JP6544489B2 - 蓄電素子状態推定装置及び蓄電素子状態推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置及び蓄電素子状態推定方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの蓄電素子は、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器の電源として用いられてきたが、近年、電気自動車の電源など、幅広い分野で使用されるようになってきた。
そして、従来、このような蓄電素子に対して、温度を測定して測定結果に基づいて蓄電素子の状態を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、少なくとも1つのセルブロックの温度を測定し、温度未測定のセルブロックについては温度を推定して、異常な高温や低温などの温度異常を検出した場合に、充放電を停止するように充放電の制御を行っている。
特開2009−99375号公報
しかしながら、上記従来の技術においては、蓄電素子(特許文献1ではセルブロック)の温度を測定する必要があるという問題がある。つまり、当該温度を測定するために、熱電対などの温度センサが必要であり、構成が複雑になるという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で蓄電素子の状態を推定することができる蓄電素子状態推定装置及び蓄電素子状態推定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置であって、前記蓄電素子の温度を推定する温度推定部と、前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定部とを備え、前記温度推定部は、前記蓄電素子を複数の領域に分割した場合のそれぞれの領域を内部領域とし、前記内部領域に隣接する前記蓄電素子の外部の領域を外部領域とし、隣接する2つの前記内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを用いて、前記蓄電素子の温度を推定する。
また、本発明は、このような蓄電素子状態推定装置として実現することができるだけでなく、蓄電素子と、当該蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置とを備える蓄電システムとしても実現することができる。
また、本発明は、蓄電素子状態推定装置が行う特徴的な処理をステップとする蓄電素子状態推定方法としても実現することができる。また、本発明は、蓄電素子状態推定装置に含まれる特徴的な処理部を備える集積回路としても実現することができる。また、本発明は、蓄電素子状態推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)などの記録媒体として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。
本発明に係る蓄電素子状態推定装置によれば、簡易な構成で蓄電素子の状態を推定することができる。
図1は、実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置を備える蓄電システムの外観図である。 図2は、実施の形態に係る蓄電素子の容器内方に配置されている構成要素を示す斜視図である。 図3は、実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置の機能的な構成を示すブロック図である。 図4は、実施の形態に係る記憶部に記憶されている充放電履歴データの一例を示す図である。 図5は、実施の形態に係る記憶部に記憶されている推定用データの一例を示す図である。 図6は、実施の形態に係る蓄電素子の内部領域及び隣接領域を説明する図である。 図7は、実施の形態に係る蓄電素子の熱伝達係数を説明する図である。 図8は、実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置が蓄電素子の状態を推定する処理の一例を示すフローチャートである。 図9は、実施の形態に係る発熱量取得部が蓄電素子の各内部領域での発熱量を取得する処理の一例を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態に係る蓄電素子の容量−OCV曲線の一例を示す図である。 図11は、実施の形態に係る熱移動量取得部が各領域間の熱移動量を取得する処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、実施の形態に係る温度算出部が蓄電素子の各内部領域の温度を算出する処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、実施の形態に係る温度算出部が内部領域の温度変化量を算出する処理を説明する図である。 図14は、変形例1に係る蓄電素子の熱伝達係数を説明する図である。 図15は、変形例2に係る蓄電素子状態推定装置を備える蓄電システムの外観図である。 図16は、変形例2の他の形態に係る蓄電素子状態推定装置を備える蓄電システムの外観図である。 図17は、実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置を集積回路で実現する構成を示すブロック図である。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置であって、前記蓄電素子の温度を推定する温度推定部と、前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定部とを備え、前記温度推定部は、前記蓄電素子を複数の領域に分割した場合のそれぞれの領域を内部領域とし、前記内部領域に隣接する前記蓄電素子の外部の領域を外部領域とし、隣接する2つの前記内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを用いて、前記蓄電素子の温度を推定する。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の隣接する2つの内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを用いて、蓄電素子の温度を推定し、当該温度を用いて蓄電素子の状態を推定する。このように、蓄電素子状態推定装置によれば、内部熱移動量と外部熱移動量とを用いて蓄電素子の温度を推定することができるため、蓄電素子の温度を測定するための温度センサの数を低減する、または、当該温度センサを不要にすることができる。このため、簡易な構成で蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、さらに、隣接する2つの前記内部領域の間の熱伝達係数のそれぞれと、隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱伝達係数のそれぞれとを記憶している記憶部を備え、前記温度推定部は、前記記憶部に記憶されている熱伝達係数を用いて、前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを算出することにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、2つの内部領域の間の熱伝達係数と、内部領域及び外部領域の間の熱伝達係数とをメモリに記憶しており、当該メモリに記憶されている熱伝達係数を用いて内部熱移動量と外部熱移動量とを算出する。つまり、熱伝達係数は領域ごとに異なる可能性があるため、それぞれの熱伝達係数をメモリに記憶しておき、それらの熱伝達係数を計算に用いる。これにより、蓄電素子状態推定装置によれば、簡易な構成で、精度良く、内部熱移動量と外部熱移動量とを算出して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記蓄電素子は、極板が積層されて形成された電極体を有し、前記記憶部には、前記極板の積層方向に並ぶ2つの前記内部領域の間の熱伝達係数である第一熱伝達係数と、前記積層方向と交差する方向に並ぶ2つの前記内部領域の間の熱伝達係数であって前記第一熱伝達係数よりも大きい第二熱伝達係数とが記憶されていることにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、電極体の極板の積層方向における熱伝達係数である第一熱伝達係数と、当該積層方向と交差する方向における熱伝達係数であって第一熱伝達係数よりも大きい第二熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、熱伝達係数は、極板の積層方向よりも面方向の方が大きくなるため、蓄電素子状態推定装置によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、精度良く、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記蓄電素子は、複数の前記電極体を有し、前記記憶部には、同じ前記電極体の内部における前記第一熱伝達係数である第三熱伝達係数と、異なる前記電極体間における前記第一熱伝達係数であって前記第三熱伝達係数よりも小さい第四熱伝達係数とが記憶されていることにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、同じ電極体の内部における第一熱伝達係数である第三熱伝達係数と、異なる電極体間における第一熱伝達係数であって第三熱伝達係数よりも小さい第四熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、電極体は、一般的に、セパレータや絶縁シートなどで外周が覆われているため、熱伝達係数は、電極体内部よりも電極体間の方が小さくなる。