以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる洗濯機の一例である洗濯乾燥機の上から見た斜視図であり、図2は図1に示す洗濯乾燥機の上蓋を開いた状態を上から見た斜視図であり、図3は図1に示す洗濯乾燥機の側断面図である。なお、図3においては、左側の面が洗濯機Aの前面(正面) 、右側の面が後面(背
面)である。
本発明にかかる洗濯機Aは、上部に洗濯物を出し入れする開口部21を備えた縦型の洗濯機である。洗濯機Aの外装は外箱1と、上面部材2と、上蓋3と、ベース部材4とを含んでいる。また、外箱1の内部には水槽5、洗濯兼脱水槽6及び駆動機構7が配置されている。
外箱1は直方体形状で、金属または合成樹脂により成型され、上部及び底部に開口が形成されている。外箱1の上部の開口には上面部材2が重ねられ、外箱1にネジ止め等の従来周知の締結方法を利用して固定されている。また、外箱1の底部の開口にはベース部材4が重ねられ、外箱1に固定されている。なお、ベース部材4の固定は、上面部材2と同
じ方法であってもよいし、異なる方法であってもよいが、従来周知の方法が用いられる。
上面部材2には洗濯物を出し入れするための開口部21が設けられている。また、上面部材2の上方後部には給水部22が配される。給水部22は、水道(蛇口)や風呂水用のポンプ(いずれも不図示)を接続し、水道又は風呂水用のポンプからの水を水槽5(水槽5内に配置された洗濯兼脱水槽6)に供給するようになっている。また、洗剤類(洗剤、柔軟剤、漂白剤等)を投入することができる洗剤ケースが設けられており、洗剤類と水(水道水)とを混合した液体(以下、洗濯液と称する場合がある)を水槽5(洗濯兼脱水槽6)に供給するようになっている。
そして、上面部材2には、開口部21を開閉するように上蓋3が取り付けられている。また、上面部材2の上蓋3よりも前方には、使用者が洗濯機Aの操作を行うための操作部20が設けられている。操作部20が操作されることで、洗濯機Aは、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥等のそれぞれの動作或いはこれらを組み合わせた動作を行う。
上蓋3は、上面部材2にヒンジ部30で結合され、ヒンジ部30を中心に回動可能となっている。ヒンジ部30は、上面部材2の背面側に設けられており、洗濯機Aの正面側から見て、上蓋3は手前側を上方に向けて回動させることで、開口部21を開閉する。上面部材2は上蓋3が手前側を下に傾斜して開口部21を閉じるような構造を有している。上蓋3の詳細については、後述する。
ベース部材4の4隅には洗濯機Aを設置場所(例えば床)の上に設置するときに支持部材となる4個の脚部41が設けられている。4個の脚部41のうち少なくとも2個は伸張可能な構成(例えば、高さ可変のねじ脚)であり、高さを調整することが可能である。
水槽5は、一端が開口した有底筒形状であり、開口が上面を向くとともに、上面部材2の開口部21と連通するように外箱1に取り付けられる。なお、水槽5は外箱1への振動の伝達を抑制することができるような取付方法で取り付けられていてもよい。
洗濯兼脱水槽6も一端(上部)が開口した有底筒形状であり、洗濯兼脱水槽6は上方に向かい緩やかに広がるテーパ形状の周壁を有する。この周壁の最上部には、環状に配置した複数個の脱水孔61が形成されており、それ以外の部分には、液体を通すための孔はない。すなわち、洗濯兼脱水槽6はいわゆる孔なしタイプの槽である。しかしながら、これに限定されるものではなく、洗濯兼脱水槽6の周壁に液体を通すための孔が形成されているものであってもよい。
洗濯兼脱水槽6はその中心軸が水槽5の中心軸と一致する又は略一致するように、水槽5の内部に回転可能に配置されている。洗濯兼脱水槽6の上部には、洗濯兼脱水槽6を回転させるときに発生する振動を抑制するためのバランサー62が装着されている。そして、洗濯兼脱水槽6の内部の底面には、撹拌翼63が洗濯兼脱水槽6に対して回転可能に配置されている。
また、水槽5の底部には排水部(不図示)が設けられているとともに、洗濯兼脱水槽6の底部には、洗濯兼脱水槽6内の水を抜くための抜水部(不図示)を備えている。
