JP6535956B2 - 処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維を処理する処理装置に関する。
従来、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維を構成する各フィラメントが束状に束ねられて形成された一方向繊維束を開繊して拡幅することにより一方向に引き揃えた扁平な状態の帯状の繊維束に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン系樹脂や脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂などのマトリックス樹脂を含浸させた一方向プリプレグが提供されている。高品質の一方向プリプレグを形成するために一方向繊維束を精度よく開繊する必要があり、一方向繊維束を開繊する種々の技術が提案されている。例えば特許文献1,2には、一方向繊維束を長手方向に走行させながら、走行方向に対して交差する方向に一方向繊維束に気流を通過させることによって、一方向繊維束を幅方向に広げて開繊する技術が開示されている。
また、開繊された帯状の一方向繊維束に樹脂を含浸する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献3には、開繊された帯状の一方向繊維束を、樹脂フィルムが重ね合わされた状態でニップロールを通過させて加圧することにより、一方向繊維束に樹脂を含浸する技術が開示されている。また、例えば特許文献4には、開繊された帯状の一方向繊維束と樹脂フィルムとを重ね合せてホットローラ間に通すことにより、一方向繊維束に樹脂を含浸する技術が開示されている。
国際公開第97/41285号公報(第13頁〜第14頁、図2、要約書など) 特開平11−200136号公報(段落0025、図1、要約書など) 特開2001−288639号公報(段落0058〜0060、図1など) 特開平10−292238号公報(段落0053など)
特許文献1,2に開示されている技術では、気流により一方向繊維束を拡幅して開繊するため、開繊する際に一方向繊維束に強い張力を作用させることができない。したがって、安定して高速に一方向繊維束を処理するのが困難であった。また、特許文献3,4に開示されている含浸技術において、樹脂を溶融させて一方向繊維束に含浸させる処理時間の短縮が要望されている。また、一方向繊維束に樹脂を含浸させる際に、強化繊維を構成する各フィラメントと樹脂との接合状態を改善させる技術が要望されている。さらに、強化繊維を構成する各フィラメントとCu,Al、Fe等の金属とを容易に接合する技術の開発も望まれている。
この発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、強化繊維を安定して高速に処理することができる技術を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明にかかる処理装置は、強化繊維を処理する処理装置において、支持面を有する支持体と、押圧面を有する押圧体と、前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、樹脂部材と前記強化繊維とが重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記樹脂部材と前記押圧体とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記押圧体が外部からの熱を伝えにくい遮蔽機能を有することを特徴としている。
このような構成によれば、支持体の支持面と、該支持面に直交する押圧方向に超音波振動する押圧体の押圧面との間に強化繊維および樹脂部材を挟んだ状態で、押圧面による強化繊維の押圧箇所を強化繊維の長手方向に沿って移動させて強化繊維および樹脂部材を処理(例えば、含浸処理)する際に、超音波振動エネルギーが印加されることにより、支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に発生する熱エネルギーが、押圧体の遮蔽機能によって押圧体に逃げることが防止され、発生した熱エネルギーが支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に閉じ込められるため、支持面と押圧面との間に挟まれた部分の強化繊維および樹脂部材を効率よく昇温させて溶着させることができる。ここで、押圧体の遮蔽機能は、押圧体自体を熱伝導率が例えば10W/(m・K)よりも小さい材質により形成することにより発揮できる。
また、前記押圧体への熱の遮蔽機能を発揮する押圧体側遮蔽手段を備えるとよい。この押圧体側遮蔽手段は、前記押圧面に低熱伝導率の素材により形成された押圧体側コーティング層であってもよく、前記強化繊維と前記押圧体の前記押圧面との間に配設される低熱伝導率の押圧体側フィルム材を備えるものであってもよい。これらの場合にも、超音波振動により発生した熱エネルギーの押圧体への伝導を防止して支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に熱エネルギーを効果的に閉じ込め、強化繊維および樹脂部材を効率よく昇温させて溶着させることができる。
このとき、押圧体側コーティング層や押圧体側フィルム材の材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)などの熱伝導率の小さいもの、あるいは、ガラス転移点や融点の高いものを選択するのが望ましい。
また、本発明にかかる処理装置は、強化繊維を処理する処理装置において、支持面を有する支持体と、押圧面を有する押圧体と、前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、樹脂部材と前記強化繊維とが重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記樹脂部材と前記押圧体とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記支持体が外部からの熱を伝えにくい遮蔽機能を有することを特徴としている。
このような構成によれば、支持体の支持面と、該支持面に直交する押圧方向に超音波振動する押圧体の押圧面との間に強化繊維および樹脂部材を挟んだ状態で、押圧面による強化繊維の押圧箇所を強化繊維の長手方向に沿って移動させて強化繊維および樹脂部材を処理(例えば、含浸処理)する際に、超音波振動エネルギーが印加されることにより、支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に発生する熱エネルギーが、支持体の遮蔽機能によって押圧体に逃げることが防止され、発生した熱エネルギーが支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に閉じ込められるため、支持面と押圧面との間に挟まれた部分の強化繊維および樹脂部材を効率よく昇温させて溶着させることができる。ここで、支持体の遮蔽機能は、支持体自体を熱伝導率が例えば10W/(m・K)よりも小さい材質により形成することにより発揮できる。
また、前記支持体への熱の遮蔽機能を発揮する支持体側遮蔽手段を備えるとよい。この支持体側遮蔽手段は、前記支持面に低熱伝導率の素材により形成された押圧体側コーティング層であってもよく、前記強化繊維と前記支持体の前記支持面との間に配設される低熱伝導率の支持体側フィルム材を備えるものであってもよい。これらの場合にも、超音波振動により発生した熱エネルギーの支持体への伝導を防止して支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に熱エネルギーを効果的に閉じ込め、強化繊維および樹脂部材を効率よく昇温させて溶着させることができる。
このとき、支持体側コーティング層や押圧体側フィルム材の材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)などの熱伝導率の小さいもの、あるいは、ガラス転移点や融点の高いものを選択するのが望ましい。
また、前記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に挟まれて処理された後の前記強化繊維を前記支持面に対して押圧する押え部材をさらに備えるとよい。
このように構成すると、押圧体から超音波振動が印加されることで処理(例えば、含浸処理)された強化繊維を、押え部材により成形してその形状を維持することができる。また、処理後の強化繊維の形状を押え部材により適切な形状に成形することができる。
また、前記押え部材と、前記支持面から予め設定された間隙をあけて配置されているとよい。
このように構成すると、処理後の強化繊維の成形状態を維持するのに適切な間隙を支持面からあけて押え部材が配置された状態で、押え部材により処理後の強化繊維を支持面に対して押圧することにより、より確実に処理後の強化繊維の成形状態を押え部材により維持することができる。また、処理後の強化繊維の厚みの目標値などに応じて予め設定された所定距離を支持面からあけて押え部材が配置された状態で、処理後の強化繊維を支持面に対して押圧することにより、処理後の強化繊維の厚みを精度よく調整することができる。
また、前記押え部材は、前記強化繊維を前記支持面に対して所定の押圧力で押圧するとよい。
このように構成すると、処理対象である強化繊維の太さや、処理後の強化繊維の幅の目標値などに応じて予め設定された所定の加圧力で強化繊維を押圧しながら処理することで、処理後の強化繊維の幅を精度よく調整することができる。
また、前記押え部材を冷却する押え部材用冷却手段を備えるとよく、前記支持体を冷却する支持体用冷却手段をさらに備えてもよい。
このように構成すると、押え部材用冷却手段により冷却された押え部材、支持体用冷却手段により冷却された支持体により、処理後の強化繊維を迅速に冷却して安定させることができる。
また、前記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に挟まれて処理される前の前記強化繊維を加熱する加熱手段をさらに備えるとよい。
このように構成すると、加熱手段により予備加熱された強化繊維に良好に処理することができ、例えば含浸処理を行う場合には、超音波振動による熱エネルギーにより表面が溶融した樹脂部材と強化繊維との密着性をより向上させることができる。