このため、蓄電素子状態推定装置によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、さらに精度良く、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記電極体のそれぞれは、前記極板が巻回されて形成された平坦部分と湾曲部分とを有しており、前記記憶部には、前記平坦部分における前記第四熱伝達係数である第五熱伝達係数と、前記湾曲部分における前記第四熱伝達係数であって前記第五熱伝達係数よりも小さい第六熱伝達係数とが記憶されていることにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、巻回型の電極体の平坦部分における第四熱伝達係数である第五熱伝達係数と、当該電極体の湾曲部分における第四熱伝達係数であって第五熱伝達係数よりも小さい第六熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、巻回型の電極体を複数並べた場合、隣り合う電極体の平坦部分同士よりも湾曲部分同士の方が距離が大きくなるため、熱伝達係数は、隣り合う電極体の平坦部分同士よりも湾曲部分同士の間の方が小さくなる。このため、蓄電素子状態推定装置によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、さらに精度良く、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記温度推定部は、第一時点における前記内部領域の温度と前記外部領域の温度とを用いて、前記第一時点から第二時点までの前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを算出し、算出した前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを用いて、前記第二時点における前記内部領域の温度を算出し、算出した前記内部領域の温度を用いて、前記蓄電素子の温度を推定することにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、第一時点における内部領域の温度と外部領域の温度とを用いて、第一時点以降の第二時点における内部領域の温度を算出して、蓄電素子の温度を推定する。つまり、蓄電素子状態推定装置は、過去の内部領域の温度と外部領域の温度とを用いて内部領域の温度を更新していくことで、精度良く、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記温度推定部は、前記蓄電素子が配置されている空間の温度を、前記外部領域の温度として取得することにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子が配置されている空間の温度(外気温)を外部領域の温度として用いることで、簡易に、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、前記温度推定部は、前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを用いて得られる前記内部領域の温度のうち、前記蓄電素子の中央位置の内部領域の温度、または、それぞれの内部領域の温度の平均値を、前記蓄電素子の温度として算出することにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の中央位置の内部領域の温度、または、それぞれの内部領域の温度の平均値を蓄電素子の温度として算出することで、精度良く、蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置であって、前記蓄電素子の温度を推定する温度推定部と、前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定部とを備え、前記温度推定部は、所定期間における前記蓄電素子の測定電圧と開回路電圧との差分及び電流値から算出される発熱量と、前記所定期間におけるSOC(State Of Charge)の変化から得られる吸発熱量とを用いて、前記蓄電素子の温度を推定することにしてもよい。
これによれば、蓄電素子状態推定装置は、蓄電素子の測定電圧、開回路電圧、電流値及び吸発熱量を用いて、蓄電素子の温度を推定することができるため、蓄電素子の温度を測定するための温度センサの数を低減する、または、当該温度センサを不要にすることができる。このため、簡易な構成で蓄電素子の温度を推定して、蓄電素子の状態を推定することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置及び当該蓄電素子状態推定装置を備える蓄電システムについて説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、以下の説明及び図面中において、集電体もしくは電極端子の並び方向、蓄電素子の電極体の巻回軸方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、複数の蓄電素子の並び方向、複数の電極体の並び方向、電極体の極板の積層方向、集電体の脚の並び方向、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、または、容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の上下方向(蓋体が上方を向くように設置された状態で重力が作用する方向)、集電体の脚が延びる方向、または、容器の短側面の長手方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられ、Z軸方向は上下方向となることには限定されないが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
(実施の形態)
まず、蓄電システム10の構成について、説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置100を備える蓄電システム10の外観図である。
同図に示すように、蓄電システム10は、蓄電素子状態推定装置100と、複数(同図では5個)の蓄電素子200と、蓄電素子状態推定装置100及び当該複数の蓄電素子200を収容する収容ケース300とを備える蓄電モジュールである。つまり、5個の蓄電素子200に対して、1つの蓄電素子状態推定装置100が配置されている。
蓄電素子状態推定装置100は、複数の蓄電素子200の上方に配置され、所定時点での蓄電素子200の状態を推定する回路を搭載した平板状の回路基板である。具体的には、蓄電素子状態推定装置100は、全ての蓄電素子200に接続されており、それぞれの蓄電素子200から情報を取得して、それぞれの蓄電素子200の所定時点での劣化状態などの状態を推定する。
なお、ここでは、蓄電素子状態推定装置100は、蓄電素子200の上方に配置されているが、蓄電素子状態推定装置100はどこに配置されていてもよい。また、蓄電素子状態推定装置100の形状も特に限定されない。
また、蓄電素子状態推定装置100の個数は1個に限定されず、複数個数であってもよい。例えば、2個または3個の蓄電素子200に対して1個の蓄電素子状態推定装置100が配置されていてもよいし、それぞれの蓄電素子200に対応して、蓄電素子状態推定装置100がそれぞれ配置されていてもよいし、1個の蓄電素子200に対応して、複数の蓄電素子状態推定装置100が配置されていてもよい。つまり、いくつの蓄電素子200にいくつの蓄電素子状態推定装置100が接続されている構成でもかまわない。この蓄電素子状態推定装置100の詳細な機能構成の説明については、後述する。
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子200は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用電源や、電子機器用電源、電力貯蔵用電源などに適用される。同図では、5個の矩形状の蓄電素子200が直列に配置されて組電池を構成している。
なお、蓄電素子200の個数は5個に限定されず、他の複数個数または1個であってもよいし、いくつかの蓄電素子200が並列接続されている構成であってもよい。また、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもかまわない。
この蓄電素子200の構成について、以下に詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る蓄電素子200の容器210内方に配置されている構成要素を示す斜視図である。具体的には、同図は、蓄電素子200から容器210の本体部分を分離した状態での構成を示す斜視図である。
同図に示すように、蓄電素子200は、容器210と、正極端子220と、負極端子230とを備え、容器210内方には、正極集電体240と、負極集電体250と、2つの電極体261及び262と、が収容されている。
