JP6537095B2 - 癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー - Google Patents

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Description

本発明は、癌の予後の予測診断用マーカー、具体的には、癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカーに関する。
p62タンパク質は、細胞内で傷害されたタンパク質を集めてオートファジーを行うことが解明されており、癌組織内においてp62タンパク質が蓄積することが知られている(非特許文献1〜5)。
従来、癌の再発性や転移性といった性質を調べるためには、通常、癌そのものを採取すること(生検)でしか行うことができなかった。しかしながら、生検を組織内に加えることにより、腫瘍を転移させる恐れがあり、好ましくないと考えられていた。
Cell, 2007; 131(6): 1149-1163 Cell, 2009; 137(6): 1062-1075 J. Cell Biol., 2011; 193(2): 275-284 Cancer Sci., 2012; 103(4): 760-766 Onco Targets Ther., 2013; 6: 883-888
このような状況下において、癌組織そのものを利用せずに、癌の再発や転移の予測診断が可能な手法の開発が望まれていた。
本発明は、上記状況を考慮してなされたもので、以下に示す、癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー、癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物、癌の再発及び/又は転移の予測診断用キット、癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する方法等を提供するものである。
(1)p62タンパク質を含むことを特徴とする、癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー。
(2)p62タンパク質を検出可能な物質を含む、癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物。
上記(2)の組成物において、p62タンパク質を検出可能な物質としては、例えば、p62タンパク質を染色可能な物質、又はp62タンパク質に対する抗体等が挙げられる。
(3)p62タンパク質を検出可能な物質を含む、癌の再発及び/又は転移の予測診断用キット。
上記(3)のキットにおいて、p62タンパク質を検出可能な物質としては、例えば、p62タンパク質を染色可能な物質、又はp62タンパク質に対する抗体等が挙げられる。
(4)p62タンパク質を検出可能な物質と、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料とを反応させてp62タンパク質を検出し、得られる結果を指標として癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する方法。
上記(4)の方法において、p62タンパク質を検出可能な物質としては、例えば、p62タンパク質を染色可能な物質、又はp62タンパク質に対する抗体等が挙げられる。
本発明によれば、癌組織に切り込まないで将来の癌の転移や再発の予測ができると同時に、p62タンパク質の性質から癌特定の物質にとらわれずに、癌組織や前癌組織病変の周囲の正常組織でのオートファジー(p62タンパク質の過剰蓄積)の現象の異常の観点から、癌の転移や再発の予測診断が可能な、予測診断用マーカーや、癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物、さらには、癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する方法等を提供することができる。
本発明によれば、癌組織や前癌組織病変の周囲の正常組織において、形態学的な異常な所見がみられない場合であっても、機能学的に(すなわち、上記正常組織におけるp62タンパク質の発現異常)、癌治療後の癌の再発や転移の可能性(予後の良し悪し)を予測することができる。そのため、経過観察において再発癌や転移癌の発症の有無により一層注力することができ、発症した場合には、いち早く治療にかかることができるため、再発癌や転移癌の発見・治療に対し、本発明は極めて有用なものである。
手術単独の検体と、化学放射線療法を併用した検体におけるp62タンパク質、p53タンパク質、ki67タンパク質の発現量の相関を示す図である。 p62およびp53の発現状態を示す図である。 腫瘍部分周辺の正常上皮におけるp62の発現状態と再発・転移との相関を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。なお、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.本発明の概要
頭頸部癌は、タバコやアルコール等酸化ストレスに暴露される領域である。そのため、細胞を酸化ストレスから守る、生体防御機構転写因子NF-E2-related Factor2 (Nrf2)が重要であり、Keap1というタンパク質が、細胞内のレドックスセンサーとして働き、Nrf2 活性を調整していることが分かっている。