駆動機構7は、水槽5の下部に配置されており、図示を省略したモータと、モータで発生した回転力が不図示のベルトを介して伝達されるプーリ71と、クラッチ機構72とを備えている。また、駆動機構7は、プーリ71が取り付けられた回転軸73と、洗濯兼脱水槽6と接続する脱水軸74と、撹拌翼63と接続する撹拌軸75とを備えている。
脱水軸74と撹拌軸75とは、撹拌軸75が内側の2重構造を構成しており、脱水軸74と撹拌軸75とは、中心軸が一致するとともにそれぞれ独立して回転可能となっている。脱水軸74及び撹拌軸75はいずれも水槽5を貫通しているとともに水槽5に対して回転可能となっている。脱水軸74は中心軸が一致するように洗濯兼脱水槽6の底面に連結されているとともに、洗濯兼脱水槽6を支持している。なお、脱水軸74と水槽5との隙間には、水槽5の貫通部分からの水漏れを抑制するためのシール部材(不図示)が配置されている。
撹拌軸75は、洗濯兼脱水槽6の底部を貫通しているとともに洗濯兼脱水槽6に対して回転可能となっている。撹拌軸75は洗濯兼脱水槽6の内部に配置された撹拌翼63と中心軸が一致するように連結している。撹拌翼63は撹拌軸75に回動可能に支持されている。洗濯兼脱水槽6と撹拌軸75との隙間には、水漏れを防ぐためのシール部材(不図示)が配置されている。
駆動機構7のクラッチ機構72は、回転軸73の回転力が脱水軸74及び撹拌軸75に伝達される状態と、回転軸73の回転力が撹拌軸75にだけに伝達される状態に切り替えるものである。クラッチ機構72を回転軸73の回転力が撹拌軸75だけに伝達されるように切り替えることで、洗濯兼脱水槽6を停止し、撹拌翼63で洗濯兼脱水槽6に投入されている洗濯物及び洗濯液又は水を撹拌して、洗濯又はすすぎを行う。また、クラッチ機構72を回転軸73の回転力が脱水軸74及び撹拌軸75に伝達されるように切り替えることで、洗濯兼脱水槽6及び撹拌翼63が一体的に回転し、遠心力を利用して洗濯兼脱水槽6内の洗濯物を脱水する。
洗濯機Aでは、洗濯兼脱水槽6の内部に投入された洗濯物を乾燥させるための乾燥運転が可能な構成を有している。洗濯機Aの乾燥運転では、例えば、ヒーター、ヒートポンプなどの加熱装置により空気を暖め、その暖かい空気(温風)を洗濯兼脱水槽6の内部に吹付けて、洗濯物を乾燥させるものである。上面部材2には乾燥用の空気を吐出する空気吐出部24が設けられている。
(第1実施形態)
次に、本発明の洗濯機の要部である上蓋3の詳細について図面を参照して説明する。図4は本発明にかかる洗濯機に用いられる上蓋の斜視図であり、図5は図4に示す上蓋からガラス板を取り外した状態の斜視図であり、図6は図4に示す上蓋の側部の断面を拡大した拡大断面図である。
上蓋3は、ヒンジ部30と、フレーム31(枠体)と、ガラス板32(板状部材の一例)と、ハンドル部33とを備えている。ヒンジ部30は、フレーム31と上面部材2とを接続しており、ヒンジ部30によって上蓋3が開閉可能となっている(図2、図3参照)。図5に示すように、フレーム31は支持部311と、側壁部312と、接着部313と、溝314とを備えている。
側壁部312は、上蓋3の周囲を囲むように形成された立壁部材である。より詳しくは、側壁部312は、平板状の支持部311の外周から支持部311と直交する方向に突出している立壁部材である。見方を変えれば、支持部311は側壁部312から内側に突出する平板状の部材であると言うこともできる。支持部311の中央部分には、貫通孔である開口窓310が形成されている。支持部311と側壁部312とは連結されて形成されており、ここでは、樹脂の一体成型体である。図5、図6に示すように、フレーム31は、支持部311と側壁部312とを備えていることで、上部に矩形の凹部を備えた構成であると言える。
支持部311の側壁部312が囲む領域の内側には、ガラス板32を接着するための接着部313が設けられている。この接着部313が設けられている方が上蓋3の上面(表面)となる。すなわち、上蓋3を閉じた状態で上方向に向く面が上蓋3の上面である。接着部313は、支持部311において平面上に設けられている部分であり、ガラス板32と均等又は略均等に接触するようになっている。
なお、接着部313を設ける例としては、接着部313は支持部311に位置決めのための刻印や印刷、シールの貼付等であってもよい。あるいは、生産指示書において、例えば、「溝から2mm中央よりに粘着テープを貼り付ける」などのように支持部311に接着材料を貼る位置を指示する(規定する)ことで、接着部を設けるようにしてもよい。さらに言えば、支持部311の上面であれば、接着材料を設ける位置に制限がない場合もある。このような場合において、接着部は接着材料が設けられた場所であるといえる。