また、前記押圧体の前記押圧面が、前記支持面から所定距離をあけて配置されているとよい。
このように構成すると、処理対象である強化繊維の太さや、処理後の強化繊維の厚みの目標値などに応じて予め設定された所定間隔を支持体からあけて押圧面を配置した状態で強化繊維を処理(例えば、含浸処理)することで、処理後の強化繊維の厚みを精度よく調整することができる。
また、前記押圧体は、前記強化繊維を前記支持体の前記支持面に対して所定の加圧力で押圧するとよい。
このように構成すると、処理対象である強化繊維の太さや、処理後の強化繊維の幅の目標値などに応じて、予め設定された所定の加圧力で押圧体により強化繊維を押圧しながら処理(例えば、含浸処理)することで、処理後の強化繊維の幅を精度よく調整することができる。
また、前記移動手段は、前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、金属部材と前記樹脂部材と前記強化繊維とが順次重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維、前記樹脂部材および前記金属部材と前記押圧体とを相対的に移動させるものであるとよい。
このように構成すると、金属部材と強化繊維との間の樹脂部材を溶融して、強化繊維と金属部材とを容易に溶着させることができる。
また、前記金属部材の前記樹脂部材との対向面は、予め粗化されているとよい。
このように構成すると、金属部材の粗化された面に、溶融した樹脂部材の樹脂が溶着し易くなり、強化繊維と金属部材とをより強固に溶着させることができる。
また、前記金属部材の粗化された面に予め樹脂が溶着されて樹脂層が形成されており、前記移動手段は、前記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に、前記樹脂層を前記強化繊維側に配置した状態で前記金属部材および前記強化繊維が重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記金属部材と前記押圧体とを相対的に移動させるのが望ましい。
このように構成すると、粗化面に樹脂層を予め形成した金属部材に、樹脂部材を介在させたままで強化繊維を強固に溶着させることができる。
本発明によれば、支持体の支持面と、該支持面に直交する押圧方向に超音波振動する押圧体の押圧面との間に強化繊維を挟んだ状態で、押圧面による強化繊維の押圧箇所を移動させて強化繊維を処理する際に、押圧体または支持体の熱を遮蔽する遮蔽機能により、超音波振動によって発生した熱エネルギーを支持面と押圧面との間に挟まれた強化繊維および樹脂部材に閉じ込めることができるため、支持面と押圧面との間に挟まれた部分の強化繊維および樹脂部材を効率よく昇温させて確実に溶着させることができる。
本発明の第1実施形態にかかる処理装置の側面図である。 図1の処理装置の要部の正面図である。 図2の一部の斜視図である。 本発明の第2実施形態にかかる処理装置を示す側面図である。 本発明の第3実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。 本発明の第4実施形態にかかる処理装置において処理される一方向繊維束および樹脂シートを示す横断面図である。 本発明の第5実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。 本発明の第6実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。 図8の処理装置の側面図である。 図9の処理装置の変形例を示す斜視図である。 本発明の第7実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。 本発明の第8実施形態にかかる処理装置の側面図である。 本発明の第9実施形態にかかる処理装置の一部の側面図である。 図8の一部の拡大図であり、(a),(b)はそれぞれの異なるパターンを示す。 図8の一部の他の例の拡大図であり、(a),(b)はそれぞれの異なるパターンを示す。 第9実施形態の変形例にかかる処理装置の一部の側面図である。 本発明の第10実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかる処理装置について図1ないし図3を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる処理装置の側面図、図2は図1の処理装置の要部の正面図、図3は図2の一部の斜視図である。なお、図3では強化繊維である一方向繊維束Bの下面側に配置される樹脂フィルムSと支持体2とが図示省略されている。また、図1ないし図3では、本発明にかかる主要な構成のみが図示されており、説明を簡易なものとするために、その他の構成は図示省略されている。また、後の説明で参照する図4ないし図12についても、図1ないし図3と同様に主要な構成のみが図示されているが、以下の説明においてはその説明は省略する。
(処理装置)
図1および図2に示す処理装置1は、支持体2の支持面21と、支持面21に直交する押圧方向である矢印Z方向に超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に一方向繊維束Bを挟んだ状態で、一方向繊維束Bを長手方向である矢印Y方向に走行させることにより押圧面35aによる一方向繊維束Bの押圧箇所を一方向繊維束Bの長手方向である矢印Y方向に沿って移動させて、一方向繊維束Bに長手方向である矢印Y方向に沿って押圧面35aから押圧方向である矢印Z方向の超音波振動を印加することによって、一方向繊維束Bを長手方向である矢印Y方向に沿って連続的に開繊するものである。
また、この実施形態では、処理装置1は、支持面21と押圧面35aとの間に、一方向繊維束Bを樹脂フィルムS(本発明の「樹脂部材」に相当)と重ねあわせて配置した状態で一方向繊維束Bおよび樹脂フィルムSを長手方向である矢印Y方向に走行させることによって、一方向繊維束Bの両面それぞれに重ね合わせた樹脂フィルムSを超音波振動により溶融させて含浸させながら一方向繊維束Bを開繊する。したがって、樹脂フィルムSが重ね合された一方向繊維束Bが処理装置1により処理されることによって、開繊された一方向繊維束Bを構成する各フィラメントが所定幅で一方向に引き揃えられた扁平な状態の帯状の繊維束B*(図3参照)に樹脂フィルムSの樹脂が含浸されて成る一方向プリプレグPが形成される。
処理装置1は、支持体2と、一方向繊維束Bに押圧方向である矢印Z方向の超音波振動を印加する共振器31を備えるヘッド部3と、支持手段33に支持された共振器31を駆動して押圧方向である矢印Z方向に往復移動させる加圧手段4と、その両面に樹脂フィルムSが重ねあわされた一方向繊維束Bをステージ2とヘッド部3との間に供給する供給手段5と、処理装置1の各部の制御を行う制御装置(図示省略)とを備えている。なお、強化繊維としての一方向繊維束Bは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等を構成する各フィラメントが束状に束ねられることにより形成され、マトリックス樹脂を成す樹脂フィルムSは、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン系樹脂や脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂により形成される。また、図3に示すように、樹脂フィルムSは、その幅Wsが一方向繊維束Bが開繊されて形成された帯状の繊維束B*の幅Wbよりも若干幅広のテープ状に形成されている。
支持体2は、ヘッド部3の下方に配置され、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた状態の一方向繊維束Bをヘッド部3が備えるホーン35(本発明の「押圧体」に相当)の押圧面35aとの間に挟み込む平面状の支持面21を有している。なお、支持体2は、チタン、チタン合金、鉄、ステンレス、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金などの種々の金属材料、ガラス、セラミックス、樹脂など、適宜、種々の材料により形成される。
また、支持体2にヒータ(図示省略)が設けられていてもよい。このようにすると、ヒータにより支持体2の本体を所定温度に昇温しておくことで、超音波振動エネルギーを印加された樹脂フィルムSが発熱した際に、樹脂フィルムSと支持体2との間に生じる熱勾配を緩和することができるので、発熱した樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽することができる。このように、支持体2に設けられたヒータを、支持体2側への伝熱を遮蔽する本発明における支持体側遮蔽手段として機能させることができる。また、ヒータにより支持体2の本体を所定温度に昇温しておくことで、ホーン35の押圧面35aから樹脂フィルムSに印加された超音波振動エネルギーにヒータの熱エネルギーをかさ上げすることもできる。このようにすれば、樹脂フィルムSへの超音波振動エネルギーの過剰な供給を抑制しつつ、温度を十分に上昇させて樹脂フィルムSを確実に溶融させることができる。
ヘッド部3は、共振器31に押圧方向である矢印Z方向への超音波振動を印加する振動子32(振動手段)がその一方端に接続された共振器31と、共振器31を支持する支持手段33とを備え、振動子32が共振器31(ホーン35)を超音波振動させることにより押圧面35aから一方向繊維束B(樹脂フィルムS)に超音波振動が印加される。
具体的には、共振器31は、制御装置に制御された振動子32が生成する超音波振動に共振してその中心軸の方向(押圧方向)である矢印Z方向に超音波振動するものであって、ブースタ34とホーン35とを備え、ブースタ34の他方端とホーン35の一方端とが、互いの中心軸が同軸になるように無頭ねじにより連結されている。
ブースタ34は、この実施形態では、例えば図2中の矢印Z方向におけるそのほぼ中央の位置と、その両端位置とが最大振幅点となるように、共振周波数の一波長の長さに形成されている。このとき、矢印Z方向において各最大振幅点から1/4波長離れた2つの位置が、それぞれブースタ34の第1および第2最小振幅点に相当する。また、ブースタ34は、その断面形状が円形状である円柱状に形成されている。そして、ブースタ34の一方端に、ブースタ34の中心軸と同軸になるように振動子32が無頭ねじにより接続されている。
