実施形態では、吊下型建具1は、レールRに沿って開閉される引き戸として示されているが、吊下型建具1は、引き戸の他、開閉型のパーティションなど、引き戸以外の他の建具であっても構わない。
レールRは、本実施形態では、図1に示されるように断面が略C字状のレールである。レールRは、戸枠などの枠体にレールRが取り付けられたときに、下方に開口Raが形成されるように取り付けられる。なお、レールRの形状は図示する形状に限定されるものではなく、吊下型建具1を支持することができれば、他の形状であってもよい。
吊下型建具1は、図1に示されるように、建具本体2と、レールRに沿って走行可能な車輪(吊車)31を有する走行体3と、建具本体2の上部に設けられ、走行体3に着脱可能に接合される接合体4とを備えている。建具本体2は、開口部等を開閉可能な戸や、パーティションなどの板状体である。
走行体3は、図1に示されるように、レールRに収容され、レールRに沿って走行し、建具本体2をレールRに沿って移動させる。走行体3は、1つの建具本体2に対して通常2つ取り付けられるが、走行体3は、1つの建具本体2に対して1つだけ取り付けられてもよいし、3つ以上取り付けられてもよい。走行体3は、通常、レールRが枠体に取り付けられる前にレールR内に収容され、その後レールRが枠体に固定される。なお、レールRが取り付けられた後に、走行体3をレールRに収容してもよい。
走行体3は、図1〜図3に示されるように、レールRに沿って転動可能な車輪31と、車輪31が取り付けられる走行体本体32と、走行体本体32から下方に軸状に突出し、接合体4に係合される係合部33aを備えた、係合シャフト33(図3参照)とを備えている。
車輪31は、レールRに沿って転動可能であれば任意の形状、大きさの車輪を用いることができる。本実施形態では、車輪31は略C字状のレールRにほぼ隙間なく設けられている(図11参照)。レールRの上下方向の内寸を車輪31の直径とほぼ同じとすることにより、レールRの上下方向の幅を小さくすることができる。また、後述するように、走行体3と接合体4とを接合するときに、走行体3に上方向の力が加わったときにレールRの内面と車輪31とがすぐに当接するため、走行体3と接合体4との間の接合が容易となる。
車輪31の個数は特に限定されないが、本実施形態では図1および図2に示されるように、4つの車輪31が設けられている。本実施形態では、図1および図11に示されるように、レールRの開口Raを挟んで、レールRの走行方向にそれぞれ2つの車輪31が並んで、合計4つの車輪31が設けられている。4つの車輪31は、係合シャフト33が4つの車輪31の中央部となるように配置されている。すなわち、たとえば、4つの車輪31により形成された四角形の対角線を結んだ位置に係合シャフト33の軸心が位置するように配置される。これにより、係合シャフト33を介して加わる建具本体2の荷重を、4つの車輪31に均等に分散させることができ、走行体3がレールR上を安定して走行することができる。
走行体本体32は、車輪31を回転可能に支持している。走行体本体32の形状は車輪31および係合シャフト33を支持することができれば任意の形状とすることができる。本実施形態では、走行体本体32は、軸状の係合シャフト33の一端側が挿入可能なネジ穴32a(図3参照)を有している。ネジ穴32aの内側には、雌ネジFが形成されている。なお、走行体本体32は必ずしもネジ穴32aを有している必要はなく、係合シャフト33は走行体本体32と一体に形成されていてもよい。本実施形態では、走行体本体32の中央部に設けられたネジ穴32aに係合シャフト33が螺合されて走行体本体32と係合シャフト33とが接続される。
係合シャフト33は、建具本体2に設けられた接合体4に接合される部位である。係合シャフト33は、本実施形態では、走行体本体32からレールRの開口Raを通って下方に突出する(図2および図3参照)。詳細は後述するが、係合シャフト33は、接合体4の係合孔部42に係合する係合部33aを有している。係合部33aは、本実施形態では、図3に示されるように、係合シャフト33の軸部33bの径方向外側に突出している。係合部33aは、後述するように係合孔部42の被係合部42a(図4参照)に係合して、係合シャフト33が係合孔部42から抜け出ることを防止する。なお、係合部33aの形状は、係合シャフト33が係合孔部42から抜けないように被係合部42aと係合することができれば、その形状は特に限定されない。また、本実施形態では、係合部33aは係合シャフト33の自由端に設けられているが、その位置も特に限定されない。
また、本実施形態では、上述したように係合シャフト33は走行体32のネジ穴32aに螺合するために、図3に示されるように、軸部33bの外周には雄ネジMSが形成されている。これにより、図3に示されるように、軸部33bの雄ネジMSと走行体本体32のネジ穴32aの雌ネジFとが螺合して、係合シャフト33が走行体本体32のネジ穴32aに対して進退可能となる。したがって、係合シャフト33の走行体本体32からの突出量を変更することが可能となり、係合シャフト33を介して吊り下げられた建具本体2の上下位置を調節することができる。なお、本実施形態では、係合シャフト33の軸部33bの外周部に締結部33cが設けられており、この締結部33cを所定の治具T(図6および図7参照)で回転させることにより、係合シャフト33を進退させることができる。締結部33cの形状は特に限定されないが、本実施形態では軸部33bの外周から径方向外側に突出した六角形状の締結部33cが用いられている。なお、締結部33cは係合部33aと軸方向に並んで配置されている。所定の治具Tは、締結部33cを回転させることができればよく、たとえばスパナ等が用いられる。なお、本実施形態では、操作部43を操作するために、図6および図7に示されるように、治具Tは一端側がスパナとして形成され、他端側が板状のスパナ部Taに対して傾斜した傾斜部Tbを有している。傾斜部Tbは、操作部43の操作時に係合シャフト33を回避するように二股状に形成され、傾斜部Tbの二股に分かれた自由端には突出部Tc(図7参照)が形成されている。なお、所定の治具Tは他の構造であっても構わない。
接合体4は、図1〜図3に示されるように、建具本体2の上部に設けられる。本実施形態では、接合体4は、建具本体2に取り付けられる接合体本体41を有し、接合体本体41が建具本体2の上端面2aにネジなどの固定部材により取り付けられている。なお、接合体4を設ける位置は、走行体3と係合可能で、建具本体2の開閉動作に支障がない位置であれば、建具本体2の上端面2aに限定されるものではない。たとえば、接合体4は、建具本体2の垂直面(たとえば図1に参照符号2b、2cで示す面)に設けても構わない。また、本実施形態では、接合体4は建具本体2の表面から突出して設けられているが、建具本体2に埋め込まれても構わない。
本実施形態では、接合体4は建具本体2の上端面2aに2つ設けられているが、接合体4の数は、走行体3の数などに応じて適宜変更が可能である。また、本実施形態では、接合体4は、2つの接合体本体41がそれぞれ別々に建具本体2に取り付けられているが、建具本体2の上端面2aを覆うような1つの接合体本体41を設けても構わない。この場合、1つの接合体本体41に2つの係合孔部42を設けてもよい。
接合体4は、図2〜図4に示されるように、接合体本体41に設けられ、係合シャフト33が挿入可能であり、係合シャフト33が挿入されたときに、係合シャフト33の係合部33aと係合する被係合部42a(図4参照)を有する係合孔部42と、係合部33aと被係合部42aとの間の係合を解除するように操作可能な操作部43とを備えている。