また、支持部311ではなく、板状部材(例えばガラス板32)に支持部311を設けてもよい。この場合、接着部313を設ける例としては、接着部313は板状部材に位置決めのための刻印や印刷、シールの貼付等であってもよい。このとき、板状部材の材質に応じて適当な方法を選択すればよい。あるいは、生産指示書において、例えば、「板状部材の端部から2mm中央よりに粘着テープを貼り付ける」などのように板状部材に接着材料を貼る位置を指示する(規定する)ことで接着部を設けるようにしてもよい。さらに言えば、板状部材の支持部311と対面する面であれば、接着材料を設ける位置に制限がない場合もある。このような場合いおいて、接着部は接着材料が設けられた場所であるといえる。
本実施形態において、上蓋3の上面が平面状であり、支持部311も平面状となっているが、意匠上の理由やその他の理由により上蓋3が曲面状に形成されることがあり、支持部311も曲面状となることもある。このような場合、接着部313は、支持部311において曲面上に設けられることもある。さらには、上蓋3が曲面と平面の組み合わせから形成されることもある。そのような場合、接着部313は、ガラス板32の形状及び取り付け位置に応じて、平面上に設けられることもあるし、曲面上に設けられることもある。
ガラス板32は接着部313に粘着シート等の接着材料を利用してしっかり接着される。そして、溝314は支持部311の接着部313と側壁部312との間の部分に側壁部312に沿うように形成されている。なお、上蓋3の下面(裏面)には、上面部材2の開口部21を囲うように環状のパッキンが設けられている。このパッキンは、上面の溝314の内側に設けられている。
ガラス板32は、透明な板状の部材である。ガラス板32は、少なくとも、上蓋3が閉じているときに、開口窓310を介して洗濯兼脱水槽6の内部を視認できればよく、ガラス板32の上蓋3の開口窓310と重なる部分が、内部を確認できる程度の透光性を有する(透明性を有する)ように形成されている。ガラス板32は、全面が透明に形成されていてもよいが、これに限定されるものではない。ガラス板32は、接着部313に接着材料で接着されるため、上蓋3を上面から見たときに接着材料が付着する部分を不透明に形成していてもよい。なお、ガラス板32としては強化ガラスを用いることが好ましい。
このように形成することで、上蓋3を上面から見たとき、使用者によって接着材料(接着部分)が視認されるのを抑制し、これによって、上蓋3の意匠性を高めることが可能である。なお、不透明にする方法としては、金属等の薄膜を形成するものやプリントを施すもの等を挙げることができるが、これに限定されない。また、本実施形態では、板状部材が透光性を有する構成であることから、ガラスとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、アクリル板など樹脂から成るものであってもよい。透光性を有するととも
に、上蓋3を閉じたときに、洗濯機Aの内部を密閉できるような特徴を有する材料を広く採用することができる。また、上蓋3が開口部21を閉じている状態で、洗濯機Aの内部を視認する必要がない場合は、板状部材として不透明の材料(金属、樹脂等)で形成されたものであってもよい。あるいは、開口窓310を上蓋に設けないようにしてもよい。
図4、図5に示すように、ハンドル部33は、フレーム31に回動可能に支持されており、把手部331と、係合部332とを備えている。把手部331は使用者が上蓋3を開く又は閉じるときに把持する部分である。係合部332は、平板状の部材であり中央部分に貫通孔(係合孔)333が形成されている。上面部材2には、上側が斜めに形成されている楔状の係合凸部25が設けられており、貫通孔333に係合凸部25を係合することで、上蓋3をロックしている。
また、ハンドル部33はばね等の弾性力を利用して係合凸部25が貫通孔333と係合するように付勢されている。このように付勢することで、使用者がハンドル部33を操作することで、上蓋3が開くようになっている。使用者が把手部331を把持して回転させることで、係合部332の係合孔333と係合凸部25との係合が外れ、上蓋3を開くことができる。