なお、上記の構成要素の他、容器210内方に配置されるスペーサ、端子まわりに配置されるガスケット、容器210内の圧力が上昇したときに当該圧力を開放するためのガス排出弁、電極体261、262等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。また、容器210の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
容器210は、容器本体を構成する板状の側壁211〜214及び底壁215と、当該容器本体の開口を閉塞する板状の蓋体216とを有する箱型の部材である。なお、容器210の材質は特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
電極体261、262は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる2つの蓄電要素(発電要素)である。つまり、電極体261及び電極体262の2つの電極体が、Y軸方向に並んで配置されている。
ここで、電極体261、262が有する正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、セパレータは、例えば樹脂からなる微多孔性のシートや、不織布を用いることができる。なお、上記集電箔として、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金など、適宜公知の材料を用いることもできる。
そして、電極体261、262は、極板が積層されて形成されている。つまり、電極体261、262は、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。具体的には、電極体261、262は、正極板と負極板とが、セパレータを介して、巻回軸(本実施の形態ではX軸方向に平行な仮想軸)の方向に互いにずらして巻回されている。また、電極体261、262それぞれの最外周には、正極板及び負極板のいずれも介さないセパレータのみが2重に重ね合わされた状態で1〜2周巻回され、絶縁性を確保している。なお、電極体261、262の最外周のセパレータは、何回巻回されていてもよい。また、本実施の形態では、電極体261、262の断面形状として長円形状を図示しているが、楕円形状などでもよい。
ここで、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO、LiMSiO、LiMBO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、LiMnやLiMn1.5Ni0.5等のスピネル型リチウムマンガン酸化物、LiMO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
また、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−ケイ素、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物、あるいは、一般にコンバージョン負極と呼ばれる、CoやFeP等の、遷移金属と第14族乃至第16族元素との化合物などが挙げられる。
正極端子220は、電極体261、262の正極板に電気的に接続された電極端子であり、負極端子230は、電極体261、262の負極板に電気的に接続された電極端子である。正極端子220及び負極端子230は、蓋体216に取り付けられている。なお、正極端子220及び負極端子230の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
正極集電体240は、正極端子220と電極体261、262の正極板とに電気的に接続(接合)される導電性と剛性とを備えた部材である。また、負極集電体250は、負極端子230と電極体261、262の負極板とに電気的に接続(接合)される導電性と剛性とを備えた部材である。正極集電体240及び負極集電体250は、蓋体216に固定されている。なお、正極集電体240及び負極集電体250の材質は特に限定されないが、例えば、正極集電体240は、上記正極基材層と同様にアルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体250は、上記負極基材層と同様に銅または銅合金などで形成されている。
次に、蓄電素子状態推定装置100の詳細な機能構成について、説明する。図3は、本実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
蓄電素子状態推定装置100は、蓄電素子200の状態を推定する装置である。ここで、蓄電素子200の状態とは、蓄電素子200の電気的または機械的な状態をいい、例えば、蓄電素子200の性能の劣化度合いを示す劣化状態、蓄電素子200が異常な挙動を示しているかを示す異常状態などが含まれる。
同図に示すように、蓄電素子状態推定装置100は、温度推定部110、状態推定部120及び記憶部130を備えている。また、温度推定部110は、発熱量取得部111、熱移動量取得部112及び温度算出部113を有している。また、記憶部130は、蓄電素子200の状態を推定する各種データを記憶するためのメモリであり、充放電履歴データ131及び推定用データ132が記憶されている。
まず、この記憶部130に記憶されている充放電履歴データ131及び推定用データ132について、説明する。図4は、本実施の形態に係る記憶部130に記憶されている充放電履歴データ131の一例を示す図である。また、図5は、本実施の形態に係る記憶部130に記憶されている推定用データ132の一例を示す図である。
図4に示すように、充放電履歴データ131には、所定時点までの蓄電素子200の運転履歴である充放電履歴を示すデータが書き込まれる。つまり、充放電履歴データ131には、「充放電時点」と「測定電圧」と「開回路電圧」と「電流」と「SOC」と「外気温」とが対応付けられたデータテーブルが書き込まれる。
ここで、「充放電時点」には、タイマなどから計測された、蓄電素子200が充電または放電を行った時点を示す情報である日付(年月日)及び時刻等が記憶される。なお、充放電時点の単位として、年、月、日、時、分、秒、またはサイクル数(充放電回数)など、どのような単位を用いてもかまわない。また、「測定電圧」、「電流」及び「SOC」には、当該充放電時点における蓄電素子200の電圧、電流及びSOC(State Of Charge)を示す情報が記憶される。また、「開回路電圧」には、当該充放電時点における蓄電素子200の開回路電圧の推定値を示す情報が記憶される。また、「外気温」には、当該充放電時点における蓄電素子200の外気温、つまり蓄電素子200が配置されている空間の温度を示す情報が記憶される。
また、図5に示すように、推定用データ132には、「内部領域」と「隣接領域」と「熱伝達係数」と「熱容量」と「温度」とが対応付けられたデータテーブルが書き込まれる。
ここで、「内部領域」は、蓄電素子200の内部領域であり、「隣接領域」は、当該内部領域に隣接する領域であり、この内部領域及び隣接領域を示す情報が、「内部領域」及び「隣接領域」に予め記憶されている。この内部領域と隣接領域について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る蓄電素子200の内部領域及び隣接領域を説明する図である。具体的には、同図は、蓄電素子200を複数の領域に分割した状態を示す斜視図である。
同図に示すように、蓄電素子200は、XY平面、YZ平面及びXZ平面に平行な面で仮想的に切断されて、複数の領域に分割されている。つまり、蓄電素子200を構成する各部(容器210の側壁211〜214、底壁215、蓋体216、及び、2つの電極体261及び262など)が、複数の領域に分割されることとなる。そして、この分割された領域のそれぞれを、蓄電素子200の内部領域という。つまり、蓄電素子200を複数の領域に分割した場合のそれぞれの領域を、内部領域と定義する。
また、この内部領域に隣接する内部領域を、隣接領域と定義する。例えば、内部領域R1と内部領域R2とは隣接しているため、内部領域R2は、内部領域R1の隣接領域であるとする。同様に、内部領域R3も、内部領域R1の隣接領域である。なお、この隣接領域には、外部領域も含まれる。つまり、蓄電素子200の最も外側の内部領域は、蓄電素子200の外部と隣接するため、内部領域に隣接する蓄電素子200の外部の領域を外部領域と定義する。
図5に戻り、「熱伝達係数」には、隣接する2つの内部領域の間の熱伝達係数のそれぞれと、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱伝達係数のそれぞれとが予め記憶されている。この熱伝達係数について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る蓄電素子200の熱伝達係数を説明する図である。具体的には、同図は、図6に示した蓄電素子200の内部領域をX軸方向プラス側から見た図である。
同図では、一例として、蓄電素子200の容器210内方をX軸方向プラス側から見て4つに分割した場合の内部領域を、内部領域R1〜R4としている。また、容器210の蓋体216をX軸方向プラス側から見て2つに分割した場合の内部領域を、内部領域R5、R6としている。また、容器210の側壁212をX軸方向プラス側から見て2つに分割した場合の内部領域を、内部領域R7、R8としている。また、各内部領域の中心を黒丸にて示している。