係合孔部42は、係合シャフト33の先端が挿入され、係合部33aと係合する。本実施形態では、係合孔部42は、図4に示されるように、被係合部42aを有している。係合部33aが被係合部42aに係合することにより、係合シャフト33の係合孔部42からの抜けが防止され、建具本体2と走行体3とを接合した状態で維持することができる。本実施形態では、図4に示されるように、被係合部42aは、係合孔部42を構成する内側筒状部42bの内周面に対して径方向内側に突出する爪状部材Cとして示されている。本実施形態では、図4に示されるように、爪状部材Cは弾性を有する部材であり、たとえば板バネ状の部材とすることができ、内側筒状部42bに形成された開口から爪状部材Cの先端が内側に突出している。この爪状部材Cが軸部33bから拡径した段差状の部位となる係合部33aに係合する。より具体的には、爪状部材Cは、係合シャフト33が係合孔部42に向かって挿入されたときに、内側に突出した状態から係合シャフト33の挿入が可能な後退した状態まで移動または変形することが可能である。これにより、係合シャフト33が係合孔部42に挿入され、軸部33bの拡径部が通過するときは後退し、軸部33bの拡径部が爪状部材Cを通過した後は、爪状部材Cが突出した状態まで戻り、係合シャフト33が係合孔部42に係合して自動的に固定される。なお、本実施形態では、係合孔部42は、筒状部として形成されているが、係合孔部42は必ずしも筒状に形成される必要はなく、係合シャフト33の係合部33aが挿入されて係合可能であればよい。また、爪状部材Cの形状も特に限定されるものではない。
操作部43は、係合部33aと被係合部42aとの間の係合を解除するように操作される。操作部43は、たとえば押圧操作されることにより、被係合部42aを移動させて、係合部33aとの係合を解除する。本実施形態では、係合孔部42に設けられた内側筒状部42bに対して、係合シャフト33の軸方向に(図4中、下方向に)操作部43が移動可能に設けられている。本実施形態では、操作部43が押圧操作されることにより、図5に示されるように、内側筒状部42bの外側に設けられた外側筒状部43aが内側筒状部42bに対して下方に移動する。操作部43の外側筒状部43aが下方に移動すると、径方向内側に押圧されていた爪状部材Cが径方向外側に逃げることにより、内側筒状部42bの内周から突出した爪状部材Cが径方向外側に後退して係合部33aと被係合部42aとの間の係合を解除させることができる。操作部43への操作をやめると、操作部43はバネ等の付勢部材SPの付勢力により元の位置へと戻り、再度爪状部材Cが内側筒状部42bの内周から突出する。
なお、上述した係合部33aおよび被係合部42aの形状や構造はあくまで一例であり、後述する効果を奏するものであれば、他の形状や構造であっても構わない。また、操作部43の形状や構造も特に限定されるものではなく、被係合部42aを操作して係合部33aおよび被係合部42aとの間の係合を解除できるものであれば、他の形状や構造であってもよい。また、本実施形態では、操作部43は接合体本体41の上面側から押圧できるように設けられているが、接合体本体41の側面などに設けて、水平方向の力を加えることにより、たとえば爪状部材等の被係合部42aを後退させて、係合を解除させてもよい。また、操作部43は押圧操作以外に、引き操作や回転操作を加えて操作しても構わない。
つぎに、本実施形態の吊下型建具1の取付方法について説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明を限定するものではなく、他の方法で吊下型建具1を取り付けても構わない。
まず、図2および図3に示されるように、レールRに走行体3を収容する。このとき、まだ建具本体2は走行体3に対して取り付けられていない。
図2および図3に示される状態から、接合体4が取り付けられた建具本体2を走行体3に向かって上方へと移動させる。建具本体2を上方へ移動させると、建具本体2の上部に設けられた接合体4の係合孔部42に、走行体3の係合シャフト33の先端が入り込む。そのまま建具本体2をさらに上方へ移動させると、上述したように係合シャフト33の係合部33aが係合孔部42の被係合部42aに図4に示されるように係合する。係合部33aが被係合部42aと係合することにより、係合シャフト33から接合体4が抜けることが防止され、建具本体2が走行体3と接合されるとともに吊下げられる。
このように本実施形態の吊下型建具1によれば、建具本体2を上方に移動させるだけで走行体3と建具本体2との間の接合が完了する。そのため、走行体3と建具本体2とを接合する際に、現場でネジ等を用いて部材同士を固定する必要がなくなる。このように建具本体2の取り付け操作が非常にシンプルで、かつネジ等の固定部材を用いた煩雑な作業が不要になる。
また、本実施形態では、係合シャフト33が、走行体本体32に設けられたネジ穴32aに螺合して取り付けられている。この場合、建具本体2の上下位置の調節が可能となる。すなわち、本実施形態では、係合シャフト33をネジ穴32aに対して進退させることによって、建具本体2と接合された係合シャフト33が走行体本体32に対して上下に移動する。そのため、係合シャフト33が上下に移動するにつれて、建具本体2が上下に移動して、上下位置が調節される。より具体的に説明すると、図6の右側に示すように、建具本体2が走行体3と接合された状態で、レールRと建具本体2との間の隙間から治具Tを挿入し、係合シャフト33の締結部33cを治具T(スパナ部Ta)により回転させる。締結部33cを締める方向に回転させると、係合シャフト33の雄ネジMSがネジ穴32aの雌ネジFに螺合して、係合シャフト33がネジ穴32aに深く入るように上側に移動する(図3参照)。一方、締結部33cを緩める方向に回転させると、係合シャフト33がネジ穴32aから抜ける方向へと下側に移動する(図3参照)。これにより、建具本体2を取り外すことなく、建具本体2の上下位置の調節を容易に行うことができる。
つぎに、建具本体2を取り外す場合について説明する。建具本体2を走行体3から取り外す場合は、接合体4に設けられた操作部43を操作する。上述したように、接合体4に設けられた操作部43を、押圧するなどの簡単な操作により、係合シャフト33の係合部33aと接合体4の被係合部42aとの間の係合を解除することができ、建具本体2の取り外しに、ネジ等の固定部材を取り外すなどの複雑な操作は不要で、簡単に建具本体2を取り外すことができる。具体的には、操作部43を押圧操作すると、爪状部材Cが図4に示す係合位置から、図5に示す係合解除位置まで移動する。そのため、係合シャフト33から建具本体2を取り外すことができる。より具体的には、本実施形態では、図6の左側に示されるように、建具本体2が走行体3と接合された状態で、レールRと建具本体2との間の隙間から治具Tの傾斜部Tb側を挿入し、傾斜部Tbの突出部Tc等により、操作部43を押し下げるように操作する。なお、治具T以外で操作部43を操作してもよい。操作部43が押し下げられると、図5に示されるように、操作部43の外側筒状部43aが係合孔部42の内側筒状部42bに対して下方に移動し、爪状部材Cが径方向外側および上側に退避可能となり、内側筒状部42bの内側に突出していた爪状部材Cの先端が径方向外側に後退する。これにより、係合部33aと被係合部42aとの間の係合が解除され、建具本体2を下方に移動させることが可能となり、建具本体2を取り外すことができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、建具本体2として引き戸を用いた例を示したが、本実施形態では、建具本体2として可動のパーティションを用いた例を示している。本実施形態の吊下型建具1は、第1実施形態と同様に、建具本体2、走行体3、接合体4を備え、これらは基本的に第1実施形態と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、図8に示されるように、レールRに複数の建具本体2が設けられ、建具本体2がレールRに沿って並んだ状態と、図9に示されるように、建具本体2を回転させて端部に揃えた開放状態とすることができる。特に限定されるものではないが、本実施形態では、1つの建具本体2に対して1つの走行体3が設けられている。