p62タンパク質(以下、単に「p62」ともいう)は細胞内に過剰に蓄積すると、keap1と結合し、抗酸化タンパク質群の遺伝子発現が誘導される。癌細胞ではp62が過剰に蓄積し(オートファジー)、自身を酸化ストレスから守る生存戦略をとっている(Cell, 2007; 131(6): 1149-1163)。このp62の過剰蓄積は、肝細胞癌、前立腺癌等で報告されており、頭頸部癌での報告はなかったが、近年、口腔扁平上皮癌において、p62が細胞内に過剰に蓄積すると、化学放射線療法に対して抵抗性を示し、予後不良となるという報告がなされた(Inui et al, PlosOne, 2013)。そこで、本願発明者は、筑波大学歯科口腔外科において、口腔扁平上皮癌の手術検体(68例)に対してp62の免疫染色を行った。
その結果、正常上皮から癌になるにつれ、p62の発現が高いことが認められ、とりわけ、腫瘍部分や前癌部分の周辺の正常上皮にp62が発現している症例は、癌の再発と転移例が有意に多いという驚くべき事象が認められた(特に、口腔癌患者では、正常組織にp62が発現している場合、転移・再発のリスクが8倍高い。)。このことから、本発明者は、オートファジーの異常の観点から癌の転移や再発の予測診断が可能であることを見出し、本発明を完成した。
2.癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー
本発明の癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー(以下、「本発明の予測診断用マーカー」ともいう。)は、前述のとおり、p62を含むものである。被験動物の生体試料、特に、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料中に、p62の発現が認められる場合、その発現が認められない場合に比べて、当該被験動物において、当該癌が再発及び/又は転移する可能性が高い(再発及び/又は転移のリスクが高い)と予測・判断することができる。
本発明において、再発及び/又は転移の予測診断の対象となる癌(癌種)は、特に限定はされず、全ての癌種を予測診断の対象とすることができ、例えば、口腔癌、咽頭癌、食道癌、肺癌、子宮頸癌等が具体的に挙げられ、中でも、口腔癌の場合は、再発及び/又は転移の可能性をより高く(より高い精度で)予測診断することができ、好ましい。
本発明において、癌組織とは、上皮組織由来の悪性腫瘍を意味し、前癌組織とは、正常組織よりも癌を発生しやすい形態学的に変化した組織を意味するものである。またこれら癌組織や前癌組織の周辺の正常組織とは、癌の外科的切除の際に安全域を設けて切除される非癌組織および非前癌組織を意味するものであり、例えば、正常上皮組織、正常腺組織等が挙げられる。
3.癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物
本発明の癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物(以下、「本発明の予測診断用組成物」ともいう。)は、前述のとおり、p62を検出可能な物質を含むことを特徴とする組成物(医薬組成物)である。
なお、本発明は、p62を検出可能な物質を用いることを特徴とする癌の再発及び/又は転移の予測診断方法や、癌の再発及び/又は転移の予測診断用の薬剤を製造するための当該p62タンパク質を検出可能な物質の使用や、癌の再発及び/又は転移の予測診断をするための当該p62を検出可能な物質の使用等を含むものである。
(1) p62を検出可能な物質
p62を検出可能な物質としては、例えば、p62を染色可能な物質、及びp62に対する抗体等が挙げられ、これらの組合せも使用し得る。
p62を染色可能な物質は、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料中に存在するp62を、公知の検出手段・検出手法(例えば、免疫組織化学染色、ウェスタンブロッティング等)を用いて検出可能な物質であればよく、特に限定はされないが、例えば、抗体等が挙げられる。p62を染色可能な物質は、後述するp62に対する抗体と共に、免疫染色法(抗体染色法)による染色において用いることもできる。
また、p62に対する抗体(抗p62抗体)は、以下のようにして作製することができる。
(A) ポリクローナル抗体の作製
(i) 抗原及びその溶液の調製
抗p62抗体を作製するに当たり、まず、免疫源(抗原)として用いるタンパク質を調製又は入手することが必要である。
抗原タンパク質としては、精製p62を用いることができるが、これに限定はされず、例えば、p62のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつp62と同等の活性を有するタンパク質を用いることもできる。なお、p62としては、例えば哺乳動物由来のp62、具体的にはヒト由来のp62、マウス由来のp62又はラット由来のp62等を用いることができる。ここで、ヒト及びマウス由来のp62の塩基配列及びアミノ酸配列情報は、それぞれ以下のアクセッション番号から入手可能である。
<ヒト由来のp62>
・GenBankのアクセッション番号:M88108.1(塩基配列;配列番号1),AAA59990.1(アミノ酸配列;配列番号2)
<マウス由来のp62>
・GenBankのアクセッション番号:U17961.1(塩基配列;配列番号3),AAA86693.1(アミノ酸配列;配列番号4)