そして、電極体261、262の極板の積層方向に並ぶ2つの内部領域の間の熱伝達係数を第一熱伝達係数とする。また、当該積層方向と交差する方向に並ぶ2つの内部領域の間の熱伝達係数を第二熱伝達係数とする。例えば、内部領域R1と内部領域R2との間の熱伝達係数を第一熱伝達係数h12、内部領域R1と内部領域R7との間の熱伝達係数を第一熱伝達係数h17、などとする。また、内部領域R1と内部領域R3との間の熱伝達係数を第二熱伝達係数h13、内部領域R2と内部領域R4との間の熱伝達係数を第二熱伝達係数h24、などとする。
ここで、熱伝達係数は、極板の積層方向よりも面方向の方が大きくなるため、第二熱伝達係数は、第一熱伝達係数よりも大きい値である。つまり、極板の面方向では、熱伝達係数が大きい基材層(集電箔)が途切れることなく延びているため、第二熱伝達係数は大きくなる。一方、積層方向では、熱伝達係数が大きい基材層(集電箔)と熱伝達係数が小さい活物質層とが折り重なっているため、第一熱伝達係数は小さくなる。このように、第一熱伝達係数及び第二熱伝達係数は、極板の基材層及び活物質層の熱伝達係数から算出できる。
つまり、「熱伝達係数」には、このような第一熱伝達係数や、第一熱伝達係数よりも大きい第二熱伝達係数が記憶されている。なお、内部領域R7と外部領域Reとの間の熱伝達係数h7eなど、隣接領域が外部領域の場合の熱伝達係数についても、「熱伝達係数」に記憶されている。なお、図7では、Y軸方向及びZ軸方向の二次元的な図を示したが、図6に示したように、内部領域はX軸方向も含め三次元的に存在するため、Z軸方向における内部領域間の熱伝達係数、及び、内部領域と外部領域との間の熱伝達係数も、「熱伝達係数」に記憶されている。
図5に戻り、「熱容量」には、各内部領域の熱容量が予め記憶されている。また、「温度」には、各時点で算出された各内部領域の温度が記憶されていく。
次に、図3に戻り、温度推定部110が行う処理について、説明する。温度推定部110は、それぞれの蓄電素子200の温度を推定する。具体的には、温度推定部110は、隣接する2つの内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを用いて、蓄電素子200の温度を推定する。
ここで、温度推定部110が有する発熱量取得部111、熱移動量取得部112及び温度算出部113が行う処理について説明することで、温度推定部110が行う処理を具体的に説明する。
発熱量取得部111は、蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得する。具体的には、発熱量取得部111は、充放電履歴データ131からデータを読み出して蓄電素子200全体の発熱量を算出し、算出した当該発熱量を蓄電素子200内の各内部領域に割り当てることで、各内部領域での発熱量を取得する。
熱移動量取得部112は、各領域間の熱移動量を取得する。つまり、熱移動量取得部112は、蓄電素子200内の隣接する2つの内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを算出する。具体的には、熱移動量取得部112は、推定用データ132から過去の内部領域の温度と熱伝達係数とを取得するとともに、充放電履歴データ131から外部領域の温度(外気温)を取得し、内部熱移動量と外部熱移動量とを算出する。
温度算出部113は、蓄電素子200の温度を推定する。具体的には、温度算出部113は、発熱量取得部111が取得した内部領域での発熱量と、熱移動量取得部112が取得した内部熱移動量及び外部熱移動量とを用いて、内部領域の温度を算出する。そして、温度算出部113は、算出した内部領域の温度を用いて、蓄電素子200の温度を算出する。
また、状態推定部120は、温度推定部110が推定した蓄電素子200の温度を用いて、蓄電素子200の状態を推定する。具体的には、状態推定部120は、蓄電素子200の性能の劣化度合いを示す劣化状態や、蓄電素子200が異常な挙動を示しているかを示す異常状態などを推定する。
次に、蓄電素子状態推定装置100が蓄電素子200の状態を推定する処理(温度推定部110及び状態推定部120が行う処理)について、さらに詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置100が蓄電素子200の状態を推定する処理の一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、温度推定部110は、それぞれの蓄電素子200の温度を推定する(S102〜S108)。
具体的には、発熱量取得部111は、蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得する(S102)。この発熱量取得部111が蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得する処理について、図9を用いて、詳細に説明する。図9は、本実施の形態に係る発熱量取得部111が蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、発熱量取得部111は、まず、蓄電素子200の測定電圧、開回路電圧、電流及びSOCを取得する(S202)。
具体的には、発熱量取得部111は、蓄電素子200に接続されており、蓄電素子200の充電または放電時の電圧及び電流を蓄電素子200から取得(測定)し、充放電履歴データ131の「測定電圧」及び「電流」に書き込み、記憶させる。また、発熱量取得部111は、取得した電圧及び電流からSOCを推定(算出)し、当該SOCを充放電履歴データ131の「SOC」に書き込み、記憶させる。
また、発熱量取得部111は、例えば図10に示すような蓄電素子200の容量と開回路電圧との関係を示す容量−OCV曲線から、蓄電素子200の開回路電圧を取得し、充放電履歴データ131の「開回路電圧」に書き込み、記憶させておく。図10は、本実施の形態に係る蓄電素子200の容量−OCV曲線の一例を示す図である。具体的には、発熱量取得部111は、取得した電流及び電圧から容量を算出し、同図の容量−OCV曲線に代入することで、開回路電圧を算出する。なお、同図には、蓄電素子200について測定された開回路電圧も表示してある。つまり、蓄電素子200の発熱によって、開回路電圧と測定電圧との差が生じている。なお、当該容量−OCV曲線は、充放電履歴データ131などに予め記憶されている。
これにより、発熱量取得部111は、充放電履歴データ131から、対象の充放電時点における蓄電素子200の測定電圧、開回路電圧、電流及びSOCを取得することができる。
そして、図9に戻り、発熱量取得部111は、蓄電素子200の発熱量を算出する(S204)。具体的には、発熱量取得部111は、以下の式1によって、蓄電素子200全体の発熱量δQを算出する。
δQ=|Vexp−VOCV|×I×Δt+B (式1)
ここで、Vexpは、蓄電素子200の測定電圧であり、VOCVは、蓄電素子200の開回路電圧の推定値であり、Iは、蓄電素子200の電流である。また、Δtは、例えば10秒などの予め設定された値(計算周期)であり、本実施の形態では、充放電履歴データ131の充放電時点における時間間隔である。また、Bは、蓄電素子200のSOC変動に伴う吸発熱量であり、所定期間ΔtにおけるSOCの変化から得ることができる。
発熱量取得部111は、取得したSOCの変化量から吸発熱量Bを算出し、当該吸発熱量Bと、取得した測定電圧Vexp、開回路電圧VOCV及び電流Iとを上記の式1に代入することで、蓄電素子200全体の発熱量δQを算出する。
なお、発熱量δQの算出に際して、電流Iの値が非常に小さい場合(電流Iが微弱電流の場合)には、吸発熱量Bによる影響が相対的に大きくなるため、吸発熱量Bの項を無視することはできない。吸発熱量Bが蓄電素子200全体の発熱量δQに及ぼす影響が大きくなる電流Iの値は、蓄電素子200の内部抵抗の大きさなどに依存するが、蓄電素子200が一般的なリチウムイオン二次電池の場合には、たとえば、電流Iの値が1.0CA以下のときにこの項の影響が見られ、0.2CA以下の場合に顕著な影響が見られる。これに対し、電流Iの値が大きい場合には、吸発熱量Bによる影響が相対的に小さくなるため、吸発熱量Bの項を無視して発熱量δQの算出を行うことにしてもよい。
ここで、吸発熱量Bについて、さらに詳細に説明する。一般に、一定温度、一定圧力下で化学変化が生じる場合のギブズの自由エネルギー変化ΔGは、次の式2であらわされる。
ΔG=ΔH−TΔS (式2)
ΔHは、エンタルピーの変化量であり、Tは、熱力学温度であり、ΔSは、エントロピーの変化量である。蓄電素子における充放電反応により、正極活物質および負極活物質の化学組成が変化することによって、ΔHおよびΔSが変化する。
ここで、準静的な反応、すなわち電流値がほぼ0とみなせる場合における熱の出入りΔQrevは、エントロピーの定義より、ΔQrev=TΔSとあらわされる。すなわち、電流値に依存しない式1における吸発熱量Bは、この式2の第二項の寄与によるものである。ここで、ΔQrevはJ/molの単位で表示されているので、実際の充放電反応によるSOCの変化の大きさから、実際の吸発熱Bを求めることができる。たとえば、系に通電された平均電流Iおよび通電時間Δtが分かっている場合には、IΔt/(nF)molだけ反応したと考えられることから(nは電池反応の半反応式における電子の化学量論係数、Fはファラデー定数である)、蓄電素子における可逆な吸発熱量Bは、次の式3であらわすことができる。
B=−TΔS×IΔt/(nF) (式3)
このように、発熱量取得部111は、所定期間Δtにおける蓄電素子200の測定電圧Vexpと開回路電圧VOCVとの差分及び電流値Iから算出される発熱量(|Vexp−VOCV|×I×Δt)と、所定期間ΔtにおけるSOCの変化から得られる吸発熱量Bとを用いて、蓄電素子200全体の発熱量δQを算出する。