本実施形態では、係合シャフト33と係合孔部42とが係合した状態で、係合シャフト33と係合孔部42とが互いに対して回転可能に取り付けられている。そのため、係合シャフト33に対して、接合体4および建具本体2が係合シャフト33の軸周りに回転可能となっている。建具本体2が走行体3に接合された状態のまま、建具本体2を係合シャフト33の軸周りにたとえば90°回転させ(図8の二点鎖線参照)、回転させた建具本体2をレールRの端部に向かって移動させる。この操作を繰り返すことにより、図9に示されるように複数の建具本体2をレールRの端部側で揃えて、複数の建具本体2により閉鎖されていた部分を開放させることができる。したがって、本実施形態によれば、第1実施形態で説明した効果に加えて、可動パーティションのように、建具本体2の、レールRに沿う移動とレールRに対する回転とが必要である構造において、簡単な操作で建具本体2を移動させることができる。なお、本実施形態の構造は、可動パーティションに限定されず、引き戸等においても適用することができる。
つぎに、吊下型建具1を連動引き戸に適用した他の実施形態について説明する。連動引き戸装置は、吊下型建具の建具本体が連動機構により連結されるとともに、互いに連動するように構成されている。連動引き戸は複数の隣接する引き戸同士を連結する必要があるため、上側のレールに引き戸を取り付ける際には、その作業は非常に複雑で作業性が悪い傾向にある。以下に示す実施形態では、上述したような、着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。以下、各実施形態について説明する。なお、以下の実施形態における引き戸同士を連動させる連動機構はあくまで一例であり、本発明の吊下型建具は、他の構造の連動機構を有する連動引き戸にも適用することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態は、吊下型建具1を連動引き戸に適用した例を示している。特に本実施形態では、3枚以上の複数枚の引き戸や、戸袋内に収納される2枚の引き戸に適用が可能である。以下に示す例では、3枚の引き戸をスライドさせて連動させる構造について説明するが、本実施形態は、2枚の引き戸(たとえば、2枚の引き戸が戸袋に収納されるものなど)を連動させる構造にも適用することができ、後述するように、4枚以上の引き戸を連動させる構造にも適用することができる。なお、本実施形態の吊下型建具1は、第1および第2実施形態と同様に、建具本体2、走行体3、接合体4を備え、これらは基本的に第1実施形態と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。なお、理解を容易にするために、一部の図面において、レールR、走行体3、接合体4等を省略して示している場合がある。
図10に示されるように、本実施形態の吊下型建具100(以下、連動引き戸装置100と呼ぶ)は、建具本体となる、引き戸D1(第1の引き戸)と、引き戸D2(第2の引き戸)と、引き戸D3(第3の引き戸)とを備えている。引き戸D1、引き戸D2、引き戸D3(以下、引き戸D1、引き戸D2、引き戸D3をまとめて引き戸Dという場合もある)は、互いに対して略平行に設けられている。引き戸D1、引き戸D2および引き戸D3は、所定の幅を有する間口を閉鎖可能であり、間口を開放した状態では、3枚の引き戸Dは図10に示されるように、互いに重なった状態となる。3枚の引き戸Dが重なった状態において、引き戸Dの厚さ方向X(図10参照)で中央に位置し、引き戸D2と引き戸D3に挟まれるように配置されるのが、引き戸D1であり、引き戸D1の厚さ方向Xの両側に隣接して引き戸D2および引き戸D3が位置している。
これら3枚の引き戸Dは、互いに対してスライドするように構成され、本実施形態では、図11に示されるように、引き戸Dは、引き戸Dの上部側に設けられたレールRに沿ってスライドするように構成されている。具体的には、本実施形態では、図11に示されるように、走行体3がレールRに沿って移動することにより、引き戸Dがスライドするように構成されている。なお、図11においては、後述する方向転換部材200a、伝動部材300は省略している。
引き戸Dの下部には、本実施形態では、図11に示されるように、3つの引き戸Dのうち、2つの引き戸Dの下端に引き戸Dの下端に埋設されたガイドレールGaが設けられている。このガイドレールGaに隣接する引き戸Dの下端から延びるガイド突起Gbが摺動可能に係合される。この場合、床面等にレール等を設ける必要がなくなり、床面をフラットに保つことができ、見栄えもよくなる。さらに、引き戸D同士が引き戸Dの厚さ方向(図11中、左右方向)で離れることを防止することができる。
また、引き戸D同士を連動させる連動機構として、図10および図12に示されるように、引き戸D1(第1の引き戸)の上端面US側または下端面LS(図11参照)側に、引き戸D1のスライド方向Y(図10参照)で互いに離間して設けられた一対の方向転換部材200a、200bと、一対の方向転換部材200a、200bにループ状にかけ回される伝動部材300と、引き戸D2(第2の引き戸)に取り付けられ、伝動部材300に直接または間接的に連結される連結部材400aとを備えている。なお、図12においては、図10に示している走行体3および接合体4は省略している。また、連結機構は、引き戸D3(第3の引き戸)にも取り付けられ、伝動部材3に連結される第2の連結部材400bを備えている。なお、以下、連結部材400aおよび第2の連結部材400bをまとめて単に連結部材400という。
連動機構は、図13(a)〜(c)の模式図に示されるように、1枚の引き戸をスライドさせると、もう1枚の引き戸が連動してスライドするように構成されている(なお、図13においては、走行体3および接合体4は省略している)。具体的には、引き戸D1に隣接する引き戸D2を図13(a)中、右方向にスライドさせると、引き戸D2に取り付けられた連結部材400aは、引き戸D2のスライドに応じて、図13(a)に示される初期位置から、図13(b)に示されるように、スライド方向(右方向)に移動する。連結部材400aが右側に移動すると、連結部材400aの移動に伴って、連結部材400aが取り付けられた伝動部材300は図13(b)中、反時計回りに回動する。一方、引き戸D3は、第2の連結部材400bにより伝動部材300に連結されているが、引き戸D3の重量および伝動部材300が反時計回りに回転しているため、引き戸D3は紙面上左方向に付勢され、引き戸D3は移動することがない。伝動部材300の連結部材400aとの接続箇所から伝動部材300の第2の連結部材400bとの接続箇所までの伝動部材300の長さは変わらないため、伝動部材300が反時計回りに回動しながら、引き戸D1は引き戸D2と同方向に、すなわち右側に連動してスライドする(図13(b)および(c)参照)。これにより、引き戸D1、引き戸D2および引き戸D3により開口を閉鎖することができる。引き戸D2を、図13(c)に示す状態から開放していく場合も、同様に図13(b)、図13(a)の状態へと、引き戸D1が引き戸D2に連動する。なお、引き戸D3が壁等の据付型の構造物(壁部)であっても、構造物に第2の連結部材400bを設けることなどにより、引き戸D1と引き戸D2を連動させることができる。
連結機構に用いられる伝動部材300は、引き戸Dの上述した連動を実現するために、連結部材400と連結されて、一対の方向転換部材200a、200bに案内されて回動する動力伝達部材である。伝動部材300は、本実施形態では、図10および図12に示されるように、ラック部300aを有する歯付ベルト(以下、歯付ベルト300という場合がある)であるが、回動して動力を伝達し、上述した引き戸Dの連動を実現できるものであれば、歯付ベルトに限定されるものではなく、例えば、単なるベルト等の帯状体、ワイヤ、ロープ、紐等の長尺部材であってもよい。また、伝動部材300は、予め無端状のループに成形された伝動部材を用いてもよいが、後述するように、ループを形成しない1つまたは2つ以上の直線状の長尺部材の端部を接続することにより、ループ状に形成してもよい。