また、ブースタ34の第1および第2最小振幅点に相当する位置の外周面には、それぞれの周方向に沿って凹状の溝が形成されることによりブースタ34(共振器31)が支持手段33に把持されるための被把持部が形成されている。なお、この実施形態では、ブースタ34の中心軸にほぼ直交する断面形状が八角形状となるように被把持部が形成されているが、その断面形状が円形状やその他の多角形状となるように被把持部を形成してもよい。
押圧体であるホーン35は、一方向繊維束B(樹脂フィルムS)を支持体2の支持面21に直交する押圧方向である矢印Z方向に押圧する平面状の押圧面35aを有し、振動子32の振動に共振して超音波振動することにより押圧面35aから一方向繊維束B(樹脂フィルムS)に超音波振動を印加するものである。ホーン35は、例えば図2中の矢印Z方向におけるその両端位置が最大振幅点となるように、共振周波数の半波長の長さに形成されている。このとき、矢印Z方向におけるホーン35のほぼ中央の位置が第3最小振幅点に相当する。また、図2および図3に示すように、ホーン35は、直方体状に形成されている。そして、ホーン35の押圧面35aは、樹脂フィルムS(開繊後の帯状の繊維束B*)に対して、押圧方向である矢印Z方向および長手方向である矢印Y方向にほぼ直交する幅方向である矢印X方向において幅広に形成されている(ホーン35の幅Wh≧樹脂フィルムSの幅Ws≧帯状の繊維束B*の幅Wb)。
なお、この実施形態では、共振器31は、その共振周波数が約15kHz〜約60kHz、その振動振幅(矢印Z方向における伸縮の振幅)が約2μm〜約300μmとなるように構成されており、振動子32により生成される超音波振動に共振して共振器31が超音波振動することによって、ホーン35の押圧面35aから一方向繊維束B(樹脂フィルムS)に対して押圧方向である矢印Z方向の超音波振動が印加される。また、共振器31(ブースタ34、ホーン35)は、チタン、チタン合金、鉄、ステンレス、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金など、一般的に共振器を形成するのに用いられる種々の金属材料により形成される。
また、共振器31(ホーン35)にヒータが設けられていてもよい。このようにすると、ヒータにより共振器31(ホーン35)を所定温度に昇温しておくことで、超音波振動エネルギーを印加された樹脂フィルムSが発熱した際に、樹脂フィルムSと共振器31(ホーン35)との間に生じる熱勾配を緩和することができるので、発熱した樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽することができる。このように、共振器31(ホーン35)に設けられたヒータを、共振器31(ホーン35)側への伝熱を遮蔽する遮蔽手段として機能させることができる。また、ヒータにより共振器31(ホーン35)を所定温度に昇温しておくことで、ホーン35の押圧面35aから樹脂フィルムSに印加された超音波振動エネルギーにヒータの熱エネルギーをかさ上げすることもできる。このようにすれば、樹脂フィルムSへの超音波振動エネルギーの過剰な供給を抑制しつつ、温度を十分に上昇させて樹脂フィルムSを確実に溶融させることができる。
支持手段33は、基部36とクランプ手段37とを備え、クランプ手段37でブースタ34の被把持部を把持することにより共振器31を支持するものであり、基部36には、加圧手段4のボールねじ42に螺合するねじ穴が矢印Z方向に形成されている。
また、クランプ手段37は、ブースタ34に形成された2つの被把持部を把持できるように、基部36の2ヶ所に設けられており、それぞれ、ブースタ34の被把持部を挟持する第1部材および第2部材を備えている。具体的には、クランプ手段37の第1部材および第2部材には、被把持部の断面形状に係合可能な形状を有する凹部がそれぞれ設けられている。そして、第1部材および第2部材の凹部でブースタ34の被把持部を狭持するように、被把持部を形成する凹状の溝に、基部36に支持されたクランプ手段37の第1部材および第2部材が嵌挿され、ボルトで第1部材および第2部材が固定されることにより、ブースタ34の被把持部がクランプ手段37により把持される。
なお、共振器31を支持する支持手段33の構成は、上記したように、ブースタ34に形成された被把持部を把持(クランプ)した状態でボルトにより固定されるクランプ手段37に限られず、例えば、電気制御可能に構成された機械的なクランプ機構や、ワンタッチで取り付け可能なクランプ機構など、ブースタ34の被把持部を支持することができる構成あればどのようなものであってもよい。
また、共振器31に形成される被把持部の位置は、最小振幅点に限らず、共振器31の任意の位置に被把持部を形成すればよい。また、被把持部の構成は、共振器31の外周面に周方向に沿って凹状の溝が形成された構成に限られず、例えば、共振器31の外周面に周方向に沿って凸状のフランジが形成された構成など、支持手段33により把持することができれば、被把持部がどのような形状に構成されてもよい。また、被把持部が支持手段33により、Oリングやダイアフラム等の弾性部材を介して支持されていてもよい。
加圧手段4は、ホーン35の押圧面35aが支持体2の支持面21と対向するように支持手段33に支持された共振器31を、押圧方向である矢印Z方向に駆動して支持体2に近接または支持体2から離間させるものであって、駆動モータ41とボールねじ42とを備えている。また、架台(図示省略)に立設された支柱(図示省略)にガイド43が結合されており、加圧手段4は、フレーム44を介して支柱およびガイド43に連結されている。
そして、制御装置に制御されて駆動モータ41が回転することにより、ガイド43に矢印Z方向に設けられた凸状のレール43aに沿って、支持手段33に設けられたガイド(図示省略)が摺接しつつボールねじ42に螺合された支持手段33が移動方向である矢印Z方向において上下動し、これにより、支持手段33に支持された共振器31が支持体2に近接または支持体2から離間する。
また、加圧手段4は、制御装置による制御に基づいて駆動モータ41の駆動トルクを調整することにより、所定の加圧力で支持手段33に支持された共振器31を支持体2に近接させることができるように構成されている。また、支柱にはリニアエンコーダ(図示省略)が設けられており、これにより矢印Z方向(押圧方向)におけるヘッド部3の高さが検出されて、リニアエンコーダの検出信号に基づいて制御装置により駆動モータ41を制御することにより、ヘッド部3の高さを調整することができる。
そして、共振器31の中心軸の方向が基部36に形成されたねじ穴とほぼ同じ方向、すなわち、共振器31の中心軸の方向と加圧手段4による共振器31の移動方向(押圧方向)とがほぼ同じ矢印Z方向となり、ホーン35の押圧面35aが支持体2と対向するように、支持手段33により共振器31が支持されている。したがって、加圧手段4により基部36が下動されることで共振器31(ホーン35)が押圧方向である矢印Z方向に駆動されて一体的に支持体2に近接し、これにより、加圧手段4による加圧力が押圧面35aから支持体2の支持面21に支持された一方向繊維束B(樹脂フィルムS)に加えられる。すなわち、加圧手段4により制御されることによって、超音波振動するホーン35の押圧面35aにより一方向繊維束B(樹脂フィルムS)が支持体2の支持面21に対して押圧されて加圧される。
なお、この実施形態では、押圧面35aにより一方向繊維束B(樹脂フィルムS)が支持面21に対して所定の一定の加圧力で押圧されるように駆動モータ41が制御装置により制御される。また、共振器31(基部36)の押圧方向である矢印Z方向における高さ位置が、図2中のLに示すように共振器31が最大に伸長したときの押圧面35aと支持面21との間隔が所定間隙Gとなる位置Hに達したときには、共振器31が位置Hを越えて支持体2側に移動しないように、駆動モータ41が制御装置により制御される。なお、押圧面35aによる一方向繊維束Bに対する加圧力の大きさや、押圧面35aと支持面21との間隙Gの大きさは、開繊後の帯状の繊維束B*の幅や厚み、一方向プリプレグPの幅や厚みに応じて、適宜、最適な値を設定すればよい。例えば、一方向繊維束Bや樹脂フィルムSに対する処理試験を繰り返し行うことにより、最適な加圧力や間隙Gの値を設定してもよい。また、共振器31の押圧方向である矢印Z方向における高さが位置Hに達するまでは加圧力が一定となるように駆動モータ41が制御装置により制御され、共振器31の押圧方向である矢印Z方向における高さが位置Hに達したときに共振器31が停止するように駆動モータ41が制御装置により制御されるようにしてもよい。
供給手段5(本発明の「移動手段」に相当)は、図1に示すように、一方向繊維束Bを巻回保持する第1の供給ローラ51と、それぞれ樹脂フィルムSを巻回保持する第2、第3の供給ローラ52,53と、引出ローラ54と、張力調整用ローラ55と、収納ローラ56とを備えている。一方向繊維束Bおよび両樹脂フィルムSそれぞれは、引出ローラ54の矢印方向に回転する駆動ローラ54aおよび従動ローラ54bによりニップされることによって、各供給ローラ51〜53から引き出されると共に、両樹脂フィルムS間に挟まれた状態の一方向繊維束Bがホーン35の押圧面35aと支持体2の支持面21との間に供給される。
このとき、両面に樹脂フィルムSが重ねあわされた一方向繊維束Bは、ヘッド部3よりも下流側に配置された張力調整用ローラ55の矢印方向に回転する駆動ローラ55aおよび従動ローラ55bによりニップされることによって、その張力を調整されながら押圧面35aと支持面21との間に挟まれた状態で長手方向である矢印Y方向に走行する。したがって、この実施形態では、一方向繊維束B(樹脂フィルムS)とホーン35とが長手方向である矢印Y方向において相対的に移動するので、一方向繊維束B(樹脂フィルムS)が押圧面35により所定の一定の加圧力で押圧される箇所が、一方向繊維束Bの長手方向である矢印Y方向に沿って移動する。そして、両面に樹脂フィルムSが重ねあわされた一方向繊維束Bがホーン35の押圧面35aと支持体2の支持面21との間を通過することにより形成された一方向プリプレグPが、収納ローラ56に巻回されて収納される。なお、第2、第3の供給ローラ52,53のいずれか一方のみが設けられることにより、一方向繊維束Bの片面のみに樹脂フィルムSが重ね合わされるようにしてもよい。