そして、発熱量取得部111は、蓄電素子200の各内部領域での発熱量を算出する(S206)。具体的には、発熱量取得部111は、算出した蓄電素子200全体の発熱量δQを、蓄電素子200内の各内部領域に割り当てる。例えば、発熱量取得部111は、当該発熱量δQを、各内部領域における熱容量の比率で割り当てたり、各内部領域の体積の比率で割り当てたり、均等に割り当てたりする。これにより、発熱量取得部111は、蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得することができる。
以上により、発熱量取得部111が蓄電素子200の各内部領域での発熱量を取得する処理(図8のS102)は、終了する。
次に、図8に戻り、熱移動量取得部112は、各領域間の熱移動量を取得する(S104)。つまり、熱移動量取得部112は、記憶部130に記憶されている熱伝達係数を用いて、蓄電素子200内の隣接する2つの内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを算出する。具体的には、熱移動量取得部112は、第一時点における内部領域の温度と外部領域の温度とを用いて、第一時点から第二時点までの内部熱移動量と外部熱移動量とを算出する。
なお、第二時点は、温度推定部110が蓄電素子200の各内部領域の温度を推定する時点であり、第一時点は、当該第二時点よりも前の時点である。例えば、第一時点は、充放電履歴データ131の充放電時点における第二時点の1つ前の時点である。
この熱移動量取得部112が各領域間の熱移動量を取得する処理について、図11を用いて、さらに詳細に説明する。図11は、本実施の形態に係る熱移動量取得部112が各領域間の熱移動量を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、熱移動量取得部112は、各領域間の熱伝達係数を取得する(S302)。つまり、熱移動量取得部112は、推定用データ132から、隣接する2つの内部領域の間の熱伝達係数と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱伝達係数とを読み出す。
また、熱移動量取得部112は、第一時点における各領域の温度(内部領域の温度及び外部領域の温度)を取得する(S304)。具体的には、熱移動量取得部112は、第一時点における内部領域の温度を、推定用データ132の「温度」から読み出す。つまり、熱移動量取得部112は、1つ前の時点において後述の温度算出部113が算出した内部領域の温度を、推定用データ132から読み出して取得する。なお、初期状態においては、温度算出部113は過去の内部領域の温度を算出していないが、この場合、熱移動量取得部112は、各内部領域の温度は全て外部領域の温度と等しいと仮定するなどして、内部領域の温度を取得する。
また、熱移動量取得部112は、蓄電素子200が配置されている空間の温度を、外部領域の温度として取得する。つまり、熱移動量取得部112は、充放電履歴データ131に記憶されている外気温を読み出して、外部領域の温度として取得する。なお、当該外気温は、例えば、熱移動量取得部112が、蓄電素子200が配置されている空間に設けられた温度センサなどから当該空間の温度を取得(測定)して、充放電履歴データ131の「外気温」に書き込み、記憶させている。ここで、当該温度センサは、例えば自動車に設けられているセンサなど、既存のものを利用することができる。なお、当該温度センサは、蓄電素子200が発する熱の影響を受けない程度に、蓄電素子200から離間して設置されていることが好ましい。
そして、熱移動量取得部112は、各領域間の熱移動量を算出する(S306)。具体的には、熱移動量取得部112は、以下の式4を用いて、第一時点から第二時点までの内部熱移動量δJRxRyを算出し、以下の式5を用いて、第一時点から第二時点までの外部熱移動量δJRxReを算出する。
δJRxRy=hRxRy×(TRx−TRy)×Δt (式4)
δJRxRe=hRxRe×(TRx−TRe)×Δt (式5)
ここで、δJRxRyは、内部領域Rxから内部領域Ryへの熱移動量(放熱量)であり、δJRxReは、内部領域Rxから外部領域Reへの熱移動量(放熱量)である。また、hRxRyは、内部領域Rxと内部領域Ryとの間の熱伝達係数であり、hRxReは、内部領域Rxと外部領域Reとの間の熱伝達係数である。また、TRxは、第一時点における内部領域Rxの温度であり、TRyは、第一時点における内部領域Ryの温度であり、TReは、第一時点における外部領域Reの温度である。
熱移動量取得部112は、取得した熱伝達係数(hRxRy、hRxRe)、内部領域の温度(TRx、TRy)及び外部領域の温度(TRe)を、上記の式4及び式5に代入することで、各領域間の熱移動量(内部熱移動量及び外部熱移動量)を算出する。
以上により、熱移動量取得部112が各領域間の熱移動量を取得する処理(図8のS104)は、終了する。
次に、図8に戻り、温度算出部113は、蓄電素子200の各内部領域の温度を算出する(S106)。具体的には、温度算出部113は、発熱量取得部111が算出した内部領域での発熱量と、熱移動量取得部112が算出した内部熱移動量及び外部熱移動量を用いて、内部領域の温度を算出する。
この温度算出部113が蓄電素子200の各内部領域の温度を算出する処理について、図12を用いて、さらに詳細に説明する。図12は、本実施の形態に係る温度算出部113が蓄電素子200の各内部領域の温度を算出する処理の一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、温度算出部113は、蓄電素子200の各内部領域の熱容量を取得する(S402)。具体的には、温度算出部113は、推定用データ132から蓄電素子200の各内部領域の熱容量を読み出す。
また、温度算出部113は、蓄電素子200の各内部領域の温度変化量を算出する(S404)。具体的には、温度算出部113は、以下の式6を用いて、第一時点から第二時点までの内部領域Rxの温度変化量δTRxを算出する。
δTRx=(δQRx−ΣδJRxRy−δJRxRe)/CRx (式6)
ここで、δQRxは、内部領域Rxでの第一時点から第二時点までの発熱量である。また、ΣδJRxRyは、内部領域Rxとその隣接する内部領域Ryとの内部熱移動量の合計値である。また、CRxは、内部領域Rxの熱容量である。なお、内部領域Rxが外部領域Reに隣接していない場合には、δJRxRe=0とする。
例えば、図13に示すように、内部領域R1は、隣接する内部領域R2及び内部領域R7等と熱の移動が行われ、また、内部領域R7は、隣接する内部領域R1及び外部領域Re等と熱の移動が行われる。図13は、本実施の形態に係る温度算出部113が内部領域の温度変化量を算出する処理を説明する図である。なお、同図では、Y軸方向及びZ軸方向の二次元的な図を示しているが、内部領域はX軸方向も含め三次元的に存在するため、Z軸方向における内部領域間、及び、内部領域と外部領域との間も、熱の移動が行われる。
温度算出部113は、取得した熱容量(CRx)と、発熱量取得部111から取得した発熱量(δQRx)と、熱移動量取得部112から取得した各熱移動量(δJRxRy、δJRxRe)とを、上記の式6に代入することで、第一時点から第二時点までの内部領域Rxの温度変化量δTRxを算出する。
そして、図12に戻り、温度算出部113は、第二時点における各内部領域の温度を算出する(S406)。具体的には、温度算出部113は、第一時点における内部領域Rxの温度TRxに、算出した温度変化量δTRxを加えることで、第二時点における内部領域Rxの温度を算出する。そして、温度算出部113は、算出した第二時点における内部領域の温度を推定用データ132に書き込む。このようにして、温度推定部110は、蓄電素子200の各内部領域の温度を繰り返し推定し、推定用データ132に書き込んでいく。
以上により、温度算出部113が蓄電素子200の各内部領域の温度を算出する処理(図8のS106)は、終了する。
次に、図8に戻り、温度算出部113は、算出した内部領域の温度を用いて、蓄電素子200の温度を推定する(S108)。つまり、温度算出部113は、推定用データ132から、蓄電素子200の温度を推定したい時点での内部領域の温度を読み出し、蓄電素子200単位での温度を推定する。具体的には、温度算出部113は、内部熱移動量と外部熱移動量とを用いて得られる内部領域の温度のうち、蓄電素子200の中央位置の内部領域の温度、または、それぞれの内部領域の温度の平均値を、蓄電素子200の温度として算出する。
なお、温度算出部113は、蓄電素子200の中央位置ではなく、例えば電極体の中央位置の温度を、蓄電素子200の温度として算出してもよい。また、温度算出部113は、内部領域の温度の平均値を算出する際には、温度の合計値を内部領域の個数で除してもよいし、当該温度をそれぞれの内部領域の体積または熱容量の大きさで重み付けした加重平均を算出してもよい。
そして、状態推定部120は、蓄電素子200の温度を用いて、蓄電素子200の状態を推定する(S110)。つまり、状態推定部120は、推定用データ132から蓄電素子200の温度を読み出して、蓄電素子200の状態を推定する。具体的には、状態推定部120は、蓄電素子200の性能の劣化度合いを示す劣化状態や、蓄電素子200が異常な挙動を示しているかを示す異常状態などを推定する。例えば、状態推定部120は、蓄電素子200の可逆容量が何%減少したかなどの容量の劣化状態を推定する。そして、状態推定部120は、蓄電素子200の状態を推定した結果を、推定用データ132に書き込む。