伝動部材300は、図10〜図12に示されるように、一対の方向転換部材200a、200bにかけ回される。方向転換部材200a、200bは、伝動部材300が回動できるように、伝動部材300を案内する。本実施形態では、方向転換部材200a、200bは引き戸D1の上端面USに取り付けられている。なお、方向転換部材200a、200bは引き戸D1の下端面LSに設けられていてもよい。なお、本明細書において、引き戸D1の「上端面US側」、「下端面LS側」に設けられるという場合、方向転換部材200a、200bが取り付けられる部位が、引き戸D1の上端面USまたは下端面LS以外に、例えば、方向転換部材200a、200bが取り付けられた後に、方向転換部材200a、200bを覆うカバー等により、方向転換部材200a、200bの上方に新たな面が形成された場合など、上端面USまたは下端面LSの近傍に方向転換部材200a、200bが設けられたものも含む。
方向転換部材200a、200bは、伝動部材300が回動するように案内することができれば、回転するものであっても、回転しないものであってもよいが、本実施形態では、垂直軸周りに回転するギヤローラー(以下、ギヤローラー200a、200bという場合がある)が用いられている。ギヤローラーは、図10および図11に示されるように、外周にギヤが形成されており、歯付ベルト300を案内している。本実施形態では、ギヤローラー200a、200bの上部には、図10に示されるように、フランジ部210が設けられている。フランジ部210は、ギヤローラー200a、200bの軸心からギヤローラー200a、200bの歯先を結んだ円の外周を越えて水平方向に突出するように形成されている。歯付ベルト300は、引き戸Dの開閉動作に伴って回動するときに、ギヤローラー200a、200bの軸方向、すなわち本実施形態では上方向に移動してしまうことが実験により明らかとなり、その歯付ベルト300の上方向への動作をフランジ部210により規制することができる。なお、フランジ部210は本実施形態では、ギヤローラー200a、200bの歯先を結んだ円の径よりも大径の円盤状のフランジ部210が示されているが、フランジ部210は円盤状に限定されるものではなく、矩形状等、他の形状であってもよい。
引き戸D1上に設けられた伝動部材300は、連結部材400と直接または間接的に連結され、伝動部材300が設けられた引き戸に隣接する引き戸を接続する。本実施形態では、伝動部材300が、連結部材400と連結されることにより、引き戸D1と、隣接する引き戸D2および引き戸D3とを接続する。連結部材400は、伝動部材300が設けられる1つの引き戸に隣接する他の引き戸(または壁部などの構造物)に取り付けられる。すなわち、本実施形態では、連結部材400aは引き戸D2に取り付けられ、第2の連結部材400bは引き戸D3に取り付けられる。本実施形態では、図10および図12に示されるように、連結部材400a、第2の連結部材400bはそれぞれ引き戸D2、引き戸D3の上端面USにネジにより固定されている。しかしながら、連結部材400a、400bは伝動部材300に直接または間接的に取付けが可能であれば、引き戸D2、引き戸D3への取付位置は、上端面USに限定されることはなく、引き戸Dの側面(引き戸D同士が対向する面)等の上端面US側に取り付けられていてもよい。また、伝動部材300が引き戸Dの下端側に設けられる場合は、下端面LS側に設けられていてもよい。連結部材400の取付手段は、ネジに限定されるものではなく、接着剤等、他の公知の取付手段を用いることができる。
本実施形態の連動引き戸装置100では、連結部材400と伝動部材300とは、磁力により互いに連結するように構成されている。上述したように、引き戸DをレールRなど、引き戸Dにより閉鎖される開口に取り付ける際に、2枚または3枚の引き戸Dを一度に取り付けることは非常に困難である。そのため、引き戸Dを開口に取り付ける前に予め伝動部材300と連結部材400とを取り付けることは事実上不可能であり、引き戸Dを1枚ずつ、開口に取り付けた後に、伝動部材300と連結部材400を取り付ける必要が生じる。そして、伝動部材300および連結部材400は引き戸Dの上端側または下端側に設けられるため、伝動部材300と連結部材400とを連結する箇所においては、非常に限られたスペースしか存在しない。この場合に、ビスでの取り付けは非常に困難であり、ビスを取り付ける向きが垂直方向である場合は、ドライバーが入る隙間がなく、特殊な工具が必要となるし、連結部材400を伝動部材300に対して水平方向に取り付けるようにビスをねじ込む際には、伝動部材300、連結部材400の両方を手で持ったうえで、連結部材400が伝動部材300から外れないように支持しながら取り付ける必要がある。このように、伝動部材300と連結部材400との現場での取り付けが非常に煩雑であるうえ、取り付けるためのスペースが限られており、そのうえ、引き戸Dの上端などは高所での作業となるので、より一層作業が困難となる。また、このような作業は、取付時だけでなく、掃除やメンテナンス等、引き戸Dを取り外す際にも生じ、従来の構成では、1枚ずつ簡単に引き戸Dを取り外すこともできない。
本実施形態では、伝動部材300と連結部材400とを磁力により吸着させて互いに連結することにより、引き戸Dの取付時、取り外し時に引き戸Dを容易に取り付け、取り外しすることができ、現場での作業性も大きく向上する。引き戸Dの取付作業について詳細に説明すると(引き戸Dの取り付けの順番は特に限定されないが)、例えば、引き戸D1を第1実施形態で説明した方法で、開口にまず取り付けた場合、次に引き戸D2を取り付ける。そして、本実施形態では、連結部材400aを磁力により、伝動部材300との連結箇所で対向させ、磁力の吸着力により、連結部位で連結部材400aと伝動部材300とが互いに吸着されて、非常に簡単に連結される。次に、引き戸D3を取り付けた後、同様に第2の連結部材400bを磁力により、伝動部材300との連結箇所で対向させ、磁力の吸着力により、連結部位で第2の連結部材400bと伝動部材300とが非常に簡単に連結させる。このように磁力の吸着力により伝動部材300と連結部材400を連結することができるので、狭い作業スペースであっても簡単に連結が可能となり、ビス等をねじ込む作業スペースや、部材を外れないように保持しながらビスをねじ込むような手間も必要がない。引き戸Dの1枚を取り外したい場合には、磁力に抗して伝動部材300と連結部材400を引き離すだけであるので、取り外しも非常に簡単である。そして、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
なお、伝動部材300と連結部材400とは、本実施形態では、図10および図12に示されるように、伝動部材300の長手方向の少なくとも1箇所に設けられる被連結部材500を介して連結されている。被連結部材500は、伝動部材300に予め一体に設けてもよいし、伝動部材300に取り付けても構わない。また、本実施形態では、被連結部材500を介して、伝動部材300と連結部材400とを間接的に連結しているが、例えば、伝動部材300を、磁性粉を混入させた磁性伝動部材とすることにより、例えば磁石を有する連結部材400と直接的に連結することもできる。
連結部材400および連結部材400に連結される被連結部材500は、図14(a)および(b)に示されるように、一方が磁石Mを備え、他方が磁石Mに吸着される磁性体(たとえば、鉄等の強磁性体)または第2の磁石を備え、連結部材400と被連結部材500が対向したときに磁力により吸着されて連結される。本実施形態では、図14(a)および(b)に示されるように、被連結部材500側に磁石Mが設けられ、連結部材400が磁性体により形成されている。しかしながら、連結部材400側に磁石が設けられ、被連結部材500側に磁性体が設けられてもよいし、連結部材400および被連結部材500の両方が磁石を有していてもよい。また、本実施形態では、連結部材400は磁性体により形成されているが、磁性体が設けられる部材(連結部材400または被連結部材500)の一部に磁性体を有していてもよく、例えば、樹脂製の連結部材400の一部に磁石と吸着される磁性体を取り付けてもよい。また、例えばベルト状の伝動部材300など、磁石(または磁性体)を取り付け可能な面を有する伝動部材300に、直接磁石(または磁性体)を取り付けてもよい。