制御装置は、上記したように処理装置1の各部の制御を行うことによって、支持体2の支持面21とホーン35の押圧面35aとの間に樹脂フィルムS(一方向繊維束B)を挟んだ状態で振動子32により共振器31(ホーン35)を超音波振動させる。これにより、制御装置は、押圧面35aから樹脂フィルムSに超音波振動エネルギーを印加して樹脂フィルムSを発熱させて該樹脂フィルムSを溶融させる。
(開繊・含浸処理)
次に、処理装置1において実行される開繊・含浸処理の一例について説明する。
まず、所定の強化繊維を構成する各フィラメントが帯状に束ねられて成る一方向繊維束Bを用意する。そして、その両面に所定の厚みの樹脂フィルムSを重ねあわせた状態で一方向繊維束Bを、超音波振動するホーン35の押圧面35aにより支持体2の支持面21に対して所定の加圧力で押圧しながら、長手方向である矢印Y方向に走行させることにより、図3に示すように、一方向繊維束Bの幅が幅Wbまで広げられ、その厚みが所定の厚みになるように薄く形成された帯状の繊維束B*に、樹脂フィルムSの樹脂が含浸されて成る一方向プリプレグPが形成される。
以上のように、この実施形態では、支持体2の支持面21と、該支持面21に直交する押圧方向である矢印Z方向に超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に一方向繊維束Bを挟んだ状態で、押圧面35aによる一方向繊維束Bの押圧箇所を一方向繊維束Bの長手方向である矢印Y方向に沿って移動させることにより、一方向繊維束Bを開繊することができる。したがって、例えば気流を利用した従来の技術を比較すると、開繊する際に一方向繊維束Bに強い張力を作用させることができるので、一方向繊維束Bを安定して高速に処理して開繊することができる。
また、一般的に、開繊後の帯状の繊維束B*は、不安定で絡まりやすいが、支持面21と押圧面35aとの間に一方向繊維束Bと樹脂フィルムSとを重ねあわせて配置した状態で、一方向繊維束B(樹脂フィルムS)を長手方向である矢印Y方向に走行させることによって、一方向繊維束Bを開繊すると同時に樹脂フィルムSを溶融させた樹脂を帯状の繊維束B*に含浸させることができる。したがって、従来のように、開繊装置および含浸装置の両方の装置を準備する必要がなく、1工程で一方向プリプレグPを形成することができるので、一方向繊維束Bの処理コストを低減することができる。また、ホーン35から物理的な超音波振動が印加されながら樹脂フィルムSの樹脂と帯状の繊維束B*とが接触することにより、強化繊維を構成する各フィラメントと樹脂との接合界面の反応を促進させて良好な接合状態にすることができ、樹脂フィルムSの樹脂を帯状の繊維束B*に良好に含浸させることができる。したがって、一方向プリプレグPを用いた成形品の物性を向上させることができる。また、開繊と同時に帯状の繊維束B*に樹脂が含浸されるので、開繊後の帯状の繊維束B*に毛羽等が発生するおそれがなく、開繊後の繊維束B*の取り扱いが容易である。
また、処理対象である一方向繊維束Bの太さや開繊処理後の帯状の繊維束B*の幅Wbや厚みの目標値に応じて予め設定された所定の加圧力で一方向繊維束Bを押圧しながら開繊することで、開繊後の繊維束B*の幅Wbおよび厚みを精度よく調整することができる。
また、処理対象である一方向繊維束Bの太さや開繊処理後の帯状の繊維束B*の厚みや幅Wbの目標値に応じて予め設定された所定間隙Gよりも支持面21との間隔が狭くならないように押圧面35aを配置した状態で一方向繊維束Bを開繊することで、開繊後の帯状の繊維束B*の厚みおよび幅Wbを精度よく調整することができる。なお、超音波振動するホーン35の最大伸長時の押圧面35aと支持面21との間隔が常に所定間隙Gとなるように、共振器31を押圧方向である矢印Z方向における位置Hに固定配置した状態で(図2参照)、一方向繊維束B(樹脂フィルムS)を長手方向である矢印Y方向に走行させてもよい。このようにしても、開繊後の帯状の繊維束B*の厚みおよび幅Wbを精度よく調整することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかる処理装置について図4を参照して説明する。図4は本発明の第2実施形態にかかる処理装置を示す側面図である。
図4に示す処理装置1aが上記した第1実施形態と異なるのは、図4に示すように、含浸装置6において含浸処理が行われる点である。すなわち、樹脂フィルムSが重ね合わされていない状態で押圧面35aと支持面21との間を通過することにより一方向繊維束Bが開繊された後に、帯状の繊維束B*に樹脂フィルムSが重ね合わされて含浸装置6において含浸処理が行われる。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
含浸装置6は、図4に示すように、樹脂フィルムSが両面に重ね合わされた帯状の繊維束B*を上下方向から挟み込んで加圧可能に構成され、同図中の矢印方向に回転するベルトユニット61,62と、ベルトユニット61,62の内側に配置された加熱機構63および冷却機構64とを備えている。また、加熱機構63は上流側に配置され、冷却機構64は下流側に配置されている。このように構成された含浸装置6では、樹脂フィルムSが両面に重ね合わされた帯状の繊維束B*が通過する際に、上流側において、ベルトユニット61,62により加圧されながら加熱機構63により加熱されることによって溶融した樹脂フィルムSの樹脂が帯状の繊維束B*に含浸される。そして、下流側において、ベルトユニット61,62により加圧されながら冷却機構64により冷却されることによって繊維束B*に含浸した樹脂が固化し、一方向プリプレグPが形成される。なお、上記した第1実施形態と同様に、張力調整用ローラ55が適宜最適な場所にさらに設けられていてもよい。
このように構成しても、上記した第1実施形態と同様に、押圧面35aと支持面21との間を通過させることにより一方向繊維束Bを開繊することによって、一方向繊維束Bを安定して高速に処理して開繊することができる。また、一方向繊維束Bを安定して開繊することにより、樹脂を含浸させる帯状の繊維束B*の厚み(含浸距離:強化繊維を構成するフィラメントの本数)を薄くすることができるので、短時間で繊維束B*に樹脂を含浸させることができると共に、ボイドの発生を抑制し、不完全な含浸を防止することができる。したがって、一方向プリプレグPを用いた成形品の物性を向上させることができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態にかかる処理装置について図5を参照して説明する。図5は本発明の第3実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。なお、図5では、図3と同様に帯状の繊維束B*の下面側に配置される樹脂フィルムSと、支持体2とが図示省略されている。
図5に示す処理装置1bが上記した第2実施形態と異なるのは、図5に示すように、含浸装置7の構成が異なる点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
含浸装置7は、図5に示すように、開繊処理に用いられるホーン35とほぼ同様の構成のホーン135(本発明の「押圧体」に相当)を備えている。そして、含浸装置7のホーン135の押圧面135aと、支持体2の支持面21との間を、樹脂フィルムSが重ね合わされた帯状の繊維束B*が通過することにより、上記した第1実施形態と同様に、押圧面135aから超音波振動が印加されて溶融した樹脂フィルムSの樹脂が帯状の繊維束B*に含浸されて、プリプレグPが形成される。
このように構成すると、超音波振動エネルギーを印加して樹脂分子を振動、回転させて分子運動を促進させて発熱させることにより、樹脂シートSを高速に昇温させて溶融させることができる。そのため、ニップローラ等の加圧装置を利用した従来の技術や、上記した第2実施形態の構成と比較すると、超音波振動が印加されることにより含浸時間をさらに短縮することができると共に、含浸装置7(処理装置)の含浸能力を向上させることができる。したがって、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)を安定して高速に処理して溶融させた樹脂を含浸させることができる。また、ニップローラ等の加圧装置を利用した従来の技術や、上記した第2実施形態の構成と比較すると、コンパクトな構成の含浸装置7により繊維束B(帯状の繊維束B*)に樹脂シートS等のマトリックス樹脂の樹脂を含浸させることができる。また、上記した第1実施形態と同様に、超音波振動が印加されて含浸処理が実行されているので、強化繊維を構成する各フィラメントと樹脂との接合界面の反応を促進させて良好な接合状態にすることができ、樹脂フィルムSの樹脂を帯状の繊維束B*に良好に含浸させることができる。したがって、一方向プリプレグPを用いた成形品の物性を向上させることができる。
なお、ホーン35と同様に、ホーン135の押圧面135aにより一方向繊維束B(樹脂フィルムS)が支持面21に対して所定の一定の加圧力で押圧されるように駆動モータ等のアクチュエータを備える加圧手段が制御装置により制御されるとよい。また、ホーン35と同様に、ホーン135の押圧方向である矢印Z方向における高さ位置が、図2中のLに示すようにホーン135が最大に伸長したときの押圧面135aと支持面21との間隔が所定間隙Gとなる位置Hに達したときには、ホーン135が位置Hを越えて支持体2側に移動しないように、加圧手段が制御装置により制御されるとよい。また、押圧面135aによる一方向繊維束B(樹脂シートS)に対する加圧力の大きさや、押圧面135aと支持面21との間隙Gの大きさは、開繊された帯状の繊維束B*の幅や厚み、一方向プリプレグPの幅や厚みに応じて、適宜、最適な値を設定すればよい。また、ホーン135の押圧方向である矢印Z方向における高さが位置Hに達するまでは加圧力が一定となるように加圧手段が制御装置により制御され、ホーン135の押圧方向である矢印Z方向における高さが位置Hに達したときにホーン135が停止するように加圧手段が制御装置により制御されるようにしてもよい。
さらに、処理装置1bが開繊装置(支持体2、ヘッド部3)を備えている必要はなく、この場合には、処理装置1b以外の装置により開繊された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)が処理装置1bの含浸装置7に供給されるように供給手段5を構成すればよい。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態にかかる処理装置について図6を参照して説明する。図6は本発明の第4実施形態にかかる処理装置において処理される一方向繊維束および樹脂シートを示す横断面図である。