上述したように、ガラス板32を上蓋3の支持部311と側壁部312で形成される凹部に挿入して、接着部313に接着材料で固定している。フレーム31やガラス板32の製造上の誤差があっても、上述の凹部に挿入することができるように、ガラス板32の外周面と側壁部312の内周面との間に隙間が形成されるような寸法となっている。上蓋3が閉じている状態で、ガラス板32の上に水や洗濯液等の液体がこぼれると、この液体はガラス板32と側壁部312との間に浸入する。
洗濯機Aでは、粘着シート等の接着材料で接着部313とガラス板32とを接着して固定しており、接着材料はある程度の厚みがあるため、接着部313が含まれる支持部311との間には微細な隙間が形成される。支持部311とガラス板32の間は微細な隙間であるため、液体は毛細管現象で支持部311とガラス板32の隙間の奥に浸入しやすくなっている。支持部311とガラス板32の隙間に浸入した液体が接着材料に接触すると、接着材料の接着力が低下しガラス板32の剥離の原因となる恐れがある。
そこで、本発明にかかる洗濯機Aでは、支持部311の接着部313と側壁部312の間の部分に溝314を形成している。このように、溝314を形成していることで、ガラス板32の外周面と側壁部312の内周面とに浸入した液体が、ガラス板32と支持部311との間に毛細管現象で浸入するのを抑制している。次に、毛細管現象を抑制するための溝314について説明する。
図5、6に示すように、溝314は支持部311の上面の側壁部312と近接する部分に側壁部312に沿って形成されている。そして、接着部313に接着材料でガラス板32を貼り付けたとき、ガラス板32の辺縁部分が溝314の中間部に到達するように、溝314が形成されている。なお、本発明にかかる洗濯機Aの上蓋3では、溝314と側壁部312とが隣合うように形成されている。なお、上述の「中間部に到達するように」とは、ガラス板32の辺縁部分が溝314の幅の厳密な中央に位置させる必要があるということではなく、溝314の上方にガラス板32の辺縁部分が位置する様に位置させることを示している。
このように、溝314が形成されていることで、溝314に液体が流入するため、液体がガラス板32の支持部311と対向する面に接触しにくくなっている。また、ガラス板32と溝314の底面部分との間隙が大きくなっており、ガラス板32と溝314の底部
との隙間で発生する毛細管現象が発生しにくくなる。これにより、毛細管現象によって、ガラス板32と支持部311との隙間の奥に液体が浸入するのを抑制し、接着材料に液体が接触するのを抑制してガラス板32の剥離の発生を抑制することができる。
ガラス板32がフレーム31から剥離するのを抑制することで、洗濯機Aの密閉性の低下を抑えることができる。これにより、洗濯機Aの動作(例えば、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥等)を長期間に渡って安定して行うことが可能となる。
なお、本実施の形態では、接着部313を支持部311の溝314に近い位置に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、支持部311の中央付近に設けてもよいし、支持部311の開口窓310の近くに設けるようにしてもよい。すなわち、設計する際に、意匠上の理由や信頼性の理由などを考慮して適切な位置を設定すればよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる洗濯機の他の例について図面を参照して説明する。図7Aは本発明にかかる洗濯機の他の例に用いられる上蓋の拡大断面図である。図7Aに示す上蓋3Aは、フレーム31aの接着部313aが異なる以外は、上蓋3と同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
図7Aに示すように、フレーム31aは、支持部311より上方に突出した接着部313aを備えている。なお、接着部313aは、側壁部312に沿って延びる帯状に設けられている(形成されている)。そして、接着部313aの上面に粘着シート等の接着材料を配置するとともに、ガラス板32を接着する。このように、接着部313aを支持部311から突出した形状とすることで、支持部311とガラス板32との隙間を大きくして、毛細管現象を抑制して、液体と接着材料との接触を効果的に抑制することができる。