被連結部材500は、引き戸Dの取り付け前に予め伝動部材300に取り付けられ、引き戸Dの取付時に連結部材400と磁力により連結される。上述したように、連結部材400の一方が磁石を備え、他方が磁石に吸着される磁性体または第2の磁石を備えている場合、図14(a)および(b)に示されるように、連結部材400と、被連結部材500とが対向する位置に引き戸Dをスライドさせるか、伝動部材300を回動させるという簡単な動作で、連結部材400と被連結部材500との間の連結作業を行うことができる。すなわち、図14(a)に示されるように、連結部材400と、被連結部材500との間の位置が引き戸Dのスライド方向Yでずれている場合であっても、引き戸Dをスライドさせるか、伝動部材300を回動させるかして、被連結部材500が連結部材400に対向する位置に移動させると、磁力により互いに吸着され、連結部材400と被連結部材500との間の連結を簡単に行うことができる。
また、本実施形態の被連結部材500は、図15(a)に示されるように、嵌合凹部500aを備え、連結部材400は、嵌合凹部500aに嵌合する嵌合部を備えている。これにより、連結部材400と被連結部材500とが対向したときに、図10および図16に示されるように、嵌合部が嵌合凹部500aに嵌合する。嵌合凹部500aは、図14(a)、(b)および図15(a)に示されるように、例えば引き戸D2がスライド方向Yに移動したときに、嵌合部(後述する連結部材400の吸着面420。図16参照)のスライド方向Yの端部と当接する位置に壁部W1、W2を有している。このため、連結部材400と被連結部材500とが嵌合した後、引き戸Dがスライド方向Yに移動して、連結部材400と被連結部材500とがスライド方向Yで互いにずれるような力が加わっても、連結部材400と被連結部材500との間の連結が解除されることがない。なお、本実施形態では、嵌合凹部500aは、被連結部材500に設けられ、嵌合部が連結部材400側に設けられているが、被連結部材500側に嵌合部を設け、連結部材400側に嵌合凹部を形成しても構わない。
本実施形態の被連結部材500は、より詳細に説明すると、図15(a)および(b)に示されるように、基部510と、歯付ベルト300のラック部300aが係合する係合部520aを備えた係合部材520とを備えている。基部510は、略直方体状の部材から、一対の壁部W1、W2が、対向する引き戸に向かって突出し、壁部W1とW2との間に嵌合凹部500aを形成している。基部510には本実施形態では磁石Mが取り付けられ、連結部材400を磁力により吸着可能としている。なお、上述したように、連結部材400側に磁石を設ける場合などは、基部510には磁性体または第2の磁石が設けられる。基部510は、本実施形態では、図15(a)に示されるように、磁石M以外に、中央にネジ穴500bが形成され、ネジ穴500bの上部側に磁石Mが埋設されるが、ネジ穴500bや、磁石Mの埋設位置は、図示する位置に限定されるものではない。また、基部510は、歯付ベルト300の幅に対応した溝部500c(図16参照)を、基部510と係合部材520とが対向する対向面上に有しており、この溝部500cに歯付ベルト300が嵌まり込んで、歯付ベルト300の取り付けを容易にしている。
係合部材520は、本実施形態では、図15(a)、(b)および図16に示されるように、基部510に接続される板状の部材であり、歯付ベルト300のラック部300aに対応した形状の係合部520aが形成されている。本実施形態では、複数の係合部520a(図15(a)および(b)では、4つの係合部520aが示されている)を備え、隣接する係合部520aは、ラック部300a同士の長手方向の間隔に対応した間隔で設けられている。この係合部520aにラック部300aが入り込むことにより、取付時にスライド方向Yにおける被連結部材500と歯付ベルト300との間の相対移動が防止される。
基部510に設けられたネジ穴500bは基部510を貫通して設けられ、歯付ベルト300のラック部300aと係合する係合部材520にもネジ穴500d(図15(a)および(b)参照)が形成され、基部510と係合部材520により歯付ベルト300を挟み込んだ後、ネジ穴500b、500dにネジをねじ込んで、基部510と係合部材520とを固定して、歯付ベルト300と被連結部材500とを固定することができる。このとき、係合部材520が磁性体から形成されている場合、歯付ベルト300を基部510との間で挟み込んだ状態で、基部510の磁石Mに係合部材520が吸着されるため、ネジを取り付けるときの作業性が向上する。この場合、磁石Mは、基部510のうち、引き戸Dの厚さ方向Xにおける両側に磁力を及ぼすように構成される。
なお、基部510と係合部材520との間の接続方法は、図示したものに限定されるものではない。例えば、基部510と係合部材520とを、ヒンジ部を介して接続して一体とし、歯付ベルト300を挟み込む際に、係合部材520が基部510に対して旋回して、歯付ベルト300を基部510に取り付けた後に、係合部材520を基部510に対して歯付ベルト300を挟み込むように旋回させて、歯付ベルト300を挟み込んだ状態で、係合部材520を基部510に対して係合爪などで固定してもよい。
また、本実施形態では、歯付ベルト300は、図10、図15(a)および(b)に示されるように、ループを形成しない2つの直線状のベルト部材310、320から構成されている。この場合、図15(a)および(b)に示されるように、歯付ベルト300のベルト部材310の一端に形成されているラック部300aを、係合部材520の係合部520aに挿入し、もう1つのベルト部材320の一端に形成されているラック部300aを、同様に係合部材520の係合部520aに挿入して、基部510と係合部材520とでベルト部材310、320を挟み込み、2つのベルト部材310、320を被連結部材500の箇所で連結することができる。この利点としては、歯付ベルト300のループを形成する際に、現場においてループではない1本の十分な長さを有するベルトを、所望の引き戸Dの幅に応じた長さにカットして、ループではない1本のベルトからループ状の歯付ベルトに加工することができる点である。例えば、予めループ状の歯付ベルトを用意する場合には、引き戸Dのスライド方向Yにおける幅に応じた長さのループを形成するために、工場に発注をかけて製造するため、消費者から連動引き戸の注文があってから、実際に引き戸を取り付けるまでに、時間がかかってしまっていた。しかし、このように歯付ベルト300をカットして被連結部材500の部位でベルト部材310、320の端部を接続することにより、現場で簡単に長さ調節ができるため、すぐに引き戸Dを取り付けることが可能となった。また、このベルト部材310、320の端部の接続は、ベルト部材310、320との間の接続と、被連結部材500と歯付ベルト300との間の連結とを同時に行うことができるため、作業も非常に簡単である。なお、本実施形態では、2本の直線状のベルト部材310、320を接続しているが、1本の直線状のベルトの端部を被連結部材500の部位で接続してループを形成してもよい。
また、本実施形態では、図16に示されるように、連結部材400は、引き戸D2、引き戸D3の上端面USに固定される固定部410と、引き戸D2の上端面USに対して略垂直に延び、被連結部材と磁力により吸着しあう吸着面420と、吸着面420から引き戸D1側に向かって略垂直に延びる延設部430とを備えている。固定部410はネジ等の公知の固定手段により引き戸Dに取り付けられる。吸着面420は被連結部材500と磁力により吸着される面であり、本実施形態では、嵌合凹部500aに嵌合する嵌合部としても機能している。また、延設部430は、上述したように、伝動部材300の回動による動作により、伝動部材300が上側に浮き上がってしまうため、延設部430が伝動部材300の上方まで延びていることにより、伝動部材300の浮き上がりを防止することができる。