この実施形態が上記した第1ないし第3実施形態と異なるのは、図6に示すように、2束の一方向繊維束B、または、2束の開繊後の帯状の繊維束B*により樹脂フィルムSが挟み込まれた状態で含浸処理が実行される点である。その他の構成および動作は、上記した第1〜第3実施形態のうちのいずれかの構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)と樹脂シートSとを図6に示すように重ねあわせても、上記した各実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態にかかる処理装置について図7を参照して説明する。図7は本発明の第5実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。なお、図7では、図5と同様に帯状の繊維束B*の下面側に配置される樹脂フィルムSと、支持体2とが図示省略されている。
図7に示す処理装置1cが上記した図5に示す処理装置1bと異なるのは、樹脂が含浸される前の開繊された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)を加熱する加熱手段8をさらに備えている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
加熱手段8は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維を構成する各フィラメントが束ねられて形成された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)を加熱するものであり、ヒータや誘導加熱装置などの一般的な加熱装置により構成される。このように構成すると、加熱手段8により予備加熱された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)と溶融した樹脂との密着性を向上させることができ、帯状の繊維束B*に良好に樹脂を含浸させることができる。
なお、上記した第3実施形態と同様に、図7に示す処理装置1cが開繊装置(支持体2、ヘッド部3)を備えている必要はなく、この場合には、処理装置1c以外の装置により開繊された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)が処理装置1cの含浸装置7および加熱装置8に供給されるように供給手段5を構成すればよい。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態にかかる処理装置について図8および図9を参照して説明する。図8は本発明の第6実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図であり、図9は図8の処理装置の一部の側面図である。なお、図9では、図5および図7と同様に帯状の繊維束B*の下面側に配置される樹脂フィルムSと、支持体2とが図示省略されている。
図8に示す処理装置1dが、上記した図5の処理装置1bおよび図7の処理装置1cと異なるのは、樹脂が含浸された後の一方向繊維束B(一方向プリプレグP)を支持体2の支持面21に対して押圧する押え部材9と、押え部材9を冷却する押圧体用冷却手段10とを備えている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
押え部材9は、ローラ状に形成され、その中心軸が一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)の長手方向である矢印Y方向(一方向繊維束Bの走行方向)にほぼ直交するように配置されている。そして、押え部材9は、その中心軸を回転中心として回転しながらその周面により一方向プリプレグPを支持面21に対して押圧する。このとき、図示省略されたモータやシリンダ等のアクチュエータや、ばね等の付勢手段により、押え部材9が一方向プリプレグPを所定の押圧力で支持面21に対して押圧するように構成されている。また、図9に示すように、押圧部材9の周面が支持面21から所定距離G2をあけて配置されている。
冷却手段10は、エアーを吹きかけることにより押え部材9を冷却するものである。図8に示すように、押え部材9には、流入口91と、これに部材9内の流路(図示省略)を介して連通する流出口92とが設けられている。押圧体用冷却手段10は、流入口91から押え部材9内にエアーを供給し、供給されたエアーが押え部材9内の流路を通って流出口92から吹き出されることにより押え部材9が冷却される。
したがって、図9に示すように、一方向プリプレグPの幅の目標値などに応じて予め設定された所定の押圧力で押え部材9により一方向プリプレグPを支持面21に対して押圧することで、一方向プリプレグPの幅を精度よく調整することができる。また、図9に示すように、一方向プリプレグPの厚みの目標値などに応じて予め設定された所定距離G2を支持面21からあけて押え部材9を配置した状態で押え部材9により一方向プリプレグPを支持面21に対して押圧することで、一方向プリプレグPの厚みを精度よく調整することができる。このように、含浸処理後の一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)を支持面21に対して押え部材9により押えることによって、残熱で一方向プリプレグPが支持面21から浮いたり膨張したりするのを防止することができ、一方向プリプレグPの形状を押え部材9により適切な形状に成形することができる。
また、押圧体用冷却手段10により冷却された押え部材9により、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)に含浸された樹脂を迅速に冷却して硬化させることができる。また、流出口92から吹き出されたエアーが一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)に含浸された後の樹脂に吹き付けられるように構成することによって、含浸後の樹脂の冷却効果を向上させることができる。
また、押え部材9の回転位相を一方向プリプレグPの移動速度とずらすことにより、押え部材9の周面と一方向プリプレグPの表面とを摺接させることによって、一方向プリプレグPの表面を滑らかに形成することができる。
次に、図10を参照して押え部材の変形例について説明する。図10は図9の処理装置の変形例を示す斜視図である。
図10に示す処理装置1dの押え部材9aが、図8の処理装置1dのローラ状の押え部材9と異なるのは、押え部材9aが押圧面93を有し、押圧面93と一方向プリプレグPとを摺接させながら一方向プリプレグPを支持体2の支持面21に対して押圧する点である。なお、図10では押え部材9aが押圧面93を有する角柱状に形成されているが、押圧面93を有していれば押え部材9aの形状は角柱状に限定されるものではない。また、図示省略しているが、図8の押え部材9と同様に、押え部材9aにも、流入口91と、これに部材9a内の流路(図示省略)を介して連通する流出口92とが設けられている。そして、押圧体用冷却手段10は、流入口91から押え部材9a内にエアーを供給し、供給されたエアーが押え部材9a内の流路を通って流出口92から吹き出されることにより押え部材9aが冷却される。
なお、一方向繊維束Bおよび樹脂シートSを固定配置し、ホーン135を一方向繊維束Bの長手方向である矢印Y方向に沿って移動させる場合には、ホーン135および押え部材9,9aが一体的に移動するように構成するとよい。また、この実施形態では、冷却手段10は空冷式により押え部材9,9aを冷却するように構成されているが、水冷式により押え部材9,9aを冷却するように押圧体用冷却手段10を構成してもよい。
また、含浸処理後の一方向繊維束Bの成形状態を維持するのに適切な所定の押圧力で押え部材9,9aにより一方向繊維束Bを支持面21に対して押圧したり、含浸処理後の一方向繊維束Bの成形状態を維持するのに適切な所定距離G2を支持面21からあけて押え部材9,9aが配置された状態で、押え部材9,9aにより含浸処理後の一方向繊維束Bを支持面21に対して押圧したりするようにしてもよい。このようにすると、より確実に樹脂が含浸された一方向繊維束Bの成形状態を押え部材9,9aにより維持することができる。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態にかかる処理装置について図11を参照して説明する。図11は本発明の第7実施形態にかかる処理装置の一部の斜視図である。なお、図11では支持体2が図示省略されている。
図11に示す処理装置1eが、上記した図8および図10の処理装置1dと異なるのは、マトリックス樹脂を成す樹脂板S’(樹脂部材)と、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)または一方向プリプレグPとが重ね合わされて配置され、樹脂板S’の溶融した樹脂が一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)または一方向プリプレグPに含浸される点である。なお、樹脂板S’上に一方向プリプレグP(UDテープ)が配置された場合には、樹脂が含浸された繊維束Bにさらに樹脂板S’の樹脂が含浸されることになる。なお、押え部材9aの代わりに押え部材9を備えるようにしてもよい。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように構成しても、上記した第6実施形態と同様の効果を奏することができる。また、樹脂板S’は熱容量が大きく一方向繊維束Bに含浸された後の溶融樹脂の温度が下がりにくいが、含浸後の一方向繊維束Bを押え部材9,9aにより支持面21に対して押えると共に、溶融樹脂を押え部材9,9aにより冷却することによって、一方向繊維束Bに含浸された後の樹脂を迅速に冷却して硬化させることができる。