これ以外の特徴は、第1実施形態と同じである。
(変形例)
本発明にかかる洗濯機の他の例について図面を参照して説明する。図7Bは図7Aに示す上蓋の変形例の断面図である。図7Bに示すように、上蓋3A2は、接着部313aから溝314に向かって下方に傾斜する傾斜部311aを備えている。このような構成とすることで、液体が溜まる溝314の近傍での傾斜部311aとガラス板32との間の隙間を大きくすることができ、溝314に溜まった液体が毛細管現象で接着部313aに到達するのを抑制することができる。
(第3実施形態)
本発明にかかる洗濯機の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる洗濯機の他の例に用いられる上蓋の概略を示す斜視図である。図8に示す上蓋3Bは、フレーム31bの溝314bが異なる以外は、上蓋3と同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。また、図8では、便宜上、ガラス板の図示を省略している。
第1実施形態の上蓋3においてフレーム31は、平面視長方形状であり、その周囲全周に渡って側壁部312が形成されている。そして、支持部311の側壁部312の内周面と隣接する位置に、溝314が形成されている。そして、この溝314は側壁部312に沿って、一周閉じるように形成されている。このような構成の場合、側壁部312の内周面とガラス板32の外周面との隙間にある程度の液体が流入した場合でも、液体が接着部313の接着材料に到達(接触)するのを抑制できる。そして、自然乾燥で溝314に溜まった液体が蒸発することで、溝314に溜まった液体を処理することが可能である。
しかしながら、ガラス板32の外周面と側壁部312の内周面との間に多量の液体が流入すると、自然乾燥では十分に液体を処理することが困難であり、溝314に溜まった液体がガラス板32の支持部311と対向する面に接触する可能性が高くなる。これにより、毛細管現象で、ガラス板32と支持部311との隙間の奥に液体が浸入し接着部313の接着材料と接触する恐れがある。
本実施形態では、このような、自然乾燥での処理が困難な場合に備え、上蓋3Bを採用しているとともに、上面部材2の上面に、開口部21を囲むように排水路23を設けている。排水路23は、上蓋3の開閉時に上蓋3の内側に付着した水滴やこぼれた水、洗濯液等を排水するために設けられている。上蓋3Bのフレーム31bの溝314bは、上蓋3Bが起立するように開状態となったとき、液体が下方に向かって流れ、排水路23に流出するように開放端315を備えている。排水路23には、排水部へ排水するパイプを設けられている。このパイプを通って排水路23に流入した液体は、排水部に排水(処理)される。
詳しく説明すると、上蓋3Bを閉じて上面部材2の開口21を閉じたときに、溝314bが正面側の辺及び左右の辺に沿って形成されている。そして、左右の辺に沿った溝314bの背面側の端部は、液体が流出するように開放端315になっている。溝314bをこのように形成することで、上蓋3Bを開いて上面部材2の開口21を開いたとき、溝314bの開放端315が下方に開放しているため、溝314bに溜まった液体は、開放端315から排水路23に流れ出る。これにより、溝314bに多量の液体が流入しても、流入した液体を効率よく処理(排出)することができる。
上蓋3Bとしては、上面部材2の開口21を閉じたときに側壁部312の奥側の辺を構成する部分の左右両端部に、開放端315となるように切欠きを構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、上面部材2の開口21を閉じたときに側壁部312の奥側の辺を構成する部分に、一定の間隔で複数個の切欠きが形成されているようにしてもよい。このような構成とすることで、上蓋3Bで開口21を開いたときに、奥側の辺を構成する側壁部312に沿って形成された溝314bに溜まった液体も効率よく排水路23に流すことができる。これにより、多量の洗濯液が上蓋3bの上面に流れても、ガラス板32の剥離を抑制することができる。