抗原となる精製p62の調製方法としては、限定はされないが、例えば、適当な宿主細胞(ヒト由来の培養繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、酵母等)の形質転換体を用いてp62を産生し、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いて、調製する方法が挙げられる。
次に、得られた精製p62を、緩衝液に溶解させて抗原溶液を調製する。その際、必要に応じて、免疫を効果的に行うためのアジュバントを添加してもよい。アジュバントとしては、例えば、市販のフロイント完全アジュバントやフロイント不完全アジュバント等を用いることができる。これらアジュバントは、1種のみで用いても2種以上を併用してもよく、限定はされない。
(ii) 免疫、及び抗血清の採取
免疫は、上記精製p62を含む溶液を、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に投与することにより行う。投与は、主として静脈内、皮下、腹腔内に注入して行う。
抗原溶液の1回当たりの投与量は、限定はされず、例えば、動物1匹に対して精製p62が2〜500μgとなる量とすることが好ましく、より好ましくは10〜100μgである。
投与間隔は、限定はされず、例えば、数日〜数週間間隔であることが好ましく、より好ましくは2〜3週間間隔である。また投与回数は、例えば、2〜10回である。
上記免疫により得られる血清(抗血清)の採取は、限定はされないが、例えば、最終投与の日から1〜28日後に行うことが好ましく、より好ましくは2〜14日後である。抗血清の採取方法は、常法に従い、免疫した動物の血液から採取することができる。
(iii) 目的の抗血清の選別
免疫した動物のそれぞれから採取した抗血清の中から、目的の抗血清、すなわち抗p62抗体を含む抗血清をスクリーニングする。
スクリーニング方法は、限定はされないが、例えば、採取した抗血清と、抗原としての精製p62や組換えp62(ヒト由来の培養繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、酵母等で産生されたもの)又はそれらの変異型酵素とを用い、公知の免疫検定法(immunoassay)を、その常法に従い、利用して行うことができる。免疫検定法としては、標識化免疫測定法や免疫比濁法(TIA)があるが、なかでも前者が好ましく、例えば、ELISA等の酵素免疫検定法(EIA)のほか、放射線免疫検定法(RIA)や蛍光免疫検定法(FIA)等が好ましく挙げられる。また、標識化免疫測定法としては、他の分離方法との組合せを利用したものとして、ウェスタンブロット法(電気泳動法との組合せ)等も好ましく挙げられる。なお、ウェスタンブロット法の場合は、検出対象となるタンパク質サンプルを熱及び界面活性剤により変性させて用いるため、スクリーニング法における抗原は変異型酵素となる。
上記スクリーニングによる目的の抗血清に含まれる、抗p62抗体は、通常、ポリクローナル抗体である。当該抗体の精製を必要とする場合は、例えば、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の公知の精製方法を、1種のみ又は2種以上組み合わせて、適宜採用し実施すればよい。
当該抗p62抗体が特異的に結合し得る(認識し得る)p62中の反応部位は、特に限定はされない。
(B) モノクローナル抗体の作製
(i) 抗原及びその溶液の調製
抗原及びその溶液の調製は、上記ポリクローナル抗体の作製の場合と同様に行うことができる。
(ii) 免疫、及び抗体産生細胞の採取
免疫方法や、上記抗原溶液を用いた投与量、投与間隔及び投与回数は、上記ポリクローナル抗体の作製の場合と同様の方法及び条件が採用できる。
上記免疫により得られる抗p62抗体を産生する細胞(抗体産生細胞)の採取は、限定はされないが、例えば、最終投与の日から1〜14日後に行うことが好ましく、より好ましくは2〜4日後である。
抗体産生細胞としては、例えば、脾臓細胞、リンパ節細胞(特に、局所リンパ節細胞)、末梢血細胞等が好ましく挙げられるが、なかでも脾臓細胞や局所リンパ節細胞(例えば、膝下リンパ節細胞等)がより好ましい。
(iii) 細胞融合
採取した抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行うことにより、融合細胞(ハイブリドーマ)を得ることができる。
ミエローマ細胞としては、例えば、マウス等の哺乳動物において一般に入手可能な株化細胞を用いることができる。詳しくは、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミン含有培地)で生育できないが、抗体産生細胞と融合した状態では生育できる性質の株化細胞が好ましい。具体的には、マウスミエローマ細胞としては、例えば、PAI、P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、NS-Iなどを用いることができる。
上記細胞融合は、例えば、血清を含まないRPMI-1640培地等の動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合して融合反応させることにより行う。抗体産生細胞とミエローマ細胞との混合比は、例えば5:1である。
融合反応は、一般には、細胞融合促進剤の存在下で行うことが好ましく、当該促進剤としては、平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレングリコール等を使用することができる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