なお、ホーン135および押え部材9,9aを一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)の長手方向に沿って一体的に移動させる場合には、次のように構成するとよい。すなわち、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)または一方向プリプレグP(UDテープ)を巻回保持してホーン135の押圧面135aの下方に供給する供給ローラを、ホーン135(押え部材9,9a)の移動方向(長手方向)である矢印Y方向におけるホーン135の上流側に配置すると共に、ホーン135(押え部材9,9a)および供給ローラが一体的に移動するようにするとよい。このように構成すると、樹脂板S’を固定配置した状態で、ホーン135(押え部材9,9a)および供給ローラを一体的に移動させながら供給ローラから一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)または一方向プリプレグP(UDテープ)を押圧面135aの下方に供給することができ、含浸装置7により、供給された一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)または一方向プリプレグP(UDテープ)に、連続的に樹脂板Sの樹脂を溶融させて含浸させることができる。
<第8実施形態>
本発明の第8実施形態にかかる処理装置について図12を参照して説明する。図12は本発明の第8実施形態にかかる処理装置を示す側面図である。
図12に示す処理装置1fが、図1の処理装置1と異なるのは、樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽して遮蔽機能を発揮する押圧体側遮蔽手段11aと、樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽して遮蔽機能を発揮する支持体側遮蔽手段11bとを備える点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
押圧体側遮蔽手段11aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)など、熱伝導率の小さい材料により形成された帯状の断熱フィルムIaを巻回保持する供給ローラ111aと、収納ローラ112aとを備え、供給ローラ111aおよび収納ローラ112aそれぞれが矢印方向に回転することによって、供給ローラ111aから引き出された断熱フィルムIaをホーン35の押圧面35aと樹脂フィルムS(一方向繊維束B)との間に供給することにより、樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽する。このとき、断熱フィルムIaは、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向繊維束Bとほぼ同じ速度で長手方向である矢印Y方向に走行するように供給ローラ111aから引き出されて収納ローラ112aに収納される。
なお、断熱フィルムIaを離型性に優れたフッ素樹脂等により形成することにより、ホーン35の押圧面35aに溶融した樹脂フィルムSが粘着等するのを防止する離型フィルムとしても使用することができ、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向繊維束B(一方向プリプレグP)を矢印Y方向に良好に走行させることができる。また、断熱フィルムIaを上記したように矢印Y方向に走行させずに、ホーン35の押圧面35aと樹脂フィルムS(一方向繊維束B)との間に断熱フィルムIaが固定配置されていてもよい。
また、図示省略されているが、図5、図7、図8、図10、図11の含浸装置7が備えるホーン135に対して押圧体側遮蔽手段11aが設けられていてもよい。このように構成することにより、超音波振動エネルギーが印加されることにより発生した熱エネルギーが、樹脂シートSや樹脂板S’からホーン135に伝導して逃げるのを防止することができる。
支持体側遮蔽手段11bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)など、熱伝導率の小さい材料により形成された帯状の断熱フィルムIbを巻回保持する供給ローラ111bと、収納ローラ112bとを備え、供給ローラ111bおよび収納ローラ112bそれぞれが矢印方向に回転することによって、供給ローラ111bから引き出された断熱フィルムIbを支持体2の支持面21と樹脂フィルムS(一方向繊維束B)との間に供給することにより、樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽する。このとき、断熱フィルムIbは、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向繊維束Bとほぼ同じ速度で長手方向である矢印Y方向に走行するように供給ローラ111bから引き出されて収納ローラ112bに収納される。
なお、断熱フィルムIbを離型性に優れたフッ素樹脂等により形成することにより、支持体2の支持面21に溶融した樹脂フィルムSが粘着等するのを防止する離型フィルムとしても使用することができ、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向繊維束B(一方向プリプレグP)を矢印Y方向に良好に走行させることができる。また、断熱フィルムIbを上記したように矢印Y方向に走行させずに、支持体2の支持面21と樹脂フィルムS(一方向繊維束B)との間に断熱フィルムIbが固定配置されていてもよい。
このとき、押圧体側遮蔽手段11aや支持体側遮蔽手段11bとして用いられるPTFE、PFA,FEP,ETFE,PEEKの熱伝導率はそれぞれ、0.23,0,19,0.2,0.24,0.25W/(m・K)であり、押圧体側遮蔽手段11aおよび支持体側遮蔽手段11bは、これらPTFE、PFA,FEP,ETFEから成る断熱フィルムIa,Ibではなく、PTFE、PFA,FEP,ETFEやこれらと同様に熱伝導率の小さい材質のものを選択してもよいし、これらにガラス繊維を含むものや、これらフッ素樹脂と同等の熱伝導率を有する材質のものであってもよい。さらに、ガラス転移温度が60℃以上、或いは、融点が250℃以上のフッ素樹脂その他の素材を、断熱フィルムIa,Ibに使用してもよい。このとき、樹脂フィルムS(樹脂部材)の融点が低い場合には、上記したフッ素樹脂等を使用するのが好ましいが、樹脂フィルムS(樹脂部材)の融点が高い場合には、ステンレス、鉄、アルミニウム、チタン、チタン合金、マンガン、ニクロム(Ni−Cr)、ビスマスなどの金属薄板を使用するのが望ましい。さらに、これらの金属薄板の押圧面35a側や支持面21側に上記したフッ素樹脂等をコーティングしたものや、金属薄板の両面にコーティングしたものを使用してもよい。
ところで、従来、ホーン35の押圧面35aから超音波振動が印加されると、重ね合わされた樹脂フィルムSや樹脂板S’等の被処理物どうしが擦り合わされて摩擦熱が生じ、樹脂が溶融すると考えられていた。本願発明者は、ホーン35の押圧面35aから超音波振動が印加されている樹脂製の被処理物をサーモグラフィにより観察し、被処理物の温度分布を詳細に検討した。その結果、本願発明者は、押圧面35aが接触していない被処理物の端縁部の温度も上昇していることを見出した。これは、電子レンジの原理と同様に、ホーン35の押圧面35aから超音波振動エネルギーが樹脂フィルムSや樹脂板S’等の被処理物に印加されることで、樹脂分子が振動、回転して分子運動が促進されて被処理物全体の温度が上昇するためと考えられる。
また、本願発明者は、超音波処理後にホーン35の押圧面35aが被処理物から離間する際に、ホーン35が昇温したままの状態であることを見出した。これは、超音波振動エネルギーが印加されることにより被処理物において生じた熱エネルギーがホーン35に伝導して被処理物の外部に逃げたことによって該ホーン35が昇温したためと考えられる。これらの考察結果から、本願発明者は、ホーン35の押圧面35aから超音波振動エネルギーを印加して被処理物を処理する際に、超音波振動エネルギーを効率よく利用して被処理物を処理するためには、超音波振動エネルギーが印加されることにより被処理物全体で発生した熱エネルギーがホーン35や支持体2に逃げるのを防止し、発生した熱エネルギーを被処理物内に閉じ込めることが重要との知見を得た。
したがって、この実施形態によれば、超音波振動エネルギーを印加して樹脂分子を振動、回転させて分子運動を促進させることで樹脂フィルムSを発熱させた際に、該樹脂フィルムSからホーン35および支持体2への伝熱が遮蔽されるので、樹脂フィルムSに生じた熱が支持体2およびホーン35に伝導して逃げるのを防止することができ、樹脂フィルムS内に熱をこもらせることができる。そのため、超音波振動が印加されることにより樹脂フィルムSに生じた熱エネルギーを該樹脂フィルムS内に閉じ込めることができ、その結果、過剰な超音波振動エネルギーを印加しなくても、樹脂フィルムSが破損しない程度の適度な大きさの超音波振動エネルギーにより確実に樹脂フィルムSを所定温度まで昇温させて溶融させることができる。
また、支持体2の支持面21と、超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に樹脂フィルムS(一方向繊維束B)を挟んだ状態で、押圧面35aによる押圧箇所を樹脂フィルムSの長手方向である矢印Y方向に沿って所定速度で連続的に移動させると、超音波振動エネルギーが印加(注入)される樹脂フィルムS上の位置が時々刻々と移動するが、従来の構成では、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーが支持体2やホーン35に伝導して逃げてしまうので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSの押圧面35aが接触した箇所の温度を上昇させることができない。一方、この実施形態のように、樹脂フィルムSからホーン35および支持体2への伝熱を遮蔽して該樹脂フィルムS内に熱エネルギーを閉じ込めることにより、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSの押圧面35aが接触した箇所の温度を上昇させることができる。したがって、加熱が必要な範囲よりも小さい押圧面35aを有するホーン35を利用し、押圧面35aによる押圧箇所を連続的に移動させることによって、押圧面35aよりも大面積の樹脂フィルムSや樹脂板S’等の樹脂製の被処理物を処理することができる。
<第9実施形態>
本発明の第9実施形態にかかる処理装置1gについて図13を参照して説明する。図13は本発明の第9実施形態に係る処理装置の一部の側面図である。