以上により、蓄電素子状態推定装置100が蓄電素子200の状態を推定する処理は、終了する。
以上のように、本実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置100によれば、蓄電素子200の隣接する2つの内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量と、隣接する内部領域及び外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量とを用いて、蓄電素子200の温度を推定し、当該温度を用いて蓄電素子200の状態を推定する。このように、蓄電素子状態推定装置100によれば、内部熱移動量と外部熱移動量とを用いて蓄電素子200の温度を推定することができるため、蓄電素子200の温度を測定するための温度センサの数を低減する、または、当該温度センサを不要にすることができる。このため、簡易な構成で蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、2つの内部領域の間の熱伝達係数と、内部領域及び外部領域の間の熱伝達係数とをメモリに記憶しており、当該メモリに記憶されている熱伝達係数を用いて内部熱移動量と外部熱移動量とを算出する。つまり、熱伝達係数は領域ごとに異なる可能性があるため、それぞれの熱伝達係数をメモリに記憶しておき、それらの熱伝達係数を計算に用いる。これにより、蓄電素子状態推定装置100によれば、温度センサなどによって蓄電素子200の温度を測定しなくても、精度良く、内部熱移動量と外部熱移動量とを算出して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、電極体261、262の極板の積層方向における熱伝達係数である第一熱伝達係数と、当該積層方向と交差する方向における熱伝達係数であって第一熱伝達係数よりも大きい第二熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、熱伝達係数は、極板の積層方向よりも面方向の方が大きくなるため、蓄電素子状態推定装置100によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、精度良く、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、第一時点における内部領域の温度と外部領域の温度とを用いて、第一時点以降の第二時点における内部領域の温度を算出して、蓄電素子200の温度を推定する。つまり、蓄電素子状態推定装置100は、過去の内部領域の温度と外部領域の温度とを用いて内部領域の温度を更新していくことで、精度良く、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、蓄電素子200が配置されている空間の温度(外気温)を外部領域の温度として用いることで、簡易に、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、蓄電素子200の中央位置の内部領域の温度、または、それぞれの内部領域の温度の平均値を蓄電素子200の温度として算出することで、精度良く、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、蓄電素子200の測定電圧、開回路電圧、電流値及び吸発熱量を用いて、蓄電素子200の温度を推定することができるため、蓄電素子200の温度を測定するための温度センサの数を低減する、または、当該温度センサを不要にすることができる。このため、簡易な構成で蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
なお、一般的に、蓄電素子の劣化は温度の上昇に伴い、加速することが知られている。蓄電素子の種類によって劣化速度の加速されやすさは異なるが、概して、室温付近において蓄電素子の温度が1℃上昇すると、蓄電素子の劣化速度は5〜10%程度加速される。したがって、蓄電素子の温度の精度が不十分である場合、その蓄電素子の状態推定の精度が低くなる。とくに、試験期間の0.5乗に比例して劣化が進行するリチウムイオン二次電池のような蓄電素子では、寿命末に至るまでの期間が劣化速度の−2乗に比例して変化するため、蓄電素子の温度が劣化推定の精度に及ぼす影響が甚大である。以上のことから、蓄電素子の状態推定をより精度よくおこなうためには、蓄電素子の温度を正確に計測あるいは推定することが重要である。このため、蓄電素子状態推定装置100は、上述の通り、蓄電素子の温度を精度よく推定することができるため、非常に有用である。
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。上記実施の形態では、蓄電素子200は、図6に示すような比較的少ない数の領域にしか分割されず、記憶部130の推定用データ132には、図7に示すような比較的少ない数の熱伝達係数(第一熱伝達係数、第二熱伝達係数等)しか記憶されていないこととした。しかし、本変形例では、蓄電素子200は、比較的多くの数の領域に分割され、推定用データ132に、図14に示すような比較的多くの数の熱伝達係数が記憶されている。
図14は、本変形例に係る蓄電素子200の熱伝達係数を説明する図である。具体的には、同図は、図7に対応する図である。
図14に示すように、本変形例では、X軸方向プラス側から見て、蓄電素子200の容器210内方を4×4の16個に分割し、容器210の蓋体216、側壁212、214、及び底壁215を、それぞれ4つに分割している。なお、主要な各内部領域の中心を黒丸にて示している。
そして、同図の熱伝達係数ha1、ha2、hb1及びhb2が、電極体261、262の極板の積層方向に並ぶ2つの内部領域の間の熱伝達係数であり、上記実施の形態では第一熱伝達係数である。また、熱伝達係数hc1、hc2及びhc3が、当該積層方向と交差する方向に並ぶ2つの内部領域の間の熱伝達係数であり、上記実施の形態では第二熱伝達係数である。
ここで、電極体261、262は、最外周が、正極板及び負極板が介在しないセパレータや絶縁シートなどで覆われているため、電極体261と電極体262との間は、電極体261内部または電極体262内部よりも熱が伝わりにくい。このため、同じ電極体の内部における熱伝達係数よりも、異なる電極体間における熱伝達係数の方が小さい値となる。したがって、上記の第一熱伝達係数のうち、熱伝達係数ha1及びha2を第三熱伝達係数とし、熱伝達係数hb1及びhb2を第四熱伝達係数とした場合、第四熱伝達係数(hb1、hb2)は、第三熱伝達係数(ha1、ha2)よりも小さい値となる。
また、同図に示すように、電極体261は、極板が巻回されて形成された平坦部分261a及び261bと湾曲部分261c及び261dとを有している。つまり、電極体261は、極板が巻回されて形成されており、対向する2つの平坦部分261a及び261bと、当該2つの平坦部分261a及び261bを繋ぐ2つの湾曲部分261c及び261dとを有している。また同様に、電極体262は、極板が巻回されて形成された2つの平坦部分262a及び262bと2つの湾曲部分262c及び262dとを有している。
ここで、電極体261の平坦部分261bと電極体262の平坦部分262aとは密着しているのに対し、電極体261の湾曲部分261cと電極体262の湾曲部分262cとの間は距離が離れている。このため、異なる電極体の平坦部分間よりも湾曲部分間の方が熱が伝わりにくいため、異なる電極体の平坦部分間における熱伝達係数よりも、湾曲部分間における熱伝達係数の方が小さい値となる。したがって、上記の第四熱伝達係数(hb1、hb2)のうち、熱伝達係数hb1を第五熱伝達係数とし、熱伝達係数hb2を第六熱伝達係数とした場合、第六熱伝達係数(hb2)は、第五熱伝達係数(hb1)よりも小さい値となる。
以上のように、記憶部130の推定用データ132の「熱伝達係数」には、同じ電極体の内部における第一熱伝達係数である第三熱伝達係数と、異なる電極体間における第一熱伝達係数であって第三熱伝達係数よりも小さい第四熱伝達係数とが記憶されている。また、当該「熱伝達係数」には、平坦部分における第四熱伝達係数である第五熱伝達係数と、湾曲部分における第四熱伝達係数であって第五熱伝達係数よりも小さい第六熱伝達係数とが記憶されている。
なお、第二熱伝達係数(hc1、hc2、hc3等)においては、湾曲部分ではZ軸方向においても極板が積層されているため、平坦部分から湾曲部分に近づくほど熱伝達係数は小さい値となる。つまり、平坦部分における熱伝達係数hc1よりも平坦部分と湾曲部分とを跨る熱伝達係数hc2の方が小さく、熱伝達係数hc2よりも湾曲部分における熱伝達係数hc3の方が小さくなる。
つまり、第一熱伝達係数、第二熱伝達係数ともに、電極体の平坦部分から湾曲部分に近づくほど熱伝達係数は小さい値となり、記憶部130には、これらの熱伝達係数が予め定められて記憶されている。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子状態推定装置100によれば、同じ電極体の内部における第一熱伝達係数である第三熱伝達係数と、異なる電極体間における第一熱伝達係数であって第三熱伝達係数よりも小さい第四熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、電極体は、一般的に、正極板及び負極板が介在しない状態のセパレータや絶縁シートなどで外周が覆われているため、熱伝達係数は、電極体内部よりも電極体間の方が小さくなる。このため、蓄電素子状態推定装置100によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、さらに精度良く、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