また、図示は省略しているが、溝314bの奥側の辺(上蓋3Bを開いたときに下になる辺)を構成する側壁部312に沿って形成された部分の左右方向の中央(或いは略中央)に開放端が形成されるようにしてもよい。このような構成の場合、溝314bは上蓋3Bを開いたときに、開放端に向かって下方に傾斜するように構成されていることが好ましい。
なお、本実施形態では、上蓋が背面側を支点として手前側を上げ下げすることで開閉する構成であるため、前後方向に延びる溝の背面側に開放端を形成しているが、これに限定されない。例えば、上蓋を左右に回動させて開閉するような構成の場合、左右に延びる溝のうち上蓋を開状態としたとき下部(下流)に開放端を設けるようにしてもよい。すなわち、開放端は上蓋を開状態としたときに溝の下部(下流部)に設けられればよく、最下端(最下流部)に設けられるのが好ましい。
(第4実施形態)
本発明にかかる洗濯機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる洗濯機のさらに他の例に用いられる上蓋のハンドル部の近傍を拡大した斜視図である。図9に示す上蓋3Cは、フレーム31cの溝314cが異なる以外は、上蓋3と同
じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。図9の拡大表示では、便宜上ハンドル部33の図示を省略している。
図3に示すように、上面部材2では、洗濯機Aを正確にレベル調整して設置場所(床面)に設置した状態で上蓋3を閉じると、手前側、すなわち、ハンドル部33側が下方に傾斜する。そこで、本実施形態にかかる上蓋3Cでは、閉じたときの上蓋3Cの傾斜を利用して、溝314cに溜まった水を排出する構成となっている。
フレーム31cにおいて、外周を囲むように形成した側壁部312は、フレーム31cの強度を高めるための補強部材の役割を果たしている。この点において、側壁部312は、フレーム31cの外周を完全に取り囲むように形成されていることが好ましい。しかしながら、フレーム31cは、回動可能なようにハンドル部33を備えており、ハンドル部33の把手部331は上蓋3Cの上面側、係合部332は下面側に配置される。そのため、ハンドル部33を取り付けるために、フレーム31cのハンドル部33を取り付ける部分で、側壁部312が途切れる。
この側壁部312が途切れる部分では、支持部311に切欠き316が形成されている。そして、溝314cが切り欠き316と交差する部分が開放端315になっている。そして、フレーム31cでは、溝314cの開放端315から流れた液体が切り欠き316を介して排水路23に流入するような構造となっている。
上蓋3Cの下面(裏面)には、上述の上蓋3と同様に、上面部材2の開口部21を囲うように環状のパッキンが設けられている。また、パッキンは、上面の溝314cの内側に設けられ、上面部材2の排水路23よりも内側の上面部材2の上面に接触するようになっている。このようにすることで、上蓋3Cを閉じた状態では、開口部21は、密閉された状態となる。よって、排水路23に流入した液体は、上蓋3Cを閉じた状態でも、水槽5や洗濯兼脱水槽6に流れ込まない。排水路23には、排水部へ排水するパイプが連設されている。そのため、上蓋3Cを閉じた状態でも排水路23に流入した液体を排水部へ排水することができる。
このように、溝314c及び切り欠き316を形成することで、上蓋3Cが閉じた状態でも、側壁312の内周面とガラス板32の外周面の隙間に溜まった液体を効率よく処理(排出)することができる。
これ以外の特徴は、第3実施形態と同じである。
(第5実施形態)
本発明にかかる洗濯機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる洗濯機のさらに他の例に用いられる上蓋の概略を示す拡大断面図である。図10は中間部分を省略した断面図になっている。図10に示す上蓋3Dは、フレーム31dの溝314dが異なる以外は、上蓋3と同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
洗濯機の構成(上面部材の構成)によっては、傾斜して取り付けられる上蓋が水平又は略水平な状態で開口部を閉じるように取り付けられる場合もある。このような場合、上蓋が閉じられると、溝に溜まった液体が流れにくくなり、液体が接着材料に到達する恐れがある。
そこで、図10に示すように、上蓋3Dは水平状態のときに、溝314dの底面314