また、図17(a)〜(c)に示されるように、被連結材500の基部510が、連結部材400(400a)の延設部430が挿入される挿入部530を備えていてもよい。挿入部530は、図17(a)〜(c)では、基部510を貫通して形成された貫通孔として示されているが、延設部430を挿入することができれば、貫通している必要はない。連結部材400と被連結部材500とが連結されるときに、図17(c)に示されるように、挿入部530に延設部430が挿入される。これにより、連結部材400と被連結部材500との間の鉛直方向の移動が規制され、連結部材400と被連結部材500との間の離脱が防止される。この挿入部530と延設部430との間の係合は、特に、引き戸Dを閉鎖したときに、引き戸Dの端面(たとえば、図10における引き戸D2の右側の端面や、引き戸D3の左側の端面など)が壁などに勢いよく衝突した場合に役に立つ。すなわち、引き戸Dの閉鎖時に、引き戸Dの端面が壁などに勢いよく衝突した場合、引き戸Dと壁との衝突による衝撃や、引き戸Dが壁からはね返る際の衝撃(たとえば、引き戸Dの端面に引き戸Dの衝突時の衝撃を吸収する弾性クッションが設けられている場合など)や、その他、人が引き戸Dに衝突したときの衝撃などにより、連結部材400と被連結部材500との間に、離脱する方向の力が加わる場合がある。そのため、連結部材400と被連結部材500との間での、磁石による吸着力と、嵌合部と嵌合凹部500aとの間のスライド方向での嵌合に加えて、鉛直方向の相対移動を規制している。これにより、引き戸Dへの衝撃時に、鉛直方向で連結部材400と被連結部材500との間に相対移動する力が加わっても、延設部430が挿入部530に挿入されることにより、挿入部530の上下の壁部530a、530bにより、被連結部材500が連結部材400から離脱することが防止される。したがって、より強固に連結部材400と被連結部材500とを連結することが可能となり、引き戸Dの閉鎖時など、衝撃を受けたときに連結部材400と被連結部材500との間の離脱が確実に防止される。
つぎに、本発明の連動引き戸装置の他の実施形態を説明する。以下の実施形態では、方向転換部材200a、200b、伝動部材300、連結部材400、被連結部材500等、各実施形態を構成する要素については、第3実施形態と同様のものを用いることができるため、説明は省略し、相違点を中心に説明する。また、以下の実施形態と、上述した実施形態で説明した事項とを組み合わせることが可能であり、その場合、上述した効果と同様の効果を奏することが可能である。
<第4実施形態>
第3実施形態は、引き戸Dが3枚のものを説明したが、連動引き戸装置は4枚以上の引き戸Dを連動させることができ、本実施形態では、引き戸Dが5枚のものについて説明する。しかし、引き戸Dの枚数は4枚であってもよいし、6枚以上であっても構わない。
図18に示されるように、本実施形態では、5枚の引き戸D11(第1の引き戸)、D12(第2の引き戸)、D13(第3の引き戸)、D14(第4の引き戸)、D15(第5の引き戸)を有している。本実施形態では、引き戸Dの厚さ方向Xで、引き戸D13および引き戸D15により、引き戸D11、D12、D14を挟んでいる。
引き戸D11の上端面USは、引き戸D11のスライド方向Yで互いに離間して設けられた一対の方向転換部材200a、200bと、一対の方向転換部材200a、200bにループ状にかけ回される伝動部材300を備えている。また、引き戸D12、D14の上端面USは、同様に、引き戸D12、D14のスライド方向Sで互いに離間して設けられた一対の方向転換部材200a、200bをそれぞれ備え、引き戸D12、D14のそれぞれは、一対の方向転換部材200a、200bにループ状にかけ回される第2伝動部材330、第3伝動部材340を備えている。
つぎに、それぞれの引き戸Dの連結について説明する。
引き戸Dの厚さ方向Xで最も外側の(図18中、最も上に位置する)引き戸D13は、引き戸D13に取り付けられた第2の連結部材400bが伝動部材300に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D11と連結されている。本実施形態では、第2の連結部材400bは、伝動部材300に取り付けられた第2の被連結部材5000bを介して磁力により連結されている。なお、第2の被連結部材5000bや、後述する他の被連結部材については、第3実施形態で説明したものと同様であり、説明は省略する。第2の連結部材400bは、引き戸D13のスライド方向Yにおける引き戸閉鎖方向(図18中、右側)の端部近傍に取り付けられ、引き戸D11に向かって延びて、第2の被連結部材5000bに連結される。
図18中、上から2番目の引き戸D11は、引き戸D12に取り付けられた(第1の)連結部材400aが伝動部材300に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D12と連結されている。本実施形態では、連結部材400aは、伝動部材300に取り付けられた被連結部材500を介して磁力により連結されている。連結部材400aは、引き戸D12のスライド方向Yにおける引き戸開放方向(図18中、左側)の端部近傍の上端面USに取り付けられ、引き戸D11に向かって延びて、被連結部材500に連結される。
また、引き戸D12は、引き戸D11に取り付けられた第3の連結部材400cが第2伝動部材330に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D11と連結されている。本実施形態では、第3の連結部材400cは、第2伝動部材330に取り付けられた第3の被連結部材5000cを介して磁力により連結されている。第3の連結部材400cは、引き戸D11のスライド方向Yにおける引き戸閉鎖方向(図18中、右側)の端部近傍の上端面USに取り付けられ、引き戸D12に向かって延びて、第3の被連結部材5000cに連結される。
引き戸D12は、さらに、引き戸D14に取り付けられた第4の連結部材400dが第2伝動部材330に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D14と連結されている。本実施形態では、第4の連結部材400dは、第2伝動部材330に取り付けられた第4の被連結部材5000dを介して磁力により連結されている。第4の連結部材400dは、引き戸D14のスライド方向Yにおける引き戸開放方向(図18中、左側)の端部近傍の上端面USに取り付けられ、引き戸D12に向かって延びて、第4の被連結部材5000dに連結される。
また、引き戸D14は、引き戸D12に取り付けられた第5の連結部材400eが第3伝動部材340に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D12と連結されている。本実施形態では、第5の連結部材400eは、第3伝動部材340に取り付けられた第5の被連結部材5000eを介して磁力により連結されている。第5の連結部材400eは、引き戸D12のスライド方向Yにおける引き戸閉鎖方向(図18中、右側)の端部近傍の上端面USに取り付けられ、引き戸D14に向かって延びて、第5の被連結部材5000eに連結される。
図18中、最も下側の引き戸D15は、引き戸D15に取り付けられた第6の連結部材400fが第3伝動部材340に直接または間接的に連結されることにより、引き戸D14と連結されている。本実施形態では、第6の連結部材400fは、第3伝動部材340に取り付けられた第6の被連結部材5000fを介して磁力により連結されている。第6の連結部材400fは、引き戸D15のスライド方向Yにおける引き戸開放方向(図18中、左側)の端部近傍の上端面USに取り付けられ、引き戸D14に向かって延びて、第6の被連結部材5000fに連結される。
なお、本実施形態において、被連結部材500および第2の被連結部材5000bは、伝動部材300のループに取り付けられている。伝動部材300のループは、互いに平行な一対の直線部L1、L2(図18参照)を有し、引き戸Dの閉鎖時に、被連結部材500が一方の直線部L1に沿って引き戸閉鎖方向に伝動部材300とともに移動し、第2の被連結部材5000bは、他方の直線部L2に沿って、被連結部材500とは逆方向の引き戸開放方向に伝動部材300とともに移動する。