融合反応後の細胞は、例えばHAT選択培地による培養を行う。上記培養後、HAT選択培地での増殖が認められる細胞が融合細胞(ハイブリドーマ)となる。
(iv) 目的のハイブリドーマの選別、及びそのクローニング
上記培養により得られたハイブリドーマから、目的のハイブリドーマ、すなわち抗p62抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする。具体的には、培養上清中に、目的とする抗p62抗体が存在するものをスクリーニングする。
スクリーニング方法は、限定はされないが、例えば、培養上清の一部を採取し、抗原として精製p62や組換えp62(ヒト由来の培養繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、酵母等で産生されたもの)又はそれらの変異型酵素を用いて、公知の免疫検定法(immunoassay)を、その常法に従い、利用して行うことができる。免疫検定法としては、例えばELISA等の酵素免疫検定法(EIA)のほか、放射線免疫検定法(RIA)や蛍光免疫検定法(FIA)等が好ましく挙げられる。また、ウェスタンブロット法(電気泳動法との組合せ)等も好ましく挙げられる。なお、ウェスタンブロット法の場合は、検出対象となるタンパク質サンプルを熱及び界面活性剤により変性させて用いるため、スクリーニング法における抗原は変異型酵素となる。
上記スクリーニング後の目的のハイブリドーマの培養上清に含まれる抗p62抗体は、ハイブリドーマのクローニング前に得られている抗体であるが、単一の分子からなる抗体(モノクローナル抗体)であってもよく、限定はされない。
当該抗p62抗体が特異的に結合し得る(認識し得る)p62中の反応部位は、特に限定はされない。
上記スクリーニングによる目的のハイブリドーマのクローニング、すなわちモノクローナル抗体産生細胞株の樹立は、一般には、限界希釈法を用いた培養等により、1細胞由来のコロニーを選択することによって行うことができる。
(v) モノクローナル抗体の採取
上記クローニングにより得られたハイブリドーマから、モノクローナル抗体を採取する方法としては、限定はされないが、一般には、細胞培養法もしくは腹水形成法等を採用することができる。
細胞培養法では、クローニングにより得られたハイブリドーマを、例えば、動物細胞培養用培地中で、37℃、5%CO2の条件下で、7〜14日間培養し、その後の培養上清から目的のモノクローナル抗体を採取することができる。
腹水形成法では、例えば、細胞融合の際に用いたミエローマ細胞の由来元である哺乳動物と同種系列の動物の腹腔内に、クローニングにより得られたハイブリドーマを、動物1匹当たり106個程度投与して、当該ハイブリドーマを大量増殖させ、投与してから7〜14日間後に採取した腹水又は血清から、目的のモノクローナル抗体を採取することができる。
細胞培養法及び腹水形成法のいずれにおいても、モノクローナル抗体の採取時又は採取後に当該抗体の精製を必要とする場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の公知の精製方法を、1種のみ又は2種以上組み合わせて、適宜採用し実施することができる。
(2) p62タンパク質を検出可能な物質の配合割合
本発明の予測診断用組成物において、p62タンパク質を検出可能な物質(p62を染色可能な物質、抗p62抗体、またはこれらの組合せ等)の配合割合は、特に限定はされないが、例えば、1〜100重量%が好ましく、より好ましくは10〜100重量%である。
(3) その他の成分
本発明の予測診断用組成物は、p62タンパク質を検出可能な物質以外にも、本発明の効果が著しく損なわれない範囲で、他の構成成分を含んでいてもよく、限定はされない。例えば、1次抗体検出用試薬、発色基質等を含むことができる。
(4) p62の検出
p62の検出は、p62タンパク質を検出可能な物質と、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料とを反応させて、p62を検出することにより行うことができる。
具体的なp62の検出手法は、公知の検出手法、例えば、免疫検定法、免疫染色法等を、その常法に従い、利用することができる。
例えば、免疫検定法としては、標識化免疫測定法(免疫染色法も含まれる)や、免疫比濁法(TIA)があるが、なかでも前者が好ましく、例えば、ELISA等の酵素免疫検定法(EIA)のほか、放射線免疫検定法(RIA)や蛍光免疫検定法(FIA)等が好ましく挙げられる。また、標識化免疫測定法としては、他の分離方法との組合せを利用したものとして、ウェスタンブロット法(電気泳動法との組合せ)等も好ましく挙げられる。これらの中でも、ELISA及び/又はウェスタンブロット法が好ましい。また、1種又は2種以上の抗p62モノクローナル抗体を用い、2種以上の免疫検定法を組み合わせて検出を行ってもよい。
(5) 癌の再発及び/又は転移が予測される状態の検出(評価)
本発明においては、上記のようにして検出したp62の検出結果に基づいて、癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出(評価)することができる。
すなわち、本発明は、p62を染色可能な物質と、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料とを反応させてp62タンパク質を検出し、得られる結果を指標として癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する方法を含む。