1が長手方向に傾斜するような勾配を有している。そして、溝314dの傾斜の下端部が開放端315となっている。上蓋3Dが水平状態で開口部21を閉じる構成の洗濯機において、上蓋3Dが閉じた状態で、液体がガラス板32の外周面と側壁部312の内周面との間に浸入しても、溝314dの傾斜下方に向かって流れる。そして、傾斜の下端部に形成された開放端315から排水路23に向かって流れる(排出される)。
上蓋3Dの下面(裏面)には、上述の上蓋3と同様に、上面部材2の開口部21を囲うように環状のパッキンが設けられている。また、パッキンは、上面の溝314dの内側に設けられ、上面部材2の排水路23よりも内側の上面部材2の上面に接触するようになっている。このようにすることで、上蓋3Dを閉じた状態では、開口部21は、密閉された状態となる。よって、排水路23に流入した液体は、上蓋3Dを閉じた状態でも、水槽5や洗濯兼脱水槽6に流れ込まない。排水路23には、排水部へ排水するパイプが連設されている。そのため、上蓋3Dを閉じた状態でも排水路23に流入した液体を排水部へ排水することができる。
このように、溝314dを形成することで、上蓋3Dが水平状態であっても、側壁312の内周面とガラス板32の外周面の隙間に溜まった液体を効率よく処理(排出)することができる。
本実施形態では、溝314dの傾斜方向を洗濯機Aの前後方向としているが、これに限定されない。例えば、左右方向に傾斜するようにしてもよい。なお、上蓋3Dが傾斜して取り付けられる場合を考慮して、傾斜方向に延びる溝314dの傾斜方向を、上蓋3Dが傾斜して取り付けられたときの上蓋3Dの傾斜方向と同じとすることで、液体の処理(排出)の効果を高めることができ、より好ましい。
これ以外の特徴は、第1実施形態と同じである。
(第6実施形態)
本発明にかかる洗濯機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる洗濯機のさらに他の例に用いられる上蓋に形成された溝を示す図である。図11に示す上蓋3Eは、フレーム31eの溝314eが異なる以外は、上蓋3と同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
図11に示すように、フレーム31eに形成されている溝314eには、底面部3141に複数個の貫通孔317が形成されている。貫通孔317が形成されていることで、溝314eに流入した液体は貫通孔317を通って、排水路23に流れる。
上蓋3Eの下面(裏面)には、上述の上蓋3と同様に、上面部材2の開口部21を囲うように環状のパッキンが設けられている。また、パッキンは、上面の溝314eの内側に設けられ、上面部材2の排水路23よりも内側の上面部材2の上面に接触するようになっている。このようにすることで、上蓋3Eを閉じた状態では、開口部21は、密閉された状態となる。よって、排水路23に流入した液体は、上蓋3Eを閉じた状態でも、水槽5や洗濯兼脱水槽6に流れ込まない。排水路23には、排水部へ排水するパイプが連設されている。そのため、上蓋3Eを閉じた状態でも排水路23に流入した液体を排水部へ排水することができる。
このように、溝314eの底面3141に貫通孔317を形成することで、上蓋3Eが閉じた状態であっても、側壁312の内周面とガラス板32の外周面の隙間に溜まった液体を効率よく処理(排出)することができる。
なお、本実施形態では、溝314eの底面3141に貫通孔317を構成しているが、この貫通孔317は、大きなものが1個であってもよいし、適当な間隔をあけて複数個、並んで形成されていてもよい。また、溝314eの底面がメッシュのような液体を透過する材料で形成されていてもよい。
上述の各実施形態において、上蓋の側壁部とガラス板との間に流入した液体は、排水路23に流入するようになっている。この排水路23は、排水部に接続される構成であるが、これに限定されるものではなく、上蓋を開いたときに、水槽に流入するような構成であってもよい。また、直接水槽に流入するように溝の開放端或いは貫通孔を形成していてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