また、第3の被連結部材5000cおよび第4の被連結部材5000dは、第2伝動部材330のループに取り付けられている。引き戸Dの閉鎖時に、第4の被連結部材5000dが第2伝動部材330のループの一方の直線部L1に沿って引き戸閉鎖方向に第2伝動部材330とともに移動し、第3の被連結部材5000cは、他方の直線部L2に沿って、第4の被連結部材5000dとは逆方向の引き戸開放方向に第2伝動部材330とともに移動する。
また、第5の被連結部材5000eおよび第6の被連結部材5000fは、第3伝動部材340のループに取り付けられている。引き戸Dの閉鎖時に、第6の被連結部材5000fが第3伝動部材340のループの一方の直線部L1に沿って引き戸閉鎖方向に第3伝動部材340とともに移動し、第5の被連結部材5000eは、他方の直線部L2に沿って、第6の被連結部材5000fとは逆方向の引き戸開放方向に第3伝動部材340とともに移動する。
上記構成により、伝動部材300、第2伝動部材330および第3伝動部材340と、連結部材400a、第2〜第6の連結部材400b〜400fとを磁力により吸着させて互いに連結することにより、引き戸Dの取付時、取り外し時に引き戸Dを容易に取り付け、取り外しをすることができ、現場での作業性も大きく向上する。そして、図19および図20に示されるように、図19に示される引き戸Dの開放状態から図20に示される引き戸Dの閉鎖状態まで、複数枚の(本実施形態では5枚の)引き戸Dを連動させることができ、開放したときの開口部を広くすることができる。また、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
<第5実施形態>
第5実施形態では、連結部材(特に、連結部材400a、第3〜第5の連結部材400c〜400e)の構造が異なる以外は、第4実施形態と同様である。本実施形態では、連結部材の構造を変えることにより、引き戸Dを閉鎖したときの引き戸D間のスライド方向での重なりを小さくするように構成されている。
第4実施形態では、図19および図20に示されるように、引き戸Dが、開放状態にあるとき(図19参照)から、閉鎖状態(図20参照)まで移動する際に、連結部材400aおよび第3の連結部材400cが互いに対してスライド方向Yで近付くように移動する(図20参照)。同様に、引き戸Dが開放状態から閉鎖状態まで移動する際に、第4の連結部材400dおよび第5の連結部材400eが互いに対してスライド方向Yで近付くように移動する。この場合、連結部材400aの閉鎖方向側の端部と、第3の連結部材400cの開放方向側の端部とが、図20に示されるように接触し、図20中、隣接する引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAが大きくなる。引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAは、引き戸Dのスライド方向Yの長さを充分に生かすことができないため、この重なりAをできるだけ少なくする必要がある。
本実施形態では、図21および図22に示されるように、連結部材400aが、引き戸D12に固定される固定部410と、固定部410から延び、引き戸Dの厚さ方向Xに切断した断面が略逆U字状のU字状部位440とを備えている。固定部410は、引き戸D12に連結部材400aを取り付けて固定する部位であり、たとえば図22に示されるように、ビスなどの公知の固着手段により引き戸D12に固定される。本実施形態では、固定部410は、平板状の部材にビスを挿通する挿通孔を有している。固定部410からは、略逆U字状のU字状部位440が延びており、U字状部位440は、本実施形態では、図21に示されるように、固定部410から引き戸D12の上端面USに対して略垂直に延びる垂直部440aと、垂直部440aから、被連結部材500に向かって水平に延びる水平部440bと、水平部440bから下方に延びる第2垂直部440cとを有している。また、本実施形態では、U字状部位440に加えて、第2垂直部440cの下端から、第2垂直部440cに対して略垂直に延びる第2水平部450を有している。垂直部440aは、第2伝動部材330のループの内側を通って、引き戸D12の上端面USから延びている。なお、略逆U字状とは、U字状部位440が、固定部410から上方へ向かって延びた後、被連結部材500側に向かって延び、その後、下方へ延びている構造全般を言うものであり、図21に示される形状に限定されるものではない。たとえば、本実施形態では、垂直部440a、水平部440b、第2垂直部440c等は、平板状に形成されているが、湾曲しているものであってもよいし、図示する角度とは異なる角度で延びていてもよい。
一方、引き戸Dの閉鎖時に連結部材400aに近付くように移動する第3の連結部材400cは、図21および図22に示されるように、引き戸D11に取り付けられる固定部410cと、固定部410cから延び、引き戸Dの厚さ方向に切断した断面が略L字状のL字状部位460とを備えている。固定部410cは、引き戸D11に第3の連結部材400cを取り付けて固定する部位であり、たとえば図22に示されるように、ビスなどの公知の固着手段により引き戸D11に固定される。本実施形態では、固定部410cは、平板状の部材にビスを挿通する挿通孔を有している。固定部410cからは、第3の被連結部材5000cに向かって水平に延びる水平部460aと、水平部460aから略垂直に延びる垂直部460bとを有している。本実施形態では、L字状部位460に加えて、垂直部460bの上端から略垂直方向に延びる第2垂直部470を有している。
この構成により、図21および図23に示されるように、連結部材400aおよび第3の連結部材400cがスライド方向Yで一致する位置に移動したときに、U字状部位440の内側(U字状部位440の垂直部440a、水平部440b、第2垂直部440cにより囲まれた部位)に、L字状部位460の一部(L字状部位460の垂直部460b)が入り込むように構成されている。したがって、図23に示されるように、引き戸Dを閉鎖方向にスライドさせて、連結部材400aと、第3の連結部材400cが近付くように移動したときに、第3の連結部材400cのL字状部位460が、U字状部位440の内側に潜り込み、連結部材400aと第3の連結部材400cとが干渉しない。そのため、第3実施形態および第4実施形態と同様の効果に加えて、引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAを小さくすることができる。また、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
なお、本実施形態では、連結部材400aがU字状部位440を有し、第3の連結部材400cがL字状部位460を有するものを示したが、連結部材400aがL字状部位460を有し、第3の連結部材400cがU字状部位440を有するように構成し、第3の連結部材400cのU字状部位440に連結部材400aのL字状部位460が入り込むようにしても構わない。
また、第4の連結部材400dおよび第5の連結部材400eは、それぞれ連結部材400aおよび第3の連結部材400cと同様の構成とすることができる。また、第4の連結部材400dと第5の連結部材400eの形状を逆にしても構わない。
<第6実施形態>
第6実施形態は、伝動部材および第2伝動部材が、異なる高さとなるように、方向転換部材に巻回されている点と、連結部材の構造が、第5実施形態と異なっている。
本実施形態では、図24に示されるように、引き戸D11に設けられる方向転換部材200a、200bの高さが、引き戸D12に設けられる方向転換部材200a、200bの高さよりも高く、引き戸D11上で巻回されている伝動部材300の高さが、引き戸D12上で巻回されている第2伝動部材330の高さよりも高くなるように構成されている。