また、蓄電素子状態推定装置100は、巻回型の電極体の平坦部分における第四熱伝達係数である第五熱伝達係数と、当該電極体の湾曲部分における第四熱伝達係数であって第五熱伝達係数よりも小さい第六熱伝達係数とを、メモリに記憶している。つまり、巻回型の電極体を複数並べた場合、隣り合う電極体の平坦部分同士よりも湾曲部分同士の方が距離が大きくなるため、熱伝達係数は、隣り合う電極体の平坦部分同士よりも湾曲部分同士の間の方が小さくなる。このため、蓄電素子状態推定装置100によれば、正確な熱伝達係数をメモリに記憶しておくことで、さらに精度良く、蓄電素子200の温度を推定して、蓄電素子200の状態を推定することができる。
なお、蓄電素子200は、さらに多くの領域に細分化され、記憶部130の推定用データ132の「熱伝達係数」には、その細分化された多くの領域に対応した熱伝達係数が記憶されていることにしてもよい。細分化することで精度よく蓄電素子200の温度を推定することができる。
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。上記実施の形態では、蓄電素子状態推定装置100は、図1に示すような蓄電システム10(蓄電モジュール)に備えられていることとした。しかし、本変形例では、蓄電素子状態推定装置100は、図1に示すような蓄電システム10とは異なる形態の蓄電システムに備えられている。
図15及び図16は、本変形例に係る蓄電素子状態推定装置100を備える蓄電システムの外観図である。具体的には、図15は、蓄電素子状態推定装置100を備える蓄電システムとしての蓄電モジュール10aを示している。また、図16の(a)は、蓄電素子状態推定装置100を備える蓄電システムとしての蓄電装置10bを示し、図16の(b)は、蓄電素子状態推定装置100を備える蓄電システムとしての蓄電設備10cを示している。
まず、図15に示すように、蓄電システムとしての蓄電モジュール10aは、例えば据置用の電源装置として使用される蓄電モジュールであり、蓄電素子200と収容ケース300の側壁との間に、蓄電素子状態推定装置100を備えている。つまり、蓄電素子状態推定装置100は、収容ケース300の側壁の内側に固定されて配置されたL型の基板であり、複数の蓄電素子200上に配置された基板400及び配線を介して、当該複数の蓄電素子200と接続されている。なお、図15では、収容ケース300の側壁の一部及び上壁を省略して図示している。
また、図16の(a)に示すように、蓄電システムとしての蓄電装置10bは、例えば図15の蓄電モジュール10aを複数備えており、当該複数の蓄電モジュール10aがラック11に支持されて配置されている。つまり、蓄電装置10bは、蓄電素子状態推定装置100が設けられた蓄電モジュール10aを複数備えている。なお、蓄電装置10bは、図1に示したような蓄電システム10(蓄電モジュール)を複数備えていることにしてもよい。
また、図16の(b)に示すように、蓄電システムとしての蓄電設備10cは、例えば蓄電装置10bを複数備えており、当該複数の蓄電装置10bがコンテナ12内に配置されている。つまり、蓄電設備10cは、蓄電素子状態推定装置100が設けられた蓄電モジュール10aを有する蓄電装置10bを複数備えている。ここで、コンテナ12は、例えば、内部に人が立入可能な空間を有するコンテナである。つまり、コンテナ12は、内部の機器のメンテナンス時などに内部に人が立ち入れるほどの大きさを有する金属製の中空かつ直方体形状の箱体であり、土地に自立して設置されている。コンテナ12は、いわゆるシェルタなどの箱体や、トラックや列車などの輸送手段によって搬送可能な箱体なども含む概念である。なお、図16の(b)では、コンテナ12の側壁の一部及び上壁を省略して図示している。
以上の本変形例のように、蓄電素子状態推定装置100が備えられる蓄電システムは、特に限定されない。つまり、蓄電素子状態推定装置100は、どのような形態の蓄電システムに備えられていてもよく、種々の形態の蓄電システムが備える蓄電素子200の状態を、簡易な構成で推定することができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子状態推定装置100及び蓄電システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子200は、X軸方向に巻回軸を有するいわゆる縦巻きの巻回型の2つの電極体261、262を有していることとした。しかし、蓄電素子200は、例えば、Z軸方向に巻回軸を有するいわゆる横巻きの巻回型の電極体、平板状極板を積層した積層型の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ形状の電極体を有していることにしてもよい。また、電極体の個数も、2つには限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。この場合、記憶部130の推定用データ132の「熱伝達係数」には、電極体の形状及び個数に応じた熱伝達係数が記憶される。
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子200は、矩形箱型(角型)の形状を有していることとした。しかし、蓄電素子200の形状は、円柱形状や長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。この場合、記憶部130の推定用データ132の「熱伝達係数」には、蓄電素子200の形状に応じた熱伝達係数が記憶される。
また、上記実施の形態及びその変形例では、熱移動量取得部112は、蓄電素子200が配置されている空間の温度を、外部領域の温度として取得することとしたが、この外部領域の温度は共通の1つの温度には限定されない。つまり、内部領域の位置に応じて、外部領域の温度を異ならせて設定してもよい。例えば、図7に示す側壁212に隣接する外部領域の温度と、側壁214に隣接する外部領域の温度とを異なる温度として、充放電履歴データ131に記憶させておくことにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、図6及び図7や図14のように蓄電素子200を分割し、内部領域を設定した。しかし、例えば、蓄電素子200を斜め方向に切断したり、複数の領域を結合して1つの内部領域とするなど、蓄電素子200の分割の仕方及び内部領域の設定の仕方は、どのようなものであってもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、状態(または温度)の推定対象となる蓄電素子は、1つの蓄電素子200(単電池)であることとした。しかし、状態(または温度)の推定対象となる蓄電素子の規模(内部領域の規模)は、特に限定されない。例えば、複数の蓄電素子200(単電池)が組み合わされた蓄電モジュール(組電池)を、推定対象となる蓄電素子としてもよい。この場合、1つの単電池を少ない内部領域に分けてもよく、1つの単電池そのものを1つの内部領域と考えてもよい。細分化する内部領域を広くすることで、演算速度(推定計算速度)を上げることができる。また、当該蓄電モジュールを複数備えた蓄電パック(電池パック)や、蓄電パックを複数備えた蓄電システムなどを、推定対象となる蓄電素子としてもよい。この場合、搭載する単電池の数(規模)により、適宜細分化する内部領域を変更して(例えば、複数の単電池で1つの内部領域とする等)、演算速度と推定精度のバランスを取ってもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子状態推定装置100は、記憶部130を備えており、蓄電素子200の充放電履歴や状態推定のための情報を記憶部130に記憶させることとした。しかし、蓄電素子状態推定装置100は、記憶部130を備えておらず、記憶部130の代わりに外部のメモリを使用することにしてもかまわない。
また、蓄電素子状態推定装置100は、推定した蓄電素子200の状態に関するデータを参照し、蓄電素子200の異常を検知して、安全上のアラームを発するような安全状態を推定する機能を有していてもよい。
また、本発明に係る蓄電素子状態推定装置100が備える処理部は、典型的には、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。つまり、例えば図17に示すように、本発明は、温度推定部110及び状態推定部120を備える集積回路101として実現される。図17は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子状態推定装置100を集積回路で実現する構成を示すブロック図である。
なお、集積回路101が備える各処理部は、個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
また、本発明は、このような蓄電素子状態推定装置100として実現することができるだけでなく、蓄電素子状態推定装置100が行う特徴的な処理をステップとする蓄電素子状態推定方法としても実現することができる。