ここで、「癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する」とは、現状発症している癌について、今後(予後において)再発癌や転移癌が発症する可能性が有意に高い、という状態を検出することを意味する。特に、口腔癌については、正常組織(具体的には正常上皮)にp62の発現が検出された場合、転移・再発のリスクが、検出されなかった場合に比べて約8倍高いことが、本発明者により確認されている。したがって、癌組織又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料において、p62の発現が検出された場合は、現状発症している癌が治癒した後においても、転移・再発の可能性を考慮し、十分な経過観察が必要である、と評価することができる。
4.癌の再発及び/又は転移の予測診断用キット
本発明は、前記3項で述べた予測診断用組成物(特に、p62タンパク質を検出可能な物質)を含む、癌の再発及び/又は転移の予測診断用キットを含む。
当該キットにおいて、p62タンパク質を検出可能な物質を含む場合は、当該物質は、その安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮して、例えば、粉末の状態又は溶液の状態(純水、バッファー、生理食塩水などに溶かした状態)で、冷蔵又は冷凍(-30℃〜-80℃)の条件下で保存しておいてもよい。特に、当該キットが、抗p62抗体を含む場合は、当該抗体は、安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮して、溶解した状態で備えられていることが好ましい。
当該キットは、上記のp62タンパク質を検出可能な物質以外に、他の構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、例えば、ELISAやウェスタンブロットに用い得る1次抗体検出用試薬及び発色基質等を挙げることができる。
当該キットは、構成要素として、少なくとも上記のp62タンパク質を検出可能な物質を備えているものであればよい。従って、癌の再発及び/又は転移の予測診断に必須となる構成要素の全てを、p62タンパク質を検出可能な物質と共に備えているものであってもよいし、そうでなくてもよく、特に限定はされない。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<手順>
筑波大学歯科口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌患者の手術検体(68例)を使用した。2μm厚の未染スライドを、脱パラフィン後クエン酸+マイクロウェーブにて抗原賦活処理し、0.3%H2O2+メタノールQuenching処理する。Blockingの後、抗p62タンパク質抗体(Anti-SQSRM1/ p62 antibody (ab56416);Abcam社製)にて1次抗体処理し、2次抗体処理後(vecta stain kit;Vector Labs社製)、アビジンビオチン複合体処理 (vecta stain kit;Vector Labs社製)し、DAB(Dako社製)で発色させた。ヘマトキシレンにて染色後マウントした。
<結果>
手術検体(68例)のうち、手術単独の検体(45例)と、化学放射線療法を併用した検体(23例)と間に、p62タンパク質、p53タンパク質、ki67タンパク質の各タンパク質の発現量の有意差は認められなかった(図1)。
正常上皮から癌の領域になるに従い、p62の発現は高くなるところ、異形上皮において、p53タンパク質は、基底細胞層から癌に浸潤していく細胞に多く染色がみられたが、p62タンパク質は、有棘細胞層に多く染色がみられた。異形上皮での陽性例は、p53タンパク質が18/68例(26.4%)、p62タンパク質が40/68例(58.8%)であった(図2)。
正常上皮から癌の領域になるにつれ、p62の発現も高く、p53の発現と相関していた。
腫瘍部分周辺の正常上皮にp62タンパク質が発現している症例は、再発癌と転移癌の発症例が有意に多かった(図3)。このことから、オートファジー(p62タンパク質の過剰蓄積)の現象の異常の観点から、癌の転移・再発の予測が可能であることが分かった。

Claims (7)

  1. 癌組織周辺又は前癌組織周辺の正常組織中のp62タンパク質を含むことを特徴とする、癌の再発及び/又は転移の予測診断用マーカー。
  2. 癌組織周辺又は前癌組織周辺の正常組織中のp62タンパク質を検出可能な物質を含む、癌の再発及び/又は転移の予測診断用組成物。
  3. 前記検出可能な物質が、前記p62タンパク質を染色可能な物質、又は前記p62タンパク質に対する抗体である、請求項2記載の組成物。
  4. 癌組織周辺又は前癌組織周辺の正常組織中のp62タンパク質を検出可能な物質を含む、癌の再発及び/又は転移の予測診断用キット。
  5. 前記検出可能な物質が、前記p62タンパク質を染色可能な物質、又は前記p62タンパク質に対する抗体である、請求項4記載のキット。
  6. p62タンパク質を検出可能な物質と、癌組織周辺又は前癌組織周辺の正常組織由来の生体試料とを反応させてp62タンパク質を検出し、得られる結果を指標として癌の再発及び/又は転移が予測される状態を検出する方法。
  7. 前記検出可能な物質が、p62タンパク質を染色可能な物質、又はp62タンパク質に対する抗体である、請求項6記載の方法。
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