本発明にかかる洗濯機は、本体と、前記本体の上部に取り付けられて洗濯物を出し入れする開口部を有する上面部材と、前記上面部材に回動可能に取り付けられて前記開口部を開閉する上蓋とを備え、前記上蓋は、枠体と、前記枠体の上面に接着される板状部材とを有しており、前記枠体は、平板状の支持部と、前記支持部の外周の少なくとも一部から突出した側壁部と、前記支持部と前記板状部材との間に配されて前記支持部と前記板状部材とを接着する接着部と、前記支持部の前記側壁部と前記接着部との間に溝とを有していることを特徴とする。
この構成によると、側壁部の内周面と板状部材の外周面との隙間に水や洗剤等が混入した水(洗濯液)が流入した場合でも、その液体は溝に流入する。これにより、板状部材と平板部との隙間に毛細管現象で接着部に浸入することを抑制することができる。これにより、接着部の配置されている接着材料(接着剤、両面テープなどの粘着シート等)に前記液体が接触し、接着力が低下するのを抑制することができる。また、接着材料の接着力の低下を抑制することで、前記板状部材が前記枠体から剥離することを抑制することができる。
さらに、前記板状部材と前記枠体との剥離を抑制することで、前記洗濯機の本体の内部と外部とが連通状態になるのを抑制することができる。これにより、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥の効率の低下を抑制することができ、長期間に渡って安定して動作することが可能である。
本発明にかかる洗濯機は、前記上蓋が開いたときに前記溝の下端となる部分が前記本体に向かって開放されていてもよい。
本発明にかかる洗濯機は、前記溝の底部には前記上蓋が閉じた状態のときに長手方向に下方に傾斜する勾配が付けられており、前記傾斜の下端部が前記本体に向かって開放されていてもよい。
本発明にかかる洗濯機は、前記溝の底部には前記上面部材に向かって貫通した貫通孔が1又は複数個形成されていてもよい。
本発明にかかる洗濯機は、前記接着部は、周囲よりも突出して形成されていてもよい。
本発明にかかる洗濯機は、前記支持部は平板状の中央部分に開口窓が形成されており、
前記板状部材は、前記枠体に接着したときに前記開口窓と厚み方向に重なる位置に反対側を視認できるような透光性を有する部分が形成されていてもよい。
本発明にかかる洗濯機は、前記上蓋は傾斜した形状を有しており、前記上蓋を閉じたときに前記溝の低くなる端部が前記上面部材に向けて開放されていてもよい。
〔付記事項〕
本発明の一態様に係る発明は、本体と、前記本体の上部に取り付けられて洗濯物を出し入れする開口部を有する上面部材と、前記上面部材に回動可能に取り付けられて前記開口部を開閉する上蓋とを備え、前記上蓋は、枠体と、前記枠体の上面に接着される板状部材とを有しており、前記枠体は、平板状の支持部と、前記支持部の外周の少なくとも一部から突出した側壁部と、前記支持部と前記板状部材との間に配されて前記支持部と前記板状部材とを接着する接着部と、前記支持部の前記側壁部と前記接着部との間に溝とを有している洗濯機を提供する。
この構成によると、側壁部の内周面と板状部材の外周面との隙間に水や洗剤等が混入した水(洗濯液)が流入した場合でも、その液体は溝に流入する。これにより、板状部材と平板部との隙間に毛細管現象で接着部に浸入することを抑制することができる。これにより、接着部の配置されている接着材料(接着剤、両面テープなどの粘着シート等)に前記液体が接触し、接着力が低下するのを抑制することができる。また、接着材料の接着力の低下を抑制することで、前記板状部材が前記枠体から剥離することを抑制することができる。
上記構成において、前記上蓋を開いたときに前記溝の下端となる部分が前記本体に向かって開放されていてもよい。
上記構成において、前記溝の底部には前記上蓋を閉じた状態のときに長手方向に下方に傾斜する勾配が付けられており、前記傾斜の下端部が前記本体に向かって開放されていてもよい。
上記構成において、前記溝の底部には前記上面部材に向かって貫通した貫通孔が1又は複数個形成されていてもよい。
上記構成において、前記接着部は、周囲よりも突出して形成されていてもよい。
上記構成において、前記支持部は平板状の中央部分に開口窓が形成されており、前記板状部材は、前記枠体に接着したときに前記開口窓と厚み方向に重なる位置に反対側を視認できるような透光性を有する部分が形成されていてもよい。
上記構成において、前記上蓋が傾斜した形状を有しており、前記上蓋を閉じたときに前記溝の低くなる端部が前記上面部材に向けて開放されていてもよい。