本実施形態では、図13に示すように、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)などの金属部材Mに、一方向プリプレグ(UDテープ)をはじめ、炭素繊維(CF)のフィラメントを平織した織物あるいは編物、布、不織布などに樹脂を含浸した強化繊維RFを樹脂により接合する。
図13に示すように、支持体2とホーン135との間に、金属部材M、樹脂部材S、強化繊維RFを順次重ね合せて配置して、ホーン135により所定の加圧力を加えつつ超音波振動を与え、樹脂部材Sを超音波振動による熱エネルギーによって溶融し、強化繊維RFを金属部材Mに溶着させて接合する。このとき、上記した第6実施形態との対比で説明すると、図11における樹脂板S’を薄いものして図13の樹脂部材Sとし、この樹脂部材Sが金属部材M上に重ねられ、さらにその上に強化繊維RFが重ね合わされた状態で、図示省略の移動手段により、重ね合された状態の金属部材M、樹脂部材S、強化繊維RFが一緒に移動されつつ、ホーン135により超音波が印加されて樹脂部材Sが溶融され、強化繊維RFが金属部材Mに接合されることになる。
そして、図13に示すように、押圧体側遮蔽手段11aを構成する複数のローラ11a1,11a2,11a3,11a4,11a5により帯状の断熱フィルムIaを、ホーン135の押圧面135aと強化繊維RFとの間で移動させてホーン135への伝熱を遮蔽しつつ、超音波を印加し、超音波振動による熱エネルギーを、支持体2の支持面21とホーン135の押圧面135aとの間に挟まれた金属部材M、樹脂部材Sおよび強化繊維RFに効果的に閉じ込め、樹脂部材Sを溶融して強化繊維RFを金属部材Mに接合する。なお、断熱フィルムIaを移動させるには、上記したように5個のローラ11a1〜11a5が必ずしも必要ではなく、要するにホーン135の押圧面135aと強化繊維RFとの間で断熱フィルムIaを移動させることができればよい。
ここで、断熱フィルムIaは、上記した第8実施形態と同様、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)など、熱伝導率の小さい材料により形成される。
なお、図13に示すように、図11の押え部材9aと同様に押圧面を有する押え部材9bが、移動手段により移動される金属部材M、樹脂部材Sおよび強化繊維RFの川下側に配置され、押え部材9bの押圧面と強化繊維RFとを摺接させながら強化繊維RFを支持体2の支持面21に対して押圧するようになっている。
ところで、金属部材Mに重ねる樹脂部材Sは、図14(a)に示すように予め金属部材M上に形成された樹脂層である場合や、図14(b)に示すように予め接着されていない場合のいずれであってもよい。図14(a)のように樹脂部材Sとしての樹脂層を金属部材Mに予め形成する手法として、樹脂部材Sを溶融温度にまで加熱(超音波振動エネルギーによる加熱も含む)して金属部材M上に溶着させて形成する手法や、金属部材Mの上面にOH基を形成し、形成したOH基に樹脂部材Sを反応させるといういわゆる化学的結合により形成する手法等がある。
このとき、図15(a)に示すように、金属部材Mの上面をエッチング等により予め粗化して粗化面AMを形成しておき、この粗化面AMに樹脂部材Sとしての樹脂層を予め形成させるとよく、こうすると金属部材Mに対する樹脂部材Sの接着強度を向上することができる。また、図15(b)に示すように、金属部材Mの上面に粗化面AMを形成しておき、樹脂部材Sを予め接着しないで重ねるようにしてもよい。なお、図15(a)のように樹脂部材Sとしての樹脂層を金属部材Mの粗化面AMに形成する手法として、樹脂部材Sを溶融温度にまで加熱(超音波振動エネルギーによる加熱も含む)して金属部材Mの粗化面AM上に溶着させて形成する手法のほか、金属部材Mの粗化面AMにOH基を形成し、形成したOH基に樹脂部材Sを反応させることによる化学的結合により形成する手法等がある。
また、押え部材9bは、図9の場合と同様、支持体2の支持面21から予め設定された間隙をあけて配置しておくとよく、さらに押え部材9bは、所定の押圧力で押圧するようにしておくとよい。こうすると、処理後の強化繊維RFの成形状態を維持するのに適切な間隙を支持面21からあけて押え部材9bが配置された状態で、押え部材9bにより処理後の強化繊維RFを支持面21に対して押圧することにより、より確実に処理後の強化繊維の成形状態を押え部材9bにより維持することができる。また、処理後の強化繊維RFの厚みおよび幅の目標値などに応じて予め設定された所定距離を支持面21からあけて押え部材9bが配置された状態で、処理後の強化繊維RFを支持面21に対して所定の押圧力で押圧することにより、処理後の強化繊維RFの厚みおよび幅を精度よく調整することができる。
したがって、上記した実施形態によれば、金属部材Mと強化繊維RFとの間の樹脂部材Sを溶融して、強化繊維RFと金属部材Mとを容易に溶着させることができる。
なお、第9実施形態の変形例として、図16に示すように、押え部材9bの下方を断熱フィルムIaが移動するように配置してもよい。この場合、図13と比べて、ローラ11a1〜11a4と1個少ない。
また、図13、図16における押え部材9bに、上記した第6実施形態のような空冷式、水冷式の押圧体用冷却手段を設けてもよい。
また、本発明の第10実施形態として、上記した処理装置1a〜1hにおけるホーン35,135に代えて、図17に示すような回転可能に保持されたロータリーホーンRHを使用してもよい。
さらに、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した各実施形態の構成をどのように組み合わせてもよい。例えば、ホーン35,135(共振器31)を長手方向である矢印Y方向に移動させることにより、ホーン35,135の押圧面35a,135aによる一方向繊維束Bの押圧箇所が移動するようにしてもよい。また、ホーン35,135(共振器31)および一方向繊維束Bの両方を相対的に長手方向である矢印Y方向に移動させることにより、ホーン35,135の押圧面35a,135aによる一方向繊維束B等の強化繊維の押圧箇所が移動するようにしてもよい。
また、上記した加圧手段4にシリンダを追加することにより、シリンダの差圧を利用してホーン35の押圧面35aによる一方向繊維束B等の強化繊維に対する加圧力を設定するようにしてもよい。
また、上記した第2および第3実施形態において、含浸装置の構成は上記した例に限定されるものではなく、一般的に使用される含浸装置により含浸処理を行うようにすればよい。
また、押圧体および押圧面の形状等の構成は上記したホーン35,135の構成に限定されるものではなく、平面状の押圧面を有し、一方向繊維束Bを少なくとも幅方向に渡って支持面21に対して押圧面により押圧できる構成であれば、押圧体をどのような形状に構成してもよい。例えば、その側面視形状が押圧面35a,135aに向ってくちばし状に先細りする形状にホーン35,135を構成することができる。また、例えば、押圧面が、一方向繊維束B(帯状の繊維束B*)、樹脂フィルムS、樹脂板S’などの被処理物を幅方向に渡って一軸状に支持面21に対して押圧できる構成であれば、押圧面による被処理物の押圧箇所を所定方向(例えば押圧面の長手方向にほぼ直交する方向)に1回スキャン(移動)するだけで、被処理物を全面に渡って処理することができる。
また、上記した加圧手段4は上記した構成に限られるものではなく、共振器31を移動させることができれば、リニアモータやシリンダ等の周知のアクチュエータを用いるなど、どのように加圧手段4を構成してもよい。
また、押圧体および支持体それぞれの配置位置は、図1の紙面に向かって上下方向に並べて配置された上記した例に限定されるものではなく、押圧体および支持体の上下方向の位置を入れ換えて配置してもよいし、押圧体および支持体を図1の紙面に向かって左右方向に並べて配置してもよい。
また、断熱フィルムの素材として挙げたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の各種のフッ素樹脂やジルコニア等の熱伝導率が小さい材質、或いは、60℃以上のガラス転移温度や250℃以上の融点有する材質により形成された断熱用のコーティング層がホーン35,135の押圧面35a,135aの表面に形成されていてもよい。このように構成しても、断熱用のコーティング層により樹脂フィルムSや樹脂板S’からホーン35,135への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムSや樹脂板S’内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSや樹脂板S’を処理することができる。このように、共振器31(ホーン35,135)に設けられた断熱用のコーティング層を、共振器31(ホーン35,135)側への伝熱を遮蔽する遮蔽手段として機能させることができる。
また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の各種のフッ素樹脂やジルコニア、(ファイン)セラミックス、ガラス等の熱伝導率が小さい材質、或いは、70℃以上のガラス転移温度や250℃以上の融点有する材質により形成された断熱用のコーティング層が支持体2の支持面21の表面に形成されていてもよい。このように構成しても、断熱用のコーティング層によりにより樹脂フィルムSや樹脂板S’から支持体2への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムSや樹脂板S’内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSや樹脂板S’を処理することができる。このように、支持体2に設けられた断熱用のコーティング層を、支持体2側への伝熱を遮蔽する遮蔽手段として機能させることができる。