また、本発明は、蓄電素子状態推定方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータ(プロセッサ)に実行させるプログラムとして実現したり、当該プログラムが記録されたコンピュータ(プロセッサ)読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光ディスク、紙テープなどあらゆる媒体として実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、簡易な構成で蓄電素子の状態を推定することができる蓄電素子状態推定装置等に適用できる。
10 蓄電システム
10a 蓄電モジュール(蓄電システム)
10b 蓄電装置(蓄電システム)
10c 蓄電設備(蓄電システム)
11 ラック
12 コンテナ
100 蓄電素子状態推定装置
101 集積回路
110 温度推定部
111 発熱量取得部
112 熱移動量取得部
113 温度算出部
120 状態推定部
130 記憶部
131 充放電履歴データ
132 推定用データ
200 蓄電素子
210 容器
211〜214 側壁
215 底壁
216 蓋体
220 正極端子
230 負極端子
240 正極集電体
250 負極集電体
261、262 電極体
261a、261b、262a、262b 平坦部分
261c、261d、262c、262d 湾曲部分
300 収容ケース
400 基板

Claims (15)

  1. 蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置であって、
    前記蓄電素子の温度を推定する温度推定部と、
    前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定部とを備え、
    前記温度推定部は、
    前記蓄電素子を複数の領域に分割した場合のそれぞれの領域を内部領域とし、前記内部領域に隣接する前記蓄電素子の外部の領域を外部領域とし、隣接する2つの前記内部領域ごとの当該隣接する2つの前記内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量のそれぞれと、隣接する前記内部領域及び前記外部領域ごとの当該隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量のそれぞれとを用いて、前記蓄電素子の温度を推定し、
    前記温度推定部は、前記蓄電素子の温度を測定することなく、計算により前記蓄電素子の温度を推定する
    蓄電素子状態推定装置。
  2. 前記温度推定部は、
    隣接する2つの前記内部領域ごとに、当該隣接する2つの前記内部領域間の熱伝達係数をそれぞれ取得するとともに、隣接する前記内部領域及び前記外部領域ごとに、当該隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱伝達係数をそれぞれ取得し、
    取得したそれぞれの熱伝達係数から得られる内部熱移動量のそれぞれと外部熱移動量のそれぞれとを用いて、前記蓄電素子の温度を推定する
    請求項1に記載の蓄電素子状態推定装置。
  3. さらに、
    隣接する2つの前記内部領域の間の熱伝達係数のそれぞれと、隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱伝達係数のそれぞれとを記憶している記憶部を備え、
    前記温度推定部は、前記記憶部に記憶されている熱伝達係数を用いて、前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを算出する
    請求項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  4. 前記蓄電素子は、極板が積層されて形成された電極体を有し、
    前記記憶部には、前記極板の積層方向に並ぶ2つの前記内部領域の間の熱伝達係数である第一熱伝達係数と、前記積層方向と交差する方向に並ぶ2つの前記内部領域の間の熱伝達係数であって前記第一熱伝達係数よりも大きい第二熱伝達係数とが記憶されている
    請求項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  5. 前記蓄電素子は、複数の前記電極体を有し、
    前記記憶部には、同じ前記電極体の内部における前記第一熱伝達係数である第三熱伝達係数と、異なる前記電極体間における前記第一熱伝達係数であって前記第三熱伝達係数よりも小さい第四熱伝達係数とが記憶されている
    請求項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  6. 前記電極体のそれぞれは、前記極板が巻回されて形成された平坦部分と湾曲部分とを有しており、
    前記記憶部には、前記平坦部分における前記第四熱伝達係数である第五熱伝達係数と、前記湾曲部分における前記第四熱伝達係数であって前記第五熱伝達係数よりも小さい第六熱伝達係数とが記憶されている
    請求項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  7. 前記温度推定部は、
    第一時点における前記内部領域の温度と前記外部領域の温度とを用いて、前記第一時点から第二時点までの前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを算出し、
    算出した前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを用いて、前記第二時点における前記内部領域の温度を算出し、
    算出した前記内部領域の温度を用いて、前記蓄電素子の温度を推定する
    請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  8. 前記温度推定部は、前記蓄電素子が配置されている空間の温度を、前記外部領域の温度として取得する
    請求項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  9. 前記温度推定部は、前記内部熱移動量と前記外部熱移動量とを用いて得られる前記内部領域の温度のうち、前記蓄電素子の中央位置の内部領域の温度、または、それぞれの内部領域の温度の平均値を、前記蓄電素子の温度として算出する
    請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄電素子状態推定装置。
  10. 蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定装置であって、
    前記蓄電素子の温度を推定する温度推定部と、
    前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定部とを備え、
    前記温度推定部は、
    所定期間における前記蓄電素子の測定電圧と開回路電圧との差分及び電流値から算出される発熱量と、前記所定期間におけるSOC(State Of Charge)の変化から得られる吸発熱量とを用いて、前記蓄電素子の温度を推定し、
    前記温度推定部は、前記蓄電素子の温度を測定することなく、計算により前記蓄電素子の温度を推定する
    蓄電素子状態推定装置。
  11. 蓄電素子と、
    前記蓄電素子の状態を推定する請求項1〜10のいずれか1項に記載の蓄電素子状態推定装置と
    を備える蓄電システム。
  12. 蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定方法であって、
    前記蓄電素子の温度を推定する温度推定ステップと、
    前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定ステップとを含み、
    前記温度推定ステップでは、
    前記蓄電素子を複数の領域に分割した場合のそれぞれの領域を内部領域とし、前記内部領域に隣接する前記蓄電素子の外部の領域を外部領域とし、隣接する2つの前記内部領域ごとの当該隣接する2つの前記内部領域の間の熱の移動量である内部熱移動量のそれぞれと、隣接する前記内部領域及び前記外部領域ごとの当該隣接する前記内部領域及び前記外部領域の間の熱の移動量である外部熱移動量のそれぞれとを用いて、前記蓄電素子の温度を推定し、
    前記温度推定ステップでは、前記蓄電素子の温度を測定することなく、計算により前記蓄電素子の温度を推定する
    蓄電素子状態推定方法。
  13. 蓄電素子の状態を推定する蓄電素子状態推定方法であって、
    前記蓄電素子の温度を推定する温度推定ステップと、
    前記蓄電素子の温度を用いて、前記蓄電素子の状態を推定する状態推定ステップとを含み、
    前記温度推定ステップでは、
    所定期間における前記蓄電素子の測定電圧と開回路電圧との差分及び電流値から算出される発熱量と、前記所定期間におけるSOC(State Of Charge)の変化から得られる吸発熱量とを用いて、前記蓄電素子の温度を推定し、
    前記温度推定ステップでは、前記蓄電素子の温度を測定することなく、計算により前記蓄電素子の温度を推定する
    蓄電素子状態推定方法。
  14. 請求項12または13に記載の蓄電素子状態推定方法に含まれるステップをプロセッサに実行させるためのプログラム。
  15. 請求項14に記載のプログラムが記録された記録媒体。
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