一方の連結部材(第3の連結部材400c)は、第3実施形態の連結部材と同様の構成であり、説明は省略する。本実施形態では、連結部材400aは、固定部410aと、第3の連結部材400cの上端を超えて延び、第2伝動部材330のループの内側を通って、引き戸D12の上端面USから略垂直方向に延びる垂直部480と、垂直部480の上端から、伝動部材300に向かって延びる延長部490とを備えている。延長部490は、本実施形態では、垂直部480の上端から水平方向に延びる水平部490aと、水平部490aに対して略垂直方向上方に向かって延びる、第2垂直部490bと、第2垂直部490bの上端から水平方向に延びる第2水平部490cとを備えている。しかし、延長部490は、本実施形態の構造に限定されるものではなく、第3の連結部材400cの高さを超えて延びていればよく、他の形状であっても構わない。
本実施形態では、連結部材400aおよび第3の連結部材400cがスライド方向Yで一致する位置に移動したときに、連結部材400aが第3の連結部材400cの上方に位置する。したがって、図23に示したように、引き戸Dを閉鎖方向にスライドさせて、連結部材400aと、第3の連結部材400cが近付くように移動したときに、連結部材400aと第3の連結部材400cとが干渉しない。そのため、第3実施形態および第4実施形態と同様の効果に加えて、引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAを小さくすることができる。また、本実施形態では、被連結部材500および第3の被連結部材5000cが図24に示されるように、上下方向にずれて位置しているため、引き戸D11と引き戸D12の間隔を狭くすることができる。また、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
なお、連結部材400aと第3の連結部材400cの形状が逆であってもよい。第4の連結部材400dおよび第5の連結部材400eは、それぞれ連結部材400aおよび第3の連結部材400cと同様の構成とすることができる。また、第4の連結部材400dと第5の連結部材400eの形状を逆にしても構わない。
<第7実施形態>
第7実施形態は、隣接する引き戸の高さを変えることにより、伝動部材および第2伝動部材が、異なる高さとなるようにした点が第6実施形態と異なる。
本実施形態では、図25に示されるように、引き戸D11の高さを引き戸D12の高さよりも高くして、伝動部材300の高さが、第2伝動部材330の高さよりも高くなるように構成している。
一方の連結部材(第3の連結部材400c)は、第6実施形態の第3の連結部材400cと形状はほぼ同様の構成であるが、第6実施形態の第3の連結部材400cが引き戸D11の上端面USに対して上方に延びているのに対し、本実施形態では引き戸D11の上端面USに対して下方に延びている。他方の連結部材(連結部材400a)は、第6実施形態の連結部材400aと同様であり、説明は省略する。
本実施形態では、連結部材400aおよび第3の連結部材400cがスライド方向Yで一致する位置に移動したときに、連結部材400aが第3の連結部材400cの上方に位置する。したがって、図23に示されるように、引き戸Dを閉鎖方向にスライドさせて、連結部材400aと、第3の連結部材400cが近付くように移動したときに、連結部材400aと第3の連結部材400cとが干渉しない。そのため、第3実施形態および第4実施形態と同様の効果に加えて、引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAを小さくすることができる。また、本実施形態では、第6実施形態と同様に、被連結部材500および第3の被連結部材5000cが上下方向に位置しているため、引き戸D11と引き戸D12の間隔を狭くすることができる。また、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
なお、連結部材400aと第3の連結部材400cの形状が逆であってもよい。第4の連結部材400dおよび第5の連結部材400eは、それぞれ連結部材400aおよび第3の連結部材400cと同様の構成とすることができる。また、第4の連結部材400dと第5の連結部材400eの形状を逆にしても構わない。
<第8実施形態>
第5〜第7実施形態が、連結部材同士の干渉を避けて引き戸Dの重なりを小さくしているのに対し、第8実施形態では、連結部材同士を交差させることにより引き戸Dの重なりを小さくしている点で異なる。
本実施形態では、図26に示されるように、連結部材400aおよび第3の連結部材400cが、伝動部材300と第2伝動部材330との間(引き戸Dの厚さ方向Xでの間)で交差するように延びている。本実施形態では、連結部材400aは、固定部410と、固定部410から伝動部材300に向かって斜めに傾斜して延びる延長部4200とを有している。延長部4200は、傾斜した板状の傾斜部4200aと、傾斜部4200aの上端から水平に延びる水平部4200bとを有している。また、同様に、第3の連結部材400cは、固定部410と、傾斜部4200aおよび水平部4200bを含む延長部4200とを有している。なお、本実施形態では、連結部材400aおよび第3の連結部材400cは、被連結部材500および第3の被連結部材5000cの上端側に設けられた磁石(図示せず)と、それぞれの水平部4200bとが吸着されることにより連結されている。
また、本実施形態では、交差した連結部材400aおよび第3の連結部材400cが、引き戸Dの厚さ方向Xに切断した断面が図26に示されるように、略X字状になるように構成されているが、連結部材400aおよび第3の連結部材400cが、連結部材が取り付けられる引き戸Dから伝動部材300または第2伝動部材330に向かって延びる過程で交差するように構成されていれば、交差した連結部材400aおよび第3の連結部材400cが略X字状となる必要はなく、他の形状であってもよい。
本実施形態では、図27に示されるように、連結部材400aの延長部4200のうち、第3の連結部材400cの延長部4200と交差する部位において、引き戸閉鎖方向側に切欠部4300を有している。また、第3の連結部材400cの延長部4200のうち、連結部材400aの延長部4200と交差する部位において、引き戸開放方向側に切欠部4300を有している。この構成により、連結部材400aおよび第3の連結部材400cがスライド方向Yで一致する位置に移動したときに、連結部材400aの切欠部4300に第3の連結部材400cの切欠部4300が入り込むように構成されている。そのため、第3実施形態および第4実施形態と同様の効果に加えて、引き戸Dのスライド方向Yでの重なりAを小さくすることができる。また、上述したように、レールR内の走行体3と引き戸Dとの間の着脱が非常に容易である。したがって、本実施形態によれば、引き戸Dのそれぞれの着脱作業が非常に簡単であるという効果に加えて、連動引き戸同士の連結も容易となり、連動引き戸の連結および非連結とする作業性が飛躍的に向上する。
なお、連結部材400aの切欠部4300の最奥部4300aと第3の連結部材400cの切欠部4300の最奥部4300aとは、係合するように構成してもよいし、たとえば、切欠部4300のスライド方向Yの長さを長くすることなどにより、引き戸Dが閉鎖したときに、連結部材400aの切欠部4300の最奥部4300aと第3の連結部材400cの切欠部4300の最奥部4300aとが接触しないように構成することもできる。連結部材400aの切欠部4300の最奥部4300aと第3の連結部材400cの切欠部4300の最奥部4300aとが接触しないようにすることにより、連結部材400aおよび第3の連結部材400cが衝突せずに負荷が加わらないため、製品の寿命を延ばすことができ、連結部材400aと被連結部材500との間および第3の連結部材400cと第3の被連結部材5000cとの間の連結を確実に維持することができる。
なお、切欠部4300の形状は、本実施形態では、V字状の谷状に切り欠かれた切欠部として示されているが、スリット状の溝など、他の形状であっても構わない。また、第4の連結部材400dおよび第5の連結部材400eは、それぞれ連結部材400aおよび第3の連結部材400cと同様の構成とすることができる。