また、押圧体であるホーン35,135および支持体2自体を、熱伝導率がいずれも10W/(m・K)よりも小さい材質、例えばチタン合金(例えば熱伝導率が7.5W/(m・K)のTi−6Al−4V)などにより形成されていてもよい。また、支持体2が、水晶(8W/(m・K))、ガラス(1W/(m・K))、ファインセラミックス(ムライト、フォルステライト、コージライト、ジルコニア、ステアタイト等)などの材質により形成されていてもよい。このように構成しても、ホーン35,135および支持体2の熱伝導率が、いずれも小さく設定されているため、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーが樹脂フィルムSや樹脂板S’からホーン35,135および支持体2に伝導して逃げるのを防止できる。したがって、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS、樹脂板S’内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムS、樹脂板S’を処理することができる。このように、押圧体であるホーン35,135および支持体2のそれぞれに、外部からの熱の伝達を遮蔽する遮蔽機能を発揮させることができる。
また、図5、図7、図8、図10、図11の含浸装置7(処理装置)が備えるホーン135にヒータが設けられていてもよい。このようにすると、ヒータによりホーン135を所定温度に昇温しておくことで、超音波振動エネルギーを印加された樹脂フィルムSや樹脂板S’が発熱した際に、樹脂フィルムSや樹脂板S’とホーン135との間に生じる熱勾配を緩和することができるので、発熱した樹脂フィルムSや樹脂板S’からホーン135)への伝熱を遮蔽することができる。このように、ホーン135に設けられたヒータを、ホーン135側への伝熱を遮蔽する遮蔽手段として機能させることができる。また、ヒータによりホーン135を所定温度に昇温しておくことで、ホーン135の押圧面135aから樹脂フィルムSや樹脂板S’に印加された超音波振動エネルギーにヒータの熱エネルギーをかさ上げすることもできる。このようにすれば、樹脂フィルムSや樹脂板S’への超音波振動エネルギーの過剰な供給を抑制しつつ、温度を十分に上昇させて樹脂フィルムSや樹脂板S’を確実に溶融させることができる。
また、支持体2の支持面21と一方向繊維束B(樹脂シートS、樹脂板S’)との間や、ホーン35,135の押圧面35a,135aと一方向繊維束B(樹脂シートS、樹脂板S’)との間に、フッ素樹脂等の離型性に優れた樹脂により形成された離型シートや、チタン、チタン合金、銅、ステンレス等の金属により形成された離型シートが配置されていてもよい。金属により形成された離型シートを採用すれば、超音波振動をより確実に一方向繊維束B(樹脂シートS、樹脂板S’)に伝達することができる。
また、上記した実施形態では、樹脂を含浸させる強化繊維として、強化繊維を構成する各フィラメントが束状に束ねられた一方向繊維束B(帯状の繊維束B*も含む)や一方向プリプレグP(UDテープ)を例に挙げて説明したが、樹脂を含浸させる強化繊維は上記した一方向繊維束Bや一方向プリプレグP(UDテープ)に限定されるものではない。例えば、強化繊維を構成する各フィラメントが平織されたシートや、織物、布、不織布、編物(それぞれ樹脂が含浸されたものも含む)、強化繊維を構成する各フィラメントが束状に束ねられた一方向繊維束B(帯状の繊維束B*も含む)が平織されたシートや、織物、布、不織布、編物(それぞれ樹脂が含浸されたものも含む)、一方向プリプレグPが平織されたシート、一方向プリプレグPがブレード状に成形された成型体に、樹脂シートSや樹脂板S’等の樹脂部材(マトリックス樹脂)の樹脂を含浸させるようにしてもよい。
また、強化繊維に含浸された樹脂が、マトリックス樹脂(樹脂部材)として他の強化繊維に含浸されるようにしてもよい。このとき、強化繊維に含浸された樹脂がマトリックス樹脂(樹脂部材)として他の強化繊維に含浸される場合に、当該他の強化繊維に既に他のマトリックス樹脂が含浸されていても構わない。
また、上記した各実施形態において、図9に示すような空冷式や水冷式の支持体用冷却手段を支持体2に設けてもよい。こうすると、支持体用冷却手段により冷却された支持体により、処理後の強化繊維を迅速に冷却して安定させることができる。
また、本発明は、強化繊維を処理する処理装置に対して広く適用することができる。
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g、1h…処理装置
2…支持体
21…支持面
32…振動子(振動手段)
35,135…ホーン(押圧体)
35a,135a…押圧面
5…供給手段(移動手段)
8…加熱手段
9,9a,9b…押え部材
10…冷却手段
11a…押圧体側遮蔽手段
11b…支持体側遮蔽手段
Ia,Ib…断熱フィルム
B…一方向繊維束(強化繊維)
G…間隙
G2…距離
S…樹脂フィルム(樹脂部材)
S’…樹脂板(樹脂部材)
Y…矢印(長手方向)
Z…矢印(押圧方向)
RF…強化繊維
M…金属部材

Claims (19)

  1. 強化繊維を処理する処理装置において、
    支持面を有する支持体と、
    押圧面を有する押圧体と、
    前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、
    前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、樹脂部材と前記強化繊維とが重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記樹脂部材と前記押圧体とを相対的に移動させる移動手段と
    を備え、
    前記押圧体が外部からの熱を伝えにくい遮蔽機能を有することを特徴とする処理装置。
  2. 前記押圧体への熱の遮蔽機能を発揮する押圧体側遮蔽手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記押圧体側遮蔽手段は、前記押圧面に低熱伝導率の素材により形成された押圧体側コーティング層であることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
  4. 前記押圧体側遮蔽手段は、前記強化繊維と前記押圧体の前記押圧面との間に配設される低熱伝導率の押圧体側フィルム材を備えることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
  5. 強化繊維を処理する処理装置において、
    支持面を有する支持体と、
    押圧面を有する押圧体と、
    前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、
    前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、樹脂部材と前記強化繊維とが重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記樹脂部材と前記押圧体とを相対的に移動させる移動手段と
    を備え、
    前記支持体が外部からの熱を伝えにくい遮蔽機能を有することを特徴とする処理装置。
  6. 前記支持体への熱の遮蔽機能を発揮する支持体側遮蔽手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
  7. 前記支持体側遮蔽手段は、前記支持面に低熱伝導率の素材により形成された支持体側コーティング層であることを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
  8. 前記支持体側遮蔽手段は、前記強化繊維と前記支持体の前記支持面との間に配設される低熱伝導率の支持体側フィルム材を備えることを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
  9. 前記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に挟まれて処理された後の前記強化繊維を前記支持面に対して押圧する押え部材をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の処理装置。
  10. 前記押え部材は、前記支持面から予め設定された間隙をあけて配置されていることを特徴とする請求項9に記載の処理装置。
  11. 前記押え部材は、前記強化繊維を前記支持面に対して所定の押圧力で押圧することを特徴とする請求項9または10に記載の処理装置。
  12. 前記押え部材を冷却する押え部材用冷却手段を備えることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の処理装置。
  13. 前記支持体を冷却する支持体用冷却手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の処理装置。
  14. 前記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に挟まれて処理される前の前記強化繊維を加熱する加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の処理装置。
  15. 前記押圧体の前記押圧面が、前記支持面から所定間隙をあけて配置されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の処理装置。
  16. 前記押圧体は、前記強化繊維を前記支持体の前記支持面に対して所定の加圧力で押圧することを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の処理装置。
  17. 前記移動手段は、
    前記支持面と、前記振動手段により前記押圧方向に超音波振動する前記押圧体の前記押圧面との間に、金属部材と前記樹脂部材と前記強化繊維とが順次重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維、前記樹脂部材および前記金属部材と前記押圧体とを相対的に移動させることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の処理装置。
  18. 前記金属部材の前記樹脂部材との対向面は、予め粗化されていることを特徴とする請求項17に記載の処理装置。
  19. 前記金属部材の粗化された面に予め樹脂が溶着されて樹脂層が形成されており、
    前記移動手段は
    記支持体の前記支持面と前記押圧体の前記押圧面との間に、前記樹脂層を前記強化繊維側に配置した状態で前記金属部材および前記強化繊維が重ね合わされて挟まれた状態で、前記強化繊維および前記金属部材と前記押圧体とを相対的に移動させることを特徴とする請求項18に記載の処理装置。
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